JP2012100785A - 吸収性物品 - Google Patents

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Abstract

【課題】生理用ナプキンなどの吸収物品の経血等の汚れを必要以上に拡散させず吸収体の両側のサイドシールの工夫によって手もみの手洗いで良好に除去し、かつ吸収体素材の破出が効果的に抑えられる易洗浄吸収性物品を提供する。
【解決手段】肌当接面側に配置される伸長性の表面シート1、非肌当接面側に配置される裏面シート2、及び両シートに介在された吸水性ポリマーを含有する吸収体3を有する縦長の吸収性物品10であって、前記吸収性物品の長手方向の両側部に前記表面シート側から吸収体とともに圧搾された防漏溝5が形成され、該防漏溝は底部51と側壁部53を有し、該底部下の部材が裏面シートに接合されている吸収性物品。
【選択図】図1

Description

本発明は、生理用ナプキン等の吸収性物品に関し、より詳しくは、使用後もみ洗いのような水洗いによって吸収した経血等の赤みを容易に洗浄除去できる吸収性物品に関する。
生理用ナプキンや使い捨ておむつ等の吸収性物品については、その地域により性能について多様なニーズがある。例えばインドネシア、マレーシア等を主な居住圏とする一部の人々には、使用済みの生理用ナプキンを水で洗浄し、吸収した経血等を洗い流してから廃棄する習慣がある。この洗浄は、例えば、一方の手で水をかけつつ他方の手で生理用ナプキンを揉み洗ったり、絞ったりと、生理用ナプキンに幅方向内方への圧力をかけることでなされる。従来、このような洗浄に適した生理用ナプキンとしては、布製のナプキンや、パルプ繊維を主体とし吸水性ポリマーを含まない吸水性材料で構成されたものであった。しかし、このような吸水性ポリマーを含まない生理用ナプキンは、経血の吸収・保持性能が低いことによる液戻りを抑えるためパルプ繊維を多量に使用される必要があった。そのため生理用ナプキンはパルプ繊維の嵩高さのために厚くなってしまい、特に折り畳まれ包装されている状態でかさ張りやすくて、持ち歩きに不便であると共に、装着感が悪かった。
このような問題に対し、特許文献1には、パルプ繊維に吸水性ポリマーを配した洗浄し易いものに改良したものが開示されている。この吸水性ポリマーは、カルボキシ基及び/又はカルボキシレート基を有しかつ、所定の中和度などの物性を有するものであり、経血中のヘモグロビン等の赤み成分との付着を弱めたものであり、使用後の水洗によって経血等の赤みを容易に除去できるようにしたものである。
特開2010−17536号公報
ところで使用済みのナプキンの洗浄は、洗浄水をかけながら揉み洗いすることでなされる。その洗浄水の量は経血等の***液よりはるかに多量である。この洗浄水を吸水性ポリマーが吸収して膨潤すると、洗浄水の量や洗浄の仕方によっては該吸水性ポリマーが吸収体内部を隙間なく埋め尽くしてしまう場合がある。この場合、洗浄水の内部流通が妨げられて良好な洗浄が困難となることがあり、かえって経血等の汚れが洗浄されずにナプキン表面に広がってしまう。
本発明は、生理用ナプキンを洗浄する際の上記の特有の問題に鑑み、吸収物品の経血等の汚れを必要以上に拡散させずに洗浄効率を向上させることができる吸収性物品の提供を課題とする。
本発明は、肌当接面側に配置される伸長性の表面シート、非肌当接面側に配置される裏面シート、及び両シートに介在された吸水性ポリマーを含有する吸収体を有する縦長の吸収性物品であって、前記吸収性物品の長手方向の両側部に前記表面シート側から吸収体とともに圧搾された防漏溝が形成され、該防漏溝は底部と側壁部を有し、該底部下の部材が裏面シートに接合されている吸収性物品により上記の課題を解決するものである。
本発明の吸収性物品は、吸収物品の経血等の汚れを必要以上に拡散させずに洗浄効率を向上させることができるという優れた作用効果を奏する。
本発明における吸収性物品の好ましい一実施形態としての生理用ナプキンを肌当接面方向から示した一部切欠斜視図である。 図1に示すA−A線断面である。 図1に示す生理用ナプキンの所定の断面の一部を拡大して示した一部断面斜視図であり、(ia)は洗浄前を示し、(iia)は洗浄中を示す。また(ib)は(ia)の接合部を中心とする断面図であり、(iib)は(iia)の接合部を中心とする断面図である。
図1は、本発明における吸収性物品の一実施形態としての生理用ナプキンを肌当接面方向から示した一部切欠斜視図であり、図2は図1に示すA−A線断面である。図の煩雑化を避けるため図2におけるサイドシート4は図示していない。
本実施形態の生理用ナプキン10において、裏面シート2の肌当接面側に、吸水性ポリマーを含有する吸収体3が接着剤等で接合され配設されている。さらにその裏面シート2の肌当接面側における前記吸収体3の縦方向左右両側の外方ではサイドシート4が裏面シート2に当接して接合されている。その裏面シートとサイドシート4とが当接した部分では表面シート1が裏面シート2とサイドシート4とで挟持され、さらにその幅方向(X方向)内方向に向け表面シート1が吸収体3よりも肌当接面側に位置されるように配されている。このようにして吸収体3の外方でナプキンの周縁部分に形成された周縁シール6は全体的な伸縮性を阻害せず、一度吸収した液が漏れない程度に表面シート1、裏面シート2及びサイドシート4をヒートシール等により接合している。サイドシートの自由端41から周縁シールgに向けてポケット(図示せず)が形成され、液等の横モレを防ぐ効果を有する。なお、本実施形態における生理用ナプキン10の幅方向左右両側部には、サイドシート4を有してなる羽根部42が生理用ナプキン10の幅方向外方に向って延出し、この部分をショーツにおける股下部の非肌当接面側に巻き込んで生理用ナプキン10をショーツに固定する。
