JP2012124067A - リチウムイオン電池用外装材 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】耐酸性付与層12A、第3接着層18、基材層11、第1接着層13、アルミニウム箔層14、腐食防止処理層15、第2接着層16、シーラント層17が順次積層され、耐酸性付与層12Aの厚みAと基材層11の厚みBの比(A/B)が0.04〜0.8であり、耐酸性付与層12Aの外側の表面の静摩擦係数が0.25以下であり、シーラント層17の外側の表面の静摩擦係数が0.50以下であるリチウムイオン電池用外装材1。
【選択図】図1
Description
リチウムイオン電池の電解液は、炭酸プロピレン、炭酸エチレン、炭酸ジメチル、炭酸ジエチル、炭酸エチルメチルなどの非プロトン性の溶媒と電解質から構成される。また、電解質であるリチウム塩としてはLiPF6、LiBF4などの塩が用いられる。しかし、これらの塩は水分による加水分解反応によりフッ酸を発生するため、電池セルの金属面の腐食や多層フィルムの各層間のラミネート強度の低下を引き起こすことがある。アルミラミネートタイプのリチウムイオン電池では、外装材である多層フィルムにアルミニウム箔層が設けられることで、多層フィルムの表面から電池内に水分が浸入することを防止している。
一方、近年、リチウムイオン電池にはより多くのエネルギーが求められるようになり、複数のリチウムイオン電池を直列に接続して一つの電池パックとして使用する用途が増えている。この場合、一つの外装材の多層フィルムが破損すると、漏れ出した電解液が隣りの電池の外装材に付着するおそれがある。しかし、ナイロンフィルムは電解液耐性、特に耐酸性が不充分であり、このような複数の電池を直列に接続する用途では信頼性が不充分である。
[1]基材層の一方の面に最外層として耐酸性付与層が設けられ、該基材層の他方の面に、第1接着層、少なくとも片面に腐食防止処理層を設けたアルミニウム箔層、第2接着層、シーラント層が順次積層されたリチウムイオン電池用外装材であって、
前記耐酸性付与層の厚みA(μm)と前記基材層の厚みB(μm)との比(A/B)が0.04〜0.8であり、
前記耐酸性付与層の外側の表面の静摩擦係数が0.25以下であり、
前記シーラント層の外側の表面の静摩擦係数が0.50以下であることを特徴とするリチウムイオン電池用外装材。
[2]前記基材層が延伸ポリアミドフィルム基材からなり、前記耐酸性付与層が延伸ポリエステルフィルム基材からなり、それら基材層と耐酸性付与層が第3接着層を介して積層されている、[1]に記載のリチウムイオン電池用外装材。
[3]前記基材層が延伸ポリアミドフィルム基材からなり、
前記耐酸性付与層が、前記基材層上に設けられた、ポリ塩化ビニリデン、ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂およびアクリル樹脂からなる群から選ばれる1種以上を含むコーティング層であり、
該耐酸性付与層の厚みが1〜20μmである、[1]に記載のリチウムイオン電池用外装材。
[4]前記アルミニウム箔層が、アルミニウム−鉄系合金からなり、厚みが20〜60μmである、[1]〜[3]のいずれか一項に記載のリチウムイオン電池用外装材。
以下、本発明の外装材の一例を示して詳細に説明する。
本実施形態の外装材1は、図1に示すように、基材層11の一方の面に、第3接着層18を介して耐酸性付与層12Aが積層され、基材層11の他方の面に、第1接着層13、アルミニウム箔層14、腐食防止処理層15、第2接着層16およびシーラント層17が順次積層された外装材である。
外装材1を使用して電池を形成する際は、シーラント層17側を内側にして深絞り成形して凹部を形成し、該凹部内に電池内容物を収納した状態で周縁部をヒートシールして密封することでリチウムイオン電池とする。
