JP2012142188A - 発光装置、照明装置および車両用前照灯、ならびに、発光装置の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】ヘッドランプ1は、レーザ光を出射する半導体レーザ3と、半導体レーザ3から出射された励起光により発光する蛍光体を含む発光部7と、発光部7におけるレーザ光照射面7aの側に配置され、発光部7の熱を受け取る熱伝導部材13と、発光部7におけるレーザ光照射面7aと対向する対向面7bの側に配置され、発光部7の熱を受け取る中空部材14とを備えている。
【選択図】図1
Description
本発明の実施の一形態について図1〜図7に基づいて説明すれば、以下のとおりである。ここでは、本発明の照明装置の一例として、自動車用のヘッドランプ(発光装置、照明装置、車両用前照灯)1を例に挙げて説明する。ただし、本発明の照明装置は、自動車以外の車両・移動物体(例えば、人間・船舶・航空機・潜水艇・ロケットなど)のヘッドランプとして実現されてもよいし、その他の照明装置として実現されてもよい。その他の照明装置として、例えば、サーチライト、プロジェクター、家庭用照明器具を挙げることができる。
まず、図1を参照しながら、ヘッドランプ1の構成について説明する。図1は、ヘッドランプ1の構成を示す断面図である。同図に示すように、ヘッドランプ1は、半導体レーザアレイ2と、非球面レンズ4と、光ファイバー5と、フェルール6と、発光部7と、反射鏡8と、透明板9と、ハウジング10と、エクステンション11と、レンズ12と、熱伝導部材(第一の熱伝導部材)13と、中空部材(第二の熱伝導部材)14と、冷却部15と、を備えている。図2は、熱伝導部材13と中空部材14とが接続(接着または溶接)されている構造を示す図であり、(a)がその断面図、(b)がその斜視図である。
半導体レーザアレイ2は、励起光を出射する励起光源として機能し、複数の半導体レーザ(励起光源)3を基板上に備えるものである。半導体レーザ3のそれぞれから励起光としてのレーザ光が発振される。なお、励起光源として複数の半導体レーザ3を用いる必要は必ずしもなく、半導体レーザ3を1つのみ用いてもよいが、高出力のレーザ光を得るためには、複数の半導体レーザ3を用いる方が容易である。
非球面レンズ4は、半導体レーザ3から発振されたレーザ光(励起光)を、光ファイバー5の一方の端部である入射端部5bに入射させるためのレンズである。例えば、非球面レンズ4として、アルプス電気製のFLKN1 405を用いることができる。上述の機能を有するレンズであれば、非球面レンズ4の形状および材質は特に限定されないが、405nm近傍の透過率が高く、かつ耐熱性のよい材料であることが好ましい。
(光ファイバー5の配置)
光ファイバー5は、半導体レーザ3が発振したレーザ光を発光部7へと導く導光部材であり、複数の光ファイバーの束である。この光ファイバー5は、上記レーザ光を受け取る複数の入射端部5bと、入射端部5bから入射したレーザ光を出射する複数の出射端部5aとを有している。複数の出射端部5aは、発光部7のレーザ光照射面(励起光照射面)7aにおける互いに異なる領域に対してレーザ光を出射する。
光ファイバー5は、中芯のコアを、当該コアよりも屈折率の低いクラッドで覆った2層構造を有している。コアは、レーザ光の吸収損失がほとんどない石英ガラス(酸化ケイ素)を主成分とするものであり、クラッドは、コアよりも屈折率の低い石英ガラスまたは合成樹脂材料を主成分とするものである。例えば、光ファイバー5は、コアの径が200μm、クラッドの径が240μm、開口数NAが0.22の石英製のものであるが、光ファイバー5の構造、太さおよび材質は上述のものに限定されず、光ファイバー5の長軸方向に対して垂直な断面は矩形であってもよい。
フェルール6は、光ファイバー5の複数の出射端部5aを発光部7のレーザ光照射面に対して所定のパターンで保持する。このフェルール6は、出射端部5aを挿入するための孔が所定のパターンで形成されているものでもよいし、上部と下部とに分離できるものであり、上部および下部の接合面にそれぞれ形成された溝によって出射端部5aを挟み込むものでもよい。
(発光部7の組成)
