JP2012115016A - 回転電機 - Google Patents
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Abstract
【課題】回転電機において、コア薄板を積層して構成されるロータの両端部のコア薄板の剛性を向上し、エンドプレートを省略することである。
【解決手段】。回転電機10は、モータケース14と、ステータと、ロータとを含んで構成される。ロータは、ロータ軸12と、永久磁石36が埋め込まれるロータコア30とを含み、ロータコア30は、積層コア部32と、積層コア部32の厚さ方向の両端側にそれぞれ設けられる両側補強板50,52を含んで構成される。積層コア部32と両側補強板50,52はカシメによって一体化される。両側補強板50,52は、積層コア部32を構成するコア薄板である電磁鋼板に対し、磁石挿入孔40の開口形状の変更、あるいは、材質の変更に伴う厚さの変更が行なわれる。
【選択図】図1
【解決手段】。回転電機10は、モータケース14と、ステータと、ロータとを含んで構成される。ロータは、ロータ軸12と、永久磁石36が埋め込まれるロータコア30とを含み、ロータコア30は、積層コア部32と、積層コア部32の厚さ方向の両端側にそれぞれ設けられる両側補強板50,52を含んで構成される。積層コア部32と両側補強板50,52はカシメによって一体化される。両側補強板50,52は、積層コア部32を構成するコア薄板である電磁鋼板に対し、磁石挿入孔40の開口形状の変更、あるいは、材質の変更に伴う厚さの変更が行なわれる。
【選択図】図1
Description
本発明は、回転電機に係り、エンドプレートを用いないロータコアを有する回転電機に関する。
回転電機のロータは、コア薄板である電磁鋼板を積層したロータコアと、ロータ軸等を含んで構成される。そこで、ロータコアにおいて、積層した電磁鋼板が分離しないようにロータ軸に固定して取り付けることが必要となる。
例えば、特許文献1には、永久磁石モータのロータ製造方法として、ロータコアにエンドプレートを重ねることが述べられている。エンドプレートとは、積層した電磁鋼板の両端部に配置される保持板である。
エンドプレートを用いると、部品点数が増え、またその取付に手間がかかる。エンドプレートを用いないで、電磁鋼板をカシメて積層した形態でロータ軸に取り付けることも考えられるが、その場合、両端部の電磁鋼板が剥がれやすくなる。積層された電磁鋼板の両端部がはがれやすいのは、次のような理由からである。すなわち、ロータコアにステータから磁束が流れ込むと、隣接する電磁鋼板の間に斥力が働く。積層の内部にある電磁鋼板は、両側の隣接する電磁鋼板からそれぞれ逆向きの斥力が働くので、全体として働く力が釣り合っていて問題は生じない。両端部の電磁鋼板は、隣接する電磁鋼板が片側端部にしかないので、斥力が一方向に働く。これによって、積層された電磁鋼板の内で、両端部の電磁鋼板がはがれやすい。
ステータからロータ両端部の電磁鋼板に流れ込む磁束を少なくすれば、斥力が小さくなる。それに関連する技術として、特許文献2には、モータにおいて、ロータは、ステータと対向する面積が大きい構成が述べられている。このような構成は、オーバハングロータと呼ばれる。特許文献2では、オーバハングにより、ステータのコイルと鎖交する有効磁束量が増加してモータの性能が向上することを利用している。
オーバハング構成によれば、ステータの厚さの外側にあるロータ両端部には磁束の流れ込みが少なくなる。したがって、オーバハングロータ構造とすることで、エンドプレートを省略したときに、ロータ両端部の電磁鋼板の剥がれを抑制できることが期待できる。
オーバハングロータ構造とすることで、ロータ両端部のコア薄板の剥がれをある程度抑制することができる。ところで、永久磁石をロータに埋め込む構成では、リラクタンストルクも有効に利用するため、磁石挿入孔の周りの磁路形状の幅がかなり細く設定される。この磁路形状の細い幅のため、コア薄板のその部分の剛性が低下する。このようにコア薄板の剛性が十分でない場合には、オーバハングロータ構造のみではロータ両端部のコア薄板の剥がれの抑制が十分でないことが生じる。
