JP2012104754A - 金属パターン材料の製造方法、および金属パターン材料 - Google Patents

金属パターン材料の製造方法、および金属パターン材料 Download PDF

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Abstract

【課題】生産性および工業的な製造適性に優れ、その表面に形成されるパターン状の金属配線間の優れた絶縁信頼性およびその経時安定性に優れた金属パターン材料の製造方法を提供する。
【解決手段】所定の官能基を有するユニットを含む共重合体を含有する樹脂層12aを基板10上に形成する樹脂層形成工程と、該樹脂層12aにめっき触媒またはその前駆体を付与する触媒付与工程と、前記めっき触媒またはその前駆体に対してめっきを行うめっき工程と、前記めっき工程後に、pHが6.5以下であるエッチング液を使用してパターン状の金属膜を形成するパターン形成工程を含む、表面にパターン状の金属膜を備える金属パターン材料の製造方法。
【選択図】図1

Description

本発明は、金属パターン材料の製造方法、および該方法により得られる金属パターン材料に関する。
従来から、絶縁性基板の表面に金属パターンによる配線を形成した金属配線基板が、電子部品や半導体素子に広く用いられている。
かかる金属パターン材料の作製方法としては、主に、「サブトラクティブ法」が使用される。このサブトラクティブ法とは、基板表面に形成された金属膜上に、活性光線の照射により感光する感光層を設け、この感光層を像様露光し、その後現像してレジスト像を形成し、次いで、金属膜をエッチングして金属パターンを形成し、最後にレジストを剥離する方法である。
この方法により得られる金属パターンにおいては、基板表面に凹凸を設けることにより生じるアンカー効果により、基板と金属パターン(金属膜)との間の密着性を発現させている。そのため、得られた金属パターンを金属配線として使用する際、金属パターンの基板界面部の凹凸に起因して、高周波特性が悪くなるという問題点があった。また、基板表面に凹凸化処理するためには、クロム酸などの強酸で基板表面を処理する必要があるため、基板との密着性に優れた金属パターンを得るためには、煩雑な工程が必要であるという問題点があった。
この問題を解決する手段として、基板上に該基板と直接結合したグラフトポリマーを生成させてポリマー層を形成し、このポリマー層に対してめっきを施して、得られた金属膜をエッチングする方法が知られている(特許文献1)。該方法によれば、基板の表面を粗面化することなく、基板と金属膜との密着性を改良することができる。
特開2009−7662号公報
一方、近年、プリント配線板などの微細配線においては、配線の高集積化に伴い、配線(金属パターン)間においてより高い絶縁性が必要とされており、配線間の絶縁信頼性のより一層の向上が要求されている。
本発明者らは特許文献1に記載されるポリマーを用いてパターン状の金属膜(めっき膜)を備える金属パターン材料を作製し、絶縁信頼性試験を行った結果、従来のレベルでは問題ないが、近年要求される高い絶縁性のレベルには達しておらず、さらなる改良が必要であることを見出した。
また、製造コストの低減の観点から、高スループットでより生産性よく微細配線を製造することが求められており、実用上耐えうる金属膜をより少ない製造手順かつ短時間で製造できる方法の開発も求められていた。
本発明は、上記実情に鑑みて、生産性および工業的な製造適性に優れ、その表面に形成されるパターン状の金属配線間の絶縁信頼性およびその経時安定性に優れた金属パターン材料の製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題について鋭意検討した結果、所定の官能基を有するユニットを含有する共重合体、および、所定の性質を示すエッチング液を使用することにより、上記課題を解決できることを見出した。
即ち、本発明者らは、上記課題が下記構成により解決されることを見出した。
(1) 後述する式(1)で表されるユニット、後述する式(2)で表されるユニット、および後述する式(3)で表されるユニットを少なくとも含む共重合体を含有する樹脂層を基板上に形成する樹脂層形成工程と、
前記樹脂層にめっき触媒またはその前駆体を付与する触媒付与工程と、
前記めっき触媒またはその前駆体に対してめっきを行うめっき工程と、
前記めっき工程後に、pHが6.5以下であるエッチング液を使用してパターン状の金属膜を形成するパターン形成工程を含む、表面にパターン状の金属膜を備える金属パターン材料の製造方法。
(2) 前記樹脂層の厚みが、0.1〜3.0μmである、(1)に記載の金属パターン材料の製造方法。
(3) 前記エッチング液が、塩化第二鉄溶液または硫酸-過酸化水素水混合溶液である、(1)または(2)に記載の金属パターン材料の製造方法。
(4) 前記パターン形成工程が、前記めっき工程で得られた金属膜上にパターン状のマスクを設け、前記マスクの非形成領域をpHが6.5以下であるエッチング液で処理した後、前記マスクを除去して、パターン状の金属膜を形成する工程である、(1)〜(3)のいずれかに記載の金属パターン材料の製造方法。
(5) 前記めっき工程が、無電解めっきおよび電気めっきをこの順で実施する工程である、(4)に記載の金属パターン材料の製造方法。
(6) 前記めっき工程が、無電解めっきを実施し、前記無電解めっきにより得られた金属膜上にパターン状のマスクを設け、さらに、前記マスクの非形成領域に金属膜を形成するように電気めっきを行い、前記マスクを除去する工程である、(1)〜(3)のいずれかに記載の金属パターン材料の製造方法。
(7) 前記樹脂層中の共重合体が、前記基板と直接化学結合している、(1)〜(6)のいずれかに記載の金属パターン材料の製造方法。
(8) 前記樹脂層形成工程が、前記基板上に前記共重合体を接触させた後、エネルギーを付与することにより、前記基板表面に前記基板と直接化学結合した共重合体を含む樹脂層を形成する工程を含む、(1)〜(7)のいずれかに記載の金属パターン材料の製造方法。
(9) 前記基板が、その表面上に重合開始剤を含有する、または重合開始可能な官能基を有する重合開始層を備える、(8)に記載の金属パターン材料の製造方法。
(10) (1)〜(9)のいずれかに記載の金属パターン材料の製造方法により製造される、金属パターン材料。
(11) (10)に記載の金属パターン材料と、前記金属パターン材料上に設けられる絶縁層とを備える配線基板。
本発明によれば、生産性および工業的な製造適性に優れ、その表面に形成されるパターン状の金属配線間の優れた絶縁信頼性およびその経時安定性に優れた金属パターン材料の製造方法を提供するができる。
(a)〜(e)は、それぞれ本発明の金属パターン材料の製造方法における各製造工程を順に示す基板から配線基板までの模式的断面図である。 (a)〜(d)は、めっき工程の一つの好適態様を示す各工程図である。 (a)〜(c)は、パターン形成工程の一つの好適態様を示す各工程図である。 (a)および(b)は、パターン形成工程の他の好適態様を示す各工程図である。
以下に、本発明の金属パターン材料の製造方法、および該方法により得られる金属パターン材料について説明する。
まず、本発明の従来技術と比較した特徴点について詳述する。
本発明者らは、従来技術の問題点について鋭意検討した結果、金属配線間の絶縁信頼性が十分でない原因の一つとして、その上にパターン状の金属膜(めっき膜)が形成される樹脂層が関連していることを見出した。具体的には、従来技術(特許文献1)においては、基板と金属膜との密着性向上を目的として、所定の官能基を有するポリマーが含まれる樹脂層が基板上に設けられていた。しかしながら、パターン状の金属膜が形成された後、該樹脂層がパターン間に残存すると、パターン状の金属膜間の絶縁性を低下させる要因となることを見出した。
本発明者らは、上記知見に基づき検討を行ったところ、所定の官能基を含むユニットを備える共重合体を含む樹脂層上に形成される金属膜をエッチング除去する際に、所定の性質を示すエッチング液を使用することにより、金属膜のみならず該金属膜の下層に存在する樹脂層をも除去でき、結果としてパターン状の金属膜間の絶縁性に優れた材料が得られることを見出した。該方法によれば、サブトラクティブ法やセミアディティブ法などでパターン状の金属膜を製造する際に、ドライエッチング処理などといった特殊な工程を追加することなく、金属膜および樹脂層を除去することができるため、コスト面および生産性の観点からも優れた方法といえる。
なお、本発明の方法によって得られる金属パターン材料においては、金属パターン間の絶縁信頼性の経時安定性にも優れている。
以下に、本発明の金属パターン材料の製造方法における各工程について詳述するが、まず、後述する樹脂層形成工程で形成される樹脂層に含まれる共重合体について詳述し、その後各工程の操作手順について詳述する。
<共重合体>
樹脂層に含まれる共重合体は、後述する式(1)で表されるユニット、後述する式(2)で表されるユニット、および後述する式(3)で表されるユニットを少なくとも含有する。
該共重合体において、特に、式(2)で表されるユニットおよび式(3)で表されるユニットが含まれることにより、めっき触媒などに対する優れた吸着性が担保され、樹脂層全体に該触媒が効率よく浸透する。その結果、めっき工程後には樹脂層全体に金属膜(めっき膜)を構成する金属が入り込み、樹脂層と金属膜との間の優れた接着性を担保している。
また、式(3)で表されるユニットの両親媒性により、樹脂層へのエッチング液の浸透性がより向上するため、金属膜の除去と共に樹脂層もあわせて除去される。
以下に、含有される各ユニットに関して詳述する。
<式(1)で表されるユニット>
式(1)で表されるユニットは、二重結合基を有するユニット(繰り返し単位)である。該ユニットが共重合体中に含まれることにより、後述する基板との優れた密着性が発現されると共に、膜中で架橋反応が進行し強度に優れた膜を得ることができる。
式(1)中、R1〜R4は、それぞれ独立して、水素原子、または置換若しくは無置換のアルキル基を表す。
1〜R4が、置換または無置換のアルキル基である場合、炭素数1〜6のアルキル基が好ましく、炭素数1〜4のアルキル基がより好ましい。より具体的には、無置換のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基が挙げられ、また、置換アルキル基としては、メトキシ基、ヒドロキシ基、ハロゲン原子(例えば、塩素原子、臭素原子、フッ素原子)などで置換された、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基が挙げられる。
