JP2012092857A - 電動車両の制御装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】モータジェネレータと駆動輪との間に設けられた締結要素のスリップ締結とロックアップとのハンチングの発生を抑制できる電動車両の制御装置を提供することこと。
【解決手段】車体速に対応したロックアップ判定閾値に基づいて、車体速がロックアップ判定閾値を越えると、第2クラッチをロックアップ状態とし、車体速がロックアップ判定閾値以下で、第2クラッチをスリップ締結状態とする締結要素制御部を備え、ロックアップ判定閾値としてのTCS時第1切替線L1tcsは、車体速がVset1以下の低速の領域では、車体速がVset2以上の高速の領域に比べて高く設定されていることを特徴とする電動車両の制御装置とした。
【選択図】図7

Description

本発明は、駆動輪とモータジェネレータとの間に設けられた締結要素を、ロックアップ判定閾値に基づいて、完全締結したロックアップ状態とスリップしながら駆動力の伝達を行うスリップ締結状態とに切り替える締結制御を行う電動車両の制御装置に関する。
従来、ロックアップ判定閾値に基づいて、完全締結したロックアップ状態とスリップしながら駆動力の伝達を行うスリップ締結状態とに切り替える締結制御を行う電動車両の制御装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
この従来技術には、駆動系のエンジンとモータジェネレータとの間に第1締結要素が設けられ、モータジェネレータと駆動輪との間に第2締結要素が設けられ、第1締結要素を解放する一方で第2締結要素を締結させたEVモード(電気自動車モード)と両締結要素を締結したHEVモード(ハイブリッド車モード)とでモード遷移を行うことが記載されている。
そして、このような従来技術では、エンジンの始動時、あるいはHEVモードの選択状態での停車時・発進時・減速時などに、第2締結要素を、スリップ締結状態からロックアップ状態に、あるいはその逆にロックアップ状態からスリップ締結状態に、移行させることが行われている。
通常、このような第2締結要素のスリップ締結とロックアップとの切替は、車体速に基づいて実行されるが、この車速としては、駆動輪あるいは駆動輪に接続されたモータジェネレータの出力軸の回転速が用いられている。
特開2007−69790号公報
しかしながら、上述の従来技術にあっては、低μ路などにおいて、駆動輪スリップが生じた場合、およびそれに伴ってTSC制御が実行された場合に、以下に述べるような問題が生じていた。なお、TSC制御とは、発進時や加速時などのように駆動輪が加速方向に回転しているときに、駆動輪スリップが生じた場合に、駆動力を低減したり制動したりして、この駆動輪スリップを抑える制御である。
第2締結要素は、発進時などでは、低速域ではスリップ締結状態とし、ある程度、駆動輪速が上昇するとロックアップ状態とする。このような締結状態の遷移過程において、低μ路などにおいて駆動輪スリップが生じ、TCS制御が実行されると、第2締結要素では、ロックアップとスリップ締結状態とが繰り返される。
すなわち、発進時などでは、車速がロックアップ判定閾値以下であるので、第2締結要素は、スリップ締結状態となっている。そこで、駆動輪スリップが生じると、車速(駆動輪速)が上昇しロックアップ判定閾値を越え、第2締結要素はロックアップ状態となる。さらに、TCS制御の実施により駆動輪スリップが抑制されると、車速(駆動輪速)がロックアップ判定閾値を下回り、第2締結要素はスリップ締結状態となる。その後、発進後の加速で車速が上昇されて、ロックアップ判定閾値を越えると、再び、第2締結要素がロックアップ状態に切り替えられる。
このように、駆動輪スリップの発生時に、第2締結要素のスリップ締結とロックアップとが繰り返されるおそれがあった。
本発明は、上記問題に着目してなされたもので、モータジェネレータと駆動輪との間に設けられた締結要素のスリップ締結とロックアップとのハンチングの発生を抑制できる電動車両の制御装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明の電動車両の制御装置は、車体速がロックアップ判定閾値を越えると、締結要素を完全締結したロックアップ状態とし、車体速がロックアップ判定閾値以下で、締結要素を、スリップしながら駆動力の伝達を行うスリップ締結状態とする締結要素制御部を備え、前記ロックアップ判定閾値は、前記実車体速が相対的に低速の領域では、前記実車体速が相対的に高速の領域に比べて高く設定した。
本発明では、ロックアップ判定閾値を、実車体速が相対的に低速の領域では、実車体速が相対的に高速の領域に比べて高く設定している。このため、発進時などの低速域では、駆動輪スリップなどが生じて駆動輪速度が上下した際に、締結要素がスリップ締結状態からロックアップ状態へ移行しにくく、スリップ締結状態とロックアップ状態とを繰り返すハンチングが生じにくい。
実施例1の制御装置が適用された後輪駆動によるFRハイブリッド車両を示す全体システム図である。 実施例1の統合コントローラ10で行われる演算処理を示す制御ブロック図である。 実施例1の統合コントローラ10の目標駆動トルク演算部100に設定されているトルクマップをあらわす図であり、(a)は車速VSPとアクセル開度APOによる目標駆動力マップの一例を示し、(b)はブレーキ踏力による目標駆動力(クリープ駆動力)マップの一例を示す。 実施例1の統合コントローラ10のモード選択部200に設定されているEV-HEV選択マップの一例を示す図である。 実施例1の統合コントローラ10の目標発電出力演算部300に設定されている走行中発電要求出力マップの一例を示す図である。 実施例1の制御装置で用いられる、Dレンジ用のHEV⇒WSC切替線(ロックアップ判定閾値)の特性説明図である。 実施例1の制御装置で用いられるTCS時第1切替線L1tcsの説明図である。 実施例1の統合コントローラ10においてロックアップ許可閾値の設定を行う部分を示す回路図である。 実施例1のVDCコントローラ101におけるTCS制御の実施および非実施を判断する処理の流れを示すフローチャートである。 実施例1の統合コントローラ10で実行される第2クラッチCL2のロックアップ許可および不許可の判定処理を示すフローチャートである。 実施例1の作動の一例を示すタイムチャートである。 本発明の他の実施例におけるDレンジ用第1切替線(ロックアップ判定閾値:第1判定値)L1およびDレンジ用第2切替線(ロックアップ判定閾値:第2判定値)L2の説明図である。
