JP2012183669A - 液体吐出ヘッド及び画像形成装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】液体吐出ヘッドの接合信頼性を向上できる製造方法の提供。
【解決手段】接着剤として使用するエポキシ接着剤は、(A)水酸基を持たないエポキシ樹脂モノマー、(B)硬化剤、(C)式1で示されるシラノール基を持つシランカップリング剤(10重量%〜30重量%)が含まれている処方とし、エポキシ接着剤を、希釈溶剤で希釈した状態で接合する部材の一方の部材に塗布する工程と、減圧下で希釈溶剤を蒸発させる工程と、高湿度雰囲気で加湿した状態で、2つの接合する部材をエポキシ接着剤を介して接合する工程と、を行う。
Figure 2012183669

(ただし、式中、R1〜R3は、炭化水酸基(炭素数1〜3)、R4は、アミノ基,グリシジル基,エポキシ基,炭化水素鎖,エーテル鎖)
【選択図】なし

Description

本発明は液体吐出ヘッド及び画像形成装置に関する。
プリンタ、ファクシミリ、複写装置、プロッタ、これらの複合機等の画像形成装置として、例えばインク液滴を吐出する液体吐出ヘッド(液滴吐出ヘッド)からなる記録ヘッドを用いた液体吐出記録方式の画像形成装置(インクジェット記録装置)が知られている。この液体吐出記録方式の画像形成装置は、記録ヘッドからインク滴を、搬送される用紙(紙に限定するものではなく、OHPなどを含み、インク滴、その他の液体などが付着可能なものの意味であり、被記録媒体あるいは記録媒体、記録紙、記録用紙などとも称される。)に対して吐出して、画像形成(記録、印字、印写、印刷も同義語で使用する。)を行なうものであり、記録ヘッドが主走査方向に移動しながら液滴を吐出して画像を形成するシリアル型画像形成装置と、記録ヘッドが移動しない状態で液滴を吐出して画像を形成するライン型ヘッドを用いるライン型画像形成装置がある。
なお、本願において、液体吐出記録方式の「画像形成装置」は、紙、糸、繊維、布帛、皮革、金属、プラスチック、ガラス、木材、セラミックス等の媒体に液体を吐出して画像形成を行う装置を意味し、また、「画像形成」とは、文字や図形等の意味を持つ画像を媒体に対して付与することだけでなく、パターン等の意味を持たない画像を媒体に付与すること(単に液滴を媒体に着弾させること)をも意味する。また、「インク」とは、インクと称されるものに限らず、記録液、定着処理液、液体などと称されるものなど、画像形成を行うことができるすべての液体の総称として用い、例えば、DNA試料、レジスト、パターン材料、樹脂なども含まれる。また、「画像」とは平面的なものに限らず、立体的に形成されたものに付与された画像、また立体自体を三次元的に造形して形成された像も含まれる。
液体吐出ヘッドとしては、従来から、液滴を吐出する複数のノズルが形成されたノズル板と、ノズルがそれぞれ連通する液室を形成する流路板と、液室の一部の壁面を形成する変形可能な振動領域を有し、流路板に接合された振動板部材と、振動板部材の振動領域に接合された駆動柱と、振動板部材の液室間の隔壁に対応する部位に接合された支柱部材である非駆動柱とを有する圧電部材とを備えた圧電型ヘッドが知られている。
このような圧電型ヘッドのノズル板、流路板、振動板部材は接着剤で接合され、従来、接着剤としては、エポキシ樹脂として脂環式エポキシ樹脂及びビスフェノール型エポキシ樹脂、硬化剤として光カチオン重合開始剤及び/又は熱カチオン重合開始剤、添加剤として有機ケイ素化合物を少なくとも含有し、該有機ケイ素化合物が光照射及び/又は加熱及び/又は加水分解によってシラノール基を生成する化合物であるものが知られている(特許文献1)。
特許第3986000号公報
ところで、画像形成装置で使用する液体であるインクとしては、水性インク、油性インクが知られている。また、紙媒体への印字におけるカールの抑制や非吸収性フィルム媒体への印字のためのインクが開発されている。例えば、カール抑制インクとしてはインク中の水分を抑え、溶剤を増やした組成のものがあり、これは従来の水性に比べて水溶性有機溶媒の特性がより強く表れたインクとなっている。また、非吸収性フィルム媒体への印字インクは、メチルピロリドンのような溶解性の高い溶媒を多く添加するインクとなっており、従来の水性インクに比べて有機物への攻撃性が高くなっている。
このように、液体吐出ヘッドのノズル板、流路板、振動板部材を接合する接着剤は、多種多様なインクに晒されることになり、また、高周波の圧力変動を受けることなる。そのため、接着剤がインクによって劣化したり、接合界面にインクが浸透して接着剤が劣化して接合部材間の界面剥離が生じるなどの課題が生じる。
そのため、ヘッド部品を接合する接着剤は、使用される液体に対して耐性を持ち、かつ接合界面への浸透による乖離を極力抑えて十分な接合強度を維持するものが望まれている。
本発明は上記の課題に鑑みてなされたものであり、接合信頼性を向上することを目的とする。
