JP2012192841A - 車両用サスペンション装置およびそのジオメトリ調整方法 - Google Patents

車両用サスペンション装置およびそのジオメトリ調整方法 Download PDF

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Abstract

【課題】車両用サスペンション装置の操縦性・安定性を向上させること。
【解決手段】タイヤを取り付けるタイヤホイールと、前記タイヤホイールを支持するホイールハブ機構と、車軸よりも車両上下方向の下側において前記ホイールハブ機構と車体とを連結する第1のリンク部材と、車軸よりも車両上下方向の下側において前記ホイールハブ機構と車体とを連結し、前記第1のリンク部材と車両上面視において交差する第2のリンク部材と、車両幅方向に移動し、前記ホイールハブ機構を転舵させるステアリングラックと、を有する車両用サスペンション装置とした。
【選択図】図3

Description

本発明は、車体を懸架する車両用サスペンション装置およびそのジオメトリ調整方法に関する。
従来、車両用のサスペンション装置では、キングピン軸の設定によって、目的とするサスペンション性能の実現を図っている。
例えば、特許文献1に記載の技術では、キングピンを構成する上下ピボット点の転舵時における車両前後方向の動きを抑制するリンク配置とすることにより、操縦性・安定性を向上させることとしている。
特開2010−126014号公報
しかしながら、車両の走行中に転舵を行った場合、走行速度に応じた横力がタイヤ接地点に入力するところ、特許文献1に記載の技術では、この横力による影響を考慮していない。そのため、転舵時にキングピン軸周りに発生するモーメントの低減において改善の余地がある。即ち、従来の車両用サスペンション装置においては、操縦性・安定性の向上を図る上で改善の余地があった。
本発明の課題は、車両用サスペンション装置の操縦性・安定性を向上させることである。
以上の課題を解決するため、本発明に係る車両用サスペンション装置は、車軸よりも車両上下方向の下側でホイールハブ機構と車体とを連結する第1のリンク部材と第2のリンク部材とを車両上面視で交差させて配置した。
本発明によれば、仮想ロアピボット点を車幅方向において車体内側に近づけることができるため、キングピン軸周りのモーメントをより小さくすることができる。
そのため、より小さいラック軸力で転舵を行うことができると共に、より小さい力で車輪の向きを制御できる。
したがって、操縦性・安定性を向上させることができる。
第1実施形態に係る自動車1の構成を示す概略図である。 サスペンション装置1Bの構成を模式的に示す斜視図である。 サスペンション装置1Bの構成を模式的に示す平面図である。 サスペンション装置1Bの構成を模式的に示す部分正面図および部分側面図である。 転舵時におけるラックストロークとラック軸力との関係を示す図である。 転舵時におけるタイヤ接地面中心の軌跡を示す図である。 キングピン傾角とスクラブ半径とを軸とする座標において、ラック軸力の分布の一例を示す等値線図である。 サスペンション装置1Bをコンプレッション型のサスペンション装置によって構成した例を示す模式図である。 ロアリンク部材が交差していないコンプレッション型のサスペンション装置および本発明の場合におけるトー角とスクラブ半径との関係を示す図である。 ポジティブスクラブとした場合のセルフアライニングトルクを説明する概念図である。 キングピン傾角とスクラブ半径との関係を模式的に示す図である。 ナックルを有するサスペンション装置に本発明を適用した構造例を示す図である。 サスペンション装置1Bをテンション型のサスペンション装置によって構成した例を示す模式図である。
以下、図を参照して本発明を適用した自動車の実施の形態を説明する。
(第1実施形態)
(構成)
図1は、本発明の第1実施形態に係る自動車1の構成を示す概略図である。
図1において、自動車1は、車体1Aと、ステアリングホイール2と、入力側ステアリング軸3と、ハンドル角度センサ4と、操舵トルクセンサ5と、操舵反力アクチュエータ6と、操舵反力アクチュエータ角度センサ7と、転舵アクチュエータ8と、転舵アクチュエータ角度センサ9と、出力側ステアリング軸10と、転舵トルクセンサ11と、ピニオンギア12と、ピニオン角度センサ13と、ステアリングラック部材14と、タイロッド15と、タイロッド軸力センサ16と、車輪17FR,17FL,17RR,17RLと、ブレーキディスク18と、ホイールシリンダ19と、圧力制御ユニット20と、車両状態パラメータ取得部21と、車輪速センサ24FR,24FL,24RR,24RLと、コントロール/駆動回路ユニット26と、メカニカルバックアップ27とを備えている。
ステアリングホイール2は、入力側ステアリング軸3と一体に回転するよう構成され、運転者による操舵入力を入力側ステアリング軸3に伝達する。
入力側ステアリング軸3は、操舵反力アクチュエータ6を備えており、ステアリングホイール2から入力された操舵入力に対し、操舵反力アクチュエータ6による操舵反力を加える。
ハンドル角度センサ4は、入力側ステアリング軸3に備えられ、入力側ステアリング軸3の回転角度(即ち、運転者によるステアリングホイール2への操舵入力角度)を検出する。そして、ハンドル角度センサ4は、検出した入力側ステアリング軸3の回転角度をコントロール/駆動回路ユニット26に出力する。
