(保護フィルム付きダイシングフィルム)
本発明の一実施形態に係る保護フィルム付きダイシングフィルムについて、以下に説明する。図1(a)は、本発明の一実施形態に係る保護フィルム付きダイシングフィルムを示す断面模式図であり、図1(b)は、その平面図である。図2は、図1(a)及び図1(b)に示した保護フィルム付きダイシングフィルムの一部を示す断面模式図である。
図1(a)、図1(b)に示すように、保護フィルム付きダイシングフィルム10は、長尺の保護フィルム14上に平面視円形状のダイシングフィルム11が積層された構成を有する。ダイシングフィルム11は基材1上に粘着剤層2を積層して構成されており、粘着剤層2にはダイシングフィルム11よりも径の小さいダイボンドフィルム3が積層されている。ダイシングフィルム11は、粘着剤層2及びダイボンドフィルム3と対向させるように保護フィルム14に積層されている。なお、本発明においては、ダイボンドフィルムが積層されていなくともよい。
保護フィルム付きダイシングフィルム10は、半導体装置の製造工程において、一定方向(図1(b)では、左方向)に繰り出されるとともに、保護フィルム14の幅方向中央部分16にフィルム検出用の光Lが照射される。このとき、波長600〜700nmにおける保護フィルム14の透過率T1(図1(a)参照)と、ダイシングフィルム11の光Lが最初に透過する部分17における保護フィルム付きダイシングフィルム10(本実施形態では、保護フィルム14とダイシングフィルム11との積層部分)の透過率T2(図1(a)参照)との差は、20%以上である。前記透過率の差は、20%以上40%以下であることが好ましく、30%以上40%以下であることがより好ましい。前記透過率の差が20%以上であるため、フィルム検出用の光を検出するセンサーは、保護フィルム14のみの透過率T1から保護フィルム14とダイシングフィルム11との積層部分の透過率T2に変化したことを確実に認識することができる。その結果、検出できなかったダイシングフィルムが送られてしまい、使用されないといったことを防止でき、この間のダウンタイムを削減することができる。また、ダイシングフィルムを半導体ウェハに位置ズレを起こすことなく貼り付けることが可能となる。
透過率T1は、75〜100%であることが好ましく、80〜100%であることがより好ましく、85〜100%であることがさらに好ましい。透過率T1が75〜100%であると前記透過率の差を20%以上とし易くなる。
透過率T2は、0〜70%であることが好ましく、0〜65%であることがより好ましく、0〜65%であることがさらに好ましい。透過率T2が0〜70%であると前記透過率の差を20%以上とし易くなる。
前記基材1は紫外線透過性を有するものが好ましく、ダイシングフィルム11の強度母体となるものである。例えば、低密度ポリエチレン、直鎖状ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、超低密度ポリエチレン、ランダム共重合ポリプロピレン、ブロック共重合ポリプロピレン、ホモポリプロレン、ポリブテン、ポリメチルペンテン等のポリオレフィン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、アイオノマー樹脂、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸エステル(ランダム、交互)共重合体、エチレン−ブテン共重合体、エチレン−ヘキセン共重合体、ポリウレタン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル、ポリカーボネート、ポリイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリイミド、ポリエーテルイミド、ポリアミド、全芳香族ポリアミド、ポリフェニルスルフイド、アラミド(紙)、ガラス、ガラスクロス、フッ素樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、セルロース系樹脂、シリコーン樹脂、金属(箔)、紙等が挙げられる。
また基材1の材料としては、前記樹脂の架橋体等のポリマーが挙げられる。前記プラスチックフィルムは、無延伸で用いてもよく、必要に応じて一軸又は二軸の延伸処理を施したものを用いてもよい。延伸処理等により熱収縮性を付与した樹脂シートによれば、ダイシング後にその基材1を熱収縮させることにより粘着剤層2とダイボンドフィルム3との接着面積を低下させて、半導体チップ(半導体素子)の回収の容易化を図ることができる。
基材1は、着色されていることが好ましい。基材1が着色されていると、保護フィルム14のみの透過率T1と、保護フィルム14及びダイシングフィルムの積層部分11の透過率T2との差をより確実に20%以上とすることができる。基材1を着色する際には、目的とする光の透過率に応じて、色材(着色剤)を用いることができる。このような色材としては、黒系色材、青系色材、赤系色材などの各種濃色系色材を好適に用いることができ、特に黒系色材が好適である。色材としては、顔料、染料などいずれであってもよい。色材は単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。なお、染料としては、酸性染料、反応染料、直接染料、分散染料、カチオン染料等のいずれの形態の染料であっても用いることが可能である。また、顔料も、その形態は特に制限されず、公知の顔料から適宜選択して用いることができる。
特に、色材として染料を用いると、基材1中には、染料が溶解により均一又はほぼ均一に分散した状態となるため、着色濃度が均一な基材1を容易に製造することができる。
黒系色材としては、特に制限されないが、例えば、無機の黒系顔料、黒系染料から適宜選択することができる。また、黒系色材としては、シアン系色材(青緑系色材)、マゼンダ系色材(赤紫系色材)およびイエロー系色材(黄系色材)が混合された色材混合物であってもよい。黒系色材は単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。もちろん、黒系色材は、黒以外の色の色材と併用することもできる。
具体的には、黒系色材としては、例えば、カーボンブラック(ファーネスブラック、チャンネルブラック、アセチレンブラック、サーマルブラック、ランプブラックなど)、グラファイト(黒鉛)、酸化銅、二酸化マンガン、アゾ系顔料(アゾメチンアゾブラックなど)、アニリンブラック、ペリレンブラック、チタンブラック、シアニンブラック、活性炭、フェライト(非磁性フェライト、磁性フェライトなど)、マグネタイト、酸化クロム、酸化鉄、二硫化モリブデン、クロム錯体、複合酸化物系黒色色素、アントラキノン系有機黒色色素などが挙げられる。
本発明では、黒系色材としては、C.I.ソルベントブラック3、同7、同22、同27、同29、同34、同43、同70、C.I.ダイレクトブラック17、同19、同22、同32、同38、同51、同71、C.I.アシッドブラック1、同2、同24、同26、同31、同48、同52、同107、同109、同110、同119、同154C.I.ディスパーズブラック1、同3、同10、同24等のブラック系染料;C.I.ピグメントブラック1、同7等のブラック系顔料なども利用することができる。
