JP2012059586A - 燃料電池システムおよび燃料電池におけるラジカル消去促進剤の含有量を測定する方法 - Google Patents

燃料電池システムおよび燃料電池におけるラジカル消去促進剤の含有量を測定する方法 Download PDF

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Abstract

【課題】燃料電池における電解質膜のラジカルによる劣化を抑制する技術を提供する。
【解決手段】燃料電池システム1000は、ラジカル消去促進剤含有量判定部210を有する。ラジカル消去促進剤含有量判定部210は、カソード3におけるプロトンの移動抵抗である触媒層H+抵抗と、膜電極接合体10におけるラジカル消去促進剤の含有量との間の関係を予め記憶している。ラジカル消去促進剤含有量判定部210は、インピーダンス計測部400によって計測した膜電極接合体10のインピーダンスの計測値に基づいて触媒層H+抵抗を求めるとともに、前記の関係を用いて、触媒層H+抵抗に対するラジカル消去促進剤の含有量を取得し、膜電極接合体10においてラジカル消去促進剤が不足しているか否かを判定する。
【選択図】図1

Description

この発明は、燃料電池に関する。
燃料電池には、湿潤状態で良好なプロトン伝導性を示す電解質膜の両側に電極を配置した膜電極接合体を備えるものがある(下記特許文献1等)。燃料電池は、膜電極接合体のそれぞれの電極に、反応ガスとして水素と酸素とが供給されることにより発電する。
ここで、膜電極接合体に供給された水素や酸素は、発電反応に用いられることなく電解質膜を透過し、供給された側の電極とは反対側の電極へと移動してしまう場合がある。この場合には、膜電極接合体の同じ電極の側に、水素と酸素とが混在することとなり、当該電極において過酸化水素が生成されてしまう可能性がある。
過酸化水素がラジカル化した過酸化水素ラジカル(以後、「ヒドロキシラジカル」または、単に「ラジカル」とも呼ぶ)は、電解質膜の劣化原因となることが知られている。これまで、膜電極接合体において発生したラジカルの消去を促進するために、ラジカルクエンチャーとも呼ばれるラジカル消去促進剤を、膜電極接合体の内部に予め含有させておく場合があった。
しかし、そうしたラジカル消去促進剤は、燃料電池の運転の際に、排ガスとともに燃料電池の外部へと排出されるため、その含有量は、燃料電池の運転に伴って低減してしまう。燃料電池における電解質膜のラジカルによる劣化を抑制するためには、膜電極接合体におけるラジカル消去促進剤の含有量が、より正確に把握できることが望ましい。
特開2009−218006号公報 特開2009−199935号公報
本発明は、燃料電池における電解質膜のラジカルによる劣化を抑制する技術を提供することを目的とする。
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態又は適用例として実現することが可能である。
[適用例1]
燃料電池システムあって、プロトン伝導性を有する電解質膜の両側に電極触媒層が配置された膜電極接合体を備える燃料電池と、前記膜電極接合体のインピーダンスを計測するインピーダンス計測部と、前記燃料電池システムを制御する制御部と、を備え、前記制御部は、ラジカルの消去を促進するラジカル消去促進剤の前記膜電極接合体における含有量が予め設定された規定値以上であるか否かの判定処理を実行する消去促進剤含有量判定部を備え、前記消去促進剤含有量判定部は、前記電極触媒層におけるプロトンの易動度に依存するプロトン抵抗と、前記膜電極接合体における前記ラジカル消去促進剤の含有量である消去促進剤含有量との間の関係を予め記憶しており、前記消去促進剤含有量判定部は、前記インピーダンス計測部による計測値に基づいて前記プロトン抵抗を求めるとともに、前記予め記憶された関係を用いて、求められた前記プロトン抵抗に対する前記消去促進剤含有量を取得して前記判定処理を実行する、燃料電池システム。
この燃料電池システムによれば、膜電極接合体におけるインピーダンスの計測結果を用いて、膜電極接合体におけるラジカル消去促進剤の含有量が不足しているか否かを容易に判定することができる。即ち、膜電極接合体におけるラジカル消去促進剤の含有量の不足を容易に検出でき、ラジカルによる電解質膜の劣化を抑制することができる。
[適用例2]
適用例1記載の燃料電池システムであって、前記制御部は、前記消去促進剤含有量判定部の前記判定処理において、前記消去促進剤含有量が前記既定値よりも少ないと判定された場合には、前記膜電極接合体にラジカル消去促進剤を補充するラジカル消去促進剤補充処理を実行する、燃料電池システム。
この燃料電池システムによれば、膜電極接合体におけるラジカル消去促進剤の含有量が不足していると判定された場合には、膜電極接合体にラジカル消去促進剤が補充される。従って、燃料電池の電解質膜がラジカルによって劣化してしまうことを抑制することができる。
[適用例3]
適用例2記載の燃料電池システムであって、前記燃料電池は、前記膜電極接合体の外側に、反応ガスを前記電極触媒層全体に拡散するためのガス拡散層を含むガス流路が設けられており、前記ガス流路には、予め前記ラジカル消去促進剤が配置され、前記ラジカル消去促進剤補充処理は、前記ガス流路に配置された前記ラジカル消去促進剤の前記膜電極接合体への溶出を促進するための液体を、前記ガス流路に供給する処理を含む、燃料電池システム。
この燃料電池システムによれば、膜電極接合体の外側のガス流路に予め収容されたラジカル消去促進剤を、適宜、膜電極接合体へと溶出させることができる。従って、燃料電池の電解質膜がラジカルによって劣化してしまうことを抑制することができる。
[適用例4]
適用例1〜3のいずれか一つに記載の燃料電池システムであって、前記インピーダンス計測部は、前記燃料電池のカソード側に窒素を供給するとともにアノード側に水素を供給した状態で、前記燃料電池に交流電流を印加し、前記燃料電池のインピーダンスを計測する、燃料電池システム。
この燃料電池システムによれば、プロトン抵抗をより高い精度で測定することができる。従って、膜電極接合体におけるラジカル消去促進剤の含有量の不足を、より正確に判定することができ、燃料電池の電解質膜をラジカルから適切に保護することができる。
[適用例5]
適用例1〜3のいずれか一つに記載の燃料電池システムであって、前記インピーダンス計測部は、前記燃料電池の出力する直流電流の電流値を予め設定された周期で増減させて、前記燃料電池の電圧と電流とを測定することにより、前記燃料電池のインピーダンスを取得する、燃料電池システム。
この燃料電池システムによれば、燃料電池の電流値を周期的に増減させることにより、膜電極接合体のインピーダンスを計測してプロトン抵抗を求めることができる。そして、そのプロトン抵抗から、膜電極接合体におけるラジカル消去促進剤の含有量を取得することができる。
[適用例6]
プロトン伝導性を有する電解質膜の両側に電極触媒層が配置された膜電極接合体を備える燃料電池において、ラジカルの消去を促進するラジカル消去促進剤の前記膜電極接合体における含有量を測定する方法であって、
(a)前記電極触媒層におけるプロトンの移動抵抗であるプロトン抵抗と、前記膜電極接合体における前記ラジカル消去促進剤の含有量である消去促進剤含有量との間の関係を予め準備する工程と、