以下、本発明の電動車両の制御装置を実現する形態を、図面に示す実施例1に基づいて説明する。
まず、構成を説明する。
図1は、実施例1の電動車両の制御装置が適用された後輪駆動によるFRハイブリッド車両(ハイブリッド車両の一例)を示す全体システム図である。
実施例1におけるFRハイブリッド車両の駆動系は、図1に示すように、エンジンEngと、フライホイールFWと、第1クラッチCL1(モード切替締結要素)と、モータジェネレータMGと、メカオイルポンプM−O/Pと、第2クラッチCL2(締結要素)と、自動変速機ATと、変速機入力軸INと、プロペラシャフトPSと、ディファレンシャルDFと、左ドライブシャフトDSLと、右ドライブシャフトDSRと、左後輪RL(駆動輪)と、右後輪RR(駆動輪)と、を有する。なお、FLは左前輪(従動輪)、FRは右前輪(従動輪)である。
前記エンジンEngは、ガソリンエンジンやディーゼルエンジンであり、エンジンコントローラ1からのエンジン制御指令に基づいて、エンジン始動制御やエンジン停止制御やスロットルバルブのバルブ開度制御やフューエルカット制御等が行われる。なお、エンジン出力軸には、フライホイールFWが設けられている。
前記第1クラッチCL1は、エンジンEngとモータジェネレータMGの間に介装されたクラッチであり、第1クラッチコントローラ5からの第1クラッチ制御指令に基づき第1クラッチ油圧ユニット6により作り出された第1クラッチ制御油圧により、締結・半締結状態・解放が制御される。この第1クラッチCL1としては、例えば、ダイアフラムスプリングによる付勢力にて完全締結を保ち、ピストン14aを有する油圧アクチュエータ14を用いたストローク制御により、スリップ締結から完全解放までが制御されるノーマルクローズの乾式単板クラッチが用いられる。
前記モータジェネレータMGは、ロータに永久磁石を埋設しステータにステータコイルが巻き付けられた同期型モータジェネレータであり、モータコントローラ2からの制御指令に基づいて、インバータ3により作り出された三相交流を印加することにより制御される。このモータジェネレータMGは、バッテリ4からの電力の供給を受けて回転駆動する電動機として動作することもできるし(「力行」)、ロータがエンジンEngや駆動輪から回転エネルギーを受ける場合には、ステータコイルの両端に起電力を生じさせる発電機として機能し、バッテリ4を充電することもできる(「回生」)。
前記メカオイルポンプM−O/Pは、モータジェネレータMGのモータ軸MSに設けられ、モータジェネレータMGにより駆動される。このメカオイルポンプM−O/Pは、自動変速機ATに付設される油圧コントロールバルブユニットCVUと、これに内蔵している第1クラッチ油圧ユニット6と第2クラッチ油圧ユニット8に対する油圧源とされる。なお、メカオイルポンプM−O/Pからの吐出圧が見込めないときや不足するときのため、電動モータにより駆動される電動オイルポンプを設けるようにしてもよい。
前記第2クラッチCL2は、モータジェネレータMGと左右後輪RL,RRの間のうち、モータ軸MSと変速機入力軸INの間に介装されたクラッチである。この第2クラッチCL2は、ATコントローラ7からの第2クラッチ制御指令に基づき第2クラッチ油圧ユニット8により作り出された制御油圧により、締結・スリップ締結・解放が制御される。この第2クラッチCL2としては、例えば、比例ソレノイドで油流量および油圧を連続的に制御できるノーマルオープンの湿式多板クラッチ等が用いられる。
前記自動変速機ATは、第2クラッチCL2の下流位置に配置され、有段階の変速段を車速やアクセル開度等に応じて自動的に切り替える有段変速機や、無段階の変速比を車速やアクセル開度等に応じて自動的に変更するベルト式やトロイダル式の無段変速機が用いられる。
前記自動変速機ATの変速機出力軸には、プロペラシャフトPSが連結されている。そして、このプロペラシャフトPSは、ディファレンシャルDF、左ドライブシャフトDSL、右ドライブシャフトDSRを介して左右後輪RL,RRに連結されている。
このFRハイブリッド車両は、基本的な走行モードとして、電気自動車モード(以下、「EVモード」という。)と、ハイブリッド車モード(以下、「HEVモード」という。)と、駆動トルクコントロールモード(以下、「WSCモード」という。なお、WSCは、「Wet Start Clutch」の略である。)と、を有する。
前記「EVモード」は、第1クラッチCL1を解放状態とし、モータジェネレータMGを駆動源として走行するモードであり、モータ走行モード・回生走行モードを有し、何れかのモードにより走行する。この「EVモード」は、要求駆動力が低く、かつ、バッテリSOCが確保されている走行領域で選択される。
前記「HEVモード」は、第1クラッチCL1を締結状態とし、エンジンEngとモータジェネレータMGを駆動源として走行するモードであり、モータアシスト走行モード・発電走行モード・エンジン走行モードを有し、何れかのモードにより走行する。この「HEVモード」は、要求駆動力が高い走行領域、あるいは、バッテリSOCが不足するようなときに選択される。
