JP2012115810A - 超純水中の微粒子捕捉システム及び微粒子濃度測定方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】超純水を遠心濾過装置で濾過して超純水中の微粒子を捕捉するに際し、遠心濾過装置へのモーター排気からの微粒子混入を確実に防止することができる超純水中の微粒子捕捉システムと、この超純水中の微粒子捕捉システムを用いて超純水中の微粒子濃度を測定する方法とを提供する。
【解決手段】遠心濾過装置10を取り囲む簡易クリーンブース11内に、頂部のファンフィルタユニット12により空気を下降流にて流通させる。空気は、簡易クリーンブース11と床面との間の隙間を通って流出する。遠心濾過装置10の側面の上部と簡易クリーンブース11との間に仕切部材20を設け、該排気口13からの排気が遠心濾過装置10の上部側にまで上昇することを防止している。
【選択図】図1
【解決手段】遠心濾過装置10を取り囲む簡易クリーンブース11内に、頂部のファンフィルタユニット12により空気を下降流にて流通させる。空気は、簡易クリーンブース11と床面との間の隙間を通って流出する。遠心濾過装置10の側面の上部と簡易クリーンブース11との間に仕切部材20を設け、該排気口13からの排気が遠心濾過装置10の上部側にまで上昇することを防止している。
【選択図】図1
Description
本発明は、超純水中の微粒子を捕捉するシステムと、このシステムで捕捉した微粒子を計測して超純水中の微粒子濃度を測定する方法とに関する。
半導体製造時に、表面の清浄化を目的として使用される超純水には、半導体デバイスの微細化に伴い、不純物濃度をより低くすることが求められている。不純物に含まれる微粒子については、その大きさが半導体デバイスの最小パターン寸法の縮小に伴って近い将来には20nm以下という極微細なものについて、1Lの中に100個以下というきわめて低い濃度とする必要がある。
このような微小の粒子濃度を測定する方法として、微粒子をフィルタ上に濾過捕捉した後、走査型電子顕微鏡(SEM)で観察計数する方法がある。実公平2−39546及び実公平8−1483には、超純水を遠心濾過して微粒子をフィルタに捕捉することが記載されている。第3図は、これらの文献に記載されている遠心濾過装置の要部拡大断面図である。駆動軸1によって回転盤2を回転させ、超純水よりなる試料水を導入管3から導入し、フィルタFで濾過する。フィルタFは多孔板4に保持されている。フィルタF及び多孔板4を通過した水は流出口5から流出する。余剰な試料水は、導管6を通って流出する。
このような遠心濾過装置によって超純水を濾過する場合、大気からの微粒子の混入を防止する必要がある。そこで、従来は第2図又は第5図のようにして微粒子の混入を防止している。第2図では、遠心濾過装置10を取り囲む簡易クリーンブース11を設け、該簡易クリーンブース11内に、頂部のファンフィルタユニット12によって空気を下降流にて流通させる。空気は、簡易クリーンブース11と床面との間の隙間を通って流出する。
この第2図の場合、遠心濾過装置10内のモーター14から発生する排気が遠心濾過装置下部のモーター排気口13から流出し、この排気の一部が簡易クリーンブース11内を上昇し、モーター排気中の微粒子が遠心濾過装置10内に流入するおそれがあった。即ち、モーター14からの冷却用の排気がクリーンブース内に排出されることによって、ファンフィルタからの空気による下降流があるとは言え、気流の流速が遅いために排気の気流の一部が上部にまでまきあがり、拡散して、あるいは気流があっても逆拡散することによって遠心濾過装置10上部に達して清浄度を低下させ、これが遠心濾過用フィルタのハンドリング時に汚染するまたは運転中に遠心濾過装置10のローター室にまで拡散してフィルタ表面に微粒子が付着すると考えられる。
