JP2012125235A - 間質性肺炎モデル及びその用途 - Google Patents

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Abstract

【課題】間質性肺炎の病態を良好に再現するモデル動物(即ち、間質性肺炎の病態により近い症状を呈する動物)、その作出方法、及びその用途を提供することを課題とする。
【解決手段】MHCクラスII転写活性化遺伝子、MHCクラスII転写活性化遺伝子の活性領域、及びMHCクラスII転写活性化遺伝子の変異体(但し、MHCクラスII遺伝子群の発現を制御するマスタースイッチ機能を有する)からなる群より選択されるDNAがII型コラーゲンプロモーターの制御下に配置された外来性DNAをホモ型で保有するトランスジェニック非ヒト哺乳動物からなる、間質性肺炎モデル動物が提供される。
【選択図】なし

Description

本発明はトランスジェニック非ヒト哺乳動物に関する。詳しくは、間質性肺炎の病態を再現するモデル動物(間質性肺炎モデル動物)及びその用途に関する。
間質性肺炎は、肺の間質組織に炎症をきたす疾患の総称であり、難治疾患の一つである。間質性肺炎の内、特発性間質性肺炎は日本において特定疾患に指定されている。間質性肺炎の原因は、関節リウマチや多発性皮膚筋炎などの膠原病、粉塵やカビ・ペットの毛・羽毛などの慢性的な吸入、特定の薬剤、感染症など、様々である。原因を特定できない間質性肺炎は特発性間質性肺炎と呼ばれる。間質性肺炎の治療は一般に困難であり、殆どの症例においては、ステロイドホルモンや免疫抑制剤による対症療法が行われているのが現状である。
治療薬又は治療法の開発においては一般に、動物モデルが頻用される。これまでに、間質性肺炎モデルとしてブレオマイシンを用いた一過性の間質性肺炎モデルが報告されている。一方、慢性性、進行性の症状を示す間質性肺炎モデル動物は報告されていない。
尚、本願発明者らの研究グループは関節リウマチの病態を再現するモデル動物(D1CCマウス(特許文献1、非特許文献1)、B7.1トランスジェニックマウス(特許文献2))の開発に成功したことを報告した。
国際公開第2005/085438号パンフレット 国際公開第2007/086382号パンフレット
Kanazawa S. et al., (2006) Proc Natl Acad Sci vol.103, No.39: 14465-14470
間質性肺炎に対する有効な治療法は確立しておらず、新たな治療薬の創出が切望されている。現在、ブレオマイシンによる一過性の間質性肺炎モデルが治療薬のスクリーニングなどに利用されている。しかしながら、このモデルでは、間質性肺炎様の症状が肺において観察されるもののその症状は一過的であり、2〜3週間後には寛解の経過をたどる。このため、肺炎の経過観察や治療薬の効果検討(寛解に向かうため、治療薬の効果であるのか否かが判定しにくい)には必ずしも適切なモデルとはいえない。
このような状況下、本発明は間質性肺炎の病態を良好に再現するモデル動物(即ち、間質性肺炎の病態により近い症状を呈する動物)、その作出方法、及びその用途を提供することを課題とする。間質性肺炎の病態を良好に再現するモデル動物には、新規間質性肺炎治療薬の探索はもとより、新規間質性肺炎マーカーの探索や間質性肺炎発症のメカニズムの解明などにおいても多大な貢献を期待できる。このように、間質性肺炎の病態を良好に再現するモデル動物を提供することの意義は極めて大きい。
上記の通り、本願発明者らは関節リウマチモデル動物(「D1CCマウス」と呼ばれる)の樹立を報告した。D1CCマウスは、II型コラーゲンプロモーターの制御下にあるMHCクラスII転写活性化遺伝子(class II transactivator, CIITA)が片側のアレルのみにインテグレーションされているヘテロ型のトランスジェニックマウスである。当該ヘテロ型D1CCマウスはII型コラーゲンに対して高い感受性を示し、少量のII型コラーゲンの接種によって関節リウマチ様の病態(関節炎、炎症性細胞の浸潤、関節破壊等)を呈する。ヘテロ型D1CCマウスにおいて、関節外病変として間質性肺炎も観察されたが、解剖後の外見的所見および組織学的解析から、その発症頻度は約20%と比較的低いことが分かった。また、発症時期や病態進行については少量のII型コラーゲンの接種後6カ月以降と推定されたものの、解剖し、組織学的に解析する他には確認する手段がないことから、詳細は不明であった。
以上の考察を踏まえて本願発明者らは、安定的にD1CCマウスを維持する目的でホモ型マウスを樹立することにした。樹立に成功したホモ型D1CCマウスの関節部における表現型について検討した結果、ヘテロ型D1CCマウスと比較して関節炎の病態が重篤化することが判明した。間質性肺炎の症状に注目して更に検討したところ、ホモ型D1CCマウスは、(1)症状は慢性的であり、病態も進行性で肺炎の状態は経時的に悪化すること、(2)ヘテロ型D1CCマウスに比較して間質性肺炎をより鮮明に再現すること、(3)追加免疫(3次免疫)を行うと、効率良く間質性肺炎を誘導できること、(4)血清肺サーファクタントプロテインD(SP-D)値の測定によって間質性肺炎の進行を詳細に把握できること(ヘテロ型D1CCマウスと比較してホモ型D1CCマウスの血清SP-D値は顕著な上昇を示す)が明らかとなった。要約すれば、間質性肺炎のモデルとしてホモ型D1CCマウスが極めて優れていることが示された。
以上の成果から、II型コラーゲンプロモーターの制御下にあるCIITA遺伝子をホモ型で保有するように遺伝子改変することが間質性肺炎モデルの作製手段として有用である、との知見がもたらされた。当該知見に基づき、以下の発明を提供する。
[1]MHCクラスII転写活性化遺伝子、MHCクラスII転写活性化遺伝子の活性領域、及びMHCクラスII転写活性化遺伝子の変異体(但し、MHCクラスII遺伝子群の発現を制御するマスタースイッチ機能を有する)からなる群より選択されるDNAがII型コラーゲンプロモーターの制御下に配置された外来性DNAをホモ型で保有するトランスジェニック非ヒト哺乳動物からなる、間質性肺炎モデル動物。
