JP2012187590A - レーザ溶接鋼管の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】溶接効率を低下させることなく良好な品質の溶接部を得るとともに、レーザ溶接鋼管を歩留り良く安定して製造する方法を提供する。
【解決手段】鋼板を成形ロールで円筒状のオープンパイプに成形し、オープンパイプのエッジ部をスクイズロールで加圧しながらオープンパイプの外面側からレーザビームを照射してエッジ部をレーザ溶接するレーザ溶接鋼管の製造方法において、ジャストフォーカスでのスポット径が直径0.4mm未満の2本のレーザビームを、エッジ部の右側と左側にそれぞれ照射し、右側に照射する右レーザビームと左側に照射する左レーザビームの鋼板の表面での中心点間隔を0.4mm以上とし、かつ鋼板の裏面において右レーザビームと左レーザビームが重複しないように配置してレーザ溶接を行う。
【選択図】図1

Description

本発明は、レーザビームを用いてオープンパイプの長手方向のエッジ部を溶接する鋼管(以下、レーザ溶接鋼管という)の製造方法に関し、特に油井管あるいはラインパイプ等の石油,天然ガスの採掘や輸送に好適なレーザ溶接鋼管の製造方法に関するものである。
油井管あるいはラインパイプとして用いられる鋼管は、溶接鋼管(たとえば電縫鋼管,UOE鋼管等)とシームレス鋼管に大別される。これらの鋼管のうち、電縫鋼管は、熱間圧延した帯状の鋼板(いわゆるホットコイル)を素材として使用し、安価に製造できるので経済的に有利である。
しかし一般に電縫鋼管は、成形ロールを用いて鋼板を円筒状に成形してオープンパイプ(ここでオープンパイプとは、多段の成形ロールにより成形された端部が接合されていないパイプ状の鋼帯を言う。以下、オープンパイプと称す。)とし、そのオープンパイプのエッジ部(すなわち円筒状に成形した鋼帯の両側端部)をスクイズロールで加圧しながら電気抵抗溶接(高周波抵抗溶接とも呼ぶ)して製造するので、溶接による継ぎ目(いわゆるシーム)が必然的に存在し、そのシームの低温靭性が劣化するという問題がある。そのため電縫鋼管の油井管やラインパイプは、寒冷地での使用には課題がある。シームの低温靭性が劣化する理由は、エッジ部を溶接する際に高温の溶融メタルが大気中の酸素と反応して酸化物を生成し、その酸化物がシームに残留し易いからである。
また電縫鋼管は、エッジ部を溶接する際に溶融メタル中で合金元素が偏析し易いので、シームの耐食性が劣化し易いという問題がある。そのため電縫鋼管の油井管やラインパイプは、厳しい腐食環境(たとえばサワー環境)での使用には課題がある。
一方でシームの低温靭性や耐食性を劣化させない溶接法として、レーザビームによる溶接(以下、レーザ溶接という)が注目されている。レーザ溶接は、熱源の寸法を小さくし、かつ熱エネルギーを高密度で集中できるので、溶融メタルにおける酸化物の生成や合金元素の偏析を防止できる。そのため、溶接鋼管の製造にレーザ溶接を適用すると、シームの低温靭性や耐食性の劣化を防止することが可能である。
そこで溶接鋼管の製造過程にて、オープンパイプのエッジ部にレーザビームを照射して溶接することによって鋼管(すなわちレーザ溶接鋼管)を製造する技術が実用化されている。
ところが、レーザ溶接では高密度エネルギー光線であるレーザビームを光学部品により集光し、溶接部に照射することによって溶接を行うので、溶接の際に急激な金属の溶融を伴う。そのため、形成された溶融池から溶接金属がスパッタとして飛散する。飛散したスパッタは、レーザ溶接鋼管に付着して鋼管の品質を低下させるとともに、溶接装置、光学部品および造管機にも付着して溶接の施工が不安定になる。また、レーザ溶接では熱エネルギーを高密度で集中して溶接を行うので、スパッタが多量に発生し、アンダーカットやアンダーフィル(すなわちくぼみ)等の溶接欠陥が発生する。アンダーカットやアンダーフィルが発生すると、溶接部の強度が低下する。
