(第1実施形態)
以下、本発明を具体化した第1実施形態を図面に従って説明する。
図1に示す本実施形態のモータは、車両のウインドガラスを電動で昇降させるパワーウインド装置の駆動源として用いられるものである。図1において上部に位置するモータ部1のヨークハウジング2(以下、単にヨーク2とする)は、一端(図1において上側の端部)が閉塞された筒状をなしている。また、同ヨーク2の他端の開口部には、径方向外側に向かって延びるフランジ部2aが形成されている。このヨーク2の内側には電機子3が配置されている。電機子3の回転軸4は、ヨーク2の径方向の中央部に配置されるとともに、ヨーク2の軸方向に沿って延びる円柱状をなしている。また、回転軸4の先端部(図1において下側の端部)は、ヨーク2の開口部から同ヨーク2の外部に突出している。そして、電機子3は、ヨーク2の内部で、回転軸4の中心軸線L1を回転中心として回転可能に支持されている。
図1においてモータ部1の下部には、前記回転軸4から伝達された回転駆動力を減速する減速部11が接続されている。減速部11を構成する樹脂製のギヤハウジング12は、前記ヨーク2のフランジ部2aに固定された固定部12aと、減速機構13を収容する減速機構収容部12bとが一体に形成されてなる。尚、このギヤハウジング12と前記ヨーク2とによってモータケースが構成されている。
固定部12aは、中空な略直方体状をなすとともに、その内部空間は、ヨーク2の開口部を介してヨーク2の内部空間と繋がっている。そして、固定部12aにおけるヨーク2と反対側の部位に減速機構収容部12bが一体に形成されるとともに、固定部12aの内部空間と減速機構収容部12bの内部空間とは繋がっている。また、図2に示すように、本実施形態のギヤハウジング12は、回転軸4の直径方向に沿った一方向(図2において左右方向)の厚さが薄い扁平な形状をなしている。更に、ギヤハウジング12は、回転軸4の直径方向に沿った一方向(図2において左右方向)であってギヤハウジング12の厚さ方向においては、ヨーク2の外径の範囲内に収まっている。このように、ギヤハウジング12が扁平形状をなすことにより、本実施形態のモータは扁平形状をなしている。そして、このモータの厚さ方向は、ギヤハウジング12の厚さ方向に等しい。
図1に示すように、前記固定部12aの内部には、ヨーク2の開口部から突出した前記回転軸4の先端側の部位が配置されている。また、回転軸4において固定部12aの内部に配置された部位には、円環状のセンサマグネット5が該回転軸4と一体回転可能に固定されている。このセンサマグネット5は、N極とS極とが周方向に交互となるように着磁されている。
また、回転軸4の先端部は、固定部12a内に収容されたクラッチ14を介して、減速機構収容部12b内に収容されたウォーム軸15の基端部に連結されている。このクラッチ14は、回転軸4の回転駆動力をウォーム軸15に伝達する一方、ウォーム軸15からの回転力を回転軸4に伝達しないように作動するものである。
図3に示すように、ウォーム軸15は、回転軸4と同軸上に配置されるとともに、その軸方向の略中央部には、螺子歯状のウォーム部15aが形成されている。そして、減速機構収容部12b内において、ウォーム軸15の側方(図3において左側方)には、ウォーム部15aと噛合する円板状のウォームホイール16が配置されている。このウォームホイール16とウォーム軸15とによって前記減速機構13が構成されている。ウォームホイール16は、その軸方向が、ギヤハウジング12の厚さ方向と同方向となるように減速機構収容部12b内に配置されている。また、ウォームホイール16の径方向の中央部には、ギヤハウジング12の厚さ方向に沿って延びる出力軸17がウォームホイール16と一体回転可能に設けられている。図4に示すように、出力軸17の先端部は、ギヤハウジング12の外部に突出するとともに、同出力軸17の先端部には、図示しないウインドレギュレータを介して車両のウインドガラスが連結される。
また、図3に示すように、前記固定部12aにおいて、ギヤハウジング12の厚さ方向と直交し且つ回転軸4の軸方向と直交する方向(図3において左右方向)の一方側の端部(図3において右側の端部)には、コネクタモジュール21が固定されている。
図5に示すように、固定部12aには、ギヤハウジング12の厚さ方向と直交し且つ回転軸4の中心軸線L1と直交する方向の一方側の端部(図5において右側の端部)に、差込み開口部12cが形成されている。差込み開口部12cは、ギヤハウジング12の厚さ方向と直交し且つ回転軸4の中心軸線L1と直交する方向に開口するとともに、その開口端面12d(以下、差込み開口端面12dとする)は、回転軸4の中心軸線L1と平行をなしている。また、差込み開口部12cは、その開口方向から見た形状が四角形状をなしている。
また、固定部12aには、差込み開口部12cから該固定部12aの内側に延びる略四角筒状の内周面が設けられている。この固定部12aの内周面は、回転軸4の中心軸線L1と直交し且つ中心軸線L1方向に互いに離間した一対の第1内側面12e,12fと、これら第1内側面12e,12fの両側で回転軸4の中心軸線L1と平行に延びる一対の第2内側面12g,12hとから構成されている。一対の第1内側面12e,12fのうち、減速機構収容部12bに近い方の第1内側面12fには、挿入案内凸部12kが突出形成されている。挿入案内凸部12kは、第1内側面12fにおけるギヤハウジング12の厚さ方向の中央部に形成されるとともに、回転軸4の中心軸線L1方向に突出している。更に、挿入案内凸部12kは、差込み開口部12cから固定部12aの内側に向かって、コネクタモジュール21を固定部12aに固定するときの固定部12aへのコネクタモジュール21の差込み方向Xと平行に延びている。尚、本実施形態の差込み方向Xは、ギヤハウジング12の厚さ方向と直交し且つ回転軸4の中心軸線L1と直交する方向と平行な方向である。
また、第1内側面12fには、挿入案内凸部12kの幅方向の両側に、対をなす第1の軸方向位置決め突部12mが形成されている。一対の第1の軸方向位置決め突部12mは、回転軸4の中心軸線L1方向に突出するとともに、差込み方向Xと平行に延びている。また、各第1の軸方向位置決め突部12mの差込み開口部12c側の端部は、差込み開口部12c側の端から固定部12aの奥側に向かうに連れて回転軸4の中心軸線L1方向の突出量が多くなるように形成されている。尚、各第1の軸方向位置決め突部12mの差込み開口部12c側の端は、回転軸4の中心軸線L1方向の突出量が僅かである。一方、各第1の軸方向位置決め突部12mにおける固定部12aの奥側の端部は、回転軸4の中心軸線L1方向の突出量が一定となっている。
また、前記第2内側面12g,12hには、それぞれ第2の軸方向位置決め突部12nが形成されている。第2の軸方向位置決め突部12nは、第2内側面12g,12hからギヤハウジング12の厚さ方向に突出するとともに、差込み開口部12cから該固定部12aの奥側に向かって差込み方向Xと平行に延びている。また、2つの第2の軸方向位置決め突部12nは、前記第1の軸方向位置決め突部12mと回転軸4の中心軸線L1方向に離間している。
また、固定部12aには、差込み開口部12cの外周となる部位に、4つの係止凸部12pが形成されている。4つの係止凸部12pのうち2つの係止凸部12pは、固定部12aにおいて差込み開口部12cよりもモータ部1側となる部位(図5において差込み開口部12cの上方)で回転軸4の中心軸線L1に沿ってモータ部1側に突出している。更に、この2つの係止凸部12pは、ギヤハウジング12の厚さ方向に互いに離間している。また、図4に示すように、残りの2つの係止凸部12pは、固定部12aにおいて差込み開口部12cよりも減速機構収容部12b側となる部位で回転軸4の中心軸線L1に沿って減速機構収容部12b側に突出している。更に、この2つの係止凸部12pは、ギヤハウジング12の厚さ方向に互いに離間している。また、4つの係止凸部12pは、モータの厚さ方向において、同モータの厚さの範囲内に形成されているため、ギヤハウジング12及びヨーク2よりもモータの厚さ方向に突出していない。
図5に示すように、前記コネクタモジュール21を構成するコネクタハウジング22は、樹脂材料よりなるとともに、その外周面は、差込み方向Xに延びる四角筒状をなしている。図6(a)及び図6(b)に示すように、コネクタハウジング22の一側面には、円板状をなすコネクタ接続部23が形成されている。このコネクタ接続部23は、その軸方向が差込み方向Xと平行をなすように形成されている。また、コネクタ接続部23の径方向の中央部には、該コネクタ接続部23からコネクタハウジング22の内部にまで延びる差込み穴24が凹設されている。この差込み穴24は、コネクタ接続部23の軸線L2方向に沿って凹設されるとともに、その内周面は、該差込み穴24に差し込まれる図示しない外部コネクタの外形形状に対応した形状をなしている。また、コネクタ接続部23は、略円筒状のコネクタブーツ25によってその外周が囲まれている。このコネクタブーツ25は、差込み穴24内への水の浸入を防止するためのものである。本実施形態のコネクタブーツ25は、エラストマにて形成されるとともに、コネクタハウジング22に一体成形されている。
