以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は本発明の実施の形態における車両の構成を示す右側面図、図2は本発明の実施の形態における車両のリンク機構の構成を示す図、図3は本発明の実施の形態における旋回走行時の車体の傾斜動作を説明する図、図4は本発明の実施の形態における車体を傾斜状態から直立状態に復帰させる動作を説明する図、図5は本発明の実施の形態における車体の重心に作用する加速度を説明する図である。なお、図3において、(a)は直立状態の背面図、(b)は傾斜状態の背面図であり、図4において、(a)は通常状態の動作を説明する図、(b)は安定性が低下した状態の動作を説明する図であり、図5において、(a)は上面図、(b)は右側面図である。
図において、10は、本実施の形態における車両であり、車体の駆動部としての本体部20と、乗員が搭乗して操舵する操舵部としての搭乗部11と、車体の前方において幅方向の中心に配設された前輪である操舵輪としての車輪12Fと、後輪として後方に配設された駆動輪である左側の車輪12L及び右側の車輪12Rとを有する。さらに、前記車両10は、車体を左右に傾斜させる、すなわち、リーンさせるためのリーン機構、すなわち、車体傾斜機構として、左右の車輪12L及び12Rを支持するリンク機構30と、該リンク機構30を作動させるアクチュエータである傾斜用アクチュエータ装置としてのリンクモータ25とを有する。なお、前記車両10は、前輪が左右二輪であって後輪が一輪の三輪車であってもよいし、前輪及び後輪が左右二輪の四輪車であってもよいが、本実施の形態においては、図に示されるように、前輪が一輪であって後輪が左右二輪の三輪車である場合について説明する。
旋回時には、左右の車輪12L及び12Rの路面18に対する角度、すなわち、キャンバ角を変化させるとともに、搭乗部11及び本体部20を含む車体を旋回内輪側へ傾斜させることによって、旋回性能の向上と乗員の快適性の確保とを図ることができるようになっている。すなわち、前記車両10は車体を横方向(左右方向)にも傾斜させることができる。なお、図2及び3(a)に示される例においては、左右の車輪12L及び12Rは路面18に対して直立している、すなわち、キャンバ角が0度になっている。また、図3(b)に示される例においては、左右の車輪12L及び12Rは路面18に対して右方向に傾斜している、すなわち、キャンバ角が付与されている。
前記リンク機構30は、左側の車輪12L及び該車輪12Lに駆動力を付与する電気モータ等から成る左側の回転駆動装置51Lを支持する左側の縦リンクユニット33Lと、右側の車輪12R及び該車輪12Rに駆動力を付与する電気モータ等から成る右側の回転駆動装置51Rを支持する右側の縦リンクユニット33Rと、左右の縦リンクユニット33L及び33Rの上端同士を連結する上側の横リンクユニット31Uと、左右の縦リンクユニット33L及び33Rの下端同士を連結する下側の横リンクユニット31Dと、本体部20に上端が固定され、上下に延在する中央縦部材21とを有する。また、左右の縦リンクユニット33L及び33Rと上下の横リンクユニット31U及び31Dとは回転可能に連結されている。さらに、上下の横リンクユニット31U及び31Dは、その中央部で中央縦部材21と回転可能に連結されている。なお、左右の車輪12L及び12R、左右の回転駆動装置51L及び51R、左右の縦リンクユニット33L及び33R、並びに、上下の横リンクユニット31U及び31Dを統合的に説明する場合には、車輪12、回転駆動装置51、縦リンクユニット33及び横リンクユニット31として説明する。
そして、駆動用アクチュエータ装置としての前記回転駆動装置51は、いわゆるインホイールモータであって、固定子としてのボディが縦リンクユニット33に固定され、前記ボディに回転可能に取り付けられた回転子としての回転軸が車輪12の軸に接続され、前記回転軸の回転によって車輪12を回転させる。なお、前記回転駆動装置51は、インホイールモータ以外の種類のモータであってもよい。
また、前記リンクモータ25は、電気モータ等を含む回転式の電動アクチュエータであって、固定子としての円筒状のボディと、該ボディに回転可能に取り付けられた回転子としての回転軸とを備えるものであり、前記ボディが取付フランジ22を介して本体部20に固定され、前記回転軸がリンク機構30の上側の横リンクユニット31Uに固定されている。なお、リンクモータ25の回転軸は、本体部20を傾斜させる傾斜軸として機能し、中央縦部材21と上側の横リンクユニット31Uとの連結部分の回転軸と同軸になっている。そして、リンクモータ25を駆動して回転軸をボディに対して回転させると、本体部20及び該本体部20に固定された中央縦部材21に対して上側の横リンクユニット31Uが回動し、リンク機構30が作動する、すなわち、屈伸する。これにより、本体部20を傾斜させることができる。なお、リンクモータ25は、その回転軸が本体部20及び中央縦部材21に固定され、そのボディが上側の横リンクユニット31Uに固定されていてもよい。
