JP2012102222A - フッ素樹脂含有傾斜膜、その製造方法及びフッ素樹脂含有傾斜膜形成用樹脂組成物 - Google Patents

フッ素樹脂含有傾斜膜、その製造方法及びフッ素樹脂含有傾斜膜形成用樹脂組成物 Download PDF

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篤 岡田
Takeshi Masuda
豪 増田
Kozo Tajiri
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Abstract

【課題】フッ素樹脂と他の樹脂(基体樹脂)との優れた複合化形態によって、表面平滑性(結果として摺動性、耐摩耗性)、離型性、耐熱性の種々の特性を高レベルで両立して発揮することができる、フッ素樹脂を含む耐熱性樹脂膜としての機能を発揮するフッ素樹脂含有傾斜膜、そのような傾斜膜の好適な製造方法及び傾斜膜を形成する原料となるフッ素樹脂含有傾斜膜形成用樹脂組成物を提供する。
【解決手段】基体樹脂及びフッ素樹脂を含むフッ素樹脂含有傾斜膜であって、該フッ素樹脂含有傾斜膜は、膜の片側表面部で基体樹脂よりもフッ素樹脂の含有割合が多く、該膜の片側表面から深さ方向にフッ素樹脂の基体樹脂とフッ素樹脂とを合わせた全樹脂に対する存在比が減少し、該膜の片側表面から1μm以上の深さにおけるフッ素樹脂の全樹脂に対する存在比が該膜全体におけるフッ素樹脂の全樹脂に対する存在比以上であるフッ素樹脂含有傾斜膜。
【選択図】なし

Description

本発明は、フッ素樹脂含有傾斜膜、その製造方法及びフッ素樹脂含有傾斜膜形成用樹脂組成物に関する。より詳しくは、高耐熱性、高撥水性、表面平滑性を持つ、フッ素樹脂を含む耐熱性樹脂膜としての機能を発揮するフッ素樹脂含有傾斜膜、そのような傾斜膜の好適な製造方法及び傾斜膜を形成する原料となるフッ素樹脂含有傾斜膜形成用樹脂組成物に関する。
フッ素樹脂は、動摩擦係数が低く、化学的に安定であり、高耐熱性、高離形性という特徴を持つ優れた樹脂であり、多くの分野で利用され、種々の用途が開発・研究されている。
このように特徴的な高い特性を発揮するものであるが、例えば、機械的特性に関して耐摩耗性が低いという問題点があるため、フッ素樹脂の特性を更に改善したり補ったりすることによって更に様々な分野において好適なものとすることが求められている。その一つの手法として、フッ素樹脂と他の樹脂との複合化が挙げられ、フッ素樹脂を含む樹脂膜に他の樹脂による様々な機能を発揮させることが検討されている。例えば、フッ素樹脂と高耐摩耗性樹脂との複合化が広く行われているが、従来における複合化は、ベースとなる樹脂フィルムを高耐摩耗性樹脂によって形成し、その上にフッ素樹脂膜を形成する方法が主であり、フッ素樹脂膜自体に耐摩耗性を付与することには至っていない。
従来の複合化されたフッ素樹脂に関し、ベースとなる樹脂ワニスにポリテトラフルオロエチレン(PTFE)粒子等のフッ素樹脂粒子を分散させてから高温で焼成し、PTFE粒子を融解流動させて表面に析出させる方法等が開示されている(例えば、特許文献1参照)。このような方法によっては、粒状のPTFEが島状に表面に存在しているため、表面が粗くなり、充分な耐摩耗性や表面平滑性を付与することはできない。すなわち、従来の複合化手法によっては、フッ素樹脂と他の樹脂とが海島構造で分散された形態となっていて、しかもフッ素樹脂粒子は析出してフィルム表層に存在していることから、その粒子径はかなり大きくなっているものと推察されるところである。このように、従来の複合化フッ素樹脂膜を調製する技術においては、複合化による利点が充分に発揮されているとはいえないのが現状である。
特開2007−30501号公報(第1、2頁等)
上述したように、フッ素樹脂の特性を更に改善したり補ったりすることによって更に様々な分野において好適なものとすることが求められる中、例えば、機械的特性に関して耐摩耗性が低いというフッ素樹脂の問題点を解消するために、耐摩耗性に優れた樹脂を複合化することが考えられる。しかしながら、そのような複合化をどのような形態でどの程度すればよいのか、また、充分に複合化された形態とするにはどのような手法が有効であるかについては、充分な検討が行われている訳ではなかった。例えば、上記したように特許文献1に記載の技術においては、フッ素樹脂と複合化する他の樹脂とが海島構造となっていて、しかもフッ素樹脂の析出によりフッ素樹脂粒子の粒径が大きいという形態となっており、表面平滑性が悪く、結果として摺動性や耐摩耗性が低下するという問題がある。そのような形態においては、フッ素樹脂を含む樹脂膜の性能を充分に改善することはできず、したがって、優れた性能を発揮することができるフッ素樹脂と他の樹脂との複合化形態を検討し、そのような複合化形態とする手法の開発が望まれるところであった。
本発明は、上記現状に鑑みてなされたものであり、フッ素樹脂と他の樹脂(基体樹脂)との優れた複合化形態によって、表面平滑性(結果として摺動性、耐摩耗性)、離型性、耐熱性の種々の特性を高レベルで両立して発揮することができる、フッ素樹脂を含む耐熱性樹脂膜としての機能を発揮するフッ素樹脂含有傾斜膜、そのような傾斜膜の好適な製造方法及び傾斜膜を形成する原料となるフッ素樹脂含有傾斜膜形成用樹脂組成物を提供することを目的とするものである。
本発明者等は、フッ素樹脂に対して種々の機能付与、性能向上をするために他の樹脂(基体樹脂)を複合化することについて鋭意検討したところ、フッ素樹脂と基体樹脂との複合化形態において、単にブレンドされた形態としたり海島構造としたりするのではなく、フッ素樹脂が表面に偏在する傾斜膜、すなわち膜の片側表面にフッ素樹脂が偏在し、深部に行くに従って、フッ素樹脂の割合が低くなっていく膜構造とすることに着目した。このような膜構造であれば、フッ素樹脂と基体樹脂とによる両者の利点を生かし、従来の複合化形態では達成できなかったような性能を発揮させることができることを見いだした。そして、種々の分野においてフッ素樹脂の優れた特性を充分に発揮させたうえで、基体樹脂による特性も充分なものとするためには、膜中のフッ素樹脂の濃度勾配(傾斜度合い)を特定し、フッ素樹脂の偏在している側の膜表面からの深さが少なくとも1μmまでは、ある程度のフッ素樹脂含有量となるように特定すればよいことを見いだし、上記課題をみごとに解決することができることに想到し、本発明に到達したものである。
また基体樹脂として芳香環上にフッ素原子を有する耐熱性樹脂ワニスにフッ素樹脂を分散させ、フッ素樹脂の融点以上の温度で焼成することで、片面にフッ素樹脂が偏在するフッ素樹脂含有傾斜膜が得られることも見いだした。このように、基体樹脂としてポリアミド酸(膜形成時はポリイミドとなる)等の耐熱樹脂とPTFE等のフッ素樹脂とを含む樹脂組成物を特定温度以上で焼成すると、フッ素樹脂が表面に偏在する傾斜膜が得られることもまた、本発明等によって初めて見いだされたことである。得られたフッ素樹脂含有傾斜膜は、摺動性、離型性、耐熱性、耐摩耗性等の種々の特性を高レベルで両立することができるものである。
更に、基体樹脂としては、ベースとなるポリマーであり、耐熱性が高く、フッ素樹脂と相溶するものを用いることが好適であり、特に種類を問わないが、相溶性の観点から、芳香環上にフッ素原子を有していることが好ましいこと、特に好ましくは、フッ素原子を有するポリアミド酸(膜形成時はフッ素原子を有するポリイミドとなる)、フッ素原子を有するポリエーテル・ケトン樹脂(F−PEK)、フッ素原子を有するポリエーテル・エーテル・ケトン樹脂(F−PEEK)・ポリフェニレンサルファイト樹脂(PPS)・ポリアクリレート樹脂(PAR)・ポリエーテルイミド樹脂(PEI)・ポリスルホン(PSF)・ポリエーテルサルフォン(PES)・ポリアミドイミド(PAI)等が挙げられることを見いだしたものである。
なお、本発明は、上記のような摺動性、離型性、耐熱性、耐摩耗性に関する特性を高レベルで両立する可能性を持つものであり、また、耐吸湿性、撥水性、耐久性(機械的強度)、誘電特性、電気特性等の特性も良好なものとすることができる。これらの特性は、基体樹脂の選択によって左右されることになるが、例えば、基体樹脂としてポリイミドやPEEK等のいわゆる耐熱性樹脂を用いる場合には、フッ素樹脂との複合化によって両者の耐熱性に関する特性が損なわれることはないことから、高い耐熱性を発揮することとなる。その他の特性についても同様である。フッ素樹脂が本来持つ特性については、膜表面領域にフッ素樹脂が偏在していることから、そのような特性が充分に発揮され、また、基体樹脂が本来持つ特性についても、本発明の傾斜膜において発揮されることになる。
