JP2012106201A - 撹拌装置 - Google Patents

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【課題】撹拌槽内に配置される軸受の潤滑性および耐摩耗性を向上させて長寿命化が可能な撹拌装置を提供する。
【課題を解決するための手段】撹拌液Lを収容可能な撹拌槽2内に軸受7を介して回転自在に配設される撹拌翼4を有する撹拌装置1であり、撹拌槽2外に設けられて駆動源からの駆動力に基づいて回転する駆動側ロータ91及び撹拌槽2内にて前記撹拌翼4に連結される従動側ロータ92を備えて駆動側ロータ91と従動側ロータ92との間を隔壁を介して非接触結合させる磁気カップリング機構9と、前記撹拌翼4と共に回転する回転翼8と、を有し、前記回転翼8によって負圧を発生させ、当該負圧により前記軸受7の摺動する部位に撹拌液Lを吸引する。
【選択図】図2

Description

本発明は、医薬、食品、化粧品、ファインケミカル、石油化学等の各業界で用いられる撹拌装置に関する。
今般、医薬、食品、化粧品、ファインケミカル、石油化学等の各業界では、撹拌装置を用いた撹拌処理が多岐に亘り行われている。
撹拌装置は、通常、液体を収容する撹拌槽内に撹拌翼を回転自在に配設されており、撹拌翼を回転させることで、槽内の液体の停滞による濃度変化を抑制し、かつ槽の底部に固形物が沈殿することを抑制している。このような翼を保持する回転軸には、槽の外部の駆動源から動力が伝達されるが、軸の摺動部からの液体の漏洩を防ぐために、軸シールとしてグランドパッキングシールやメカニカルシールが使用されている。しかしながら、構造的に摺動部が存在する以上は液体の漏洩を完全に防ぐことは困難であり、漏洩の量は撹拌槽の規模にもよるが、経済的損失が大きい。また、引火性の高い液体等の漏洩が望ましくない液体を貯蔵する場合等には、2つのメカニカルシールを反対方向に向けて配置し、この2つのメカニカルシールの間に外部注入液をシールしようとする液体の圧力よりも高い圧力で注入するダブルメカニカルシールが用いられるが、非常に高価なものとなっている。
また、液体の漏洩を抑制するための軸摺動部は、定期的な点検保守が必要であり、交換等も多く、多額のメンテナンス費用が生じる。
このため、撹拌槽内に撹拌翼を軸受を介して回転自在に配設し、磁力を用いて非接触で駆動力を伝達する磁気カップリング駆動伝達機構を介して、撹拌翼へ回転駆動力を伝達するようにした装置が提供されている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に記載の装置においては、非接触で駆動力を伝達するため、撹拌槽内の撹拌翼を、撹拌槽の隔壁を挟んで撹拌槽外の駆動源により駆動することが可能であり、軸摺動部が存在しないため軸摺動部のメンテナンスが不要である。
特開2001−353432号公報
上述した特許文献1に記載の装置では、撹拌槽内に磨耗等が生じやすい軸受が設けられるため、撹拌装置の高寿命化を図るためには、軸受における潤滑性および耐摩耗性を向上させることが好ましい。
本発明は、上記の課題を解決するためになされたものであり、撹拌槽内に配置される軸受の潤滑性および耐摩耗性を向上させて長寿命化が可能な撹拌装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成する本発明に係る撹拌装置は、撹拌液を収容可能な撹拌槽内に軸受を介して回転自在に配設される撹拌翼を有する撹拌装置である。当該撹拌装置は、撹拌槽外に設けられた駆動源からの駆動力に基づいて回転する駆動側ロータ及び撹拌槽内にて前記撹拌翼に連結される従動側ロータを備え、前記駆動側ロータと従動側ロータとの間を前記撹拌槽と連続する隔壁を介して磁気カップリングにて非接触結合させる磁気カップリング駆動伝達機構と、前記撹拌翼と共に回転する回転翼と、を有し、前記回転翼によって負圧を発生させ、当該負圧により前記軸受の摺動する部位に撹拌液を吸引する。
上記のように構成した撹拌装置によれば、回転翼が設けられているため、回転翼を回転させることで発生する負圧により軸受の摺動する部位に撹拌液を吸引することが可能となり、撹拌液を潤滑液として有効に利用でき、軸受の潤滑性および耐摩耗性を向上させて軸受の長寿命化を実現できる。