なお、R1としては、水素原子、メチル基、または、ヒドロキシ基若しくは臭素原子で置換されたメチル基が好ましい。
2としては、水素原子、メチル基、または、ヒドロキシ基若しくは臭素原子で置換されたメチル基が好ましい。
3としては、水素原子が好ましい。
4としては、水素原子が好ましい。
YおよびZは、それぞれ独立して、単結合、または、置換若しく無置換の二価の有機基を表す。二価の有機基としては、置換若しくは無置換の脂肪族炭化水素基(好ましくは炭素数1〜3)、置換若しくは無置換の芳香族炭化水素基(好ましくは炭素数6〜12)、−O−、−S−、−N(R)−(R:アルキル基)、−CO−、−NH−、−COO−、−CONH−、またはこれらを組み合わせた基(例えば、アルキレンオキシ基、アルキレンオキシカルボニル基、アルキレンカルボニルオキシ基など)などが挙げられる。該有機基は、発明の効果を損なわない範囲で、ヒドロキシ基などの置換基を有していてもよい。
置換または無置換の脂肪族炭化水素基としては、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ペンチレン基、ヘキシレン基、または、これらの基がメトキシ基、ヒドロキシ基、ハロゲン原子(例えば、塩素原子、臭素原子、フッ素原子)などで置換されたものが好ましい。
置換または無置換の芳香族炭化水素基としては、無置換のフェニレン基、または、メトキシ基、ヒドロキシ基、ハロゲン原子(例えば、塩素原子、臭素原子、フッ素原子)などで置換されたフェニレン基が好ましい。
YおよびZとしては、単結合、エステル基(−COO−)、アミド基(−CONH−)、エーテル基(−O−)、または、置換若しくは無置換の芳香族炭化水素基などが好ましく挙げられる。
1は、置換または無置換の二価の有機基を表す。二価の有機基の定義は、上記YおよびZで表される有機基と同義であり、例えば、置換若しくは無置換の脂肪族炭化水素基、置換若しくは無置換の芳香族炭化水素基、−O−、−S−、−N(R)−(R:アルキル基)、−CO−、−NH−、−COO−、−CONH−、またはこれらを組み合わせた基などが挙げられる。
1としては、無置換のアルキレン基、または、ウレタン結合若しくはウレア結合を有する二価の有機基が好ましく、無置換のアルキレン基およびウレタン結合を有する二価の有機基がより好ましく、総炭素数1〜9であるものが特に好ましい。なお、ここで、L1の総炭素数とは、L1で表される置換または無置換の二価の有機基に含まれる総炭素原子数を意味する。
1の構造として、より具体的には、式(1−1)、式(1−2)、式(1−3)、または式(1−4)で表される構造であることが好ましい。
式(1−1)、式(1−2)および式(1−3)中、RaおよびRbは、それぞれ独立して、二価の有機基を表す。二価の有機基の定義は上記と同様であり、好ましくは、置換若しくは無置換の、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、若しくはブチレン基などのアルキレン基、または、エチレンオキシド基、ジエチレンオキシド基、トリエチレンオキシド基、テトラエチレンオキシド基、ジプロピレンオキシド基、トリプロピレンオキシド基、テトラプロピレンオキシド基などのポリオキシアルキレン基などが挙げられる。
式(1−4)中、nは1〜10の整数を表す。
式(1)で表されるユニットの好適態様として、式(1−A)で表されるユニットが挙げられる。
式(1−A)中、R1、R2、ZおよびL1は、式(1)で表されるユニット中の各基の定義と同じである。Tは、酸素原子、またはNR(Rは、水素原子またはアルキル基を表し、好ましくは、水素原子または炭素数1〜5の無置換のアルキル基である。)を表す。
式(1−A)で表されるユニットの好適態様として、式(1−B)で表されるユニットが挙げられる。
式(1−B)中、R1、R2、およびL1は、式(1−A)で表されるユニット中の各基の定義と同じである。VおよびTは、酸素原子、またはNR(Rは、水素原子またはアルキル基を表し、好ましくは、水素原子または炭素数1〜5の無置換のアルキル基である。)を表す。
上記式(1−B)において、Tは、酸素原子であることが好ましい。
また、上記式(1−A)および式(1−B)において、L1は、無置換のアルキレン基、または、ウレタン結合若しくはウレア結合を有する二価の有機基が好ましく、ウレタン結合を有する二価の有機基がより好ましく、総炭素数1〜9であるものが特に好ましい。
共重合体中における式(1)で表されるユニットの含有量は特に制限されないが、反応性(重合性、硬化性)および基板との密着性の点で、全ユニット(100モル%)に対して、5〜50モル%が好ましく、5〜40モル%がより好ましい。5モル%未満の場合、反応性(硬化性、重合性)が低下する場合があり、50モル%を超える場合、ポリマーの合成の際にゲル化が起きやすく、反応の制御が難しくなる。
<式(2)で表されるユニット>
式(2)で表されるユニットは、シアノ基を有するユニット(繰り返し単位)である。該ユニットが共重合体中に含まれることにより、後述するめっき触媒またはその前駆体への吸着性が向上し、樹脂層と金属膜との優れた密着性が担保される。
式(2)中、R5は、水素原子、または置換若しくは無置換のアルキル基を表す。R5で表される置換または無置換のアルキル基は、上述したR1〜R4で表される置換または無置換のアルキル基と同義である。
5としては、水素原子、メチル基、または、ヒドロキシ基若しくは臭素原子で置換されたメチル基が好ましい。
XおよびL2は、それぞれ独立して、単結合、または置換若しく無置換の二価の有機基を表す。二価の有機基の定義は、上記ZおよびYで表される二価の有機基と同義であり、例えば、置換若しくは無置換の脂肪族炭化水素基、置換若しくは無置換の芳香族炭化水素基、−O−、−S−、−N(R)−(R:アルキル基)、−CO−、−NH−、−COO−、−CONH−、またはこれらを組み合わせた基などが挙げられる。
Xとしては、単結合、エステル基(−COO−)、アミド基(−CONH−)、エーテル基(−O−)、または置換若しくは無置換の芳香族炭化水素基などが好ましく挙げられ、より好ましくは単結合、エステル基(−COO−)、アミド基(−CONH−)である。
2は、単結合、または、直鎖、分岐、若しくは環状のアルキレン基、芳香族基、またはこれらを組み合わせた基であることが好ましい。該アルキレン基と芳香族基とを組み合わせた基は、更に、エーテル基、エステル基、アミド基、ウレタン基、ウレア基を介していてもよい。
中でも、L2は総炭素数が1〜15であることが好ましく、特に無置換であることが好ましい。なお、ここで、L2の総炭素数とは、L2で表される置換または無置換の二価の有機基に含まれる総炭素原子数を意味する。
具体的には、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、フェニレン基、およびこれらの基が、メトキシ基、ヒドロキシ基、塩素原子、臭素原子、フッ素原子等で置換されたもの、更には、これらを組み合わせた基が挙げられる。
式(2)で表されるユニットの好適態様として、式(2−A)で表されるユニットが挙げられる。
上記式(2−A)中、R5およびL2は、式(2)で表されるユニット中の各基の定義と同じである。Uは、酸素原子、またはNR’(R’は、水素原子、またはアルキル基を表し、好ましくは、水素原子、または炭素数1〜5の無置換のアルキル基である。)を表す。
式(2−A)におけるL2は、直鎖、分岐、若しくは環状のアルキレン基、芳香族基、またはこれらを組み合わせた基であることが好ましい。
特に、式(2−A)においては、L2中のシアノ基との連結部位が、直鎖、分岐、または環状のアルキレン基を有する二価の有機基であることが好ましく、中でも、この二価の有機基が総炭素数1〜10であることが好ましい。
また、別の好ましい態様としては、式(2−A)におけるL2中のシアノ基との連結部位が、芳香族基を有する二価の有機基であることが好ましく、中でも、該二価の有機基が、総炭素数6〜15であることが好ましい。
共重合体中における式(2)で表されるユニットの含有量は特に制限されないが、めっき触媒などに対する吸着性の点で、全ユニット(100モル%)に対して、5〜90モル%が好ましく、10〜80モル%がより好ましい。
<式(3)で表されるユニット>
式(3)で表されるユニットは、オキシエチレン基またはオキシプロピレン基を有するユニット(繰り返し単位)である。該ユニットが共重合体中に含まれることにより、後述するめっき触媒またはその前駆体への吸着性が向上し、樹脂層と金属膜との優れた密着性が担保されると共に、樹脂層に対するエッチング液の浸透性を向上させる。
式(3)中、R6およびR7は、それぞれ独立に、水素原子、または置換若しくは無置換のアルキル基を表す。R6およびR7で表される置換または無置換のアルキル基は、上述したR1〜R4で表される置換または無置換のアルキル基と同義である。
6としては、水素原子、メチル基、または、ヒドロキシ基若しくは臭素原子で置換されたメチル基が好ましい。
7としては、水素原子、メチル基、エチル基が好ましい。
Wは、単結合、または置換若しく無置換の二価の有機基を表す。二価の有機基の定義は、上記ZおよびYで表される二価の有機基と同義であり、例えば、置換若しくは無置換の脂肪族炭化水素基、置換若しくは無置換の芳香族炭化水素基、−O−、−S−、−N(R)−(R:アルキル基)、−CO−、−NH−、−COO−、−CONH−、またはこれらを組み合わせた基などが挙げられる。
Wとしては、単結合、エステル基(−COO−)、アミド基(−CONH−)、エーテル基(−O−)、または置換若しくは無置換の芳香族炭化水素基などが好ましく挙げられ、より好ましくは単結合、エステル基(−COO−)、アミド基(−CONH−)である。
3は、置換または無置換のエチレン基またはプロピレン基を表し、パターン状の金属配線間の絶縁性能がより優れる点で、エチレン基が好ましい。
エチレン基またはプロピレン基に置換する置換基の種類は特に制限されないが、例えば、メトキシ基、ヒドロキシ基、ハロゲン原子(例えば、塩素原子、臭素原子、フッ素原子)などが挙げられる。
