JP2012102280A - エンジン油組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】混合潤滑条件下での摩擦を十分に低減することができ、省燃費性に優れるエンジン油組成物を提供すること。
【解決手段】本発明は、100℃における動粘度が1〜20mm/sである潤滑油基油と、モリブデンジチオカーバメートと、モリブデンジチオホスフェートと、金属サリシレート系清浄剤とを含有するエンジン油組成物を提供する。
【選択図】なし

Description

本発明はエンジン油組成物に関する。
従来、内燃機関や変速機、その他機械装置には、その作用を円滑にするために潤滑油が用いられる。特に内燃機関用潤滑油(エンジン油)は内燃機関の高性能化、高出力化、運転条件の苛酷化などに伴い、高度な性能が要求される。したがって、従来のエンジン油にはこうした要求性能を満たすため、摩耗防止剤、金属系清浄剤、無灰分散剤、酸化防止剤などの種々の添加剤が配合されている(例えば、下記特許文献1〜3を参照。)。また近時、潤滑油に求められる省燃費性能は益々高くなっており、高粘度指数基油の適用や各種摩擦調整剤の適用などが検討されている(例えば、下記特許文献4を参照。)。
特開2001−279287号公報 特開2002−129182号公報 特開平08−302378号公報 特開平06−306384号公報
一般的な省燃費化の手法として、潤滑油の動粘度の低減及び粘度指数の向上(低粘度基油と粘度指数向上剤の組合せによるマルチグレード化)が知られている。もうひとつの手段は油膜の形成がごくわずかしかなく、固体間接触が発生しているような潤滑条件下、すなわち混合潤滑条件下での摩擦を低減する方法である。この潤滑条件はエンジンではバルブを駆動する動弁系や低速時のピストンの上死点や下死点で発生する。この摩擦低減する方法としては、固体間接触が発生する部分に、添加剤を吸着させることにより、固体間の接触を低減させる方法がとられる。この添加剤を一般に摩擦調整剤と呼んでいる。
この摩擦調整剤としては様々な化合物が使用されているが、基本的な構造としては同一化合物中に直鎖状のアルキル基と金属表面に吸着できる極性基を有するものである。この極性基としては様々なものがあり、カルボン酸、アミン、アミド、水酸基、リン酸、亜リン酸等が挙げられるが、これらが複数、同じ種類や異なる種類のものが同一分子に存在するものの多数あり、その構造はきわめて複雑である。また有効性が高いものとして、有機モリブデン化合物が知られている。
省燃費性をさらに向上させるために、摩擦調整剤の添加のほか、高性能基油配合や高性能粘度指数向上剤の添加が試みられ、その性能は向上してきている。しかしながら、更なる省燃費性能の向上が求められているのが現実である。
本発明は、このような実情に鑑みてなされたものであり、混合潤滑条件下での摩擦を十分に低減することにより、さらに省燃費性に優れるエンジン油組成物を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明は、下記[1]〜[3]に示すエンジン油組成物を提供する。
[1]100℃における動粘度が1〜20mm/sである潤滑油基油と、モリブデンジチオカーバメートと、モリブデンジチオホスフェートと、金属サリシレート系清浄剤とを含有するエンジン油組成物。
[2]前記金属サリシレート系清浄剤が、炭素数20〜30のアルキル基を有するサリチル酸金属塩である、[1]に記載のエンジン油組成物。
[3]0.1質量%以上2.0質量%以下のホウ素含有量を有するホウ素化無灰分散剤を更に含有する、請求項1又は2に記載のエンジン油組成物。
本発明によれば、混合潤滑条件下での摩擦を十分に低減することができ、省燃費性に優れるエンジン油組成物を提供することが可能となる。
本発明のエンジン油組成物は、二輪車用、四輪車用、発電用、コジェネレーション用等のガソリンエンジン、ディーゼルエンジン、ガスエンジン等にも好適に使用でき、さらには、硫黄分が50質量ppm以下の燃料を使用するこれらの各種エンジンに対しても好適に使用することができるだけでなく、船舶用、船外機用の各種エンジンに対しても有用である。
以下、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。
本実施形態に係るエンジン油組成物は、100℃における動粘度が1〜20mm/sである潤滑油基油と、(A)モリブデンジチオカーバメート(以下、場合により「成分(A)」ともいう)と、(B)モリブデンジチオホスフェート(以下、場合により「成分(A)」ともいう)と、(C)金属サリシレート系清浄剤とを含有する。
本実施形態に係るエンジン油組成物においては、100℃における動粘度が1〜20mm/sである潤滑油基油(以下、「本実施形態に係る潤滑油基油」という。)が用いられる。
本実施形態に係る潤滑油基油としては、例えば、原油を常圧蒸留及び/又は減圧蒸留して得られた潤滑油留分を、溶剤脱れき、溶剤抽出、水素化分解、水素化異性化、溶剤脱ろう、接触脱ろう、水素化精製、硫酸洗浄、白土処理等の精製処理のうちの1種を単独で又は2種以上を組み合わせて精製したパラフィン系鉱油、あるいはノルマルパラフィン系基油、イソパラフィン系基油などのうち、100℃における動粘度が1〜20mm/sのものが挙げられる。
本実施形態に係る潤滑油基油の好ましい例としては、以下に示す基油(1)〜(7)を原料とし、この原料油及び/又はこの原料油から回収された潤滑油留分を、所定の精製方法によって精製し、潤滑油留分を回収することによって得られる基油を挙げることができる。
