JP2012054290A - 太陽電池モジュール用裏面保護シート - Google Patents
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Abstract
【課題】 安価で耐環境性(耐加水分解、耐候性等)に優れ、かつ、反射効率、軽量性が要求される分野に最適な太陽電池モジュール用裏面保護フィルムを提供する。
【解決手段】 白色顔料含有濃度が2.0〜10.0重量%のポリビニルアセタール樹脂フィルムと、厚みが100μm以上であり、白色顔料含有濃度が2.0〜10.0重量%であり、固有粘度IVが0.65dl/g以上であり、末端カルボキシル基量AVが26当量/トン以下であり、リン元素含有量が70重量ppm以下であるポリエチレンテレフタレートフィルムとを有することを特徴とする太陽電池モジュール用裏面保護シート。
【選択図】 なし
【解決手段】 白色顔料含有濃度が2.0〜10.0重量%のポリビニルアセタール樹脂フィルムと、厚みが100μm以上であり、白色顔料含有濃度が2.0〜10.0重量%であり、固有粘度IVが0.65dl/g以上であり、末端カルボキシル基量AVが26当量/トン以下であり、リン元素含有量が70重量ppm以下であるポリエチレンテレフタレートフィルムとを有することを特徴とする太陽電池モジュール用裏面保護シート。
【選択図】 なし
Description
本発明は、安価で耐環境性(耐加水分解、耐候性等)に優れ、かつ、高い光隠蔽性と、軽量性が要求される分野に最適な、太陽電池モジュール用裏面保護シートに関するものである。
近年、次世代のエネルギ源として太陽電池が注目を浴びている。該電池の構成部品の一部に用いられる太陽電池モジュール用裏面保護シートも自然環境に対する耐久性(耐加水分解、耐候性)が強く要求される。さらに電池の太陽光の電換効率の向上も要求され、裏面保護シートの反射光まで電換される。また軽量性、強度および電池の加工性も要望されつつある。
太陽電池モジュール用裏面保護シートとしては、例えばポリエチレン系樹脂やポリエステル系樹脂のフィルムを用いたり、フッ素系フィルムを用いたりすることが知られている(特許文献1、2参照)。特に、安価が求められていること、燃焼した際に有毒ガスが出ないことから、ポリエチレンテレフタレートフィルムを利用した裏面保護シートが広く開発されている。しかし、フッ素系フィルムと比較して、ポリエチレンテレフタレートフィルムは加水分解しやすく、太陽光中のUV照射により、フィルムが黄変するという課題がある。
ポリエチレンテレフタレートフィルムのUV光による黄変は、フィルムに白色顔料を添加することで軽減できる。また、白色顔料が太陽光を反射することから、セル側への反射効率の向上も同時に行える。しかし、白色顔料を含んだポリエチレンテレフタレートによるフィルムの製膜では、押出過程にて、顔料により高分子にシェアーがかかり、ポリエチレンテレフタレート分子が分解することから、耐加水分解性が低下する。
そこで、高濃度の白色顔料を有するポリエチレンテレフタレートフィルムを充填剤側に、耐加水分解性を有する透明のポリエチレンテレフタレートフィルム外側に配置させることで、耐UV性と耐加水分解性を併せ持つ太陽電池モジュール用裏面保護シートとなることが知られている(特許文献3参照)。
しかしながら、この高濃度の白色顔料を有するポリエチレンテレフタレートフィルムには耐加水分解性がないため、高濃度の白色顔料を有するポリエチレンテレフタレートフィルムと、耐加水分解性を有する透明のポリエチレンテレフタレートフィルムの間に、防湿性の高い水蒸気バリアフィルムを設けることで、高濃度の白色顔料を有するポリエチレンテレフタレートフィルムの加水分解を軽減されるため、太陽電池モジュールに組み込まれた太陽電池モジュール用裏面保護シートとしては、耐加水分解性を維持することが可能となるものの、高濃度の白色顔料を有するポリエチレンテレフタレートフィルムの耐加水分解性が低いので、太陽電池モジュール用裏面保護シートそのものの耐加水分解性向上を求められた場合、耐加水分解性を満足できない。
また充填材としては上記の特性を有し、また入手が容易であるという観点からエチレン酢酸ビニル共重合体を架橋したものが一般的である。ところが、エチレン酢酸ビニル共重合体は、吸湿による加水分解、あるいは熱分解などによって酢酸を発生し、太陽電池を構成する部材の腐食を引き起こすことがあり、またガラスとの接着性が十分でないことから長期使用時にガラスから剥離して発電効率の低下を引き起こす。また、太陽電池モジュールの外観を損なう、といった問題が指摘されている。
これらの長期使用時の信頼性に関する問題を解決する方法として、充填材にポリビニルアセタールを使用する検討がなされている。ポリビニルアセタールは吸水による加水分解や、熱分解などによる酢酸の発生が起こらず、またガラスとの接着性にも優れるため、好適である。
本発明は、かかる従来技術の背景に鑑み、安価で、耐加水分解性や耐候性等の耐環境性を改良し、かつ、太陽光に対する隠蔽性の良好な太陽電池モジュール用裏面保護シートを提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、特定のポリエチレンテレフタレートフィルムを用い、特定の層構成とすることにより、上記課題を解決できることを見いだし、本発明を完成させるに到った。
すなわち、本発明の要旨は、白色顔料含有濃度が2.0〜10.0重量%のポリビニルアセタール樹脂フィルムと、厚みが100μm以上であり、白色顔料含有濃度が2.0〜10.0重量%であり、固有粘度IVが0.65dl/g以上であり、末端カルボキシル基量AVが26当量/トン以下であり、リン元素含有量が70重量ppm以下であるポリエチレンテレフタレートフィルムとを有することを特徴とする太陽電池モジュール用裏面保護シートに存する。
本発明によれば、上記ポリビニルアセタール樹脂は耐加水分解性に優れるため、上記した特定のポリエチレンテレフタレートフィルム上に、ポリビニルアセタール樹脂からなる樹脂フィルムを積層することにより、両者の相乗効果により高い耐久性を備える太陽電池モジュール用裏面保護シートを得ることができる。また、白色顔料により高い光隠蔽性と耐UV性も備えることができる。
また本発明によれば、上記ポリビニルアセタール樹脂は高い接着性を示すため、例えば、太陽電池モジュール用充填材層や、ガスバリア性フィルム等の太陽電池モジュールに用いられる他の部材との接着性に優れた太陽電池モジュール用裏面保護シートを得ることができる。また、ポリビニルアセタール樹脂フィルム内に、白色顔料も含有させることにより、より高い耐UV性を呈することが可能となった。
本発明でいう太陽電池とは、太陽光を電気に変換し該電気を蓄えるシステムをいい、好ましくは高光線透過材、太陽電池モジュール、充填樹脂層および裏面保護シートを基本構成とするものであり、ハウスの屋根に組み込まれるものや、電気、電子部品等に使用されるものであり、フレキシブルな性質を有するものもある。
ここで高光線透過材とは、太陽光を効率よく入射させ、内部の太陽電池モジュールを保護するもので、好ましくはガラスや高光線透過プラスチックやフィルムなどが用いられる。また、太陽電池モジュールは、太陽光を電気に変換し蓄えるもので、太陽電池の心臓部分である。該モジュールは、シリコン、カドミウム−テルル 、ゲルマニウム−ヒ素などの半導体が用いられる。現在、多用されているものに、単結晶、多結晶シリコン、アモルファスシリコン等がある。
また、充填樹脂層とは、太陽電池内の太陽電池モジュールの固定および保護、電気絶縁の目的に用いられ、ポリビニルアセタール樹脂が性能面で好ましく、特にポリビニルブチラール樹脂が好ましい。
本発明でいう太陽電池モジュール用裏面保護シートとは、太陽電池の裏側の太陽電池モジュールの保護が重要な役目である。そして、太陽光に対する高い隠蔽性を有し、長期間使用での屋外暴露で機械的強度が維持され、見た目(色調)の変化が少ない裏面保護シートが必要である。一般使用者にとって、見た目の変化は商品の性能劣化・故障を連想させてしまう。
本発明は、ポリエチレンテレフタレートフィルムとポリビニルアセタール樹脂フィルムを有する太陽電池モジュール用裏面保護シートに関するものである。以下、本発明の太陽電池モジュール用裏面保護シートの各構成部材である、ポリエチレンテレフタレートフィルム、および、ポリビニルアセタール樹脂フィルムについて詳細に説明する。
<ポリエチレンテレフタレートフィルム>
ここでのポリエチレンテレフタレートフィルムに使用するポリエチレンテレフタレート樹脂とは、ジカルボン酸成分として、テレフタル酸およびその誘導体を、また、グリコール成分としてはエチレングリコールを用い、これらをエステル化反応によって高分子化してなる結晶性の熱可塑性樹脂である。かかるポリエチレンテレフタレートの融点は、250℃以上のものが耐熱性の上で好ましく、290℃以下のものが生産性の上で好ましい。
この範囲内であれば、他のジカルボン酸成分もしくは他のグリコール成分を共重合させたり、他のポリエステルがブレンドされたりしていてもよい。他のポリエステルをブレンドする際には、全ポリエステル樹脂中、50重量%以下とするのが望ましい。
ここでのポリエチレンテレフタレートフィルムに使用するポリエチレンテレフタレート樹脂とは、ジカルボン酸成分として、テレフタル酸およびその誘導体を、また、グリコール成分としてはエチレングリコールを用い、これらをエステル化反応によって高分子化してなる結晶性の熱可塑性樹脂である。かかるポリエチレンテレフタレートの融点は、250℃以上のものが耐熱性の上で好ましく、290℃以下のものが生産性の上で好ましい。
この範囲内であれば、他のジカルボン酸成分もしくは他のグリコール成分を共重合させたり、他のポリエステルがブレンドされたりしていてもよい。他のポリエステルをブレンドする際には、全ポリエステル樹脂中、50重量%以下とするのが望ましい。
本発明におけるポリエチレンテレフタレートフィルムは、後述する蛍光X線分析装置を用いた分析にて検出されるリン元素量が特定範囲にあるものである。本発明において、ポリエチレンテレフタレートフィルム中のリン元素は、通常はリン化合物に由来するものであり、ポリエチレンテレフタレートフィルム製造時に添加される。本発明においては、ポリエチレンテレフタレートフィルム中のリン元素量Pは70重量ppm以下である必要があり、好ましくは50重量ppm以下であり、さらに好ましくは40重量ppm以下である。下限については特に設けないが、実際には1重量ppm程度が現在の技術では下限となる。リン元素量が多すぎると、製膜後のフィルムの加水分解が促進することになるため好ましくない。
リン酸化合物の例としては、リン酸、亜リン酸あるいはそのエステルホスホン酸化合物、ホスフィン酸化合物、亜ホスホン酸化合物、亜ホスフィン酸化合物など公知のものが該当し、具体例としては、正リン酸、ジメチルフォスフェート、トリメチルフォスフェート、ジエチルフォスフェート、トリエチルフォスフェート、ジプロピルフォスフェート、トリプロピルフォスフェート、ジブチルフォスフェート、トリブチルフォスフェート、ジアミルフォスフェート、トリアミルフォスフェート、ジヘキシルフォスフェート、トリヘキシルフォスフェート、ジフェニルフォスフェート、トリフェニルフォスフェート、エチルアシッドホスフェートなどが挙げられる。
また、熱分解や加水分解を抑制するために触媒として働きうる金属化合物をできる限り含まないことが好ましいが、ポリエチレンテレフタレートフィルムの生産性を向上すべく溶融時の体積固有抵抗値を低くするため、マグネシウム、カルシウム、リチウム、マンガン等の金属を、通常、フィルム中に、白色顔料由来の金属を除き、好ましくは500重量ppm以下、好ましくは400重量ppm以下であれば含有させることができる。
太陽電池セルの間から漏れた入射光による、太陽電池裏面充填材の劣化を防ぐために、太陽電池裏面充填材は高隠蔽性を有することが好ましい。本発明においては、太陽電池モジュール用裏面保護シートのポリエチレンテレフタレートフィルムを構成するポリエチレンテレフタレート成分に白色顔料を添加して白色ポリエチレンテレフタレートフィルムとする。白色顔料としては、二酸化チタン、酸化亜鉛、硫化亜鉛、硫酸バリウムなどを例示することができ、好ましくは二酸化チタン、硫酸バリウム、特に好ましくは二酸化チタンを用いる。