このように、本発明は、膜表面領域にフッ素樹脂を偏在させるという複合化形態を提案し、更にそれを最適化したものであって、海島構造とするような従来技術の延長線上にあるものではない。
すなわち、本発明は、基体樹脂及びフッ素樹脂を含むフッ素樹脂含有傾斜膜であって、上記フッ素樹脂含有傾斜膜は、膜の片側表面部で基体樹脂よりもフッ素樹脂の含有割合が多く、上記膜の片側表面から深さ方向にフッ素樹脂の基体樹脂とフッ素樹脂とを合わせた全樹脂に対する存在比が減少し、上記膜の片側表面から1μm以上の深さにおけるフッ素樹脂の全樹脂に対する存在比が上記膜全体におけるフッ素樹脂の全樹脂に対する存在比以上であるフッ素樹脂含有傾斜膜である。
本発明はまた、上記フッ素樹脂含有傾斜膜を製造する方法であって、上記製造方法は、基体樹脂とフッ素樹脂とを含む樹脂組成物を熱処理する工程を含み、該熱処理工程における熱処理温度は、フッ素樹脂のガラス転移温度以上であるフッ素樹脂含有傾斜膜の製造方法でもある。
本発明は更に、上記フッ素樹脂含有傾斜膜を形成するために用いられる樹脂組成物であって、上記組成物は、基体樹脂とフッ素樹脂とを含むフッ素樹脂含有傾斜膜形成用樹脂組成物でもある。
以下に本発明を詳述する。
本発明のフッ素樹脂含有傾斜膜は、基体樹脂及びフッ素樹脂を含むフッ素樹脂含有傾斜膜であって、膜の片側表面部で基体樹脂よりもフッ素樹脂の存在割合が多く、膜の片側表面から深さ方向にフッ素樹脂の全樹脂に対する存在比が減少するものである。此処で全樹脂とはフッ素樹脂と基体樹脂との和である。
このように、上記フッ素樹脂含有傾斜膜においては、膜の片側表面にフッ素樹脂が偏在し、フッ素樹脂の全樹脂に対する含有量が膜断面方向において濃度勾配(傾斜度合い)を持つこととなる。好ましい形態としては、フッ素樹脂は膜中で片側表面部に偏在しているものの析出はしておらず、フッ素樹脂が粒子状の形態である場合には、フッ素樹脂の粒子径は充分に小さいもの、例えば、上記従来技術において開示された海島構造におけるようなフッ素樹脂の粒子径よりも小さいものとなる形態である。好ましい形態としてはまた、膜の表面からのある深さにおける面(膜の表面と平行方向における面)において、いずれの面においても上記海島構造よりもフッ素樹脂が均一に存在するといえる形態、すなわち、その面内ではどの部分をとっても、例えば、基体樹脂とフッ素樹脂との体積比を測定すればそのばらつきが小さいと評価できる形態である。
上記膜の表面からのある深さにおける面において、いずれの面においても上記海島構造よりもフッ素樹脂が均一に存在するといえる形態としては、具体的には、膜の表面からのある深さにおける面において、赤外分光法(IR)測定における入射光の照射領域におけるフッ素樹脂の全樹脂に対する体積比と、面全体におけるフッ素樹脂の全樹脂に対する体積比とを比較した場合に、IR測定における入射光の照射領域を面上のいずれの位置にとっても該体積比の差が3%以下となる関係が、膜表面からの深さによらず、いずれの面においても成立する形態であることがより好ましい。更に好ましくは、該差が2%以下となることである。上記IR測定における入射光の照射領域は、直径5mm以下の領域であることが好ましく、より好ましくは直径3mm以下の領域であり、最も好ましくは直径1mm以下である。
なお、本明細書においては、フッ素樹脂含有傾斜膜において、フッ素樹脂が偏在している側の膜の表面とは、フッ素樹脂の全樹脂に対する存在比がフッ素樹脂含有傾斜膜全体におけるフッ素樹脂の全樹脂に対する存在比以上となっている側の膜の表面を表しており、当該フッ素樹脂が偏在している側の膜の表面を「フッ素樹脂が偏在する膜表面」、又は、単に「膜表面」とも言う。
なお、上記フッ素樹脂の濃度勾配においては、フッ素樹脂の偏在している側の膜の表面から深さ方向にフッ素樹脂の全樹脂に対する存在比が減少し続ける形態であることが好ましいが、必ず減少し続ける必要はない。すなわち、膜表面から深さ方向にフッ素樹脂の全樹脂に対する存在比が減少したり増加したりしながら、膜中における該存在比が膜表面よりも減少する傾向にあるといえればよい。また、該存在比の減少度合いも特に限定されるものではないが、例えば、後述するように膜表面からの深さ方向を横軸とし、フッ素樹脂の全樹脂に対する存在比を縦軸とするグラフにおいては、該存在比を表す線がある程度の傾きをもって該存在比が減少するような形態であることが好ましい。
上記フッ素樹脂含有傾斜膜は、膜そのものであるフィルムやシートの形態の場合、2つの表面のうちいずれかがフッ素樹脂が偏在する膜表面となればよい。また、基材に対して塗工された形態で存在する場合、一般的には基材とは反対側の表面を膜の表面ということになるが、本発明においてフッ素樹脂が偏在する膜表面とは、基材とは反対側の膜の表面であっても基材側の膜の表面であってもよい。すなわち、膜中においてフッ素樹脂がブリードして基材とは反対側の表面にフッ素樹脂が偏在するようなときは、基材とは反対側の表面を膜表面とし、膜中においてフッ素樹脂が沈んで基材側の表面にフッ素樹脂が偏在するようなときは、基材側の表面を膜表面とすることになる。
基材とは反対側の表面にフッ素樹脂が偏在する形態の場合、基材とフッ素樹脂含有傾斜膜とを一体のものとして使用しても基材からフッ素樹脂含有傾斜膜を剥がし、フッ素樹脂含有傾斜膜そのものとして使用してもよい。また、基材側の表面にフッ素樹脂が偏在する形態の場合も同様であるが、この場合、膜表面においてフッ素樹脂と基材樹脂とによる優れた特性を発揮させるためには、基材からフッ素樹脂含有傾斜膜を剥がし、フッ素樹脂含有傾斜膜そのものとして使用する方が好ましい。例えば、金型を用い、キャストモールド製法(鋳型法)等によってフッ素樹脂含有傾斜膜を作製する場合、基材が金型に該当することになり、原料となる樹脂組成物を金型に注入又は載置して加熱する成形工程の後に、金型から成形された膜(フィルム又はシート)を取り出すことによってフッ素樹脂含有傾斜膜を得ることができる。基材(金型)側の表面にフッ素樹脂が偏在する形態であれば、フッ素樹脂を離形剤的に用いてそれによる離形性を発揮させ、金型に前処理工程(離形処理工程)を施す必要性がなくなる等の優れた効果を奏することができる。
上記フッ素樹脂含有傾斜膜におけるフッ素樹脂の濃度勾配(傾斜度合い)としては、膜表面から1μm以上の深さにおけるフッ素樹脂の全樹脂に対する存在比が膜全体におけるフッ素樹脂の全樹脂に対する存在比以上である。これは換言すると、膜中におけるフッ素樹脂の全樹脂に対する存在比が膜全体におけるフッ素樹脂の全樹脂に対する存在比以上となる膜表面からの深さが1μm以上となる、ということを表している。
すなわち、フッ素樹脂含有傾斜膜中のある深さにおけるフッ素樹脂の質量%をa、該膜中のある深さにおける基体樹脂の質量%をbとし、該膜全体におけるフッ素樹脂の質量%をA、該膜全体における基体樹脂の質量%をBとすると、
a/(a+b)≧A/(A+B)
を満たすフッ素樹脂含有傾斜膜の膜表面からの深さが1μm以上となる形態である。この場合、a/(a+b)が膜中のある深さにおけるフッ素樹脂の全樹脂に対する存在比、A/(A+B)が膜全体におけるフッ素樹脂の全樹脂に対する存在比となる。
上記形態であることを判定する手法は、膜表面及び膜中の特性を測定することができる手法によって実施することができる。例えば、膜表面に対して、また、膜表面からある深さにおける面に対して、赤外分光法(IR)によって基体樹脂とフッ素樹脂とのIRピークの強度比を測定して上記存在比を算出することができる。膜表面からある深さにおける面をIRで測定するには、フッ素樹脂含有傾斜膜をエッチングすることによって膜表面からある深さまでの膜を取り除き、得られた膜表面からある深さにおける面の表面をIR測定することによって行うことが好ましい。このようにして膜表面からの深さを横軸とし、基体樹脂とフッ素樹脂とのIRピークの強度比を縦軸とするグラフが得られ、それから算出して、膜表面からの深さを横軸とし、膜中におけるフッ素樹脂の全樹脂に対する存在比を縦軸とするグラフが得られる。ここで、IRピークの強度比から存在比を求めるためには、基体樹脂とフッ素樹脂とを含む樹脂組成物をフッ素樹脂のガラス転移温度未満の温度で焼成することによって得られる膜は、膜中においてフッ素樹脂が偏在しない均一な膜となるため、そのような膜を樹脂組成物中の樹脂の割合を様々に変えて膜を作製し、IRピークの測定を行うと、IRピークの強度比と膜におけるフッ素樹脂の全樹脂に対する存在比との関係を表す検量線を作成することができる。そしてこの検量線を用いることで存在比を算出することができ、これによって、上記a/(a+b)≧A/(A+B)を満たすフッ素樹脂含有傾斜膜の膜表面からの深さを求めることができる。なお、上述のように、IRピークの測定を行った際に、基体樹脂のピークとフッ素樹脂のピークとが重なる場合であっても、通常用いられる波形分離処理を用いて処理することにより、膜中におけるフッ素樹脂の全樹脂に対する存在比を求めることが可能である。
