JP2012139216A - 新規微生物、当該新規微生物を用いた廃水処理方法及び廃水処理装置 - Google Patents

新規微生物、当該新規微生物を用いた廃水処理方法及び廃水処理装置 Download PDF

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Abstract

【課題】グリセロールからエタノールを合成する能力に優れ、アルコール耐性を有する新規な微生物を提供する。
【解決課題】クレブシエラ・バリコラ(Klebsiella variicola)に属し、グリセロールからエタノールを生成する能力を有する新規微生物、又はクレブシエラ(Klebsiella)属若しくはセラチア(Serratia)属に属し、グリセロールからエタノールを生成する能力を有する新規微生物。
【選択図】なし

Description

本発明は、例えば廃水に含まれるグリセロールからエタノールを生成することができる新規微生物に関し、さらに当該新規微生物を用いたエタノールの製造方法及び廃水処理装置に関する。
バイオディーゼル燃料とは、主に植物の含有油脂を原料としたディーゼルエンジン用の燃料であり、現在使用されている軽油の代替え燃料となりうる。特に、バイオディーゼル燃料は、カーボンニュートラルなエネルギー源として注目されている。バイオディーゼル燃料を精製するには、先ず、パーム油等の油脂にメタノールと触媒(酸触媒あるいはアルカリ触媒)を加えてエステル交換反応を起こし、これに酸あるいはアルカリを加えて中和させたうえで、グリセロールを残査成分として脂肪酸メチルエステルと分離する。分離した脂肪酸メチルエステルから触媒成分を取り除き、さらに蒸留することでメタノールを除去し、脂肪酸メチルエステルを主成分とするバイオディーゼル燃料を精製することができる。
以上のように、バイオディーゼル燃料を精製する工程において、残査成分として必ずグリセロールが得られるのであるが、この残査成分については特に有用な用途もなく通常は廃棄されている。残査成分として得られたグリセロールを活用する例としては、特許文献1(特開2006−180782号公報)に開示されるように、エンテロバクター属細菌を利用してグリセロールから水素とエタノールとを製造するものが挙げられる。
より具体的に特許文献1には、エンテロバクター・アロエゲネス(Enterobacter aerogenes)を多孔質担体に固定しておき、これを用いてグリセロールから水素とエタノールを発酵生産するといった技術が開示されている。ただし、特許文献1には、バイオディーゼル燃料を精製する過程で生ずるグリセロールを含む廃液を原料とする場合、エンテロバクター・アロエゲネスをそのまま使用したのでは発酵効率が著しく低いことが述べられている。
特開2006−180782号公報
ところが、特許文献1に記載されたエンテロバクター属細菌ではエタノール生産能が十分ではないといった問題があった。そこで、本発明は、上述したような実状に鑑み、グリセロールからエタノールを合成する能力に優れた新規な微生物を提供することを目的とし、更に、当該微生物を用いたエタノールの製造方法及び廃水処理装置を提供することを目的とする。
上述した目的を達成するため、本発明者等は、日本各地の土壌を用いてグリセロールからエタノールを生産する能力を有する微生物について鋭意検討した結果、グリセロールを利用したエタノール生産能を有し、且つ、優れたアルコール耐性を有する2つの新規微生物を単離、同定することができた。本発明は、これら新規微生物が有するグリセロールを利用したエタノール生産能に基づいてなされたものである。
本発明に係る第1の新規微生物は、クレブシエラ・バリコラ(Klebsiella variicola)に属し、グリセロールからエタノールを生成する能力を有する。本発明者らが単離、同定した第1の新規微生物は、以下の表1及び2に記載された菌学的性質を有する。
Figure 2012139216
Figure 2012139216
本発明者らが単離、同定した第1の新規微生物に関して16S リボゾーマルリボ核酸をコードする遺伝子(以下、16S rDNAと称する)の塩基配列を決定した。その塩基配列を配列番号1に示す。配列番号1に示す塩基配列をもとにデータベース(GenBank/DDBJ/EMBL)及びホモロジー検索ソフト(BLAST)を用いてホモロジー検索したところ、配列番号1に示す塩基配列は、Klebsiella variicolaと非常に高い相同率(99.6%)を示した。また、ホモロジー検索の結果から分子系統樹を作成したところ、本発明者らが単離、同定した第1の新規微生物は、Klebsiella variicolaに属する微生物であることが判明した。
本発明者らが単離、同定した第1の新規微生物は、TB-83と命名し、独立行政法人産業技術総合研究所 特許生物寄託センター(〒305-8566茨城県つくば市東1-1-1中央第6)に2010年11月25日に受託番号FERM P-22039として寄託した。また、このTB-83株に対して変異原処理を施し、エタノール耐性が向上した変異株を取得した。この変異株をTB-83Dと命名し、独立行政法人産業技術総合研究所 特許生物寄託センター(〒305-8566茨城県つくば市東1-1-1中央第6)に2011年11月25日に受託番号FERM P-22203として寄託した。