本実施形態における生理用ナプキン10の肌当接面側には表面シート1の肌当接面側から吸収体3にかけて圧搾した防漏溝5が施されている。防漏溝5の平面視形状は、吸収体3の縦方向中央部分において、経血等の***領域の幅方向左右両側に縦方向に長さを持つ圧搾部分が配置され、該左右それぞれの圧搾部分が吸収体3の前後端に近づくにつれ徐々に吸収体3の中央方向に向かい湾曲し、前端、後端が一致している。換言すると、防漏溝5は、平面視において生理用ナプキン10の長手方向の両側部においてその肌当接面側に配された2本の圧搾部分が前後方向に延びて無端環状に連続した形状である(図1参照)。このようにすることで、ナプキンを装着して使用する際の***液の横漏れを効果的に防止することができる。
本実施形態において防漏溝5は、底部51と側壁部53を有し、また低圧搾底部52を有する。底部51は、防漏溝5の底にあたる部分である。底部51下の部材である表面シート1及び吸収体3は、圧搾によって一体化され裏面シート2に接合されている。低圧搾底部52では、底部51よりも圧搾程度が弱く吸収体3の厚みがある程度残されている。側壁部53は、圧搾によって形成された防漏溝5内の壁面である。側壁部53は、底部51の肌面側から低圧搾底部52までを繋ぐ部分と、底部51の肌面側から表面シート1の圧搾されていない非圧搾肌面11までを繋ぐ部分とを有する。本実施形態においては、底部51と低圧搾底部52とが交互に配され、その間を側壁部53が繋いで全体として連続した防漏溝5の形状をなす(図2参照)。
本発明においては、この防漏溝5の平面形状は本実施形態のものに限定されるものではない。例えば、本実施形態の防漏溝5は前端、後端が一致して無端環状に連続しているが、前端、後端で互いに交差していてもよく、ナプキンの縦方向に延びる直線状又は曲線状であってもよく、またこれに加えて幅方向に二重配置される部分があってよく、用途に合わせ適宜決められることが好ましい。なお、***部とは経血もしくはおりもの等の***を直接受ける部分及びその近傍である。
上記表面シート1、裏面シート2、サイドシート4、及び吸収体3の材料等に関する詳細は後述する。本実施形態における表面シート1は、使用時における***液の速やかな吸収と吸収体への透過の観点や、肌触りのよさの観点から、親水性のエアスルー不織布を用いることが好ましい。さらに表面シート1は、使用後の洗浄時における吸水性ポリマーの膨張にも耐え得る程度の伸長性を有する素材を用いることが好ましい。詳細は後述するが、この表面シート1は、伸長性を有することで洗浄時の吸水性ポリマーの膨潤によっても破れ難く、該吸水性ポリマーの漏出を効果的に防止することができるので好ましい。
吸収体3としては、生理用ナプキンの使用時における柔軟さ及び携帯の簡便さを考慮して、極めて薄い紙状形態の吸収性シートを用いており、その内部に吸水性ポリマー31を含有する。1枚の紙の内部に吸水性ポリマー31の粒子を分散配置させてなるものが挙げられる。この吸収性シートは、分散配置された吸水性ポリマー31の膨潤でシート全体が膨張し易い。そのため本発明においては、詳細は後述するが、防漏溝5の底部51下において表面シート1と吸収体3の部分とがしっかりと一体化固定されて裏面シート2に接合されているので、その部分で吸収体3の膨張が抑えられる。このときこの底部51と吸収体3の他の膨張する部分との間で膨張差が生じる。この膨張差が引裂き力となって吸収体3の表面に部分的な断裂を引き起こし、この断裂部において吸収体3からの洗浄水の流出路が形成されて良好な洗浄が実現される。
また、裏面シート2としては、通気性を有した透湿性フィルムを単層で用いている。裏面シート2の非肌当接面側には、生理用ナプキン10を着衣に固定するための粘着剤(図示せず)が塗布されている。該粘着剤によって、生理用ナプキン10が使用者の着衣に接着固定される。本実施形態の生理用ナプキン10は、使用時には、その表面シート側を着用者の肌当接面側に向け、かつ、その縦方向を下腹部から臀部にかけて配して、したがってその幅方向を左右の足をつなぐラインの方向に向けて配して着用する。
本発明については、特に断らない限り、人体に接触する側の面を肌側面ないし肌当接面あるいは表面といい、これと反対側の面を非肌面ないし非肌当接面あるいは裏面という。この2つの面において、肌側面に近い方ないしその延長方向を肌面側、肌当接面側又は表面側といい、非肌面に近い方ないしその延長方向を非肌面側、非肌当接面側又は裏面側という。装着時に人体の前側に位置する方向を前方といいその端部を前端部とし、後側に位置する方向を後方といいその端部を後端部として説明する。吸収性物品の表面又は裏面の法線方向を厚み方向といいその量を厚さという。更に、吸収性物品の平面視において腹側部から股下部を亘り背側部に至る方向を縦方向といい、この縦方向と直交する方向を幅方向という。なお、前記縦方向は典型的には装着状態において人体の前後方向と一致する。