[2]前記外来性DNAがII型コラーゲンエンハンサーを含む、[1]に記載の間質性肺炎モデル動物。
[3]II型コラーゲンの投与によって慢性性且つ進行性の間質性肺炎を発症する、[1]又は[2]に記載の間質性肺炎モデル動物。
[4]1回あたりのII型コラーゲンの投与量を0.01mg〜0.05mgとして2回以上II型コラーゲンを投与することによって慢性性且つ進行性の間質性肺炎を発症する、[1]〜[3]のいずれか一項に記載の間質性肺炎モデル動物。
[5]II型コラーゲンを3回投与すると、2回投与した場合に比較して、間質性肺炎の発症率が上昇するとともに、症状がより重篤化する、[3]又は[4]に記載の間質性肺炎モデル動物。
[6]前記非ヒト哺乳動物の種(属)が、マウス、ラット、モルモット、ハムスター、ウサギ、イヌ、ネコ、ヒツジ、ブタ、ウシ及びウマからなる群より選択されるいずれかである、[1]〜[5]のいずれか一項に記載の間質性肺炎モデル動物。
[7]前記非ヒト哺乳動物の種(属)がマウスである、[1]〜[5]のいずれか一項に記載の間質性肺炎モデル動物。
[8]遺伝的な背景が99%以上DBAである、[7]に記載の間質性肺炎モデル動物。
[9]以下の(a)〜(c)のステップを含む、間質性肺炎用薬剤のスクリーニング方法:
(a)[1]〜[8]のいずれか一項に記載の間質性肺炎モデル動物に対して、間質性肺炎を誘導する処置を施すステップ;
(b)前記間質性肺炎モデル動物に被験物質を投与するステップ;
(c)被験物質の治療効果又は予防効果を判定するステップ。
[10]間質性肺炎の発症頻度、間質性肺炎の発症時期、間質性肺炎の進行又は重篤化、間質性肺炎の改善、及び血清肺サーファクタントプロテインD値(SP-D)値からなる群より選択される一以上の指標に基づき、ステップ(c)の判定を行う、[9]に記載のスクリーニング方法。
[11]対照群との比較に基づきステップ(c)の判定を行う、[9]又は[10]に記載のスクリーニング方法。
図1は、本発明のトランスジェニックマウス作製に用いることのできるトランスジーンの一例(II型コラーゲンプロモーターの制御下にCIITA遺伝子が配置されたベクターpCol2fluCIITANeof)を示す。1)約1kbpのラットII型コラーゲンプロモーター部の下流にヒトグロビンスプライシング配列がある。2)この直下にヒトCIITAポリAサイトを含むヒトCIITA cDNA(fluCIITA)が挿入され、この後方にラットII型コラーゲンエンハンサーが配置されている。3)さらにこの下流にPGKプロモーター直下にほ乳類細胞非耐性の薬剤マーカーNeo遺伝子及びポリAシグナルを配置したカセットが配置されている。4)バックボーンのベクターは、アンピシリン等の薬剤耐性遺伝子を有するpBR322である。 ヘテロ型トランスジェニックマウス(ヘテロ型D1CCマウス)及び野生型マウスの肺の染色像(約80週齢)。A:ヘテロ型D1CCマウス;HE(ヘマトキシリン・エオシン)染色;400倍、B:ヘテロ型D1CCマウス;弾性線維(erastica)染色;400倍、C:野生型マウス;HE染色像;400倍、D:野生型マウス;弾性線維染色;400倍。f:フィブリン、im:浸潤マクロファージ、e:弾性線維。 ヘテロ型D1CCマウスの表現型。高濃度II型コラーゲン(従来型モデルマウスで用いられる濃度0.1mgを2回投与)処置した野生型マウス(hiCII-DBA/1)、ヘテロ型D1CCマウス(loCII-D1CC、低濃度II型コラーゲン、0.01mgを2回投与)、及び低濃度II型コラーゲン処置した野生型マウス(loCII-DBA/1、loCII-D1CCのコントロール)のクリニカルスコアを経時的に比較した。尚、クリニカルスコアは以下の方法で算出した。それぞれの4肢を観察し、スコア化する。クリニカルスコアは、それぞれの4肢のスコアの合計値を計算する。スコア1:発赤が観察される、スコア2:腫脹が観察される、スコア3:全体に腫脹が観察される、スコア0:腫脹が弱まるが、一方強直が観察される。この図では強直状態をスコアとして積算しないことで炎症期間を分かり易く示している。 リアルタイムPCRの結果。サイクルのずれから、ホモ型D1CCマウスとヘテロ型D1CCマウスを識別できる。それぞれのマウスからゲノムDNAを精製し、濃度を決定する。Real-time PCRを内部コントロール(GAPDH)とトランスジーン(図1)内のCIITAに対し行う。同一量のDNAを鋳型として用いた場合、ヘテロ型に対しホモ型マウスは遺伝子量が2倍となる為1サイクル分PCRの反応が先行する。この1サイクル分の違いを基にヘテロ型とホモ型マウスを区別する。 ホモ型D1CCマウスの間質性肺炎患部におけるSP-Dの発現。2次免疫後(約80週齢)のホモ型D1CCマウスの肺を抗SP-D抗体を用いて免疫染色した。a:ホモ型D1CCマウス;100倍、b:ホモ型D1CCマウス;400倍、c:野生型(コントロール)マウス;100倍、d:野生型マウス;400倍。スケールバーは100μm。コントロールではSP-Dの発現はII型肺胞細胞周辺に限局される。一方、間質性肺炎を呈するホモ型D1CCマウスではSP-Dの発現が広範囲にわたる。 血清SP-D値の測定結果。1次免疫(0週)の7週後以降の血清SP-D値を比較した。A:ヘテロ型D1CCマウスの血清SP-D値の推移、B:ホモ型D1CCマウスの血清SP-D値の推移、C:野生型(コントロール)マウスの血清SP-D値の推移。○は追加免疫(3次免疫)をした場合の測定値、●は追加免疫をしない場合の測定値。追加免疫によりホモ型D1CCマウスでは33週以降にSP-D値の顕著な上昇を認めた。 追加免疫(3次免疫)によって誘導したホモ型D1CCマウス(50週齢)の典型的な間質性肺炎像(HE染色像)。a:100倍、b:400倍。好中球、マクロファージの浸潤が観察される。 ホモ型D1CCマウスを用いた薬剤投与実験の結果。抗線維化剤ピルフェニドンをホモ型D1CCに投与し、血清SP-D値をモニタリングした。表中の「週」は1次免疫後の経過した週数を表す。