また、本発明に係る第2の新規微生物は、クレブシエラ(Klebsiella)属又はセラチア(Serratia)属に属し、グリセロールからエタノールを生成する能力を有する。本発明者らが単離、同定した第2の新規微生物は、以下の表3及び4に記載された菌学的性質を有する。
Figure 2012139216
Figure 2012139216
本発明者らが単離、同定した第2の新規微生物に関して16S リボゾーマルリボ核酸をコードする遺伝子(以下、16S rDNAと称する)の塩基配列を決定した。その塩基配列を配列番号2に示す。配列番号2に示す塩基配列をもとにデータベース(GenBank/DDBJ/EMBL)及びホモロジー検索ソフト(BLAST)を用いてホモロジー検索したところ、配列番号2に示す塩基配列は、Klebsiella pneumoniae subsp. rhinoscleromatisATCC13884株、Klebsiella pneumoniaesubsp. pneumoniae ATCC13883株及びSerratia liquefaciens JCM1245株と非常に高い相同率(それぞれ99.2%)を示した。また、ホモロジー検索の結果から分子系統樹を作成したところ、本発明者らが単離、同定した第2の新規微生物は、既知の微生物には属さず、クレブシエラ(Klebsiella)属又はセラチア(Serratia)属に属する新規微生物であることが判明した。
本発明者らが単離、同定した第2の新規微生物は、TB-84と命名し、独立行政法人産業技術総合研究所 特許生物寄託センター(〒305-8566茨城県つくば市東1-1-1中央第6)に2010年11月25日に受託番号FERM P-22040として寄託した。
一方、本発明に係るエタノールの製造方法は、上述した本発明に係る第1の新規微生物及び/又は第2の新規微生物を使用してグリセロールからエタノールを生産する方法である。すなわち、本発明に係るエタノールの製造方法は、グリセロールを含む廃液を用いるシステムに適用することができる。グリセロールを含む廃液としては、バイオディーゼル燃料を精製する過程で残査成分として産生されるグリセロール廃液を挙げることができる。また、本発明に係るエタノールの製造方法においては、エタノールとともに水素ガスを回収することができる。言い換えると、上述した本発明に係る第1の新規微生物及び/又は第2の新規微生物を利用してグリセロールから水素を製造する方法も提供することができる。
また、本発明に係る廃水処理装置は、グリセロールを含む廃水に上述した本発明に係る第1の新規微生物及び/又は第2の新規微生物を接触させる発酵槽を備えるものである。本発明に係る廃水処理装置において、グリセロールを含む廃水としては、バイオディーゼル燃料を精製する過程で得られる廃水を使用することができる。また、本発明に係る廃水処理装置は、上記発酵槽において生成された水素を回収する水素回収装置を備えることができる。
本発明によれば、廃水等に含まれるグリセロールを用いてエタノールといった有用な物質を得ることができ、エタノール耐性に優れた新規な微生物を提供することができる。特に、本発明に係る新規微生物は、エタノール生産能に優れ、且つ、エタノール耐性に優れるため、例えばバイオディーゼル燃料の精製過程で生ずる廃液に含まれるグリセロールからエタノールの製造するシステムに適用することができる。
また、本発明によれば、新規微生物により廃水等に含まれるグリセロールを用いてエタノールを製造するといった発酵槽を有する廃液処理装置を提供することができる。本発明に係る廃水処理装置によれば、例えばバイオディーゼル燃料の精製過程で生ずるグリセロール含有廃液を原料として有用なエタノールや水素といった物質を効率良く製造することができる。
供試微生物TB-83のグラム染色観察像を示す図である。 供試微生物TB-83及び近縁種を含む系統樹図である。 供試微生物TB-84のグラム染色観察像を示す図である。 供試微生物TB-84及び近縁種を含む系統樹図である。 TB-83、TB-84及びC55についてエタノール生産量を測定した結果を示す特性図である。 TB-83、TB-84及びC55についてグリセロール消費量を測定した結果を示す特性図である。 TB-83株及びその変異株(TB-83A〜D株)についてエタノール生産量を測定した結果を示す特性図である。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明に係る2つの新規微生物は、グリセロールからエタノールを生成する能力を有し、且つ、エタノール耐性を有している。ここでエタノール耐性とは、2重量%のエタノールを含有する培地においてグリセロールを消費してエタノールを生成する活性を維持し、且つ生育可能であることを意味する。特に、本発明に係る2つの新規微生物は、エタノール非添加培地におけるエタノール生産量と比較して、2重量%のエタノールを含有する培地におけるエタノール生産量が少なくとも55%以上である。また、本発明に係る2つの新規微生物は、エタノール非添加培地における生育能と比較して、2重量%のエタノールを含有する培地では少なくとも80%以上の生育能を維持している。なお、生育能とは、所定の培地における菌体濃度をOD580で測定した値とすることができる。
