JP2012068437A - 静電荷像現像用シアントナー及びその製造方法 - Google Patents

静電荷像現像用シアントナー及びその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】色相、彩度、が良好で色再現範囲の広いシアントナーを提供する。
【解決手段】少なくとも結着樹脂およびシアン着色剤を含有するシアントナー粒子を含有する静電荷像現像用シアントナーであって、該シアン着色剤が軸配位子含有着色剤フタロシアン化合物を含有し、該静電荷像現像用トナー中における該軸配位子含有フタロシアニン化合物の分散粒子の数平均粒径が5nm以上50nm以下、配位子の金属はケイ素原子、ゲルマニウム原子、錫原子のいずれかであることを特徴とする。
【選択図】なし

Description

本発明は静電荷像現像用シアントナー及びその製造方法に関し、更に詳しくは電子写真方式の画像形成装置に用いられる静電荷像現像用シアントナー及びその製造方法に関する。
近年、電子写真方式による複写機、プリンターなどの画像形成装置においては、従来からのモノクロ画像に加えて、フルカラー画像を形成する機会が増加している。電子写真方式によるフルカラー画像形成方法においては、印刷用の版を必要としないことから、需要に応じて、その都度容易に必要枚数分の印刷物を作製できるので、軽印刷分野において広く利用されている。
軽印刷分野においても、特にカタログや広告などのフルカラー画像を形成する場合においては、原物(オリジナル)の色相をより忠実に再現することが求められている。しかし、電子写真方式によるフルカラー画像形成方法により形成することができるフルカラー画像の色再現範囲は、テレビ画面やコンピューターのディスプレイ上に表示することができるフルカラー画像の色再現範囲よりもはるかに狭いため、ディスプレイ上に表示されるフルカラー画像をそのままの色相で紙などの転写材上に再現することが難しいという問題がある。
一般に、電子写真方式によるフルカラー画像形成方法においては、イエロートナー、マゼンタトナーおよびシアントナーの3色のカラートナーの組み合わせにより色再現を行うが、電子写真方式による画像形成では基本的には、これら3色の組み合わせによる減色法を採用しているため、テレビ画像やコンピューターのディスプレイなどの加色法によるフルカラー画像に比べて、色再現範囲が狭く、また明度、彩度の点で見劣りするものであった。
従って、電子写真方式によるフルカラー画像の再現においては、基本となる上記3色のカラートナーの鮮やかさ、即ち彩度が高いことが要求される。電子写真方式の画像形成に用いられる静電荷像現像用トナー(以下簡単にトナーともいう)による色再現範囲の拡大については、従来、様々な試みがなされてきた。
シアントナーについては、従来、銅フタロシアニン系の顔料が着色剤として広く用いられてきた。銅フタロシアニン系の顔料は安価で、入手しやすく、安定でかつ安全性についても問題なく、使いやすい顔料である。しかし、シアントナー用顔料として用いた時に、明度が低くなる傾向があり、その結果中間調のドット画像を形成すると粗い粒状の画像となり画像の均質さが欠けるという問題を有していた。
この銅フタロシアニン系顔料の欠点を改善する目的で、軸配位子含有着色剤化合物X系の顔料をシアントナーの着色剤として用いる技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。これは高明度、高彩度のシリコンフタロシアニン系顔料をシアントナーの着色剤として用いることにより、シアントナーの色相を改善し、更にグリーンやブルーの色再現範囲を拡大させる効果を持っている。
特開2009−75520号公報
従来のイエロートナー、マゼンタトナー、シアントナーにオレンジトナーやグリーントナートナー等を加えた多色化は色再現領域の拡大という点では効果があるが、複写機やプリンターなどの画像形成装置の機構を複雑にするなどの問題があった。
一方、軸配位子含有着色剤化合物X系の顔料をトナーの着色剤として用いる技術では、明度、彩度の改善により色再現範囲の拡大について一定の効果はあるものの、トナー中に分散した時に、結着樹脂や離型剤を含有していることや着色剤同士の凝集のために、彩度などの点で、軸配位子含有着色剤化合物X系の顔料が本来持っている色調を十分に活かすことが出来ていなかった。
本発明は上記課題を解決するためになされたもので、即ち、軸配位子含有着色剤化合物X系の顔料をシアントナーの着色剤として用いた時に色相、彩度が良好で、色再現範囲の広い静電荷像現像用シアントナーを提供することを目的としている。
本発明の上記課題は、以下の構成とすることによって解決される。
1.
少なくとも結着樹脂およびシアン着色剤を含有するシアントナー粒子を含有する静電荷像現像用シアントナーであって、
該シアン着色剤が、下記一般式(1)で表される軸配位子含有着色剤化合物Xを含有し、該静電荷像現像用シアントナー中における該軸配位子含有着色剤化合物Xの分散粒子の数平均粒径が5nm以上50nm以下であることを特徴とする静電荷像現像用シアントナー。
Figure 2012068437
(上記一般式(1)中、Mは第14族の金属原子を示す。また、2つのQは各々独立に1価の置換基を示し、mおよびnはそれぞれ0または1であって少なくとも一方は1である。また、4つのAは、各々独立に置換基を有してもよい芳香環を形成する原子団を示す。)
2.
前記一般式(1)で表される軸配位子含有着色剤化合物Xにおいて、2つのQが、各々独立に、アルキル基、アリール基、アリールオキシ基、アルコキシ基、アシルオキシ基または下記一般式(2)で表される化合物基であることを特徴とする前記1に記載の静電荷像現像用シアントナー。
Figure 2012068437
(上記一般式(2)中、R、R、Rは、各々独立に、アルキル基、アリール基、アリールオキシ基またはアルコキシ基を示す。)
3.
前記軸配位子含有着色剤化合物Xにおいて、MがSi、Ge、Snのいずれかの元素であることを特徴とする前記1または前記2に記載の静電荷像現像用シアントナー。
4.
前記一般式(1)で表される軸配位子含有着色剤化合物Xにおいて、MがSiであることを特徴とする前記1から前記3の何れかに記載の静電荷像現像用シアントナー。
5.
前記1から前記4の何れかに記載の静電荷像現像用シアントナーの製造方法であって、
該製造方法が、少なくとも前記軸配位子含有着色剤化合物Xを界面活性剤の存在下において水系媒体中で分散する工程と、
樹脂微粒子の分散液を作製する工程と、
該軸配位子含有着色剤化合物Xの水系分散液と該樹脂微粒子の分散液とを凝集会合し、トナー母体粒子を作製する工程とを有することを特徴とする静電荷像現像用シアントナーの製造方法。
6.