本発明の第1の局面は、間質性肺炎の病態を再現するモデル動物、即ち、間質性肺炎モデル動物(以下では「モデル動物」と略称することがある)に関する。本発明のモデル動物は、所定の外来性DNAをホモ型で保有するトランスジェニック非ヒト哺乳動物(以下、「TG動物」ともいう)からなる。「トランスジェニック非ヒト哺乳動物(TG動物)」とは、発生初期に外来性DNAが導入されることによって、それを構成するすべての細胞が当該外来性DNAを保有することとなる、ヒト以外の哺乳動物又はその子孫(但し、当該外来性遺伝子を保有するもの)をいう。ここでの哺乳動物の種(属)は特に限定されず、マウス、ラット、モルモット、ハムスター、ウサギ、イヌ、ネコ、ヒツジ、ブタ、ウシ、及びウマ等を含む。好ましくはマウス(例えばH-2qマウスDBA/J系統やB10.Q系統、又はH-2rマウスR10.RIII系統(これらのマウスは日本チャールズリバーから入手可能である))やラット(例えばLewis(Rtw)、WFC(Rte)、DA(Rta)ラット(これらのラットは日本チャールズリバーから入手可能である))などの齧歯目動物であり、最も好ましくはマウスである。
本発明における外来性DNAは、本発明のモデル動物内での発現を目的として使用される遺伝子(導入遺伝子)としてクラスII転写アクチベーター遺伝子(以下、「CIITA遺伝子」ともいう)を含む。CIITA遺伝子は、MHCクラスII遺伝子群の発現を制御するマスタースイッチとして機能することが知られている(Steimle V., Otten L.A., Zufferey M., and Mach B. 1993. Complementation Cloning of an MHC class II transactivator mutated in hereditary MHC class II deficiency. Cell. 75:135.)。ヒト、マウス、ラットなどのCIITA遺伝子を使用することができる。尚、ヒトのCIITA遺伝子の配列(Genbank(http://www.ncbi.nlm.nih.gov/Genbank/index.html) Accession No.(以下、AN): X74301)を配列番号1に示す。同様に、マウスのCIITA遺伝子の配列(AN: NM_007575)を配列番号2に示す。CIITA遺伝子の代わりに、その変異体を使用してもよい。ここでの「変異体」とは、CIITA遺伝子の一部と同一又は相同な配列を有するが、その全配列をCIITA遺伝子の配列に比較した場合に両者の間に相違が認められるものをいう。CIITA遺伝子の変異体として、CIITA遺伝子のDNA配列を基準とした場合に1若しくは複数の塩基の置換、欠失、挿入、及び/又は付加を含むことになるDNA配列を例示することができる。具体的には、MHCクラスII転写活性化因子の活性化領域(activation domain)をコードするDNA配列や、MHCクラスII転写活性化遺伝子が発現する際に選択的スプライシングによって生ずる特定のmRNAに対応するDNA配列をCIITA遺伝子の変異体として挙げることができる。CIITA遺伝子に特異的な機能、即ちCIITA遺伝子群の発現を制御するマスタースイッチとして働くという機能を有する限り、任意の変異体を使用することができる。変異体は天然に存在するものであっても、遺伝子工学的手法を用いて人工的に構築されたものであってもよい。導入遺伝子のコピー数は特に限定されるものではないが、例えば1〜100である。
本発明のモデル動物が保有する外来性DNAは、CIITA遺伝子に加えて、II型コラーゲンプロモーターを含む。II型コラーゲンプロモーターの由来(種)は特に限定されず、マウスやラットのII型コラーゲンプロモーター、或いはヒトのII型コラーゲンプロモーターなどを使用することができる。尚、ヒトのII型コラーゲンプロモーターの配列(参照:Nunez A.M., Kohno K., Martin G.R. and Yamada Y. 1986. Promoter region of the human pro-a1(II)-collagen gene. Gene, 44:11.)を配列番号3に示す。同様に、ラットのII型コラーゲンプロモーターの配列(参照:Kohno K., Sullivant M., and Yamada Y. 1985. Structure of the promoter of the rat type II procollagen gene. JBC, 260:4441.)を配列番号4に示す。本発明におけるII型コラーゲンプロモーターとして、これら既知の配列の全長を使用してよいことは言うまでもないが、プロモーター活性が認められる限りにおいて一部の領域のみを使用してもよい。また、これら既知のII型コラーゲンプロモーターの一部を改変したものであっても、プロモーター活性の大幅な低下がない限り、外来性DNAにおけるプロモーターとして使用できる。ここでの「一部の改変」とは、1若しくは複数の塩基(好ましくは1個、1若しくは2個、1〜3個、1〜4個、1〜5個、1〜6個、1〜7個、1〜8個、又は1〜9個))の置換、欠失、挿入、及び/又は付加が生ずることをいう。複数の箇所でこのような改変が行われていてもよい。
外来性DNA内においてCIITA遺伝子又はその変異体(以下、「CIITA遺伝子等」という)はII型コラーゲンプロモーターの制御下に配置される。ここでの「制御下に配置される」とは、II型コラーゲンプロモーターが作用してCIITA遺伝子等の転写が生ずるように、CIITA遺伝子が直接又は他の配列を介してII型コラーゲンプロモーターに連結されている状態をいう。通常は、II型コラーゲンプロモーターの下流、かつ近接した位置にCIITA遺伝子等が配置される。