本実施形態の防漏溝5における底部51及び低圧搾底部52は、熱シールによる押圧などの種々の圧搾加工によって形成される。図2に示すとおり、底部51下において、吸収体3と表面シート1とがしっかりと一体化されて裏面シート2に接合された接合部54が形成されている。防漏溝5の形成は、この種の物品に用いられる方法を採用して行うことができ、例えば、凹凸形状を有する押圧部が設けられた押圧ロール(図示せず)を用いて熱シール加工する方法が挙げられる。この加工時には、押圧部分の強度等の観点から、圧部の形状(高さ、幅、凹凸形状等)、押圧圧力、加熱温度(ヒートシール温度)、押圧時間などの加工条件を任意に設定可能である。
本発明では、防漏溝5の底部51下における接合部54では、圧搾された部材が裏面シート2に接合されている。かかる態様として、裏面シート2と表面シート1及び吸収体3とが直接接触して接合されている場合だけでなく、強く圧縮された吸収体3(吸水性ポリマー31を含む)を介して表面シート1と裏面シート2とが間接的ではあるが強固に接合されている場合を含む。吸収体3を強く圧縮することで、表面シート1と裏面シート2が実質的に接合される。これにより、ナプキン使用後の洗浄時において吸水性ポリマー31の膨潤があっても、底部51下の接合部54では表面シート1と裏面シート2との間で接合の剥離や隙間が生じないようしっかりと固着されている。
本実施形態における底部51下の接合部54では、前述のとおり表面シート1から吸収体3の底部までをしっかりと一体化し固定して裏面シート2に接合されている(図2参照)。すなわち、接合部54の吸収体部分は高密度に圧縮されており、厚さにおいてきわめて薄くなる。接合部54の一体化は、一般的な熱シール加工による素材の熱融着、圧着、繊維交絡など以上に固定し、洗浄時に多量の水が投入されても剥離しないようしっかりと一体化されている。接合部54の一体化方法は、洗浄時の吸収体3の膨張及び手もみによる圧力にも耐え得る強度を付与できる方法を任意に用いることができ、表面シート1や吸収体3の素材や厚さに応じて適宜採用することができる。例えば、前記の押圧ロールによる条件設定や、吸収体3の非肌当接面側に防漏溝5の形成幅に沿って塗布されたホットメルト等の接着剤を塗布して熱シールを施すことにより形成されることが好ましい。熱シール時に接着剤が表面シート1と吸収体3とをしっかりと接着することで強固な一体化がなされる。ホットメルトの塗布箇所は、吸収体3の非肌当接面側に限るものではなく、表面シート1の非肌当接面側、吸収体3の内部、ポリマー散布工程において直接ポリマーに散布する等、いずれの工程によって塗布しても良い。さらに、このホットメルト接着剤に代えてあるいはこれに加えて、吸収体3内部の吸水性ポリマー31を一緒に押圧して接合部51となし、該吸水性ポリマー31が有する湿潤時に発現する粘着成分により接合部51の洗浄時の一体化を強固なものとすることもできる。
本実施形態の底部51下の接合部54においては、接着剤塗布部6が吸収体3の非肌面側に設けられており、粘着成分(図示せず)を有する吸水性ポリマー31が一緒に圧着されている(図2の円内拡大部分を参照)。なお、前記接着剤塗布部6の接着剤は、裏面シート2と吸収体3との接合のために通常塗布される接着剤とは異なるものである。接着剤塗布部6の接着剤は、熱シールによって溶融され、表面シート1と吸収体3とをしっかりと固着する。つまり、接着剤塗布部6の接着剤は、その融着によって接合部51の一体化固定に作用する。この点は、熱融着を要さず単に塗布することで裏面シート2を吸収体3の非肌側面に固定させる接着剤とはその作用が異なる。前記接着剤塗布部の接着剤としてはこの種の物品に用いられるものを採用でき、防漏溝5の形成時の圧搾でいっしょに熱融着させる点でホットメルト接着剤が好ましい。なお、本実施形態の吸収体3は薄い吸収性シートである。この吸収性シートは、前述のとおり厚みが薄く、厚み方向の圧縮変形性が低い。このシート上に凹部を形成して、表面シート1と吸収体3とをしっかりと一体化固定した接合部51とするために、2つの金型ロールの間を通す加工を前記押圧時の加工として施すが、その加工条件としては、金型ロールを加熱し、さらにはコンプレッサ等の加圧装置を備えたロールとして、高温、高圧力で押圧することが好ましい。熱融着性繊維を用いた不織布または、熱溶融を生じうるフィルムを表面シートとして用いている場合は、その溶融温度以上の温度まで金型ロールを加熱し加工することで、溶融した樹脂が前記吸水性ポリマー31と一体化するため、所望の固定状態を得やすいという点で好ましい。また、当該押圧工程より前の工程において水散布を行った上で、加熱された金型ロールを用いて押圧することで、接合部付近におけるパルプ繊維の湿潤、圧縮、乾燥が生じるため、より強固に一体化するためさらに好ましい。
低圧搾底部52は、表面シート1の熱シールのみによって形成され、表面シート1と吸収体3とは接合されていない形であるが、吸収体3と弱い接合状態を有していても何ら問題なく前述の効果を発現することができる。低圧搾底部52下の吸収体3の3d部分は厚さにおいては、熱シールを施さない防漏溝5以外の吸収体3部分よりも薄く、表面シート1と吸収体3の非肌当接面とが接合されている接合部54の吸収体3の3a部分と比べると厚くなる(図2参照)。すなわち、防漏溝5の経路に沿ってその厚みの違いにより段差が繰り返し形成されている。このような段差の繰り返しを防漏溝5に施すことによって、本実施形態の防漏溝5は、吸収体の厚みの薄い接合部54において可撓性を示し、一般的に剛性が高くなりがちな防漏溝において、生理用ナプキンの全周に亘って適度な柔軟性を持たせることができる。こうして、この部分において高い柔軟性を維持し、良好なフィット性を発現することができる。
