JP2012166517A - 樹脂成形品の射出成形方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】樹脂成形品を射出圧縮成形方法又は射出プレス成形方法によって成形する射出成形方法において、型締め時の金型キャビティの弾性変形量を低下させて、金型キャビティ形状の変形を樹脂成形品の許容変形量以下にすることにより、低歪みで部品寸法精度が高く、高い平滑性や透光性を備えた樹脂成形品を成形する射出成形方法を提供する。
【解決手段】金型キャビティへ、予め算出された冷却固化収縮量が加算された樹脂量が射出充填される射出充填工程と、前記射出工程の途中又は完了後、賦形に必要な第1型締力で前記金型が型締めされる圧縮工程と、前記圧縮工程に引き続いて、型締力に対する前記金型キャビティの弾性変形量の関係に基づき、前記弾性変形量が、前記樹脂成形品の許容変形量以下になる第2型締力まで、前記第1型締力が減圧される型締力緩和制御が行われる保圧工程と、を有することを特徴とする射出成形方法によって達成される。
【選択図】図3

Description

本発明は、樹脂成形品を射出圧縮成形方法又は射出プレス成形方法によって成形する射出成形方法に関する。
射出成形方法によって成形される樹脂成形品は、冷却固化の過程で歪みや変形が発生することが一般的である。これら樹脂成形品の歪みや変形は、樹脂内圧力(残留応力)の分布、樹脂温度分布、樹脂流動時のせん断力(樹脂配行)、溶融層とスキン層の比率分布、あるいは結晶化度の分布(結晶性樹脂の場合)等、更には、型締め時の金型の弾性変形等に起因するが、特に樹脂内圧力(残留応力)の影響が大きいとされている。その中でも、型開閉方向の金型キャビティ厚みに対して、金型投影面積の大きな金型キャビティで成形される樹脂成形品では、その金型投影面積が大きいほど、樹脂が金型キャビティへ充填されるゲート部から金型キャビティ末端までの樹脂流動長が長くなり、あるいは、その厚みが薄いほど、射出充填時の流動抵抗が増大し、冷却固化の進行の速さがその流動抵抗の増大を加速するため、これら樹脂成形品内の残留応力が大きくなると共にその不均等分布も顕著になり、その結果としてもたらされる樹脂成形品の歪み量や変形量も大きくなる。
このような、樹脂内残留応力に起因する樹脂成形品の歪みや変形を抑制させる手段として、溶融樹脂内圧力の均等化及び樹脂内残留応力緩和を目的に、射出圧縮成形方法や射出プレス成形方法が用いられることが多い。図5を参照しながら、射出圧縮成形方法又は射出プレス成形方法による射出成形品の射出成形方法を説明する。図5は射出圧縮成形方法又は射出プレス成形方法による平板形状の射出成形品の射出成形方法を示す金型の概略断面側面図であり、成形対象となる樹脂成形品の形状は説明を簡単にするため平板形状とする。
図5(a)は射出充填工程を示す。固定金型7と可動金型8とが組み合わされて形成される金型キャビティ10aに、固定金型7に配置された樹脂流路7aを介して射出ユニット9から溶融樹脂10bが射出充填される。ここで、射出圧縮成形方法においては、弱い型締力で型締めされた金型キャビティに射出充填して、充填された溶融樹脂圧力により金型を距離Sだけ微小型開きさせる。一方、射出プレス成形方法においては、予め、金型を距離Sだけ微小型開きさせた状態で射出充填を行う。両射出成形方法において、射出充填時に金型を微小型開きさせる方法は相違するが、微小型開きにより型開閉方向に容積が拡大された金型キャビティへ射出充填することで、金型キャビティ内の溶融樹脂の流動抵抗を低下させ、溶融樹脂内残留応力を低下させると共に、その残留応力分布の不均等化を防止し、樹脂内残留応力を緩和させるという目的は共通である。
図5(b)は図5(a)の射出充填工程の途中又は完了後に行われる圧縮工程の開始時を示す。図示しない型締装置により可動金型8が固定金型7側へ型閉じされ、金型厚みLの型合わせ状態になり、金型キャビティ10aも正規の金型キャビティ厚みl(エル)として形成される。この時、金型には型締力はまだ付与されていない。金型キャビティ10a内の溶融樹脂10bは、射出充填圧力によってではなく、この圧縮工程開始時の型締装置による可動金型8の固定金型7側への型閉じ動作によって、金型キャビティ10aの末端まで充填されるため、射出ユニット9の射出充填圧力による充填と比較して、溶融樹脂内圧力分布の不均等化を抑えた状態で圧縮工程へと移行させることができる。
図5(c)は図5(b)に引き続き行われる圧縮工程及び保圧工程を示す。図5(b)に示す型合わせ状態からそのまま金型に型締力を付与させ型締状態にさせると、図5(c)に示すように、金型は型開閉方向に圧縮され弾性変形し、樹脂成形品の賦形に必要な所定の型締力Fが付与された状態で金型厚みはLからL’(L>L’)になり、金型キャビティ10aの金型キャビティ厚みもlからl’(l>l’)になる。一般的な射出圧縮成形方法及び射出プレス成形方法においては、この図5(c)に示す圧縮工程をそのまま維持して保圧工程となし、樹脂成形品を冷却固化させる。
図5(d)は、後述する特許文献等で、図5(c)の圧縮工程に引き続いて行われる保圧工程であって、一般的な射出圧縮成形方法及び射出プレス成形方法で行われる工程ではないが先行して説明する。本保圧工程においては、溶融樹脂内圧力を低下させ、樹脂内残留応力を緩和させるという目的のため、圧縮工程における型締力Fを型締力f(F>f)まで減圧させる型締力緩和制御を行う。この型締力緩和制御により金型キャビティ内の溶融樹脂内圧力が低下し、スキン層内部のまだ流動性を有する溶融樹脂が移動可能となり、樹脂内残留応力を緩和することができる。また、この型締力緩和制御によって金型厚みはL’からL”(L”>L’)になり、金型キャビティ10aの金型キャビティ厚みもl’からl”(l”>l’)になる。
図5(e)は図5(c)(又は図5(d))の保圧工程後、平板形状の樹脂成形品10が可動金型8に保持されて型開きされる製品取出工程を示す。平板形状の樹脂成形品10の厚みは略lである。型開き後、平板形状の樹脂成形品10は可動金型8に配置された図示しない製品押出手段により可動金型8より押し出され、図示しない製品取出手段により金型外へ搬出される。
しかしながら、このような射出圧縮成形方法又は射出プレス成形方法によって射出充填による溶融樹脂内残留応力を低下させ、その残留応力分布の不均等化を防止し樹脂内残留応力が緩和されたとしても、その後、樹脂成形品の賦形に必要な所定の型締力Fが溶融樹脂に付与されるため、先に説明したような溶融樹脂内残留応力分布の不均等状態が完全にあるいは問題ない程度まで均等化される訳ではない。ここで、図5(d)に示すように、圧縮工程後の保圧工程において、先に説明したような型締力(圧縮力)を緩和させる制御を行うことで溶融樹脂内残留応力分布の不均等状態が更に緩和され、樹脂内残留応力緩和効果が向上することが見出され、特に、高い平滑性・低屈折率性等が要求されるCD、DVD等の光ディスク基盤等の成形や、歪み量や変形量を抑制することが難しい大型パネル状成形品等の成形に関して、射出圧縮成形法や射出プレス成形法に採用される様々な型締力緩和制御方法が提案されている。
特許文献1には、DVDなどの薄型の光ディスク基盤を射出成形法又は射出圧縮成形法によって成形する成形方法であって、最大型締め圧力又は最大圧縮力(P1)から圧力(P2)まで急激に低下させ、当該圧力(P2)を保持しつつ冷却を行う成形方法において、冷却工程が完了して型開動作が開始する直前の短い時間中に、上記圧力を急激に低圧(P3)に低下させる圧力変動操作を行う光ディスク基盤成形法が開示されている。
特許文献2には、射出圧縮成形によって形成される、直径80mmΦ以上150mmΦ未満、厚み1.0mm以上1.5mm以下の光学的記録媒体用のポリカーボネート樹脂基板の製造法であって、溶融樹脂を金型内に充填する第1過程と、圧縮してスタンパ上の微細パターンを転写する第2過程と、金型内に樹脂を保持して冷却する第3過程と、金型を開いて成形品を取り出す第4過程とからなり、金型温度を樹脂のガラス転移点Tgに対して10から40℃低い温度に保持し、第1過程において基板の単位面積あたりに印加する圧力P1を0≦P1<220kgf/cmとし、第2過程の圧力P2を220≦P2<430kgf/cmとし、第3過程において圧力を2段階に制御し、その圧力P3、P4をP4+60≦P3<P2−40kgf/cm、かつ、80≦P3<220kgf/cm、0≦P4<80kgf/cmとなるように設定し、かつ、上記第1過程及び第2過程に要する時間、すなわち、射出充填開始から圧力P2の印加を終了し、圧力P3の印加開始までの時間を3秒未満とし、圧力P3から圧力P4へ圧力を変化させるタイミングを樹脂充填より3秒以上経過し、かつ5秒は経過しない時間とする光学的情報記録媒体用樹脂基板の製造方法が開示されている。