前記軸配位子含有着色剤化合物Xを水系媒体中で分散した時の該軸配位子含有着色剤化合物Xの分散粒径が個数分布おけるメディアン径(D50)が5nm以上30nm以下であることを特徴とする前記5に記載の静電荷像現像用シアントナーの製造方法。
本発明は上記の構成とすることによって、色相、彩度が良好で、色再現範囲の広い静電荷像現像用シアントナー(以下単にシアントナーともいう)を提供することができ、より原物(オリジナル)に忠実なフルカラー画像を得ることができる。
トナー中の着色剤は一般に、凝集していると着色剤が反射した光を他の着色剤が吸収してしまうため、明度が低下し、暗い色になってしまう。従って、着色剤は、溶剤などに溶解している状態、即ち分子レベルで分散されている状態が最もその着色剤の色相、彩度、明度などの着色剤としての性能を発揮することが出来る。本発明のように着色剤が顔料の場合は、分散粒径をより小さくし分子レベルに近づけるほどその着色剤が本来持っている性能を発揮することが可能になると考えられる。
(a)L表色系による色空間を示すL座標図、(b)L表色系による色空間を示すa座標図である。 本発明に係わるトナーを用いる画像形成装置の一例を示す模式断面図である。
本発明のシアントナーは、少なくとも結着樹脂と着色剤を含有する静電荷像現像用トナーにおいて、着色剤が下記一般式(1)で表される軸配位子含有着色剤化合物Xであって、トナー中における軸配位子含有着色剤化合物Xの分散粒子の数平均粒径が5nm以上50nm以下であることを特徴としている。
Figure 2012068437
(上記一般式(1)中、Mは第14族の金属原子を示す。また、2つのQは各々独立に1価の置換基を示し、mおよびnはそれぞれ0または1であって少なくとも一方は1である。また、4つのAは、各々独立に置換基を有してもよい芳香環を形成する原子団を示す。)
軸配位子含有着色剤化合物Xは、中心金属原子Mからフタロシアニン環に対して垂直方向に軸配位子を有する化合物である。なお、ここでいう垂直方向に軸配位子を有するとは、フタロシアニン環に対して同一平面上に軸配位子がないという意味であり、軸配位子含有着色剤化合物Xにおいて軸配位子が当該平面に正確に90℃に位置することは必須ではない。
上記一般式(1)で表される軸配位子含有着色剤化合物Xにおいて、中心金属原子Mは第14族の金属原子である。中心金属原子Mの具体例としては、例えばSi、Ge、Snなどを例示することができ、特に、高明度のシアン領域の色に係る十分な発色性が得られるために、Siが好ましい。
上記一般式(1)中、2つのQは、各々独立に1価の置換基を示し、具体的には、アルキル基、アリール基、アリールオキシ基、アルコキシ基、アシルオキシ基または下記一般式(2)で表される化合物基であることが好ましく、より好ましくは炭素数1〜22のアルキル基、炭素数6〜18のアリール基、炭素数6〜18のアリールオキシ基、炭素数1〜22のアルコキシ基、炭素数2〜30のアシルオキシ基であり、具体的には、例えば−O(CHCH、−O(CHCH、−O(CHCH、−OC、−OCO−CHCHCH、−OSi(CH、−OSi(CHCH、−OSi(CHCHCHなどが挙げられる。
上記一般式(1)中の少なくとも1つのQが上記のアルキル基、アリール基、アリールオキシ基、アルコキシ基、アシルオキシ基または下記一般式(2)で表される化合物基のいずれかであることが好ましく、2つのQが共に上記のアルキル基、アリール基、アリールオキシ基、アルコキシ基、アシルオキシ基または下記一般式(2)で表される化合物基のいずれかであることがより好ましい。
Figure 2012068437
上記一般式(2)中、R、R、Rは、各々独立に、アルキル基、アリール基、アリールオキシ基またはアルコキシ基を示し、好ましくは炭素数1〜22のアルキル基、炭素数6〜18のアリール基、炭素数1〜22のアルコキシ基、または炭素数6〜18のアリールオキシ基を示し、より好ましくは炭素数1〜10のアルキル基、炭素数6〜10のアリール基、炭素数1〜10のアルコキシ基、または炭素数6〜10のアリールオキシ基であり、さらに好ましくは炭素数2〜8のアルキル基、炭素数6〜8のアリール基、炭素数2〜8のアルコキシ基、または炭素数6〜8のアリールオキシ基であり、特に好ましくはn−プロピル基、iso−プロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基である。
上記一般式(1)における2つのQに係るmおよびnは、それぞれ0または1であって少なくとも一方は1である、すなわち、軸配位子含有着色剤化合物Xは、少なくとも1つの軸配位子を有することが好ましい。
さらに、上記一般式(1)中、4つのAは、各々独立に置換基を有してもよい芳香環を形成する原子団を示し、当該原子団の具体例としては、例えば下記式(A−1)〜下記式(A−29)に示すものを例示することができ、好ましくは下記式(A−1)に示すものである。
Figure 2012068437
Aにおける置換基としては、塩素原子や塩ハロゲン化メチル基(−CClX)(ただし、Xはハロゲン原子である。)、フルオロメチル基(−CHF)、トリフルオロメチル基(−CF)、ニトロ基(−NO)などの電子吸引基や、t−ブチル基などの炭素数4〜8のアルキル基、−O(CHCHなどのアルコキシ基などが挙げられる。
また、上記一般式(2)中、R、R、Rは、各々独立に、アルキル基、アリール基、アリールオキシ基またはアルコキシ基を示し、好ましくは炭素数1〜22のアルキル基、炭素数6〜18のアリール基、炭素数1〜22のアルコキシ基、または炭素数6〜18のアリールオキシ基を示し、より好ましくは炭素数1〜10のアルキル基、炭素数6〜10のアリール基、炭素数1〜10のアルコキシ基、または炭素数6〜10のアリールオキシ基であり、さらに好ましくは炭素数2〜8のアルキル基、炭素数6〜8のアリール基、炭素数2〜8のアルコキシ基、または炭素数6〜8のアリールオキシ基であり、具体的には、特に好ましくはn−プロピル基、iso−プロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基である。
上記一般式(1)で表される軸配位子含有着色剤化合物Xの具体例としては、下記式(X−1)〜式(X−6)で表される化合物などが挙げられる。
Figure 2012068437
Figure 2012068437
本発明の軸配位子含有着色剤化合物Xは公知の方法により、容易に合成することが出来る。たとえば、以下の特許明細書に記載された内容から参照することができる。米国特許第5428152号明細書、同第4927735号明細書、同第5021563号明細書、同第5219706号明細書、同第5034309号明細書、同5284943号明細書、同5075203号明細書、同5484685号明細書、同5039600号明細書、同5438135号明細書、同5665875号等明細書。
〔L表色系〕
次に本発明で色相、彩度の評価に用いている「L表色系」について説明する。「L表色系」とは、CIE(国際照明学会)が定めた均等色空間で、色を数値化して表すのに有用に用いられる手段であり、図1に示すL表色系による色空間を示す。L座標図においては、L軸方向が明度を表し、a軸方向が赤−緑方向の色相を表し、b軸方向が黄−青方向の色相を表している。なお、明度とは色の相対的な明るさをいい、色相とは赤、黄、緑、青、紫などの色合いを言い、彩度とは色の鮮やかさの度合いを言う。
が大きくなるほど色が明るく、小さくなるほど暗くなることを示している。a、bとも絶対値が大きくなるに従って、色が鮮やかになり、0に近づくに従って、くすんだ色になることを示している。これによって、一つの色をLを用いて数値化することが可能となる。
また、「明度」「色相」とは別に鮮やかさの度合いを数値化する方法として、「彩度C」があり、計算式(1)にて求めることが出来る。
式(1):彩度(C)=〔(a+(b1/2
また、「色相角」とは、図1(b)に示すように、例えばa軸−b軸平面において、原点Oと座標点P′(a,b)との線分OP′と、a軸とのなす角度θをいい、具体的には、下記式(2)で算出される。
式(2):色相角=tan−1(b/a