白色顔料の平均粒径は、好ましくは0.25μm以上、さらに好ましくは0.28μm以上、特に好ましくは0.30μm以上である。平均粒径が0.25μm未満であると、効率的に散乱できる光の波長が低波長側へずれるため、近赤外光領域での反射率が低下することがある。白色顔料の平均粒径が10μmを超えると、粒度分布によっては粗大な粒子を含有するため、フィルムにピンホールを生じるなどの不具合が発生することがあることから、白色顔料は平均粒径10μm以下であることが好ましい。
また、当該ポリエチレンテレフタレートフィルム中の白色顔料の濃度WAは、10.0重量%以下、好ましくは8.0重量%以下である。白色顔料の含有量が10.0重量%より多いと、フィルム製膜時に、白色顔料により高分子鎖にシェアーがかかり、ポリエチレンテレフタレート分子の分解が、固有粘度IVの低下/末端カルボキシ量AVの増大を誘発し、当該ポリエチレンテレフタレートフィルムの耐加水分解性が低下してしまい、太陽電池モジュール用裏面保護フィルム向け二軸延伸白色ポリエチレンテレフタレートフィルムには不敵なフィルムとなってしまう。一方、WAの下限は2.0重量%であり、さらに好ましくは、3.0重量%以上である。WAが2.0重量%未満であると、フィルムに耐UV性が得られず、屋外に長時間放置したときフィルムが黄変してしまう。
本発明において、ポリエチレンテレフタレートフィルムの厚みDAは、光の隠蔽性の関係から、100[μm]以上が好ましく、120μm以上がさらに好ましい。厚みの上限は特に設けないが、通常500μmである。
ポリエチレンテレフタレートフィルム中に白色顔料を含有させる方法としては、特に限定されるものではなく、従来公知の方法を採用しうる。例えば、ポリエチレンテレフタレート成分を製造する任意の段階において添加することができるが、好ましくはエステル化の段階、もしくはエステル交換反応終了後に添加し、重縮合反応を進めてもよい。また、ベント付き混練押出機を用い、エチレングリコールまたは水などに分散させた白色顔料のスラリーとポリエステル原料とをブレンドしてもよい。また、混練押出機を用い、乾燥させた白色顔料とポリエステル原料とをブレンドする方法でもよい。なお、白色顔料を高濃度に含有する、いわゆるマスターバッチチップを、混練押出機を用いて製造し、必要に応じこのマスターバッチチップを、白色顔料を含有しないか、あるいは、少量含有するポリエステル原料と混練押出機を用いて混合することにより、所定の配合量のポリエステルフィルムを製造することもできる。
本発明において、ポリエチレンテレフタレートフィルムは、ポリエチレンテレフタレートフィルムを構成するポリエチレンテレフタレート成分の末端カルボン酸量AVが26当量/トン以下、好ましくは24当量/トン以下である。末端カルボン酸量AVが26当量/トンを超えると、ポリエチレンテレフタレートの耐加水分解性が劣る。一方、本願発明の耐加水分解性を鑑みると、ポリエチレンテレフタレートの末端カルボン酸量の下限はないが、重縮合反応の効率、溶融押出工程での熱分解等の点から通常は10当量/トン程度である。なお、本発明において、末端カルボン酸量AVは、実施例の項に記載した方法で、フィルムを用いて測定されたものを意味する。
また、ポリエチレンテレフタレートフィルムに耐加水分解性を付与するにおいて、リン元素の含有量および末端カルボン酸量を上記範囲にする他に、ポリエチレンテレフタレートフィルムの固有粘度IVが0.65dl/g以上、好ましくは0.68dl/g以上であることが重要である。フィルムの固有粘度が0.65[dl/g]未満である場合は、ポリエチレンテレフタレートフィルムの耐加水分解性が劣り、高温高湿度環境や屋外での長期使用が難しくなる。一方、本願発明の耐加水分解性を鑑みると、ポリエチレンテレフタレートの固有粘度の上限はないが、溶融押出工程での熱分解等の点から通常は0.75dl/g程度である。なお、本発明において、固有粘度IVは、実施例の項に記載した方法で、フィルムを用いて測定されたものを意味する。
本発明において、ポリエチレンテレフタレートの末端カルボン酸量および固有粘度を特定範囲とするため、例えば、ポリエチレンテレフタレートチップの押出工程における押出機内でのポリエチレンテレフタレートの滞留時間を短くする方法などが用いられる。また、低末端カルボン酸量のポリエチレンテレフタレートチップを製膜することで、末端カルボン酸量が特定範囲のポリエチレンテレフタレートフィルムを得てもよい。ポリエチレンテレフタレートチップの末端カルボン酸量を低くする方法としては、溶融重合で得られたチップを固相重合する方法や、重合効率を上げる方法、重合速度を速くする方法、分解速度を抑制する方法など従来公知の方法を採用しうる。例えば、溶融重合時間を短くする方法、重合触媒量を増やす方法、高活性の重合触媒を使用する方法、重合温度を低くする方法などによって行われる。また、ポリエチレンテレフタレートフィルム製造において、溶融工程を経た再生原料を配合すると末端カルボン酸量が増大するので、本願発明においてはかかる再生原料を配合しないことが好ましく、配合するとしても20重量部以下とすることが好ましい。
なお、本発明のポリエチレンテレフタレートフィルム中には、必要に応じて従来公知の酸化防止剤、熱安定剤、潤滑剤、帯電防止剤、蛍光増白剤、染料、紫外線吸収剤を添加することができる。
以下、本発明のポリエチレンテレフタレートフィルムの製造方法に関して具体的に説明するが、本発明の要旨を満足する限り、本発明は以下の例示に特に限定されるものではない。
すなわち、公知の手法により乾燥したまたは未乾燥のポリエチレンテレフタレートチップを混練押出機に供給し、それぞれのポリマーの融点以上である温度に加熱し溶融する。
次いで、溶融したポリマーをダイから押出し、回転冷却ドラム上でガラス転移温度以下の温度になるように急冷固化し、実質的に非晶状態の未配向シートを得る。この場合、シートの平面性を向上させるため、シートと回転冷却ドラムとの密着性を高めることが好ましく、本発明においては静電印加密着法および/または液体塗布密着法が好ましく採用される。溶融押出工程においても、条件により末端カルボン酸量が増加するので、本願発明においては、押出工程における押出機内でのポリエチレンテレフタレートの滞留時間を短くすること、一軸押出機を使用する場合は原料をあらかじめ水分量が50[ppm]以下、好ましくは30[ppm]以下になるように十分乾燥すること、二軸押出機を使用する場合はベント口を設け、40ヘクトパスカル以下、好ましくは30ヘクトパスカル以下、さらに好ましくは20ヘクトパスカル以下の減圧を維持すること等の方法を採用する。
次いで、溶融したポリマーをダイから押出し、回転冷却ドラム上でガラス転移温度以下の温度になるように急冷固化し、実質的に非晶状態の未配向シートを得る。この場合、シートの平面性を向上させるため、シートと回転冷却ドラムとの密着性を高めることが好ましく、本発明においては静電印加密着法および/または液体塗布密着法が好ましく採用される。溶融押出工程においても、条件により末端カルボン酸量が増加するので、本願発明においては、押出工程における押出機内でのポリエチレンテレフタレートの滞留時間を短くすること、一軸押出機を使用する場合は原料をあらかじめ水分量が50[ppm]以下、好ましくは30[ppm]以下になるように十分乾燥すること、二軸押出機を使用する場合はベント口を設け、40ヘクトパスカル以下、好ましくは30ヘクトパスカル以下、さらに好ましくは20ヘクトパスカル以下の減圧を維持すること等の方法を採用する。
本発明においては、このようにして得られたシートを2軸方向に延伸してフィルム化する。延伸条件について具体的に述べると、前記未延伸シートを好ましくは縦方向に70〜145℃で2〜6倍に延伸し、縦1軸延伸フィルムとした後、横方向に90〜160℃で2〜6倍延伸を行い、160〜220℃で1〜600秒間熱処理を行うことが好ましい。
さらにこの際、熱処理の最高温度ゾーンおよび/または熱処理出口のクーリングゾーンにおいて、縦方向および/または横方向に0.1〜20%弛緩する方法が好ましい。また、必要に応じて再縦延伸、再横延伸を付加することも可能である。
本発明においては、前記の通りポリエチレンテレフタレートの溶融押出機を2台または3台以上用いて、いわゆる共押出法により2層または3層以上の積層ポリエチレンテレフタレートフィルムとすることができる。層の構成としては、A原料とB原料とを用いたA/B構成、またはA/B/A構成、さらにC原料を用いてA/B/C構成またはそれ以外の構成のポリエチレンテレフタレートフィルムとすることができる。
ポリエチレンテレフタレートフィルムの耐加水分解性は、ポリエチレンテレフタレートフィルム全体に関連する特性であり、本願発明においては、共押出による積層構造を有するポリエチレンテレフタレートフィルムの場合、当該フィルムを構成するポリエチレンテレフタレート全体として、固有粘度、末端カルボン酸量が上記した範囲であることが必要である。同様に、リン元素の含有量、並びに白色顔料量は、共押出による積層構造を有するポリエチレンテレフタレートフィルムの場合、当該ポリエチレンテレフタレートフィルムを構成するポリエチレンテレフタレート全体として含有量が前述の範囲であることが必要である。
本発明においては、前記延伸工程においてまたはその後に、ポリエチレンテレフタレートフィルムに接着性、帯電防止性、滑り性、離型性等を付与するために、ポリエチレンテレフタレートフィルムの片面または両面に塗布層を形成したり、コロナ処理等の放電処理を施したりすることなどもできる。
<ポリビニルアセタール樹脂フィルム>
本発明の太陽電池モジュール用裏面保護シートを構成するポリビニルアセタール樹脂フィルムについて説明する。本発明に用いられる上記ポリビニルアセタール樹脂フィルムはポリビニルアセタール樹脂からなるものあり、優れた耐加水分解性と接着性を有することを特徴とするものである。
本発明の太陽電池モジュール用裏面保護シートを構成するポリビニルアセタール樹脂フィルムについて説明する。本発明に用いられる上記ポリビニルアセタール樹脂フィルムはポリビニルアセタール樹脂からなるものあり、優れた耐加水分解性と接着性を有することを特徴とするものである。
本発明に用いられるポリビニルアセタール樹脂としては、本発明の太陽電池モジュール用裏面保護シートを用いた太陽電池モジュールの使用環境等に応じた耐加水分解性、および、耐UV性、接着性の特性を有し、かつ、このような特性の経時安定性に優れるものであれば特に限定されるものではない。
本発明のポリビニルアセタール樹脂は、基本成分として、ポリビニルアセタール、可塑剤を少なくとも含む。
本発明で用いられるポリビニルアセタール樹脂は、通常、ビニルアルコール系重合体を原料として製造される。上記ポリビニルアセタール樹脂は、従来公知の方法、すなわちビニルエステル系単量体を重合し、得られた重合体をけん化することによって得ることができる。ビニルエステル系単量体を重合する方法としては、溶液重合法、塊状重合法、懸濁重合法、乳化重合法など、従来公知の方法を適用することができる。重合開始剤としては、重合方法に応じて、アゾ系開始剤、過酸化物系開始剤、レドックス系開始剤などが適宜選ばれる。けん化反応は、従来公知のアルカリ触媒または酸触媒を用いる加アルコール分解、加水分解などが適用でき、この中でもメタノールを溶剤とし苛性ソーダ(NaOH)触媒を用いるけん化反応が簡便であり最も好ましい。
ビニルエステル系単量体としては、例えば、ギ酸ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、イソ酪酸ビニル、ピバリン酸ビニル、バーサチック酸ビニル、カプロン酸ビニル、カプリル酸ビニル、ラウリル酸ビニル、パルミチン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、オレイン酸ビニル、安息香酸ビニルなどが挙げられるが、とりわけ、酢酸ビニルが好ましい。