前記「WSCモード」は、モータジェネレータMGの回転数制御とクラッチ油圧制御により、第2クラッチCL2をスリップ締結状態に維持し、第2クラッチCL2を経過するクラッチ伝達トルクが、車両状態やドライバー操作に応じて決まる要求駆動トルクとなるようにクラッチトルク容量をコントロールしながら走行するモードである。この「WSCモード」は、「HEVモード」を選択しての発進時や減速停止時等のように、エンジン回転数がアイドル回転数を下回るような走行領域において選択される。
次に、FRハイブリッド車両の制御系を説明する。
実施例1におけるFRハイブリッド車両の制御系は、図1に示すように、エンジンコントローラ1と、モータコントローラ2と、インバータ3と、バッテリ4と、第1クラッチコントローラ5と、第1クラッチ油圧ユニット6と、ATコントローラ7と、第2クラッチ油圧ユニット8と、ブレーキコントローラ9と、統合コントローラ10と、を有して構成されている。なお、各コントローラ1,2,5,7,9と、統合コントローラ10とは、情報交換が互いに可能なCAN通信線11を介して接続されている。
前記エンジンコントローラ1は、エンジン回転数センサ12からのエンジン回転数情報と、統合コントローラ10からの目標エンジントルク指令と、他の必要情報を入力する。そして、エンジン動作点(Ne,Te)を制御する指令を、エンジンEngのスロットルバルブアクチュエータ等へ出力する。
前記モータコントローラ2は、モータジェネレータMGのロータ回転位置を検出するレゾルバ13からの情報と、統合コントローラ10からの目標MGトルク指令および目標MG回転数指令と、他の必要情報を入力する。そして、モータジェネレータMGのモータ動作点(Nm,Tm)を制御する指令をインバータ3へ出力する。なお、このモータコントローラ2は、モータトルクを目標トルクとし、回転数を駆動系の回転に追従させるトルク制御を基本制御とするが、第2クラッチCL2のスリップ制御中は、モータ回転数を目標回転数とし、トルクを駆動系負荷に追従させる回転数制御を行う。また、このモータコントローラ2は、バッテリ4の充電容量をあらわすバッテリSOCを監視していて、このバッテリSOC情報を、CAN通信線11を介して統合コントローラ10へ供給する(バッテリ充電容量検出手段)。
前記第1クラッチコントローラ5は、油圧アクチュエータ14のピストン14aのストローク位置を検出する第1クラッチストロークセンサ15からのセンサ情報と、統合コントローラ10からの目標CL1トルク指令と、他の必要情報を入力する。そして、第1クラッチCL1の締結・半締結・解放を制御する指令を油圧コントロールバルブユニットCVU内の第1クラッチ油圧ユニット6に出力する。
前記ATコントローラ7は、アクセル開度センサ16と、車速センサ17と、他のセンサ類18等からの情報を入力する。そして、Dレンジを選択しての走行時、アクセル開度APOと車速VSPにより決まる運転点が、シフトマップ上で存在する位置により最適な変速段や変速比を検索し、検索された変速段や変速比を得る制御指令を油圧コントロールバルブユニットCVUに出力する。
この変速制御に加えて、統合コントローラ10から目標CL2トルク指令を入力した場合、第2クラッチCL2へのクラッチ油圧を制御する指令を油圧コントロールバルブユニットCVU内の第2クラッチ油圧ユニット8に出力する第2クラッチ制御を行う。
また、エンジン始動制御等において、統合コントローラ10から変速制御指令が出力された場合、通常の変速制御に優先し、変速制御指令にしたがった変速制御を行う。
前記ブレーキコントローラ9は、4輪の各車輪速を検出する車輪速センサ19と、ブレーキ踏力センサ20からのセンサ情報と、統合コントローラ10からの回生協調制御指令と、他の必要情報を入力する。そして、例えば、ブレーキ踏み込み制動時、ブレーキストロークBSから求められる要求制動力に対し回生制動力だけでは不足する場合、その不足分を機械制動力(液圧制動力やモータ制動力)で補うように、回生協調ブレーキ制御を行う。
前記統合コントローラ10は、車両全体の消費エネルギーを管理し、最高効率で車両を走らせるための機能を担うもので、走行状態を検出する検出部として、モータ回転数Nmを検出するモータ回転数センサ21、第1クラッチCL1の温度を検出する第1クラッチ温度センサ22,第2クラッチCL2の温度を検出する第2クラッチ温度センサ23(第2締結要素温度検出手段)、走行路面の勾配を検出する路面勾配センサ24、他のセンサ・スイッチ類25からの必要情報およびCAN通信線11を介して情報を入力する。そして、エンジンコントローラ1へ目標エンジントルク指令、モータコントローラ2へ目標MGトルク指令および目標MG回転数指令、第1クラッチコントローラ5へ目標CL1トルク指令、ATコントローラ7へ目標CL2トルク指令、ブレーキコントローラ9へ回生協調制御指令を出力する。
図2は、実施例1の統合コントローラ10で行われる演算処理を示す制御ブロック図である。図3〜図5は、統合コントローラ10の目標駆動トルク演算部100、モード選択部200、目標発電出力演算部300にそれぞれ設定されているマップの一例を示す図である。以下、図2〜図5を用いて、統合コントローラ10で行われる演算処理を説明する。
前記統合コントローラ10は、図2に示すように、目標駆動トルク演算部100と、モード選択部200と、目標発電出力演算部300と、動作点指令部400と、変速制御部500と、を備えている。
前記目標駆動トルク演算部100は、図3(a)に示す車速VSPとアクセル開度APOによる目標駆動力マップと、図3(b)に示すブレーキ踏力による目標駆動力マップを用いて、目標駆動力(=要求駆動力)を算出する。
前記モード選択部200は、図4に示すEV-HEV選択マップを用いて、アクセル開度APOと車速VSPから、目標走行モード(HEVモード、EVモード、WSCモード)を演算する。また、これらのモードの遷移に伴って、第1クラッチCL1および第2クラッチCL2の締結および解放を切り替えるものであり、締結要素制御部に相当する。