このような黒系色材としては、例えば、商品名「Oil Black BY」、商品名「OilBlack BS」、商品名「OilBlack HBB」、商品名「Oil Black 803」、商品名「Oil Black 860」、商品名「Oil Black 5970」、商品名「Oil Black 5906」、商品名「Oil Black 5905」(オリエント化学工業株式会社製)などが市販されている。
黒系色材以外の色材としては、例えば、シアン系色材、マゼンダ系色材、イエロー系色材などが挙げられる。シアン系色材としては、例えば、C.I.ソルベントブルー25、同36、同60、同70、同93、同95;C.I.アシッドブルー6、同45等のシアン系染料;C.I.ピグメントブルー1、同2、同3、同15、同15:1、同15:2、同15:3、同15:4、同15:5、同15:6、同16、同17、同17:1、同18、同22、同25、同56、同60、同63、同65、同66;C.I.バットブルー4;同60、C.I.ピグメントグリーン7等のシアン系顔料などが挙げられる。
また、マゼンダ系色材において、マゼンダ系染料としては、例えば、C.I.ソルベントレッド1、同3、同8、同23、同24、同25、同27、同30、同49、同52、同58、同63、同81、同82、同83、同84、同100、同109、同111、同121、同122;C.I.ディスパースレッド9;C.I.ソルベントバイオレット8、同13、同14、同21、同27;C.I.ディスパースバイオレット1;C.I.ベーシックレッド1、同2、同9、同12、同13、同14、同15、同17、同18、同22、同23、同24、同27、同29、同32、同34、同35、同36、同37、同38、同39、同40;C.I.ベーシックバイオレット1、同3、同7、同10、同14、同15、同21、同25、同26、同27、28などが挙げられる。
マゼンダ系色材において、マゼンダ系顔料としては、例えば、C.I.ピグメントレッド1、同2、同3、同4、同5、同6、同7、同8、同9、同10、同11、同12、同13、同14、同15、同16、同17、同18、同19、同21、同22、同23、同30、同31、同32、同37、同38、同39、同40、同41、同42、同48:1、同48:2、同48:3、同48:4、同49、同49:1、同50、同51、同52、同52:2、同53:1、同54、同55、同56、同57:1、同58、同60、同60:1、同63、同63:1、同63:2、同64、同64:1、同67、同68、同81、同83、同87、同88、同89、同90、同92、同101、同104、同105、同106、同108、同112、同114、同122、同123、同139、同144、同146、同147、同149、同150、同151、同163、同166、同168、同170、同171、同172、同175、同176、同177、同178、同179、同184、同185、同187、同190、同193、同202、同206、同207、同209、同219、同222、同224、同238、同245;C.I.ピグメントバイオレット3、同9、同19、同23、同31、同32、同33、同36、同38、同43、同50;C.I.バットレッド1、同2、同10、同13、同15、同23、同29、同35などが挙げられる。
また、イエロー系色材としては、例えば、C.I.ソルベントイエロー19、同44、同77、同79、同81、同82、同93、同98、同103、同104、同112、同162等のイエロー系染料;C.I.ピグメントオレンジ31、同43;C.I.ピグメントイエロー1、同2、同3、同4、同5、同6、同7、同10、同11、同12、同13、同14、同15、同16、同17、同23、同24、同34、同35、同37、同42、同53、同55、同65、同73、同74、同75、同81、同83、同93、同94、同95、同97、同98、同100、同101、同104、同108、同109、同110、同113、同114、同116、同117、同120、同128、同129、同133、同138、同139、同147、同150、同151、同153、同154、同155、同156、同167、同172、同173、同180、同185、同195;C.I.バットイエロー1、同3、同20等のイエロー系顔料などが挙げられる。
シアン系色材、マゼンダ系色材、イエロー系色材などの各種色材は、それぞれ、単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。なお、シアン系色材、マゼンダ系色材、イエロー系色材などの各種色材を2種以上用いる場合、これらの色材の混合割合(または配合割合)としては、特に制限されず、各色材の種類や目的とする光の透過率等に応じて適宜選択することができる。
基材1の表面は、エンボス処理が施されていることが好ましい。基材1にエンボス処理が施されていると、保護フィルム14のみの透過率T1と、保護フィルム14及びダイシングフィルム11の積層部分の透過率T2との差をさらに確実に20%以上とすることができる。エンボス処理の方法としては、例えば、フィルムをエンボスロールに添わせる方法、サンドマット処理による方法、エッチング等の化学的に処理する方法などが挙げられる。エンボス処理の基準としては、例えば、ヘイズ値が挙げられる。基材1の表面のヘイズ値は、10〜100%であることが好ましく、より好ましくは、20〜100%、さらに好ましくは、30〜100%である。基材1の表面のヘイズ値を10〜100%とすることにより、透過率T1と透過率T2との差を確実に20%以上とすることができる。
また、基材1の表面は、隣接する層との密着性、保持性等を高める為、慣用の表面処理、例えば、クロム酸処理、オゾン暴露、火炎暴露、高圧電撃暴露、イオン化放射線処理等の化学的又は物理的処理、下塗剤(例えば、後述する粘着物質)によるコーティング処理を施すことができる。前記基材1は、同種又は異種のものを適宜に選択して使用することができ、必要に応じて数種をブレンドしたものを用いることができる。
基材1の厚さは、特に制限されず適宜に決定できるが、一般的には5〜200μm程度である。
粘着剤層2の形成に用いる粘着剤としては特に制限されず、例えば、アクリル系粘着剤、ゴム系粘着剤等の一般的な感圧性粘着剤を用いることができる。前記感圧性粘着剤としては、半導体ウェハやガラス等の汚染をきらう電子部品の超純水やアルコール等の有機溶剤による清浄洗浄性等の点から、アクリル系ポリマーをベースポリマーとするアクリル系粘着剤が好ましい。
前記アクリル系ポリマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸アルキルエステル(例えば、メチルエステル、エチルエステル、プロピルエステル、イソプロピルエステル、ブチルエステル、イソブチルエステル、s−ブチルエステル、t−ブチルエステル、ペンチルエステル、イソペンチルエステル、ヘキシルエステル、ヘプチルエステル、オクチルエステル、2−エチルヘキシルエステル、イソオクチルエステル、ノニルエステル、デシルエステル、イソデシルエステル、ウンデシルエステル、ドデシルエステル、トリデシルエステル、テトラデシルエステル、ヘキサデシルエステル、オクタデシルエステル、エイコシルエステル等のアルキル基の炭素数1〜30、特に炭素数4〜18の直鎖状又は分岐鎖状のアルキルエステル等)及び(メタ)アクリル酸シクロアルキルエステル(例えば、シクロペンチルエステル、シクロヘキシルエステル等)の1種又は2種以上を単量体成分として用いたアクリル系ポリマー等が挙げられる。尚、(メタ)アクリル酸エステルとはアクリル酸エステル及び/又はメタクリル酸エステルをいい、本発明の(メタ)とは全て同様の意味である。