また、前記ビニルエステル系単量体を重合する場合、本発明の主旨を損なわない範囲で他の単量体と共重合させることもできる。他の単量体の例としては、エチレン、プロピレン、n−ブテン、イソブチレンなどのα−オレフィン;アクリル酸またはその塩;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸i−プロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸i−ブチル、アクリル酸t−ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸オクタデシルなどのアクリル酸エステル類;メタクリル酸およびその塩、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−プロピル、メタクリル酸i−プロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸i−ブチル、メタクリル酸t−ブチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸オクタデシルなどのメタクリル酸エステル類;アクリルアミド、N−メチルアクリルアミド、N−エチルアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、アクリルアミドプロパンスルホン酸およびその塩、N−メチロールアクリルアミドおよびその誘導体などのアクリルアミド誘導体;メタクリルアミド、N−メチルメタクリルアミド、N−エチルメタクリルアミド、メタクリルアミドプロパンスルホン酸およびその塩、N−メチロールメタクリルアミドまたはその誘導体などのメタクリルアミド誘導体;メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、n−プロピルビニルエーテル、i−プロピルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテル、i−ブチルビニルエーテル、t−ブチルビニルエーテル、ドデシルビニルエーテル、ステアリルビニルエーテルなどのビニルエーテル類;アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどのニトリル類;塩化ビニル、フッ化ビニルなどのハロゲン化ビニル;塩化ビニリデン、フッ化ビニリデンなどのハロゲン化ビニリデン;酢酸アリル、塩化アリルなどのアリル化合物;マレイン酸およびその塩またはそのエステルまたはその無水物;ビニルトリメトキシシランなどのビニルシリル化合物;酢酸イソプロペニルなどが挙げられる。これらの単量体は通常、ビニルエステル系単量体に対して10モル%未満の割合で用いられる。
本発明に用いられるポリビニルアセタールは、たとえば、次のような方法によって得ることができる。
まず、3〜30重量%濃度のビニルアルコール系重合体の水溶液を、80〜100℃の温度範囲に調整し、その温度を10〜60分かけて徐々に冷却する。温度が−10〜30℃まで低下したところで、アルデヒドおよび酸触媒を添加し、温度を一定に保ちながら、30〜300分間アセタール化反応を行う。その後、反応液を30〜200分かけて、40〜80℃の温度まで昇温し、その温度を1〜6時間保持する。次に反応液を、好適には室温まで冷却し、水洗した後、アルカリなどの中和剤を添加して水洗、乾燥することにより、本発明で用いるポリビニルアセタールが得られる。
まず、3〜30重量%濃度のビニルアルコール系重合体の水溶液を、80〜100℃の温度範囲に調整し、その温度を10〜60分かけて徐々に冷却する。温度が−10〜30℃まで低下したところで、アルデヒドおよび酸触媒を添加し、温度を一定に保ちながら、30〜300分間アセタール化反応を行う。その後、反応液を30〜200分かけて、40〜80℃の温度まで昇温し、その温度を1〜6時間保持する。次に反応液を、好適には室温まで冷却し、水洗した後、アルカリなどの中和剤を添加して水洗、乾燥することにより、本発明で用いるポリビニルアセタールが得られる。
アセタール化反応に用いる酸触媒としては特に限定されず、有機酸および無機酸のいずれでも使用可能であり、例えば、酢酸、パラトルエンスルホン酸、硝酸、硫酸、塩酸等が挙げられる。これらの中でも塩酸、硫酸、硝酸が好ましく用いられ、とりわけ塩酸が好ましく用いられる。
本発明においては、炭素数1〜8のアルデヒドでアセタール化されたポリビニルアセタールを用いることが好ましい。炭素数1〜8のアルデヒドとしては、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、n−ブチルアルデヒド、イソブチルアルデヒド、n−ヘキシルアルデヒド、2−エチルブチルアルデヒド、n−オクチルアルデヒド、2−エチルヘキシルアルデヒド、ベンズアルデヒド等が挙げられ、これらは単独で使用されてもよく、二種以上が併用されてもよい。これらの中でも炭素数4〜6のアルデヒド、特にn−ブチルアルデヒドが好ましく用いられる。すなわち、本発明に用いられるポリビニルアセタールとしては、炭素数1〜8のアルデヒド、特に炭素数4〜6のアルデヒドを用いたポリビニルアセタール、中でもn−ブチルアルデヒドを用いたポリビニルブチラールが好ましい。
ポリビニルアセタールのアセタール化度は、40〜85モル%であることが好適であり、さらに好適には50〜85モル%である。アセタール化度がこの範囲にあるとき、層間接着性、強度、透明性が優れる。また、本発明の目的をより好適に達成するためには、ポリビニルアセタール樹脂のビニルエステル単位含有量は0.1〜30モル%、より好適には0.1〜20モル%、ビニルアルコール単位含有量は10〜50モル%、より好適には10〜40モル%であることがよい。
なお、上記アセタール化度、ビニルエステル単位含有量、ビニルアルコール単位含有量の値は、アセタール化度(ビニルアセタール単位含有量)、ビニルエステル単位含有量、ビニルアルコール単位含有量の合計量に対する値である。
本発明に用いられるポリビニルアセタールの原料となるビニルアルコール系重合体の粘度平均重合度は用途に応じて適宜選択されるが、150〜3000のものが好ましく、200〜2000のものがより好ましい。
ポリビニルアセタール樹脂には、可塑剤が含まれていることが好ましい。可塑剤としては特に限定されないが、一価カルボン酸エステル系、多価カルボン酸エステル系などのカルボン酸エステル系可塑剤、リン酸エステル系可塑剤、有機亜リン酸エステル系可塑剤などが挙げられる。
一価カルボン酸エステル系可塑剤としては、ブタン酸、イソブタン酸、へキサン酸、2−エチルへキサン酸、へプタン酸、オクチル酸、2−エチルヘキサン酸、ラウリル酸などの一価カルボン酸と、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ポリエチレングリコール、グリセリンなどの多価アルコールとの縮合反応により得られる化合物であり、具体的な化合物を例示すると、トリエチレングリコールジ2−エチルヘキサノエート、トリエチレングリコールジイソブタノエート、トリエチレングリコールジ2−ヘキサノエート、トリエチレングリコールジ2−エチルブタノエート、トリエチレングリコールジラウレート、エチレングリコールジ2−エチルヘキサノエート、ジエチレングリコールジ2−エチルヘキサノエート、テトラエチレングリコールジ2−エチルヘキサノエート、テトラエチレングリコールジヘプタノエート、PEG#400ジ2−エチルヘキサノエート、トリエチレングリコールモノ2−エチルヘキサノエート、グリセリントリ2−エチルヘキサノエートなどが挙げられる。ここでPEG#400とは、平均分子量が350〜450であるポリエチレングリコールを表す。多価カルボン酸エステル系可塑剤としては、アジピン酸、コハク酸、アゼライン酸、セバシン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、トリメット酸などの多価カルボン酸と、メタノール、エタノール、ブタノール、ヘキサノール、2−エチルブタノール、ヘプタノール、オクタノール、2−エチルヘキサノール、デカノール、ドデカノール、ブトキシエタノール、ブトキシエトキシエタノール、ベンジルアルコールなどの炭素数1〜12のアルコールとの縮合反応により得られる化合物が挙げられる。具体的な化合物を例示すると、アジピン酸ジヘキシル、アジピン酸ジ−2−エチルヘキシル、アジピン酸ジヘプチル、アジピン酸ジオクチル、アジピン酸ジ2−エチルヘキシル、アジピン酸ジ(ブトキシエチル)、アジピン酸ジ(ブトキシエトキシエチル)、アジピン酸モノ(2−エチルヘキシル)、フタル酸ジブチル、フタル酸ジヘキシル、フタル酸ジ(2−エチルブチル)、フタル酸ジオクチル、フタル酸ジ(2−エチルヘキシル)、フタル酸ベンジルブチル、フタル酸ジドデシルなどが挙げられる。
リン酸系可塑剤、また亜リン酸系可塑剤としては、リン酸または亜リン酸とメタノール、エタノール、ブタノール、ヘキサノール、2−エチルブタノール、ヘプタノール、オクタノール、2−エチルヘキサノール、デカノール、ドデカノール、ブトキシエタノール、ブトキシエトキシエタノール、ベンジルアルコールなどの炭素数1〜12のアルコールとの縮合反応により得られる化合物が挙げられる。具体的な化合物を例示すると、リン酸トリメチル、リン酸トリエチル、リン酸トリプロピル、リン酸トリブチル、リン酸トリ(2−エチルヘキシル)、リン酸トリ(ブトキシエチル)、亜リン酸トリ(2−エチルヘキシル)などが挙げられる。
これらの中でも特にトリエチレングリコールジ2−エチルヘキサノエート、トリエチレングリコールジ2−エチルブチレート、テトラエチレングリコールジ2−エチルヘキサノエート、テトラエチレングリコールジヘプタノエート、アジピン酸ジヘキシル、アジピン酸ジオクチル、アジピン酸ジ(2−エチルヘキシル)などが好適である。
本発明において上記可塑剤は単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。その使用量は特に限定されないが、A層に含まれるポリビニルアセタール100重量部に対して0.1〜80重量部、好適には10〜70重量部、最適には20〜65重量部使用することが好ましい。
またポリビニルアセタール樹脂には、酸化防止剤、紫外線吸収剤、その他従来公知の添加剤を添加してもよい。以下にそれを説明する。
本発明において、ポリビニルアセタール樹脂に使用される酸化防止剤としては、例えば、フェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、硫黄系酸化防止剤などが挙げられ、これらの中でもフェノール系酸化防止剤が好ましく、アルキル置換フェノール系酸化防止剤が特に好ましい。
フェノール系酸化防止剤の例としては、2−t−ブチル−6−(3−t−ブチル−2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)−4−メチルフェニルアクリレート、2,4−ジ−t−アミル−6−(1−(3,5−ジ−t−アミル−2−ヒドロキシフェニル)エチル)フェニルアクリレートなどのアクリレート系化合物、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、2,6−ジ−t−ブチル−4−エチルフェノール、オクタデシル−3−(3,5−)ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、2,2'−メチレン−ビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4'−ブチリデン−ビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4'−ブチリデン−ビス(6−t−ブチル−m−クレゾール)、4,4'−チオビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、ビス(3−シクロヘキシル−2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)メタン、3,9−ビス(2−(3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ)−1,1−ジメチルエチル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタン、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、テトラキス(メチレン−3−(3',5'−ジ−t−ブチル−4'−ヒドロキシフェニル)プロピオネート)メタン、トリエチレングリコールビス(3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオネート)などのアルキル置換フェノール系化合物、6−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルアニリノ)−2,4−ビス−オクチルチオ−1,3,5−トリアジン、6−(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルアニリノ)−2,4−ビス−オクチルチオ−1,3,5−トリアジン、6−(4−ヒドロキシ−3−メチル−5−t−ブチルアニリノ)−2,4−ビス−オクチルチオ−1,3,5−トリアジン、2−オクチルチオ−4,6−ビス−(3,5−ジ−t−ブチル−4−オキシアニリノ)−1,3,5−トリアジンなどのトリアジン基含有フェノール系化合物などがある。