EV-HEV選択マップには、EV領域に存在する運転点(APO,VSP)が横切ると「HEVモード」へと切り替えるEV⇒HEV切替線と、HEV領域に存在する運転点(APO,VSP)が横切ると「EVモード」へと切り替えるHEV⇒EV切替線と、「HEVモード」の選択時に運転点(APO,VSP)がWSC領域に入ると「WSCモード」へと切り替えるHEV⇒WSC切替線と、が設定されている。前記HEV⇒EV切替線と前記HEV⇒EV切替線は、EV領域とHEV領域を分ける閾値としてヒステリシス量(後述のH1,H2)を持たせて設定されている。前記HEV⇒WSC切替線は、自動変速機ATが1速段や最低変速比のときに、エンジンEngがアイドル回転数を維持する車速に沿って設定されている。但し、「EVモード」の選択中、バッテリSOCが所定値以下になると、強制的に「HEVモード」を目標走行モードとする。
前記目標発電出力演算部300は、図5に示す走行中発電要求出力マップを用いて、バッテリSOCから目標発電出力を演算する。また、現在のエンジン動作点(回転数、トルク)から最良燃費線までエンジントルクを上げるために必要な出力を演算し、前記目標発電出力と比較して少ない出力を要求出力として、エンジン出力に加算する。
前記動作点指令部400は、アクセル開度APOと目標駆動力と目標走行モードと車速VSPと要求発電出力とから、これらを動作点到達目標として、過渡的な目標エンジントルクと目標MGトルクと目標CL2トルク容量と目標変速比(目標ATシフト)とCL1ソレノイド電流指令を演算する。
前記変速制御部500は、目標CL2トルク容量と目標変速比(目標ATシフト)とから、これらを達成するように自動変速機AT内のソレノイドバルブを駆動制御するATソレノイド電流指令を演算する。
さらに、本実施例1では、モード選択部200において、図4に示すHEV⇒WSC切替線を走行状態に応じて変更する制御を実行しており、以下、その詳細について説明する。
HEV⇒WSC切替線は、第2クラッチCL2を締結させるか否かの判定の基準となるロックアップ判定閾値であって、車速VSPがこの閾値以上となると、第2クラッチCL2がロックアップされて、HEVモードに切り換えられ、車速VSPがこの閾値未満となると、第2クラッチCL2がスリップされてWSCモードとなる。なお、この図4の制御に用いられる車速VSPは、自動変速機ATの出力軸側の速度、すなわち駆動輪速(Vr)が用いられる。
図6は、Dレンジ用のHEV⇒WSC切替線(ロックアップ判定閾値)の特性説明図である。この図6に示すように、Dレンジ用第1切替線L1(第1判定閾値)、Dレンジ用第2切替線L2(第2判定閾値)、TCS時第1切替線L1tcs(第1判定閾値)、TCS時第2切替線L2tcs(第2判定閾値)が設定されている。
Dレンジ用第1切替線L1およびDレンジ用第2切替線L2は、通常時(非TCS制御時)においてシフトポジションがDレンジであるときに使用するHEV⇒WSC切替線である。
Dレンジ用第1切替線L1は、WSCモードからHEVモードに移行させる際に用いる閾値を示しており、車速VSPがこの閾値に対して増速方向に横切った際に、第2クラッチCL2をスリップ締結状態からロックアップ状態に切り替える。
Dレンジ用第2切替線L2は、HEVモードからWSCモードに移行させる際に用いる閾値であり、車速VSPがこの閾値に対して減速方向に横切った際に、第2クラッチCL2をロックアップ状態からスリップ締結状態へ切り替える。
また、図示のようにDレンジ用第1切替線L1とDレンジ用第2切替線L2との間には、ハンチング防止用のDレンジ用ヒステリシスH1が設定されている。
一方、TCS時第1切替線L1tcsおよびTCS時第2切替線L2tcsは、駆動輪スリップが生じたときに実行されるTCS制御時(駆動輪スリップ判定条件成立時)に用いる切替線である。これらの切替線L1tcs,L2tcsは、それぞれ、非TCS制御時である通常時に用いるDレンジ用第1切替線L1およびDレンジ用第2切替線L2と比較して相対的に高い値に設定されている。したがって、TCS制御時には、通常時と比較して、第2クラッチCL2が、スリップ締結状態からロックアップ状態に移行しにくくなるように設定されていることになる。
また、TCS時第1切替線L1tcsとTCS時第2切替線L2tcsとの間にもTCS時ヒステリシスH2が設定されている。このTCS時ヒステリシスH2の幅は、通常時用のDレンジ用第1切替線L1とDレンジ用第2切替線L2との間のDレンジ用ヒステリシスH1よりも幅広く設定されている。
なお、これらのロックアップ判定閾値としての各切替線L1,L2,L1tcs,L2tcsおよびヒステリシスH1,H2は、Dレンジ用のものの他に、Rレンジ用のものおよびそれ以外のレンジの用のものがテーブルの形で記憶されている。
さらに、TCS時第1切替線L1tcsは、車速VSPに応じ、車速VSPが低い領域では、相対的に車速VSPが高い領域よりも高い値に設定しており、これについて図7に基づいて説明する。なお、この図に示す車速VSPは、実車速であり、この実車速は、例えば従動輪速Vfに基づいて算出する。
図7はTCS時第1切替線L1tcsの説明図であり、このTCS時第1切替線L1tcsは、車速VSPがあらかじめ設定された第1設定車速Vset1以下では、第1ロックアップ車速閾値VL1に設定されている。この第1設定車速Vset1は、例えば前進1速レンジにて第2クラッチCL2をロックアップさせるとエンジン回転数がアイドル回転数を下回るおそれのある車速の上限付近に設定されている。また、第1ロックアップ車速閾値VL1は、実車による実験やシミュレーションに基づき、低μ路では駆動輪スリップが生じたときでも越えにくい高い車速(駆動輪速Vr)に設定されており、具体的には、15〜20km/h程度の範囲内の値であって、本実施例1では18km/hに設定されている。
