JP2012072232A - 重合性フッ素系化合物、それを用いた活性エネルギー線硬化型組成物及びその硬化物 - Google Patents

重合性フッ素系化合物、それを用いた活性エネルギー線硬化型組成物及びその硬化物 Download PDF

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Abstract

【課題】塗膜表面に優れた防汚性を付与することができる重合性フッ素系化合物を提供する。また、塗膜表面を摩耗させても、優れた防汚性を維持できる活性エネルギー線硬化型組成物、その硬化物及びその硬化塗膜を有する物品を提供する。
【解決手段】下記一般式(1)で表される重合性フッ素系化合物を用いる。
Figure 2012072232

(式中、R、R、R、R及びRはそれぞれ独立に水素原子又はメチル基を表し、R、R及びRのうち少なくとも1つは(メタ)アクロイルオキシ骨格を有する基であり、残りは水酸基を表し、X及びXはそれぞれ独立に2価の有機基、PFPEはポリ(パーフルオロアルキレンエーテル)鎖を表す。また、nは平均で0〜10の範囲を表す。)
【選択図】なし

Description

本発明は、硬化塗膜表面に優れた防汚性を付与することができる含フッ素界面活性剤、含フッ素表面改質剤として用いる重合性フッ素系化合物に関する。また、該重合性フッ素系化合物を用いた活性エネルギー線硬化型組成物、その硬化物及びその硬化塗膜を有する物品に関する。
従来、液晶ディスプレイの最表面であった偏光板のさらにその上に前面保護板を設けることが行われている。この前面保護板には、透明性を有する樹脂板(アクリル(PMMA)シート、ポリカーボネート(PC)シート、PMMA/PC複合型シート)又はガラスが用いられている。樹脂シートは、0.3mm〜2mmの厚さでガラスと比較して柔らかく、引掻きによる傷が発生しやすいため、その表面にハードコート層を設けて耐擦傷性を付与している。
上記のハードコート層が設けて耐擦傷性を向上させる方法としては、多官能(メタ)アクリレート等の多官能単量体を含有するハードコート材を硬化させて得られる硬化塗膜を基材表面に形成する方法が知られている。しかしながら、従来の硬化塗膜は、指紋、皮脂、汗、化粧品等の汚れが付着した際、汚れが目立ち、画面表示が見づらくなる問題があった。また、画面表示を見やすくするため、汚れを除去しようとしても容易ではなかった。
そこで、汚れの付着を防止し、さらには付着した汚れを容易に除去できる防汚性を付与するため、ハードコート材に含フッ素界面活性剤又は含フッ素表面改質剤(以下、これらを併せて単に「含フッ素界面活性剤」という。)を添加剤として配合する検討がなされている。特に、防汚性を維持するため、重合性基を有し、硬化塗膜中に共有結合により固定化されるように設計されたフッ素化アルキル基を有するモノアクリレートと活性水素を有するアクリル系単量体とを共重合させ、次いで、得られた重合体にイソシアネート基を有するアクリル系単量体を反応させて得られる不飽和基を有する重合型含フッ素界面活性剤が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。この重合型含フッ素界面活性剤は、重合性基を有しており、ハードコート材への添加剤として用いた場合、該組成物中の重合成分と共有結合により結合し塗膜に固定化される。しかしながら、ハードコート材の硬化塗膜の表面に付着した汚れを何回も繰り返し拭き取って塗膜表面を摩耗させると、防汚性が低下するという問題があった。
また、(パーフルオロアルキレンエーテル)鎖を有し、その両末端にジ(メタ)アクリロイル基を有する化合物を原料として製造したポリ(パーフルオロアルキレンエーテル)鎖、及び不飽和基を有する重合型含フッ素界面活性剤が提案されている(例えば、特許文献2参照。)。この重合型含フッ素界面活性剤も特許文献1記載のものと同様、摩耗後の防汚性が大きく低下するという問題があった。
そこで、繰り返し付着した汚れを拭き取るため、塗膜表面を摩耗させても防汚性を維持する材料が求められている。
特開2007−246696号公報 国際公開WO2009/133770号公報
本発明が解決しようとする課題は、塗膜表面に優れた防汚性を付与することができる重合性フッ素系化合物を提供することである。また、塗膜表面に付着した汚れを繰り返し拭き取って、塗膜表面を摩耗させても、優れた防汚性を維持できる活性エネルギー線硬化型組成物、その硬化物及びその硬化塗膜を有する物品を提供することである。
本発明者等は、上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、ポリ(パーフルオロアルキレンエーテル)鎖の両末端にエポキシ基を導入した化合物と(メタ)アクリル酸とを反応させて得られる化合物に、さらに、該化合物中に存在する水酸基に重合性基を導入して多官能化した重合性フッ素系化合物を含有する活性エネルギー線硬化型組成物は、硬化塗膜表面に優れた防汚性を付与でき、さらに塗膜表面に付着した汚れを繰り返し拭き取って、塗膜表面を摩耗させても、優れた防汚性を維持することができることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、下記一般式(1)で表される重合性フッ素系化合物及び該重合性フッ素系化合物を含有する活性エネルギー線硬化型組成物に関する。
Figure 2012072232
(式中、R、R、R、R及びRはそれぞれ独立に水素原子又はメチル基を表し、R、R及びRはそれぞれ独立に水酸基又は下記一般式(2)で表される基を表し、X及びXはそれぞれ独立に2価の有機基を表し、PFPEはポリ(パーフルオロアルキレンエーテル)鎖を表す。ただし、R、R及びRのうち少なくとも1つは下記一般式(2)で表される基である。また、nは平均で0〜10の範囲を表す。)
Figure 2012072232
(式中、Rはそれぞれ独立に水素原子又はメチル基を表し、Xはそれぞれ独立に単結合、2価又は3価の有機基を表す。また、mは1又は2を表す。)
さらに、本発明は前記重合性フッ素系化合物、又は活性エネルギー線硬化型組成物を基材に塗布し、活性エネルギー線を照射して硬化させてなる硬化物、及び前記重合性フッ素系化合物又は活性エネルギー線硬化型組成物の硬化塗膜を有する物品に関する。
本発明の重合性フッ素系化合物は、単独で基材に塗布して硬化塗膜とすることで基材表面に防汚性を付与することができる。また、前記重合性フッ素系化合物を含フッ素界面活性剤として配合した活性エネルギー線硬化型組成物は、基材に塗布した際に、フッ素原子特有の表面自由エネルギーを最小にさせようとする作用が働き、該重合性フッ素系化合物が塗膜表面に偏析し、塗膜表面のみに防汚性等を付与する表面改質が可能である。さらに、前記重合性フッ素系化合物は、活性エネルギー線硬化型組成物中の他の硬化性を有する成分と重合することができるため、硬化塗膜中に本発明の重合性フッ素系化合物がより強固に固定化されるので、熱処理、洗浄などを施しても硬化塗膜表面から重合性フッ素系化合物、又はその分解物の揮発や脱離を抑制することができる。
また、本発明の重合性フッ素系化合物を用いた硬化塗膜は、その表面に優れた防汚性を有しており、硬化表面に付着した汚れを繰り返し拭き取って、塗膜表面を摩耗させても、優れた防汚性を維持することができることから、液晶ディスプレイの最表面に設けた前面保護板用ハードコート層として極めて有用である。
図1は、実施例1で得られた重合性フッ素系化合物(1)のIRスペクトルのチャート図である。 図2は、実施例1で得られた重合性フッ素系化合物(1)のH−NMRスペクトルのチャート図である。 図3は、実施例1で得られた重合性フッ素系化合物(1)の13C−NMRスペクトルのチャート図である。
本発明の重合性フッ素系化合物は、下記一般式(1)で表される化合物である。
Figure 2012072232
(式中、R、R、R、R及びRはそれぞれ独立に水素原子又はメチル基を表し、R、R及びRはそれぞれ独立に水酸基又は下記一般式(2)で表される基を表し、X及びXはそれぞれ独立に2価の有機基を表し、PFPEはポリ(パーフルオロアルキレンエーテル)鎖を表す。ただし、R、R及びRのうち少なくとも1つは下記一般式(2)で表される基である。また、nは平均で0〜10の範囲を表す。)
Figure 2012072232
(式中、Rはそれぞれ独立に水素原子又はメチル基を表し、Xはそれぞれ独立に単結合、2価又は3価の有機基を表す。また、mは1又は2を表す。)
上記一般式(1)中の結合の折り返し部分は、炭素原子を介さない単結合を表す。また、他の式中の結合の折り返し部分も同義である。
上記一般式(1)中のR及びR、並びに一般式(2)中のRはそれぞれ独立に水素原子又はメチル基であるが、後述する活性エネルギー線硬化型樹脂(B)及び活性エネルギー線硬化性単量体(C)との重合性が良好なことから、R、R及びRが、水素原子のものが好ましい。
上記一般式(1)中のX及びXは、それぞれ独立に2価の有機基であるが、この2価の有機基の具体例としては、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基等が挙げられる。
上記一般式(2)中のXは単結合、2価又は3価の有機基である。Xが単結合である場合は、上記一般式(2)中のmは1となる。また、X、X又はXが2価又は3価の有機基である場合は、上記一般式(2)中のmは1又は2となる。なお、本発明において「単結合」とは、他の原子を介さず、直接結合していることを意味する。
さらに、前記2価又は3価の有機基は、後述する化合物(a4)が有する水酸基との反応により形成する連結基であるため、ウレタン結合又はエステル結合を含む有機基が好ましい。このような2価又は3価の有機基としては、例えば、下記の有機基が挙げられる。なお、Y、Y及びYに上記一般式(1)中のかっこで囲まれた(メタ)アクリロイル基が結合する。
Figure 2012072232
(式中、Y、Y及びYはそれぞれ独立にメチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基等のアルキレン基を表し、R10は水素原子又はメチル基、エチル基、プロピル基等のアルキル基を表す。)