式(3)中、nは1から30の数を示し、パターン状の金属配線間の絶縁性能がより優れる点で、nは2〜24が好ましく、nは3〜18がより好ましい。
なお、nは平均値を表し、公知の測定方法(NMR)などによって求めることができる。
共重合体中における式(3)で表されるユニットの含有量は特に制限されないが、めっき触媒などに対する吸着性の点で、全ユニット(100モル%)に対して、5〜50モル%が好ましく、10〜30モル%がより好ましい。
共重合体中における各ユニットの結合様式は特に限定されず、各ユニットがランダムに結合したランダム重合体であっても、各ユニットが同じ種類同士連結してブロック部を形成するブロックポリマーであってもよい。
共重合体は、上述した式(1)で表されるユニット、式(2)で表されるユニット、式(3)で表されるユニット以外に、本発明の効果を損なわない範囲で、他のユニットを含んでいてもよい。
ただし、後述するように二重結合基を共重合体に反応させて導入する場合は、100%導入することが困難な際には少量の反応性部分が残ってしまうことから、これが第4のユニットとなる可能性もある。
共重合体の重量平均分子量は特に限定されないが、1000以上70万以下が好ましく、更に好ましくは2000以上20万以下である。特に、重合感度の観点から、重量平均分子量は、20000以上であることが好ましい。
また、共重合体の重合度としては、10量体以上のものを使用することが好ましく、更に好ましくは20量体以上のものである。また、7000量体以下が好ましく、3000量体以下がより好ましく、2000量体以下が更に好ましく、1000量体以下が特に好ましい。
<共重合体の合成方法>
上記共重合体の合成方法は特に限定されず、使用されるモノマーも市販品または公知の合成方法を組み合わせて合成したものであってもよい。なお、共重合体の合成方法としては、以下の方法が好ましく挙げられる。
i)シアノ基を有するモノマー[(CN-L2-X)(R5)C=CH2]、オキシエチレン基またはオキシプロピレン基を有するモノマー[(R7-(OL3)n-W)(R6)C=CH2]、および二重結合基を有するモノマーを共重合する方法、ii)シアノ基を有するモノマー、オキシエチレン基またはオキシプロピレン基を有するモノマー、二重結合前駆体を有するモノマーを共重合させ、次に塩基などの処理により二重結合を導入する方法、iii)シアノ基を有するモノマー、オキシエチレン基またはオキシプロピレン基を有するモノマー、二重結合導入のための反応性基を有するモノマーとを共重合させ、二重結合を導入(重合性基を導入する)する方法が挙げられる。
合成適性の観点から、好ましい方法としては、上記ii)および上記iii)の方法である。合成する際の重合反応の種類は特に限定されず、ラジカル重合、カチオン重合、アニオン重合などが挙げられるが、ラジカル重合で行うこと好ましい。
なお、共重合体は、特許公開2009−280905号の段落[0097]〜[0125]に記載の方法などを参照して合成することができる。
具体的には、上記ii)の合成方法において、二重結合前駆体を二重結合に変換するには、下記に示すように、B、Cで表される脱離基を脱離反応により除去する方法、つまり、塩基の作用によりCを引き抜き、Bが脱離する反応を使用する。
なお、下記式中、Aは重合性基を有する有機団、R1〜R3は、それぞれ独立して、水素原子または1価の有機基、BおよびCはそれぞれ独立して脱離反応により除去される脱離基であり、いずれか一方が水素原子であり、他方がハロゲン原子、スルホン酸エステル基、エーテル基、またはチオエーテル基を表す。ここでいう脱離反応とは、塩基の作用によりCが引き抜かれ、Bが脱離するものである。Bはアニオンとして、Cはカチオンとして脱離するものが好ましい。
また、塩基としては、アルカリ金属類の水素化物、水酸化物または炭酸塩、有機アミン化合物、金属アルコキシド化合物が好ましい例として挙げられる。
また、上記iii)の合成方法において、二重結合導入のための反応性基を有するモノマーとしては、反応性基としてカルボキシル基、水酸基、エポキシ基、イソシアネート基、またはビニルエーテル基を有するモノマーが挙げられる。ポリマーの反応性基と、モノマー中の反応性基との組み合わせとしては、以下のようなパターンがある。
即ち、(ポリマーの反応性基、モノマーの反応性基)=(カルボキシル基、エポキシ基)、(カルボキシル基、イソシアネート基)、(水酸基、エポキシ基)、(水酸基、イソシアネート基)、(イソシアネート基、水酸基)、(イソシアネート基、カルボキシル基)、(エポキシ基、カルボキシル基)、(ビニルエーテル基、水酸基)等を挙げることができる。
<製造方法の各工程の説明>
次に、図面に示す好適実施形態を参照して、本発明の金属パターン材料の製造方法について詳細に説明する。本発明の製造方法は、以下の工程を備える。
(1) 上述した共重合体を含有する樹脂層を基板上に形成する樹脂層形成工程
(2) 樹脂層にめっき触媒またはその前駆体を付与する触媒付与工程
(3) めっき触媒またはその前駆体に対してめっきを行うめっき工程
(4) pHが6.5以下であるエッチング液を使用してパターン状の金属膜を形成するパターン形成工程
図1(a)〜(e)は、本発明の金属パターン材料の製造方法を、製造工程を順に示す模式的断面図である。以下、各工程について、図1に基づいて説明する。
<工程(1):樹脂層形成工程>
工程(1)は、基板10上に上述した共重合体を含有する樹脂層12aを形成する工程である(図1(a)参照)。形成された樹脂層12a中の共重合体は、基板10と直接化学結合していることが後述する金属膜との密着性の観点から好ましい態様といえる。つまり、工程(1)は、基板上10に共重合体を直接化学結合させることにより行われることが好ましい。
樹脂層12aの層厚は特に限定されないが、後述する金属膜との密着性を確保する点からは、0.1〜5μmが好ましく、0.3〜4μmがより好ましく、0.5μm超3μm以下がさらに好ましく、1〜3μmが特に好ましい。
(樹脂層の形成方法)
基板10上における樹脂層12aの形成方法は、一般的な表面グラフト重合と呼ばれる手段を用いることが好ましい。グラフト重合とは、高分子化合物鎖上に活性種を与え、これによって重合を開始する別の単量体を更に重合させ、グラフト(接ぎ木)重合体を合成する方法である。特に、活性種を与える高分子化合物が固体表面を形成する時には、表面グラフト重合と呼ばれる。
本発明に適用される表面グラフト重合法としては、文献記載の公知の方法をいずれも使用することができる。例えば、新高分子実験学10、高分子学会編、1994年、共立出版(株)発行、p135には表面グラフト重合法として光グラフト重合法、プラズマ照射グラフト重合法が記載されている。また、吸着技術便覧、NTS(株)、竹内監修、1999.2発行、p203、p695には、γ線、電子線などの放射線照射グラフト重合法が記載されている。
光グラフト重合法の具体的方法としては、特開昭63−92658号公報、特開平10−296895号公報、および特開平11−119413号公報に記載の方法を使用することができる。
本発明における樹脂層12aを形成する際には、上記の表面グラフト法以外にも、高分子化合物鎖の末端に、トリアルコキシシリル基、イソシアネート基、アミノ基、水酸基、カルボキシル基などの反応性官能基を付与し、これと基板表面に存在する官能基とのカップリング反応により結合させる方法を適用することもできる。
これらの方法の中でも、より多くのグラフトポリマーを生成する観点からは、光グラフト重合法、特に、UV光による光グラフト重合法を用いて樹脂層12aを形成することが好ましい。
(工程(1)の好適態様)
工程(1)の好適な態様として、以下の工程を含むことが挙げられる。
工程(1−1):基板上に上述した共重合体を接触させた後、エネルギーを付与することにより、基板表面に該基板と直接化学結合した共重合体を含む樹脂層を形成する工程
工程(1)のより好適な態様としては、以下の2つの工程を含むことが挙げられる。
工程(1−2):基材上に、重合開始剤を含有する、または重合開始可能な官能基を有する重合開始層が形成された基板を作製する工程
工程(1−3):該重合開始層上に、上述した共重合体を接触させた後、エネルギーを付与することにより、重合開始層表面に該重合開始層と直接化学結合した共重合体を含む樹脂層を形成する工程
以下に、工程(1)(特に、上記好適態様)での操作方法の詳細について説明する。
(接触方法)
上述した共重合体を基板上(または重合開始層上)に接触させる方法は特に限定されないが、共重合体および溶剤を含有する組成物(以後、適宜被めっき層形成用組成物と称する)を使用することが好ましい。
具体的には、被めっき層形成用組成物中に基板を浸漬する方法や、被めっき層形成用組成物を基板(または、重合開始層)上に塗布する方法が挙げられる。
取り扱い性や製造効率の観点からは、被めっき層形成用組成物を基板(または重合開始層)上に塗布・乾燥させて、共重合体を含む層を形成する態様が好ましい。
なお、被めっき層形成用組成物の態様に関しては、後段で詳述する。
被めっき層形成用組成物を基板と接触させる場合、その塗布量は、後述するめっき触媒またはその前駆体との充分な相互作用形成性の観点から、固形分換算で0.1g/m2〜10g/m2が好ましく、特に0.5g/m2〜5g/m2が好ましい。
なお、工程(1)において樹脂層12aを形成するに際しては、塗布と乾燥との間に、20〜40℃で0.5時間〜2時間放置させて、残存する溶剤を除去してもよい。
(エネルギーの付与)
上記工程におけるエネルギー付与方法としては、例えば、加熱や露光等の輻射線照射を用いることができる。例えば、UVランプ、可視光線などによる光照射、ホットプレートなどでの加熱等が可能である。
光源としては、例えば、水銀灯、メタルハライドランプ、キセノンランプ、ケミカルランプ、カーボンアーク灯等がある。放射線としては、電子線、X線、イオンビーム、遠赤外線などがある。また、g線、i線、Deep−UV光、高密度エネルギービーム(レーザービーム)も使用される。
具体的な態様としては、熱記録ヘッド等による直接画像様記録、赤外線レーザーによる走査露光、キセノン放電灯などの高照度フラッシュ露光や赤外線ランプ露光などが好適に挙げられる。
エネルギー付与に要する時間としては、目的とするグラフトポリマーの生成量および光源により異なるが、通常、10秒〜5時間の間である。