一方、このTCS時第1切替線L1tcsは、第1設定車速Vset1よりも高速の第2設定車速Vset2以上では、第1ロックアップ車速閾値VL1よりも低い第2ロックアップ車速閾値VL2に設定されている。この第2設定車速Vset2は、第2クラッチCL2をロックアップさせてもエンジン回転数がアイドル回転数を下回るおそれのない値に設定されている。また、第2ロックアップ車速閾値VL2は、実車による実験やシミュレーションに基づき、第2クラッチCL2がロックアップしてもエンジンEngがトルクを出すのに必要な回転数を維持できる範囲の下限値程度に設定されており、具体的には、10〜15km/h程度の範囲内の値であって、本実施例1では13km/hに設定されている。
また、TCS時第1切替線L1tcsは、第1設定車速Vset1と第2設定車速Vset2との間では、第1ロックアップ車速閾値VL1と第2ロックアップ車速閾値VL2とを結ぶ傾きに設定されている。すなわち、この範囲内では、車速が高いほど、第2クラッチCL2がロックアップしてもエンジン回転数がアイドル回転数を下回らない車速まで車両が加速されることが期待できるため、閾値を徐々に下げている。なお、この傾きを持った閾値を、第3ロックアップ車速閾値VL3と称することにする。
図8は統合コントローラ10において上述のロックアップ許可閾値の設定を行う部分を示す回路図であって、TCS制御を実行するVDCコントローラ101には、各車輪FR,FL,RR,RLの車輪速度と、アクセル開度APOとが入力される。このVDCコントローラ101のTCS制御作動判定部102では、従動輪速Vfに基づいて得られる車速VSP(実車速)と駆動輪速Vrとの差に基づいて、駆動輪RL,RRのスリップ量を演算し、このスリップ量があらかじめ設定されたTCS制御介入閾値(Vtcs)を越えると、駆動輪RL,RRのスリップを抑制するTCS制御を実行する。
また、統合コントローラ10のロックアップ判定閾値設定部103では、TCS制御作動判定部102からのTCS制御欲求を示す信号と、ATコントローラ7からの現在のシフトレンジを示す信号とを入力し、これらに基づいて、ロックアップ判定閾値(テーブル)の設定を行う。このロックアップ判定閾値設定部103で設定されたロックアップ判定閾値(テーブル)は、第2クラッチロックアップ許可判定部104に出力される。
第2クラッチロックアップ許可判定部104では、ロックアップ判定閾値設定部103で設定されたロックアップ判定閾値のテーブルと車速VSP(実車速および駆動輪速Vr)とに基づいて、第2クラッチCL2のロックアップの許可および不許可の判定を実行する。また、選択されたテーブルと実車速とに基づいて、ロックアップ判定閾値が設定される。
図8に示したVDCコントローラ101および統合コントローラ10における第2クラッチCL2のロックアップ許可および不許可の判定を行う処理の流れを図9および図10のフローチャートに基づいて説明する。
図9のフローチャートは、VDCコントローラ101におけるTCS制御の実施および非実施を判定する処理の流れを示している。
このTCS制御判断処理では、まず、S1において、駆動輪RL,RRのスリップ量があらかじめ設定されたTCS制御介入閾値(Vtcs)を越えたか否か判定し、越えた場合はステップS2に進み、越えない場合はステップS3に進む。
ステップS2では、TCS制御を実施した後、1回の流れを終了する。ステップS3では、TCS制御を非実施とした上で、1回の流れを終了する。
このように、駆動輪RL,RRのスリップ量が、TCS制御介入閾値(Vtcs)を越えると、TCS制御が実施されて、目標駆動トルクが低下されて駆動輪RL,RRのスリップが抑制される。
次に、図10のフローチャートに基づいて、第2クラッチCL2のロックアップ許可および不許可の判定処理について説明する。
まず、ステップS11では、現在のシフトレンジがDレンジか否か判定し、Dレンジの場合はステップS12に進み、Dレンジ以外ではステップS15に進む。
ステップS11においてDレンジの場合に進むステップS12では、現在TCS制御中か否かを判定し、TCS制御中であれば、ステップS13に進み、TCS制御中でなければ、ステップS14に進む。
ステップS12においてTCS制御中の場合に進むステップS13では、ロックアップ判定閾値として、TCS時用テーブルを用いるとともに、ヒステリシスとして、TCS制時ヒステリシスH2を用いる。すなわち、HEV⇒WSC切替線として、図6に示すTCS時第1切替線L1tcsとTCS時第2切替線L2tcsとを用いる。この場合、TCS時第1切替線L1tcsでは、実車速(従動輪速Vf)に応じて、第1設定車速Vset1以下の低車速域では第1ロックアップ車速閾値VL1、第2設定車速Vset2以上の高車速域では第2ロックアップ車速閾値VL2、両設定車速Vset1,Vset2の間の速度域では第3ロックアップ車速閾値VL3が用いられる。
ステップS12において非TCS制御中に進むステップS14では、ロックアップ判定閾値として、Dレンジ用テーブルを用いるとともに、ロックアップ判定閾値ヒステリシスとして、Dレンジ用ヒステリシスH1を用いる。すなわち、ロックアップ許可切替線として、図6に示すDレンジ用第1切替線L1とDレンジ用第2切替線L2とを用いる。
一方、ステップS11においてDレンジ以外の場合に進むステップS15では、現在のシフトレンジが後退速(R)にシフトするRレンジであるか否か判定し、Rレンジ(YES)の場合は、ステップS16に進み、Rレンジ以外(NO)であればステップS17に進む。