また、図7(b)に示すように、コネクタハウジング22における差込み方向Xと平行な方向(図7(b)において紙面垂直方向であって、紙面奥側から手前側に向かう方向)の一方側の端部(即ち差し込み方向X側の端部)には、差込み方向Xと平行に凹設された接続凹部26が形成されている。更に、図7(a)に示すように、コネクタハウジング22における差込み方向Xと平行な方向の他方側の端部(即ち差し込み方向Xと反対側の端部)には、差込み方向Xと平行に凹設された挿入凹部27が形成されている。そして、接続凹部26の接続開口部26aは、コネクタハウジング22における差込み方向X側の側面に形成される一方、挿入凹部27の挿入開口部27aは、コネクタハウジング22における差込み方向Xと反対側の側面に形成されている。
図7(b)に示すように、接続凹部26の接続開口部26aは、差込み方向X側(接続凹部26と反対側であって、図中、紙面手前側)に開口するとともに、図5に示す前記ギヤハウジング12に設けられた差込み開口部12cとほぼ同じ大きさの四角形状をなしている。また、図7(b)に示すように、この接続開口部26aの開口端面26b(以下、接続開口端面26bとする)は、差込み方向Xと直交する(即ちコネクタ接続部23の軸線L2方向と平行をなす)とともに、同接続開口端面26bには、エラストマよりなるシール部材28が一体成形されている。尚、このシール部材28は、前記コネクタブーツ25と部分的に繋がっている。即ち、シール部材28とコネクタブーツ25とは、一体化されている。
また、図6(b)及び図7(a)に示すように、前記挿入凹部27の挿入開口部27aは、差込み方向Xに対して傾斜した方向に開口するとともに、四角形状をなしている。そして、挿入開口部27aの開口端面27b(以下、挿入開口端面27bとする)は、差込み方向Xに対して傾斜している。詳しくは、図7(a)に示すように、挿入開口端面27bは、コネクタ接続部23の軸線L2方向に沿って同コネクタ接続部23から遠ざかるに連れて、接続開口端面26bとの間の距離が短くなるように傾斜している。また、挿入開口端面27bは平面状をなしている。
図8(a)及び図8(b)に示すように、挿入凹部27の内部には、該挿入凹部27の底面から突出する端子保持部29が形成されている。端子保持部29は、挿入凹部27において差込み方向Xと直交し且つコネクタ接続部23の軸線L2と直交する方向(図8(b)において上下方向)の中央部寄りの位置に形成されている。また、端子保持部29の先端面には、差込み方向Xと直交する位置決め面30が形成されている。更に、図9に示すように、端子保持部29における前記コネクタ接続部23と反対側の端部には、棒状の位置決めピン31が形成されている。この位置決めピン31の先端部には、コネクタ接続部23側に突出した位置決め凸部31aが形成されるとともに、該位置決め凸部31aにおける位置決めピン31の基端部側の面は、位置決め面30と平行をなす当接面31bとなっている。
また、図6(a)及び図6(b)に示すように、コネクタハウジング22には、インサート成形により複数本(本実施形態では7本)のコネクタ端子32が埋設されている。これらのコネクタ端子32は、導電性を有する金属材料にて形成されている。そして、これらのコネクタ端子32は、差込み穴24の内部からコネクタ接続部23の軸線L2方向に沿ってコネクタハウジング22における接続凹部26と挿入凹部27との間の部位にまで延びた後に、90°に屈曲されて端子保持部29の内部を差込み方向Xと平行に延びている。即ち、本実施形態の各コネクタ端子32は、その長手方向の1箇所のみが屈曲されたL字状をなしている。また、各コネクタ端子32におけるコネクタ接続部23側の端部は、差込み穴24の底面から差込み穴24の内部空間に突出するとともに、各コネクタ端子32における端子保持部29側の端部は前記位置決め面30からコネクタハウジング22の外部に突出している。そして、これらのコネクタ端子32は、互いに離間した状態でコネクタハウジング22によって保持されている。尚、これらのコネクタ端子32、コネクタ接続部23及び前記差込み穴24によってコネクタ部Cが構成されている。
また、図7(b)及び図8(b)に示すように、コネクタハウジング22には、差込み方向Xに沿ってコネクタハウジング22を貫通する複数(本実施形態では4個)の切断用貫通孔33が形成されている。各切断用貫通孔33は、複数の前記コネクタ端子32間に形成されている。また、各切断用貫通孔33の両端開口部は、接続凹部26の底面と位置決め面30とにそれぞれ形成されている。従って、各切断用貫通孔33は、接続開口部26a及び挿入開口部27aに連通するようにコネクタハウジング22を貫通している。
また、図8(b)に示すように、前記挿入凹部27の内部において、端子保持部29の側方(図中、上側方)は、素子収容部27cとなっている。この素子収容部27cの内部には、複数の規制凸部34(本実施形態では3個)が形成されている。各規制凸部34は、素子収容部27cの内周面の近傍に形成されるとともに、差込み方向Xに沿って延びる柱状をなしている。
図7(b)に示すように、前記接続凹部26の内部には、平板状の制御回路基板51を保持する基板保持部材35が設けられている。図1に示すように、制御回路基板51は、回転軸4の回転駆動を制御するための制御回路装置であって、回転軸4の回転状態を検出するためのホールIC52を内部に備えている。本実施形態の制御回路基板51は、複数の電子部品が実装された回路基板を絶縁性の樹脂材料にて被覆して形成されるとともに、板状をなしている。また、制御回路基板51における差込み方向Xと平行な方向の一端部からは、複数の第1の接続端子51aが差込み方向X側に延びるとともに、同制御回路基板51の他端部からは、複数の第2の接続端子51bが差込み方向Xと反対方向に延びている。
図7(b)に示すように、基板保持部材35は、接続凹部26内で図7(b)において前記切断用貫通孔33よりも下方に設けられるとともに、コネクタハウジング22と一体に形成されている。基板保持部材35は、制御回路基板51の外形に対応した四角筒状をなすとともに、差込み方向Xと平行に延びている。また、基板保持部材35における差込み方向Xに沿った方向の長さは、接続凹部26の深さよりも長く、接続凹部26の底面から接続凹部26の接続開口部26aを通って接続凹部26の外部にまで延びている。更に、図2に示すように、基板保持部材35の厚さ(図2において上下方向の幅)は、前記第1の軸方向位置決め突部12mと前記第2の軸方向位置決め突部12nとの間の回転軸4の中心軸線L1方向の間隔と等しく形成されている。
また、図7(b)及び図8(b)に示すように、接続凹部26の底部において基板保持部材35の内側となる部位には、接続凹部26と前記挿入凹部27とを連通する挿通孔36が形成されている。この挿通孔36の内周面は、基板保持部材35の内周面を差込み方向Xと平行な方向に延長したような四角筒状をなしている。そして、挿入凹部27側から挿通孔36を介して制御回路基板51を基板保持部材35の内側に挿入可能である。
また、図2に示すように、基板保持部材35には、制御回路基板51を差込み開口部12cから固定部12a内に挿入する際に固定部12aへの制御回路基板51の挿入を案内する挿入案内部37が形成されている。図6(b)及び図7(b)に示すように、挿入案内部37は、基板保持部材35における厚さ方向の両側壁35a,35bのうちコネクタハウジング22の外側寄りの側壁35aに形成されている。そして、挿入案内部37は、側壁35aにおけるコネクタ接続部23の軸方向の中央部で、差込み方向Xと平行に延びるスリット状をなしている。この挿入案内部37における基板保持部材35の基端側の部位は、前記挿入案内凸部12k(図2参照)の幅と等しい幅に形成されている。一方、同挿入案内部37における基板保持部材35の先端側の部位は、基板保持部材35の先端に向かうに連れて徐々に幅が広くなるように形成されている。
更に、図6(a)に示すように、基板保持部材35の先端部には、基板保持部材35に対する差込み方向Xの制御回路基板51の位置決めをする基板位置決め凸部38が形成されている。基板位置決め凸部38は、基板保持部材35における厚さ方向の両側壁35a,35bのうちコネクタハウジング22の内側寄りの側壁35bに形成されている。基板位置決め凸部38は、側壁35bの先端面の中央部で、差込み方向Xに突出するとともに基板保持部材35の内周面よりも基板保持部材35の内側に突出している。
