JP2012067414A - 異染混繊糸の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】異染性を有する繊維が単繊維の水準で均一に混繊複合され、単色では出せない審美性に富んだ色合いに染色が可能な、異染混繊糸の製造方法を提供する。
【解決手段】染色性の異なる複数本の長繊維束A,Bをそれぞれ扁平に開繊して扁平糸条とし、それらを扁平の厚み方向に重ね合わせて、これを周速度の異なる2組のニップローラーR1,R2を、低速のニップローラーR1、高速のニップローラーR2の順で通過させ、その際、いずれのニップローラーにおいても該扁平の状態を維持するように、該扁平糸条を厚み方向に挟んで把持し、かつ該2組のニップローラーR1,R2間で該扁平糸条を牽切し、その後、空気噴射ノズルN1,N2に通して抱合することを特徴とする異染混繊糸Yを製造する。
【選択図】図1
【解決手段】染色性の異なる複数本の長繊維束A,Bをそれぞれ扁平に開繊して扁平糸条とし、それらを扁平の厚み方向に重ね合わせて、これを周速度の異なる2組のニップローラーR1,R2を、低速のニップローラーR1、高速のニップローラーR2の順で通過させ、その際、いずれのニップローラーにおいても該扁平の状態を維持するように、該扁平糸条を厚み方向に挟んで把持し、かつ該2組のニップローラーR1,R2間で該扁平糸条を牽切し、その後、空気噴射ノズルN1,N2に通して抱合することを特徴とする異染混繊糸Yを製造する。
【選択図】図1
Description
本発明は、異染混繊糸の製造方法に関する。さらに詳細には、染色性の異なる繊維を混ぜる技術を高度化し、該染色性の異なる繊維を単繊維の水準で均一に混繊複合した、審美性に富んだ色合いに染色が可能な異染混繊糸の製造方法に関する。
衣料やインテリア、寝装、車両内装などに使用される繊維製品においては、色合いがその商品価値を決める重要な要素になっている。
そこで、この分野では商品価値をより高められる色合いが求められているが、幸い繊維はその全てを同色に染色する以外に染色性の異なる繊維を混ぜることによって複数の色が混ざった色合いに染色することができ、その分新しい色合いを創出できる可能性を有している。
そこで、この分野では商品価値をより高められる色合いが求められているが、幸い繊維はその全てを同色に染色する以外に染色性の異なる繊維を混ぜることによって複数の色が混ざった色合いに染色することができ、その分新しい色合いを創出できる可能性を有している。
異染複合糸を用いた製品は、例えば、特許文献1〜8(特開昭49−13483号公報、特開昭52−74053号公報、特開昭56−58079号公報、特開昭58−163751号公報、特開平5−279970号公報、特開平6−173175号公報、特開平7−34388号公報、特開平7−54280号公報)などに示されている公知の染色方法で異色染め、あるいは片染めされ、異染効果が得られる。
こうした、染色性の異なる短繊維を均一に混ぜるには、公知の紡績方法により、それぞれの原綿の塊を混打綿工程、梳綿工程および練条工程などに何回も通し、原綿の塊を何回も開繊したり分割したりして行って来た。
しかしながら、いずれの工程においても、絡み合った原綿の大塊を細かい塊にまでは出来ても、単繊維の水準にまでは開繊、分割することが難しい。
しかしながら、いずれの工程においても、絡み合った原綿の大塊を細かい塊にまでは出来ても、単繊維の水準にまでは開繊、分割することが難しい。
しかも、染色性の異なる原綿間には、一般に原料や製造条件の違いによる繊度差、捲縮特性差、繊維長差、断面形状差、摩擦特性差、油剤特性差などがあり、これが原綿の塊の開繊性や分割性に影響し、均一な混紡の障害になったり、使える原綿が制約されたり、あるいは一度混繊されても後の染色工程でまた分離してしまうなどの問題もある。
また、最終的に得られる糸条内に原綿の繊維塊が残ると、その分異色のコントラストが強くなり、それが紡績糸の撚とあいまって霜降り状、あるいは、布帛にした場合に筋状またはモアレ状の斑になって目立ち、製品の審美性を損ない好ましくない。