操舵トルクセンサ5は、入力側ステアリング軸3に設置してあり、入力側ステアリング軸3の回転トルク(即ち、ステアリングホイール2への操舵入力トルク)を検出する。そして、操舵トルクセンサ5は、検出した入力側ステアリング軸3の回転トルクをコントロール/駆動回路ユニット26に出力する。
操舵反力アクチュエータ6は、モータ軸と一体に回転するギアが入力側ステアリング軸3の一部に形成されたギアに噛合しており、コントロール/駆動回路ユニット26の指示に従って、ステアリングホイール2による入力側ステアリング軸3の回転に対して反力を付与する。
操舵反力アクチュエータ角度センサ7は、操舵反力アクチュエータ6の回転角度(即ち、操舵反力アクチュエータ6に伝達した操舵入力による回転角度)を検出し、検出した回転角度をコントロール/駆動回路ユニット26に出力する。
転舵アクチュエータ8は、モータ軸と一体に回転するギアが出力側ステアリング軸10の一部に形成されたギアに噛合しており、コントロール/駆動回路ユニット26の指示に従って、出力側ステアリング軸10を回転させる。
転舵アクチュエータ角度センサ9は、転舵アクチュエータ8の回転角度(即ち、転舵アクチュエータ8が出力した転舵のための回転角度)を検出し、検出した回転角度をコントロール/駆動回路ユニット26に出力する。
出力側ステアリング軸10は、転舵アクチュエータ8を備えており、転舵アクチュエータ8が入力した回転をピニオンギア12に伝達する。
転舵トルクセンサ11は、出力側ステアリング軸10に設置してあり、出力側ステアリング軸10の回転トルク(即ち、ステアリングラック部材14を介した車輪17FR,17FLの転舵トルク)を検出する。そして、転舵トルクセンサ11は、検出した出力側ステアリング軸10の回転トルクをコントロール/駆動回路ユニット26に出力する。
ピニオンギア12は、ステアリングラック部材14に形成した平歯と噛合しており、出力側ステアリング軸10から入力した回転をステアリングラック部材14に伝達する。
ピニオン角度センサ13は、ピニオンギア12の回転角度(即ち、ステアリングラック部材14を介して出力される車輪17FR,17FLの転舵角度)を検出し、検出したピニオンギア12の回転角度をコントロール/駆動回路ユニット26に出力する。
ステアリングラック部材14は、ピニオンギア12と噛合する平歯を有し、ピニオンギア12の回転を車幅方向の直線運動に変換する。本実施形態において、ステアリングラック部材14は、前輪の車軸よりも車両前方側に位置している。
タイロッド15は、ステアリングラック部材14の両端部と車輪17FR,17FLのナックルアームとを、ボールジョイントを介してそれぞれ連結している。
タイロッド軸力センサ16は、ステアリングラック部材14の両端部に設置されたタイロッド15それぞれに設置してあり、タイロッド15に作用している軸力を検出する。そして、タイロッド軸力センサ16は、検出したタイロッド15の軸力をコントロール/駆動回路ユニット26に出力する。
車輪17FR,17FL,17RR,17RLは、タイヤホイールにタイヤを取り付けて構成したものであり、サスペンション装置1Bを介して車体1Aに設置してある。これらのうち、前輪(車輪17FR,17FL)は、タイロッド15によってナックルアームが揺動することにより、車体1Aに対する車輪17FR,17FLの向きが変化する。
ブレーキディスク18は、車輪17FR,17FL,17RR,17RLと一体に回転し、ホイールシリンダ19の押圧力がブレーキパッドを押し当てると、その摩擦力によって制動力を発生する。
ホイールシリンダ19は、各車輪に設置されたブレーキパッドを、ブレーキディスク18に押し当てる押圧力を発生する。
圧力制御ユニット20は、コントロール/駆動回路ユニット26の指示に従って、各車輪に設置したホイールシリンダ19の圧力を制御する。
車両状態パラメータ取得部21は、車輪速センサ24FR,24FL,24RR,24RLから出力される車輪の回転速度を示すパルス信号を基に車速を取得する。また、車両状態パラメータ取得部21は、車速と各車輪の回転速度とを基に、各車輪のスリップ率を取得する。そして、車両状態パラメータ取得部21は、取得した各パラメータをコントロール/駆動回路ユニット26に出力する。
車輪速センサ24FR,24FL,24RR,24RLは、各車輪の回転速度を示すパルス信号を、車両状態パラメータ取得部21およびコントロール/駆動回路ユニット26に出力する。
コントロール/駆動回路ユニット26は、自動車1全体を制御するものであり、各部に設置したセンサから入力する信号を基に、入力側ステアリング軸3の操舵反力、前輪の転舵角、あるいはメカニカルバックアップ27の連結について、各種制御信号を、操舵反力アクチュエータ6、転舵アクチュエータ8、あるいはメカニカルバックアップ27等に出力する。
また、コントロール/駆動回路ユニット26は、各センサによる検出値を使用目的に応じた値に換算する。例えば、コントロール/駆動回路ユニット26は、操舵反力アクチュエータ角度センサ7によって検出された回転角度を操舵入力角度に換算したり、転舵アクチュエータ角度センサ9によって検出された回転角度を車輪の転舵角に換算したり、ピニオン角度センサ13によって検出されたピニオンギア12の回転角度を車輪の転舵角に換算したりする。
