JP2006025647A - Fsp27ノックアウト動物 - Google Patents

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雅人 春日
Yoshikazu Tamori
義和 田守
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尚延 西野
Atsushi Aeba
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Abstract

【課題】新規医薬・試薬、およびそれらの開発に有用な手段、並びにFSP27の機能解析に有用な手段を提供すること。
【解決手段】FSP27遺伝子の機能的欠損を含む非ヒトトランスジェニック動物およびその製造方法;FSP27遺伝子の機能的欠損を含む動物細胞(例えば、胚性幹細胞、脂肪細胞)およびその製造方法;FSP27遺伝子に相同な第一のポリヌクレオチド及び第二のポリヌクレオチド、並びに選択マーカーを含む、FSP27遺伝子の相同組換えを誘導し得るターゲティング構築物およびその製造方法;FSP27の発現及び/又は活性を調節する物質を含有してなる、脂肪細胞の分化誘導剤;並びに被験物質がFSP27の発現及び/または活性を調節するか否かを評価することを特徴とする、脂肪細胞を分化誘導し得る物質のスクリーニング方法など。
【選択図】なし

Description

本発明は、FSP27遺伝子の機能的欠損を含む非ヒトトランスジェニック動物、FSP27遺伝子の機能的欠損を含む動物細胞、FSP27遺伝子の相同組換えを誘導し得るターゲティング構築物、およびこれらの製造方法、並びに脂肪細胞の分化誘導剤およびそのスクリーニング方法などに関する。
近年、世界的なレベルで様々な生物のゲノム配列の解明とその解析が進められており、例えば、ヒトやマウスでは、ゲノム全配列の解析が終了している。ゲノム情報は、創薬において非常に重要な意義を有すると考えられるものの、単にゲノム配列が決定されただけでは、遺伝子の機能が明らかになり創薬標的蛋白質が見出されるわけではない。
遺伝子の機能を解明する手法の一つとして、遺伝子ノックアウト技術が知られている。遺伝子ノックアウト技術によれば、ゲノム配列解析のみでは得られない重要な情報が得られ、新規の創薬標的蛋白質を発見することが可能である。
FSP27遺伝子は、1992年にマウスで初めて報告された(非特許文献1)。しかしながら、マウスFSP27遺伝子の報告後、既に10年以上経過しているにもかかわらず、FSP27遺伝子の機能の詳細は未だ明らかとなっていない。現在までに、FSP27遺伝子について明らかになっていることはごく僅かである。
例えば、非特許文献1には、脂肪細胞特異的に発現している遺伝子として、FSP27が同定されたことが記載されている。さらに、FSP27遺伝子の転写調節領域にC/EBP結合配列が存在し、C/EBPが同遺伝子の転写調節に重要な機能をはたしている可能性が示唆されている。
非特許文献2には、アポトーシスに関与すると考えられるDFF45 (DNA Fragmentation Factor 45)のアミノ末端部位に相同性の高いヒト遺伝子として、CIDE−A (cell death-inducing DFF45-like effector A)およびCIDE−Bが同定されたが、これらはアミノ末端、カルボキシル末端ともFSP27と非常に高い相同性を有していたことが記載されている。
非特許文献3には、オリゴヌクレオチドマイクロアレイを用いたクラスター解析により、FSP27は培養細胞レベルでは脂肪細胞の前駆細胞に比し成熟脂肪細胞で圧倒的に発現が多く、さらにマウス個体では白色脂肪組織において、細胞間質組織より脂肪細胞に発現が限局している蛋白として分類されている。つまり、培養細胞レベルでも個体レベルでも、脂肪細胞特異的に発現が非常に豊富な蛋白と考えられることが記載されている。
非特許文献4には、PPARαホモノックアウトマウスの肝臓に、アデノウィルスを用いてPPARγ1を過剰発現すると、adipsinやadiponectin、aP2といった脂肪細胞に特徴的な蛋白と同時に、FSP27も発現が誘導されてくることが記載されている。
非特許文献5には、マウスFSP27のヒトホモログとして、CIDE−3が同定されたことが記載されている。CIDE−3は主に細胞質内に局在し、アポトーシス活性に関連しているという報告も記載されている。
しかしながら、FSP27の生理的な機能は、依然として全く不明である。
U. Danescheら、Journal of Biological Chemistry、(米国)、1992年、第267巻、p.7185−7193 N. Inoharaら、The EMBO Journal、(ドイツ)、1998年、第17巻、p.2526−2533 A. Soukasら、Journal of Biological Chemistry、(米国)、2001年、第276巻、p.34167−34174 S. Yuら、Journal of Biological Chemistry、(米国)、2003年、第278巻、p.498−505 L. Liangら、Biochemical Journal、(米国)、2003年、第370巻、p.195−203
遺伝子の機能解析は、種々の疾患に対する新たな作用機序を有する医薬、あるいは試薬の開発などにつながる。本発明は、FSP27の機能解析により得られた知見に基づき、種々の疾患に対し新たな作用機序を有する医薬・試薬を提供すること、並びに該医薬・試薬の開発などに有用な手段を提供することを目的とする。また、本発明は、FSP27の機能解析自体に有用な手段を提供することを目的とする。
本発明者らは、FSP27ノックアウト(KO)マウスを作製し、その形質を解析したところ、当該マウスでは、脂肪細胞、特に白色脂肪細胞に種々の異常が見られることを見出した。従って、FSP27は、脂肪細胞の分化に関与し得ると考えられる。また、FSP27の機能を欠損する動物および細胞は、細胞分化の解析等の研究用途などに有用であり得ると考えられる。
以上に基づき、本発明者らは、本発明を完成するに至った。即ち、本発明は下記の通りである:
〔1〕FSP27遺伝子の機能的欠損を含む非ヒトトランスジェニック動物、
〔2〕白色脂肪組織重量が減少している、上記〔1〕の非ヒトトランスジェニック動物、
〔3〕白色脂肪細胞が褐色脂肪細胞化している、上記〔1〕の非ヒトトランスジェニック動物、
〔4〕以下の工程を含む、FSP27遺伝子の機能的欠損を含む非ヒトキメラ動物の製造方法:
(工程1)FSP27遺伝子の機能的欠損を含む胚性幹細胞を提供する工程;
(工程2)該細胞を宿主胚に導入し、キメラ胚を得る工程;
(工程3)該キメラ胚を非ヒト宿主動物の子宮に移入し、キメラ動物を得る工程、
〔5〕以下の工程を含む、FSP27遺伝子の機能的欠損を含む非ヒトトランスジェニック動物の製造方法:
(工程1)FSP27遺伝子の機能的欠損を含む胚性幹細胞を提供する工程;
(工程2)該細胞を宿主胚に導入し、キメラ胚を得る工程;
(工程3)該キメラ胚を非ヒト宿主動物の子宮に移入し、キメラ動物を得る工程;
(工程4)該キメラ動物を交配させ、FSP27遺伝子欠損ヘテロ接合体を得る工程、
〔6〕ヘテロ接合体を交配させ、FSP27遺伝子欠損ホモ接合体を得る工程をさらに含む、上記〔5〕の製造方法、
〔7〕FSP27遺伝子の機能的欠損を含む動物細胞、
〔8〕胚性幹細胞である、上記〔7〕の動物細胞、
〔9〕FSP27遺伝子の機能的欠損を含む非ヒトトランスジェニック動物に由来する細胞である、上記〔7〕の動物細胞、
〔10〕脂肪細胞に由来する細胞である、上記〔7〕又は〔9〕の動物細胞、
〔11〕褐色脂肪細胞化した白色脂肪細胞である、上記〔9〕の動物細胞、
〔12〕以下の工程を含む、FSP27遺伝子の機能的欠損を含む動物細胞の製造方法:
(工程1)FSP27遺伝子の相同組換えを誘導し得るターゲティング構築物を提供する工程;
(工程2)該ターゲティング構築物を動物細胞に導入する工程;
(工程3)該ターゲティング構築物を導入した細胞のうち、相同組換えをおこした細胞を選別する工程、
〔13〕FSP27遺伝子の機能的欠損を含む非ヒトトランスジェニック動物から細胞を単離する工程を含む、FSP27遺伝子の機能的欠損を含む動物細胞の製造方法、
〔14〕FSP27遺伝子に相同な第一のポリヌクレオチド及び第二のポリヌクレオチド、並びに選択マーカーを含む、FSP27遺伝子の相同組換えを誘導し得るターゲティング構築物、
〔15〕FSP27遺伝子に相同な第一のポリヌクレオチド及び第二のポリヌクレオチド並びに該選択マーカーをベクターに挿入することを含む、FSP27遺伝子の相同組換えを誘導し得るターゲティング構築物の製造方法、
〔16〕FSP27の発現及び/又は活性を調節する物質を含有してなる、脂肪細胞の分化誘導剤、
〔17〕FSP27の発現及び/又は活性を調節する物質が、FSP27の発現及び/又は活性を抑制する物質である、上記〔16〕の剤、