また、リンクモータ25は、リンク機構30のリンク角の変化を検出する図示されないリンク角センサを備える。該リンク角センサは、リンクモータ25においてボディに対する回転軸の回転角を検出する回転角センサであって、例えば、レゾルバ、エンコーダ等から成る。前述のように、リンクモータ25を駆動して回転軸をボディに対して回転させると、本体部20及び該本体部20に固定された中央縦部材21に対して上側の横リンクユニット31Uが回動するのであるから、ボディに対する回転軸の回転角を検出することによって、中央縦部材21に対する上側の横リンクユニット31Uの角度の変化、すなわち、リンク角の変化を検出することができる。
さらに、リンクモータ25は、回転軸をボディに対して回転不能に固定するリンクロック機構としてのリンクブレーキ26を備える。該リンクブレーキ26は、電力供給時に解除されるもの、例えば、無励磁作動型の電磁ブレーキであること、又は、メカニカルな機構であって、回転軸をボディに対して回転不能に固定している間には電力を消費しないものであることが望ましい。前記リンクブレーキ26によって、回転軸をボディに対して所定の角度で回転不能に固定し、リンク機構30を屈伸不能に固定することができる。
前記搭乗部11は、本体部20の前端に図示されない連結部を介して連結される。該連結部は、搭乗部11と本体部20とを所定の方向に相対的に変位可能に連結する機能を有していてもよい。
また、前記搭乗部11は、座席11a、フットレスト11b及び風よけ部11cを備える。前記座席11aは、車両10の走行中に乗員が着座するための部位である。また、前記フットレスト11bは、乗員の足部を支持するための部位であり、座席11aの前方側(図1における右側)下方に配設される。
さらに、搭乗部11の後方若しくは下方又は本体部20には、図示されないバッテリ装置が配設されている。該バッテリ装置は、回転駆動装置51及びリンクモータ25のエネルギ供給源である。また、搭乗部11の後方若しくは下方又は本体部20には、図示されない制御装置、インバータ装置、各種センサ等が収納されている。
そして、座席11aの前方には、操縦装置41が配設されている。該操縦装置41には、操舵装置としてのハンドルバー41a、速度メータ等のメータ、インジケータ、スイッチ等の操縦に必要な部材が配設されている。乗員は、前記ハンドルバー41a及びその他の部材を操作して、車両10の走行状態(例えば、進行方向、走行速度、旋回方向、旋回半径等)を指示する。なお、乗員が要求する車体の要求旋回量を出力するための手段である操舵装置として、ハンドルバー41aに代えて他の装置、例えば、ステアリングホイール、ジョグダイヤル、タッチパネル、押しボタン等の装置を操舵装置として使用することもできる。
なお、車輪12Fは、サスペンション装置(懸架装置)の一部である前輪フォーク17を介して搭乗部11に接続されている。前記サスペンション装置は、例えば、一般的なオートバイ、自転車等において使用されている前輪用のサスペンション装置と同様の装置であり、前記前輪フォーク17は、例えば、スプリングを内蔵したテレスコピックタイプのフォークである。そして、一般的なオートバイ、自転車等の場合と同様に、乗員によるハンドルバー41aの操作に応じて操舵輪としての車輪12Fは舵角を変化させ、これにより、車両10の進行方向が変化する。
具体的には、前記ハンドルバー41aは、図示されない操舵軸部材の上端に接続され、操舵軸部材の下端には前輪フォーク17の上端が接続されている。前記操舵軸部材は、上端が下端よりも後方に位置するように斜めに傾斜した状態で、搭乗部11が備える図示されないフレーム部材に、回転可能に取り付けられている。また、前輪である車輪12Fの車軸と後輪である左右の車輪12L及び12Rの車軸との距離、すなわち、ホイールベースはLH である。
さらに、車輪12Fの車軸を支持する前輪フォーク17の下端には、車両10の走行速度である車速を検出する車速検出手段としての車速センサ54が配設されている。該車速センサ54は、車輪12Fの回転速度に基づいて車速を検出するセンサであり、例えば、エンコーダ等から成る。
本実施の形態において、車両10は第1横加速度センサ44a及び第2横加速度センサ44b並びに第1前後加速度センサ44c及び第2前後加速度センサ44dを有する。これら第1横加速度センサ44a及び第2横加速度センサ44b並びに第1前後加速度センサ44c及び第2前後加速度センサ44dは、一般的な加速度センサ、ジャイロセンサ等から成るセンサであって、車両10の横加速度、すなわち、車体の幅方向としての横方向(図3における左右方向)の加速度、及び、車両10の前後加速度、すなわち、車体の前後方向(図1における左右方向)の加速度を検出する。