(b)前記膜電極接合体のインピーダンスを計測する工程と、
(c)前記工程(b)において求められた計測値に基づいて、前記プロトン抵抗を求めるとともに、前記工程(a)において予め記憶された関係を用いて、前記プロトン抵抗に対する前記消去促進剤含有量を取得する工程と、
を備える、方法。
なお、本発明は、種々の形態で実現することが可能である。例えば、燃料電池の膜電極接合体におけるラジカル消去促進剤の含有量を測定する測定方法および測定装置、その測定方法を実行する機能や測定装置を備える燃料電池システムおよびその燃料電池システムを搭載した車両等の形態で実現することができる。また、それらの装置やシステム、車両の制御方法および制御装置、それらの方法や、装置・システムの機能を実現するためのコンピュータプログラム、そのコンピュータプログラムを記録した記録媒体等の形態で実現することもできる。
燃料電池システムの構成を示す概略図。 燃料電池の構成を示す概略図。 ラジカル消去促進剤含有量判定処理の処理手順を示すフローチャート。 触媒層H+抵抗の取得工程を説明するための説明図。 触媒層H+抵抗の取得工程を説明するための説明図。 膜電極接合体におけるラジカル消去促進剤の含有量を取得する工程を説明するための説明図。 ラジカル消去促進剤の含有量の判定処理において用いられる閾値を設定するための基準の例を示す説明図。 第2実施例としての燃料電池システムの構成を示す概略図。 第2実施例におけるラジカル消去促進剤含有量判定処理の処理手順を示すフローチャート。 第2実施例において生成されるナイキストプロットの一例を示す説明図。 第3実施例としての燃料電池システムの構成を示す概略図。 第3実施例における触媒層H+抵抗の取得工程を説明するための説明図。 第4実施例としての燃料電池の点検時に実行されるラジカル消去促進剤含有量検査の処理手順を示すフローチャート。
A.第1実施例:
図1は本発明の一実施例としての燃料電池システムの構成を示す概略図である。この燃料電池システム1000は、外部負荷ELの要求に応じて、外部負荷ELに電力を供給する発電システムである。燃料電池システム1000は、燃料電池100と、制御部200と、燃料ガス供給部310と、酸化ガス供給部320と、冷媒供給部330と、酸性溶液供給部340と、インピーダンス計測部400とを備える。
図2は、燃料電池100の構成を示す概略図である。燃料電池100は、反応ガスとして水素と酸素の供給を受けて発電する固体高分子型燃料電池である。燃料電池100は、発電体である単セル110が複数個積層されたスタック構造を有する。単セル110は、ガス拡散層付き膜電極接合体15と、アノードセパレータ20と、カソードセパレータ30とを備える。
ガス拡散層付き膜電極接合体15は、電解質膜1の両側に触媒電極層2,3が配置された膜電極接合体10を備える。電解質膜1は、湿潤状態で良好なプロトン伝導性を示す高分子電解質の薄膜によって構成され、例えば、フッ素系樹脂により形成されたイオン交換膜によって構成することができる。
触媒電極層2,3は、発電反応を促進するための触媒が担持されるとともに、ガス拡散性・導電性を有する薄膜層として形成される。触媒電極層2,3は、触媒担持カーボンと電解質膜1と同種の高分子電解質とを、水溶性溶媒または有機溶媒に分散させた混合溶液である触媒インクを、電解質膜1の外表面に塗布・乾燥させることにより形成することができる。なお、触媒としては、例えば、白金(Pt)を用いることができる。以後、本明細書では、触媒電極層2を「アノード2」とも呼び、触媒電極層3を「カソード3」とも呼ぶ。
ガス拡散層付き膜電極接合体15では、膜電極接合体10のアノード2およびカソード3のそれぞれの外表面に、撥水層11と、ガス拡散層13とが積層されている。撥水層11は、マイクロポーラス層(MPL)とも呼ばれ、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)などの撥水性樹脂とカーボンブラックなどの導電性材料とを用いて構成された微細孔を有する多孔質薄膜層である。ガス拡散層5は、例えば、炭素繊維基材や黒鉛繊維基材、発泡金属など、導電性およびガス拡散性を有する多孔質の基材によって構成することができる。
撥水層11およびガス拡散層13は、アノード2またはカソード3の全体に反応ガスを行き渡らせるガス流路として機能するとともに、膜電極接合体10と各セパレータ20,30との間の導電パスとして機能する。また、撥水層11は、発電中の電解質膜1における湿潤状態を保持するとともに、発電中に触媒電極層2,3やガス拡散層13の細孔が液水によって閉塞されてしまうことを抑制する機能を有する。
アノードセパレータ20およびカソードセパレータ30は、金属板など、ガス不透過の導電性を有する板状部材によって構成され、ガス拡散層付き膜電極接合体15を両側から狭持する。アノードセパレータ20は、アノード2側に配置され、ガス拡散層13と接する側の面に水素の流路として機能する流路溝21が形成されている。
カソードセパレータ30は、カソード3側に配置され、ガス拡散層13と接する側の面に酸素の流路として機能する流路溝31が形成されている。各単セル110の膜電極接合体10は、これらセパレータ20,30に設けられた流路溝21,31を介して反応ガスの供給を受けて発電する。なお、アノード側の流路溝21とカソード側の流路溝31とは、ガス拡散層付き膜電極接合体15を挟んで互いに対向するように形成されている。
さらに、カソードセパレータ30のアノードセパレータ20と接する側の面には、冷媒のための流路溝32が形成されている。この流路溝32によって、燃料電池100が構成されたときに、アノードセパレータ20とカソードセパレータ30との間には、冷媒のための流路が形成される。燃料電池100では、この冷媒のための流路溝32における冷媒の流量を制御することにより、その運転温度が制御される。
なお、燃料電池100では、各セパレータ20,30の流路溝21,31,32に接続される反応ガスや冷媒のためのマニホールド(図示せず)が設けられているが、その図示および説明は省略する。また、ガス拡散層付き膜電極接合体15の外周端面およびガス拡散層13と各セパレータ20,30との境界外周は、シール部材によってシールされるが、その図示および説明は省略する。
ところで、燃料電池100では、膜電極接合体10に供給された水素や酸素が、発電反応に用いられることなく電解質膜1を透過し、供給された側の電極とは反対側の電極へと移動してしまう、いわゆるクロスリークが発生する場合がある。クロスリークが発生すると、膜電極接合体10では、アノード2やカソード3に水素と酸素とが混在することになるため、過酸化水素が生成されるとともに、過酸化水素ラジカル(ヒドロキシラジカル)が発生する可能性が高くなる。一般に、ラジカルは、電解質膜に微***(クラック)を生じさせるなど、電解質膜を劣化させる原因となる。
そこで、本実施例の燃料電池100では、ガス拡散層付き膜電極接合体15に、ラジカルの消去を促進するためのラジカル消去促進剤を予め内包させている。ここで、ラジカル消去促進剤としては、セリウム(Ce)やマンガン(Mn)、それらの酸化物や化合物などを用いることができる。