リン系酸化防止剤としては、例えば、トリフェニルホスファイト、ジフェニルイソデシルホスファイト、フェニルジイソデシルホスファイト、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、トリス(ジノニルフェニル)ホスファイト、トリス(2−t−ブチル−4−メチルフェニル)ホスファイト、トリス(シクロヘキシルフェニル)ホスファイト、2,2−メチレンビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)オクチルホスファイト、9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキサイド、10−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキサイド、10−デシロキシ−9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレンなどのモノホスファイト系化合物、4,4'−ブチリデン−ビス(3−メチル−6−t−ブチルフェニル−ジ−トリデシルホスファイト)、4,4'−イソプロピリデン−ビス(フェニル−ジ−アルキル(C12〜C15)ホスファイト)、4,4'−イソプロピリデン−ビス(ジフェニルモノアルキル(C12〜C15)ホスファイト)、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ジ−トリデシルホスファイト−5−t−ブチルフェニル)ブタン、テトラキス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)−4,4'−ビフェニレンホスファイトなどのジホスファイト系化合物などがある。
硫黄系酸化防止剤としては、例えば、ジラウリル3,3'−チオジプロピオネート、ジステアリル3,3'−チオジプロピオネート、ラウリルステアリル3,3'−チオジプロピオネート、ペンタエリスリトール−テトラキス−(β−ラウリル−チオプロピオネート)、3,9−ビス(2−ドデシルチオエチル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカンなどがある。
これらの酸化防止剤は単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。酸化防止剤の配合量は、ポリビニルアセタール樹脂100重量部に対して0.001〜5重量部、好ましくは0.01〜1重量部の範囲であるとよい。
また、本発明のポリビニルアセタール樹脂に使用される紫外線防止剤としては、2−(5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−[2−ヒドロキシ−3,5−ビス(α,α’ジメチルベンジル)フェニル]−2H−ベンゾトリアゾール、2−(3,5−ジ−t−ブチル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(3−t−ブチル−5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(3,5−ジ−t−ブチル−5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(3,5−ジ−t−アミル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−t−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール等のベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルベンゾエート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)−2−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2−n−ブチルマロネート、4−(3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ)−1−(2−(3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ)エチル)−2,2,6,6−テトラメチルピペリジンなどのヒンダードアミン系紫外線吸収剤、2,4−ジ−t−ブチルフェニル−3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート、ヘキサデシル−3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンゾエートなどのベンゾエート系紫外線吸収剤などが挙げられる。これらの紫外線吸収剤の添加量は、A層の重量に対して10〜50000ppmであることが好ましく、100〜10000ppmの範囲であることがより好ましい。また、これら紫外線吸収剤は2種以上組み合わせて用いることもできる。
本発明に用いられるポリビニルアセタール樹脂フィルムには、白色顔料が含まれている。白色顔料は、本発明の太陽電池モジュール用裏面保護シートを用いた太陽電池モジュ−ルにおいて、裏面保護シートにて太陽光を反射あるいは拡散させて太陽電池素子における発電に再利用することを目的として添加するものである。このような白色顔料を上記プラスチックフィルム中に含ませることにより、太陽電池モジュ−ルに意匠性、装飾性等を付与することができる。また、太陽電池モジュ−ルを屋根等に設置した場合、照り返す太陽光等を光反射あるいは光拡散させることができる。さらには、紫外線吸収効果を有する白色顔料を添加することにより、本発明の太陽電池モジュール用裏面保護シートの耐久性を向上させることができる。
このような白色顔料としては、例えば、塩基性炭酸鉛、塩基性硫酸鉛、塩基性珪酸鉛、亜鉛華、硫化亜鉛、リトポン、三酸化アンチモン、アナターゼ型酸化チタン、ルチル型酸化チタン等の白色顔料を用いることができる。また、本発明の用いられる白色顔料は1種類のみであってもよく、また、2種類以上を混合して用いてもよい。
上記ポリビニルアセタール樹脂フィルム中の白色顔料の含有量WBは、ポリビニルアセタール樹脂フィルム中、2.0〜10.0重量%の範囲内であり、特に、3.0〜8.0重量%の範囲内であることが好ましい。白色顔料濃度WBが2.0重量%以下であると、高い光隠蔽性や光反射性が得られない。また、白色顔料濃度が10.0重量%より多いと、太陽電池モジュール用充填層との密着性について、白色顔料起因の凝集破壊が起こり易く、十分な接着力を得られない。
本発明に用いられるポリビニルアセタール樹脂フィルムの厚みは特に限定されず、本発明の太陽電池モジュール用裏面保護シートの用途等に応じて適宜決定すればよいが、通常、25〜300μmの範囲内が好ましく、特に50〜150μmの範囲内が好ましい。
本発明に用いられるポリビニルアセタール樹脂フィルムは150℃,30分における熱収縮率が3.0%以下であることが好ましく、なかでも、1.0%以下であることが好ましく、特に0.5%〜0.3%の範囲内であることが好ましい。プラスチックフィルムの熱収縮率が上範囲内であることにより、本発明の太陽電池モジュール用裏面保護シートの収縮率への影響が低く、外観に優れた太陽電池モジュール用裏面保護シートを作製することが容易になるからである。ここで、上記熱収縮率は、JIS C2151 電気用プラスチックフィルム試験方法に準拠して測定することができる。
次に、本発明に用いられるポリビニルアセタール樹脂フィルムの製造方法について説明する。本発明に用いられるポリビニルアセタール樹脂フィルムの製造方法としては、所望の厚みで均一に製膜できる方法であれば特に限定されない。このようなポリビニルアセタール樹脂フィルムの製造方法としては、ポリビニルアセタール樹脂を溶融混練した後、膜状に成形する方法が用いられる。例えば、ホッパー等の原料供給部からポリビニルアセタール樹脂を、ミキシングロールに投入して溶融混練し、次いで押出機から膜状に押し出すことにより、またはプレス加工することにより、膜状に成形する方法を用いることができる。或いは、複数のロールを有するカレンダロールにポリビニルアセタール樹脂を投入し、溶融混練とシート化を連続的に行うことにより、膜状に成形する方法も用いられる。他の方法として、ホッパー等の原料供給部から樹脂組成物を、混練押出機(例、2軸スクリュー押出機)に投入して溶融混練し、その後、膜状に押し出すことにより得ることができる。なかでも、ポリビニルアセタール樹脂を混練押出機で溶融混練し、膜状に押し出す方法でポリビニルアセタール樹脂フィルムを製膜することが好ましい。
このような溶融製膜方法によりポリビニルアセタール樹脂フィルムを製造する場合、例えば、ポリビニルアセタールに上記添加剤を添加した後、十分に混練してポリビニルアセタール樹脂を調製し、押出法、Tダイ押出法、その他のフィルム成形法等を用いて製膜することにより、ポリビニルアセタール樹脂フィルムを製造することができる。
本発明のポリビニルアセタール樹脂を製膜することにより得られるポリビニルアセタール樹脂フィルムは、製膜性に優れることから、表面平滑性に優れ、かつ均一な厚さを有する。さらに前記ポリビニルアセタール樹脂フィルムはプラスチック基材やガラス基材などの透明基材に対して優れた接着性を示す。したがって、前記ポリビニルアセタール樹脂フィルムは、接着膜として用いられるのが好ましい。
以下ポリエチレンテレフタレートフィルムと、ポリビニルアセタール樹脂フィルムとを用いた太陽電池モジュール用裏面保護シートについて説明する。
本発明の太陽電池モジュール用裏面保護シートによれば、上記したポリエチレンテレフタレートフィルムを用いることにより、高温高湿雰囲気下においても樹脂の加水分解反応の進行を抑制することができる。また、上記したポリビニルアセタール樹脂フィルムは、加水分解性の官能基を有さないため、耐加水分解性に優れるものである。したがって上記したポリエチレンテレフタレートフィルムとポリビニルアセタール樹脂フィルムとを積層した構成を有する本発明の太陽電池モジュール用裏面保護シートは、全体として優れた耐加水分解性を備えることができるため、本発明によれば、優れた耐加水分解性を備えることにより、高耐久性を有する太陽電池モジュール用裏面保護シートを得ることができる。
また、本発明の太陽電池モジュール用裏面保護シートは、ポリビニルアセタール樹脂からなるポリビニルアセタール樹脂フィルムを最表面に有するものであるのが好ましい。上記ポリビニルアセタール樹脂は、優れた接着性を示す特徴を有することから、本発明の太陽電池モジュール用裏面保護シートは、例えば、太陽電池モジュール用充填材等の太陽電池モジュールに用いられる他の部材との接着性に優れるという特徴を有する。
なお、本発明において、上記した2層に加えて、目的とする物性等に応じて、更なる他の層を設けてもよい。
本発明の太陽電池モジュール用裏面保護シートは、熱収縮率は、本発明の太陽電池モジュール用裏面保護シートの製造方法等に応じて、本発明の太陽電池モジュール用裏面保護シートを用いて太陽電池モジュールを作製した際に、太陽電池モジュールの変形の原因とならない範囲であることが好ましい。より具体的には、150℃,30分における熱収縮率が1.0%以下であることが好ましく、なかでも、0.5%以下であることが好ましく、特に0.3%〜0.1%の範囲内であることが好ましい。熱収縮率が上記範囲よりも大きい場合は、本発明の太陽電池モジュール用裏面保護シートを用いて太陽電池モジュールを作製する場合、真空ラミネート処理を行う際に上記裏面保護シートが収縮することにより、太陽電池素子および素子を繋ぐリード線(タグ)が上記裏面保護シートの収縮に追従してしまい、リード線が変形したり、太陽電池素子間の間隔が変化したりしてしまう場合があるからである。