外来性DNAが、CIITA遺伝子等の転写を活性化するエンハンサーを含むことが好ましい。「エンハンサー」とは、プロモーターに直接的又は間接的に作用してその転写活性を高める配列をいう。エンハンサーは、一般に離れた位置からプロモーターに作用する。外来DNA内におけるエンハンサーの位置はプロモーターの上流側であっても下流側であってもよい。エンハンサーは、外来性DNAに使用されるII型コラーゲンプロモーターに作用してその転写活性を高めることができるものであれば特に限定されない。例えばヒト、マウス、ラット等のII型コラーゲンエンハンサーを使用することができる。II型コラーゲンプロモーターの由来と、エンハンサーの由来とを同一にすることが好ましいが(例えば、ヒト由来のプロモーターを使用する場合にはヒト由来のエンハンサーを使用する)必ずしもその限りではない。このようなプロモーターとエンハンサーの組み合わせを採用することによって高い転写活性が得られるが、これをさらに異種の動物に使用する事も可能である。エンハンサーの一例としてラットのII型コラーゲンエンハンサーの配列(AN: L48618)を配列番号5に示す。本発明におけるII型コラーゲンエンハンサーとして、既知の配列の全長を使用してよいことは言うまでもないが、転写活性化作用が認められる限りにおいて一部の領域のみを使用してもよい。また、これら既知のII型コラーゲンエンハンサーの一部を改変したものであっても、転写活性化作用の大幅な低下がない限り、外来性DNAにおけるエンハンサーとして使用できる。ここでの「一部の改変」とは、1若しくは複数の塩基(好ましくは1個、1若しくは2個、1〜3個、1〜4個、1〜5個、1〜6個、1〜7個、1〜8個、又は1〜9個))の置換、欠失、挿入、及び/又は付加が生ずることをいう。複数の箇所でこのような改変が行われていてもよい。
本発明のモデル動物は、上記外来性DNAをホモ型で保有する。換言すれば、上記外来性遺伝子についての遺伝子型がホモ接合体である。この点において、本願発明者らの研究グループが以前に報告したD1CCマウス(ヘテロ型)と明確に異なる。本発明のモデル動物は、その特徴の一つとして、II型コラーゲンの投与によって間質性肺炎を発症する。しかも、慢性性且つ進行性の症状を示す。ホモ型である本発明のモデル動物では、ヘテロ型と相違し、間質性肺炎を高頻度に発症し、しかもより重篤化する。また、本発明のモデル動物は、3次免疫(典型的には3回目のII型コラーゲンの投与)によって、より確実に間質性肺炎を発症し、重篤化も進む(この特徴もヘテロ型との顕著な相異点である)。このように本発明のモデル動物は、間質性肺炎のモデル動物として好ましい数々の特性を有し、その価値は極めて高い。
間質性肺炎の誘導に使用されるII型コラーゲンの種類は特に限定されない。例えば、ヒト、トリ、ウシ、ブタ、ラット、シカ、ニワトリ又はマウス由来等のII型コラーゲンを使用することができる。II型コラーゲンは、それを投与する動物と同種由来のものであっても他の種由来のものであってもよい。尚、その投与によって関節性肺炎を誘導できるものであれば、II型コラーゲン以外であっても使用可能である。II型コラーゲン(又は同様に間質性肺炎を誘導可能なその他の抗原)の投与方法としては皮下、静脈内、動脈内、筋肉、腹腔内注射などを採用できる。典型的には、時間的間隔を置いた二回以上の投与によって間質性肺炎が誘導される。但し、上記の通り本発明のモデル動物は3次免疫によってより確実に間質性肺炎を発症し、重篤化も進むという特徴を有するものであることから、間質性肺炎を誘導する場合のII型コラーゲン(又は同様に間質性肺炎を誘導可能なその他の抗原)の投与回数は3回以上にするとよい。
間質性肺炎を誘導するのに十分な量となるようにII型コラーゲン等の投与量は設定される。具体的には例えば、本発明のモデル動物がマウスであってII型コラーゲンを投与する場合には例えば1回あたりの投与量を0.001mg〜0.05mg、好ましくは0.01mg〜0.05mgとする。尚、良好な免疫反応を引き起こす目的で、各回の投与を全身の複数箇所に分けて実施することが好ましい。
本発明のモデル動物の作出方法としては、受精卵の前核に直接DNAの注入を行うマイクロインジェクション法、レトロウイルスベクターを利用する方法、ES細胞を利用する方法などを用いることができる。以下では、本発明のモデル動物の作出方法として、マウスを用いたマイクロインジェクション法を具体例として説明する。
マイクロインジェクション法では、まず交尾が確認された雌マウスの卵管より受精卵を採取し、そして培養した後にその前核に所望のDNAコンストラクト(外来性DNA)の注入を行う。DNAコンストラクトの形態は特に限定されないが、導入効率の点から直鎖状又は環状であることが好ましい。特に好ましくは、直鎖状に調製したDNAコンストラクトを使用する。導入目的の遺伝子が効率的に染色体に組み込まれ、且つその良好な発現が確保できるようにDNAコンストラクトを調製する。DNAコンストラクトは、上述のCIITA遺伝子等及びII型コラーゲンプロモーターを含む(必要に応じて適当なエンハンサー配列、選択マーカー、複製開始点、ターミネーター配列等を含む)。
注入操作を終了した受精卵を偽妊娠マウスの卵管に移植し、移植後のマウスを所定期間飼育して仔マウス(F0)を得る。仔マウスの染色体に導入遺伝子が適切に組込まれていることを確認するために、仔マウスの尾などからDNAを抽出し、サザンハイブリダイゼ−ション分析、スロットブロット(ドットブロット)分析、PCR分析等を実施する。
次に、同定されたトランスジェニック個体を他のマウスとの交配に供する。ここでの「他のマウス」としては、H-2q若しくはH-2rハプロタイプのマウス、MRL-1若しくは亜系MRL-lpr+マウス、NZB/KNマウス、SKGマウス、NODマウス、scid/scidマウス、RAG2-deficient マウス、又はLewis ラット等(これらのマウスは例えば日本チャールズリバーから入手することが可能である)、或いは以上の操作の結果得られた他のトランスジェニック個体等を使用することができる。中でも、H-2qハプロタイプのマウスを使用することが好ましい。
以上のようにして得られたオスのヘテロ型トランスジェニックマウス(外来性DNAをヘテロ型に保有する)とメスのヘテロ型トランスジェニックマウス(外来性DNAをヘテロ型に保有する)を交配することによって、目的とするホモ型トランスジェニックマウス(外来性DNAをホモ型に保有する)を得る。繁殖又は維持のためには、当該ホモ型トランスジェニックマウスのオスとメスを交配すればよい。