(上記式(2)中、a、bはそれぞれ座標点(a、b)におけるa、bの値を表す。)
、a、bは、具体的には、分光光度計「Gretag Macbeth Spectrolino」(Gretag Macbeth社製)を用い、光源としてD65光源、反射測定アパーチャとしてφ4mmのものを用い、測定波長域380〜730nmを10nm間隔で、視野角を2°とし、基準合わせには専用白タイルを用いた条件において測定されるものである。
また、L、a、bおよびそこから算出される彩度Cはトナー付着量によっても変化するため、評価する場合はトナー付着量を一定にして測定する必要がある。
〔シアントナーの製造方法〕
本発明のシアントナーを製造する方法としては、特に限定されず、例えば粉砕法の他、溶解懸濁法、懸濁重合法、乳化重合凝集法、ミニエマルション重合凝集法、転相乳化凝集法などの湿式法、その他の公知の方法などを挙げることができるが、乳化重合凝集法、ミニエマルション重合凝集法を用いることが好ましい。乳化重合凝集法、ミニエマルション重合凝集法によれば、製造コストおよび製造安定性の観点から、シアントナー粒子の小粒径化を容易に図ることができる。
ここに、乳化重合凝集法は、乳化重合法によって製造された結着樹脂の微粒子(以下、「結着樹脂微粒子」ともいう。)の分散液を、着色剤の微粒子(以下、「着色剤微粒子」ともいう。)の分散液と混合し、所望のトナー粒子径となるまで凝集させ、さらに結着樹脂微粒子間の融着を行うことにより形状制御を行って、トナー粒子を製造する方法である。
本発明のシアントナーの製造方法として、乳化重合凝集法、を用いる場合の一例を以下に示す。
(1)水系媒体中に着色剤の微粒子が分散されてなる分散液を調製する工程
(2)水系媒体中に、必要に応じて内添剤を含有した結着樹脂微粒子が分散されてなる分散液を調製する工程
(3)着色剤の微粒子の分散液と、結着樹脂微粒子の分散液とを混合して、着色剤と結着樹脂微粒子とを凝集、会合、融着させてシアントナー粒子を形成する工程
(4)シアントナー粒子の分散系(水系媒体)からシアントナー粒子を濾別し、界面活性剤などを除去する工程
(5)シアントナー粒子を乾燥する工程
(6)シアントナー粒子に外添剤を添加、混合する工程
乳化重合凝集法によってシアントナーを製造する場合においては、乳化重合法によって得られる結着樹脂微粒子は、組成の異なる結着樹脂よりなる2層以上の多層構造を有するものであってもよく、このような構成の結着樹脂微粒子は、例えば2層構造を有するものは、常法に従った乳化重合処理(第1段重合)によって樹脂粒子の分散液を調整し、この分散液に重合開始剤と重合性単量体とを添加し、この系を重合処理(第2段重合)する手法によって得ることができる。
また、乳化重合凝集法によってはコア−シェル構造を有するシアントナー粒子を得ることもでき、具体的にコア−シェル構造を有するシアントナー粒子は、先ず、コア粒子用の結着樹脂微粒子と、着色剤の微粒子とを凝集、会合、融着させてコア粒子を作製し、次いで、コア粒子の分散液中にシェル層用の結着樹脂微粒子を添加してコア粒子表面にシェル層用の結着樹脂微粒子を凝集、融着させてコア粒子表面を被覆するシェル層を形成することにより得ることができる。
〔着色剤の分散方法〕
次に水系媒体中における着色剤の分散方法について説明する。
トナー粒子を湿式法により作製する場合は、既存の公知の分散機を用いることが出来る。具体的には、界面活性剤の存在下、超音波分散機、ホモジナイザー、ディスパーミル、クレアミックス、サンドミル、ウルトラビスコミル、パールミル、グレンミル、ダイノミル、アジテータミル、ダイナミックミル等が使用出来る。本発明のシリコンフタロシアニン顔料の分散にはクレアミックスが好ましい。
クレアミックスWモーションCLM0.8(エムテックス社製)を用いる場合は、界面活性剤1質量%〜20質量%の範囲で、分散メディアとしては、ガラズビーズ、ジルコニアビーズなどを用いることが出来る。これらの分散メディアとしては、ジルコニアビーズが好ましく、ビーズの粒径としては、細かいほど分散粒径を小さくすることができ、0.1mmから0.8mmが好ましく、更に好ましくは0.3mmである。ビーズの量としては、分散槽の内容量の30体積%から70体積%が好ましい。
色相角は大きく変化することは好ましくない。銅フタロシアニンは色材分散液の分散粒径を小さくすると色相角の変化が起こるが、前記軸配位子含有着色剤化合物Xは色材分散液の分散粒径を小さくしても色相変化が起こらない。これは銅フタロシアニンは軸配位子がなく平面的な構造をしているのに対して、前記軸配位子含有着色剤化合物Xは軸配位子を有しており立体的な構造をしている。銅フタロシアニンは平面的な構造のため銅フタロシアニン同士の凝集が起こりやすく、その性質が変化しやすい。そのため色相角に変化が起こる。
一方、化合物Xは軸配位子の立体的障害のため化合物X同士の凝集がほとんどなく、その性質が変化することがない。そのため色相角に変化が起こらない。
〔界面活性剤〕
着色剤微粒子分散液調製工程および/または結着樹脂微粒子重合工程においては、水系媒体中に微粒子を安定に分散させるために、当該水系媒体中に界面活性剤を添加してもよく、このような界面活性剤としては、従来公知の種々のアニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤などを用いることができる。
アニオン系界面活性剤としては、例えば、オレイン酸ナトリウムなどの高級脂肪酸塩類;ドデシルベンゼンスルフォン酸ナトリウムなどのアルキルアリールスルホン酸塩類;ラウリル硫酸ナトリウムなどのアルキル硫酸エステル塩類;ポリエトキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウムなどのポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩類;ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル硫酸ナトリウムなどのポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル硫酸エステル塩類;モノオクチルスルホコハク酸ナトリウム、ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム、ポリオキシエチレンラウリルスルホコハク酸ナトリウムなどのアルキルスルホコハク酸エステル塩、およびその誘導体類などを挙げることができる。
また、カチオン系界面活性剤としては、例えば脂肪族アミン塩、脂肪族4級アンモニウム塩、ベンザルコニウム塩、塩化ベンゼトニウム、ピリジニウム塩、イミダゾリニウム塩などを挙げることができる。
さらに、ノニオン系界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテルなどのポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテルなどのポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル類、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタントリオレエートなどのソルビタン高級脂肪酸エステル類;ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレートなどのポリオキシエチレンソルビタン高級脂肪酸エステル類;ポリオキシエチレンモノラウレート、ポリオキシエチレンモノステアレートなどのポリオキシエチレン高級脂肪酸エステル類;オレイン酸モノグリセライド、ステアリン酸モノグリセライドなどのグリセリン高級脂肪酸エステル類;ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレン−ブロックコポリマーなどを挙げることができる。
本発明の軸配位子含有着色剤化合物Xの分散に用いられる界面活性剤としては、好ましくは、n−ドデシル硫酸ナトリウムである。
〔着色剤分散液中の分散粒径の測定〕