なお、ラジカル消去促進剤は、単セル110として組み付ける前に、膜電極接合体10や、撥水層11およびガス拡散層13の細孔内に担持される。具体的には、ラジカル消去促進剤は、膜電極接合体10や、撥水層11およびガス拡散層13を、ラジカル消去促進剤を分散させた溶液に浸漬させることにより、それらの細孔内に担持させることができる。
制御部200(図1)は、中央処理装置と主記憶装置とを備えるマイクロコンピュータによって構成することができる。制御部200は、外部負荷ELからの要求を受け付けて、システム内の各計測機器からの計測結果に基づいてシステムの各構成部を制御する。また、制御部200は、上述したラジカルによる電解質膜1の劣化を抑制するための処理を実行する処理実行部としても機能する。具体的には、制御部200は、ラジカル消去促進剤含有量判定部210と、ラジカル消去促進剤溶出処理部220として機能し、ラジカル消去促進剤含有量判定処理およびラジカル消去促進剤溶出処理を適宜実行する。それらの処理内容については後述する。
燃料ガス供給部310は、第1と第2の水素配管311,312を介して、燃料電池100の水素供給用のマニホールドに接続されており、制御部200の指令に応じて、燃料電池100のアノード側に水素を供給する。燃料ガス供給部310は、水素の供給源として、例えば、水素タンクや、原料を改質して水素リッチなガスを生成する改質機を備えるものとしても良い。
第1と第2の水素配管311は、第1の水素配管311を燃料ガス供給部310側とし、第2の水素配管312を燃料電池100側として、切換バルブ313を介して互いに連結されている。第1の水素配管311には、水素の供給量・供給圧力を制御するためのレギュレータや逆止弁、インジェクタが設けられているが、その図示および説明は省略する。第2の水素配管312には、圧力計測部361が設けられており、その計測結果が制御部200へと送信される。
燃料電池100のアノード側の排出用マニホールドには、アノード排ガス配管315が接続されている。アノード排ガス配管315は、各単セル110のアノード2において反応に用いられることのなかった水素を含むアノード排ガスを外部へと排出する。なお、アノード排ガス配管315の下流側が、第1の水素配管311または第2の水素配管312に接続されることにより、アノード排ガス中の水素が、燃料電池100に循環され、再利用されるものとしても良い。
酸化ガス供給部320は、第1と第2の酸素配管321,322を介して、燃料電池100の酸素用のマニホールドに接続されており、制御部200の指令に応じて、燃料電池100のカソード側に酸素を供給する。酸化ガス供給部320は、酸素の供給源として、例えば、高圧空気を出力するエアコンプレッサを備えるものとしても良いし、高圧酸素を貯蔵するタンクを備えるものとしても良い。
第1と第2の酸素配管321,322は、第1の酸素配管321を酸化ガス供給部320側とし、第2の酸素配管322を燃料電池100側として、切換バルブ323を介して互いに連結されている。第1の酸素配管321には、燃料電池100への酸素の供給を制御するための開閉バルブが設けられているが、その図示および説明は省略する。第2の酸素配管322には、圧力計測部362が設けられている。圧力計測部362は、燃料電池100のカソードにおける入口側圧力を計測し、その計測結果を制御部200へと送信する。
燃料電池100のカソード側の排出用マニホールドには、カソード排ガス配管325が接続されている。燃料電池100のカソード側において生成されたカソード排ガスは、カソード排ガス配管325を介して、燃料電池100の外部へと排出される。カソード排ガス配管325には、燃料電池100の背圧を計測する圧力計測部363と、燃料電池100のカソード側における圧力を調整するための圧力調整バルブ360と、カソード排ガスの湿潤度を計測する湿度計測部364とが設けられている。
制御部200は、圧力計測部363の計測結果を受信し、その計測結果に基づいて、圧力調整バルブ360の開度を調整する。また、制御部200は、湿度計測部364の計測結果を受信し、その計測結果から燃料電池100における含水量を取得する。
冷媒供給部330は、冷媒供給用配管331および冷媒排出用配管332を介して燃料電池100と接続されている。冷媒供給用配管331は、燃料電池100の冷媒供給用のマニホールドに接続されており、冷媒排出用配管332は、燃料電池100の冷媒排出用のマニホールドに接続されている。冷媒供給部330は、冷媒と外気とを熱交換させるためのラジエータと、配管331,332において冷媒を循環させるための駆動ポンプとを備える。
なお、冷媒供給用配管331および冷媒排出用配管332にはそれぞれ、冷媒の温度を計測する温度計測部365,366が設けられている。制御部200は、2つの温度計測部365,366の計測値の差から燃料電池100の運転温度を計測する。そして、制御部200は、冷媒供給部330における駆動ポンプの回転数を制御することにより、燃料電池100への冷媒供給量を制御し、燃料電池100の運転温度を制御する。
酸性溶液供給部340は、アノード側接続配管341を介して、水素の経路に設けられた切換バルブ313に接続されるとともに、カソード側接続配管342を介して、酸素の経路に設けられた切換バルブ323に接続されている。酸性溶液供給部340は、酸性溶液を貯蔵するタンクと、その酸性溶液を送出するポンプとを備えている。酸性溶液供給部340は、後述するラジカル消去促進剤溶出処理において、第2の水素配管312および第2の酸素配管322を介して燃料電池100のアノード側およびカソード側のガス流路に酸性溶液を流入させる。
外部負荷ELは、燃料電池100と電気的に接続されている。外部負荷ELと燃料電池100との間には、電流を計測するための電流計測部367が設けられている。電流計測部367は、制御部200に計測結果を送信する。なお、外部負荷ELと燃料電池100との間には、制御部200が燃料電池100の電圧を制御するためのDC/DCコンバータや、直流電力を交流電力へと変換するためのDC/ACインバータが設けられているが、その図示および説明は省略する。
インピーダンス計測部400は、交流電源410を備えている。インピーダンス計測部400は、制御部200からの指令に応じて、燃料電池100の各単セル110に交流電力を印加し、各単セル110におけるインピーダンスを計測することができる。制御部200は、インピーダンス計測部400からの計測結果を、後述するラジカル消去促進剤含有量判定処理に用いる。
ところで、前記したとおり、本実施例の燃料電池100では、膜電極接合体10や、その外側の撥水層11およびガス拡散層13に、ラジカル消去促進剤が収容されている。しかし、膜電極接合体10に収容されたラジカル消去促進剤は、燃料電池100の発電の際に、排ガスとともに、徐々に燃料電池100の外部へと排出されてしまう。膜電極接合体10のラジカル消去促進剤が不足すると、電解質膜1がラジカルによって劣化してしまう可能性が高くなる。
ここで、燃料電池100の発電の際には、撥水層11やガス拡散層13のラジカル消去促進剤の一部が、発電の際の生成水によって膜電極接合体10へと溶出する。即ち、燃料電池100の発電の際には、膜電極接合体10のラジカル消去促進剤が排出される一方、撥水層11やガス拡散層13から膜電極接合体10へとラジカル消去促進剤が補給されることとなる。