また、上記一般式(1)中の「PFPE」で表されるポリ(パーフルオロアルキレンエーテル)鎖としては、炭素原子数1〜3の2価フッ化炭素基と酸素原子が交互に連結した構造を有するものが挙げられる。炭素原子数1〜3の2価フッ化炭素基は、1種類であっても良いし複数種の混合であっても良く、具体的には、下記構造式(a1)で表されるものが挙げられる。
Figure 2012072232
(上記構造式(a1)中、Xは下記構造式(a1−1)〜(a1−5)であり、構造式(a1)中の全てのXが同一構造のものであってもよいし、また、複数の構造がランダムに又はブロック状に存在していてもよい。また、tは繰り返し単位数を表す1以上の整数である。)
Figure 2012072232
これらの中でも特に塗膜表面の汚れの拭き取り性が良好となって防汚性に優れた塗膜が得られる点から前記構造式(a1−1)で表されるパーフルオロメチレン構造と、前記構造式(a1−2)で表されるパーフルオロエチレン構造とが共存するものがとりわけ好ましい。ここで、前記構造式(a1−1)で表されるパーフルオロメチレン構造と、前記構造式(a1−2)で表されるパーフルオロエチレン構造との存在比率は、モル比率[構造(a1−1)/構造(a1−2)]が1/10〜10/1となる割合であることが防汚性の点から好ましく、また、前記構造式(a1)中のtの値は3〜100の範囲であること、特に6〜70の範囲が好ましい。
また、前記ポリ(パーフルオロアルキレンエーテル)鎖は、防汚性が優れる点と非フッ素系硬化性樹脂組成物への溶解性を向上させやすい点からポリ(パーフルオロアルキレンエーテル)鎖1本に含まれるフッ素原子の合計が18〜200個の範囲であることが好ましく、25〜150個の範囲であることがより好ましい。
さらに、上記一般式(1)中の繰り返し単位数nは、平均で0〜10の範囲であるが、本発明の重合性フッ素系化合物をフッ素系界面活性剤として用いる場合、組成物の他の成分との相溶性をより良好にできることから、平均で0〜5の範囲が好ましく、平均で0〜2の範囲がより好ましい。
上記一般式(1)中の繰り返し単位数nは、後述する化合物(a2)の水酸基当量及び化合物(a3)のエポキシ当量の値を用いて算出することができる。例えば、化合物(a2)にエピクロロヒドリンを反応させてエポキシ化して、化合物(a3)を得た場合、下記式(1)により、上記一般式(1)中の繰り返し単位数nを求めることができる。なお、化合物(a2)の水酸基当量は、例えば、下記一般式(a2−1−1)で表される化合物(a2)で、19F−NMRを測定し、水酸基とメチレンを介して隣接しているCF部分の化学シフト、パーフルオロメチレン基(−CF−)の化学シフト、パーフルオロエチレン基(−CFCF−)の化学シフト等の積分比を求めた後、水酸基とメチレンを介して隣接しているCF部分の化学シフトの積分比を4として、他のパーフルオロメチレン基、パーフルオロエチレン基等の数をそれぞれの積分比から求め、その結果から得られる化合物(a2)の分子量を2で除することにより求めることができる。また、化合物(a3)のエポキシ当量は、下記の方法により測定することができる。
Figure 2012072232
(式中、p及びqはそれぞれ独立に1以上の整数を表す。)
Figure 2012072232
[エポキシ当量の測定方法]
試料(1±0.3ミリモル当量)をメチルエチルケトン20mlに溶解させ、セチルトリメチルアンモニウムブロマイドの20質量%酢酸溶液(CTMAB)5mlを加え、クリスタルバイオレット指示薬(酢酸溶液)4〜6滴加え、スターラーでかき混ぜながら0.1mol/l過塩素酸酢酸溶液(0.1mol/l HClO)で滴定する。0.1mol/l過塩素酸酢酸溶液を1滴加えて青紫色から青色に変化し、青色を1分間持続したところを終点として滴定量を得る。また、溶剤の体積膨張係数は、温度による補正が必要のため、過塩素酸酢酸溶液の温度を記録する。同時に試料を用いない空試験を行って同様に滴定量を測定し、得られた滴定量を用いて下式(2)にしたがってエポキシ当量を求める。
Figure 2012072232
W :試料量(g)
Vs:本試験に要する0.1mol/l HClOの適定量(ml)
Vb:空試験に要する0.1mol/l HClOの適定量(ml)
20:0.1mol/l HClOの20℃における力価
t :滴定時の0.1mol/l HClOの液温(℃)
前記化合物(A)の製造方法としては、例えば、ポリ(パーフルオロアルキレンエーテル)鎖の両末端に水酸基を有する化合物(a2)とエピクロロヒドリン、β−メチルエピクロロヒドリン等のエピハロヒドリンとを反応させることにより、ポリ(パーフルオロアルキレンエーテル)鎖の両末端にエポキシ基を有する化合物(a3)を得る。次いで、この化合物(a3)が有するエポキシ基に(メタ)アクリル酸を反応させて、(パーフルオロアルキレンエーテル)鎖の両末端に(メタ)アクリロイル基を有する化合物(a4)を得た後、この化合物(a4)が有する水酸基に、水酸基と反応性を有する官能基及び(メタ)アクリロイル基を有する化合物(a5)を反応させる方法が挙げられる。
なお、本発明において、「(メタ)アクリル酸」とは、メタクリル酸とアクリル酸の一方又は両方をいい、「(メタ)アクリロイル」とは、メタクリロイルとアクリロイルの一方、又は両方をいい、「(メタ)アクリレート」とは、メタクリレートとアクリレートの一方又は両方をいう。
前記化合物(a2)としては、例えば、下記一般式(a2−1)、(a2−2)等が挙げられる。なお、下記式中の「−PFPE−」は、上記のポリ(パーフルオロアルキレンエーテル)鎖を表す。
Figure 2012072232
また、前記化合物(a3)としては、例えば、下記一般式(a3−1)、(a3−2)等が挙げられる。なお、前記化合物(a2)とエピハロヒドリンとを反応させると、前記化合物(a2)にエポキシ基が導入される過程において、エポキシ基と前記化合物(a2)中の未反応水酸基が反応し、繰り返し単位を有するエポキシ化合物となる。この繰り返し単位数nの範囲については、上記の通りである。
Figure 2012072232
前記化合物(a2)とエピハロヒドリンとの反応方法としては、例えば、前記化合物(a2)と、エピクロロヒドリン、エピブロモヒドリン、エピヨードヒドリン、β−メチルエピクロロヒドリン等のエピハロヒドリンとを混合して溶解混合物とした後、この溶解混合物に水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物をそのまま添加、又はアルカリ金属水酸化物の水溶液を滴下しながら20〜120℃で1〜10時間反応させる方法が挙げられる。前記エピハロヒドリンの中でも前記化合物(a2)との反応性が良好であることから、エピクロロヒドリンが好ましい。
ここで、前記エピハロヒドリンの添加量は、前記化合物(a2)中の水酸基1モル当量に対して、通常0.3〜30モル当量の範囲であることが好ましいが、分子量の調節が容易であり、かつ、過剰エピハロヒドリンを除去する工程を短縮でき生産性が向上できることから1〜15当量の範囲であることがより好ましく、エポキシ化合物(a3)のオリゴマー化を抑制し、前記した平均の繰り返し単位数nを0〜2の範囲とするために、1.5〜12当量の範囲であることがさらに好ましい。
また、この反応において、アルカリ金属水酸化物を水溶液として用いる場合は、該アルカリ金属水酸化物の水溶液を連続的に反応系内に添加するとともに、減圧下又は常圧下で連続的に水及びエピハロヒドリンを留出させ、留出物を分液し水を除去しながらエピハロヒドリンを反応系内に連続的に戻す方法が好ましい。
また、上記反応は、前記化合物(a2)とエピハロヒドリンの溶解混合物にテトラメチルアンモニウムクロライド、テトラメチルアンモニウムブロマイド、トリメチルベンジルアンモニウムクロライド等の4級アンモニウム塩を触媒として添加する場合は、50〜150℃で1〜5時間反応させて前記化合物(a2)のハロヒドリンエーテル化物を得た後、これにアルカリ金属水酸化物をそのまま又は水溶液で加え、再び20〜120℃で1〜10時間反応させ脱ハロゲン化水素(閉環)させる方法が好ましい。
上記のいずれの反応も、反応を円滑に進行させるために有機溶媒を用いることが好ましい。ここで用いることができる有機溶媒としては、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ブタノール等のアルコール系溶媒、アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン類、ジオキサン等のエーテル系溶媒、ジメチルスルホン、ジメチルスルホキシド等の非プロトン性極性溶媒などが挙げられる。これらの有機溶媒の使用量は、エピハロヒドリンの量に対して質量基準で、0.05〜0.5倍量であることが好ましく、中でも0.10〜0.30倍量であることがより好ましい。特に、非プロトン性極性溶媒を用いる場合は、エピハロヒドリンの量に対して0.05〜1倍量であることが好ましく、中でも0.10〜0.6倍量であることがより好ましい。
このようにエポキシ化反応を行った後、得られたエポキシ化合物である前記化合物(a3)の粗生成物を、水洗又は水洗をせずに加熱減圧下、110〜250℃、圧力1.3kPa以下でエピハロヒドリンや使用した有機溶媒等を除去して精製する。また、加水分解性ハロゲン化物の少ないものとするために、エピハロヒドリン等を回収した後に得られる粗生成物をさらにトルエン、メチルイソブチルケトン等の有機溶剤に溶解し、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物の水溶液を加えて、反応させて閉環反応を行うことにより、エポキシ基の濃度をより高めることができる。この際のアルカリ金属水酸化物の使用量は、粗生成物中に残存する加水分解性塩素原子1モルに対して、0.5〜10モルの範囲が好ましく、1.2〜5モルの範囲がより好ましい。
前記閉環反応を行う際の反応温度が50〜120℃の範囲であり、反応時間が0.5〜3時間の範囲であることが好ましい。また、反応速度の向上を目的として、4級アンモニウム塩やクラウンエーテル等の相間移動触媒を反応系中に存在させてもよい。相間移動触媒を使用する場合のその使用量は、粗生成物に対して0.1〜3質量%の範囲が好ましい。反応終了後、生成した塩を濾過、水洗等により除去し、さらに、加熱減圧下トルエン、メチルイソブチルケトンなどの溶剤を留去することにより目的とするエポキシ化合物である前記化合物(a3)が得られる。