この残留繊維塊のサイズを少なくする方法としては、これまで異染性原綿間の物性差を少なくしたり、上記の混打綿工程、梳綿工程、練条工程に何度も通したりするしか無く、異染性の短繊維が単繊維の水準で均一に混繊され、審美性に富んだ色合いを有した糸条にするには、上記煩雑な手間を掛けるだけに止まらず、上記方法を上手に使いこなす熟練した技術を必要とする。
さらに、これらの原綿は繊維の配列がランダムな上、絡みや捲縮などで塊状を呈しており、上記したいずれの紡績工程においても、ローラーや針布あるいは櫛状物に把持され積極的に移動する繊維以外に、特にニップされることなくこれらの移動繊維に絡みや捲縮あるいは摩擦などによって引きずられながら移動する浮遊繊維塊が常に存在し、これらの原綿を単繊維の水準で均一に混繊するのは極めて難しいのが実情である。
本発明は、異染性を有する繊維が単繊維の水準で均一に混繊複合され、単色では出せない審美性に富んだ色合いに染色が可能な、異染混繊糸の製造方法を提供するものである。
本発明者は、上記課題を解決するため検討を行い、本発明に到達した。かくして本発明によれば、染色性の異なる複数本の長繊維束をそれぞれ扁平に開繊して扁平糸条とし、それらを扁平の厚み方向に重ね合わせて、これを周速度の異なる2組のニップローラーを、低速のニップローラー、高速のニップローラーの順で通過させ、その際、いずれのニップローラーにおいても該扁平の状態を維持するように、該扁平糸条を厚み方向に挟んで把持し、かつ該2組のニップローラー間で該扁平糸条を牽切し、その後、空気噴射ノズルに通して抱合することを特徴とする異染混繊糸の製造方法が提供される。
本発明によれば、染色性の異なる繊維が単繊維の水準で均一に混繊され、従来の混紡糸では得られないような審美性に富んだ色合いに染色が可能な異染混繊糸が得られる他、生産におけるロット変更の手間を、従来紡績対比大幅に軽減することができる。
本発明は、染色性の異なる複数本の長繊維束を用いて、異染混繊糸を製造する方法である。上記の複数本の長繊維束を構成する素材としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリトリチレンテレフタレート等のポリエステル、ナイロン6、ナイロン66等の脂肪族ポリアミドや、芳香族ポリアミド、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィンを例示することができる。染色性の異なる複数本の長繊維束は、同種の素材であっても、種類の異なる素材であってもよい。
すなわち、上記の染色性の異なる繊維としては、種類の異なるポリマーからなる繊維、同種のポリマーからなり一方を改質したもの、一方の繊維に顔料を加えたものなどを採用することができる。本発明においては、物性や、後述するように染色において染色性の異なる繊維が分離せず、異染の効果を得るためには、染色性の異なる繊維がいずれもポリエステル繊維からなることが好ましい。
上記の染色性の異なるポリエステル繊維の具体例としては、例えば、特開昭49−13483号公報、特開昭52−74053号公報、特開昭56−58079号公報、特開昭58−163751号公報、特開平5−279970号公報、特開平6−173175号公報、特開平7−34388号公報、特開平7−54280号公報などに示されている異染複合糸などを構成する繊維を採用することができる。特にポリエチレンテレフタレート繊維と、スルホン酸金属、特に5−ナトリウムスルフォイソフタル酸を酸成分に対し2.0〜4.5モル%共重合したポリエチレンテレフタレート系ポリエステル繊維との組み合わせが好ましい。
また、本発明に用いるそれぞれの長繊維束の総繊度としては、好ましくは100〜10000dtexであり、より好ましくは500〜5000dtexであり、単繊維繊度としては、好ましくは0.1〜20dtexであり、より好ましくは0.5〜10dtexである。また、各長繊維束の総繊度、単繊維繊維は同じであっても異なっていてもよい。
本発明は、染色性の異なる複数本の長繊維束をそれぞれ扁平に開繊して扁平糸条とし、それらを扁平の厚み方向に重ね合わせて、これを周速度の異なる2組のニップローラーを、低速のニップローラー、高速のニップローラーの順で通過させ、その際、いずれのニップローラーにおいても該扁平の状態を維持するように、該扁平糸条を厚み方向に挟んで把持し、かつ該2組のニップローラー間で該扁平糸条を牽切し、その後、空気噴射ノズルに通して抱合することを特徴とする異染混繊糸の製造方法である。かかる方法によって、染色性の異なる繊維が単繊維の水準で均一に混繊され、染色後に、従来に無い審美性に富んだ色合いを有する混繊糸が初めて得られる。