さらに低圧搾底部52下の部材の繊維密度は、底部51下の部材の繊維密度よりも疎になっており、繊維密度の疎密勾配が形成されている。この疎密勾配に基づく毛管力により、低圧搾底部52から底部51に向けて液が移行し易く、使用時には素早い液の透過がなされ、べたつきのない良好な使用感が得られる。また、使用後の洗浄時において多量の洗浄水が投入されても、防漏溝内に繊維密度が疎の部分が一部に存在することで、その部分での洗浄水の透過性すなわちストライクスルー性が維持されるため、後述の吸収体3の破れによる流出路と相俟って、液の流れを止める障壁が存在しなくなることから、防漏溝5中の洗浄水の流れが良好になる。
本発明において平面視において底部51及び低圧搾底部52の全面的な形態は特に限定されず、任意の形態を採用可能であり、底部51及び低圧搾底部52が防漏溝5の全周に亘って施されていなくてもよい。また、形状も交互に繰り返されるパターンではなく、1点鎖線のようなパターン、底部51のみからなるパターン、又は底部51のみを点在させるパターン等、用途や使用部位に合わせて適宜決められることが好ましい。
ところで、生理用ナプキンの洗浄は多くの場合、経血等の汚れをとることを目的とする。汚れを拡散させずに吸収性物品の内部及び表面を効果的に洗浄するためには、(1)注がれる洗浄水の吸収体中の内部通過、(2)汚染洗浄水の外部への排出、の2つが効率的になされること、つまり「洗浄水の新陳代謝」が重要である。具体的には、生理用ナプキンを水によって洗浄するには、親水性である表面シートの肌当接面側より洗浄水を生理用ナプキンに注ぎ、揉み粗い等により洗浄水に経血等の汚れ及び赤みを移行させ汚染洗浄水とし、該汚染洗浄水を生理用ナプキンの外部に排出する必要がある。
ところが、生理用ナプキンの洗浄をおこなうために洗浄水を注ぎ続けると、吸水性ポリマーは多量の水分を吸収し、吸収体は徐々に肌当接面側へ肥大化していく。このとき、一般的な熱シールのみで形成された防漏溝部では、上述した吸水性ポリマーの吸水に伴う吸収体の肥大化の力によって防漏溝部も肌当接面側に押し上げられ、表面シートの伸縮限界まで吸収体全体が肥大化してしまう。このような状態の吸収体の内部では、吸水した水は内部に閉じ込められ、それ以上の吸水をすることはもとより排水することもできず、洗浄水の新陳代謝が行われにくいと言える。
これに対し本実施形態の生理用ナプキン10においては、底部51、低圧搾底部52、側壁部53、及び底部51下の接合部54によって形成される防漏溝5が以下のように作用してポリマーのゲルブロックによる洗浄水の新陳代謝の低下を起こさせない。その作用効果について図3を用いて説明する。図3は図1に示す生理用ナプキンの所定の断面の一部を拡大して示した一部断面斜視図であり、(ia)は洗浄前を示し、(iia)は洗浄中を示す。また(ib)は(ia)の接合部54を中心とする断面図であり、(iib)は(iia)の接合部54を中心とする断面図である。(ii)における矢印Tは洗浄水が表面シート1から注がれる方向を示し、矢印Tは汚れや赤みを取り込んだ汚染洗浄水の流れる方向を示す。なお、図中破れ線で示した断裂部分については模式化して示しており、本発明の実施において必ずしも図示した断裂形状と同一の形状にならなくともよい。また、図中矢印で示した洗浄水T及び汚染洗浄水Tの流れは例示的に示したものであり、本発明において、必ずしもこれに制限されるものではない。
本実施形態の防漏溝5においては、表面シート1と吸収体3の非肌当接面側とが裏面シート2に強固に接合された底部51下の接合部54を有しており、上述した多量の洗浄水の吸収による吸収体の膨潤・肥大化においても底部51下の接合部54の接合が保たれる。つまり、洗浄時の多量の水による吸水性ポリマー31の膨潤で吸収体内部から外方への膨張圧力がかかったとしても、接合部54で表面シート1と吸収体3とがしっかりと一体化され裏面シート2に固定されているため、該接合部54で圧搾された吸収体3の3a部分の膨張率は極めて低いままである。一方、防漏溝5以外の吸収体部分、環状の防漏溝5の内側にあたる吸収体3の3b部分及びその外側にあたる吸収体3の3c部分においては表面シート1とは接合されていないため、上述のような吸収体の肌当接面側への肥大化がおこり、厚み方向に大きくなる。すなわち吸収体の膨張率は高く負荷されることとなる。
この際、防漏溝5の側壁部53において、底部51の肌面側から、低圧搾底部52の肌面側をなす低圧搾の表面シートや非圧搾の表面シート1の非圧搾表面11までの深さ距離は、使用時と比べて著しく大きくなる。この点を図3のナプキン洗浄前の(ib)と洗浄中の(iib)との比較で見てみると、底部51下の接合部54の厚みは(ib)と(iib)とで殆んど変化がないのに対し、底部51の肌面側から低圧搾底部52の肌面側(表面シート)までの高さは(p)から(p)へと高くなり、底部51の肌面側から表面シートの非圧搾表面11までの高さも(q)から(q)へと高くなっている。これは吸収体3の圧搾されていない3b部分や3c部分(図3(ia)(ib)参照)、圧搾が比較的弱い3d部分(図2参照)が内部の吸水性ポリマー31の膨潤によって膨張することによる。これに追従して表面シート1も伸長し、その結果、防漏溝5内の側壁部53が厚み方向に伸長して壁面が高くなる。この場合、表面シート1は伸長性を有する素材であるため、破断することなく吸収体3の膨張に追従できるが、これに比べて吸収体3は伸長性が低く、接合部51との膨張の差で破断が生じる。