上記のようにして製造した化合物(a3)が有するエポキシ基と(メタ)アクリル酸とを反応させ、開環エステル化することにより、前記化合物(A)を得ることができる。この反応は、酸価を測定することで反応の進行を確認することができ、前記化合物(a3)中のエポキシ基の90モル%以上、好ましくは95モル%以上が(メタ)アクリレート化されるまで行う。なお、酸価は、下記の方法によって測定することができる。
[酸価の測定方法]
試料1.0gを精秤し、トルエン−メタノール混合溶剤(トルエン70質量部及びメタノール30質量部を混合し、フェノールフタレインを指示薬として、0.1mol/l水酸化カリウムアルコール溶液で中和したもの)30mlに溶解する。フェノールフタレイン指示薬を2〜3滴加え、0.1mol/l水酸化カリウムアルコール溶液(水酸化カリウム7gを純水100mlに溶解した後、エタノールで1000mlとし、2日後に濾過したもの)で滴定する。0.1mol/l水酸化カリウムアルコール溶液を1滴加えて無色から微紅色に変化し、微紅色を30秒間持続したところを終点として滴定量を得る。次いで、得られた滴定量を用いて下式(3)にしたがって酸価を求める。
Figure 2012072232
S :試料量(g)
V :0.1mol/l水酸化カリウムアルコール溶液の適定量(ml)
F :0.1mol/l水酸化カリウムアルコール溶液の力価
前記化合物(a3)と(メタ)アクリル酸との使用割合は、前記化合物(a3)中のエポキシ基1モル当量に対して(メタ)アクリル酸を0.90〜1.10モル当量となる範囲が好ましい。
前記化合物(a3)と(メタ)アクリル酸との反応は、全量を上記の使用割合で一括反応させても、順次反応させて最終的に上記の使用割合になるよう反応させてもよい。また、当該反応はエステル化触媒の存在下に行うことが好ましく、このエステル化触媒としては、例えば、トリエチルアミン、N,N−ベンジルジメチルアミン、N,N−ジメチルフェニルアミン、N,N−ジメチルアニリン、ジアザビシクロオクタン等の3級アミン化合物;トリメチルベンジルアンモニウムクロライド、トリエチルベンジルアンモニウムクロライド、メチルトリエチルアンモニウムクロライド等の4級アンモニウム塩;トリフェニルホスフィン、トリブチルホスフィン等のホスフィン化合物;2−メチルイミダゾール、1,2−ジメチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール等のイミダゾール化合物;アニオン交換樹脂などが挙げられる。該触媒の使用量は反応混合物の合計量に対して、反応性に優れる点から0.01〜1質量%となる範囲が好ましく、0.05〜0.5質量%となる範囲がより好ましい。
前記化合物(a3)と(メタ)アクリル酸との反応において、反応中の重合防止やゲル化を抑制することができることから、前記化合物(a3)と(メタ)アクリル酸との合計量に対して、100〜2,000ppmとなる範囲で重合禁止剤を用いることが好ましい。この重合禁止剤としては、例えば、p−ベンゾキノン、アントラキノン、1,4−ナフトキノン、p−トルキノン、メトキノン等のキノン化合物;ハイドロキノン、モノメチルハイドロキノン、モノ−t−ブチルハイドロキノン等のハイドロキノン化合物;ナフテン酸銅等のカルボン酸金属塩;フェノチアジン等の硫黄化合物が好ましく、これらの重合禁止剤の中でもその効果が顕著であることから、メトキノン、ハイドロキノンがより好ましい。
また、前記反応は、通常無溶媒で行うことが好ましいが、有機溶媒の存在下で行うこともできる。ここで使用し得る有機溶媒としては、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン化合物;トルエン、キシレン、テトラメチルベンゼン等の芳香族炭化水素化合物;ジプロピレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールジエチルエーテル等のグリコールエーテル化合物;酢酸エチル、酢酸ブチル、ブチルセロソルブアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート等のエステル化合物;オクタン、デカン等の脂肪族炭化水素化合物、石油エーテル、石油ナフサ、水添石油ナフサ、ソルベントナフサ等の石油系溶剤などが挙げられる。これらの中でも、高温条件での反応が可能な点から、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート又はジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテートを単独で使用するか、これに加えて芳香族炭化水素化合物を併用することが好ましい。
前記反応における反応温度は、60〜150℃の範囲であることが反応を好適に進行させることができる点から好ましいが、反応時間が短く、経済的に優位であることから、中でも80〜130℃であることがより好ましい。また、(メタ)アクリル酸が重合しないように、空気雰囲気下で反応を行うことが好ましく、重合しない程度に不活性ガスと適宜調整して反応に供してもよい。
前記エステル化触媒は、前記化合物(a3)と(メタ)アクリル酸とを反応させる際に一括で添加することもできるが、エステル化触媒の一部をまず添加(一次添加)して反応を進行させた後、残りのエステル化触媒をさらに連続的ないし断続的に添加(二次添加)してもよい。この一次添加と二次添加で用いる際のエステル化触媒の量は、一次添加で全量の50〜90質量%を添加し、二次添加で残りを添加することが好ましい。
上記の反応により得られる前記化合物(a4)の具体例としては、下記一般式(a4−1)、(a4−2)等で表される化合物が挙げられる。また、本発明においては、前記化合物(a4)が有する水酸基を、重合性不飽和基を導入する部位として用いることに特徴がある。なお、下記一般式(a4−1)及び(a4−2)中の繰り返し単位数nの範囲については、上記の通りである。
Figure 2012072232
(式中、R及びRはそれぞれ独立に水素原子又はメチル基を表す。)
上記のようにして得られる前記化合物(a4)に、化合物(a4)が有する水酸基と反応性を有する官能基及び(メタ)アクリロイル基を有する化合物(a5)とを反応させることにより、本発明の重合性フッ素系化合物が得られる。
前記化合物(a5)が有する水酸基と反応性を有する官能基としては、イソシアネート基、カルボン酸ハロゲン化物、酸無水物が挙げられる。また、前記化合物(a5)の具体例としては、イソシアネート基を有する化合物として、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルイソシアネート、2−(2−(メタ)アクリロイルオキシエトキシ)エチルイソシアネート、1,1−ビス((メタ)アクリロイルオキシメチル)エチルイソシアネート等が挙げられ、カルボン酸ハロゲン化物を有する化合物として、(メタ)アクリル酸クロライド、(メタ)アクリル酸ブロマイド等が挙げられ、酸無水物を有する化合物として、無水マレイン酸、無水イタコン酸等が挙げられる。
これらの中でも特に紫外線照射での重合硬化性が好ましい点から、2−アクリロイルオキシエチルイソシアネート、2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネート、1,1−ビス(アクリロイルオキシメチル)エチルイソシアネートが好ましい。
前記化合物(a4)に、化合物(a4)が有する水酸基と反応性を有する官能基及び(メタ)アクリロイル基を有する化合物(a5)とを反応させる方法は、化合物(C)中の重合性不飽和基が重合しない条件で行えば良く、例えば、温度条件を30〜120℃の範囲に調節して反応させることが好ましい。この反応は触媒や重合禁止剤の存在下、必要により有機溶剤の存在下に行うことが好ましい。
例えば、前記化合物(a5)が有する水酸基と反応性を有する官能基がイソシアネート基である場合、重合禁止剤としてp−メトキシフェノール、ヒドロキノン、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール等を使用し、ウレタン化反応触媒としてジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジアセテート、オクチル酸錫、オクチル酸亜鉛等を使用し、反応温度は、20〜150℃の範囲、特に40〜120℃の範囲で反応させる方法が好ましい。
上記反応で用いられる有機溶媒はケトン類、エステル類、アミド類、スルホキシド類、エーテル類、炭化水素類が好ましく、具体的には、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、酢酸エチル、酢酸ブチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、トルエン、キシレン等が挙げられる。これらは、沸点、相溶性を考慮して適宜選択すればよい。
上記のようにして得られる本発明の重合性フッ素系化合物は、硬化塗膜に優れた防汚性を付与できることから、その数平均分子量(Mn)が1,000〜5,000の範囲であることが好ましく、1,500〜3,000の範囲であることがより好ましい。また、重量平均分子量(Mw)が1,000〜10,000の範囲であることが好ましく、1,500〜4,000の範囲であることが好ましい。なお、数平均分子量(Mn)及び重量平均分子量(Mw)は、上記のGPC測定に基づきポリスチレン換算した値である。
ここで、数平均分子量(Mn)及び重量平均分子量(Mw)は、ゲル浸透クロマトグラフィー(以下、「GPC」と略記する。)測定に基づきポリスチレン換算した値である。なお、GPCの測定条件は以下の通りである。
[GPC測定条件]
測定装置:東ソー株式会社製「HLC−8220 GPC」、
カラム:東ソー株式会社製ガードカラム「HHR−H」(6.0mmI.D.×4cm)