上記の課題を解決するため、本発明に係る液体吐出ヘッドの製造方法は、
液滴を吐出するノズルが形成されたノズル板と、前記ノズルが連通する液室を形成する流路板と、前記液室の一部の壁面を形成する振動板部材と、の少なくとも2つの部材を接着剤で接合した液体吐出ヘッドの製造方法において、
前記接着剤は、
(A)水酸基を持たないエポキシ樹脂モノマー
(B)硬化剤
(C)式(1)で示されるシラノール基を持つシランカップリング剤(10重量%〜30重量%)
Figure 2012183669
(ただし、式中、R1〜R3は、炭化水酸基(炭素数1〜3)、R4は、アミノ基,グリシジル基,エポキシ基,炭化水素鎖,エーテル鎖)
を含有するエポキシ接着剤であり、
前記エポキシ接着剤を、希釈溶剤で希釈した状態で接合する部材の一方の部材に塗布する工程と、
減圧下で前記希釈溶剤を蒸発させる工程と、
高湿度雰囲気で加湿した状態で、2つの接合する部材を前記エポキシ接着剤を介して接合する工程と、を行う
構成とした。
ここで、前記エポキシ接着剤で接合される2つの部材の少なくとも一方の部材がSUSで形成されている構成とできる。
また、前記エポキシ接着剤で接合される2つの部材の少なくとも一方の部材にシランカップリング処理が行われている構成とできる。
本発明に係る液体吐出ヘッドは、本発明に係る液体吐出ヘッドの製造方法で製造されたものである。
本発明に係る画像形成装置は、本発明に係る液体吐出ヘッドを備えているものである。
本発明に係る液体吐出ヘッドの製造方法によれば、(A)水酸基を持たないエポキシ樹脂モノマー、(B)硬化剤、(C)前記式(1)で示されるシラノール基を持つシランカップリング剤(10重量%〜30重量%)を含有するエポキシ接着剤であり、
前記エポキシ接着剤を、希釈溶剤で希釈した状態で接合する部材の一方の部材に塗布する工程と、
減圧下で前記希釈溶剤を蒸発させる工程と、
高湿度雰囲気で加湿した状態で、2つの接合する部材を前記エポキシ接着剤を介して接合する工程と、を行う
構成としたので、使用される液体に対して耐性を持ち、かつ接合界面への浸透による乖離を極力抑えて十分な接合強度を維持し、接合信頼性を向上することができ、ヘッドの寿命が長くなる。
本発明に係る液体吐出ヘッドによれば、本発明に係る液体吐出ヘッドの製造方法で製造されたものであるので、長期に亘り安定した滴吐出を行うことができる。
本発明に係る画像形成装置によれば、本発明に係る液体吐出ヘッドを備えているので、長期に亘り安定した滴吐出を行って高品質画像を形成することができ、る。
本発明に係る液体吐出ヘッドの実施形態を示すノズル配列方向と直交する方向に沿う断面説明図である。 同じくノズル配列方向に沿う方向の一例を示す断面説明図である。 同じくノズル配列方向に沿う方向の他の例を示す断面説明図である。 本発明に係る画像形成装置の一例を示す全体構成図である。 同じく要部平面説明図である。
以下、本発明の実施の形態について添付図面を参照して説明する。まず、本発明に係る液体吐出ヘッドの実施形態について図1及び図2を参照して説明する。なお、図1は同液体吐出ヘッドのノズル配列方向と直交する方向に沿う断面説明図、図2は同じくノズル配列方向に沿う断面説明図である。
この液体吐出ヘッドは、SUS基板で形成した流路板(流路部材、液室基板)1と、この流路板1の下面に接合した振動板部材2と、流路板1の上面に接合したノズル板3とを有し、これらによって液滴を吐出するノズル4が連通する個別流路としての加圧液室(圧力室、加圧室、流路などとも称される。)6、加圧液室6に液体であるインクを供給する供給路を兼ねた流体抵抗部7を形成し、複数の加圧液室6には後述するフレーム部材17の共通液室8からインクが供給される。
ここで、流路板1は、厚み50μmのSUS基板を、酸性エッチング液を用いてエッチング、あるいは打ち抜きなどの機械加工することで、各加圧液室6、流体抵抗部7、後述するダンパ室20などの開口をそれぞれ形成している。なお、流路板1は、例えば、Si、Ni、また、42アロイ、SUS304などを用いることができる。
また、流路板1の液体に接する面には、窒化チタン膜あるいはポリイミドなどの有機樹脂膜からなる耐液性薄膜を成膜しても良い。このような耐液性薄膜を形成することで、流路板材料が液体に対して溶出しにくく、また濡れ性も向上するため気泡の滞留が生じにくくなり、安定した滴吐出が可能になる。
なお、本発明において「層」や「膜」は、実質的な平らな全ての構造物を含む意味に用いる。
振動板部材2は、流路板1に接着材51で接合している。この振動板部材2は、第1層2aと第2層2bとを有する。この振動板部材2は、例えば、第1層2aをポリイミドなどの樹脂部材で、第2層2bを金属部材として積層接合したもの、あるいは、ニッケルの電鋳による金属プレートから形成したもの、あるいは全体を樹脂層としたものなどを用いることもできる。