(1)パラフィン基系原油及び/又は混合基系原油の常圧蒸留残渣油の減圧蒸留による留出油(WVGO)
(2)潤滑油脱ろう工程により得られるワックス(スラックワックス等)及び/又はガストゥリキッド(GTL)プロセス等により得られる合成ワックス(フィッシャートロプシュワックス、GTLワックス等)
(3)基油(1)〜(2)から選ばれる1種又は2種以上の混合油及び/又は当該混合油のマイルドハイドロクラッキング処理油
(4)基油(1)〜(3)から選ばれる2種以上の混合油
(5)パラフィン基系原油及び/又は混合基系原油の常圧蒸留残渣油の減圧蒸残渣油の脱れき油(DAO)
(6)基油(5)のマイルドハイドロクラッキング処理油(MHC)
(7)基油(1)〜(6)から選ばれる2種以上の混合油。
なお、上記所定の精製方法としては、水素化分解、水素化仕上げなどの水素化精製;フルフラール溶剤抽出などの溶剤精製;溶剤脱ろうや接触脱ろうなどの脱ろう;酸性白土や活性白土などによる白土精製;硫酸洗浄、苛性ソーダ洗浄などの薬品(酸又はアルカリ)洗浄などが好ましい。本発明では、これらの精製方法のうちの1種を単独で行ってもよく、2種以上を組み合わせて行ってもよい。また、2種以上の精製方法を組み合わせる場合、その順序は特に制限されず、適宜選定することができる。
更に、本実施形態に係る潤滑油基油としては、上記基油(1)〜(7)から選ばれる基油又は当該基油から回収された潤滑油留分について所定の処理を行うことにより得られる下記基油(8)が特に好ましい。
(8)上記基油(1)〜(7)から選ばれる基油又は当該基油から回収された潤滑油留分を水素化分解し、その生成物又はその生成物から蒸留等により回収される潤滑油留分について溶剤脱ろうや接触脱ろうなどの脱ろう処理を行い、又は当該脱ろう処理をした後に蒸留することによって得られる水素化分解鉱油。
また、上記(8)の潤滑油基油を得るに際して、好都合なステップで、必要に応じて溶剤精製処理及び/又は水素化仕上げ処理工程を更に設けてもよい。
本実施形態に係る潤滑油基油の粘度指数は、120以上であることが好ましい。より好ましくは125〜160である。粘度指数が前記下限値未満であると、粘度−温度特性及び熱・酸化安定性、揮発防止性が悪化するだけでなく、摩擦係数が上昇する傾向にあり、また、摩耗防止性が低下する傾向にある。また、粘度指数が前記上限値を超えると、低温粘度特性が低下する傾向にある。
なお、本発明でいう粘度指数とは、JIS K 2283−1993に準拠して測定された粘度指数を意味する。
本実施形態に係る潤滑油基油として、100℃における動粘度が1〜20mm/sである合成系基油を用いても良い。合成系基油としては、ポリα−オレフィン又はその水素化物、イソブテンオリゴマー又はその水素化物、イソパラフィン、アルキルベンゼン、アルキルナフタレン、ジエステル(ジトリデシルグルタレート、ジ−2−エチルヘキシルアジペート、ジイソデシルアジペート、ジトリデシルアジペート、ジ−2−エチルヘキシルセバケート等)、ポリオールエステル(トリメチロールプロパンカプリレート、トリメチロールプロパンペラルゴネート、ペンタエリスリトール2−エチルヘキサノエート、ペンタエリスリトールペラルゴネート等)、ポリオキシアルキレングリコール、ジアルキルジフェニルエーテル、ポリフェニルエーテル等が挙げられ、中でも、ポリα−オレフィンが好ましい。ポリα−オレフィンとしては、典型的には、炭素数2〜32、好ましくは6〜16のα−オレフィンのオリゴマー又はコオリゴマー(1−オクテンオリゴマー、デセンオリゴマー、エチレン−プロピレンコオリゴマー等)及びそれらの水素化物が挙げられる。
本実施形態に係るエンジン油組成物においては、上記本実施形態に係る潤滑油基油を単独で用いてもよく、また、本実施形態に係る潤滑油基油を他の基油の1種又は2種以上と併用してもよい。なお、本実施形態に係る潤滑油基油と他の基油とを併用する場合、それらの混合基油中に占める本実施形態に係る潤滑油基油の割合は、30質量%以上であることが好ましく、50質量%以上であることがより好ましく、70質量%以上であることが更に好ましい。
本実施形態に係る潤滑油基油と併用される他の基油としては、特に制限されないが、鉱油系基油としては、例えば100℃における動粘度が20mm/sを超え200mm/s以下の、溶剤精製鉱油、水素化分解鉱油、水素化精製鉱油、溶剤脱ろう基油などが挙げられる。
また、本実施形態に係る潤滑油基油と併用される他の合成系基油としては、100℃における動粘度が1〜20mm/sの範囲外である、前記した合成系基油が挙げられる。
本実施形態で用いる成分(A)(モリブデンジチオカーバメート、MoDTC)及び成分(B)(モリブデンジチオホスフェート、MoDTP)は有機モリブデン化合物のひとつである。
成分(A)モリブデンジチオカーバメートとしては、具体的には例えば、次の一般式(1)で表される化合物を用いることができる。
Figure 2012102280
上記(1)式中、R、R、R及びRは同一でも異なっていてもよく、それぞれ炭素数2〜24、好ましくは炭素数4〜13のアルキル基又は炭素数6〜24、好ましくは炭素数8〜15のアリール基(アルキルアリール基を含む)等の炭化水素基を示す。また、X、X、X及びXは同一でも異なっていてもよく、それぞれ硫黄原子又は酸素原子を示す。なお、ここでいうアルキル基には1級アルキル基、2級アルキル基又は3級アルキル基が含まれ、これらは直鎖状でも分枝状でもよい。