+東ソー株式会社製「TSK−GEL GMHHR−N」(7.8mmI.D.×30cm)
+東ソー株式会社製「TSK−GEL GMHHR−N」(7.8mmI.D.×30cm)
+東ソー株式会社製「TSK−GEL GMHHR−N」(7.8mmI.D.×30cm)
+東ソー株式会社製「TSK−GEL GMHHR−N」(7.8mmI.D.×30cm)
検出器:ELSD(オルテック製「ELSD2000」)
データ処理:東ソー株式会社製「GPC−8020モデルIIデータ解析バージョン4.30」
測定条件:カラム温度 40℃
展開溶媒 テトラヒドロフラン(THF)
流速 1.0ml/分
試料:樹脂固形分換算で1.0質量%のテトラヒドロフラン溶液をマイクロフィルターでろ過したもの(100μl)。
標準試料:前記「GPC−8020モデルIIデータ解析バージョン4.30」の測定マニュアルに準拠して、分子量が既知の下記の単分散ポリスチレンを用いた。
(単分散ポリスチレン)
東ソー株式会社製「A−500」
東ソー株式会社製「A−1000」
東ソー株式会社製「A−2500」
東ソー株式会社製「A−5000」
東ソー株式会社製「F−1」
東ソー株式会社製「F−2」
東ソー株式会社製「F−4」
東ソー株式会社製「F−10」
東ソー株式会社製「F−20」
東ソー株式会社製「F−40」
東ソー株式会社製「F−80」
東ソー株式会社製「F−128」
東ソー株式会社製「F−288」
東ソー株式会社製「F−550」
また、本発明の重合性フッ素系化合物中のフッ素含有率は、防汚性とその持続性、他の成分との相溶性との両立を図ることができることから、5〜60質量%の範囲が好ましく、10〜55質量%の範囲がより好ましく、15〜50質量%の範囲がさらに好ましい。なお、本発明の重合性フッ素系化合物中のフッ素含有率は、用いた原料の合計量に対するフッ素原子の質量比率から算出した値である。
本発明の重合性フッ素系化合物は、それ自体を活性エネルギー線硬化型組成物の主剤として用いることができるが、極めて表面偏析しやすく、少量でも優れた表面改質性能を有しているため、活性エネルギー線硬化型組成物に添加する含フッ素界面活性剤として用いることで、硬化塗膜に優れた防汚性を付与できる。
本発明の活性エネルギー線硬化型組成物は、本発明の重合性フッ素系化合物を配合したものであるが、その主成分しては、活性エネルギー線硬化型樹脂(B)又は活性エネルギー線硬化性単量体(C)を含有する。なお、本発明の活性エネルギー線硬化型組成物において、活性エネルギー線硬化型樹脂(B)と活性エネルギー線硬化性単量体(C)とは、それぞれ単独で用いてもよいが、併用しても構わない。また、本発明の重合性フッ素系化合物は、当該活性エネルギー線硬化型組成物において、含フッ素界面活性剤として用いることが好ましい。
前記活性エネルギー線硬化型樹脂(B)は、ウレタン(メタ)アクリレート樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、エポキシ(メタ)アクリレート樹脂、ポリエステル(メタ)アクリレート樹脂、アクリル(メタ)アクリレート樹脂、マレイミド基含有樹脂等が挙げられるが、本発明では、特に透明性や低収縮性等の点からウレタン(メタ)アクリレート樹脂が好ましい。
ここで用いるウレタン(メタ)アクリレート樹脂は、脂肪族ポリイソシアネート化合物又は芳香族ポリイソシアネート化合物とヒドロキシ基含有(メタ)アクリレート化合物とを反応させて得られるウレタン結合と(メタ)アクリロイル基とを有する樹脂が挙げられる。
前記脂肪族ポリイソシアネート化合物としては、例えば、テトラメチレンジイソシアネート、ペンタメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ヘプタメチレンジイソシアネート、オクタメチレンジイソシアネート、デカメチレンジイソシアネート、2−メチル−1,5−ペンタンジイソシアネート、3−メチル−1,5−ペンタンジイソシアネート、ドデカメチレンジイソシアネート、2−メチルペンタメチレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ノルボルナンジイソシアネート、水素添加ジフェニルメタンジイソシアネート、水素添加トリレンジイソシアネート、水素添加キシリレンジイソシアネート、水素添加テトラメチルキシリレンジイソシアネート、シクロヘキシルジイソシアネート等が挙げられ、また、芳香族ポリイソシアネート化合物としては、トリレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、トリジンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート等が挙げられる。
一方、ヒドロキシ基含有アクリレート化合物としては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、1,5−ペンタンジオールモノ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールモノ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールモノ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールモノ(メタ)アクリレート等の2価アルコールのモノ(メタ)アクリレート;トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、エトキシ化トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、プロポキシ化トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、ビス(2−(メタ)アクリロイルオキシエチル)ヒドロキシエチルイソシアヌレート等の3価のアルコールのモノ又はジ(メタ)アクリレート、あるいは、これらのアルコール性水酸基の一部をε−カプロラクトンで変性した水酸基含有モノ及びジ(メタ)アクリレート;ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート等の1官能の水酸基と3官能以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物、あるいは、該化合物をさらにε−カプロラクトンで変性した水酸基含有多官能(メタ)アクリレート;ジプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート等のオキシアルキレン鎖を有する(メタ)アクリレート化合物;ポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリオキシブチレン−ポリオキシプロピレンモノ(メタ)アクリレート等のブロック構造のオキシアルキレン鎖を有する(メタ)アクリレート化合物;ポリ(エチレングリコール−テトラメチレングリコール)モノ(メタ)アクリレート、ポリ(プロピレングリコール−テトラメチレングリコール)モノ(メタ)アクリレート等のランダム構造のオキシアルキレン鎖を有する(メタ)アクリレート化合物等が挙げられる。
上記した脂肪族ポリイソシアネート化合物又は芳香族ポリイソシアネート化合物とヒドロキシ基含有アクリレート化合物との反応は、ウレタン化触媒の存在下、常法により行うことができる。ここで使用し得るウレタン化触媒は、具体的には、ピリジン、ピロール、トリエチルアミン、ジエチルアミン、ジブチルアミンなどのアミン類、トリフェニルホスフィン、トリエチルホスフィンなどのホフィン類、ジブチル錫ジラウレート、オクチル錫トリラウレート、オクチル錫ジアセテート、ジブチル錫ジアセテート、オクチル酸錫などの有機錫化合物、オクチル酸亜鉛などの有機金属化合物が挙げられる。
これらのウレタンアクリレート樹脂の中でも特に脂肪族ポリイソシアネート化合物とヒドロキシ基含有(メタ)アクリレート化合物とを反応させて得られるものが硬化塗膜の透明性に優れ、かつ、活性エネルギー線に対する感度が良好で硬化性に優れる点から好ましい。
次に、不飽和ポリエステル樹脂は、α,β−不飽和二塩基酸又はその酸無水物、芳香族飽和二塩基酸又はその酸無水物、及び、グリコール類の重縮合によって得られる硬化性樹脂であり、α,β−不飽和二塩基酸又はその酸無水物としては、マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸、クロロマレイン酸、及びこれらのエステル等が挙げられる。芳香族飽和二塩基酸又はその酸無水物としては、フタル酸、無水フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ニトロフタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、エンドメチレンテトラヒドロ無水フタル酸、ハロゲン化無水フタル酸及びこれらのエステル等が挙げられる。脂肪族あるいは脂環族飽和二塩基酸としては、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、グルタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸及びこれらのエステル等が挙げられる。グリコール類としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2−メチルプロパン−1,3−ジオール、ネオペンチルグリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ビスフェノールA、水素化ビスフェノールA、エチレングリコールカーボネート、2,2−ジ−(4−ヒドロキシプロポキシジフェニル)プロパン等が挙げられ、その他にエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド等の酸化物も同様に使用できる。
次に、エポキシビニルエステル樹脂としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂等のエポキシ樹脂のエポキシ基に(メタ)アクリル酸を反応させて得られるものが挙げられる。