ここで、金属部材としては、Ni、42アロイ、SUS304などを用いることができる。また、樹脂部材としては、圧延フィルムなどを用いることもできる。さらに、SiO2やTi等の金属膜を表面に形成することにより液体の透湿を低減することができる。全体を樹脂層とした場合には、金属層に比べ、振動領域の剛性が低くなることで変位効率を阻害することもなくなる。また、流路板1が金属である場合、樹脂層と金属との接合は金属同士の接合より接合強度が増す。
また、後述する圧電部材12との接合領域に接着剤に対して親和性を示す処理を行うこともできる。親和性を示す処理として水酸基やSiO2薄膜層を形成する。SiO2薄膜層の形成には、比較的熱のかからない、すなわち振動板部材3に熱的影響の発生しない範囲の温度で成膜可能な方法で形成する。例えば、スパッタリング、イオンビーム蒸着、イオンプレーティング、CVD(化学蒸着法)、P−CVD(プラズマ蒸着法)などが適している。
また、樹脂層で振動板部材3を形成する場合、ポリフェニレンサルフアイド(PPS)、延伸可能な他の高分子材料、例えば、ポリイミド(PI)樹脂、ポリエーテルイミド(PEI)樹脂、ボリアミドイミド(PAI)樹脂、ポリバラバン酸(PPA)樹脂、ボリサルホン(PSF)樹脂、ポリエーテルサルホン(PES)樹脂樹脂、ポリエーテルケトン(PEK)樹脂、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)樹脂、ポリオレフィン(APO)樹脂、ポリエチレンナフタレート(PEN)樹脂、アラミド樹脂、ポリプロピレン樹脂、塩化ビニリデン樹脂、ポリカーネート樹脂等を用いることもできる。
ノズル板3は、各加圧液室6に対応して直径10〜30μmの多数のノズル4を形成し、流路基板1に接着剤51で接合している。このノズル板3としては、ステンレス、ニッケルなどの金属、ポリイミド樹脂フィルムなどの樹脂、シリコン、及びそれらの組み合わせからなるものを用いることができる。また、ノズル面(吐出方向の表面:吐出面)には、インクとの撥水性を確保するため、メッキ被膜、あるいは撥水剤コーティングなどの周知の方法で撥水膜を形成している。
そして、振動板部材2には、各加圧液室6に対応して第1層2aで形成した変形可能な領域であるダイアフラム部2Aの中央部に第2層2bの2層構造の凸部2Bを形成し、この凸部2Bに圧力発生手段(アクチュエータ手段)を構成する圧電部材12に形成された柱状の駆動柱12Aをそれぞれ接合している。また、各加圧液室6の隔壁6Aに対応して圧電部材12に形成された柱状の非駆動柱12Bを接合している。このような構成をバイピッチ構造というが、図3に示すように、すべての圧電柱を駆動柱12Aとするノーマルピッチ構造とすることもできる。
これらの駆動柱12A及び支柱部となる非駆動柱12Bは積層型圧電部材12にハーフカットのダイシングによるスリット加工を施して櫛歯状に分割して形成したもので、非駆動柱12Bも圧電素子であるが駆動電圧を印加しないために単なる支柱部となっている。この積層型圧電部材12はベース部材13に接合している。
なお、圧電部材12は、例えば厚さ10〜50μm/1層のチタン酸ジルコン酸鉛(PZT)の圧電層と、厚さ数μm/1層の銀・パラジューム(AgPd)からなる内部電極層とを交互に積層したものであり、内部電極を交互に端面の端面電極(外部電極)である個別電極、共通電極に電気的に接続し、これらの電極にFPCケーブル16を介して駆動信号を供給するようにしている。
また、圧電部材12の圧電方向としてd33方向の変位を用いて加圧液室6内インクを加圧する構成とすることも、圧電素子12の圧電方向としてd31方向の変位を用いて加圧液室6内インクを加圧する構成とすることもできる。本実施形態ではd33方向の変位を用いた構成をとっている。
さらに、振動板部材2の周囲には例えばエポキシ系樹脂或いはポリフェニレンサルファイト(PPS)で射出成形により形成したフレーム部材17を接着剤で接合している。
このフレーム部材17には、各加圧液室6にインクを供給する共通液室8を形成し、共通液室8から振動板部材2に形成した供給口9、流体抵抗部7の上流側に形成した流路10、流体抵抗部7を介して加圧液室6にインクが供給される。なお、フレーム部材17には共通液室8に外部からインクを供給するためのインク供給口19も形成される。
そして、この共通液室8内の圧力変動を吸収減衰させるためのダンパ手段を設けている。このダンパ手段は、共通液室8の一部の壁面を形成する変形可能なる振動板部材2の第1層2aのみからなる薄肉部21で形成されている。こうすることで、吐出時の共通液室8内の圧力変動を抑制することができ、高速で多ビットを吐出させた場合でも安定して吐出させることができる。なお、薄肉部21の他面側はダンパ室20に臨んでいる。
なお、図2に示すバイピッチ構造の場合、流路板1の厚さは、100μm〜600μmとし、液室6の長手方向の長さは、400μm〜1600μm、短手方向の長さ(幅)は120〜139μmとしている。流路隔壁6Aの幅は振動板部材2との接合面で約15〜50μm(液室ピッチを150dpiとしたとき)である。また、図2に示すノーマルピッチ構造の場合、流路板1の厚さは、100μm〜600μmとし、液室6の長手方向の長さは、400μm〜1200μm、短手方向の長さ(幅)は50〜70μmとしている(液室ピッチが300dpiとしたとき)。