アルキル基の好ましい例としては、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基等が挙げられ、これらは1級アルキル基、2級アルキル基又は3級アルキル基でも良く、また直鎖状でも分枝状でもよい。(アルキル)アリール基の好ましい例としては、フェニル基、トリル基、エチルフェニル基、プロピルフェニル基、ブチルフェニル基、ペンチルフェニル基、ヘキシルフェニル基、オクチルフェニル基、ノニルフェニル基、デシルフェニル基、ウンデシルフェニル基、ドデシルフェニル基等が挙げられ、そのアルキル基は1級アルキル基、2級アルキル基又は3級アルキル基でも良く、また直鎖状でも分枝状でもよい。さらにこれら(アルキル)アリール基には、アリール基へのアルキル基の置換位置が異なる、全ての置換異性体が含まれる。
より好ましいモリブデンジチオカーバメートとしては、具体的には、硫化モリブデンジエチルジチオカーバメート、硫化モリブデンジプロピルジチオカーバメート、硫化モリブデンジブチルジチオカーバメート、硫化モリブデンジペンチルジチオカーバメート、硫化モリブデンジヘキシルジチオカーバメート、硫化モリブデンジオクチルジチオカーバメート、硫化モリブデンジデシルジチオカーバメート、硫化モリブデンジドデシルジチオカーバメート、硫化モリブデンジ(ブチルフェニル)ジチオカーバメート、硫化モリブデンジ(ノニルフェニル)ジチオカーバメート、硫化オキシモリブデンジエチルジチオカーバメート、硫化オキシモリブデンジプロピルジチオカーバメート、硫化オキシモリブデンジブチルジチオカーバメート、硫化オキシモリブデンジペンチルジチオカーバメート、硫化オキシモリブデンジヘキシルジチオカーバメート、硫化オキシモリブデンジオクチルジチオカーバメート、硫化オキシモリブデンジデシルジチオカーバメート、硫化オキシモリブデンジドデシルジチオカーバメート、硫化オキシモリブデンジ(ブチルフェニル)ジチオカーバメート、硫化オキシモリブデンジ(ノニルフェニル)ジチオカーバメート(アルキル基は直鎖状でも分枝状でも良く、また、アルキルフェニル基のアルキル基の結合位置は任意である)、及びこれらの混合物等が例示できる。なお、これらモリブデンジチオカーバメートとしては、1分子中に異なる炭素数及び/又は構造の炭化水素基を有する化合物も、好ましく用いることができる。
成分(A)の含有量は、摩擦低減効果の観点から、エンジン油組成物全量を基準として、モリブデン元素量換算で、好ましくは100ppm以上、より好ましくは300質量ppm以上、さらに好ましくは400質量ppm以上である。また、成分(A)の含有量は、潤滑油基油への溶解性、貯蔵安定性および酸化安定性の観点から、好ましくは1500質量ppm以下、より好ましくは1200質量ppm以下、さらに好ましくは1000質量ppm以下である。なお、成分(A)の含有量が上記上限値を超えると、特に、潤滑油基油としてポリα−オレフィン又はその水素化物を用いる場合に、十分な溶解性が得られず、長期貯蔵に際し沈殿する恐れがある。
成分(B)であるモリブデンジチオホスフェートとしては、具体的には例えば、次の一般式(2)で表される化合物を用いることができる。
Figure 2012102280
上記(2)式中、R、R、R及びRは同一でも異なっていてもよく、それぞれ炭素数2〜30、好ましくは炭素数5〜18、より好ましくは炭素数5〜12のアルキル基又は炭素数6〜18のアリール基(アルキルアリール基を含む)等の炭化水素基を示す。また、Y、Y、Y及びYは同一でも異なっていてもよく、それぞれ硫黄原子又は酸素原子を示す。なお、ここでいうアルキル基には1級アルキル基、2級アルキル基又は3級アルキル基が含まれ、これらは直鎖状でも分枝状でもよい。
アルキル基として好ましい例としては、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基等が挙げられ、これらは1級アルキル基、2級アルキル基又は3級アルキル基でも良く、また直鎖状でも分枝状でもよい。(アルキル)アリール基の好ましい例としては、フェニル基、トリル基、エチルフェニル基、プロピルフェニル基、ブチルフェニル基、ペンチルフェニル基、ヘキシルフェニル基、オクチルフェニル基、ノニルフェニル基、デシルフェニル基、ウンデシルフェニル基、ドデシルフェニル基等が挙げられ、そのアルキル基は1級アルキル基、2級アルキル基又は3級アルキル基でも良く、また直鎖状でも分枝状でもよい。さらにこれら(アルキル)アリール基には、アリール基へのアルキル基の置換位置が異なる全ての置換異性体が含まれる。
より好ましいモリブデンジチオホスフェートとしては、具体的には、硫化モリブデンジエチルジチオホスフェート、硫化モリブデンジプロピルジチオホスフェート、硫化モリブデンジブチルジチオホスフェート、硫化モリブデンジペンチルジチオホスフェート、硫化モリブデンジヘキシルジチオホスフェート、硫化モリブデンジオクチルジチオホスフェート、硫化モリブデンジデシルジチオホスフェート、硫化モリブデンジドデシルジチオホスフェート、硫化モリブデンジ(ブチルフェニル)ジチオホスフェート、硫化モリブデンジ(ノニルフェニル)ジチオホスフェート、硫化オキシモリブデンジエチルジチオホスフェート、硫化オキシモリブデンジプロピルジチオホスフェート、硫化オキシモリブデンジブチルジチオホスフェート、硫化オキシモリブデンジペンチルジチオホスフェート、硫化オキシモリブデンジヘキシルジチオホスフェート、硫化オキシモリブデンジオクチルジチオホスフェート、硫化オキシモリブデンジデシルジチオホスフェート、硫化オキシモリブデンジドデシルジチオホスフェート、硫化オキシモリブデンジ(ブチルフェニル)ジチオホスフェート、硫化オキシモリブデンジ(ノニルフェニル)ジチオホスフェート(アルキル基は直鎖状でも分枝状でも良く、また、アルキルフェニル基のアルキル基の結合位置は任意である)、及びこれらの混合物等が例示できる。なお、これらモリブデンジチオホスフェートとしては、1分子中に異なる炭素数及び/又は構造の炭化水素基を有する化合物も、好ましく用いることができる。