着色剤微粒子の水系媒体中における分散粒径は個数平均粒径、すなわち個数分布におけるメディアン径(D50)であり、このメディアン径は、「MICROTRAC UPA 150」(HONEYWELL社製)を用いて測定した値である。
(測定条件)
(1)サンプル屈折率:1.59
(2)サンンプル比重:1.05(球状粒子換算)
(3)溶媒屈折率 :1.33
(4)溶媒粘度 :30℃にて0.797
20℃にて1.002
測定セルにイオン交換水を入れ、ゼロ点調節を行った。
ここで、水系媒体中における着色剤の分散粒径は5nm以上30nm以下が好ましい。5nm未満では、分散に多大なエネルギーを要し、実質的に分散することが難しく、30nmを越えると、トナー化した時に十分な彩度が得られなくなってしまう。
〔トナー粒子中の着色剤分散粒径の測定法〕
本発明のシアントナー粒子中に分散された着色剤の数平均粒径は、以下の方法で測定した値である。即ち、シアントナー粒子の断面を透過型電子顕微鏡「JEM−2000FX」(日本電子(株)製)にて5万倍に拡大した写真画像をスキャナーにより取り込み、画像処理解析装置LUZEX AP(ニレコ社製)を用いて、トナー結着樹脂中に分散している着色シアントナー粒子中における着色剤の微粒子のフェレ方向をシアントナー10個について測定し、その算術平均値を算出することにより求められる。これをトナー中に分散された着色剤の数平均粒径とする。ただし、着色剤分散粒子の数は100個以上とし、100個に満たない場合には、観察するトナー数を増やすものとする。尚、着色剤分散粒子とは、一次粒子ではなく結着樹脂中に独立して存在する形状の状態のものをさす。
ここで、トナー粒子中におけるシアン着色剤の分散粒径としては、5nm以上50nm以下が好ましい。5nm未満では、分散に多大なエネルギーを要し、実質的に分散することができず、50nmを越えると十分な彩度が得られない。
〔粉砕法によるトナーの製造方法〕
また、本発明のシアントナーの製造方法として、粉砕法を用いる場合の一例を以下に示す。
(1)結着樹脂、着色剤並びに必要に応じて内添剤をヘンシェルミキサなどにより混合する工程
(2)得られた混合物を押出混練機などにより加熱しながら混練する工程
(3)得られた混練物をハンマーミルなどにより粗粉砕処理した後、更にターボミル粉砕機などにより粉砕処理を行なう工程
(4)得られた粉砕物を、例えばコアンダ効果を利用した気流分級機を用いて微粉分級処理しシアントナー粒子を形成する工程
(5)シアントナー粒子に外添剤を添加、混合する工程
上記(2)の混練工程において、混練温度は高く、混練時間は長い方が好ましい。
粉砕法によりトナーを作製する場合は、着色剤、結着樹脂とその他必要に応じて離型剤、荷電制御剤等の内添剤を予備混合した後、混練機で混練することにより着色剤を分散する。この時、スクリューの構成、長さ、回転数等の他、混練温度、混練時間等を調整することにより最適な粒度になるよう分散する。混練機としては、二軸押出混練機が最も好ましく用いられる。
〔結着樹脂〕
本発明のシアントナーに含有される結着樹脂としては、例えばシアントナーが粉砕法、溶解懸濁法、乳化凝集法などによって製造される場合には、スチレン系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、スチレン−(メタ)アクリル系共重合体樹脂、オレフィン系樹脂などのビニル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、カーボネート樹脂、ポリエーテル、ポリ酢酸ビニル系樹脂、ポリスルフオン、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、尿素樹脂などの公知の種々の樹脂を用いることができる。これらは1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
また例えばシアントナーが懸濁重合法、乳化重合凝集法、ミニエマルション重合凝集法などによって製造される場合には、結着樹脂を得るための重合性単量体として、例えばスチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、α−メチルスチレン、p−クロロスチレン、3,4−ジクロロスチレン、p−フェニルスチレン、p−エチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、p−n−ヘキシルスチレン、p−n−オクチルスチレン、p−n−ノニルスチレン、p−n−デシルスチレン、p−n−ドデシルスチレンなどのスチレンあるいはスチレン誘導体;メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸t−ブチル、メタクリル酸n−オクチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸ジエチルアミノエチル、メタクリル酸ジメチルアミノエチルなどのメタクリル酸エステル誘導体;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸t−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸n−オクチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸フェニルなどのアクリル酸エステル誘導体;エチレン、プロピレン、イソブチレンなどのオレフィン類;塩化ビニル、塩化ビニリデン、臭化ビニル、フッ化ビニル、フッ化ビニリデンなどのハロゲン化ビニル類;プロピオン酸ビニル、酢酸ビニル、ベンゾエ酸ビニルなどのビニルエステル類;ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテルなどのビニルエーテル類;ビニルメチルケトン、ビニルエチルケトン、ビニルヘキシルケトンなどのビニルケトン類;N−ビニルカルバゾール、N−ビニルインドール、N−ビニルピロリドンなどのN−ビニル化合物類;ビニルナフタレン、ビニルピリジンなどのビニル化合物類;アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリルアミドなどのアクリル酸、またはメタクリル酸誘導体などのビニル系単量体を挙げることができる。これらのビニル系単量体は、1種または2種以上を組み合わせて使用することができる。
また、結着樹脂を得るための重合性単量体として、上記の重合性単量体にイオン性解離基を有するものを組み合わせて用いることが好ましい。イオン性解離基を有する重合性単量体は、例えばカルボキシル基、スルホン酸基、リン酸基などの置換基を構成基として有するものであって、具体的には、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、イタコン酸、ケイ皮酸、フマール酸、マレイン酸モノアルキルエステル、イタコン酸モノアルキルエステル、スチレンスルホン酸、アリルスルフォコハク酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、アシッドホスホオキシエチルメタクリレート、3−クロロ−2−アシッドホスホオキシプロピルメタクリレートなどが挙げられる。
さらに、重合性単量体として、ジビニルベンゼン、エチレングリコールジメタクリレート、エチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレートなどの多官能性ビニル類を用いて架橋構造の結着樹脂を得ることもできる。
本発明のシアントナーは、必要に応じて、荷電制御剤、離型剤などの内添剤および外添剤を含有することができる。
〔荷電制御剤〕
荷電制御剤としては、摩擦帯電により正または負の帯電を与えることのできる物質であれば特に限定されず、公知の種々の正帯電制御剤および負帯電制御剤を用いることができる。
荷電制御剤の含有量は、結着樹脂100質量部に対して0.01〜30質量部であることが好ましく、より好ましくは0.1〜10質量部である。
〔離型剤〕