なお、コントロール/駆動回路ユニット26は、ハンドル角度センサ4によって検出された入力側ステアリング軸3の回転角度、操舵反力アクチュエータ角度センサ7によって検出された操舵反力アクチュエータ6の回転角度、転舵アクチュエータ角度センサ9によって検出された転舵アクチュエータ8の回転角度、および、ピニオン角度センサ13によって検出されたピニオンギア12の回転角度を監視し、これらの関係を基に、操舵系統におけるフェールの発生を検出することができる。そして、操舵系統におけるフェールを検出すると、コントロール/駆動回路ユニット26は、メカニカルバックアップ27に対し、入力側ステアリング軸3と出力側ステアリング軸10とを連結させる指示信号を出力する。
メカニカルバックアップ27は、コントロール/駆動回路ユニット26の指示に従って、入力側ステアリング軸3と出力側ステアリング軸10とを連結し、入力側ステアリング軸3から出力側ステアリング軸10への力の伝達を確保する機構である。ここで、メカニカルバックアップ27に対しては、通常時には、コントロール/駆動回路ユニット26から、入力側ステアリング軸3と出力側ステアリング軸10とを連結しない状態を指示している。そして、操舵系統におけるフェールの発生により、ハンドル角度センサ4、操舵トルクセンサ5および転舵アクチュエータ8等を介することなく操舵操作を行う必要が生じた場合に、入力側ステアリング軸3と出力側ステアリング軸10とを連結させる指示が入力する。
なお、メカニカルバックアップ27は、例えばケーブル式ステアリング機構等によって構成することができる。
図2は、第1実施形態に係るサスペンション装置1Bの構成を模式的に示す斜視図である。図3は、図2のサスペンション装置1Bの構成を模式的に示す平面図である。図4は、図2のサスペンション装置1Bの構成を模式的に示す(a)部分正面図および(b)部分側面図である。
図2から図4に示すように、サスペンション装置1Bは、ホイールハブに取り付けられた車輪17FR,17FLを懸架しており、車輪17FR,17FLを回転自在に支持する車軸(アクスル)32を有するアクスルキャリア33、車体側の支持部から車体幅方向に配置されてアクスルキャリア33に連結する複数のリンク部材、及びコイルスプリング等のバネ部材34を備えている。
複数のリンク部材は、ロアリンク部材である第1リンク(第1のリンク部材)37と第2リンク(第2のリンク部材)38、タイロッド(タイロッド部材)15、および、ストラット(バネ部材34およびショックアブソーバ40)から構成されている。本実施形態において、サスペンション装置1Bはストラット式のサスペンションであり、バネ部材34およびショックアブソーバ40が一体となったストラットの上端が、車軸32より上方に位置する車体側の支持部に連結する(以下、ストラットの上端を適宜「アッパーピボット点」と称する。)。
ロアリンクを構成する第1リンク37と第2リンク38は、車軸32より下方に位置する車体側の支持部とアクスルキャリア33の下端を連結する。本実施形態において、第1リンク37と第2リンク38とは、独立した部材からなるIアームとなっている。これら第1リンク37および第2リンク38は、車体側と各1箇所の支持部で連結し、車軸32側と各1箇所の取り付け部で連結している。さらに、本実施形態における第1リンク37と第2リンク38とは、互いに交差した状態で車体1Aと車軸32側(アクスルキャリア33)とを連結する(以下、第1リンク37と第2リンク38とが構成する仮想リンクの交点を適宜「ロアピボット点」と称する。)。
タイロッド15は、車軸32の下側に位置して、ステアリングラック部材14とアクスルキャリア33を連結し、ステアリングラック部材14は、ステアリングホイール2から入力した回転力(操舵力)を伝達して転舵用の軸力を発生させる。従って、タイロッド15により、ステアリングホイール2の回転に応じてアクスルキャリア33に車幅方向の軸力が加わり、アクスルキャリア33を介して車輪17FR,17FLを転舵する。
本願発明においては、上記サスペンション装置1Bのキングピン軸を、キャスタトレイルがタイヤ接地面内に位置するよう設定している。より具体的には、本実施形態におけるサスペンション装置1Bでは、キャスタ角をゼロに近い値とし、キャスタトレイルがゼロに近づくようにキングピン軸を設定している。これにより、転舵時のタイヤ捻りトルクを低減でき、キングピン軸周りのモーメントをより小さくすることができる。また、スクラブ半径はゼロ以上のポジティブスクラブとしている。これにより、転舵時のタイヤ横滑り角に対し、スクラブ半径分のキャスタトレイルが生じることから、直進性を確保することができる。
また、本願発明においては、ロアリンク部材である第1リンク37および第2リンク38は、互いに交差した状態で車体1Aと車軸32側(アクスルキャリア33下端)を連結している。これにより、第1リンク37および第2リンク38が交差していない構造に比べて、キングピン傾角を小さくすることができると共に、スクラブ半径をポジティブスクラブ側に大きくすることができる。そのため、転舵時のタイヤ捻りトルクを小さくでき、転舵に要するラック軸力を低減できる。さらに、本願発明においては、転舵時に車輪に働く横力によって、仮想ロアピボット点が車体内側に移動するため、セルフアライニングトルク(SAT)による直進性を高めることができる。