なお、エネルギーの付与を露光にて行う場合、その露光パワーは、グラフト重合を容易に進行させるため、また、生成されたグラフトポリマーの分解を抑制するため、10mJ/cm2〜5000mJ/cm2の範囲であることが好ましく、より好ましくは50mJ/cm2〜3000mJ/cm2の範囲である。
以下に、工程(1)で使用される基板、重合開始層、および被めっき層形成用組成物に関してそれぞれ詳述する。
(基板)
本工程で用いられる基板10としては、形状保持性を有するものであればよく、その表面が、上記共重合体と化学結合しうる機能を有することが好ましい。具体的には、例えば、基板自体が露光によりラジカルを発生しうるものであるか、基材上に、露光によりラジカルを発生しうる中間層(例えば、後述する重合開始層)を設け、この基材と中間層とで基板が構成されていてもよい。
(基材、基板)
本発明に使用される基材は、寸度的に安定な板状物であることが好ましく、例えば、紙、プラスチック(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン等)がラミネートされた紙、金属板(例えば、アルミニウム、亜鉛、銅等)、プラスチックフィルム(例えば、二酢酸セルロース、三酢酸セルロース、プロピオン酸セルロース、酪酸セルロース、酢酸セルロース、硝酸セルロース、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリビニルアセタール、ポリイミド樹脂、エポキシ樹脂、ビスマレインイミド樹脂、ポリフェニレンオキサイド、液晶ポリマー、ポリテトラフルオロエチレン等)、上記の如き金属がラミネート若しくは蒸着された紙、またはプラスチックフィルム等が含まれる。本発明に使用される基材材料としては、エポキシ樹脂、またはポリイミド樹脂が好ましい。
なお、これらの基材表面が、上記共重合体が直接化学結合した状態を形成しうる機能を有している場合には、その基材そのものを基板として用いてもよい。
本発明における基板10として、特開2005−281350号公報の段落番号[0028]〜[0088]に記載の重合開始部位を骨格中に有するポリイミドを含む基材を用いることもできる。
また、本発明の製造方法により得られる金属パターン材料は、半導体パッケージ、各種電気配線基板等に適用することができる。このような用途に用いる場合は、以下に示す、絶縁性樹脂を含んだ基板、具体的には、絶縁性樹脂からなる基板、または、絶縁性樹脂からなる層を基材上に有する基板を用いることが好ましい。
絶縁性樹脂からなる基板、絶縁性樹脂からなる層を得る場合には、公知の絶縁性樹脂組成物が用いられる。この絶縁性樹脂組成物には、主たる樹脂に加え、目的に応じて種々の添加物を併用することができる。例えば、絶縁層の強度を高める目的で、多官能のアクリレートモノマーを添加する、絶縁体層の強度を高め、電気特性を改良する目的で、無機、または有機の粒子を添加する、などの手段をとることもできる。
なお、本発明における「絶縁性樹脂」とは、公知の絶縁膜や絶縁層に使用しうる程度の絶縁性を有する樹脂であることを意味するものであり、完全な絶縁体でないものであっても、目的に応じた絶縁性を有する樹脂であれば、本発明に適用しうる。
絶縁性樹脂の具体例としては、例えば、熱硬化性樹脂でも熱可塑性樹脂でもまたそれらの混合物でもよく、熱硬化性樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリイミド樹脂、ポリエステル樹脂、ビスマレイミド樹脂、ポリオレフィン系樹脂、イソシアネート系樹脂等が挙げられる。
熱可塑性樹脂としては、例えば、フェノキシ樹脂、ポリエーテルスルフォン、ポリスルフォン、ポリフェニレンスルフォン、ポリフェニレンサルファイド、ポリフェニルエーテル、ポリエーテルイミド等が挙げられる。
また、更に、この絶縁性樹脂組成物には、必要に応じて着色剤、難燃剤、接着性付与剤、シランカップリング剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、などの各種添加剤を一種または二種以上添加してもよい。
本発明においては、基板10が板状物、例えば、樹脂フィルム(プラスチックフィルム)であれば、その両面に工程(1)を施すことで、樹脂フィルムの両面に樹脂層12aを形成することができる。
このように樹脂フィルム(基板)の両面に樹脂層12aが形成された場合には、更に、後述する工程(2)および工程(3)を行うことで、両面に金属膜が形成された金属パターン材料を得ることができる。
(重合開始層)
本発明において、基板表面に活性種を与え、それを起点としてグラフトポリマーを生成させる表面グラフト重合法を用いる場合、グラフトポリマーの生成に際しては、基材上に、重合開始剤を含有する、または重合開始可能な官能基を有する重合開始層を備える基板を用いることが好ましい。この基板を用いることで、活性点を効率よく発生させ、より多くのグラフトポリマーを生成させることができる。なお、図1(a)中において、重合開始層は図示されていない。
以下、重合開始層について説明する。基材が板状物であれば、その両面に重合開始層を形成してもよい。
重合開始層は重合開始剤を含むことが好ましく、具体的には、高分子化合物と重合開始剤とを含む層や、重合性化合物と重合開始剤とを含む層、重合開始可能な官能基を有する層などが挙げられる。
重合開始層は、必要な成分を、溶解可能な溶媒に溶解し、塗布などの方法で基材表面に設け、加熱または光照射により硬膜することで、形成することができる。
本発明における重合開始層に用いられる化合物としては、基材との密着性が良好であり、且つ、活性光線照射などのエネルギー付与により、活性種を発生するものであれば特に制限なく用いることができる。具体的には、多官能モノマーや分子内に重合性基を有する疎水性ポリマーと重合開始剤とを混合したもの、熱架橋ポリマーと重合開始剤とを混合したもの、を用いることができる。
重合開始層には、エネルギー付与により重合開始能を発現させるための重合開始剤を含有することが好ましい。ここで用いられる重合開始剤は、所定のエネルギー、例えば、活性光線の照射、加熱、電子線の照射などにより、重合開始能を発現し得る公知の熱重合開始剤、光重合開始剤などを、目的に応じて、適宜選択して用いることができる。中でも、光重合を利用することが製造適性の観点から好適であり、このため、光重合開始剤を用いることが好ましい。
光重合開始剤は、照射される活性光線に対して活性であり、これを含む重合開始層から表面グラフト重合が可能なものであれば、特に制限はない。例えば、ラジカル重合開始剤、アニオン重合開始剤、カチオン重合開始剤などを用いることができるが、扱い易さ、反応性の観点からは、ラジカル重合開始剤、カチオン重合開始剤が好ましく、ラジカル重合開始剤がより好ましい。
重合開始層の製造方法は特に制限されないが、例えば、基材上に重合開始剤や溶剤などを含む重合開始層形成用組成物を塗布などにより配置し、溶剤を除去することにより重合開始層を形成することができる。この時、加熱および/または光照射を行って硬膜することが好ましい。特に、加熱により乾燥した後、光照射を行って予備硬膜しておくと、重合性化合物のある程度の硬化が予め行なわれるので、重合開始層上に樹脂層が生成した後に重合開始層ごと脱落するといった事態を効果的に抑制し得るため好ましい。
加熱温度と時間は、塗布溶剤が充分乾燥し得る条件を選択すればよいが、製造適正の点からは、温度が100℃以下、乾燥時間は30分以内が好ましく、乾燥温度40〜80℃、乾燥時間10分以内の範囲の加熱条件を選択することがより好ましい。
また、重合開始剤として、重合開始基を側鎖に有するポリマーを使用してもよい。例えば、特開2004−161995号公報に記載の重合開始基が側鎖にペンダントしてなるポリマーを用いた重合開始層も好ましい。そのような重合開始層に用いられる各種の化合物、および重合開始層の形成方法に関する事項としては、特開2007−154306号公報の段落番号[0049]〜[0061]に記載される事項を、本発明においても同様に適用することができる。
更に、本発明において、前述のような、絶縁性樹脂からなる層を基材上に有する基板を用いる場合、この絶縁性樹脂からなる層中に、公知の重合開始剤を含有させて、絶縁性の重合開始層とすることが好ましい。この絶縁性の重合開始層中に含有させる重合開始剤としては、特に制限はなく、例えば、前述の、熱重合開始剤、光重合開始剤(ラジカル重合開始剤、アニオン重合開始剤、カチオン重合開始剤)や、特開平9−77891号、特開平10−45927号に記載の活性カルボニル基を側鎖に有する高分子化合物、更には、側鎖に重合開始能を有する官能基および架橋性基を有するポリマー(重合開始ポリマー)などを用いることができる。
絶縁性の重合開始層中に含有させる重合開始剤の量は、一般的には、絶縁層中に固形分で0.1〜50質量%程度であることが好ましく、1.0〜30.0質量%程度であることがより好ましい。
(被めっき層形成用組成物)
被めっき層形成用組成物には上記共重合体が含有される。
被めっき層形成用組成物中の共重合体の含有量は特に制限されないが、組成物全量に対して、2〜50質量%が好ましく、5〜30質量%がより好ましい。上記範囲内であれば、組成物の取扱い性に優れ、後述する樹脂層の層厚の制御がしやすい。
被めっき層形成用組成物は、上記共重合体以外に、溶剤が含まれる。
使用できる溶剤としては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、エチレングリコール、グリセリン、プロピレングリコールモノメチルエーテルなどのアルコール系溶剤、酢酸などの酸、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン系溶剤、ホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドンなどのアミド系溶剤、アセトニトリル、プロピオニトリルなどのニトリル系溶剤、酢酸メチル、酢酸エチルなどのエステル系溶剤、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネートなどのカーボネート系溶剤、この他にも、エーテル系溶剤、グリコール系溶剤、アミン系溶剤、チオール系溶剤、ハロゲン系溶剤などが挙げられる。
この中でも、アミド系溶剤、ケトン系溶剤、ニトリル系溶剤、カーボネート系溶剤が好ましく、具体的には、アセトン、ジメチルアセトアミド、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、アセトニトリル、プロピオニトリル、N−メチルピロリドン、ジメチルカーボネートが好ましい。