そして、図7(b)及び図8(b)に示すように、前記制御回路基板51は、挿入凹部27側から挿通孔36を通って基板保持部材35の内部に挿入されている。尚、制御回路基板51は、第1の接続端子51aが導出された側の端部から基板保持部材35の内部に挿入されている。図6(a)に示すように、基板保持部材35にて保持された制御回路基板51は、差込み方向Xと平行に配置されている。そして、制御回路基板51は、差込み方向Xから基板位置決め凸部38に当接するまで基板保持部材35の内部に挿入されているため、該基板位置決め凸部38によって差込み方向Xの位置決めがなされるとともに、同基板位置決め凸部38によって基板保持部材35からの脱落が防止されている。更に、基板保持部材35の内部に挿入された制御回路基板51は、その外周面が基板保持部材35の内周面と当接している。そのため、基板保持部材35によってコネクタハウジング22に対する制御回路基板51の位置決めがなされている。また、図6(b)に示すように、基板保持部材35にて保持された制御回路基板51において、差込み方向Xと反対方向に導出された複数の第2の接続端子51bは、その先端部が挿入開口部27aからコネクタハウジング22の外部に突出している。
図7(a)に示すように、前記素子収容部27cには、2つの雑防素子53が挿入されている。各雑防素子53は、その端子が挿入凹部27の挿入開口部27a側となるように素子収容部27c内に挿入されている。これらの雑防素子53は、コンデンサであり、電気ノイズを消去するための電子部品である。
図6(a)及び図7(a)に示すように、挿入開口部27aからコネクタハウジング22の外部に突出した複数の第2の接続端子51bには、平板状の中継部材54が接続されている。中継部材54は、コネクタ端子32と制御回路基板51との電気的な導通を図るための部材であって、本実施形態では中継部材54はプリント基板である。中継部材54において差込み方向Xに前記挿通孔36と対向する部位には、複数の第2の接続端子51bに対応した複数の第1のスルーホール54aが形成されている。また、中継部材54において位置決め面30と差込み方向Xに対向する部位には、該位置決め面30から突出した複数のコネクタ端子32の端部が挿通される複数の第2のスルーホール54bが形成されている。更に、中継部材54において素子収容部27cと差込み方向Xに対向する部位には、2対の第3のスルーホール54cが形成されている。
この中継部材54は、基板保持部材35に保持された制御回路基板51と直角をなすように、且つ、差込み方向Xと直交するように(即ち、中継部材54の厚さ方向と差込み方向Xとが平行をなすように)配置されている。そして、複数の第1のスルーホール54aには、制御回路基板51の第2の接続端子51bがそれぞれ挿入されるとともに、複数の第2のスルーホール54bには、位置決め面30から突出したコネクタ端子32の端部がそれぞれ挿入されている。更に、中継部材54において対をなす第3のスルーホール54cには、前記雑防素子53の端子がそれぞれ挿通されている。そして、第2の接続端子51b、コネクタ端子32及び雑防素子53の端子は、半田によって中継部材54に電気的に接続されている。また、中継部材54に実装される全ての電子部品(即ち、制御回路基板51、雑防素子53等)は、中継部材54における差込み方向X側の面に配置されている。本実施形態では、中継部材54に実装される全ての電子部品は、中継部材54におけるコネクタハウジング22の内側となる面に実装されている。また、前記挿入開口端面27bは、コネクタ接続部23の軸線L2方向に沿って同コネクタ接続部23から遠ざかるに連れて接続開口端面26bとの間の距離が短くなるように傾斜している。そのため、制御回路基板51の第2の接続端子51b、雑防素子53の端子及びコネクタ端子32と中継部材54との接続部分が、コネクタハウジング22の外部に突出(露出)している。即ち、挿入開口端面27bは、第2の接続端子51bと中継部材54との接続部分を挿入開口部27aからコネクタハウジング22の外部に突出させるように差込み方向Xに対して傾斜している。
また、図9及び図10に示すように、中継部材54は、前記位置決めピン31を弾性変形により傾倒させながら位置決め凸部31aを乗り越えてコネクタハウジング22に対して組み付けられている。そして、中継部材54の厚さ方向の両面のうち挿入凹部27の底面側の面が、前記位置決め面30に差込み方向Xから当接する一方、挿入凹部27の底面と反対側の面には、位置決め凸部31aの当接面31bが差込み方向Xから当接している。このように、中継部材54は、位置決め面30と位置決めピン31とによって挟持されることにより、コネクタハウジング22に対する中継部材54の差込み方向Xの位置決めがなされている。
また、素子収容部27cに挿入された雑防素子53には、前記規制凸部34が近接している。従って、雑防素子53が傾倒しようとすると、規制凸部34に当接することにより、それ以上の同雑防素子53の傾倒が阻止される。
前記挿入開口部27aは蓋体41にて閉塞されている。この蓋体41は、前記挿入開口部27aに対応した略皿状をなしている。また、蓋体41は、該蓋体41にて挿入開口部27aを閉塞されたコネクタハウジング22が、該蓋体41を含めて略直方体状をなすように形成されている。詳しくは、蓋体41は、前記挿入開口部27aを囲むような四角形の枠状をなすフランジ部42と、該フランジ部42の内側に一体に設けられた皿状の閉塞部43とから形成されている。図4に示すように、閉塞部43は、フランジ部42が挿入開口端面27bに当接した状態において、コネクタ接続部23の軸方向に沿って同コネクタ接続部23から遠ざかるに連れて差込み方向Xの深さが深くなるように形成されている。そして、図10に示すように、閉塞部43の底部43aは、四角形の板状をなしている。また、フランジ部42と底部43aとを連結する閉塞部43の3つの側壁43b〜43dのうち、中央の側壁43bは、四角形状をなすとともに、底部43aと直角をなしている。更に、中央の側壁43bの両側の側壁43c,43dは、側壁43bから遠ざかるにつれて底部43aとフランジ部42との間の幅が狭くなるような直角三角形状をなすとともに、その斜辺がフランジ部42との境界部分となっている。従って、図4に示すように、閉塞部43は、差込み方向X及びコネクタ接続部23の軸方向と直交する方向から見た形状が直角三角形状をなしている。また、図10に示すように、本実施形態の蓋体41は、コネクタハウジング22と一体成形されている。即ち、フランジ部42における側壁43bと隣り合う部位が、挿入開口部27aにおけるコネクタ接続部23と反対側の1辺に連結されている。そして、蓋体41は、この連結部分を屈曲させながらコネクタハウジング22に対して相対的に回動可能となっている。
図6(b)に示すように、このような蓋体41は、中継部材54、第2の接続端子51b、コネクタ端子32及び雑防素子53の端子における挿入開口部27aからコネクタハウジング22の外部に突出した部位を閉塞部43の内部に収容しつつ、フランジ部42を挿入開口端面27bに当接させている。そして、フランジ部42と挿入開口端面27bとは、超音波溶着により接合されている。尚、フランジ部42と挿入開口端面27bとが溶着されることにより、蓋体41と挿入開口端面27bとの間からコネクタハウジング22の内部に液体が浸入することが防止されている。
また、図5に示すように、コネクタハウジング22の外周面には、前記固定部12aに形成された4つの係止凸部12pと係合する4つの係止爪39が形成されている。係止爪39は、コネクタハウジング22における差込み方向Xと直交し且つコネクタ接続部23の軸方向と直交する方向の両端面に2つずつ形成されている。各係止爪39は、差込み方向Xに延設されるとともに、各係止爪39には、係止凸部12pを係止可能な係止孔39aが形成されている。
上記のように構成されたコネクタモジュール21は、接続開口部26aと固定部12aの差込み開口部12cと対向させた状態で、制御回路基板51を保持した基板保持部材35が差込み開口部12cから固定部12aの内部に挿入されるように、差込み方向Xに沿って固定部12aに差し込まれる。このとき、挿入案内部37に挿入案内凸部12kを挿入しながら基板保持部材35を固定部12aの内部に挿入することにより、基板保持部材35の固定部12aの内部への挿入が案内される。また、基板保持部材35は、第1の軸方向位置決め突部12mと第2の軸方向位置決め突部12nとの間に挿入されることにより、第1の軸方向位置決め突部12m及び第2の軸方向位置決め突部12nによっても固定部12aの内部への挿入が案内される。
