JP2012087086A - 歯科用金属色遮蔽層形成用キット - Google Patents

歯科用金属色遮蔽層形成用キット Download PDF

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伸幸 石坂
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Abstract

【課題】 金属製基材上にレジン製歯牙修復材を築盛して人工歯を作製する際に、該金属製基材の金属色を遮蔽するために上記両部材間に介在させる金属色遮蔽層形成用オペーク材において、金属色の遮蔽効果をさらに高め、且つレジン製人工歯の明度も良好に保てるものを開発すること。
【解決手段】 A)光重合性組成物からなる、金属色遮蔽層形成用オペーク材、およびB)平均粒子径が1〜200μmであり、且つ上記A)金属色遮蔽層形成用オペーク材に含まれる重合性単量体の硬化体とは異なる屈折率(32℃)である、透明粒子、またはその分散液からなる、該A)金属色遮蔽層形成用オペーク材により形成されたオペーク材層の上面を被覆して使用される表面被覆材料
を含んでなる歯科用金属色遮蔽用キットを使用する。
【選択図】 なし

Description

本発明は、歯科用金属色遮蔽層形成用キット、詳しくは、レジン製人工歯やレジン製人工歯茎を作成する際に、金属製基材の金属色を遮蔽するために使用する上記各キットに関するものである。
齲蝕等により欠損を生じた歯質の修復において、重合性単量体と無機フィラーとを主成分とした硬化性組成物からなるレジン製歯牙修復材が使用されている。すなわち、レジン製歯牙修復材は、補綴物の作成もセラミックス等に比べて容易であり、無機フィラーを高密度に充填すれば、機械的強度も高いレジン製人工歯を造形でき好適である。そして、何より、重合性単量体が硬化したマトリックスレジンと無機フィラーの屈折率差の調整が容易である。また、適切な色調・粒度の顔料の配合により、その色調を天然歯牙と同調させることができ、審美性の面で大きな優位性がある。
斯様なレジン製歯牙修復材は、治療箇所に土台として設けられた金属製基材上に築盛して硬化させることにより使用するのが一般的である。ところが、このように金属製基材上に、レジン製歯牙修復材を直接的に築盛したのでは、レジン製歯牙修復材の色調を折角、天然歯牙の色調と同調させても、治療後のレジン製人工歯ではこの金属製基材の金属色が透けて見え審美性が低下することが避けられなかった。そこで、金属製基材とレジン製歯牙修復材との間に、該金属製基材の金属色を遮蔽する金属色遮蔽層(オペーク材層)を形成させることが行われている(特許文献1、非特許文献1,2参照)。
ここで、オペーク材は、金属製基材をレジン製人工歯で被冠した後に、この層単独、または上記レジン製歯牙人工歯の色調と合わさって、金属製基材の金属色を遮蔽する層であり、重合性単量体と光重合開始剤を含む光重合性組成物に、さらに、下の金属色を透視させないだけの不透明性を付与するために、多量の顔料が含有させてある。そうして、上記含有させる顔料としては、弁柄、チタンホワイト等の白色系のものが主に使用されている。
オペーク材は、上記不透明性を高めた材料ではあるが、金属製基材の金属色を十分に遮蔽するためには、一回の塗布では効果が足りず、何回にも亘って盛りつけを繰り返して(場合によっては、盛りつけごとに光照射して硬化させる)、その厚みを増して使用することが多い。この塗布の繰り返しは煩雑である他、金属色遮蔽層の厚みが厚くなり過ぎると、レジン製人工歯の明度が低くなる問題が生じる。これは、前記オペーク材には、多量の白顔料が含有されており彩度が高いため、この層の厚みが厚くなるに応じて、前記レジン製人工歯の明度が低下することによる。また、斯様にオペーク材を複数回塗布し、その厚みを過度に厚くしていくと、盛りつけごとに硬化処理しない場合には下底部で硬化不良が生じ、レジン製人工歯との接着強度が低下する問題も引き起こされてしまう。
こうした状況から、オペーク材による金属色遮蔽層の厚みはできるだけ薄く抑えるのが好ましい。また、治療箇所の構造上、オペーク材による金属色遮蔽層を厚くできない場合もある。しかしながら、当然の如く、この遮蔽層の厚みが薄くなりすぎると金属色の遮蔽効果は十分でなくなる。無論、この遮蔽効果の不足を、オペーク材に含有される白色顔料の増量や、その表面にステイン材やモデファイヤーを塗布して補おうとすると、前記レジン製人工歯の明度の低下の問題が、たとえ金属色遮蔽層の厚みが薄い場合であっても無視できない程度に高まる。
これらから、オペーク材における金属色の遮蔽効果をさらに高め、薄い層として形成しても十分に遮蔽効果を発揮し、且つレジン製人工歯の明度も良好に保つことができる方法を開発することが望まれていた。こうした中、前記オペーク材の塗布層の上に、着色成分が添加された粒状ポリマーを付着させて重合処理してオペーク材層を形成させる方法が提案されている(特許文献2参照)。すなわち、この方法では、上記オペーク材層の上面に付着させた粒状ポリマーが着色しているため、レジン製人工歯の外部から侵入した光を、この部分で吸収でき、オペーク層表面における反射を減少させることでオペークの色の透過はかなり抑制できるとされている(段落〔0008〕)
特開2008−94732号公報 特開平7−31631号公報
高橋英登ら著、月刊歯科技工別冊 セラミックス・高分子複合型歯冠修復材料の臨床/技工、医歯薬出版株式会社発行、1999年、第68〜140ページ 新谷明喜ら著、別冊2003/実践・新素材による歯冠色修復とその技法、株式会社ヒョーロン・パブリッシャーズ発行、2003年、第65〜119ページ
しかしながら、上記特許文献2に記載の方法では、オペーク材層の上面に付着させた粒状ポリマーが着色しているため、この部分で彩度が高くなり、やはりその上部に築盛するレジン製人工歯は明度が大きく低下するものであった。また、オペーク材層の光重合処理は、粒状ポリマーを付着した後に行なっているところ、粒状ポリマーの着色が濃かったり、オペーク材層を複数回の塗布で厚めに設けている場合には、該粒状ポリマーによる光の吸収により、オペーク材層の硬化不良が生じ易く、レジン製人工歯との接着強度の低下が危惧された。
そこで、前記課題に対して、さらにこれらの問題を良好に改善する策の開発が強く望まれていた。
また、このような課題は、レジン製人工歯を作成するときだけでなく、義歯における歯茎部を作成する場合にも当てはまるものであった。すなわち、義歯における歯茎部の作成は、金属製基材上にレジン製歯茎作製材を造形して行われており、この場合も、金属製基材の金属色を遮蔽するために、該金属製基材とレジン製歯茎作製材との間にはピグメントレッド166、ピグメントレッド214、ピグメントレッド231、キナクリドンレッド等の赤色系の顔料を多量に配合したオペーク材層が形成されている。しかして、この人工歯茎を作成する場合においても、その金属色の遮蔽効果を、該人工歯茎の明度を低下させることなく高めることが同様の理由から求められており、上記レジン製人工歯を作成する場合と課題を共通にしている。
上記課題に鑑み、本発明者らは、鋭意研究を続けてきた。その結果、オペーク材層の上面に、平均粒子径が1〜200μmであり、且つ上記A)金属色遮蔽層形成用オペーク材に含まれる重合性単量体の硬化体とは異なる屈折率である、透明粒子を付着させることにより、上記の課題が解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、金属製基材上にレジン製歯牙修復材またはレジン製歯茎作製材を築盛して人工歯または人工歯茎を作製する際に、該金属製基材の金属色を遮蔽するために上記両部材間に介在させる歯科用の金属色遮蔽層形成用キットであって、
A)光重合性組成物からなる、金属色遮蔽層形成用オペーク材