ここで重要なことは、接合部54の吸収体の部分3aと防漏溝5以外の吸収体の3b部分及び3c部分との境界における、防漏溝の側壁部53にあたる壁部上部付近f(以下、境界部分fという。)において、両者の膨張率の差によって吸収体3を厚さ方向に作用する引張り力が発生し吸収体3の断裂をもたらすということである(図3(iia)参照)。具体的には、吸収体3において、部分3b及び3cで表面シート1側への膨張力が生じ、部分3aで膨張が抑制されて裏面シート2側に留まろうとする力が生じるので、吸収体3を反対方向へと引っ張りあう力が働く。この相反する引張り力によって部分3aと3b及び3cとの間でひずみが生じる。このひずみが高まると、境界部分fの吸収体3が断裂して断裂領域Qが形成される。この断裂領域Qが、洗浄時の水の流路となって内部通過と外部への排出が効果的になされる。
この点を以下に詳述する。断裂領域Qが形成されない状態では、吸水性ポリマー31が水を吸収保持したまま膨張することで吸収体3内部の水の流路が断たれた状態にある。しかし断裂領域Qが形成されることで、少なくとも2種類の水の流路が生まれる。1つは表面シート1内側の断裂領域Q自体であり、もう1つは断裂領域Qから防漏溝5の縦方向へと繋がる表面シート1の肌面側の溝部分(底部51、低圧搾底部52、側壁部53からなる防漏構5内部分)である。まず、断列領域Q自体の流路では、断裂領域Qが底部51近傍の側壁部53で形成され、その底部51の配置に沿って間欠的ではあるが全体として防漏溝5の平面形状に沿った縦方向に向かう流路が形成される。手もみによる洗浄においては主にナプキン10に幅方向内方への圧力がかかり、この圧力によって吸収体3内部の汚染洗浄水Tが断裂領域Qへと押出され、直接的に表面シート1内部の複数の断裂領域Qからなる流出路に沿ってナプキン10の縦方向へと汚染洗浄水Tが効果的に流出され得る。他方の防漏溝5に沿った流路では、断裂領域Qが洗浄によって汚染洗浄水Tとなった水を吸収体3の外部に排出するチャンバとなる。前記吸収体3から外部に排出された汚染洗浄水Tは親水性である表面シート1を透過し、防漏溝5に流れ込む。このとき、前記洗浄時の幅方向内方への圧力がかかると、防漏溝5に流れ込んだ汚染洗浄水Tは防漏溝5を流路として生理用ナプキンの縦方向に向かって排出されることとなる。したがって、本実施形態の生理用ナプキン10は、この断裂領域Qがもたらす少なくとも2つの流路によって効果的に汚染洗浄水Tの内部通過がなされ、さらに生理用ナプキン全体として効率的な洗浄水の新陳代謝が実現される。なお本実施形態において、表面シート1は、適度の伸縮性を有することで、接合部51と吸収体3が膨張する部分との膨張差に適度に追従する。これにより、吸水性ポリマー及びその他の吸収体3の素材がナプキン10の外側へ漏出するのが抑えられるので好ましい。
また、この吸収体3の断裂は、吸収体が完全に別離することが好ましいが、必ずしも完全に別離していなくてもよく、厚さ方向に作用する引張り力により吸収体中のパルプ繊維間隙が大きくなり、液透過性が高まっている状態であれば十分に前述の効果を奏する。
本実施形態における低圧搾底部52は、底部51よりも圧搾が浅い。そのため、低圧搾底部52下の吸収体3の3d部分(図2参照)では、底部51下の吸収体3の3a部分よりも比較的吸水性ポリマー31の膨潤が生じやすい。したがって、低圧搾底部52における吸収体3の3d部分(図2参照)が、防漏溝5以外の吸収体の3b部分及び3c部分(図3参照)との間に断裂を生じることなく繋がっており(図示せず)、防漏溝5の内方3bへの多量の***や洗浄時においても防漏溝5の内方3bの吸収体の形状が安定し、撚れることがない。また、低圧搾底部52下の吸収体の3d部分が、吸水性ポリマー31の膨潤によって底部51下の吸収体3の3a部分よりも膨張し易く、両者の間で断裂が生じ易い。この断裂が幅方向への流路となる。この幅方向の流路は、前述の断裂領域Qによる縦方向の流路と相俟って、あらゆる方向への洗浄水経路を確保することができ、洗浄水の高い排出効果を得ることができる。
本実施形態の底部51下の接合部54は、上記吸水性ポリマー31の膨潤や手もみによる圧力によっても剥離しないために、その固定強度が、200cN以上が好ましく、400cN以上がさらに好ましい。また、この固定強度の測定方法は次の通りである。ナプキンの長手方向中央領域で、ナプキン幅方向に平行にナプキンを2カ所(30mm間隔)で裁断し、切片を切り出す(切片の寸法:長手方向30mm×幅方向はナプキン幅)。次に切片の幅方向両側縁部において表面シートのみを切り裂く事で、防漏溝5の位置で接合された表面シートと防漏シートとの剥離強度を測定できるようにする。測定にはプッシュプルゲージ(AIKOH製)を用いる。ナプキン長手方向に対して交差する方向(幅方向)での、表面シートと防漏シートとの間の剥離強度を測定しその最大値を記録する。測定はナプキン5枚を用いて行う。5点の平均値をもって剥離強度の値とする。