以下、サスペンション装置1Bにおけるサスペンションジオメトリについて詳細に検討する。
(ラック軸力成分の分析)
図5は、転舵時におけるラックストロークとラック軸力との関係を示す図である。
図5に示すように、ラック軸力成分には、主にタイヤの捻りトルクと、車輪の持ち上げトルクとが含まれ、これらのうち、タイヤの捻りトルクが支配的である。
したがって、タイヤの捻りトルクを小さくすることで、ラック軸力を低減することができることとなる。
(タイヤの捻りトルク最小化)
図6は、転舵時におけるタイヤ接地面中心の軌跡を示す図である。
図6においては、転舵時におけるタイヤ接地面中心の移動量が大きい場合と小さい場合とを併せて示している。
上記ラック軸力成分の分析結果より、ラック軸力を低減するためには、転舵時のタイヤ捻りトルクを最小化することが有効である。
転舵時のタイヤ捻りトルクを最小化するためには、図6に示すように、タイヤ接地面中心の軌跡をより小さくすれば良い。
即ち、タイヤ接地面中心とキングピン接地点を一致させることで、タイヤ捩りトルクを最小化できる。
具体的には、キャスタトレイル0mm、スクラブ半径0mm以上とすることが有効である。
(キングピン傾角の影響)
図7は、キングピン傾角とスクラブ半径とを軸とする座標において、ラック軸力の分布の一例を示す等値線図である。
図7においては、ラック軸力が小、中および大の3つの場合における等値線を例として示している。
タイヤ捻りトルク入力に対し、キングピン傾角が大きくなるほど、その回転モーメントが大きくなり、ラック軸力は大きくなる。したがって、キングピン傾角としては、一定の値より小さく設定することが望まれるが、スクラブ半径との関係から、例えばキングピン傾角15度以下とすると、ラック軸力を望ましいレベルまで小さくすることができる。
なお、図7における一点鎖線(境界線)で囲んだ領域は、旋回の限界領域において、横力が摩擦の限界を超える値と推定できるキングピン傾角15度より小さく、かつ、上記タイヤ捻りトルクの観点から、スクラブ半径が0mm以上の領域を示している。本実施形態では、この領域(横軸においてキングピン傾角が15度より減少する方向で、縦軸においてスクラブ半径がゼロより増加する方向)を、より設定に適した領域としている。ただし、スクラブ半径が負の領域であっても、他の条件を本実施形態で示すものとすることで、一定の効果を得るものとなる。
具体的にスクラブ半径とキングピン傾角とを決定する場合には、例えば、図7に示すラック軸力の分布を示す等値線をn次曲線(nは2以上の整数)として近似し、上記一点鎖線で囲んだ領域の中から、n次曲線の変曲点(またはピーク値)の位置によって定めた値を採用することができる。
(具体的構成例)
次に、サスペンション装置1Bを実現する具体的な構成例について説明する。
図8は、サスペンション装置1Bをコンプレッション型(車両上面視で各ロアリンク部材が車軸より車両後方側に位置する形式)のサスペンション装置によって構成した例を示す模式図である。
即ち、図8に示す例では、車両上面視でテンションロッド(第1リンク37)が車軸に沿い、コンプレッションロッド(第2リンク38)が車軸から後方に延びた位置で車体と連結している。
図8に示すように、コンプレッション型のサスペンション装置において、ロアリンク部材を互いに交差させたダブルピボット方式とした場合、各ロアリンク部材は、車体側支持点を中心に車両前方に回転することで旋回外輪としての転舵が可能となる(破線の状態)。このとき、仮想ロアピボット点は、ロアリンク部材が交差する点となるが、ロアリンク部材が交差していないサスペンション形式よりも車体内側に仮想ロアピボット点を形成できるため、初期スクラブ半径をポジティブスクラブ方向に大きくできる。
図8に示すコンプレッション型のサスペンション装置では、転舵時におけるコンプレッションロッドの回転角が大きいため、仮想ロアピボット点は車体内側に移動する。この場合、車両上面視において、タイヤ前後方向におけるタイヤ中心線から仮想ロアピボット点までの距離が、タイヤ中心線よりも車体内側方向に移動するため、スクラブ半径は、ポジティブスクラブ方向に大きくなる。したがって、コンプレッション型のサスペンション装置では、本発明を適用すると、旋回外輪としての転舵を行うことにより、ラック軸力は小さくなる。
ちなみに、ロアリンク部材が交差していないコンプレッション型のサスペンション装置の場合、転舵時におけるコンプレッションロッドの回転角が大きいため、仮想ロアピボット点は車体外側に移動する。この場合、車両上面視において、タイヤ前後方向におけるタイヤ中心線から仮想ピボット点までの距離が、タイヤ中心線よりも車両外側に位置しているため、スクラブ半径は、ネガティブスクラブ方向に大きくなる。したがって、転舵を行うことにより、ラック軸力は大きくなる。
また、図8に示す例では、車両上面視において、転舵時に車輪中心は旋回内側に移動する。そのため、本実施形態のように、ラック軸14を車軸より前に位置させることで、ラック軸力を低減させる効果をさらに高めることができる。