B)平均粒子径が1〜200μmであり、且つ上記A)金属色遮蔽層形成用オペーク材に含まれる重合性単量体の硬化体とは異なる屈折率(32℃)である、透明粒子、またはその分散液からなる、該A)金属色遮蔽層形成用オペーク材により形成されたオペーク材層の上面を被覆して使用される表面被覆材料
を含んでなる歯科用金属色遮蔽用キットである。
本発明の歯科用金属色遮蔽用キットによれば、金属色遮蔽層形成用オペーク材を用いて形成したオペーク材層の厚さが薄かったり、不透明性が低い場合においても、金属製基材の金属色が高度に遮蔽でき、かつレジン製人工歯や人工歯茎の明度も低下させず、自然感のある歯科修復が行える。さらに、オペーク材層の硬化不良が生じ難く、オペーク材層とレジン製人工歯や人工歯茎(以下、これらを「レジン製人工歯等」とも略する)との接着強度を安定的に高くできる。
本発明において、このような優れた効果が発揮される原因は、次のような作用によるものと推測される。すなわち、本発明のB)表面被覆材料はA)金属色遮蔽層形成用オペーク材に含まれる重合性単量体の硬化体とは、口腔内での一般的な歯牙の温度とされる32℃において、異なる屈折率を有する粒子であり、且つ透明体であるため、口腔中において、A)金属色遮蔽層形成用オペーク材により形成されたオペーク材層と、この上面に付着させた該B)表面被覆材料との接触界面では、レジン製人工歯等の外部から侵入した光の乱反射が激しく起こる。レジン製人工歯等の外観が、その下層に位置する金属製基材の金属色に影響を受ける原因は、外部からの光が金属製基材面にまで到達し、再び反射してレジン製人工歯等の外に放出されるためである。それならば、上記の如くに、オペーク材層と表面被覆材料との界面で乱反射を強く起こせば、該オペーク材層を透過して金属製基材面に到達する外部光は大きく減少させることができ、結果として、オペーク材層による金属製基材の金属色の遮蔽効果は著しく増強され、前記オペーク材層の厚さが薄かったり、不透明性が低い場合においても、その効果を十分に発揮させることが可能になることになる。
さらに、表面被覆材料に使用される粒子は、透明体であり、着色剤も通常非含有で彩度が低いため、上部に築盛するレジン製人工歯等の明度を高く保てる。また、該表面被覆材料を付着後に、オペーク材層を光硬化させる場合にあっても、照射された光は、上記オペーク材層と表面被覆材料との界面での乱反射によって弱まりはするものの、オペーク材層の硬化反応が十分に進行するだけの相当量は透過するため、該オペーク材層の硬化不良の問題も良好に解決することになる。
本発明の金属色遮蔽層形成用キットは、前記したようにA)金属色遮蔽層形成用オペーク材とB)表面被覆材料を含むものであるが、その特徴的材料は後者であり、まず、この材料から説明する。

B)表面被覆材料について
B)表面被覆材料は、オペーク材層の上面を被覆して使用される材料である。この材料は、平均粒子径が1〜200μmであり、且つ上記A)金属色遮蔽層形成用オペーク材に含まれる重合性単量体の硬化体とは32℃において異なる屈折率である、透明粒子により構成される。
透明粒子の平均粒子径が1μmより小さい場合、該粒子をオペーク材層の上面に付着させた際に、特に、オペーク材層が未硬化である場合には、その内部にまで粒子が埋り込み、両部材の界面での光の乱反射が弱まり、金属遮蔽性が低下する問題が生じる。また、透明粒子の平均粒子径が200μmより大きくても、比表面積が小さくなり、両部材の界面で光の乱反射が弱まり、やはり金属遮蔽性が低下する。さらに、オペーク材層上に、斯様に大きい平均粒子径の粒子を付着させると、この上に造形するレジン製人工歯等の厚みを十分に確保できなくなったり、その接着強度が十分でなくなる虞が生じる。これらから、表面被覆材料である透明粒子の平均粒子径は、5〜70μmであるのが特に好ましい。
なお、本発明において、粒子の平均粒子径は、レーザー光散乱法で求められる粒度の積算分布の50%(D50)で表される値をいう。
また、透明粒子は、A)金属色遮蔽層形成用オペーク材に含まれる重合性単量体の硬化体と比較して32℃において異なる屈折率を有するものが使用される。即ち、この要件により、前記口腔内での一般的な歯牙の温度とされる32℃において、該透明粒子と、これが付着するオペーク材層の接触界面では、レジン製人工歯の外部から侵入した光の乱反射が激しく起こり、金属製基材の金属色の遮蔽性が大きく改善される。透明粒子と、A)金属色遮蔽層形成用オペーク材に含まれる重合性単量体の硬化体との屈折率差は、上記32℃での測定において、絶対値が0.02〜0.20であり、さらには0.05〜0.10であるのが、浸入光の乱反射を激しく生じさせる観点から好ましい。他方、この屈折率差が0.02より小さいと前記侵入光の乱反射が弱まり、金属色の遮蔽効果が十分には満足できなくなる。さらに、この屈折率差が0.20より大きくても、上部に造形するレジン製人工歯の透明性や明度が低下し十分には満足できなくなる。
透明粒子と、A)金属色遮蔽層形成用オペーク材に含まれる重合性単量体の硬化体との屈折率差の関係を具体的に示せば、例えば、透明性粒子が後述するように、本発明において特に好適な態様である、ポリメチルメタクリレート製粒子であれば、その屈折率は32℃において1.49であるため、A)金属色遮蔽層形成用オペーク材に含まれる重合性単量体の硬化体の上記屈折率は1.51〜1.69になるように、該重合性単量体を選定すれば良い。なお、金属色遮蔽層形成用オペーク材に含まれる重合性単量体が複数種からなる場合、これら重合性単量体組成物全体における硬化体の屈折率が、前記透明粒子に対する屈折率差の要件を満足していれば良い(即ち、これが満足されていれば、重合性単量体成分の個々において、上記屈折率差の要件を外れるものが含まれていたとしても、本発明では許容される)。
本発明において、B)表面被覆材料として使用する粒子は、上記屈折率の要件を満足していることから明らかなように透明体であり、無論、この性状を保持するために、顔料や染料のような着色剤は通常、含有されていないものが使用される。このように透明粒子であるため、レジン製人工歯の明度が優れたものになり、さらに、該オペーク材層の重合処理を該粒子の付着後に行なっても、照射された光を過度に弱めることがなく、該オペーク材層を良好に硬化させることができる。
ここで、本発明において透明粒子とは、以下により測定される粒子の透明度を満足したものをいう。すなわち、まず、32℃における粒子の屈折率を測定する。そして、この粒子を、その測定された屈折率と、同じ32℃において±0.001の範囲の屈折率差である有機溶媒に50質量%の濃度で分散させる。そして、この透明粒子の分散液を、厚さ0.5mmの光路長を有する石英セルに入れ、そのコントラスト比を32℃において測定した際に値が0.1以下、より好ましくは0.05以下になる粒子を言う。なお、上記透明粒子を分散させる、該透明粒子との32℃における屈折率差が±0.001の範囲にある有機溶媒は、エタノール(屈折率1.359)、トルエン(屈折率1.497)、2−ブロモトルエン(屈折率1.555)、1−ブロモナフタレン(屈折率1.658)、ジブロモメタン(屈折率2.497)等の中から、使用する透明粒子の屈折率に応じて複数種を適宜に選定し、その混合比を変化させることにより調整して得れば良い。
このような透明粒子を構成する材質は、有機材料および無機材料のいずれであっても良いが、オペーク材層との馴染みの良さから有機樹脂が好適に使用される。
有機樹脂は、レジン製歯牙修復材と接触した際に、その重合性単量体成分に溶解や膨潤せず、さらに、後述する有機溶媒への分散液として使用する態様を可能にするために、有機成分にできるだけ不溶性のものが好ましい。また、前記A)金属色遮蔽層形成用オペーク材に含まれる重合性単量体の硬化体との屈折率差の要件を満足させ易い観点から、硬化後の32℃における屈折率が1.45〜1.70、好適には1.50〜1.60のものが好ましい。