このように構成した液体吐出ヘッドにおいては、例えば駆動柱12Aに印加する電圧を基準電位から下げることによって駆動柱12Aが収縮し、振動板部材2が下降して加圧液室6の容積が膨張することで、加圧液室6内にインクが流入し、その後駆動柱12Aに印加する電圧を上げて駆動柱12Aを積層方向に伸長させ、振動板部材2をノズル4方向に変形させて加圧液室6の容積を収縮させることにより、加圧液室6内のインクが加圧され、ノズル4からインクの滴が吐出(噴射)される。
そして、駆動柱12Aに印加する電圧を基準電位に戻すことによって振動板部材2が初期位置に復元し、加圧液室6が膨張して負圧が発生するので、このとき、共通液室8から加圧液室6内にインクが充填される。そこで、ノズル4のメニスカス面の振動が減衰して安定した後、次の液滴吐出のための動作に移行する。
なお、このヘッドの駆動方法については上記の例(引き−押し打ち)に限るものではなく、駆動波形の与えた方によって引き打ちや押し打ちなどを行うこともできる。
次に、流路板1、振動板部材2、ノズル板3を接合する接着剤51及び接合方法について説明する。
まず、親水性有機溶剤や水分などのインクを構成する成分が。接着剤51や接着界面に浸透することで剥離を促進し、接着強度が低下することになる。そのため、接着剤51へのインクの浸透を抑えることが重要である。インクの浸透を抑制するには、硬化後の構造面からは接着剤51の密度を向上させ、接着剤51の膨潤を押さえ込むことと、化学面からはインクと合い交えない組成として浸透を防ぐことが必要となる。
エポキシ樹脂は金属接着剤としてもよく用いられる材料である。このような金属接着剤として用いられるようなエポキシ樹脂として、水酸基を持つモノマーを硬化させた接着剤があり、エポキシ樹脂の持つ水酸基と金属表面の酸化膜につく水酸基の間に働く水素結合の力で非常に強い接着力を持たせている。
しかしながら、水酸基を持つエポキシ樹脂は、ヘッド内のインクから透湿した水により水素結合が切れて、接合界面の密着性が徐々に低下する。ただし、エポキシ接着剤は、複数のエポキシ基が三次元架橋を行うことで接着するため、他の接着剤に比べて架橋密度が高く膨潤しにくいことから、水性インクに対しては比較的効果的である。ところが、カールの抑制インクや非吸収性フィルム媒体用のインクのような親水性有機溶剤が多いインクを用いる場合には強度低下を抑制することができない。
そこで、本発明では、まず、接着剤51として使用するエポキシ接着剤は、
(A)水酸基を持たないエポキシ樹脂モノマー
(B)硬化剤
(C)式(1)で示されるシラノール基を持つシランカップリング剤(10重量%〜30重量%)が含まれている処方としている。
Figure 2012183669
(ただし、式中、R1〜R3は、炭化水酸基(炭素数1〜3)、R4は、アミノ基,グリシジル基,エポキシ基,炭化水素鎖,エーテル鎖)
このように、水酸基を持たないエポキシ樹脂モノマーが硬化したエポキシ樹脂は、吸湿による性能の劣化が比較的緩やかとなる。これは次の理由による。水酸基間で働く水素結合は物理的な結合力は強いものの、化学的には水による反応で容易に加水分解してしまう性質のものである。水酸基を持たないエポキシ樹脂モノマーが硬化したエポキシ樹脂は、エポキシ基が開環してできる水酸基以外には水酸基を持たないため、硬化物は比較的水酸基の濃度の低い樹脂となる。水素結合もできにくい。したがって結合力の変化もしにくい。
一方、液体吐出ヘッドは、内部は常にインク又は充填液で濡れた環境に晒され、接着剤は常に湿度100%の環境に置かれることになる。したがって、前記のようにエポキシ樹脂モノマーからなる接着剤を用いることが、より有益であることは明らかである。
この場合、水酸基が無いモノマーだけで構成したのでは基礎的な密着性が不足する。そこで、本発明では、さらに式1で示されるシラノール基を持つ構造のシランカップリング剤を10重量%〜30重量%の割合で接着剤に含有させている。
ここで、シランカップリング剤のシラノール基は周囲の水分と反応して水酸基と1級アルコールを作る。この水酸基が接合界面にある水酸基と脱水縮合して化学結合を作ることにより接着剤と接合部材との間に強い密着性を持たせることができる。
これを利用して、接着性を高めるために、接着界面の下地処理としてシランカップリング剤を塗布し、エポキシ接着剤に混合すること(インテグラルブレンド法)が一般的に行われている。インテグラルブレンド法では、通常0.5〜2重量%程度が通例である。理由は、これ以上充填する割合を増やしても密着強度の増加が望めないことにある。
これに対し、本発明のエポキシ接着剤では、シランカップリング剤を接着剤に10重量%〜30重量%含有させている。