離型剤としては、公知の種々のワックスを用いることができる。ワックスとしては、例えば、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックスなどのポリオレフィンワックス、マイクロクリスタリンワックスなどの分枝鎖状炭化水素ワックス、パラフィンワックス、サゾールワックスなどの長鎖炭化水素系ワックス、ジステアリルケトンなどのジアルキルケトン系ワックス、カルナバワックス、モンタンワックス、ベヘン酸ベヘネート、トリメチロールプロパントリベヘネート、ペンタエリスリトールテトラベヘネート、ペンタエリスリトールジアセテートジベヘネート、グリセリントリベヘネート、1,18−オクタデカンジオールジステアレート、トリメリット酸トリステアリル、ジステアリルマレエートなどのエステル系ワックス、エチレンジアミンベヘニルアミド、トリメリット酸トリステアリルアミドなどのアミド系ワックスなどが挙げられる。
離型剤の含有量は、結着樹脂100質量部に対して0.1〜30質量部であることが好ましく、より好ましくは1〜10質量部である。
〔外添剤〕
本発明のシアントナーとしては、シアントナー粒子をそのままの状態で用いることもできるが、シアントナー粒子に対して、流動性、帯電性およびクリーニング性などを改良するために、流動化剤およびクリーニング助剤などの外添剤を添加して用いることもできる。
外添剤としては、例えばシリカ微粒子、アルミナ微粒子、酸化チタン微粒子などの無機酸化物微粒子や、ステアリン酸アルミニウム微粒子、ステアリン酸亜鉛微粒子などの無機ステアリン酸化合物微粒子、あるいはチタン酸ストロンチウム、チタン酸亜鉛などの無機チタン酸化合物微粒子などの無機微粒子が挙げられる。
これら無機微粒子は、耐熱保管性および環境安定性の観点から、シランカップリング剤やチタンカップリング剤、高級脂肪酸、シリコーンオイルなどによって表面処理が行われたものであることが好ましい。
外添剤の添加量は、シアントナー100質量部に対して0.05〜5質量部、好ましくは0.1〜3質量部とされる。また、外添剤としては種々のものを組み合わせて用いてもよい。
〔シアントナー粒子の粒径〕
本発明のシアントナーを構成するシアントナー粒子の粒径は、体積基準のメディアン径で4〜10μmであることが好ましく、さらに好ましくは5〜9μmとされる。
体積基準のメディアン径が上記の範囲にあることにより、転写効率が高くなってハーフトーンの画質が向上し、細線やドットなどの画質が向上する。
シアントナー粒子の体積基準のメディアン径は、「コールターマルチサイザー3」(ベックマン・コールター社製)にデータ処理用のコンピューターシステム(ベックマン・コールター社製)を接続した測定装置を用いて測定・算出される。
具体的には、シアントナー0.02gを、界面活性剤溶液20ml(シアントナー粒子の分散を目的として、例えば界面活性剤成分を含む中性洗剤を純水で10倍希釈した界面活性剤溶液)に添加して馴染ませた後、超音波分散処理を1分間行い、シアントナー粒子の分散液を調製し、このシアントナー粒子の分散液を、サンプルスタンド内の「ISOTONII」(ベックマン・コールター社製)の入ったビーカーに、測定装置の表示濃度が5〜10%になるまでピペットにて注入する。ここで、この濃度範囲にすることにより、再現性のある測定値を得ることができる。そして、測定装置において、測定粒子カウント数を25000個、アパーチャ径を50μmにし、測定範囲である1〜30μmの範囲を256分割しての頻度値を算出し、体積積算分率の大きい方から50%の粒径を体積基準のメディアン径とする。
〔シアントナーの軟化点温度〕
本発明のシアントナーは、その軟化点温度(Tsp)が70℃以上110℃以下となるものが好ましく、70℃以上100℃以下となるものがより好ましい。本発明のシアントナーに含有される着色剤は、熱の影響を受けてもスペクトルが変化することのない安定した性質を有するものであるが、軟化点温度(Tsp)が上記範囲であることにより定着時にシアントナーに加わる熱の影響をより低減させることができる。従って、着色剤に負担をかけずに画像形成が行えるので、より広く安定した色再現性を発現させることが期待される。
また、シアントナーの軟化点温度(Tsp)が上記範囲であることにより、従来技術よりも低い温度でトナー画像の定着を行うことができ、電力消費の低減を実現した環境に優しい画像形成を実現することができる。
なお、シアントナーの軟化点温度(Tsp)は、たとえば、以下の方法を単独で、または、組み合わせることにより制御することができる。すなわち、
(1)結着樹脂を形成すべき単量体の種類や組成比を調節する。
(2)連鎖移動剤の種類や添加量により結着樹脂の分子量を調節する。
(3)離型剤等の種類や添加量を調節する。
シアントナーの軟化点温度(Tsp)の測定方法は、例えば「フローテスターCFT−500(島津製作所社製)」を用い、高さ10mmの円柱形状に成形し、昇温速度6℃/分で加熱しながらプランジャーより1.96×10Paの圧力を加え、直径1mm、長さ1mmのノズルから押し出すようにし、これにより当該フローテスターのプランジャー降下量−温度間の曲線(軟化流動曲線)を描き、最初に流出する温度を溶融開始温度、降下量5mmに対する温度を軟化点温度とする方法などが挙げられる。
〔現像剤〕
本発明のシアントナーは、非磁性の一成分現像剤として使用することもできるが、キャリアと混合して二成分現像剤として使用してもよい。
二成分現像剤として使用する場合において、キャリアとしては、鉄などの強磁性金属、強磁性金属とアルミニウムおよび鉛などの合金、フェライトおよびマグネタイトなどの強磁性金属の化合物などの従来公知の材料からなる磁性粒子を用いることができ、特にフェライト粒子が好ましい。また、キャリアとしては、磁性粒子の表面を樹脂などの被覆剤で被覆したコートキャリアや、バインダー樹脂中に磁性体微粉末を分散したバインダー型キャリアなどを用いることもできる。コートキャリアを構成する被覆樹脂としては、特に限定はないが、例えばオレフィン系樹脂、スチレン系樹脂、スチレン−アクリル系樹脂、シリコーン系樹脂、エステル樹脂、フッ素樹脂などが挙げられる。また、樹脂分散型キャリアを構成する樹脂としては、特に限定されず公知のものを使用することができ、例えばスチレン−アクリル系樹脂、ポリエステル樹脂、フッ素樹脂、フェノール樹脂などを使用することができる。
キャリアの体積基準のメディアン径は、20〜100μmであることが好ましく、更に好ましくは20〜60μmである。
キャリアの体積基準のメディアン径は、代表的には湿式分散機を備えたレーザ回折式粒度分布測定装置「ヘロス(HELOS)」(シンパティック(SYMPATEC)社製)により測定することができる。
〔画像形成方法〕
本発明のシアントナーは、例えばイエロートナー、マゼンタトナーの3色のトナーと共に一般的な電子写真方式による画像形成方法に好適に用いることできる。また、必要に応じて上記3色のトナーと共にブラックトナーを用いてもよい。
また、本発明のシアントナーを用いた画像形成方法に使用されるシアントナー以外の各色のトナーに含有される着色剤としては、従来公知のものを用いることができ、各色のトナーに含有される結着樹脂や内添剤などは本発明のシアントナーに用いられるものと同一の構成とすることができる。
イエロートナーとしては、色相角が70〜100°である着色剤を含有するものであることが好ましい。
具体的には、イエロートナーに含有される着色剤としては、例えばC.I.ソルベントイエロー19、同44、同77、同79、同81、同82、同93、同98、同103、同104、同112、同162、C.I.ピグメントイエロー14、同17、同74、同93、同94、同138、同155、同180、同185などが挙げられる。これらは1種単独または2種以上を組み合わせて用いることができる。これらの中でも特にC.I.ピグメントイエロー74が好ましい。
イエロートナーに含有される着色剤の含有量は、結着樹脂100質量部に対して、1〜10質量部であることが好ましく、より好ましくは2〜8質量部である。
また、マゼンタトナーとしては、色相角が−40〜40°である着色剤を含有するものであることが好ましい。