上記の通り、本発明のモデル動物は間質性肺炎を発症する。従って、本発明のモデル動物は、間質性肺炎を研究する上で有効な手段(モデル動物)となる。特に、本発明のモデル動物を用いることによって、間質性肺炎用の薬剤の探索及び効果の検証などを行え、ひいてはヒト間質性肺炎の治療法の確立を図ることができる。そこで本発明は第2の局面として、上記のモデル動物を用いた間質性肺炎用薬剤のスクリーニング方法を提供する。
本発明のスクリーニング方法は、上記本発明のモデル動物に対して間質性肺炎を誘導する処置を施すステップ(ステップ(a))と、当該モデル動物に被験物質を投与するステップ(ステップ(b))と、被験物質の治療又は予防効果を判定するステップ(ステップ(c))とを含む。尚、本明細書において「間質性肺炎用薬剤」とは、間質性肺炎を発症している患者に対してその症状の改善などを目的として使用される薬剤はもとより、間質性肺炎を発症するおそれのある者に対して予防的に(再発防止の目的も含む)使用される薬剤も含む用語として用いられる。このように、本発明のスクリーニング方法を利用して得られる薬剤は、間質性肺炎の予防又は治療を目的として使用することができる。
ステップ(a)での「間質性肺炎を誘導する処置」として、典型的にはII型コラーゲンの投与が行われる。但し、II型コラーゲン以外であっても、本発明のモデル動物に導入されたCIITAに直接または関節的に作用してこれを活性化するもの、又はCIITAが異所的に軟骨細胞において産生誘導した組織適合性複合体に結合するような抗原であれば間質性肺炎の誘導に使用できる。ここでの誘導剤の具体例としては、II型コラーゲン等の抗原の他、プロテオグリカン、プリスタン (2,6,10,4-tetramethylpentodecan)、カチオニック抗原、超音波処理済スタフィロコッカル細胞壁、リポポリサッカライドを挙げることができる。II型コラーゲン等の投与形態(投与方法、投与量など)は、モデル動物において間質性肺炎を誘導でき、且つ以降の操作に支障のないものとする。投与方法としては例えば皮下、静脈内、動脈内、筋肉、又は腹腔内注射を採用することができる。また投与量は、モデル動物がマウスであってII型コラーゲンを投与する場合には例えば1回あたりの投与量を0.001mg〜0.05mg、好ましくは0.01mg〜0.05mgとする。投与量が少なすぎる場合には十分な誘導効果が得られない。これとは逆に投与量が多すぎる場合には必要以上の免疫刺激が加わり好ましくない。間質性肺炎をより確実に誘導するため、II型コラーゲン等の投与を少なくとも3回行うと良い。但し、必要以上の投与はモデル動物を疲弊させ、実験結果へ悪影響を及ぼすことから、投与回数を3回にすることが好ましい。
II型コラーゲンは例えばヒト、トリ、ウシ、ブタ、ラット、又はマウス由来のものを使用できる。様々な種由来のII型コラーゲンが市販されており、本発明ではこのような市販のものを好適に使用することができる。勿論のこと、常法に従い生化学的手法や遺伝子工学的手法などを用いて調製したII型コラーゲンを使用してもよい。以下、II型コラーゲンの投与による間質性肺炎の誘導方法の具体例(モデル動物がマウスである場合の一例)を示す。まず、初回免疫として0.01mgのII型コラーゲン(例えばウシ関節軟骨から常法に従って抽出・精製した高純度(例えば純度99%)のII型コラーゲンを0.01M酢酸に溶解し、等量の完全アジュバントと混合したもの)を数カ所に分けてモデルマウスに皮下注射する。3〜4週間程度飼育した後、2次免疫として再度0.01mgのII型コラーゲン(不完全アジュバントを用いる以外は初回免疫の場合と同様に調製したもの)を数カ所に分けてモデルマウスに皮下注射する。2次免疫の3〜4週間後に追加免疫(3次免疫)を施す。この追加免疫は、2次免疫と同様の条件で行えばよい。
ステップ(b)における被験物質の投与方法としては経口投与や静脈内、動脈内、皮下、筋肉、又は腹腔内注射等を例示することができる。被験物質としては様々な分子サイズの有機化合物(核酸、ペプチド、タンパク質、脂質(単純脂質、複合脂質(ホスホグリセリド、スフィンゴ脂質、グリコシルグリセリド、セレブロシド等)、プロスタグランジン、イソプレノイド、テルペン、ステロイド等))又は無機化合物を用いることができる。被験物質は天然物由来であっても、或いは合成によるものであってもよい。後者の場合には例えばコンビナトリアル合成の手法を利用して効率的なスクリーニング系を構築することができる。尚、細胞抽出液、培養上清などを被験物質として用いてもよい。
ステップ(c)では、被験物質の治療又は予防効果を判定する。治療効果又は予防効果があると判定された被験物質は有力な薬剤候補となる。治療又は予防効果の判定には間質性肺炎の発症や病態の進展などに関する様々な指標を採用できる。具体的な指標を例示すると、間質性肺炎の発症頻度、間質性肺炎の発症時期、間質性肺炎の進行又は重篤化、間質性肺炎の改善及び血清肺サーファクタントプロテインD(SP-D)値である。間質性肺炎の発症頻度、間質性肺炎の発症時期、間質性肺炎の進行又は重篤化、及び間質性肺炎の改善については、例えば、剖検、免疫組織化学、X線撮影等によって検出ないし測定すればよい。SP-D値の測定には例えばELISA法(Makoto Murata, Mitsuo Otsuka, Hiromi Mizuno, Masanori Shiratori, Shuichi Miyazaki, Hisato Nagae, Satoshi Kanazawa, Masaru Hamaoki, Yoshio Kuroki, and Hiroki Takahashi: Development of an ELISA for Measurement of Rat Pulmonary Surfactant Protein D Using Monoclonal Antibodies. Exp. Lung Res. 2010: 36, 463-468を参照)を用いることができる。