車両10は、図3(b)に示されるように、旋回時に車体を旋回内側に傾斜させて安定させるので、車体を傾斜させることによって、旋回時の旋回外側への遠心力と重力とが釣り合うような角度になるように制御される。このような制御を行うことによって、例えば、路面18が進行方向と垂直な方向(進行方向に対する左右方向)に傾斜していたとしても、常に車体を水平に保つことが可能になる。これにより、車体及び乗員には、見かけ上、常に重力が鉛直下向きにかかっていることになり、違和感が低減され、また、車両10の安定性が向上する。しかし、路面18の形状の急激な変化等の要因によって、走行状態が不安定になったときにこのような制御を行うと、走行状態が更に不安定になる可能性がある。
例えば、旋回が終了したときには、図4(a)に示されるように、右側の車輪12Rを下降させ、かつ、左側の車輪12Lを上昇させるようにリンク機構30を作動させて、図4(a−1)に示されるような車体を右側に傾斜させた姿勢から、図4(a−2)に示されるような姿勢に復帰させる。しかし、例えば、高速走行時において、路面18の一部に突起が存在し、左側の車輪12Lのみが前記突起の上を通過した直後には、図4(b−1)に示されるように、左側の車輪12Lが宙に浮き、車体が右側に傾斜した状態となる。この状態で、図4(a)に示される場合と同様にリンク機構30を作動させると、図4(b−2)に示されるように、車体全体が上昇してしまい、走行状態が更に不安定になる可能性がある。
そこで、本実施の形態においては、車体を傾斜させる制御を行うと走行状態が更に不安定になる可能性がある場合には、車体を傾斜させる動作を停止するようになっている。具体的には、本実施の形態においては、車体に取り付けた第1横加速度センサ44a及び第2横加速度センサ44bによって傾斜する車体の横方向の加速度を検出し、検出された横方向の加速度がゼロとなるようにフィードバック制御を行う。これにより、旋回時に作用する遠心力と重力とが釣り合う傾斜角まで、車体を傾斜させることができる。また、進行方向と垂直な方向に路面18が傾斜している場合でも、車体が鉛直になる傾斜角となるように制御することができる。なお、前記第1横加速度センサ44a及び第2横加速度センサ44bは、車体の幅方向の中心、すなわち、車体の縦方向軸線上に位置するように配設されている。それとともに、車体に取り付けた第1前後加速度センサ44c及び第2前後加速度センサ44dによって車体の前後方向の加速度を検出し、検出された前後方向の加速度に基づいて、車両10の重心位置が制御可能な所定の範囲、すなわち、安定範囲から外れたと判断された場合には、車体を傾斜させる動作を停止する。これにより、走行状態が更に不安定になることを効果的に防止することができる。
ところで、1つの横加速度センサのみで車体の横方向の加速度、すなわち、横加速度を検出すると、不要加速度成分をも検出してしまうことがある。例えば、車両10の走行中、路面18の窪(くぼ)みに左右の車輪12L及び12Rのいずれか一方のみが落下する場合があり得る。この場合、車体が傾斜するので、横加速度センサは、周方向に変位し、周方向の加速度を検出することになる。つまり、遠心力や重力に直接由来しない加速度成分、すなわち、不要加速度成分が検出されてしまう。
また、車両10は、例えば、車輪12L及び12Rのタイヤ部分のように弾性を備え、ばねとして機能する部分を含み、また、各部材の接続部等に不可避的なガタが含まれる。そのため、横加速度センサは、不可避的なガタやばねを介して車体に取り付けられていると考えられるので、ガタやばねの変位によって生じる加速度をも不要加速度成分として検出してしまう。
このような不要加速度成分は、車体傾斜制御システムの制御性を悪化させる可能性がある。例えば、車体傾斜制御システムの制御ゲインを大きくすると、不要加速度成分に起因する制御系の振動、発散等が発生するので、応答性を向上させようとしても制御ゲインを大きくすることができなくなってしまう。
そこで、本実施の形態においては、横加速度センサが複数であって、互いに異なる高さに配設されている。図1及び3に示される例において、横加速度センサは、第1横加速度センサ44a及び第2横加速度センサ44bの2つであって、第1横加速度センサ44aと第2横加速度センサ44bとは互いに異なる高さ位置に配設されている。第1横加速度センサ44a及び第2横加速度センサ44bの位置を適切に選択することで、効果的に不要加速度成分を取り除くことができる。同様に、前後加速度センサも、第1前後加速度センサ44c及び第2前後加速度センサ44dの2つであって、第1前後加速度センサ44cと第2前後加速度センサ44dとは互いに異なる高さ位置に配設されている。
ところで、第1横加速度センサ44a及び第2横加速度センサ44bは、一般的な加速度センサである。なお、二軸以上の加速度センサであれば、複数の方向の加速度、例えば、車体の横方向及び前後方向の加速度を検出することができる。すなわち、横加速度センサ及び前後加速度センサの機能を発揮することができる。