被めっき層形成用組成物中の溶剤の含有量は特に制限されないが、組成物全量に対して、50〜98質量%が好ましく、70〜95質量%がより好ましい。上記範囲内であれば、組成物の取扱い性に優れ、後述するポリマー層の層厚の制御などがしやすい。
なお、被めっき層形成用組成物には、更に、界面活性剤、可塑剤、重合禁止剤、硬化剤、ラジカル発生剤、増感剤、ゴム成分(例えば、CTBN)、難燃化剤(例えば、りん系難燃化剤)、希釈剤やチキソトロピー化剤、顔料、消泡剤、レべリング剤、カップリング剤などを添加してもよい。
<工程(2):触媒付与工程>
工程(2)は、基板10上の樹脂層12aにめっき触媒またはその前駆体を付与する工程である(図1(b)参照)。なお、めっき触媒またはその前駆体が付与された後の樹脂層を樹脂層12bとして表す。本工程においては、樹脂層12aに含まれる共重合体が有するシアノ基、および、オキシエチレン基またはオキシプロピレン基が、その機能に応じて、付与されためっき触媒またはその前駆体を付着(吸着)する。
ここで、めっき触媒またはその前駆体としては、後述する工程(3)(めっき工程)における、めっきの触媒や電極として機能するものが挙げられる。そのため、めっき触媒またはその前駆体は、工程(3)におけるめっきの種類により決定される。
なお、ここで、本工程において用いられるめっき触媒またはその前駆体は、無電解めっき触媒またはその前駆体であることが好ましい。
以下、めっき触媒、またはその前駆体について詳述する。
(無電解めっき触媒)
無電解めっき触媒は、無電解めっき時の活性核となるものであれば、如何なるものも用いることができる。具体的には、自己触媒還元反応の触媒能を有する金属(Niよりイオン化傾向の低い無電解めっきできる金属として知られるもの)などが挙げられ、具体的には、Pd、Ag、Cu、Ni、Al、Fe、Coなどが挙げられる。中でも、多座配位可能なものが好ましく、特に、配位可能な官能基の種類数、触媒能の高さから、Pdが特に好ましい。
この無電解めっき触媒は、金属コロイドとして用いてもよい。一般に、金属コロイドは、荷電を持った界面活性剤または荷電を持った保護剤が存在する溶液中において、金属イオンを還元することにより作製することができる。金属コロイドの荷電は、ここで使用される界面活性剤または保護剤により調節することができる。
(無電解めっき触媒前駆体)
無電解めっき触媒前駆体とは、化学反応により無電解めっき触媒となりうるものであれば、特に制限なく使用することができる。主には、上記無電解めっき触媒として挙げた金属の金属イオンが用いられる。無電解めっき触媒前駆体である金属イオンは、還元反応により無電解めっき触媒である0価金属になる。無電解めっき触媒前駆体である金属イオンを樹脂層へ付与した後、無電解めっき浴への浸漬前に、別途還元反応により0価金属に変化させて無電解めっき触媒としてもよいし、無電解めっき触媒前駆体のまま無電解めっき浴に浸漬し、無電解めっき浴中の還元剤により金属(無電解めっき触媒)に変化させてもよい。
実際には、無電解めっき前駆体である金属イオンは、金属塩を用いて樹脂層12aに付与されることが好ましい。使用される金属塩としては、適切な溶媒に溶解して金属イオンと塩基(陰イオン)とに解離されるものであれば特に制限はなく、M(NO3)n、MCln、M2/n(SO4)、M3/n(PO4)Pd(OAc)n(Mは、n価の金属原子を表す)などが挙げられる。金属イオンとしては、上記の金属塩が解離したものを好適に用いることができる。具体例としては、例えば、Agイオン、Cuイオン、Alイオン、Niイオン、Coイオン、Feイオン、Pdイオンが挙げられる。なかでも、多座配位可能なものが好ましく、特に、配位可能な官能基の種類数および触媒能の点で、Pdイオンが好ましい。
無電解めっき触媒またはその前駆体の好ましい例の一つとして、パラジウム化合物が挙げられる。このパラジウム化合物は、めっき処理時に活性核となり金属を析出させる役割を果たす、めっき触媒(パラジウム)またはその前駆体(パラジウムイオン)として作用する。パラジウム化合物としては、パラジウムを含み、めっき処理の際に核として作用すれば、特に限定されない。例えば、パラジウム塩、パラジウム(0)錯体、パラジウムコロイドなどが挙げられる。
無電解めっき触媒である金属、または、無電解めっき前駆体である金属塩を樹脂層12aに付与する方法としては、金属を適当な分散媒に分散した分散液、または、金属塩を適切な溶媒で溶解し、解離した金属イオンを含む溶液を調製し、その分散液若しくは溶液を樹脂層12a上に塗布するか、または、その分散液若しくは溶液中に樹脂層12aが形成された基板10を浸漬すればよい。
また、工程(1)において、基板10上に被めっき層形成用組成物を接触させる場合、この組成物中に、無電解めっき触媒またはその前駆体を添加する方法を用いてもよい。
つまり、本発明の共重合体と、無電解めっき触媒またはその前駆体とを含有する組成物を基板10上に接触させて、表面グラフト重合法を適用することにより、シアノ基、および、オキシエチレン基またはオキシプロピレン基を有し、且つ、基板と直接化学結合した共重合体と、めっき触媒またはその前駆体とを含有する樹脂層12bを形成することができる。なお、この方法を用いれば、本発明における工程(1)と工程(2)とが1工程で行えることになる。
上記のように無電解めっき触媒またはその前駆体を接触させることで、樹脂層12a中のシアノ基、および、オキシエチレン基またはオキシプロピレン基に、ファンデルワールス力のような分子間力による相互作用、または、孤立電子対による配位結合による相互作用を利用して、無電解めっき触媒またはその前駆体を吸着させることができる。
このような吸着を充分に行なわせるという観点からは、分散液、溶液、組成物中の金属濃度、または溶液中の金属イオン濃度は、0.001〜50質量%の範囲であることが好ましく、0.005〜30質量%の範囲であることが更に好ましい。また、接触時間としては、30秒〜24時間程度であることが好ましく、1分〜1時間程度であることがより好ましい。
無電解めっき触媒を含む溶液に使用できる溶剤としては、被めっき層形成用組成物に使用する溶剤として上述したものを使用することができる。
(その他の触媒)
本発明において、後述の工程(3)において、樹脂層12bに対して、無電解めっきを行わず直接電気めっきを行うために用いられる触媒としては、0価金属を使用することもできる。この0価金属としては、Pd、Ag、Cu、Ni、Al、Fe、Coなどが挙げられ、中でも、多座配位可能なものが好ましく、特に、シアノ基、および、オキシエチレン基またはオキシプロピレン基に対する吸着(付着)性、触媒能の高さから、Pd、Ag、Cuが好ましい。
以上説明した工程(2)を経ることで、樹脂層12b中のシアノ基、および、オキシエチレン基またはオキシプロピレン基と、めっき触媒またはその前駆体との間に相互作用を形成することができる。めっき触媒が付与された樹脂層12bは、めっき処理が施されるめっき受容性層として用いられる。
なお、触媒付与工程の後に、必要に応じて、樹脂層12bと前処理液とを接触させてもよい。前処理液と接触させることにより、後述するめっき工程で使用されるめっき浴の浸透性がより向上し、金属膜の形成が促進される。
前処理液としては、例えば、エーテル系溶剤(例えば、ジエチレングリコールジエチルエーテル)などが挙げられる。
前処理液の接触条件などは特に制限されないが、前処理液の温度は20〜45℃であることが好ましく、接触時間は1〜10分であることが好ましい。
<工程(3):めっき工程>
工程(3)は、めっき触媒またはその前駆体が付与された樹脂層12bに対し、めっき処理を施すことで、金属膜14a(めっき膜)を形成する工程である(図1(c)参照)。形成された金属膜14aは、優れた導電性を示すと共に、樹脂層12bとの間で優れた密着性を有する。
本工程において行われるめっきの種類は、無電解めっき、電気めっき等が挙げられ、上記工程(2)において、樹脂層12b中のめっき触媒またはその前駆体の機能によって、適宜選択することができる。つまり、本工程では、めっき触媒またはその前駆体が付与された樹脂層12bに対し、電気めっきを行ってもよいし、無電解めっきを行ってもよい。
中でも、本発明においては、樹脂層12b中に発現するハイブリッド構造の形成性および密着性向上の点から、無電解めっきを行うことが好ましい。また、所望の膜厚の金属膜14aを得るために、無電解めっきの後に、更に電気めっきを行うことがより好ましい態様である。
以下、本工程において好適に行われるめっき処理について説明する。
(無電解めっき)
無電解めっきとは、めっきとして析出させたい金属イオンを溶かした溶液を用いて、化学反応によって金属を析出させる操作のことをいう。
無電解めっきは、例えば、無電解めっき触媒が付与された樹脂層を備える基板を、水洗して余分な無電解めっき触媒(金属)を除去した後、無電解めっき浴に浸漬して行う。使用される無電解めっき浴としては、公知の無電解めっき浴を使用することができる。
また、無電解めっき触媒前駆体が付与された樹脂層を備える基板を、無電解めっき触媒前駆体が樹脂層に吸着または含浸した状態で無電解めっき浴に浸漬する場合には、基板を洗浄して余分な前駆体(金属塩など)を除去した後、無電解めっき浴中へ浸漬することが好ましい。この場合には、無電解めっき浴中において、めっき触媒前駆体の還元とこれに引き続き無電解めっきが行われる。ここで使用される無電解めっき浴としても、上記同様、公知の無電解めっき浴を使用することができる。
なお、無電解めっき触媒前駆体の還元は、上記のような無電解めっき液を用いる態様とは別に、触媒活性化液(還元液)を準備し、無電解めっき前の別工程として行うことも可能である。触媒活性化液は、無電解めっき触媒前駆体(主に金属イオン)を0価金属に還元できる還元剤を溶解した液で、その濃度は0.1〜50質量%、好ましくは1〜30質量%がよい。還元剤としては、水素化ホウ素ナトリウム、ジメチルアミンボランのようなホウ素系還元剤、ホルムアルデヒド、次亜リン酸などの還元剤を使用することが可能である。
一般的な無電解めっき浴の組成としては、溶剤の他に、1.めっき用の金属イオン、2.還元剤、3.金属イオンの安定性を向上させる添加剤(安定剤)が主に含まれている。このめっき浴には、これらに加えて、公知の添加物が含まれていてもよい。
