JP2012051875A - 経皮・経粘膜吸収製剤の保存方法及び経皮・経粘膜吸収製剤包装体 - Google Patents
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Abstract
【課題】 低級アルキル基で置換されたアミノ基を有する分子からなる薬物を含有する経皮・経粘膜吸収製剤において、薬物の不活性化を招く脱アルキル体の生成を充分に抑制しつつ、経皮・経粘膜吸収製剤中の薬物を長期間に亘って安定に維持することができる保存方法及び経皮・経粘膜吸収製剤包装体を提供すること。
【解決手段】 低級アルキル基で置換されたアミノ基を有する分子からなる薬物を含有する経皮・経粘膜吸収製剤を低酸素雰囲気の容器内に封入することを特徴とする経皮・経粘膜吸収製剤の保存方法。
【選択図】 なし
【解決手段】 低級アルキル基で置換されたアミノ基を有する分子からなる薬物を含有する経皮・経粘膜吸収製剤を低酸素雰囲気の容器内に封入することを特徴とする経皮・経粘膜吸収製剤の保存方法。
【選択図】 なし
Description
本発明は、経皮・経粘膜吸収製剤の保存方法、並びに、経皮・経粘膜吸収製剤が容器中に配置された経皮・経粘膜吸収製剤包装体に関する。
従来から、経口投与による副作用を抑制したり、患者の生活の質を向上させるという観点から、有効成分を経皮・経粘膜投与するための経皮・経粘膜吸収製剤についての開発がなされている。
例えば、特表2002−523446号公報(特許文献1)には、トルテロジンの塩、プロドラッグ及び代謝物を経皮投与するための経皮パッチ剤が記載されている。また、特表2002−544222号公報(特許文献2)には、アンモニウム基含有(メタ)アクリレートコポリマー、少なくとも1つの可塑剤及び25質量%までのトルテロジンを含有する経皮治療系(TTS)が記載されている。
しかしながら、トルテロジンのような低級アルキル基で置換されたアミノ基を有する分子からなる薬物は共通して、長期保存すると薬物が変性して薬効が低下してしまうという課題を有しており、トルテロジンを含有している特許文献1に記載の経皮パッチ剤及び特許文献2に記載の経皮治療系(TTS)においても、経時的安定性は未だ充分なものではなかった。
本発明者らは、上記従来技術の有する課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、トルテロジン等の低級アルキル基で置換されたアミノ基を有する分子からなる薬物の薬効の低下は、酸素の影響によるものであることを見出した。さらに、一般に酸素による薬物の変性を抑制するために用いられる抗酸化剤を製剤に添加すると、低級アルキル基で置換されたアミノ基を有する分子からなる薬物の脱アルキル体が製剤中で経時的に生成し、薬物が不活性化されるという問題があることを見出した。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、低級アルキル基で置換されたアミノ基を有する分子からなる薬物を含有する経皮・経粘膜吸収製剤において、薬物の不活性化を招く脱アルキル体の生成を充分に抑制しつつ、経皮・経粘膜吸収製剤中の薬物を長期間に亘って安定に維持することができる保存方法及び経皮・経粘膜吸収製剤包装体を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、低級アルキル基で置換されたアミノ基を有する分子からなる薬物を含有する経皮・経粘膜吸収製剤を低酸素雰囲気の容器内に封入することによって前記目的が達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の経皮・経粘膜吸収製剤の保存方法は、低級アルキル基で置換されたアミノ基を有する分子からなる薬物を含有する経皮・経粘膜吸収製剤を低酸素雰囲気の容器内に封入することを特徴とするものである。
また、本発明の経皮・経粘膜吸収製剤包装体は、低級アルキル基で置換されたアミノ基を有する分子からなる薬物を含有する経皮・経粘膜吸収製剤と、内部が低酸素雰囲気となっており且つ内部に経皮・経粘膜吸収製剤が封入されている容器とを備えることを特徴とするものである。
前記本発明の経皮・経粘膜吸収製剤の保存方法及び本発明の経皮・経粘膜吸収製剤包装体において、低級アルキル基で置換されたアミノ基を有する分子からなる薬物としては、トルテロジン又はリバスチグミンを用いることが好ましい。
また、前記本発明の経皮・経粘膜吸収製剤の保存方法及び本発明の経皮・経粘膜吸収製剤包装体においては、前記容器内の酸素濃度が3.0体積%以下であることが好ましい。
さらに、前記本発明の経皮・経粘膜吸収製剤の保存方法及び本発明の経皮・経粘膜吸収製剤包装体において、前記経皮・経粘膜吸収製剤としては、軟膏剤、クリーム剤、ゲル剤、ローション剤、スプレー剤、貼付剤からなる群から選択されるいずれか1種であることが好ましい。