そこで、レーザ溶接にてスパッタの付着を防止する技術やスパッタの発生を防止する技術が種々検討されている。たとえば、レーザ出力を低減することによってスパッタの発生を防止する技術、あるいは焦点位置を大きくずらす(いわゆるデフォーカス)ことによってスパッタの発生を防止する技術が実用化されている。しかし、レーザ出力低減やデフォーカスは溶接速度の減少(すなわち溶接効率の低下)を招くばかりでなく、溶込み不良が発生し易くなるという問題がある。
特許文献1には、レーザ溶接を行う際にフィラーワイヤを用いてアンダーフィルを防止する技術が開示されている。しかし、この技術ではフィラーワイヤの成分によって溶接金属の組成が変化する。そのため、オープンパイプの成分に応じてフィラーワイヤを選択しなければならず、フィラーワイヤの在庫管理やレーザ溶接の作業管理の負荷が増大する。
特許文献2には、レーザ溶接とアーク溶接を複合して用いることによって、溶接欠陥を防止する技術が開示されている。しかし、この技術では溶接装置の構造が複雑になりメンテナンスの負荷が増大するばかりでなく、溶接の作業管理の負荷が増大する。
特許文献3には、2つの円形のビームスポットを溶接線方向に配置して突き合わせ溶接を行なう方法が開示されている。しかしながらこの技術では、オープンパイプの溶接のように溶接部に応力が働く条件でのレーザ溶接において溶接欠陥は抑制されず、とくに鋼板の裏面からのスパッタ発生量が増大する。
特開2004-330299号公報 特許4120408号公報 特開2009-178768号公報
本発明は、レーザ溶接鋼管を製造するにあたって、スポット径、中心点間隔を適正に保ちながら2本のレーザビームを適正に配列するとともに、レーザ溶接の条件を制御することによって、溶接部のアンダーカットやアンダーフィルを抑制し、かつ溶接効率を低下させることなく良好な品質の溶接部を得るとともに、レーザ溶接鋼管を歩留り良く安定して製造する方法を提供することを目的とする。
発明者らは、オープンパイプのエッジ部にレーザ溶接を施してレーザ溶接鋼管を製造するにあたって、溶接欠陥のないレーザ溶接部を形成するためのレーザ溶接技術について調査検討した。
図2は、レーザ溶接鋼管を製造する際に、レーザビームを1本用いてオープンパイプ1のエッジ部2の接合点をレーザ溶接する例を模式的に示す斜視図である。図2中の矢印Aはオープンパイプの進行方向を示す。なお、レーザビーム3の照射によって発生する深い空洞(以下、キーホールという)4と、その周囲に形成される溶融メタル5は透視図として示す。
レーザビーム3を照射すると、図2に示すように、高密度で集中する熱エネルギーによってエッジ部2が溶融するとともに、その溶融メタル5が蒸発して発生する蒸発圧と蒸発反力によって、溶融メタル5にキーホール4が発生する。キーホール4の内部には、レーザビーム3が侵入し、金属蒸気がレーザビーム3のエネルギーによって電離されて生じた高温のプラズマが充満していると考えられる。
このキーホール4は、レーザビーム3の熱エネルギーが最も収斂する位置を示すものであり、エッジ部の接合点をキーホール4内に配置することによってレーザ溶接鋼管を安定して製造できる。ただし、エッジ部2の接合点とキーホール4とを一致させるためには、高精度の開先加工技術が必要である。エッジ部2の加工状態および突合せ状態が不安定であると、溶融メタル5が不安定になる。その結果、スパッタが多発し、アンダーカットやアンダーフィルなどの溶接欠陥が発生し易くなる。
また、スパッタを抑制するために、レーザ溶接条件や鋼管製造の設定条件を変更しても、鋼板の裏面からのスパッタを同時に抑制することはできず、スパッタ発生量の増大を招くこともある。
さらに、溶接部に加えられるアップセットによって溶融メタルに応力が働くような状況では、キーホールを維持するために、照射するレーザビームのエネルギーをより一層増大させる必要がある。その結果、スパッタが増加するとともに、開先が十分に溶融せず、アンダーカットやアンダーフィルなどの溶接欠陥が発生する。
そこで発明者らは、エッジ部2の溶接部に2本のレーザビームを照射する技術に着目した。その結果、レーザビームの照射位置を適正に配列するとともに、それぞれのスポット径やレーザビームの照射角度などを制御することによって、スパッタの発生を抑制できることが分かった。そして、溶接部のアンダーカットやアンダーフィルを抑制し、かつ溶接効率を低下させることなく、良好な品質の溶接部を得るとともに、レーザ溶接鋼管を歩留り良く安定して製造できることが判明した。