なお、後述するように、フッ素樹脂含有傾斜膜は、基体樹脂とフッ素樹脂とを含む樹脂組成物を用いて、該樹脂組成物を熱処理することによって形成することができるが、基体樹脂もフッ素樹脂も該熱処理工程によって揮発等により大幅に失われてしまう、といったことは起こらないため、膜全体におけるフッ素樹脂の全樹脂に対する存在比は、上記樹脂組成物におけるフッ素樹脂の全樹脂に対する存在比と同一であると考えることができる。すなわち、上記樹脂組成物におけるフッ素樹脂の全樹脂に対する存在比を求めることによって、その値を上記膜全体におけるフッ素樹脂の全樹脂に対する存在比とすることができる。
上記IRピークの測定としては、FT−IR Nicolet 6700(日立ハイテクノロジーズ社製)又はSmart OMNI−Sampler(サーモサイエンティフィック社製)を用いて、入射光の照射領域の直径を1mmとし、32回積算して測定することにより行うことができる。
上記フッ素樹脂含有傾斜膜においては、上記a/(a+b)≧A/(A+B)を満たすフッ素樹脂含有傾斜膜の膜表面からの深さ(以下、フッ素樹脂が特定濃度となる膜表面からの深さともいう)が1μm以上となるが、このことはフッ素樹脂が偏在する上記a/(a+b)≧A/(A+B)を満たす膜中の領域が膜表面から1μm以上の深さまであるということである。したがって、膜表面からの深さが1μm以下である領域においては、フッ素樹脂が偏在し、上記a/(a+b)≧A/(A+B)を満たすことになる。
上記フッ素樹脂含有傾斜膜は、フッ素樹脂含有傾斜膜の膜厚が3μm以上である形態において、フッ素樹脂が特定濃度となる膜表面からの深さが1μm以上であることが好ましい。上記フッ素樹脂含有傾斜膜の膜厚のより好ましい形態としては、5μm以上、30μm以下であり、更に好ましい形態としては、10μm以上、20μm以下である。また、フッ素樹脂が特定濃度となる膜表面からの深さのより好ましい形態としては、1μm以上、5μm以下であり、更に好ましい形態としては、1.5μm以上、3μm以下である。
上記フッ素樹脂含有傾斜膜の膜厚は、膜調製のし易さや種々の用途への適用性の観点から、上述した範囲とすることが好適である。また、上記フッ素樹脂が特定濃度となる膜表面からの深さは、フッ素樹脂による特性を膜表面において効果的に発揮させ、しかも基体樹脂による特性も発揮させるとの観点から、上述した範囲とすることが好適である。上記フッ素樹脂が特定濃度となる膜表面からの深さが1μm未満であると、フッ素樹脂が偏在する上記a/(a+b)≧A/(A+B)を満たす膜中の領域が膜表面から1μm以上の深さまでとはならない。例えば、(1)膜表面からの深さが1μm未満の領域においては上記a/(a+b)≧A/(A+B)を満たすが、膜表面からの深さが1μm以上の深さの領域においては上記a/(a+b)≧A/(A+B)を満たすことにはならない形態や、(2)膜表面からの深さが1μm未満の領域においても、膜表面からの深さが1μm以上の深さの領域においても上記a/(a+b)≧A/(A+B)を満たすことにはならない形態となる。上記(1)の形態においては、フッ素樹脂が膜表面に偏在し過ぎるため、基体樹脂による特性が充分に発揮されることにはならず、耐摩耗性が低下する要因となり好ましくない。また、上記(2)の形態においては、膜表面領域にフッ素樹脂が偏在することにはならず、フッ素樹脂による優れた特性が発揮されることにはならず、摺動性や離型性が低下する要因となり好ましくない。本発明においては、フッ素樹脂を含む樹脂膜という特殊な樹脂膜において、基体樹脂とフッ素樹脂とによって奏される機能、効果のバランスを膜中フッ素樹脂の濃度勾配の特定によって最適化したものである。また、本実施形態の場合、最表面のa/(a+b)が1となる場合、つまり最表面にはフッ素樹脂が100%存在している場合も含む。その場合、最表面での特性(摺動性、離型性、耐熱性、耐摩耗性)はフッ素樹脂の特性となる。しかし、最表層が研磨等で除去されると基体樹脂とフッ素樹脂との混合となり、摺動性、離型性、耐熱性、耐摩耗性と言った特性が直ちに発揮される為、見かけの特性が損なわれる事が無い。これは傾斜膜の特徴であると言える。
上記フッ素樹脂含有傾斜膜を製造する方法であって、該製造方法は、基体樹脂とフッ素樹脂とを含む樹脂組成物を熱処理する工程を含み、該熱処理工程における熱処理温度は、フッ素樹脂のガラス転移温度以上であるフッ素樹脂含有傾斜膜の製造方法もまた、本発明の一つである。
上記熱処理工程における基体樹脂とフッ素樹脂とを含む樹脂組成物の調製方法としては特に限定されず、攪拌混合、混練等の通常の樹脂混合における手法を用いればよい。通常では、基体樹脂やフッ素樹脂、後述するその他の成分は、溶媒に分散・希釈した態様で混合することが好ましく、特に、フッ素樹脂がPTFE等のように常温で粉末状であるときは、適当な溶媒に分散させたものを基体樹脂等と混合し、樹脂組成物とすることが好ましい。
上記熱処理工程における熱処理温度はフッ素樹脂の融点以上の温度であり、好ましい形態としては、330〜500℃とすることである。これによって、いわゆる焼成が行われ、樹脂組成物から膜を得ることができる。上記製造方法において上記熱処理温度より低く処理すると、本発明におけるフッ素樹脂含有傾斜膜を得ることができず、例えば、フッ素樹脂の膜表面への偏在(例えば上記a/(a+b)≧A/(A+B)を満たすような偏在)が生じなくなり、また、フッ素樹脂の膜中における濃度勾配が緩やかなものとなる。
上記熱処理においては、フッ素樹脂を含む耐熱性樹脂膜を調製する際に用いられる通常の熱処理装置、熱処理の手法を用いればよく、例えば、熱処理の時間としては、0.1時間以上、10時間以下とすることが好ましい。より好ましくは、0.5時間以上、2時間以下である。
本発明におけるフッ素樹脂含有傾斜膜のフッ素樹脂偏在形態としては、上記したように、膜のいずれか片側の面にフッ素樹脂が偏在することになればよく、膜のいずれか片側の面を膜表面としてフッ素樹脂が特定濃度となる膜表面からの深さを測定し、該深さが上記した数値範囲となればよい。例えば、膜そのものであるフィルムやシートの形態の場合、2つの表面のうちいずれかを膜表面として、また、基材に対して塗工された形態で存在する場合、基材とは反対側の面又は基材側の面のいずれかを膜表面として、フッ素樹脂が特定濃度となる膜表面からの深さを判定すればよい。
このようにフッ素樹脂偏在形態としては、上記いずれの形態もとり得るが、本発明のフッ素樹脂含有傾斜膜の製造方法においては、基体樹脂の種類によってフッ素樹脂含有傾斜膜のいずれか片側の面にフッ素樹脂を偏在させることができる。例えば、基体樹脂としてフッ素原子を有するポリアミド酸(膜形成後はフッ素化ポリイミド)を用いる場合は、膜中においてフッ素樹脂がブリードして基材とは反対側の膜表面にフッ素樹脂が偏在するような形態とすることができる。この場合、基材とは反対側の面を膜表面としてフッ素樹脂が特定濃度となる膜表面からの深さが上記した数値範囲となる。一方、基体樹脂としてフッ素原子を有するポリエーテル・ケトン樹脂(F−PEK)を用いる場合は、膜中においてフッ素樹脂が沈んで基材側の面にフッ素樹脂が偏在するような形態とすることができる。この場合、基材側の面を膜表面としてフッ素樹脂が特定濃度となる膜表面からの深さが上記した数値範囲となる。
上記のように基体樹脂の種類によってフッ素樹脂含有傾斜膜のいずれか片側の面を膜表面としてフッ素樹脂を偏在させる方法は、本発明の好ましい実施形態の一つである。
上記フッ素樹脂含有傾斜膜を形成するために用いられる樹脂組成物であって、該組成物は、基体樹脂とフッ素樹脂とを含むフッ素樹脂含有傾斜膜形成用樹脂組成物もまた、本発明の一つである。上記フッ素樹脂含有傾斜膜形成用樹脂組成物は、基体樹脂とフッ素樹脂とをそれぞれ1種含んでいてもよく、2種以上を含んでいてもよい。