本発明によれば、低級アルキル基で置換されたアミノ基を有する分子からなる薬物を含有する経皮・経粘膜吸収製剤において、薬物の不活性化を招く脱アルキル体の生成を充分に抑制しつつ、経皮・経粘膜吸収製剤中の薬物を長期間に亘って安定に維持することができる保存方法及び経皮・経粘膜吸収製剤包装体を提供することが可能となる。
以下、本発明をその好適な実施形態に即して詳細に説明する。
先ず、本発明の経皮・経粘膜吸収製剤の保存方法について説明する。本発明の経皮・経粘膜吸収製剤の保存方法は、低級アルキル基で置換されたアミノ基を有する分子からなる薬物を含有する経皮・経粘膜吸収製剤を低酸素雰囲気の容器内に封入することを特徴とするものである。以下、本発明の保存方法の対象となる経皮・経粘膜吸収製剤、本発明に用いられる容器について説明した後、本発明の保存方法について説明する。
(経皮・経粘膜吸収製剤)
本発明の保存方法の対象となる経皮・経粘膜吸収製剤は、薬物として低級アルキル基で置換されたアミノ基を有する分子からなる薬物を含有している。
本発明の保存方法の対象となる経皮・経粘膜吸収製剤は、薬物として低級アルキル基で置換されたアミノ基を有する分子からなる薬物を含有している。
このような低級アルキル基としては、炭素数1〜6の直鎖、分岐鎖、環状のものが挙げられ、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、シクロプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、シクロブチル基、n−ペンチル基、2−メチル−ブチル基、3-メチル−ブチル基、ネオペンチル基、シクロペンチル基、n−ヘキシル基、2−メチル−ペンチル基、3−メチル−ペンチル基、シクロヘキシル基が挙げられる。これらの低級アルキル基の中でも、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、シクロプロピル基等の炭素数1〜3の直鎖、分岐鎖、環状のアルキル基が好ましい。また、前記低級アルキル基で置換されたアミノ基としては、水素原子が前記低級アルキル基で1つ置換されたものであっても2つ置換されたものであってもよい。
前記低級アルキル基で置換されたアミノ基を有する分子からなる薬物としては、塩基性であることが好ましい。このような薬物としては、トルテロジン(4−メチル−2−[(R)−3−(ジイソプロピルアミノ)−1−フェニルプロピル]フェノール)及びリバスチグミン(メチルエチルカルバミド酸3−[(S)−1−(ジメチルアミノ)エチル]フェニル)が特に好ましい。
このような経皮・経粘膜吸収製剤の形態としては、特に制限されず、皮膚又は粘膜から経皮又は経粘膜的に前記薬物を吸収することができる製剤であればよく、例えば、軟膏剤、クリーム剤、ゲル剤、ローション剤、スプレー剤、パップ剤やプラスター剤等の貼付剤が挙げられる。以下、本発明の保存方法の対象となる経皮・経粘膜吸収製剤の好適な一例として、貼付剤について説明する。
前記貼付剤としては、支持体と、前記支持体の一方の面に形成された粘着剤層とを備えた貼付剤が挙げられる。
前記支持体としては、粘着剤層を支持可能なものであればよく、特に制限されないが、貼付剤の皮膚に対する粘着性を高める観点から、適度な柔軟性を有していることが好ましい。このような支持体としては、プラスチックフィルム、織布及び不織布を挙げることができる。前記プラスチックフィルム、織布及び不織布の材料としては、ポリエステル、ポリプロピレン、ポリエチレン、酢酸ビニル、塩化ビニル等のポリマー、及びこれらを構成する単量体が共重合してなるポリマー(エチレン−酢酸ビニル共重合体等)からなる樹脂が挙げられる。このような支持体の厚さとしては特に制限されないが、通常2〜3000μm程度であることが好ましい。
前記粘着剤層は、薬物及び粘着剤を含有している層である。このような粘着剤層の厚さとしては特に制限されないが、通常10〜300μm程度であることが好ましい。
本発明の保存方法の対象となる貼付剤において、前記粘着剤層に含有される薬物は、前記低級アルキル基で置換されたアミノ基を有する分子からなる薬物である。このような薬物の含有量としては、前記粘着剤層中に0.05〜50質量%であることが好ましい。