また、マレイミド基含有樹脂としては、N−ヒドロキシエチルマレイミドとイソホロンジイソシアネートとをウレタン化して得られる2官能マレイミドウレタン化合物、マレイミド酢酸とポリテトラメチレングリコールとをエステル化して得られる2官能マレイミドエステル化合物、マレイミドカプロン酸とペンタエリスリトールのテトラエチレンオキサイド付加物とをエステル化して得られる4官能マレイミドエステル化合物、マレイミド酢酸と多価アルコール化合物とをエステル化して得られる多官能マレイミドエステル化合物等が挙げられる。これらの活性エネルギー線硬化型樹脂(B)は、単独で用いることも2種以上併用することもできる。
前記活性エネルギー線硬化性単量体(C)としては、例えば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、数平均分子量が150〜1000の範囲にあるポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、数平均分子量が150〜1000の範囲にあるポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,3−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸エステルネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスルトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスルトールヘキサ(メタ)アクリレート、ペンタエリスルトールテトラ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスルトールペンタ(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、メチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレート等の脂肪族アルキル(メタ)アクリレート、グリセロール(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート、2−ブトキシエチル(メタ)アクリレート、2−(ジエチルアミノ)エチル(メタ)アクリレート、2−(ジメチルアミノ)エチル(メタ)アクリレート、γ−(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、2−メトキシエチル(メタ)アクリレート、メトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシジプロピレングリコール(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシジプロピレングルリコール(メタ)アクリレート、フェノキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、ポリブタジエン(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール−ポリブチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリスチリルエチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、メトキシ化シクロデカトリエン(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート;マレイミド、N−メチルマレイミド、N−エチルマレイミド、N−プロピルマレイミド、N−ブチルマレイミド、N−ヘキシルマレイミド、N−オクチルマレイミド、N−ドデシルマレイミド、N−ステアリルマレイミド、N−フェニルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド、2−マレイミドエチル−エチルカーボネート、2−マレイミドエチル−プロピルカーボネート、N−エチル−(2−マレイミドエチル)カーバメート、N,N−ヘキサメチレンビスマレイミド、ポリプロピレングリコール−ビス(3−マレイミドプロピル)エーテル、ビス(2−マレイミドエチル)カーボネート、1,4−ジマレイミドシクロヘキサン等のマレイミド類などが挙げられる。
これらのなかでも特に硬化塗膜の硬度に優れる点からトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスルトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスルトールヘキサ(メタ)アクリレート、ペンタエリスルトールテトラ(メタ)アクリレート等の3官能以上の多官能(メタ)アクリレートが好ましい。これらの活性エネルギー線硬化性単量体(C)は、単独で用いることも2種以上併用することもできる。
本発明の活性エネルギー線硬化型組成物において、本発明の重合性フッ素系化合物を含フッ素界面活性剤として使用する場合、その使用量は、前記活性エネルギー線硬化型樹脂(B)及び活性エネルギー線硬化性単量体(C)の合計100質量部に対して、0.01〜10質量部の範囲であることが好ましく、0.1〜5質量%の範囲であることがより好ましい。本発明の重合性フッ素系化合物の使用量がこの範囲であれば、レベリング性、撥水撥油性、防汚性を十分なものにすることができ、該組成物の硬化後の硬度や透明性も十分なものとすることができる。
本発明の重合性フッ素系化合物又は活性エネルギー線硬化型組成物は、基材に塗布後、活性エネルギー線を照射することで硬化塗膜とすることができる。この活性エネルギー線とは、紫外線、電子線、α線、β線、γ線のような電離放射線をいう。活性エネルギー線として紫外線を照射して硬化塗膜とする場合には、該重合性フッ素系化合物又は活性エネルギー線硬化型組成物中に光重合開始剤(D)を添加し、硬化性を向上することが好ましい。また、必要であればさらに光増感剤を添加して、硬化性を向上することもできる。一方、電子線、α線、β線、γ線のような電離放射線を用いる場合には、光重合開始剤や光増感剤を用いなくても速やかに硬化するので、特に光重合開始剤(D)や光増感剤を添加する必要はない。
前記光重合開始剤(D)としては、分子内開裂型光重合開始剤及び水素引き抜き型光重合開始剤が挙げられる。分子内開裂型光重合開始剤としては、例えば、ジエトキシアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、ベンジルジメチルケタール、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル−(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン、1−ヒドロキシシクロヘキシル−フェニルケトン、2−メチル−2−モルホリノ(4−チオメチルフェニル)プロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタノン等のアセトフェノン系化合物;ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル等のベンゾイン類;2,4,6−トリメチルベンゾインジフェニルホスフィンオキシド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキシド等のアシルホスフィンオキシド系化合物;ベンジル、メチルフェニルグリオキシエステル等が挙げられる。
一方、水素引き抜き型光重合開始剤としては、例えば、ベンゾフェノン、o−ベンゾイル安息香酸メチル−4−フェニルベンゾフェノン、4,4’−ジクロロベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4’−メチル−ジフェニルサルファイド、アクリル化ベンゾフェノン、3,3’,4,4’−テトラ(t−ブチルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3’−ジメチル−4−メトキシベンゾフェノン等のベンゾフェノン系化合物;2−イソプロピルチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジクロロチオキサントン等のチオキサントン系化合物;ミヒラ−ケトン、4,4’−ジエチルアミノベンゾフェノン等のアミノベンゾフェノン系化合物;10−ブチル−2−クロロアクリドン、2−エチルアンスラキノン、9,10−フェナンスレンキノン、カンファーキノン等が挙げられる。
上記の光重合開始剤(D)の中でも、活性エネルギー線硬化型組成物中の前記活性エネルギー線硬化性樹脂(B)及び活性エネルギー線硬化性単量体(C)との相溶性に優れる点から、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、及びベンゾフェノンが好ましく、特に、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンが好ましい。これらの光重合開始剤(D)は、単独で用いることも、2種以上を併用することもできる。
また、前記光増感剤としては、例えば、脂肪族アミン、芳香族アミン等のアミン類、o−トリルチオ尿素等の尿素類、ナトリウムジエチルジチオホスフェート、s−ベンジルイソチウロニウム−p−トルエンスルホネート等の硫黄化合物などが挙げられる。
これらの光重合開始剤及び光増感剤の使用量は、活性エネルギー線硬化型組成物中の不揮発成分100質量部に対し、各々0.01〜20質量部が好ましく、0.1〜15質量%がより好ましく、0.3〜7質量部がさらに好ましい。