〔18〕FSP27の発現及び/又は活性を抑制する物質が、以下(i)、(ii)、(iii)のいずれかである上記〔17〕の剤:
(i)FSP27アンチセンス核酸、FSP27リボザイム、FSP27デコイ核酸、及びFSP27siRNAからなる群より選ばれるFSP27の発現を抑制する物質;
(ii)ドミナントネガティブ変異体、当該変異体をコードする核酸、FSP27抗体、及びFSP27抗体をコードする核酸からなる群より選ばれるFSP27の活性を抑制する物質;あるいは
(iii)(i)、(ii)のいずれかの核酸を含む発現ベクター、
〔19〕被験物質がFSP27の発現及び/または活性を調節するか否かを評価することを特徴とする、脂肪細胞を分化誘導し得る物質のスクリーニング方法。
本発明の非ヒトトランスジェニック動物、及び動物細胞は、FSP27および脂肪細胞の分化誘導機構の解析などに有用である。本発明のターゲティング構築物は、本発明の動物および動物細胞の作製などに有用である。本発明の分化誘導剤は、脂肪細胞の分化誘導用試薬、または脂肪細胞が関連する疾患に対する医薬などとして有用である。本発明のスクリーニング方法は、脂肪細胞の分化誘導用試薬、または脂肪細胞が関連する疾患に対する医薬の開発などに有用である。
(動物)
本発明は、FSP27遺伝子の機能的欠損を含む非ヒトトランスジェニック動物に関する。
本発明のトランスジェニック動物の種は、ヒトを除く動物である限り特に限定されないが、哺乳動物および鳥類が好ましい。哺乳動物としては、例えば、マウス、ラット、ハムスター、モルモット、ウサギ等の実験動物、ブタ、ウシ、ヤギ、ウマ、ヒツジ等の家畜、イヌ、ネコ等のペット、サル、オランウータン、チンパンジー等の霊長類が挙げられる。鳥類としては、例えば、ニワトリ、ウズラ、アヒル、ガチョウ、シチメンチョウ、ダチョウ、ハトなどが挙げられる。
FSP27遺伝子(fat−specific gene 27)は、27kDaの蛋白をコードする遺伝子である。例えば、マウスFSP27遺伝子は第6染色体に存在し、全長で約11.1kbの塩基対よりなり、6個のエクソンで構成されている。
FSP27は、アポトーシス関連蛋白DFF45に類似する蛋白であるCIDE−AやCIDE−Bと、構造が非常に似ていることが知られている。CIDE−AおよびCIDE−Bのアミノ末端のCIDE−Nドメインは、DFF45のアミノ末端と高い相同性を有するが、カルボキシル末端のCIDE−Cドメインは、DFF45との相同性は有さない。一方、FSP27はアミノ末端、カルボキシル末端で、それぞれCIDE−Nドメイン、CIDE−Cドメインと高い相同性を持つ。
CIDE蛋白において、CIDE−Cドメインがアポトーシス活性を持つことから、FSP27もアポトーシスに関連した機能を有することが推測され、実際、FSP27のヒトホモログであるCIDE−3は、この活性を持つことが示唆されている(Biochem. J., 370, 195, 2003)。しかし、FSP27の生理的な機能は不明なままである。
FSP27遺伝子の機能的欠損とは、FSP27遺伝子が本来有する正常な機能が十分に発揮できない状態をいい、例えば、FSP27遺伝子が全く発現していない状態、またはFSP27遺伝子が本来有する正常な機能が発揮できない程度にその発現量が低下している状態、あるいはFSP27遺伝子産物の機能が完全に喪失した状態、またはFSP27遺伝子が本来有する正常な機能が発揮できない程度にFSP27遺伝子産物の機能が低下した状態が挙げられる。該FSP27遺伝子の機能的欠損は、例えば、FSP27遺伝子を含むゲノムDNA中の部分領域を、ターゲティング構築物で改変(例えば、欠失)することにより生じさせることができる。
本発明のトランスジェニック動物は、例えば、FSP27遺伝子欠損ヘテロ接合体、またはFSP27遺伝子欠損ホモ接合体であり得る。
本発明のトランスジェニック動物はまた、FSP27遺伝子の機能的欠損に伴う種々の特徴を有する。例えば、本発明のトランスジェニック動物の一つの特徴は、白色脂肪組織(例えば、傍生殖器周囲脂肪組織、皮下脂肪組織)の重量低下であり得る。なお、重量低下の程度は、傍生殖器周囲脂肪組織が皮下脂肪組織よりも顕著であり得る。
本発明のトランスジェニック動物の別の特徴は、白色脂肪細胞の褐色脂肪細胞化であり得る。白色脂肪細胞の褐色脂肪細胞化とは、白色脂肪細胞の形質が褐色脂肪細胞に特徴的な形質に転化することをいう。例えば、組織学的観点では、本発明のトランスジェニック動物は、野生型動物と異なり、褐色脂肪細胞に特異的な細胞径の小型化、及び/又は多房性の中性脂肪蓄積構造などを白色脂肪細胞で示し得る。また、遺伝子発現の観点では、本発明のトランスジェニック動物は、野生型動物と異なり、褐色脂肪細胞で多量に発現しているβ3−アドレナリン作動性受容体遺伝子を白色脂肪細胞で高度に発現し得る。さらに、本発明のトランスジェニック動物は、褐色脂肪細胞特異的なUCP−1遺伝子及び/又はCIDE−A遺伝子を白色脂肪細胞で発現し得る。
本発明のトランスジェニック動物のさらに別の特徴は、脂肪細胞への分化を促進する転写因子の白色脂肪細胞における発現亢進であり得る。脂肪細胞への分化を促進する転写因子は特に限定されないが、例えば、PPARγ、C/EBPα、SREBP1が挙げられる。
本発明のトランスジェニック動物の別の特徴は、脂肪細胞に特異的な遺伝子の白色脂肪細胞における発現亢進であり得る。脂肪細胞に特異的な遺伝子は特に限定されないが、例えば、aP2、アディポネクチン、GLUT4が挙げられる。
本発明のトランスジェニック動物のさらに別の特徴は、褐色脂肪細胞における中性脂肪滴の蓄積亢進であり得る。
また、本発明のトランスジェニック動物は、組織(または細胞)特異的なFSP27遺伝子の機能的欠損を含む非ヒトトランスジェニック動物であり得る。組織特異的なFSP27遺伝子の機能的欠損を含む非ヒトトランスジェニック動物としては、少なくとも脂肪組織においてFSP27遺伝子の機能的欠損を含む非ヒトトランスジェニック動物が好ましい。かかる動物は、その脂肪組織(または脂肪細胞)において上述した形質を示し得る。
本発明のトランスジェニック動物は、自体公知の方法により製造できる。先ず、本発明のトランスジェニック動物の作製に有用なキメラ動物の作製法について説明する。なお、本発明の動物は、本発明のトランスジェニック動物の作製に有用なキメラ動物をも含む。
本発明のキメラ動物は、例えば下記工程を含む方法により製造できる。
(工程1)FSP27遺伝子の機能的欠損を含む胚性幹細胞を提供する工程;
(工程2)該細胞を宿主胚に導入し、キメラ胚を得る工程;
(工程3)該キメラ胚を非ヒト宿主動物の子宮に移入し、キメラ動物を得る工程;
工程1では、FSP27遺伝子の機能的欠損を含む胚性幹細胞(ES細胞)は、例えば、後述の方法にて作製されたものを使用できる。
工程2では、宿主胚が由来する動物種は、導入される該胚性幹細胞が由来する動物種と同一であることが好ましい。胚としては、例えば胚盤胞、8細胞期胚などが挙げられる。胚はホルモン剤(例えばFSH様作用を有するPMSGおよびLH作用を有するhCGを使用)等により過***処理を施した雌動物を、雄動物と交配させること等により得ることができる。胚性幹細胞を宿主胚に導入する方法としては、マイクロマニピュレーション法、凝集法などが挙げられる。
工程3では、キメラ胚が非ヒト宿主動物の子宮に移入される。非ヒト宿主動物は好ましくは偽妊娠動物である。偽妊娠動物は、正常性周期の雌動物を、精管結紮等により去勢した雄動物と交配することにより得ることができる。キメラ胚が導入された非ヒト宿主動物は、妊娠し、非ヒトキメラ動物を出産する。
出生した非ヒト動物がキメラ動物であるか否かは、自体公知の方法により確認できる。例えば、出生した非ヒト動物がキメラ動物であるか否かは、体色や被毛色で判別できる。また、判別のために、体の一部からDNAを抽出し、サザンブロット解析やPCRアッセイを行ってもよい。
本発明のトランスジェニック動物は、例えば下記工程を含む方法により製造できる:
(工程1)FSP27遺伝子の機能的欠損を含む胚性幹細胞を提供する工程;
(工程2)該細胞を宿主胚に導入し、キメラ胚を得る工程;
(工程3)該キメラ胚を非ヒト宿主動物の子宮に移入し、キメラ動物を得る工程;
(工程4)該キメラ動物を交配させ、FSP27遺伝子欠損ヘテロ接合体を得る工程。
工程1〜3は、キメラ動物の作製と同様にして行うことができる。
工程4では、工程3で得られたキメラ動物が成熟した後、交配させる。交配は好ましくは、野生型動物と、又はキメラ動物同士で行う。FSP27遺伝子欠損が、キメラ動物の生殖系列細胞へ導入され、FSP27遺伝子欠損ヘテロ接合体子孫が得られたか否かは、自体公知の方法により種々の形質を指標として確認できる。例えば、子孫動物の体色や被毛色により判別できる。また、判別のために、体の一部からDNAを抽出し、サザンブロット解析やPCRアッセイを行ってもよい。さらに、このようにして得られたFSP27遺伝子欠損ヘテロ接合体同士を交配させることにより、FSP27遺伝子欠損ホモ接合体を作製できる。