第5図では、クリーンルーム内の架台15の網棚、パンチングプレート等よりなる通気性プレート16上に遠心濾過装置10を設置し、クリーンルーム内にクリーンエアを下降流にて流し、エアをクリーンルーム床面のグレーチング17を通してリターンスペース18に流出させる。ところが、この場合でも、遠心濾過装置10のモーター排気口13からの排気の一部が上昇し、モーター排気中の微粒子が遠心濾過装置10内に混入するおそれがあった。即ち、クリーンルームや、大型クリーンブース内では、清浄な空気の下降気流が期待できるが、その流速は遅く(0.2〜0.5m/sec)、このために強制排気されるモーターの排気に含まれる微粒子が遠心濾過装置周囲を汚染し、清浄なサンプリングを妨害する。
本発明は、超純水を遠心濾過装置で濾過して超純水中の微粒子を捕捉するに際し、遠心濾過装置へのモーター排気からの微粒子混入を確実に防止することができる超純水中の微粒子捕捉システムと、この微粒子捕捉システムを用いて超純水中の微粒子濃度を測定する方法とを提供することを目的とする。
第1発明(請求項1)の超純水中の微粒子捕捉システムは、超純水を遠心濾過装置で遠心濾過して該遠心濾過装置のフィルタで超純水中の微粒子を捕捉する微粒子捕捉システムであって、該遠心濾過装置の側周を取り囲む囲繞部材と、該囲繞部材内に上方から空気を送り込むファンフィルタユニットとを有し、該遠心濾過装置の下部に該遠心濾過装置のモーター排気口が存在する超純水中の微粒子捕捉システムにおいて、該囲繞部材と、該モーター排気口よりも上位側の遠心濾過装置側面との間に、モーター排気口からの排気の上昇を防止するための仕切部材を設けたことを特徴とするものである。
第2発明(請求項2)の超純水中の微粒子捕捉システムは、超純水を遠心濾過装置で遠心濾過して該遠心濾過装置のフィルタで超純水中の微粒子を捕捉する微粒子捕捉システムであって、該遠心濾過装置がクリーンルーム内に設置されている超純水中の微粒子捕捉システムにおいて、該遠心濾過装置のモーター排気口からの排気をクリーンルームのリターンスペースへ導くための案内部材を設けたことを特徴とするものである。
第3発明(請求項3)の超純水中の微粒子濃度測定方法は、請求項1又は2の超純水中の微粒子捕捉システムによって超純水中の微粒子を前記遠心濾過装置のフィルタで捕捉し、このフィルタ上で捕捉された微粒子の数を計測して、超純水中の微粒子濃度を測定することを特徴とするものである。
第1発明の超純水中の微粒子捕捉システムでは、遠心濾過装置を取り囲む囲繞部材内に仕切部材を設け、モーター排気が上昇することを防止するので、モーター排気中の微粒子が遠心濾過装置内に混入することが防止される。
第2発明の超純水中の微粒子捕捉システムでは、遠心濾過装置のモーター排気を案内部材によってクリーンルームのリターンスペースへ導くようにしているので、モーター排気中の微粒子が遠心濾過装置内に混入することが防止される。
このように遠心濾過装置へのモーター排気中の微粒子の混入が防止されるところから、第3発明の微粒子濃度測定方法によると、超純水中の微粒子を高精度にて測定することができる。
以下、第1図及び第4図を参照して実施の形態について説明する。
第1図は、第2図の従来例を改良した超純水中の微粒子捕捉システムを示しており、遠心濾過装置10の側面の上部(モーター排気口13よりも上位)と簡易クリーンブース11との間に仕切部材20を設け、該排気口13からの排気が遠心濾過装置10の上部側にまで上昇することを防止している。この仕切部材20の端縁と簡易クリーンブース11又は遠心濾過装置10の側面との間には若干の隙間をあけておき、ファンフィルタユニット12からの下降気流が該隙間を通って仕切部材20の下側へ流れるようにしてある。なお、このように隙間をあける代りに、又は隙間をあけると共に、仕切部材20に通気用の開口を設けてもよい。
この実施の形態では、簡易クリーンブース11としては、フレームに対し合成樹脂シートを被せたものが用いられている。仕切部材20としては合成樹脂シートが用いられている。仕切部材20の内周縁はマグネット、平面ファスナ、フックなどの係止手段によって遠心濾過装置10の側面上部に留め付けられる。仕切部材20の外周縁も同様の係止手段によって簡易クリーンブース11に留め付けられる。この実施の形態のその他の構成は第2図と同一であり、同一符号は同一部分を示している。