ステップS15においてRレンジの場合に進むステップS16では、ロックアップ判定閾値をRレンジ用のテーブルとし、かつ、ロックアップ判定閾値ヒステリシスをRレンジ用ヒステリシスHrに設定する。ここで、Rレンジ用のロックアップ判定閾値およびRレンジ用ヒステリシスHrは、図示を省略しているが、Dレンジと同様に、車速増加時にスリップ締結状態からのロックアップ許可を判定する第1判定閾値と、この第1判定閾値よりも低い値であって減速時にロックアップ状態からスリップ締結状態への移行を許可する第2判定閾値とが設定されている。また、第1判定閾値と第2判定閾値との間には、Rレンジ用ヒステリシスHrが設定されている。
また、ステップS15においてシフトレンジがRレンジ以外の場合に進むステップS17は、ロックアップ判定閾値として期待値外用テーブルに設定し、かつ、ロックアップ判定閾値として、期待値外用ヒステリシスに設定する。
次に、ステップS13、S14、S16、S17のいずれかの処理を行った後に進むステップS18では、ロックアップ判定閾値の前回値がロックアップ不許可であるか否か判定し、前回値がロックアップ不許可(YES)であればステップS19に進み、前回値がロックアップ許可(NO)であればステップS22に進む。
ステップS19では、現在の車速VSP(実車速)がロックアップ許可閾値以上となったか否か判定し、ロックアップ判定閾値以上(YES)でステップS20に進み、ロックアップ判定閾値未満(NO)でステップS21に進む。
ステップS20では、第2クラッチCL2のロックアップを許可した後、1回の処理の流れを終了し、ステップS21では、第2クラッチCL2のロックアップを不許可として1回の処理の流れを終了する。
一方、ステップS18においてロックアップ判定の前回値が許可である場合に進むステップS22では、車速VSPがロックアップ判定閾値からロックアップ許可車速ヒステリシスを差し引いた値(すなわち、第2判定閾値)以上であるか否か判定し、この値以上(YES)であれば、ステップS23に進み、この値未満(NO)であればステップS24に進む。
ステップS23では、第2クラッチCL2のロックアップを許可(ロックアップ許可状態を維持)して1回の流れを終了し、ステップS24では、第2クラッチCL2のロックアップを不許可として1回の処理の流れを終了する。
(実施例1の作用の説明)
次に、実施例1の作用を、図11の作動の一例を示すタイムチャートに基づいて説明する。
このタイムチャートは、低μ路で発進し、駆動輪(RL,RR)に駆動輪スリップが生じた場合の車輪速変化を示しており、Vfが左右前輪FL,FRの速度である従動輪速度(=実車体速)を示し、Vrが左右後輪RL,RRの速度である駆動輪速を示している。
すなわち、t0の時点から発進を開始し、t1の時点で駆動輪スリップが発生し、駆動輪速Vrが上昇している。そして、駆動輪速VrがTCS制御介入閾値(Vtcs)を越えた時点t2でTCS制御の実行が開始される(ステップS1→S2の処理に基づく)。このTCS制御の実行の結果、駆動輪速Vrが低下され、t6の時点で駆動輪速Vrが従動輪速Vfに近付き、従動輪速Vfと共に上昇している。この場合、発進加速時であるので、駆動輪速Vrは従動輪速Vfを僅かに上回る速度で上昇する。
(比較例の動作の説明)
まず、図11に示すような駆動輪速Vrの変化が生じた場合における実施例1との比較例の動作として、ロックアップ判定閾値がDレンジ用第1切替線L1のみである場合の動作例を説明する。
この場合、駆動輪速VrがこのDレンジ用第1切替線L1を越えたt3の時点て、第2クラッチCL2がロックアップ許可される。そして、TCS制御により駆動輪速VrがDレンジ用第1切替線L1よりも低下した時点t4で、ロックアップ不許可となり第2クラッチCL2がスリップ締結状態に移行される。その後、駆動輪スリップが納まり、駆動輪速Vrが再びDレンジ用第1切替線L1を越えた時点t7で、再びロックアップ許可されて第2クラッチCL2は、ロックアップ状態に移行する。
このように、第2クラッチCL2の締結状態が、スリップ締結状態とロックアップ状態と切り替わるハンチングが生じ、運転性に悪影響を与える。
また、第2の比較例は、Dレンジ用第1切替線L1に対してDレンジ用ヒステリシスH1を持たせたDレンジ用第2切替線L2を設定した場合である。この場合でも、駆動輪速VrがDレンジ用第2切替線L2よりも低下した時点t5でロックアップ不許可となり、上記と同様なハンチングが生じる。
(実施例1の動作)
上述の動作と比較して、本実施例1では、TCS制御が開始された時点t2でロックアップ判定閾値としてのHEV⇒WSC切替線が、TCS時用テーブルに切り替えられるとともに、TCS時ヒステリシスH2に設定される(ステップS12→S13の処理に基づく)。このため、ロックアップ判定閾値として、両切替線L1,L2から、これらよりも高い値に設定されたTCS時第1切替線L1tcsとTCS時第2切替線L2tcsとに切り替えられる。したがって、その後、駆動輪速Vrが上昇しても、t8の時点まではTCS時第1切替線L1tcsを越えることはなく、第2クラッチCL2は、t8の時点までスリップ締結状態に維持される。
よって、第2クラッチCL2には、スリップ締結状態とロックアップ状態とでハンチングされることはなく、その分、運転性に悪影響を与えにくい。
次に、効果を説明する。
実施例1のハイブリッド車両の制御装置にあっては、下記に列挙する効果を得ることができる。
(1)実施例1では、駆動輪(RL,RR)の駆動系に設けられ、力行により前記駆動輪の駆動を行い、回生により発電を行うモータジェネレータMGと、
モータジェネレータMGと駆動輪(RL,RR)との間に設けられた第2クラッチCL2と、
車体速を含む走行状態を検出する各センサ(15〜25)と、
車体速に対応したロックアップ判定閾値(L1,L2,L1tcs,L2tcs)に基づいて、車体速がロックアップ判定閾値(L1,L2,L1tcs,L2tcs)を越えると、第2クラッチCL2を、完全締結したロックアップ状態とし、車体速がロックアップ判定閾値(L1,L2,L1tcs,L2tcs)以下で、第2クラッチCL2を、スリップしながら駆動力の伝達を行うスリップ締結状態とする統合コントローラ10と、