図9は、ロアリンク部材が交差していないコンプレッション型のサスペンション装置および本発明の場合におけるトー角とスクラブ半径との関係を示す図である。
図9に示すように、本発明の場合、ロアリンク部材を交差させていない場合に比べて、中立位置(トー角が0)付近でのスクラブ半径をより大きくできる。また、旋回外輪となる転舵角が大きくなる方向(図9における−方向)では、スクラブ半径がより大きくなり、ラック軸力をより小さくできる。
(ポジティブスクラブによる直進性確保)
図10は、ポジティブスクラブとした場合のセルフアライニングトルクを説明する概念図である。
図10に示すように、タイヤに働く復元力(セルフアライニングトルク)は、キャスタトレイル、ニューマチックトレイルの和に比例して大きくなる。
ここで、ポジティブスクラブの場合、キングピン軸の接地点から、タイヤ接地中心を通るタイヤの横すべり角β方向の直線に下ろした垂線の足の位置によって定まるホイールセンタからの距離εc(図10参照)をキャスタートレイルとみなすことができる。
そのため、ポジティブスクラブのスクラブ半径が大きければ大きいほど、転舵時にタイヤに働く復元力は大きくなる。
本実施形態においては、キングピン軸の設定をポジティブスクラブとすると共に、ロアリンク部材を交差させない場合に比べて、初期スクラブ半径を大きく確保できることで、キャスタ角を0に近づけることによる直進性への影響を低減するものである。また、ステアバイワイヤ方式を採用していることから、転舵アクチュエータ8によって最終的に目的とする直進性を確保することができる。
(作用)
次に、本実施形態に係るサスペンション装置1Bの作用について説明する。
本実施形態に係るサスペンション装置1Bでは、2つのロアリンク部材をIアームとしている。そして、コンプレッションロッドをアクスルキャリア33から車幅方向沿って設置し、テンションロッドをコンプレッションロッドと交差する状態で、アクスルキャリア33の下端から車両後方側に斜行させて設置している。
このとき、各ロアリンク部材について車体1A側支持点と車軸32側支持点を結ぶ直線を仮想する。すると、それら直線の交点が、ロアリンクの仮想ロアピボット点となる。この仮想ロアピボット点と、ストラット上端によって構成されるアッパーピボット点とを結ぶ直線がキングピン軸となる。
本実施形態では、このキングピン軸をキャスタトレイルがタイヤ接地面内に位置する設定としている。
例えば、キングピン軸の設定を、キャスタ角0度、キャスタトレイル0mm、スクラブ半径0mm以上のポジティブスクラブとしている。また、キングピン傾角については、スクラブ半径をポジティブスクラブとできる範囲で、より小さい角度となる範囲(例えば15度以下)で設定する。
このようなサスペンションジオメトリとすることにより、転舵時におけるタイヤ接地面中心の軌跡がより小さいものとなり、タイヤ捻りトルクを低減できる。
そのため、ラック軸力をより小さいものとできることから、キングピン軸周りのモーメントをより小さくでき、転舵アクチュエータ8の出力を低減することができる。また、より小さい力で車輪の向きを制御できる。即ち、操縦性・安定性の向上を図ることができる。
本実施形態におけるサスペンション装置1Bでは、2つのロアリンク部材を交差させて設置しているため、仮想ロアピボット点をタイヤ接地面中心よりも車体内側に配置し易い構造となっている。
そのため、キングピン傾角を0度に近づけ易くなるとともに、スクラブ半径をポジティブスクラブ側に大きく取ることが容易となる。
また、キャスタ角を0度、キャスタトレイルを0mmとしたことに伴い、サスペンション構造上の直進性に影響が生じる可能性があるところ、ポジティブスクラブに設定することにより、その影響を軽減している。さらに、転舵アクチュエータ8による制御と併せて、直進性を確保している。即ち、操縦性・安定性の向上を図ることができる。
また、キングピン傾角を一定の範囲に制限したことに対しては、転舵アクチュエータ8での転舵を行うところ、運転者が操舵操作に重さを感じることを回避できる。また、路面からの外力によるキックバックについても、転舵アクチュエータ8によって外力に対抗できるため、運転者への影響を回避できる。即ち、操縦性・安定性の向上を図ることができる。
以上のように、本実施形態に係るサスペンション装置1Bによれば、ロアリンク部材を車両上面視において交差させて配置したため、仮想ロアピボット点を車幅方向において車体内側に近づけることができる。そして、この仮想ロアピボット点が定義するキングピン軸をキングピン傾角が小さいものとし、タイヤ接地面内にキャスタトレイルが位置する設定としたため、キングピン軸周りのモーメントをより小さくすることができる。
したがって、より小さいラック軸力で転舵を行うことができると共に、より小さい力で車輪の向きを制御できるため、操縦性・安定性を向上させることができる。
また、キングピン軸周りのモーメントをより小さくすることができる結果、ステアリングラック部材14およびタイロッド15に加わる負荷を低減でき、部材を簡素化することができる。
また、ステアバイワイヤを実現するための転舵アクチュエータ8として、駆動能力のより低いものを用いることができ、車両の低コスト化および軽量化を図ることができる。