しかし、膜電極接合体10からのラジカル消去促進剤の溶出量や、撥水層11およびガス拡散層13から膜電極接合体10へのラジカル消去促進剤の溶出量は、燃料電池100の発電時間や発電量などの発電状態に応じて変動する。そのため、膜電極接合体10におけるラジカル消去促進剤の含有量を適切に制御することは困難である。
また、膜電極接合体10からの溶出量を考慮して、膜電極接合体10に包含されるラジカル消去促進剤の量を予め増大させておいた場合には、以下のような問題がある。後述するように、膜電極接合体10におけるラジカル消去促進剤の含有量が多くなると、それだけ膜電極接合体10におけるプロトンの移動抵抗が増大してしまう。即ち、膜電極接合体10におけるラジカル消去促進剤の含有量が過多になると、燃料電池100の発電性能が低下してしまう可能性がある。
このように、燃料電池100では、膜電極接合体10におけるラジカル消去促進剤の含有量が適切な範囲で維持されることが好ましい。また、その含有量が不足する場合には、撥水層11やガス拡散層13から膜電極接合体10へと適切な量のラジカル消去促進剤が補充されることが好ましい。
そこで、本実施例の燃料電池システム1000では、ラジカル消去促進剤含有量判定部210が、膜電極接合体10においてラジカル消去促進剤の含有量が規定量以上であるか否かを判定する。そして、膜電極接合体10においてラジカル消去促進剤の含有量が不足する場合には、ラジカル消去促進剤溶出処理部220が、撥水層11やガス拡散層13のラジカル消去促進剤を膜電極接合体10へと溶出させる。即ち、燃料電池システム1000では、ラジカル消去促進剤含有量判定部210およびラジカル消去促進剤溶出処理部220の実行する処理によって、膜電極接合体10におけるラジカル消去促進剤の含有量を適切に維持することができる。
図3は、ラジカル消去促進剤含有量判定部210が実行するラジカル消去促進剤含有量判定処理の処理手順を示すフローチャートである。このラジカル消去促進剤含有量判定処理は、燃料電池システム1000の運転終了時において、燃料電池100の発電を停止させる前に、定期的に実行される。
ステップS10では、ラジカル消去促進剤含有量判定部210は、燃料電池100を所定の条件下で発電させることにより、燃料電池100の発電状態を制御する。ここで、「燃料電池100の発電状態」には、燃料電池100の運転温度や、燃料電池100の内部における含水量、圧力などが含まれる。
ラジカル消去促進剤含有量判定部210は、冷媒供給部330からの冷媒の供給量を制御することにより、燃料電池100の運転温度を所定の温度(例えば、80℃)に維持する。また、ラジカル消去促進剤含有量判定部210は、燃料電池100内部の含水量が一定となるように、燃料ガス供給部310や酸化ガス供給部320からの反応ガスの供給量などを制御する。さらに、ラジカル消去促進剤含有量判定部210は、圧力調整バルブ360の開度を調整して、燃料電池100内の圧力を制御する。
ステップS20では、ラジカル消去促進剤含有量判定部210は、各単セル110のカソード3におけるプロトンの易動度に依存するプロトン抵抗(本明細書では「触媒層H+抵抗」とも呼ぶ)を計測する。ここで、カソード3における触媒層H+抵抗は、カソード3におけるプロトンの移動のしにくさ(移動抵抗)を表している。本発明の発明者は、触媒層H+抵抗と、膜電極接合体10におけるラジカル消去促進剤の含有量との間には、膜電極接合体10におけるラジカル消去促進剤の含有量が多くなるほど、触媒層H+抵抗が大きくなる関係があることを見出した。
このようにラジカル消去促進剤の含有量に応じて触媒層H+抵抗が変化する理由は、高分子電解質中のスルホン酸基上を移動するプロトンの移動経路を、ラジカル消去促進剤によって生じる陽イオンが阻害してしまうためである。触媒層H+抵抗は、いわゆる交流インピーダンス法によって取得することができる。そこで、ラジカル消去促進剤含有量判定部210は、インピーダンス計測部400によって、膜電極接合体10のインピーダンスを計測し、その計測値から触媒層H+抵抗を取得する。
図4および図5は、触媒層H+抵抗の取得工程を説明するための説明図である。図4は、インピーダンス計測部400の交流電源410によって、燃料電池100の任意の単セル110に交流電力が印加されている状態を示す模式図である。ラジカル消去促進剤含有量判定部210は、インピーダンス計測部400によって、所定の発電状態にある燃料電池100の各単セル110ごとのインピーダンスを計測する。具体的には、インピーダンス計測部400は、交流電源410から測定対象である単セル110に、交流電圧または交流電流を複数段階の周波数で重畳的に印加し、各段階の周波数に対応するインピーダンスを計測する。
なお、インピーダンス計測部400は、各単セル110が0.8〜0.9Vの直流電圧を発生しているときには、その1〜5%の交流電圧を、各単セル110に印加することが好ましい。あるいは、インピーダンス計測部400は、各単セル110が0.1〜0.2Aの直流電流を発生しているときには、その1〜5%の交流電流を、各単セル110に印加するものとしても良い。
図5(A)は、ラジカル消去促進剤含有量判定部210が、各単セル110におけるインピーダンスの計測値に基づいて生成するナイキストプロットの一例を示す説明図である。ここで、「ナイキストプロット」とは、「コールコールプロット」とも呼ばれ、インピーダンスの計測値を、縦軸を実数成分とし、横軸を虚数成分とするグラフにプロットすることにより生成されるグラフを意味する。
ラジカル消去促進剤含有量判定部210は、インピーダンスの各計測値を用いて、各単セル110ごとのナイキストプロットを生成する。具体的には、縦軸を実数成分Z’とし、横軸を虚数成分Z’’とするグラフに、インピーダンスの計測値をプロットし、プロットされた各測定点によって形成されるべきグラフGiを取得する。なお、グラフGiは、以下に説明する等価回路に基づいて得られるグラフのモデルを当てはめる処理(フィッティング処理)により取得される。フィッティング処理は、例えば、Scribner社製のZ−viewによって実行することが可能である。
図5(B)は、交流電流を印加したときの燃料電池100におけるカソード3の等価回路500を示す説明図である。この等価回路500は、第1と第2の導電線501,502と、第1の抵抗素子510と、複数の第2の抵抗素子511と、コンデンサ521および第3の抵抗素子522が並列に接続された複数の単位並列回路520とを備える。
等価回路500は、第1と第2の抵抗素子510,511と、各単位並列回路520とではしご状の回路を構成している。具体的には、以下のような構成となる。第1の抵抗素子510と、複数の第2の抵抗素子511とはそれぞれが、第1の導電線において直列に接続されている。そして、複数の単位並列回路520のそれぞれは、その一端が、第1の導電線501において配列された各抵抗素子510,511の間に接続されており、その他端が、第2の導電線502に接続されている。
ここで、第1の抵抗素子510の抵抗値Rmeは、電解質膜1における抵抗成分に相当する。また、第2の抵抗素子511の抵抗値RHは、カソード3におけるイオン伝導抵抗の一部、即ち、触媒層H+抵抗の一部に相当し、触媒層H+抵抗は、第2の抵抗素子511の個数をnとしたときに、n×RHで表すことができる。コンデンサ521の静電容量Ciは、カソード3において、触媒および触媒担体(カーボン)同士の間に生じる静電容量成分に相当する。第3の抵抗素子522の抵抗値RRは、カソード3における反応の際に生じる反応抵抗の成分に相当する。