本発明の太陽電池モジュール用裏面保護シートは、熱収縮率は、本発明の太陽電池モジュール用裏面保護シートの製造方法等に応じて、本発明の太陽電池モジュール用裏面保護シートを用いて太陽電池モジュールを作製した際に、太陽電池モジュールの変形の原因とならない範囲であることが好ましい。より具体的には、150℃,30分における熱収縮率が1.0%以下であることが好ましく、なかでも、0.5%以下であることが好ましく、特に0.3%〜0.1%の範囲内であることが好ましい。熱収縮率が上記範囲よりも大きい場合は、本発明の太陽電池モジュール用裏面保護シートを用いて太陽電池モジュールを作製する場合、真空ラミネート処理を行う際に上記裏面保護シートが収縮することにより、太陽電池素子および素子を繋ぐリード線(タグ)が上記裏面保護シートの収縮に追従してしまい、リード線が変形したり、太陽電池素子間の間隔が変化したりしてしまう場合があるからである。
なお、本発明においては上記収縮率が0であることにより、真空ラミネート時に上記裏面保護シートの収縮(または、動き等)がないことが好ましいが、本発明のような、金属箔を使用せずプラスチック系のフィルムのみを使用した裏面保護シートにおいては、熱による影響を受けやすい。このため、収縮率0を達成するためには、予め収縮率を下げるための熱収縮処理を過剰に行うことが必要となり、裏面保護シートを構成するフィルム等がダメージを受けてしまう恐れがある。上記熱収縮率は、JIS C2151 電気用プラスチックフィルム試験方法に準拠して測定することができる。
また、本発明の太陽電池モジュール用裏面保護シートは、太陽電池モジュールを作成した後に、太陽電池素子により発電した電流を外部に取り出すための端子を通すための、貫通孔を有していることが好ましい。このような貫通孔の形態としては特に限定されるものではなく、位置、大きさ、形および数等の具体的な発明は、本発明の太陽電池モジュール用裏面保護シートを用いる太陽電池モジュールの配線形態等に応じて任意に決定すればよい。
次に、本発明の太陽電池モジュール用裏面保護シートの製造方法について説明する。本発明の太陽電池モジュール用裏面保護シートの製造方法としては、上述した本発明の太陽電池モジュール用裏面保護シートの各構成を密着性よく積層できる方法であれば特に限定されるものではない。このような方法としては例えば、接着剤層を介して、上記ポリエチレンテレフタレートフィルム上に、上記ポリビニルアセタール樹脂フィルムをドライラミネートする方法を例示することができる。
上記接着剤層を構成するラミネ−ト用接着剤としては、例えば、ポリ酢酸ビニル系接着剤、アクリル酸のエチル、ブチル、2−エチルヘキシルエステル等のホモポリマ−、あるいは、これらとメタクリル酸メチル、アクリロニトリル、スチレン等との共重合体等からなるポリアクリル酸エステル系接着剤、シアノアクリレ−ト系接着剤、エチレンと酢酸ビニル、アクリル酸エチル、アクリル酸、メタクリル酸等のモノマ−との共重合体等からなるエチレン共重合体系接着剤、ポリエチレン系樹脂あるいはポリプロピレン系樹脂等からなるポリオレフィン系接着剤、セルロ−ス系接着剤、ポリエステル系接着剤、ポリアミド系接着剤、ポリイミド系接着剤、尿素樹脂またはメラミン樹脂等からなるアミノ樹脂系接着剤、フェノ−ル樹脂系接着剤、エポキシ系接着剤、ポリウレタン系接着剤、反応型(メタ)アクリル系接着剤、クロロプレンゴム、ニトリルゴム、スチレン−ブタジエンゴム、スチレン−イソプレンゴム等からなるゴム系接着剤、シリコ−ン系接着剤、アルカリ金属シリケ−ト、低融点ガラス等からなる無機系接着剤等の接着剤を用いることができる。また、これらの接着剤の組成系は、水性型、溶液型、エマルジョン型、分散型等のいずれの組成物形態でもよく、また、その形態は、フィルム・シ−ト状、粉末状、固形状等のいずれの形態でもよく、さらに、接着機構については、化学反応型、溶剤揮発型、熱溶融型、熱圧型等のいずれの形態であってもよい。
本発明においては、上記接着剤としてスチレン−ブタジエンゴム、スチレン−イソプレンゴム等からなるゴム系接着剤を使用することが好ましい。耐加水分解性に優れていると共に本用途で求められる高耐寒性に最も適した材料であるからである。また、上記接着剤層においては、硬化剤、または架橋剤を含ませることにより、上記接着剤を架橋することが好ましい。架橋構造を形成することにより、高耐熱性、耐湿熱性等に優れた接着剤を得ることができるからである。このような硬化剤または架橋剤としては、脂肪族系・脂環系イソシアネ−ト、あるいは、芳香族系イソシアネ−ト等のイソシアネート系化合物を用いることができ、より具体的には、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネ−ト(HDI)、イソホロンジイソシアネ−ト(IPDI)、トリレンジイソシアネ−ト(TDI)、ジフェニルメタンジイソシアネ−ト(MDI)、ナフチレンジイソシアネ−ト(NDI)、トリジンジイソシアネ−ト(TODI)、キシリレンジイソシアネ−ト(XDI)等を例示することができる。
上記接着剤は、例えば、ロールコート法、グラビアロールコート法、キスコ−ト法、その他等のコ−ト法、あるいは、印刷法等によってガスバリア性フィルム、耐加水分解性フィルム、および、樹脂フィルム上にコーティングすることができる。コ−ティング量としては、0.1〜10g/m2(乾燥状態)の範囲内が好ましい。
なお、上記の接着剤中には、紫外線劣化等を防止するために、前述の紫外線吸収剤あるいは光安定化剤を添加することができる。上記紫外線吸収剤あるいは光安定化剤としては、前述の紫外線吸収剤の1種ないしそれ以上、あるいは、光安定化剤の1種ないしそれ以上を同様に使用することができる。その使用量としては、その粒子形状、密度等によって異なるが、上記接着剤中に0.1〜10重量%の範囲内であることが好ましい。
以下、実施例によって本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はその趣旨を超えない限り、この実施例に限定されるものではない。なお、フィルムの諸物性の測定および評価方法を以下に示す。
<ポリエチレンテレフタレート樹脂およびポリエチレンテレフタレートフィルムの分析>(1)ポリエチレンテレフタレート中の白色顔料含有量/触媒由来元素の定量
蛍光X線分析装置(島津製作所社製型式「XRF−1500」)を用いて、下記表1に示す条件下で、単枚測定でポリエチレンテレフタレートフィルム中の元素量を求めた。積層ポリエチレンテレフタレートフィルムの場合はポリエチレンテレフタレートフィルムを溶融してディスク状に成型して測定することにより、ポリエチレンテレフタレートフィルム全体に対する含有量を測定した。なお、ポリエチレンテレフタレートフィルム中に白色顔料が含まれている場合、白色顔料由来のピークが検出されるので、全体から白色顔料を除いて、ポリエチレンテレフタレート成分の触媒由来元素の定量を行う。
蛍光X線分析装置(島津製作所社製型式「XRF−1500」)を用いて、下記表1に示す条件下で、単枚測定でポリエチレンテレフタレートフィルム中の元素量を求めた。積層ポリエチレンテレフタレートフィルムの場合はポリエチレンテレフタレートフィルムを溶融してディスク状に成型して測定することにより、ポリエチレンテレフタレートフィルム全体に対する含有量を測定した。なお、ポリエチレンテレフタレートフィルム中に白色顔料が含まれている場合、白色顔料由来のピークが検出されるので、全体から白色顔料を除いて、ポリエチレンテレフタレート成分の触媒由来元素の定量を行う。
なお、ポリビニルアセタール樹脂フィルムにおける白色顔料含有量も上記と同様にして定量できる。
(2)固有粘度IV[dl/g]
ポリエチレンテレフタレート試料(樹脂またはフィルム)0.5gを、フェノール/テトラクロロエタン=50/50(重量比)の混合溶媒中に溶解し、毛細管粘度計を用いて、1.0(g/dl)の濃度の溶液の流下時間、および、溶媒のみの流下時間を測定し、それらの時間比率から、Hugginsの式を用いて、固有粘度IVappaを算出した。その際、Huggins定数を0.33と仮定した。これで得られたIVappaから固有粘度IVresinを、白色顔料含有量φ[重量%]を用いて、下記式にして求めた。
ポリエチレンテレフタレート試料(樹脂またはフィルム)0.5gを、フェノール/テトラクロロエタン=50/50(重量比)の混合溶媒中に溶解し、毛細管粘度計を用いて、1.0(g/dl)の濃度の溶液の流下時間、および、溶媒のみの流下時間を測定し、それらの時間比率から、Hugginsの式を用いて、固有粘度IVappaを算出した。その際、Huggins定数を0.33と仮定した。これで得られたIVappaから固有粘度IVresinを、白色顔料含有量φ[重量%]を用いて、下記式にして求めた。
(3)末端カルボン酸量AV[当量/トン]
ポリエチレンテレフタレート試料(樹脂またはフィルム)に対し、いわゆる滴定法によって、見かけの末端カルボキシル基量AVappa当量/トンを測定した。試料を粉砕した後、熱風乾燥機にて140℃で15分間乾燥させ、デシケーター内で室温まで冷却した試料から、0.1gを精秤して試験管に採取し、ベンジルアルコール3mlを加えて、乾燥窒素ガスを吹き込みながら195℃、3分間で溶解させ、次いで、クロロホルム5mlを徐々に加えて室温まで冷却した。この溶液にフェノールレッド指示薬を1〜2滴加え、乾燥窒素ガスを吹き込ながら攪拌下に、0.1Nの水酸化ナトリウム溶液(溶媒種:水/メタノール/ベンジルアルコール)で滴定し、黄色から赤色に変じた時点で終了とした。また、ブランクとして試料を使用せずに同様の操作を実施し、見かけの末端カルボキシル基量AVappa[当量/トン]を次式より求めた。
AVappa[当量/トン] = (A−B)×0.1×f/W
(ここで、Aは滴定に要した0.1Nの水酸化ナトリウムのベンジルアルコール溶液の量(μl)、Bはブランクでの滴定に要した0.1Nの水酸化ナトリウムのベンジルアルコール溶液の量(μl)、Wは試料の量(g)、fは0.1Nの水酸化ナトリウムのベンジルアルコール溶液の力価である。)
これで得られた見かけの末端カルボキシル基量AVappa[当量/トン]からポリエチレンテレフタレート試料の末端カルボキシル基量AV[当量/トン]を、白色顔料含有量φ[重量%]を用いて、下記式にして求めた。
ポリエチレンテレフタレート試料(樹脂またはフィルム)に対し、いわゆる滴定法によって、見かけの末端カルボキシル基量AVappa当量/トンを測定した。試料を粉砕した後、熱風乾燥機にて140℃で15分間乾燥させ、デシケーター内で室温まで冷却した試料から、0.1gを精秤して試験管に採取し、ベンジルアルコール3mlを加えて、乾燥窒素ガスを吹き込みながら195℃、3分間で溶解させ、次いで、クロロホルム5mlを徐々に加えて室温まで冷却した。この溶液にフェノールレッド指示薬を1〜2滴加え、乾燥窒素ガスを吹き込ながら攪拌下に、0.1Nの水酸化ナトリウム溶液(溶媒種:水/メタノール/ベンジルアルコール)で滴定し、黄色から赤色に変じた時点で終了とした。また、ブランクとして試料を使用せずに同様の操作を実施し、見かけの末端カルボキシル基量AVappa[当量/トン]を次式より求めた。
AVappa[当量/トン] = (A−B)×0.1×f/W
(ここで、Aは滴定に要した0.1Nの水酸化ナトリウムのベンジルアルコール溶液の量(μl)、Bはブランクでの滴定に要した0.1Nの水酸化ナトリウムのベンジルアルコール溶液の量(μl)、Wは試料の量(g)、fは0.1Nの水酸化ナトリウムのベンジルアルコール溶液の力価である。)
これで得られた見かけの末端カルボキシル基量AVappa[当量/トン]からポリエチレンテレフタレート試料の末端カルボキシル基量AV[当量/トン]を、白色顔料含有量φ[重量%]を用いて、下記式にして求めた。
なお、0.1(N)の苛性ソーダのベンジルアルコール溶液の力価(f)は、試験管にメタノール5mlを採取し、フェノールレッドのエタノール溶液を指示薬として1〜2滴加え、0.1(N)の苛性ソーダのベンジルアルコール溶液0.4mlで変色点まで滴定し、次いで、力価既知の0.1(N)の塩酸水溶液を標準液として0.2ml採取して加え、再度、0.1(N)の苛性ソーダのベンジルアルコール溶液で変色点まで滴定した。
(以上の操作は、乾燥窒素ガス吹き込み下で行った。) 以下の式によって力価(f) を算出した。
(以上の操作は、乾燥窒素ガス吹き込み下で行った。) 以下の式によって力価(f) を算出した。
力価(f)=0.1(N)の塩酸水溶液の力価×0.1(N)の塩酸水溶液の採取量(μl)/0.1(N)の苛性ソーダのベンジルアルコール溶液の滴定量(μl)
<ポリエチレンテレフタレート樹脂の製造>
ポリエチレンテレフタレート樹脂(1)