つまり、10重量%以上もの大量シランカップリング剤をエポキシ接着剤に混合し、塗布した後に減圧雰囲気で接着剤の希釈溶剤を揮発させることで接着剤表面にシランカップリング剤が濃縮して形成できるようになる。
そして、濃縮して接着剤界面に露出したシランカップリング剤に高湿度雰囲気で加湿を行うことで、空気中の水分と脱水縮合してシロキサン結合を形成する。シロキサン結合は、非常に強固、且つ高密度であり、耐薬品性も強い。このため、界面近傍において膨潤をよく抑制して、強度低下を防ぐことができる。
加湿は、70〜90%の範囲で20分程度行なうことが好ましく、40分以上加湿させると失活して、接合強度が低下することが分かっている。
一方、シランカップリング剤を30重量%より多く含有すると、接着強度が逆に低下する。接着剤中にあって水酸基を作れないシランカップリング剤の割合が多すぎるようになり、このようなシランカップリング剤はエポキシ樹脂と片末端でしか結合しないため、架橋密度が低くなりすぎて、樹脂全体の膨潤率が高くなってしまう。したがって、添加量は30%以下とすることが好ましい。
シランカップリング剤は、ジアルキルシロキシ基を持つ構造であっても良いが、トリアルキルシロキシ基を持つシランカップリング剤の方が、接着後の密着性の低下率において低い。
なお、本発明の接着剤に含まれるシランカップリング剤は10%〜30%と従来の接着剤と比較しても多く、このため短時間では十分にメトキシシランが加湿分解して水酸基を出さず、長時間過ぎるとシランカップリング剤同士がオリゴマー化して失活してしまう。そこで、ちょうど良い時間と湿度に合せて管理することで、接着剤は最大の接液性を発揮し、また製造バラツキを抑えることができる。
カップリング剤としては次のもの挙げることができる。
・シランカップリング剤
2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン
N−2(−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−2(−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、N−2(−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−2(−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、(1,3−ジメチル−ブチリデン)−プロピルアミン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N,N−ビス(3−(トリメトキシシリル)プロピル)エチレンジアミン、N−(1,3−ジメチルブチリデン)−3−(トリエトキシシリル)−1−プロパンアミン、3−フェニルアミノプロピルトリメトキシシラン、
アミノエチル−3−アミノプロピルトリメトキシシランの塩酸塩、N−(2−(ビニルベンジンアミノ)エチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシランの塩酸塩、1,2−エタンジアミン,N−{3−(トリメトキシシリル)プロピル}−,N−{(エテニルフェニル)メチル}誘導体・塩酸塩
3−クロロプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、ビス(トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、3-イソシアネートプロピルトリエトキシシラン
シランカップリング剤の有機性基に関してはエポキシ樹脂と反応する官能基を有するものが好ましく、上記のカップリング剤はその一例である。
本発明のエポキシ接着剤に含む硬化剤としては、次のものが挙げられる。
脂肪族ポリアミン、脂環式ポリアミン、芳香族ポリアミン、ポリアミノアミド等の1級、2級アミン類、酸無水物類、カルボン酸、フェノール類、メルカプタン類、イソシアネート類等の硬化剤、3級アミン類、イミダゾール類等のアニオン重合触媒、ルイス酸類等のカチオン重合触媒、ジシアンジアミド、有機酸ジヒドラジド類、N,N−ジメチル尿素誘導体、アミンアダクト類、メラミン類、アミンイミド類、ハロゲン化ホウ素錯体、ブロックカルボン酸類、およびそれらの変性物、それらのアダクト化物、それらのマイクロカプセル化物等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。これらの熱潜在性硬化剤は、単独または2種類以上を混合して使用することができる。
これらのうちで好ましいものとしては、ジシアンジアミド、N,N−ジメチル尿素誘導体、室温で固体のイミダゾール、固体分散型アミンアダクト系潜在性硬化剤、アミン化合物とエポキシ化合物との反応生成物(アミン−エポキシアダクト系)、アミン化合物とイソシアネート化合物または尿素化合物との反応生成物(尿素型アダクト系)、ジメチルウレアが挙げられる。