そこで、本実施の形態においては、第1横加速度センサ44aが第1前後加速度センサ44cとしても機能し、第2横加速度センサ44bが第2前後加速度センサ44dとしても機能するものとして説明する。つまり、第1横加速度センサ44aと第1前後加速度センサ44cとが一体的に構成され、第2横加速度センサ44bと第2前後加速度センサ44dとが一体的に構成されているものとして説明する。なお、第1横加速度センサ44aと第1前後加速度センサ44cとが別個に構成され、第2横加速度センサ44bと第2前後加速度センサ44dとが別個に構成されるようにしてもよい。
具体的には、図3(a)に示されるように、第1横加速度センサ44a及び第1前後加速度センサ44cは、搭乗部11の背面において、路面18からの距離、すなわち、高さがL1 の位置に配設されている。また、第2横加速度センサ44b及び第2前後加速度センサ44dは、搭乗部11の背面又は本体部20の上面において、路面18からの距離、すなわち、高さがL2 の位置に配設されている。なお、L1 >L2 である。
そして、旋回走行時に、図3(b)に示されるように、車体を旋回内側(図において右側)に傾けた状態で旋回すると、第1横加速度センサ44aは、横方向の加速度を検出して検出値a1 を出力し、第2横加速度センサ44bは、横方向の加速度を検出して検出値a2 を出力する。なお、車体が傾く際の傾斜運動の中心、すなわち、ロール中心は、厳密には路面18よりわずかに下方に位置するが、実際上は、概略路面18と等しい位置であると考えられる。
前記第1横加速度センサ44a及び第1前後加速度センサ44c並びに第2横加速度センサ44b及び第2前後加速度センサ44dは、ともに、十分に剛性の高い部材に取り付けられることが望ましい。また、L1 とL2 との差は、小さいと検出値a1 及びa2 の差が小さくなるので、十分に大きいこと、例えば、0.3〔m〕以上、とすることが望ましい。さらに、前記第1横加速度センサ44a及び第1前後加速度センサ44c並びに第2横加速度センサ44b及び第2前後加速度センサ44dは、ともに、リンク機構30よりも上方に配設されることが望ましい。さらに、車体がサスペンション等のばねで支持されている場合、前記第1横加速度センサ44a及び第1前後加速度センサ44c並びに第2横加速度センサ44b及び第2前後加速度センサ44dは、ともに、いわゆる「ばね上」に配設されることが望ましい。さらに、前記第1横加速度センサ44a及び第1前後加速度センサ44c並びに第2横加速度センサ44b及び第2前後加速度センサ44dは、ともに、前輪である車輪12Fの車軸と後輪である車輪12L及び12Rの車軸との間に配設されることが望ましい。さらに、前記第1横加速度センサ44a及び第1前後加速度センサ44c並びに第2横加速度センサ44b及び第2前後加速度センサ44dは、ともに、可能な限り乗員の近くに配設されることが望ましい。さらに、前記第1横加速度センサ44a及び第1前後加速度センサ44c並びに第2横加速度センサ44b及び第2前後加速度センサ44dは、ともに、上側から観て進行方向に延在する車体の中心軸上に位置すること、すなわち、進行方向に関してオフセットされないことが望ましい。
本実施の形態においては、車体の旋回運動の角速度、すなわち、車体のヨー角速度を検出するヨー角速度検出手段としてのヨーレートセンサ44eが配設されている。具体的には、該ヨーレートセンサ44eは、例えば、座席11aとフットレスト11bとの間に配設される。
なお、前記ヨーレートセンサ44eは、一般的なヨーレートセンサであって、例えば、ジャイロセンサを、路面18と平行な面内での回転角速度を検出することができるように取り付けたものである。
また、本実施の形態における車両10は、制御装置の一部としての車体傾斜制御システムを有する。該車体傾斜制御システムは、一種のコンピュータシステムであり、ECU(Electronic Control Unit)等から成る傾斜制御装置を備える。該傾斜制御装置は、プロセッサ等の演算手段、磁気ディスク、半導体メモリ等の記憶手段、入出力インターフェイス等を備え、第1横加速度センサ44a、第2横加速度センサ44b、第1前後加速度センサ44c、第2前後加速度センサ44d、ヨーレートセンサ44e、車速センサ54、リンクモータ25及びリンクブレーキ26に接続されている。そして、前記傾斜制御装置は、リンクモータ25を作動させるためのトルク指令値及びリンクブレーキ26を作動させるための指令を出力する。