図5(A)に示されるグラフGiは、実数成分Z’を示す横軸から右肩上がりに立ち上がる直線部分LGと、その直線部分に連続する略半円形状の曲線部分CGとを有している。このグラフGiにおいて、触媒層H+抵抗は、直線部分GLの横軸に沿った方向における幅W(直線部分GLを横軸に投影したときの長さ)から求めることができる。このように、各単セル110ごとに生成されたナイキストプロットから、各単セル110における触媒層H+抵抗を取得することができる。
図6は、ステップS30(図3)において実行される、膜電極接合体10におけるラジカル消去促進剤の含有量を取得する工程を説明するための説明図である。図6には、縦軸をH+触媒抵抗とし、横軸を膜電極接合体10におけるラジカル消去促進剤の含有量とするグラフが図示されている。このグラフは、ラジカル消去促進剤の含有量を変えた複数の膜電極接合体10のサンプルを準備し、各サンプルについて、上記ステップS10,S20で説明したのと同様な条件・方法によって触媒層H+抵抗を計測することにより得られたものである。
本実施例の燃料電池システム1000では、図6のグラフに表される触媒層H+抵抗と膜電極接合体10におけるラジカル消去促進剤の含有量との間の対応関係が、マップとして予め制御部200の記憶部に格納されている。ラジカル消去促進剤含有量判定部210は、このマップを用いて、各単セル110ごとに、ステップS20において得られた触媒層H+抵抗の計測値MRHに対するラジカル消去促進剤の含有量Coを取得する。
なお、図6に表された関係に対してフィッティング処理を適用することにより、下記の関数(1)を求めることができる。
y=α+β・exp(γ・x)…(1)
ここで、α,β,γは実験等によって求められる実数値であり、yが触媒層H+抵抗、xが膜電極接合体10におけるラジカル消去促進剤の含有量を表している。本実施例の燃料電池システム1000では、この関数(1)を制御部200の記憶部に予め記憶しており、yに触媒層H+抵抗の計測値MRHを代入して、xの値を膜電極接合体10におけるラジカル消去促進剤の含有量Coとして算出するものとしても良い。
ところで、本実施例では、上述のように、触媒層H+抵抗の計測値に基づいて、膜電極接合体10におけるラジカル消去促進剤の含有量を計測している。ここで、本実施例と同様に、予め準備した関係を用いて、電解質膜1におけるプロトンの移動抵抗や、電解質膜1におけるプロトン伝導度に基づいて、膜電極接合体10におけるラジカル消去促進剤の含有量を計測することも可能である。しかし、膜電極接合体10におけるラジカル消去促進剤の含有量の変化量に対して、そうした電解質膜1におけるプロトンの移動抵抗や、電解質膜1におけるプロトン伝導度の変化量は著しく小さいため、その測定精度が低くなる可能性がある。従って、本実施例のように、触媒層H+抵抗の計測値に基づいて、膜電極接合体10におけるラジカル消去促進剤の含有量を計測することが好ましい。
ステップS40(図3)では、ラジカル消去促進剤含有量判定部210は、各単セル110ごとに、膜電極接合体10におけるラジカル消去促進剤の含有量Coが規定量(閾値Cth)未満であるか否かを判定する。ここで、含有量Coが閾値Cth以上である場合は、ラジカルによる電解質膜1の劣化を十分に抑制できる量のラジカル消去促進剤が膜電極接合体10の内部に存在する場合である。また、含有量Coが閾値Cth未満である場合は、膜電極接合体10におけるラジカル消去促進剤の含有量が不足し、ラジカルによる電解質膜1の劣化が発生する可能性が高い場合である。この判定処理で用いられる閾値Cthは、以下のような基準で、予め設定しておくことが可能である。
図7(A),(B)はそれぞれ、ステップS40の判定処理において用いられる閾値Cthを設定するための基準の例を説明するための説明図である。図7(A),(B)はそれぞれ、本発明の発明者が実験によって得らたグラフである。図7(A)のグラフは、縦軸が、電解質膜1の劣化に起因するクロスリークの発生までの時間を表し、横軸が、膜電極接合体10におけるラジカル消去促進剤の含有量を表している。
本発明の発明者は、ラジカル消去促進剤の含有量が異なる膜電極接合体10の複数のサンプルを準備した。そして、各サンプルに反応ガスを供給して発電させ、各サンプルの電解質膜1がラジカルによって電解質膜1が劣化し、クロスリークが発生するまでの時間を計測することにより、図7(A)のグラフを得た。なお、各サンプルにおけるクロスリークの発生は、各サンプルにおいて著しい発電性能の低下を検出したときに、各サンプルの電解質膜1の状態を観測することにより確認した。
図7(A)のグラフに示されているように、クロスリークが発生するまでの時間は、ラジカル消去促進剤の含有量がq1より小さくなったときに、指数関数的に短くなり始める。従って、このグラフにおいて、そのクロスリークの発生時間の短縮傾向が著しくなるラジカル消去促進剤の含有量q1を閾値Cthとして設定することにより、膜電極接合体10におけるラジカル消去促進剤の不足を検出することが可能である。
図7(B)のグラフは、縦軸が、フッ素の排出速度を表し、横軸が、膜電極接合体10におけるラジカル消去促進剤の含有量を表している。ここで、「フッ素の排出速度」とは、膜電極接合体10の発電の際に、単位時間あたりに排ガスに含まれるフッ素の量を意味する。ここで、ラジカルによって電解質膜1が劣化する際には、ラジカルによって分解された高分子電解質のフッ素が排ガスに含まれる。即ち、フッ素の排出速度は、ラジカルによる電解質膜1の劣化の進行度合いを示している。
本発明の発明者は、ラジカル消去促進剤の含有量が異なる膜電極接合体10の複数のサンプルを準備し、各サンプルに反応ガスを供給して発電させて、各サンプルからの排ガスに含まれるフッ素の量を計測することにより、図7(B)のグラフを得た。図7(B)のグラフでは、ラジカル消去促進剤の含有量がq2より小さくなったときに、フッ素の排出速度が著しく増大している。従って、このグラフにおいて、そのフッ素の排出速度が著しくなるラジカル消去促進剤の含有量q2を閾値Cthとして設定することにより、膜電極接合体10におけるラジカル消去促進剤の不足を検出することが可能である。
ラジカル消去促進剤含有量判定部210は、少なくとも1つの単セル110において、膜電極接合体10におけるラジカル消去促進剤の含有量Coが閾値Cth未満であった場合に、ステップS50の処理を実行する(図3)。ステップS50では、ラジカル消去促進剤含有量判定部210は、ラジカル消去促進剤溶出処理部220に、撥水層11やガス拡散層13から膜電極接合体10へラジカル消去促進剤を溶出させるための処理を実行させる。
ラジカル消去促進剤溶出処理部220は、燃料電池100に対する反応ガスの供給を停止して、燃料電池100の発電を停止させる。そして、切換バルブ313,323によって、燃料電池100に接続された第2の水素配管312および第2の酸素配管322の接続先をそれぞれ、酸性溶液供給部340の2つの接続配管341,342に切り換える。さらに、ラジカル消去促進剤溶出処理部220は、酸性溶液供給部340に、酸性溶液の燃料電池100への供給を開始させる。