すなわち、扁平に開繊し、繊維が平行に配列している染色性の異なる複数本の長繊維束を、扁平の厚み方向に重ね合わせ、扁平の状態を維持するよう、扁平の厚み方向に一対の低速のニップローラーで把持することにより、それぞれの繊維が大きな塊状になることなく1本1本の繊維がばらばらに混ざり合った繊維束が得られる。
また、高速のニップローラーでも、低速のニップローラーから送り出されてくる色の異なる長繊維からなる扁平糸条を、扁平の状態を維持するよう、扁平の厚み方向に把持すると共に、両ニップローラー間で、上記扁平糸条を牽切する。この際、高速のニップローラーと低速にニップローラーの周速度比に対応して、扁平糸条中に残留しているそれぞれの色の小繊維塊が減少する。
さらに、低速のニップローラーから送り出される扁平糸条は、高速のニップローラーに届いた順に繊維が1本ずつ把持され牽切されるので、それぞれの繊維が単繊維の水準で混ざりあった混繊状態が得られる。
本発明では、上記工程の後、高速のニップローラーから送出される繊維束を空気噴射ノズルに通して抱合するが、その際にも、空気噴射ノズルによって1本1本の繊維が撹乱され、より細かい混繊状態が得られる。
次に、図を用いて本発明の一実施形態について詳細に説明する。図1(1)は本発明を実施するための装置の一例を示す概略図、図1(2)は図1(1)において、ガイドG3通過後、長繊維束A、Bを開繊した各扁平糸条を重ね合わせてニップローラーR1に供給する部分の斜視図を示す概略図である。
すなわち、図1において、染色性の異なる長繊維束AおよびBをそれぞれ開繊ガイドG1およびG2に通して屈曲を与えながら扁平に薄く開繊し、次いでこれらを厚み方向に重ね合わせた後、開繊した扁平糸条を低速のニップローラーR1およびこれより周速度が速い高速のニップローラーR2に通し、その際、両ニップローラーでは扁平の状態を維持するように該扁平糸条を厚み方向に挟んで把持し、さらに両ニップローラー間で長繊維束AおよびBからなる扁平糸条を牽切し、次いでニップローラーR2とニップローラーR3の間の空気噴出ノズルN1を用いて牽切した繊維束を吸引し、さらに空気噴出ノズルN2を用いて該繊維束を抱合し、オイリング装置Oにより繊維油剤を施してワインダーWに巻き取り、本発明の異染混繊糸を製造することができる。
ニップローラーR1とニップローラーR2間での牽切を容易にするためには、ニップローラーR1に供給される糸条に、撚りや交絡が付与されていないことが好ましい。また、該糸条には、繊維油剤が付与されていてもよいが収束性や摩擦が少なくかつ静電気の起こり難い油剤が好ましい。すなわち、撚りや交絡や静電気あるいは繊維油剤の収束性や摩擦などが高いと、牽切斑が生じ易くなるため好ましくない。
また、開繊ガイドG1、G2としては、公知の円筒形あるいは中央部が膨らんだ紡錘形の棒状ガイドを数本平行に並べたもの、あるいは棒状ガイドを円弧状に曲げたガイドを数本並べたものが使用できる。開繊ガイドは、セラミック製、金属製等のものを任意に採用することができる。
なお、上記開繊ガイド後方のニップローラーR1の直前部での開繊した扁平糸条の幅を若干規制し縮小するガイドG3を設けてやると、扁平糸条端部の繊維密集度が増してニップローラーR1への繊維巻き付を防止でき、好ましい。
また、ニップローラーR1の周速度:ニップローラーR2の周速度の比は1:8〜1:40が好ましく、1:10〜1:30がより好ましい。すなわち、上記周速度の比が、1:8未満になると、ニップローラーR1の周速度を速める必要が生じるため牽切後の繊維端がこれに巻き付き易くなり、一方1:40を超えると牽切斑などによる牽切糸条の太細比が大きくなり、好ましくない。