そして、コネクタモジュール21は、接続開口端面26bに設けられたシール部材28が前記差込み開口端面12dに当接するまで差込み方向Xに移動されると、各係止爪39がそれぞれ係止凸部12pにスナップフィット係合する。これにより、各係止爪39の係止孔39a内に、それぞれ対応する係止凸部12pが配置される。このようにして、コネクタモジュール21は、係止爪39と係止凸部12pとの係合により固定部12aに対して差込み方向Xと反対方向に移動不能に固定されている。また、図4に示すように、それぞれ係止凸部12pに係止された4つの係止爪39は、ヨーク2及びギヤハウジング12よりもモータの厚さ方向に突出していない。即ち、全ての係止爪39は、モータの厚さの範囲内に収まるように形成されている。
また、コネクタモジュール21が固定部12aに固定された状態において、シール部材28は、差込み開口端面12dに密着している。従って、接続開口端面26bと差込み開口端面12dとの間からモータの内部に液体が浸入することが防止されている。
また、図2に示すように、コネクタモジュール21が固定部12aに固定された状態においては、挿入案内部37に挿入された挿入案内凸部12kによって、制御回路基板51を保持した基板保持部材35の固定部12aに対する周方向(回転軸4の周方向であって図2において左右方向)の位置決めがなされている。更に、同基板保持部材35は、第1の軸方向位置決め突部12m及び第2の軸方向位置決め突部12nによって回転軸4の軸方向の両側から挟持されている。そのため、これら第1の軸方向位置決め突部12m及び第2の軸方向位置決め突部12nによって固定部12aに対する基板保持部材35の軸方向(回転軸4の中心軸線L1方向)の位置決めがなされている。また、図3に示すように、固定部12a内に制御回路基板51が挿入されると、第1の接続端子51aが電機子3に給電可能に接続される(例えば、電機子3に摺接する図示しない給電ブラシと電気的に接続される)とともに、同制御回路基板51に備えられたホールIC52がセンサマグネット5と軸方向に対向する。
上記のように構成されたモータでは、コネクタ接続部23の差込み穴24に、電気信号の入力・出力や給電を行うための外部コネクタ(図示略)が差し込まれる。そして、コネクタ端子32を介して電機子3に給電されると、電機子3(回転軸4)が回転駆動される。そして、回転軸4の回転駆動力は、クラッチ14を介してウォーム軸15に伝達されるとともに、ウォーム部15a及びウォームホイール16にて減速されて出力軸17から出力される。すると、出力軸17の回転方向に応じて、該出力軸17に連結されたウインドレギュレータを介してウインドガラスが下降若しくは上昇される。
また、電機子3の回転駆動時には、回転軸4と共にセンサマグネット5が回転する。センサマグネット5の回転による磁界の変化が、制御回路基板51に備えられたホールIC52にて検出される。そして、ホールIC52は、センサマグネット5の回転による磁界の変化に応じた電気信号である回転検出信号を出力する。この回転検出信号に基づいて電機子3の回転情報(回転速度、回転角度等)が検出されるとともに、検出した回転情報に応じて電機子3への給電が行われる。
次に、本実施形態のコネクタモジュール21の製造方法を説明する。
まず、図11(a)に示すように、コネクタハウジング22を形成するコネクタハウジング形成工程(支持工程)が行われる。コネクタハウジング形成工程では、コネクタハウジング22を成形するための成形型(図示略)内に、複数のコネクタ端子32となる端子材料61を配置する。端子材料61は、コネクタハウジング22内に埋設される複数のコネクタ端子32同士を部分的に連結して一体化した形状をなしている。この端子材料61は、導電性の金属板材をプレス加工により所定の形状に打ち抜いた後に複数箇所を屈曲して形成されている。
そして、端子材料61が配置された成形型の内部に、溶融した絶縁性樹脂材料を充填する。尚、本実施形態のコネクタハウジング22には蓋体41が一体成形されるため、成形型には、コネクタハウジング22を形成するためのキャビティだけでなく該コネクタハウジング22に連結された状態の蓋体41を形成するためのキャビティも形成されている。
そして、成形型に充填された絶縁性樹脂材料が冷却されて固化すると、蓋体41が一体に形成されたコネクタハウジング22が形成される。成形型内のコネクタハウジング22及び蓋体41は、図11(a)に示すような位置関係となっている。即ち、蓋体41がコネクタハウジング22に対して90°開いた状態になっている。そのため、蓋体41の底部43a及び側壁43c,43dが差込み方向Xと平行をなすとともに、側壁43bが差込み方向Xと直交している。従って、蓋体41が一体成形されたコネクタハウジング22であっても、差込み方向X及び差込み方向Xと反対方向の2方向に成形型を移動させることにより、コネクタハウジング22及び蓋体41を成形型から容易に取り出すことができる。そして、図11(b)に示すように、成形型から取り出されたコネクタハウジング22は、その内部に端子材料61を埋設することにより当該端子材料61を支持している。また、同コネクタハウジング22では、端子材料61においてコネクタ端子32同士を連結している部位61aは、切断用貫通孔33と重なることにより、コネクタハウジング22を構成する樹脂材料に埋設されることなく該切断用貫通孔33から露出している。
次いで、端子材料61を分離してコネクタ端子32を形成する端子切断工程が行われる。端子切断工程では、プレス加工により端子材料61におけるコネクタ端子32同士を連結している部位61aを切断する。プレス加工に用いられるダイ(図示略)にコネクタハウジング22を載置した後に、切断用貫通孔33内にパンチを挿入して端子材料61におけるコネクタ端子32同士を連結している部位61aを切断する。これにより、各コネクタ端子32が分離される。尚、端子切断工程において、ダイは、接続開口部26a及び挿入開口部27aの何れか一方の開口部からコネクタハウジング22の内部に挿入され、パンチは、何れか他方の開口部からコネクタハウジング22の内部に挿入される。
次いで、図12に示すように、コネクタブーツ25を形成するコネクタブーツ形成工程が行われる。コネクタブーツ形成工程では、蓋体41が一体成形されたコネクタハウジング22を、コネクタブーツ25を成形するための成形型内に配置する。そして、溶融したエラストマを当該成形型内に充填する。その後、成形型内のエラストマが冷却されて固化することにより、コネクタハウジング22にコネクタブーツ25が一体成形される。尚、コネクタブーツ形成工程では、コネクタブーツ25の成形と同時に、接続開口端面26bにシール部材28が一体成形される。
次いで、コネクタハウジング22に制御回路基板51を挿入する制御回路基板挿入工程(配置工程)が行われる。制御回路基板51を、第1の接続端子51a側の端部から差込み方向Xに沿って、基板位置決め凸部38に当接するまで基板保持部材35の内部に挿入する。これにより、制御回路基板51は、基板保持部材35によってコネクタハウジング22に対して保持された状態となる。
次いで、中継部材54をコネクタハウジング22に対して配置する中継部材配置工程が行われる。中継部材配置工程では、図9及び図12に示すように、まず、中継部材54を、挿入開口部27aと対向する位置に、差込み方向Xと直交するように(即ち、中継部材54の厚さ方向が差込み方向Xと平行をなすように)配置する。尚、中継部材54には、予め2つの雑防素子53が電気的に接続されている。そして、中継部材54を、位置決め面30に当接するまで差込み方向Xに移動させる。このとき、複数の第2の接続端子51bが複数の第1のスルーホール54aにそれぞれ挿入されるとともに、複数のコネクタ端子32が複数の第2のスルーホール54bにそれぞれ挿入される。同時に、2つの雑防素子53が素子収容部27c内に挿入される。また、中継部材54は、位置決めピン31を弾性変形させながら位置決め凸部31aを乗り越えて位置決め面30に当接することにより、位置決め面30と位置決めピン31とによって挟持される。こうして、中継部材54は、コネクタハウジング22に対して支持される。
コネクタハウジング22に対して挿入開口部27aから配置された中継部材54は、基板保持部材35に保持された制御回路基板51と直角をなすとともに、差込み方向Xと直交している(即ち、中継部材54の厚さ方向と差込み方向Xとが平行をなしている)。尚、中継部材54に実装される全ての電子部品(即ち、制御回路基板51、雑防素子53等)は、中継部材54よりも挿入凹部27の底面側に位置している。