基材層11は、リチウムイオン電池を製造する際のシール工程における耐熱性を付与し、加工や流通の際に起こりうるピンホールの発生を抑制する役割を果たす。
基材層11としては、成形性の点から、ポリアミドフィルム、ポリエステルフィルムの延伸または未延伸フィルムからなる層が好ましい。なかでも、成形性、耐熱性を向上させる点から、延伸ポリアミドフィルム、延伸ポリエステルフィルムからなる層がより好ましく、延伸ナイロンフィルムからなる層がさらに好ましい。
基材層11は、単層であってもよく、複数層であってもよい。
耐酸性付与層12Aは、外装材1の基材層11側に電解液耐性、特に耐酸性を付与する役割を果たす樹脂層である。
耐酸性付与層12Aとしては、例えば、ポリエステルフィルムの延伸または無延伸フィルムが挙げられる。なかでも、耐酸性および成形性を向上させる点から、延伸ポリエステルフィルムが好ましく、二軸延伸ポリエステルフィルムがより好ましい。
スリップ剤としては、例えば、オレイン酸アミド、エルカ酸アミド、ステアリン酸アミド、ベヘニン酸アミド、エチレンビスオレイン酸アミド、エチレンビスエルカ酸アミドなどの脂肪酸アミドが挙げられる。
アンチブロッキング剤としては、シリカなどの各種フィラー系のアンチブロッキング剤が好ましい。
スリップ剤、アンチブロッキング剤などの添加剤は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
前記比(A/B)は、0.04〜0.8が好ましく、0.08〜0.48がより好ましい。
第3接着層18は、基材層11と耐酸性付与層12Aとを接着する役割を果たす。
例えば雄型と雌型とを用いたプレス成形によって外装材1を深絞り成形する際、基材層11と耐酸性付与層12A間の第3接着層18にせん断力が加わる。そのため、深絞り成形時に基材層11と耐酸性付与層12Aとの間にデラミネーションを発生させないようにするため、第3接着層18は、基材層11および耐酸性付与層12Aと高い密着力を有し、かつ高せんだん強度を有していることが求められる。
前記ポリウレタン系接着剤は、塗布後、例えば40℃で4日以上のエージングを行うことで、主剤の水酸基と硬化剤のイソシアネート基の反応が進行し、基材層11と耐酸性付与層12を強固に接着する。主剤が有する水酸基に対する硬化剤が有するイソシアネート基のモル比(NCO/OH)は、1〜10が好ましく、2〜5がより好ましい。
以上のような形態の第3接着層18とすることで、ラミネートなどの加工が容易で、かつ成形時のデラミネーション耐性が向上し、成形性に優れた外装材1をより高い生産性で製造できる。
第1接着層13は、基材層11とアルミニウム箔層14を接着する層である。
第1接着層13を構成する接着剤としては、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、アクリルポリオールなどの主剤に、硬化剤として芳香族系や脂肪族系の2官能以上のイソシアネート化合物を作用させた2液硬化型のポリウレタン系接着剤が好ましい。
第1接着層13を構成する前記ポリウレタン系接着剤は、塗布後、例えば40℃で4日以上のエージングを行うことで、主剤の水酸基と硬化剤のイソシアネート基の反応が進行し、基材層11とアルミニウム箔層14を強固に接着する。主剤が有する水酸基に対する硬化剤が有するイソシアネート基のモル比(NCO/OH)は、1〜10が好ましく、2〜5がより好ましい。
アルミニウム箔層14としては、一般の軟質アルミニウム箔を用いることができる。アルミニウム箔は、軽量で展延性に富み、成形およびラミネートなどの加工性に優れると共に、水蒸気その他のバリア性にも優れ、さらに、汎用性金属箔として比較的安価で経済性にも優れている。アルミニウム箔層14としては、耐ピンホール性、および成形時の延展性を付与できる点から、アルミニウム−鉄系合金からなる層、つまり鉄を含むアルミニウム箔を用いた層が好ましい。