成分(B)の含有量は、摩擦低減効果の観点から、エンジン油組成物全量を基準として、モリブデン元素量換算で、好ましくは10質量ppm以上、より好ましくは30質量ppm以上、さらに好ましくは50ppm以上、特に好ましくは100ppm以上である。また、成分(B)の含有量は、潤滑油基油への溶解性、貯蔵安定性および酸化安定性の観点から、好ましくは1500質量ppm以下、より好ましくは500質量ppm以下、さらに好ましくは200質量ppm以下、特に好ましくは150質量ppm以下である。なお、成分(A)の含有量が上記上限値を超えると、特に、潤滑油基油としてポリα−オレフィン又はその水素化物を用いる場合に、十分な溶解性が得られず、長期貯蔵に際し沈殿する恐れがある。
また、成分(A)及び成分(B)の含有量の合計に対する成分(A)の含有量の比率)は、Mo元素量換算で、好ましくは50%以上95%以下、より好ましくは60%以上95%以下、更に好ましくは70%以上95%以下、また更に好ましくは70%以上90%以下、特に好ましくは80%以上90%以下である。なお、成分(A)及び成分(B)の含有量の合計が同じ場合、成分(A)の比率が高い方がより高い摩擦低減効果を示す傾向にあるが、当該比率が95%を超えると成分(A)と成分(B)との併用による相乗効果がなくなるおそれがある。
また、本実施形態に係るエンジン油組成物が含有するMo元素量は、エンジン油組成物全量を基準として、全モリブデン元素換算で、好ましくは0.001質量%以上、より好ましくは0.005質量%以上、更に好ましくは0.01質量%以上、特に好ましくは0.03質量%以上、最も好ましくは0.05質量%以上であり、また、好ましくは0.2質量%以下、より好ましくは0.15質量%以下、さらに好ましくは0.12質量%以下、特に好ましくは0.10質量%以下である。その含有量が0.001質量%未満の場合、エンジン油組成物の熱・酸化安定性が不十分となり、特に、長期間に渡って優れた清浄性を維持させることができなくなる傾向にある。一方、含有量が0.2質量%を超える場合、含有量に見合う効果が得られず、また、エンジン油組成物の貯蔵安定性が低下する傾向にある。
成分(C)である金属サリシレート系清浄剤は、サリチル酸に等モルの炭化水素基(例えば炭素数8〜30のオレフィン)を付加させたサリチル酸、又は、フェノールに等モル炭化水素基(例えば炭素数8〜30のオレフィン)を付加させ、次いで炭酸ガス等によりカルボキシル化させた、炭素数8〜30の炭化水素基を1つ有するサリチル酸に、当量の金属塩や金属塩基等を作用させて得られる中性サリチル酸金属塩、さらには当該中性サリチル酸金属塩に過剰の金属塩又は金属塩基(金属の水酸化物や酸化物)を水の存在下で加熱することにより得られる塩基性塩、前記中性のサリチル酸金属塩の存在下において炭酸ガス又はホウ酸若しくはホウ酸塩と金属の水酸化物等の塩基とを反応させることにより得られる過塩基性塩(超塩基性塩)などが挙げられる。なお、これらの(過)塩基化の反応は、通常、溶媒(ヘキサン等の脂肪族炭化水素溶剤、キシレン等の芳香族炭化水素溶剤、軽質潤滑油基油等)中で行われる。
前記サリシレートの金属塩又は金属塩基における金属(すなわち金属サリシレート系清浄剤に含まれる金属)としては、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属、カルシウム、マグネシウム、バリウム等のアルカリ土類金属等が挙げられ、アルカリ土類金属であることが好ましく、特にカルシウムであることが望ましい。
先にサリシレートを合成する際、反応させる炭素数8〜30のオレフィンは、通常、炭素数8〜19のオレフィンのグループと炭素数20〜30のオレフィンのグループとに大別され、それぞれの炭化水素基が付加したサリチル酸が合成される。
炭化水素基は、エチレン、プロピレン、ブチレン等の重合体又は共重合体等から誘導されるアルキル基、特にエチレン重合体等の直鎖α−オレフィンから誘導されるアルキル基であることが好ましい。
本実施形態では、金属サリシレート系清浄剤として、炭素数8〜19の炭化水素基(例えば炭素数8〜19のアルキル基)を有するサリチル酸金属塩(以下、場合により「サリチル酸金属塩C−a」ともいう)又は炭素数20〜30の炭化水素基(例えば炭素数20〜30のアルキル基)を有するサリチル酸金属塩(以下、場合により「サリチル酸金属塩C−b」ともいう)の一方を単独で、又は双方を組み合わせて使用することができる。省燃費の観点からはサリチル酸金属塩C−bが好ましい。一方、貯蔵安定性、低温流動性を相乗的に改善できる観点から、サリチル酸金属塩C−aとサリチル酸金属塩C−bとを併用することももちろん可能である。
金属サリシレート系清浄剤は、通常、溶剤や潤滑油基油等の希釈剤中で反応させて得られるが、そのようにして得られた金属サリシレート系清浄剤の金属含有量は、金属サリシレート系清浄剤全量を基準として、通常1.0〜20質量%のものが使用されるが、下限値は、好ましくは1.0%、より好ましくは2.0%、さらに好ましくは5.0%、特に好ましくは7.0%である。また、上限値は、好ましくは20%、より好ましくは15%、さらに好ましくは12%、特に好ましくは10%である。