本発明の目的は、コア薄板を積層して構成されるロータの両端部のコア薄板の剛性を向上できる回転電機を提供することである。他の目的は、ロータコアにおけるエンドプレートを省略することを可能にする回転電機を提供することである。以下の手段は、これらの目的の少なくとも1つに貢献する。
本発明に係る回転電機は、予め定められたステータ厚さを有するステータと、ステータに向かい合って配置され、ロータ軸と、ロータコアと、ロータコアに埋め込まれる複数の永久磁石と、を有するロータと、を備え、ロータコアは、複数の磁石挿入孔を有するコア薄板を積層して構成される積層コア部と、積層コア部の厚さ方向の両端側にそれぞれ積層してカシメによって一体化されて設けられ、積層コア部の剛性を補強する両側補強板と、を含むことを特徴とする。
また、本発明に係る回転電機において、コア薄板は、予め定められた磁気抵抗値となるように、磁石挿入孔周りの磁路形状の幅が設定され、両側補強板は、コア薄板と同じ材質で、同じ板厚と同じ外径とを有し、コア薄板のそれぞれの磁石挿入孔に対応する孔であって、孔周りの磁路形状の幅をコア薄板の磁石挿入孔周りの磁路形状の幅よりも広げるように、磁石挿入孔の形状を変更した形状変更孔を有することが好ましい。
また、本発明に係る回転電機において、両側補強板は、コア薄板と異なる材質で、同じ外径と、コア薄板の剛性よりも高い剛性を有するように設定された板厚を有し、コア薄板とカシメ構造で一体化されることが好ましい。
また、本発明に係る回転電機において、積層コア部は、ステータ厚さと同じまたはそれより厚いロータ厚さを有することが好ましい。
上記構成により、回転電機のロータにおけるロータコアは、複数の磁石挿入孔を有するコア薄板を積層して構成される積層コア部と、積層コア部の厚さ方向の両端側にそれぞれ積層してカシメによって一体化されて設けられ、積層コア部の剛性を補強する両側補強板とを含む。これにより、エンドプレートを省略しても、コア薄板を積層して構成されるロータの両端部のコア薄板の剛性を向上できる。
また、回転電機において、コア薄板は、予め定められた磁気抵抗値となるように、磁石挿入孔周りの磁路形状の幅が設定され、両側補強板は、コア薄板と同じ材質で、同じ板厚と同じ外径とを有し、コア薄板のそれぞれの磁石挿入孔に対応する孔であって、孔周りの磁路形状の幅をコア薄板の磁石挿入孔周りの磁路形状の幅よりも広げるように、磁石挿入孔の形状を変更した形状変更孔を有する。このように、磁石挿入孔周りの磁路形状の幅を広げたコア薄板を両側補強板として用いる比較的容易な方法で、コア薄板を積層して構成されるロータの両端部のコア薄板の剛性を向上できる。
また、回転電機において、両側補強板は、コア薄板と異なる材質で、同じ外径と、コア薄板の剛性よりも高い剛性を有するように設定された板厚を有し、コア薄板とカシメ構造で一体化される。ここでは、両側補強板は、コア薄板と異なる材質の板であるので、例えば、回転電機のステータコアもロータコアも、同じ材質で同じ厚さのコア薄板を打ち抜いて得る場合に、ステータコアを構成するコア薄板の枚数と、ロータコアを構成するコア薄板の枚数を同じとできる。これにより、コア薄板の原材料の利用率を向上させることができる。
また、回転電機において、積層コア部は、ステータ厚さと同じまたはそれより厚いロータ厚さを有するものとするので、いわゆるオーバハングロータ構造とでき、コア薄板を積層して構成されるロータの両端部のコア薄板の剥がれを抑制することができる。