二以上の指標を併用して判定することにしてもよい。通常は、採用する指標の数が増えればより信頼度の高い判定結果が得られる。判定基準の具体例を以下に示す。
(i)被験物質の投与によって、間質性肺炎の発症頻度が低下した場合、被験物質に予防効果があると判定する。
(ii)被験物質の投与によって、間質性肺炎の発症時期が遅延した場合、被験物質に予防効果があると判定する。
(iii)被験物質の投与によって、間質性肺炎の進行が又は重篤化が抑制された場合、被験物質に治療効果があると判定する。
(iv)被験物質の投与によって、間質性肺炎が改善した場合、被験物質に治療効果があると判定する。
(v)被験物質の投与によって、血清SP-D値の上昇抑制又は低下を認めた場合、被験物質に予防効果又は治療効果があると判定する。
好ましくは、被験物質が投与されるモデル動物群(試験群)と、被験物質が投与されないこと以外は同条件のモデル動物群(対照群)を用意する。そして、採用した指標に関して試験群と対照群を比較し、その結果を基にしてステップ(c)の判定を行う。比較の結果、例えば試験群の方が対照群よりも間質性肺炎の発症頻度が低い場合や、試験群の方が対照群よりも発症時期が遅い場合、試験群の方が対照群よりも症状が進行ないし重篤化していない場合、試験群で症状の有意な軽快を認める場合、試験群の方が対照群よりも血清SP-D値が低い場合など、試験群に治療ないし予防効果が認められれば、被験物質が間質性肺炎用薬剤の有力な候補であると判定できる。このように被験物質を投与する群(試験群)と投与しない群(対照群)とを比較することによれば、被験物質の有効性を容易に且つ高い信頼度で判定することができる。尚、用意した複数のモデル動物をまず試験群と対照群とに分け、そして各群に対してII型コラーゲン等の投与を行って間質性肺炎を誘導することにしても、或いは用意した複数のモデル動物に対してII型コラーゲン等の投与を行って間質性肺炎を誘導した後に試験群と対照群とに分けることにしてもよい。
試験群及び対照群に含まれる個体数は特に限定されない。一般に使用する個体数が多くなるほど信頼度の高い結果が得られるが、多数の個体を同時に取り扱うことは使用する個体の確保や操作(飼育を含む)の面で困難を伴う。そこで例えば各群に含まれる個体数を1〜50、好ましくは2〜30、さらに好ましくは5〜20とする。
本発明のスクリーニング方法によって選択された化合物が間質性肺炎に対して十分な薬効を有する場合には、当該化合物をそのまま薬剤の有効成分として使用することができる。一方で十分な薬効を有しない場合には化学的修飾などの改変を施してその薬効を高めた上で、間質性肺炎用薬剤の有効成分として当該化合物を使用することができる。勿論、十分な薬効を有する場合であっても、更なる薬効の増大を目的として同様の改変を施してもよい。
特に記載のない限り、本明細書における遺伝子工学的操作は例えばMolecular Cloning(Third Edition, Cold Spring Harbor Laboratory Press, New York)或いはCurrent protocols in molecular biology(edited by Frederick M. Ausubel et al., 1987)を参考にして行うことができる。
1.MHCクラスII転写活性化遺伝子(CIITA遺伝子)を導入したヘテロ型トランスジェニックマウス(ヘテロ型D1CCマウス)の作製
以下に示すように、CIITA遺伝子が導入されたトランスジェニックマウスをManipulating the mouse embryo, a laboratory manual, second edition, Brigid Hogan et al., Cold Spring Harbor Laboratory Pressに従って作製した。
(1)遺伝子導入用ベクター(外来性DNA)の調製
以下の手順で、II型コラーゲンプロモーターの制御下にMHCクラスII転写活性化遺伝子(CIITA遺伝子)が配置されたベクター pCol2fluCIITANeof(図1)を構築した。本ベクターは以下の特徴を有する。1)約1kbpのラットII型コラーゲンプロモーター部の下流にヒトグロビンスプライシング配列がある。2)この直下にヒトCIITAポリAサイトを含むヒトCIITA cDNAが挿入され、この後方にラットII型コラーゲンエンハンサーが配置されている。3)さらにこの下流にPGKプロモーター直下にほ乳類細胞非耐性の薬剤マーカーNeo遺伝子 およびポリAシグナルを配置したカセットが配置されている。4)バックボーンのベクターは、大腸菌を用いた通常のクローニングに用いられる組換え用のDNAを使用出来る。本ベクターでは、アンピシリン等の薬剤耐性遺伝子を有するpBR322を用いた。5)予め大腸菌由来のバックボーンのベクター部分を除けるようPvuI制限酵素サイトを有する。最終的には、以上の手順で構築したベクターをPvuI制限酵素処理し、大腸菌由来のバックボーンのベクター部分を除き直鎖状としたものを、DNA結合性を示すビーズ等を用いて精製し、これをインジェクション用のトランスジーンとした。尚、得られたトランスジーンをマウス軟骨培養細胞株であるMG615細胞に遺伝子導入し、細胞表面上にMHCクラスIIタンパク質が発現する事を確認している。DNAは、10mM Tris/0.2mM EDTA 緩衝液にて30〜100μg/mlに調整し保存しておく。
(2)外来性DNAの導入
(2−1)マウスの準備
キメラマウスを作製するために用いられるマウスの系統は、FVB/NJとDBA/1の掛け合わせにより得られるF1世代とした。常法に従い受精卵を調製してインジェクションに用いた。
(2−2)受精卵の準備
常法に従いHCGを打ち、交配後のメスマウス卵巣より受精卵を得る。受精卵内pronucleiおよびgranuleを確認後、マイクロインジェクションに用いる。
(2−3)受精卵前核へのマイクロインジェクション
マイクロインジェクションは、一回当たり200個程の受精卵を用いる。マイクロマニピュレーターを用いDNAを注入する。注入用のDNAは、最終的に3μg/mlに調整後、0.22μmのフィルター濾過し、これを用いる。
(2−4)卵管内移植