前記粘着剤としては、皮膚に対する安全性を有しており、常温で貼付剤を皮膚表面に固定できる粘着性を有するものが好ましく、一般に貼付剤の粘着剤として公知のものを用いることができる。このような粘着剤としては、基剤、粘着付与剤及び軟化剤を含有する粘着剤が挙げられる。前記基剤としては、天然ゴム系材料、合成ゴム系材料、アクリル系樹脂材料、シリコン系樹脂材料等が挙げられる。これらの基材の中でも、粘着性に優れ、また薬物の放出性に優れているという観点から、合成ゴム系材料及びアクリル系樹脂材料が好ましい。前記合成ゴム系材料としては、ポリイソブチレン、ポリイソプレン等の単独重合体、及びこれらを含む共重合体が挙げられる。これらの中でも、ポリイソブチレン、及びスチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体が好ましい。前記アクリル系樹脂材料としては、アクリル酸、アクリル酸−2−エチルヘキシル、アクリル酸メチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸ヒドロキシエチル、メタクリル酸−2−エチルヘキシル等の(メタ)アクリル酸(エステル)の単独重合体、及びこれらの(メタ)アクリル酸(エステル)を少なくとも1種含有する共重合体(アクリル酸−2−エチルヘキシル・酢酸ビニル共重合体、アクリル酸−2−エチルヘキシル・酢酸ビニル・アクリル酸共重合体、アクリル酸−2−エチルヘキシル・酢酸ビニル・アクリル酸ヒドロキシエチル共重合体、アクリル酸−2−エチルヘキシル・酢酸ビニル・アクリル酸ヒドロキシエチル・アクリル酸共重合体、アクリル酸−2−エチルヘキシル・メタクリル酸−2−エチルヘキシル・メタクリル酸ドデシル共重合体等)が挙げられる。これらの中でも、アクリル酸−2−エチルヘキシル・酢酸ビニル共重合体及びアクリル酸−2−エチルヘキシル・酢酸ビニル・アクリル酸共重合体が好ましい。また、これらの基材は、1種を単独で用いても2種以上を併用してもよい。
前記粘着付与剤としては、脂環族飽和炭化水素樹脂、ロジン誘導体(ロジン、ロジンのグリセリンエステル、水添ロジン、水添ロジンのグリセリンエステル、ロジンのペンタエリスリトールエステル等)、テルペン樹脂、石油樹脂、マレイン酸レジンが挙げられる。これらの中でも、脂環族飽和炭化水素樹脂及び水添ロジンエステルが好ましい。また、これらの粘着付与剤は、1種を単独で用いても2種以上を併用してもよい。
前記軟化剤としては、石油系オイル(パラフィン系プロセスオイル、ナフテン系プロセスオイル、芳香族系プロセスオイル等)、スクワラン、スクワレン、植物系オイル(アーモンド油、オリーブ油、ツバキ油、ひまし油、トール油、ラッカセイ油等)、オレフィン酸、シリコンオイル、二塩基酸エステル(ジブチルフタレート、ジオクチルフタレート等)、液状ゴム(液状ポリブテン、液状イソプレン等)、液状脂肪酸エステル(ミリスチン酸イソプロピル、ラウリン酸ヘキシル、セバシン酸ジエチル、セバシン酸イソプロピル等)、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、サリチル酸グリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリアセチン、クエン酸トリエチル、クロタミトンが挙げられる。これらの中でも、皮膚への適度な付着性を付与できるという観点から、流動パラフィン、ミリスチン酸イソプロピル及びセバシン酸ジエチルが好ましい。また、これらの軟化剤は、1種を単独で用いても2種以上を併用してもよい。
本発明の保存方法の対象となる貼付剤において、前記粘着剤層は、必要に応じて、抗酸化剤、充填剤、架橋剤、防腐剤、紫外線吸収剤等の添加剤をさらに含有していてもよい。前記抗酸化剤としては、トコフェロール及びこれらのエステル誘導体、アスコルビン酸、アスコルビン酸ステアリン酸エステル、ノルジヒトログアヤレチン酸、ジブチルヒドロキシトルエン、ブチルヒドロキシアニソールが好ましい。前記充填剤としては、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ケイ酸塩(ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム等)、ケイ酸、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、亜鉛酸カルシウム、酸化亜鉛、酸化チタンが好ましい。前記架橋剤としては、アミノ樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、アルキド樹脂、不飽和ポリエステル等の熱硬化性樹脂、イソシアネート化合物、ブロックイソシアネート化合物、有機系架橋剤、金属又は金属化合物等の無機系架橋剤が好ましい。前記防腐剤としては、パラオキシ安息香酸エチル、パラオキシ安息香酸プロピル、パラオキシ安息香酸ブチルが好ましい。前記紫外線吸収剤としては、p−アミノ安息香酸誘導体、アントラニル酸誘導体、サリチル酸誘導体、クマリン誘導体、アミノ酸系化合物、イミダゾリン誘導体、ピリミジン誘導体、ジオキサン誘導体が好ましい。このような添加剤の前記粘着剤層における含有量は、粘着剤層中に10質量%以下であることが好ましく、5質量%以下であることがより好ましく、2質量%以下であることが特に好ましい。
本発明の保存方法の対象となる貼付剤の製造方法としては、特に制限されず、公知の貼付剤を製造する方法を適宜採用することができ、例えば、前記支持体上に、前記薬物と前記粘着剤とを混合した粘着剤層組成物を展延して粘着剤層を形成せしめることで製造することができる。