特許文献3には、自動車用バックパネル等の大型パネル状合成樹脂成形品の製造に適する射出成形方法であって、金型キャビティ内に合成樹脂を射出充填し、型内樹脂圧力により該キャビティを厚さ方向にわずかに開放せしめたのち、前記金型のゲートを機械的にまたは冷却してシール後、圧縮状態を経て保圧または冷却状態で更に型締力低下させ圧縮成形することを特徴とする合成樹脂成形品の射出成形方法が開示されている。
特許文献4には、内部ひずみにより光の透過率が変化すると不良品になる光学系の部品の射出圧縮成形に適した型締圧力制御方法であって、射出圧縮成形に使用する金型の型締圧力を型締シリンダ内の油圧調節により制御する型締圧力制御バルブの開閉量をバルブ開閉量を指示する電気信号により制御し、樹脂温度を樹脂温度センサで検出して変換した電気信号とあらかじめ設定した一連の圧力切替温度設定値にそれぞれ対応する一連の電気信号の1つとが比較演算の結果一致する度に順次1回ずつ圧力切替信号を出力し、圧力切替信号が入力する度にあらかじめ設定した一連の圧力設定値にそれぞれ対応するバルブ開閉量を指示する一連の電気信号を1つずつ順次出力して型締圧力制御バルブの開閉量を変え型締圧力を変化させることを特徴とする射出圧縮成形の型締圧力制御方法が開示されている。
特開2002−113754号公報 特開平8−192450号公報 特開平5−031774号公報 特開平1−146720号公報
近年、地球環境問題により、軽量化のために自動車等の金属製外装パネルやサンルーフ等のガラス製部品を樹脂製外装パネルやガラス樹脂代替品等へと樹脂成形品化する動きが活発化している。これら外装パネルやサンルーフ等の樹脂成形品は、意匠面・機能面の両面から、低歪みで部品寸法精度が高く、高い平滑性や透光性が要求される。そのため、これら樹脂成形品の成形方法として、射出圧縮成形方法や射出プレス成形方法が選択されることが多い。更に、これら樹脂成形品の平滑性や透光性向上のため、前述した特許文献1から特許文献4のような、保圧工程において、成形中の型締力(圧縮力)を緩和させる様々な型締力緩和制御方法の採用が期待されるところである。しかしながら、これら外装パネルやサンルーフ等の、型開閉方向の金型キャビティ厚みに対して金型投影面積の大きな金型キャビティで成形されるサイズの大きな樹脂成形品については、前述したような金型キャビティ内の溶融樹脂に生じる残留応力やその不均等分布に加えて、それら樹脂成形品の歪みや変形の要因が新たに発生する。それは、CD、DVD等の光ディスク基盤等の成形とは異なり、より大きな金型を使用することに起因するもので、型締め時に金型が型開閉方向に圧縮され変形する弾性変形である。この弾性変形下においては、金型キャビティ形状も変形するため、その内で成形される樹脂成形品も所望する形状とは相違する変形した金型キャビティ形状で成形されてしまう。
射出成形機メーカーでもあり、実験機により実際に射出成形を行う開発部門を有する出願人の知見から一般的なデータを取りまとめた図6のグラフに示すように、樹脂成形品の成形に使用する金型体積(縦軸)は、その金型で成形される樹脂成形品の製品投影面積(横軸)に比例して大きくなる。前述したような自動車等の外装パネルやサンルーフ等の樹脂成形品は、製品投影面積がCD、DVD等の光ディスク基盤等(直径12cmで144cm/枚)より大きく、500cmを超えるものが多い。例えば、製品投影面積7000cmの自動車のサンルーフ樹脂化部品を例として、金型を無垢の金属製立方体と想定して、一般的な前提条件の下で金型の型締め時の型開閉方向の弾性変形量(圧縮量)を概算したものを以下に示す。
・透明樹脂素材:PC(ポリカーボネート)
(熱収縮率=5/1000、弾性率=2300N/mm
・サイズ :1000mm×700mm×5mmt(製品投影面積7000cm
・金型サイズ :1500mm×1200×1800mmt
(固定型+可動型/金型体積:3.24x10cm
・金型鋼材 :SKD相当(金型用合金工具鋼、弾性率206000N/mm
・型締力 :28000KNTon(成形樹脂圧=40MPa)
この場合、
・金型の弾性変形量(型開閉方向への圧縮量)≒13.6mm
・金型キャビティ厚みの変形量に換算 =13.6mm×(5/1800mmt) ≒0.04mm
以上のように、本来、厚みが5mmの金型キャビティが、型締め時に金型キャビティ全面に渡って均等に、型開閉方向に0.04mm圧縮される。これは型開閉方向に金型キャビティ厚みが0.8%圧縮されることを意味する。この型開閉方向への圧縮率0.8%は、割合としては十分小さく、そのサンルーフ樹脂化部品の厚みの許容誤差範囲内となる場合もある。しかしながら、実際の成形においては、以下に説明するようにこの0.8%が大きくなることはあっても、小さくなることはない。
上記概算は、図5(c)に示すように、型締力が金型分割面と平行な面に対して均等に付与され、金型及び樹脂成形品の厚み方向の弾性変形量が金型分割面と平行な面において均等に分布すると想定して計算したものであるが、実際には、この金型に掛かる型締力と型開閉方向の弾性変形量の分布は、金型分割面と平行な面全体で均等ではない。すなわち、図5(c)に示す金型厚みL’、樹脂成形品厚みl’となる圧縮工程は、図7に示すように、一般的なトグル式型締装置を備えた射出成形機1において、固定金型7及び可動金型8が、射出成形機1の固定盤2及び可動盤3に取り付けられてトグル式型締装置4により型締めされるため、型締力により固定盤2及び可動盤3がそれぞれ破線で示す固定盤2’及び可動盤3’のようにタイバー5の貫通部において湾曲するように弾性変形する。そのため、図7の金型キャビティ10a内の樹脂成形品10も図8に示すように湾曲するように弾性変形する。その結果、弾性変形後の樹脂成形品10の厚みは、タイバー5からの距離により、l’、l’、l’、l’(l’>l’>l’>l’)と不均等になり、それぞれの厚み部分の弾性変形量も不均等になる。図7及び図8は側面(断面)図であるが、平面(断面)図においても、タイバー5間の金型、金型キャビティ10a及び樹脂成形品10が湾曲するように弾性変形すると考えて良い。
このように、金型分割面と平行な面における型締力分布は、一般的なトグル式型締装置を備えた射出成形機においては、固定盤及び可動盤を貫通するタイバーに最も近い部分が最も大きく、タイバーから離れる程小さくなり、そして中央部が最も小さいという分布になる。また、直圧式の型締装置を備えた射出成形機であれば金型中央部の型締力はトグル式型締装置よりも大きい。更に、実際の金型は先の概算で想定したような無垢の金属製立方体ではなく、様々な形状の金型キャビティや内蔵する製品押出機構等、その内部に様々な空間部が不均等に配置された金属製立方体であり、その金型に型締力を付与する射出成形機の型締装置も機械的に完全な精度を有するものではないため、金型分割面における型締力分布は不均等になり金型の弾性変形量分布も不均等になる。そのため、金型キャビティの形状も不均等に弾性変形し、その中で成形される樹脂成形品の形状が、所望する樹脂成形品の仕様形状と相違する。これらを鑑みて、CD、DVD等の光ディスク基盤成形用金型より、より大きな金型を使用する自動車等の外装パネルやサンルーフ等の樹脂成形品を射出圧縮成形方法又は射出プレス成形方法で成形するためには、型締め時の金型キャビティの弾性変形量を低下させて金型キャビティ形状の変形を抑制し、樹脂成形品の仕様形状に近付ける必要がある。