予め偽妊診した仮親用のメスマウスを準備する。DNAを注入した胚は、直接仮親の卵管に移植するか、または一日培養後、胚の***を確認しこれを移植する。移植は、一匹当たり25〜35個の胚を移植する。
(3)トランスジェニックマウスの同定
得られたトランスジェニックマウスは、サザンブロッティング法により同定した。離乳後、マウスの尾を用いDNA抽出を行い、これを解析した。サザンブロッティングに用いるプローブは、CIITAのC末端のコーディング領域(ヒトCIITA DNA配列(配列番号1)中2978〜3329番目)を用いた。またこの際遺伝子のコピー数を約10程度のものをDBAマウスとのバッククロスに用いた。マウスに導入された遺伝子は、サザンブロッティング法およびPCR法により同定した。
(4)交配
得られたトランスジェニックマウスをDBA/1マウスとバッククロスさせた。バッククロスは、遺伝的な背景が99%以上DBAとなるように7世代以上に渡り繰り返す事で系統を遺伝的なバックグランドを純化した。このようにして、ヘテロ型トランスジェニックマウス(ヘテロ型D1CCマウス)を得た。
2.ヘテロ型D1CCマウスの特徴
得られたヘテロ型D1CCマウスはII型コラーゲンに対して高い感受性を示し、少量のII型コラーゲンの接種によって関節リウマチ様の病態(関節炎、炎症性細胞の浸潤、関節破壊等)を呈した。関節外病変として間質性肺炎も観察されたが、解剖後の外見的所見および組織学的解析から、その発症頻度は約20%と比較的低いことが分かった(図2、3)。また、発症時期や病態進行については少量のII型コラーゲンの接種後6カ月以降と推定されたものの、解剖し、組織学的に解析する他には確認する手段がないことから、詳細は不明であった。
3.ホモ型D1CCマウスの作製
以上の考察を踏まえ、安定的にD1CCマウスを維持する目的でホモ型D1CCマウスを樹立することにした。ヘテロ型D1CCマウスのオスとメスを交配し、25%の確立でホモ型D1CCマウスを得た。ホモ型であることの確認にはリアルタイムPCR法を利用した。同一量のゲノムDNAを用いてリアルタイムPCRを行うと、ヘテロ型に対してホモ型では1サイクル分ずれた状態でPCR反応が先に進む(図4)。
4.ホモ型D1CCマウスの表現型
樹立に成功したホモ型D1CCマウスに以下の手順で免疫した。ヘテロ型D1CCマウスをコントロールとして用いた。まず初回免疫として0.01mgのII型コラーゲンを数カ所に分けて皮下注射した。尚、ウシ関節軟骨から精製したII型コラーゲン(純度99%、コラーゲン技術研修会製)を0.01M酢酸に溶解し、等量の完全アジュバント(DIFCO社製)と混合したものを使用した。初回免疫から3週間後、2次免疫として再度0.01mgのII型コラーゲンを数カ所に分け皮下注射した。2次免疫には、不完全アジュバントと混合したII型コラーゲンを使用した。
免疫後のマウスの関節部を経時的に観察した結果、ホモ型D1CCマウスでは関節炎の症状は慢性的であり、病態も進行性で肺炎の状態が経時的に悪化していた。また、ヘテロ型D1CCマウスと比較して関節炎の病態がより重篤化することが判明した。そして、ホモ型D1CCマウスの間質性肺炎の症状は、ヘテロ型D1CCマウスマウスに比較してより鮮明であった(ホモ型D1CCマウスの間質性肺炎発症率は100%であった)。
次に、ホモ型D1CCマウスの間質性肺炎患部におけるSP-Dの発現について組織学的に検討した。その結果、肺炎患部においてSP-Dの顕著な発現亢進が観察された(図5)。この結果を受け、間質性肺炎の発症及び進行を簡便且つ客観的に把握できる評価系の確立を目指し、間質性肺炎の状態と血清SP-D値との関係を調べることにした。その際、追加免疫(3次免疫)を行った場合の効果も調べた。3次免疫は2次免疫と同一条件の下、2次免疫後3〜4週間後に行った。尚、血清SP-D値の測定は既報の方法に従った(Makoto Murata, Mitsuo Otsuka, Hiromi Mizuno, Masanori Shiratori, Shuichi Miyazaki, Hisato Nagae, Satoshi Kanazawa, Masaru Hamaoki, Yoshio Kuroki, and Hiroki Takahashi: Development of an ELISA for Measurement of Rat Pulmonary Surfactant Protein D Using Monoclonal Antibodies. Exp. Lung Res. 2010: 36, 463-468を参照)。
血清SP-D値の測定結果を図6に示す。従来型のヘテロ型D1CCマウスは、追加免疫の有無に関わらず、SP-D値の上昇を示し、間質性肺炎の進行が見られた(図6A)。しかしながらこの状態では明確な組織学的病態変化を観察できる様な状態(おそらく血清SP-D値50ng/ml程度)に至るものは少なく、モデル動物としては使用しにくい。この為、さらに長期間に渡る飼育が必要となるという問題があった。ホモ型D1CCマウスにおいても同様な実験を行うと、追加免疫を行った場合33週以降に急激な血清SP-D値の上昇を認めた(血清SP-D値50ng/ml以上、図6B)。一方、追加免疫がない場合は、ヘテロ型D1CCマウスにおける病態変動に近いものであった(図6A、B)。以上の結果より、血清SP-Dの測定によって間質性肺炎の進行を詳細に把握できること、及びホモ型D1CCマウスでは追加免疫によって効率良く間質性肺炎を誘導できることが明らかとなった。さらに追加免疫後のホモ型D1CCマウス(血清SP-D値50ng/ml以上)を組織学的に解析すると間質性肺炎早期から中期と考えられる組織像が得られた(図7)。また間質性肺炎が重篤化したホモ型D1CCマウスでは、最終的に血清SP-D値が400ng/ml以上の高値を示す個体も観察された。尚、血清SP-D値の測定結果及び間質性肺炎部のSP-D染色像は、いずれも過去に報告のないユニーク且つ意義深いデータである。
5.薬剤投与実験
ホモ型D1CCマウスを用いてピルフェニドンの効果を評価した。ピルフェニドンは抗線維化薬として認可された薬剤であり、間質性肺炎の治療薬として使用されている。