金属サリシレート系清浄剤の塩基価は、下限値として、好ましくは50mgKOH/g、より好ましくは100mgKOH/g、さらに好ましくは150mgKOH/g、特に好ましくは200mgKOH/gに調整されてなる過塩基性サリシレート系清浄剤を主成分として用いることが望ましい。また、上限値は、好ましくは400mgKOH/g、より好ましくは300mgKOH/g、さらに好ましくは250mgKOH/gに調整されてなる過塩基性サリシレート系清浄剤を主成分として用いることがより好ましい。なお、ここでいう塩基価とは、JISK2501「石油製品及び潤滑油−中和価試験法」の7.に準拠して測定される過塩素酸法による塩基価を意味する。
また、金属サリシレート系清浄剤の金属比は特に制限されず、通常20以下のものを1種又は2種以上混合して使用できる。当該金属比は、好ましくは金属比が4.5未満、より好ましくは3以下である。なお、ここでいう金属比とは、(サリシレート系清浄剤における金属元素の価数)×(金属元素含有量(モル%))/(せっけん基含有量(モル%))で表され、金属元素とは、カルシウム、マグネシウム等、せっけん基とはサリチル酸基を意味する。
本実施形態に係るエンジン油組成物におけるサリシレート系清浄剤(C)の含有量は、エンジン油組成物全量基準で、通常潤滑油基油等の希釈剤を含む形で、下限値として好ましくは、0.1質量%であり、より好ましくは0.5質量%、さらに好ましくは1質量%である。また、上限値として好ましくは15質量%であり、より好ましくは10質量%、さらに好ましくは5質量%、特に好ましくは3質量%である。含有量が0.1質量%に満たない場合には、省燃費効果が短期間しか持続しないおそれがあり、また15質量%を超える場合には、含有量に見合った効果が得られないおそれがある。また、金属量の下限値として好ましくは、0.01質量%であり、より好ましくは0.05質量%、さらに好ましくは0.1質量%、特に好ましくは0.15質量%である。また、上限値として好ましくは1.5質量%であり、より好ましくは1.0質量%、さらに好ましくは0.5質量%、特に好ましくは0.3質量%である。金属量が0.01質量%に満たない場合には、省燃費効果が短期間しか持続しないおそれがあり、また1.5質量%を超える場合には、含有量に見合った効果が得られないおそれがある。
本実施形態に係るエンジン油組成物は、上記の潤滑油基油及び成分(A)〜(C)のみからなるものであってもよいが、必要に応じて以下の成分を更に含有することができる。
本実施形態に係るエンジン油組成物は、ホウ素化無灰分散剤(以下、場合により「成分(D)」ともいう)を更に含有することができる。
ホウ素化無灰分散剤とは、潤滑油に用いられる任意の無灰分散剤をホウ素化したものである。例えば、無灰分散剤としては、炭素数40〜400の直鎖若しくは分枝状のアルキル基又はアルケニル基を分子中に少なくとも1個有する含窒素化合物又はその誘導体、あるいはアルケニルコハク酸イミドの変性品等が挙げられる。これらの中から任意に選ばれる1種類あるいは2種類以上を配合することができる。
無灰分散剤が有するアルキル基又はアルケニル基の炭素数は、好ましくは40〜400、より好ましくは60〜350である。アルキル基又はアルケニル基の炭素数が40未満の場合は化合物の潤滑油基油に対する溶解性が低下する傾向にあり、一方、アルキル基又はアルケニル基の炭素数が400を超える場合は、エンジン油組成物の低温流動性が悪化する傾向にある。このアルキル基又はアルケニル基は、直鎖状でも分枝状でもよいが、好ましいものとしては、具体的には、プロピレン、1−ブテン、イソブチレン等のオレフィンのオリゴマーやエチレンとプロピレンのコオリゴマーから誘導される分枝状アルキル基や分枝状アルケニル基等が挙げられる。
なお、コハク酸イミドには、ポリアミンの一端に無水コハク酸が付加した一般式(3)で表される、いわゆるモノタイプのコハク酸イミドと、ポリアミンの両端に無水コハク酸が付加した一般式(4)で表される、いわゆるビスタイプのコハク酸イミドとが含まれる。
Figure 2012102280
一般式(3)において、Rは炭素数40〜400のアルキル基又はアルケニル基、好ましくは炭素数60〜350のアルキル基又はアルケニル基を示し、pは1〜5、好ましくは2〜4の整数を示す。
一般式(4)において、R10及びR11は同一でも異なっていてもよく、それぞれ炭素数40〜400のアルキル基又はアルケニル基、好ましくは炭素数60〜350のアルキル基又はアルケニル基を示し、ポリブテニル基であることが好ましい。qは0〜4、好ましくは1〜3の整数を示す。
本実施形態に係るエンジン油組成物は、モノタイプ又はビスタイプのコハク酸イミドのいずれか一方を含有してもよく、あるいは双方を含有してもよい。
コハク酸イミドの製法は特に制限されないが、例えば炭素数40〜400のアルキル基又はアルケニル基を有する化合物を無水マレイン酸と100〜200℃で反応させて得たアルキルコハク酸又はアルケニルコハク酸をポリアミンと反応させることにより得ることができる。ポリアミンとしては、具体的には、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、及びペンタエチレンヘキサミン等が例示できる。
また、無灰分散剤として、ベンジルアミンを用いることもできる。好ましいベンジルアミンとしては、具体的には、下記の一般式(5)で表される化合物等が例示できる。
Figure 2012102280
一般式(5)において、R12は、炭素数40〜400のアルキル基又はアルケニル基、好ましくは炭素数60〜350のアルキル基又はアルケニル基を示し、rは1〜5、好ましくは2〜4の整数を示す。