具体的に、本発明に係る2つの新規微生物のうち第1の新規微生物は、クレブシエラ・バリコラ(Klebsiella variicola)に属し、グリセロールからエタノールを生成する能力を有する。本発明者らが単離、同定した第1の新規微生物は、以下の表5及び6に記載された菌学的性質を有する。
Figure 2012139216
Figure 2012139216
本発明者らが単離、同定した第1の新規微生物における16S rDNAの塩基配列を配列番号1に示す。配列番号1に示す塩基配列をもとにデータベース(GenBank/DDBJ/EMBL)及びホモロジー検索ソフト(BLAST)を用いてホモロジー検索したところ、配列番号1に示す塩基配列は、Klebsiella variicolaと非常に高い相同率(99.6%)を示した。また、ホモロジー検索の結果から分子系統樹を作成したところ、本発明者らが単離、同定した第1の新規微生物は、Klebsiella variicolaに属する微生物であることが判明した。
本発明者らが単離、同定した第1の新規微生物は、TB-83と命名し、独立行政法人産業技術総合研究所 特許生物寄託センター(〒305-8566茨城県つくば市東1-1-1中央第6)に2010年11月25日に受託番号FERM P-22039として寄託した。
また、本発明に係る2つの新規微生物のうち第2の新規微生物は、クレブシエラ(Klebsiella)属又はセラチア(Serratia)属に属し、グリセロールからエタノールを生成する能力を有する。本発明者らが単離、同定した第2の新規微生物は、以下の表7及び8に記載された菌学的性質を有する。
Figure 2012139216
Figure 2012139216
本発明者らが単離、同定した第2の新規微生物における16S rDNAの塩基配列を配列番号2に示す。配列番号2に示す塩基配列をもとにデータベース(GenBank/DDBJ/EMBL)及びホモロジー検索ソフト(BLAST)を用いてホモロジー検索したところ、配列番号2に示す塩基配列は、Klebsiella pneumoniae subsp. rhinoscleromatisATCC13884株、Klebsiella pneumoniaesubsp. pneumoniae ATCC13883株及びSerratia liquefaciens JCM1245株と非常に高い相同率(それぞれ99.2%)を示した。また、ホモロジー検索の結果から分子系統樹を作成したところ、本発明者らが単離、同定した第2の新規微生物は、既知の微生物には属さず、クレブシエラ(Klebsiella)属又はセラチア(Serratia)属に属する新規微生物であることが判明した。
本発明者らが単離、同定した第2の新規微生物は、TB-84と命名し、独立行政法人産業技術総合研究所 特許生物寄託センター(〒305-8566茨城県つくば市東1-1-1中央第6)に2010年11月25日に受託番号FERM P-22040として寄託した。
なお、表5乃至8において、1)は"BARROW et al., "Cowan and Steel's Manual for the Identification of Medical Bacteria" 3rd edition. 1993. Canibridge University Press "であり、2)は"坂崎利一ら、新 細菌培地学講座・下<第二版>、1988、近代出版、東京"であり、3)は"長谷川武治編著、微生物の分類と同定(下)、学会出版センター、1995"であり、4)は細菌同定キットAPI20E(biomerieux社製)である。
但し、本発明に係る新規微生物は、これら寄託した微生物に限定されるものではない。本発明に係る微生物は、これら寄託された微生物以外にも、例えば、土壌から単離することができる。具体的な手法としては、先ず、土壌サンプルに含まれる微生物をグリセロール含有培地で培養し、培養終了後の培地に含まれるエタノールを測定することで評価することができる。また、当該微生物のアルコール耐性は、例えば2重量%のエタノールを含有する培地において培養し、その生育能から評価することができる。
そして、グリセロールからエタノールを生成することができ、且つ、アルコール耐性を有する微生物について、16S rDNAの塩基配列を決定し、配列番号1に示す塩基配列に対して例えば、99.7%以上の相同性を有するものを選択する。或いは、グリセロールからエタノールを生成することができ、且つ、アルコール耐性を有する微生物について、16S rDNAの塩基配列を決定し、配列番号12に示す塩基配列に対して例えば、99.3%以上の相同性を有するものを選択する。このように選択された微生物は、本発明に係る新規微生物に含まれる。