を備え、
ロックアップ判定閾値(TCS時第1切替線L1tcs)は、車体速(実車体速)が相対的に低速の領域では、車体速(実車体速)が相対的に高速の領域に比べて高く設定した。
したがって、駆動輪スリップが生じて駆動輪速Vrが高くなっても、実車体速が低速の領域では、ロックアップ許可判定が成されにくくなり、第2クラッチCL2がスリップ締結状態とロックアップ状態とに切り替わるハンチングが生じることを抑制できる。よって、このハンチングを原因とするする運転性の悪化を抑制できる。
(2)統合コントローラ10は、駆動輪スリップ判定条件の成立時(TCS制御実行時)は、ロックアップ判定閾値をL1からL1tcsに上げるようにした。
したがって、駆動輪スリップが生じるかあるいは生じる可能性のある場合には、駆動輪スリップが生じないかあるいは生じる可能性が低い場合に比べ、第2クラッチCL2がスリップ締結状態からロックアップ状態に移行しにくくなる。
よって、駆動輪スリップが生じても、上記(1)で述べたように、第2クラッチCL2がスリップ締結状態とロックアップ状態とに切り替わるハンチングが、いっそう生じにくくなる。
(3)統合コントローラ10は、TCS制御の実行を駆動輪スリップ判定条件の成立として、ロックアップ判定閾値を高めるようにした。
したがって、駆動輪スリップの発生およびTCS制御による駆動輪速度の低下が生じても、上述の制御ハンチングが生じにくくなり、運転性の悪化を抑制できる。
(4)統合コントローラ10は、ロックアップ判定閾値として、車体速の上昇時に使用する第1判定閾値(L1、L1tcs)と、第1判定閾値(L1、L1tcs)に対し相対的に低い値に設定したヒステリシス(H1、H2)が与えられて前記車体速の下降時に使用する第2判定閾値(L2、L2tcs)とを備え、かつ、駆動輪スリップ判定条件成立時は、非成立時と比較して、ヒステリシスを広げた(H1<H2とした)。
したがって、駆動輪スリップ判定条件の成立時には、非成立時と比較して、スリップ締結状態とロックアップ状態との切り替わりが、いっそう生じにくくなり、上記制御ハンチングを、いっそう抑制できる。
(5)実施例1では、モータジェネレータMGが、エンジンEngから駆動輪(RL,RR)への駆動系の途中に介在され、
エンジンEngとモータジェネレータMGとの間に第1クラッチCL1を備え、
第1クラッチCL1を解放する一方で第2クラッチCL2を締結させたEVモードと、両クラッチCL1,CL2を締結したHEVモードとでモード遷移を行う統合コントローラ10とを備えている。
したがって、EVモードからHEVモードに移行する際においても、上記制御ハンチングが生じにくくなる。
上記のようにEVモードからHEVモードへの移行時には、第1クラッチCL1を締結させてエンジンEngの始動を行うが、このエンジン始動時に、駆動輪スリップが生じると、下記の問題が生じるおそれがある。すなわち、実車速(従動輪速Vf)が低いのに駆動輪スリップが生じて駆動輪速Vrが上昇して第2クラッチCL2のロックアップし、その後、このロックアップ状態で駆動輪速VrがTCS制御により低下した場合、エンジンEngの回転数が低下し過ぎるおそれがある。
本実施例1では、上記(1)〜(4)のように、第2クラッチCL2がロックアップしにくくなるため、上述のようなエンジン回転数の低下を抑制できる。
(6)実施例1では、TCS時第1切替線L1tcsの第1設定車速Vset1は、第2クラッチCL2をロックアップさせるとエンジン回転数がアイドル回転数を下回るおそれのある車速の上限付近に設定し、この第1設定車速Vset1以下の低速領域では、TCS時第1切替線L1tcsを高い値(第1ロックアップ車速閾値VL1)に設定した。
したがって、上記の低速領域では、第2クラッチCL2がロックアップしにくく、上記(3)のようにエンジン回転数が過度に下がるのを、より確実に防止できる。
(7)実施例1では、TCS時第1切替線L1tcsの第2設定車速Vset2を、第2クラッチCL2をロックアップさせてもエンジン回転数がアイドル回転数を下回るおそれのない値に設定し、この第2設定車速Vset2以上では、TCS時第2切替線L2tcsを相対的に低い値(第2ロックアップ車速閾値VL2)に設定した。
したがって、上記の高速領域では、第2クラッチCL2がロックアップしても、エンジン回転数が過度に低下することが無く、上記(3)の効果をより確実に得ることができる。
(8)実施例1では、TCS時第1切替線L1tcsの第1設定車速Vset1と第2設定車速Vset2との間の速度域で使用する第3ロックアップ車速閾値VL3を、第1ロックアップ車速閾値VL1と第2ロックアップ車速閾値VL2とを直線的に結ぶ傾きに設定した。
この速度領域では、車速が高くなるほど、第2クラッチCL2がロックアップしてもエンジン回転数がアイドル回転数を下回らない車速まで車両が加速されることが期待できるため、上記(3)のようにエンジン回転数が過度に低下するのを、より確実に抑制できる。しかも、TCS時第1切替線L1tcsに傾きを持たせることで、例えば、第2設定車速Vset2において、第1ロックアップ車速閾値VL1と第2ロックアップ車速閾値VL2とを切り替えるものと比較して、ロックアップし易くし、燃費に有利となる。
以上、本発明の電動車両の制御装置を実施例1に基づき説明してきたが、具体的な構成については、この実施例1に限られるものではなく、特許請求の範囲の各請求項に係る発明の要旨を逸脱しない限り、設計の変更や追加等は許容される。
例えば、実施例1では、TCS制御時と非TCS制御時とで、ロックアップ判定閾値を異ならせるようにした。しかしながら、これに限定されるものではなく、ロックアップ判定閾値は、TCS制御時に関わらずDレンジ用第1切替線L1を使用し、このDレンジ用第1切替線L1を、図12に示すように設定してもよい。また、この図12に示すDレンジ用第1切替線L1を、実施例1の非TCS制御時用のとして使用してもよい。