発光部7は、出射端部5aから出射されたレーザ光を受けて発光するものであり、レーザ光を受けて発光する蛍光体を含んでいる。具体的には、発光部7は、蛍光体保持物質(封止材)としてのシリコーン樹脂の内部に蛍光体が分散されているものである。シリコーン樹脂と蛍光体との割合は、10:1程度である。また、発光部7は、蛍光体を押し固めたものであってもよい。蛍光体保持物質は、シリコーン樹脂等の樹脂材料に限定されず、いわゆる有機無機ハイブリッドガラスや無機ガラスであってもよい。
発光部7は、酸窒化物系蛍光体またはIII−V族化合物半導体ナノ粒子蛍光体を含んでいることが好ましい。これらの材料は、半導体レーザ3から発せられた極めて強いレーザ光(出力および光密度)に対しての耐性が高く、レーザ照明光源に最適である。
発光部7の形状および大きさは、例えば、直径3.2mmおよび厚さ1mmの円柱形状であり、出射端部5aから出射されたレーザ光を、当該円柱の底面であるレーザ光照射面7aにおいて受光する。
反射鏡8は、発光部7から出射した光を反射することにより、所定の立体角内を進む光線束を形成するものである。すなわち、反射鏡8は、発光部7からの光を反射することにより、ヘッドランプ1の前方へ進む光線束を形成する。この反射鏡8は、例えば、金属薄膜がその表面に形成された曲面形状(カップ形状)の部材である。
透明板9は、反射鏡8の開口部を覆う透明な樹脂板である。この透明板9を、半導体レーザ3からのレーザ光を遮断するとともに、発光部7においてレーザ光を変換することにより生成された白色光(インコヒーレントな光)を透過する材質で形成することが好ましい。発光部7によってコヒーレントなレーザ光は、そのほとんどがインコヒーレントな白色光に変換される。しかし、何らかの原因でレーザ光の一部が変換されない場合も考えられる。このような場合でも、透明板9によってレーザ光を遮断することにより、レーザ光が外部に漏れることを防止できる。
ハウジング10は、ヘッドランプ1の本体を形成しており、反射鏡8等を収納している。光ファイバー5は、このハウジング10を貫いており、半導体レーザアレイ2は、ハウジング10の外部に設置される。半導体レーザアレイ2は、レーザ光の発振時に発熱するが、ハウジング10の外部に設置することにより半導体レーザアレイ2を効率良く冷却することが可能となる。したがって、半導体レーザアレイ2から発生する熱による、発光部7の特性劣化や熱的損傷等が防止される。
エクステンション11は、反射鏡8の前方の側部に設けられており、ヘッドランプ1の内部構造を隠して、ヘッドランプ1の見栄えを良くするとともに、反射鏡8と車体との一体感を高めている。このエクステンション11も反射鏡8と同様に金属薄膜がその表面に形成された部材である。
レンズ12は、ハウジング10の開口部に設けられており、ヘッドランプ1を密封している。発光部7が発生し、反射鏡8によって反射された光は、レンズ12を通ってヘッドランプ1の前方へ出射される。
熱伝導部材13は、発光部7における励起光が照射される面であるレーザ光照射面(励起光照射面)7aの側に配置され、発光部7の熱を受け取る透光性の部材であり、発光部7と熱的に(すなわち、熱エネルギーの授受が可能なように)接続されている。具体的には、発光部7と熱伝導部材13とは、図2(a)に示すように、中空部材14によって接着されている。発光部7は、中空部材14の内部に嵌め込まれており、上述したとおり、熱伝導部材13と中空部材14とが接続(接着または溶接)することにより、発光部7が熱伝導部材13に接着されている。
中空部材14は、発光部7における励起光が照射される面であるレーザ光照射面7aと対向する対向面7bの側に配置され、発光部7の熱を受け取る透光性の部材であり、発光部7と熱的に(すなわち、熱エネルギーの授受が可能なように)接続されている。具体的には、図2(a)に示すように、中空部材14の内部に発光部7が嵌め込まれている。上述したとおり、中空部材14は熱伝導部材13に接続(接着または溶接)されており、これにより、中空部材14の内部の発光部7が熱伝導部材13に接着されている。