例えば、従来のステアバイワイヤ方式のサスペンション装置と比較した場合、本発明の構成では、主にロアリンク部材の簡素化と転舵アクチュエータ8の小型化によって、重量において約10%、コストにおいて約50%を低減することができる。
また、転舵時においてキャスタトレイルが増加する構造であるため、高い横加速度が発生する旋回において、転舵角の切れ増しが生ずることを抑制できる。
また、転舵時に車輪に働く横力によって、仮想ロアピボット点が車体内側に移動するため、スクラブ半径が増大し、セルフアライニングトルク(SAT)による直進性を高めることができる。
さらに、ロアリンク部材を交差させて設置することにより、ロアリンク部材の連結点を車輪中心に近い位置とできるため、アクスルキャリア33の重量を低減することができる。
図11は、本発明におけるキングピン傾角とスクラブ半径との関係を模式的に示す図である。なお、図11においては、本発明を上記コンプレッション型とした場合に加え、本発明をテンション型とした場合、比較例として、ロアリンク部材を交差させない構造のコンプレッション型およびテンション型(応用例1参照)とした場合、さらに、シングルピボット方式とした場合を併せて示している。
図11に示すように、本発明をコンプレッション型およびテンション型として実現した場合、シングルピボット方式およびロアリンク部材を交差させないダブルピボット方式の各方式に比べ、キングピン傾角を0度に近いものとできると共に、スクラブ半径をポジティブスクラブ側により大きくすることが可能となっている。
特に、本発明をコンプレッション型として実現すると、キングピン傾角を0度に近づける効果、および、スクラブ半径をポジティブスクラブ側により大きくする効果という点で、より高い効果を奏するものとなる。
なお、本発明に係るサスペンション装置1Bは、ストラット式以外のサスペンション装置に適用することができる。
図12は、ナックルを有するサスペンション装置に本発明を適用した構造例を示す図である。
図12に示す例では、ナックルの上端がアッパーアーム部材に連結し、第2リンク(コンプレッションロッド)38が第1リンク(テンションロッド)37を跨ぐことにより、車両上面視で互いに交差する構造となっている。この場合、ナックルの上端が仮想アッパーピボット点、第1リンクおよび第2リンクの交点が仮想ロアピボット点となる。
このような構造とすることで、上記ストラット式の場合と同様に、仮想ロアピボット点を車幅方向において車体内側に近づけることができる。そして、この仮想ロアピボット点が定義するキングピン軸を、タイヤ接地面内にキャスタトレイルが位置する設定としたため、キングピン軸周りのモーメントをより小さくすることができる。
なお、本実施形態において、車輪17FR,17FL,17RR,17RLがタイヤホイール、タイヤおよびホイールハブ機構に対応し、第1リンク37が第1のリンク部材に対応し、第2リンク38が第2のリンク部材に対応する。また、ラック軸14がステアリングラックに対応する。
(第1実施形態の効果)
(1)車軸よりも車両上下方向の下側でホイールハブ機構と車体とを連結する第1のリンク部材と第2のリンク部材とを車両上面視で交差させて配置した。
これにより、仮想ロアピボット点を車幅方向において車体内側に近づけることができる。そのため、キングピン軸周りのモーメントをより小さくすることができる。
したがって、より小さいラック軸力で転舵を行うことができると共に、より小さい力で車輪の向きを制御できる。即ち、操縦性・安定性を向上させることができる。
(2)第1のリンク部材および第2のリンク部材を、車軸よりも車両前後方向後方に配置した。
したがって、コンプレッション型のサスペンション装置として本発明を実現することができる。
(3)上記コンプレッション型のサスペンション装置において、ステアリングラックを、車軸よりも車両前後方向前方に配置した。
そのため、転舵時に車輪が旋回内側に移動することから、ステアリングラックの軸力を低減することができる。
(4)車両用サスペンション装置でステアバイワイヤシステムによる転舵輪を懸架することとした。
したがって、ステアバイワイヤシステムにおける転舵アクチュエータを利用して、本発明におけるキャスタトレイルの設定に対応する制御を行うことができ、操縦性・安定性の向上を図ることができる。
(5)キングピン軸のキャスタトレイルをタイヤ接地面内に位置させる構成とした。
これにより、キングピン軸周りのモーメントをより小さくすることができるため、より小さいラック軸力で転舵を行うことができると共に、より小さい力で車輪の向きを制御できる。
したがって、操縦性・安定性を向上させることができる。
(6)車両上面視において、車体と車輪とを連結するロアリンク部材を交差させて設置し、仮想ロアピボット点を前記リンク部材の交点とした。
これにより、仮想ロアピボット点を車幅方向において車体内側に近づけることができる。そのため、キングピン軸周りのモーメントをより小さくすることができる。
(応用例1)
(サスペンション装置1Bの他の具体的構成例)
第1実施形態において、サスペンション装置1Bの具体的な構成例をコンプレッション型の場合を例に挙げて説明したが、以下のような構成とすることも可能である。