以下に図面を用いて本発明に係る実施の形態につき、詳細に説明する。以下では、回転電機のロータコアおよびステータコアのコア薄板を電磁鋼板として説明するが、電磁鋼板以外の磁性薄板であってもよい。また、回転電機のロータとして、永久磁石がV字形状に配置されてロータコアに埋め込まれるものを説明するが、磁石挿入孔を用いて永久磁石がロータコアに埋め込まれるものであればよく、永久磁石の配置はV字形状以外であっても構わない。また、磁石挿入孔、形状変更孔の形状は、説明のための一例であって、これ以外の形状であっても構わない。
以下では、ロータの厚さをステータの厚さよりも電磁鋼板2枚分だけ厚いオーバハングロータ構造として説明するが、これは説明の一例であって、オーバハング量はこれ以外であってもよい。また、オーバハング構造は、ロータの両端側の電磁鋼板における斥力を小さくできる効果があるが、場合によっては不十分であることを説明するために用いたものである。したがって、オーバハング構造でないロータについても、本発明を適用できる。
以下で述べる寸法、材質、形状等は、説明のための例示であり、回転電機の仕様等に応じ、適宜変更が可能である。
以下では、全ての図面において同様の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。また、本文中の説明においては、必要に応じそれ以前に述べた符号を用いるものとする。
図1は、回転電機10の構造を説明する図である。回転電機10は、モータケース14と、ステータと、ロータとを含んで構成される。なお、図1では、ステータをステータコア20とコイルエンド24とに分けて示し、ロータを、ロータ軸12と、永久磁石36が埋め込まれるロータコア30とに分けて示している。
図2は、ステータコア20と、ロータコア30が向かい合う部分の詳細図である。図2は3枚の図から構成され、中央の図が図1の部分拡大図である。右側の図は、ロータコア30の中央部における電磁鋼板34を図2の右側から見た様子を示す図で、電磁鋼板34の部分平面図に相当する。左側の図は、ロータコア30を図2の左側から見た様子を示す図で、ロータコア30の左端側に設けられる両側補助板50の部分平面図に相当する。
モータケース14に固定されるステータは、複数の電磁鋼板22を積層したステータコア20と、ステータコア20に巻回されるコイルで構成される。図1では、コイルがステータコア20の両端面からはみ出して突き出るコイルエンド24が示されている。
ロータ軸12は、ロータが取り付けられ、ステータとロータの協働によって発生する回転トルクを外部に取り出す軸で、回転電機10の出力軸に相当する。ロータ軸12は、図示されていない適当な軸受機構によって、モータケース14に回転自在に支持される。
ロータコア30は、積層コア部32と、積層コア部32の厚さ方向の両端側にそれぞれ設けられる両側補強板50,52を含んで構成される。積層コア部32は、コア薄板としての電磁鋼板34を複数枚積層して構成され、両側補強板50,52は積層コア部32を構成する電磁鋼板34と外径と厚さが同じ電磁鋼板である。これらの電磁鋼板は、ステータコア20を構成する電磁鋼板22と同じ原材料薄板から打ち抜いたものが用いられる。すなわち、積層コア部32の各電磁鋼板34と、両側補強板50,52は、ステータコア20の電磁鋼板22と同じ材質、同じ厚さである。
ロータコア30は、積層コア部32の電磁鋼板34の枚数をN枚として、両側補強板50,52である2枚の電磁鋼板とともに、(N+2)枚の電磁鋼板を積層したものである。これらの電磁鋼板の中心部には、ロータ軸12が挿入される貫通孔が設けられる。
ロータコア30は、円環形状の(N+2)枚の電磁鋼板をダボカシメによって積層して形成される。円環形状の内径側は、ロータ軸12が挿入される貫通孔である。ダボカシメとは、各積層鋼板の所定の位置にダボと呼ばれる突き出し部を設け、表側の突き出しを隣接する積層鋼板の突き出し部の裏側のくぼみに合わせてカシメる方法のことである。図2に示されるダボカシメ部38は、ダボカシメが行われた部分である。ダボカシメ部38によって、各電磁鋼板は順次積層されながら固定され、全体として一体化される。