この処理によって、撥水層11やガス拡散層13の細孔に酸性溶液が流入するため、撥水層11やガス拡散層13から膜電極接合体10へのラジカル消去促進剤の溶出が促進される。即ち、この処理によって、膜電極接合体10にラジカル消去促進剤が補充される。なお、この酸性溶液の燃料電池100への供給量や供給時間は、膜電極接合体10におけるラジカル消去促進剤の不足量(閾値Cth−ラジカル消去促進剤の含有量Co)に応じて設定されるものとしても良い。具体的には、ラジカル消去促進剤の不足量が多いほど、酸性溶液の供給量や供給時間を増加させるものとしても良い。これによって、適切な量のラジカル消去促進剤を膜電極接合体10へと溶出させることが可能である。
このように、本実施例の燃料電池システム1000によれば、ラジカル消去促進剤含有量判定処理によって、膜電極接合体10におけるラジカル消去促進剤の不足を適切に検出することができる。また、膜電極接合体10におけるラジカル消去促進剤の不足が検出された場合であっても、ラジカル消去促進剤溶出処理によって、膜電極接合体10にラジカル消去促進剤が適切に補充される。従って、燃料電池100における電解質膜1のラジカルによる劣化を抑制することができる。
B.第2実施例:
図8は本発明の第2実施例としての燃料電池システム1000Aの構成を示す概略図である。図8は、切換バルブ323に換えて切換バルブ323Aが設けられ、不活性ガス供給部350およびその接続配管351が設けられている点以外は、図1とほぼ同じである。切換バルブ323Aは、4つの接続部を有しており、第1と第2の酸素配管321,322と、酸性溶液供給部340のカソード側接続配管342と、不活性ガス供給部350の接続配管351とに接続されている。
不活性ガス供給部350は、窒素の貯蔵タンクを備えている。切換バルブ323Aは、制御部200の指令に応じて、不活性ガス供給部350と、燃料電池100のカソード側のガス流路とを接続し、不活性ガス供給部350から燃料電池100への窒素の供給を可能とする。不活性ガス供給部350は、ラジカル消去促進剤含有量判定処理において、燃料電池100に窒素を供給する。
図9は、第2実施例の燃料電池システム1000Aにおいて、ラジカル消去促進剤含有量判定部210が実行するラジカル消去促進剤含有量判定処理の処理手順を示すフローチャートである。図9は、ステップS10の工程に換えて、ステップS10Aの工程が設けられている点以外は、図3とほぼ同じである。
ステップS10Aでは、ラジカル消去促進剤含有量判定部210は、燃料電池100の発電を停止させる。そして、ラジカル消去促進剤含有量判定部210は、燃料ガス供給部310から燃料電池100のアノード側への水素の供給を開始させるとともに、不活性ガス供給部350から燃料電池100のカソード側への窒素の供給を開始させる。
ステップS20では、各単セル110のインピーダンスを計測することにより、各単セル110ごとの触媒層H+抵抗を計測する。このステップS20では、非発電状態にある各単セル110に対して、直流電圧に複数の周波数の交流電圧を重畳した重畳電圧を印加することにより、各単セル110のインピーダンスを計測する。具体的には、各単セル110には、0.4〜0.5Vの直流電圧に、その1〜5%程度の交流電圧が重畳された電圧が印加されることが好ましい。
図10は、第2実施例のラジカル消去促進剤含有量判定部210がインピーダンスの計測値に基づいて生成するナイキストプロットの一例を示す説明図である。このナイキストプロットのグラフGiAは、ステップS20における計測値に基づいて、第1実施例と同様な方法により生成される。グラフGiAは、横軸から右肩上がりに立ち上がり、約45°の勾配をもつ略直線状の第1の直線部分LGaと、第1の直線部分LGaに連続するとともに、第1の直線部分LGaよりも勾配が急な略直線状の第2の直線部分LGbとを有している。
このグラフGiAにおいて、触媒層H+抵抗は、第1の直線部分LGaの横軸方向の幅Wより求めることができる。ここで、第1実施例で説明したナイキストプロットのグラフGi(図5(A))では、直線部分LGの後段における曲線部分CGが描く略半円形状が、直線部分LGに対して著しく小さくなりすぎる場合や、大きくなりすぎる場合がある。これらの場合には、直線部分LGと曲線部分CGとの境界の特定が困難となり、触媒層H+抵抗の計測精度が低下してしまう可能性がある。
しかし、第2実施例において生成されるナイキストプロットのグラフGiA(図10)であれば、第2の直線部分LGbのサイズにかかわらず、第1と第2の直線部分LGa,LGbの境界の特定は容易である。従って、第1実施例の計測方法に比較してこの第2実施例の計測方法の方が、より高い精度で、触媒層H+抵抗を計測することができる。第2実施例の燃料電池システム1000Aでは、ステップS20で計測された触媒層H+抵抗を用いて、ラジカル消去促進剤含有量判定処理のステップS30〜S50(図9)が、第1実施例と同様に実行される。
このように、第2実施例の燃料電池システム1000Aによれば、交流インピーダンス法を用いて、触媒層H+抵抗を、より高い精度で計測することができ、膜電極接合体10におけるラジカル消去促進剤の含有量をより正確に取得することができる。従って、より適切に、電解質膜1のラジカルによる劣化を抑制することができる。
C.第3実施例:
図11は、本発明の第3実施例としての燃料電池システム1000Bの構成を示す概略図である。図11は、インピーダンス計測部400に換えて可変抵抗部450が設けられ、電流計測部451と、電圧計測部452と、第1と第2の開閉スイッチSW1,SW2とが設けられている点以外は、図1とほぼ同じである。なお、第3実施例の燃料電池システム1000Bの他の構成は、第1実施例の燃料電池システム1000と同様である。
第1の開閉スイッチSW1は、燃料電池100と外部負荷ELとの間に設けられている。第1の開閉スイッチSW1は、その開閉が制御部200によって制御される。第1の開閉スイッチSW1は、通常の燃料電池システム1000Bの運転の際には閉じられ、ラジカル消去促進剤含有量判定処理の際には開かれる。
可変抵抗部450は、直流電源ラインDCLを介して燃料電池100に電気的に接続され、制御部200によってその抵抗値が制御される。直流電源ラインDCLには、第2の開閉スイッチSW2と、電流計測部451と、電圧計測部452とが設けられている。なお、図11では、便宜上、可変抵抗部450は燃料電池100のターミナルに接続されているが、可変抵抗部450は、その接続を切り換えることにより、各単セル110にそれぞれ接続される。
第2の開閉スイッチSW2は、その開閉が制御部200によって制御される。第2の開閉スイッチSW2は、第1の開閉スイッチSW1とは逆に、通常の燃料電池システム1000Bの運転の際には開かれ、ラジカル消去促進剤含有量判定処理の際には閉じられる。電流計測部451および電圧計測部452は、ラジカル消去促進剤含有量判定処理の際に、各単セル110ごとの電圧と電流の計測値をラジカル消去促進剤含有量判定部210へと送信する。
第3実施例の燃料電池システム1000Bでは、ラジカル消去促進剤含有量判定処理が、第1実施例と同様の手順により実行される(図3)。ステップS10では、燃料電池100が所定の発電状態に制御される。ただし、このとき、燃料電池100の各単セル110は、外部負荷ELとの接続が遮断され、可変抵抗部450と接続される。