前記アクリル系ポリマーは、凝集力、耐熱性等の改質を目的として、必要に応じ、前記(メタ)アクリル酸アルキルエステル又はシクロアルキルエステルと共重合可能な他のモノマー成分に対応する単位を含んでいてもよい。この様なモノマー成分として、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、カルボキシエチル(メタ)アクリレート、カルボキシペンチル(メタ)アクリレート、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、クロトン酸等のカルボキシル基含有モノマー;無水マレイン酸、無水イタコン酸等の酸無水物モノマー;(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸6−ヒドロキシヘキシル、(メタ)アクリル酸8−ヒドロキシオクチル、(メタ)アクリル酸10−ヒドロキシデシル、(メタ)アクリル酸12−ヒドロキシラウリル、(4−ヒドロキシメチルシクロヘキシル)メチル(メタ)アクリレート等のヒドロキシル基含有モノマー;スチレンスルホン酸、アリルスルホン酸、2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、(メタ)アクリルアミドプロパンスルホン酸、スルホプロピル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロイルオキシナフタレンスルホン酸等のスルホン酸基含有モノマー;2−ヒドロキシエチルアクリロイルホスフェート等のリン酸基含有モノマー;アクリルアミド、アクリロニトリル等が挙げられる。これら共重合可能なモノマー成分は、1種又は2種以上使用できる。これら共重合可能なモノマーの使用量は、全モノマー成分の40重量%以下が好ましい。
更に、前記アクリル系ポリマーは、架橋させる為、多官能性モノマー等も、必要に応じて共重合用モノマー成分として含むことができる。この様な多官能性モノマーとして、例えば、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらの多官能性モノマーも1種又は2種以上用いることができる。多官能性モノマーの使用量は、粘着特性等の点から、全モノマー成分の30重量%以下が好ましい。
前記アクリル系ポリマーは、単一モノマー又は2種以上のモノマー混合物を重合に付すことにより得られる。重合は、溶液重合、乳化重合、塊状重合、懸濁重合等の何れの方式で行うこともできる。清浄な被着体への汚染防止等の点から、低分子量物質の含有量が小さいのが好ましい。この点から、アクリル系ポリマーの数平均分子量は、好ましくは30万以上、更に好ましくは40万〜300万程度である。
また、前記粘着剤には、ベースポリマーであるアクリル系ポリマー等の数平均分子量を高める為、外部架橋剤を適宜に採用することもできる。外部架橋方法の具体的手段としては、ポリイソシアネート化合物、エポキシ化合物、アジリジン化合物、メラミン系架橋剤等のいわゆる架橋剤を添加し反応させる方法が挙げられる。外部架橋剤を使用する場合、その使用量は、架橋すべきベースポリマーとのバランスにより、更には、粘着剤としての使用用途によって適宜決定される。一般的には、前記ベースポリマー100重量部に対して、5重量部程度以下、更には0.1〜5重量部配合するのが好ましい。更に、粘着剤には、必要により、前記成分のほかに、従来公知の各種の粘着付与剤、老化防止剤等の添加剤を用いてもよい。
粘着剤層2は放射線硬化型粘着剤により形成することができる。放射線硬化型粘着剤は、紫外線等の放射線の照射により架橋度を増大させてその粘着力を容易に低下させることができ、図2に示す粘着剤層2のワーク貼り付け部分に対応する部分2aのみを放射線照射することにより他の部分2bとの粘着力の差を設けることができる。
また、図2に示すダイボンドフィルム3に合わせて放射線硬化型の粘着剤層2を硬化させることにより、粘着力が著しく低下した前記部分2aを容易に形成できる。硬化し、粘着力の低下した前記部分2aにダイボンドフィルム3が貼付けられる為、粘着剤層2の前記部分2aとダイボンドフィルム3との界面は、ピックアップ時に容易に剥がれる性質を有する。一方、放射線を照射していない部分は十分な粘着力を有しており、前記部分2bを形成する。前記部分2bには、ウェハリングを固定することができる。
放射線硬化型粘着剤は、炭素−炭素二重結合等の放射線硬化性の官能基を有し、かつ粘着性を示すものを特に制限なく使用することができる。放射線硬化型粘着剤としては、例えば、前記アクリル系粘着剤、ゴム系粘着剤等の一般的な感圧性粘着剤に、放射線硬化性のモノマー成分やオリゴマー成分を配合した添加型の放射線硬化型粘着剤を例示できる。
配合する放射線硬化性のモノマー成分としては、例えば、ウレタンオリゴマー、ウレタン(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリストールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリストールモノヒドロキシペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。また放射線硬化性のオリゴマー成分はウレタン系、ポリエーテル系、ポリエステル系、ポリカーボネート系、ポリブタジエン系等種々のオリゴマーがあげられ、その分子量が100〜30000程度の範囲のものが適当である。放射線硬化性のモノマー成分やオリゴマー成分の配合量は、前記粘着剤層の種類に応じて、粘着剤層の粘着力を低下できる量を、適宜に決定することができる。一般的には、粘着剤を構成するアクリル系ポリマー等のベースポリマー100重量部に対して、例えば5〜500重量部、好ましくは40〜150重量部程度である。
また、放射線硬化型粘着剤としては、前記説明した添加型の放射線硬化型粘着剤のほかに、ベースポリマーとして、炭素−炭素二重結合をポリマー側鎖又は主鎖中もしくは主鎖末端に有するものを用いた内在型の放射線硬化型粘着剤が挙げられる。内在型の放射線硬化型粘着剤は、低分子成分であるオリゴマー成分等を含有する必要がなく、又は多くは含まない為、経時的にオリゴマー成分等が粘着剤在中を移動することなく、安定した層構造の粘着剤層を形成することができる為好ましい。
前記炭素−炭素二重結合を有するベースポリマーは、炭素−炭素二重結合を有し、かつ粘着性を有するものを特に制限なく使用できる。この様なベースポリマーとしては、アクリル系ポリマーを基本骨格とするものが好ましい。アクリル系ポリマーの基本骨格としては、前記例示したアクリル系ポリマーが挙げられる。