さらに、本発明の活性エネルギー線硬化型組成物は、用途、特性等の目的に応じ、本発明の効果を損なわない範囲で、粘度や屈折率の調整、あるいは、塗膜の色調の調整やその他の塗料性状や塗膜物性の調整を目的に各種の配合材料、例えば、各種有機溶剤、アクリル樹脂、フェノール樹脂、ポリエステル樹脂、ポリスチレン樹脂、ウレタン樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、アルキド樹脂、エポキシ樹脂、ポリアミド樹脂、ポリカーボネート樹脂、石油樹脂、フッ素樹脂等の各種樹脂、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)、ポリエチレン、ポリプロピレン、カーボン、酸化チタン、アルミナ、銅、シリカ微粒子等の各種の有機又は無機粒子、重合開始剤、重合禁止剤、帯電防止剤、消泡剤、粘度調整剤、耐光安定剤、耐候安定剤、耐熱安定剤、酸化防止剤、防錆剤、スリップ剤、ワックス、艶調整剤、離型剤、相溶化剤、導電調整剤、顔料、染料、分散剤、分散安定剤、シリコーン系、炭化水素系界面活性剤等を併用することができる。
上記の各配合成分中、有機溶媒は、本発明の活性エネルギー線硬化型組成物の溶液粘度を適宜調整する上で有用であり、特に薄膜コーティングを行うためには、膜厚を調整することが容易となる。ここで使用できる有機溶媒としては、例えば、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素;メタノール、エタノール、イソプロパノール、t−ブタノール等のアルコール類;酢酸エチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等のエステル類;メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類などが挙げられる。これらの溶剤は、単独で用いることも、2種以上を併用することもできる。
ここで有機溶媒の使用量は、用途や目的とする膜厚や粘度によって異なるが、硬化成分の全質量に対して、質量基準で、0.5〜4倍量の範囲であることが好ましい。
本発明の活性エネルギー線硬化型組成物を硬化させる活性エネルギー線としては、上記の通り、紫外線、電子線、α線、β線、γ線のような電離放射線であるが、具体的なエネルギー源又は硬化装置としては、例えば、殺菌灯、紫外線用蛍光灯、カーボンアーク、キセノンランプ、複写用高圧水銀灯、中圧又は高圧水銀灯、超高圧水銀灯、無電極ランプ、メタルハライドランプ、自然光等を光源とする紫外線、又は走査型、カーテン型電子線加速器による電子線等が挙げられる。
これらの中でも特に紫外線であることが好ましく、酸素等による硬化阻害を避けるため、窒素ガス等の不活性ガス雰囲気下で、紫外線を照射することが好ましい。また、必要に応じて熱をエネルギー源として併用し、紫外線にて硬化した後、熱処理を行ってもよい。
本発明の活性エネルギー線硬化型組成物の塗工方法は用途により異なるが、例えば、グラビアコーター、ロールコーター、コンマコーター、ナイフコーター、エアナイフコーター、カーテンコーター、キスコーター、シャワーコーター、ホイーラーコーター、スピンコーター、ディッピング、スクリーン印刷、スプレー、アプリケーター、バーコーター等を用いた塗布方法、あるいは各種金型を用いた成形方法等が挙げられる。
本発明の重合性フッ素系化合物の硬化塗膜は、優れた防汚性(撥インク性、耐指紋性等)、耐擦傷性等を有するため、物品の表面に塗布・硬化することで、物品の表面に防汚性、耐擦傷性等を付与することができる。また、本発明の重合性フッ素系化合物は、塗材に含フッ素界面活性剤として添加することで、その塗材にレベリング性を付与することもできるため、本発明の活性エネルギー線硬化型組成物は、高いレベリング性を有する。
本発明の重合性フッ素系化合物又は活性エネルギー線硬化型組成物を用いて防汚性(撥インク性、耐指紋性等)を付与できる物品としては、TACフィルム等の液晶ディスプレイ(LCD)の偏光板用フィルム;プラズマディスプレイ(PDP)、有機ELディスプレイ等の各種ディスプレイ画面;タッチパネル;携帯電話筐体又は携帯電話の画面;CD、DVD、ブルーレイディスク等の光学記録媒体;インサートモールド(IMD、IMF)用転写フィルム;コピー機、プリンター等のOA機器用ゴムローラー;コピー機、スキャナー等のOA機器の読み取り部のガラス面;カメラ、ビデオカメラ、メガネ等の光学レンズ;腕時計等の時計の風防、ガラス面;自動車、鉄道車輌等の各種車輌のウインドウ;化粧板等の各種建材;住宅の窓ガラス;家具等の木工材料、人工・合成皮革、家電の筐体等の各種プラスチック成形品、FRP浴槽などが挙げられる。これらの物品表面に本発明の重合性フッ素系化合物又は活性エネルギー線硬化型組成物を塗布し、紫外線等の活性エネルギー線を照射して硬化塗膜を形成することで、物品表面に防汚性を付与することができる。また、本発明の重合性フッ素系化合物を各物品に適した各種塗料に添加し、塗布・乾燥することで、物品表面に防汚性を付与することも可能である。
また、本発明の重合性フッ素系化合物を添加し、レベリング性を向上するとともに、塗膜に防汚性(撥インク性、耐指紋性等)を付与できる塗材としては、TACフィルム等のLCDの偏光板用フィルムのハードコート材、アンチグレア(AG:防眩)コート材又は反射防止(LR)コート材;プラズマディスプレイ、有機ELディスプレイ(PDP)等の各種ディスプレイ画面用ハードコート材;タッチパネル用ハードコート材;液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ、CCD、CMOS等の撮像素子などに用いられるカラーフィルター(以下、「CF」という。)に使用されるRGBの各画素を形成するためのカラーレジスト、印刷インク、インクジェットインク又は塗料;CFのブラックマトリックス用のブラックレジスト、印刷インク、インクジェットインク又は塗料;プラズマディスプレイ(PDP)、有機ELディスプレイ等の画素隔壁用樹脂組成物;携帯電話筐体用塗料又はハードコート材;携帯電話の画面用ハードコート材;CD、DVD、ブルーレイディスク等の光学記録媒体用ハードコート材;インサートモールド(IMD、IMF)用転写フィルム用ハードコート材;コピー機、プリンター等のOA機器用ゴムローラー用コート材;コピー機、スキャナー等のOA機器の読み取り部のガラス用コート材;カメラ、ビデオカメラ、メガネ等の光学レンズ用コート材;腕時計等の時計の風防、ガラス用コート材;自動車、鉄道車輌等の各種車輌のウインドウ用コート材;化粧板等の各種建材用印刷インキ又は塗料;住宅の窓ガラス用コート材;家具等の木工用塗料;人工・合成皮革用コート材;家電の筐体等の各種プラスチック成形品用塗料又はコート材;FRP浴槽用塗料又はコート材などが挙げられる。
さらに、本発明の重合性フッ素系化合物又は活性エネルギー線硬化型組成物を用いて耐擦傷性(耐スクラッチ性)及び防汚性を付与できる物品としては、LCDのバックライト部材であるプリズムシート又は拡散シート等が挙げられる。また、プリズムシート又は拡散シート用コート材に本発明の重合性フッ素系化合物を添加することで、該コート材のレベリング性を向上するとともに、コート材の塗膜に耐擦傷性(耐スクラッチ性)及び防汚性を付与することができる。
また、本発明の重合性フッ素系化合物の硬化塗膜は低屈折率であるため、LCD等の各種ディスプレイ表面への蛍光灯等の映り込みを防止する反射防止層中の低屈折率層用塗材としても用いることができる。また、反射防止層用の塗材、特に反射防止層中の低屈折率層用塗材に本発明の重合性フッ素系化合物を添加することで、塗膜の低屈折率を維持しつつ、塗膜表面に防汚性を付与することもできる。
さらに、本発明の重合性フッ素系化合物又は活性エネルギー線硬化型組成物を用いることができるその他の用途として、光ファイバクラッド材、導波路、液晶パネルの封止材、各種光学用シール材、光学用接着剤等が挙げられる。
特に、LCD用偏光板の保護フィルム用コート材用途のうち、アンチグレアコート材として本発明の活性エネルギー線硬化型組成物を用いる場合、上記した各組成のうち、シリカ微粒子、アクリル樹脂微粒子、ポリスチレン樹脂微粒子等の無機又は有機微粒子を、本発明の活性エネルギー線硬化型組成物中の硬化成分の全質量の0.1〜0.5倍量となる割合で配合することで防眩性に優れたものとなるため好ましい。
また、本発明の重合性フッ素系化合物又は活性エネルギー線硬化型組成物を、LCD用偏光板の保護フィルム用アンチグレアコート材に用いる場合、コート材を硬化させる前に凹凸の表面形状の金型に接触させた後、金型と反対側から活性エネルギー線を照射して硬化し、コート層の表面をエンボス加工して防眩性を付与する転写法にも適用できる。また、塗材を硬化させる前に鏡面を有する金型又はフィルムに接触させた後、金型又はフィルムと反対側から活性エネルギー線を照射して硬化し、塗膜の表面を鏡面とする転写法にも適用できる。
以下に本発明を具体的な実施例を挙げてより詳細に説明する。なお、本発明の重合性フッ素系化合物の中間体であるポリ(パーフルオロアルキレンエーテル)鎖とその両末端にエポキシ基を有する化合物のエポキシ当量、ポリ(パーフルオロアルキレンエーテル)鎖とその両末端に(メタ)アクリロイル基を有する化合物の酸価、IRスペクトル及びNMRスペクトルの測定方法、並びに重合性フッ素系化合物のGPCの測定条件は下記の通りである。
[IRスペクトルの測定方法]
株式会社島津製作所製「IRPrestige−21」の測定装置を用いて、試料をKBr板に塗って測定を行った。
[エポキシ当量の測定方法]
試料(1±0.3ミリモル当量)をメチルエチルケトン20mlに溶解させ、セチルトリメチルアンモニウムブロマイドの20質量%酢酸溶液(CTMAB)5mlを加え、クリスタルバイオレット指示薬(酢酸溶液)4〜6滴加え、スターラーでかき混ぜながら0.1mol/l過塩素酸酢酸溶液(0.1mol/l HClO)で滴定した。0.1mol/l過塩素酸酢酸溶液を1滴加えて青紫色から青色に変化し、青色を1分間持続したところを終点として滴定量を得た。また、溶剤の体積膨張係数は、温度による補正が必要のため、過塩素酸酢酸溶液の温度を記録した。同時に試料を用いない空試験を行って同様に滴定量を測定し、得られた滴定量を用いて下式(2)にしたがってエポキシ当量を求めた。
Figure 2012072232
W :試料量(g)
Vs:本試験に要する0.1mol/l HClOの適定量(ml)
Vb:空試験に要する0.1mol/l HClOの適定量(ml)
20:0.1mol/l HClOの20℃における力価
t :滴定時の0.1mol/l HClOの液温(℃)
[酸価の測定方法]