もしくは、グリセロールからエタノールを生成することができ、且つ、アルコール耐性を有する微生物について、菌学的性質を決定し、上記表5及び6に示す菌学的性質を有するものを選択する。或いは、グリセロールからエタノールを生成することができ、且つ、アルコール耐性を有する微生物について、菌学的性質を決定し、上記表7及び8に示す菌学的性質を有するものを選択する。このように選択された微生物は、本発明に係る新規微生物に含まれる。
さらにまた、本発明に係る微生物は、これら寄託された微生物に対して変異原処理を施し、突然変異が導入された変異株も含まれる。ここで、変異原処理とは、対象の微生物に対して突然変異を誘発する処理であれば特に限定されず、例えば、X線、放射線及び紫外線等の電磁波を照射する処理、ニトロソグアニジン、ニトロソアミン、ブロモデオキシウリジン、N-エチル-N-ニトロソウレア、エタンスルホン酸メチル、ベンゾピレン、臭化エチジウム等の化合物を接触させる処理、ウイルスやトランスポゾン等を利用して核酸を導入する処理等を挙げることができる。
通常、変異原処理により変異株を作製する場合、親株とは異なる表現型を付与することを目的とする場合が多い。よって、寄託された微生物(親株)から作製された変異株は、この目的に添って親株と異なる表現型を有していることが好ましいが、有意に異なる表現型を有してない変異株であっても良い。なお、変異原処理によって、親株に薬剤耐性を付与した変異株や、親株と比較して優れたアルコール耐性を有する変異株を作製することができる。
また、この寄託された微生物のうちTB-83株に対して変異原処理を施し、エタノール耐性が向上した変異株を取得することができる。TB-83株を親株としてエタノール耐性が向上した変異株をTB-83Dと命名し、独立行政法人産業技術総合研究所 特許生物寄託センター(〒305-8566茨城県つくば市東1-1-1中央第6)に2011年11月25日に受託番号FERM P-222203として寄託した。本発明に係る微生物には、エタノール耐性が向上したTB-83D株も包含される。
本発明に係る新規微生物を用いることで、グリセロールを利用したエタノールの製造方法を構築することができる。すなわち、上記微生物を利用することによって、グリセロールを含有する溶液を用いたエタノールの製造システムを構築することができる。グリセロールを含む溶液とは、特に限定されるものではないが、例えば、バイオディーゼル燃料の製造過程に生ずる廃液を挙げることができる。バイオディーゼル燃料を製造する際には、先ず、油脂(別名:トリグリセリド、トリアシルグリセロール)とメタノールとが化学反応(メチルエステル化)によりメチルエステル及びグリセロールを生成する。そして、生成したグリセロールを分離することで、メチルエステルを主成分とするバイオディーゼル燃料を製造することができる。
なおバイオディーゼル燃料を製造する際に油脂をメチルエステル化する方法としては、特に限定されるものではなく、公知の方法を用いればよい。例えば、油脂とメタノールとをリパーゼ等の触媒存在下で反応させる方法、または超臨界メタノールと油脂とを反応させる方法等を用いて行なうことができる。
このバイオディーゼル燃料を製造する際に用いる油脂としては特に限定されるものではなく、植物性油脂、動物性油脂又はその廃油等を油脂として用いることが可能である。上記植物性油脂としては、パーム油、ナタネ油、ゴマ油、オリーブ油等が挙げられ、動物性油脂としては、ラード、牛脂、魚油等が挙げられる。また上記油脂には、不純物等が含まれるものであっても、試薬グレードの油脂を用いてもよい。
また油脂をメチルエステル化して得られた生成物から、メチルエステル(バイオディーゼル燃料)を除去する方法としては、デカンテーション等の公知の方法を用いればよい。より具体的には、メチルエステル化後(メタノリシス後)、反応液を静置することにより、生成されたバイオディーゼル燃料は上層に、グリセロールを含むバイオディーゼル廃液部分は下層に分かれる。よって、デカンテーション等の方法により容易にバイオディーゼル燃料とバイオディーゼル廃液とを分離できる。
かかるバイオディーゼル燃料を分離した後の廃液には、主成分としてグリセロールが多量に含まれている。なお、廃液には、原料として使用した油脂に含まれる成分によって異なるが、乳酸、酢酸、エタノール等が含まれる場合がある。また、バイオディーゼル燃料を分離した後の廃液は、エタノールの製造方法にそのまま使用しても良いし、適宜、水等の溶媒を添加して所望のグリセロール濃度にしてから使用しても良い。さらに、バイオディーゼル燃料を分離した後の廃液には、他の物質を添加することもできる。
また、本発明に係る新規微生物を用いてグリセロールからエタノールを製造する際には、溶液中に含まれるグリセロール濃度は、特に限定されないが、10〜200(g/l)とすることができ、特に10〜100(g/l)とすることが好ましく、20〜50(g/l)とすることがより好ましい。なお、本発明に係る新規微生物を培養する際には、上述したグリセロールの他に、炭素源となる物資、窒素源となる物質を含有する培地を適宜選択して使用することができる。また、酵母抽出液やカゼインなどのタンパク質の酵素分解物といった一般に微生物用培地に用いられている培地組成物を使用しても良い。