前記アクリル系ポリマーへの炭素−炭素二重結合の導入法は特に制限されず、様々な方法を採用できるが、炭素−炭素二重結合はポリマー側鎖に導入するのが分子設計が容易である。例えば、予め、アクリル系ポリマーに官能基を有するモノマーを共重合した後、この官能基と反応しうる官能基及び炭素−炭素二重結合を有する化合物を、炭素−炭素二重結合の放射線硬化性を維持したまま縮合又は付加反応させる方法が挙げられる。
これら官能基の組合せの例としては、カルボン酸基とエポキシ基、カルボン酸基とアジリジル基、ヒドロキシル基とイソシアネート基等が挙げられる。これら官能基の組合せのなかでも反応追跡の容易さから、ヒドロキシル基とイソシアネート基との組合せが好適である。また、これら官能基の組み合わせにより、前記炭素−炭素二重結合を有するアクリル系ポリマーを生成するような組合せであれば、官能基はアクリル系ポリマーと前記化合物のいずれの側にあってもよいが、前記の好ましい組み合わせでは、アクリル系ポリマーがヒドロキシル基を有し、前記化合物がイソシアネート基を有する場合が好適である。この場合、炭素−炭素二重結合を有するイソシアネート化合物としては、例えば、メタクリロイルイソシアネート、2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネート、m−イソプロペニル−α,α−ジメチルベンジルイソシアネート等が挙げられる。また、アクリル系ポリマーとしては、前記例示のヒドロキシ基含有モノマーや2−ヒドロキシエチルビニルエーテル、4−ヒドロキシブチルビニルエーテル、ジエチレングルコールモノビニルエーテルのエーテル系化合物等を共重合したものが用いられる。
前記内在型の放射線硬化型粘着剤は、前記炭素−炭素二重結合を有するベースポリマー(特にアクリル系ポリマー)を単独で使用することができるが、特性を悪化させない程度に前記放射線硬化性のモノマー成分やオリゴマー成分を配合することもできる。放射線硬化性のオリゴマー成分等は、通常ベースポリマー100重量部に対して30重量部の範囲内であり、好ましくは0〜10重量部の範囲である。
前記放射線硬化型粘着剤には、紫外線等により硬化させる場合には光重合開始剤を含有させる。光重合開始剤としては、例えば、4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン、α−ヒドロキシ−α,α’−ジメチルアセトフェノン、2−メチル−2−ヒドロキシプロピオフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン等のα−ケトール系化合物;メトキシアセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフエノン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)−フェニル]−2−モルホリノプロパン−1等のアセトフェノン系化合物;ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、アニソインメチルエーテル等のベンゾインエーテル系化合物;ベンジルジメチルケタール等のケタール系化合物;2−ナフタレンスルホニルクロリド等の芳香族スルホニルクロリド系化合物;1−フェノン−1,1―プロパンジオン−2−(o−エトキシカルボニル)オキシム等の光活性オキシム系化合物;ベンゾフェノン、ベンゾイル安息香酸、3,3’−ジメチル−4−メトキシベンゾフェノン等のベンゾフェノン系化合物;チオキサンソン、2−クロロチオキサンソン、2−メチルチオキサンソン、2,4−ジメチルチオキサンソン、イソプロピルチオキサンソン、2,4−ジクロロチオキサンソン、2,4−ジエチルチオキサンソン、2,4−ジイソプロピルチオキサンソン等のチオキサンソン系化合物;カンファーキノン;ハロゲン化ケトン;アシルホスフィノキシド;アシルホスフォナート等が挙げられる。光重合開始剤の配合量は、粘着剤を構成するアクリル系ポリマー等のベースポリマー100重量部に対して、例えば0.05〜20重量部程度である。
また放射線硬化型粘着剤としては、例えば、特開昭60−196956号公報に開示されている、不飽和結合を2個以上有する付加重合性化合物、エポキシ基を有するアルコキシシラン等の光重合性化合物と、カルボニル化合物、有機硫黄化合物、過酸化物、アミン、オニウム塩系化合物等の光重合開始剤とを含有するゴム系粘着剤やアクリル系粘着剤等が挙げられる。
粘着剤層2中には、基材1に色材を添加することに変えて、又は、基材1に色材を添加することに加えて、色材を添加することができる。粘着剤層2に添加する色材としては、上述した基材1に添加する色材と同様のものを用いることができる。色材の添加方法としては、例えば、粘着剤組成物溶液に色材を溶解又は分散させる方法が挙げられる。
粘着剤層2を放射線硬化型粘着剤により形成する場合には、粘着剤層2に於ける前記部分2aの粘着力<その他の部分2bの粘着力、となるように粘着剤層2の一部を放射線照射してもよい。
前記粘着剤層2に前記部分2aを形成する方法としては、支持基材1に放射線硬化型の粘着剤層2を形成した後、前記部分2aに部分的に放射線を照射し硬化させる方法が挙げられる。部分的な放射線照射は、前記部分2a以外に対応するパターンを形成したフォトマスクを介して行うことができる。また、スポット的に紫外線を照射し硬化させる方法等が挙げられる。放射線硬化型の粘着剤層2の形成は、セパレータ上に設けたものを支持基材1上に転写することにより行うことができる。部分的な放射線硬化はセパレータ上に設けた放射線硬化型の粘着剤層2に行うこともできる。
また、粘着剤層2を放射線硬化型粘着剤により形成する場合には、支持基材1の少なくとも片面の、前記部分2aに対応する部分以外の部分の全部又は一部が遮光されたものを用い、これに放射線硬化型の粘着剤層2を形成した後に放射線照射して、前記部分2aを硬化させ、粘着力を低下させた前記部分2aを形成することができる。遮光材料としては、支持フィルム上でフォトマスクになりえるものを印刷や蒸着等で作成することができる。かかる製造方法によれば、効率よく保護フィルム付きダイシングフィルム10を製造可能である。
尚、放射線照射の際に、酸素による硬化阻害が起こる場合は、放射線硬化型の粘着剤層2の表面よりなんらかの方法で酸素(空気)を遮断するのが望ましい。例えば、前記粘着剤層2の表面をセパレータで被覆する方法や、窒素ガス雰囲気中で紫外線等の放射線の照射を行う方法等が挙げられる。
粘着剤層2の厚さは、特に限定されないが、チップ切断面の欠け防止や接着層の固定保持の両立性等の点よりは、1〜50μm程度であるのが好ましい。好ましくは2〜30μm、更には5〜25μmが好ましい。
ダイボンドフィルム3の積層構造は、本実施形態のように、接着剤層の単層のみからなるものや、コア材料の片面又は両面に接着剤層を形成した多層構造のもの等が挙げられる。前記コア材料としては、フィルム(例えばポリイミドフィルム、ポリエステルフィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリエチレンナフタレートフィルム、ポリカーボネートフィルム等)、ガラス繊維やプラスチック製不織繊維で強化された樹脂基板、シリコン基板又はガラス基板等が挙げられる。
ダイボンドフィルム3を構成する接着剤組成物としては、熱可塑性樹脂と熱硬化性樹脂を併用したものが挙げられる。