また、前記回転翼と前記撹拌翼の間に、前記回転翼の吸入側と連通する空間を覆う管状のカバー部を有するようにすれば、カバー部により撹拌液の流れを規制できるため、カバー部の内側に効率よく負圧を発生させることができる。
また、前記カバー部が、半径外側方向へ向かうほど前記回転翼側へ傾斜して形成される傾斜部を有するようにすれば、カバー部の内外の両面において撹拌液の流れを効率よく導くことができ、乱流等の発生を抑制できる。
また、前記軸受が、前記摺動する部位に軸方向へ延びる溝部を有するようにすれば、撹拌液が軸受を流通しやすくなり、軸受の潤滑性および耐磨耗性をより向上させることができる。
また、前記撹拌翼、磁気カップリング機構および回転翼を備える撹拌翼ユニットが、前記撹拌槽の側壁に配される側面式であるようにすれば、完全無漏洩かつメンテナンスフリーでの撹拌を、側面式の撹拌装置で容易に実現できる。
本発明の実施形態に係る撹拌装置を示す側面図である。 本実施形態における撹拌ユニットを示す断面図である。 本実施形態における撹拌ユニットを示す正面図である。 図2の4−4線に沿う断面図である。 図2の5−5線に沿う断面図である。
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態を説明する。なお、図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。また、図面の寸法比率は、説明の都合上、実際の比率とは異なる場合がある。
本実施形態に係る撹拌装置1は、図1に示すように、例えば加熱される撹拌液Lが収容可能な撹拌槽2と、この撹拌槽2の壁面22に設置される側面式の撹拌翼ユニット3と、を備えている。側面式の撹拌翼ユニット3は、下面に流出口が設けられる場合や、撹拌槽2が大型で床面に直置きの場合等の、撹拌翼ユニットを下面に取り付けることが困難な場合等に、特に有効である。撹拌翼ユニット3は、撹拌槽2内の撹拌液Lに、水平断面にて撹拌槽2の内壁面に沿って回転する流れを生じさせ、かつ垂直断面においても撹拌槽2の内壁面に沿って縦方向に回転する流れを生じさせるように、撹拌槽2に取り付けられることが好ましい。したがって、撹拌翼ユニット3は、撹拌液Lが水平断面にて撹拌槽2の内壁面に沿って回転するように撹拌槽2の中心方向よりも内壁面に沿った方向へ撹拌翼が向くように傾いて配置させ得る。更に、撹拌翼ユニット3は、撹拌液Lが垂直断面にて撹拌槽2の内壁面に沿って回転するように、水平方向よりも下方(または上方)へ撹拌翼が向くように傾いて配置させ得る。また、本実施形態では、撹拌翼ユニット3は1つのみであるが、例えば撹拌槽2の側面に、間隔を置いて複数設けることもできる。
撹拌翼ユニット3は、図2〜5に示すように、撹拌槽2の側部に設けられる開口部21に差し込まれて撹拌槽2に固定されている。撹拌翼ユニット3は、撹拌槽内に回転可能に軸流型撹拌翼4が設けられ、撹拌槽外に軸流型撹拌翼4を駆動するための駆動源が設けられている。軸流型撹拌翼4は、3枚の羽根41を備えているが(図3参照)、羽根41の枚数は3枚に限定されず、異なる枚数とすることもできる。軸流型撹拌翼4は、回転することで主に軸方向への流体の流れを生じさせる。
撹拌翼ユニット3は、円筒状の本体部5の外周に溶接等により固定された取付フランジ部51によって、ガスケット等を挟んで撹拌槽2に液密に取り付けられる。本体部5の撹拌槽内側には、本体部5の内部空間と連通する円筒状の隔壁部6が、ガスケット52を挟んでボルト53によって連結されており、隔壁部6の撹拌槽内側方向(以下、先端方向または先端側と称する場合がある。)の端部は、撹拌槽2内と隔絶するように閉じた先端隔壁61が形成されている。先端隔壁61には、更に先端方向に向かって凸設された凸部62が形成されており、この凸部62には、更に先端方向へ延びる固定軸63が螺合されている。
固定軸63の外周には、回転可能に嵌合するブッシュ状の翼固定用軸受7が設けられ、この翼固定用軸受7の外周に、軸流型撹拌翼4が取り付けられる。翼固定用軸受7の内周面には、周方向に等間隔に並ぶ4条の潤滑溝71(溝部)が軸方向に延びて形成されている。なお、潤滑溝71の本数は4条に限定されず、1条以上の4条とは異なる本数であってもよく、または1条も形成されなくてもよい。また、溝の形態は、必ずしも軸方向に沿って直線的でなくてもよく、例えば軸方向と傾斜して形成したり、または螺旋状としたりすることも可能である。また、翼固定用軸受7とともに軸受を構成する固定軸63の外周面に、潤滑溝を形成してもよい。