腐食防止処理層15は、アルミニウム箔層14の電解液あるいはフッ酸による腐食を防止することと、アルミニウム箔層14と第2接着層16の接着強度を高めることを目的として設けられる層である。つまり、腐食防止処理層15により、アルミニウム箔層14と第2接着層16とのデラミネーションが防止できる。また、たとえリチウム塩が加水分解されてフッ化水素が発生しても、該フッ化水素によってアルミニウム箔層14表面が溶解および腐食すること、特にアルミニウム箔層14表面に存在する酸化アルミニウムが溶解および腐食することを防止できる。さらに、アルミニウム箔層14表面の接着性(濡れ性)を向上させることができる。
腐食防止処理層15の厚みは、塗工適性、対刷性、加工性の点から、0.02〜1μmが好ましく、0.05〜0.5μmがより好ましい。
第2接着層16は、接着剤または接着性樹脂を含有する層である。つまり、第2接着層16としては、ドライラミネート用の接着剤により形成する接着剤層(ドライラミネート構成)、または熱可塑性材料である接着樹脂により形成する接着樹脂層(熱ラミネート構成)が挙げられる。
第2接着層16を構成するドライラミネート用の接着剤は、塗布後、例えば40℃で4日以上のエージングを行うことで、主剤の水酸基と硬化剤のイソシアネート基の反応が進行し、腐食防止処理層15とシーラント層17を強固に接着する。主剤が有する水酸基に対する硬化剤が有するイソシアネート基のモル比(NCO/OH)は、1〜10が好ましく、2〜5がより好ましい。
ドライラミネート用の接着剤により形成する第2接着層16の厚みは、接着強度、追随性、加工性などの点から、1〜10μmが好ましく、3〜7μmがより好ましい。
また、熱可塑性材料である接着樹脂としては、前記酸変性ポリオレフィン樹脂にスチレン系エラストマー樹脂を添加した樹脂がより好ましく、無水マレイン酸でグラフト変性した無水マレイン酸変性ポリオレフィン樹脂にスチレン系エラストマー樹脂を添加した樹脂がさらに好ましい。
シーラント層17は、第2接着層16を介して、腐食防止処理層15を形成したアルミニウム箔層14と貼り合わされ、外装材1においてヒートシールによる封止性を付与する層である。
シーラント層17としては、例えば、ポリオレフィン樹脂、ポリオレフィン樹脂に無水マレイン酸などをグラフト変性させた酸変性ポリオレフィン樹脂からなるフィルムが挙げられる。
ポリオレフィン樹脂としては、例えば、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、エチレン−αオレフィン共重合体、ホモ、ブロックまたはランダムポリプロピレン、プロピレン−αオレフィン共重合体などが挙げられる。
ポリオレフィン樹脂、酸変性ポリオレフィン樹脂は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
また、シーラント層17は、難燃剤、スリップ剤、アンチブロッキング剤、酸化防止剤、光安定剤、粘着付与剤などの各種添加剤を配合してもよい。
シーラント層17の厚みは、10〜100μmが好ましく、20〜50μmがより好ましい。
なお、本発明における静摩擦係数は、JIS−K 7125に規定された「プラスチックフィルム及びシートの摩擦係数試験方法」に準拠して測定した値である。
以下、本発明の外装材の他の形態について説明する。
本実施形態の外装材2は、図2に示すように、基材層11の一方の面に耐酸性付与層12Bが積層され、基材層11の他方の面に、第1接着層13、アルミニウム箔層14、腐食防止処理層15、第2接着層16およびシーラント層17が順次積層された外装材である。外装材2は、基材層11と耐酸性付与層12Bの積層形態が異なる以外は、外装材1と同じである。外装材2における外装材1と同じ部分には同符号を付して説明を省略する。
外装材2を使用して電池を形成する際は、シーラント層17側を内側にして深絞り成形して凹部を形成し、該凹部内に電池内容物を収納した状態で周縁部をヒートシールして密封することでリチウムイオン電池とする。