以上、本発明の保存方法の対象となる経皮・経粘膜吸収製剤の好適な一例として、貼付剤について説明したが、本発明の保存方法の対象となる経皮・経粘膜吸収製剤は、前記貼付剤に限定されるものではない。前記経皮・経粘膜吸収製剤としては、薬物として低級アルキル基で置換されたアミノ基を有する分子からなる薬物を含有していればよく、例えば、軟膏、クリーム、ゲル、ローション、スプレー等であってもよい。
(容器)
本発明において用いられる容器としては、低酸素雰囲気を維持するという観点から、酸素透過度が低いものであることが好ましい。前記酸素透過度としては、100cm3/(m2・24hrs・atm)以下であることが好ましく、15cm3/(m2・24hrs・atm)以下であることがより好ましい。
本発明において用いられる容器としては、低酸素雰囲気を維持するという観点から、酸素透過度が低いものであることが好ましい。前記酸素透過度としては、100cm3/(m2・24hrs・atm)以下であることが好ましく、15cm3/(m2・24hrs・atm)以下であることがより好ましい。
このような容器の材料としては、アルミニウム箔等の金属箔;エチレンビニルアルコール共重合体フィルム、金属(アルミニウム等)蒸着プラスチックフィルム、セラミックス(酸化ケイ素等)蒸着プラスチックフィルム等の酸素透過性の低いフィルム;ステンレス等の金属;ガラスが挙げられる。これらの材料の中でも、容器の酸素透過度がより低くなる傾向にあり、光線や水蒸気を遮断できる傾向にあることから、アルミニウム箔を用いることが好ましい。また、このような材料としては、1種を単独で用いても2種以上を併用してもよく、他の任意の材料と併用して用いてもよい。例えば、前記アルミニウム箔や酸素透過性の低いフィルムとしては、ポリアクリロニトリルフィルム、ポリエチレンフィルム、セロハン等との積層フィルムとして用いてもよく、後述の脱酸素剤を含む層をさらに備える積層フィルムとして用いてもよい。
前記容器の大きさとしては、前記経皮・経粘膜吸収製剤に合わせて適宜選択することができる。また、前記容器の形状としては、前記経皮・経粘膜吸収製剤を封入できるものであればよく、袋状容器であっても成形容器であってもよい。
(経皮・経粘膜吸収製剤の保存方法)
本発明の保存方法は、前記経皮・経粘膜吸収製剤を低酸素雰囲気の前記容器内に封入することを特徴とするものである。
本発明の保存方法は、前記経皮・経粘膜吸収製剤を低酸素雰囲気の前記容器内に封入することを特徴とするものである。
本発明においては、前記経皮・経粘膜吸収製剤が前記容器に封入された状態において、容器内が低酸素雰囲気となっていることが必要である。前記低酸素雰囲気とは、酸素濃度が3.0体積%以下である雰囲気をいう。酸素濃度が前記上限を超えると、経皮・経粘膜吸収製剤中において低級アルキル基で置換されたアミノ基を有する分子からなる薬物が経時的に脱アルキル化されて不活性な脱アルキル体となり、薬物の薬効が低下する。また、このような酸素濃度は、同様の観点で、より高い効果が得られる傾向にあることから、1.0体積%以下であることが好ましく、0.5体積%以下であることがより好ましい。
本発明における封入方法としては、容器内を低酸素雰囲気にしてから前記経皮・経粘膜吸収製剤を封入しても、前記経皮・経粘膜吸収製剤を封入後に容器内を低酸素雰囲気にしてもよい。このような方法としては、容器内を減圧してから前記経皮・経粘膜吸収製剤を封入する方法、容器内を窒素ガスやアルゴンガス等の不活性ガスによって置換してから前記経皮・経粘膜吸収製剤を封入する方法、前記経皮・経粘膜吸収製剤と脱酸素剤とを容器内に同封する方法等が挙げられる。これらの方法としては、1種を単独で用いても2種以上を併用してもよく、例えば、窒素ガスで置換した容器内に前記経皮・経粘膜吸収製剤と脱酸素剤とを同封する方法を用いることができる。
前記脱酸素剤を用いる場合において、前記脱酸素剤としては、一般に用いられている脱酸素剤や、市販の脱酸素剤を適宜用いることもできる。このような脱酸素剤としては、自己反応型であっても水分依存型であってもよく、鉄粉、亜鉛粉、ハイドロサルファイト等を主剤とする無機系の脱酸素剤であってもアスコルビン酸系、多価アルコール系、活性炭系等の有機系の脱酸素剤であってもよい。これらの脱酸素剤の中でも、脱酸素日数が短く、即効性があるものが好ましい。このような脱酸素剤としては、例えば、ファーマキープ(三菱ガス化学(株)製)、エージレス(三菱ガス化学(株)製)、エージレス(三菱ガス化学(株)製)、StabilOx(Multisorb社製)、ウェルパック((株)タイセイ製)、エバーフレッシュ((株)鳥繁産業製)、オキシーター(上野製薬(株)製)、キービット(ドレンシー(株)製)、ケプロン((株)ケプロン製)、サンソカット(アイリス・ファインプロダクツ(株)製)、サンソレス((株)博洋製)、セキュール(ニッソー樹脂(株))、タモツ(大江化学工業(株))、バイタロン((株)常盤産業製)、モデュラン(日本化薬フードテクノ(株)製)、ワンダーキープ(パウダーテック(株))、鮮度保持剤C(凸版印刷(株)製)をそのまま又は梱包したものを用いることができる。また、用いる脱酸素剤の質量としては、貼付剤の質量、容器の材質や容積等に応じて適宜調整することができるが、脱酸素剤の酸素吸収量が2.0μl以上となるような質量であることが好ましい。