前記熱硬化性樹脂としては、フェノール樹脂、アミノ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、シリコーン樹脂、又は熱硬化性ポリイミド樹脂等が挙げられる。これらの樹脂は、単独で又は2種以上を併用して用いることができる。特に、半導体素子を腐食させるイオン性不純物等の含有が少ないエポキシ樹脂が好ましい。また、エポキシ樹脂の硬化剤としてはフェノール樹脂が好ましい。
前記エポキシ樹脂は、接着剤組成物として一般に用いられるものであれば特に限定は無く、例えばビスフェノールA型、ビスフェノールF型、ビスフェノールS型、臭素化ビスフェノールA型、水添ビスフェノールA型、ビスフェノールAF型、ビフェニル型、ナフタレン型、フルオンレン型、フェノールノボラック型、オルソクレゾールノボラック型、トリスヒドロキシフェニルメタン型、テトラフェニロールエタン型等の二官能エポキシ樹脂や多官能エポキシ樹脂、又はヒダントイン型、トリスグリシジルイソシアヌレート型若しくはグリシジルアミン型等のエポキシ樹脂が用いられる。これらは単独で、又は2種以上を併用して用いることができる。これらのエポキシ樹脂のうちノボラック型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、トリスヒドロキシフェニルメタン型樹脂又はテトラフェニロールエタン型エポキシ樹脂が特に好ましい。これらのエポキシ樹脂は、硬化剤としてのフェノール樹脂との反応性に富み、耐熱性等に優れるからである。
前記フェノール樹脂は、前記エポキシ樹脂の硬化剤として作用するものであり、例えば、フェノールノボラック樹脂、フェノールアラルキル樹脂、クレゾールノボラック樹脂、tert−ブチルフェノールノボラック樹脂、フェノールビフェニル樹脂、ノニルフェノールノボラック樹脂等のノボラック型フェノール樹脂、レゾール型フェノール樹脂、ポリパラオキシスチレン等のポリオキシスチレン等が挙げられる。これらは単独で、又は2種以上を併用して用いることができる。これらのフェノール樹脂のうちフェノールノボラック樹脂、フェノールアラルキル樹脂が特に好ましい。半導体装置の接続信頼性を向上させることができるからである。
前記エポキシ樹脂とフェノール樹脂との配合割合は、例えば、前記エポキシ樹脂成分中のエポキシ基1当量当たりフェノール樹脂中の水酸基が0.5〜2.0当量になるように配合することが好適である。より好適なのは、0.8〜1.2当量である。即ち、両者の配合割合が前記範囲を外れると、十分な硬化反応が進まず、エポキシ樹脂硬化物の特性が劣化し易くなるからである。
前記熱可塑性樹脂としては、天然ゴム、ブチルゴム、イソプレンゴム、クロロプレンゴム、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−アクリル酸エステル共重合体、ポリブタジエン樹脂、ポリカーボネート樹脂、熱可塑性ポリイミド樹脂、6−ナイロンや6,6−ナイロン等のポリアミド樹脂、フェノキシ樹脂、アクリル樹脂、PETやPBT等の飽和ポリエステル樹脂、ポリアミドイミド樹脂、又はフッ素樹脂等が挙げられる。これらの熱可塑性樹脂は単独で、又は2種以上を併用して用いることができる。これらの熱可塑性樹脂のうち、イオン性不純物が少なく耐熱性が高く、半導体素子の信頼性を確保できるアクリル樹脂が特に好ましい。
前記アクリル樹脂としては、特に限定されるものではなく、炭素数30以下、特に炭素数4〜18の直鎖若しくは分岐のアルキル基を有するアクリル酸又はメタクリル酸のエステルの1種又は2種以上を成分とする重合体(アクリル共重合体)等が挙げられる。前記アルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、t−ブチル基、イソブチル基、アミル基、イソアミル基、ヘキシル基、へプチル基、シクロヘキシル基、2−エチルヘキシル基、オクチル基、イソオクチル基、ノニル基、イソノニル基、デシル基、イソデシル基、ウンデシル基、ラウリル基、トリデシル基、テトラデシル基、ステアリル基、オクタデシル基、又はドデシル基等が挙げられる。
また、前記重合体を形成する他のモノマーとしては、特に限定されるものではなく、例えば、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート等の様なグリシジル基含有モノマー、アクリル酸、メタクリル酸、カルボキシエチルアクリレート、カルボキシペンチルアクリレート、イタコン酸、マレイン酸、フマール酸若しくはクロトン酸等の様なカルボキシル基含有モノマー、無水マレイン酸若しくは無水イタコン酸等の様な酸無水物モノマー、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸6−ヒドロキシヘキシル、(メタ)アクリル酸8−ヒドロキシオクチル、(メタ)アクリル酸10−ヒドロキシデシル、(メタ)アクリル酸12−ヒドロキシラウリル若しくは(4−ヒドロキシメチルシクロヘキシル)−メチルアクリレート等の様なヒドロキシル基含有モノマー、スチレンスルホン酸、アリルスルホン酸、2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、(メタ)アクリルアミドプロパンスルホン酸、スルホプロピル(メタ)アクリレート若しくは(メタ)アクリロイルオキシナフタレンスルホン酸等の様なスルホン酸基含有モノマー、2−ヒドロキシエチルアクリロイルホスフェート等の様な燐酸基含有モノマー、スチレンモノマー、又は、アクリロニトリルが挙げられる。
また、ダイボンドフィルム3には、その用途に応じてフィラーを適宜配合することができる。フィラーの配合は、導電性の付与や熱伝導性の向上、弾性率の調節等を可能とする。前記フィラーとしては、無機フィラー、及び、有機フィラーが挙げられるが、取り扱い性の向上、熱電導性の向上、溶融粘度の調整、チキソトロピック性付与等の特性の観点から、無機フィラーが好ましい。前記無機フィラーとしては、特に制限はなく、例えば、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、ほう酸アルミウィスカ、窒化ほう素、結晶質シリカ、非晶質シリカ等が挙げられる。これらは、単独で又は2種以上を併用して用いることができる。熱電導性の向上の観点からは、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、窒化ほう素、結晶質シリカ、非晶質シリカが好ましい。また、上記各特性のバランスがよいという観点からは、結晶質シリカ、又は、非晶質シリカが好ましい。また、導電性の付与、熱電導性の向上等の目的で、無機フィラーとして、導電性物質(導電フィラー)を用いることとしてもよい。導電フィラーとしては、銀、アルミニウム、金、胴、ニッケル、導電性合金等を球状、針状、フレーク状とした金属粉、アルミナ等の金属酸化物、アモルファスカーボンブラック、グラファイト等が挙げられる。前記フィラーの平均粒径は、0.1〜80μmとすることができる。なお、フィラーの平均粒径は、例えば、光度式の粒度分布計(HORIBA製、装置名;LA−910)により求めた値である。