底部51の大きさ及び形状は特に限定されないが、生理用ナプキンにおける洗浄を考慮すると、使用する吸収性物品の用途によっても多少異なるが、底部51のピッチh(図2参照)は0.5〜5mmが好ましく、1〜2mmがより好ましい。防漏溝部以外の厚さすなわち未加工部分の厚さをhとしたとき、接合部54の厚さhとの比率h/hは0.02〜0.2が好ましく、0.05〜0.15がより好ましい。また、防漏溝5に沿った底部51の長さhは0.25〜5mmが好ましく、0.5〜2mmがより好ましい。低圧搾底部52の厚さと未加工部分の厚さとの比率h/hは0.03〜0.4が好ましく、0.1〜0.3がより好ましい。また、防漏溝5に沿った低圧搾底部52の長さhは0.25〜5mmが好ましく、0.5〜2mmがより好ましい。防漏溝に沿った低圧搾底部52と底部51との長さの比率(h/h)は0.5〜2であることが好ましい。なお、本実施形態において厚さとは、表面シート1と吸収体3が一体化された状態で測定される乾燥時における厚さ方向の距離を指し、マイクロスコープVH‐8000(キーエンス製)を用い、50倍で観察した断面観察によって行う。断面は、フェザー剃刀(品番FAS‐10、フェザー安全剃刀(株)製)を用い切断して得る。この切断面に対して、液吸収前の熱融着部及び凸部部分の厚みの写った画像を記録し計測・算出する。
また、吸収体3に含まれる吸水性ポリマー31の洗浄時の膨潤倍率は、1.5〜50倍であることが好ましく、2〜50倍であることがさらに好ましい。底部51下の吸収体3の3a部分の膨張倍率は0.5〜1.5倍であることが好ましく、0.5〜1.2倍であることがさらに好ましい。低圧搾底部52下の吸収体3の3d部分の膨張倍率は1.0〜4.0倍であることが好ましく、1.2〜3.0倍であることがさらに好ましい。なお、吸収体3の3a部分と3d部分との膨張率の比率は1.5〜4.0であることが好ましい。本実施形態における膨張率、膨潤率とはポリマー単体の場合は、乾燥時及び洗浄時すなわち膨潤時における粒径の増加率で測定することができる。粒径は、マイクロスコープVH‐8000(キーエンス製)を用い、50倍での拡大観察によって行う。接合部51及び非接合部52については、洗浄時における当該部分の厚さ方向の距離を測定することで算出することができる。具体的な測定方法は前述の乾燥時における厚み測定と同様である。
以下に本実施形態の生理用ナプキン10を構成する部材の形成素材について説明する。
吸収体3の構成材料としては、本発明における破断領域Qが形成されうる観点からこの種の物品で用いられものを制限なく採用することができる。本実施形態のように薄いシート状であってもよく、厚みのある繊維層を有するものであってよい。本発明においては、洗浄時の吸水性ポリマー31の膨潤で、底部51下とそれ以外の部分と間の膨張差で断裂が生じる程度の伸長性であることが好ましい。この伸長性は、洗浄時すなわち湿潤時に特異的に生じるものであることが好ましく、具体的には、パルプ繊維とポリマーを混合させた積層体またはシートである。また、この伸長性の測定方法は、積層体又はシートを製品の長さ方向に50mm、長さ方向と直交する幅方向に長さ30mmの試験片を切り出した。この試験片について、大過剰の水で湿潤状態とした後、テンシロン引張試験機〔(株)オリエンテック社製〕を用い、チャック間20mm、引張速度50mm/minで引張試験を行い破断時の強度を測定することで求めることができる。
吸収体3がシート状のものである場合、例えば、1枚の紙の内部に吸水性ポリマーの粒子が分散配置されてなる吸収性シートが挙げられる(例えば、特開平8−246395号公報参照)。このような吸収性シートは、湿潤した繊維ウェブに、該繊維間に形成される空間に吸水性ポリマーを埋没させ、さらに湿潤時に発現するポリマーの粘着性を利用して繊維間に吸水性ポリマーを多量に固定したものである。このような吸収シートはシート表面にポリマーは存在せず、シートの内部に吸水性ポリマーが分散配置されている。したがって、生理等による***が行われた場合においても分散した吸収ポリマーが効率よく***液を吸収しつつ、取り込んだ水分の肌への液戻りを抑え、適度なドライ感を使用者に与えることができる。また、吸収性シートとしては、構成繊維と重合性吸水性ポリマーとを重合を利用して複合化した吸収性シートが挙げられる(例えば、特開平11−93073号公報参照)。このような吸収性シートは、例えば、重合性吸水性ポリマーを含有する液状物を非成形繊維に付着させ、これらを重合させることで得ることができる。また、吸収性シート4は、2枚の紙若しくは不織布の間に又は折り返した紙若しくは不織布の間に、吸水性ポリマーを挟み、その全体を挟圧して一体化することにより形成することができる。さらに、吸収性シートの配置においても、本実施形態のように1枚をそのまま配置してもよく、複数枚積層させてもよく、1枚のシートを折り畳んで配置してもよい。複数枚積層させる場合や折り畳む場合においては、接合部の一体化固定による破断領域の良好な形成のため、最下層のシート部分までしっかりと圧着固定されていることが好ましい。そのため、ホットメルト接着剤の塗布は、吸収体3の非肌面側のみに限らず、これに代えあるいはこれに加えて、必要によりシート間に塗布してもよい。