ここで、特許文献1から特許文献4においては、金型キャビティに射出充填された溶融樹脂内の残留応力を緩和させるために、保圧工程において型締力(圧縮力)を減圧させる様々な制御方法が開示されているものの、前述したような型締め時の金型キャビティの弾性変形量を低下させ、金型キャビティ形状の変形を抑制することについては何も言及されていない。特許文献1及び特許文献2においては、対象とする樹脂成形品が光ディスク基板や光学的情報記録媒体用樹脂基板(共に、CDやDVD等の基板)であり、金型が小さいため、型締め時の金型キャビティの弾性変形が樹脂成形品の形状に及ぼす影響が少ないと推定される。特許文献3においては、対象とする樹脂成形品が自動車用バックパネル等の大型のパネル状合成樹脂成形品であるが、その樹脂成形品の形状ゆえに発生しやすいコーナー部分や端部の内側周辺のヒケやクラックを低減させる方法であって、型締め時の金型キャビティの弾性変形量を低下させ、金型キャビティ形状の変形を抑制することについては何も言及されていない。特許文献4においては、対象とする樹脂成形品が特に特定されておらず、光学系の部品の射出圧縮成形に適した型締圧力制御方法であるとされているが、他の特許文献と同様に型締め時の金型キャビティの弾性変形量を低下させ、金型キャビティ形状の変形を抑制することについては何も言及されていない。
本発明は、上記したような問題点に鑑みてなされたもので、具体的には、樹脂成形品を射出圧縮成形方法又は射出プレス成形方法によって成形する射出成形方法において、型締め時の金型キャビティの弾性変形量を低下させて金型キャビティ形状の変形を抑制し、金型キャビティ形状の変形をその金型キャビティで成形される樹脂成形品の許容変形量以下にすることにより、低歪みで部品寸法精度が高く、高い平滑性や透光性を備えた樹脂成形品を成形する射出成形方法を提供することを目的としている。
本発明の上記目的は、請求項1に示すように、樹脂成形品を射出圧縮成形方法又は射出プレス成形方法によって成形する射出成形方法において、
1組の金型が組み合わされて形成される金型キャビティヘ、前記樹脂成形品に基づき予め算出された冷却固化収縮量が加算された樹脂量が射出充填される射出充填工程と、
前記射出充填工程の途中又は完了後、前記樹脂成形品の賦形に必要な第1型締力で前記金型が型締めされる圧縮工程と、
前記圧縮工程に引き続いて、予め、解析によって求められた、型締力に対する前記金型キャビティの弾性変形量の関係に基づき、前記弾性変形量が前記樹脂成形品の許容変形量以下になる第2型締力まで、前記第1型締力が減圧される型締力緩和制御が行われる保圧工程と、
を有することを特徴とする射出成形方法によって達成される。
すなわち、射出圧縮成形方法又は射出プレス成形方法において、成形する樹脂成形品に基づき予め算出された冷却固化収縮量が加算された樹脂量が射出充填される射出充填工程により、金型キャビティ内の樹脂の冷却固化が進行し樹脂容積が収縮しても、圧縮工程から保圧工程を経て型開きされるまで、金型キャビティが隙間なく樹脂で満たされ、金型を介して金型キャビティ内の樹脂に均等に型締力(圧縮力)を付与させることができるため、樹脂成形品と金型キャビティ内面との密着性が向上し、樹脂成形品の冷却固化収縮の進行に係らず、金型を介して樹脂成形品を安定して冷却させることができる。また、樹脂成形品の賦形に必要な第1型締力で金型を型締めする圧縮工程に引き続いて、第2型締力まで第1型締力が減圧される型締力緩和制御が行われる保圧工程により金型キャビティ内の溶融樹脂内圧力が低下し、スキン層内部のまだ流動性を有する溶融樹脂が移動可能となり、樹脂内残留応力を緩和することができる。更に、この第2型締力が、予め、解析よって求められた、型締力に対する金型キャビティの弾性変形量の関係に基づき、金型キャビティの弾性変形量が樹脂成形品の許容変形率以下になる型締力なので、型締力が第2型締力まで減圧された保圧工程の最終段階では、金型キャビティの弾性変形量が、その金型キャビティ内で成形される樹脂成形品の許容変形量以下になるので、樹脂成形品の歪み量や変形量を、その許容変形量以下にすることができる。また、金型には、型開きまで第2型締力が付与されるので、金型キャビティの弾性変形量がその中で成形させる樹脂成形品の許容変形量以下の状態で、金型キャビティ内で予め算出された冷却固化収縮量が加算された樹脂量で成形された樹脂成形品と金型キャビティ内面との密着性と均等な型締力付与状態とが維持されて、樹脂成形品の冷却固化収縮の進行に係らず、型開きまで金型を介した樹脂成形品の安定した冷却を継続させることができる。
更に、請求項2に示すように、前記金型キャビティ内のある1点の金型キャビティ厚みTが、型締力が付与される前の前記金型キャビティの型開閉方向の最端部の一方に接する平面でかつ金型分割面と並行な平面から前記ある1点を通って、前記平面と対向する金型キャビティ面までの型開閉方向の距離であって、
前記金型キャビティの前記弾性変形量が、前記金型キャビティ厚みTが、ある型締力が付与されて前記金型が弾性変形してT’になったとき、T’−Tで表される前記ある1点における金型キャビティ厚みの変位量THのうち最も大きな変位量THMAXで定義され、
前記樹脂成形品のある1点の仕様厚みtが、前記樹脂成形品が成形される前記金型キャビティの型開閉方向の最端部の一方に接する平面でかつ金型分割面と並行な平面から前記ある1点を通って、前記平面と対向する樹脂成形品表面又は該表面の対面までの前記平面に垂直な方向の距離であって、
前記樹脂成形品の許容変形量が、前記樹脂成形品の仕様厚みtが、成形後の前記樹脂成形品でt’であったとき、t’−tで表される前記ある1点における樹脂成形品の厚み誤差thのうち、許容される最も大きな厚み誤差thMAXで定義されることを特徴とする請求項1に記載の射出成形方法であることが好ましい。
本来であれば、様々な形状の金型キャビティ形状及びその金型キャビティ内で成形される樹脂成形品の変形は3次元で定義されるべきである。しかしながら、これらの変形を3次元で定義すれば、樹脂成形品の許容変形量において品質管理値の1つとしてこれを規定すること自体が複雑な作業となる。よって、金型キャビティの変形量を表す弾性変形量と、その金型キャビティ内で成形される樹脂成形品の許容しうる変形量を表す許容変形量とが、主としてそれぞれの厚み方向の変形であることに着目して、形状内のある1点における、共通基準面からその1点を通る共通基準面と対向する形状面までの変形前後の厚み方向の距離の相違量の最大値で定義されれば、それぞれの変形が同一の簡略な1次元の数値で定義されるので、樹脂成形品の許容変形量において品質管理値の1つとしてこれを規定することが容易であり、それぞれの変形をこの定義により求められた1次元の数値で直接比較することができる。
また、請求項3に示すように、前記保圧工程が、非晶性樹脂の場合はガラス転移点温度に到達する前に、結晶性樹脂の場合は結晶化温度に到達する前に開始され、ASTM D648で規定される熱変形温度に到達後、所定時間経過して完了されることを特徴とする請求項1から請求項2のいずれか1項に記載の射出成形方法であることが好ましい。
型締力を第1型締力から第2型締力まで減圧させる型締力緩和制御が行われる保圧工程は、金型キャビティ内の溶融樹脂内圧力を低下させ、スキン層内部のまだ流動性を有する溶融樹脂を移動させ樹脂内残留応力を緩和し、冷却固化進行に伴い凝固収縮する樹脂成形品の各部位に流動可能な樹脂を供給するために、また、金型に型締力を付与させることにより金型キャビティ内の樹脂成形品と金型キャビティ内面との密着性を維持させて、金型を介した樹脂成形品の冷却を進行させ成形サイクルタイムを短縮させるために、非晶性樹脂の場合はガラス転移点温度以上の状態、結晶性樹脂の場合は結晶化温度以上の状態で開始させる必要がある。また、ASTM D648等で規定される熱変形温度に到達した後、所定時間経過してから保圧工程を完了させることで、金型キャビティの弾性変形量が樹脂成形品の許容変形量以下に固定された状態で製品取り出しを行うことができる。
また、請求項4に示すように、前記保圧工程が、前記第1型締力から前記第2型締力まで、複数のステップ状に減圧され、前記ステップの数、前記各ステップの型締力及び継続時間を任意で設定・変更・管理可能な型締力緩和制御が行なわれることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の射出成形方法であっても良い。