精留塔を備えた攪拌機付きエステル交換反応槽にジメチルテレフタレート1700重量部、エチレングリコール1200重量部を仕込み、エステル交換反応触媒として酢酸マグネシウム四水塩1.39重量部をエチレングリコール溶液として添加し、反応温度150〜240℃、常圧下、反応によって生じるメタノールを留去させつつ、エステル交換反応を行い反応時間4時間にてエステル交換反応生成物としてのポリエステル低分子量体(オリゴマー、エステル交換反応率99.5%)を得た。このオリゴマーを留出管を備えた攪拌機付き重縮合反応槽に移送した。移送後のオリゴマーに平均分子量140.01のエチルアシッドホスフェート0.57重量部を、20分後にテトラブチルチタネート0.24重量部をそれぞれエチレングリコール溶液として添加した。さらに、シリカ粒子51重量部を添加した。シリカ粒子はエチレングリコール中に分散させスラリー状として添加した(シリカ粒子:富士シリシア製 SL320)。シリカ粒子添加後、反応槽内を常圧から徐々に0.2kPaまで減圧にするとともに反応温度を240℃から280℃に昇温しその後280℃にて重縮合反応を行い、減圧開始から214分後、常圧に戻して反応終了とし、反応槽底部より重縮合物をストランド状に押し出し、水冷しつつカッティングしポリエチレンテレフタレート樹脂(1)のペレットを得た。ポリエチレンテレフタレート樹脂(1)のIV、AV、元素含有量を以下に、および下記表2に示す。
固有粘度IV=0.643dl/g
末端カルボキシル基量AV=25当量/トン
チタン含有量=20重量ppm
マグネシウム含有量=93重量ppm
リン含有量=74重量ppm
ポリエチレンテレフタレート樹脂(1)
精留塔を備えた攪拌機付きエステル交換反応槽にジメチルテレフタレート1700重量部、エチレングリコール1200重量部を仕込み、エステル交換反応触媒として酢酸マグネシウム四水塩1.39重量部をエチレングリコール溶液として添加し、反応温度150〜240℃、常圧下、反応によって生じるメタノールを留去させつつ、エステル交換反応を行い反応時間4時間にてエステル交換反応生成物としてのポリエステル低分子量体(オリゴマー、エステル交換反応率99.5%)を得た。このオリゴマーを留出管を備えた攪拌機付き重縮合反応槽に移送した。移送後のオリゴマーに平均分子量140.01のエチルアシッドホスフェート0.57重量部を、20分後にテトラブチルチタネート0.24重量部をそれぞれエチレングリコール溶液として添加した。さらに、シリカ粒子51重量部を添加した。シリカ粒子はエチレングリコール中に分散させスラリー状として添加した(シリカ粒子:富士シリシア製 SL320)。シリカ粒子添加後、反応槽内を常圧から徐々に0.2kPaまで減圧にするとともに反応温度を240℃から280℃に昇温しその後280℃にて重縮合反応を行い、減圧開始から214分後、常圧に戻して反応終了とし、反応槽底部より重縮合物をストランド状に押し出し、水冷しつつカッティングしポリエチレンテレフタレート樹脂(1)のペレットを得た。ポリエチレンテレフタレート樹脂(1)のIV、AV、元素含有量を以下に、および下記表2に示す。
固有粘度IV=0.643dl/g
末端カルボキシル基量AV=25当量/トン
チタン含有量=20重量ppm
マグネシウム含有量=93重量ppm
リン含有量=74重量ppm
ポリエチレンテレフタレート樹脂(2)
スラリー調製槽、およびそれに直列に接続された2段のエステル化反応槽、および2段目のエステル化反応槽に直列に接続された3段の溶融重縮合槽からなる連続重合装置を用い、スラリー調製槽に、テレフタル酸とエチレングリコールを重量比で865:485の割合で連続的に供給すると共に、エチルアシッドホスフェートの0.3[重量%] エチレングリコール溶液を、得られるポリエステル樹脂1トン当たりのリン原子としての含有量P が6重量ppmとなる量で連続的に添加して、攪拌、混合することによりスラリーを調製し、このスラリーを、窒素雰囲気下で260℃ 、相対圧力50kPaG 、平均滞留時間4時間に設定された第1段目のエステル化反応槽、次いで、窒素雰囲気下で260℃ 、相対圧力5kPaG 、平均滞留時間1.5時間に設定された第2段目のエステル化反応槽に連続的に移送して、エステル化反応させた。
スラリー調製槽、およびそれに直列に接続された2段のエステル化反応槽、および2段目のエステル化反応槽に直列に接続された3段の溶融重縮合槽からなる連続重合装置を用い、スラリー調製槽に、テレフタル酸とエチレングリコールを重量比で865:485の割合で連続的に供給すると共に、エチルアシッドホスフェートの0.3[重量%] エチレングリコール溶液を、得られるポリエステル樹脂1トン当たりのリン原子としての含有量P が6重量ppmとなる量で連続的に添加して、攪拌、混合することによりスラリーを調製し、このスラリーを、窒素雰囲気下で260℃ 、相対圧力50kPaG 、平均滞留時間4時間に設定された第1段目のエステル化反応槽、次いで、窒素雰囲気下で260℃ 、相対圧力5kPaG 、平均滞留時間1.5時間に設定された第2段目のエステル化反応槽に連続的に移送して、エステル化反応させた。
また2段目反応槽には槽上部に設けた配管を通じて、酢酸マグネシウム4水和物の0.6 [重量%] エチレングリコール溶液を、得られるポリエステル樹脂1 トン当たりのマグネシウム原子としての含有量Mが6重量ppmとなる量で連続的に添加した。
引き続いて、前記で得られたオリゴマーを連続的に溶融重縮合槽に移送する際、その移送配管中のオリゴマーに、テトラ−n−ブチルチタネートを、チタン原子の濃度0.15重量%、水分濃度を0.5重量%としたエチレングリコール溶液として、得られるポリエステル樹脂1トン当たりのチタン原子としての含有量が4重量ppmとなる量で連続的に添加しつつ、270℃、2.6kPaに設定された第1段目の溶融重縮合槽、次いで、278℃ 、圧力0.5kPaに設定された第2 段目の溶融重縮合槽、次いで、280℃、0.3 kPaに設定された第3段目の溶融重縮合槽に連続的に移送して、得られるポリエステル樹脂の固有粘度IVが0.650dl/g となるように各重縮合槽における滞留時間を調整して溶融重縮合させ、重縮合槽の底部に設けられた抜き出し口から連続的にストランド状に抜き出して、水冷後、カッターで切断してポリエチレンテレフタレート樹脂(2)のペレットを製造した。ポリエチレンテレフタレート樹脂(2)のIV、AV、元素含有量を以下に、および表2に示す。
固有粘度IV=0.650dl/g
末端カルボキシル基量AV=18当量/トン
チタン含有量=4重量ppm
マグネシウム含有量=6重量ppm
リン含有量=6重量ppm
固有粘度IV=0.650dl/g
末端カルボキシル基量AV=18当量/トン
チタン含有量=4重量ppm
マグネシウム含有量=6重量ppm
リン含有量=6重量ppm
ポリエチレンテレフタレート樹脂(3)
ポリエチレンテレフタレート樹脂(2)を、窒素雰囲気下で約160℃に保持された攪拌結晶化機内に滞留時間が約60分となるように連続的に供給して結晶化させた後、塔型の固相重縮合装置に連続的に供給し、窒素雰囲気大気圧下210℃で、滞留時間16時間、固相重縮合させポリエチレンテレフタレート樹脂(3)を得た。ポリエチレンテレフタレート樹脂(3)のIV、AV、元素含有量を以下に、および表2に示す。
固有粘度IV=0.820dl/g
末端カルボキシル基量AV=12当量/トン
チタン含有量=4重量ppm
マグネシウム含有量=6重量ppm
リン含有量=6重量ppm
ポリエチレンテレフタレート樹脂(2)を、窒素雰囲気下で約160℃に保持された攪拌結晶化機内に滞留時間が約60分となるように連続的に供給して結晶化させた後、塔型の固相重縮合装置に連続的に供給し、窒素雰囲気大気圧下210℃で、滞留時間16時間、固相重縮合させポリエチレンテレフタレート樹脂(3)を得た。ポリエチレンテレフタレート樹脂(3)のIV、AV、元素含有量を以下に、および表2に示す。
固有粘度IV=0.820dl/g
末端カルボキシル基量AV=12当量/トン
チタン含有量=4重量ppm
マグネシウム含有量=6重量ppm
リン含有量=6重量ppm
ポリエチレンテレフタレート樹脂(4)
ポリエチレンテレフタレート樹脂(2)の製造法においてエチルアシッドホスフェートの添加量をリン原子としての含有量P が10重量ppm、酢酸マグネシウムの添加量をマグネシウム原子としての含有量が15重量ppm、テトラ−n−ブチルチタネートの添加量をチタン原子としての含有量 が0 8重量ppmとなるように変更した以外はポリエステル樹脂(2)の製造法と同様にして行いポリエチレンテレフタレート樹脂(4)を得た。ポリエチレンテレフタレート樹脂(4)のIV、AV、元素含有量を以下に、および表2に示す。
固有粘度IV=0.638dl/g
末端カルボキシル基量AV=28当量/トン
チタン含有量=8重量ppm
マグネシウム含有量=15重量ppm
リン含有量=10重量ppm
ポリエチレンテレフタレート樹脂(2)の製造法においてエチルアシッドホスフェートの添加量をリン原子としての含有量P が10重量ppm、酢酸マグネシウムの添加量をマグネシウム原子としての含有量が15重量ppm、テトラ−n−ブチルチタネートの添加量をチタン原子としての含有量 が0 8重量ppmとなるように変更した以外はポリエステル樹脂(2)の製造法と同様にして行いポリエチレンテレフタレート樹脂(4)を得た。ポリエチレンテレフタレート樹脂(4)のIV、AV、元素含有量を以下に、および表2に示す。
固有粘度IV=0.638dl/g
末端カルボキシル基量AV=28当量/トン
チタン含有量=8重量ppm
マグネシウム含有量=15重量ppm
リン含有量=10重量ppm
ポリエチレンテレフタレート樹脂(5)
ポリエチレンテレフタレート樹脂(4)を、窒素雰囲気下で約160℃に保持された攪拌結晶化機内に滞留時間が約60分となるように連続的に供給して結晶化させた後、塔型の固相重縮合装置に連続的に供給し、窒素雰囲気大気圧下210℃で、滞留時間16時間、固相重縮合させポリエステル樹脂(5)を得た。ポリエチレンテレフタレート樹脂(5)のIV、AV、元素含有量を以下に、および表2に示す。
固有粘度IV=0.700dl/g
末端カルボキシル基量AV=24当量/トン
チタン含有量=8重量ppm
マグネシウム含有量=15重量ppm
リン含有量=10重量ppm
ポリエチレンテレフタレート樹脂(4)を、窒素雰囲気下で約160℃に保持された攪拌結晶化機内に滞留時間が約60分となるように連続的に供給して結晶化させた後、塔型の固相重縮合装置に連続的に供給し、窒素雰囲気大気圧下210℃で、滞留時間16時間、固相重縮合させポリエステル樹脂(5)を得た。ポリエチレンテレフタレート樹脂(5)のIV、AV、元素含有量を以下に、および表2に示す。
固有粘度IV=0.700dl/g
末端カルボキシル基量AV=24当量/トン
チタン含有量=8重量ppm
マグネシウム含有量=15重量ppm
リン含有量=10重量ppm
ポリエチレンテレフタレート樹脂(6)
テレフタル酸ジメチル100重量部とエチレングリコール60重量部とを出発原料とし、触媒として酢酸マグネシウム四水塩を0.02部加えて反応器にとり、反応開始温度を150℃ とし、メタノールの留去とともに徐々に反応温度を上昇させ、3時間後に230℃とした。4時間後、実質的にエステル交換反応を終了させた。この反応混合物にエチルアシッドホスフェート0.03部を添加した後、重縮合槽に移し、三酸化アンチモンを0.04部加えて、4時間重縮合反応を行った。すなわち、温度を230℃から徐々に昇温し280℃とした。一方、圧力は常圧より徐々に減じ、最終的には0.3mmHgとした。反応開始後、反応槽の攪拌動力の変化により、固有粘度0.63に相当する時点で反応を停止し、窒素加圧下ポリマーを吐出させ、ストランド状に抜き出して、水冷後、カッターで切断してポリエチレンテレフタレート樹脂ペレット(プレポリマー)を製造した。
テレフタル酸ジメチル100重量部とエチレングリコール60重量部とを出発原料とし、触媒として酢酸マグネシウム四水塩を0.02部加えて反応器にとり、反応開始温度を150℃ とし、メタノールの留去とともに徐々に反応温度を上昇させ、3時間後に230℃とした。4時間後、実質的にエステル交換反応を終了させた。この反応混合物にエチルアシッドホスフェート0.03部を添加した後、重縮合槽に移し、三酸化アンチモンを0.04部加えて、4時間重縮合反応を行った。すなわち、温度を230℃から徐々に昇温し280℃とした。一方、圧力は常圧より徐々に減じ、最終的には0.3mmHgとした。反応開始後、反応槽の攪拌動力の変化により、固有粘度0.63に相当する時点で反応を停止し、窒素加圧下ポリマーを吐出させ、ストランド状に抜き出して、水冷後、カッターで切断してポリエチレンテレフタレート樹脂ペレット(プレポリマー)を製造した。