前記フィラー配合量は、熱硬化性樹脂成分、及び、熱可塑性樹脂成分、及び、フィラーの合計100重量部に対して、5重量部以上であることが好ましく、100重量部以上500重量部以下であることがより好ましく、200重量部以上400重量部以下であることがさらに好ましい。
尚、ダイボンドフィルム3には、前記フィラー以外に、必要に応じて他の添加剤を適宜に配合することができる。他の添加剤としては、例えば難燃剤、シランカップリング剤又はイオントラップ剤等が挙げられる。前記難燃剤としては、例えば、三酸化アンチモン、五酸化アンチモン、臭素化エポキシ樹脂等が挙げられる。これらは、単独で、又は2種以上を併用して用いることができる。前記シランカップリング剤としては、例えば、β−(3、4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン等が挙げられる。これらの化合物は、単独で又は2種以上を併用して用いることができる。前記イオントラップ剤としては、例えばハイドロタルサイト類、水酸化ビスマス等が挙げられる。これらは、単独で又は2種以上を併用して用いることができる。
ダイボンドフィルム3の厚さ(積層体の場合は、総厚)は特に限定されないが、例えば、1〜200μmの範囲から選択することができ、好ましくは5〜100μm、より好ましくは10〜80μmである。
保護フィルム14は、実用に供するまでダイボンドフィルム3を保護する保護材としての機能等を有している。また、保護フィルム14は、更に、粘着剤層2にダイボンドフィルム3を転写する際の支持基材として用いることができる。保護フィルム14はダイボンドフィルム3上にワークを貼着する際に剥がされる。保護フィルム14の材質としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレン、ポリプロピレンや、フッ素系剥離剤、長鎖アルキルアクリレート系剥離剤等の剥離剤により表面コートされたプラスチックフィルムや紙等を挙げることができる。
本実施の形態に係る保護フィルム付きダイシングフィルム10は、例えば、次の通りにして作製される。
先ず、基材1は、従来公知の製膜方法により製膜することができる。当該製膜方法としては、例えばカレンダー製膜法、有機溶媒中でのキャスティング法、密閉系でのインフレーション押出法、Tダイ押出法、共押出し法、ドライラミネート法等が例示できる。基材1を着色する場合には、上記色材を添加する。
次に、基材1上に粘着剤組成物溶液を塗布して塗布膜を形成した後、該塗布膜を所定条件下で乾燥させ(必要に応じて加熱架橋させて)、粘着剤層2を形成する。塗布方法としては特に限定されず、例えば、ロール塗工、スクリーン塗工、グラビア塗工等が挙げられる。また、乾燥条件としては、例えば乾燥温度80〜150℃、乾燥時間0.5〜5分間の範囲内で行われる。また、セパレータ上に粘着剤組成物を塗布して塗布膜を形成した後、前記乾燥条件で塗布膜を乾燥させて粘着剤層2を形成してもよい。粘着剤層2を着色する場合には、上記色材を上記粘着剤組成物溶液に添加する。その後、基材1上に粘着剤層2をセパレータと共に貼り合わせる。これにより、ダイシングフィルム11が作製される。
ダイボンドフィルム3は、例えば、次の通りにして作製される。
先ず、ダイボンドフィルム3の形成材料である接着剤組成物溶液を作製する。当該接着剤組成物溶液には、前述の通り、前記接着剤組成物やフィラー、その他各種の添加剤等が配合されている。
次に、接着剤組成物溶液を基材セパレータ上に所定厚みとなる様に塗布して塗布膜を形成した後、該塗布膜を所定条件下で乾燥させ、接着剤層を形成する。塗布方法としては特に限定されず、例えば、ロール塗工、スクリーン塗工、グラビア塗工等が挙げられる。また、乾燥条件としては、例えば乾燥温度70〜160℃、乾燥時間1〜5分間の範囲内で行われる。また、セパレータ上に粘着剤組成物溶液を塗布して塗布膜を形成した後、前記乾燥条件で塗布膜を乾燥させて接着剤層を形成してもよい。その後、基材セパレータ上に接着剤層をセパレータと共に貼り合わせる。
続いて、ダイシングフィルム11及びダイボンドフィルム3からそれぞれセパレータを剥離し、ダイボンドフィルム3と粘着剤層2とが貼り合わせ面となる様にして両者を貼り合わせる。貼り合わせは、例えば圧着により行うことができる。このとき、ラミネート温度は特に限定されず、例えば30〜50℃が好ましく、35〜45℃がより好ましい。また、線圧は特に限定されず、例えば0.1〜20kgf/cmが好ましく、1〜10kgf/cmがより好ましい。次に、ダイボンドフィルム3上の基材セパレータを剥離し、保護フィルム14と貼り合わせて、本実施の形態に係る保護フィルム付きダイシングフィルム10が得られる。本実施形態では、保護フィルム14に長尺のものを使用し、複数のダイシングフィルム11(ダイボンドフィルム3が貼り合わされたダイシングフィルム11)を所定の間隔をおいて保護フィルム14に貼り合わせる。
図3は、他の実施形態に係る保護フィルム付きダイシングフィルムを示す断面模式図である。
基材1には、図3に示す保護フィルム付きダイシングフィルム20のように、基材1と粘着剤層2との間に、印刷層15が設けられていてもよい。印刷層15が設けられていると、保護フィルム14のみの透過率と、ダイシングフィルム11を含む保護フィルム付きダイシングフィルム20の透過率との差をより確実に20%以上とすることができる。
印刷層15は、例えば、凸版式印刷法、平版式印刷法、凹版印刷法、孔版印刷法等の印刷法により形成することができる。この場合、印刷層15に用いる色材(着色剤)としては、上記と同様のものを用いることができる。
(半導体装置の製造方法)
以下では、図4(a)、図4(b)及び図5を参照しながら保護フィルム付きダイシングフィルム10を用いた場合を例にして説明する。図4(a)、図4(b)は、本実施形態に係る半導体装置の製造方法を説明するための断面模式図である。図5は、図1及び図2に示した保護フィルム付きダイシングフィルムに於ける接着剤層を介して半導体チップを実装した例を示す断面模式図である。
図4(a)に示すように、保護フィルム付きダイシングフィルム10は、一定方向(図4(a)では、左方向)に繰り出されており、保護フィルム14の幅方向中央部分にはフィルム検出用の光Lが照射されている。図4(a)では、光Lは、保護フィルム14のみを透過しており、透過した光Lは、図示しないセンサーにより検出され、透過率が算出される。このときの透過率は透過率T1となる。
その後、保護フィルム付きダイシングフィルム10がさらに繰り出されると、図4(b)に示すように、光Lは、保護フィルム14とダイシングフィルム11との積層部分を透過することとなる。透過した光Lは、図示しないセンサーにより検出され、透過率が算出される。このときの透過率は透過率T2となる。
フィルム検出用の光は、波長600nm〜700nmであり、波長620nm〜680nmであることが好ましく、波長640nm〜660nmであることがより好ましい。