第1型締力から第2型締力まで線形で減圧される型締力緩和制御が行われる保圧工程であれば、第1型締力及び第2型締力以外には、第1型締力から第2型締力までの時間しか設定できない。しかしながら、型締力緩和制御がこのように構成されれば、第1型締力から第2型締力まで複数のステップ状に減圧される保圧工程パターンを、ステップ数、各ステップでの型締力及び継続時間で任意に数値設定、変更、管理ができるため、成形品毎に歪みや変形がより少なくなる型締力緩和制御パターンを詳細に設定し、変更し、管理することができる。
次に、請求項5に示すように、前記型締力緩和制御が、前記第1型締力から前記第2型締力まで減圧後、微小型開きが行われることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の射出成形方法であっても良い。
保圧工程の最終段階で、型開きする直前に微小型開きを行うことにより、樹脂成形品にかかる型締力(圧縮力)を完全に開放させ、金型キャビティの弾性変形量をゼロにすると共に、樹脂成形品の残留応力を最小にすることができる。また、微小型開きにより、金型キャビティ内面と樹脂成形品との間に微小隙間が形成されるので、該微小隙間が断熱層として機能し、樹脂成形品の熱量の金型キャビティ内面への移動抑制、すなわち、樹脂成形品の冷却速度を低下させるため、樹脂成形品にアニール処理(応力除去のための熱処理)と同様の効果が得られ、更なる樹脂内残留応力緩和効果を得ることができる。
次に、請求項6に示すように、前記型締力緩和制御が、前記第1型締力から前記第2型締力まで減圧される前記型締力緩和制御により実成形して得られた前記樹脂成形品の任意の点における前記厚み誤差thと、前記実成形と同じ成形条件で解析によって求められた前記任意の点における厚み誤差th’とを比較して所定量以上相違する場合に、th=th’となるように前記第1型締力、前記第2型締力、前記ステップの数、前記各ステップの型締力及び継続時間の少なくとも1つが補正されることを特徴とする請求項4から請求項5のいずれか1項に記載の射出成形方法であっても良い。
型締力に対する金型キャビティの弾性変形量の関係は、予め、市販の解析ソフトウエア等とコンピュータ等を使用した解析によって求めるため、実際の成形による結果と解析による結果とが相違する場合も考えられる。その相違が問題にならない程度のわずかな相違であれば、解析結果は実際の成形をほぼ正確にシミュレートしたものと考えられる。しかしながら、その相違が所定量以上で、樹脂成形品の変形量がその許容変形量を超えて問題となるような場合、その相違の要因を明確にするのは非常に困難で時間がかかる場合が多い。そのため、このような解析結果と実成形の結果とを比較する項目と補正する項目を予め規定しておけば、そのような相違が発生した場合でも、その要因追求に時間や費用を掛けることなく、補正内容を明確にした状態で本発明を実施することができる。
次に、請求項7に示すように、コア金型と第1キャビティ金型が組み合わされて形成される第1キャビティに射出充填して1次成形体が成形される1次成形工程と、
前記1次成形体が保持された前記コア金型と組み合わされて第2キャビティが形成される第2キャビティ金型と前記第1キャビティ金型とが前記コア金型に対して相対的に切り替えられて、前記第2キャビティに射出充填して、前記1次成形体表面の少なくとも1部に2次成形体を積層成形する2次成形工程とを有する2層成形品を成形する射出成形方法において、
前記1次成形工程及び前記2次成形工程の少なくとも1つの工程において、請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の射出成形方法が行われることを特徴とする2層成形品を成形する射出成形方法であっても良い。
射出圧縮成形方法や射出プレス成形方法で成形される自動車等の外装パネルやサンルーフ等の樹脂成形品は、補強用のリブ構造部や組立用の取付部等が樹脂成形品の意匠面の裏面や周縁部に設けられることが多い。予め成形された自動車等の外装パネルやサンルーフ等の樹脂成形品を別の射出成形機の金型にインサートして、これら樹脂成形品の表面や周縁部に補強用のリブ構造部や組立用の取付部等を積層成形させる場合もあるが、1次成形用と2次成形用の金型を型締装置内において様々な方法で切り替えて、それら積層成形を1台の射出成形機で行う積層成形専用射出成形機も実用化されており、これらの積層成形専用射出成形機で積層成形させる場合も多い。本発明の射出成形方法は、特殊な機構や装置等を金型や射出成形機側に設ける必要がないため、これらの積層成形専用射出成形機における1次成形工程及び2次成形工程の少なくとも1つの工程で行われる射出圧縮成形方法や射出プレス成形方法に採用することができる。
本発明に係る射出成形方法は、樹脂成形品を射出圧縮成形方法又は射出プレス成形方法によって成形する射出成形方法において、
1組の金型が組み合わされて形成される金型キャビティヘ、前記樹脂成形品に基づき予め算出された冷却固化収縮量が加算された樹脂量が射出充填される射出充填工程と、
前記射出充填工程の途中又は完了後、前記樹脂成形品の賦形に必要な第1型締力で前記金型が型締めされる圧縮工程と、
前記圧縮工程に引き続いて、予め、解析によって求められた、型締力に対する前記金型キャビティの弾性変形量の関係に基づき、前記弾性変形量が前記樹脂成形品の許容変形量以下になる第2型締力まで、前記第1型締力が減圧される型締力緩和制御が行われる保圧工程と、
を有するので、樹脂成形品を射出圧縮成形方法又は射出プレス成形方法によって成形する射出成形方法において、型締め時の金型キャビティの弾性変形量を低下させて金型キャビティ形状の変形を抑制し、金型キャビティ形状の変形をその金型キャビティで成形される樹脂成形品の許容変形量以下にすることにより、低歪みで部品寸法精度が高く、高い平滑性や透光性を備えた樹脂成形品を成形することができる。
本発明の実施例1に係る樹脂成形品が平板形状の場合の金型キャビティと樹脂成形品との型締め時の弾性変形を示す概略縦断面図である。 本発明の実施例1に係る樹脂成形品が凸形状(凹形状)の場合の金型キャビティと樹脂成形品との型締め時の弾性変形を示す概略縦断面図である。 本発明の実施例1に係る射出成形方法の型締力及び型開量の制御系の動作説明図である。 本発明の実施例2に係る射出成形方法の型締力及び型開量の制御系の動作説明図である。 射出圧縮成形方法又は射出プレス成形方法による平板形状の射出成形品の射出成形方法を示す金型の概略断面側面図である。 樹脂成形品の製品投影面積と金型体積の関係を示すグラフである。 型締め時に金型が型開閉方向に均等に弾性変形しない状態を示す射出成形機の概略側面図である。 図7における金型キャビティ内の樹脂成形品の弾性変形状態を示す概略断面側面図である。
以下、本発明を実施するための形態について、添付図面を参照しながら詳細に説明する。
図1から図3を参照しながら本発明の実施例1を説明する。図1は本発明の実施例1に係る樹脂成形品が平板形状の場合の金型キャビティと樹脂成形品との型締め時の弾性変形を示す概略縦断面図である。図1(a)左側が、固定金型と可動金型とが型合わせされた型締力が付与される前の状態の金型キャビティで、図1(a)右側が型締力により弾性変形している金型キャビティを示す。図1(b)左側が、図1(a)の金型キャビティで成形される平板形状の樹脂成形品の仕様形状で、右側が実際に成形される平板形状の樹脂成形品の形状を示す。図2は本発明の実施例1に係る樹脂成形品が凸形状(凹形状)の場合の金型キャビティと樹脂成形品との型締め時の弾性変形を示す概略縦断面図である。図2(a)左側が、固定金型と可動金型とが型合わせされた型締力が付与される前の状態の金型キャビティで、図2(a)右側が型締力により弾性変形している金型キャビティを示す。図2(b)左側が、図1(a)の金型キャビティで成形される凸形状(凹形状)の樹脂成形品の仕様形状で、右側が実際に成形される凸形状(凹形状)の樹脂成形品の形状を示す。図3は本発明の実施例1に係る射出成形方法の型締力及び型開量の制御系の動作説明図である。