本発明はこれらの知見に基づいてなされたものである。
すなわち本発明は、鋼板を成形ロールで円筒状のオープンパイプに成形し、オープンパイプのエッジ部をスクイズロールで加圧しながらオープンパイプの外面側からレーザビームを照射してエッジ部をレーザ溶接するレーザ溶接鋼管の製造方法において、ジャストフォーカスでのスポット径が直径0.4mm未満の2本のレーザビームを、エッジ部の右側と左側にそれぞれ照射し、右側に照射する右レーザビームと左側に照射する左レーザビームの鋼板の表面での中心点間隔を0.4mm以上とし、かつ鋼板の裏面において右レーザビームと左レーザビームが重複しないように配置してレーザ溶接を行うレーザ溶接鋼管の製造方法である。
本発明のレーザ溶接鋼管の製造方法においては、右レーザビームと左レーザビームの照射角度をそれぞれ5〜50°の前進角とし、かつジャストフォーカスでのスポット径(溶接線に対して垂直方向)の合計を0.5mm以上とすることが好ましい。さらに、右レーザビームと左レーザビームの鋼板の表面におけるエネルギー密度をそれぞれ130kW/mm2以下とすることが好ましい。また、スクイズロールを用いてエッジ部に0.2〜1.0mmのアップセットを加えることが好ましい。また、右レーザビームと左レーザビームのレーザ出力を合計で16kW超とし、かつ溶接速度を7m/分超とすることが好ましい。また、レーザ溶接に先立って鋼板の予熱を行い、かつレーザ溶接の後で切削または研削を施して溶接ビードを加工することが好ましい。
本発明によれば、レーザ溶接鋼管を製造するにあたって、溶接部のアンダーカットやアンダーフィルを抑制し、かつ溶接効率を低下させることなく良好な品質の溶接部を得ることができる。その結果、レーザ溶接鋼管を歩留り良く安定して製造できる。得られたレーザ溶接鋼管は、シームの低温靭性や耐食性が優れており、寒冷地や腐食環境で使用する油井管やラインパイプに好適である。
本発明を適用して2本のレーザビームでオープンパイプを溶接する例を模式的に示す斜視図である。 1本のレーザビームでオープンパイプを溶接する従来の例を模式的に示す斜視図である。 なお、キーホールとその周囲に形成される溶融メタルを透視図として示す。
図1は、本発明を適用して2本のレーザビームでオープンパイプを溶接する例を模式的に示す斜視図である。本発明では、図1に示すように、オープンパイプ1の外面側から2本のレーザビームを照射する。本発明では、2本のレーザビームを、それぞれ異なるファイバーを用いて伝送し、オープンパイプの外側から溶接線を挟んだ左右の鋼板を個別に溶かす右レーザビームと左レーザビームとして鋼板に照射する。2本のレーザビームを単一のファイバーで伝送すると、後述するスポット径、レーザビーム照射位置、レーザビーム照射角度などを個別に設定することができない。そのため、2本のレーザビームを、それぞれ異なるファイバーを用いて伝送する必要がある。
使用するレーザ発振器は1台でも良いし、あるいは2台でも良い。レーザ発振器が1台で、2本のレーザビームを伝送する場合は、発振されたレーザ光を光学系部品で分割して各ファイバーに供給すれば良い。
2本のレーザビームのジャストフォーカスでのスポット径は、いずれも直径0.4mm未満とする必要がある。ここで、ジャストフォーカスでのスポット径は、レーザビームを光学的に集光させ、レーザビームの焦点平行部のビーム径を指す。つまりジャストフォーカスの位置では、レーザビームを光学的に集束させているので、レーザビームのエネルギー密度が最も高くなる。
レーザビームのジャストフォーカスでのスポット径が0.4mm以上では、溶接時のキーホールの安定的な維持が難しく、キーホールを安定させるためにレーザ出力を増加させると、溶接金属の溶け落ちなどが発生する。そのため、レーザビームのジャストフォーカスでのスポット径は0.4mm未満とする。一方、スポット径が0.1mm未満では、溶接時の溶接ビード幅が狭くなり、開先の溶け残しが発生する。そのため、レーザビームのジャストフォーカスでのスポット径は0.1mm以上が好ましい。