図3に示すように、透明板9は、中空部材14を冷却するために用いられてもよい。すなわち、中空部材14を透明板9に熱的に(すなわち、熱エネルギーの授受が可能なように)接続してもよい。発光部7から中空部材14に逃げる熱を透明板9から放熱させることができる。中空部材14と比較し、透明板9の体積は大きいことから、その熱容量も中空部材14より大きなものとなる。このため、中空部材14が透明板9に接続されると、その接続箇所において、熱勾配が生じ、その勾配により、中空部材14から透明板9に熱が流れ込む。なお、透明板9は、図示しないが、ハウジング10等に固定されるのが通常である。したがって、中空部材14から透明板9に流れ込む熱は、ハウジング10等を介し、ヘッドランプ1から放熱される。
熱伝導部材13および中空部材14には拡散剤(図示省略)が含まれていてもよい。レーザ光はコヒーレントな光であり、発光部7において蛍光に変換または拡散されずにそのまま外部に放射されると人体に害を及ぼす可能性がある。熱伝導部材13および中空部材14に拡散剤を含めることにより、光ファイバー5から出射されたレーザ光が拡散される。
冷却部15は、熱伝導部材13を冷却する部材であり、例えば、アルミや銅などの金属からなる熱伝導性の高い放熱ブロックである。なお、反射鏡8が金属で形成されるのであれば、反射鏡8が冷却部15を兼ねていてもよい。または、冷却部15は、冷却液をその内部に循環させることによって熱伝導部材13を冷却する冷却装置であってもよいし、風冷によって熱伝導部材13を冷却する冷却装置(ファン)であってもよい。
次に、半導体レーザ3の基本構造について説明する。図4(a)は、半導体レーザ3の回路図を模式的に示したものであり、図4(b)は、半導体レーザ3の基本構造を示す斜視図である。同図に示すように、半導体レーザ3は、カソード電極23、基板22、クラッド層113、活性層111、クラッド層112、アノード電極21がこの順に積層された構成である。
次に、半導体レーザ3から発振されたレーザ光による蛍光体の発光原理について説明する。
図5は、中空部材14の変更例を示す断面図である。図5に示すように、中空部材14は、大別して、発光部7のレーザ光照射面7aに対向する対向面7bと密着する対向面密着部(第二の熱伝導部材)141と、レーザ光照射面7aに垂直な垂直面7cの一部と密着する垂直面密着部(第三の熱伝導部材)142と、分けることができる。
図5に示す変形例では、中空部材14を構成する材料を、図1および図2に示した中空部材14と比較し、少なくすることができるので、中空部材14の材料費が抑えられ、延いては、ヘッドランプ1の製造コストを低減することができる。
ヘッドランプ1の製造方法の一例について説明する。図7は、ヘッドランプ1の製造方法の処理手順を示すフローチャートである。
発光部7をハイパワーのレーザ光で励起すると、発光部7が激しく劣化することを本発明の発明者は見出した。発光部7の劣化は、発光部7に含まれる蛍光体そのものの劣化とともに、蛍光体を取り囲む封止材(例えば、シリコーン樹脂)の劣化によって主に引き起こされる。上述のサイアロン蛍光体は、レーザ光が照射されると60〜80%の効率で光を発生させるが、残りは熱となって放出される。この熱によって蛍光体を取り囲む物質が劣化すると考えられる。
本発明の他の実施形態について図8〜図13に基づいて説明すれば、以下のとおりである。なお、実施の形態1と同様の部材に関しては、同じ符号を付し、その説明を省略する。
発光ユニット210は、図11に示すように、筐体211、光ファイバー5、発光部7、熱伝導部材13および透光板213を備えている。発光部7は、中空部材14によって熱伝導部材13に接着されている。上述の実施形態と同様に、発光部7の熱が熱伝導部材13および中空部材14に伝わることで発光部7が冷却される。
LD光源ユニット220は、半導体レーザ3、非球面レンズ4および光ファイバー5を備えている。
図12は、レーザダウンライト200の設置方法の変更例を示す断面図である。同図に示すように、レーザダウンライト200の設置方法の変形例として、天板400には光ファイバー5を通す小さな穴402だけを開け、薄型・軽量の特長を活かしてレーザダウンライト本体(発光ユニット210)を天板400に貼り付けるということもできる。この場合、レーザダウンライト200の設置に係る制約が小さくなり、また工事費用が大幅に削減できるというメリットがある。
従来のLEDダウンライト300は、図9に示すように、複数の透光板301を備えており、各透光板301からそれぞれ照明光が出射される。すなわち、LEDダウンライト300において発光点は複数存在している。LEDダウンライト300において発光点が複数存在しているのは、個々の発光点から出射される光の光束が比較的小さいため、複数の発光点を設けなければ照明光として十分な光束の光が得られないためである。