ロータコア30の厚さは、ステータコア20の厚さよりも厚く、いわゆるオーバハング構造となっている。図2では、その片側の厚さ差26が示されている。厚さ差26は、電磁鋼板の2枚分の厚さとなっている。勿論、厚さ差26はこれ以外とすることもできる。
積層コア部32を構成する各電磁鋼板34は、図2の右側の図に示されるように、それぞれ磁石挿入孔40が開けられる。ここでは、ロータの1つの磁極がV字形状に配置された2つ1組の永久磁石36で構成されるので、これに対応する2つ1組の磁石挿入孔40が示されている。電磁鋼板34に設けられる磁石挿入孔40は、永久磁石36の断面形状とは少し異なる開口形状を有する。その開口形状は、回転電機10のリラクタンス仕様に応じた磁路形状に対応するように設定される。
各電磁鋼板34をN枚積層すると、この磁石挿入孔40が軸方向に揃う貫通孔となる。永久磁石36は、この磁石挿入孔40を軸方向につなげた貫通孔に挿入される磁石である。永久磁石36は、ロータコア30に軸方向に延びて埋め込まれ、ロータの磁極を形成する磁石である。
両側補強板50,52は、積層コア部32の厚さ方向の両端側、すなわち、軸方向の両端側に設けられる板材である。ここでは、積層コア部32を構成する電磁鋼板34の磁石挿入孔40の形状を変更して形状変更孔54としたものが用いられる。形状変更孔54は、図2の左側の図に示されるように、孔周りの磁路形状の幅を積層コア部32の電磁鋼板34における磁石挿入孔40周りの磁路形状の幅よりも広げるように、磁石挿入孔40の形状を変更した孔である。
積層コア部32の電磁鋼板34は、回転電機10のリラクタンス仕様に合わせるように、磁路形状における磁路幅がかなり狭く設定されることがある。したがって、電磁鋼板34においては、隣接する磁石挿入孔40の間の剛性、磁石挿入孔40と電磁鋼板34の外周端部との間の剛性が低くなっている。両側補強板50,52は、積層コア部32の電磁鋼板34と同じ厚さの電磁鋼板を用いながら、積層コア部32の電磁鋼板34よりも剛性を高めるために、磁石挿入孔40の形状変更が行なわれる。すなわち、隣接する磁石挿入孔40の間の磁路形状の幅寸法を、電磁鋼板34において対応する幅寸法よりも広げ、磁石挿入孔40と電磁鋼板34の外周端部との間の磁路形状の幅寸法を、電磁鋼板34において対応する幅寸法よりも広げる。
図2の形状変更孔54は、磁石挿入孔40に樹脂を注入できるだけの開口寸法としたものである。このような形状変更孔54とすることで、隣接する形状変更孔54の間の剛性、形状変更孔54と両側補強板50,52の外周端部との間の剛性が大幅に向上する。
図3には別の形状変更孔64の例が示されている。ここでは、磁石挿入孔40に永久磁石36を挿入できるだけの開口寸法としたものである。勿論、この形状変更孔64によって、磁石挿入孔40に樹脂を注入することができる。この場合も、隣接する磁石挿入孔40の間の磁路形状の幅寸法を、電磁鋼板34において対応する幅寸法よりも広げ、磁石挿入孔40と電磁鋼板34の外周端部との間の磁路形状の幅寸法を、電磁鋼板34において対応する幅寸法よりも広げてあるので、両側補強板50,52の剛性は、電磁鋼板34の剛性よりも高い。
図2、図3の例では、オーバハング構造の厚さ差26を電磁鋼板の2枚分として説明した。上記のように、ロータの積層コア部32の電磁鋼板34、両側補強板50,52は、ステータコア20の電磁鋼板22と共に、同じ原材料薄板を打ち抜いて形成される。この場合、ステータコア20の電磁鋼板22で打ち抜かれる内径部分を用いて、ロータの積層コア部32の電磁鋼板34、両側補強板50,52を形成することができる。したがって、(ステータコア20の電磁鋼板22の枚数)=(積層コア部32の電磁鋼板34の枚数+両側補強板50,52の枚数)であれば、同じ原材料薄板の利用効率がよい。図2、図3の例では、オーバハング構造の厚さ差26の分の枚数だけ、原材料薄板の利用効率が低下する。
