JP2012049161A - 圧電素子の製造方法、および液体噴射ヘッドの製造方法 - Google Patents

圧電素子の製造方法、および液体噴射ヘッドの製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2012049161A
JP2012049161A JP2010186919A JP2010186919A JP2012049161A JP 2012049161 A JP2012049161 A JP 2012049161A JP 2010186919 A JP2010186919 A JP 2010186919A JP 2010186919 A JP2010186919 A JP 2010186919A JP 2012049161 A JP2012049161 A JP 2012049161A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
layer
electrode
piezoelectric
piezoelectric element
manufacturing
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Withdrawn
Application number
JP2010186919A
Other languages
English (en)
Inventor
Satoshi Kimura
里至 木村
Atsushi Takakuwa
敦司 高桑
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Seiko Epson Corp
Original Assignee
Seiko Epson Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Seiko Epson Corp filed Critical Seiko Epson Corp
Priority to JP2010186919A priority Critical patent/JP2012049161A/ja
Publication of JP2012049161A publication Critical patent/JP2012049161A/ja
Withdrawn legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Particle Formation And Scattering Control In Inkjet Printers (AREA)

Abstract

【課題】信頼性の高い圧電素子の製造方法を提供する。
【解決手段】圧電素子の製造方法は、基板1の上方に、第1電極10を形成する工程と、基板1および第1電極10の上方に、樹脂層40を成膜する工程と、樹脂層40をパターニングして、第1電極10を露出する工程と、露出した第1電極10を覆うように、前駆体溶液20aを塗布する工程と、前駆体溶液20aを焼成により脱脂して、前駆体層を形成する工程と、前駆体層を焼成により結晶化して、圧電体層を形成する工程と、圧電体層の上方に、第2電極を形成する工程と、を含み、樹脂層40は、前駆体溶液20aを脱脂するための焼成温度に対して、耐熱性を有する。
【選択図】図5