一般的に、トランスジェニック動物の作製の過程では、胚性幹細胞に由来する遺伝子と、交配に用いた動物に由来する遺伝子とが交雑した遺伝子型を有する子孫動物が得られるため、結果としてFSP27遺伝子が欠損することのみによる特有の効果を調べることが困難となってしまう場合がある。そこで、FSP27遺伝子欠損特有の効果のみをより適確に抽出するために、得られたFSP27遺伝子欠損動物(ヘテロ接合体またはホモ接合体)を純系の動物系統と、5世代〜8世代程度にわたり戻し交配することが好ましい。また、自然交配のみにより戻し交配を行うと長い年月がかかる場合があるので、世代交代を早めたい場合には適宜体外受精技術を用いることもできる。
また、本発明の動物が、組織特異的なFSP27遺伝子の機能的欠損を含む非ヒトトランスジェニック動物である場合、かかる動物は、例えば、リコンビナーゼ標的配列を含むターゲティング構築物(後述)の使用により作製された動物と、組織(例えば、脂肪細胞)特異的にリコンビナーゼを発現するトランスジェニック動物を交配させることで作製できる。例えば、組織特異的にリコンビナーゼを発現するトランスジェニック動物として、脂肪細胞特異的にリコンビナーゼを発現するトランスジェニック動物が報告されている(例えば、Nucleic Acids Res. Vol. 25: 2543-5 (1997)、 Nature Vol. 409: 729-733 (2001)を参照)。また、リコンビナーゼ標的配列を含むターゲティング構築物(後述)の使用により作製された動物の所定の組織(例えば、脂肪組織)に対し、リコンビナーゼを局所的に注入してもよい。
本発明のトランスジェニック動物は、例えば、FSP27遺伝子および脂肪細胞の分化誘導機構の解析、本発明の細胞の作製、並びに脂肪細胞の分化誘導剤のスクリーニングなどに有用である。
(動物細胞)
本発明はまた、FSP27遺伝子の機能的欠損を含む動物細胞に関する。
本発明の動物細胞は、ヒトを含む任意の動物に由来する細胞であり得るが、哺乳動物または鳥類に由来する細胞が好ましい。本発明の動物細胞が由来する哺乳動物種としては、例えば、マウス、ラット、ハムスター、モルモット、ウサギ等の実験動物、ブタ、ウシ、ヤギ、ウマ、ヒツジ等の家畜、イヌ、ネコ等のペット、サル、オランウータン、チンパンジー、ヒト等の霊長類が挙げられる。鳥類としては、ニワトリ、ウズラ、アヒル、ガチョウ、シチメンチョウ、ダチョウ、ハトなどが挙げられる。
本発明の動物細胞はまた、任意の組織に由来する細胞であり得る。例えば、脂肪細胞(例えば、白色脂肪細胞、褐色脂肪細胞)等の体細胞、精原細胞、***、卵子等の生殖系列細胞、並びに胚性幹細胞などが挙げられる。また、本発明の動物細胞は、初代培養細胞、細胞株のいずれであってもよい。
本発明の動物細胞は、例えば、FSP27遺伝子欠損ホモ接合体、FSP27遺伝子欠損ヘテロ接合体であり得る。
本発明の動物細胞が脂肪細胞(例えば、白色脂肪細胞、褐色脂肪細胞)である場合には、該脂肪細胞は、本発明のトランスジェニック動物の脂肪細胞と同様の種々の形質を示し得る。例えば、本発明の動物細胞が褐色脂肪細胞である場合、該細胞においては中性脂肪滴の蓄積が亢進し得る。
また、本発明の動物細胞が白色脂肪細胞である場合、該細胞は、組織学的観点では、褐色脂肪細胞に特異的な細胞径の小型化、及び/又は多房性の中性脂肪蓄積構造などを示し得る。また、遺伝子発現の観点では、該白色脂肪細胞は、褐色脂肪細胞で多量に発現しているβ3−アドレナリン作動性受容体遺伝子を高度に発現し得る。さらに、該白色脂肪細胞は、褐色脂肪細胞特異的なUCP−1遺伝子及び/又はCIDE−A遺伝子を発現し得る。また、該白色脂肪細胞においては、脂肪細胞への分化を促進する転写因子(例えば、PPARγ、C/EBPα、SREBP1)、および/または脂肪細胞に特異的な遺伝子(例えば、aP2、アディポネクチン、GLUT4)の発現が亢進し得る。
本発明の動物細胞は、自体公知の方法により製造できる。例えば、本発明の動物細胞は、下記工程を含む方法により製造できる。
(工程1)FSP27遺伝子の相同組換えを誘導し得るターゲティング構築物を提供する工程;
(工程2)該ターゲティング構築物を動物細胞に導入する工程;
(工程3)該ターゲティング構築物を導入した細胞のうち、相同組換えをおこした細胞を選別する工程。
工程1では、FSP27遺伝子の相同組換えを誘導し得るターゲッティング構築物として、例えば、本発明のターゲティング構築物を使用できる。
工程2では、ターゲティング構築物が動物細胞中に導入される。ターゲティング構築物を動物細胞に導入する方法としては、例えば、リン酸カルシウム法、リポフェクション法/リポソーム法、エレクトロポレーション法などが挙げられる。ターゲティング構築物が動物細胞中に導入されると、当該動物細胞中でFSP27遺伝子を含むゲノムDNAの相同組換えが生じる。
ターゲティング構築物が導入される動物細胞としては、自体公知の方法で作製したもの、あるいは市販のもの、又は所定の機関より入手可能なものを使用できる。
例えば、ターゲティング構築物が導入される動物細胞として胚性幹細胞を使用する場合、胚性幹細胞は、任意の動物の胚盤胞から分離した内部細胞塊をフィーダー細胞上で培養することにより樹立してもよいが、市販または所定の機関より既存の胚性幹細胞を入手できる。例えば、既存のマウス胚性幹細胞としては、ES−D3細胞、ES−E14TG2a細胞、SCC−PSA1細胞、TT2細胞、AB−1細胞、J1細胞、R1細胞、E14.1細胞、RW−4細胞などが挙げられる。また、胚性幹細胞としては、現時点で、マウス胚性幹細胞以外に、ヒト、ミンク、ハムスター、ブタ、ウシ、マーモセット、アカゲザル等の哺乳動物由来のものなどが樹立されているので、これらを用いることもできる。
また、ターゲティング構築物が導入される動物細胞として体細胞を使用する場合、ターゲティング構築物が導入される体細胞は、初代培養細胞、細胞株のいずれでもよい。初代培養細胞および細胞株は、自体公知の方法により作製できる(例えば、Current Protocols in Cell Biology, John Wiley & Sons, Inc.(2001);機能細胞の分離と培養,丸善書店 (1987) 参照)。また、ターゲティング構築物が導入される体細胞として細胞株を用いる場合には、細胞株は、市販のもの、所定の機関より入手可能なものを使用できる。例えば、細胞株として脂肪細胞の細胞株、または脂肪細胞の前駆細胞の細胞株を用いる場合、3T3−L1細胞、3T3−F442細胞を使用できる。
工程3では、FSP27遺伝子を含むゲノムDNAで相同組換えが生じた動物細胞を選別するため、ターゲティング構築物導入後の動物細胞がスクリーニングされる。例えば、ポジティブ選別、ネガティブ選別等により選別を行った後に、遺伝子型に基づくスクリーニング(例えば、PCR法、サザンブロットハイブリダイゼーション法)を行う。
動物細胞が胚性幹細胞である場合には、好ましくは、組換え胚性幹細胞の核型分析がさらに行なわれる。核型分析では、選別された組換え胚性幹細胞において染色体異常がないことが確認される。核型分析は、自体公知の方法により行うことができる。なお、胚性幹細胞の核型は、ターゲティング構築物の導入前に予め確認しておくことが好ましい。
また、本発明の動物細胞は、本発明の動物からの細胞の単離により製造できる。本発明の動物は、FSP27遺伝子の機能的欠損を含む。従って、本発明の動物により単離された細胞もまた、FSP27遺伝子の機能的欠損を含む。
本発明の動物細胞が本発明のトランスジェニック動物に由来する場合、かかる動物細胞は、初代培養細胞、細胞株のいずれであってもよい。初代培養細胞、細胞株は、自体公知の方法により作製できる(例えば、Current Protocols in Cell Biology, John Wiley & Sons, Inc.(2001);機能細胞の分離と培養,丸善書店 (1987) 参照)。
本発明の動物細胞は、例えば、FSP27遺伝子および脂肪細胞の分化誘導機構の解析、並びに本発明の動物の作製などに有用である。
(ターゲティング構築物)
本発明は、FSP27遺伝子に相同な第一のポリヌクレオチド及び第二のポリヌクレオチド、並びに選択マーカーを含む、FSP27遺伝子の相同組換えを誘導し得るターゲティング構築物に関する。
第一及び第二のポリヌクレオチドは、FSP27遺伝子を含むゲノムDNAに対して、相同組換えを生じるに十分な程度の配列同一性および長さを有するポリヌクレオチドである。第一及び第二のポリヌクレオチドはそれぞれ、FSP27遺伝子を含むゲノムDNAの異なる領域に対応する。
また、第一及び第二のポリヌクレオチドは、相同組換えにより、FSP27遺伝子の機能的欠損を引き起こすように選択される。即ち、第一及び第二のポリヌクレオチドは、FSP27遺伝子を含むゲノムDNAにおいて、第一及び第二のポリヌクレオチドに対して相同な2つの領域の間に存在するゲノムDNA部分領域が欠失すると、FSP27遺伝子の機能的欠損がもたらされるように選択される。かかる領域は、当業者であれば適宜決定できるが、例えば、少なくとも1つのエクソン、あるいはプロモーター領域またはエンハンサー領域を欠失するように第一及び第二のポリヌクレオチドが選択される。