めっき浴に用いられる溶剤としては水、または有機溶媒が挙げられる。有機溶剤としては、水に可能な溶剤である必要があり、その点から、アセトンなどのケトン類、メタノール、エタノール、イソプロパノールなどのアルコール類が好ましく用いられる。
無電解めっき浴に用いられる金属の種類としては、銅、すず、鉛、ニッケル、金、パラジウム、ロジウムが知られており、中でも、導電性の観点からは、銅、金が特に好ましい。
また、上記金属に合わせて最適な還元剤、添加物がある。例えば、銅の無電解めっきの浴は、銅塩としてCuSO4、還元剤としてHCOH、添加剤として銅イオンの安定剤であるEDTAやロッシェル塩などのキレート剤、トリアルカノールアミンなどが含まれている。また、CoNiPの無電解めっきに使用されるめっき浴には、その金属塩として硫酸コバルト、硫酸ニッケル、還元剤として次亜リン酸ナトリウム、錯化剤としてマロン酸ナトリウム、りんご酸ナトリウム、こはく酸ナトリウムが含まれている。また、パラジウムの無電解めっき浴は、金属イオンとして(Pd(NH3)4)Cl2、還元剤としてNH3、H2NNH2、安定化剤としてEDTAが含まれている。これらのめっき浴には、上記成分以外の成分が入っていてもよい。
このようにして形成される無電解めっきによる金属膜(めっき膜)の膜厚は、めっき浴の金属イオン濃度、めっき浴への浸漬時間、または、めっき浴の温度などにより制御することができるが、導電性の観点からは、0.3μm以上であることが好ましく、0.7μm以上であることがより好ましい。
また、めっき浴への浸漬時間としては、1分〜6時間程度であることが好ましく、1分〜3時間程度であることがより好ましい。
以上のようにして得られた無電解めっきによるめっき膜は、SEMによる断面観察により、樹脂層12b中に無電解めっき触媒やめっき金属からなる微粒子がぎっしりと分散しており、更に樹脂層12b上にめっき金属が析出していることが確認された。
(電気めっき)
本工程おいては、工程(2)において付与されためっき触媒またはその前駆体が電極としての機能を有する場合、めっき触媒またはその前駆体が付与された樹脂層12bに対して、電気めっきを行うことができる。
また、前述の無電解めっきの後、形成されためっき膜を電極とし、更に、電気めっきを行ってもよい。これにより基板との密着性に優れた無電解めっき膜をベースとして、そこに新たに任意の厚みをもつ金属膜14a(めっき膜)を容易に形成することができる。このように、無電解めっきの後に、電気めっきを行うことで、金属膜14aを目的に応じた厚みに形成しうるため、金属膜14aを種々の応用に適用するのに好適である。
本発明における電気めっきの方法としては、従来公知の方法を用いることができる。なお、本工程の電気めっきに用いられる金属としては、銅、クロム、鉛、ニッケル、金、銀、すず、亜鉛などが挙げられ、導電性の観点から、銅、金、銀が好ましく、銅がより好ましい。
また、電気めっきにより得られる金属膜(めっき膜)の膜厚については、用途に応じて異なるものであり、めっき浴中に含まれる金属濃度、または、電流密度などを調整することで制御することができる。なお、一般的な電気配線などに用いる場合の膜厚は、導電性の観点から、0.5μm以上であることが好ましく、3μm以上であることがより好ましい。
本発明においては、樹脂層12b中に析出した金属が、該層中でフラクタル状の微細構造体として形成され、金属膜14aと樹脂層12bとの密着性を更に向上させることができる。
上述した方法により得られた基板10、樹脂層12b、および金属膜14aをこの順で備える表面金属膜材料16は、高温高湿下であっても、金属膜14aの密着力の変動が少ないといった効果を有する。
表面金属膜材料16は、半導体パッケージ、各種電気配線基板等への用途を考慮すると、表面の凹凸(Rz)が500nm以下(より好ましくは100nm以下)の基板10の上部全面または局所的に、金属膜14a(金属膜)を設けたものであることが好ましい。この基板10の表面凹凸(重合開始層が設けられている場合はその層の表面凹凸)が小さくなるほど、得られた金属パターン材料を配線基板等に適用した場合に、高周波送電時の電気損失が少なくなり好ましい。
また、基板10および樹脂層12bと金属膜14aとの密着性が0.2kN/m以上であることが好ましい。該範囲であれば、基板10表面が平滑でありながら、金属膜14aの密着性が優れる。
なお、表面の凹凸は、JIS B 0601に準じて測定したRz、即ち、「指定面における、最大から5番目までの山頂のZデータの平均値と、最小から5番目までの谷底の平均値との差」で、500nm以下であることが好ましい。基板10表面の凹凸は、基板10を基板表面に対して垂直に切断し、その断面をSEMにより観察することにより測定できる。
また、金属膜14aの密着性の値は、金属膜14aの表面に、銅板(厚さ:0.1mm)をエポキシ系接着剤(アラルダイト、チバガイギー製)で接着し、140℃で4時間乾燥した後、JIS C 6481に基づき90度剥離実験を行うか、または、金属膜自体の単部を直接はぎ取り、JIS C 6481に基づき90度剥離実験を行って得られた値である。
(工程(3)の好適態様)
該工程(3)においては、上述したように、無電解めっきをした後に、電気めっきを行うことが好ましい。
また、無電解めっきを行った後、電気めっきを行う場合の他の好適態様として、無電解めっきで得られた金属膜上にパターン状のマスクを設け、マスクが設けられていない領域にさらに金属膜が形成されるように電気めっきを行ってもよい(以後、該工程を工程(3−A)とも称する)。
該工程(3−A)を図2に基づいて説明すると、図2(a)に示すように、無電解めっきにより樹脂層12b上に金属膜14cを形成した後、該金属膜14c上にパターン状のマスク20を設ける(図2(b)参照)。その後、図2(c)に示すように、電気めっきを行うことにより、マスク20が設けられていない領域(マスク20の非形成領域)に金属膜がさらに設けられ、凸部22と凹部24を含む凹凸状の金属膜14dが得られる。電気めっきを行った後は、図2(d)に示すように、マスク20を除去し、後述する工程(4)を行う。
該工程(3−A)の操作をより具体的に説明すると、無電解めっきで形成されためっき膜上にレジスト層(例えば、ドライフィルムレジスト層)を設け、画像様にパターン露光、現像によりパターンを形成し、ドライフィルムレジストパターンをマスクとして電気めっきを行う。レジスト層を構成する材料は、如何なる材料も使用でき、ネガ型、ポジ型、液状、フィルム状のものが使用できる。レジスト層の除去方法は特に限定されず、公知の方法(アルカリ溶液による除去、ドライエッチング)を使用できる。
上記操作は、いわゆるセミアディティブ法によりパターン状の金属膜を得る工程の一部に該当する。
<工程(4):パターン形成工程>
工程(4)は、めっき工程後に、pHが6.5以下であるエッチング液を使用してパターン状の金属膜14bを形成する工程である(図1(d)参照)。該工程により、パターン状の金属膜14bを表面に有する金属パターン材料18が得られる。なお、該工程においては、図1(c)および(d)に示すように、金属膜14aの不要部分を上記エッチング液で取り除く際に、取り除かれる金属膜14aの下層として存在する樹脂層12bの部分もあわせて除去することができる。なお、該図においては、パターン状の金属膜14b間において樹脂層が完全に除去されているが、本発明においては本発明の効果を損なわない範囲で一部残存していてもよい。
図1(d)に示されるように、本発明においては、パターン状の金属膜14b間の樹脂層が除去されることにより、金属配線として作用するパターン状の金属膜14bの間での絶縁信頼性がより優れたものとなる。
(エッチング液)
まず、以下に本工程で使用されるエッチング液について説明する。
本工程で使用されるエッチング液は、pHが6.5以下を示す。該範囲であれば、金属膜14aおよび樹脂層12b中に含まれる金属成分を溶解させると共に、樹脂層12bを除去することができる。なお、金属膜14aおよび樹脂層12bの除去性がより優れる点で、pH5以下が好ましく、3.5以下がより好ましく、2.0以下がさらに好ましい。なお、下限は特に限定されない。
なお、pHを調整するために用いられる試薬は特に制限されず、例えば、塩酸、硫酸などが挙げられる。
エッチング液に使用される溶媒は特に制限されず、水や、有機溶媒などを使用できる。取扱い性およびエッチング性能の観点から、水が好ましい。
使用されるエッチング液は、金属膜(めっき膜)の除去性がより優れる点で、金属イオンを含有することが好ましい。金属イオンの種類は、金属膜を構成する金属により適宜最適な金属が選択されるが、金属膜を構成する金属よりイオン化傾向が大きい金属のイオンであることが好ましく、例えば、銅をエッチングしたい場合は、銅イオン、鉄イオンなどが挙げられる。
なお、エッチング液中に含まれる金属イオンの含有量は特に制限されないが、金属膜の除去性がより優れる点で、20〜50wt%が好ましく、25〜40wt%がより好ましい。
エッチング液としては、塩化第二鉄溶液、または硫酸-過酸化水素水混合溶液などが挙げられ、好ましくは塩化第二鉄溶液が挙げられる。
(処理方法)
(第1の実施態様)
上記エッチング液を使用してパターン状の金属膜14bを形成する方法は特に限定されないが、生産性などの観点から、図3に示す第1の実施態様が好ましく挙げられる。図3(a)〜(c)は、工程(4)の第1の実施態様における各工程図を示す。なお、該方法は、いわゆるサブトラクティブ法に基づく方法である。
図3(a)に示すように、まず、金属膜14a上の所定位置にマスク20を設ける。その後、図3(b)に示すように、マスク20が設けられていない領域(マスク20の非形成領域)の金属膜14aおよび樹脂層12bをエッチング液で除去する。マスク20としては、上述したように、公知のレジスト材料を使用することができる。その後、図3(c)に示すように、マスク20を除去することにより、金属パターン材料18が得られる。
エッチング液を金属膜14aに接触させる方法は特に限定されず、エッチング液を金属膜14aに塗布(例えば、スプレー塗布)する方法や、エッチング液中に金属膜14aを有する基板を浸漬する方法などが挙げられる。
(第2の実施態様)
また、処理方法の他の好適な態様として、図4に示す第2の実施態様が好ましく挙げられる。図4(a)〜(b)は、工程(4)の第2の実施態様における各工程図を示す。なお、該方法は、いわゆるセミアディティブ法に基づく方法であり、上述しためっき工程において工程(3−A)を実施して、金属パターン材料18を得る方法である。