前記封入の程度としては、酸素が透過しない程度に密封することが好ましい。このような封入方法としては、容器に合わせて適宜選択でき、例えば、アルミニウム蒸着プラスチックからなる袋状容器を用いる場合は、熱により融着させて封入する方法を挙げることができる。
(経皮・経粘膜吸収製剤包装体)
次に、本発明の経皮・経粘膜吸収製剤包装体について説明する。本発明の経皮・経粘膜吸収製剤包装体は、低級アルキル基で置換されたアミノ基を有する分子からなる薬物を含有する経皮・経粘膜吸収製剤と、内部が低酸素雰囲気となっており且つ内部に経皮・経粘膜吸収製剤が封入されている容器とを備えることを特徴とするものである。
次に、本発明の経皮・経粘膜吸収製剤包装体について説明する。本発明の経皮・経粘膜吸収製剤包装体は、低級アルキル基で置換されたアミノ基を有する分子からなる薬物を含有する経皮・経粘膜吸収製剤と、内部が低酸素雰囲気となっており且つ内部に経皮・経粘膜吸収製剤が封入されている容器とを備えることを特徴とするものである。
本発明にかかる経皮・経粘膜吸収製剤は、低級アルキル基で置換されたアミノ基を有する分子からなる薬物を含有することを特徴とするものである。前記低級アルキル基で置換されたアミノ基を有する分子からなる薬物としては、本発明の経皮・経粘膜吸収製剤の保存方法において挙げたものと同様のものを用いることができ、中でも、トルテロジン(4−メチル−2−[(R)−3−(ジイソプロピルアミノ)−1−フェニルプロピル]フェノール)及びリバスチグミン(メチルエチルカルバミド酸3−[(S)−1−(ジメチルアミノ)エチル]フェニル)を用いることが特に好ましい。また、本発明にかかる経皮・経粘膜吸収製剤の形態としては、特に制限されず、本発明の経皮・経粘膜吸収製剤の保存方法において挙げたものと同様のものを挙げることができる。
本発明にかかる容器は、内部を低酸素雰囲気に維持することが可能であり且つ内部に経皮・経粘膜吸収製剤を封入することができるものであればよく、特に制限されず、本発明の経皮・経粘膜吸収製剤の保存方法において挙げたものと同様のものを用いることができる。また、前記低酸素雰囲気としては前述のとおりである。
本発明の経皮・経粘膜吸収製剤包装体の製造方法は特に制限されないが、例えば、前記経皮・経粘膜吸収製剤を、前述した経皮・経粘膜吸収製剤の保存方法において挙げた封入方法と同様の方法を用いて内部が低酸素雰囲気となっている前記容器に封入することで、本発明の経皮・経粘膜吸収製剤包装体が得られる。
以下、実施例及び比較例に基づいて本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
先ず、酒石酸トルテロジン(2.5g)及び水酸化ナトリウム(0.43g:酒石酸トルテロジンに対し2倍モル当量))をOH基含有アクリル粘着剤(56.35g:「DURO−TAK 87−4287」、ヘンケル社製)に加え粘着剤層組成物を得た。
先ず、酒石酸トルテロジン(2.5g)及び水酸化ナトリウム(0.43g:酒石酸トルテロジンに対し2倍モル当量))をOH基含有アクリル粘着剤(56.35g:「DURO−TAK 87−4287」、ヘンケル社製)に加え粘着剤層組成物を得た。
次いで、得られた粘着剤層組成物を、PETフィルム(「スコッチパック 9732」、スリーエム社製)上に厚さ100μmとなるように塗布して粘着剤層を形成せしめ、酒石酸トルテロジンの量が1cm2当たり1mg(粘着剤層中に10質量%)である貼付剤を得た。
得られた貼付剤を脱酸素・乾燥剤(「ファーマキープ KD−20」、三菱ガス化学(株)製)と共に多層フィルム(ポリアクリロニトリルフィルム、アルミニウム箔、ポリエチレン、セロハン)からなる袋状容器(85mm×80mm)に入れ、温度23℃、初期相対湿度38%、初期酸素濃度20体積%において封入し、温度60℃で2週間保存した。なお、封入から4日後の容器内の酸素濃度は0.1体積%以下であった。
(実施例2)
実施例1と同様にして得られた貼付剤を、脱酸素・乾燥剤の代わりに脱酸素剤(「エージレス ZJ−PT」、三菱ガス化学(株)製)を用いたこと以外は実施例1と同様にして保存した。なお、封入から4日後の容器内の酸素濃度は0.1体積%以下であった。
実施例1と同様にして得られた貼付剤を、脱酸素・乾燥剤の代わりに脱酸素剤(「エージレス ZJ−PT」、三菱ガス化学(株)製)を用いたこと以外は実施例1と同様にして保存した。なお、封入から4日後の容器内の酸素濃度は0.1体積%以下であった。
(実施例3)