上記基体樹脂としては、上記したように、耐熱性が高く、フッ素樹脂と相溶するものを用いることが好適であり、特に種類を問わないが、膜の片側表面部で基体樹脂よりも多く含まれるフッ素樹脂とは異なるフッ素樹脂であることが好ましい。すなわち、基体樹脂とフッ素樹脂とを含むフッ素樹脂含有傾斜膜形成用樹脂組成物としては、基体樹脂もフッ素樹脂であることによって、2種又はそれよりも多くの種類のフッ素樹脂を含む樹脂組成物であることが好ましい。この場合、基体樹脂としてのフッ素樹脂は、ポリアミド酸、ポリエーテル・ケトン樹脂(PEK)、ポリエーテル・エーテル・ケトン樹脂(PEEK)等の樹脂がフッ素原子を有する形態であり、基体樹脂とともに用いられるフッ素樹脂は、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等のようにフッ素原子を有する構造単位が主体となった重合体であることが好適である。
上記基体樹脂の好ましい形態としては、耐熱性等の観点から、フッ素含有芳香族系重合体であり、より好ましい形態としては、相溶性の観点から、該フッ素含有芳香族系重合体が、芳香環にフッ素原子が置換した構造を有する形態である。
また上記基体樹脂とともに用いられるフッ素樹脂、すなわち膜の片側表面部で基体樹脂よりも多く含まれるフッ素樹脂は、ガラス転移温度が340℃以下であることが好ましく、330℃以下であることがより好ましい。ガラス転移温度が340℃を超えるフッ素樹脂は特殊なフッ素樹脂となり、工業的使用に適さない。また、傾斜膜の耐熱性が必要なため、200℃以上が好ましく、また基体樹脂がポリイミドの場合はイミド化温度以上である250℃以上がより好ましい。
なお、本明細書において、基体樹脂をいうのではない、単に「フッ素樹脂」と表した用語、又は、「フッ素樹脂」の用語を含む用語は、基体樹脂とともに用いられるフッ素樹脂(膜の片側表面部で基体樹脂よりも多く含まれるフッ素樹脂)を意味するものである。
以下では、本発明におけるフッ素樹脂(膜の片側表面部で基体樹脂よりも多く含まれるフッ素樹脂)、フッ素樹脂含有傾斜膜形成用樹脂組成物の好ましい形態、該フッ素樹脂含有傾斜膜形成用樹脂組成物に好適に用いられる具体的な基体樹脂について、また、本発明の適用用途等について更に詳述する。
上記フッ素樹脂は、フッ素原子を有する構造単位が主体となった重合体であれば特に限定されず、例えば、フッ素原子を有するオレフィン(フルオロオレフィン)に由来する構成単位を含む重合体であることが好ましい。フルオロオレフィンとしては、フッ化ビニリデン(PVDF)、ヘキサフルオロプロピレン、テトラフルオロエチレン等が挙げられる。上記フッ素樹脂として具体的には、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、四フッ化エチレン−パーフルオロアルコキシエチレン共重合体(PFA)、四フッ化エチレン−六フッ化プロピレン樹脂(FEP)、四フッ化エチレン−エチレン共重合体(ETFE)、三フッ化塩化エチレン樹脂(PCTFE)、三フッ化塩化エチレン−エチレン共重合体(ECTFE)、パーフロロ環状重合体、フッ化ビニル樹脂(PVF)等が好適であり、これらを1種又は2種以上を使用することができる。
上記フッ素樹脂は、通常、種々の分子量等を持つものを入手することができ、好ましい形態であるガラス転移温度が340℃以下のものを選択して用いることができる。
上記フッ素樹脂含有傾斜膜形成用樹脂組成物は、所望の用途に応じて基体樹脂及びフッ素樹脂以外の成分(他の成分)を含有することができる。他の成分としては、例えば、カーボンブラック、分散剤、有機溶媒、無機充填材、離型剤、カップリンク剤、難燃剤等の各種添加剤が挙げられるが、表面抵抗値を制御するとの観点等からは、カーボンブラックを含むものであることが好ましい。このような樹脂組成物においては、カーボンブラック及び/又はフッ素樹脂が、組成物中に分散している形態であることが好適である。
なお、上記フッ素樹脂含有傾斜膜形成用樹脂組成物においては、基体樹脂としてポリアミド酸であって重量平均分子量が20万以上の高分子量のものを用いる場合には、水分量が1000ppm以下であることが好ましい。更に、後述するようにカーボンブラック及び/又はフッ素樹脂を、分散液として、ポリアミド酸の重合後に混合する場合にも、水分が混入しないようにすることが好ましい。
上記カーボンブラックとしては、導電性カーボンブラックを用いることが好ましい。例えば、気体又は液体の原料を反応炉中で連続的に熱分解し製造するファーネスブラック、特にエチレン重油を原料としたケッチェンブラック、原料ガスを燃焼させて、その炎をチャンネル鋼底面にあて急冷し析出させたチャンネルブラック、ガスを原料とし燃焼と熱分解を周期的に繰り返すことにより得られるサーマルブラック、特にアセチレンガスを原料とするアセチレンブラック等が挙げられ、また、カーボンナノチューブを使用することもできる。中でも、結晶子やストラクチャーが高度に発達したケッチェンブラックやアセチレンブラック、カーボンナノチューブが好適である。これらは単独で使用してもよいし、2種以上の混合物として使用してもよい。
上記フッ素樹脂含有傾斜膜形成用樹脂組成物において、基体樹脂と、フッ素樹脂との質量比としては、所望する特性から適宜選択することができる。例えば、基体樹脂とフッ素樹脂とを含む全樹脂の質量に対するフッ素樹脂の質量割合は0.2〜0.7質量%とすることが好ましい。より好ましくは0.4〜0.6質量%である。特に好ましくは、0.5〜0.6質量%である。
カーボンブラックを用いる場合には、フッ素樹脂及びカーボンブラックの合計量が0.5〜50重量部であることが好適である。より好ましくは、1〜40重量部、更に好ましくは、1〜30重量部である。特に好ましくは、2〜20重量部である。
上記下限値未満であると、充分な撥水性や離型性等の特性が得られず、また、カーボンブラックを用いる場合に表面抵抗値を制御できないおそれがあり、上記上限値を超えると、機械的強度をより高めることができなくなるおそれがある。
上記フッ素樹脂含有傾斜膜形成用樹脂組成物の調製方法としては、基体樹脂としてポリアミド酸を用いる場合、例えば、(I)フッ素樹脂の存在下で、又は、フッ素樹脂及びカーボンブラックの存在下で、ポリアミド酸の原料である酸二無水物とジアミン化合物とを重合反応させる方法や、(II)ポリアミド酸の原料である酸二無水物とジアミン化合物とを重合反応させてポリアミド酸を得た後、このポリアミド酸と、フッ素樹脂やカーボンブラックとを混合する方法等が挙げられる。
上記調製方法において、フッ素樹脂やカーボンブラックは、必要に応じ、有機溶媒にこれらを分散させた分散液として用いてもよい。例えば、フッ素樹脂やカーボンブラックを有機溶媒に分散させた分散液として、上記(I)における重合反応工程や、上記(II)におけるポリアミド酸との混合工程に用いることが好適である。有機溶媒としては、フッ素樹脂やカーボンブラックを分散若しくは溶解できる溶媒であれば特に限定されず、例えば、後述する重合反応工程で使用可能な有機溶媒を好適に用いることができる。なお、カーボンブラックを有機溶媒に分散させる際や、また、カーボンブラックをポリアミド酸と直接混合させる際には、分散剤を用いることが好適である。分散剤としては特に限定されないが、例えば、アニオン性、ノニオン性又はカチオン性界面活性剤や、高分子分散剤等が挙げられ、1種又は2種以上を使用することができる。中でも、分散性能の点から高分子分散剤を使用することが好ましい。
上記高分子分散剤としては、例えば、分子内に複数のカルボキシル基を有するポリカルボン酸系高分子分散剤、分子内に複数のアミノ基を有するポリアミン系高分子分散剤、分子内に複数のアミド基を有する高分子分散剤、分子内に複数の多環式芳香族化合物を含有する高分子分散剤等が好適であり、これらの1種又は2種以上を用いることができる。
上記ポリカルボン酸系高分子分散剤としては、例えば、(メタ)アクリル酸と(メタ)アクリル酸エステルとの共重合体、無水マレイン酸共重合体とアルキルアミン等の各種アミンやアルコールとのアミド化又はエステル化物、ポリ(メタ)アクリル酸共重合体等のポリカルボン酸のポリエステルやポリアルキレングリコールをグラフトさせた櫛型ポリマー等が挙げられる。なお、(メタ)アクリル酸は、アクリル酸又はメタクリル酸を意味する。
上記ポリアミン系高分子分散剤としては、例えば、ポリアルキレンアミン、ポリアリルアミンやN,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート等のポリアミンにポリエステルをグラフトさせた櫛型ポリマー等が挙げられる。
上記分子内に複数のアミド基を有する高分子分散剤としては、例えば、縮合反応によって得られるポリアミド、ポリビニルピロリドン、ポリN,N−ジメチルアクリルアミドの共重合体や、これらにポリエステルやポリアルキレングリコールをグラフトさせた櫛型ポリマー等が挙げられる。