前記傾斜制御装置は、旋回走行の際には、フィードバック制御を行い、車体の傾斜角度が、第1横加速度センサ44a及び第2横加速度センサ44bが検出する横加速度の値がゼロとなるような角度になるように、リンクモータ25を作動させる。つまり、旋回外側への遠心力と重力とが釣り合って、横方向の加速度成分がゼロとなるような角度になるように、車体の傾斜角度を制御する。これにより、車体及び搭乗部11に搭乗している乗員には、車体の縦方向軸線と平行な方向の力が作用することとなる。したがって、車体の安定を維持することができ、また、旋回性能を向上させることができる。
また、図5に示されるように、水平面内において、車両10の重心Mの位置が制御可能な所定の範囲、すなわち、安定範囲から外れたと判断された場合には、車体を傾斜させる動作を停止するように制御する。なお、前記重心Mは、車両10のみならず、搭乗している乗員及び搭載されている積載物をも含む全体の重心である。
前記所定の範囲は、各車輪12の接地点を結ぶ線分によって外延が画定された範囲であり、各車輪12の接地点を結ぶ線分によって形成された多角形である。該多角形は、車両10が四輪車である場合には四角形であり、車両10が三輪車である場合には三角形である。本実施の形態において、前記多角形は、図5(a)に示されるように、前輪である車輪12Fの接地点と、後輪である左右の車輪12L及び12Rの接地点とを頂点とする二等辺三角形Kである。そして、重心Mの位置が二等辺三角形Kの外側にある場合には、リンクブレーキ26を作動させてリンクモータ25の回転軸をボディに対して回転不能に固定し、これにより、リンク機構30を屈伸不能に固定する。
図5(b)において、hは、重心Mの高さ、すなわち、路面18から重心Mまでの距離である。そして、lは、重心前後位置、すなわち、車輪12Fの接地点から重心Mまでの距離の水平成分である。また、Wは、トレッド、すなわち、後輪である左右の車輪12L及び12Rの接地点間の距離である。さらに、aCxは、重心Mに作用する前後加速度であり、aCyは、重心Mに作用する横加速度であり、aR は、耐え得る横加速度、すなわち、横加速度の余裕値である。
ここで、横加速度の余裕値aR は、次の式(1)で表される。
aR =W(l−haCx)/2hLH ・・・式(1)
そして、次の式(2)が満足された場合には、リンクブレーキ26を作動させてリンク機構30を屈伸不能に固定する。
aR <|aCy| ・・・式(2)
これにより、外乱を受けたときでも、走行状態が更に不安定になることを効果的に防止することができ、車体の安定を維持することができる。また、乗員が違和感を感じることがなく、乗り心地が向上する。
次に、前記車体傾斜制御システムの構成について説明する。
図6は本発明の実施の形態における車体傾斜制御システムの構成を示すブロック図である。
図において、46は傾斜制御装置としての傾斜制御ECUであり、第1横加速度センサ44a、第2横加速度センサ44b、第1前後加速度センサ44c、第2前後加速度センサ44d、ヨーレートセンサ44e、車速センサ54、リンクモータ25及びリンクブレーキ26に接続されている。また、前記傾斜制御ECU46は、加速度演算部48、傾斜制御部47及びリンクモータ制御部42を備える。
ここで、前記加速度演算部48は、第1横加速度センサ44a及び第2横加速度センサ44bが検出した横加速度に基づいて合成横加速度を算出する。また、前記加速度演算部48は、第1横加速度センサ44a、第2横加速度センサ44b、第1前後加速度センサ44c、第2前後加速度センサ44dが検出した横加速度及び前後加速度に基づいて、重心Mに作用する前後加速度aCx及び横加速度aCy並びに耐え得る横加速度aR を算出し、前記式(2)が満足された場合には、リンク停止指令を出力する。
そして、前記傾斜制御部47は、加速度演算部48が算出した合成横加速度、及び、リンク停止指令に基づいて制御値としての速度指令値を演算して出力する。また、前記リンクモータ制御部42は、傾斜制御部47が出力した速度指令値に基づいてリンクモータ25を作動させるための制御値としてのトルク指令値を出力するとともに、加速度演算部48が出力したリンク停止指令に基づいて、リンクブレーキ26の作動指令及びリンクモータ25の作動停止指令を出力する。
次に、前記構成の車両10の動作について説明する。まず、旋回走行における車体傾斜制御処理の動作の一部である横加速度演算処理の動作について説明する。
図7は本発明の実施の形態における旋回走行時の車体の傾斜動作を説明する力学モデルを示す図、図8は本発明の実施の形態における横加速度演算処理の動作を示すフローチャートである。
旋回走行が開始されると、車体傾斜制御システムは車体傾斜制御処理を開始する。姿勢制御が行われることで、車両10は、リンク機構30によって、旋回走行時には、図3(b)に示されるように、車体を旋回内側(図において右側)に傾けた状態で旋回する。また、旋回走行時には、旋回外側への遠心力が車体に作用するとともに、車体を旋回内側に傾けたことによって重力の横方向成分が発生する。そして、加速度演算部48は、横加速度演算処理を実行し、合成横加速度aを算出して傾斜制御部47に出力する。すると、該傾斜制御部47は、フィードバック制御を行い、合成横加速度aの値がゼロとなるような制御値としての速度指令値を出力する。そして、リンクモータ制御部42は、傾斜制御部47が出力した速度指令値に基づいてトルク指令値をリンクモータ25に出力する。