さらに、本発明に係る新規微生物を用いてグリセロールからエタノールを製造する際には、上記新規微生物の培養時間としては、特に限定されないが、3〜7(日)とすることができ、特に4〜5(日)とすることが好ましい。培養温度としては、特に限定されないが、20〜35(℃)とすることができ、特に25〜30(℃)とすることが好ましい。
一方、上述した新規微生物によれば、グリセロールからエタノールを生成する際に併せて水素が生成される。よって、上述した新規微生物を用いることによって、水素の製造方法及び水素製造システムを構築することもできる。
ところで、本発明の製造方法に使用する培養装置は、特に限定されるものではなく、公知の培養装置を適宜選択の上、利用が可能である。培養方式としては、回分培養、連続培養、フィード培養のいずれの培養方式であってもよい。培養装置としては、図示しないが、上述した新規微生物によりグリセロールからエタノールを生成するための発酵槽を備えていればその他の構成は特に限定されない。例えば、培養装置には、エタノールを回収するための回収装置や、水素を回収するための水素回収装置を備えていても良い。
特に、本発明に係る新規微生物は、アルコール耐性を有するため、生成したエタノールにより生育阻害を受けたり、グリセロール代謝能が低下したりするといった不都合を回避することができる。具体的に、本発明に係る新規微生物は、培養液に含まれるグリセロールを消費してエタノールを生合成し始めてから、培養液に含まれるエタノール濃度が5重量%、好ましくは2%を超えるまで生育を継続することができる。
以下、実施例を用いて本発明をより詳細に説明するが、本発明の技術的範囲は以下の実施例に限定されるものではない。
〔実施例1〕新規微生物の単離、同定
(1)微生物単離
土壌サンプルとしては、日本各地の土壌を用いた。土壌サンプルのなかから、グリセロールからエタノールを生成する能力を有する微生物を含むものを選抜し、その土壌サンプルから生産菌(細菌)の分離を行い、その性質について検討するとともに、新たな有用菌株のスクリーニングを行った。
有用菌株のスクリーニングにおいて、培地には以下に示す集積用培地(1リットル当たり:KH2PO410.0g、NH4Cl 1.0g、Yeast Extract 0.5g、Glycerol 100.0g)を用いた。ダーラム管を入れた大試験管に液体培地30mlを入れ、土壌サンプルを加えた後、シリコ栓をして30℃、一週間培養した。これを適宜植え継ぎ、気泡発生が見られたものについて上記培地に寒天を加えた平板培地にて菌の単離を行った。これらの中から気泡発生の見られたものを供試菌として以降の実験に供した。
次に、土壌から単離した菌を細菌用の一般的な栄養培地であるNB平板培地に植菌し、30℃で培養した。大試験管に上記液体培地30ml(グリセロール濃度2%に変更し、補助栄養源としてカザミノ酸0.1%を加えたもの)を入れ、1白金耳植菌し、30℃で静置培養した。実験は2連で行った。7日間培養後に培養液1mlを採取し、遠心分離にかけ、その上清に含まれるエタノール濃度をHPLCにて分析した。
生成アルコール量が高かった微生物(TB-83とTB-84)について、所定濃度のエタノールを含有する培地にて培養することによりアルコール耐性を評価した。アルコール耐性を評価する際には、1重量%のグリセロール、並びに1重量%、2重量%、5重量%又は10重量%のエタノールを含み、1リットルあたり1gのカザミノ酸、0.5gのYeast Extract及び10gのKH2PO4を含む培地を使用した。なお、培地はpH9となるように調整した。アルコール耐性を評価する際の培養条件は、25℃の静置培養とした。また、供試微生物は、培地への接種後、OD580が0.3となるように調整した。
供試微生物のアルコール耐性を示す指標として、エタノール生成量及びグリセロール消費量を評価した結果を表9に示し、菌体濃度をOD580で測定した結果を表10に示す。
Figure 2012139216
Figure 2012139216
表9及び10に示したように、TB-83及びTB-84については、グリセロールからエタノールを合成する能力が優れており、且つ、エタノール耐性を示す微生物であることが判った。特開2006−180782号公報に開示されたEnterobacter aerogenesは、最適条件化においてもエタノール生産能が0.5%以下となっている。これと比較すると、本実施例で同定された2株については、生産条件を更に検討することにより、より効率的なエタノール生産プロセスを構築できる。
(2)微生物の同定
上記(1)で同定した2株(TB-83及びTB-84)について菌株の同定を行った。菌株の同定は、種間でよく保存されている16S rRNAをコードしている塩基配列をデータベース上で比較する方法をとった。また、形態観察及び生理・生化学試験を行い、当該株の帰属分類群を決定した。