試料1.0gを精秤し、トルエン−メタノール混合溶剤(トルエン70質量部及びメタノール30質量部を混合し、フェノールフタレインを指示薬として、0.1mol/l水酸化カリウムアルコール溶液で中和したもの)30mlに溶解した。フェノールフタレイン指示薬を2〜3滴加え、0.1mol/l水酸化カリウムアルコール溶液(水酸化カリウム7gを純水100mlに溶解した後、エタノールで1000mlとし、2日後に濾過したもの)で滴定した。0.1mol/l水酸化カリウムアルコール溶液を1滴加えて無色から微紅色に変化し、微紅色を30秒間持続したところを終点として滴定量を得た。次いで、得られた滴定量を用いて下式(3)にしたがって酸価を求めた。
Figure 2012072232
S :試料量(g)
V :0.1mol/l水酸化カリウムアルコール溶液の適定量(ml)
F :0.1mol/l水酸化カリウムアルコール溶液の力価
H−NMR及び13C−NMRスペクトルの測定方法]
日本電子株式会社製「AL−400」を用いて、試料のアセトン−d溶液を分析して化合物の構造解析を行った。
[GPCの測定条件]
測定装置:東ソー株式会社製「HLC−8220 GPC」、
カラム:東ソー株式会社製ガードカラム「HHR−H」(6.0mmI.D.×4cm)
+東ソー株式会社製「TSK−GEL GMHHR−N」(7.8mmI.D.×30cm)
+東ソー株式会社製「TSK−GEL GMHHR−N」(7.8mmI.D.×30cm)
+東ソー株式会社製「TSK−GEL GMHHR−N」(7.8mmI.D.×30cm)
+東ソー株式会社製「TSK−GEL GMHHR−N」(7.8mmI.D.×30cm)
検出器:ELSD(オルテック製「ELSD2000」)
データ処理:東ソー株式会社製「GPC−8020モデルIIデータ解析バージョン4.30」
測定条件:カラム温度 40℃
展開溶媒 テトラヒドロフラン(THF)
流速 1.0ml/分
試料:樹脂固形分換算で1.0質量%のテトラヒドロフラン溶液をマイクロフィルターでろ過したもの(100μl)。
標準試料:前記「GPC−8020モデルIIデータ解析バージョン4.30」の測定マニュアルに準拠して、分子量が既知の下記の単分散ポリスチレンを用いた。
(単分散ポリスチレン)
東ソー株式会社製「A−500」
東ソー株式会社製「A−1000」
東ソー株式会社製「A−2500」
東ソー株式会社製「A−5000」
東ソー株式会社製「F−1」
東ソー株式会社製「F−2」
東ソー株式会社製「F−4」
東ソー株式会社製「F−10」
東ソー株式会社製「F−20」
東ソー株式会社製「F−40」
東ソー株式会社製「F−80」
東ソー株式会社製「F−128」
東ソー株式会社製「F−288」
東ソー株式会社製「F−550」
(実施例1)
撹拌装置、温度計、冷却管及び滴下装置を備えたガラスフラスコに、下記式(a2−1−1)で表される両末端に水酸基を有するパーフルオロポリエーテル化合物(以下、「化合物(a2−1−1)と略記する。水酸基当量は、740g/eq)50質量部、エピクロロヒドリン62.5質量部及びエタノール20質量部を仕込んだ。次いで、窒素気流下で攪拌を開始し、フラスコ内温度を50℃に保ちながら、49質量%水酸化ナトリウム水溶液8.3質量部を2時間かけて滴下した。滴下終了後、60℃まで昇温して3時間攪拌した後、室温に戻した。
Figure 2012072232
(式中、aは平均5、bは平均8であり、フッ素原子数が平均46である。また、GPC測定による数平均分子量は1,500である。なお、オキシパーフルオロメチレン単位とオキシパーフルオロエチレン単位とはランダム結合である。以下同じ。)
次いで、室温に戻した反応液を、イオン交換水を用いて洗浄した。洗浄は、反応液にイオン交換水50質量部を加えて撹拌後、静置して水層を分液により分離する操作を2回繰り返すことにより行った。洗浄した反応液中から、未反応のエピクロロヒドリンを減圧蒸留することにより留去し、濾過して取り出すことで、下記式(a3−1−1)で表されるポリ(パーフルオロアルキレンエーテル)鎖とその両末端にエポキシ基を有する化合物(以下、「化合物(a3−1−1)」と略記する。)52.2質量部を得た。この化合物(a3−1−1)は透明液体で、エポキシ当量は1,060g/eq.であり、下記式(a3−1−1)中の繰り返し単位数nの平均値は0.4であった。なお、繰り返し単位数nの平均値は、前記化合物(a2−1−1)の水酸基当量及び化合物(a3−1−1)のエポキシ当量の値を用いて下式(1)により算出した。なお、化合物(a2−1−1)の水酸基当量は、19F−NMRを測定し、水酸基とメチレンを介して隣接しているCF部分の化学シフト、パーフルオロメチレン基(−CF−)の化学シフト、パーフルオロエチレン基(−CFCF−)の化学シフト等の積分比を求めた後、水酸基とメチレンを介して隣接しているCF部分の化学シフトの積分比を4として、他のパーフルオロメチレン基、パーフルオロエチレン基等の数をそれぞれの積分比から求め、その結果から得られる化合物(a2−1−1)の分子量を2で除することにより求めた。また、化合物(a3−1−1)のエポキシ当量は、上記の方法により測定した。なお、下記実施例2及び3についても同様の方法で繰り返し単位数nの平均値を算出した。
Figure 2012072232
Figure 2012072232
次いで、撹拌装置、温度計及び冷却管を備えたガラスフラスコに、上記で得られた化合物(a3−1−1)52.2質量部、メタクリル酸4.4質量部、重合禁止剤としてメトキノン0.03質量部及び触媒としてトリフェニルホスフィン0.17質量部を仕込み、空気気流下で撹拌を開始し、90℃で20時間反応させることにより、下記式(a4−1−1)で表されるポリ(パーフルオロアルキレンエーテル)鎖とその両末端にメタクリロイル基を有する化合物(以下、「化合物(a4−1−1)」と略記する。)56.5質量部を得た。この化合物(a4−1−1)は透明液体で、そのエポキシ当量は16,000g/eq.であり、酸価は2であり、式中の繰り返し単位数nの平均値は0.4であった。
Figure 2012072232
次いで、撹拌装置、温度計、冷却管、滴下装置を備えたガラスフラスコに、化合物(a4−1−1)22.9質量部、重合禁止剤としてp−メトキシフェノール0.01質量部、ウレタン化触媒としてジブチルスズジラウレート0.01質量部を仕込み、空気気流下で攪拌を開始し、80℃に昇温した。その後、1,1−ビス(アクリロイルオキシメチル)エチルイソシアネート(以下、「BEI」と略記する。)4.8質量部を発熱に注意しながら分割して添加した。BEIを添加終了後、80℃で10時間攪拌することにより反応を行い、IRスペクトル測定でイソシアネート基由来の2360cm−1付近の吸収ピークの消失を確認した後、重合性フッ素系化合物(1)27.6質量部を得た。この重合性フッ素系化合物(1)は粘稠液状であった。得られた重合性フッ素系化合物(1)の分子量をGPC(ポリスチレン換算分子量)で測定した結果、数平均分子量1,900、重量平均分子量2,300であった。また、フッ素含有率は40質量%であった。
また、得られた重合性フッ素系化合物(1)のH−NMR及び13C−NMRスペクトルを測定して、下記式(A−1−1)の構造であることを同定した。なお、IRスペクトルのチャート図を図1に、H−NMRスペクトルのチャート図を図2に、13C−NMRスペクトルのチャート図を図3に示す。
Figure 2012072232
(実施例2)
撹拌装置、温度計、冷却管、滴下装置を備えたガラスフラスコに、実施例1で得られた化合物(a4−1−1)22.9質量部、重合禁止剤としてp−メトキシフェノール0.01質量部、ウレタン化触媒としてジブチルスズジラウレート0.01質量部を仕込み、空気気流下で攪拌を開始し、80℃に昇温した。その後、2−アクリロイルオキシエチルイソシアネート(以下、「AOI」と略記する。)3.4質量部を発熱に注意しながら分割して添加した。AOIを添加終了後、80℃で6時間攪拌することにより反応を行い、IRスペクトル測定でイソシアネート基由来の2360cm−1付近の吸収ピークの消失を確認した後、重合性フッ素系化合物(2)26質量部を得た。この重合性フッ素系化合物(2)は粘稠液状であった。得られた重合性フッ素系化合物(2)の分子量をGPC(ポリスチレン換算分子量)で測定した結果、数平均分子量1,700、重量平均分子量1,900であった。また、フッ素含有率は44質量%であった。
また、得られた重合性フッ素系化合物(2)のH−NMR及び13C−NMRスペクトルを測定して、下記式(A−1−2)の構造であることを同定した。
Figure 2012072232
(実施例3)
撹拌装置、温度計、冷却管、滴下装置を備えたガラスフラスコに、実施例1で得られた化合物(a4−1−1)22.9質量部、重合禁止剤としてp−メトキシフェノール0.01質量部、ウレタン化触媒としてジブチルスズジラウレート0.01質量部を仕込み、空気気流下で攪拌を開始し、80℃に昇温した。その後、2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネート(以下、「MOI」と略記する。)3.4質量部を発熱に注意しながら分割して添加した。MOIを添加終了後、80℃で6時間攪拌することにより反応を行い、IRスペクトル測定でイソシアネート基由来の2360cm−1付近の吸収ピークの消失を確認した後、重合性フッ素系化合物(3)26.3質量部を得た。この重合性フッ素系化合物(3)は粘稠液状であった。得られた重合性フッ素系化合物(3)の分子量をGPC(ポリスチレン換算分子量)で測定した結果、数平均分子量1,800、重量平均分子量2,000であった。また、フッ素含有率は43質量%であった。
また、得られた重合性フッ素系化合物(3)のH−NMR及び13C−NMRスペクトルを測定して、下記式(A−1−3)の構造であることを同定した。
Figure 2012072232
(比較例1)