上記多環式芳香族化合物を含有する高分子分散剤としては、例えば、ピレンやキナクリドン骨格を有するビニルモノマーと各種モノマーとの共重合体が挙げられる。
上記分散剤を使用する場合、分散剤の添加量は、分散を好適に行う観点から、分散対象物(フッ素樹脂含有傾斜膜形成用樹脂組成物)100重量部に対して、0.1〜20重量部とすることが好適である。より好ましくは0.5〜10重量部である。
上記基体樹脂の具体例としては、ポリアミド酸、ポリエーテル・ケトン樹脂(PEK)、ポリエーテル・エーテル・ケトン樹脂(PEEK)等が好適であり、より好ましくは、基体樹脂がフッ素樹脂である形態、すなわち、フッ素原子を有するポリアミド酸、フッ素原子を有するポリエーテル・ケトン樹脂(F−PEK)、フッ素原子を有するポリエーテル・エーテル・ケトン樹脂(F−PEEK)等が好ましい。この中でも、ポリアミド酸、フッ素原子を有するポリアミド酸が好適である。
上記ポリアミド酸は、酸二無水物とジアミン化合物とを反応させて得られるものであり、膜形成後はイミド化してポリイミドとなる。該酸二無水物及びジアミン化合物のうち少なくとも1種の化合物は、分子内にエーテル結合及び/又はチオエーテル結合を有するものであることが好ましい。例えば、酸二無水物又はジアミン化合物のいずれかに該当する化合物の一部又は全部として、分子内にエーテル結合及び/又はチオエーテル結合を有する化合物を用いてもよいし、酸二無水物に該当する化合物の一部又は全部と、ジアミン化合物に該当する化合物の一部又は全部との両方が、分子内にエーテル結合及び/又はチオエーテル結合を有する化合物であってもよい。特に好ましい形態としては、酸二無水物及びジアミン化合物として、各々、分子内にエーテル結合を有する化合物を1種以上用いる形態である。
上記ポリアミド酸の分子量は、重量平均分子量として、1000〜100万であることが好適である。1000未満であると、より優れた耐熱性等を付与できないおそれがあり、100万を超えると、樹脂組成物中でポリアミド酸がゲル化してしまうおそれがある。より好ましくは5000〜70万であり、更に好ましくは1万〜50万である。
特に、上記ポリアミド酸の重量平均分子量を1万〜20万とすると、そのようなポリアミド酸を原料としたポリイミドを含むフィルムの耐摩耗性を高めることが可能となり好ましい。上記重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフ(GPC)により、標準ポリスチレンの検量線を用いて下記条件によって測定することができる。
<GPC測定条件>
装置:東ソー株式会社製 HCL−8220GPC
カラム:TSKgel Super AWM−H(東ソー株式会社製)
溶離液(LiBr・HO、リン酸入りNMP):0.01mol/L
上記ポリアミド酸は、酸二無水物とジアミン化合物とを各々1種又は2種以上用いて得ることができ、用いる酸二無水物とジアミン化合物によってポリアミド酸の構造も異なることになる。
上記酸二無水物としては、下記一般式(1)で表される化合物が好適であり、芳香族系、脂肪族系いずれの化合物も使用できる。中でも、芳香族系酸無水物が好適である。なお、下記一般式(1)中のYは、4価の有機基を表すが、例えば、直鎖若しくは分岐鎖、又は、環を含んでいてもよい脂肪族有機基;芳香族有機基;2以上の脂肪族基や芳香族基が炭素原子で結合した有機基;2以上の脂肪族基や芳香族基が炭素原子以外の原子(例えば、酸素原子、窒素原子、硫黄原子等)で結合した有機基等が好適である。
Figure 2012102222
本発明におけるポリアミド酸の原料となる酸二無水物及びジアミンのうち少なくとも1種の化合物は、エーテル結合を有する化合物であることが好ましい。ポリアミド酸の原料としてエーテル結合を有する化合物を用いると、当該ポリアミド酸から得られるポリイミドが撥水性、柔軟性に優れたものとなる。
上記酸二無水物の中でも、分子内にエーテル結合を有する酸二無水物としては、例えば、下記の化合物等が好適である。
3,3′,4,4′−ビフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物、2,3′,3,4′−ビフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物、4,4′−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルスルフィド二無水物、4,4′−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルスルホン二無水物、4,4′−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルプロパン二無水物、5,5′−ビス(トリフルオロメチル)−3,3′,4,4′−テトラカルボンジフェニルエーテル酸二無水物、1,4−ビス(3,4−ジカルボキシトリフルオロフェノキシ)テトラフルオロベンゼン酸二無水物、1,4−ビス(3,4−ジカルボキシトリフルオロフェノキシ)テトラクロロベンゼン酸二無水物、1,4−ビス(3,4−ジカルボキシトリフルオロフェノキシ)オクタフルオロビフェニル酸二無水物、1,4−ビス(3,4−ジカルボキシトリフルオロフェノキシ)ベンゼン酸二無水物。
上記分子内にエーテル結合を有する酸二無水物の中でも、1分子内にエーテル結合を2個以上有する化合物が好適であり、特に、下記一般式(i):
Figure 2012102222
(式中、Aは、水素原子又はフッ素原子を表す。Qは、2価の有機基を表す。)で表される化合物を使用することが好適である。上記ポリイミドがこのような酸二無水物に由来する構造を有することによって、有機溶剤への溶解性や耐熱性、耐吸湿性、撥水性、離型性等に更に優れたポリイミドを得ることが可能になる。このように上記酸二無水物が、少なくとも、上記一般式(i)で表される化合物を含む形態は、本発明の好適な形態の1つである。なお、Aとの表記は、Aで表される原子がベンゼン環に3つ結合した形態となっていることを表す。後述する化学式(iii−1)〜(iii−5)、(3−a)〜(3−h)における複数の原子がベンゼン環に結合することを示す記号も同様に、当該複数の原子がベンゼン環に結合した形態となっていることを表す。
上記Qで表される2価の有機基としては、例えば、直鎖若しくは分岐、又は、環を含んでいてもよい2価の脂肪族有機基;芳香族有機基;2以上の脂肪族基や芳香族基が炭素原子で結合した2価の有機基;2以上の脂肪族基や芳香族基が炭素原子以外の原子(例えば、酸素原子、窒素原子、硫黄原子等)で結合した2価の有機基等が挙げられる。具体的には、例えば、環状アルキル、鎖状アルキル、オレフィン、グリコール等に由来する2価の脂肪族有機基;ベンゼン、ビフェニル、ビフェニルエーテル、ビスフェニルベンゼン、ビスフェノキシベンゼン等に由来する2価の芳香族有機基;これらの脂肪族有機基や芳香族有機基が炭素原子、酸素原子、窒素原子又は硫黄原子等で結合した2価の有機基等が好適である。これらの中でも、下記一般式(ii−1)〜(ii−7):
Figure 2012102222
(式中、*部分が、上記一般式(i)中のO原子と結合する。)で表される2価の有機基であることが好適である。
上記Qで表される2価の有機基としてはまた、少なくとも1つのハロゲン原子(好ましくはフッ素原子)又はハロゲン化アルキル基(ハロゲン置換アルキル基)を有するものが好適である。これにより、耐熱性や耐薬品性、撥水性、誘電特性、電気特性、光学特性等の各種物性に優れたポリイミドが得られやすくなる。中でも、少なくとも1つのフッ素原子又はハロゲン化アルキル基を有するベンゼン環を持った基であることが好ましい。また、ハロゲン化アルキル基としては炭素数1〜20のアルキルフッ素基(例えば、三フッ化メチル基等)がより好ましい。特に好ましくは、フッ素原子又は炭素数1〜20のアルキルフッ素基で全置換されたベンゼン環を有する基である。