外装材2における耐酸性付与層12Bは、コーティング手法により基材層11上に形成したコーティング層であり、外装材1の基材層11側に電解液耐性、特に耐酸性を付与する役割を果たす層である。
耐酸性付与層12Bを構成する成分としては、例えば、ポリ塩化ビニリデン、塩化ビニリデン−塩化ビニル共重合体、無水マレイン酸変性ポリプロピレン、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、フッ素樹脂、セルロースエステル、ウレタン樹脂、アクリル樹脂が挙げられる。なかでも、電解液耐性、耐酸性、成形性を向上させる点から、ポリ塩化ビニリデン、ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂およびアクリル樹脂からなる群から選ばれる1種以上が好ましく、ポリ塩化ビニリデンが特に好ましい。
耐酸性付与層12Bの厚みは、耐ピンホール性、成形性の点から、1〜20μmが好ましく、1〜5μmがより好ましい。耐酸性付与層12Bの厚みが1μm以上であれば、深絞り成形の際に耐酸性付与層12Bにクラックが発生することを抑制しやすく、また電解液耐性、耐酸性が向上する。また、耐酸性付与層12Bの厚みが20μm以下であれば、加工性が向上する。
前記比(A/B)は、0.04〜0.8が好ましく、0.08〜0.48がより好ましい。
なお、本発明の外装材は、前述した外装材1、2には限定されない。例えば、第1接着層とアルミニウム箔層の密着強度を高める目的で、アルミニウム箔層の基材層側にも腐食防止処理層を設けてもよい。
以下、本発明の外装材の製造方法の一例として、外装材1、2の製造方法について説明する。ただし、外装材1、2の製造方法は、工程(II)以外は同じである。
外装材1、2の製造方法としては、例えば、下記工程(I)〜(V)を有する方法が挙げられる。
(I)アルミニウム箔層14上に、腐食防止処理層15を形成する工程。
(II)基材層11の一方の面側に耐酸性付与層12Aまたは耐酸性付与層12Bを設ける工程。
(III)腐食防止処理層15を形成したアルミニウム箔層14と、耐酸性付与層12A(12B)を設けた基材層11を、第1接着層13を介して貼り合わせる工程。
(IV)アルミニウム箔層14の腐食防止処理層15側に、第2接着層16を介してシーラント層17を貼り合わせる工程。
(V)耐酸性付与層12A(12B)の外側の表面と、シーラント層17の外側の表面に、スリップ剤およびアンチブロッキング剤の少なくとも一方を塗布する工程。
例えば、アルミニウム箔層14の一方の面に、腐食防止性能を有する処理剤を塗布することで、腐食防止処理層15を形成する。処理剤の塗布後は、乾燥ユニットにおいて150〜200℃で焼き付け処理を施すことが好ましい。
腐食防止性能を有する処理剤の塗布法としては、グラビアコート、リバースコート、ロールコート、バーコートなど、各種方法を採用できる。
外装材1の場合、基材層11と耐酸性付与層12Aとを、ドライラミネート法、または押し出しラミネート法により、第3接着層18を介して貼り合わせる。ドライラミネート法の場合は、第3接着層18を構成する成分として、前述したドライラミネート用の接着剤を使用する。押出しラミネート法の場合は、第3接着層18を構成する成分として、前述した熱可塑性材料である接着樹脂を使用する。
コーティング手法としては、例えば、グラビア、ダイ、リップなど各種コーターによるウェットプロセス;スパッタリング、蒸着、化学気相成長法(CVD)などのドライプロセスが挙げられる。
腐食防止処理層15を形成したアルミニウム箔層14と、耐酸性付与層12A(12B)を設けた基材層11を、第1接着層13を形成する接着剤を用いて、ドライラミネーション、ノンソルベントラミネーション、ウエットラミネーションなどの手法で貼り合わせる。