最初に、図1を参照しながら、樹脂成形品が平板形状の場合の型締力に対する金型キャビティの弾性変形量及び樹脂成形品の許容変形量について説明する。図1(a)左側に示すように、固定金型7と可動金型8とが型合わせされて、平板形状の樹脂成形品10を成形するための金型キャビティ10aが形成されている。これは、金型に型締力が付与されておらず、金型が型合わせされただけで弾性変形していない状態を示す。この状態において、金型キャビティ10a内のある1点20における金型キャビティ厚みは、金型キャビティ10aの型開閉方向の最端部の一方に接する平面でかつ金型分割面に平行な平面20aから、ある1点20を通って、平面20aと対向する金型キャビティ面20bまでの型開閉方向の距離T(矢印)で表す。平板形状の樹脂成形品を成形する金型キャビティなのでその型開閉方向の金型キャビティ厚みは一定であり、金型キャビティ10a内のどの点においても金型キャビティ厚みはTである。これを前提に型締力に対する金型キャビティの弾性変形量について説明する。
実施例1において、射出成形機の型締装置はトグル式型締装置とする。型合わせされた金型にある型締力が付与されると、金型及び金型取付盤は先に説明したようにタイバー間で湾曲するように弾性変形するので、金型キャビティ10aも図1(a)右側に示すように弾性変形する。この状態における金型キャビティ10a内のある1点20における金型キャビティ厚みを、金型キャビティ10aの型開閉方向の最端部の一方に接する平面でかつ金型分割面に平行な平面20aから、ある1点20を通って、平面20aと対向する金型キャビティ面20bまでの型開閉方向の距離T’(矢印)で表す。先に説明したように型開閉方向の弾性変形量は金型キャビティ10a内で均等でないため、例えば違う点20’の金型キャビティ厚みはT’(矢印)となる。ここで、ある1点20における金型キャビティ10aの金型キャビティ厚みの変位量THをT’−Tとする。型締力が付与される前の金型キャビティ厚みTは一定であるが、型締め後の金型キャビティ厚みT’はT’、T’と様々な数値になるため、金型キャビティ厚みの変位量THも様々な値になる。変位量THの数値は型開閉方向の弾性変形量の大きな金型キャビティ10aのタイバー近傍部分や金型の剛性が低い部分で大きくなる。よって、本発明においては、ある型締力に対する金型キャビティ形状の変形をこの弾性変形による金型キャビティ厚みの変位量THのうち最も大きな変位量THMAXで定義し、ある型締力に対する金型キャビティの弾性変形量と呼称する。よって、型締力に対する金型キャビティの弾性変形量の関係とは、型締力を変化させた場合のそれら型締力に対する金型キャビティの弾性変形量の変化を意味する。
ある型締力が付与された場合の金型キャビティの弾性変形による変形は3次元で定義された方がより正確にその変形を定義することができる。しかしながら、これらの変形を3次元で定義すれば、樹脂成形品の許容変形量において品質管理値の1つとしてこれを規定すること自体が複雑な作業となることは先に説明したとおりである。よって、金型キャビティの変形量を表す弾性変形量が、主として型開閉方向の変形であることに着目して、金型キャビティの変形が金型キャビティの弾性変形量として、上記のような弾性変形による金型キャビティ厚みの変位量THのうち最も大きな変位量THMAXで定義されれば、簡略な1次元の数値で定義されるので、樹脂成形品の許容変形量において品質管理値の1つとしてこれを規定することが容易であり、それぞれの変形をこの定義により求められた1次元の数値で直接比較することができる。また、金型キャビティ10a内のある1点20における金型キャビティ厚みを、単純にそのある点20における型開閉方向の距離とせず、すべての点において一方のみ共通する基準面(20a)としたのは、樹脂成形品の許容変形量との相関性を鑑みたものであり、詳細は後述する。
続いて、樹脂成形品の許容変形量について説明する。図1(b)左側は、平板形状の樹脂成形品10の仕様形状である。この状態において、樹脂成形品10内のある1点30における樹脂成形品10の厚みは、樹脂成形品10が成形される金型キャビティ10aの型開閉方向の最端部の一方に接する平面でかつ金型分割面に平行な平面30aから、ある1点30を通って、平面30aと対向する樹脂成形品表面30bまでの平面30aに垂直な方向の距離t(矢印)で表す。これを仕様厚みと呼称する。平板形状の樹脂成形品なのでその仕様厚みは一定であり、樹脂成形品10内のどの点であっても樹脂成形品厚みは仕様厚みtである。本樹脂成形品10と本樹脂成形品10が成形される金型キャビティ10aとの関係は、金型設計時に考慮されるべき冷却固化収縮等の樹脂成形品仕様からの変更点を除けば、形状及び寸法は同一と考えて良い。(すなわちT=t)これを前提に樹脂成形品の許容変形量について説明する。
金型にある型締力が付与されて、金型キャビティ10aが図1(a)右側に示すように弾性変形すると、その変形した金型キャビティ10a内で成形される樹脂成形品10も図1(b)左側に示す仕様形状ではなく、図1(a)右側に示す弾性変形した金型キャビティ10aの形状と同じ図1(b)右側に示す形状で成形される。図1(b)右側の2点鎖線は樹脂成形品10の仕様形状を示す。この状態における樹脂成形品10内のある1点30における樹脂成形品厚みも、樹脂成形品10が成形される金型キャビティ10aの型開閉方向の最端部の一方に接する平面でかつ金型分割面に平行な平面30aから、ある1点30を通って、平面30aと対向する樹脂成形品表面30bまでの平面30aに垂直な方向の距離t’(矢印)で表す。先に説明したように、型開閉方向の弾性変形量と同様に、樹脂成形品厚みも樹脂成形品10内で均等でないため、例えば違う点30’の樹脂成形品厚みはt’(矢印)となる。ここで、ある1点30における樹脂成形品10の厚みと仕様厚みtとの厚み誤差thをt’−tとする、樹脂成形品の仕様厚みtは一定であるが、型締め後のt’はt’、t’と様々な数値になるため、樹脂成形品10の厚み誤差thも様々な値になる。よって、本発明においては、樹脂成形品に許容される変形をこの厚み誤差thのうち最も大きな厚み誤差thMAXで定義し、樹脂成形品の許容変形量と呼称する。この樹脂成形品の変形の定義は、樹脂成形品の製造業者において樹脂成形品の品質管理項目の1つとして一般的である。
樹脂成形品の変形も3次元で定義された方がより正確にその変形を定義することができる。しかしながら、先に説明した金型キャビティの弾性変形による変形と同様に、樹脂成形品に許容される変形が、樹脂成形品の許容変形量として上記のような樹脂成形品の仕様厚みに対する実成形品の厚み誤差thのうち最も大きな厚み誤差thMAXで定義されれば、簡略な1次元の数値での定義なので、品質管理値の1つとしてこれを規定することが容易である。また、金型キャビティ10a内のある1点20における金型キャビティ厚みを、単純にそのある点20における金型厚み方向の距離とせず、すべての点において一方のみ共通する基準面(20a)としたのは、金型キャビティの変形の定義を、樹脂成形品の製造業者において樹脂成形品の品質管理項目の1つとして一般的な、先に説明した樹脂成形品の変形の定義と実質的に同一にするためであり、それぞれの変形をこの定義により求められた1次元の数値で直接比較することができるからである。
次に、図2を参照しながら、樹脂成形品が凸形状(凹形状)の場合の型締力に対する金型キャビティの弾性変形量及び樹脂成形品の許容変形量について説明する。”凸形状(凹形状)”と表記したのは、意匠面が凸側、凹側のいずれであるかにより、いずれの形状としても定義できるためである。基本的に樹脂成形品が平板形状の場合の型締力に対する金型キャビティの弾性変形量及び樹脂成形品の許容変形量とそれぞれの定義は同じなので、相違点のみ説明する。図2(a)左側に示すように、固定金型7’と可動金型8’とが型合わせされて、凸形状(凹形状)の樹脂成形品10’を成形するための金型キャビティ10a’が形成されている。この状態において、平板形状の樹脂成形品10の場合は、金型キャビティ10a内のすべての点で金型キャビティ10aの型開閉方向の距離Tは同じであるが、凸形状(凹形状)の樹脂成形品の場合は、金型キャビティ10a’型開閉方向の最端部の一方に接する平面でかつ金型分割面に平行な平面40aから、ある1点40を通って、平面40aと対向する金型キャビティ面40bまでの型開閉方向の距離T(矢印)が、別の点40’においては距離T(矢印)となるように一定ではない。実際の樹脂成形品においては、先に説明したような理想的な平板形状の樹脂成形品はほとんどなく、このように基準となる平面40aからの型開閉方向の距離が一定でない形状の樹脂成形品がほとんどである。この図2(a)左側で示す状態から、金型にある型締力が付与されて、金型キャビティ10a’が弾性変形すると図2(a)右側に示す状態になる。(T→T’、T→T’)この金型キャビティ10a’の弾性変形により、凸形状(凹形状)の樹脂成形品10’も図2(b)左側に示す仕様形状ではなく図2(b)右側に示す形状で成形される。ある1点における金型キャビティの金型キャビティ厚み、この金型キャビティ厚みの金型の弾性変形前後の変位量TH、ある型締力に対する金型キャビティ形状の変形をこの変位量THのうち最も大きな変位量THMAXで定義し、ある型締力に対する金型キャビティの弾性変形量と呼称すること等、金型キャビティの変形に係る内容については先に説明したとおりなので説明は割愛する。