上記一般式(i)で表される化合物として具体的には、例えば、下記式(iii−1)〜(iii−5)で表される化合物1,4−ビス(3,4−ジカルボキシトリフルオロフェノキシ)テトラクロロベンゼン酸二無水物、1,4−ビス(3,4−ジカルボキシトリフルオロフェノキシ)ベンゼン酸二無水物、1,4−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ベンゼン酸二無水物、1,4−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)テトラフルオロベンゼン酸二無水物、1,4−ビス(3,4−ジカルボキシトリフルオロフェノキシ)テトラフルオロベンゼン酸二無水物);下記式(iii−6)で表される2,2−ビス{4−(3,4−ジカルボキシフェノキシ)フェニル}プロパン二無水物;下記式(iii−7)で表される1,1−ビス{4−(3,4−ジカルボキシフェノキシ)フェニル}シクロヘキサン二無水物;下記式(iii−8)で表される9,9−ビス{4−(3,4−ジカルボキシフェノキシ)フェニル}フルオレン二無水物;下記式(iii−9)で表される2,2−ビス{4−(3,4−ジカルボキシフェノキシ)フェニル}ヘキサフルオロプロパン二無水物が挙げられる。これら(iii−1)〜(iii−9)で表される酸二無水物の1種又は2種以上を用いることが特に好適である。
Figure 2012102222
Figure 2012102222
分子内にエーテル結合を有するジアミンを選択した場合には、分子内にエーテル結合を有さない酸二無水物を適宜選択してもよく、分子内にエーテル結合を有さない酸二無水物としては、下記化合物等が好適である。
ピロメリット酸二無水物、3,3′,4,4′−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3′,4,4′−ビフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、3,3′,4,4′−テトラカルボキシジフェニルメタン酸二無水物、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,2,5,6−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、2,6−ジクロルナフタレン−1,4,5,8−テトラカルボン酸二無水物、2,7−ジクロルナフタレン−1,4,5,8−テトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7−テトラクロルナフタレン−1,4,5,8−テトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−フランテトラカルボン酸二無水物、2,3,4,5−チオフェンテトラカルボン酸二無水物、3,3′,4,4′−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、ビス(フタル酸)フェニルホスフィンオキサイド二無水物、3,3′,4,4′−パーフルオロイソプロピリデンジフタル酸二無水物、ジフルオロピロメリット酸二無水物、ジクロロピロメリット酸二無水物、トリフルオロメチルピロメリット酸二無水物、1,4−ジ(トリフルオロメチル)ピロメリット酸二無水物、ジ(ヘプタフルオロプロピル)ピロメリット酸二無水物、ペンタフルオロエチルピロメリット酸二無水物、ビス{3,5−ジ(トリフルオロメチル)フェノキシ}ピロメリット酸二無水物、5,5′−ビス(トリフルオロメチル)−3,3′,4,4′−テトラカルボキシビフェニル酸二無水物、1,2′,5,5′−テトラキス(トリフルオロメチル)−3,3′,4,4′−テトラカルボキシビフェニル酸二無水物、5,5′−ビス(トリフルオロメチル)−3,3′,4,4′−テトラカルボキシベンゾフェノン酸二無水物、3,4,9,10−テトラカルボキシペリレン酸二無水物、3,3′,4,4′−ジメチルジフェニルシランテトラカルボン酸二無水物、3,3′,4,4′−テトラフェニルシランテトラカルボン酸二無水物、1,3−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)テトラメチルジシロキサン酸二無水物等の芳香族テトラカルボン酸無水物;
ブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,3−ジメチル−1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸、1,2,3,4−シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物、2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸二無水物、3,5,6−トリカルボキシノルボナン−2−酢酸二無水物、2,3,4,5−テトラヒドロフランテトラカルボン酸二無水物、5−(2,5−ジオキソテトラヒドロフラル)−3−メチル−3−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸二無水物、ビシクロ[2,2,2]−オクト−7−エン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物等の脂肪族又は脂環式テトラカルボン酸二無水物;1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]フラン−1,3−ジオン、1,3,3a.4,5,9b−ヘキサヒドロ−5−メチル−5−(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]フラン−1,3−ジオン、1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−8−メチル−5−(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]フラン−1,3−ジオン等の脂肪族テトラカルボン酸二無水物等。
本発明におけるポリアミド酸の原料となるジアミンとしては、下記一般式(2);
Figure 2012102222
で表される化合物が好適である。なお、一般式(2)中のXは、2価の有機基を表すが、例えば、直鎖若しくは分岐、又は、環を含んでいてもよい2価の脂肪族有機基;芳香族有機基;2以上の脂肪族基や芳香族基が炭素原子で結合した2価の有機基;2以上の脂肪族基や芳香族基が炭素原子以外の原子(例えば、酸素原子、窒素原子、硫黄原子等)で結合した2価の有機基等が挙げられる。具体的には、例えば、環状アルキル、鎖状アルキル、オレフィン、グリコール等に由来する2価の脂肪族有機基;ベンゼン、ビフェニル、ビフェニルエーテル、ビスフェニルベンゼン、ビスフェノキシベンゼン等に由来する2価の芳香族有機基;これらの脂肪族有機基や芳香族有機基が炭素原子、酸素原子、窒素原子又は硫黄原子等で結合した2価の有機基等が好適である。
上記Xで表される2価の有機基として具体的には、下記一般式(3−a)〜(3−h):
Figure 2012102222
(式中、Zは、同一若しくは異なって、水素原子(すなわち無置換)、置換基で置換されていてもよいアルキル基若しくはアリール基、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子)を表す。なお、Zは、各有機基中で同一であってもよいし、異なるものであってもよいし、また、各ベンゼン環中で同一であってもよいし、異なるものであってもよい。Rは、同一若しくは異なって、フッ素原子又は水素原子を表す。X’は、酸素原子、窒素原子、炭素原子、−S−、又は、−S(=O)−を表す。なお、X’は、同一であってもよいし、異なるものであってもよい。)で表される基が好適である。
上記一般式(3−a)〜(3−h)で表される有機基はまた、少なくとも1つのフッ素原子又はハロゲン化アルキル基(ハロゲン置換アルキル基)を有するものであることが好適である。すなわち、各有機基が有するZで表される基の少なくとも1つがフッ素原子又はハロゲン化アルキル基であることが好適である。これにより、耐熱性や耐薬品性、撥水性、誘電特性、電気特性、光学特性等の各種物性に優れたポリイミドが得られやすくなる。中でも、各有機基が有する各ベンゼン環が、それぞれ、少なくとも1つのフッ素原子又はハロゲン化アルキル基を有することが好ましい。また、ハロゲン化アルキル基としては炭素数1〜20のアルキルフッ素基(例えば、三フッ化メチル基等)がより好ましい。特に好ましくは、各有機基が有するZの全てがフッ素原子又は炭素数1〜20のアルキルフッ素基であることである。