第2接着層16を前述の接着剤により形成する場合は、耐酸性付与層12A(12B)、第3接着層18、基材層11、第1接着層13、アルミニウム箔層14および腐食防止処理層15がこの順に積層された積層体の腐食防止処理層15側に、ドライラミネーション、ノンソルベントラミネーション、ウエットラミネーションなどの手法でシーラント層17を貼り合わせる。
また、第2接着層16を熱可塑性材料である接着樹脂により形成する場合は、押出ラミネートにより接着樹脂層を形成してシーラント層17を貼り合わせる。
耐酸性付与層12A(12B)の外側の表面(最外面)とシーラント層17の外側の表面(最内面)に、スリップ剤およびアンチブロッキング剤の少なくとも一方を塗布し、静摩擦係数を低下させる。
スリップ剤、アンチブロッキング剤の塗布方法は、例えば、ドライラミネート法を用いて、スリップ剤、アンチブロッキング剤を溶媒に溶解、分散後に塗布する方法が挙げられる。
なお、外装材1、2の製造方法は、前記工程(I)〜(V)を順次実施する方法には限定されない。例えば、工程(III)を行ってから工程(II)を行ってもよい。また、アルミニウム箔層の両面に腐食防止処理層を設けてもよい。また、工程(IV)を行った後に工程(III)を行ってもよい。また、スリップ剤、アンチブロッキング剤を耐酸性付与層12A(12B)やシーラント層17中に配合した場合などは、工程(V)を行わなくてもよい。
[使用材料]
本実施例に用いた材料を以下に示す。
(耐酸性付与層12)
フィルムA−1:二軸延伸ポリエステルフィルム(厚み6μm)。
フィルムA−2:二軸延伸ポリエステルフィルム(厚み12μm)。
フィルムA−3:二軸延伸ポリエステルフィルム(厚み25μm)。
コーティング剤A−4:ポリ塩化ビニリデン
接着剤H−1:ポリエステルポリオール系主剤に対して、トリレンジイソシアネートのアダクト体系硬化剤を配合したポリウレタン系接着剤(東洋インキ製)。
基材B−1:二軸延伸ポリアミドフィルム(厚み25μm)。
接着剤C−1:ポリエステルポリオール系主剤に対して、トリレンジイソシアネートのアダクト体系硬化剤を配合したポリウレタン系接着剤(東洋インキ製)。
アルミニウム箔D−1:厚み40μmの軟質アルミニウム箔8079材(東洋アルミニウム製)。
処理剤E−1:酸化セリウムゾルとリン酸クロメートアクリル系樹脂バインダーからなる組成物。
接着剤F−1:ポリエステルポリオール系主剤に対して、トリレンジイソシアネートのイソシア系硬化剤を配合したポリウレタン系接着剤(東洋インキ製)。
接着樹脂F−2:無水マレイン酸変性ポリプロピレン系接着性樹脂(三井化学製)。
フィルムG−1:外装材の最内面となる側の面をコロナ処理した無延伸ポリプロピレンフィルム(厚み25μm)。
スリップ剤I−1:エルカ酸アミド。
工程(I):
アルミニウム箔D−1の電解液が充填される側に、処理剤E−1をマイクログラビコートにより塗布し、乾燥ユニットにおいて150〜200℃で焼き付け処理を施して腐食防止処理層15を形成した。腐食防止処理層15の厚みは乾燥厚みで0.01〜0.1μmとした。
外装材1を製造する場合、基材層11と耐酸性付与層12A(フィルムA−1〜A−3)とを、接着剤H−1を用いたドライラミネート法により、第3接着層18(厚み4μm)を介して貼り合わせた。
外装材2を製造する場合、基材層11上に、リバースグラビアコートによってコーティング剤A−4を塗布し、表1に示す厚みの耐酸性付与層12Bを形成した。
腐食防止処理層15を形成したアルミニウム箔層14と、耐酸性付与層12A(12B)を設けた基材層11を、接着剤C−1を用いたドライラミネート法により、第1接着層13(厚み4μm)を介して貼り合わせた。
ドライラミネート構成の場合、工程(III)で得た積層体における腐食防止処理層15側に、接着剤F−1を用いたドライラミネート法により、第2接着層16(厚み4μm)を介してシーラント層17を貼り合わせた。