具体的には、架橋(メタ)アクリレート系重合体、架橋スチレン系重合体、架橋アクリロニトリル系重合体、架橋オレフィン系重合体等の架橋ビニル系重合体が好ましい。ここで、架橋(メタ)アクリレート系重合体としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、グリシジルメタクリレート等の単官能(メタ)アクリレート系単量体を主成分とし、これに重合性不飽和基を2つ以上有する多官能性重合性単量体等の架橋性単量体を共重合させたものが挙げられる。
多官能性重合性単量体としては、ジビニルベンゼン、ジビニルスルホン、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコール(メタ)アクリレート、ヘキサメチレンジ(メタ)アクリレート、ノナメチレンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート等が例示できる。
また、架橋スチレン系重合体としては、スチレン、メチルスチレン、エチルスチレン、ブロモスチレン等の単官能のスチレン系単重合体を主成分とし、これに前記例示したような架橋性単量体を共重合させたものが挙げられる。アクリロニトリル系重合体としては、アクリロニトリル、メタクリロニトリルの単官能のアクリロニトリル系単重合体を主成分とし、これに前記例示したような架橋性単量体が共重合したものが挙げられる。さらに、オレフィン系重合体としては、エチレン、プロピレン、各種ノルボルネン型化合物等の単官能オレフィン系単量体を主成分とし、これに架橋性単量体を共重合させたものが挙げられる。
なお、これらのビニル系重合体において、架橋性単量体の含有量は、それぞれのビニル系単量体1モルに対して0.0001〜5モルの範囲、より好ましくは0.001〜1モルの範囲が好ましい。また、ビニル系重合体は、各ビニル系単量体を主成分とするだけでなく、その一部が、これらの各ビニル系単量体と共重合可能な他のビニル系単量体と置き換わって共重合したものであっても良い。
さらに、有機樹脂としては、ポリエーテルサルホン等の芳香族ポリエーテル系樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、フェノール樹脂等も好適に使用できる。
これらの有機樹脂の中にあっても、透明性が高い他、前記A)金属色遮蔽層形成用オペーク材に含まれる重合性単量体の硬化体との屈折率差の要件を満足させ易く、金属遮蔽効果に優れたものにできることから、架橋(メタ)アクリレート系重合体および架橋スチレン系重合体が好ましい。透明粒子として使用する特に好ましい有機樹脂粒子は、架橋ポリメチルメタクリレート粒子、架橋ポリエチルアクリレート粒子、及び架橋ポリスチレン粒子であり、最も好ましくは架橋ポリメチルメタクリレート粒子である。
こうした透明粒子は、如何なる形状のものであっても良いが、B)表面被覆材料として使用した際にオペーク材との界面における光の乱反射率を高める観点から、真球状に近い形態であるほどより好ましい。こうした真球度の有機樹脂粒子は、(メタ)アクリレート系重合体であれば、これを懸濁重合法により製造することにより得られる。
なお、これらの透明粒子は、オペーク材との馴染みを高め、粒子とオペーク材との界面での乱反射を高める観点から、シランカップリング剤やポリオルガノ水素シロキサン化合物等の各種シリコーン化合物、脂肪酸エステル化合物、オレフィン化合物等で表面処理されたものを使用しても良い。
これらの透明粒子をオペーク材層の上面に付着させる方法は、特に制限されるものではなく、該透明粒子を筆やヘラ等によって塗布したり、そのまま上方から振り掛ける等すれば良い。被覆は、オペーク材層上面を上方から光学顕微鏡観察して、1cm×1cmの単位面積当りで、その少なくとも40%、より好ましくは60%が、該透明粒子により覆われている(オペーク材層の上面が露出していない)割合で行なうのが好ましい。
また、オペーク材層の上面に付着させる透明粒子の量は、一般に、1cm当り0.2mg〜5mgの範囲から採択される。オペーク材層の上面に多量の透明粒子が積み重なっていると、レジン製歯牙修復材の接着強度を弱める虞がある。したがって、透明粒子をそのままB)表面被覆材料として使用する場合、該透明粒子は均一な単層として付着させるのが理想的であり、現実的には該付着層が、該透明粒子の最大粒子径の5倍以下の厚み、より好ましくは2倍以下の厚みになるように薄く付着させるのが好適である。透明粒子をオペーク材層の上面に塗布したり振り掛けた際に、上記付着層厚みを越えて粒子が多量に積み重なっている場合には、微弱な圧縮空気などを吹きかけて、上記厚みになるよう調整すれば良い。
本発明においてB)表面被覆材料は、上記のように透明粒子をそのままオペーク材層の上面に付着させる形態であっても良いが、均一層を造りやすくする観点から、有機溶媒に分散させた分散液の形態として使用しても良い。
有機溶媒に分散させた分散液は、筆等でオペーク材層の上面に塗布した後、塗布面を乾燥させて有機溶媒を蒸散させることで、透明粒子の均一層を塗布性良く形成できる。この蒸散を良好に行なうため、有機溶媒は、揮発性のものが好ましい。ここで、揮発性有機溶媒とは、760mmHgでの沸点が100℃以下であり、且つ20℃における蒸気圧が1.0KPa以上のものを言う。このような揮発性有機溶媒としては、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロピルアルコール等のアルコール系溶媒;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン系溶媒などを挙げることができる。これら有機溶媒は必要に応じ複数を混合して用いることも可能である。
有機溶媒に分散させる透明粒子の含有量は、特に制限されるものではないが、前記塗布性等を良くする観点からは10〜90質量%が好ましく、20〜70質量%がより好ましい。
なお、透明粒子をそのままオペーク材層の上面に付着させる場合も、或いは上記分散液として使用する場合も、オペーク材層上面への付着力を向上させるために、少量の重合性単量体及び重合開始剤を配合させても良い。透明粒子をオペーク材層の上面に付着させた後、重合開始剤の種類に応じた硬化手法で重合性単量体を硬化させる(重合開始剤が光重合開始剤であれば光照射)ことで、上記透明粒子の付着力が向上でき、これによりレジン製人工歯類の接着強度もより高めることが可能になる。使用する重合性単量体や重合開始剤としては、後述するA)金属色遮蔽層形成用オペーク材に使用されるものとして説明するそれぞれと同じものが使用できる。重合性単量体は、その硬化体と透明粒子との間の屈折率差(32℃)が0.02〜0.2の範囲になるものを用いるのがより好ましい。
重合性単量体の配合量は、少量、具体的には透明粒子100質量部に対して多くても20質量部、好適には1〜10質量部に抑えるのが望ましい。重合性単量体の配合量があまり多すぎると、その硬化層中に透明粒子が埋り込み、オペーク材層との界面での光の乱反射が弱まって、金属色を遮蔽する本発明の効果が損なわれる虞がある。重合開始剤の使用量は、重合性単量体100質量部に対して0.003〜5質量部が好ましく、0.01〜3質量部がより好ましい。
A)金属色遮蔽層形成用オペーク材について
金属色遮蔽層形成用オペーク材は、重合性単量体、光重合開始剤を含む光重合性組成物に、さらに、下の金属色を透視させないだけの不透明性を付与するだけの顔料を含有させた組成をしている。金属色を透視させないだけの不透明性を具体的に示せば、0.5mm厚硬化体のコントラスト比が0.4〜0.9になる範囲が好ましく、さらには0.6〜0.8になる範囲がより好ましい。このコントラスト比が0.4より大きいと、金属色遮蔽層形成用オペーク材の厚みを十分に確保できないような場合にも、下地の金属色の遮蔽性を良好に維持し易い。コントラスト比が0.9より小さいと、金属色遮蔽層形成用オペーク材の硬化性を十分に確保でき、厚く築盛した場合でも明度が低下せず、天然歯らしい自然感のあるレジン製人工歯が作製できる利点がある。