上記ジアミンの中でも、例えば、2,3,5,6−テトラフルオロ−1,4−ジアミノベンゼン、1,3−ジアミノ−2,4,5,6−テトラフルオロベンゼン(4FMPD)、4,4’−ジアミノ2,2’−ビス(トリフルオロメチル)ビフェニル(TFMB)、ビス(4−アミノフェニル)エーテル(ODA)、2,2−ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕ヘキサフルオロプロパン(HFBAPP)、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル(BAPB)、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン(TPE−Q)、ビス(2,3,5,6−テトラフルオロ−4−アミノフェニル)エーテル(8FODA)、1,4−ジアミノ−2−トリデカフルオロヘキシルベンゼン(13FPD)、ビス(オクタフルオロ−4’−アミノビフェニル−4−イル)エーテル(16FPD)等が好適である。
上記分子内にエーテル結合を有するジアミンとしては、上述した一般式(2)で表されるジアミンの中から、エーテル結合を有するものを用いることが好適である。
上記酸二無水物とジアミンとの反応工程、すなわちポリアミド酸を得るための重合反応工程において、これら原料の配合比としては、酸二無水物の総量1モルに対し、ジアミンの総量が0.6〜1.4モルとなるように設定することが好ましい。これにより、耐熱性や耐吸湿性等により優れたポリアミド酸含有組成物及びポリイミドを得ることが可能になる。より好ましくは0.75〜1.25モルである。
上記酸二無水物とジアミンとの反応工程は、有機溶媒中で行われることが好適である。
上記有機溶媒としては、ポリアミド酸の原料であるジアミンと酸二無水物との反応が効率よく進行でき、かつこれらの原料に対して不活性であれば、特に限定されるものではない。例えば、N−メチルピロリドン、N−メチル−2−ピロリジノン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフラン、ジメチルスルホキシド、スルホラン、メチルイソブチルケトン、アセトニトリル、ベンゾニトリル、ニトロベンゼン、ニトロメタン、ジメチルスルフォキシド、アセトン、メチルエチルケトン、イソブチルケトン、メタノール等の極性溶媒;トルエンやキシレン等の非極性溶媒等が挙げられる。中でも、極性溶媒を用いることが好ましい。これらの有機溶媒は、単独で使用されてもよいし、2種以上の混合物として使用されてもよい。
上記有機溶媒の量は、ポリアミド酸を得るための重合反応が効率よく進行できる量であれば特に限定されず、例えば、有機溶媒と、ポリアミド酸の原料(酸二無水物及びジアミン)との合計量100質量%に対し、該ポリアミド酸の原料の合計量が1〜60質量%となるように設定することが好適である。より好ましくは3〜50質量%である。
上記反応工程において、反応条件としてはポリアミド酸の原料が充分に反応し得るものであれば特に限定されないが、例えば、空気中(好ましくは、窒素、ヘリウム、アルゴン等による不活性ガス雰囲気中)で、重合反応温度を−20〜80℃に設定することが好適である。このような温度で重合反応を行うことで、ポリアミド酸の重量平均分子量を上述した好ましい範囲にすることができる。より好ましくは0〜50℃である。
また、重合反応時間は、1時間〜10日とすることが好ましく、より好ましくは1日〜7日である。
本発明のフッ素樹脂含有傾斜膜は、摺動性、離型性、耐熱性、耐摩耗性等の種々の特性を高レベルで両立して発揮することができ、その他、耐吸湿性、撥水性、耐久性(機械的強度)、誘電特性、電気特性等にも優れたものとすることができる。例えば、基体樹脂として耐熱性樹脂の一つであるポリイミドとフッ素樹脂とを複合化することによって、フッ素樹脂による特性に加え、イミド環に由来する特性が発揮され、高強度で優れた耐熱性を有し、誘電特性や電気特性等にも優れたものとなる。
上記フッ素樹脂含有傾斜膜の適用用途としては、電気・電子部品、機械部品、光学部品等の各種用途が好適に挙げられるが、複写機部材用途(画像形成・記録装置用ベルト用途)に特に有用であり、例えば、複写機やファクシミリ、プリンタ等の画像形成・記録装置における転写ベルトや定着ベルト等(ベルト状のシート、フィルム)の他、インクジェットプリントプリンターヘッドのコーティング膜、半導体ゲート絶縁膜、電子・電機機器や部品の耐湿・防湿絶縁材料等として好ましく使用される。また、湿潤雰囲気下で使用する部品の保護膜や離型材料等に用いることができる。
なお、従来の画像形成・記録装置では、感光ドラム等の像担持体にトナー等の現像剤を用いて形成された像を被記録材上に直接定着させる方式が採用されていたが、装置寿命や定着速度の向上等のため、最近では、定着ベルトや転写ベルト等のベルト状シートやフィルムを介して、像担持体上の像を被記録材に転写又は定着を行う方式が採用されつつある。
フッ素樹脂と他の樹脂(基体樹脂)との優れた複合化形態が達成された本発明のフッ素樹脂含有傾斜膜は、上記のような高度な特性が要求される用途に好適に適用することができる。
本発明のフッ素樹脂含有傾斜膜は、上述の構成よりなり、フッ素樹脂と他の樹脂(基体樹脂)との優れた複合化形態によって、フッ素樹脂の優れた特性とともに基体樹脂の特性をも充分に発揮させることができるものである。それによって、摺動性、離型性、耐熱性、耐摩耗性等の種々の特性を高レベルで両立させ、フッ素樹脂を含む耐熱性樹脂膜としての機能を充分に発揮させることができる。また、そのような傾斜膜の製造方法及び傾斜膜を形成する原料となるフッ素樹脂含有傾斜膜形成用樹脂組成物によって、本発明のフッ素樹脂含有傾斜膜を好適に得ることができ、種々の用途に好適に適用させることが可能となる。
図1は、実施例2で得られたフッ素樹脂含有傾斜膜2について行われたIR分析の結果を示すグラフである。 図2は、実施例2で得られたフッ素樹脂含有傾斜膜2について行われたIR分析の結果からフッ素樹脂存在比に変換した結果を示すグラフである。 図3は、実施例3で得られたフッ素樹脂含有傾斜膜3における膜表面からの深さとフッ素樹脂の存在比との関係を示すグラフである。 図4は、実施例4で得られたフッ素樹脂含有傾斜膜4における膜表面からの深さとフッ素樹脂の存在比との関係を示すグラフである。 図5は、実施例5で得られたフッ素樹脂含有傾斜膜5における膜表面からの深さとフッ素樹脂の存在比との関係を示すグラフである。 図6は、実施例6で得られたフッ素樹脂含有傾斜膜6における膜表面からの深さとフッ素樹脂の存在比との関係を示すグラフである。 図7は、比較例1で得られた比較フッ素樹脂含有傾斜膜1における膜表面からの深さとフッ素樹脂の存在比との関係を示すグラフである。 図8は、比較例2で得られた比較フッ素樹脂含有傾斜膜2における膜表面からの深さとフッ素樹脂の存在比との関係を示すグラフである。 図9は、比較例3で得られた比較フッ素樹脂含有傾斜膜3における膜表面からの深さとフッ素樹脂の存在比との関係を示すグラフである。 図10は、比較例4で得られた比較フッ素樹脂含有傾斜膜4における膜表面からの深さとフッ素樹脂の存在比との関係を示すグラフである。
以下に実施例を掲げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。なお、特に断りのない限り、「部」は「重量部」を、「%」は「質量%」を意味するものとする。
下記実施例及び比較例においては、次のようにして分析し、評価を行った。
<リアクティブイオンエッチング(RIE)>
フッ素樹脂含有傾斜膜の酸素エッチングは、以下の装置、条件により行った。
装置:ドライエッチング装置(L−451D MARKII)(アネルバ社製)
条件
酸素流量:100sccm
背圧:1Pa
出力:100W
<赤外分光分析(IR分析)>
フッ素樹脂含有傾斜膜のIR分析は、以下の装置、測定条件により行った。
測定装置:FT−IR Nicolet 6700(日立ハイテクノロジーズ社製)
Smart OMNI−Sampler(サーモサイエンティフィック社製)
測定条件
積算回数:32回
入射光の照射領域:直径1mm
<水による接触角>
フッ素樹脂含有傾斜膜の水による接触角は、接触角計CA−X(商品名、協和界面科学社製)を用いて測定した。
<表面粗さ>
フッ素樹脂含有傾斜膜の表面粗さは、触針式表面形状測定器 Dektakを用いて行った。
(実施例1)