図4は、両側補強板を別の材質として、(ステータコア20の電磁鋼板22の枚数)=(積層コア部32の電磁鋼板34の枚数)とするものである。これによって、ロータコア30の両端側の剛性を向上させると共に、電磁鋼板22,34を打ち抜く原材料薄板の利用効率を向上させることができる。
図4は、図2に対応する図で、積層コア部32の左側に配置される両側補強板70が示されている。両側補強板70は、積層コア部32の電磁鋼板34とダボカシメ部38におけるダボカシメによって一体化されるので、エンドプレートは不要である。
両側補強板70の厚さは、オーバハング構造の厚さ差27と同じで、その外径は電磁鋼板34の外径と同じである。この厚さ27は、両側補強板70の剛性が電磁鋼板34の剛性よりも高くなるように設定される。板材の剛性は、板厚を含めた形状と、ヤング率で定められるので、ヤング率の小さい材質を選択するときは、板厚を厚くする必要がある。
両側補強板70に設けられる孔74は、電磁鋼板34に設けられる磁石挿入孔40と同じ開口形状として示されている。これを、図2、図3で説明した形状変更孔54,64と同様の開口形状としてもよい。その場合には、開口形状の変更によって剛性が向上するので、両側補強板70の厚さをその分、薄くすることができる。このように、両側補強板70を積層コア部32の両端側に配置することで、ロータコア30の両端側の剛性が向上するので、積層コア部32の両端側の電磁鋼板34の剥がれを防止できる。
図5は、両側補強板の厚さを変更し、あるいは開口形状を変更することで、剛性が向上することを説明する図である。ここでは、積層コア部32の電磁鋼板34において、隣接する磁石挿入孔40の間の磁路形状の剛性を基準として説明する。図5に示されるように、電磁鋼板34のA−A線における断面において、隣接する磁石挿入孔40の間の磁路部分の断面の厚さをt0、幅をb0とする。この部分は、いわゆるブリッジ部分と呼ばれるが、このブリッジ部分の断面2次モーメントI0は、I0=(b0t0 3)/12で与えられる。
いま、このブリッジ部分が、厚さt1、幅b1に変更されたとすれば、その変更後の断面2次モーメントI1は、I1=(b1t1 3)/12で与えられる。電磁鋼板34の材質のヤング率をE0として、材質の変更によってヤング率がE1に変更になったとすると、剛性向上率は、(E1/E0)×(b1/b0)×(t1/t0)3で計算できる。
図4の例では、孔74は磁石挿入孔40と同じであるから、b0=b1である。厚さをt0=0.3mmからt1=1.5mmに変更すると、その変更による剛性向上寄与分は、(t1/t0)3=(1.5/0.3)3=125倍である。ここで、材質をSUSに変更すると、(E1/E0)=(197/206)であるので、全体としての剛性向上率は、約120倍となる。
同じ条件で、材質をアルミニウムに変更すると、(E1/E0)=(72/206)であるので、全体としての剛性向上率は、約44倍となる。材質を銅に変更すると、(E1/E0)=(96/206)であるので、全体としての剛性向上率は、約58倍となる。このように、剛性改善率は、厚さの3乗で効くので、材質の変更によるヤング率の低下を厚さの変更で十分に補うことができる。
図2、図3における剛性向上率は、材質と厚さが同じであるので、(b1/b0)で計算できる。したがって、ブリッジ部分の幅寸法を2倍とすることで、剛性を2倍とでき、幅寸法を3倍とすれば、剛性を3倍とできる。図4において、図2、図3の構成を盛り込むときは、このブリッジ部分の幅寸法の変更による剛性向上寄与分を乗算することで、全体の剛性向上率を計算できる。
図6は、比較のために、両側補強板を用いない従来技術において生じる問題を説明する図である。ここでは、ステータコア20の電磁鋼板22の厚さ、ロータコア31の電磁鋼板33,34,35の厚さは全て同じとしてある。そして、ロータコア31の幅は、ステータコア20の幅よりも大きく、厚さ差26だけオーバハング構造となっている。電磁鋼板35は、オーバハング構造における一番外側に配置するもので、電磁鋼板33は、オーバハング構造において電磁鋼板35の内側に配置するものとして示されている。