ここで、硬化体のコントラスト比とは、透明性を表す尺度であり、JIS Z8701に規定されるXYZ表色系の三刺激値のうち明るさに関するY値を用いて算出するものである。より詳述すると、一定厚み(本発明の場合0.5mmの厚み)の試料板に黒背景、もしくは白背景を接触させ、標準の光Cを照射した際の反射光におけるY値を読み取る。黒背景の場合のYをYb、白背景の場合のYをYwとすると、コントラスト比はYb/Ywから求められる。コントラスト比の値が1に近いほど不透明な材料であり、0に近いほど透明な材料であることを示す
本発明のA)金属色遮蔽層形成用オペーク材に使用される重合性単量体としては、歯科用として公知のものが何ら制限なく使用できる。好適に使用できる重合性単量体としては、ラジカル重合性単量体として、アクリロイル基またはメタクリロイル基を有する(メタ)アクリレート系重合性単量体が好ましく、カチオン重合性単量体として、オキセタン基、エポキシ基を有する重合性単量体が、重合性、接着性及び取り扱い易さの点で好適である。
また、重合性単量体は、単官能性あるいは多官能性のいずれであってもよい。一般に好適に使用される単官能ラジカル重合性単量体を具体的に例示すると、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、n−ヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、メトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート等の単官能(メタ)アクリレート系単量体:N−メチロール(メタ)アクリルアミド等の単官能(メタ)アクリルアミド系単量体:スチレン、α−メチルスチレン等の単官能スチレン系単量体が挙げられる。
一般に好適に使用される多官能ラジカル重合性単量体を具体的に例示すると、2,2−ビス(4−(3−(メタ)アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニル)プロパン、2,2’−ビス(4−(メタ)アクリロイルオキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−(メタ)アクリロイルオキシエトキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−(メタ)アクリロイルオキシジエトキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−(メタ)アクリロイルオキシテトラエトキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−(メタ)アクリロイルオキシペンタエトキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−(メタ)アクリロイルオキシジプロポキシフェニル)プロパン、2−(4−(メタ)アクリロイルオキシエトキシフェニル)−2−(4−(メタ)アクリロイルオキシジエトキシフェニル)プロパン、2−(4−(メタ)アクリロイルオキシジエトキシフェニル)−2−(4−(メタ)アクリロイルオキシトリエトキシフェニル)プロパン、2−(4−(メタ)アクリロイルオキシジプロポキシフェニル)−2−(4−(メタ)アクリロイルオキシトリエトキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−(メタ)アクリロイルオキシイソプロポキシフェニル)プロパン、1−(メタ)アクリロイルオキシメチル−2−(メタ)アクリロイルオキシエチルハイドロジェンマレート等の芳香族二官能(メタ)アクリレート系単量体:エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,3−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、ジ−2−(メタ)アクリロイルオキシエチル−2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジカルバメート、N,N’−メチレンビス(メタ)アクリルアミド等の脂肪族二官能(メタ)アクリレート系単量体:N,N’−メチレン(ビス)アクリルアミド等の二官能(メタ)アクリル酸アミド系単量体:ジビニルベンゼン、α−メチルスチレンダイマー等の二官能スチレン系単量体:ジアリルフタレート、ジアリルフタレート、ジアリルカーボネートなどの二官能アリル系単量体:トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート等の三官能(メタ)アクリレート系単量体:ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート等の四官能(メタ)アクリレート系単量体等が挙げられる。
上述のラジカル重合性単量体は、単独で又は二種以上を混合して用いることができる。
また、一般に好適に使用されるカチオン重合性単量体を例示すると、オキセタン基を有する重合性単量体、エポキシ基を有する重合性単量体が挙げられる。
生体適合性、重合性の高さの観点から、重合性単量体には(メタ)アクリレート系単量体が好ましく、多官能(メタ)アクリレート系単量体が特に好ましい。
金属色遮蔽層形成用オペーク材に使用される重合開始剤は、光重合開始剤が使用される。代表的な光重合開始剤としては、重合性単量体がラジカル重合性単量体の場合、α−ジケトン類及び第三級アミン類の組み合わせ,アシルホスフィンオキサイド及び第三級アミン類の組み合わせ,チオキサントン類及び第三級アミン類の組み合わせ,α−アミノアセトフェノン類及び第三級アミン類の組み合わせ、アリールボレート類及び光酸発生剤類の組み合わせ等の光重合型のラジカル重合開始剤が挙げられる。こうした光重合開始剤は、例えば特開2008−94732号公報、特開2007−302631号公報等に記載されている。
このうち、生体に対して為害性の少ない可視光線重合開始剤が好ましく、具体的には、α−ジケトン類又はアシルホスフィンオキサイドと第三級アミン類の組み合わせが挙げられる。最も好ましくは、カンファーキノンと第三級アミン類の組み合わせである。
なお、重合性単量体としてカチオン重合性単量体を使用した場合、光照射によりルイス酸或いはブレンステッド酸を生じる化合物が使用される。光酸発生剤を採用することが特に好適である。
これらの光重合開始剤は、単独で用いても、2種類以上のものを混合して用いても良い。
金属色遮蔽層形成用オペーク材に含有させる光重合開始剤の量は、重合反応を十分に進行させる観点から、重合性単量体100質量部に対して0.003〜5質量部が好ましく、0.01〜3質量部がより好ましい。
本発明の金属色遮蔽層形成用オペーク材に試用する顔料は、顔料の分散性を良好にする観点から、無機顔料が好適に使用される。そして、レジン製人工歯を作成する場合であれば、金属色の遮蔽を、歯牙の色と調和させて実現するため、白系顔料が主に使用される。こうした白系顔料としては、酸化チタン、鉛白、酸化亜鉛、アンチモンホワイト、ジルコニウムホワイト、炭酸カルシウム、カオリンクレー、硫酸バリウム、アルミナホワイト、タルク等が使用される。