なお、車体傾斜制御処理は、車両10の電源が投入されている間、車体傾斜制御システムによって繰り返し所定の制御周期TS (例えば、5〔ms〕)で実行される処理であり、旋回時において、旋回性能の向上と乗員の快適性の確保とを図る処理である。
なお、図7において、44Aは車体において第1横加速度センサ44aの配設された位置を示す第1センサ位置であり、44Bは車体において第2横加速度センサ44bの配設された位置を示す第2センサ位置である。
第1横加速度センサ44a及び第2横加速度センサ44bが検出してその検出値を出力する加速度は、〈1〉旋回時に車体に作用する遠心力、〈2〉車体を旋回内側に傾けたことによって発生する重力の横方向成分、〈3〉左右の車輪12L及び12Rのいずれか一方のみが路面18の窪みに落下することによる車体の傾斜、ガタやばねの変位等により第1横加速度センサ44a及び第2横加速度センサ44bが周方向に変位することによって生じる加速度、並びに、〈4〉リンクモータ25の作動又はその反作用により第1横加速度センサ44a及び第2横加速度センサ44bが周方向に変位することによって生じる加速度、の4つであると考えられる。これら4つの加速度のうち、前記〈1〉及び〈2〉は、第1横加速度センサ44a及び第2横加速度センサ44bの高さ、すなわち、L1 及びL2 と無関係である。一方、前記〈3〉及び〈4〉は、周方向に変位することによって生じる加速度であるから、ロール中心からの距離に比例する、すなわち、概略L1 及びL2 に比例する。
ここで、第1横加速度センサ44a及び第2横加速度センサ44bが検出してその検出値を出力する〈3〉の加速度をaX1及びaX2とし、第1横加速度センサ44a及び第2横加速度センサ44bが検出してその検出値を出力する〈4〉の加速度をaM1及びaM2とする。また、第1横加速度センサ44a及び第2横加速度センサ44bが検出してその検出値を出力する〈1〉の加速度をaT とし、第1横加速度センサ44a及び第2横加速度センサ44bが検出してその検出値を出力する〈2〉の加速度をaG とする。なお、前記〈1〉及び〈2〉は、第1横加速度センサ44a及び第2横加速度センサ44bの高さに無関係なので、第1横加速度センサ44a及び第2横加速度センサ44bの検出値は等しい。
そして、左右の車輪12L及び12Rのいずれか一方のみが路面18の窪みに落下することによる車体の傾斜、ガタやばねの変位等による周方向の変位の角速度をωR とし、その角加速度をωR ’とする。また、リンクモータ25の作動又はその反作用による周方向の変位の角速度をωM とし、その角加速度をωM ’とする。なお、角速度ωM 又は角加速度ωM ’は、リンク角センサの検出値から取得することができる。
すると、aX1=L1 ωR ’、aX2=L2 ωR ’、aM1=L1 ωM ’、aM2=L2 ωM ’となる。
また、第1横加速度センサ44a及び第2横加速度センサ44bが検出して出力する加速度の検出値をa1 及びa2 とすると、a1 及びa2 は、4つの加速度〈1〉〜〈4〉の合計であるから、次の式(3)及び(4)で表される。
a1 =aT +aG +L1 ωR ’+L1 ωM ’ ・・・式(3)
a2 =aT +aG +L2 ωR ’+L2 ωM ’ ・・・式(4)
そして、式(3)から式(4)を減算すると、次の式(5)を得ることができる。
a1 −a2 =(L1 −L2 )ωR ’+(L1 −L2 )ωM ’ ・・・式(5)
ここで、L1 及びL2 の値は、第1横加速度センサ44a及び第2横加速度センサ44bの高さであるから既知である。また、ωM ’の値は、リンクモータ25の角速度ωM の微分値であるから既知である。すると、前記式(5)の右辺においては、第1項のωR ’の値のみが未知であり、他の値はすべて既知である。したがって、第1横加速度センサ44a及び第2横加速度センサ44bの検出値a1 及びa2 から、ωR ’の値を得ることが可能である。つまり、第1横加速度センサ44a及び第2横加速度センサ44bの検出値a1 及びa2 に基づいて、不要加速度成分を取り除くことができる。
車体傾斜制御システムが車体傾斜制御処理を開始すると、加速度演算部48は、横加速度演算処理を開始し、まず、第1横加速度センサ値a1 を取得するとともに(ステップS1)、第2横加速度センサ値a2 を取得する(ステップS2)。そして、加速度演算部48は、加速度差Δaを算出する(ステップS3)。該Δaは次の式(6)によって表される。
Δa=a1 −a2 ・・・式(6)