ゲノムDNA抽出に使用した試薬
Figure 2012139216
ゲノムDNAの抽出
目的とする菌を、12時間、60度で培養し、ペレットにした。567μlのTEを添加し、ピペッティングによってよく懸濁した。30μlの10%SDSと3μlの20mg/mlプロティナーゼKを加え、軽く旋回混合してから37度で1時間インキュベートした。5MのNaClを100ml加え、よく旋回混合した。CTAB/NaCl溶液を80μl加えてよく混ぜ、65度で10分間インキュベートした。ほぼ等量(700μl程度)のCIを加え、20秒間よく旋回混合して均一なエマルジョンにし、15,000rpmで5分間、室温で遠心した。遠心後、白い界面が現れた。界面部分をとらないように水層を新しいチューブに移した。ほぼ等量(700μl)のPCIを加え、20秒間よく旋回混合して均一なエマルジョンにし、再び15,000rpmで5分間、室温で遠心した。上層を新しいチューブに移した。イソプロパノールを0.6容(450μl程度)加え、白いひも状のDNAがはっきり見えるようになるまでチューブをひっくり返して混ぜた。室温で2-10分間静置し、15,000rpmで10-15分間、室温で遠心してDNAを沈殿させた。10μlのTE bufferに溶解させ、10mg/mlのRNase solutionを1μl加え、37度で1時間程度インキュベートした。等量(100μl)のPCIを加え、20秒間よく旋回混合して均一なエマルジョンにし、15,000rpmで15秒間、室温で遠心した。上層を新しいチューブに移し、下層に再度100μlのTEを足してよく旋回混合し、15,000rpmで15秒間遠心し、上層を先にとったものに加えた。この上層200μlに、3M酢酸ナトリウム溶液を20μl、100%エタノールを500μl加えて、よく混ぜた後、室温で2-10分間放置した。15,000rpmで10-15分間遠心し、DNAをペレットにし、上清を除き、70%エタノールを1ml加え、軽く混ぜてDNAを洗浄した。15,000rpmで5分間遠心して再度沈殿させ、上清を取り除き、真空デシケータで、ペレットを乾燥させた。100μlのTEに溶解させ、260nmの吸光度を測定して濃度を決定するとともに、電気泳動によって得られたDNAの分子量をチェックした。
PCRによる16s rDNA領域の増幅とDNA塩基配列決定
目的とする菌をNutrient agar培地(Oxoid社製)を用いて45℃で24時間培養し、培養した菌体からDNAを抽出し、16s rDNA領域をPCRにより増幅し、その後、配列決定を行った。具体的に、DNA抽出にはInstaGene Matrix(Bio Rad社製)を添付のプロトコールに従って使用した。PCRは、PrimeSTAR HS DNA Polymerase(タカラバイオ社製)を添付のプロトコールに従って使用した。サイクルシークエンスには、BigDye Terminator v3.1 Cycle Sequencing Kit(アプライドバイオシステムス社製)を添付のプロトコールに従って使用した。使用したプライマーは、「遺伝子解析法 16s rRNA遺伝子の塩基配列決定法、日本放線菌学会編、放線菌の分類と同定88-117pp、日本学会事務センター(2001)」に開示された9F、339F、785F、1099F、536R、802R、1242R及び1510Rを使用した。シークエンスはABI PRISM 3100 Genetic Analyzer System(アプライドバイオシステムス社製)を添付のプロトコールに従って使用した。配列決定はChromasPro 1.4(Technelysium Pty社製)を添付のプロトコールに従って使用した。
TB-83から得られた16s rDNA領域の塩基配列を配列番号1に示し、TB-84から得られた16s rDNA領域の塩基配列を配列番号2に示した。配列番号1及び2の塩基配列に基づいて相同性検索及び簡易分子系統解析を行った。ソフトウェアとしてはアポロン2.0(テクノスルガ・ラボ社製)を使用し、データベースとしてはアポロンDB-BA3.0及び国際塩基配列データベース(GenBank/DDBJ/EMBL)を使用した。
形態観察及び生理・生化学試験
光学顕微鏡による形態観察及びBARROW et al., "Cowan and Steel's Manual for the Identification of Medical Bacteria" 3rd edition. 1993. Canibridge University Pressに記載された方法に基づき、カタラーゼ反応、オキシダーゼ反応、ブドウ糖からの酸/ガス産生、ブドウ糖の酸化/発酵(O/F)について試験を行った。生理・生化学試験にはAPI50CHB(BioMerieux社製)を使用した。
TB-83について形態観察及び生理・生化学試験の結果は、上述した表5及び6に示した通りである。また、TB-83のグラム染色観察像を図1に示した。TB-83についてBLASTを用いたGenBank/DDBJ/EMBLに対する相同性検索の結果を表12に示した。