先ず、リバスチグミン(3.5g)をCOOH基含有アクリル粘着剤(23.5g:アクリル酸−2−エチルヘキシル・酢酸ビニル・アクリル酸共重合体、ヘンケル社製)に加え粘着剤層組成物を得た。
先ず、リバスチグミン(3.5g)をCOOH基含有アクリル粘着剤(23.5g:アクリル酸−2−エチルヘキシル・酢酸ビニル・アクリル酸共重合体、ヘンケル社製)に加え粘着剤層組成物を得た。
次いで、得られた粘着剤層組成物を、PETフィルム(「スコッチパック 9732」、スリーエム社製)上に厚さ60μmとなるように塗布して粘着剤層を形成せしめ、リバスチグミンの量が1cm2当たり1.8mg(粘着剤層中に30質量%)である貼付剤を得た。
得られた貼付剤を脱酸素・乾燥剤(「ファーマキープ KD−20」、三菱ガス化学(株)製)と共に多層フィルム(ポリアクリロニトリルフィルム、アルミニウム箔、ポリエチレン、セロハン)からなる袋状容器(85mm×80mm)に入れ、温度23℃、初期相対湿度38%、初期酸素濃度20体積%において封入し、温度60℃で2週間保存した。なお、封入から4日後の容器内の酸素濃度は0.1体積%以下であった。
(比較例1)
実施例1と同様にして得られた貼付剤を、脱酸素・乾燥剤を用いなかったこと以外は実施例1と同様にして封入し、相対湿度38%、酸素濃度20体積%、温度60℃で2週間保存した。
実施例1と同様にして得られた貼付剤を、脱酸素・乾燥剤を用いなかったこと以外は実施例1と同様にして封入し、相対湿度38%、酸素濃度20体積%、温度60℃で2週間保存した。
(比較例2)
粘着剤組成物に亜硫酸ナトリウム(0.075g)を加えたこと以外は実施例1と同様にして得られた貼付剤を、脱酸素・乾燥剤を用いなかったこと以外は実施例1と同様にして封入し、相対湿度38%、酸素濃度20体積%、温度60℃で2週間保存した。
粘着剤組成物に亜硫酸ナトリウム(0.075g)を加えたこと以外は実施例1と同様にして得られた貼付剤を、脱酸素・乾燥剤を用いなかったこと以外は実施例1と同様にして封入し、相対湿度38%、酸素濃度20体積%、温度60℃で2週間保存した。
(比較例3)
亜硫酸ナトリウム(0.075g)に代えて、粘着剤組成物にピロ亜硫酸ナトリウム(0.05g)を加えたこと以外は比較例2と同様にして得られた貼付剤を、比較例2と同様にして保存した。
亜硫酸ナトリウム(0.075g)に代えて、粘着剤組成物にピロ亜硫酸ナトリウム(0.05g)を加えたこと以外は比較例2と同様にして得られた貼付剤を、比較例2と同様にして保存した。
(比較例4)
亜硫酸ナトリウム(0.075g)に代えて、粘着剤組成物にアスコルビン酸(0.075g)を加えたこと以外は比較例2と同様にして得られた貼付剤を、比較例2と同様にして保存した。
亜硫酸ナトリウム(0.075g)に代えて、粘着剤組成物にアスコルビン酸(0.075g)を加えたこと以外は比較例2と同様にして得られた貼付剤を、比較例2と同様にして保存した。
(比較例5)
亜硫酸ナトリウム(0.075g)に代えて、粘着剤組成物にトコフェロール(0.075g)を加えたこと以外は比較例2と同様にして得られた貼付剤を、比較例2と同様にして保存した。
亜硫酸ナトリウム(0.075g)に代えて、粘着剤組成物にトコフェロール(0.075g)を加えたこと以外は比較例2と同様にして得られた貼付剤を、比較例2と同様にして保存した。
(比較例6)
亜硫酸ナトリウム(0.075g)に代えて、粘着剤組成物にジブチルヒドロキシトルエン(0.75g)を加えたこと以外は比較例2と同様にして得られた貼付剤を、比較例2と同様にして保存した。
亜硫酸ナトリウム(0.075g)に代えて、粘着剤組成物にジブチルヒドロキシトルエン(0.75g)を加えたこと以外は比較例2と同様にして得られた貼付剤を、比較例2と同様にして保存した。
(比較例7)
実施例3と同様にして得られた貼付剤を、脱酸素・乾燥剤を用いなかったこと以外は実施例3と同様にして封入し、相対湿度38%、酸素濃度20体積%、温度60℃で1ヶ月間保存した。1ヶ月保存後の貼付剤においては、高速液体クロマトグラフィーによりリバスチグミンとは異なるピークが観察され、このピークついてLC/MS(装置名:Q−Tof Premier(ジャスコインターナショナル(株))、測定条件:ESI法、正イオンモード、キャピラリー電圧4.5kV、コーン電圧20V、イオン源温度150℃)による解析を行ったところ、貼付剤においてリバスチグミンの脱アルキル体である脱メチル体が生成していることが確認された。
実施例3と同様にして得られた貼付剤を、脱酸素・乾燥剤を用いなかったこと以外は実施例3と同様にして封入し、相対湿度38%、酸素濃度20体積%、温度60℃で1ヶ月間保存した。1ヶ月保存後の貼付剤においては、高速液体クロマトグラフィーによりリバスチグミンとは異なるピークが観察され、このピークついてLC/MS(装置名:Q−Tof Premier(ジャスコインターナショナル(株))、測定条件:ESI法、正イオンモード、キャピラリー電圧4.5kV、コーン電圧20V、イオン源温度150℃)による解析を行ったところ、貼付剤においてリバスチグミンの脱アルキル体である脱メチル体が生成していることが確認された。