図13は、サスペンション装置1Bをテンション型(車両上面視で各ロアリンク部材が車軸より車両前方側に位置する形式)のサスペンション装置によって構成した例を示す模式図である。
即ち、図13に示す例では、車両上面視でコンプレッションロッド(第2リンク38)が車軸に沿い、テンションロッド(第1リンク37)が車軸から前方に延びた位置で車体と連結している。
図13に示すように、テンション型のサスペンション装置において、ロアリンク部材を互いに交差させたダブルピボット方式とした場合、各ロアリンク部材は、車体側支持点を中心に車両前方に回転することで旋回外輪としての転舵が可能となる(破線の状態)。このとき、仮想ロアピボット点は、ロアリンク部材が交差する点となるが、ロアリンク部材が交差していないサスペンション形式よりも車体内側に仮想ロアピボット点を形成できるため、初期スクラブ半径をポジティブスクラブ方向に大きくできる。
図13に示すテンション型のサスペンション装置では、転舵時におけるテンションロッドの回転角が大きいため、仮想ロアピボット点は車体外側に移動する。この場合、車両上面視において、タイヤ前後方向におけるタイヤ中心線から仮想ロアピボット点までの距離が、タイヤ中心線よりも車体外側方向に移動するため、スクラブ半径は、ポジティブスクラブの範囲内でより小さくなる。したがって、テンション型のサスペンション装置では、本発明を適用すると、旋回外輪としての転舵を行うことにより、ラック軸力は大きくなるが、転舵しない場合の初期スクラブ半径は十分大きく取れているため、ロアリンク部材が交差していないテンション型のサスペンション装置に比べて、ラック軸力値は小さく設定できる。
ちなみに、ロアリンク部材が交差していないテンション型のサスペンション装置の場合、転舵時におけるテンションロッドの回転角が大きいため、仮想ロアピボット点は車体内側に移動する。この場合、車両上面視において、タイヤ前後方向におけるタイヤ中心線から仮想ピボット点までの距離が、タイヤ中心線よりも車体内側に位置しているため、スクラブ半径は、ポジティブスクラブ方向に大きくなる。したがって、転舵を行うことにより、ラック軸力は小さくなる。しかしながら、仮想ロアピボット点は、各リンクの延長線上にあるため、転舵しない初期状態でのスクラブ半径が小さく、ラック軸力の大幅な低減につながりにくい。
また、図13に示す例では、車両上面視において、転舵時に車輪中心は旋回外側に移動する。そのため、本実施形態のように、ラック軸14を車軸より後に位置させることで、ラック軸力を低減させる効果をさらに高めることができる。
なお、本発明は、上記コンプレッション型およびテンション型以外のリンク構造を有するサスペンション装置にも同様に適用することができる。
(効果)
(1)第1のリンク部材および第2のリンク部材を、車軸よりも車両前後方向前方に配置した。
したがって、テンション型のサスペンション装置として本発明を実現することができる。
(2)上記テンション型のサスペンション装置において、ステアリングラックを、車軸よりも車両前後方向後方に配置した。
そのため、転舵時に車輪が旋回外側に移動することから、ステアリングラックの軸力を低減することができる。
(応用例2)
第1実施形態において、サスペンション装置1Bを転舵輪である前輪のサスペンション装置に適用する場合を例に挙げて説明したが、サスペンション装置1Bを非転舵輪である後輪のサスペンション装置に適用することも可能である。
この場合、転舵によって車両が旋回状態となり、後輪に横力が作用すると、その横力によって、テンションロッドおよびコンプレッションロッドが撓み、それらの車両上面視における交点が移動して、車体に対する車輪の向きが変化する(図8,13参照)。即ち、車軸に沿うロアリンク部材は横力による前後方向への移動が少なく、車軸に対して前後方向に角度をもって設置した他方のロアリンク部材は横力による前後方向への移動が大きいものとなる。
この特性を利用して、目的とする横力コンプライアンスステアを実現することができる。
(効果)
車軸よりも車両上下方向の下側でホイールハブ機構と車体とを連結する第1のリンク部材と第2のリンク部材とを車両上面視で交差させて配置した。
これにより、旋回時における横力によってリンク部材に撓みが生じ、車両上面視におけるリンク部材の交点が移動することにより、車体に対する車輪の向きを変化させることができる。
したがって、目的とする横力コンプライアンスステアを実現することができる。
(応用例3)
第1実施形態において、サスペンション装置1Bを転舵輪である前輪のサスペンション装置に適用する場合を例に挙げて説明したが、サスペンション装置1Bを転舵輪である後輪のサスペンション装置に適用することも可能である。
この場合にも、第1実施形態と同様に、仮想ロアピボット点を車幅方向において車体内側に近づけることができる。そして、この仮想ロアピボット点が定義するキングピン軸を、タイヤ接地面内にキャスタトレイルが位置する設定としたため、キングピン軸周りのモーメントをより小さくすることができる。
したがって、より小さいラック軸力で転舵を行うことができると共に、より小さい力で車輪の向きを制御できるため、操縦性・安定性を向上させることができる。
(応用例4)
第1実施形態では、タイヤ接地面内にキャスタトレイルを設定するものとし、その一例として、キャスタトレイルをゼロに近い値とする場合について説明した。