吸水性ポリマーとしては、この種の物品に用いられるものを採用することもでるが、特に易洗浄性のポリマーであることが好ましい。易洗浄性ポリマーとは、洗浄する際に汚れを落ち易くする作用を有する吸水性ポリマーを意味し、典型的には、特開2010−17536号公報に記載の吸水性ポリマーを用いることが好ましい。この易洗浄性ポリマーは、カルボキシ基及び/又はカルボキシレート基を有し且つ表面架橋処理された吸水性ポリマーに、更に表面架橋処理及び中和処理を順次施して得られる。こうして得られる易洗浄性ポリマーは、特定範囲の中和度、遠心保持量、加えて特定範囲の各物性(ボルテックス法による吸水速度、DW法による吸水速度、かさ比重、2.0KPaでの加圧か通液速度、2.0KPaでの加圧下吸収量)を有する。この物性によって、前記易洗浄性ポリマーは、経血中のヘモグロビンが容易に除去し易くされ、急激な膨潤による吸収体3の無用な破けを抑えるべく吸水速度を制御され得る。
本発明に用いられる吸水性ポリマー32は、上記のカルボキシ基及び/又はカルボキシレート基を有し且つ中和度が75モル%以上、JIS K 7223に準拠した遠心保持量が5〜20g/gである易洗浄性ポリマーを含むことが好ましい。
前記易洗浄性ポリマーの中和度を75モル%以上とすることで、経血中の赤色成分であるヘモグロビンが容易に除去され得る。前記易洗浄性ポリマーがアクリル酸架橋重合体である場合、その中和度は75〜95モル%であることが好ましく、80〜90モル%であることがさらに好ましい。中和度が75モル%以上の吸水性ポリマーとヘモグロビンとの間に起こる現象は定かではないが、アクリル酸架橋重合体からなる吸水性ポリマーの中和度を75モル%以上とすることで、吸収性物品の水洗い中において吸水性ポリマーの分子鎖近傍のpHがヘモグロビンの等電点(通常pH6.8〜7)よりも高いことにより、該吸水性ポリマーとヘモグロビンとの間に電気的な反発が発生し、これにより該吸水性ポリマーに対するヘモグロビンの付着率あるいは付着強度が低下する結果、ヘモグロビンが水洗いによって脱離しやすい状況になるものと推察される。なお前記中和度の測定方法及びその調整は、特開2010−17536号公報に記載の方法を用いることができる。
前記易洗浄性ポリマーの遠心保持量を5〜20g/gに抑えることで、ポリマー本来の吸収性能を維持し、経血等の吸収保持を適度に抑えて赤みの除去を容易にすることができる。この遠心保持量は、7〜15g/gであることがさらに好ましい。なお前記遠心保持量の測定方法及びその調整は、特開2010−17536号公報に記載の方法を用いることができる。
また易洗浄性ポリマーは粘着性を有することが好ましく、その付与方法は、前述のナプキン加工機においてホットメルト塗布する方法以外に、バインダー成分を付与する方法が考えられる。このバインダー成分としては、カチオン性バインダー、アニオン性バインダー、ノニオン性バインダーのいずれも用いることができる。カチオン性バインダーとしては、カチオン化デンプン、カチオン化カルボキシメチルセルロースナトリウム、カチオン化ポリビニルアルコール等が挙げられる。アニオン性の水溶性バインダーとしては、例えば、カルボキシメチルセルロース塩、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸塩(部分中和物を含む)、アクリルアミド−アクリル酸塩(部分中和物を含む)共重合体、マレイン酸−アクリル酸塩(部分中和物を含む)共重合体等が挙げられる。ポリアクリルアミド、デンプン、ポリエチレングリコール、ガム、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルピロリドン等が挙げられる。これらの1種を単独で又は2種以上を混合して用いることができる。この水溶性バインダー成分を含む水溶液を、水散布の代わりに散布する方法も考えられるが、予め易洗浄性吸収ポリマーの表面に塗布する処理を施した上で、ナプキン加工機において水散布工程により粘着性を発現させる方法を用いることもできる。
表面シート1としては、例えば、カード法により製造された不織布、スパンボンド不織布、メルトブローン不織布、スパンレース不織布、ヒートロール不織布、ニードルパンチ不織布等が挙げられるがこれに制限されるものではない。肌触りの観点から、カード法等により得た繊維ウエブにエアスルー法で繊維同士の熱融着点を形成したエアスルー不織布や、ヒートエンボス不織布、エアレイド不織布、ニードルパンチ不織布等が特に好ましく用いられる。表面シート1の構成繊維としては、例えば、不織布や開孔フィルム等の各種液透過性のシート材を用いることができ、熱融着性繊維や熱融着性樹脂、特に熱可塑性ポリマー材料からなる繊維を含むことが好ましい。熱可塑性ポリマー材料としては、ポリエチレンやポリプロピレン等のポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル、ポリアミドなどが挙げられる。またこれらの熱可塑性ポリマー材料の組合せからなる芯鞘型複合繊維やサイド・バイ・サイド型複合繊維も好適に用いることもできる。表面シート1は、熱融着性繊維以外に熱融着性を有しない繊維を構成繊維の一部として含んでいても良い。
特に本発明において、底部51下の吸収体3の3a部分とそれ以外の吸収体3の部分との膨張差にも柔軟に追従して破断が生じないよう、表面シート1自体に伸長性を有していることが好ましい。また、防漏溝5においてより強固にポリマーを固定する目的で、表面シートを多層化してもよく、その場合、最も非肌当接面側の層すなわち吸収体と接する層のシート材料に熱融着性樹脂を含むことが好ましい。