図4(1)、(2)、(3)は、上記ニップローラーR1、R2間で1本の繊維がニップされてから牽切されるまでの様子を順にモデル的に示したものであるが、これから判るように、牽切繊維は長さ方向で違った倍率の延伸を受け、一方の長繊維束Aからなる牽切繊維において、長さ方向に熱収縮率の比較的低い領域Alと比較的高い領域Ahが形成される。他方の長繊維束Bから得られる牽切繊維においても、長さ方向に熱収縮率の比較的低い領域Blと比較的高い領域Bhが形成される。
従来の紡績法により2種類の染色性の異なる綿を混繊した混紡糸では、図5(1)に示すように、熱収縮率の高い綿が芯部に、熱収縮率の低い綿が鞘部に分離する問題がある。これに対し、本発明の異染混繊糸では、複合する長繊維束A、Bのそれぞれの牽切繊維の高熱収縮領域AhおよびBhが芯部に、低熱収縮領域AlおよびBlが鞘部に多少分離し易くなるのみで、図5(2)に示すような均一な混繊状態が得られるという有利な特性を有している。
また、ニップローラーR2の牽切域側には、該ローラー表面に発生する空気の随伴流がニップ点においてローラー端部方向に流れるのを遮断するガイドG4を設けることが好ましい。すなわち、該随伴流を遮断しないと、ニップローラーR1から送り出されてくる繊維の先端がニップローラーR2に安定してニップするのが難しくなる傾向があり、このため牽切斑が生じ易くなり、好ましくない。
また、空気噴射ノズルN1としては、ニップローラーR2から搬出されてくる牽切繊維が該ローラーに捲き付かないように吸引作用を有したノズルが使用されるが、吸引作用と同時に旋回作用を有したノズルを使用すると、繊維をより有効に吸引でき好ましい。
一方、空気噴出ノズルN2としては、目的に応じて、牽切された繊維束に旋廻流によって繊維端を巻き付けて結束抱合するもの、あるいは牽切された繊維束内の繊維同士を撹***絡させて抱合するものが使用できる。
また、オイリング装置Oとしては、オイリングローラー方式やオイリングガイド方式の装置が使用でき、油剤も目的に応じて選定できる。
また、オイリング装置Oとしては、オイリングローラー方式やオイリングガイド方式の装置が使用でき、油剤も目的に応じて選定できる。
以上に説明した製造方法によって、染色性の異なる複数本の繊維からなる異染混繊糸であって、該繊維がいずれも長繊維束を牽切した繊維からなり、染色後の異染混繊糸の断面において同じ色を有する単繊維が5本以上の繊維束として存在していない審美性に富んだ異染混繊糸を得ることができる。
上記異染混繊糸を構成する単繊維の平均繊維長としては、5〜150cmが好ましく、10〜30cmがより好ましく、10〜25cmがさらに好ましい。平均繊維長が5cm未満では風綿が生じやすく牽切糸の成形が難しくなる傾向があり、150cmを超えると審美性が悪くなり、スパンライクな風合いが得られない傾向がある。
さらに、上記異染混繊糸は、目的に応じて、このまま、または撚糸して、あるいは合糸あるいは合撚して用いられる。
さらに、上記異染混繊糸は、目的に応じて、このまま、または撚糸して、あるいは合糸あるいは合撚して用いられる。
以上の方法により得られた異染混繊糸は、例えば、特開昭49−13483号公報、特開昭52−74053号公報、特開昭56−58079号公報、特開昭58−163751号公報、特開平5−279970号公報、特開平6−173175号公報、特開平7−34388号公報、特開平7−54280号公報などに示されている公知の染色方法で異色染め、あるいは片染めされ、審美性に優れた混繊糸が得られる。
以下、本発明を実施例により詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
[実施例1]
図1に示した製造装置を用い、先ず長繊維束AおよびBとしてそれぞれポリエチレンテレフタレート、および、5−ナトリウムスルフォイソフタル酸を2.6モル%共重合したカチオン可染ポリエチレンテレフタレート系ポリエステルからなる全繊度1400dtex、フィラメント本数600本、油剤付着量0.4%の長繊維束(帝人ファイバー製)を用い、解舒時に撚りが入らないようにボビンを回転させながら巻取りと反対方向に解舒しながらそれぞれ開繊ガイドG1およびG2に通して扁平に薄く約10mm幅に開繊し、更にこれらを厚み方向に重ね合わせると共にガイドG3を用いて該開繊幅を約7mmに規制縮小した扁平糸条をニップローラーR1に供給した。