ベンジルアミンの製造方法は何ら限定されるものではないが、例えば、プロピレンオリゴマー、ポリブテン、及びエチレン−α−オレフィン共重合体等のポリオレフィンをフェノールと反応させてアルキルフェノールとした後、これにホルムアルデヒドとジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、及びペンタエチレンヘキサミン等のポリアミンをマンニッヒ反応により反応させることにより得ることができる。
上記ポリアミンとしては、より具体的には、下記の一般式(6)で表される化合物等が例示できる。
13‐NH−(CH2CH2NH)−H (6)
一般式(6)において、R13は、炭素数40〜400のアルキル基又はアルケニル基、好ましくは60〜350のアルキル基又はアルケニル基を示し、kは1〜5、好ましくは2〜4の整数を示す。
ポリアミンの製造法は何ら限定されるものではないが、例えば、プロピレンオリゴマー、ポリブテン、及びエチレン−α−オレフィン共重合体等のポリオレフィンを塩素化した後、これにアンモニアやエチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、及びペンタエチレンヘキサミン等のポリアミンを反応させることにより得ることができる。
また、その他の誘導体としては、具体的には、前述の含窒素化合物に炭素数1〜30のモノカルボン酸(脂肪酸等)やシュウ酸、フタル酸、トリメリット酸、ピロメリット酸等の炭素数2〜30のポリカルボン酸、ヒドロキシ(ポリ)アルキレンカーボネート等の含酸素化合物を作用させて、残存するアミノ基及び/又はイミノ基の一部又は全部を中和したり、アミド化した有機酸等による変性化合物、前述の含窒素化合物に硫黄化合物を作用させた、硫黄変性化合物等が挙げられる。
ホウ素化は、一般に、前述の含窒素化合物にホウ酸を作用させて、残存するアミノ基及び/又はイミノ基の一部又は全部を中和することのより行われる。
例えば、ホウ酸変性コハク酸イミドの製造方法としては、特公昭42-8013号公報及び同42-8014号公報、特開昭51-52381号公報、及び特開昭51-130408号公報等に開示されている方法等が挙げられる。具体的には例えば、アルコール類やヘキサン、キシレン等の有機溶媒、軽質潤滑油基油等にポリアミンとポリアルケニルコハク酸(無水物)にホウ酸、ホウ酸エステル、又はホウ酸塩等のホウ素化合物を混合し、適当な条件で加熱処理することにより得ることができる。なお、この様にして得られるホウ酸性コハク酸イミドのホウ酸含有量は通常0.1〜4.0質量%とすることができる。
これらの誘導体の中でもアルケニルコハク酸イミドのホウ酸変性化合物(ホウ素含有コハク酸イミド)は耐熱性、酸化防止性及び摩耗防止性に優れる。また、本実施形態に係るエンジン油組成物がアルケニルコハク酸イミドのホウ酸変性化合物(ホウ素含有コハク酸イミド)を含有すると、成分(A)と成分(B)と成分(C)との相乗作用によって奏される省燃費効果を一層高めることができる。
本実施形態に係るエンジン油組成物が成分(D)を含有する場合、成分(D)の含有量は、エンジン油組成物全量基準で、好ましくは0.01〜20質量%であり、より好ましくは0.1〜10質量%である。成分(D)の含有量が0.01質量%未満の場合は、省燃費性向上効果が不十分となるおそれがあり、一方、20質量%を超える場合は、エンジン油組成物の低温流動性が大幅に悪化するおそれがある。
また、上記ホウ素含有コハク酸イミド等のホウ素含有無灰分散剤を用いる場合、そのホウ素含有量は特に制限はなく、通常0.1〜3質量%であるが、本発明の1つの態様としては、好ましくは0.2質量%以上、より好ましくは0.4質量%以上、また、好ましくは2質量%以下、より好ましくは1.5質量%以下、さらに好ましくは1.0質量%以下、特に好ましくは0.6質量%以下のホウ素含有量のホウ素含有無灰分散剤、好ましくはホウ素含有コハク酸イミド、特に、ホウ素含有ビスコハク酸イミドを使用することが望ましい。上記のようなホウ素含有無灰分散剤を使用する場合、そのホウ素含有量は、組成物全量基準で、0.01質量%以上、好ましくは0.02質量%以上、より好ましくは0.025質量%以上であり、また、0.15質量%以下、好ましくは0.1質量%以下、特に好ましくは0.05質量%以下である。
また、上記ホウ素含有コハク酸イミド等のホウ素含有無灰分散剤を用いる場合、そのホウ素/窒素質量比(B/N比)は特に制限はなく、通常0.05〜5であるが、本発明の1つの態様としては、B/N比が0.1以上、好ましくは0.2以上、好ましくは1以下、より好ましくは0.7以下、さらに好ましくは0.5以下のホウ素含有無灰分散剤、好ましくはホウ素含有コハク酸イミド、特に、ホウ素含有ビスコハク酸イミドを使用することが望ましい。上記のようなホウ素含有無灰分散剤を使用する場合、そのホウ素含有量は、組成物全量基準で、0.01質量%以上、好ましくは0.02質量%以上、より好ましくは0.025質量%以上であり、また、0.15質量%以下、好ましくは0.1質量%以下、特に好ましくは0.05質量%以下である。
また、ホウ素含有コハク酸イミド等のホウ素含有無灰分散剤のホウ素/窒素質量比(B/N比)に関し、もう1つの態様としては、B/N比が0.1以上、好ましくは0.2以上、好ましくは0.5未満、より好ましくは0.4以下のホウ素含有無灰分散剤、好ましくはホウ素含有コハク酸イミド、特に、ホウ素含有ビスコハク酸イミドを使用することが望ましい。