これに対し、本応用例では、キャスタトレイルの設定条件をタイヤ接地面中心からタイヤ接地面の前端までの範囲に限定するものとする。
(効果)
キャスタトレイルをタイヤ接地面中心からタイヤ接地面の前端までに設定すると、直進性の確保と操舵操作の重さの低減を両立できる。即ち、操縦性・安定性の向上を図ることができる。
(応用例5)
第1実施形態においては、図7に示す座標平面において、一点鎖線で囲んだ領域を設定に適する領域として例に挙げた。これに対し、注目するラック軸力の等値線を境界線とし、その境界線が示す範囲より内側の領域(キングピン傾角の減少方向でスクラブ半径の増加方向)を設定に適する領域とすることができる。
(効果)
ラック軸力の最大値を想定して、その最大値以下の範囲にサスペンションジオメトリを設定することができる。
(応用例6)
第1実施形態および各応用例では、ステアバイワイヤ方式の操舵装置を備える車両にサスペンション装置1Bを適用する場合を例に挙げて説明したが、ステアバイワイヤ方式ではなく、機械的な操舵機構の操舵装置を備える車両にサスペンション装置1Bを適用することが可能である。
この場合、キングピン軸を上記検討結果に基づく条件に従って決定し、キャスタトレイルをタイヤ接地面内に設定した上で、機械的な操舵機構のリンク配置をそれに合わせて構成する。
(効果)
機械的な構造を有する操舵機構においても、キングピン周りのモーメントを低減して運転者に要する操舵力をより小さいものとでき、操縦性・安定性の向上を図ることができる。
1 自動車、1A 車体、1B サスペンション装置、2 ステアリングホイール、3 入力側ステアリング軸、4 ハンドル角度センサ、5 操舵トルクセンサ、6 操舵反力アクチュエータ、7 操舵反力アクチュエータ角度センサ、8 転舵アクチュエータ、9 転舵アクチュエータ角度センサ、10 出力側ステアリング軸、11 転舵トルクセンサ、12 ピニオンギア、13 ピニオン角度センサ、14 ステアリングラック部材、15 タイロッド、16 タイロッド軸力センサ、17FR,17FL,17RR,17RL 車輪、18 ブレーキディスク、19 ホイールシリンダ、20 圧力制御ユニット、21 車両状態パラメータ取得部、24FR,24FL,24RR,24RL 車輪速センサ、26 駆動回路ユニット、27 メカニカルバックアップ、32 車軸、33 アクスルキャリア、34 バネ部材、37 第1リンク(第1のリンク部材)、38 第2リンク(第2のリンク部材)、40 ショックアブソーバ

Claims (9)

  1. タイヤを取り付けるタイヤホイールと、
    前記タイヤホイールを支持するホイールハブ機構と、
    車軸よりも車両上下方向の下側において前記ホイールハブ機構と車体とを連結する第1のリンク部材と、
    車軸よりも車両上下方向の下側において前記ホイールハブ機構と車体とを連結し、前記第1のリンク部材と車両上面視において交差する第2のリンク部材と、
    車両幅方向に移動し、前記ホイールハブ機構を転舵させるステアリングラックと、
    を有することを特徴とする車両用サスペンション装置。
  2. 前記第1のリンク部材および第2のリンク部材を、車軸よりも車両前後方向後方に配置したことを特徴とする請求項1記載の車両用サスペンション装置。
  3. 前記ステアリングラックを、車軸よりも車両前後方向前方に配置したことを特徴とする請求項2記載の車両用サスペンション装置。
  4. ステアリングホイールの変位を検出し、検出結果に基づいてステアリングラックをアクチュエータで変位させるステアバイワイヤシステムによる転舵輪を懸架することを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の車両用サスペンション装置。
  5. 車両上面視における前記第1のリンク部材と第2のリンク部材との交点をロアピボット点とするキングピン軸のキャスタトレイルが、タイヤ接地面内に位置することを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の車両用サスペンション装置。
  6. 前記第1のリンク部材および第2のリンク部材を、車軸よりも車両前後方向前方に配置したことを特徴とする請求項1記載の車両用サスペンション装置。
  7. 前記ステアリングラックを、車軸よりも車両前後方向後方に配置したことを特徴とする請求項4記載の車両用サスペンション装置。
  8. タイヤを取り付けるタイヤホイールと、
    前記タイヤホイールを支持するホイールハブ機構と、
    車軸よりも車両上下方向の下側において前記ホイールハブ機構と車体とを連結する第1のリンク部材と、
    車軸よりも車両上下方向の下側において前記ホイールハブ機構と車体とを連結し、前記第1のリンク部材と車両上面視において交差する第2のリンク部材と、
    を有することを特徴とする車両用サスペンション装置。
  9. 車両上面視において、車体と車輪とを連結するロアリンク部材を交差させて設置し、仮想ロアピボット点を前記リンク部材の交点とすることを特徴とする車両用サスペンション装置のジオメトリ調整方法。
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