FSP27遺伝子を含むゲノムDNAに対する第一及び第二のポリヌクレオチドの同一性の程度は、相同組換えを可能とする限り特に限定されない。例えば、相同組換えを可能とする同一性の程度は、ポリヌクレオチドの長さによっても異なるが、例えば少なくとも約80%以上、好ましくは少なくとも約85%以上、より好ましくは少なくとも約90%以上、最も好ましくは約95〜100%であり得る。同一性%は、BLASTNアルゴリズムで決定できる。例えば、同一性%は、オンラインでhttp://www.ncbi.nlm.nih.gov:80/BLAST/, (Basic, Advanced or PSI) から入手可能なBLAST (Basic Local Alignment Search Tool) 2.0を用いて調べることができ、また、Altschul,S.F., Gish,W., Miller,W., Myers,E.W. & Lipman,D.J.(1990) Basic local alignment search tool. J.Mol.Biol.215:403-410.(Medline); Altschul,S.F.,Madden,T.L., Schaffer,A.A., Zhang,J., Zhang,Z., Miller,W. & Lipman,D.J.(1997) Gapped BLAST and PSI-BLAST: a new generation of protein database search programs. Nucleic Acids Res.25: 3389-3402. (Medline); およびZhang,J. & Madden, T.L.(1997) PowerBLAST: A new network BLAST application for interactive or automated sequence analysis and annotation. Genome Res.7: 649-656.(Medline) などに記載されている。
第一及び第二のポリヌクレオチドの長さは、ゲノムDNAの相同組換えが生じる長さである限り特に限定されない。しかしながら、一般論として、ターゲティングベクターによってゲノムDNAの相同組換えが効率よく起こるためには、相同領域が長いほどよい。一方、ターゲティングベクターの種類によって、挿入可能なDNAの長さは一定に制限される。従って、これらを考慮すると、第一のポリヌクレオチド、第二のポリヌクレオチドの長さは、例えば0.5kb−20kb、好ましくは1kb−10kbであり得る。
一態様では、FSP27遺伝子に相同な第一のポリヌクレオチドと、第二のポリヌクレオチドとの間(換言すれば、内側)に選択マーカーが含まれる。この場合、選択マーカーとしては、ポジティブ選択マーカーが好ましい。ポジティブ選択マーカーは、その遺伝子を有する細胞のみを所定の条件下で生存及び/又は増殖可能にする産物をコードする遺伝子であり、例えば、ネオマイシン耐性遺伝子、ハイグロマイシンBホスホトランスフェラーゼ(BPH)遺伝子、ブラスティシジンSデアミナーゼ遺伝子、ピューロマイシン耐性遺伝子などが挙げられる。
別の態様では、FSP27遺伝子に相同な第一のポリヌクレオチドと、第二のポリヌクレオチドとの外側に選択マーカーが含まれる。この場合、選択マーカーとしては、ネガティブ選択マーカーが好ましい。ネガティブ選択マーカーは、非ターゲティング染色体部位に組み込まれたDNA挿入物を有する細胞に対して毒性に作用する遺伝子であり、例えば、単純ヘルペスウイルス(HSV)のチミジンキナーゼ(tk)遺伝子、ジフテリア毒素Aフラグメント(DTA)遺伝子などが挙げられる。
本発明のターゲティング構築物は、ポジティブ選択マーカー、ネガティブ選択マーカーのいずれか一方、好ましくは両方を含むことができる。
本発明のターゲティング構築物の基本骨格となるベクターは特に限定されず、形質転換を行う細胞(例えば、大腸菌)中で自己複製可能なものであればよい。例えば、市販のpBluscript(Stratagene社製)、pZErO 1.1(Invitrogen社)、pGEM−1(Promega社)等が使用可能である。
本発明のターゲティング構築物はまた、2以上のリコンビナーゼ標的配列を含んでいてもよい。2以上のリコンビナーゼ標的配列は、同一または反対の配向性 (orientation) で配置できる。2以上のリコンビナーゼ標的配列は、FSP27遺伝子に相同な第一のポリヌクレオチドと第二のポリヌクレオチドとの間(換言すれば、内側)に配置される。このようなターゲティング構築物は、いわゆるコンディショナルノックアウトを可能にする。
リコンビナーゼ標的配列としては、当該分野で公知の配列、例えば、バクテリオファージP1由来のCre/loxPシステムで用いられるloxP配列、酵母由来のFLP/FRTシステムで用いられるFRT配列を使用できる。
一態様では、2つのリコンビナーゼ標的配列の間(換言すれば、内側)に、FSP27遺伝子を含むゲノムDNA中の部分領域、あるいは当該領域およびポジティブ選択マーカーが配置される。具体的には、リコンビナーゼ標的配列−FSP27遺伝子を含むゲノムDNA中の部分領域(およびポジティブ選択マーカー)−リコンビナーゼ標的配列の様式で、リコンビナーゼ標的配列が配置される。
別の態様では、3つのリコンビナーゼ標的配列の間に、FSP27遺伝子を含むゲノムDNA中の部分領域およびポジティブ選択マーカーが個別に配置される。具体的には、リコンビナーゼ標的配列−FSP27遺伝子を含むゲノムDNA中の部分領域−リコンビナーゼ標的配列−ポジティブ選択マーカー−リコンビナーゼ標的配列の様式で、リコンビナーゼ標的配列が配置される。
2以上のリコンビナーゼ標的配列の間に含まれるゲノムDNA中の部分領域は、リコンビナーゼ作用下での当該領域の欠失により、FSP27遺伝子の機能的欠損がもたらされる領域である。かかる領域は、当業者であれば適宜決定でき、例えば、少なくとも1つのエクソン、あるいはプロモーター領域またはエンハンサー領域を含む領域であり得る。
本発明のターゲティング構築物は、自体公知の方法により製造できる。例えば、本発明のターゲティング構築物は、FSP27遺伝子に相同な第一のポリヌクレオチド及び第二のポリヌクレオチド並びに該選択マーカーをベクターに挿入することにより製造できる。なお、このようなターゲティングベクターを作製するにあたっては、最初に、FSP27遺伝子のゲノムDNA断片を単離する必要があるが、ゲノムDNA断片は、相同組換えの際に効率よく組換えが生じるよう、作製しようとするES細胞が由来する動物種と同一の動物種から単離することが好ましい。また、相同組換えの効率をさらに上げるために、ES細胞が由来する同一種の動物のうち同じ系統の動物から、ゲノムDNAを単離することがより好ましい。
本発明のターゲティング構築物は、例えば、本発明の動物細胞、並びに本発明の動物の作製などに有用である。
本発明の動物、動物細胞、ターゲティング構築物の作製の詳細については、例えば、下記文献を参照のこと。
1.別冊 実験医学 ザ・プロトコールシリーズ 「ジーンターデティングの最新技術」(2000年、羊土社)コンディショナルターゲティング法p.115-120
2.バイオマニュアルシリーズ8 「ジーンターゲティング」−ES細胞を用いた変異マウスの作製(1995年、羊土社)p.71-77
3.Sambrookら, Molecular Cloning: A LABORATORY MANUAL, 第3版, COLD SPRING HARBOR LABORATORY PRESS, 2001年, 4. 82-4.85
4.Nakanoら, Eur. J. Neurosci., 1999 Jul; 11(7): 2577-81
5.Yagiら, Anal. Biochem., 1993; 214: 77-86
6.Robertson E. J. in Teratocarcinomas and embryonic stem cells-a practical approach, ed. Robertson, E. J. (IRL Press, Oxford), 1987: pp.108-112
7.Kondohら, J. Biochem. Biophys. Methods, 1999; 39: 137-142
8.Dynecki, S. M.ら, Gene Targeting -a practical approach, 2nd edition, ed. Joyner, A.L. (Oxford Univ. Press), 2000: pp.68-73
9.Lakso, M.ら, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 1996; 93: 5860-5865