Figure 2012139216
表12に示した結果から、系統樹を作成した(図2)。これらの結果から、供試菌TB-83はKlebsiella variicolaに属する微生物であることが判明した。本実施例で単離・同定されたグリセロールからエタノールを生成する能力を有するKlebsiella variicolaの新規菌株TB-83を、独立行政法人産業技術総合研究所 特許生物寄託センター(〒305-8566茨城県つくば市東1-1-1中央第6)に2010年11月25日に受託番号FERM P-22039として寄託した。
一方、TB-84について形態観察及び生理・生化学試験の結果は、上述した表7及び8に示した通りである。また、TB-84のグラム染色観察像を図3に示した。TB-84についてBLASTを用いたGenBank/DDBJ/EMBLに対する相同性検索の結果を表13に示した。
Figure 2012139216
表13に示した結果から、系統樹を作成した(図4)。これらの結果から、供試菌TB-84は、既知の微生物には属さず、クレブシエラ(Klebsiella)属又はセラチア(Serratia)属に属する新規微生物本実施例で単離・同定されたグリセロールからエタノールを生成する能力を有するKlebsiella variicolaの新規菌株TB-84を、独立行政法人産業技術総合研究所 特許生物寄託センター(〒305-8566茨城県つくば市東1-1-1中央第6)に2010年11月25日に受託番号FERM P-22040として寄託した。
〔実施例2〕
本実施例では、実施例1で単離・同定したTB-83及びTB-84のアルコール耐性を、他の微生物と比較した。本実施例では、1リットルあたり、Glycerol:40g、カザミノ酸:1g、Yeast Exteract:0.5g、KH2PO4:10g及びNH4Cl:1gを含む培地を使用した。また、培地のpHは10とした。本実施例の培養条件としては培養温度を21℃とし、静置培養とした。また、供試微生物は、培地への接種後、OD580が0.3となるように調整した。
また、本実施例でTB-83及びTB-84と比較する微生物として、Klebsiella varricola(C55と表記)と推察される微生物を使用した。
TB-83、TB-84及びC55について、エタノール生産量を測定した結果を図5に示し、培養液に含まれるグリセロールの消費量を測定した結果を図6に示す。図5及び6から判るように、TB-83及びTB-84は、C55と比較すると、アルコール生産量が培養の早い段階から高いことが判る。また、TB-83及びTB-84は、C55と比較すると、グリセロール消費量が高いことが判る。特に、図5からは、TB-83及びTB-84のエタノール生産量は、32日後において、従来のC55のエタノール生産量とほぼ同等となる。しかしながら、図6から判るように、TB-83及びTB-84は、従来のC55よりも優れたグリセロール消費量を示しており、C55よりもアルコール耐性に優れることが判る。すなわち、これらの結果から、TB-83及びTB-84は、培養液に含まれるグリセロールを大量に消費して、早い段階からアルコールを生合成できるといった優れたアルコール耐性を有することが理解できる。
〔実施例3〕
本実施例では、実施例1で単離・同定したTB-83株に対して変異原処理を施し、ストレプトマイシン耐性を有する変異株を作製した。
ストレプトマイシン(Sm)耐性菌のエタノール生産性、エタノール耐性の実験方法
実施例1で単離・同定したTB-83株を約1.0×108cells/mlとなるように調整し、シャーレに広げ、約30cmの距離からUVライトを照射した。照射20秒ごとにサンプリングを行い、サンプル100μlをNB液体培地2mlに添加し、30℃で一晩振盪培養行った。その後、集菌し0.85%生理食塩水100μlに懸濁・希釈したものを、ストレプトマイシン(Sm)を添加したNB平板培地に塗布し30℃で培養を行い、Sm耐性を有する変異株の取得を試みた。
その結果、4株のSm耐性を有する変異株を取得することができた。それぞれ、TB-83A株、TB-83B株、TB-83C株及びTB-83D株と命名した。取得できた4株について、エタノールの生産性及びエタノール耐性を調べた。
エタノールの生産性は、グリセロール2%濃度の基本培地(pH9)を用いて菌体終濃度OD580が約0.03となるように変異株を植菌し、25℃で7日間静置培養を行った後、HPLCで培養上清中のエタノールなどを定量することで調べた。
エタノール耐性については、様々なグリセロール及びエタノール濃度に調製した基本培地(pH9)に変異株を植菌し、25℃で静置培養を行った。具体的には、先ず、基本培地にグリセロール(15%)を加えた培地を作製し、各変異株をそれぞれ植菌し、25℃で長期静置培養を行った。培養液に濁りが確認されたら、一段階濃度の高い培養液(グリセロール20%又は25%)に順次植え継ぎ、同様に培養を行った。エタノールに関しても同様に、グリセロール2%の基本培地にエタノール(終濃度3%)をフィルター滅菌で加え、各菌株を植菌し静置培養を行った。懸濁が見られたものから、エタノール濃度(4、5、6又は7%)に順次植え継いだ。また、高濃度グリセロールかつ高濃度エタノール存在下で生育できるかを確認するために、グリセロール濃度5、10又は20%の基本培地を用意し、それぞれにエタノール(終濃度5%)をフィルター滅菌で加えて培地を作製し、同様に長期静置培養を行った。