レーザビームのジャストフォーカスでのスポット形状は円形が好ましいが、楕円形であっても良い。スポット形状が楕円形の場合は、長径を0.4mm未満とする。また、上記した円形の場合と同様の理由で、長径は0.1mm以上が好ましい。
オープンパイプの外面からフォーカスまでの深さをt(mm)とし、オープンパイプの鋼板厚をT(mm)として、オープンパイプの外面からフォーカスまでの深さtが1/2×T未満では、フォーカスの位置が浅すぎるので、キーホールを安定して維持することが難しい。一方、3×Tを超えると、フォーカスの位置が深すぎるので、鋼板の裏面(すなわちオープンパイプの内面)側からスパッタが発生し易くなる。したがって、オープンパイプの外面からフォーカスまでの深さtは1/2×T〜3×Tの範囲内に設定するのが好ましい。なお、レーザビームに後述する照射角度を付与する場合も、オープンパイプの外面からフォーカスまでの深さtは上記の範囲内が好ましい。
2本のレーザビームは、溶接線の左側と右側にそれぞれ照射し、鋼板の表面でのスポットの中心点を結ぶ線が溶接線に対して垂直となり、かつ中心点間隔が0.4mm以上となるように配置するとともに、鋼板の裏面において右レーザビームと左レーザビームが重複しないように配列する。その結果、レーザビームのエネルギー密度がもっとも高くなるジャストフォーカスにおけるレーザビームの重複がなく、スパッタの発生量が少ないレーザ溶接が可能となる。また、溶接線を挟んだ左右の鋼板を個別のレーザビームで溶かすことにより、鋼板突合せ部の状態(隙間間隔など)が変化した場合でも、溶接にレーザビームのエネルギーを有効に使うことが可能となる。
2本のレーザビームには、それぞれ照射角度を設けることが好ましい。なお、溶接の進行方向の前方に照射されるレーザビームと鋼板表面の垂直線とのなす照射角度を前進角とする。
右レーザビームおよび左レーザビームの照射角度はそれぞれ5〜50°の前進角とすることが好ましい。各レーザビームに前進角5°以上を付与することによって、鋼板表面からのスパッタ発生量が低減する。しかし、前進角が50°を超えると、その効果は得られない。
2本のレーザビームは、前進角の有無に関わらず、それぞれ溶接線に平行な面内を進行するように配置する。このレーザビームが進行する面(以下、ビーム進行面という)は溶接線の両側に位置するが、それらのビーム進行面が互いに平行であれば、2本のレーザビームは前進角の有無に関わらず鋼板の裏面で重複しないので好ましい。また、ビーム進行面が互いに平行ではない場合には、ビーム進行面の間隔が鋼板の裏面側で狭くなっても、2本のレーザビームが鋼板の裏面で重複しない範囲であれば許容できる。つまり2本のレーザビームを、鋼板の裏面で重複しないように、溶接線に対して垂直方向に離隔させて配置する。その理由は、2本のレーザビームが鋼板の裏面で重複すると、鋼板の裏面(すなわちオープンパイプの内面)側からスパッタが発生し易くなるからである。
ビーム進行面の間隔を鋼板の裏面側で狭くする場合には、2本のレーザビームにそれぞれ異なる前進角を設定し、鋼板の裏面で溶接線方向(溶接進行方向)に離隔させて重複を回避するように配置することも可能である。
また、2本のレーザビームのジャストフォーカスでのスポット径(溶接線に対して垂直方向)の合計を0.5mm以上とすることが好ましい。溶接線に対して垂直方向のスポット径の合計を0.5mm以上とすることで、エッジ部の接合点を溶融メタル内に比較的容易に配置することができる。レーザビームのスポット径の合計が1mmを超えるとキーホールを維持することが困難となるため、レーザビームのスポット径の合計は1mm以下とすることが好ましい。
また本発明では、2本のレーザビームの鋼板表面におけるエネルギー密度(レーザ出力をレーザ照射面積で除したもの)をそれぞれ130kW/mm2以下として、レーザ溶接を行うことが好ましい。レーザビームの鋼板表面におけるエネルギー密度が130kW/mm2を超えると溶融メタルからのスパッタが増大し、アンダーカットやアンダーフィル等の溶接欠陥が多量に発生する。よって、各レーザビームのエネルギー密度は130kW/mm2以下とする。