前記ポリエステル樹脂ペレット(プレポリマー)を出発原料とし、真空下220℃にて固相重合を行って、ポリエステル樹脂(6)を得た。ポリエチレンテレフタレート樹脂(6)のIV、AV、元素含有量を以下に、および表2に示す。
固有粘度IV=0.850dl/g
末端カルボキシル基量AV=34当量/トン
チタン含有量=0重量ppm
マグネシウム含有量=32重量ppm
リン含有量=66重量ppm
固有粘度IV=0.850dl/g
末端カルボキシル基量AV=34当量/トン
チタン含有量=0重量ppm
マグネシウム含有量=32重量ppm
リン含有量=66重量ppm
ポリエチレンテレフタレート樹脂(7)
テレフタル酸ジメチル100重量部とエチレングリコール60重量部とを出発原料とし、触媒として酢酸マグネシウム・四水塩 441重量ppmを加えて反応器にとり、反応開始温度を150℃ とし、メタノールの留去とともに徐々に反応温度を上昇させ、3時間後に230℃とした。4時間後、実質的にエステル交換反応を終了させた。この反応混合物を重縮合槽に移し、正リン酸をリン量が1000重量ppmとなるように添加した後、二酸化ゲルマニウム加えて、4時間重縮合反応を行った。すなわち、温度を230℃℃から徐々に昇温し280℃とした。一方、圧力は常圧より徐々に減じ、最終的には0.3mmHgとした。反応開始後、反応槽の攪拌動力の変化により、固有粘度0.62に相当する時点で反応を停止し、窒素加圧下ポリマーを吐出させ、ポリエチレンテレフタレート(7)を得た。ポリエチレンテレフタレート樹脂(7)のIV、AV、元素含有量を以下に、および表2に示す。
固有粘度IV=0.620dl/g
末端カルボキシル基量AV=45当量/トン
チタン含有量=0重量ppm
マグネシウム含有量=69重量ppm
リン含有量=1000重量ppm
テレフタル酸ジメチル100重量部とエチレングリコール60重量部とを出発原料とし、触媒として酢酸マグネシウム・四水塩 441重量ppmを加えて反応器にとり、反応開始温度を150℃ とし、メタノールの留去とともに徐々に反応温度を上昇させ、3時間後に230℃とした。4時間後、実質的にエステル交換反応を終了させた。この反応混合物を重縮合槽に移し、正リン酸をリン量が1000重量ppmとなるように添加した後、二酸化ゲルマニウム加えて、4時間重縮合反応を行った。すなわち、温度を230℃℃から徐々に昇温し280℃とした。一方、圧力は常圧より徐々に減じ、最終的には0.3mmHgとした。反応開始後、反応槽の攪拌動力の変化により、固有粘度0.62に相当する時点で反応を停止し、窒素加圧下ポリマーを吐出させ、ポリエチレンテレフタレート(7)を得た。ポリエチレンテレフタレート樹脂(7)のIV、AV、元素含有量を以下に、および表2に示す。
固有粘度IV=0.620dl/g
末端カルボキシル基量AV=45当量/トン
チタン含有量=0重量ppm
マグネシウム含有量=69重量ppm
リン含有量=1000重量ppm
ポリエチレンテレフタレート樹脂(8)
上記ポリエチレンテレフタレート樹脂(2)50重量部と平均粒径0.45μmの二酸化チタン粒子50重量部を、常法に従い押出機中290℃で溶融混合しポリエチレンテレフタレート樹脂(8)を得た。ポリエチレンテレフタレート樹脂(8)のIV、AV、元素含有量を以下に、および表2に示す。
固有粘度IV=0.510dl/g
末端カルボキシル基量AV=84当量/トン
二酸化チタン含有量=50[重量%]
リン含有量=6重量ppm
上記ポリエチレンテレフタレート樹脂(2)50重量部と平均粒径0.45μmの二酸化チタン粒子50重量部を、常法に従い押出機中290℃で溶融混合しポリエチレンテレフタレート樹脂(8)を得た。ポリエチレンテレフタレート樹脂(8)のIV、AV、元素含有量を以下に、および表2に示す。
固有粘度IV=0.510dl/g
末端カルボキシル基量AV=84当量/トン
二酸化チタン含有量=50[重量%]
リン含有量=6重量ppm
<ポリエチレンテレフタレートフィルムの製造>
ポリエチレンテレフタレートフィルム(1)〜(6)
ポリエチレンテレフタレート樹脂ペレットを下記表3に示す割合で混合し、ベント付き二軸押出機により、290℃で溶融して押し出し、表面温度を40℃に設定した冷却ロール上に、静電印加密着法を適用してキャスティングして未延伸シートを得た。次いで、88℃で縦方向に3.7倍延伸した後、テンターに導き、120℃で横方向に3.9倍延伸し、さらに、225℃で熱処理を行い、厚さDAが125μmのポリエステルフィルムを得た。得られたポリエチレンテレフタレートフィルムの、厚みDA、白色顔料含有濃度WA、IV、AV、リン元素含有量Pを表3に示す。
ポリエチレンテレフタレートフィルム(1)〜(6)
ポリエチレンテレフタレート樹脂ペレットを下記表3に示す割合で混合し、ベント付き二軸押出機により、290℃で溶融して押し出し、表面温度を40℃に設定した冷却ロール上に、静電印加密着法を適用してキャスティングして未延伸シートを得た。次いで、88℃で縦方向に3.7倍延伸した後、テンターに導き、120℃で横方向に3.9倍延伸し、さらに、225℃で熱処理を行い、厚さDAが125μmのポリエステルフィルムを得た。得られたポリエチレンテレフタレートフィルムの、厚みDA、白色顔料含有濃度WA、IV、AV、リン元素含有量Pを表3に示す。
ポリエチレンテレフタレートフィルム(7)
ポリエチレンテレフタレート樹脂ペレットを表3に示す割合で混合し、ベント付き二軸押出機により、290℃で溶融して押し出し、表面温度を40℃に設定した冷却ロール上に、静電印加密着法を適用してキャスティングして未延伸シートを得た。次いで、88℃で縦方向に3.7倍延伸した後、テンターに導き、115℃で横方向に3.9倍延伸し、さらに、230℃で熱処理を行い、厚さDAが115μmのポリエステルフィルムを得た。得られたポリエチレンテレフタレートフィルムの、厚みDAμm、白色顔料含有濃度WA、IV、AV、リン元素含有量Pを表3に示す。
ポリエチレンテレフタレート樹脂ペレットを表3に示す割合で混合し、ベント付き二軸押出機により、290℃で溶融して押し出し、表面温度を40℃に設定した冷却ロール上に、静電印加密着法を適用してキャスティングして未延伸シートを得た。次いで、88℃で縦方向に3.7倍延伸した後、テンターに導き、115℃で横方向に3.9倍延伸し、さらに、230℃で熱処理を行い、厚さDAが115μmのポリエステルフィルムを得た。得られたポリエチレンテレフタレートフィルムの、厚みDAμm、白色顔料含有濃度WA、IV、AV、リン元素含有量Pを表3に示す。
ポリエチレンテレフタレートフィルム(8)
ポリエチレンテレフタレート樹脂ペレットを下表4に示す割合で混合し、ベント付き二軸押出機により、290℃で溶融して押し出し、表面温度を40℃に設定した冷却ロール上に、静電印加密着法を適用してキャスティングして未延伸シートを得た。次いで、88℃で縦方向に3.7倍延伸した後、テンターに導き、110℃で横方向に3.9倍延伸し、さらに、235℃で熱処理を行い、厚さDAが75μmのポリエチレンテレフタレートフィルムを得た。得られたポリエチレンテレフタレートフィルムの、厚みDA、白色顔料含有濃度WA、IV、AV、リン元素含有量Pを表4に示す。
ポリエチレンテレフタレート樹脂ペレットを下表4に示す割合で混合し、ベント付き二軸押出機により、290℃で溶融して押し出し、表面温度を40℃に設定した冷却ロール上に、静電印加密着法を適用してキャスティングして未延伸シートを得た。次いで、88℃で縦方向に3.7倍延伸した後、テンターに導き、110℃で横方向に3.9倍延伸し、さらに、235℃で熱処理を行い、厚さDAが75μmのポリエチレンテレフタレートフィルムを得た。得られたポリエチレンテレフタレートフィルムの、厚みDA、白色顔料含有濃度WA、IV、AV、リン元素含有量Pを表4に示す。
ポリエチレンテレフタレートフィルム(9)〜(13)
ポリエチレンテレフタレート樹脂ペレットを表4に示す割合で混合し、ベント付き二軸押出機により、290℃で溶融して押し出し、表面温度を40℃に設定した冷却ロール上に、静電印加密着法を適用してキャスティングして未延伸シートを得た。次いで、88℃で縦方向に3.7倍延伸した後、テンターに導き、120℃で横方向に3.9倍延伸し、さらに、230℃で熱処理を行い、厚さDAが125μmのポリエチレンテレフタレートフィルムを得た。得られたポリエチレンテレフタレートフィルムの、厚みDA、白色顔料含有濃度WA、IV、AV、リン元素含有量Pを表4に示す。
ポリエチレンテレフタレート樹脂ペレットを表4に示す割合で混合し、ベント付き二軸押出機により、290℃で溶融して押し出し、表面温度を40℃に設定した冷却ロール上に、静電印加密着法を適用してキャスティングして未延伸シートを得た。次いで、88℃で縦方向に3.7倍延伸した後、テンターに導き、120℃で横方向に3.9倍延伸し、さらに、230℃で熱処理を行い、厚さDAが125μmのポリエチレンテレフタレートフィルムを得た。得られたポリエチレンテレフタレートフィルムの、厚みDA、白色顔料含有濃度WA、IV、AV、リン元素含有量Pを表4に示す。
<ポリビニルブチラールの製造>
イオン交換水100重量部、ポリビニルアルコール(重合度1700、けん化度99モル%)8.1重量部を仕込み(ポリビニルアルコール濃度7.5%)、内容物を95℃に昇温して完全に溶解した。次に120rpmで攪拌下、5℃まで約30分かけて徐々に冷却後、ブチルアルデヒド4.7重量部と20%の塩酸7.3重量部を添加し、ブチラール化反応を150分間行った。その後、60分かけて50℃まで昇温し、50℃にて120分間保持した後、室温まで冷却した。析出した樹脂をイオン交換水で洗浄後、過剰量の水酸化ナトリウム水溶液を添加し、再洗浄し、乾燥してポリビニルブチラールを得た。得られたポリビニルブチラールのブチラール化度は69モル%、酢酸ビニル基の含有量は1モル%であり、ビニルアルコール基の含有量は30モル%であった。ポリビニルブチラール多孔質粉体のブチラール化度、残存する酢酸ビニル基の含有量はJIS K6728にしたがって測定した。
イオン交換水100重量部、ポリビニルアルコール(重合度1700、けん化度99モル%)8.1重量部を仕込み(ポリビニルアルコール濃度7.5%)、内容物を95℃に昇温して完全に溶解した。次に120rpmで攪拌下、5℃まで約30分かけて徐々に冷却後、ブチルアルデヒド4.7重量部と20%の塩酸7.3重量部を添加し、ブチラール化反応を150分間行った。その後、60分かけて50℃まで昇温し、50℃にて120分間保持した後、室温まで冷却した。析出した樹脂をイオン交換水で洗浄後、過剰量の水酸化ナトリウム水溶液を添加し、再洗浄し、乾燥してポリビニルブチラールを得た。得られたポリビニルブチラールのブチラール化度は69モル%、酢酸ビニル基の含有量は1モル%であり、ビニルアルコール基の含有量は30モル%であった。ポリビニルブチラール多孔質粉体のブチラール化度、残存する酢酸ビニル基の含有量はJIS K6728にしたがって測定した。
<プラスチックフィルムの製造>
プラスチックフィルム(1)
ポリビニルブチラール(ブチラール化度は69モル%、酢酸ビニル基含有量1モル%、ビニルアルコール基含有量30モル%)100重量部に、平均粒径0.45μmの二酸化チタン粒子(8[重量%])と、可塑剤(トリエチレングリコールジ2−エチルヘキサノエート)45重量部を添加し、十分混練し、ポリビニルブチラール樹脂を調製し、次いで、該ポリビニルブチラール樹脂をTダイ押出機にて溶融押出成形して、厚さ100μmのポリビニルブチラール樹脂フィルムを製造し、さらに、該ポリビニルブチラール樹脂フィルムの両面に、常法に従って、コロナ放電処理を施してコロナ処理面を形成した。
プラスチックフィルム(1)
ポリビニルブチラール(ブチラール化度は69モル%、酢酸ビニル基含有量1モル%、ビニルアルコール基含有量30モル%)100重量部に、平均粒径0.45μmの二酸化チタン粒子(8[重量%])と、可塑剤(トリエチレングリコールジ2−エチルヘキサノエート)45重量部を添加し、十分混練し、ポリビニルブチラール樹脂を調製し、次いで、該ポリビニルブチラール樹脂をTダイ押出機にて溶融押出成形して、厚さ100μmのポリビニルブチラール樹脂フィルムを製造し、さらに、該ポリビニルブチラール樹脂フィルムの両面に、常法に従って、コロナ放電処理を施してコロナ処理面を形成した。
プラスチックフィルム(2)