この第1図の超純水中の微粒子捕捉システムによると、モーター排気口13からの排気が仕切部材20よりも上側に拡散しないので、排気中の微粒子が遠心濾過装置10内、特に導入管3内に入り込むことがなく、超純水中の微粒子濃度を高精度にて測定することが可能となる。即ち、仕切部材20を設置することによって、上部から下降してくる清浄空気の流れる断面積が、仕切部材20の位置で例えば約1/3となり、したがって気流の流速が約3倍となって、排気部からの拡散上方に向かう拡散が抑制されて、遠心濾過装置10の上部の清浄度が高く維持され、フィルタが粒子で汚染されない。
第4図の実施の形態は、第5図において、案内部材としてのカバーシート30を架台15に被せ、該カバーシート30を遠心濾過装置10の上部側面に留め付けたものである。カバーシート30は筒状であり、上部は、上方ほど小さくなるテーパ状となっている。カバーシート30の上端を遠心濾過装置10の上部(モーター排気口13よりも上位)の側面に係止手段によって留め付けている。この側面に係止手段としては上記の係止手段と同様のものを用いることができる。
カバーシート30は、合成樹脂のシートが好適であるが、各種材料よりなる板材で構成されてもよい。この第4図の実施の形態のその他の構成は第5図と同一であり、同一符号は同一部分を示している。
この第4図の超純水中の微粒子捕捉システムによると、モーター排気口13からの排気の全量が、案内部材としてのカバーシート30内を下降し、リターンスペース18に流入する。そのため、該排気中の微粒子が遠心濾過装置10内に混入しない。この結果、超純水中の微粒子濃度を高精度にて測定することが可能となる。即ち、モーター排気を周辺空気から遮断して排出させることによってフィルタをハンドリングする空間の清浄度低下を防ぎ、ローター室に導入される空気の清浄度低下を防ぎ、これによって極低濃度の微粒子サンプリングが可能となる。
本発明の超純水中の微粒子捕捉システムにおいては、遠心濾過装置10内でフィルタによって超純水中の微粒子を捕捉する場合、超純水よりなる試料水がフィルタの表面に遠心力で押し付けられて濾過されるようにするのが好ましい。これにより、超純水中の微粒子はフィルタ表面に捕捉されるようになる。この結果、規定量の超純水を濾過した後、このフィルタを遠心濾過装置10から取り外し、乾燥後、その表面をSEM等で観察して微粒子数をカウントすることにより、超純水中の微粒子濃度を高精度にて測定することができる。
以下、実施例及び比較例について説明する。以下の実施例及び比較例では、第3図に示す構成を有する遠心濾過装置10を用いた。試料水(超純水)が回転に伴う遠心力によってフィルタFを透過し、このときに試料水に含まれる微粒子がフィルタ表面に捕捉される。この遠心濾過装置10では、フィルタは、駆動軸1から見て12時と6時の位置に設置されている。以下の説明では、12時の位置のフィルタを第1フィルタと呼称し、6時の位置のフィルタを第2フィルタと呼称する。
[比較例1,2]
第2図のようにして遠心濾過装置10を表1に示す時間運転し、超純水を濾過した。その後、遠心濾過装置10から第1及び第2フィルタを取り出し、乾燥後、各フィルタの表面を走査電子顕微鏡(SEM)を用いて倍率30000で観察し、粒径が0.03μm以上の粒子を計数した。その結果を表1に示す。
第2図のようにして遠心濾過装置10を表1に示す時間運転し、超純水を濾過した。その後、遠心濾過装置10から第1及び第2フィルタを取り出し、乾燥後、各フィルタの表面を走査電子顕微鏡(SEM)を用いて倍率30000で観察し、粒径が0.03μm以上の粒子を計数した。その結果を表1に示す。
[実施例1,2]
第1図のように、ポリエチレンシートよりなる仕切部材20を設置した。なお、仕切部材20は、棒状のマグネットによって遠心濾過装置10の上部と簡易クリーンブース11とに留め付けた。運転時間は表1の通りとした。その他は比較例1と同一条件で超純水中の微粒子濃度を測定した。その結果を表1に示す。