センサーは、透過率が20%以上変化したとき、すなわち、透過率が透過率T1から透過率T2へと変化したとき、保護フィルム14上のダイシングフィルム11を検出したと判断する。そして、ウェハマウント装置は、この検出結果を基にダイシングフィルム11の位置を認識し、ダイシングフィルム11を保護フィルム14から剥離して半導体ウェハ4を圧着する(貼り付け工程)。本工程は、圧着ロール等の押圧手段により押圧しながら行う。マウントの際の貼り付け温度は特に限定されず、例えば20〜80℃の範囲内であることが好ましい。本実施形態では、透過率T1と透過率T2との差が20%以上であるため、センサーは保護フィルム14のみの透過率T1から保護フィルム14とダイシングフィルム11との積層部分の透過率T2に変化したことを確実に認識することができる。その結果、検出できなかったダイシングフィルムが送られてしまい、使用されないといったことを防止でき、この間のダウンタイムを削減することができる。また、ダイシングフィルムを半導体ウェハに位置ズレを起こすことなく貼り付けることが可能となる。
次に、半導体ウェハ4のダイシングを行う。これにより、半導体ウェハ4を所定のサイズに切断して個片化し、半導体チップ5を製造する(図5参照)。ダイシングは、例えば半導体ウェハ4の回路面側から常法に従い行われる。また、本工程では、例えばダイボンドフィルム3まで切込みを行なうフルカットと呼ばれる切断方式等を採用できる。本工程で用いるダイシング装置としては特に限定されず、従来公知のものを用いることができる。また、半導体ウェハ4は、ダイボンドフィルム3付きのダイシングフィルム11により接着固定されているので、チップ欠けやチップ飛びを抑制できると共に、半導体ウェハ4の破損も抑制できる。
ダイボンドフィルム3付きのダイシングフィルム11に接着固定された半導体チップ5を剥離する為に、半導体チップ5のピックアップを行う。ピックアップの方法としては特に限定されず、従来公知の種々の方法を採用できる。例えば、個々の半導体チップ5をダイシングフィルム11側からニードルによって突き上げ、突き上げられた半導体チップ5をピックアップ装置によってピックアップする方法等が挙げられる。
ここでピックアップは、粘着剤層2が紫外線硬化型である場合、該粘着剤層2に紫外線を照射した後に行う。これにより、粘着剤層2のダイボンドフィルム3に対する粘着力が低下し、半導体チップ5の剥離が容易になる。その結果、半導体チップ5を損傷させることなくピックアップが可能となる。紫外線照射の際の照射強度、照射時間等の条件は特に限定されず、適宜必要に応じて設定すればよい。また、紫外線照射に使用する光源としては、前述のものを使用することができる。
ピックアップした半導体チップ5は、ダイボンドフィルム3を介して被着体6に接着固定する(ダイボンド)。被着体6としては、リードフレーム、TABフィルム、基板又は別途作製した半導体チップ等が挙げられる。被着体6は、例えば、容易に変形されるような変形型被着体であってもよく、変形することが困難である非変形型被着体(半導体ウェハ等)であってもよい。
前記基板としては、従来公知のものを使用することができる。また、前記リードフレームとしては、Cuリードフレーム、42Alloyリードフレーム等の金属リードフレームやガラスエポキシ、BT(ビスマレイミド−トリアジン)、ポリイミド等からなる有機基板を使用することができる。しかし、本発明はこれに限定されるものではなく、半導体素子をマウントし、半導体素子と電気的に接続して使用可能な回路基板も含まれる。
ダイボンドフィルム3が熱硬化型である場合、加熱硬化により、半導体チップ5を被着体6に接着固定し、耐熱強度を向上させる。加熱温度は、80〜200℃、好ましくは100〜175℃、より好ましくは100〜140℃で行うことができる。また、加熱時間は、0.1〜24時間、好ましくは0.1〜3時間、より好ましくは0.2〜1時間で行うことができる。尚、ダイボンドフィルム3を介して半導体チップ5が基板等に接着固定されたものは、リフロー工程に供することができる。
熱硬化後のダイボンドフィルム3の剪断接着力は、被着体6に対して0.2MPa以上であることが好ましく、より好ましくは0.2〜10MPaである。ダイボンドフィルム3の剪断接着力が少なくとも0.2MPa以上であると、ワイヤーボンディング工程の際に、当該工程に於ける超音波振動や加熱により、ダイボンドフィルム3と半導体チップ5又は被着体6との接着面でずり変形を生じることが少ない。即ち、ワイヤーボンディングの際の超音波振動により半導体素子が動くことが少なく、これによりワイヤーボンディングの成功率が低下するのを防止する。
尚、本実施形態に係る半導体装置の製造方法は、ダイボンドフィルム3の加熱処理による熱硬化工程を経ることなくワイヤーボンディングを行い、更に半導体チップ5を封止樹脂で封止して、当該封止樹脂をアフターキュアしてもよい。この場合、ダイボンドフィルム3の仮固着時の剪断接着力は、被着体6に対して0.2MPa以上であることが好ましく、より好ましくは0.2〜10MPaである。ダイボンドフィルム3の仮固着時に於ける剪断接着力が少なくとも0.2MPa以上であると、加熱工程を経ることなくワイヤーボンディング工程を行っても、当該工程に於ける超音波振動や加熱により、ダイボンドフィルム3と半導体チップ5又は被着体6との接着面でずり変形を生じることが少ない。即ち、ワイヤーボンディングの際の超音波振動により半導体素子が動くことが少なく、これによりワイヤーボンディングの成功率が低下するのを防止する。
前記のワイヤーボンディングは、被着体6の端子部(インナーリード)の先端と半導体チップ5上の電極パッド(図示しない)とをボンディングワイヤー7で電気的に接続する工程である。前記ボンディングワイヤー7としては、例えば金線、アルミニウム線又は銅線等が用いられる。ワイヤーボンディングを行う際の温度は、80〜250℃、好ましくは80〜220℃の範囲内で行われる。また、その加熱時間は数秒〜数分間行われる。結線は、前記温度範囲内となる様に加熱された状態で、超音波による振動エネルギーと印加加圧による圧着工ネルギーの併用により行われる。本工程は、ダイボンドフィルム3の熱硬化を行うことなく実行してもよい。
前記封止工程は、封止樹脂8により半導体チップ5を封止する工程である。本工程は、被着体6に搭載された半導体チップ5やボンディングワイヤー7を保護する為に行われる。本工程は、封止用の樹脂を金型で成型することにより行う。封止樹脂8としては、例えばエポキシ系の樹脂を使用する。樹脂封止の際の加熱温度は、通常175℃で60〜90秒間行われるが、本発明はこれに限定されず、例えば165〜185℃で、数分間キュアすることができる。これにより、封止樹脂を硬化させると共に、ダイボンドフィルム3を介して半導体チップ5と被着体6とを固着させる。即ち、本発明に於いては、後述する後硬化工程が行われない場合に於いても、本工程に於いてダイボンドフィルム3による固着が可能であり、製造工程数の減少及び半導体装置の製造期間の短縮に寄与することができる。
前記後硬化工程に於いては、前記封止工程で硬化不足の封止樹脂8を完全に硬化させる。封止工程に於いてダイボンドフィルム3が完全に熱硬化していない場合でも、本工程に於いて封止樹脂8と共にダイボンドフィルム3の完全な熱硬化が可能となる。本工程に於ける加熱温度は、封止樹脂の種類により異なるが、例えば165〜185℃の範囲内であり、加熱時間は0.5〜8時間程度である。