また、実施例1では、駆動輪スリップの発生またはその可能性を示す駆動輪スリップ判定条件の成立をTCS制御のON,OFFで判定するようにしたが、これに限定されるものではない。すなわち、駆動輪スリップ判定条件として、駆動輪速と従動輪速との差から得られる駆動輪スリップ量により判定してもよい。あるいは、路面μに基づいて、低μの場合に、駆動輪スリップ判定条件成立としてもよい。この場合、実際に路面μを検出してもよいし、あるいは自動変速機をスノーモードとした場合に低μと判定するようにしてもよい。また、降雪や降雨を検出した場合に低μと判定してもよい。なお、路面μは、例えば、駆動輪速と従動輪速との差や、制動時や加速時の車輪加速度に基づいて検出することが可能である。
また、第2クラッチCL2として、自動変速機ATとは独立の専用クラッチとして新たに追加した例を示したが、自動変速機ATの各変速段にて締結される複数の摩擦要素のうち、所定の条件に適合する摩擦要素(クラッチやブレーキ)を選択して第2クラッチCL2としてもよい。あるいは、変速機出力軸と駆動輪の間に自動変速機ATとは別に第2クラッチCL2を設けてもよい。
実施例1では、HEVモードとEVモードを切り替えるモード切替締結要素として、第1クラッチCL1を用いる例を示した。しかし、HEVモードとEVモードを切り替えるモード切替手段としては、例えば、プラネタリギア等のように、クラッチを用いることなくクラッチ機能を発揮するような差動装置や動力分割装置を用いる例としてもよい。
実施例1では、駆動輪として後輪を示したが、前輪を駆動輪としたものにも適用することができる。
1 エンジンコントローラ
2 モータコントローラ
3 インバータ
4 バッテリ
5 第1クラッチコントローラ
6 第1クラッチ油圧ユニット
7 ATコントローラ
8 第2クラッチ油圧ユニット
9 ブレーキコントローラ
10 統合コントローラ(締結要素制御部、駆動輪スリップ判定手段)
12 エンジン回転数センサ(検出部)
15 第1クラッチストロークセンサ(検出部)
16 アクセル開度センサ(検出部)
17 車速センサ(検出部)
18 他のセンサ類(検出部)
19 車輪速センサ(検出部)
20 ブレーキ踏力センサ(検出部)
21 モータ回転数センサ(検出部)
22 第1クラッチ温度センサ(検出部)
23 第2クラッチ温度センサ(検出部)
24 路面勾配センサ(検出部)
25 他のセンサ・スイッチ類(検出部)
AT 自動変速機
CL1 第1クラッチ(モード切替締結要素)
CL2 第2クラッチ(締結要素)
Eng エンジン
FL 左前輪(従動輪)
FR 右前輪(従動輪)
H1 Dレンジ用ヒステリシス
H2 TCS時ヒステリシス
L1 Dレンジ用第1切替線(ロックアップ判定閾値:第1判定値)
L1tcs TCS時第1切替線(ロックアップ判定閾値:第1判定値)
L2 Dレンジ用第2切替線(ロックアップ判定閾値:第2判定値)
L2tcs TCS時第2切替線(ロックアップ判定閾値:第2判定値)
MG モータジェネレータ
RL 左後輪(駆動輪)
RR 右後輪(駆動輪)

Claims (5)

  1. 駆動輪の駆動系に設けられ、力行により前記駆動輪の駆動を行い、回生により発電を行うモータジェネレータと、
    前記モータジェネレータと前記駆動輪との間に設けられた締結要素と、
    車体速を含む走行状態を検出する検出部と、
    前記車体速に対応したロックアップ判定閾値に基づいて、前記車体速がロックアップ判定閾値を越えると、前記締結要素を、完全締結したロックアップ状態とし、前記車体速が前記ロックアップ判定閾値以下で、前記締結要素を、スリップしながら駆動力の伝達を行うスリップ締結状態とする締結要素制御部と、
    を備え、
    前記ロックアップ判定閾値は、前記車体速が相対的に低速の領域では、前記車体速が相対的に高速の領域に比べて高く設定されていることを特徴とする電動車両の制御装置。
  2. 請求項1に記載の電動車両の制御装置において、
    前記検出部に含まれ、駆動輪スリップの発生またはその可能性を示す駆動輪スリップ判定条件が成立したか否かを判定する駆動輪スリップ判定手段と、
    前記締結要素制御部は、前記駆動輪スリップ判定条件の成立時は、前記ロックアップ判定閾値を上げることを特徴とする電動車両の制御装置。
  3. 請求項2に記載の電動車両の制御装置において、
    前記駆動輪スリップ判定手段は、前記スリップ発生時に駆動輪トルクを低減させるTCS制御が実行されたときに条件成立とすることを特徴とする電動車両の制御装置。
  4. 請求項2または請求項3に記載の電動車両の制御装置において、
    前記締結要素制御部は、前記ロックアップ判定閾値として、前記車体速の上昇時に使用する第1判定閾値と、前記第1判定閾値に対し相対的に低い値に設定したヒステリシスが与えられて前記車体速の下降時に使用する第2判定閾値とを備え、かつ、前記駆動輪スリップ判定条件成立時は、非成立時と比較して、前記ヒステリシスを広げることを特徴とする電動車両の制御装置。
  5. 請求項1から請求項4のいずれか1項に記載された電動車両の制御装置において、
    前記モータジェネレータが、エンジンから前記駆動輪への駆動系の途中に介在され、
    前記エンジンと前記モータジェネレータとの間にモード切替締結要素を備え、
    前記モード切替締結要素を解放する一方で前記駆動伝達締結要素を締結させた電気自動車モードと、両締結要素を締結したハイブリッド車モードとでモード遷移を行うモード制御手段を備えていることを特徴とする電動車両の制御装置。
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