生理用ナプキン10をなす裏面シート2及びサイドシート4の形成素材は、この種の物品に持ちられるものを任意に作用することができる。
例えば、裏面シート2は、透湿性フィルム単独、又はフィルムと不織布の貼り合わせ、撥水性の不織布(SMSやSMMS等)を用いることができる。コスト面やズレ止め粘着剤とのマッチングなどから、透湿フィルム単独を防漏材として用いることが最も好ましい。この場合のフィルム材としては、熱可塑性樹脂と、これと相溶性のない無機フィラーを溶融混練して押し出したフィルムを所定の寸法に延伸して微細孔をあけたフィルム、または、本質的に水分の相溶性が高く、浸透膜のように水蒸気排出可能な無孔性のフィルムが挙げられる。本発明に関わる湿度排出の性能を十分に発現し、かつ、水分のにじみ出しがない防漏層を具現化するには、透湿度は、0.7〜3.0g/100cmhrの範囲にあることが好ましく、1.0〜2.5の範囲にあることが更に好ましい。さらっと感を十分に高める観点からは1.5〜2.5にあることが最も好ましい。また、フィルムの破れ等のトラブルなく使用可能であるためには、フィルム坪量は18〜70g/m、より好ましくは25〜60g/mである。また好ましい無機フィラー配合量は、フィルム全体の質量に対するフィラーの質量%として30〜65質量%、より好ましくは40〜60質量%である。
サイドシート4は撥水性の不織布が好ましく、カード法により製造された不織布、スパンボンド不織布、メルトブローン不織布、スパンレース不織布、ヒートロール不織布、ニードルパンチ不織布等の中から撥水性の物、または撥水処理した種々の不織布を用いることができる。特に好ましくは、例えば、スパンボンド不織布、スパンボンド−メルトブローン(SM)不織布、スパンボンド−メルトブローン−スパンボンド(SMS)不織布等が用いられる。
なお、生理用ナプキン10において、図示しないが、防水シートが吸収体3の幅方向両側部に配されていてもよい。この防水シートは、吸収体3の左右両側において、該吸収体3の肌面側、非肌面側及び側面を被覆するように配されることで、経血や洗浄水の横漏れをより効果的に抑制することができるので好ましい。この防水シートの形成素材は、この種の物品に用いられるものを任意に採用することができ、例えば、液不透過性の樹脂フィルム、樹脂フィルムをラミネートした紙、スパンボンド/メルトブローン/スパンボンド不織布(SMS不織布)等を用いることができる。
以上、本発明をその好ましい実施形態に基づき説明したが、本発明は前記実施形態に制限されない。例えば、本発明の吸収性物品は、前記実施形態が具備していた防漏溝5、粘着部(図示せず)、羽根部42を具備しないものであってもよいし、後部フラップ部等を有するものであってもよい。羽根部42及び後部フラップ部は、何れも吸収体4の縦方向両側縁それぞれからナプキン外方に延出する部分であり、通常、羽根部42はナプキン着用者の***部に対向配置される***部対向部に位置し、後部フラップ部は羽根部42よりもナプキン縦方向の後方に位置する。
また本発明の吸収性物品は、生理用ナプキンに制限されず、使い捨ておむつ、失禁パッド、尿取りパッド、ペット用おむつ、ペット用シーツ等にも適用できる。本発明に用いられる前記易洗浄性ポリマーとしては、遠心保持量が前記特定範囲に調整されていることで吸水倍率が抑えられており、更に2.0kPaでの加圧下通液速度が前記特定範囲に調整されている場合には加圧下の通液速度が高いものであるため、繰り返しあるいは圧力下での吸収速度が非常に速く、吸収体の細部まですばやく液を拡散することができ、また、膨らんでもいわゆるゲル感が少ないので、着用時の違和感の改善に繋がる。
1 表面シート
2 裏面シート
3 吸収体
31 吸水性ポリマー
4 サイドシート
5 防漏溝
51 底部
52 低圧搾底部
53 側壁部
54 接合部
6 接着剤塗布部
10 生理用ナプキン

Claims (5)

  1. 肌当接面側に配置される伸長性の表面シート、非肌当接面側に配置される裏面シート、及び両シートに介在された吸水性ポリマーを含有する吸収体を有する縦長の吸収性物品であって、
    前記吸収性物品の長手方向の両側部に前記表面シート側から吸収体とともに圧搾された防漏溝が形成され、該防漏溝は底部と側壁部を有し、該底部下の部材が裏面シートに接合されている吸収性物品。
  2. 前記防漏溝の底部下の部材と裏面シート肌当接面側との接合部は、熱融着、接着剤、吸水性ポリマーの自己粘着の何れか一つ以上の手段により固着された請求項1記載の吸収性物品。
  3. 前記粘着剤は、ホットメルト接着剤である請求項2記載の吸収性物品。
  4. 前記吸収体に含まれる吸水性ポリマーは、膨潤後の膨潤倍率が2倍以上であり、吸水後は前記吸水性ポリマーが膨潤することにより吸収体の厚みが膨らんで、前記防漏溝の側壁部における前記底部の肌当接面から非圧搾又は低圧搾の前記表面シートの表面までの高さが吸水前よりも高くなる請求項1〜3のいずれか1項に記載の吸収性物品。
  5. 前記吸水性ポリマーは、カルボキシ基及び/又はカルボキシレート基を有し且つ中和度75モル%以上、JIS K 7223に準拠した遠心保持量5〜20g/gである易洗浄性の吸水性ポリマーを含む請求項1〜4記載の吸収性物品。
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