続いて、加速度演算部48は、ΔL呼出を行うとともに(ステップS4)、L2 呼出を行う(ステップS5)。前記ΔLは次の式(7)によって表される。
ΔL=L1 −L2 ・・・式(7)
続いて、加速度演算部48は、合成横加速度aを算出する(ステップS6)。なお、合成横加速度aは、横加速度センサが1つである場合における横加速度センサ値aに相当する値であって、第1横加速度センサ値a1 と第2横加速度センサ値a2 とを合成した値であり、次の式(8)及び(9)によって得られる。
a=a2 −(L2 /ΔL)Δa ・・・式(8)
a=a1 −(L1 /ΔL)Δa ・・・式(9)
理論上は、式(8)によっても式(9)によっても、同じ値を得ることができるが、周方向の変位によって生じる加速度はロール中心からの距離に比例するので、実際上は、ロール中心により近い方の横加速度センサ、すなわち、第2横加速度センサ44bの検出値であるa2 を基準にすることが望ましい。そこで、本実施の形態においては、式(8)によって合成横加速度aを算出することとする。
最後に、加速度演算部48は、傾斜制御部47へ合成横加速度aを送出して(ステップS7)、処理を終了する。
このように、本実施の形態においては、第1横加速度センサ44aと第2横加速度センサ44bとを互いに異なる高さ位置に配設し、第1横加速度センサ値a1 と第2横加速度センサ値a2 とを合成した合成横加速度aを算出し、該合成横加速度aの値がゼロとなるように、フィードバック制御を行って車体の傾斜角度を制御する。
これにより、不要加速度成分を取り除くことができるので、路面状況の影響を受けることがなく、制御系の振動、発散等の発生を防止することができ、車体傾斜制御システムの制御ゲインを大きくして制御の応答性を向上させることができる。
なお、本実施の形態においては、横加速度センサが2つである場合について説明したが、横加速度センサは、複数であって互いに異なる高さに配設されていれば、3つ以上であってもよく、いくつであってもよい。
次に、リンクモータ制御部42へ速度指令値を出力するための傾斜制御処理の動作について説明する。
図9は本発明の実施の形態における車両の傾斜制御処理の動作を示すフローチャートである。
傾斜制御処理において、傾斜制御部47は、まず、加速度演算部48から合成横加速度aを受信する(ステップS11)。
続いて、傾斜制御部47は、aold 呼出を行う(ステップS12)。aold は、前回の車体傾斜制御処理実行時に保存された合成横加速度aである。なお、初期設定においては、aold =0とされている。
続いて、傾斜制御部47は、制御周期TS を取得し(ステップS13)、aの微分値を算出する(ステップS14)。ここで、aの微分値をda/dtとすると、該da/dtは次の式(10)によって算出される。
da/dt=(a−aold )/TS ・・・式(10)
そして、傾斜制御部47は、aold =aとして保存する(ステップS15)。つまり、今回の車体傾斜制御処理実行時に取得した横加速度センサ値aをaold として、記憶手段に保存する。
続いて、傾斜制御部47は、第1制御値UP を算出する(ステップS16)。ここで、比例制御動作の制御ゲイン、すなわち、比例ゲインをCP とすると、第1制御値UP は次の式(11)によって算出される。
UP =CP a ・・・式(11)
続いて、傾斜制御部47は、第2制御値UD を算出する(ステップS17)。ここで、微分制御動作の制御ゲイン、すなわち、微分時間をCD とすると、第2制御値UD は次の式(12)によって算出される。
UD =CD da/dt ・・・式(12)
続いて、傾斜制御部47は、第3制御値Uを算出する(ステップS18)。該第3制御値Uは、第1制御値UP と第2制御値UD との合計であり、次の式(13)によって算出される。
U=UP +UD ・・・式(13)
最後に、傾斜制御部47は、第3制御値Uを速度指令値としてリンクモータ制御部42へ出力して(ステップS19)、処理を終了する。
次に、リンクモータ25へトルク指令値を出力するためのリンクモータ制御処理の動作について説明する。
図10は本発明の実施の形態におけるリンクモータ制御処理の動作を示すフローチャートである。
リンクモータ制御処理において、リンクモータ制御部42は、まず、傾斜制御部47から第3制御値Uを受信する(ステップS21)。
続いて、リンクモータ制御部42は、リンク角センサが検出したリンク角センサ値ηに基づいて、リンク機構30のリンク角の角速度Δηを算出する(ステップS22)。
また、リンクモータ制御部42は、Δηの値を加速度演算部48等から取得することができるときは、前記ステップS22の動作を省略することもできる。
続いて、リンクモータ制御部42は、制御誤差を算出する(ステップS23)。ここで、制御誤差をεとすると、該εは、次の式(14)によって算出される。
ε=U−Δη ・・・式(14)
なお、Uは傾斜制御部47から受信した第3制御値Uである。