また、金属色遮蔽層形成用オペーク材を、レジン製人工歯茎を作成する場合に使用するのであれば、顔料としては、金属色の遮蔽を、歯茎の色と調和させて実現するため、赤系顔料が主に使用される。こうした赤系顔料としては、ピグメントレッド122、ピグメントレッド144、ピグメントレッド188、ピグメントレッド202、ピグメントレッド214、ピグメントレッド221、ピグメントレッド231、ピグメントレッド242、キナクリドンレッド、キナクリドンマゼンダ、ピグメントレッド254、ピグメントバイオレット19、ニューコクシン、赤酸化鉄等が使用される。
さらに、レジン製人工歯を作成する場合においても、レジン製人工歯茎を作成する場合においても、治療箇所の周囲の状況に応じて、微妙に色調を調整することが求められるのが普通であるが、その場合、その他の色の顔料として、例えば、チタンイエロー、黒酸化鉄、黄酸化鉄、ピグメントイエロー95、ピグメントブルー60、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン、キノリンイエロー、ファストグリーンFCF等を使用すれば良い。
これらの顔料の平均粒子径は、一般に0.03〜3.0μmであるが、平均粒子径が0.1〜1.0μmの顔料が、少量で着色効果が高いため好ましい。
金属色遮蔽層形成用オペーク材における顔料の使用量は、該オペーク材層の単独、または上記レジン製歯牙人工歯の色調と合わさって、金属製基材の金属色を遮蔽する目的が達成できる量であれば制限はないが、通常は、前記した金属色遮蔽層形成用オペーク材の0.5mm厚硬化体のコントラスト比が0.4〜0.9になる量であり、具体的には、重合性単量体100重量部に対して10〜900重量部、より好適には100〜400重量部の範囲から採択される。
これらの量で顔料を配合することにより、レジン製人工歯を作成する場合に使用する金属色遮蔽層形成用オペーク材を製造するのであれば、その色調は、CIELab表色系における0.5mm硬化体の白背景条件下での測色値として、Lが40〜70、aが−3〜3、bが0〜30の範囲、より好ましくはLが50〜65、aが−1〜2、bが5〜25の範囲に調整するのが好ましい。他方、レジン製歯茎を作成する場合に使用する金属色遮蔽層形成用オペーク材を製造するのであれば、その色調は、CIELab表色系における0.5mm硬化体の白背景条件下での測色値として、Lが40〜90、aが2〜35、bが0〜25の範囲、より好ましくはLが55〜85、aが5〜30、bが3〜20の範囲に調整するのが好ましい。
この他、金属色遮蔽層形成用オペーク材には、フィラーが配合されるのが一般的である。こうしたフィラーは、歯科用として公知のものが何ら制限なく使用できる。フィラーを添加することによって、機械的強度、耐水性を向上させることができるほか、オペーク材の粘度や流動性を調節することが容易となる。こうしたフィラーとしては、公知の有機物フィラー、無機物フィラー、有機無機複合物フィラー、もしくはこれらの混合物等、公知のものがなんら制限なく使用することができる。
有機フィラーを具体的に例示すると、ポリメチルメタクリレート、ポリエチルメタクリレート、メチルメタクリレート−エチルメタクリレート共重合体、エチルメタクリレート−ブチルメタクリレート共重合体、メチルメタクリレート−トリメチロールプロパントリメタクリレート共重合体、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、塩素化ポリエチレン、ナイロン、ポリサルホン、ポリエーテルサルホン、ポリカーボネート等からなる粒子が挙げられる。これらは、架橋性単量体を共重合させた架橋体であるのが好ましい。
無機フィラーを具体的に例示すると、石英、無定形シリカ、シリカジルコニア、シリカチタニア等のシリカ系複合酸化物、シリカアルミナ、フルオロアルミノシリケート、バリウムガラス等が挙げられる。
上記フィラーのうち、機械的強度や分散性の良好さを勘案すると、無定形シリカや、シリカジルコニア、シリカチタニア等のシリカ系複合酸化物が特に好ましい。
また、上記種々の無機フィラーを分散、含有した重合性単量体混合物を重合硬化させた無機酸化物とポリマーとの複合体を粉砕することにより得られる無機有機複合フィラーも、上記フィラーとして好適に使用できる。
なお、これらのフィラーは、通常、平均粒子径が0.01〜100μm、強度の観点から0.05〜5μmのものが好適に使用できる。条件を選定すれば、これらの中には、前記したB)表面被覆材料である透明粒子としても使用できるものも含まれている。しかしながら、オペーク材層中にいくら透明粒子を含有させたとしても、オペーク材層中では金属色の遮蔽効果は十分に発揮させることはできない。すなわち、オペーク材層の上面に該透明粒子を付着させて、該オペーク材層に浸入する透過光の量を大幅に減少させる本発明とは、効果が全く異なるものになる。
上記フィラーの形状は特に限定されず、通常の粉砕により得られる様な粉砕形フィラー、あるいは球状フィラーでもよい。機械的強度、表面滑沢性、操作性、レジン硬化体上への塗布性が良好であることから、サブミクロンの球状フィラーが好適に使用できる。最も好適には、一次粒子の平均粒子径が0.1〜1μmの範囲にある球形状無機微粒子、一次粒子の平均粒子径が0.01〜0.1μmの範囲にある無機微粒子の混合物である。
さらに、これらフィラーは、重合性単量体との馴染みをよくし、機械的強度や耐水性を向上させる観点から、シランカップリング剤に代表される表面処理剤で処理して用いても良い。
金属色遮蔽層形成用オペーク材に含有させるフィラーの量は、硬化体に十分な機械的強度を付与する観点から、重合性単量体100質量部に対して200〜1900質量部が好ましく、300〜900質量部がより好ましい。
さらに、本発明の金属色遮蔽層形成用オペーク材には、必要に応じて他の成分を添加することができる。具体例を挙げれば、エタノール等の有機溶媒、ブチルヒドロキシトルエン、メトキシハイドロキノン等の重合禁止剤、4−メトキシ−2−ヒドロキシベンゾフェノン、2−(2−ベンゾトリアゾール)−p−クレゾール等の紫外線吸収剤、等の硬化時間調整剤、色素、及び香料等のその他の成分を添加することができる。
本発明において、上記金属色遮蔽層形成用オペーク材は、金属製基材上に筆、ヘラ等により盛り付けて均すことによりオペーク材層を形成する。形成したオペーク材層の硬化は、その上面に、B)表面被覆材料の透明粒子を付着させる前に、光照射して実行しても良いが、この場合、金属色遮蔽効果が今一歩十分でなくなり易い。これは、次の理由によるものと考えられる。金属色遮蔽性オペーク材に使用される重合性単量体がラジカル重合性単量体の場合において、硬化したオペーク材層の表面には酸素による重合阻害により、5〜20μm程度の表面未重合層が形成されている。すなわち、その上面に、表面被覆材料の透明粒子を付着させても、その平均粒子径が小さめのとき等には、表面被覆材料を付着させた後に上からレジン製歯牙修復材等を築盛した際、築盛時にかかる圧力により表面被覆材料が該表面未重合層の内部に埋り込み易くなる。そうして、表面未重合層はレジン製歯牙修復材の硬化時に硬化してオペーク材層の表層部になるため、上記表面被覆材料はオペーク材層中に埋没したものになる。このためオペーク材層との界面での光の乱反射が若干弱まり前記金属色遮蔽効果が十分に発揮されなくなるものと考えられる。一方、表面被覆材料の透明粒子を付着させた後に光照射を行うと、表面被覆材料の直下のオペーク材は酸素と接し難いため、表面未重合の生成量は大幅に減少する。このため、その後に、上からレジン製歯牙修復材等を築盛しても、築盛時にかかる圧力により表面被覆材料が表面未重合層に埋まりこむ現象はほとんど生じない。この結果、オペーク材層との界面では光の乱反射が激しく生じ、この硬化方法の方が金属色遮蔽効果が高いものになるのではないかと考えられる。