具体的には、マゼンタトナーに含有される着色剤としては、例えばC.I.ソルベントレッド1、同49、同52、同58、同63、同111、同122、C.I.ピグメントレッド5、同48:1、同53:1、同57:1、同122、同139、同144、同149、同166、同177、同178、同222などが挙げられる。これらは1種単独または2種以上を組み合わせて用いることができる。これらの中でも特にC.I.ピグメントレッド122が好ましい。
マゼンタトナーに含有される着色剤の含有量は、結着樹脂100質量部に対して、1〜10質量部であることが好ましく、より好ましくは2〜8質量部である。
シアントナーの好ましい色相角は、一般には190°〜300°の範囲であるが、上記観点から最も好ましい色相角は200°から230°であり、本発明の軸配位子含有着色剤化合物Xは210°から220°の色相角を有しており、この色相角がトナーとした時に最も好ましい色相角を発現することが期待出来る。
ブラックトナーに含有される着色剤としては、例えばカーボンブラック、磁性体、チタンブラックなどが挙げられる。カーボンブラックとしては、例えばチャンネルブラック、ファーネスブラック、アセチレンブラック、サーマルブラック、ランプブラックなどが挙げられる。磁性体としては、例えば鉄、ニッケル、コバルトなどの強磁性金属、これら強磁性金属を含む合金、フェライト、マグネタイトなどの強磁性金属の化合物、強磁性金属を含まないが熱処理することにより強磁性を示す合金などが挙げられる。熱処理することにより強磁性を示す合金としては、例えばマンガン−銅−アルミニウム、マンガン−銅−スズなどのホイスラー合金、二酸化クロムなどが挙げられる。
ブラックトナーに含有される着色剤の含有量は、結着樹脂100質量部に対して、1〜10質量部であることが好ましく、より好ましくは2〜8質量部である。
なお、本発明のシアントナー、イエロートナー、マゼンタトナーに係るそれぞれの色相角は、L表色系において、反時計回りにマゼンタトナー、イエロートナー、シアントナーとなる順に存在していればよい。
本発明のシアントナーと上述の3色のトナーとを用いて画像を形成する方法としては、具体的には、例えば下記(1)および(2)の方法などが挙げられる。
(1)静電潜像担持体上に形成された静電潜像をトナーにより現像することによって形成されるトナー像を転写材に直接転写するトナー像形成工程を、イエロートナー、マゼンタトナー、シアントナー、ブラックトナーの4色のトナーを用いて行うことにより、トナー像を担持した転写材を得、これらのトナー像を転写材に定着させることにより画像を形成する、いわゆる直接転写方式の画像形成方法。
(2)静電潜像担持体上に形成された静電潜像をトナーにより現像することによって形成されるトナー像を中間転写体に転写するトナー像形成工程を、少なくともイエロートナー、マゼンタトナー、シアントナー、ブラックトナーの4色のトナーを用いて行うことにより、トナー像を担持した中間転写体を得、これらのトナー像を転写材上に転写し、定着させることにより画像を形成する、所謂中間転写方式の画像形成方法。
このような画像形成方法のうち、イエロートナー、マゼンタトナー、シアントナー、及びブラックトナーの4色のトナーを用いた中間転写方式の画像形成方法について、以下具体的に説明する。
《画像形成装置》
本発明に係る画像形成装置について説明する。
本発明の効果を実現する画像形成装置は、
(1)少なくとも本発明の表面層を有する電子写真感光体、
(2)前述した電子写真感光体表面を帯電する帯電手段、
(3)帯電手段により帯電された電子写真感光体表面に像露光を行い潜像形成を行う露光手段、露光手段により形成された潜像を顕像化してトナー画像を形成する現像手段、
(4)現像手段により電子写真感光体表面に形成されたトナー画像を用紙等の転写媒体あるいは転写ベルト上に転写する転写手段、を有するものである。
尚、電子写真感光体を帯電させる帯電手段では非接触帯電装置を用いることが好ましい。非接触帯電装置としては、コロナ帯電装置、コロトロン帯電装置、スコロトロン帯電装置を挙げることができる。
図2は、本発明の実施形態のひとつを示すカラー画像形成装置の断面構成図である。
このカラー画像形成装置は、タンデム型カラー画像形成装置と称せられるもので、4組の画像形成部(画像形成ユニット)10Y、10M、10C、10Bkと、無端ベルト状中間転写体ユニット7と、給紙搬送手段21及び定着手段24とから成る。画像形成装置の本体Aの上部には、原稿画像読み取り装置SCが配置されている。
イエロー色の画像を形成する画像形成部10Yは、第1の像担持体としてのドラム状の感光体1Yの周囲に配置された帯電手段(帯電工程)2Y、露光手段(露光工程)3Y、現像手段(現像工程)4Y、一次転写手段(一次転写工程)としての一次転写ローラ5Y、クリーニング手段6Yを有する。マゼンタ色の画像を形成する画像形成部10Mは、第1の像担持体としてのドラム状の感光体1M、帯電手段2M、露光手段3M、現像手段4M、一次転写手段としての一次転写ローラ5M、クリーニング手段6Mを有する。シアン色の画像を形成する画像形成部10Cは、第1の像担持体としてのドラム状の感光体1C、帯電手段2C、露光手段3C、現像手段4C、一次転写手段としての一次転写ローラ5C、クリーニング手段6Cを有する。黒色画像を形成する画像形成部10Bkは、第1の像担持体としてのドラム状の感光体1Bk、帯電手段2Bk、露光手段3Bk、現像手段4Bk、一次転写手段としての一次転写ローラ5Bk、クリーニング手段6Bkを有する。
前記4組の画像形成ユニット10Y、10M、10C、10Bkは、感光体ドラム1Y、1M、1C、1Bkを中心に、回転する帯電手段2Y、2M、2C、2Bkと、像露光手段3Y、3M、3C、3Bkと、回転する現像手段4Y、4M、4C、4Bk、及び、感光体ドラム1Y、1M、1C、1Bkをクリーニングするクリーニング手段6Y、6M、6C、6Bkより構成されている。
前記画像形成ユニット10Y、10M、10C、10Bkは、感光体1Y、1M、1C、1Bkにそれぞれ形成するトナー画像の色が異なるだけで、同じ構成であり、画像形成ユニット10Yを例にして詳細に説明する。
画像形成ユニット10Yは、像形成体である感光体ドラム1Yの周囲に、帯電手段2Y(以下、単に帯電手段2Y、あるいは、帯電器2Yという)、露光手段3Y、現像手段4Y、クリーニング手段6Y(以下、単にクリーニング手段6Y、あるいは、クリーニングブレード6Yという)を配置し、感光体ドラム1Y上にイエロー(Y)のトナー画像を形成するものである。また、本実施の形態においては、この画像形成ユニット10Yのうち、少なくとも感光体ドラム1Y、帯電手段2Y、現像手段4Y、クリーニング手段6Yを一体化するように設けている。
帯電手段2Yは、感光体ドラム1Yに対して一様な電位を与える手段であって、本実施の形態においては、感光体ドラム1Yにコロナ放電型の帯電器2Yが用いられている。
像露光手段3Yは、帯電器2Yによって一様な電位を与えられた感光体ドラム1Y上に、画像信号(イエロー)に基づいて露光を行い、イエローの画像に対応する静電潜像を形成する手段であって、この露光手段3Yとしては、感光体ドラム1Yの軸方向にアレイ状に発光素子を配列したLEDと結像素子(商品名;セルフォックレンズ)とから構成されるもの、あるいは、レーザ光学系などが用いられる。
本発明の画像形成装置としては、上述の感光体と、現像器、クリーニング器等の構成要素をプロセスカートリッジ(画像形成ユニット)として一体に結合して構成し、この画像形成ユニットを装置本体に対して着脱自在に構成しても良い。又、帯電器、像露光器、現像器、転写又は分離器、及びクリーニング器の少なくとも1つを感光体とともに一体に支持してプロセスカートリッジ(画像形成ユニット)を形成し、装置本体に着脱自在の単一画像形成ユニットとし、装置本体のレールなどの案内手段を用いて着脱自在の構成としても良い。
無端ベルト状中間転写体ユニット7は、複数のローラにより巻回され、回動可能に支持された半導電性エンドレスベルト状の第2の像担持体としての無端ベルト状中間転写体70を有する。