凸形状(凹形状)の樹脂成形品の場合も、それを成形する金型キャビティ10a’と同様に仕様厚みt(t、t)は一定ではない。ある1点における樹脂成形品10の仕様厚み、この仕様厚みtとの厚み誤差th、樹脂成形品に許容される変形をこの厚み誤差thのうち最も大きな厚み誤差thMAXで定義し、樹脂成形品の許容変形量と呼称すること等、樹脂成形品の変形に係る内容についても先に説明したとおりなので割愛する。
以上説明したように、樹脂成形品の形状によらず、金型キャビティ及び樹脂成形品のそれぞれの変形が、形状内のある1点における、共通基準面からその1点を通る共通基準面と対向する形状面までの変形前後の厚み方向の距離の相違量の最大値で定義されれば、それぞれの変形が同一の簡略な1次元の数値で定義されるので、それぞれの変形をこの定義により求められた1次元の数値で直接比較することができる。
次に、図3他を参照しながら本発明の実施例1に係る射出成形方法を説明する。まず、射出成形の準備工程について図7を参照しながら説明する。成形対象は、平板形状の樹脂成形品10とする。成形する平板形状の射出成形品10、射出成形品10の許容変形率を含む各種品質管理許容値、固定金型7及び可動金型8とからなる成形用金型及び使用する射出成形機1が決定された後、最初に、使用する樹脂、射出成形品10、成形用金型及び射出成形機1の仕様等から、樹脂成形品10の冷却固化収縮量を算出する。次に、市販の射出成形用シュミレーションソフト等を活用し、これら仕様から得られる成形条件を入力し、型締力を変えながら金型キャビティの弾性変形を解析し、金型キャビティに係る型締力に対する弾性変形量の関係を求める。このとき、金型キャビティ及び樹脂成形品の共通するある点における金型キャビティの型開閉方向の弾性変形量と樹脂成形品の厚み方向の変形量も同時に解析しておけば、後述する補正において有効に活用できる。求められた金型キャビティに係る型締力に対する弾性変形量の関係は、射出成形機の制御装置に記憶させ、射出成形機の制御プログラムで使用可能な状態にさせておく。この解析において、後述する保圧工程における型締力緩和制御は考慮する必要はない。
次に、図3及び図5を参照しながら、実際の射出成形方法について説明する。図3は本発明の実施例1に係る射出成形方法の型締力及び型開量の制御系の動作説明図である。図5(a)に示すように、固定金型7と可動金型8とが組み合わされて形成される金型キャビティ10aに、固定金型7に配置された樹脂流路7aを介して射出ユニット9から溶融樹脂10bが射出充填される射出充填工程が行われる。型締力0〜Fの間で設定される型締力F‘で型閉じされている金型キャビティに射出充填して、充填樹脂圧力と型締力F’のバランスによって金型を距離Sだけ微小型開きさせる射出圧縮成形方法の射出充填工程が図3に示すB‘−B1−B2−Cのラインである。また、予め距離Sだけ微小型開きさせた金型に射出充填する射出プレス成形方法の射出充填工程が図3に示すA’−A−Cのラインである。それぞれの成形方法の実際の射出充填開始点は、前者がB1、後者がAである。なお本実施例では射出圧縮成形方法と射出プレス成形方法における微小型開量Sは、便宜的に両者同じとした。本発明の射出充填工程においては、成形する樹脂成形品に基づき予め算出された冷却固化収縮量が加算された樹脂量が射出充填されるので、金型キャビティ内の樹脂の冷却固化が進行し樹脂容積が収縮しても、圧縮工程から保圧工程を経て型開きされるまで、金型キャビティが隙間なく樹脂で満たされるため、金型を介して金型キャビティ内の樹脂に均等に型締力(圧縮力)を付与させることができることは先に説明したとおりである。尚、射出圧縮成形方法及び射出プレス成形方法は、射出充填時に金型を距離Sだけ微小型開きさせる方法が相違するがその目的は同じあることについても先に説明したとおりであり、詳細な説明は割愛する。
次に、図3のC−Kのラインで示すように、射出充填工程の途中から圧縮工程が開始される。(射出充填工程が完了してから開始される場合もある。)図5(b)に示すように、距離Sだけ微小型開きされた状態から、図示しない型締装置により可動金型8が固定金型7側へ型閉じされ、金型厚みLの型合わせ状態になり、金型キャビティ10aも正規の金型キャビティ厚みl(エル)として形成される。これは、図3の圧縮工程中の成形時間軸との交点Kで表され、金型に型締力はまだ付与されていない。金型キャビティ10a内の溶融樹脂10bは、充填樹脂圧力によってではなく、この圧縮工程開始時の型締装置による可動金型8の固定金型7側への型閉じ動作による金型キャビティの容積減少によって、金型キャビティ10a内に充填されるため、射出ユニット9の射出充填圧力による充填と比較して、金型キャビティ内の溶融樹脂の流動抵抗を低下させることができ、溶融樹脂内圧力分布の不均等化を抑制した状態で圧縮工程へと移行させることができることは先に説明したとおりである。
圧縮工程は、図3のC−KのラインからK−D−Eのラインで示すように継続される。図5(b)に示す型合わせ状態(図3のK点)からそのまま金型に型締力を付与させ型締状態にさせると金型に付与される型締力は大きくなり、図5(c)に示すように、最終的に樹脂成形品10の賦形に必要な第1型締力Fに到達し(図3のD点)圧縮工程中維持される。(図3のE点)また、型締力の付与に伴い金型は型開閉方向に圧縮され弾性変形し、型締力が第1型締力Fに到達した時点で、金型厚みはLからL’(L>L’)となり、金型キャビティ10aの金型キャビティ厚みもlからl’(l>l’)となる。実際には、樹脂成形品10及び金型キャビティ10aは、図5(c)のように型開閉方向に均等に圧縮され弾性変形するのではなく、図1、図2、図7、図8に示すようにタイバー間で湾曲するように弾性変形することは先に説明したとおりである。この圧縮工程の第1型締力Fの大きさは、樹脂成形品10及び成形用金型等の仕様及び成形条件等により適宜、好適なものが選択されればよい。
次に、図3のE−F−Gのラインで示すように、圧縮工程に引き続いて保圧工程が行われる。一般的な射出圧縮成形方法及び射出プレス成形方法においては、図3のE−g−iのライン(破線)で示すように、圧縮工程(第1型締力F)をそのまま継続し保圧工程となし樹脂成形品10を冷却固化させることは先に説明したとおりである。本発明においては、特許文献1から特許文献4のような、成形中の型締力(圧縮力)を緩和させる様々な型締力緩和制御方法に対して、保圧工程中に、樹脂成形品10の賦形に必要な第1型締力Fが所定の第2型締力fまで減圧される型締力緩和制御が行われる。この、所定の第2型締力fまで減圧される型締力緩和制御によって、特許文献1から特許文献4のような樹脂内残留応力緩和効果の向上に加えて、この第2型締力fが、予め解析によって求められた、型締力に対する金型キャビティの弾性変形量の関係に基づき、型締め時の金型の弾性変形量が樹脂成形品の許容変形率以下になる型締力なので、図3のF−Gで示す保圧工程の最終段階では、金型キャビティの弾性変形量、すなわち金型キャビティの変形量が樹脂成形品の許容変形量以下になり、その金型キャビティ内で成形される樹脂成形品の歪み量や変形量をその許容変形量以下にすることができる。