なお、基本培地組成は、1リットル当たり、KH2PO4 10g、NH4Cl 1g、yeast extract 0.5g、カザミノ酸1g (pH9、NaOHで調整)とした。また、本実施例の培養において、菌体の生育により培養液の懸濁が確認されたものを生育(+)、懸濁の見られなかったものを生育(−)とし、耐性の有無を判定した。
実験結果
実験の結果を図7及び表14に示す。
Figure 2012139216
図7から判るように、本実施例で取得した4種類の変異株のうち、TB-83D株と命名した変異株は、親株であるTB-83株と比較して優れたエタノール生産性を示していた。また、表14から判るように、TB-83D株は、7%のエタノール存在下で生育することができ、優れたエタノール耐性を示していた。
〔実施例4〕
本実施例では、実施例3で取得したTB-83D株を用いて実際のBDF廃液(バイディーゼル燃料廃液)からの連続培養によるエタノール生産を試みた。
本実験では表15に示す諸性質を有するBDF廃液を使用した
Figure 2012139216
表15に示したBDF廃液を、グリセロール濃度約1%となるように添加した基本培地の下、6N NaOHを用いてpH調整を行い、大試験管に30mlずつ分注し120℃で20分間減菌処理した培地を使用した。あらかじめ前培養したTB-83D株の菌体を終濃度OD580が約0.03になるよう植菌し、25℃で7日間静置培養を行った。経時的に培養液を1mlサンプリングし、ヘキサン抽出によって油脂を除去した後、菌体生育量、培養液のpH、生産物質量の測定を行った。
また、サンプリング後には、HPLC分析の結果からグリセロールの減少量に応じて、BDFを添加し、グリセロール濃度が一定になるようにした。さらに6N NaOHでpH8〜9になるように調整した。
実験結果
表15に示したBDF廃液を用いた場合、9日後に最大で約360mMのエタノール濃度で、エタノール生産ができることを確認した。BDF廃液においてもそのエタノール生産量は、純グリセロールを基質とした場合よりも高く、BDF廃液によるエタノール生産が問題なく行われていることがわかった。また、長期にわたり100%程度の高いエタノール収率で生産を行うことができた。

Claims (13)

  1. クレブシエラ・バリコラ(Klebsiella variicola)に属し、グリセロールからエタノールを生成する能力を有する微生物。
  2. 以下の表1及び2に記載された菌学的性質を有することを特徴とする請求項1記載の微生物。
    Figure 2012139216
    Figure 2012139216
  3. 配列番号1に記載された塩基配列を有する16s rDNA又は配列番号1に記載された塩基配列に対して99.7%以上の相同性を有する16s rDNAを有することを特徴とする請求項1記載の微生物。
  4. 受託番号FERM P-22039又は受託番号FERM P-22203であることを特徴とする請求項1記載の微生物。
  5. クレブシエラ(Klebsiella)属又はセラチア(Serratia)属に属し、グリセロールからエタノールを生成する能力を有する微生物。
  6. 以下の表3及び4に記載された菌学的性質を有することを特徴とする請求項5記載の微生物。
    Figure 2012139216
    Figure 2012139216
  7. 配列番号2に記載された塩基配列を有する16s rDNA又は配列番号2に記載された塩基配列に対して99.3%以上の相同性を有する16s rDNAを有することを特徴とする請求項5記載の微生物。
  8. 受託番号FERM P-22040であることを特徴とする請求項5記載の微生物。
  9. グリセロールを含む廃水に請求項1〜8いずれか1項記載の微生物を接触させる工程と、
    上記微生物を接触させた後、生成されたエタノールを回収する工程とを含むエタノールの製造方法。
  10. 上記微生物を接触させた後、生成された水素を回収する工程を更に含むことを特徴する請求項9記載のエタノールの製造方法。
  11. 上記廃水は、バイオディーゼル燃料を生産した後の残査を含有する廃水であることを特徴とする請求項9記載のエタノールの製造方法。
  12. グリセロールを含む廃水に請求項1〜8いずれか1項記載の微生物を接触させる発酵槽を備える廃水処理装置。
  13. 上記発酵槽において生成された水素を回収する水素回収装置を備えることを特徴とする請求項12記載の廃水処理装置。
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