(1)実験方法
ホモ型D1CCマウスに1次免疫後、2次免疫及び3次免疫(免疫方法は4.の欄に記載の通りである)を行い、関節リウマチ様の病態を誘導した。2次免疫後、関節炎が徐々に観察されるが、さらに3次免疫を行い、間質性肺炎をより効果的に誘導することにした。3次免疫後に血清SP-D値のモニタリングを開始した。抗線維化薬ピルフェニドンをホモ型D1CCマウスに経口投与し、間質性肺炎を抑制するか検討した。ピルフェニドンの投与量は、人に対する標準投与量(600mg/50kg)を基準とし、マウス体重当り同量(x1)、10倍量(x10)の2群を設定し実験を行った。定期的な採血を行い血清SP-D値をモニタリングすることで病態進行を把握した。原末を1%メチルセルロース等に懸濁し、隔日の連続経口投与を行った。少なくとも6カ月以上に渡りモニタリングを継続した。各群におけるマウスの数は7匹以上とした。
(2)結果
上記の実験方法に従い、ホモ型D1CCマウスを用いてピルフェニドンの効果を評価した。尚、図6に示すように、ホモ型D1CCマウスでは37週を過ぎた時点で血清SP-D値は著しく上昇する。ここには示していないが、この後も継続してモニタリングすると、血清SP-D値の平均的な値は170ng/ml以上となる。
非病態誘導個体(免疫なし。コントロール)および病態誘導個体のそれぞれにピルフェニドンを長期間投与し、血清SP-D値を測定した。その結果、図8に示す通り、病態誘導個体にピルフェニドンを投与した場合の血清SP-D値は非病態誘導個体とほぼ同等の値を示した。即ち、ピルフェニドンによる間質性肺炎抑制効果が確認された。この結果は、ピルフェニドンが間質性肺炎に対して著効を示すことを裏付けるとともに、ホモ型D1CCマウスが間質性肺炎のモデル(治療モデル)として有用であることを示す。また、ホモ型D1CCマウスを用いた試験系が、間質性肺炎治療薬の評価系として極めて有効であることを示す。また病態進行が慢性的である為、薬剤投与期間を充分に取ることができる点は、薬剤の効果判定および薬剤による副作用検討に関して重要な知見を与える。
これまでに、間質性肺炎のモデルとして、ブレオマイシンを直接肺に投与するモデル系が報告されている。このモデルでは、間質性肺炎様の症状が肺において観察されるもののその症状は一過的であり、2〜3週間後には寛解の経過をたどる。このため、肺炎の経過観察や治療薬の効果検討(寛解に向かうため、治療薬の効果であるのか否かが判定しにくい)には必ずしも適切なモデルとはいえない。今回樹立に成功したホモ型D1CCマウスでは、従来のモデルが有するこれらの問題点が大きく改善され、その症状は慢性的であり、病態も進行性で肺炎の状態は経時的に悪化する。即ち、ホモ型D1CCマウスは従来のモデルに比して格段に優れた間質性肺炎モデルであり、間質性肺炎の治療薬の開発や間質性肺炎の研究などにおいて多大な貢献が期待される。
本発明のモデル動物は間質性肺炎を良好に再現する。本発明のモデル動物は、間質性肺炎のモデルとして、間質性肺炎に対する薬剤や治療法の開発や間質性肺炎の発症機構の解明などに利用され得る。
この発明は、上記発明の実施の形態及び実施例の説明に何ら限定されるものではない。特許請求の範囲の記載を逸脱せず、当業者が容易に想到できる範囲で種々の変形態様もこの発明に含まれる。
本明細書の中で明示した論文、公開特許公報、及び特許公報などの内容は、その全ての内容を援用によって引用することとする。

Claims (11)

  1. MHCクラスII転写活性化遺伝子、MHCクラスII転写活性化遺伝子の活性領域、及びMHCクラスII転写活性化遺伝子の変異体(但し、MHCクラスII遺伝子群の発現を制御するマスタースイッチ機能を有する)からなる群より選択されるDNAがII型コラーゲンプロモーターの制御下に配置された外来性DNAをホモ型で保有するトランスジェニック非ヒト哺乳動物からなる、間質性肺炎モデル動物。
  2. 前記外来性DNAがII型コラーゲンエンハンサーを含む、請求項1に記載の間質性肺炎モデル動物。
  3. II型コラーゲンの投与によって慢性性且つ進行性の間質性肺炎を発症する、請求項1又は2に記載の間質性肺炎モデル動物。
  4. 1回あたりのII型コラーゲンの投与量を0.01mg〜0.05mgとして2回以上II型コラーゲンを投与することによって慢性性且つ進行性の間質性肺炎を発症する、請求項1〜3のいずれか一項に記載の間質性肺炎モデル動物。
  5. II型コラーゲンを3回投与すると、2回投与した場合に比較して、間質性肺炎の発症率が上昇するとともに、症状がより重篤化する、請求項3又は4に記載の間質性肺炎モデル動物。
  6. 前記非ヒト哺乳動物の種(属)が、マウス、ラット、モルモット、ハムスター、ウサギ、イヌ、ネコ、ヒツジ、ブタ、ウシ及びウマからなる群より選択されるいずれかである、請求項1〜5のいずれか一項に記載の間質性肺炎モデル動物。
  7. 前記非ヒト哺乳動物の種(属)がマウスである、請求項1〜5のいずれか一項に記載の間質性肺炎モデル動物。
  8. 遺伝的な背景が99%以上DBAである、請求項7に記載の間質性肺炎モデル動物。
  9. 以下の(a)〜(c)のステップを含む、間質性肺炎用薬剤のスクリーニング方法:
    (a)請求項1〜8のいずれか一項に記載の間質性肺炎モデル動物に対して、間質性肺炎を誘導する処置を施すステップ;
    (b)前記間質性肺炎モデル動物に被験物質を投与するステップ;
    (c)被験物質の治療効果又は予防効果を判定するステップ。
  10. 間質性肺炎の発症頻度、間質性肺炎の発症時期、間質性肺炎の進行又は重篤化、間質性肺炎の改善、及び血清肺サーファクタントプロテインD(SP-D)値からなる群より選択される一以上の指標に基づき、ステップ(c)の判定を行う、請求項9に記載のスクリーニング方法。
  11. 対照群との比較に基づきステップ(c)の判定を行う、請求項9又は10に記載のスクリーニング方法。
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