この圧縮工程から保圧工程への切り替えは、金型キャビティ内の溶融樹脂内圧力を低下させ、スキン層内部のまだ流動性を有する溶融樹脂を移動させ樹脂内残留応力を緩和し、冷却固化進行に伴い凝固収縮する樹脂成形品の各部位に流動可能な樹脂を供給するために、また、金型に型締力を付与させることにより金型キャビティ内の樹脂成形品と金型キャビティ内面との密着性を維持させて、金型を介した樹脂成形品の冷却を進行させ成形サイクルタイムを短縮させるために、樹脂成形品10の樹脂が非晶性樹脂の場合はガラス転移点温度以上の状態、結晶性樹脂の場合は結晶化温度以上の状態で開始させる必要がある。また、ASTM D648等で樹脂毎に規定される熱変形温度に到達した後、所定時間経過してから保圧工程を完了させることで、金型キャビティの弾性変形量が樹脂成形品の許容変形量以下に固定された状態で製品取り出しを行うことができる。ここで、保圧工程の完了タイミング、すなわち、熱変形温度に到達した後の所定時間は、型締力緩和制御の効果と製品を取り出した後の製品自重などによる変形防止及び成形サイクルタイムのバランスを鑑みて、適時、好適な時間が選択される。
本発明は使用される樹脂について特に指定はなく、射出圧縮成形方法や射出プレス成形方法に使用可能であれば、成形される樹脂成形品の用途、形状、コスト等の仕様を満たす好適な樹脂が適宜選択されれば良い。具体的には、非晶性樹脂としては、PC(ポリカーボネート)、PMMA(ポリメタクリル酸メチル(アクリル)樹脂)、ABS(アクリロニトリル/ブタジエン/スチレン樹脂)等があり、結晶性樹脂としては、POM(ポリオキシメチレン(アセタール)),PET(ポリエチレンテレフタレート)、PE(ポリエチレン)、PP(ポリプロピレン)、PA(ポリアミド)等がある。
次に、図3のG−Hラインで示すように、保圧工程に引き続いて、平板形状の樹脂成形品10が可動金型8に保持されて型開きされる型開き/製品取出工程を示す。その図5(e)に示すように、型開き後、可動金型8に配置された図示しない製品押出手段により、可動金型8より押し出され、図示しない製品取出手段により金型外へ搬出されることは先に説明したとおりである。
図4を参照しながら本発明の実施例2を説明する。図4は本発明の実施例2に係る射出成形方法の型締力及び型開量の制御系の動作説明図である。実施例2における実施例1との相違点は、実施例1における図3のE−F−Gのラインで示す保圧工程の内、E−Fのラインで示す線形で減圧するのではなく、図4のE−e1〜e4−Fのラインで示す3段のステップ状に減圧する点と、図3のF−Gのライン間で図4のh1−h2−h3のラインで示す微小型開きが行われる点の2点である。それ以外の構成要件や射出成形方法は実施例1と基本的に同じため、図4中の射出充填工程等、C点以前のラインの表示は省略し、実施例1との相違点についてのみ説明する。
図4のC−K−D−Eのラインで示す圧縮工程に引き続いて保圧工程が行われる。実施例2では、最終的に減圧される第2型締力fは実施例1と同じであるが、保圧工程を、型締力F1(F>F1)まで減圧させる保圧1(E−e1−e2)、型締力F2(F1>F2)まで減圧させる保圧2(e2−e3−e4)、第2型締力f(F2>f)まで減圧させる保圧3(e4−F−h1)のように、減圧を3段のステップ状としている。ここで、保圧工程において行われる型締力緩和制御の減圧を複数のステップ状とすること自体に大きな意味はない。減圧を複数のステップ状とすることにより、第1型締力Fから第2型締力fまでの減圧を単なる線形での直線的な減圧ではなく、各ステップの減圧値、到達タイミング、維持時間等を詳細に設定することによって、2次曲線のような曲線状に近似される減圧工程を選択することができることに意味がある。例えば、図4に示すような減圧が3段のステップ状であっても、各型締力F1〜F3を均等ではなく、F1まで大きめに減圧して型締力F2から型締力F3を小さめに減圧することにより2次曲線のような減圧が可能になる。また、各ステップのe1、e3、f1のタイミングも不均等にして、各型締力の保持時間e1−e2、e3−e4、F−f1も不均等にすれば、更に2次曲線に近い減圧が可能になる。このように、第1型締力Fから第2型締力fまでの減圧を複数のステップ状とすることにより、最適な型締力緩和制御が、冷却固化に進行に伴い刻々と変化する複雑な減圧であっても、各ステップ数及びそれぞれの変位点(開始点及び終了点)を任意に設定することで、より最適な曲線状の型締力緩和制御に近付けることができる。また、複雑な型締力緩和制御であっても、それを各ステップの変位点等(開始点及び終了点)で設定されれば、型締力緩和制御の設定・変更・管理が容易でかつ他の射出成形機や複数の射出成形機でも再現できる。
次に、保圧工程の最終段階で、図4のh1−h2−h3のラインで示すように、金型を距離S’だけ型開きさせる微小型開きが行われる。通常、型締状態で金型キャビティ内が樹脂で満たされ、その樹脂に小さくても所定の型締力が付与されていれば、金型キャビティ内の樹脂成形品と金型キャビティ内面との密着性と均等な型締力付与状態とが維持されて、金型を介した樹脂成形品の冷却が型開きまで継続される。この冷却が継続されている途中で図5(e)に示すように、樹脂成形品10が可動金型8に保持された状態で型開き限まで型開きを行うと、樹脂成形品の固定金型7側のみが一気に常温下で大気放冷される。この型開きの時点において、金型キャビティ内の樹脂成形品は冷却固化がほぼ完了しているとは言え比較的高い温度を維持している。そのため、可動金型8に保持された樹脂成形品10内には、金型を介して冷却されている可動金型8側と、型開きにより一気に常温下で大気放冷される固定金型7側とで型開閉方向に急激な温度勾配が発生することになる。樹脂成形品10の型開閉方向の厚みや金型に対する製品投影面積によっては、この発生した型開閉方向の温度勾配が、成形後の歪みや変形を誘引する可能性もある。
そこで、保圧工程の最終段階で、型開きする直前に図4のh1−h2−h3のラインで示すような、金型を距離S’だけ型開きさせる微小型開きが行われると、以下に示すような型締力緩和制御の2つの波及効果を得ることができる。1つは、樹脂成形品にかかる型締力(圧縮力)を完全に開放することによって、金型キャビティの弾性変形量を完全にゼロにして、該弾性変形による樹脂成形品の残留応力を最小にすることができる。もう1つは、微小型開きにより樹脂成形品と金型キャビティとの間に微小隙間を形成させ、(ただし金型キャビティは密閉状態を維持している状態)この微小隙間を空気層として樹脂成形品と金型キャビティと間の伝熱を遮断させるとともに、樹脂成形品の熱量により該空気層が高い温度で維持されることにより、樹脂成形品は金型キャビティ内でアニール処理(応力除去のための熱処理)されて、その残留応力の多くを除去することができる。ここで、微小型開きさせるタイミングと微小型開き量とによってアニール処理効果の程度が決まる。例えば、保圧工程の早いタイミングで微小型開きさせると、樹脂成形品の熱量が大きいのでアニール処理効果も大きいが、樹脂成形品の冷却保持時間も長く設定することが必要になるので、アニール処理効果と成形サイクルタイムのバランスを鑑みて、微小型開きのタイミングと微小型開き量S’は適宜好適なものが選択されることは言うまでもない。
本発明は、上記の実施の形態に限定されることなく色々な形で実施できる。実施例1及び実施例2において、型締力に対する金型キャビティの弾性変形量を、市販の射出成形用シュミレーションソフト等を活用し、これら仕様から得られる成形条件を入力し、型締力を変えながら金型キャビティの弾性変形を解析し、金型キャビティに係る型締力に対する弾性変形量の関係を求めるとしたが、樹脂成形品及びその樹脂成形品が成形される金型キャビティの形状が単純な場合や、樹脂成形品が比較的小さく、型締め時の金型キャビティの変形が樹脂成形品の変形に及ぼす影響が少ない場合等においては、型締力に対する金型キャビティの弾性変形量の関係を、解析によってではなく、先に説明したように金型を無垢の金属製立方体と想定して計算により概算で求めたり、金型キャビティの形状を実際の形状より簡略化して解析の負荷を小さくした上で求めたりして、その関係に基づき本発明が実施されても良い。更に、型締力に対する金型キャビティの弾性変形量の関係を求める簡易的な方法として、タイバー全てに、その型締力(延び量)を検出するセンサを配置させ、ダミーブロック等を使用して全てのタイバーに掛かる型締力(延び量)が均一になるよう調整した上で、実際の金型を型締力Fで型締めした際の全てのタイバーで検出される延び量の相違をその金型の金型分割面における型開閉方向の弾性変形量分布の相違とみなし、この相違の割合が樹脂成形品の仕様厚みと許容厚みとの割合以下となる型締力をfとして、型締力をFからfに減圧する型締力緩和制御を行っても良い。