撹拌装置、温度計、冷却管、滴下装置を備えたガラスフラスコに、溶媒としてメチルイソブチルケトン100質量部を仕込み、窒素気流下にて攪拌しながら105℃に昇温した。次いで、下記式(3)で表されるフッ素化アルキル基を有するアクリレート50質量部、及び下記式(4)で表されるエチレンオキシド鎖及びプロピレンオキシド鎖を有するアクリレート50質量部をメチルイソブチルケトン150質量部に溶解した単量体溶液250質量部と、ラジカル重合開始剤としてt−ブチルペルオキシ−2−エチルヘキサノエート5質量部をメチルイソブチルケトン50質量部に溶解した重合開始剤溶液65質量部との2種類の滴下液をそれぞれ別々の滴下装置にセットし、フラスコ内を105℃に保ちながら同時に3時間かけて滴下した。滴下終了後、105℃で10時間攪拌して重合を完了した後、減圧下で溶媒の一部を留去し、フッ素系界面活性剤(H1)を50質量%含有するメチルイソブチルケトン溶液204部を得た。得られたフッ素系界面活性剤(H1)の分子量をGPC(ポリスチレン換算分子量)で測定した結果、数平均分子量4,000、重量平均分子量10,000であった。また、フッ素含有率は32質量%であった。
Figure 2012072232
(式中、mは平均3であり、nは平均4である。)
(比較例2)
撹拌装置、温度計、冷却管、滴下装置を備えたガラスフラスコに、前記化合物(a2−1−1)20質量部、溶媒としてジイソプロピルエーテル20質量部、重合禁止剤としてp−メトキシフェノール0.02質量部及び中和剤としてトリエチルアミン3.1質量部を仕込み、空気気流下にて攪拌を開始し、フラスコ内を10℃に保ちながらアクリル酸クロライド2.7質量部を1時間かけて滴下した。滴下終了後、10℃で1時間攪拌し、昇温して30℃で1時間攪拌した後、50℃に昇温して10時間攪拌することにより反応を行い、ガスクロマトグラフィー測定にてアクリル酸クロライドの消失が確認された。次いで、溶媒としてジイソプロピルエーテル40質量部を追加した後、イオン交換水80質量部を混合して攪拌してから静置し水層を分離させて取り除く方法による洗浄を3回繰り返した。次いで、重合禁止剤としてp−メトキシフェノール0.02質量部を添加し、脱水剤として硫酸マグネシウム8部を添加して1日間静置することで完全に脱水した後、脱水剤を濾別した。次いで、減圧下で溶媒を留去することによって、下記式(5)で表されるパーフルオロポリエーテル鎖の両末端にアクリロイル基を有する化合物21.5質量部を得た。
Figure 2012072232
(式中、aは平均5、bは平均8である。なお、オキシパーフルオロメチレン単位とオキシパーフルオロエチレン単位とはランダム結合である。)
次いで、撹拌装置、温度計、冷却管、滴下装置を備えたガラスフラスコに、溶媒としてメチルイソブチルケトン63質量部を仕込み、窒素気流下にて攪拌しながら105℃に昇温した。その後、上記で得られた式(5)で表される化合物21.5質量部と、2−ヒドロキシエチルメタクリレート41.3質量部と、ラジカル重合開始剤としてt−ブチルペルオキシ−2−エチルヘキサノエート9.4質量部をメチルイソブチルケトン126質量部に溶解した重合開始剤溶液135.4質量部との3種類の滴下液をそれぞれ別々の滴下装置にセットし、フラスコ内を105℃に保ちながら同時に2時間かけて滴下した。滴下終了後、105℃で10時間攪拌した後、減圧下で溶媒を留去することによって、重合体67.5質量部を得た。
次いで、上記で得られた重合体に溶媒としてメチルエチルケトン74.7質量部、重合禁止剤としてp−メトキシフェノール0.1質量部及びウレタン化触媒としてジブチルスズジラウレート0.06質量部を仕込み、空気気流下で攪拌を開始し、60℃を保ちながらAOI 44.8質量部を1時間で滴下した。滴下終了後、60℃で1時間攪拌した後、80℃に昇温して10時間攪拌することにより反応を行った結果、IRスペクトル測定でイソシアネート基由来の2360cm−1付近の吸収ピークの消失を確認した。次いで、溶媒としてメチルエチルケトン37.4質量部を添加し、重合性フッ素系化合物(H2)を50質量%含有するメチルエチルケトン溶液224.6質量部を得た。この重合性フッ素系化合物(H2)の分子量をGPC(ポリスチレン換算分子量)で測定した結果、数平均分子量2,200、重量平均分子量6,500であった。また、フッ素含有率は11質量%であった。
上記の実施例1〜3で得られた重合性フッ素系化合物(1)〜(3)、比較例1〜3で得られたフッ素系界面活性剤(H1)及び重合性フッ素系化合物(H2)について、分子量等の特性値について表1にまとめた。
Figure 2012072232
(活性エネルギー線硬化型組成物のベース樹脂組成物の調製)
紫外線硬化型ウレタンアクリレート樹脂(DIC株式会社製「ユニディック17−806」;樹脂分80質量%の酢酸ブチル溶液)125質量部、光重合開始剤として1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(BASFジャパン株式会社製「イルガキュア184」)5質量部、溶剤としてトルエン54質量部、2−プロパノール28質量部、酢酸エチル28質量部、プロピレングリコールモノメチルエーテル28質量部を混合し溶解させて、活性エネルギー線硬化型組成物のベース樹脂組成物を得た。
(実施例4〜6、比較例4〜5)
上記で得られたベース樹脂組成物268質量部に、含フッ素界面活性剤として実施例1〜3で得られた重合性フッ素系化合物(1)〜(3)、比較例1〜2で得られたフッ素系界面活性剤(H1)及び重合性フッ素系化合物(H2)を固形分として1質量部となる量を加えて均一に混合して、活性エネルギー線硬化型組成物を得た。次いで、この活性エネルギー線硬化型組成物をバーコーターNo.13を用いて、厚さ188μmのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムに塗布した後、60℃の乾燥機に5分間入れて溶剤を揮発させた。次に、乾燥した塗膜に紫外線硬化装置(窒素雰囲気下、高圧水銀灯、紫外線照射量2kJ/m)で紫外線(UV)を照射して硬化させ、実施例4〜6及び比較例3〜4として塗工フィルムを作製した。また、何も添加せずに活性エネルギー線硬化型組成物のベース樹脂組成物のみについても同様に塗工フィルムを作製して比較例5とした。
[防汚性の評価]
上記で得られた塗工フィルムの塗工表面の防汚性を、下記の水及びn−ドデカンの接触角及び汚れ付着防止性から評価した。
[水及びn−ドデカンの接触角の測定]
塗工フィルムの塗工表面について、接触角測定装置(協和界面科学株式会社製「MODEL CA−W150」)を用いて、水及びn−ドデカンの接触角を測定した。
[汚れ付着防止性の評価]
塗工フィルムの塗工表面に、フェルトペン(三菱鉛筆株式会社製「ユニ・メディアックス」黒色)で線を描き、その黒色インクの付着状態を目視で観察することで汚れ付着防止性の評価を行った。なお、評価基準は下記の通りである。
AA:防汚性が最も良好で、インクが玉状にはじくもの。
A:インクが玉状にはじかず、線状のはじきが生じるもの(線幅がフェルトペンのペン先の幅の50%未満)。
B:インクの線状のはじきが生じ、線幅がフェルトペンのペン先の幅の50%以上100%未満であったもの。
C:インクがまったくはじかずに表面にきれいに描けてしまうもの。
[摩耗処理後の防汚性の評価]
防汚持続性の評価として、塗膜表面を磨耗処理した塗工フィルムについて、水及びn−ドデカンの接触角の測定、汚れ付着防止性の評価を上記と同様に行った。なお、磨耗処理は、往復磨耗試験機(新東科学株式会社製「HEIDON トライボギア TYPE:30S」)を用いて、治具に不織布(旭化成せんい株式会社製「ベンコットS」)を取り付けて1.72N/cmの荷重にて、5000回の往復磨耗することにより行った。
上記の測定及び評価の結果を表2に示す。
Figure 2012072232
本発明の重合性フッ素系化合物である実施例1〜3で得られた重合性フッ素系化合物(1)〜(3)を添加した実施例4〜6は、水及びn−ドデカンの接触角が高く、汚れ付着防止性も高いことがわかった。また、摩耗処理後でも水及びn−ドデカンの接触角が大きく低下せず、汚れ付着防止性も十分維持しており、防汚持続性も高いことがわかった。
一方、比較例1で製造した重合性基を有さないフッ素系界面活性剤(H1)を用いた比較例3は、水及びn−ドデカンの接触角が高く、比較的良好な汚れ付着防止性を有していたが、摩耗処理後の水及びn−ドデカンの接触角が大きく低下し、汚れ付着防止性も大きく低下し、防汚持続性が十分でないことがわかった。
比較例2で製造した重合性フッ素系化合物(H2)を用いた比較例4は、水及びn−ドデカンの接触角が高く、比較的良好な汚れ付着防止性を有していたが、摩耗処理後の水及びn−ドデカンの接触角が大きく低下し、汚れ付着防止性も大きく低下し、防汚持続性が十分でないことがわかった。
添加剤を加えなかった比較例5は、水及びn−ドデカンの接触角が低く、汚れ付着防止性に劣っていることがわかった。

Claims (4)

  1. 下記一般式(1)で表される重合性フッ素系化合物。
    Figure 2012072232
    (式中、R、R、R、R及びRはそれぞれ独立に水素原子又はメチル基を表し、R、R及びRはそれぞれ独立に水酸基又は下記一般式(2)で表される基を表し、X及びXはそれぞれ独立に2価の有機基を表し、PFPEはポリ(パーフルオロアルキレンエーテル)鎖を表す。ただし、R、R及びRのうち少なくとも1つは下記一般式(2)で表される基である。また、nは平均で0〜10の範囲を表す。)
    Figure 2012072232
    (式中、Rはそれぞれ独立に水素原子又はメチル基を表し、Xはそれぞれ独立に単結合、2価又は3価の有機基を表す。また、mは1又は2を表す。)
  2. 請求項1記載の重合性フッ素系化合物、及び、活性エネルギー線硬化型樹脂(B)又は活性エネルギー線硬化性単量体(C)を含有することを特徴とする活性エネルギー線硬化型組成物。
  3. 請求項1記載の重合性フッ素系化合物又は請求項2記載の活性エネルギー線硬化型組成物を、基材に塗布し、活性エネルギー線を照射して硬化させてなることを特徴とする硬化物。
  4. 請求項1記載の重合性フッ素系化合物又は請求項2記載の活性エネルギー線硬化型組成物の硬化塗膜を有することを特徴とする物品。
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