画して、オペーク材層の硬化は、その上面に、B)表面被覆材料の透明粒子を付着させた後に行なうのが好ましい。さらには、その上に、レジン製歯牙修復材やレジン製歯茎作製材を築盛した後に光照射して、該修復材類の硬化と同時に、これを透過した光により行なっても良い。ただし、後者の方法の場合、やはり透明粒子の平均粒子径が小さめのときには、レジン製歯牙修復材やレジン製歯茎作製材を築盛時の圧力により該粒子が未硬化のオペーク材層の内部にまで埋り込み易くなり、オペーク材層との界面での光の乱反射を弱める虞もあるため注意を要する。
金属製基材上に形成するオペーク材層の厚みは、通常、0.05〜0.5mmの範囲から採択すれば良い。前記したように、本発明のキットでは、B)表面被覆材料の作用により、オペーク材層による金属製基材の金属色遮蔽効果が大きく高められるため、治療箇所の構造上、該オペーク材層を厚くできない場合、具体的にはオペーク材層が0.05〜0.2mmの薄めの場合でも優れた金属色遮蔽効果が得られ好ましい。
オペーク材層の厚めの場合には、オペーク材を何回かに亘って繰り返して盛り付けても良い。この場合、最上層の盛りつけまでの、下層の盛りつけは、盛り付けるごとに硬化処理して実施しても良い。
なお、上記オペーク材を金属製基材上に盛り付けるに際して、該金属製基材の表面には、両者の接着性を高めるために、接着性処理剤により表面処理を行ってもよい。すなわち、本発明の金属色遮蔽層形成用キットには係る接着性処理剤も構成部材に含ませても良い。こうした接着性処理材としては、金属の種類に応じて適宜の種類のものが使用されており、例えば卑金属合金製の基材に使用される接着性処理剤としては、酸性基含有重合性単量体の有機溶媒溶液、貴金属合金製の基材用に使用される接着性処理剤としては、チオウラシル系重合性単量体などの硫黄原子含有重合性単量体の有機溶媒溶液などが挙げられる。なお、このように接着性処理剤により表面処理する他に、オペーク材層と金属製基材との接着強度を高めるために、該金属製基材の表面をアルミナ粒子等によりサンドブラスト処理しても良い。
次に、以上説明した金属色遮蔽層形成用キットと組合せて使用するC)レジン製歯牙修復材およびC’)レジン製歯茎作製材について説明する。このような組合せにより、人工歯作製用キットや人工歯茎作製用キットが提供される。
C)レジン製歯牙修復材について
レジン製歯牙修復材は、重合性単量体、光重合開始剤、フィラー、及び顔料を含有した硬化性材料からなる。これら各成分は、特に制限されず公知のものが使用でき、前記A)金属色遮蔽層形成用オペーク材で例示した成分が好適に使用できる。無論、顔料は、白色系顔料が主に使用されるものになる。
これらレジン製歯牙修復材のコントラスト比は、透明性、色調の観点から、0.5mm厚硬化体におけるコントラスト比が0.01〜0.4であることが好ましく、0.05〜0.3であることがさらに好ましい。
表面被覆材料を付着させたオペーク材層の上面へのレジン製歯牙修復材の築盛はヘラを用いて行なえば良く、築盛した後の人工歯への造形は、ヘラや筆等で形を整えた後に光照射を行う、または光照射によりレジン製歯牙修復材を硬化させた後に研磨バー等で研磨することにより行なえば良い。
C’)レジン製歯茎作製材について
レジン製歯茎作製材の組成も、上記レジン製歯牙修復材と同様に、重合性単量体、光重合開始剤、フィラー、及び顔料を含有する硬化性材料からなる。無論、顔料は、赤色系顔料が主に使用されるものになる。
これらレジン製歯茎作製材のコントラスト比は、透明性、色調の観点から、0.5mm厚硬化体におけるコントラスト比が0.01〜0.4であることが好ましく、0.05〜0.3であることがさらに好ましい。
表面被覆材料を付着させたオペーク材層の上面へのレジン製歯茎作製材の築盛はヘラを用いて行なえば良く、築盛した後の人工歯茎への造形は、ヘラや筆等で形を整えた後に光照射を行う、または光照射によりレジン製歯茎作製材を硬化させた後に研磨バー等で研磨することにより行なえば良い。
D)金属製基材について
本発明で使用する金属製基材は、人工歯や人工歯茎の作製において使用する金属フレームの材質として知られている公知のものが制限なく対象になる。具体的には、金、銀、パラジウム、白金、インジウム、亜鉛、スズ等の金属の中から、金属を主として所定の割合で合金としたものが挙げられるが、オペーク材との接着性の良好さを勘案すれば、金、銀、パラジウムなどを主とした合金であるのが好ましい。
以下、本発明を具体的に説明するために、実施例、比較例を挙げて説明するが、本発明はこれらにより何等制限されるものではない。
なお、以下の実施例および比較例において、金属色遮蔽層形成用キットを構成する、金属色遮蔽層形成用オペーク材や、表面被覆材料に使用される粒子の各種物性は以下の測定方法により実施した。
<オペーク材の硬化体のコントラスト比、色調の測定>
オペーク材を厚さ0.5mm、直径8mmの孔を有するテフロン(登録商標)製モールドに充填し、歯科用可視光線照射器で30秒光照射し硬化させることにより、0.5mm厚硬化体として得た。この硬化体を色差計(東京電色社製 製品名1800MKII)で黒背景、白背景でXYZ表色系の三刺激値のうち明るさに関するY値をそれぞれ測定し、測定値を下式に代入してコントラスト比を得た。また、白背景におけるL、a、bを測定した。
Yb(黒背景のY値)/Yw(白背景のY値)=コントラスト比
<粒子の屈折率の測定>
屈折率32℃における屈折率を、アッベ屈折計(アタゴ社製)を用いて測定した。各粒子の屈折率は液浸法によって測定した。すなわち、粒子をエタノール中に分散させ、このスラリーに対し1−ブロモナフタリンを徐々に滴下し、粒子と液体の境界が目視で確認できなくなったところの分散液の屈折率を粒子の屈折率とした。
<粒子の透明度の評価>
測定する粒子の屈折率(32℃)に対し、屈折率差が±0.001の範囲である有機溶媒(エタノール、トルエン、2−ブロモトルエン、1−ブロモナフタレン、及びジブロモメタンの中から選んだ屈折率の異なる複数種を混合して調整)を用意する。これに、該粒子を50質量%の濃度で分散させる。そして、この粒子分散液を、厚さ0.5mmの光路長を有する石英セルに入れ、そのセルを、色差計(東京電色社製 製品名1800MKII)で黒背景、白背景でXYZ表色系の三刺激値のうち明るさに関するY値をそれぞれ32℃において測定し、Y値を用いて上式によりコントラスト比を求め、この値を透明度とした。
<粒子の平均粒子径の測定>
各粒子について、平均粒子径はレーザー光散乱法による粒度分布計(ベックマンコールター社製LS230)を用い、エタノールを分散媒とし測定前に超音波で5分処理した後すみやかに平均粒子径を測定した。なお、平均粒子径は体積基準で表示したメジアン径の値を採用した。
また、実施例中に示した、略称、略号については以下の通りである。
A)金属色遮蔽層形成用オペーク材用の材料
<光重合性組成物>
・M−1
70gのビスフェノールAポリエトキシメタクリレート、15gのトリエチレングリコールジメタクリレート、15gの1,6−ビス(メタクリルエチルオキシカルボニルアミノ)トリメチルオキサン、0.2gのカンファーキノン、0.2gのp−ジメチルアミノ安息香酸エチルエステル、0.05gのヒドロキノンモノメチルエーテル、0.02gのジブチルヒドロキシトルエンを暗所下にて溶解し均一溶液としたもの〔硬化体の屈折率(32℃)1.55〕
・M−2:
100gの1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、0.2gのカンファーキノン、0.2gのp−ジメチルアミノ安息香酸エチルエステル、0.05gのヒドロキノンモノメチルエーテル、0.02gのジブチルヒドロキシトルエンを暗所下にて溶解し均一溶液としたもの〔硬化体の屈折率(32℃)1.50〕
・M−3:
100gのビスフェノールAポリエトキシメタクリレート、0.2gのカンファーキノン、0.2gのp−ジメチルアミノ安息香酸エチルエステル、0.05gのヒドロキノンモノメチルエーテル、0.02gのジブチルヒドロキシトルエンを暗所下にて溶解し均一溶液としたもの〔硬化体の屈折率(32℃)1.57〕
・M−4:
35gのビスフェノールAポリエトキシメタクリレート、30gのトリエチレングリコールジメタクリレート、35gの1,6−ビス(メタクリルエチルオキシカルボニルアミノ)チリメチルヘキサン、0.2gのカンファーキノン、0.2gのp−ジメチルアミノ安息香酸エチルエステル、0.05gのヒドロキノンモノメチルエーテル、0.02gのジブチルヒドロキシトルエンを暗所下にて溶解し均一溶液としたもの〔硬化体の屈折率(32℃)1.53〕
<光重合性組成物に配合する顔料>
・白顔料:酸化チタン(平均粒径0.25μm)
・黄顔料:ピグメントイエロー95
・赤顔料:ピグメントレッド166
・青顔料:ピグメントブルー60
<光重合性組成物に配合するフィラー>
・F−1:
60gの球状シリカ−ジルコニア〔平均粒子径;0.4μm、屈折率(32℃)1.53〕、40gの球状シリカ−チタニア〔平均粒子径;0.07μm、屈折率(32℃)1.52〕を混合、解砕したものをγ−メタクリロイロキシプロピルトリメトキシシランにて表面処理を行ったもの。
・F−2:
59gの球状シリカ−ジルコニア〔平均粒子径;0.4μm、屈折率(32℃)1.53〕、40gの球状シリカ−チタニア〔平均粒子径;0.07μm、屈折率(32℃)1.52〕を混合、解砕したものをγ−メタクリロイロキシプロピルトリメトキシシランにて表面処理を行ったもの。
B)表面被覆材料用の材料
<透明粒子および比較粒子>
・P−1:
球状架橋ポリメチルメタクリレート(積水化学工業社製、MBX−50)〔平均粒子径50μm、屈折率(32℃)1.49、粒子の透明度;コントラスト比0.01〕
・P−2:
球状架橋ポリメチルメタクリレート(積水化学工業社製、MBX−20)〔平均粒子径20μm、屈折率(32℃)1.49、粒子の透明度;コントラスト比0.01〕
・P−3:
球状架橋ポリメチルメタクリレート(積水化学工業社製、MBX−8)〔平均粒子径8μm、屈折率(32℃)1.49、粒子の透明度;コントラスト比0.01〕
・P−4:
球状架橋ポリメチルメタクリレート粒子(日本触媒社製、MA1002)〔平均粒子径2μm、屈折率(32℃)1.49、粒子の透明度;コントラスト比0.01〕
・P−5:
球状シリカ、γ‐メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン表面処理物(トクヤマ社製、SE−30)〔平均粒子径30μm、屈折率(32℃)1.45、粒子の透明度;コントラスト比0.03〕
・P−6:
不定形バリウムガラス、γ‐メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン表面処理物(ショット社製、G018−159)〔平均粒子30μm、屈折率(32℃)1.61、粒子の透明度;コントラスト比0.04〕
・P−7:
球状架橋ポリスチレン(積水化学工業社製、SBX−8)〔平均粒子径8μm、屈折率(32℃)1.59、粒子の透明度;コントラスト比0.07〕
・P−8:
球状架橋ポリスチレン(積水化学工業社製、XS−10)〔平均粒子径1000μm、屈折率(32℃)1.59、粒子の透明度;コントラスト比0.06〕
・P−9:
合成球状シリカ〔平均粒子径;0.4μm、屈折率(32℃)1.45、粒子の透明度;コントラスト比0.03〕
・P−10:
不定形バリウムガラス、γ‐メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン表面処理物(ショット社製、G018−186)〔平均粒子30μm、屈折率(32℃)1.83、粒子の透明度;コントラスト比0.08〕
・P−11:
球状架橋ポリメチルメタクリレート(積水化学工業社製、MBX−50)100重量部に酸化チタン(平均粒径0.25μm)を5重量部、ピグメントイエロー95を0.3重量部、ピグメントレッド166を0.2重量部、ピグメントブルー60を0.05質量部添加し、乳鉢で30分混合し、粒子表面に酸化チタンを吸着させた複合化粒子〔平均粒子径50μm、屈折率(32℃)1.49、粒子の透明度;コントラスト比0.50〕
<揮発性有機溶媒>
・EtOH:エタノール
実施例1
光重合性組成物M−1の100重量部に対して、顔料として酸化チタンを0.2重量部、フィラーとしてF−1を450質量部、ピグメントイエロー95を0.015重量部、ピグメントレッド166を0.01重量部、ピグメントブルー60を0.002質量部を配合し脱泡して、レジン製人工歯を作成する場合に使用する金属色遮蔽層形成用オペーク材を製造した。このオペーク材の硬化体について、コントラスト比を測定したところ0.70であった。また、硬化体の色調はL:68、a:−1、b:20であった。
次に、表面被覆材料として、透明粒子P−1をエタノールに濃度50質量%で分散させた分散液を調整した。この透明粒子P−1分散液を、上記金属色遮蔽層形成用オペーク材と組合せて、歯科用金属色遮蔽用キットを製造した。得られた歯科用金属色遮蔽用キットについて、以下の方法により、<金属色遮蔽性の評価>、<オペーク材層形成前後の明度変化(ΔL)>、<レジン製人工歯(人工歯茎)の接着曲げ強さ>を各測定し、結果を表3に示した。
<金属色遮蔽性の評価>
歯科用金−銀−パラジウム合金「金パラ12」(トクヤマデンタル社製 10×10×3mm)の片面に厚さ0.1mm、直径8mmの孔を有するテフロン(登録商標)製モールドを置き、上記製造したオペーク材を孔内に充填し、このオペーク材の未硬化面に表面被覆材料を透明粒子の付着量が0.2mg(オペーク材層上面1cm当り0.4mg)となるように筆で塗布し、揮発性有機溶媒を蒸散させた後に、歯科用可視光線照射器で30秒光照射し硬化させた。さらに、厚さ0.5mm、直径8mmの孔を有するテフロン(登録商標)製モールドを、前記オペーク材の充填・硬化に使用したテフロン(登録商標)製モールドの上に、孔部分が重なるように載置し、その孔内に、レジン製歯牙修復材「パールエステ(色調CD3)」を充填し、透明ポリエチレンフィルムで圧接した後、歯科用可視光線照射器で30秒光照射し硬化させた。
得られた硬化体の色調を目視で観察し、以下の基準で評価した。
◎:下層に位置する歯科用金−銀−パラジウム合金の金属色は全く透けて見えず、オペーク材の硬化体は明るい色調で観察できる
○:下層に位置する歯科用金−銀−パラジウム合金の金属色が透けて見えるものではないが、オペーク材の硬化体はわずかながら暗い色調に感じられる
△:下層に位置する歯科用金−銀−パラジウム合金の金属色が少し透けて見える
×:下層に位置する歯科用金−銀−パラジウム合金の金属色がはっきり識別できる
<オペーク材層形成前後の明度変化(ΔL)>
上記<金属色遮蔽性の評価>と同様にして、歯科用金−銀−パラジウム合金「金パラ12」上に、歯科用金属色遮蔽用キットを適用して、オペーク材層を形成し、その上面に表面被覆材料を処理した上で、レジン製歯牙修復材の硬化体を形成した。これを試験体について、白バックにおけるレジン製歯牙修復材の硬化体面の明度(L)を色差計にて測定した。
他方、コントロールとして、厚さ0.5mm、直径8mmの孔を有するテフロン(登録商標)製モールドに同じレジン製歯牙修復材である「パールエステ(色調CD3)」を充填し、透明ポリエチレンフィルムで圧接した後、歯科用可視光線照射器で硬化させた。この硬化体についても、白バックにおける明度(L)を色差計にて測定した。
前記試験体の明度(L)をコントロールの明度(L)と比較して、値が低下した場合を負の数値として評価した。
<曲げ強さ接着強度測定方法>