各実施例及び比較例の保存方法により保存した貼付剤について、トルテロジンの脱アルキル体(脱イソプロピル体:(+)−2−{(1R)−3−[(1−メチルエチル)アミノ]−1−フェニルプロピル}−4−メチルフェノール)の生成量と、脱アルキル化されずに残存したトルテロジン量と、リバスチグミンの脱アルキル体(脱メチル体)の生成量とを、それぞれ以下の測定方法により測定した。
<脱アルキル体生成量の測定>
(1)脱イソプロピル体生成量の測定
実施例1〜2及び比較例1〜6の保存方法で保存した貼付剤から試料として6.25cm2を採取し、ここにメタノール20gを加えて室温にて5時間攪拌して薬物の抽出液を得た。得られた抽出液について、高速液体クロマトグラフィー装置((株)島津製作所製、カラム:ODSカラム、溶媒:リン酸緩衝液(0.2質量/体積%)/メタノール=50/50(体積比)、検出波長:UV210nm)を用いてトルテロジンの脱アルキル体である脱イソプロピル体の測定を行った。貼付剤の製造時に加えたトルテロジンの質量(トルテロジン初期添加量)に対する、脱イソプロピル体が生成した割合(質量%)を以下の式(1):
脱イソプロピル体生成量(質量%)=脱イソプロピル体質量(g)/トルテロジン初期添加量(g)×100・・・(1)
に従って算出し、脱イソプロピル体生成量とした。
(1)脱イソプロピル体生成量の測定
実施例1〜2及び比較例1〜6の保存方法で保存した貼付剤から試料として6.25cm2を採取し、ここにメタノール20gを加えて室温にて5時間攪拌して薬物の抽出液を得た。得られた抽出液について、高速液体クロマトグラフィー装置((株)島津製作所製、カラム:ODSカラム、溶媒:リン酸緩衝液(0.2質量/体積%)/メタノール=50/50(体積比)、検出波長:UV210nm)を用いてトルテロジンの脱アルキル体である脱イソプロピル体の測定を行った。貼付剤の製造時に加えたトルテロジンの質量(トルテロジン初期添加量)に対する、脱イソプロピル体が生成した割合(質量%)を以下の式(1):
脱イソプロピル体生成量(質量%)=脱イソプロピル体質量(g)/トルテロジン初期添加量(g)×100・・・(1)
に従って算出し、脱イソプロピル体生成量とした。
(2)脱メチル体生成量の測定
先ず、実施例3及び比較例7の保存方法で保存した貼付剤から試料として10cm2を採取し、ここに精製水/メタノール混合溶液(体積比:1/1)30mlを加えて90℃において還流抽出を行った。この還流抽出を3回繰り返した後、さらに精製水/メタノール混合溶液(体積比:1/1)を加えて200mlの薬物の抽出液を得た。次いで、得られた抽出液について、高速液体クロマトグラフィー装置((株)島津製作所製、カラム:ODSカラム、溶媒:10mM酢酸アンモニウム精製水/アセトニトリル混合溶液(体積比:95/5)と10mM酢酸アンモニウム精製水/アセトニトリル混合溶液(体積比:5/95)とのグラジエント混合、検出波長:UV215nm)を用いて脱メチル体の測定を行った。測定により検出されたリバスチグミン、脱メチル体、その他の未知の物質のピーク面積から、脱メチル体生成量(質量%)を、以下の式(2):
脱メチル体生成量(質量%)=脱メチル体のピーク面積/(リバスチグミン、脱メチル体、その他の未知の物質のピーク面積の総和)×100・・・(2)
に従って算出し、脱メチル体生成量とした。
先ず、実施例3及び比較例7の保存方法で保存した貼付剤から試料として10cm2を採取し、ここに精製水/メタノール混合溶液(体積比:1/1)30mlを加えて90℃において還流抽出を行った。この還流抽出を3回繰り返した後、さらに精製水/メタノール混合溶液(体積比:1/1)を加えて200mlの薬物の抽出液を得た。次いで、得られた抽出液について、高速液体クロマトグラフィー装置((株)島津製作所製、カラム:ODSカラム、溶媒:10mM酢酸アンモニウム精製水/アセトニトリル混合溶液(体積比:95/5)と10mM酢酸アンモニウム精製水/アセトニトリル混合溶液(体積比:5/95)とのグラジエント混合、検出波長:UV215nm)を用いて脱メチル体の測定を行った。測定により検出されたリバスチグミン、脱メチル体、その他の未知の物質のピーク面積から、脱メチル体生成量(質量%)を、以下の式(2):
脱メチル体生成量(質量%)=脱メチル体のピーク面積/(リバスチグミン、脱メチル体、その他の未知の物質のピーク面積の総和)×100・・・(2)
に従って算出し、脱メチル体生成量とした。
<残存トルテロジン量の測定>
実施例1〜2及び比較例1〜6の保存方法で保存した貼付剤について、脱プロピル体の測定と同様にしてトルテロジン量の測定を行った。貼付剤の製造時に加えたトルテロジンの質量(トルテロジン初期添加量)に対する、保存後の貼付剤中のトルテロジンの割合(質量%)を以下の式(3):