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
2 半導体レーザアレイ(励起光源)
3 半導体レーザ(励起光源)
7 発光部
7a レーザ光照射面(励起光照射面)
9 透明板
13 熱伝導部材(第一の熱伝導部材)
14 中空部材(第二の熱伝導部材)
141 対向面密着部(第二の熱伝導部材)
142 垂直面密着部(第三の熱伝導部材)
Claims (14)
- 励起光を出射する励起光源と、
上記励起光源から出射された励起光により発光する蛍光体を含む発光部と、
上記発光部における上記励起光が照射される面である励起光照射面の側に配置され、上記発光部の熱を受け取る第一の熱伝導部材と、
上記発光部における上記励起光照射面と対向する面の側に配置され、上記発光部の熱を受け取る第二の熱伝導部材とを備えることを特徴とする発光装置。 - 上記発光部における、上記励起光照射面の側および上記励起光照射面と対向する面の側のいずれとも異なる側に配置され、上記発光部の熱を受け取る第三の熱伝導部材をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の発光装置。
- 上記第一の熱伝導部材、上記第二の熱伝導部材および上記第三の熱伝導部材は、上記発光部よりも高い熱伝導率を有していることを特徴とする請求項2に記載の発光装置。
- 上記第二の熱伝導部材と上記第三の熱伝導部材とは、互いに結合されて一体化されていることを特徴とする請求項3に記載の発光装置。
- 上記第一の熱伝導部材と上記第三の熱伝導部材とは、互いに結合されて一体化されていることを特徴とする請求項3に記載の発光装置。
- 上記第三の熱伝導部材は、上記第一の熱伝導部材と上記第二の熱伝導部材との相対位置関係を固定することを特徴とする請求項4または5に記載の発光装置。
- 上記発光部は、蛍光体保持物質と、当該蛍光体保持物質に分散されており、レーザ光が照射されることにより発光する蛍光体と、を混合し焼結させた焼結体であり、
上記焼結体は、上記第一の熱伝導部材、上記第二の熱伝導部材および上記第三の熱伝導部材の少なくとも1つに密着していることを特徴とする請求項4〜6のいずれか1項に記載の発光装置。 - 上記第一の熱伝導部材は、上記励起光を拡散する拡散剤を含んでいることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の発光装置。
- 上記第二の熱伝導部材は、上記励起光を拡散する拡散剤を含んでいることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の発光装置。
- 上記発光部における、上記励起光照射面と当該励起光照射面と対向する面との間の厚みは、上記蛍光体の粒径の10倍以上、2mm以下であることを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載の発光装置。
- 上記第一の熱伝導部材、上記第二の熱伝導部材および上記第三の熱伝導部材の各々における、上記発光部との接触面からの厚みは、0.3mm以上、3.0mm以下であることを特徴とする請求項2〜7のいずれか1項に記載の発光装置。
- 熱伝導部材をカップ形状に成型する成型ステップと、
発光部を形成するため、蛍光体と共に、上記熱伝導部材より融点の低い蛍光体保持物質を、上記カップ形状の熱伝導部材の中で焼結させる焼結ステップと、
上記カップ形状の熱伝導部材の開口面側が平坦面となるように、当該開口面側から上記発光部および上記熱伝導部材を研磨する研磨ステップと、
上記カップ形状の熱伝導部材と、少なくとも一部に平坦面を有する別の熱伝導部材とを、それらの平坦面同士が対向するように、接合させる接合ステップと
を含むことを特徴とする発光装置の製造方法。 - 請求項1〜11のいずれか1項に記載の発光装置を備えていることを特徴とする照明装置。
- 請求項1〜11のいずれか1項に記載の発光装置を備えていることを特徴とする車両用前照灯。
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