画像形成ユニット10Y、10M、10C、10Bkより形成された各色の画像は、一次転写手段としての一次転写ローラ5Y、5M、5C、5Bkにより、回動する無端ベルト状中間転写体70上に逐次転写されて、合成されたカラー画像が形成される。給紙カセット20内に収容された転写材(定着された最終画像を担持する支持体:例えば普通紙、透明シート等)としての転写材Pは、給紙手段21により給紙され、複数の中間ローラ22A、22B、22C、22D、レジストローラ23を経て、二次転写手段としての二次転写ローラ5bに搬送され、転写材P上に二次転写してカラー画像が一括転写される。カラー画像が転写された転写材Pは、定着手段24により定着処理され、排紙ローラ25に挟持されて機外の排紙トレイ26上に載置される。ここで、中間転写体や転写材等の感光体上に形成されたトナー画像の転写支持体を総称して転写媒体と云う。
一方、二次転写手段としての二次転写ローラ5bにより転写材Pにカラー画像を転写した後、転写材Pを曲率分離した無端ベルト状中間転写体70は、クリーニング手段6bにより残留トナーが除去される。
画像形成処理中、一次転写ローラ5Bkは常時、感光体1Bkに当接している。他の一次転写ローラ5Y、5M、5Cはカラー画像形成時にのみ、それぞれ対応する感光体1Y、1M、1Cに当接する。
二次転写ローラ5bは、ここを転写材Pが通過して二次転写が行われる時にのみ、無端ベルト状中間転写体70に当接する。
また、装置本体Aから筐体8を支持レール82L、82Rを介して引き出し可能にしてある。
筐体8は、画像形成部10Y、10M、10C、10Bkと、無端ベルト状中間転写体ユニット7とから成る。
画像形成部10Y、10M、10C、10Bkは、垂直方向に縦列配置されている。感光体1Y、1M、1C、1Bkの図示左側方には無端ベルト状中間転写体ユニット7が配置されている。無端ベルト状中間転写体ユニット7は、ローラ71、72、73、74を巻回して回動可能な無端ベルト状中間転写体70、一次転写ローラ5Y、5M、5C、5Bk、及びクリーニング手段6bとから成る。
以上、本発明のシアントナーを用いた画像形成方法の実施形態について説明したが、上記実施形態に限定されるものではなく、種々の変更を加えることができる。
〔転写材〕
以上のような画像形成方法に用いられる転写材としては、例えば薄紙から厚紙までの普通紙、上質紙、アート紙あるいはコート紙などの塗工された印刷用紙、市販されている和紙やはがき用紙、OHP用のプラスチックフィルム、布などの各種を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
以下、本発明の具体的な実施例について説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
〔着色剤微粒子分散液〔1〕の調製〕
n−ドデシル硫酸ナトリウム11.5質量部をイオン交換水160質量部に投入し、溶解・撹拌して界面活性剤水溶液を調製した。この界面活性剤水溶液中に、前記式(X−1)化合物21.8質量部を徐々に添加し、「クリアミックスWモーションCLM−0.8」(エムテクニック社製)により分散処理を行って、着色剤微粒子分散液〔1〕を調製した。
〔着色剤微粒子分散液〔2〕〜〔12〕の調製〕
着色剤微粒子の分散液〔1〕の調製において、着色剤、界面活性剤量、分散条件等を表1のようにして、着色剤微粒子分散液〔2〕〜〔12〕を調整した。また、各着色剤微粒子分散液中の着色剤微粒子の分散粒径を表1に示した。
Figure 2012068437
〔実施例1の「シアントナー1」の作製例〕
(1)樹脂粒子〔1〕の作製例
(a)第1段重合:樹脂粒子〔A1〕の作製
撹拌装置、温度センサ、冷却管、窒素導入装置を取り付けた反応容器内にポリオキシエチレンラウリル硫酸エーテル4質量部をイオン交換水3040質量部と共に投入し、界面活性剤水溶液を調製した。
この界面活性剤水溶液中に、重合開始剤として過硫酸カリウム10質量部をイオン交換水400質量部に溶解させた重合開始剤溶液を添加し、この系を75℃に昇温させた後、下記化合物よりなる重合性単量体混合液を1時間かけて反応容器中に滴下した。
スチレン 532質量部
n−ブチルアクリレート 200質量部
メタクリル酸 68質量部
n−オクチルメルカプタン 16.4質量部
この重合性単量体混合液を滴下後、この系を75℃にて2時間にわたり加熱、撹拌することにより第1段重合を行い、樹脂粒子〔A1〕を作製した。
(b)第2段重合:樹脂粒子〔A2〕の作製
撹拌装置を取り付けたフラスコ内に下記化合物よりなる重合性単量体混合液を投入し、離型剤としてパラフィンワックス「HNP−57」(日本精蝋社製)93.8質量部を添加し、90℃に加温して溶解させた。
スチレン 101.1質量部
n−ブチルアクリレート 62.2質量部
メタクリル酸 12.3質量部
n−オクチルメルカプタン 1.75質量部
ポリオキシエチレンラウリル硫酸エーテル3質量部をイオン交換水1560質量部に溶解させた界面活性剤水溶液を調製し、98℃に加熱した。この界面活性剤水溶液に樹脂粒子〔A1〕32.8質量部(固形分換算)を添加し、さらに、パラフィンワックスを含有する重合性単量体混合液を添加した後、機械式分散機「クレアミックス」(エムテクニック社製)を用いて8時間混合分散し、分散粒子径が340nmの乳化粒子を有する乳化粒子分散液を調製した。
次いで、乳化粒子分散液に過硫酸カリウム6質量部をイオン交換水200質量部に溶解させた重合開始剤溶液を添加し、この系を98℃にて12時間にわたり加熱、撹拌することにより第2段重合を行い、樹脂粒子〔A2〕を作製した。
(c)第3段重合:樹脂粒子〔1〕の作製
樹脂粒子〔A2〕に、過硫酸カリウム5.45質量部をイオン交換水220質量部に溶解させた重合開始剤溶液を添加し、この系を80℃の温度条件下において、下記化合物よりなる重合性単量体混合液を1時間かけて滴下した。
スチレン 293.8質量部
n−ブチルアクリレート 154.1質量部
n−オクチルメルカプタン 7.08質量部
この重合性単量体混合液を滴下後、2時間にわたり加熱、撹拌することにより第3段重合を行い、28℃に冷却して樹脂粒子〔1〕を作製した。
(2)シェル用樹脂粒子〔1〕の作製工程
(a)の第1段重合で使用された単量体混合液を以下のものに変更した以外は同様にして、重合反応及び反応後の処理を行ってシェル用樹脂粒子〔1〕を作製した。
スチレン 624質量部
2−エチルヘキシルアクリレート 120質量部
メタクリル酸 56質量部
n−オクチルメルカプタン 16.4質量部
(3)シアントナー粒子〔1〕の作製例
(a)コア部〔1〕の作製
樹脂粒子〔1〕 430質量部(固形分換算)
イオン交換水 900質量部
着色剤微粒子分散液〔1〕 30質量部(固形分換算)を反応容器に投入し撹拌した。反応容器内の温度を30℃に調整後、5mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液を添加してpHを8〜11に調整した。
次いで、塩化マグネシウム6水和物50質量部をイオン交換水50質量部に溶解させた水溶液を撹拌の下で30℃にて10分間かけて添加した。3分間放置後、昇温を開始し、この系を60分間かけて80℃まで昇温させて会合を行った。
この状態で「マルチサイザ3」(コールター社製)を用いて会合粒子の粒子径測定を行い、会合粒子の体積基準メディアン径が6.0μmになった時に、塩化ナトリウム40.2質量部をイオン交換水1000質量部に溶解させた水溶液を添加して会合を停止させた。
会合停止後、さらに、熟成処理として液温を70℃にして1時間にわたり加熱撹拌を行うことにより融着を継続させてコア部〔1〕を作製した。
コア部〔1〕の平均円形度を「FPIA2100」(シスメック社製)で測定したところ、0.912だった。
(b)シェルの形成:シアントナー粒子〔1〕の作製
次に、上記液を65℃にしてシェル用樹脂粒子〔1〕70質量部(固形分換算)を添加し、さらに、塩化マグネシウム・6水和物50質量部をイオン交換水50質量部に溶解した水溶液を10分間かけて添加した後、70℃まで昇温させて1時間にわたり撹拌を行った。この様にして、コア部〔1〕の表面にシェル用樹脂粒子〔1〕を融着させた後、75℃で20分間熟成処理を行ってシェルを形成させた。
この後、塩化ナトリウム40.2質量部をイオン交換水1000質量部に溶解した水溶液を添加してシェル形成を停止した。さらに、8℃/分の速度で30℃に冷却して生成した粒子をろ過し、45℃のイオン交換水で繰り返し洗浄した後、40℃の温風で乾燥することにより、コア部表面にシェルを有するシアントナー粒子〔1〕を作製した。