次いで、制御回路基板51の第2の接続端子51b及びコネクタ端子32と中継部材54とを電気的に接続する半田付け工程(接続工程)が行われる。半田付け工程では、第2の接続端子51b及びコネクタ端子32と中継部材54とをそれぞれ半田付けする。このとき、図6(b)に示すように、挿入開口端面27bは、コネクタ接続部23の軸方向に沿って同コネクタ接続部23から遠ざかるに連れて接続開口部26aとの間の距離が短くなるように傾斜している。そのため、第2の接続端子51b、コネクタ端子32及び中継部材54は、挿入開口部27aからコネクタハウジング22の外部に突出(露出)している。従って、半田付けをする箇所が挿入開口部27aからコネクタハウジング22の外部に露出しているため、露出しているため、半田付けを行い易い。こうして、制御回路基板51の第2の接続端子51b及びコネクタ端子32と中継部材54とが半田により電気的に接続される。
次いで、挿入開口部27aを蓋体41にて閉塞する蓋体装着工程が行われる。蓋体装着工程では、まず、コネクタハウジング22に対して蓋体41を回動させて同蓋体41にて挿入開口部27aを閉塞する。そして、互いに当接したフランジ部42と挿入開口端面27bとを超音波溶着により接合する。これにより、コネクタハウジング22に対して蓋体41が液密に固定される。こうして、コネクタモジュール21が完成する。
上記したように、本第1実施形態によれば、以下の作用効果を有する。
(1)コネクタハウジング形成工程では、成形型内に端子材料61を配置して該端子材料61をコネクタハウジング22の内部に埋設することにより、端子材料61をコネクタハウジング22に対して支持する。そのため、互いに分離した複数のコネクタ端子32をそれぞれコネクタハウジング22に対して支持する場合よりも、コネクタハウジング22に対するコネクタ端子32の支持を容易に行うことができる。また、端子切断工程では、接続開口部26aと挿入開口部27aとの2つの開口部を利用して、切断用貫通孔33から端子材料61を切断することにより、コネクタハウジング22の内部で端子材料61を切断することができる。従って、コネクタハウジング22及び端子材料61が複雑な形状となることを抑制することができるとともに、端子材料61におけるコネクタ端子32同士を連結している部位61aを容易に切断することができる。更に、コネクタ端子32と中継部材54との電気的な接続は、コネクタ端子32及び中継部材54がコネクタハウジング22に対して支持された状態で行われるため、容易に行われる。これらのことから、コネクタモジュール21を容易に製造することができる。
(2)中継部材配置工程では、コネクタハウジング22に対する中継部材54の支持は、ギヤハウジング12にて閉塞される接続開口部26aとは異なる挿入開口部27aから行われる。従って、中継部材配置工程において中継部材54をコネクタハウジング22に対して配置する際に、コネクタモジュール21においてギヤハウジング12に差し込まれる部位が邪魔になりにくい。また、半田付け工程の後に挿入開口部27aが蓋体41にて閉塞されるため、コネクタ端子32と中継部材54との電気的な接続部分が保護される。しかも、切断用貫通孔33は、接続開口部26a及び挿入開口部27aに連通するように形成されているため、蓋体41にて挿入開口部27aを閉塞すると、同蓋体41によって切断用貫通孔33の挿入開口部27a側の開口部が閉塞されることになる。一方、切断用貫通孔33の接続開口部26a側の開口部は、コネクタモジュール21がギヤハウジング12に差し込まれたときに同ギヤハウジング12によって閉塞されることになる。従って、接続開口部26aと挿入開口部27aとの2つの開口部を有するコネクタハウジング22を備えたコネクタモジュール21において、切断用貫通孔33からコネクタハウジング22の内部に液体が浸入することが防止される。更に、挿入開口部27aと切断用貫通孔33の挿入開口部27a側の開口部とを蓋体41にて同時に閉塞することができるため、より容易にコネクタモジュール21を製造することができる。
(3)半田付け工程では、コネクタ端子32と中継部材54との電気的な接続と、制御回路基板51と中継部材54との電気的な接続とを同時に行うことができるため、更に容易にコネクタモジュール21を製造することができる。また、コネクタ端子32と中継部材54との電気的な接続、及び制御回路基板51と中継部材54との電気的な接続にかかる時間を短縮できるため、生産性を向上させることができる。その結果、コネクタモジュール21の製造コストをより低減することができる。
(4)挿入開口端面27bと蓋体41の外周縁部(即ちフランジ部42)とが溶着されると、挿入開口端面27bと蓋体41との溶着部分によって挿入開口端面27bと蓋体41との間が液密にシールされる。従って、挿入開口端面27bと蓋体41との間に別途シール部材を設けなくとも、挿入開口部27aからコネクタハウジング22の内部へ液体が浸入することを防止できる。
(第2実施形態)
以下、本発明を具体化した第2実施形態を図面に従って説明する。尚、上記第1実施形態と同一の構成には同一の符号を付してその説明を省略する。
図13に示す本第2実施形態のコネクタモジュール81は、上記第1実施形態のコネクタモジュール21に代えてモータに備えられるものである。コネクタモジュール81を構成するコネクタハウジング82は、絶縁性の樹脂材料にて形成されるとともに、略直方体状をなしている。そして、コネクタハウジング82の一側面(図13において左側面)には、コネクタ接続部23が形成されている。このコネクタ接続部23の軸線L2は差込み方向Xと平行をなしている。また、コネクタ接続部23の径方向の中央部には、該コネクタ接続部23からコネクタハウジング82の内部にまで延びる差込み穴24が凹設されるとともに、同コネクタ接続部23は、コネクタブーツ25によってその外周が囲まれている。コネクタブーツ25は、コネクタハウジング82に一体成形されている。
また、コネクタハウジング82における差込み方向側の端部(図13において手前側の端部)には、差込み方向Xと平行に凹設された接続凹部83が形成されている。接続凹部83の接続開口部83aは、差込み方向X側に開口するとともに、前記差込み開口部12c(図5参照)よりも、差込み方向X及びコネクタ接続部23の軸線L2と直交する方向に長い四角形状をなしている。また、この接続凹部83の開口端面83b(以下、接続開口端面83bとする)は、差込み方向Xと直交する(即ちコネクタ接続部23の軸線L2と平行をなす)とともに、同接続開口端面83bにはシール部材28が一体成形されている。
また、図15に示すように、接続凹部83の内部には、該接続凹部83の底面から差込み方向Xに沿って接続開口部83a側に突出する端子保持部84が形成されている。尚、図15において差込み方向Xは紙面垂直方向であって、紙面奥側から手前側に向かう方向である。端子保持部84は、差込み方向X及びコネクタ接続部23の軸線L2と直交する方向(図15において上下方向)に接続凹部83の内部空間を2つに区画するように形成されている。そして、接続凹部83には、端子保持部84が設けられたことにより、端子保持部84の一方側(図15において下側)に基板挿入部83cが形成されるとともに、端子保持部84の他方側(図15において上側)に素子収容部83dが形成されている。
また、端子保持部84におけるコネクタ接続部23側の約半分の部位である位置決め部84aは、同端子保持部84におけるコネクタ接続部23と反対側の約半分の部位である端子突出部84bよりも高く(接続開口部83a側への突出量が多く)形成されている。更に、位置決め部84aの先端面は差込み方向Xと直交するとともに、端子突出部84bの先端面も差込み方向Xと直交している。また、端子突出部84bの四角形状をなす先端面には、その隅に、円柱状をなす位置決め凸部84cが形成されている。位置決め凸部84cの先端面は差込み方向Xと直交している。
また、コネクタハウジング82には、複数本(本実施形態では7本)のコネクタ端子32がインサート成形により埋設されている。図16(a)及び図16(b)に示すように、これらのコネクタ端子32は、差込み穴24の内部からコネクタ接続部23の軸線L2方向に沿ってコネクタハウジング82における端子保持部84内に延びた後に、90°に屈曲されて端子突出部84bの内部を差込み方向Xに沿って延びている。即ち、各コネクタ端子32は、その長手方向の1箇所のみが屈曲されたL字状をなしている。また、各コネクタ端子32におけるコネクタ接続部23側の端部は、差込み穴24の底面から差込み穴24の内部空間に突出するとともに、各コネクタ端子32における端子保持部84側の端部は端子突出部84bの先端面から接続凹部83内に突出している。そして、これらのコネクタ端子32は、互いに離間した状態でコネクタハウジング82によって保持されている。