これら潜在性硬化促進剤は、三菱化学、四国化成工業、味の素ファインテクノ、アデカ、旭化成ケミカルズ、富士化成工業などから購入することが可能である。
特に、アミン系硬化剤で結合した接着剤は、強度低下しにくい。理由は次のように考えられるが、本発明はこれに限られない。つまり、アミン系硬化剤は結合時にエポキシ基が開環してアミド結合を作るが、前記アミド結合でできる水酸基はアルコール性水酸基と比べ電気吸引性が弱く、水素結合を作りにくい。
エポキシ接着剤を構成するエポキシ樹脂については、エポキシ基を有する多官能化合物を使用することで、三次元架橋を構成した硬化物が得られる。エポキシ樹脂としてはグリシジル基の結合部位によって、グリシジルエ−テル系、グリジルエステル系、グリシジルアミン系などと分けることができ、また結合母体となる化合物によっても幅広く化合物が得られている。
このような多官能エポキシを重合した樹脂は比較的低吸湿率、高Tgとなることが知られている。このため、半導体の保護剤、あるいは回路基板の保護剤などとして主に用いられている。
三次元架橋は多いほど膨潤を抑制する反面、樹脂は剛直になる。また、架橋点には水酸基があるため、架橋点密度は大きすぎても接液性が悪くなる。
接着剤を希釈する希釈溶剤としては、エポキシ基と反応性がある活性水素のある溶剤より活性水素のない溶剤が接着剤の保存性の面から好ましいが、部材への濡れ性や乾燥速度、粘度等の面から自由に選択することが可能であり、完全に溶解した状態ではなく分散した状態であっても乾燥時に接着剤層が形成されるなら、問題なく使用可能である。
エポキシ接着剤には上記のエポキシ樹脂や硬化剤、溶剤、カップリング剤以外に、フィラーやその他のバインダー樹脂、粘度調整剤などを含んでもよい。フィラーとしてはシリカやアルミナのような無機粒子で有っても、メラミン樹脂やアクリル樹脂の樹脂微粒子で有っても良い。また粘度調整剤として高級脂肪酸アマイドなどを添加して、接着剤の塗工にて適した粘度に調整することも可能である。また塗膜に泡による塗布斑が発生しないために抑泡剤や消泡剤を添加しても良い。
そして、(A)水酸基を持たないエポキシ樹脂モノマー、(B)硬化剤、(C)前記の式1で示されるシラノール基を持つシランカップリング剤(10重量%〜30重量%)を含有するエポキシ接着剤を、希釈溶剤で希釈した状態で接合する部材の一方の部材(例えば、流路板1、振動板部材2、ノズル板3のいずれか又は両方)に塗布する工程と、減圧下で希釈溶剤を蒸発させる工程と、高湿度雰囲気で加湿した状態で、2つの接合する部材(流路板1と振動板部材2、流路板1とノズル板3)をエポキシ接着剤を介して接合する工程とを行う構成とすることで、使用される液体に対して耐性を持ち、かつ接合界面への浸透による乖離を極力抑えて十分な接合強度を維持し、接合信頼性を向上することができ、ヘッドの寿命が長くなる。
そして、このようにして製造された液体吐出ヘッドは、長期に亘り安定した滴吐出を行うことができる。
次に、具体的な実施例について説明する。
<エポキシ接着剤評価方法>
(1)初期接着性:剥離強度試験で行った。
剥離試験:幅140μm、長さ2000μmのスリットを150dpiピッチで形成し、幅19mm、厚み40μmの圧延SUS304板に、接着面に対して表1及び表2に示す調整例1ないし12のエポキシ接着剤を、乾燥膜厚で1.0μm以下になるように塗布し、溶剤を減圧乾燥させ、85%RHに保った密閉空間に20分放置した後、加圧しつつ加熱して接着したサンプルを卓上型材料試験機((株)オリエンテック製、テンシロンSTA−1150)にて90°方向剥離強度測定1mm/minの速度で5mm剥離させたときの平均剥離強度を測定した。評価結果は、○:2N以上、△:1.5〜2N未満、×:1.5N以下とした。結果を表1及び表2に示している。
(2)接着信頼性:剥離強度試験、引っ張り強度試験硬化接着後、サンプルを耐インク試験(インク浸漬;評価インクA ,60℃、2週間)を実施後、剥離試験及び引っ張り強度試験を行った。そして、初期剥離強度と比較し、剥離強度低下率を求めた。評価結果は、
初期接着性:○:2N以上、△:1.5〜2N未満、×:1.5N以下と、
接着信頼性:○:低下率5%以下、△:低下率5%〜10%未満、×:低下率10%以上1.5N以下とした。結果を表1及び表2に示している。
なお、表1、表2における、各組成の具体例は、次のとおりである。
OH基レス(水酸基を含まない)エポキシ樹脂、DIC製HP−4032D(商品名)、
通常のエポキシ樹脂:三菱化学製jER1010(商品名)、
硬化剤A:三菱化学製jERキュアDICY15(商品名)、
硬化剤B:四国化成工業製キュアゾール2PZ(商品名)、
フィラー:EVONIK製AEROSIL RY200(商品名)、
溶剤A:メチルエチルケトン、
溶剤B:メチルエチルケトン(硬化剤希釈用)
溶剤C:N−メチル−2−ピロリゾン(DICY溶解用)
硬化促進剤:四国化成工業製キュアゾール2MZ(商品名)、
カップリング剤:信越化学製KBM−403
Figure 2012183669