10.Taniguchi, Mら, Nucleic Acids Res., 1998 Jan 15; 26(2): 679-80
11.Dynecki, S. M. ら, Gene Targeting -a practical approach, 2nd edition, ed. Joyner, A. L. (Oxford Univ. Press), 2000: pp.75-81
(分化誘導剤)
本発明はまたFSP27の発現及び/又は活性を調節する物質を含有してなる、脂肪細胞(例えば白色脂肪細胞、褐色脂肪細胞等)の分化誘導剤に関する。
FSP27の発現及び/又は活性を調節する物質を含有してなる脂肪細胞の分化誘導剤として、例えばFSP27の発現及び/又は活性を抑制又は促進する物質等が挙げられる。
FSP27の発現を抑制する物質の好ましい一態様は、FSP27のmRNAもしくは初期転写産物のアンチセンス核酸である。「アンチセンス核酸」とは、標的mRNA(初期転写産物)を発現する細胞の生理的条件下で該標的mRNA(初期転写産物)とハイブリダイズし得る塩基配列からなり、且つハイブリダイズした状態で該標的mRNA(初期転写産物)にコードされるポリペプチドの翻訳を阻害し得る核酸をいう。アンチセンス核酸の種類はDNAであってもRNAであってもよいし、あるいはDNA/RNAキメラであってもよい。また、天然型のアンチセンス核酸は、細胞中に存在する核酸分解酵素によってそのリン酸ジエステル結合が容易に分解されるので、本発明のアンチセンス核酸は、分解酵素に安定なチオリン酸型(リン酸結合のP=OをP=Sに置換)や2’−O−メチル型等の修飾ヌクレオチドを用いて合成もできる。アンチセンス核酸の設計に重要な他の要素として、水溶性及び細胞膜透過性を高めること等が挙げられるが、これらはリポソームやマイクロスフェアを使用する等の剤形の工夫によっても克服できる。
アンチセンス核酸の長さは、FSP27のmRNAもしくは初期転写産物と特異的にハイブリダイズし得る限り特に制限はなく、短いもので約15塩基程度、長いものでmRNA(初期転写産物)の全配列に相補的な配列を含むような配列であってもよい。合成の容易さや抗原性の問題等から、例えば約15塩基以上、好ましくは約15〜約30塩基からなるオリゴヌクレオチドが例示される。
アンチセンス核酸の標的配列は、アンチセンス核酸がハイブリダイズすることにより、FSP27もしくはその機能的断片の翻訳が阻害される配列であれば特に制限はなく、FSP27のmRNAの全配列であっても部分配列であってもよいし、あるいは初期転写産物のイントロン部分であってもよいが、アンチセンス核酸としてオリゴヌクレオチドを使用する場合は、標的配列はFSP27のmRNAの5’末端からコード領域のC末端までに位置することが望ましい。
さらに、アンチセンス核酸は、FSP27のmRNAもしくは初期転写産物とハイブリダイズして翻訳を阻害するだけでなく、二本鎖DNAであるFSP27遺伝子と結合して三重鎖(トリプレックス)を形成し、mRNAへの転写を阻害し得るものであってもよい。
FSP27の発現を抑制する物質の別の好ましい一態様は、FSP27のmRNAもしくは初期転写産物を、コード領域の内部(初期転写産物の場合はイントロン部分を含む)で特異的に切断し得るリボザイムである。「リボザイム」とは核酸を切断する酵素活性を有するRNAをいうが、最近では当該酵素活性部位の塩基配列を有するオリゴDNAも同様に核酸切断活性を有することが明らかになっているので、本発明では配列特異的な核酸切断活性を有する限りDNAをも包含する概念として用いるものとする。リボザイムとして最も汎用性の高いものとしては、ウイロイドやウイルソイド等の感染性RNAに見られるセルフスプライシングRNAがあり、ハンマーヘッド型やヘアピン型等が知られている。また、リボザイムを、それをコードするDNAを含む発現ベクターの形態で使用する場合には、細胞質への移行を促進するために、tRNAを改変した配列をさらに連結したハイブリッドリボザイムとすることもできる[Nucleic Acids Res., 29(13): 2780-2788 (2001)]。
FSP27の発現を抑制する物質のさらに別の態様は、デコイ核酸である。デコイ核酸とは、転写調節因子が結合する領域を模倣する核酸分子をいい、FSP27の発現を抑制する物質としてのデコイ核酸は、FSP27に対する転写活性化因子が結合する領域を模倣する核酸分子であり得る。
デコイ核酸としては、例えば、リン酸ジエステル結合部分の酸素原子を硫黄原子で置換したチオリン酸ジエステル結合を有するオリゴヌクレオチド(S−オリゴ)、又はリン酸ジエステル結合を電荷を持たないメチルホスフェート基で置換したオリゴヌクレオチド等、生体内でオリゴヌクレオチドが分解を受けにくくするために改変したオリゴヌクレオチド等が挙げられる。デコイ核酸は転写活性化因子が結合する領域と完全に一致していてもよいが、FSP27に対する転写活性化因子が結合し得る程度の同一性を保持していればよい。デコイ核酸の長さは転写活性化因子が結合する限り特に制限されない。また、デコイ核酸は、同一領域を反復して含んでいてもよい。
FSP27の発現を抑制する物質のさらに別の一態様は、FSP27のmRNAもしくは初期転写産物のコード領域内の部分配列(初期転写産物の場合はイントロン部分を含む)に相補的な二本鎖オリゴRNA、いわゆるsiRNAである。短い二本鎖RNAを細胞内に導入するとそのRNAに相補的なmRNAが分解される、いわゆるRNA干渉(RNAi)と呼ばれる現象は、以前から線虫、昆虫、植物等で知られていたが、最近、この現象が動物細胞でも起こることが確認されたことから[Nature, 411(6836): 494-498 (2001)]、リボザイムの代替技術として注目されている。siRNAとしては、後述の通り自ら合成したものを使用できるが、市販のものを用いてもよい。
アンチセンスオリゴヌクレオチド及びリボザイムは、FSP27のcDNA配列もしくはゲノミックDNA配列に基づいてmRNAもしくは初期転写産物の標的配列を決定し、市販のDNA/RNA自動合成機(アプライド・バイオシステムズ社、ベックマン社等)を用いて、これに相補的な配列を合成することにより調製できる。デコイ核酸、siRNAは、センス鎖及びアンチセンス鎖をDNA/RNA自動合成機でそれぞれ合成し、適当なアニーリング緩衝液中、約90〜約95℃で約1分程度変性させた後、約30〜約70℃で約1〜約8時間アニーリングさせることにより調製できる。また、相補的なオリゴヌクレオチド鎖を交互にオーバーラップするように合成して、これらをアニーリングさせた後リガーゼでライゲーションすることにより、より長い二本鎖ポリヌクレオチドを調製できる。
FSP27の発現を抑制する物質の他の好ましい態様は、FSP27抗体である。FSP27抗体は、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体のいずれであってもよく、周知の免疫学的手法により作製できる。また、FSP27抗体は、抗体のフラグメント(例えば、Fab、F(ab’)2)、組換え抗体(例えば、単鎖抗体)であってもよい。さらに、FSP27抗体をコードする核酸もまた、FSP27の発現を抑制する物質として好ましい。
例えば、ポリクローナル抗体は、FSP27あるいはそのフラグメント(必要に応じて、ウシ血清アルブミン、KLH(Keyhole Limpet Hemocyanin)等のキャリア蛋白質に架橋した複合体とすることもできる)を抗原として、市販のアジュバント(例えば、完全または不完全フロイントアジュバント)とともに、動物の皮下あるいは腹腔内に2〜3週間おきに2〜4回程度投与し(部分採血した血清の抗体価を公知の抗原抗体反応により測定し、その上昇を確認しておく)、最終免疫から約3〜約10日後に全血を採取して抗血清を精製することにより取得できる。抗原を投与する動物としては、ラット、マウス、ウサギ、ヤギ、モルモット、ハムスター等の哺乳動物が挙げられる。
また、モノクローナル抗体は、細胞融合法(例えば、渡邊武、細胞融合法の原理とモノクローナル抗体の作成、谷内昭、高橋利忠編、「モノクローナル抗体とがん−基礎と臨床−」、第2-14頁、サイエンスフォーラム出版、1985年)により作成することができる。例えば、マウスに該因子を市販のアジュバントと共に2〜4回皮下あるいは腹腔内に投与し、最終投与の約3日後に脾臓あるいはリンパ節を採取し、白血球を採取する。この白血球と骨髄腫細胞(例えば、NS-1, P3X63Ag8等)を細胞融合して該因子に対するモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマを得る。細胞融合はPEG法[J. Immunol. Methods,81(2): 223-228 (1985)]でも電圧パルス法[Hybridoma, 7(6): 627-633 (1988)]であってもよい。所望のモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマは、周知のEIAまたはRIA法等を用いて抗原と特異的に結合する抗体を、培養上清中から検出することにより選択できる。モノクローナル抗体を産生するハイブリドーマの培養は、インビトロ、またはマウスもしくはラット、好ましくはマウス腹水中等のインビボで行うことができ、抗体はそれぞれハイブリドーマの培養上清および動物の腹水から取得できる。