図1に示した製造装置を用い、先ず長繊維束AおよびBとしてそれぞれポリエチレンテレフタレート、および、5−ナトリウムスルフォイソフタル酸を2.6モル%共重合したカチオン可染ポリエチレンテレフタレート系ポリエステルからなる全繊度1400dtex、フィラメント本数600本、油剤付着量0.4%の長繊維束(帝人ファイバー製)を用い、解舒時に撚りが入らないようにボビンを回転させながら巻取りと反対方向に解舒しながらそれぞれ開繊ガイドG1およびG2に通して扁平に薄く約10mm幅に開繊し、更にこれらを厚み方向に重ね合わせると共にガイドG3を用いて該開繊幅を約7mmに規制縮小した扁平糸条をニップローラーR1に供給した。
次に、該扁平糸条をニップローラーR1と、これより周速度が14.5倍速いニップローラーR2(周速度1000m/分)間で牽切し、引き続きニップローラーR2とニップローラーR3の間で吸引用の空気噴射ノズルN1および旋回流を利用した抱合用の空気噴射ノズルN2を用いて該繊維束を抱合し、オイリング装置Oにより油剤を付与し、ワインダーWで巻き取り、総繊度が193dtex、単繊維の平均長が50cmの、図2に示すような実質的に無撚の繊維束に繊維の端部が捲回して結束抱合した側面を有する異染ポリエステル混繊糸を得た。
さらに、得られた異染ポリエステル混繊糸を双糸にして450回/mの撚糸を施し、経糸密度72本/inch、緯糸密度48本/inchの平織物に製織した後、分散染料とカチオン染料を用いて異色に染色加工を行ったところ、異色の繊維がそれぞれ塊状や筋状あるいはモアレ状になること無く、各色が単繊維の水準で均一に混繊複合された、従来に無い審美性に富んだ色合いを有した感性の高い織物が得られた。
[実施例2]
図1に示した製造装置を用い、実施例1で使用した長繊維束AおよびBと、さらに長繊維束Cとして黒の原着ポリエステルからなる全繊度700dtex、フィラメント本数300本、油剤付着量0.4%の長繊維束を用い、ニップローラーR1の周速度:ニップローラーR2の周速度の比を1:18にする以外は実施例1と同様にして、3色混繊効果が得られる195dtex、単繊維の平均長が50cmの異染ポリエステル混繊糸を得た。
図1に示した製造装置を用い、実施例1で使用した長繊維束AおよびBと、さらに長繊維束Cとして黒の原着ポリエステルからなる全繊度700dtex、フィラメント本数300本、油剤付着量0.4%の長繊維束を用い、ニップローラーR1の周速度:ニップローラーR2の周速度の比を1:18にする以外は実施例1と同様にして、3色混繊効果が得られる195dtex、単繊維の平均長が50cmの異染ポリエステル混繊糸を得た。
得られた異染ポリエステル混繊糸を用い、実施例1と同様にして平織物に製織し、異色染めしたところ、3色共それぞれ塊状や筋状あるいは霜降り状、モアレ状の斑になること無く、各色が単繊維の水準で均一に混繊複合された、従来に無い深みのある、審美性に富んだ感性の高い色合いの織物が得られた。
[比較例1]
従来の紡績装置を用いて、ポリエチレンテレフタレート、および、5−ナトリウムスルフォイソフタル酸を2.6モル%共重合したカチオン可染ポリエチレンテレフタレート系ポリエステルからなる、それぞれ短繊維長51mm、単繊維繊度2.1dtexの原綿を、50:50の比率で公知の方法を用いて混紡し、30番手の異染ポリエステル混紡糸を得た。
従来の紡績装置を用いて、ポリエチレンテレフタレート、および、5−ナトリウムスルフォイソフタル酸を2.6モル%共重合したカチオン可染ポリエチレンテレフタレート系ポリエステルからなる、それぞれ短繊維長51mm、単繊維繊度2.1dtexの原綿を、50:50の比率で公知の方法を用いて混紡し、30番手の異染ポリエステル混紡糸を得た。
さらに、得られた異染ポリエステル混紡糸を用い、実施例1と同様に製織、異色染めをしたところ、異染原綿を50:50の比率で混紡したにもかかわらず、一方の色のみが目立ち、かつ筋や霜降り調の異色混綿斑が目立つなど審美性に欠け、実施例1で得られたような感性の高い織物は得られなかった。