軸流型撹拌翼4の撹拌槽外側方向(以下、基端方向または基端側と称する場合がある。)には、基端方向へ向かって外径がテーパ状に傾斜して拡がる傾斜部45を備えたカバー部42が溶接等によって固定されている。カバー部42の内側には、凸部62または固定軸63との間に十数mm程度の内側空間部Sが形成されている。
カバー部42の基端側には、周方向流型回転翼8(回転翼)が連結される。周方向流型回転翼8は、リング状の回転板81に所定数(本実施形態では4つ)の翼材82を所定角度間隔にて取り付けたものであり(図4参照)、回転することで、図4の矢印で示すように、カバー部42の内側の内側空間部Sから周方向へ撹拌液Lを吐出させるものである。
周方向流型回転翼8の更に基端側には、円筒状の隔壁部6の外周面とクリアランスを有して配置される円筒状の従動側ロータ92が連結されている。従動側ロータ92は、ボルト43およびナット44によって周方向流型回転翼8を挟んでカバー部42に連結される。
従動側ロータ92は、隔壁部6の内部で回転する駆動側ロータ91と共に磁気カップリング9を構成し、隔壁部6を介して駆動側ロータ91から非接触で回転力を受けることができる。すなわち、駆動側ロータ91から回転力を受けた従動側ロータ92は、翼固定用軸受7に回転可能に設置される軸流型撹拌翼4および周方向流型回転翼8を一体的に回転させる。したがって、シール部を設けることなしに駆動力を伝達できるため、完全無漏洩なシールレスの撹拌装置1をシンプルな構造で実現でき、メンテナンスフリーでの運転が可能となる。そして、メンテナンスフリーとすることで、点検保守費用を低減できる。
本体部5の内部には、本体部5と同軸上に駆動シャフト55がシャフト固定用軸受54を介して回転可能に設置されており、駆動シャフト55の基端側は、減速機10を介して駆動源であるモータ11と連結されている。駆動シャフト55の撹拌槽内側は、円筒状の隔壁部6の内周面とクリアランスを有して配置される円柱状の駆動側ロータ91と連結されている。
駆動側ロータ91および従動側ロータ92は、前述したように、磁気カップリング機構9を構成する。駆動側ロータ91は、図5に示すように、モータ11からの駆動力に基づいて回転駆動される非磁性金属製(例えばステンレス/アルミニウム製)の駆動側軸部911を有し、この駆動側軸部911の外周面に、磁気カップリング機構9のインナー側カップリング磁石(例えば回転力と軸方向の拘束力を伝達すべく上下方向にNS極が位置する湾曲状磁石を使用)912を円周方向に沿って所定間隔毎に配設したものである。更に、このインナー側カップリング磁石912の背面側には、磁性金属製(例えばSS−400)の湾曲状ヨーク913を配設し、磁気カップリング機構9の磁着力を増大させている。
従動側ロータ92は、非磁性金属製(例えばSUS−316L)の従動側軸部921を有し、この従動側軸部921の内周面に、磁気カップリング機構9のアウター側カップリング磁石922(例えば回転力と軸方向の拘束力を伝達すべく上下方向にSN極が位置する湾曲状磁石を使用)をインナー側カップリング磁石912に対し相互に磁気吸引するように相対向配置したものである。更に、このアウター側カップリング磁石922の背面側には磁性金属製(例えばSS−400)の湾曲状ヨーク923を配設し、磁気カップリング機構9の磁着力を増大させている。
各カップリング磁石912,922は、強磁性体であるネオジウムが好ましいが、これに限定されず、他の磁性体を適宜選定することができる。
次に、本実施の形態に係る撹拌装置1の作用について説明する。
まず、撹拌槽2内に撹拌液Lを収容し、この後、撹拌槽2を大気遮断条件で撹拌処理する。
モータ11を駆動させると駆動シャフト55が回転し、磁気カップリング機構9によって駆動力が非接触で撹拌槽2内に伝達され、回転可能に設置される軸流型撹拌翼4および周方向流型回転翼8が一体的に回転する。軸流型撹拌翼4は、軸先端方向へ向かう流れを生じさせ、撹拌槽2内の撹拌液Lを撹拌する。