Figure 2012183669
<インクジェットヘッド吐出評価>
インクジェットヘッドに関しては、前記実施形態に準じたヘッドを、表1及び表2に示す調整例1ないし12のエポキシ接着剤を用いて実施例1ないし12として、流路板とノズル板を接合させ、評価用のインクジェットヘッドとした。作製したインクジェットヘッドは、表2に示すようにインクと接着剤の組合せに応じて評価を行った。インクジェットヘッドの評価は、次のとおりである。結果を表3及び表4に示している。
(a)インク充填性:インクジェットヘッドに対して、ヘッドにインクを供給できるように配管し、ノズル面側から50kPa、1分間吸引後、ヘッド面をメンテナンスし、適切な負圧を形成して吐出させたときの、吐出率(吐出ノズル数/全ノズル数×100)を評価した。評価結果は、吐出率が98%以上を○、吐出率が90%以上を△、吐出率が90%未満を×とした。
(b)耐インク信頼性:インクを充填したインクジェットヘッドを、60℃、3ヶ月間放置し、放置後の吐出速度の状態を評価した。評価結果は、全ノズルの吐出速度が放置前の平均に対して±10%未満を満たす場合を○、それ以上の場合を×とした。
Figure 2012183669
Figure 2012183669
なお、上記各実施形態の液体吐出ヘッドにインクを供給するタンクを一体にしたインクカートリッジを構成することもできる。
次に、本発明に係る液体吐出ヘッドを備える本発明に係る画像形成装置の一例について図4及び図5を参照して説明する。なお、図4は同装置の機構部の全体構成を説明する概略構成図、図5は同機構部の要部平面説明図である。
この画像形成装置はシリアル型画像形成装置であり、左右の側板221A、221Bに横架したガイド部材である主従のガイドロッド231、232でキャリッジ233を主走査方向に摺動自在に保持し、図示しない主走査モータによってタイミングベルトを介して矢示方向(キャリッジ主走査方向)に移動走査する。
このキャリッジ233には、イエロー(Y)、シアン(C)、マゼンタ(M)、ブラック(K)の各色のインク滴を吐出するための本発明に係る液体吐出ヘッドと同ヘッドに供給するインクを収容するタンクを一体化した液体吐出ヘッドユニットからなる記録ヘッド234を複数のノズルからなるノズル列を主走査方向と直交する副走査方向に配列し、インク滴吐出方向を下方に向けて装着している。
記録ヘッド234は、それぞれ2つのノズル列を有する液体吐出ヘッドユニット234a、234bを1つのベース部材に取り付けて構成したもので、一方のヘッド234aの一方のノズル列はブラック(K)の液滴を、他方のノズル列はシアン(C)の液滴を、他方のヘッド234bの一方のノズル列はマゼンタ(M)の液滴を、他方のノズル列はイエロー(Y)の液滴を、それぞれ吐出する。なお、ここでは2ヘッド構成で4色の液滴を吐出する構成としているが、1ヘッド当たり4ノズル列配置とし、1個のヘッドで4色の各色を吐出させることもできる。
また、記録ヘッド234のタンク235には各色の供給チューブ236を介して、供給ユニット224によって各色のインクカートリッジ210から各色のインクが補充供給される。
一方、給紙トレイ202の用紙積載部(圧板)241上に積載した用紙242を給紙するための給紙部として、用紙積載部241から用紙242を1枚ずつ分離給送する半月コロ(給紙コロ)243及び給紙コロ243に対向し、摩擦係数の大きな材質からなる分離パッド244を備え、この分離パッド244は給紙コロ243側に付勢されている。
そして、この給紙部から給紙された用紙242を記録ヘッド234の下方側に送り込むために、用紙242を案内するガイド部材245と、カウンタローラ246と、搬送ガイド部材247と、先端加圧コロ249を有する押さえ部材248とを備えるとともに、給送された用紙242を静電吸着して記録ヘッド234に対向する位置で搬送するための搬送手段である搬送ベルト251を備えている。
この搬送ベルト251は、無端状ベルトであり、搬送ローラ252とテンションローラ253との間に掛け渡されて、ベルト搬送方向(副走査方向)に周回するように構成している。また、この搬送ベルト251の表面を帯電させるための帯電手段である帯電ローラ256を備えている。この帯電ローラ256は、搬送ベルト251の表層に接触し、搬送ベルト251の回動に従動して回転するように配置されている。この搬送ベルト251は、図示しない副走査モータによってタイミングを介して搬送ローラ252が回転駆動されることによってベルト搬送方向に周回移動する。
さらに、記録ヘッド234で記録された用紙242を排紙するための排紙部として、搬送ベルト251から用紙242を分離するための分離爪261と、排紙ローラ262及び排紙コロ263とを備え、排紙ローラ262の下方に排紙トレイ203を備えている。
また、装置本体の背面部には両面ユニット271が着脱自在に装着されている。この両面ユニット271は搬送ベルト251の逆方向回転で戻される用紙242を取り込んで反転させて再度カウンタローラ246と搬送ベルト251との間に給紙する。また、この両面ユニット271の上面は手差しトレイ272としている。