また、図14及び図15に示すように、コネクタハウジング82には、差込み方向Xに沿ってコネクタハウジング22を貫通する複数(本実施形態では5個)の切断用貫通孔33が形成されている。各切断用貫通孔33は、端子突出部84bの先端面からコネクタハウジング82における接続開口部83aと反対側の端面まで該コネクタハウジング82を貫通している。従って、切断用貫通孔33は、コネクタハウジング82の外部とコネクタハウジング82の内部(即ち接続凹部83の内部)とを連通している。また、各切断用貫通孔33は、複数の前記コネクタ端子32間に形成されている。更に、図14に示すように、コネクタハウジング82における接続開口部83aと反対側の端部には、複数の切断用貫通孔33の開口部を含む領域に埋設凹部86が形成されている。埋設凹部86は、コネクタ接続部23の軸線L2方向に沿って延びる溝状をなしている。この埋設凹部86には、エラストマよりなり切断用貫通孔33を閉塞するシール部材87が充填されている。従って、このシール部材87によって、切断用貫通孔33からコネクタハウジング82の内部に液体が浸入することが防止されている。尚、シール部材87は、コネクタハウジング82と一体成形されるとともに、コネクタブーツ25と一体的に形成されている。また、コネクタハウジング82の外周面には4つの係止爪39が形成されている。
図16(a)及び図16(b)に示すように、接続凹部83には、制御回路ユニット91が収容されている。図17(a)に示すように、制御回路ユニット91は、中継部材54と、該中継部材54に接続された制御回路基板51及び2つの雑防素子53と、制御回路基板51を保持する基板保持部材92とから構成されている。
基板保持部材92は、絶縁性の樹脂材料にて形成されるとともに、制御回路基板51の外形に対応した略四角筒状をなしている。図16(b)に示すように、この基板保持部材92の厚さは、基板挿入部83cにおける差込み方向X及びコネクタ接続部23の軸線L2と直交する方向(図16(b)において上下方向)の幅よりも若干厚く形成されている。また、基板保持部材92における厚さ方向の両側壁92a,92bのうち一方の側壁92a(図16(b)において下側の側壁)の中央部には、挿入案内部37が形成されている。更に、他方の側壁92bの先端面の中央部には基板位置決め凸部38が形成されている。
また、図17(a)に示すように、基板保持部材92の基端面は、基板保持部材92の長手方向と直交する平面状をなしている。そして、この基板保持部材92の基端面には、2つの保持突起92cが突出形成されている。2つの保持突起92cのうち一方の保持突起92cは側壁92aの基端面に形成されるとともに、他方の保持突起92cは側壁92bの基端面に形成されている。また、これらの2つの保持突起92cは、それぞれ円柱状をなしている。
更に、基板保持部材92の基端部には位置決め切欠き部92dが形成されている。位置決め切欠き部92dは、図16(b)及び図17(a)に示すように、基板保持部材92において基板保持部材92が接続凹部83内に挿入されたときに位置決め部84aと対向する部位を切欠いた形状をなしている。そして、位置決め切欠き部92dの底面92eは、中継部材54と平行な平面状をなしている。
制御回路基板51は、第1の接続端子51aが基板保持部材92の先端側に配置されるように、基板保持部材92の基端部から同基板保持部材92の内部に挿入されている。そして、制御回路基板51は、基板保持部材92の内部で基板位置決め凸部38に当接することにより、基板保持部材92に対する挿入方向の位置決めがなされている。
また、図17(b)に示すように、前記中継部材54には、第1のスルーホール54aの近傍に、2つの突起挿入孔54dが形成されている。複数の第1のスルーホール54aと2つの突起挿入孔54dとの位置関係は、基板保持部材92に挿入された制御回路基板51の複数の第2の接続端子51bと2つの保持突起92cとの位置関係と等しく形成されている。また、各突起挿入孔54dの内径は、保持突起92cの外径と略等しく形成されている。
基板保持部材92に挿入された制御回路基板51は、複数の第2の接続端子51bを中継部材54の複数の第1のスルーホール54aにそれぞれ挿入するとともに、2つの保持突起92cをそれぞれ突起挿入孔54dに挿入した状態で中継部材54に対して配置されている。そして、図18に示すように、中継部材54は、制御回路基板51と直角をなすように配置されている。また、複数の第2の接続端子51bは、半田によって中継部材54に電気的に接続されている。更に、基板保持部材92の基端面が中継部材54に当接することにより、基板保持部材92によって制御回路基板51の中継部材54に対する傾倒が抑制されている。また、図17(a)及び図17(b)に示すように、2つの保持突起92cがそれぞれ突起挿入孔54dに挿入されることにより、中継部材54に対する該中継部材54の平面方向の制御回路基板51の移動が阻止されている。
また、2つの前記雑防素子53の端子は、第3のスルーホール54cにそれぞれ挿通されるとともに、半田によって中継部材54に電気的に接続されている。尚、2つの雑防素子53は、中継部材54に対して、該中継部材54の厚さ方向の両側のうち制御回路基板51が配置された側と同じ側に配置されている。
図13に示すように、このような制御回路ユニット91は、中継部材54が接続凹部83の底部側、且つ制御回路基板51及び雑防素子53が接続開口部83a側となるように、差込み方向Xと平行な方向に沿って接続凹部83内に挿入されている。そして、中継部材54は、差込み方向Xと平行な方向から位置決め凸部84c(図15参照)に当接することによりコネクタハウジング82に対する差込み方向Xの位置決めがなされている。更に、各第2のスルーホール54bには、端子突出部84b(図15参照)から突出したコネクタ端子32がそれぞれ挿入されている。そして、第2のスルーホール54bにそれぞれ挿入されたコネクタ端子32は、半田により中継部材54に電気的に接続されている。
また、制御回路基板51を保持した基板保持部材92の基端部は、基板挿入部83cに挿入されている。そのため、基板保持部材92は、基板挿入部83cの内周面によって、コネクタハウジング82に対するコネクタ接続部23の軸線L2方向及び差込み方向Xと直交する方向の移動、及びコネクタ接続部23の軸線L2方向の移動が規制されている。従って、制御回路基板51は、基板保持部材92によってコネクタハウジング82に対して保持されている。更に、図13及び図18に示すように、位置決め部84aにおける制御回路基板51と隣接する部位が、位置決め切欠き部92dの内部に挿入されている。そして、位置決め部84aの先端面が位置決め切欠き部92dの底面92eに当接することにより、基板保持部材92のコネクタハウジング82に対する差込み方向Xと平行な方向の移動が規制されている。また、コネクタハウジング82に対して配置された制御回路基板51における第1の接続端子51a側の端部は、接続開口部83aからコネクタハウジング82の外部に突出している。
上記のように構成されたコネクタモジュール81は、図13及び図5に示すように、制御回路基板51を保持した基板保持部材92を該基板保持部材92の先端側から差込み開口部12cに挿入しつつ、差込み方向Xに沿って固定部12aに差し込まれる。このとき、基板保持部材92の挿入案内部37には、挿入案内凸部12kが挿入されるとともに、基板保持部材92は、第1の軸方向位置決め突部12mと第2の軸方向位置決め突部12nとの間に挿入される。また、接続開口端面83bに設けられたシール部材28が固定部12aにおける差込み開口部12cの外周に密着する。そして、コネクタハウジング82の4つの係止爪39がギヤハウジング12の係止凸部12pにスナップフィット係合することによりコネクタモジュール81がギヤハウジング12に固定される。
次に、本実施形態のコネクタモジュール81の製造方法を説明する。
まず、図19(a)及び図19(b)に示すように、コネクタハウジング82を形成するコネクタハウジング形成工程が行われる。コネクタハウジング形成工程(支持工程)では、コネクタハウジング82を成形するための成形型(図示略)内に端子材料61を配置する。そして、端子材料61が配置された成形型の内部に、溶融した絶縁性樹脂材料を充填する。成形型に充填された絶縁性樹脂材料が冷却されて固化すると、端子材料61を支持したコネクタハウジング82が形成される。形成されたコネクタハウジング82においては、端子材料61におけるコネクタ端子32同士を連結している部位61aは、切断用貫通孔33と重なることにより、コネクタハウジング82を構成する樹脂材料に埋設されることなく該切断用貫通孔33から露出している。