図12は、燃料電池100の任意の単セル110が可変抵抗部450と電気的に接続されている状態を示す模式図である。図12は、交流電源410に換えて可変抵抗部450が設けられている点と、電流計測部451と電圧計測部452とが追加されている点以外は、図4とほぼ同じである。
ステップS20では、ラジカル消去促進剤含有量判定部210は、第1実施例で説明したのと同様に、各単セル110のインピーダンスを計測し、ナイキストプロットを生成することにより、各単セル110ごとに触媒層H+抵抗を計測する。ただし、第3実施例の燃料電池システム1000Bでは、燃料電池100に交流電力を印加するかわりに、可変抵抗部450の抵抗値を複数段階の周期で周期的に増減させて、各単セル110の出力電流を周期的に変化させることにより、インピーダンスを計測する。
即ち、第3実施例の燃料電池システム1000Bでは、各単セル110の出力電流値を交流電流のように振幅させ、その電流値と電圧値とを計測することにより、インピーダンスを計測する。この計測処理によっても、第1実施例と同様なナイキストプロット(図5(A))を生成することができ、そのナイキストプロットから触媒層H+抵抗を取得することができる。その後、ラジカル消去促進剤含有量判定部210は、ステップS30〜S50(図3)の処理を第1実施例で説明したのと同様に実行する。
このように、本実施例の燃料電池システム1000Bによれば、燃料電池100の外部に交流電源410を設けることなく、燃料電池100の電流値および電圧値を計測することにより、各単セル110のインピーダンスを計測することができる。そして、そのインピーダンスの計測値に基づいて触媒層H+抵抗を求め、膜電極接合体10におけるラジカル消去促進剤の含有量を求めることができる。従って、膜電極接合体10におけるラジカル消去促進剤の不足による電解質膜1の劣化を抑制することができる。
D.第4実施例:
図13は、本発明の第4実施例として、燃料電池100の点検時に実行されるラジカル消去促進剤含有量検査の処理手順を示すフローチャートである。図13は、ステップS40,S50が省略されている点以外は、図3とほぼ同じである。このラジカル消去促進剤含有量検査は、燃料電池100の膜電極接合体10におけるラジカル消去促進剤の含有量の過不足を検査するものである。ラジカル消去促進剤含有量検査は、例えば、燃料電池100の完成時や出荷前に実施されるものとしても良く、燃料電池100のメンテナンス時に実施されるものとしても良い。
ステップS10では、検査者は、燃料電池100に反応ガスを供給することにより、燃料電池100を所定の発電状態とする。ステップS20では、検査者は、各単セル110ごとに交流電力を印加して、各単セル110のインピーダンスを計測する。そして、そのインピーダンスの計測値に基づいて、第1実施例で説明したのと同様なナイキストプロットを生成し、触媒層H+抵抗を求める。
ステップS30では、検査者は、予め準備しておいた触媒層H+抵抗と膜電極接合体10におけるラジカル消去促進剤の含有量との間の関係を用いて、ステップS20において求めた触媒層H+抵抗に対するラジカル消去促進剤の含有量を取得する。このラジカル消去促進剤含有量検査において、ラジカル含有量が所定の量より少ない膜電極接合体10が検出された場合には、その燃料電池100を分解し、膜電極接合体10にラジカル消去促進剤を補充する処理が実施されるものとしても良い。
このように、燃料電池100の製造工程や、燃料電池100のメンテナンス時に、この検査を実施することにより、燃料電池100の使用時に、電解質膜1がラジカルの発生により劣化してしまうことを抑制することができる。
E.変形例:
なお、この発明は上記の実施例や実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様において実施することが可能であり、例えば次のような変形も可能である。
E1.変形例1:
上記実施例において、ラジカル消去促進剤含有量判定処理は、燃料電池システム1000,1000A,1000Bの運転終了時に実行されていた。しかし、ラジカル消去促進剤含有量判定処理は、他のタイミングで実行されるものとしても良い。例えば、燃料電池システム1000,1000A,1000Bの起動時に実行されるものとしても良いし、燃料電池100の使用時間を計測しておき、その所定の使用時間を経過したときに実行されるものとしても良い。また、システムのユーザーの指令に応じて実行されるものとしても良く、システムのメンテナンス時に実行されるものとしても良い。
なお、燃料電池システム1000,1000A,1000Bの運転終了時にラジカル消去促進剤含有量判定処理を実行する場合には、燃料電池100の運転温度が比較的安定している状態で、各単セル110のインピーダンスを計測することができる。従って、ラジカル消去促進剤含有量判定処理の判定精度をより向上させることができる。
E2.変形例2:
上記実施例では、ステップS50(図3,図9)において酸性溶液供給部340が酸性溶液を燃料電池100に供給することにより、膜電極接合体10へのラジカル消去促進剤の溶出を促進させていた。しかし、ステップS50では、他の処理によって、膜電極接合体10へのラジカル消去促進剤の溶出が促進されるものとしても良い。例えば、ステップS50では、酸性溶液に換えて、ナフィオン(登録商標)などの陽イオン交換樹脂の溶液が燃料電池100のガス流路に供給されるものとしても良い。また、ステップS50では、燃料電池100のガス流路に液水が圧入されるものとしても良い。
E3.変形例3:
上記実施例において、ステップS50(図3,図9)においてラジカル消去促進剤溶出処理が実行されていたが、ラジカル消去促進剤溶出処理に換えて他の処理が実行されるものとしても良い。例えば、ステップS50では、ステップS40における判定結果をシステムのユーザーに報知する報知処理が実行されるものとしても良い。
E4.変形例4:
上記実施例において、ラジカル消去促進剤含有量判定部210は、ラジカル消去促進剤の含有量を取得するために、カソード3における触媒層H+抵抗を計測していた。しかし、ラジカル消去促進剤含有量判定部210は、アノード2における触媒層H+抵抗を計測するものとしても良い。
E5.変形例5:
上記実施例では、燃料電池100の各単セル110について、触媒層H+抵抗を計測し、膜電極接合体10におけるラジカル消去促進剤の含有量を取得していた。しかし、燃料電池100の各単セル110の全てについて、触媒層H+抵抗が計測されなくとも良く、少なくとも1つについて計測されれば良い。また、触媒層H+抵抗の計測の際には、燃料電池100全体のインピーダンスが計測されるものとしても良い。
E6.変形例6:
上記第1実施例のラジカル消去促進剤含有量判定処理では、ステップS10において、燃料電池100を所定の発電状態とした上で、ステップS20の触媒層H+抵抗の計測処理が実行されていた。しかし、ステップS10の処理は省略されるものとしても良い。この場合には、ステップS30において用いられるマップとして、燃料電池100の発電状態に応じた複数のマップが予め準備され、ステップS30において、燃料電池100の発電状態に応じて、マップが適宜選択されて使用されるものとしても良い。
E7.変形例7:
上記実施例において、燃料電池100の各単セル110には、撥水層11が設けられていた。しかし、撥水層11は省略されるものとしても良い。また、セパレータ20,30の流路溝21,31に換えて、あるいは、セパレータ20,30の流路溝21,31に加えて、セパレータ20,30とガス拡散層13との間には、反応ガスのガス流路として機能するガス流路部材が配置されるものとしても良い。ガス流路部材としては、いわゆるパンチングメタルやエキスパンドメタルなどの金属加工板が用いられるものとしても良いし、カーボンの焼結体や発泡金属など、多孔質導電性部材が用いられるものとしても良い。
E8.変形例8:
上記実施例では、ラジカル消去促進剤含有量判定処理のステップS30において、ラジカル消去促進剤の含有量を計測し、ステップS40において、その含有量についての判定処理を実行していた。しかし、燃料電池システム1000,1000A,1000Bでは、ステップS40,S50の処理に換えて、ステップS30で取得したラジカル消去促進剤の含有量をシステムユーザーに対して表示する表示処理が実行されるものとしても良い。この場合には、燃料電池システム1000,1000A,1000Bは、膜電極接合体10におけるラジカル消去促進剤の含有量を測定する測定装置を備えたシステムであると解釈することができる。
E9.変形例9:
上記実施例において、ラジカル消去促進剤は、撥水層11やガス拡散層13に含有されていた。しかし、ラジカル消去促進剤は、撥水層11やガス拡散層13に換えて、あるいは、撥水層11やガス拡散層13に加えて、セパレータ20,30の流路溝21,31の壁面に塗布されているものとしても良い。
E10.変形例10:
上記実施例において、カソードセパレータ30は、ガス不透過の緻密な部材によって構成されていた。しかし、カソードセパレータ30は、冷却水を透過する部材によって構成されるものとしても良い。この場合には、セパレータ30を透過する冷却水によって、撥水層11やガス拡散層13のラジカル消去促進剤を膜電極接合体10へと溶出させるものとしても良い。
1…電解質膜
2…アノード(触媒電極層)
3…カソード(触媒電極層)
5…ガス拡散層
10…膜電極接合体
11…撥水層
13…ガス拡散層
15…ガス拡散層付き膜電極接合体
20…アノードセパレータ
21…流路溝
30…カソードセパレータ
31…流路溝
32…流路溝
100…燃料電池
110…単セル
200…制御部
210…ラジカル消去促進剤含有量判定部
220…ラジカル消去促進剤溶出処理部
310…燃料ガス供給部
311…第1の水素配管
312…第2の水素配管
313…切換バルブ
315…アノード排ガス配管
320…酸化ガス供給部
321…第1の酸素配管
322…第2の酸素配管
323,323A…切換バルブ
325…カソード排ガス配管
330…冷媒供給部
331…冷媒供給用配管
332…冷媒排出用配管
340…酸性溶液供給部
341…アノード側接続配管
342…カソード側接続配管
350…不活性ガス供給部
351…接続配管
360…圧力調整バルブ
361…圧力計測部
362…圧力計測部
363…圧力計測部
364…湿度計測部
365,366…温度計測部
367…電流計測部
400…インピーダンス計測部
410…交流電源
450…可変抵抗部
451…電流計測部
452…電圧計測部
500…等価回路
501…第1の導電線
502…第2の導電線
510…第1の抵抗素子
511…第2の抵抗素子
520…単位並列回路
521…コンデンサ
522…第3の抵抗素子
1000,1000A,1000B…燃料電池システム
DCL…直流電源ライン
EL…外部負荷
Gi…グラフ
GiA…グラフ
GL…直線部分
CG…曲線部分
LG…直線部分
LGa…第1の直線部分
LGb…第2の直線部分
SW1…第1の開閉スイッチ
SW2…第2の開閉スイッチ

Claims (6)

  1. 燃料電池システムあって、
    プロトン伝導性を有する電解質膜の両側に電極触媒層が配置された膜電極接合体を備える燃料電池と、
    前記膜電極接合体のインピーダンスを計測するインピーダンス計測部と、
    前記燃料電池システムを制御する制御部と、
    を備え、
    前記制御部は、ラジカルの消去を促進するラジカル消去促進剤の前記膜電極接合体における含有量が予め設定された規定値以上であるか否かの判定処理を実行する消去促進剤含有量判定部を備え、
    前記消去促進剤含有量判定部は、前記電極触媒層におけるプロトンの易動度に依存するプロトン抵抗と、前記膜電極接合体における前記ラジカル消去促進剤の含有量である消去促進剤含有量との間の関係を予め記憶しており、
    前記消去促進剤含有量判定部は、前記インピーダンス計測部による計測値に基づいて前記プロトン抵抗を求めるとともに、前記予め記憶された関係を用いて、求められた前記プロトン抵抗に対する前記消去促進剤含有量を取得して前記判定処理を実行する、燃料電池システム。
  2. 請求項1記載の燃料電池システムであって、
    前記制御部は、前記消去促進剤含有量判定部の前記判定処理において、前記消去促進剤含有量が前記既定値よりも少ないと判定された場合には、前記膜電極接合体にラジカル消去促進剤を補充するラジカル消去促進剤補充処理を実行する、燃料電池システム。
  3. 請求項2記載の燃料電池システムであって、
    前記燃料電池は、前記膜電極接合体の外側に、反応ガスを前記電極触媒層全体に拡散するためのガス拡散層を含むガス流路が設けられており、
    前記ガス流路には、予め前記ラジカル消去促進剤が配置され、
    前記ラジカル消去促進剤補充処理は、前記ガス流路に配置された前記ラジカル消去促進剤の前記膜電極接合体への溶出を促進するための液体を、前記ガス流路に供給する処理を含む、燃料電池システム。
  4. 請求項1〜3のいずれか一項に記載の燃料電池システムであって、
    前記インピーダンス計測部は、前記燃料電池のカソード側に窒素を供給するとともにアノード側に水素を供給した状態で、前記燃料電池に交流電流を印加し、前記燃料電池のインピーダンスを計測する、燃料電池システム。
  5. 請求項1〜3のいずれか一項に記載の燃料電池システムであって、
    前記インピーダンス計測部は、前記燃料電池の出力する直流電流の電流値を予め設定された周期で増減させて、前記燃料電池の電圧と電流とを測定することにより、前記燃料電池のインピーダンスを取得する、燃料電池システム。
  6. プロトン伝導性を有する電解質膜の両側に電極触媒層が配置された膜電極接合体を備える燃料電池において、ラジカルの消去を促進するラジカル消去促進剤の前記膜電極接合体における含有量を測定する方法であって、
    (a)前記電極触媒層におけるプロトンの移動抵抗であるプロトン抵抗と、前記膜電極接合体における前記ラジカル消去促進剤の含有量である消去促進剤含有量との間の関係を予め準備する工程と、
    (b)前記燃料電池のインピーダンスを計測する工程と、
    (c)前記工程(b)において求められた計測値に基づいて、前記プロトン抵抗を求めるとともに、前記工程(a)において予め記憶された関係を用いて、前記プロトン抵抗に対する前記消去促進剤含有量を取得する工程と、
    を備える、方法。
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