なお、実施例1および比較例1で得た染色後の異染ポリエステル混繊糸および異染ポリエステル混紡糸を用い、それぞれ糸の長さ方向で任意の5箇所において、図3に示すように糸断面の中心で直行する糸の直径X−X’、Y−Y’上にある同色の繊維本数を数え、その平均値Avと、最大本数と最小本数の差Rを算出した。比較例1の異染ポリエステル混紡糸がAv=2.8、R=5であるのに対し、実施例1の異染ポリエステル混繊糸は、Av=1.4、R=2であり、明らかにより単繊維の水準で均一に混繊複合されていることが判った。
本発明によれば、異染性を有する繊維を単繊維の水準で均一に混繊複合することが可能となり、染色を施すことにより従来にない審美性に富んだ色合いを有する異染混繊糸が得られる。このため、衣料やインテリア、寝装、車両内装などにおいて、本発明により初めて得られる審美性に富んだ色合いを有する混繊糸からなる商品価値の高い製品を提供することができる。
A、B :染色性の異なる長繊維束
G1、G2:開繊ガイド
G3 :扁平糸条の幅調整ガイド
G4 :空気随伴流遮断ガイド
R1 :低速ニップローラー
R2 :高速ニップローラー
R3 :ニップローラー
N1、N2:空気噴出ノズル
O :オイリング装置
W :ワインダー
Y :異染混繊糸
G1、G2:開繊ガイド
G3 :扁平糸条の幅調整ガイド
G4 :空気随伴流遮断ガイド
R1 :低速ニップローラー
R2 :高速ニップローラー
R3 :ニップローラー
N1、N2:空気噴出ノズル
O :オイリング装置
W :ワインダー
Y :異染混繊糸
Claims (4)
- 染色性の異なる複数本の長繊維束をそれぞれ扁平に開繊して扁平糸条とし、それらを扁平の厚み方向に重ね合わせて、これを周速度の異なる2組のニップローラーを、低速のニップローラー、高速のニップローラーの順で通過させ、その際、いずれのニップローラーにおいても該扁平の状態を維持するように、該扁平糸条を厚み方向に挟んで把持し、かつ該2組のニップローラー間で該扁平糸条を牽切し、その後、空気噴射ノズルに通して抱合することを特徴とする異染混繊糸の製造方法。
- 染色性の異なる複数本の長繊維束が、いずれもポリエステルからなる請求項1記載の異染混繊糸を、撚糸する異染混繊糸の製造方法。
- 請求項1または2記載の異染混繊糸を、撚糸する異染混繊糸の製造方法。
- 請求項1〜3のいずれかに記載の異染混繊糸を、複数本合糸または合撚する異染混繊複合糸の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2010213654A JP2012067414A (ja) | 2010-09-24 | 2010-09-24 | 異染混繊糸の製造方法 |
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ID=46165003
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JP (1) | JP2012067414A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2021161557A1 (ja) * | 2020-02-14 | 2021-08-19 | 東レ株式会社 | ポリフェニレンサルファイド短繊維およびそれからなる濾布 |
CN116752258A (zh) * | 2023-08-16 | 2023-09-15 | 江苏金夏纺织有限公司 | 一种混合纱及其制造方法 |
-
2010
- 2010-09-24 JP JP2010213654A patent/JP2012067414A/ja active Pending
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CN114746590A (zh) * | 2020-02-14 | 2022-07-12 | 东丽株式会社 | 聚苯硫醚短纤维和包含它的滤布 |
CN114746590B (zh) * | 2020-02-14 | 2024-03-08 | 东丽株式会社 | 聚苯硫醚短纤维和包含它的滤布 |
CN116752258A (zh) * | 2023-08-16 | 2023-09-15 | 江苏金夏纺织有限公司 | 一种混合纱及其制造方法 |
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