さらに、キャリッジ233の走査方向一方側の非印字領域には、記録ヘッド234のノズルの状態を維持し、回復するための回復手段を含む本発明に係るヘッドの維持回復装置である維持回復機構281を配置している。この維持回復機構281には、記録ヘッド234の各ノズル面をキャピングするための各キャップ部材(以下「キャップ」という。)282a、282b(区別しないときは「キャップ282」という。)と、ノズル面をワイピングするためのブレード部材であるワイパーブレード283と、増粘した記録液を排出するために記録に寄与しない液滴を吐出させる空吐出を行うときの液滴を受ける空吐出受け284などを備えている。
また、キャリッジ233の走査方向他方側の非印字領域には、記録中などに増粘した記録液を排出するために記録に寄与しない液滴を吐出させる空吐出を行うときの液滴を受ける空吐出受け288を配置し、この空吐出受け288には記録ヘッド234のノズル列方向に沿った開口部289などを備えている。
このように構成したこの画像形成装置においては、給紙トレイ202から用紙242が1枚ずつ分離給紙され、略鉛直上方に給紙された用紙242はガイド245で案内され、搬送ベルト251とカウンタローラ246との間に挟まれて搬送され、更に先端を搬送ガイド237で案内されて先端加圧コロ249で搬送ベルト251に押し付けられ、略90°搬送方向を転換される。
このとき、帯電ローラ256に対してプラス出力とマイナス出力とが交互に繰り返すように、つまり交番する電圧が印加され、搬送ベルト251が交番する帯電電圧パターン、すなわち、周回方向である副走査方向に、プラスとマイナスが所定の幅で帯状に交互に帯電されたものとなる。このプラス、マイナス交互に帯電した搬送ベルト251上に用紙242が給送されると、用紙242が搬送ベルト251に吸着され、搬送ベルト251の周回移動によって用紙242が副走査方向に搬送される。
そこで、キャリッジ233を移動させながら画像信号に応じて記録ヘッド234を駆動することにより、停止している用紙242にインク滴を吐出して1行分を記録し、用紙242を所定量搬送後、次の行の記録を行う。記録終了信号又は用紙242の後端が記録領域に到達した信号を受けることにより、記録動作を終了して、用紙242を排紙トレイ203に排紙する。
このように、この画像形成装置では、本発明に係る液体吐出ヘッドを記録ヘッドとして備えるので、高画質画像を形成することができる。
なお、上記実施形態では本発明をシリアル型画像形成装置に適用した例で説明したが、ライン型画像形成装置にも同様に適用できる。また、前述したように狭義のインク以外の液体や定着処理液などを用いる画像形成装置にも適用することができる。
1 流路板
2 振動板部材
3 ノズル板
4 ノズル
5 ノズル連通路
6 加圧液室
7 流体抵抗部
8 導入部
10 共通液室
12 圧電部材
12A 駆動柱
12B 非駆動柱
51 接着剤
233 キャリッジ
234a、234b 記録ヘッド

Claims (5)

  1. 液滴を吐出するノズルが形成されたノズル板と、前記ノズルが連通する液室を形成する流路板と、前記液室の一部の壁面を形成する振動板部材と、の少なくとも2つの部材を接着剤で接合した液体吐出ヘッドの製造方法において、
    前記接着剤は、
    (A)水酸基を持たないエポキシ樹脂モノマー
    (B)硬化剤
    (C)式(1)で示されるシラノール基を持つシランカップリング剤(10重量%〜30重量%)
    Figure 2012183669
    (ただし、式中、R1〜R3は、炭化水酸基(炭素数1〜3)、R4は、アミノ基,グリシジル基,エポキシ基,炭化水素鎖,エーテル鎖)
    を含有するエポキシ接着剤であり、
    前記エポキシ接着剤を、希釈溶剤で希釈した状態で接合する部材の一方の部材に塗布する工程と、
    減圧下で前記希釈溶剤を蒸発させる工程と、
    高湿度雰囲気で加湿した状態で、2つの接合する部材を前記エポキシ接着剤を介して接合する工程と、を行う
    ことを特徴とする液体吐出ヘッドの製造方法。
  2. 前記エポキシ接着剤で接合される2つの部材の少なくとも一方の部材がSUSで形成されていることを特徴とする請求項1に記載の液体吐出ヘッドの製造方法。
  3. 前記エポキシ接着剤で接合される2つの部材の少なくとも一方の部材にシランカップリング処理が行われていることを特徴とする請求項1又は2に記載の液体吐出ヘッドの製造方法。
  4. 請求項1ないし3のいずれかに記載の液体吐出ヘッドの製造方法で製造されたことを特徴とする液体吐出ヘッド。
  5. 請求項4に記載の液体吐出ヘッドを備えていることを特徴とする画像形成装置。
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