上述の実施形態では、ダイボンドフィルムの径がダイシングフィルムの径よりも小さい場合について説明したが、本発明においてはこの例に限定されず、ダイボンドフィルムの径は、ダイシングフィルムと同じ又はそれより大きくてもよい。この場合、ダイシングフィルムのフィルム検出用の光が最初に透過する部分は、ダイシングフィルムとダイボンドフィルムとが積層されていることとなる。すなわち、この場合、ダイシングフィルムのフィルム検出用の光が最初に透過する部分における保護フィルム付きダイシングフィルムの透過率は、保護フィルムとダイシングフィルムとダイボンドフィルムとの積層体の透過率に相当する。このとき、ダイボンドフィルムの波長600〜700nmにおける透過率は、50〜80%であることが好ましい。また、ダイボンドフィルムとダイシングフィルムとの透過率の差は、10%以上であることが好ましい。また、ダイボンドフィルムと保護フィルムとの透過率の差は、10%以上であることが好ましい。
上述した実施形態では、ダイシングフィルム11の全体が着色されている、ダイシングフィルム11の全体に印刷層15が設けられている、又は、ダイシングフィルム11の基材1の全面がエンボス処理されており、これにより透過率T1と透過率T2との差が20%以上となっている場合について説明した。しかしながら、本発明はこの例に限定されず、前記透過率の差は、保護フィルムの透過率と、ダイシングフィルムのフィルム検出用の光が最初に透過する部分における保護フィルム付きダイシングフィルムの透過率との差が20%以上であればよく、例えば、保護フィルムの透過率との透過率の差が20%以上ある部分は、ダイシングフィルムのフィルム検出用の光が最初に透過する部分(例えば、図1の部分17)から、フィルムの搬送方向に沿って所定距離(例えば、100μm〜5000μm)の部分のみであってもよい。このような構成とする場合、例えば、前記透過率の差を20%以上とする部分を着色すればよい。
以下に、この発明の好適な実施例を例示的に詳しく説明する。但し、この実施例に記載されている材料や配合量等は、特に限定的な記載がない限りは、この発明の要旨をそれらのみに限定する趣旨のものではない。なお、以下において、部とあるのは重量部を意味する。
(ダイシングフィルムの粘着剤層の作製)
アクリル酸ブチル70部、アクリル酸エチル30部、アクリル酸5部を酢酸エチル中で常法により共重合させ、重量平均分子量80万のアクリル系ポリマーを得た。次に、このアクリル系ポリマー100部に、架橋剤として多官能エポキシ化合物(三菱ガス化学(株)社製、製品名「TETRAD−C」)8部と、光重合開始剤として1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン7部とを配合し、これらを有機溶剤としてのトルエンに均一に溶解させて、濃度30重量%のアクリル系粘着剤組成物溶液を得た。このアクリル系粘着剤組成物溶液を表1、表2に示す各実施例、各比較例の基材面上に厚さが10μmとなるように塗布し、120℃で3分間乾燥を行った。その後、マスクを介して、半導体ウェハが貼り付けられる部分にのみ紫外線を500mJ/cm2照射して、半導体ウェハが貼り付けられる部分が紫外線硬化されたダイシングフィルムを得た。なお、実施例1に係る基材(PP(ポリプロピレン))は、フタムラ化学株式会社社製、製品名「FVHK-LB#40 N100」である。実施例2に係る基材(PP(ポリプロピレン))は、フタムラ化学株式会社社製、製品名「FBS-LB#40 S-400X」である。実施例3に係る基材(PO(ポリオレフィン))は、三井化学株式会社社製、製品名「TPX」である。実施例4に係る基材(PVC(ポリ塩化ビニル))は、日東電工株式会社社製、製品名「SPV-M4001」である。実施例5に係る基材(PVC(ポリ塩化ビニル))は、日東電工株式会社社製、製品名「SPV-320」である。比較例1に係る基材(PET(ポリエチレンテレフタレート))は、三菱樹脂株式会社社製、製品名「MRA-38」である。比較例2に係る基材(PET(ポリエチレンテレフタレート))は、三菱樹脂株式会社社製、製品名「MRF-50」である。
(ダイボンドフィルムの作製)
下記(a)〜(d)をメチルエチルケトンに溶解させ、濃度23.6重量%の接着剤組成物溶液を得た。
(a)エポキシ樹脂(JER(株)製、エピコート1001) 32重量部
(b)フェノール樹脂(三井化学(株)製、ミレックスXLC−4L) 34重量部
(c)アクリル酸エチル−メチルメタクリレートを主成分とするアクリル酸エステル系ポリマー(ナガセケムテックス(株)製、SG−708−6) 100重量部
(d)球状シリカ(アドマテックス(株)製、SO−25R) 110重量部
この接着剤組成物溶液を、シリコーン離型処理した厚さが100μmのポリエチレンテレフタレートフィルムからなる離型処理フィルム(剥離ライナー)上に塗布した後、120℃で3分間乾燥させた。これにより、厚さ10μmのダイボンドフィルムを作製した。
(保護フィルム付きダイシングフィルムの作製)
作製した各実施例、各比較例のダイシングフィルムをそれぞれ直径370mmになるように円形に打ち抜いた。次に、作製したダイボンドフィルムを直径320mmになるように円形に打ち抜き、各ダイシングフィルムに転写した。転写は、ダイシングフィルムの粘着剤層とダイボンドフィルムとが対向するように行った。その後、シリコーン離型処理した厚さ35μmのポリエチレンテレフタレートフィルムの保護フィルムをダイボンドフィルム側に貼り合わせ、本実施例、本比較例の保護フィルム付きダイシングフィルムを得た。
(透過率の測定)
透過率の測定には、日本分光社製の分光光度計(製品名「V−670」)を用い、測定モードを%T(透過率測定)、測定波長領域を190〜800nmとして行った。その際の波長650nmでの透過率を測定値とした。その結果、保護フィルムの波長650nmでの透過率は、88.8%であった。また、ダイシングフィルムの波長650nmでの透過率(%)、保護フィルムとダイシングフィルムの積層部分の透過率(%)は、表1、表2に示す通りとなった。なお、表1、表2には、保護フィルムとダイシングフィルムの積層部分の透過率と、保護フィルムの透過率との差も示している。
(センサー認識性)
保護フィルム上のダイシングフィルムを検出するセンサーと、検出したダイシングフィルムを保護フィルムから剥離して半導体ウェハを貼り付けるウェハーマウント装置とを用い、センサー認識性試験を行った。センサーがダイシングフィルムを認識し、ウェハマウントが行えたものを○、ダイシングフィルムを認識せず、ウェハマウントが行えなかったものを×とした。結果を表1、表2に示す。
<センサーの条件>
センサー:キーエンス社製、LV−11SB
センサーヘッド:直線光回帰反射型(型式:LV−S62)
検出距離50mm
<貼り合わせ条件>
ウェハーマウント装置:日東精機社製:MA−3000III
貼り合わせ速度:10mm/秒
繰り出し速度:10mm/秒
(ヘイズ値)
実施例3の基材について、ヘイズ値を測定した。ヘイズ値の測定は、具体的には、ヘイズメーター(「NDH2000」,日本電色工業(株)製)にて行なった。
ヘイズ(%)=Td/Tt x 100
Td : 拡散透過率
Tt : 全光線透過率
結果を表1に示す。
(結果)
表1、表2の結果から分かる通り、保護フィルムとダイシングフィルムの積層部分の透過率と、保護フィルムの透過率との差が20%以上であると、センサーによりダイシングフィルムを認識することができた。