なお、B/N比が1を超える場合、安定性に懸念があるだけでなく、組成物中のホウ素量が多くなりすぎ、硫酸灰分の増加とともに、排ガス後処理装置への影響が懸念されるため、好ましくない。また、B/N比が0.1未満の場合、省燃費性能向上効果が小さく、別のホウ素化合物を併用することが望ましい。
本実施形態に係るエンジン油組成物には、さらにその性能を向上させるために、その目的に応じて潤滑油に一般的に使用されている任意の添加剤を含有させることができる。このような添加剤としては、例えば、粘度指数向上剤や成分(C)以外の金属系清浄剤、成分(D)以外の無灰分散剤、摩耗防止剤(又は極圧剤)、酸化防止剤、腐食防止剤、防錆剤、抗乳化剤、金属不活性化剤、消泡剤等の添加剤等を挙げることができる。
粘度指数向上剤は、具体的には非分散型又は分散型エステル基含有粘度指数向上剤であり、例として非分散型又は分散型ポリ(メタ)アクリレート系粘度指数向上剤、非分散型又は分散型オレフィン−(メタ)アクリレート共重合体系粘度指数向上剤、スチレン−無水マレイン酸エステル共重合体系粘度指数向上剤及びこれらの混合物等が挙げられ、これらの中でも非分散型又は分散型ポリ(メタ)アクリレート系粘度指数向上剤であることが好ましい。特に非分散型又は分散型ポリメタクリレート系粘度指数向上剤であることが好ましい。
粘度指数向上剤としては、その他に、非分散型又は分散型エチレン−α−オレフィン共重合体又はその水素化物、ポリイソブチレン又はその水素化物、スチレン−ジエン水素化共重合体及びポリアルキルスチレン等を挙げることができる。
成分(C)以外の金属系清浄剤としては、アルカリ金属/アルカリ土類金属スルホネート、アルカリ金属/アルカリ土類金属フェネート、及びアルカリ金属/アルカリ土類金属サリシレート等の正塩又は塩基性塩を挙げることができる。アルカリ金属としてはナトリウム、カリウム等、アルカリ土類金属としてはマグネシウム、カルシウム、バリウム等が挙げられるが、マグネシウム又はカルシウムが好ましく、特にカルシウムがより好ましい。
摩耗防止剤(又は極圧剤)としては、潤滑油に用いられる任意の摩耗防止剤・極圧剤が使用できる。例えば、硫黄系、リン系、硫黄−リン系の極圧剤等が使用でき、具体的には、ジアルキルジチオリン酸亜鉛(ZnDTP)、亜リン酸エステル類、チオ亜リン酸エステル類、ジチオ亜リン酸エステル類、トリチオ亜リン酸エステル類、リン酸エステル類、チオリン酸エステル類、ジチオリン酸エステル類、トリチオリン酸エステル類、これらのアミン塩、これらの金属塩、これらの誘導体、ジチオカーバメート、亜鉛ジチオカーバメート、MoDTC、ジサルファイド類、ポリサルファイド類、硫化オレフィン類、硫化油脂類等が挙げられる。これらの中では硫黄系極圧剤の添加が好ましく、特に硫化油脂が好ましい。
酸化防止剤としては、フェノール系、アミン系等の無灰酸化防止剤、銅系、モリブデン系等の金属系酸化防止剤が挙げられる。具体的には、例えば、フェノール系無灰酸化防止剤としては、4,4’−メチレンビス(2,6−ジ−tert−ブチルフェノール)、4,4’−ビス(2,6−ジ−tert−ブチルフェノール)等が、アミン系無灰酸化防止剤としては、フェニル−α−ナフチルアミン、アルキルフェニル−α−ナフチルアミン、ジアルキルジフェニルアミン等が挙げられる。
腐食防止剤としては、例えば、ベンゾトリアゾール系、トリルトリアゾール系、チアジアゾール系、又はイミダゾール系化合物等が挙げられる。
防錆剤としては、例えば、石油スルホネート、アルキルベンゼンスルホネート、ジノニルナフタレンスルホネート、アルケニルコハク酸エステル、又は多価アルコールエステル等が挙げられる。
抗乳化剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、又はポリオキシエチレンアルキルナフチルエーテル等のポリアルキレングリコール系非イオン系界面活性剤等が挙げられる。
金属不活性化剤としては、例えば、イミダゾリン、ピリミジン誘導体、アルキルチアジアゾール、メルカプトベンゾチアゾール、ベンゾトリアゾール又はその誘導体、1,3,4−チアジアゾールポリスルフィド、1,3,4−チアジアゾリル−2,5−ビスジアルキルジチオカーバメート、2−(アルキルジチオ)ベンゾイミダゾール、又はβ−(o−カルボキシベンジルチオ)プロピオンニトリル等が挙げられる。
消泡剤としては、例えば、25℃における動粘度が1000〜10万mm/sのシリコーンオイル、アルケニルコハク酸誘導体、ポリヒドロキシ脂肪族アルコールと長鎖脂肪酸のエステル、メチルサリチレートとo−ヒドロキシベンジルアルコール等が挙げられる。
これらの添加剤を本実施形態に係るエンジン油組成物に含有させる場合には、それぞれの含有量はエンジン油組成物全量基準で、0.01〜10質量%であることが好ましい。
本実施形態に係るエンジン油組成物の100℃における動粘度は、1〜20mm/sであることが好ましく、好ましくは15mm/s以下、より好ましくは10mm/s以下、さらに好ましくは8mm/s以下である。また、本実施形態に係るエンジン油組成物の100℃における動粘度は、好ましくは5mm/s以上、より好ましくは6mm/s以上、さらに好ましくは6.5mm/s以上、特に好ましくは7mm/s以上である。本発明でいう100℃における動粘度とは、ASTM D−445に規定される100℃での動粘度を示す。100℃における動粘度が4mm/s未満の場合には、潤滑性不足を来たすおそれがあり、12mm/sを超える場合には必要な低温粘度及び十分な省燃費性能が得られないおそれがある。