ステータコア20から出た磁束は、ロータコア31の向かい合う電磁鋼板に流れ込むが、オーバハング構造における電磁鋼板33,35には、これに対応するステータコア20の側の電磁鋼板22がない。そこで、ステータコア20の最外側の電磁鋼板22から出た磁束の一部が、電磁鋼板33,35に流れ込むことになる。したがって、オーバハング構造における電磁鋼板33,35に流れ込む磁束の量は、ロータコア31の中央部の電磁鋼板34に流れ込む磁束の量よりも少ない。
このことから、オーバハング構造とすることで、オーバハング構造としない場合に比べ、ロータコア31の両端側の電磁鋼板33,35に生じる斥力を小さくできる。これによって、エンドプレートを省略することで生じ得るロータコア31の両端側の電磁鋼板33,35の剥がれを抑制することができる。これがオーバハング構造にすることの効果である。しかし、斥力をゼロにすることはできないので、電磁鋼板33,35の剛性が不足するときには、図6に示すように剥がれが生じ得る。これが従来技術の問題点である。
ここで、オーバハング構造の部分における板材の孔形状の変更、あるいは、材質の変更に伴う厚さの変更によって、上記のように剛性を向上させることができる。なお、上記のように、ロータコア31のオーバハング構造の部分に流れ込む磁束の量は、ロータコア31の中央部の電磁鋼板34に流れ込む磁束の量よりも少ない。したがって、ロータコア31のオーバハング構造の部分は、ロータコア31の中央部の電磁鋼板34に比べて、回転電機10の動作特性への寄与が少ない。また、渦電流の発生も少ない。これらのことから、オーバハング構造の部分の板材の孔形状の変更、あるいは、材質の変更に伴う厚さの変更を行なっても、回転電機10の動作特性への影響が少ない。
本発明に係る回転電機は、車両搭載用の回転電機に利用できる。
10 回転電機、12 ロータ軸、14 モータケース、20 ステータコア、22,33,34,35 電磁鋼板、24 コイルエンド、26,27 厚さ差、30,31 ロータコア、32 積層コア部、33,34,35 電磁鋼板、36 永久磁石、38 ダボカシメ部、40 磁石挿入孔、50,52,70 両側補強板、54,64 形状変更孔、74 孔。
Claims (4)
- 予め定められたステータ厚さを有するステータと、
ステータに向かい合って配置され、ロータ軸と、ロータコアと、ロータコアに埋め込まれる複数の永久磁石と、を有するロータと、
を備え、
ロータコアは、
複数の磁石挿入孔を有するコア薄板を積層して構成される積層コア部と、
積層コア部の厚さ方向の両端側にそれぞれ積層してカシメによって一体化されて設けられ、積層コア部の剛性を補強する両側補強板と、
を含むことを特徴とする回転電機。 - 請求項1に記載の回転電機において、
コア薄板は、予め定められた磁気抵抗値となるように、磁石挿入孔周りの磁路形状の幅が設定され、
両側補強板は、
コア薄板と同じ材質で、同じ板厚と同じ外径とを有し、
コア薄板のそれぞれの磁石挿入孔に対応する孔であって、孔周りの磁路形状の幅をコア薄板の磁石挿入孔周りの磁路形状の幅よりも広げるように、磁石挿入孔の形状を変更した形状変更孔を有することを特徴とする回転電機。 - 請求項1に記載の回転電機において、
両側補強板は、
コア薄板と異なる材質で、同じ外径と、コア薄板の剛性よりも高い剛性を有するように設定された板厚を有し、コア薄板とカシメ構造で一体化されることを特徴とする回転電機。 - 請求項1に記載の回転電機において、
積層コア部は、ステータ厚さと同じまたはそれより厚いロータ厚さを有することを特徴とする回転電機。
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