続いて、リンクモータ制御部42は、モータ制御比例ゲインGMPを取得する(ステップS24)。該モータ制御比例ゲインGMPの値は、実験等に基づいて設定された値であり、あらかじめ記憶手段に格納されている。
続いて、リンクモータ制御部42は、リンクモータ25を作動させるためのトルク指令値を算出する(ステップS25)。ここで、トルク指令値をUT とすると、該UT は次の式(15)によって算出される。
UT =GMPε ・・・式(15)
最後に、リンクモータ制御部42は、トルク指令値UT をリンクモータ25へ出力して(ステップS26)、処理を終了する。
次に、リンクブレーキ26の作動指令及びリンクモータ25の作動停止指令を出力するためのリンクブレーキ制御処理の動作について説明する。
図11は本発明の実施の形態におけるリンクブレーキ制御処理の動作を示すフローチャートである。
リンクブレーキ制御処理において、加速度演算部48は、まず、重心における前後加速度、すなわち、重心Mに作用する前後加速度aCxを算出する(ステップS31)。ここで、第1前後加速度センサ44c及び第2前後加速度センサ44dが検出した前後加速度の検出値をax1及びax2とすると、前記aCxは、次の式(16)によって算出される。なお、前記ax1及びax2は、進行方向を正とする値である。
aCx=h(ax1−ax2)/(L1 −L2 )+ax2−L2 (ax1−ax2)/(L1 −L2 ) ・・・式(16)
続いて、加速度演算部48は、横加速度の余裕値aR を算出する(ステップS32)。なお、該aR は、前記式(1)によって算出される。
続いて、加速度演算部48は、重心における横加速度、すなわち、重心Mに作用する横加速度aCyを算出する(ステップS33)。ここで、第1横加速度センサ44a及び第2横加速度センサ44bが検出した横加速度の検出値をay1及びay2とすると、前記aCyは、次の式(17)によって算出される。
aCy=h(ay1−ay2)/(L1 −L2 )+ay2−L2 (ay1−ay2)/(L1 −L2 ) ・・・式(17)
続いて、加速度演算部48は、算出されたaR の値とaCyの絶対値とを比較して、aR の値がaCyの絶対値未満であるか否かを判断する(ステップS34)。そして、aR の値がaCyの絶対値未満である場合、加速度演算部48は、リンク停止指令を傾斜制御部47へ出力し(ステップS35)、処理を終了する。すると、前記リンク停止指令は、そのまま、傾斜制御部47からリンクモータ制御部42へ伝達される。そして、該リンクモータ制御部42は、リンク停止指令に基づいて、リンクブレーキ26の作動指令及びリンクモータ25の作動停止指令を出力する。これにより、リンクモータ25が作動を停止するとともに、リンクブレーキ26が作動してリンクモータ25の回転軸をボディに対して回転不能に固定するので、リンク機構30が屈伸不能に固定される。
なお、aR の値がaCyの絶対値未満であるか否かを判断して、aR の値がaCyの絶対値未満でない場合、加速度演算部48は、リンク動作許可指令を傾斜制御部47へ出力し(ステップS36)、処理を終了する。すると、前記リンク動作許可指令は、そのまま、傾斜制御部47からリンクモータ制御部42へ伝達される。そして、該リンクモータ制御部42は、リンク動作許可指令に基づいて、リンクブレーキ26の解除指令及びリンクモータ25の動作許可指令を出力する。これにより、リンクモータ25が作動するとともに、リンクブレーキ26の作動を解除してリンクモータ25の回転軸をボディに対して回転不能に固定された状態から解除するので、リンク機構30が屈伸可能にされる。
このように、本実施の形態においては、第1横加速度センサ44a及び第2横加速度センサ44bが検出する横加速度並びに第1前後加速度センサ44c及び第2前後加速度センサ44dが検出する前後加速度に基づいて、重心Mの位置が制御可能な範囲を外れたか否かを判断し、重心Mの位置が制御可能な範囲を外れた場合には車体を傾斜させる動作を停止させる。
これにより、路面18の形状の急激な変化等の要因によって、走行状態が不安定になった場合、走行状態が更に不安定になることを効果的に防止することができるので、より安全性の高い車両10を提供することができる。
また、水平面内における重心Mの位置が車輪12の接地点を結ぶ線分によって形成された二等辺三角形Kの外側に位置する場合に、重心Mが制御可能な範囲を外れたと判断するので、走行状態が不安定になったことを適切に判断することができる。
さらに、リンクブレーキ26を作動させて、リンクモータ25の回転軸をボディに対して回転不能に固定するので、リンク機構30を確実に固定することができる。
なお、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づいて種々変形させることが可能であり、それらを本発明の範囲から排除するものではない。