厚さ0.1mmで、縦2mm、横25mmの大きさの溝孔を有するテフロン(登録商標)製モールドを用意し、その溝孔内に金属色遮蔽層形成用オペーク材を充填しそのオペーク材の未硬化表面に、表面被覆材料を、透明粒子の付着量が0.2mg(オペーク材層上面1cm当り0.4mg)となるように筆で塗布し、揮発性有機溶媒を蒸散させた後に、歯科用可視光線照射器で30秒光照射し硬化させた。さらに、その上に、厚さ0.5mmで、縦2mm、横25mmの大きさの溝孔を有するテフロン(登録商標)製モールドテフロン(登録商標)製モールドを、前記オペーク材の充填に使用したテフロン(登録商標)製モールドの上に、溝孔部分が重なるように載置し、その孔内に、レジン製歯牙修復材「パールエステ(色調CD3)」を充填し、透明ポリエチレンフィルムで圧接した状態で、一方の面から30秒×3回、全体に光が当たるように場所を変えて、歯科用可視光線照射器にてポリプロピレンに密着させて光照射を行った。ついで、反対の面からも同様にポリプロピレンに密着させて30秒×3回光照射を行ない硬化体を得た。テフロン(登録商標)製モールドを外して上記硬化体を取り出し、#1500の耐水研磨紙にて表面を軽く研磨して、0.6×2×25mmの角柱状の試験片を得た。この試験片を試験機(島津製作所製、オートグラフAG5000D)に装着し、支点間距離20mm、クロスヘッドスピード1mm/分で3点曲げ破壊強度を測定した。
実施例2〜15
表1に示した組成とする以外は実施例1と同様にして金属色遮蔽層形成用オペーク材を各製造した。これらのオペーク材の硬化体のコントラスト比はそれぞれ表1に示した通りで、硬化体の色調はいずれもL:68、a:−1、b:20であった。
次に、表面被覆材料として、表1に示した各透明粒子を、エタノールに濃度50質量%で分散させた分散液を調整し、これらを上記各オペーク材と表1に示したように組合せて、歯科用金属色遮蔽用キットを製造した。得られた歯科用金属色遮蔽用キットについて、<金属色遮蔽性の評価>、<オペーク材層形成前後の明度変化(ΔL)>、<レジン製人工歯(人工歯茎)の接着曲げ強さ>をそれぞれ測定し評価した。結果を表3に示した。
実施例16
実施例1において、<金属色遮蔽性の評価>、<オペーク材層形成前後の明度変化(ΔL)>、<レジン製人工歯(人工歯茎)の接着曲げ強さ>の各測定において、オペーク材を孔内に充填してオペーク材層を形成するテフロン(登録商標)製モールドの厚みを0.1mmから0.3mmに変更する以外は実施例1と同様に実施し、歯科用金属色遮蔽用キットを評価した。結果を表3に示した。
実施例17
実施例1において、歯科用金属色遮蔽用キットとして、透明粒子P−1をエタノールに分散させることなくそのまま使用したものを用いたる以外は、該実施例1と同様に実施し、歯科用金属色遮蔽用キットを評価した。なお、透明粒子P−1からなる表面被覆材料の、オペーク材の未硬化表面への塗布は、透明粒子の付着量が0.2mgとなるように筆で塗布することにより実施した。結果を表3に示した。
実施例18
表1に示す光重合性組成物100重量部、フィラーを450重量部、顔料として酸化チタンを0.2重量部、ピグメントイエロー95を0.01重量部、ピグメントレッド166を0.05重量部、ピグメントブルー60を0.002質量部を配合し脱泡して、レジン製歯茎を作成する場合に使用する金属色遮蔽層形成用オペーク材を製造した。このオペーク材の硬化体のコントラスト比は表1の通りで、硬化体の色調はL:68、a:10、b:12であった。
次に、表面被覆材料として、透明粒子P−1を、エタノールに濃度50質量%で分散させた分散液を調整し、これらを上記オペーク材と組合せて、歯科用金属色遮蔽用キットを製造した。この歯科用金属色遮蔽用キットについて、実施例1と同様の方法により、<金属色遮蔽性の評価>、<オペーク材層形成前後の明度変化(ΔL)>、<レジン製人工歯の接着曲げ強さ>を各測定し、結果を表3に示した。
比較例1
実施例1と同じ金属色遮蔽層形成用オペーク材を使用し、表面被覆材料は使用しない態様で、<金属色遮蔽性の評価>、<オペーク材層形成前後の明度変化(ΔL)>、<レジン製人工歯(人工歯茎)の接着曲げ強さ>を各測定した。結果を表4に示した。
比較例2〜4
実施例1において、表面被覆材料として、表2に示した各粒子を、エタノールに濃度50質量%で分散させた分散液を用いる態様に変えた以外は実施例1と同様に実施した。結果を表4に示した。
比較例5
実施例11と同じ金属色遮蔽層形成用オペーク材を使用し、表面被覆材料は使用せずに、<金属色遮蔽性の評価>、<オペーク材層形成前後の明度変化(ΔL)>、<レジン製人工歯(人工歯茎)の接着曲げ強さ>を各測定し評価した。結果を表4に示した。
比較例6
比較例1において、<金属色遮蔽性の評価>、<オペーク材層形成前後の明度変化(ΔL)>、<レジン製人工歯(人工歯茎)の接着曲げ強さ>の各測定において、オペーク材を孔内に充填してオペーク材層を形成するテフロン(登録商標)製モールドの厚みを0.1mmから0.3mmに変更する以外は比較例1と同様に実施し、実施例1と同じ金属色遮蔽層形成用オペーク材を使用し、表面被覆材料は使用しない態様で評価した。結果を表4に示した。
比較例7
比較例2(表面被覆材料に、P−11の比較粒子を使用)において、<金属色遮蔽性の評価>、<オペーク材層形成前後の明度変化(ΔL)>、<レジン製人工歯(人工歯茎)の接着曲げ強さ>の各測定を、オペーク材を孔内に充填してオペーク材層を形成するテフロン(登録商標)製モールドの厚みを0.1mmから0.3mmに変更して実施する以外は比較例2と同様に実施し、歯科用金属色遮蔽用キットを評価した。結果を表4に示した。
Figure 2012087086
Figure 2012087086
Figure 2012087086
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Claims (7)

  1. 金属製基材上にレジン製歯牙修復材またはレジン製歯茎作製材を築盛して人工歯または人工歯茎を作製する際に、該金属製基材の金属色を遮蔽するために上記両部材間に介在させる歯科用の金属色遮蔽層形成用キットであって、
    A)光重合性組成物からなる、金属色遮蔽層形成用オペーク材
    B)平均粒子径が1〜200μmであり、且つ上記A)金属色遮蔽層形成用オペーク材に含まれる重合性単量体の硬化体とは異なる屈折率(32℃)である、透明粒子、またはその分散液からなる、該A)金属色遮蔽層形成用オペーク材により形成されたオペーク材層の上面を被覆して使用される表面被覆材料
    を含んでなる歯科用金属色遮蔽用キット。
  2. B)表面被覆材料に使用される透明粒子と、A)金属色遮蔽層形成用オペーク材に含まれる重合性単量体の硬化体との、屈折率差(32℃)が0.02〜0.20の範囲である、請求項1記載の歯科用金属色遮蔽用キット。
  3. B)表面被覆材料に使用される透明粒子が、着色剤を非含有の有機樹脂粒子である、請求項1または請求項2記載の金属製歯牙修復材の金属色遮蔽用キット。
  4. 着色剤を非含有の有機樹脂粒子を構成する有機樹脂がポリメチルメタクリレートである、請求項3記載の金属製歯牙修復材の金属色遮蔽用キット。
  5. A)金属色遮蔽層形成用オペーク材の0.5mm厚硬化体のコントラスト比が0.4〜0.9である請求項1〜4のいずれか一項に記載の歯科用金属色遮蔽用キット。
  6. 請求項1〜5のいずれか一項に記載の歯科用金属色遮蔽用キットと、さらに
    C)レジン製歯牙修復材
    とを含んでなる人工歯作製用キット。
  7. 請求項1〜5のいずれか一項に記載の歯科用金属色遮蔽用キットと、さらに
    C’)レジン製歯茎作製材
    とを含んでなる人工歯茎作製用キット。
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