プラスチックフィルム(1)の製造において、二酸化チタン粒子を添加しないこと以外は、プラスチックフィルム(1)と同様な製造法で、プラスチックフィルム(2)を製造した。
プラスチックフィルム(1)の製造において、二酸化チタン粒子を添加しないこと以外は、プラスチックフィルム(1)と同様な製造法で、プラスチックフィルム(2)を製造した。
プラスチックフィルム(3)
プラスチックフィルム(1)の製造において、二酸化チタン粒子濃度WBを18重量%としたこと以外は、プラスチックフィルム(1)と同様な製造法で、プラスチックフィルム(3)を製造した。
プラスチックフィルム(1)の製造において、二酸化チタン粒子濃度WBを18重量%としたこと以外は、プラスチックフィルム(1)と同様な製造法で、プラスチックフィルム(3)を製造した。
実施例1〜7:
上記方法により製造したポリエチレンテレフタレートフィルム(1)〜(7)の一方のコロナ処理面に、ポリエステル系接着剤を使用し、これを、グラビアロールコート法により、膜厚5.0g/m2(乾燥状態)になるようにコ−ティングし乾燥後ラミネ−ト用接着層を形成した。
上記方法により製造したポリエチレンテレフタレートフィルム(1)〜(7)の一方のコロナ処理面に、ポリエステル系接着剤を使用し、これを、グラビアロールコート法により、膜厚5.0g/m2(乾燥状態)になるようにコ−ティングし乾燥後ラミネ−ト用接着層を形成した。
次いで、上記で形成したラミネ−ト用接着剤層の面に、上記で製造したプラスチックフィルム(1)の一方のコロナ処理面を対向させて重ね合わせ、しかる後、その両者をドライラミネ−ト積層して、本発明にかかる太陽電池モジュ−ル用裏面保護シ−トを製造した。
比較例1〜6:
上記方法により製造したポリエチレンテレフタレートフィルム(8)〜(13)の一方のコロナ処理面に、ポリエステル系接着剤を使用し、これを、グラビアロールコート法により、膜厚5.0g/m2(乾燥状態)になるようにコ−ティングし乾燥後ラミネ−ト用接着層を形成した。
上記方法により製造したポリエチレンテレフタレートフィルム(8)〜(13)の一方のコロナ処理面に、ポリエステル系接着剤を使用し、これを、グラビアロールコート法により、膜厚5.0g/m2(乾燥状態)になるようにコ−ティングし乾燥後ラミネ−ト用接着層を形成した。
次いで、上記で形成したラミネ−ト用接着剤層の面に、上記で製造したプラスチックフィルムの一方のコロナ処理面を対向させて重ね合わせ、しかる後、その両者をドライラミネ−ト積層して、本発明にかかる太陽電池モジュ−ル用裏面保護シ−トを製造した。
比較例7〜13:
ポリエチレンテレフタレートフィルム(1)〜(7)の一方のコロナ処理面に、ポリエステル系接着剤を使用し、これを、グラビアロールコート法により、膜厚5.0g/m2(乾燥状態)になるようにコ−ティングし乾燥後ラミネ−ト用接着層を形成した。
ポリエチレンテレフタレートフィルム(1)〜(7)の一方のコロナ処理面に、ポリエステル系接着剤を使用し、これを、グラビアロールコート法により、膜厚5.0g/m2(乾燥状態)になるようにコ−ティングし乾燥後ラミネ−ト用接着層を形成した。
次いで、上記で形成したラミネ−ト用接着剤層の面に、上記で製造したプラスチックフィルム(2)の一方のコロナ処理面を対向させて重ね合わせ、しかる後、その両者をドライラミネ−ト積層して、本発明にかかる太陽電池モジュ−ル用裏面保護シ−トを製造した。
比較例14〜20:
ポリエチレンテレフタレートフィルム(1)-ポリエチレンテレフタレートフィルム(7)の一方のコロナ処理面に、ポリエステル系接着剤を使用し、これを、グラビアロールコート法により、膜厚5.0g/m2(乾燥状態)になるようにコ−ティングし乾燥後ラミネ−ト用接着層を形成した。
ポリエチレンテレフタレートフィルム(1)-ポリエチレンテレフタレートフィルム(7)の一方のコロナ処理面に、ポリエステル系接着剤を使用し、これを、グラビアロールコート法により、膜厚5.0g/m2(乾燥状態)になるようにコ−ティングし乾燥後ラミネ−ト用接着層を形成した。
次いで、上記で形成したラミネ−ト用接着剤層の面に、上記で製造したプラスチックフィルム(3)の一方のコロナ処理面を対向させて重ね合わせ、しかる後、その両者をドライラミネ−ト積層して、本発明にかかる太陽電池モジュ−ル用裏面保護シ−トを製造した。
上記の太陽電池モジュ−ル用裏面保護シ−トについて、(1)耐加水分解性、(2)耐UV性、(3)透過濃度、および、(4)対充填材接着強度を評価した。実施例1〜6は表5へ、比較例1〜6は表6へ、比較例7〜13は表7へ、比較例14〜20は表8に評価結果を示す。
(1)耐加水分解性の評価
85℃―85%RHの雰囲気にて太陽電池裏面充填シートを2000時間処理し、フィルムの機械的特性として破断伸度を測定した。処理前後での破断伸度の保持率(%)を下記の式にて算出し、下記の基準で判断した。
破断伸度保持率=処理後の破断伸度÷処理前の破断伸度×100
○:保持率が20%以上
△:保持率が6〜20%
×:保持率が6%未満
85℃―85%RHの雰囲気にて太陽電池裏面充填シートを2000時間処理し、フィルムの機械的特性として破断伸度を測定した。処理前後での破断伸度の保持率(%)を下記の式にて算出し、下記の基準で判断した。
破断伸度保持率=処理後の破断伸度÷処理前の破断伸度×100
○:保持率が20%以上
△:保持率が6〜20%
×:保持率が6%未満
(2)耐UV性の評価
A)促進耐候性試験
太陽電池モジュール用裏面保護シートのポリエチレンテレフタレートフィルムがある面に対し、下記条件で光照射試験を行った。
装置:メタルウェザ試験機(型式/メーカー:KW−R5TP/ダイプラ ウィンテス(株))
放射照度 100mW/cm2
照射条件 BP63℃ 湿度50%
フィルター:KF−2
処理時間:12時間
A)促進耐候性試験
太陽電池モジュール用裏面保護シートのポリエチレンテレフタレートフィルムがある面に対し、下記条件で光照射試験を行った。
装置:メタルウェザ試験機(型式/メーカー:KW−R5TP/ダイプラ ウィンテス(株))
放射照度 100mW/cm2
照射条件 BP63℃ 湿度50%
フィルター:KF−2
処理時間:12時間
B)耐候性の評価方法
ポリエチレンテレフタレートフィルムの耐候性試験前後の色目(L*, a*, b*)をコニカミノルタ製分光測光計 CM-3730dを用いて反射法にて測定。色差(ΔEab)の大小にて耐UV性の評価を行った。
耐候性試験前の色目 L* 1, a* 1, b* 1
耐候性試験後の色目 L* 2, a* 2, b* 2
ポリエチレンテレフタレートフィルムの耐候性試験前後の色目(L*, a*, b*)をコニカミノルタ製分光測光計 CM-3730dを用いて反射法にて測定。色差(ΔEab)の大小にて耐UV性の評価を行った。
耐候性試験前の色目 L* 1, a* 1, b* 1
耐候性試験後の色目 L* 2, a* 2, b* 2
(3)透過濃度の評価
マクベス濃度計TD−904型を用いて、太陽電池モジュール用裏面充填シートを単枚で測定した。表示値が安定後、読み取りを行った。得られた物性値を下記の基準で判断した。
◎:透過濃度が1.5以上
○:透過濃度が1.3以上〜1.5未満
△:透過濃度が1.1以上〜1.3未満
×:透過濃度が1.1未満
マクベス濃度計TD−904型を用いて、太陽電池モジュール用裏面充填シートを単枚で測定した。表示値が安定後、読み取りを行った。得られた物性値を下記の基準で判断した。
◎:透過濃度が1.5以上
○:透過濃度が1.3以上〜1.5未満
△:透過濃度が1.1以上〜1.3未満
×:透過濃度が1.1未満
(4)太陽電池モジュール用充填剤接着強度維持率の評価
太陽電池モジュール用充填材として、ポリビニルブチラールを準備した。実施例と比較例で製造した太陽電池モジュール用裏面保護シートのプラスチックフィルム面とポリビニルブチラールが接した状態で上下を温度150℃に加熱したヒートシーラーにて、圧力1kg/cm2にて、5分間ヒートシールした。ヒートシールに際しては、ヒートシールをしない部分を残し、剥離試験を開始する部分とした。
太陽電池モジュール用充填材として、ポリビニルブチラールを準備した。実施例と比較例で製造した太陽電池モジュール用裏面保護シートのプラスチックフィルム面とポリビニルブチラールが接した状態で上下を温度150℃に加熱したヒートシーラーにて、圧力1kg/cm2にて、5分間ヒートシールした。ヒートシールに際しては、ヒートシールをしない部分を残し、剥離試験を開始する部分とした。
JIS規格C8917−1989に基づいて、太陽電池モジュール用裏面保護シート積層体の環境試験(温度85℃、湿度85%、1000hr)を行い、上記環境試験後での対太陽電池モジュール用充填剤接着強度を、太陽電池モジュ−ルを15mm巾にスリットし、引張り試験機〔エ−・アンド・デ−(A&D)株式会社製 機種名 テンシロン〕を使用して、太陽電池モジュール用裏面保護シートと太陽電池モジュール用充填剤との接着強度を測定した。得られた物性値を下記の基準で判断した。
○:維持率が60%以上
×:維持率が60%未満
○:維持率が60%以上
×:維持率が60%未満
本発明のシートは、例えば、太陽電池モジュール用裏面保護シートとして好適に利用することができる。
Claims (1)
- 白色顔料含有濃度が2.0〜10.0重量%のポリビニルアセタール樹脂フィルムと、厚みが100μm以上であり、白色顔料含有濃度が2.0〜10.0重量%であり、固有粘度IVが0.65dl/g以上であり、末端カルボキシル基量AVが26当量/トン以下であり、リン元素含有量が70重量ppm以下であるポリエチレンテレフタレートフィルムとを有することを特徴とする太陽電池モジュール用裏面保護シート。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2010193721A JP2012054290A (ja) | 2010-08-31 | 2010-08-31 | 太陽電池モジュール用裏面保護シート |
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ID=45907344
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JP2010193721A Pending JP2012054290A (ja) | 2010-08-31 | 2010-08-31 | 太陽電池モジュール用裏面保護シート |
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Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2012054290A (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2013207260A (ja) * | 2012-03-29 | 2013-10-07 | Kuraray Co Ltd | 太陽電池用バックシート |
JP2013258366A (ja) * | 2012-06-14 | 2013-12-26 | Kuraray Co Ltd | 太陽電池を保護するための保護シートおよびその製造方法、ならびにそれを用いた太陽電池 |
JP2015019069A (ja) * | 2013-07-11 | 2015-01-29 | エルエス産電株式会社Lsis Co., Ltd. | 太陽電池モジュール及びその製造方法 |
Citations (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2001119045A (ja) * | 1999-10-19 | 2001-04-27 | Dainippon Printing Co Ltd | 太陽電池モジュ−ル用裏面保護シ−トおよびそれを使用した太陽電池モジュ−ル |
JP2010141291A (ja) * | 2008-11-17 | 2010-06-24 | Mitsubishi Plastics Inc | 太陽電池裏面封止用ポリエステルフィルム |
-
2010
- 2010-08-31 JP JP2010193721A patent/JP2012054290A/ja active Pending
Patent Citations (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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