残存トルテロジン量(質量%)=保存後の貼付剤中のトルテロジン量(g)/トルテロジン初期添加量(g)×100・・・(3)
に従って算出し、残存トルテロジン量とした。
実施例1〜2及び比較例1〜6の保存方法で保存した貼付剤について、脱プロピル体の測定と同様にしてトルテロジン量の測定を行った。貼付剤の製造時に加えたトルテロジンの質量(トルテロジン初期添加量)に対する、保存後の貼付剤中のトルテロジンの割合(質量%)を以下の式(3):
残存トルテロジン量(質量%)=保存後の貼付剤中のトルテロジン量(g)/トルテロジン初期添加量(g)×100・・・(3)
に従って算出し、残存トルテロジン量とした。
以下の表1に、実施例1〜3及び比較例1〜7の保存方法で保存した貼付剤について得られた結果を示す。表1において、実施例1〜2及び比較例1〜6における脱アルキル体生成量及び残存薬物量は、脱イソプロピル体のトルテロジン初期添加量に対する割合(質量%)及び残存トルテロジン量のトルテロジン初期添加量に対する割合(質量%)を示し、実施例3及び比較例7における脱アルキル体生成量は、高速液体クロマトグラフィーにより検出された全ピーク面積の総和に対する脱メチル体のピーク面積の割合を示す。
表1に示した結果から明らかなように、本発明の経皮・経粘膜吸収製剤の保存方法により保存された貼付剤(実施例1〜2)においては、貼付剤の製造時に加えたトルテロジンが98質量%以上残存しており、また、脱イソプロピル体の生成も充分に抑制されていることが確認された。なお、実施例1〜2の結果より、脱イソプロピル体の生成が抑制されるという本発明の効果は、除湿をしたことよりむしろ低酸素雰囲気にしたことによって達成されることが確認された。
一方、比較例2〜6の抗酸化剤を添加して非低酸素雰囲気で保存された貼付剤は、抗酸化剤を添加しない場合(比較例1)と比べて残存トルテロジン量はやや多いものの、脱イソプロピル体の生成量が増加しており、製剤中のトルテロジンを長期間に亘って安定に維持できないことが確認された。
また、薬物としてリバスチグミンを含有する本発明の経皮・経粘膜吸収製剤の保存方法により保存された貼付剤(実施例3)においても、脱メチル体の生成が充分に抑制されていることが確認された。
以上説明したように、本発明によれば、低級アルキル基で置換されたアミノ基を有する分子からなる薬物を含有する経皮・経粘膜吸収製剤において、薬物の不活性化を招く脱アルキル体の生成を充分に抑制しつつ、経皮・経粘膜吸収製剤中の薬物を長期間に亘って安定に維持することができる保存方法及び経皮・経粘膜吸収製剤包装体を提供することが可能となる。
したがって、本発明の経皮・経粘膜吸収製剤の保存方法は、医薬・医療産業において極めて有用である。
Claims (8)
- 低級アルキル基で置換されたアミノ基を有する分子からなる薬物を含有する経皮・経粘膜吸収製剤を低酸素雰囲気の容器内に封入することを特徴とする経皮・経粘膜吸収製剤の保存方法。
- 前記低級アルキル基で置換されたアミノ基を有する分子からなる薬物が、トルテロジン又はリバスチグミンであることを特徴とする請求項1に記載の経皮・経粘膜吸収製剤の保存方法。
- 前記容器内の酸素濃度が3.0体積%以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載の経皮・経粘膜吸収製剤の保存方法。
- 前記経皮・経粘膜吸収製剤が、軟膏剤、クリーム剤、ゲル剤、ローション剤、スプレー剤、貼付剤からなる群から選択されるいずれか1種であることを特徴とする請求項1〜3のうちのいずれか一項に記載の経皮・経粘膜吸収製剤の保存方法。
- 低級アルキル基で置換されたアミノ基を有する分子からなる薬物を含有する経皮・経粘膜吸収製剤と、内部が低酸素雰囲気となっており且つ内部に経皮・経粘膜吸収製剤が封入されている容器とを備えることを特徴とする経皮・経粘膜吸収製剤包装体。
- 前記低級アルキル基で置換されたアミノ基を有する分子からなる薬物が、トルテロジン又はリバスチグミンであることを特徴とする請求項5に記載の経皮・経粘膜吸収製剤包装体。
- 前記容器内の酸素濃度が3.0体積%以下であることを特徴とする請求項5又は6に記載の経皮・経粘膜吸収製剤包装体。
- 前記経皮・経粘膜吸収製剤が、軟膏剤、クリーム剤、ゲル剤、ローション剤、スプレー剤、貼付剤からなる群から選択されるいずれか1種であることを特徴とする請求項5〜7のうちのいずれか一項に記載の経皮・経粘膜吸収製剤包装体。
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2011
- 2011-07-27 JP JP2011164694A patent/JP2012051875A/ja active Pending
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