次いで、端子材料61を分離してコネクタ端子32を形成する端子切断工程が行われる。この端子切断工程は、上記第1実施形態と同様に、プレス加工に用いられるダイ(図示略)にコネクタハウジング82を載置した後に、切断用貫通孔33内にパンチを挿入して端子材料61におけるコネクタ端子32同士を連結している部位61aを切断する。即ち、端子材料61におけるコネクタ端子32同士を連結している部位61aは、接続開口部83aと切断用貫通孔33の外側開口部とから切断される。
次いで、コネクタブーツ25を形成するコネクタブーツ形成工程(防水部材形成工程)が行われる。コネクタブーツ形成工程では、コネクタブーツ25を成形するための成形型内にコネクタハウジング82を配置した後に、溶融したエラストマを成形型内に充填する。そして、成形型内のエラストマが冷却されて固化することにより、図14に示すように、コネクタハウジング82にコネクタブーツ25が一体成形される。尚、コネクタブーツ形成工程では、コネクタブーツ25の成形と同時に、接続開口端面83bにシール部材28が一体成形されるとともに、埋設凹部86内にエラストマが充填されてシール部材87が形成される。
次いで、図17(a)及び図17(b)に示すように、制御回路ユニット91を形成する制御回路ユニット形成工程が行われる。制御回路ユニット形成工程では、まず、制御回路基板51を基板保持部材92の内部に挿入する。その後、基板保持部材92にて保持された制御回路基板51の第2の接続端子51bを、中継部材54の厚さ方向から、同中継部材54の第1のスルーホール54aに挿入する。このとき、基板保持部材92の基端面が中継部材54を当接させるとともに、同基板保持部材92の2つの保持突起92cを中継部材54の突起挿入孔54d内に挿入することにより、制御回路基板51が中継部材54に対して支持される。更に、制御回路基板51は中継部材54と直角をなす。また、中継部材54の2対の第3のスルーホール54cに、中継部材54の厚さ方向から雑防素子53の端子をそれぞれ挿入する。このとき、2つの雑防素子53は、中継部材54の厚さ方向の両面のうち、制御回路基板51が配置された側の面上に配置される。そして、第2の接続端子51b及び雑防素子53の端子を、中継部材54に電気的に接続する半田付けが行われる。こうして、制御回路ユニット91が完成する。尚、制御回路基板51及び雑防素子53を中継部材54に組み付ける順序は適宜変更してもよい。
次いで、コネクタハウジング22に制御回路ユニット91を挿入する制御回路ユニット挿入工程(支持工程及び配置工程)が行われる。制御回路ユニット挿入工程では、図13に示すように、制御回路ユニット91を、中継部材54が差込み方向Xと直交した状態を維持しつつ、該中継部材54から差込み方向Xと反対方向に接続凹部83の内部に挿入する。制御回路ユニット91は、端子突出部84bから突出した複数のコネクタ端子32を中継部材54の第2のスルーホール54bに挿入しつつ、中継部材54が位置決め凸部84c(図15参照)に当接するまで、差込み方向Xと反対方向にコネクタハウジング82に対して相対移動される。中継部材54が位置決め凸部84cに当接すると、制御回路基板51を保持した基板保持部材92の基端部が基板挿入部83cに挿入される。それと同時に、図13及び図18に示すように、位置決め部84aにおける制御回路基板51と隣り合う部位が位置決め切欠き部92d内に挿入されて位置決め切欠き部92dの底面92eに当接する。更に、2つの雑防素子53は素子収容部83d内に収容される。そして、図16(a)に示すように、コネクタハウジング82の内部では、中継部材54は、差込み方向Xと直交する(即ち、中継部材54の厚さ方向と差込み方向Xとが平行をなす)とともに、制御回路基板51と直角をなしている。また、中継部材54は、位置決め凸部84cと、基板挿入部83cに挿入された基板保持部材92とによって、コネクタハウジング82に対して支持されている。
次いで、コネクタ端子32と中継部材54とを電気的に接続する端子接続工程(接続工程)が行われる。端子接続工程では、コネクタ端子32と中継部材54とを接続開口部83aから半田によって電気的に接続する。こうして、コネクタモジュール81が完成する。
上記したように、本第2実施形態によれば、以下の作用効果を有する。
(1)コネクタハウジング形成工程では、成形型内に端子材料61を配置して該端子材料61をコネクタハウジング82の内部に埋設することにより、端子材料61をコネクタハウジング82に対して支持する。そのため、互いに分離した複数のコネクタ端子32をそれぞれコネクタハウジング82に対して支持する場合よりも、コネクタハウジング82に対するコネクタ端子32の支持を容易に行うことができる。また、端子切断工程では、接続開口部83aと切断用貫通孔33の外側開口部との2つの開口部を利用することにより、コネクタハウジング82の内部で端子材料61の切断を行うことができる。従って、コネクタハウジング82及び端子材料61が複雑な形状となることを抑制することができるとともに、端子材料61を容易に切断することができる。更に、コネクタ端子32と中継部材54との電気的な接続は、コネクタ端子32及び中継部材54がコネクタハウジング82に対して支持された状態で行われるため、容易に行われる。これらのことから、コネクタモジュール81を容易に製造することができる。
(2)切断用貫通孔33は、コネクタハウジング82の外部と接続凹部83の内部とを連通するように形成されているため、端子切断工程において、端子材料61におけるコネクタ端子32同士を連結している部位61aを、コネクタハウジング22の外部とコネクタハウジング22の内部(即ち接続凹部83の内部)とから容易に切断することができる。
(3)コネクタブーツ形成工程において、シール部材87によって切断用貫通孔33が閉塞されるため、切断用貫通孔33からコネクタハウジング82の内部に液体が浸入することが防止される。また、当該シール部材87は、コネクタブーツ形成工程においてコネクタブーツ25と同時に形成されるため、同シール部材87による切断用貫通孔33の閉塞を容易に行うことができる。
(4)コネクタブーツ25、シール部材28及びシール部材87は一体化されているため、コネクタブーツ25、シール部材28及びシール部材87をコネクタハウジング22に一体成形するための製造装置が複雑な構成となることが抑制される。その結果、コネクタブーツ25、シール部材28及びシール部材87を形成するための製造設備にかかるコストを低減することができる。
(5)コネクタハウジング82には、上記第1実施形態の蓋体41による閉塞を必要とする開口部を備えていない。従って、コネクタモジュール81の部品点数を減少させることができるため、製造コストを低減することができる。
尚、本発明の各実施形態は、以下のように変更してもよい。
・上記第2実施形態では、コネクタブーツ形成工程において、コネクタブーツ25をコネクタハウジング82に一体成形すると同時に、切断用貫通孔33をシール部材87にて閉塞する。しかしながら、コネクタブーツ25の形成と、シール部材87による切断用貫通孔33の閉塞とは別々に行われてもよい。また、切断用貫通孔33は、コネクタハウジング82に一体成形されるシール部材87に限らず、コネクタハウジング82と別体で形成されて切断用貫通孔33に嵌め込まれる蓋によって閉塞されてもよい。
・上記各実施形態では、コネクタブーツ25、シール部材28及びシール部材87は、何れもエラストマにて形成されている。しかしながら、コネクタブーツ25、シール部材28及びシール部材87は、エラストマ以外の弾性を有する材料(ゴム等)にて形成されてもよい。また、コネクタブーツ25、シール部材28及びシール部材87は、それぞれ別体で形成されてもよい。
・上記第1実施形態では、蓋体41は、超音波溶着によって挿入開口端面27bに接合されている。しかしながら、蓋体41は、レーザ溶着によって挿入開口端面27bに接合されてもよい。このようにしても、上記第1実施形態の(4)と同様の作用効果を得ることができる。また、蓋体41は、必ずしも溶着によってコネクタハウジング22に固定されなくてもよい。例えば、蓋体41に係合爪を形成するとともにコネクタハウジング22に係合凸部を形成して、当該係合爪と当該係合凸部とをスナップフィット係合させることにより蓋体41をコネクタハウジング22に固定してもよい。