また、実施例1及び実施例2において、型締力に対する金型キャビティの弾性変形量の関係は、予め、コンピュータや市販の解析ソフトウエア等を使用した解析によって求めるため、実際の成形による結果と解析による結果とが相違する場合も考えられる。そのため、その相違が所定量以上で、樹脂成形品の変形量がその許容変形量を超えて問題となるような場合に備えて、解析時に金型キャビティ及び樹脂成形品の共通するある点における金型キャビティの型開閉方向の弾性変形量と樹脂成形品の厚み方向の変形量も同時に解析しておけば、ある点における解析によって求められた樹脂成形品の厚み誤差thと、実際の射出成形によって成形された樹脂成形品の同じある点における厚み誤差実測値th’とを比較することができる。この比較を定期的に行えば、解析の信頼性を維持することができる。また、この比較の結果、その相違が所定量以上で、樹脂成形品の変形量がその許容変形量を超えて問題となるような場合、th=th’となるように、補正する項目を予め規定しておけば、そのような相違の要因追求に時間や費用を掛けることなく、補正内容を明確にした状態で本発明を実施することができる。この補正する項目は、型締力に対する金型キャビティの弾性変形量の関係を求める解析においては考慮していない、保圧工程で行われる型締力緩和制御に係る項目の少なくとも1つとすることが望ましい。
更に、本発明に係る射出成形方法は積層成形にも採用できる。射出圧縮成形方法や射出プレス成形方法で成形される自動車等の外装パネルやサンルーフ等の樹脂成形品は、補強用のリブ構造部や組立用の取付部等が樹脂成形品の意匠面の裏面や周縁部に設けられることが多い。予め成形された自動車等の外装パネルやサンルーフ等の樹脂成形品を別の射出成形機の金型にインサートして、これら樹脂成形品の表面や周縁部に補強用のリブ構造部や組立用の取付部等を積層成形させる場合もあるが、1次成形用と2次成形用の金型を型締装置内において様々な方法で切り替えて、それら積層成形を1台の射出成形機で行う積層成形専用射出成形機も様々な形態が提案・実用化されており、これらの積層成形専用射出成形機で積層成形させる場合も多い。本発明は、特殊な機構や装置等を金型や射出成形機側に設ける必要がないため、これらの積層成形専用射出成形機における1次成形工程及び2次成形工程の少なくとも1つの工程で行われる射出圧縮成形方法や射出プレス成形方法に採用することができ、本発明に係る射出成形方法を採用することで、低歪みで部品寸法精度が高く、高い平滑性や透光性を備えた積層樹脂成形品を成形することができる。
7 固定金型
8 可動金型
10 平板形状の樹脂成形品
10a 金型キャビティ
20 金型キャビティ内のある1点
20a 金型キャビティの型開閉方向の最端部の一方に接する平面でかつ金型分割面と平行な平面
20b 20aと対向する金型キャビティ面
T ある1点の金型キャビティ厚み
T’ 金型が弾性変形したときのT
TH 金型キャビティの変位量(T’−T)
THMAX 金型キャビティの弾性変形量(最大変位量)
30 樹脂成形品内のある1点
30a 平板形状の樹脂成形品10が成形される金型キャビティの型開閉方向の最端部の一方に接する平面でかつ金型分割面と平行な平面
30b 30aと対向する樹脂成形品表面
t 樹脂成形品内のある1点の仕様厚み
t’ 成形された樹脂成形品のt
th 樹脂成形品の厚み誤差(t’−t)
th’ t’が解析で求められたth
thMAX 樹脂成形品の許容変形量(最大許容厚み誤差)

Claims (7)

  1. 樹脂成形品を射出圧縮成形方法又は射出プレス成形方法によって成形する射出成形方法において、
    1組の金型が組み合わされて形成される金型キャビティヘ、前記樹脂成形品に基づき予め算出された冷却固化収縮量が加算された樹脂量が射出充填される射出充填工程と、
    前記射出充填工程の途中又は完了後、前記樹脂成形品の賦形に必要な第1型締力で前記金型が型締めされる圧縮工程と、
    前記圧縮工程に引き続いて、予め、解析によって求められた、型締力に対する前記金型キャビティの弾性変形量の関係に基づき、前記弾性変形量が前記樹脂成形品の許容変形量以下になる第2型締力まで、前記第1型締力が減圧される型締力緩和制御が行われる保圧工程と、
    を有することを特徴とする射出成形方法。
  2. 前記金型キャビティ内のある1点の金型キャビティ厚みTが、型締力が付与される前の前記金型キャビティの型開閉方向の最端部の一方に接する平面でかつ金型分割面と並行な平面から前記ある1点を通って、前記平面と対向する金型キャビティ面までの型開閉方向の距離であって、
    前記金型キャビティの前記弾性変形量が、前記金型キャビティ厚みTが、ある型締力が付与されて前記金型が弾性変形してT’になったとき、T’−Tで表される前記ある1点における金型キャビティ厚みの変位量THのうち最も大きな変位量THMAXで定義され、
    前記樹脂成形品のある1点の仕様厚みtが、前記樹脂成形品が成形される前記金型キャビティの型開閉方向の最端部の一方に接する平面でかつ金型分割面と並行な平面から前記ある1点を通って、前記平面と対向する樹脂成形品表面又は該表面の対面までの前記平面に垂直な方向の距離であって、
    前記樹脂成形品の許容変形量が、前記樹脂成形品の仕様厚みtが、成形後の前記樹脂成形品でt’であったとき、t’−tで表される前記ある1点における樹脂成形品の厚み誤差thのうち、許容される最も大きな厚み誤差thMAXで定義されることを特徴とする請求項1に記載の射出成形方法。
  3. 前記保圧工程が、非晶性樹脂の場合はガラス転移点温度に到達する前に、結晶性樹脂の場合は結晶化温度に到達する前に開始され、ASTM D648で規定される熱変形温度に到達後、所定時間経過して完了されることを特徴とする請求項1から請求項2のいずれか1項に記載の射出成形方法。
  4. 前記保圧工程が、前記第1型締力から前記第2型締力まで、複数のステップ状に減圧され、前記ステップの数、前記各ステップの型締力及び継続時間を任意で設定・変更・管理可能な型締力緩和制御が行なわれることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の射出成形方法。
  5. 前記型締力緩和制御が、前記第1型締力から前記第2型締力まで減圧後、微小型開きが行われることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の射出成形方法。
  6. 前記型締力緩和制御が、前記第1型締力から前記第2型締力まで減圧される前記型締力緩和制御により実成形して得られた前記樹脂成形品の任意の点における前記厚み誤差thと、前記実成形と同じ成形条件で解析によって求められた前記任意の点における厚み誤差th’とを比較して所定量以上相違する場合に、th=th’となるように前記第1型締力、前記第2型締力、前記ステップの数、前記各ステップの型締力及び継続時間の少なくとも1つが補正されることを特徴とする請求項4から請求項5のいずれか1項に記載の射出成形方法。
  7. コア金型と第1キャビティ金型が組み合わされて形成される第1キャビティに射出充填して1次成形体が成形される1次成形工程と、
    前記1次成形体が保持された前記コア金型と組み合わされて第2キャビティが形成される第2キャビティ金型と前記第1キャビティ金型とが前記コア金型に対して相対的に切り替えられて、前記第2キャビティに射出充填して、前記1次成形体表面の少なくとも1部に2次成形体を積層成形する2次成形工程とを有する2層成形品を成形する射出成形方法において、
    前記1次成形工程及び前記2次成形工程の少なくとも1つの工程において、請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の射出成形方法が行われることを特徴とする2層成形品を成形する射出成形方法。
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