なお、レーザビームのエネルギー密度は、レーザ出力の制御および光学系部品によるスポット径の制御によって調整することが可能である。
レーザ溶接を行う際には、溶接部に0.2〜1.0mmのアップセットを加えることが好ましい。アップセット量が0.2mm未満では、レーザ溶接によって生じたブローホールを消滅させることができない。一方、1.0mmを超えると、レーザ溶接が不安定になり、スパッタの発生量が増加する。
一般に、レーザ溶接時に発生するスパッタ量は、レーザ出力が低いほど少なく、また溶接速度が遅いほど少なくなる。しかしながら、スパッタ発生量を抑えるために、レーザ出力や溶接速度を低下させることは、レーザ溶接鋼管の生産性を低下させることを意味する。そこで本発明では、2本のレーザビームのレーザ出力が合計で16kWを超え、かつ7m/分を超える溶接速度でレーザ溶接を行うことが好ましい。レーザ出力が合計16kW以下では、溶接速度が7m/分以下となってしまうので、レーザ溶接鋼管の生産性低下を招く。
本発明では、オープンパイプ1のエッジ部2の接合点は、エッジ部2の間隔Gがスクイズロールにより狭まり、間隔Gの板厚方向の平均値が0.5mm以下になった箇所であればどこでも良い。
本発明では、厚肉材(たとえば4mm以上)のオープンパイプであっても、エッジ部を予熱することなく、レーザ溶接を行なうことが可能である。ただし、エッジ部をレーザ溶接に先立って高周波加熱等で予熱すれば、レーザ溶接鋼管の生産性が向上する等の効果が得られる。高周波加熱による予熱を行なえば溶接部に余盛が形成されるが、レーザ溶接の後でその余盛を切削もしくは研削によって除去すれば、溶接部の表面性状が一層良好に仕上がる。
エッジ部の予熱を行なうための補助熱源は、高周波加熱の他に、バーナ加熱,プラズマ加熱、TIG加熱,電子ビーム加熱等を利用した手段が好適である。
補助熱源とレーザビームの発振器との間隔が広がると、補助熱源による予熱の効果を得るためには大きな熱量が必要となるばかりでなく、溶接欠陥(たとえばアンダーカットやアンダーフィル等)の抑制が困難になる。そのため、補助熱源とレーザ発振器を近接して配置する。
なお、補助熱源はエッジ部の予熱を行なうものであるから、レーザビームの発振機より先行させて配置する。予熱を行なうことによって、レーザ溶接の前にエッジ部を昇温する効果に加えて、エッジ部の水分や油分を除去する効果も得られる。
本発明で使用するレーザビームの発振機は、様々な形態の発振器が使用でき、気体(たとえばCO2,ヘリウム−ネオン,アルゴン,窒素,ヨウ素等)を媒質として用いる気体レーザ,固体(たとえば希土類元素をドープしたYAG等)を媒質として用いる固体レーザ,レーザ媒質としてバルクの代わりにファイバーを利用するファイバーレーザ等が好適である。あるいは,半導体レーザを使用しても良い。
以上に説明した通り、本発明によれば、レーザ溶接管を製造するにあたってレーザビームのスポット径、照射角度を適正に保ち、かつ2本のレーザビームを適正に配列するとともに、レーザ溶接の条件を制御することによって、溶接部のアンダーカットやアンダーフィルを抑制し、かつ溶接効率を低下させることなく良好な品質の溶接部を得ることができ、レーザ溶接鋼管を歩留り良く安定して製造できる。得られたレーザ溶接鋼管は、レーザ溶接の利点を活かしてシームの低温靭性や耐食性が優れており、寒冷地や腐食環境で使用する油井管やラインパイプに好適である。
帯状の鋼板を成形ロールで円筒状のオープンパイプに成形し、そのオープンパイプのエッジ部をスクイズロールで加圧しながら、2本のレーザビームを外面側から照射してレーザ溶接鋼管を製造した。鋼板の成分は表1に示す通りである。
Figure 2012187590
レーザ溶接では、10kWのファイバーレーザ発振器を2台使用し、2本のレーザビームをそれぞれ異なるファイバーで伝送した。レーザ溶接条件は表2に示す通りである。