第1図のように、ポリエチレンシートよりなる仕切部材20を設置した。なお、仕切部材20は、棒状のマグネットによって遠心濾過装置10の上部と簡易クリーンブース11とに留め付けた。運転時間は表1の通りとした。その他は比較例1と同一条件で超純水中の微粒子濃度を測定した。その結果を表1に示す。
[比較例3]
第5図のようにして遠心濾過装置10をクリーンルーム内に設置し、超純水を2時間にわたって濾過し、その後比較例1と同様にして微粒子数を計数した。その結果を表1に示す。
第5図のようにして遠心濾過装置10をクリーンルーム内に設置し、超純水を2時間にわたって濾過し、その後比較例1と同様にして微粒子数を計数した。その結果を表1に示す。
[実施例3]
第4図のようにしてポリエチレン製のカバーシート30を設置し、モーター排気の全量をリターンスペースへ導くようにしたこと以外は比較例3と同一条件にて濾過及び計測を行った。その結果を表1に示す。なお、カバーシート30の上端部はマグネットにより遠心濾過装置10の上部外周面に留め付けた。
第4図のようにしてポリエチレン製のカバーシート30を設置し、モーター排気の全量をリターンスペースへ導くようにしたこと以外は比較例3と同一条件にて濾過及び計測を行った。その結果を表1に示す。なお、カバーシート30の上端部はマグネットにより遠心濾過装置10の上部外周面に留め付けた。
以上の結果より、実施例1〜3によると、モーター排気中の微粒子の影響を受けることなく、超純水中の微粒子濃度を高精度に測定できることが認められた。
表1に示すように、比較例1,2のフィルタ4枚についての微粒子数は、500視野計数で2〜4個であった。この粒子数は仮にフィルタ2枚を使用して超純水1000Lを濾過したフィルタならば0.1〜0.3個/mlに相当する粒子数である。これに対し、実施例1,2では、計数データは500視野計数でいずれも1個であった。この粒子数は、超純水1000Lを濾過したものであるならば0.1個/ml以下の微粒子濃度に相当する。
このように、本発明に従って遠心濾過操作時の汚染を低減することによって、微粒子数測定のバックグラウンドとなる粒子数が低くなる。これによって超純水を濾過することによって捕捉される微粒子数をより高感度で測定できることになり、0.1個/ml(100個/L)程度の極低濃度微粒子数を高い信頼性をもって測定できるようになり、より清浄度の高い超純水を評価できるようになる。
10 遠心濾過装置
11 簡易クリーンブース
13 モーター排気口
14 モーター
17 グレーチング
18 リターンスペース
20 仕切部材
30 カバーシート(案内部材)
11 簡易クリーンブース
13 モーター排気口
14 モーター
17 グレーチング
18 リターンスペース
20 仕切部材
30 カバーシート(案内部材)
Claims (3)
- 超純水を遠心濾過装置で遠心濾過して該遠心濾過装置のフィルタで超純水中の微粒子を捕捉する微粒子捕捉システムであって、
該遠心濾過装置の側周を取り囲む囲繞部材と、該囲繞部材内に上方から空気を送り込むファンフィルタユニットとを有し、
該遠心濾過装置の下部に該遠心濾過装置のモーター排気口が存在する超純水中の微粒子捕捉システムにおいて、
該囲繞部材と、該モーター排気口よりも上位側の遠心濾過装置側面との間に、モーター排気口からの排気の上昇を防止するための仕切部材を設けたことを特徴とする超純水中の微粒子捕捉システム。 - 超純水を遠心濾過装置で遠心濾過して該遠心濾過装置のフィルタで超純水中の微粒子を捕捉する微粒子捕捉システムであって、
該遠心濾過装置がクリーンルーム内に設置されている超純水中の微粒子捕捉システムにおいて、
該遠心濾過装置のモーター排気口からの排気をクリーンルームのリターンスペースへ導くための案内部材を設けたことを特徴とする超純水中の微粒子捕捉システム。 - 請求項1又は2の超純水中の微粒子捕捉システムによって超純水中の微粒子を前記遠心濾過装置のフィルタで捕捉し、このフィルタ上で捕捉された微粒子の数を計測して、超純水中の微粒子濃度を測定することを特徴とする超純水中の微粒子濃度測定方法。
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