・上記第1実施形態では、挿入開口端面27bに蓋体41のフランジ部42が溶着されることにより、挿入開口端面27bと蓋体41との間がシールされている。しかしながら、挿入開口端面27bとフランジ部42との間にシール部材を介在させることにより、挿入開口端面27bと蓋体41との間を液密にシールしてもよい。この場合、挿入開口端面27b及びフランジ部42の少なくとも一方にシール部材を一体成形すると、部品点数が減少される。更に、コネクタハウジング22に対して制御回路基板51等を組み付ける際に、当該シール部材がコネクタハウジング22若しくは蓋体41から脱落しないため、コネクタモジュール21の製造、並びにコネクタハウジング22への蓋体41の固定を一層容易に行うことができる。尚、このシール部材は、コネクタハウジング22及び蓋体41と別体で設けられてもよい。
・蓋体41の形状は、上記第1実施形態の形状に限らない。挿入開口部27aを閉塞可能な形状であればよい。
・上記第1実施形態では、第2の接続端子51b、コネクタ端子32及び雑防素子53の端子と中継部材54とは同時に電気的に接続される。しかしながら、第2の接続端子51b、コネクタ端子32及び雑防素子53の端子と中継部材54とは、必ずしも同時に接続されなくてもよい。
・上記第1実施形態では、蓋体41は、コネクタハウジング22と一体成形されている。しかしながら、蓋体41は、コネクタハウジング22とは別体で形成されてもよい。
・上記第1実施形態では、挿入開口端面27bは、第2の接続端子51bと中継部材54との接続部分を挿入開口部27aからコネクタハウジング22の外部に突出させるように差込み方向Xに対して傾斜している。しかしながら、挿入開口端面27bは、第2の接続端子51bと中継部材54との接続部分が挿入開口部27aからコネクタハウジング22の外部に突出しない程度に差込み方向Xに対して傾斜していてもよい。また、挿入開口端面27bは、差込み方向Xと直交するように形成されてもよい。
・上記第1実施形態では、接続凹部26及び挿入凹部27は、差込み方向Xと平行に凹設されている。しかしながら、挿入凹部27は、必ずしも差込み方向Xと平行に凹設されなくてもよい。また、挿入開口部27aは、コネクタハウジング22が有する複数の側面のうちどの側面に形成されてもよい。
・上記第1実施形態では、コネクタハウジング22には、中継部材54を支持する位置決め面30及び位置決めピン31が形成されている。しかしながら、中継部材54を支持するべくコネクタハウジング22に設けられる支持部の構成は、これに限らない。例えば、位置決め面30に、差込み方向Xと平行に延びるかしめピンを形成してもよい。この場合、中継部材54には、該中継部材54を厚さ方向に貫通するかしめ孔が形成されるとともに、当該かしめ孔にはかしめピンが挿通される。そして、かしめピンの先端部が熱かしめにより潰されると、中継部材54は、当該かしめピンによって、コネクタハウジング22に対して該中継部材54の平板方向に移動不能、且つ差込み方向Xと平行な方向に移動不能に支持される。また、第2実施形態のコネクタハウジング82に、中継部材54を支持する位置決め面30及び位置決めピン31を形成したり、かしめピンを形成したりしてもよい。
・上記各実施形態では、第2の接続端子51b、コネクタ端子32及び雑防素子53の端子は、中継部材54に半田により電気的に接続されている。しかしながら、第2の接続端子51b、コネクタ端子32及び雑防素子53の端子と中継部材54との電機的な接続は半田付けに限らない。例えば、プレスフィット端子を使用してもよい。尚、プレスフィット端子を使用する場合には、中継部材配置工程が接続工程を兼ねる。また、第2の接続端子51b、コネクタ端子32及び雑防素子53の端子と中継部材54とを溶接により電気的に接続してもよい。
・上記各実施形態のコネクタハウジング形成工程では、成形型内に端子材料61を配置する。しかしながら、コネクタハウジング形成工程では、端子材料61がインサート成形されていないコネクタハウジング22,82を形成してもよい。この場合、コネクタハウジング形成工程の後に、形成されたコネクタハウジング22,82に対して端子材料61を支持する支持工程が行われる。
・上記第2実施形態において、制御回路ユニット形成工程は、コネクタハウジング成形工程、端子切断工程及びコネクタブーツ形成工程と同時進行で行われてもよい。
・上記各実施形態の端子切断工程では、端子材料61におけるコネクタ端子32同士を連結している部位61aをダイとパンチとによって切断している。しかしながら、第1実施形態の端子切断工程では、接続開口部26a及び挿入開口部27aの何れか一方の開口部から切断用治具(カッター等)を挿入して端子材料61におけるコネクタ端子32同士を連結している部位61aを切断してもよい。また、第2実施形態の端子切断工程では、接続開口部83a及び切断用貫通孔33の外側開口部の何れか一方の開口部から切断用治具(カッター等)を挿入して端子材料61におけるコネクタ端子32同士を連結している部位61aを切断してもよい。
・上記各実施形態では、コネクタ端子32はL字状をなしている。しかしながら、コネクタ端子32は、コネクタ部Cと中継部材54との位置関係に応じて、適宜その形状が変更されてもよい。また、コネクタ端子32の本数も7本に限らず、6本以下若しくは8本以上であってもよい。
・上記第1実施形態では、制御回路基板51、雑防素子53及び中継部材54は、コネクタハウジング22に対して何れも差込み方向Xから(挿入開口部27a側から)組み付けられている。しかしながら、コネクタハウジング22に対する制御回路基板51、雑防素子53及び中継部材54の組付け方向は、差込み方向Xに限らない。制御回路基板51、雑防素子53及び中継部材54は、コネクタハウジング22の形状に応じて、差込み方向Xと反対方向から(接続開口部26a側から)コネクタハウジング22に組み付けられてもよい。
・上記各実施形態において、シール部材28は、コネクタハウジング22,82と別体に形成されてもよい。また、シール部材28は、差込み開口端面12dに一体に形成されてもよい。また、モータは、必ずしもシール部材28を備えなくてもよい。
・上記各実施形態では、中継部材54に実装される全ての電子部品(制御回路基板51及び雑防素子53)は、中継部材54における差込み方向X側の面に全て配置されている。しかしながら、各電子部品は、中継部材54の厚さ方向の両面のうち何れの面に配置されてもよい。
・上記各実施形態では、中継部材54は、差込み方向Xと直交するように配置されている。しかしながら、中継部材54は、制御回路基板51に対して直角をなすように且つ差込み方向Xと平行をなすように配置されてもよい。また、中継部材54は、必ずしも制御回路基板51と直角をなすように配置されなくてもよい。例えば、中継部材54は、制御回路基板51と平行に配置されてもよい。
・上記各実施形態の制御回路基板51は、複数の電子部品が実装された回路基板を絶縁性の樹脂材料にて被覆して形成されている。しかしながら、制御回路基板51の構成はこれに限らない。例えば、制御回路基板51は、複数の電子部品が実装された平板状の回路基板(絶縁性の樹脂材料にて被覆されていない)であってもよい。また、制御回路基板51は、必ずしも平板状でなくてもよい。
・上記各実施形態の中継部材54は、平板状のプリント基板である。しかしながら、中継部材54を平板状とする場合、制御回路基板51とコネクタ部Cとを電気的に接続可能な部材であれば、該中継部材54はプリント基板に限らない。例えば、中継部材54は、複数のターミナル端子を絶縁性の樹脂材料にてモールドして形成された平板状の部材であってもよい。また、中継部材54は、線材よりなるものであってもよい。例えば、中継部材54は、複数の線材よりなるフラットケーブルであってもよい。そして、中継部材54を線材にて構成すると、中継部材54を小型化することができるため、コネクタモジュール21において中継部材54に要するスペースをより小さくすることができる。
・ギヤハウジング12における差込み開口部12cの形成位置及び開口方向は上記各実施形態のものに限らない。例えば、差込み開口部12cは、減速機構収容部12bに形成されてもよい。また、差込み開口部12cはヨーク2に形成されてもよい。
・上記各実施形態において、モータは、必ずしも減速部11を備えなくてもよい。また、上記各実施形態のモータは、パワーウインド装置以外の装置の駆動源として用いられてもよい。
上記各実施形態及び上記各変更例から把握できる技術的思想を以下に記載する。
(イ)請求項2又は請求項3に記載のコネクタモジュールの製造方法において、前記蓋体装着工程では、前記第2の開口部の開口端面に、前記蓋体の外周縁部を溶着することを特徴とするコネクタモジュールの製造方法。同構成によれば、第2の開口部の開口端面と蓋体の外周縁部とが溶着されると、第2の開口部の開口端面と蓋体との溶着部分によって第2の開口部の開口端面と蓋体との間が液密にシールされる。従って、第2の開口部の開口端面と蓋体との間に別途シール部材を設けなくとも、第2の開口部からコネクタハウジングの内部へ液体が浸入することを防止できる。