熱ラミネート構成の場合、工程(III)で得た積層体の腐食防止処理層15側に、接着樹脂F−2を使用した押出ラミネート法により、第2接着層16(厚み20μm)を介してシーラント層17を貼り合せた。
耐酸性付与層12A、12Bの外側の表面(最外面)と、シーラント層17の外側の表面(最内面)に、必要に応じて、スリップ剤I−1を濃度1.4質量%となるようにイソプロピルエタノールに溶解した溶液を塗布し、表1に示すように静摩擦係数を調節した。
各例で得られた外装材における耐酸性付与層の外側の表面、すなわち電池製造時の最外面と、シーラント層の外側の表面、すなわち電池製造時の最内面の静摩擦係数を、JIS−K 7125に規定された「プラスチックフィルム及びシートの摩擦係数試験方法」に準拠して測定した。
各例で得られた外装材から、縦50×横70mmの大きさの試験片を切り出し、絞り深さを3mmから10mmまで調整可能な冷間成形用装置を用いて深絞り成形し、成形性を評価した。評価基準は以下に示すとおりとし、「○」以上を合格とした。
◎:絞り深さ7mm超でもピンホールを発生させずに深絞り成形できた。
○:絞り深さ5〜7mmの範囲内でピンホールを発生させずに深絞り成形できた。
×:絞り深さ5mm未満でピンホールが発生した。
各例で得られた外装材から、縦50×横70mmの大きさの試験片を切り出し、絞り深さ5mmで深絞り成形した後、その最外面(耐酸性付与層の表面)に、電解液(エチレンカーボネート/ジメチルカーボネート/ジエチルカーボネート=1/1/1(質量比)に対し、LiPF6(六フッ化リン酸リチウム)を1.5Mになるように調整して溶解した電解液)3ccを付着させ、さらに水道水3ccを滴下して一昼夜放置後、試験片の白化(溶解)状態を目視で観察した。評価基準は以下のとおりとし、「○」を合格とした。
○:侵食がなかった(表面状態が変化しなかった)。
△:侵食された(白化した)箇所があった。
×:全面が侵食された(白化した)。
前記製造方法により、表1に示す構成の外装材を製造し、成形性および耐酸性を評価した。
11 基材層
12A、12B 耐酸性付与層
13 第1接着層
14 アルミニウム箔層
15 腐食防止処理層
16 第2接着層
17 シーラント層
18 第3接着層
Claims (4)
- 基材層の一方の面に最外層として耐酸性付与層が設けられ、該基材層の他方の面に、第1接着層、少なくとも片面に腐食防止処理層を設けたアルミニウム箔層、第2接着層、シーラント層が順次積層されたリチウムイオン電池用外装材であって、
前記耐酸性付与層の厚みA(μm)と前記基材層の厚みB(μm)との比(A/B)が0.04〜0.8であり、
前記耐酸性付与層の外側の表面の静摩擦係数が0.25以下であり、
前記シーラント層の外側の表面の静摩擦係数が0.50以下であることを特徴とするリチウムイオン電池用外装材。 - 前記基材層が延伸ポリアミドフィルム基材からなり、前記耐酸性付与層が延伸ポリエステルフィルム基材からなり、それら基材層と耐酸性付与層が第3接着層を介して積層されている、請求項1に記載のリチウムイオン電池用外装材。
- 前記基材層が延伸ポリアミドフィルム基材からなり、
前記耐酸性付与層が、前記基材層上に設けられた、ポリ塩化ビニリデン、ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂およびアクリル樹脂からなる群から選ばれる1種以上を含むコーティング層であり、
該耐酸性付与層の厚みが1〜20μmである、請求項1に記載のリチウムイオン電池用外装材。 - 前記アルミニウム箔層が、アルミニウム−鉄系合金からなり、厚みが20〜60μmである、請求項1〜3のいずれか一項に記載のリチウムイオン電池用外装材。
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