上述した記工程(3−A)を経ることにより得られた凹凸構造を有する金属膜14dに対して、上記エッチング液を用いたクイックエッチングを行うことにより、金属膜14d中の配線部に対応する凸部22以外の凹部24および樹脂層12bが除去され、金属パターン材料18が得られる。該処理により、マスク20が設けられていた領域の金属膜14dが除去される(図2(c)および図4(b)参照)。
上記方法(好ましくは、第1の実施態様および第2の実施態様)により得られた金属膜14bの厚みは適宜調整することができ、配線基板などへの応用の点からは、5〜20μmが好ましい。
<配線基板>
上記方法により得られた金属パターン材料18は、半導体チップ、各種電気配線板、FPC、COF、TAB、アンテナ、多層配線基板、マザーボード、等の様々な用途に適用することができる。なかでも、配線基板として好適に利用できる。配線基板28の態様としては、図1(e)に示すように、金属パターン材料18上に絶縁層26を設けた態様が挙げられる。
本発明の金属パターン材料18の金属パターンを配線として有する配線基板28は、平滑な基板との密着性に優れた配線が形成でき、高周波特性も良好であるとともに、微細な高密度配線であっても、配線間の絶縁信頼性に優れる。
絶縁層26としては公知の材料を使用することができ、例えば、公知の層間絶縁膜、ソルダーレジストなどが挙げられる。
絶縁層26の材料としては、例えば、エポキシ樹脂、アラミド樹脂、結晶性ポリオレフィン樹脂、非晶性ポリオレフィン樹脂、フッ素含有樹脂(ポリテトラフルオロエチレン、全フッ素化ポリイミド、全フッ素化アモルファス樹脂など)、ポリイミド樹脂、ポリエーテルスルフォン樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、液晶樹脂など挙げられる。
なお、本発明においては、絶縁層26と基板10とが類似の性質の樹脂を含む場合(例えば、絶縁層26および基板10ともに同じ樹脂(例、エポキシ樹脂)を含有する場合)、図1(e)に示されるように、絶縁層26が基板10と直接接触することにより、該界面間での接着性をより向上させることができる。このような界面間の接着性が向上することにより、該界面間への水分の浸透が抑制され、金属配線間のショートの原因となるような金属デンドライトの発生が抑制される。
以下、実施例により、本発明について更に詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
[ポリマーの合成]
以下に、ポリマーの合成方法を詳述する。
1.ポリマーA−1/B−1の合成
1−1.吸着性基含有モノマーAの合成
1−1−1.吸着性基含有モノマーA前駆体の合成
2L三口ナスフラスコに、tert-ブチルアミン(関東化学(株)製)500g、ヨウ化カリウム(和光純薬(株)製)30gを入れ、氷浴で0℃に冷却した。その混合物に、4−ブロモブチロニトリル(東京化成(株)製)144gを30分かけて滴下した。滴下終了後、45℃で1日攪拌した。不溶物をろ別後、ろ液を濃縮し、減圧乾燥することで下記吸着性基含有モノマーA前駆体を124g得た。
1−1−2.吸着性基含有モノマーAの合成
1L三口ナスフラスコに、吸着性基含有モノマーA前駆体120g、酢酸エチル500g、トリエチルアミン(和光純薬(株)製)95.3gを入れ、氷浴で0℃に冷却した。その混合物に、アクリル酸クロライド(和光純薬(株)製)77.4gを1時間かけて滴下した。滴下終了後、0℃で1時間攪拌し、不溶物をろ別した。ろ液を濃縮し、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル、展開溶媒はヘキサン:酢酸エチル=3:1)により精製し、下記吸着性基含有モノマーAを102.4g得た。
1−1−3.ポリマーA−1の合成
300mlの三口フラスコにジメチルカーボネート17.3gを入れ、窒素気流下、65℃まで加熱した。そこへ、ヒドロキシエチルアクリレート(東京化成工業(株)製)3.48g、ブレンマーAME400(日油(株)製)13.62g、吸着性基含有モノマーA17.49g、及びV−65(和光純薬製)0.298gのジメチルカーボネート17.3g溶液を4時間かけて滴下した。滴下終了後、更に3時間撹拌した。その後、室温まで、反応溶液を冷却し、アセトニトリル30gを添加した。
上記の反応溶液に、TEMPO(東京化成工業(株)製)0.107g、U−600(日東化成工業(株)製)0.317g、カレンズAOI(昭和電工(株)製)9.63gを含むアセトニトリル9.63g溶液を添加し、45℃、6時間反応を行った。その後、反応液に、水を1.23g加え、更に1.5時間反応を行った。反応終了後、ヘキサン/酢酸エチル(=5/1)で再沈殿を行い、固形物を取り出し、ポリマーA−1を29g得た。ポリマーA−1の構造の同定は、NMR(ブルカー製 400MHz)を用いてポリマーを重DMSOに溶解させ1H−NMRで確認した。分子量の測定方法は、ポリマーをNMPに溶解させ、東ソー(株)製高速GPC(HLC−8220GPC)を用いて分子量の測定を行った。なお、分子量はポリスチレン換算で計算した。ポリマーA−1の重量平均分子量は、6.5万であった。なお、以下の構造式中の数値は、各ユニットのモル%を表す。
1−1−4.ポリマーB−1の合成
300mlの三口フラスコに、ジメチルカーボネート15.2gを入れ、窒素気流下、65℃まで加熱した。そこへ、ヒドロキシブチルアクリレート(東京化成工業(株)製)4.33g、ブレンマーAME400(日油(株)製)6.81g、吸着性基含有モノマーA20.40g、及びV−65(和光純薬製)0.298gのジメチルカーボネート15.2g溶液を4時間かけて滴下した。滴下終了後、更に3時間撹拌した。その後、室温まで、反応溶液を冷却し、アセトニトリル26gを添加した。
上記の反応溶液に、TEMPO(東京化成工業(株)製)0.10g、U−600(日東化成工業(株)製)0.296g、カレンズAOI(昭和電工(株)製)8.98gを含むアセトニトリル8.98g溶液を添加し、45℃、6時間反応を行った。その後、反応液に、水を1.15g加え、更に1.5時間反応を行った。反応終了後、ヘキサン/酢酸エチル(=5/1)で再沈殿を行い、固形物を取り出し、ポリマーB−1を30g得た。ポリマーB−1の構造の同定は、NMR(ブルカー製 400MHz)を用いてポリマーを重DMSOに溶解させ1H−NMRで確認した。分子量の測定方法は、ポリマーをNMPに溶解させ、東ソー(株)製高速GPC(HLC−8220GPC)を用いて分子量の測定を行った。なお、分子量はポリスチレン換算で計算した。ポリマーB−1の重量平均分子量は、11.9万であった。なお、以下の構造式中の数値は、各ユニットのモル%を表す。nは、9である。
1−1−5.ポリマーCの合成
300mlの三口フラスコに、ジメチルカーボネート9.2gを入れ、窒素気流下、65℃まで加熱した。そこへ、ヒドロキシエチルアクリレート(東京化成工業(株)製)3.48g、シアノエチルアクリレート15.0g及びV−65(和光純薬製)0.298gのジメチルカーボネート18.5g溶液を4時間かけて滴下した。滴下終了後、更に3時間撹拌した。その後、室温まで、反応溶液を冷却し、アセトニトリル16gを添加した。
上記の反応溶液に、TEMPO(東京化成工業(株)製)0.074g、U−600(日東化成工業(株)製)0.222g、カレンズAOI(昭和電工(株)製)6.679gを含むアセトニトリル6.67g溶液を添加し、45℃、6時間反応を行った。その後、反応液に水を0.852g加え、更に1.5時間反応を行った。反応終了後、ヘキサン/酢酸エチル(=5/1)で再沈殿を行い、固形物を取り出し、ポリマーCを20g得た。ポリマーCの構造の同定は、NMR(ブルカー製 400MHz)を用いてポリマーを重DMSOに溶解させ1H−NMRで確認した。分子量の測定方法は、ポリマーをNMPに溶解させ、東ソー(株)製高速GPC(HLC−8220GPC)を用いて分子量の測定を行った。なお、分子量はポリスチレン換算で計算した。ポリマーCの重量平均分子量は、7.2万であった。なお、以下の構造式中の数値は、各ユニットのモル%を表す。
<実施例1>
[基板の作製]
ガラスエポキシ基板上に、電気的絶縁層として味の素ファインテクノ社製エポキシ系絶縁膜GX−13(膜厚40μm)を、加熱、加圧して、真空ラミネーターにより0.5MPaの圧力で100℃〜110℃の条件により接着して、基材を得た。
ついで、基材の上に、下記組成の絶縁性組成物を厚さ3ミクロンになるようにスピンコート法で塗布し、30℃にて1時間放置して溶剤を除去した後、170℃で60分乾燥して重合開始層(絶縁性の重合開始層)を形成し、基板Xを得た。この基板Xの表面凹凸(Rz)は0.1μmであった。
(絶縁性組成物)
ビスフェノールF型エポキシ樹脂(三菱化学(株)(旧ジャパンエポキシレジン(株))社製 jER806)4.0質量部、アミノトリアジンノボラック樹脂(フェノール性水酸基当量120、大日本インキ化学工業(株)社製 フェノライトLA7052)1.6質量部、フェノキシ樹脂(新日鐵化学(株)社製 YP―50EK35)7.3質量部、硬化促進剤として2−エチル−4−メチルイミダゾール(和光純薬(株)社製)0.05質量部、重合開始剤として後段の重合開始ポリマーP0.4質量部を、シクロヘキサノン20.8質量部に、攪拌しながら溶解させ、絶縁性組成物を得た。
(重合開始ポリマーPの合成)
300mlの三口フラスコに、プロピレングリコールモノメチルエーテル(MFG)30gを加え75℃に加熱した。そこに、[2-(Acryloyloxy)ethyl](4-benzoylbenzyl) dimethyl ammonium bromide(8.1g)と、2-Hydroxyethylmethacrylate(9.9g)と、isopropylmethacrylate(13.5g)と、ジメチル−2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)0.43gと、MFG30gとの溶液を2.5時間かけて滴下した。その後、反応温度を80℃にし、更に2時間反応させ、重合開始基を有する重合開始ポリマーPを得た。
[樹脂層の形成]
(塗布溶液の調製)
ポリマーA−1(2.0質量部)、アセトニトリル(18.0質量部)を混合攪拌し、塗布溶液A−1を調製した。
(グラフトポリマーA−1の生成)