しかしながら、ヒトにおける治療効果と安全性を考慮すると、本発明の抗体は、キメラ抗体、ヒト化又はヒト型抗体であってもよい。キメラ抗体は、例えば「実験医学(臨時増刊号), Vol.6, No.10, 1988」、特公平3-73280号公報等を、ヒト化抗体は、例えば特表平4-506458号公報、特開昭62-296890号公報等を、ヒト抗体は、例えば「Nature Genetics, Vol.15, p.146-156, 1997」、「Nature Genetics, Vol.7, p.13-21, 1994」、特表平4-504365号公報、国際出願公開WO94/25585号公報、「日経サイエンス、6月号、第40〜第50頁、1995年」、「Nature, Vol.368, p.856-859, 1994」、特表平6-500233号公報等を参考にそれぞれ作製することができる。
FSP27の発現を抑制する物質が、アンチセンス核酸等の核酸分子(以下、必要に応じて有効核酸分子ともいう)である場合、本発明の分化誘導剤は、該有効核酸分子をコードする発現ベクターを有効成分とすることもできる。当該発現ベクターでは、例えば、上記の核酸分子をコードするオリゴヌクレオチドもしくはポリヌクレオチドが、投与対象である哺乳動物の脂肪細胞(例えば、白色脂肪細胞)内でプロモーター活性を発揮し得るプロモーターに機能的に連結されている。使用されるプロモーターは、投与対象である哺乳動物の脂肪細胞内で機能し得るものであれば特に制限はないが、例えば、SV40由来初期プロモーター、サイトメガロウイルスLTR、ラウス肉腫ウイルスLTR、MoMuLV由来LTR、アデノウイルス由来初期プロモーター等のウイルスプロモーター、並びにβ−アクチン遺伝子プロモーター、PGK遺伝子プロモーター、トランスフェリン遺伝子プロモーター等の哺乳動物の構成蛋白質遺伝子プロモーター等が挙げられる。また、使用されるプロモーターとしては、脂肪細胞特異的遺伝子(例えば、aP2)のプロモーターも好ましい。
本発明の分化誘導剤は、上記のような脂肪細胞を分化誘導する物質に加え、任意の担体、例えば医薬上許容される担体を含むことができる。
医薬上許容される担体としては、例えば、ショ糖、デンプン、マンニット、ソルビット、乳糖、グルコース、セルロース、タルク、リン酸カルシウム、炭酸カルシウム等の賦形剤、セルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリプロピルピロリドン、ゼラチン、アラビアゴム、ポリエチレングリコール、ショ糖、デンプン等の結合剤、デンプン、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルスターチ、ナトリウム−グリコール−スターチ、炭酸水素ナトリウム、リン酸カルシウム、クエン酸カルシウム等の崩壊剤、ステアリン酸マグネシウム、エアロジル、タルク、ラウリル硫酸ナトリウム等の滑剤、クエン酸、メントール、グリシルリシン・アンモニウム塩、グリシン、オレンジ粉等の芳香剤、安息香酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウム、メチルパラベン、プロピルパラベン等の保存剤、クエン酸、クエン酸ナトリウム、酢酸等の安定剤、メチルセルロース、ポリビニルピロリドン、ステアリン酸アルミニウム等の懸濁剤、界面活性剤等の分散剤、水、生理食塩水、オレンジジュース等の希釈剤、カカオ脂、ポリエチレングリコール、白灯油等のベースワックス等が挙げられるが、それらに限定されるものではない。
経口投与に好適な製剤は、水、生理食塩水、オレンジジュースのような希釈液に有効量の物質を溶解させた液剤、有効量の物質を固体や顆粒として含んでいるカプセル剤、サッシェ剤または錠剤、適当な分散媒中に有効量の物質を懸濁させた懸濁液剤、有効量の物質を溶解させた溶液を適当な分散媒中に分散させ乳化させた乳剤等である。
非経口的な投与(例えば、皮下注射、筋肉注射、局所注入、腹腔内投与等)に好適な製剤としては、水性および非水性の等張な無菌の注射液剤があり、これには抗酸化剤、緩衝液、制菌剤、等張化剤等が含まれていてもよい。また、水性および非水性の無菌の懸濁液剤が挙げられ、これには懸濁剤、可溶化剤、増粘剤、安定化剤、防腐剤等が含まれていてもよい。当該製剤は、アンプルやバイアルのように単位投与量あるいは複数回投与量ずつ容器に封入することができる。また、有効成分および医薬上許容される担体を凍結乾燥し、使用直前に適当な無菌のビヒクルに溶解または懸濁すればよい状態で保存することもできる。
また、本発明の分化誘導剤が非経口的投与される場合には、脂肪細胞(例えば、白色脂肪細胞)への局所投与もまた好ましいので、かかる局所投与に適当な製剤化処理が行われる。
本発明の製剤の投与量は、有効成分の活性や種類、病気の重篤度、投与対象となる動物種、投与対象の薬物受容性、体重、年齢等によって異なり一概に云えないが、例えば、成人1日あたり有効成分量として約0.001〜約500mg/kgであり得る。
本発明の分化誘導剤は、例えば、脂肪細胞の分化誘導用試薬または脂肪細胞が関連する疾患の予防・治療用の医薬として、あるいは脂肪細胞の分化誘導の解析等に有用である。
脂肪細胞が関連する疾患としては、例えば、糖尿病、肥満、高血圧、高脂血症、狭心症、心筋梗塞、脳血管障害(脳梗塞、脳塞栓、脳出血)、脂肪肝、睡眠時無呼吸症候群、脂肪萎縮症(先天性、後天性、抗ウィルス薬によるもの等)、高尿酸血症、痛風、変形性関節症、腰痛症等が挙げられる。
(スクリーニング方法)
本発明はまた、被験物質がFSP27の発現及び/又は活性を調節するか否かを評価することを特徴とする、脂肪細胞(例えば白色脂肪細胞、褐色脂肪細胞等)を分化誘導し得る物質のスクリーニング方法、並びに当該方法により得られうる物質に関する。
本発明のスクリーニング方法に供される被験物質は、いかなる公知化合物及び新規化合物であってもよく、例えば、核酸、糖質、脂質、蛋白質、ペプチド、有機低分子化合物、コンビナトリアルケミストリー技術を用いて作製された化合物ライブラリー、固相合成やファージディスプレイ法により作製されたランダムペプチドライブラリー、あるいは微生物、動植物、海洋生物等由来の天然成分等が挙げられる。
被験物質がFSP27の発現を調節(例えば、抑制又は促進)するか否かを評価するスクリーニング方法は、例えば、以下の工程(a)、(b)及び(c)を含む:
(a)被験物質を、FSP27の発現を測定可能な細胞に接触させる工程;
(b)被験物質を接触させた細胞におけるFSP27の発現量を測定し、該発現量を対照細胞におけるFSP27の発現量と比較する工程;
(c)上記(b)の比較結果に基づいて、FSP27の発現量を調節する被験物質を選択する工程。
「発現を測定可能な細胞」とは、測定対象のmRNA又は蛋白質の発現レベルを直接的又は間接的に評価可能な細胞をいう。測定対象のmRNA又は蛋白質の発現レベルを直接的に評価可能な細胞としては、測定対象を天然で発現可能な細胞が挙げられ、一方、測定対象のmRNA又は蛋白質の発現レベルを間接的に評価可能な細胞としては、測定対象の転写調節領域についてレポーターアッセイを可能とする細胞が挙げられる。
測定対象、即ちFSP27を天然で発現可能な細胞は、FSP27 mRNAを潜在的に発現するものである限り特に限定されず、FSP27を恒常的に発現している細胞、FSP27を誘導条件下(例えば、薬物での処理)で発現する細胞等であり得る。また、当該細胞として、初代培養細胞、当該初代培養細胞から誘導された細胞株、市販の細胞株、セルバンクより入手可能な細胞株等を用いることができる。
測定対象、即ちFSP27の転写調節領域についてレポーターアッセイを可能とする細胞は、FSP27の転写調節領域、当該領域に機能可能に連結されたレポーター遺伝子を含む細胞である。FSP27の転写調節領域、レポーター遺伝子は、好ましくは、複製可能なベクター中に挿入されている。
FSP27の転写調節領域は、FSP27の発現を制御している領域である限り特に限定されないが、例えば、転写開始点から上流約2kbpの塩基配列からなるDNA等のDNA、あるいは当該DNAの塩基配列において1以上の塩基が欠失、置換若しくは付加された塩基配列からなり、FSP27の転写を制御する能力を有するDNA等を挙げることができる。
レポーター遺伝子は、検出可能な蛋白又は酵素をコードする遺伝子であればよく、例えばGFP(緑色蛍光蛋白質)遺伝子、GUS(β−グルクロニダーゼ)遺伝子、LUS(ルシフェラーゼ)遺伝子、CAT(クロラムフェニコルアセチルトランスフェラーゼ)遺伝子等が挙げられる。