50mL容量のサンプル管に、膜形成時に基体樹脂としてF−PEKを含むよう調製されたF−PEKワニス(固形分濃度:15%、溶媒NMP)5g、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)分散液(N.V.:40質量%)1.9g、カーボンブラック(CB)分散液(N.V.:2質量%)0.9gを加え、あわとり錬太郎(自転公転式回転攪拌装置、商品名、シンキー社製)で分散させた。380℃にて1時間加熱し、焼成して、フッ素樹脂含有傾斜膜1を得た。得られた傾斜膜1(膜厚:12μm)をリアクティブイオンエッチング(RIE)によりエッチングした後に、IRを測定した。その結果、膜の表面からの深さ0μm、5μm、10μmでフッ素樹脂のIRピークに対する基体樹脂のIRピークの強度比は各々6.25、0.63、1.01であった。膜の表面に基体樹脂が多く存在し、該膜の表面とは反対側の面においてフッ素樹脂の存在比が増大している。
(実施例2)
50mL容量のサンプル管に、膜形成時に表1の基体樹脂となるポリアミド酸を含むよう調製されたポリアミド酸ワニス(固形分濃度:15%)5g、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)分散液(N.V.:40質量%)1.9g、カーボンブラック(CB)分散液(N.V.:2質量%)0.9gを加え、あわとり錬太郎(自転公転式回転攪拌装置、商品名、シンキー社製)で分散させた。330℃にて1時間加熱し、焼成して、フッ素樹脂含有傾斜膜2を得た。得られた傾斜膜1をリアクティブイオンエッチング(RIE)によりエッチングした後に、IRを測定した。その結果が図1である。IRピークの強度比と膜中におけるフッ素樹脂の全樹脂に対する存在比との関係を示す検量線を作製し、その検量線を用いて、IR測定によって得られたIRピークの強度比を膜中におけるフッ素樹脂の全樹脂に対する存在比(フッ素樹脂の存在比)に換算した。その結果が図2である。フッ素樹脂含有傾斜膜2においては、膜表面からの深さ1μmでフッ素樹脂の全樹脂に対する存在比は、0.7であった。なお、実施例2の膜全体におけるフッ素樹脂の全樹脂に対する存在比は0.5である。
また、傾斜膜2の水による接触角測定と表面粗さを測定した。フッ素樹脂含有傾斜膜2の組成、焼成温度、焼成時間、接触角、表面粗さを表1に示す。
(実施例3、4、比較例1、2)
フッ素樹脂含有傾斜膜の組成、焼成温度、焼成時間を表1のようにした以外は、実施例2と同様にして、フッ素樹脂含有傾斜膜3、4、比較フッ素樹脂含有傾斜膜1、2を得た。得られたフッ素樹脂含有傾斜膜3、4、比較フッ素樹脂含有傾斜膜1、2について、実施例1と同様にして、IRを測定し、フッ素樹脂の存在比を得た。その結果がそれぞれ図3、図4、図7、図8である。また、各々の傾斜膜の水による接触角測定と表面粗さを測定した。フッ素樹脂含有傾斜膜3、4、比較フッ素樹脂含有傾斜膜1、2の組成、焼成温度、焼成時間、接触角、表面粗さを表1に示す。
(実施例5、比較例3)
50mL容量のサンプル管に、膜形成時に表1の基体樹脂となるポリアミド酸を含むよう調製されたポリアミド酸ワニス(固形分濃度:15%)5g、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)分散液(N.V.:40質量%)2.8g、カーボンブラック(CB)分散液(N.V.:2質量%)1.1gを加え、あわとり錬太郎(自転公転式回転攪拌装置、商品名、シンキー社製)で分散させた。焼成温度を表1のようにした以外は、実施例1と同様にして、フッ素樹脂含有傾斜膜5、比較フッ素樹脂含有傾斜膜3を得た。得られたフッ素樹脂含有傾斜膜5、比較フッ素樹脂含有傾斜膜3について、実施例2と同様にして、IRを測定し、フッ素樹脂の存在比を得た。その結果がそれぞれ図5、図9である。また、各々の傾斜膜の水による接触角測定と表面粗さを測定した。フッ素樹脂含有傾斜膜5、比較フッ素樹脂含有傾斜膜3の組成、焼成温度、焼成時間、接触角、表面粗さを表1に示す。
(実施例6、比較例4)
50mL容量のサンプル管に、膜形成時に表1の基体樹脂となるポリアミド酸を含むよう調製されたポリアミド酸ワニス(固形分濃度:15%)5g、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)分散液(N.V.:40質量%)1.3g、カーボンブラック(CB)分散液(N.V.:2質量%)0.8gを加え、あわとり錬太郎(自転公転式回転攪拌装置、商品名、シンキー社製)で分散させた。焼成温度を表1のようにした以外は、実施例2と同様にして、フッ素樹脂含有傾斜膜6、比較フッ素樹脂含有傾斜膜4を得た。得られたフッ素樹脂含有傾斜膜6、比較フッ素樹脂含有傾斜膜4について、実施例2と同様にして、IRを測定し、フッ素樹脂の存在比を得た。その結果がそれぞれ図6、図10である。また、各々の傾斜膜の水による接触角測定と表面粗さを測定した。フッ素樹脂含有傾斜膜6、比較フッ素樹脂含有傾斜膜4の組成、焼成温度、焼成時間、接触角、表面粗さを表1に示す。
Figure 2012102222
なお、表1中の略号は、以下の通りである。
10FEDAN/TPE−Q:下記化学式(4);
Figure 2012102222
で表される化合物と、下記化学式(5);
Figure 2012102222
で表される化合物とを用いて得られるフッ素化ポリイミド
F−PEK:下記化学式(6);
Figure 2012102222
で表されるフッ素化ポリエーテル・ケトン樹脂
PTFE:ポリテトラフルオロエチレン
実施例及び比較例の結果から、以下のことが分かった。
基体樹脂として本実施例及び比較例で用いたF−PEK及びポリイミドはスーパーエンプラ材料として耐熱性に優れている。一方、フッ素樹脂として本実施例及び比較例で用いたPTFEのガラス転移温度は327℃である。ガラス転移温度以上で焼成された傾斜膜の表面粗さは、ガラス転移温度以下で焼成された比較傾斜膜と同等であって、表面平滑性を保持している。よって、摺動性、耐摩耗性が非傾斜膜と同等の性能を有している。一方、傾斜膜で膜表面におけるフッ素樹脂の全樹脂に対する存在比が高いほど水に対する接触角が高く、離型性が非傾斜膜以上の性能を有している。よって、本発明で得られた傾斜膜は表面平滑性、摺動性、耐摩耗性、離型性、耐熱性の種々の特性を高レベルで両立している。
なお、上記実施例においては、基体樹脂としてF−PEK、フッ素化ポリイミドが、フッ素樹脂としてPTFEが用いられているが、フッ素樹脂含有傾斜膜を、膜の片側表面部で基体樹脂よりもフッ素樹脂の含有割合が多く、膜の片側表面から深さ方向にフッ素樹脂の全樹脂に対する存在比が減少し、膜の片側表面から1μm以上の深さにおけるフッ素樹脂の全樹脂に対する存在比が膜全体におけるフッ素樹脂の全樹脂に対する存在比以上であるものとすることによって、表面平滑性(結果として摺動性、耐摩耗性)、離型性、耐熱性の種々の特性を高レベルで両立して発揮することができるようになる機構は、そのようなフッ素樹脂含有傾斜膜を用いた場合には、全て同様である。従って、上記実施例の結果から、本発明の技術的範囲全般において、また、本明細書において開示した種々の形態において本発明が適用でき、有利な作用効果を発揮することができるといえる。

Claims (6)

  1. 基体樹脂及びフッ素樹脂を含むフッ素樹脂含有傾斜膜であって、
    該フッ素樹脂含有傾斜膜は、膜の片側表面部で基体樹脂よりもフッ素樹脂の含有割合が多く、該膜の片側表面から深さ方向にフッ素樹脂の基体樹脂とフッ素樹脂とを合わせた全樹脂に対する存在比が減少し、該膜の片側表面から1μm以上の深さにおけるフッ素樹脂の全樹脂に対する存在比が該膜全体におけるフッ素樹脂の全樹脂に対する存在比以上であることを特徴とするフッ素樹脂含有傾斜膜。
  2. 前記基体樹脂は、膜の片側表面部で基体樹脂よりも多く含まれるフッ素樹脂とは異なるフッ素樹脂であることを特徴とする請求項1に記載のフッ素樹脂含有傾斜膜。
  3. 前記基体樹脂は、フッ素含有芳香族系重合体であることを特徴とする請求項2に記載のフッ素樹脂含有傾斜膜。
  4. 前記フッ素含有芳香族系重合体は、芳香環にフッ素原子が置換した構造を有することを特徴とする請求項3に記載のフッ素樹脂含有傾斜膜。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載のフッ素樹脂含有傾斜膜を製造する方法であって、
    該製造方法は、基体樹脂とフッ素樹脂とを含む樹脂組成物を熱処理する工程を含み、該熱処理工程における熱処理温度は、該フッ素樹脂のガラス転移温度以上であることを特徴とするフッ素樹脂含有傾斜膜の製造方法。
  6. 請求項1〜4のいずれかに記載のフッ素樹脂含有傾斜膜を形成するために用いられる樹脂組成物であって、該組成物は、基体樹脂とフッ素樹脂とを含むことを特徴とするフッ素樹脂含有傾斜膜形成用樹脂組成物。
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