調製された塗布溶液A−1を、基板X上に、厚さ0.5μmになるように、スピンコート法により塗布し、80℃にて5分乾燥した。その後、三永電機製のUV露光機(型番:UVF−502S、ランプ:UXM−501MD)を用い、10mW/cm2の照射パワー(ウシオ電機製紫外線積算光量計UIT150−受光センサーUVD−S254で照射パワー測定)にて、2500秒間照射させて、基板Xの全面に該重合開始層とグラフトポリマーを生成させた。ここで、積算露光量は2500mJ/cm2であった。
その後、攪拌した状態のアセトニトリル中にグラフトポリマーが生成された基板Xを5分間浸漬し、続いて、蒸留水にて洗浄した。
これにより、基板Xと直接結合した樹脂層(洗浄後の厚み:0.5μm)を有する基板X-A-1を得た。
[めっき触媒の付与]
樹脂層を有する基板X-A-1を、酢酸パラジウム0.25質量%を溶解しためっき触媒液(硝酸/ジエチレングリコールジエチルエーテル/水=1/2/2(質量比))に、30分間浸漬した。
[前処理液の付与]
前処理液としてエーテル系溶剤であるジエチレングリコールジエチルエーテル40質量%水溶液を調整し、該前処理液中にめっき触媒を付与してなる基板X-A-1を25℃で5分間浸漬した後、余分な前処理液を水洗によって除去した。
[無電解めっき及びめっき膜析出性の評価]
上記のようにして、めっき触媒が付与された樹脂層を有する基板に対し、下記組成の無電解めっき浴を用い、無電解めっきを行った。得られた無電解銅めっき膜の厚みは0.5μmであった。
(無電解めっき浴の組成:上村工業(株)製スルカップPGT)
蒸留水 約60容量%
PGT−A 9.0容量%
PGT−B 6.0容量%
PGT−C 3.5容量%
ホルマリン液 2.3容量%
最後に、全量が100容量%となるように蒸留水にて液面調整した。
*ここで用いたホルマリンは、和光純薬工業(株)製のホルムアルデヒド液(特級)である。
以上の組成のめっき浴のpHを、水酸化ナトリウムおよび硫酸で12.6(26℃)に調整した。
[電気めっき]
続いて、無電解銅めっき膜を給電層として、下記組成の電気銅めっき浴を用い、3A/dm2の条件で、電気めっきを30分間行った。得られた電気銅めっき膜(金属膜)の厚みは18μmであった。
(電気めっき浴の組成)
・硫酸銅・五水和物 38g
・硫酸 95g
・塩酸 1mL
・カッパーグリームPCM(メルテックス(株)製) 3mL
・水 500g
(密着性評価)
得られためっき膜(金属膜)に対して、引張試験機((株)島津製作所 製、オートグラフAGS-J)を用いて、10mm幅について、引張強度50mm/minにて、90°ピール強度の測定を行ったところ、0.7kN/mであった。
[金属パターンの形成、ソルダーレジストの貼付け及び絶縁信頼性試験]
電気めっき後の基板に対し180℃/1時間の熱処理を行なった後、該基板の表面に、ドライレジストフィルム(日立化成(株)製;RY3315、膜厚15μm)を真空ラミネーター((株)名機製作所製:MVLP−600)で70℃、0.2MPaでラミネートした。次いで、ドライレジストフィルムがラミネートされた基板に、JPCA−ET01に定めるL/S=75μm/75μmの櫛型配線(JPCA−BU01−2007準拠、パターンFB)が形成できるガラスマスクを密着させ、レジストを中心波長405nmの露光機にて70mJの光エネルギーを照射した。
露光後の基板に、1%Na2CO3水溶液を0.2MPaのスプレー圧で噴きつけ、現像を行なった。その後、基板の水洗・乾燥を行い、銅めっき膜上に、サブトラクティブ法用のレジスト・パターンを形成した。
レジスト・パターンを形成した基板を、金属溶解液として温度40℃のFeCl3/HCl水溶液(塩化第二鉄溶液)(エッチング液、FeCl3濃度:35質量%、pH:1.5)を、0.2MPaのスプレー圧で噴きつけることによりエッチングを行い、レジスト・パターンの非形成領域に存在する銅めっき層を除去した。その後、3%NaOH水溶液を0.2MPaのスプレー圧で基板上に噴き付けることで、レジスト・パターンを膨潤剥離し、10%硫酸水溶液で中和処理を行い、水洗することで櫛型配線パターンを得た。
さらに、櫛型配線上にソルダーレジスト(PFR800;太陽インキ製造(株)製)を70℃、0.2MPaの条件で真空ラミネートし、中心波長365nmの露光機にて420mJの光エネルギーを照射した。このとき、後の絶縁信頼性試験ではんだ付けする部分に関しては、遮光テープでマスクした。次いで、基板を80℃/10分間の加熱処理を施した後、Na2CO3:1%水溶液を、スプレー圧0.2MPaで基板表面に噴きつけ現像し、水洗、乾燥した。その後、再度、中心波長365nmの露光機にて1000mJの光エネルギーを、基板に対して照射した。最後に150℃/1hrの加熱処理を行ない、ソルダーレジストに被覆された配線間絶縁信頼性を測定するための櫛形配線基板(金属パターン材料)を得た。
この櫛型配線基板に対し、JPCA規格 プリント配線板環境試験方法JPCA−ET01(通則)およびET07(高温・高湿・定常不飽和加圧水蒸気試験)に基づいて絶縁信頼性試験を行なった。ESPEC製HAST試験機(AMI−150S−25(EHS−211−MD))にて、130℃−85%相対湿度(不飽和)、印加電圧20Vで200時間試験し、試験槽内における配線間の絶縁抵抗を観察した。その結果、配線間絶縁抵抗は108以上で絶縁性に問題はなかった。
なお、上記条件で、印加電圧20Vで10時間試験を行った際の、絶縁抵抗も合わせて測定した。
実用上、絶縁抵抗は108以上であることが好ましい。
<樹脂の残存状態>
櫛型配線パターンの断面をSEMで観察して、配線間の樹脂層の膜厚を測定し、以下に基準に従って評価した。
「◎」:樹脂層の残存なし
「○」:樹脂層の厚みが0μm超0.1μm以下の場合
「△」:樹脂層の厚みが0.1μm超0.2μm以下の場合
「×」:樹脂層の厚みが0.2μm超の場合
<実施例2〜5、比較例1>
使用するポリマーをA−1からポリマーB−1またはポリマーCへ変更し、樹脂層の厚みを変更して、上記実施例1の方法と同様の方法にて、配線間の絶縁抵抗を測定した。結果を表1にまとめて示す。
なお、表1中の樹脂層の厚みは、重合開始層上に設けられた、洗浄後の基板Xと直接結合した樹脂層の厚みを意味する。
本発明の製造方法によれば、樹脂層の残存が少なく、金属パターン間の絶縁抵抗性がより優れることが確認された。特に、樹脂層の厚みが所定範囲であれば、より優れた効果が得られることが確認された。また、10時間後および200時間後においても、ほとんど絶縁抵抗性は変化せず、優れた経時安定性を有することが確認された。
また、比較例1に示されるように、式(3)で表されるユニットで表されるユニットを含まない共重合体を使用した場合、樹脂層の残渣が多くなり、金属パターン間の絶縁抵抗性に劣った。また、絶縁抵抗性は時間と共に劣化しており、経時安定性の点でも劣っていた。
10 基板
12a 樹脂層
12b めっき触媒またはその前駆体が付与された樹脂層
14a 金属膜
14b パターン状の金属膜
14c 無電解めっきにより得られた金属膜
14d 電気めっきにより得られた金属膜
16 表面金属膜材料
18 金属パターン材料
20 マスク
22 凸部
24 凹部
26 絶縁層
28 配線基板

Claims (11)

  1. 下記式(1)で表されるユニット、下記式(2)で表されるユニット、および下記式(3)で表されるユニットを少なくとも含む共重合体を含有する樹脂層を基板上に形成する樹脂層形成工程と、
    前記樹脂層にめっき触媒またはその前駆体を付与する触媒付与工程と、
    前記めっき触媒またはその前駆体に対してめっきを行うめっき工程と、
    前記めっき工程後に、pHが6.5以下であるエッチング液を使用してパターン状の金属膜を形成するパターン形成工程を含む、表面にパターン状の金属膜を備える金属パターン材料の製造方法。

    (上記式(1)、式(2)および式(3)中、R1〜R7は、それぞれ独立して、水素原子、または、置換若しくは無置換のアルキル基を表す。X、Y、ZおよびWは、それぞれ独立して、単結合、または、置換若しくは無置換の二価の有機基を表す。L1は、置換または無置換の二価の有機基を表す。L2は、単結合、または、置換若しくは無置換の二価の有機基を表す。L3は、置換または無置換のエチレン基またはプロピレン基を表す。式(3)中、nは1から30の数を示す。)
  2. 前記樹脂層の厚みが、0.1〜3.0μmである、請求項1に記載の金属パターン材料の製造方法。
  3. 前記エッチング液が、塩化第二鉄溶液または硫酸-過酸化水素水混合溶液である、請求項1または2に記載の金属パターン材料の製造方法。
  4. 前記パターン形成工程が、前記めっき工程で得られた金属膜上にパターン状のマスクを設け、前記マスクの非形成領域をpHが6.5以下であるエッチング液で処理した後、前記マスクを除去して、パターン状の金属膜を形成する工程である、請求項1〜3のいずれかに記載の金属パターン材料の製造方法。
  5. 前記めっき工程が、無電解めっきおよび電気めっきをこの順で実施する工程である、請求項4に記載の金属パターン材料の製造方法。
  6. 前記めっき工程が、無電解めっきを実施し、前記無電解めっきにより得られた金属膜上にパターン状のマスクを設け、さらに、前記マスクの非形成領域に金属膜を形成するように電気めっきを行い、前記マスクを除去する工程である、請求項1〜3のいずれかに記載の金属パターン材料の製造方法。
  7. 前記樹脂層中の共重合体が、前記基板と直接化学結合している、請求項1〜6のいずれかに記載の金属パターン材料の製造方法。
  8. 前記樹脂層形成工程が、前記基板上に前記共重合体を接触させた後、エネルギーを付与することにより、前記基板表面に前記基板と直接化学結合した共重合体を含む樹脂層を形成する工程を含む、請求項1〜7のいずれかに記載の金属パターン材料の製造方法。
  9. 前記基板が、その表面上に重合開始剤を含有する、または重合開始可能な官能基を有する重合開始層を備える、請求項8に記載の金属パターン材料の製造方法。
  10. 請求項1〜9のいずれかに記載の金属パターン材料の製造方法により製造される、金属パターン材料。
  11. 請求項10に記載の金属パターン材料と、前記金属パターン材料上に設けられる絶縁層とを備える配線基板。
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