FSP27の転写調節領域、当該領域に機能可能に連結されたレポーター遺伝子が導入される細胞は、FSP27の転写調節機能を評価できる限り、即ち、該レポーター遺伝子の発現量が定量的に解析可能である限り特に限定されない。しかしながら、FSP27に対する生理的な転写調節因子を発現し、FSP27の発現調節の評価により適切であると考えられることから、該導入される細胞としては、脂肪細胞(例えば、白色脂肪細胞)が好ましい。
被験物質と脂肪細胞の前駆細胞との接触は、培養培地中で行われる。培養培地は、FSP27の発現を測定可能な細胞に応じて適宜選択されるが、例えば、約5〜20%のウシ胎仔血清を含む最少必須培地(MEM)、ダルベッコ改変最少必須培地(DMEM)、RPMI1640培地、199培地等である。培養条件も同様に適宜決定されるが、例えば、培地のpHは約6〜約8であり、培養温度は通常約30〜約40℃であり、培養時間は約12〜約72時間である。
FSP27を天然で発現可能な細胞を用いた場合、発現量の測定は、mRNA又は蛋白質を対象として行なわれる。mRNAの発現量は、例えば、細胞からtotal RNAを調製し、RT−PCR、ノザンブロッティング等により測定される。蛋白質の発現量は、例えば、細胞から抽出液を調製し、免疫学的手法により測定することができる。免疫学的手法としては、放射性同位元素免疫測定法(RIA法)、ELISA法(Methods in Enzymol. 70: 419-439 (1980))、蛍光抗体法等を用いることができる。また、レポーター遺伝子を含む細胞が用いられた場合、発現量は、レポーター遺伝子のシグナル強度に基づき測定される。
発現量の比較は、例えば、有意差の有無に基づいて行なわれ得る。なお、被験物質を接触させない対照細胞におけるFSP27の発現量は、被験物質を接触させた細胞におけるFSP27の発現量の測定に対し、事前に測定した発現量であっても、同時に測定した発現量であってもよいが、実験の精度、再現性の観点から同時に測定した発現量であることが好ましい。
また、被験物質がFSP27の発現を調節(例えば、抑制又は促進)するか否かを評価するスクリーニング方法は、非ヒト動物を用いて行うこともできる。具体的には、被験物質を動物に投与し、該動物におけるFSP27の発現量及び/又はFSP27の発現の変動に伴う脂肪細胞の形質変化を、対照動物のものと比較する。次いで、その比較結果に基づき、FSP27の発現量を抑制する被験物質を選択する。ここで対照動物は、例えば、被験物質が投与されていない動物、被験物質が投与されたFSP27の機能的欠損を含む動物、被験物質が投与されたFSP27の機能的欠損を含む動物であり得る。動物の種類、FSP27の発現の変動に伴う脂肪細胞の形質変化は、上述の通りである。
被験物質がFSP27の活性を調節するか否かを評価するスクリーニング方法は、例えば、以下の工程(a)、(b)及び(c)を含む:
(a)被験物質を、FSP27に接触させる工程;
(b)上記(a)の工程に起因して生じるFSP27の活性を測定し、該結合活性を被験物質を接触させない場合のFSP27の活性と比較する工程;
(c)上記(b)の比較結果に基づいて、FSP27の活性の調節をもたらす被験物質を選択する工程。
一態様では、FSP27の活性は、例えば、FSP27の結合活性であり得る。
FSP27の結合活性は、当該分野で周知の種々の方法により測定し得る。このような方法の第一の態様は、表面プラズモン共鳴による方法である。例えば、FSP27をチップ上に固定し、該チップ上に被験物質を含む溶液をロードし、FSP27に被験物質を接触させる(工程(a)に対応)。次いで、表面プラズモン共鳴法により、FSP27に対する被験物質の結合及び解離を測定し、被験物質を含まない溶液をロードした場合の結合及び解離と比較する(工程(b)に対応)。そして、結合及び解離の速度あるいは結合量についての比較結果に基づいて、FSP27の結合活性を調節する物質が選択される(工程(c)に対応)。
上記FSP27の結合活性を測定する方法の第二の態様は、バインディングアッセイである。例えば、適切な放射性同位体又は蛍光物質で標識された被験物質にFSP27を接触させる(工程(a)に対応)。次いで、FSP27に対する抗体を用いて、FSP27に結合していない被験物質から、FSP27及びそれに結合した被験物質を分離し、放射性同位体又は蛍光物質から発するシグナルの強度に基づき、被験物質に対するFSP27の結合を測定し、被験物質の非存在下でのシグナル強度と比較する(工程(b)に対応)。そして、シグナル強度についての比較結果に基づいて、FSP27の結合活性を調節する物質が選択される(工程(c)に対応)。
また、被験物質がFSP27の活性を調節するか否かを評価するスクリーニング方法の別の例として、FSP27活性に関連する細胞内現象を指標とする方法が挙げられる。例えば、被験物質をFSP27を発現している細胞に接触させ、接触により生じるFSP27活性に関連する細胞内現象を測定し、該現象を対照細胞の細胞内現象と比較する。次いで、該比較結果に基づいて、FSP27の活性の調節をもたらす被験物質を選択する。ここで対照細胞は、例えば、被験物質が接触されていない細胞、被験物質が接触されたFSP27遺伝子の機能的欠損を含む細胞、被験物質が接触されていないFSP27遺伝子の機能的欠損を含む細胞であり得る。FSP27活性に関連する細胞内現象は、正常細胞、FSP27遺伝子の機能的欠損を含む細胞の形質を比較することで容易に決定でき、例えば、イノシトールリン脂質の産生、細胞内pH変動、G蛋白質の活性化、細胞内カルシウムイオン動態であり得る。
活性の比較は、例えば、有意差の有無に基づいて行なわれ得る。なお、被験物質を接触させない場合におけるFSP27の活性は、被験物質を接触させた場合におけるFSP27の活性の測定に対し、事前に測定した活性であっても、同時に測定した活性であってもよいが、実験の精度、再現性の観点から同時に測定した活性であることが好ましい。
本発明のスクリーニング方法は、脂肪細胞の分化誘導用試薬または脂肪細胞が関連する疾患(上述)の予防・治療用の医薬の開発等に有用である。
以下に実施例を挙げて、本発明をさらに具体的に説明するが、これは単なる例示であって本発明の範囲を何ら限定するものではない。
実施例1:FSP27ノックアウトマウスの作製及び解析
(1)ターゲティングベクターの構築
マウスFSP27の全長cDNAをプローブとして、RPCI-22 129 MOUSEBAC LIBRARY High Density Replica Filters(Children’s Hospital Oakland Research Institute)をスクリーニングし、翻訳開始コドンATGをコードしたエクソン(図1のエクソン2)を含むFSP27遺伝子をクローニングした。この開始コドンを含むエクソンをネオマイシン耐性遺伝子で置換し、その前に7.5kbの相同断片である長腕と後に1.1kbの相同断片である短腕を配し、ジフテリア毒素A遺伝子を含んだプラスミド(pBluescript−DT−Aベクター)にサブクローニングしてターゲティングベクターとした(図1)。
(2)FSP27ホモノックアウトマウスの作成
相同組換えES細胞を得るため、ターゲティングベクターを制限酵素NotIで直線化し、ES細胞(EB3/5)にエレクトロポレーション法にて導入した。同細胞をネオマイシン含有培地で培養し、144クローンのネオマイシン耐性ES細胞クローンを得た。この細胞から抽出した遺伝子DNAを制限酵素EcoRVで消化し、外側プローブを用いてサザンブロット法を行い(図1、プローブ1とプローブ2)、3クローンの相同組換えES細胞を獲得した。なお、プローブ1によるブロットでは、野生型が15kbのバンドが出るのに対し、相同組換えをおこしたものでは10.5kbのバンドが認められ、プローブ2によるブロットでは野生型の15kbのバンドに対し、相同組換えをおこしたもので3.7kbのバンドが認められる。
この3系統の相同組み換えES細胞をblastocyst(C57BL6NxC57BL6N)にインジェクションし、これを偽妊娠雌マウスの子宮に移植して2系統のキメラマウスを得た。このキメラマウスをC57BL6/Jマウスと交配させヘテロノックアウトマウスを得た。さらにヘテロノックアウトマウス同士の交配により、FSP27遺伝子を完全に欠失したホモノックアウトマウスを作製した。
作製したホモノックアウトマウスを用いて、脂肪組織の観察及び脂肪組織量の定量、脂肪組織の組織学的検討、並びに遺伝子発現の検討を行った。
(3)脂肪組織の観察及び脂肪組織量の定量
傍生殖器周囲脂肪組織、皮下脂肪組織および褐色脂肪組織を、野生型及びFSP27ホモノックアウトマウス(12週齢)から採取した。採取した脂肪組織の重量を測定し、体重あたりの脂肪組織重量を定量化した。
外観上、ホモノックアウトマウスは明らかな異常を呈さなかったが、白色脂肪組織は雄雌とも傍生殖器周囲脂肪組織で著明に減少し、皮下脂肪組織も軽度減少していた(図2)。褐色脂肪組織には外観上、有意な変化を認めなかった。
(4)脂肪組織の組織学的検討