本実施形態に係るエンジン油組成物の40℃における動粘度は、4〜50mm/sであることが好ましく、好ましくは40mm/s以下、より好ましくは35mm/s以下、特に好ましくは32mm/s以下、最も好ましくは30mm/s以下である。また、本実施形態に係るエンジン油組成物の40℃における動粘度は、好ましくは10mm/s以上、より好ましくは20mm/s以上、さらに好ましくは25mm/s以上、特に好ましくは27mm/s以上である。本発明でいう40℃における動粘度とは、ASTM D−445に規定される40℃での動粘度を示す。40℃における動粘度が4mm/s未満の場合には、潤滑性不足を来たすおそれがあり、50mm/sを超える場合には必要な低温粘度及び十分な省燃費性能が得られないおそれがある。
本実施形態に係るエンジン油組成物の粘度指数は、140〜400の範囲であることが好ましく、好ましくは190以上、より好ましくは200以上、さらに好ましくは210以上、特に好ましくは220以上である。本実施形態に係るエンジン油組成物の粘度指数が140未満の場合には、150℃のHTHS粘度を維持しながら、省燃費性を向上させることが困難となるおそれがあり、さらに−35℃における低温粘度を低減させることが困難となるおそれがある。また、本実施形態に係るエンジン油組成物の粘度指数が400以上の場合には、蒸発性が悪化するおそれがあり、更に添加剤の溶解性やシール材料との適合性が不足することによる不具合が発生するおそれがある。
以下、実施例及び比較例に基づき本発明を更に具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に何ら限定されるものではない。
[実施例1〜2、比較例1〜5]
実施例1〜2及び比較例1〜5においては、それぞれ以下に示す潤滑油基油及び添加剤を用いて表1〜2に示す組成を有するエンジン油組成物を調製した。
<潤滑油基油>
O−1:基油1(パラフィン系鉱油、100℃における動粘度:4.1mm/s、粘度指数:132、硫黄分:1質量ppm以下、%Cp:87.3)
<添加剤>
A−1:モリブデンジチオカーバメート(MoDTC、一般式(1)で表され、R〜Rが炭素数8のアルキル基であり、XがO、XがS、XがO、XがSである化合物、Mo含有量:10質量%)
B−1:モリブデンジチオホスフェート(MoDTP、一般式(2)で表され、R〜Rが炭素数8のアルキル基であり、YがO、YがS、Y3がO、YがSである化合物、Mo含有量:8.5質量%,S含有量:13.0質量%,P含有量:5.5質量%)
C−1:金属サリシレート系清浄剤1(炭素数20〜30のアルキル基を有するサリチル酸のCa塩、Ca含有量:8質量%、塩基価:230mgKOH/g)
C−2:金属サリシレート系清浄剤2(炭素数14〜18のアルキル基を有するサリチル酸のCa塩、Ca含有量:6.3質量%,塩基価:170mgKOH/g)
D−1:無灰分散剤1(ホウ素化コハク酸イミド、N含有量:1.3質量%、B含有量:0.5質量%、B/N比:0.38、重量平均分子量:5000)
D−2:無灰分散剤2(非ホウ素化コハク酸イミド、N含有量:0.4質量%、重量平均分子量:15000)
E−1:その他の添加剤(粘度指数向上剤、流動点降下剤、摩耗防止剤(ジアルキルジチオリン酸亜鉛)、消泡剤からなる)
実施例1〜2及び比較例1〜5の各エンジン油組成物について、油中Mo量、40℃又は100℃における動粘度、粘度指数並びに100℃又は150℃におけるHTHS粘度を表1〜2に示す。なお、ここでいう100℃又は150℃におけるHTHS粘度とは、100℃又は150℃、1×10−1の剪断条件下における高温高剪断粘度(単位:mPa・s)を意味し、Tannas社製高温高せん断粘度計TBS2100E−Fを用いて測定した結果を記載した。
[摩擦特性評価試験]
実施例1〜2及び比較例1〜5の各エンジン油組成物について、Falex No.6摩擦試験機を用い、荷重600N、油温100℃、周速0.25m/sの条件における、1min後の摩擦係数を算出し、比較例1の摩擦係数を基準としたときの改善率(=実施例1〜2又は比較例2〜5の摩擦係数/比較例1の摩擦係数)を算出した。結果を表1〜2に示す。
試験に用いたFalex No.6摩擦試験機の詳細は以下の通りである。
直径50mmの金属ディスク上に、直径6mm×幅7mmの円筒3個を120度おきに直径方向と平行に、ディスクの中心より14mmの位置に配置し、荷重、油温、周速を設定し摩擦係数を測定する。摩擦係数が低い油ほど、省燃費性に優れたエンジン油と判断される。
Figure 2012102280
Figure 2012102280
表1、表2に示す結果から明らかなように、実施例1〜2のエンジン油組成物は、基準油対比の摩擦係数改善率に優れ、(B)成分を含有していない比較例1や比較例2、比較例4、比較例5の組成物に対し、省燃費性に大幅に優れることがわかる。また、(C)成分を含有していない比較例3に対しても、十分に摩擦係数が低く、省燃費性に大幅に優れることがわかる。

Claims (3)

  1. 100℃における動粘度が1〜20mm/sである潤滑油基油と、
    モリブデンジチオカーバメートと、
    モリブデンジチオホスフェートと、
    金属サリシレート系清浄剤と
    を含有するエンジン油組成物。
  2. 前記金属サリシレート系清浄剤が、炭素数20〜30のアルキル基を有するサリチル酸金属塩である、請求項1に記載のエンジン油組成物。
  3. 0.1質量%以上2.0質量%以下のホウ素含有量を有するホウ素化無灰分散剤を更に含有する、請求項1又は2に記載のエンジン油組成物。

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