軸流型撹拌翼4と共に回転する周方向流型回転翼8は、空間部から周方向へ撹拌液Lを吐出させて、内側空間部S内に負圧を生じさせる。内側空間部Sは、翼固定用軸受7の基端側に隣接しているため、翼固定用軸受7と固定軸63の間の摺動部に、先端側から撹拌液Lが強制的に吸い込まれ、摺動部に先端側から基端側へ向かう撹拌液Lの流れが生じる。摺動部の撹拌液Lは潤滑液として機能するが、この撹拌液Lが先端側から基端側へ流れることで、軸受の潤滑性が向上すると共に、翼固定用軸受7および固定軸63の摺動部における磨耗の発生を減少させることが可能となる。これにより、翼固定用軸受7の寿命が著しく向上し、メンテナンスフリーを実現できる。また、周方向流型回転翼8は、軸受の潤滑性を向上させるのみではなく、撹拌槽2内の撹拌にも寄与する。
また、周方向流型回転翼8と軸流型回転翼4の間に、周方向流型回転翼8の吸入側と連通する内側空間部Sを覆う管状のカバー部42が設けられるため、カバー部42により撹拌液Lの流れを規制でき、カバー部42の内側に効率よく負圧を発生させることができる。
また、カバー部42にテーパ状の傾斜部45が形成されているため、カバー部42の内外の両面において撹拌液Lの流れを効率よく導くことができ、乱流等の発生を抑制できる。
また、翼固定用軸受7に潤滑溝71が形成されているため、撹拌液Lが翼固定用軸受7と固定軸63の間を流通しやすくなり、軸受の潤滑性および耐磨耗性をより向上させることができる。
また、軸流型撹拌翼4が中速回転領域(例えば、100〜300rpm)で回転する場合には、撹拌液Lの乱流によるアンバランスな強負荷が軸流型撹拌翼4に掛かりうるが、このような場合には、翼固定用軸受7が負荷を受けることになる。このような場合であっても、本実施形態では、従動側ロータ92が小型で強力な磁石を用いることで軽量化されているために、従動側ロータ92の姿勢が安定しやすい。したがって、翼固定用軸受7に作用する半径方向の負荷を低減でき、かつ従動側ロータ92の隔壁部6との接触を抑制することができ、寿命を更に向上させることができる。
なお、本発明は上述した実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲の範囲内で種々改変することができる。例えば、撹拌翼ユニット3は、撹拌槽2の側部ではなく、底部に取り付けることも可能である。また、撹拌液Lを翼固定用軸受7と固定軸63の間に吸引するための回転翼は、吸引が可能であれば、周方向へ流れを生じさせる周方向流型の回転翼に限定されず、例えば斜流型や軸流型とすることもできる。
1 撹拌装置、
2 撹拌槽、
4 軸流型撹拌翼、
6 隔壁部(隔壁)、
7 翼固定用軸受(軸受)、
8 周方向流型回転翼(回転翼)、
9 磁気カップリング機構、
11 モータ(駆動源)、
42 カバー部、
45 傾斜部、
63 固定軸(軸受)、
71 潤滑溝(溝部)、
91 駆動側ロータ、
92 従動側ロータ、
L 撹拌液、
S 内側空間部。

Claims (5)

  1. 撹拌液を収容可能な撹拌槽内に軸受を介して回転自在に配設される撹拌翼を有する撹拌装置であって、
    撹拌槽外に設けられて駆動源からの駆動力に基づいて回転する駆動側ロータ及び撹拌槽内にて前記撹拌翼に連結される従動側ロータを有し、前記駆動側ロータと従動側ロータとの間を前記撹拌槽と連続する隔壁を介して磁気カップリングにて非接触結合させる磁気カップリング機構と、
    前記撹拌翼と共に回転する回転翼と、
    を有し、前記回転翼によって負圧を発生させ、当該負圧により前記軸受の摺動する部位に撹拌液を吸引することを特徴とする撹拌装置。
  2. 前記半径流型回転翼と前記撹拌翼の間に、前記回転翼の吸入側と連通する空間を覆う管状のカバー部を有することを特徴とする、請求項1に記載の撹拌装置。
  3. 前記カバー部は、半径外側方向へ向かって前記回転翼側へ傾斜して形成される傾斜部を有することを特徴とする、請求項2に記載の撹拌装置。
  4. 前記軸受は、前記摺動する部位に軸方向へ延びる溝部を有することを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の撹拌装置。
  5. 前記撹拌翼、磁気カップリング機構および回転翼を備える撹拌翼ユニットが、前記撹拌槽の側壁に配される側面式であることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載の撹拌装置。
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