傍生殖器周囲脂肪組織、皮下脂肪組織および褐色脂肪組織を、野生型及びFSP27ホモノックアウトマウス(12週齢)から採取した。採取した組織をホルマリンで固定後、ヘマトキシリン・エオジン染色し、顕微鏡下で観察した。
白色脂肪組織において、傍生殖器周囲組織および皮下脂肪組織とも細胞径の小型化や多房性の中性脂肪蓄積構造等、褐色脂肪細胞に特徴的な組織学的変化を来していた(図3)。ホモノックアウトマウスの褐色脂肪組織は野生型に比し逆に中性脂肪滴の蓄積が増加していた(図3)。
(5)遺伝子発現の検討
野生型及びFSP27ホモノックアウトマウスの白色脂肪細胞よりRNAを抽出し、各種蛋白の遺伝子発現をノザンブロットにて検討した。
ホモノックアウトマウスは野生型に比し、PPARγ、C/EBPα、SREBP1といった脂肪細胞の分化を促進する転写因子群に加えて、aP2、アディポネクチン(adiponectin)、GLUT4等脂肪細胞に特徴的な遺伝子の発現増加が認められた。さらに、褐色脂肪組織で発現の多いβ3−アドレナリン作動性受容体(β3−adrenergic receptor)の発現がホモノックアウトマウスの白色脂肪組織で野生型に比べ大きく増加していた。またUCP−1、CIDE−Aといった本来、褐色脂肪細胞に特異的に発現している蛋白がホモノックアウトマウスの白色脂肪組織においても発現していた。(図4)。
以上の結果より、FSP27ホモノックアウトマウスは脂肪細胞の分化を促進する転写因子の発現が増加しているにもかかわらず白色脂肪組織重量が減少しているうえ、形態学的にも遺伝子発現様式においても白色脂肪細胞の褐色脂肪細胞化が認められた。
本来、白色脂肪細胞は余剰なエネルギーを中性脂肪として蓄える臓器である。いっぽう、褐色脂肪細胞は熱産生反応を行うことによって自律性の体温調節とエネルギー調節を行う臓器である。近年、脂肪細胞の分化機構が分子レベルで明らかになってきたが、同じ脂肪細胞であっても機能が大きく異なる白色脂肪細胞と褐色脂肪細胞の分化方向を規定する因子や機構は未だ不明なままである。さらにエネルギーを蓄積する白色脂肪細胞がこのような熱産生機能を有する褐色脂肪細胞様の変化をきたす場合、個体レベルでエネルギー代謝が増強され、肥満や2型糖尿病が改善することが予測される。つまり、今回作成に成功したFSP27ノックアウトマウスは白色脂肪細胞と褐色脂肪細胞の分化機構を検討する格好の研究対象としてのみならず、エネルギー消費を亢進させ、肥満やひいては糖尿病の治療を研究する上で重要なモデルマウスになると考えられる。
実施例2:FSP27の活性を調節し得る物質の、Biacore(登録商標)によるスクリーニング
既報[Anal Biochem. 1998; 265 (2):340-50]に従う一般的な方法によりBiacore(登録商標)を用いる。既報[WO99/58692、WO00/26374]に従い、組換えFSP27蛋白を調製する。組換えFSP27(例えば1〜10μg)を10mMの酢酸バッファー(pH 4)に溶解し、Biacore(登録商標)のセンサーチップCM5の表面のマトリックスにカルボキシル基を介して固定化する。HBSバッファー(アマシャム ファルマシア バイオテク株式会社製)をセンサーチップに20μl/分の流速で流し、バックグラウンドの値を記録する。途中から10nM〜10μMの被験物質を含有するHBSバッファーに切り替えて1分間流し、被験物質の結合に伴う値の変化を記録する。次いで、被験物質を含有しないHBSバッファーに切り替え、被験物質の不在下での値の変化を記録する。結合と解離の速度、あるいは最大結合量から、FSP27を調節する被験物質を選択する。
本発明の非ヒトトランスジェニック動物、及び動物細胞は、FSP27および脂肪細胞の分化誘導機構の解析などを可能とし、また、本発明のターゲティング構築物は、本発明の非ヒトトランスジェニック動物および動物細胞の作製などを可能とする。本発明の分化誘導剤は、脂肪細胞の分化誘導を、または脂肪細胞が関連する疾患の予防・治療を可能とする。本発明のスクリーニング方法は、脂肪細胞の分化誘導用試薬、または脂肪細胞が関連する疾患に対する医薬の開発などを可能とする。
FSP27遺伝子ノックアウトマウスの作製法を示す図である。E: EcoRV、N: NotI、neo:ネオマイシン耐性遺伝子、DT−A:ジフテリア毒素A遺伝子 野生型およびFSP27ホモノックアウトマウスの脂肪組織を示す図である。(A) は、野生型およびFSP27ホモノックアウトマウスの傍生殖器周囲脂肪組織の外観を示す図である。(B) は、野生型およびFSP27ホモノックアウトマウスの傍生殖器周囲脂肪組織と皮下脂肪組織量の定量を表すグラフである。+/+:野生型マウス、−/−:FSP27ホモノックアウトマウス、n=4−8 野生型およびFSP27ホモノックアウトマウスの脂肪組織のヘマトキシリン・エオジン染色を示す図である。図中スケールバー:10μm ノザンブロットによる白色脂肪組織における各種蛋白の遺伝子発現を示す図である。28S:28SリボゾームRNAのエチジウムブロマイド染色、β3−AR:β3−アドレナリン作動性受容体、FAS:脂肪酸合成酵素、+/+:野生型マウス、−/−:FSP27ホモノックアウトマウス

Claims (19)

  1. FSP27遺伝子の機能的欠損を含む非ヒトトランスジェニック動物。
  2. 白色脂肪組織重量が減少している、請求項1記載の非ヒトトランスジェニック動物。
  3. 白色脂肪細胞が褐色脂肪細胞化している、請求項1記載の非ヒトトランスジェニック動物。
  4. 以下の工程を含む、FSP27遺伝子の機能的欠損を含む非ヒトキメラ動物の製造方法:
    (工程1)FSP27遺伝子の機能的欠損を含む胚性幹細胞を提供する工程;
    (工程2)該細胞を宿主胚に導入し、キメラ胚を得る工程;
    (工程3)該キメラ胚を非ヒト宿主動物の子宮に移入し、キメラ動物を得る工程。
  5. 以下の工程を含む、FSP27遺伝子の機能的欠損を含む非ヒトトランスジェニック動物の製造方法:
    (工程1)FSP27遺伝子の機能的欠損を含む胚性幹細胞を提供する工程;
    (工程2)該細胞を宿主胚に導入し、キメラ胚を得る工程;
    (工程3)該キメラ胚を非ヒト宿主動物の子宮に移入し、キメラ動物を得る工程;
    (工程4)該キメラ動物を交配させ、FSP27遺伝子欠損ヘテロ接合体を得る工程。
  6. ヘテロ接合体を交配させ、FSP27遺伝子欠損ホモ接合体を得る工程をさらに含む、請求項5記載の製造方法。
  7. FSP27遺伝子の機能的欠損を含む動物細胞。
  8. 胚性幹細胞である、請求項7記載の動物細胞。
  9. FSP27遺伝子の機能的欠損を含む非ヒトトランスジェニック動物に由来する細胞である、請求項7記載の動物細胞。
  10. 脂肪細胞に由来する細胞である、請求項7又は9記載の動物細胞。
  11. 褐色脂肪細胞化した白色脂肪細胞である、請求項9記載の動物細胞。
  12. 以下の工程を含む、FSP27遺伝子の機能的欠損を含む動物細胞の製造方法:
    (工程1)FSP27遺伝子の相同組換えを誘導し得るターゲティング構築物を提供する工程;
    (工程2)該ターゲティング構築物を動物細胞に導入する工程;
    (工程3)該ターゲティング構築物を導入した細胞のうち、相同組換えをおこした細胞を選別する工程。
  13. FSP27遺伝子の機能的欠損を含む非ヒトトランスジェニック動物から細胞を単離する工程を含む、FSP27遺伝子の機能的欠損を含む動物細胞の製造方法。
  14. FSP27遺伝子に相同な第一のポリヌクレオチド及び第二のポリヌクレオチド、並びに選択マーカーを含む、FSP27遺伝子の相同組換えを誘導し得るターゲティング構築物。
  15. FSP27遺伝子に相同な第一のポリヌクレオチド及び第二のポリヌクレオチド並びに該選択マーカーをベクターに挿入することを含む、FSP27遺伝子の相同組換えを誘導し得るターゲティング構築物の製造方法。
  16. FSP27の発現及び/又は活性を調節する物質を含有してなる、脂肪細胞の分化誘導剤。
  17. FSP27の発現及び/又は活性を調節する物質が、FSP27の発現及び/又は活性を抑制する物質である、請求項16記載の剤。
  18. FSP27の発現及び/又は活性を抑制する物質が、以下(i)、(ii)、(iii)のいずれかである請求項17の剤:
    (i)FSP27アンチセンス核酸、FSP27リボザイム、FSP27デコイ核酸、及びFSP27siRNAからなる群より選ばれるFSP27の発現を抑制する物質;
    (ii)ドミナントネガティブ変異体、当該変異体をコードする核酸、FSP27抗体、及びFSP27抗体をコードする核酸からなる群より選ばれるFSP27の活性を抑制する物質;あるいは
    (iii)(i)、(ii)のいずれかの核酸を含む発現ベクター。
  19. 被験物質がFSP27の発現及び/または活性を調節するか否かを評価することを特徴とする、脂肪細胞を分化誘導し得る物質のスクリーニング方法。
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