(4)外添剤の添加例:シアントナー1の作製
上述のようにして作製したシアントナー粒子〔1〕に下記外添剤を添加して、「ヘンシェルミキサ」(三井三池鉱業社製)を用いて外添処理を行い、「シアントナー1」を作製した。
ヘキサメチルシラザン処理したシリカ(平均一次粒子径12nm)
0.6質量部
n−オクチルシラン処理した二酸化チタン(平均一次粒子径24nm)
0.8質量部
なお、ヘンシェルミキサによる外添処理は、撹拌羽根の周速35m/秒、処理温度35℃、処理時間15分の条件で行った。作製した「シアントナー1」の体積基準におけるメディアン径は6.5μm、軟化点は、107℃であった。
〔実施例2〜8の「シアントナー2〜8」、比較例1〜4の「シアントナー10〜13」の作製〕
実施例1の「シアントナー1」の作製例において、着色剤微粒子分散液〔1〕の代わりに、着色剤分散液〔2〕から〔12〕に変更したことの他は同様にして、実施例2〜8の「シアントナー2〜8」、及び比較例1〜4の「シアントナー10〜13」を作製した。なお、実施例9の「シアントナー9」は下記粉砕法にて作製した。
〔実施例9の「シアントナー9」の作製例:粉砕法によるトナー作製例〕
(1)混合工程
下記材料を「ヘンシェルミキサ」(三井鉱山社製)により、撹拌羽根の周速を25m/秒に設定して5分間かけて混合して混合物を得た。
ポリエステル樹脂(ビスフェノールA−エチレンオキサイド付加物、テレフタル酸、トリメリット酸の縮合物:重量平均分子量20,000) 100質量部
着色剤(シリコンフタロシアニン) 6質量部
離型剤(ペンタエリスリトールテトラステアレート) 6質量部
荷電制御剤(ジベンジル酸ホウ素) 1質量部
(2)混練工程
得られた混合物を二軸押出混練機により110℃に加熱しながら混練し、混練物を得、その後この混練物を冷却した。
(3)粉砕工程
得られた混練物を「ハンマーミル」(ホソカワミクロン社製)により粗粉砕した後、「ターボミルT−400型」(ターボ工業社製)により微粉砕した。
このトナーにおける着色剤の分散粒径は数平均粒径で17.5nmであった。
(4)分級工程
得られた微粉末を風力分級機により微粉分級を行なうことにより、体積基準のメディアン径が6.5μmのシアントナー粒子〔9〕を得た。
(5)外添剤添加工程
シアントナー粒子〔9〕に、下記外添剤を添加して、「ヘンシェルミキサ」(三井三池鉱業社製)により外添処理を行い、「シアントナー9」を作製した。
へキサメチルシラザン処理したシリカ微粒子 0.6質量部
n−オクチルシラン処理した二酸化チタン微粒子 0.8質量部
なお、ヘンシェルミキサによる外添処理は、撹拌羽根の周速35m/秒、処理温度35℃、処理時間15分の条件の下で行った。
〔現像剤の作成〕
上述のようにして作成したシアントナー1〜13の各々と、メチルメタクリレートおよびシクロヘキシルメタクリレート樹脂を被覆した体積平均粒子径50μmのフェライトキャリアを、各々のトナーの濃度が6質量%になるようV型混合機によって混合することにより、シアン現像剤を作製した。
図2に示す画像形成装置に対応する複合機「bizhub PRO C6500」(コニカミノルタビジネステクノロジーズ社製)に上記のようにして作製した現像剤を充填し、下記評価を行った。結果を表2に示す。
〔評価〕
シアントナーのみにより「PODグロスコート紙(128g/m)」(王子製紙社製)上にトナー付着量4g/mのシアンベタ画像を形成し、各々、L、a、bを測定した。
下記式(1)で示す彩度C、及び下記式(2)で示す色相角の値を表2に示す。
式(1):彩度(C)=〔(a+(b1/2
なお、L、a、bは、分光光度計「Gretag Macbeth Spectrolino」(Gretag Macbeth社製)を用い、光源としてD65光源、反射測定アパーチャとしてφ4mmのものを用い、測定波長域380〜730nmを10nm間隔で、視野角を2°とし、基準合わせには専用白タイルを用いた条件において測定されるものである。
式(2):色相角=tan−1(b/a
彩度は61以上を合格レベルとした。また、トナー中の分散粒径による色相角のずれは10°以内であれば二次色などの色作りの際にも問題なく、目視によって差異を確認できない。
Figure 2012068437
以上の結果から明らかなように、銅フタロシアニンは色材分散液の分散粒径を小さくすると色相角の変化が起こるが、前記軸配位子含有着色剤化合物Xは色材分散液の分散粒径を小さくしても色相変化が起こらない。
本発明のシアントナーは比較用シアントナーに比べて、色相角が好ましい範囲にあり、彩度が極めて優れたものであることが分かる。
明度
赤−緑方向の色相
黄−青方向の色相
1Y、1M、1C、1Bk 感光体ドラム
2Y、2M、2C、2Bk 帯電手段
3Y、3M、3C、3Bk 像露光手段
4Y、4M、4C、4Bk 現像手段
6Y、6M、6C、6Bk クリーニング手段
10Y、10M、10C、10Bk 画像形成ユニット

Claims (6)

  1. 少なくとも結着樹脂およびシアン着色剤を含有するシアントナー粒子を含有する静電荷像現像用シアントナーであって、
    該シアン着色剤が、下記一般式(1)で表される軸配位子含有着色剤化合物Xを含有し、該静電荷像現像用シアントナー中における該軸配位子含有着色剤化合物Xの分散粒子の数平均粒径が5nm以上50nm以下であることを特徴とする静電荷像現像用シアントナー。
    Figure 2012068437
    (上記一般式(1)中、Mは第14族の金属原子を示す。また、2つのQは各々独立に1価の置換基を示し、mおよびnはそれぞれ0または1であって少なくとも一方は1である。また、4つのAは、各々独立に置換基を有してもよい芳香環を形成する原子団を示す。)
  2. 前記一般式(1)で表される軸配位子含有着色剤化合物Xにおいて、2つのQが、各々独立に、アルキル基、アリール基、アリールオキシ基、アルコキシ基、アシルオキシ基または下記一般式(2)で表される化合物基であることを特徴とする請求項1に記載の静電荷像現像用シアントナー。
    Figure 2012068437
    (上記一般式(2)中、R、R、Rは、各々独立に、アルキル基、アリール基、アリールオキシ基またはアルコキシ基を示す。)
  3. 前記軸配位子含有着色剤化合物Xにおいて、MがSi、Ge、Snのいずれかの元素であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の静電荷像現像用シアントナー。
  4. 前記一般式(1)で表される軸配位子含有着色剤化合物Xにおいて、MがSiであることを特徴とする請求項1から請求項3の何れか1項に記載の静電荷像現像用シアントナー。
  5. 請求項1から請求項4の何れか1項に記載の静電荷像現像用シアントナーの製造方法であって、
    該製造方法が、少なくとも前記軸配位子含有着色剤化合物Xを界面活性剤の存在下において水系媒体中で分散する工程と、
    樹脂微粒子の分散液を作製する工程と、
    該軸配位子含有着色剤化合物Xの水系分散液と該樹脂微粒子の分散液とを凝集会合し、トナー母体粒子を作製する工程とを有することを特徴とする静電荷像現像用シアントナーの製造方法。
  6. 前記軸配位子含有着色剤化合物Xを水系媒体中で分散した時の該軸配位子含有着色剤化合物Xの分散粒径が個数分布おけるメディアン径(D50)が5nm以上30nm以下であることを特徴とする請求項5に記載の静電荷像現像用シアントナーの製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2014026066A (ja) * 2012-07-26 2014-02-06 Konica Minolta Inc 静電荷像現像用シアントナー
JP2018021968A (ja) * 2016-08-01 2018-02-08 コニカミノルタ株式会社 トナー

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