表2に示す発明例(溶接鋼管No.1〜4,6)は、レーザ溶接鋼管の製造条件を本発明の条件範囲に調整し、レーザ溶接鋼管を製造した例である。比較例の溶接鋼管No.5は2本のレーザビームが鋼板の裏面で重複しかつ鋼板表面でのレーザエネルギー密度が本発明の範囲を外れる例、溶接鋼管No.7は2本のレーザビームが鋼板の裏面で重複しかつジャストフォーカスでの中心点間隔が本発明の範囲を外れる例、溶接鋼管No.8はレーザビームを1本使用しかつそのジャストフォーカスでのスポット径が本発明の範囲を外れる例である。
得られたレーザ溶接鋼管を、超音波探傷試験および磁粉探傷試験に供し、JIS規格G0582およびJIS規格G0565に準拠してシームを20mにわたって探傷した。その探傷結果を表3に示す。なお表3において超音波探傷試験は、基準となるN5内外面ノッチの人工欠陥に対して、ピーク指示高さが、10%以下のものを優(◎),10%超え25%以下のものを良(○),25%超え50%以下のものを可(△),50%超えのものを不可(×)として評価した。また、磁粉探傷は、レーザ溶接鋼管の内面の溶接欠陥を検査し、溶接欠陥が認められないものを優(◎)、点状の溶接欠陥が認められたものを可(△)、線状の溶接欠陥が認められたものを不可(×)として評価した。
Figure 2012187590
Figure 2012187590
表2から明らかなように、発明例(溶接鋼管No.1〜4,6)では、超音波探傷と磁粉探傷は優(◎)または良(○)であった。また、スパッタの発生によるアンダーカットやアンダーフィルなどの溶接欠陥も認められなかった。一方、比較例(溶接鋼管No.5,7,8)では、超音波探傷は可(△)または不可(×)であり、磁粉探傷は不可(×)であった。また、スパッタの発生に起因するアンダーカットやアンダーフィルなどの溶接欠陥が認められた。
レーザ溶接鋼管を製造するにあたって、レーザ溶接鋼管を歩留り良く、安定して製造できるので、産業上格段の効果を奏する。
1 オープンパイプ
2 エッジ部
3 レーザビーム
4 キーホール(空洞)
5 溶融メタル
6 シーム

Claims (6)

  1. 鋼板を成形ロールで円筒状のオープンパイプに成形し、前記オープンパイプのエッジ部をスクイズロールで加圧しながら前記オープンパイプの外面側からレーザビームを照射して前記エッジ部をレーザ溶接するレーザ溶接鋼管の製造方法において、ジャストフォーカスでのスポット径が直径0.4mm未満の2本のレーザビームを、前記エッジ部の右側と左側にそれぞれ照射し、前記右側に照射する右レーザビームと前記左側に照射する左レーザビームの鋼板の表面での中心点間隔を0.4mm以上とし、かつ前記鋼板の裏面において前記右レーザビームと前記左レーザビームが重複しないように配置してレーザ溶接を行うことを特徴とするレーザ溶接鋼管の製造方法。
  2. 前記右レーザビームと左レーザビームの照射角度をそれぞれ5〜50°の前進角とし、かつ前記ジャストフォーカスでのスポット径の溶接線に対して垂直方向の合計を0.5mm以上とすることを特徴とする請求項1に記載のレーザ溶接鋼管の製造方法。
  3. 前記右レーザビームと前記左レーザビームの前記鋼板の表面におけるエネルギー密度をそれぞれ130kW/mm2以下とすることを特徴とする請求項1または2に記載のレーザ溶接鋼管の製造方法。
  4. 前記スクイズロールを用いてエッジ部に0.2〜1.0mmのアップセットを加えることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のレーザ溶接鋼管の製造方法。
  5. 前記右レーザビームと前記左レーザビームのレーザ出力を合計で16kW超とし、かつ溶接速度を7m/分超とすることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載のレーザ溶接鋼管の製造方法。
  6. 前記レーザ溶接に先立って前記鋼板の予熱を行い、かつ前記レーザ溶接の後で切削または研削を施して溶接ビードを加工することを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載のレーザ溶接鋼管の製造方法。
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