Description

本発明は、圧電素子の製造方法、および液体噴射ヘッドの製造方法に関する。
圧電素子としては、電気機械変換機能を呈する圧電材料、例えば、結晶化した圧電性セラミックス等からなる圧電体層を、2つの電極で挟んで構成されたものがある。このような圧電素子は、2つの電極によって電圧が印加されることによって変形することができ、この変形を利用して、アクチュエーターとして、例えば、撓み振動モードで動作させることができる。
圧電体層を形成する方法としては、ゾルゲル法やMOD(Metal Organic Deposition)法などに代表される化学溶液堆積(Chemical Solution Deposition:CSD)法がある。例えば、特許文献1には、下部電極上にゾルをスピンコーティングし、該ゾルを脱脂することによってゲル化して圧電体前駆体薄膜を形成し、該圧電体前駆体薄膜を結晶化して圧電体膜を形成し、その後、イオンミリングやドライエッチングにより、圧電体膜をパターニングする工程が記載されている。
特開2001−138529号公報
しかしながら、上記のように圧電体膜をパターニングする際に、圧電体膜にエッチングダメージが加わる場合がある。これにより、圧電体膜の信頼性が低下し、例えばリーク電流の発生などの不具合が生じる場合がある。
本発明のいくつかの態様に係る目的の1つは、信頼性の高い圧電素子の製造方法を提供することにある。また、本発明のいくつかの態様に係る目的の1つは、上記圧電素子の製造方法を含む液体噴射ヘッドの製造方法を提供することにある。
本発明に係る圧電素子の製造方法は、
基板の上方に、第1電極を形成する工程と、
前記基板および前記第1電極の上方に、樹脂層を成膜する工程と、
前記樹脂層をパターニングして、前記第1電極を露出する工程と、
露出した前記第1電極を覆うように、前駆体溶液を塗布する工程と、
前記前駆体溶液を焼成により脱脂して、前駆体層を形成する工程と、
前記前駆体層を焼成により結晶化して、圧電体層を形成する工程と、
前記圧電体層の上方に、第2電極を形成する工程と、
を含み、
前記樹脂層は、前記前駆体溶液を脱脂するための焼成温度に対して、耐熱性を有する。
このような圧電素子の製造方法によれば、圧電体層を結晶化した後に、圧電体層をパターニングする必要がない。したがって、パターニング時のエッチングダメージが圧電体層に加わることを防止することができる。よって、信頼性の高い圧電素子を得ることができる。
なお、本発明に係る記載では、「上方」という文言を、例えば、「特定のもの(以下「A」という)の「上方」に他の特定のもの(以下「B」という)を形成する」などと用いている。本発明に係る記載では、この例のような場合に、A上に直接Bを形成するような場合と、A上に他のものを介してBを形成するような場合とが含まれるものとして、「上方」という文言を用いている。
本発明に係る圧電素子の製造方法において、
前記樹脂層の材質は、感光性ポリイミドであり、
前記前駆体溶液を脱脂するための焼成温度は、300℃以上450℃以下であり、
前記前駆体層を結晶化するための焼成温度は、650℃以上800℃以下であることができる。
このような圧電素子の製造方法によれば、信頼性の高い圧電素子を得ることができる。
本発明に係る圧電素子の製造方法において、
前記前駆体層を結晶化するための焼成により、前記樹脂層は前記基板から剥離することができる。
このような圧電素子の製造方法によれば、別途、樹脂層を剥離する工程を設ける必要が無く、簡易な工程で所望の形状を有する圧電素子を得ることができる。
本発明に係る圧電素子の製造方法において、
前記前駆体溶液を塗布する工程の前に、前記第1電極の上面に親水処理を行う工程を、さらに含むことができる。
このような圧電素子の製造方法によれば、前駆体溶液の厚みムラを小さくすることができる。
本発明に係る圧電素子の製造方法において、
前記圧電体層は、鉛を含有していないことができる。
このような圧電素子の製造方法によれば、環境負荷の小さい圧電素子を得ることができる。
本発明に係る液体噴射ヘッドの製造方法は、
本発明に係る圧電素子の製造方法を含む。
このような液体噴射ヘッドの製造方法によれば、信頼性の高い液体噴射ヘッドを得ることができる。
本実施形態に係る圧電素子を模式的に示す断面図。 本実施形態に係る圧電素子の製造工程を模式的に示す断面図。 本実施形態に係る圧電素子の製造工程を模式的に示す断面図。 本実施形態に係る圧電素子の製造工程を模式的に示す断面図。 本実施形態に係る圧電素子の製造工程を模式的に示す断面図。 本実施形態に係る圧電素子の製造工程を模式的に示す断面図。 本実施形態に係る圧電素子の製造工程を模式的に示す断面図。 本実施形態に係る液体噴射ヘッドを模式的に示す断面図。 本実施形態に係る液体噴射ヘッドを模式的に示す分解斜視図。
以下、本発明の好適な実施形態について、図面を参照しながら説明する。
1. 圧電素子
まず、本実施形態に係る圧電素子について、図面を参照しながら説明する。図1は、本実施形態にかかる圧電素子100を模式的に示す断面図である。
圧電素子100は、図1に示すように、第1電極10と、圧電体20と、第2電極30と、を含む。圧電素子100は、例えば、基板1の上方に形成されている。
基板1は、例えば、導電体、半導体、絶縁体で形成された平板である。基板1は、シリコンウェハーであってもよい。基板1は、単層であっても、複数の層が積層された構造であってもよい。基板1は、上面が平面的な形状であれば内部の構造は限定されず、例えば、内部に空間等が形成された構造であってもよい。基板1は、可撓性を有し、圧電体20の動作によって変形(屈曲)することのできる振動板を含んでいてもよい。振動板の材質としては、例えば、酸化ジルコニウム、酸化シリコン、またはこれらの積層体が挙げられる。この場合、圧電素子100は、振動板と、第1電極10と、圧電体20と、第2電極30と、を含む圧電アクチュエーター102となる。
第1電極10は、基板1上に形成されている。第1電極10の形状は、例えば、層状または薄膜状である。第1電極10の厚みは、例えば、50nm以上300nm以下である。第1電極10の平面形状は、第2電極30が対向して配置されたときに両者の間に圧電体20を配置できる形状であれば、特に限定されず、例えば、矩形、円形である。
第1電極10の材質としては、例えば、ニッケル、イリジウム、白金などの各種の金属、それらの導電性酸化物(例えば酸化イリジウムなど)、ストロンチウムとルテニウムの複合酸化物(SrRuO:SRO)、ランタンとニッケルの複合酸化物(LaNiO:LNO)が挙げられる。第1電極10は、上記に例示した材料の単層構造でもよいし、複数の材料を積層した構造であってもよい。
第1電極10の機能の一つとしては、第2電極30と一対になって、圧電体20に電圧を印加するための一方の電極(例えば、圧電体20の下方に形成された下部電極)となることが挙げられる。
なお、基板1が振動板を有さず、第1電極10が振動板であってもよい。すなわち、第1電極10は、圧電体20に電圧を印加するための一方の電極としての機能と、圧電体20の動作によって変形することのできる振動板としての機能と、を有していてもよい。この場合、圧電素子100は、振動板としての機能を有する第1電極10と、圧電体20と、第2電極30と、を含む圧電アクチュエーター102となる。
また、図示はしないが、第1電極10と基板1との間には、例えば、両者の密着性を付与する層や、強度や導電性を付与する層が形成されてもよい。このような層の例としては、例えば、チタン、ニッケル、イリジウム、白金などの各種の金属、それらの酸化物の層が挙げられる。
圧電体層20は、第1電極10上に形成されている。第1電極10の形状は、例えば、層状または薄膜状である。圧電体層20の厚みは、例えば、300nm以上1000nm以下である。
圧電体層20は、一般式ABOで表されるペロブスカイト型結晶構造をとることができ、圧電性を有することができる。これにより、圧電体層20は、第1電極10および第2電極30によって電界が印加されることで変形することができる(電気機械変換)。
圧電体層20は、例えば、鉛元素を含有していない。より具体的には、圧電体層20の材質としては、チタン酸ビスマスナトリウムカリウム((Bi,Na,K)TiO)、チタン酸ジルコン酸バリウム(Ba(Ti,Zr)O)、チタン酸バリウム(BaTiO)、ニオブ酸ナトリウムカリウム((K,Na)NbO)、チタン酸ビスマスナトリウム((Bi,Na)TiO)、鉄酸ビスマス(BiFeO)、チタン酸カリウムバリウム(BaKTiO)、鉄酸マンガン酸ビスマスランタン((Bi,La)(Fe,Mn)O)などが挙げられる。圧電体層20の材質は、上記に列挙した2つ以上の材料からなる固溶体であってもよいし、上記に列挙した材料に添加物が含有された材料であってもよい。
例えば、圧電体層20の材料となるチタン酸ビスマスナトリウムカリウムは、下記式(1)で表される。
x[(Bi,Na1−a)TiO]−(1−x)[(Bi,K1−b)TiO] ・・・ (1)
ただし、式(1)において、0<x<1、0<a<1、0<b<1である。
第2電極30は、圧電体20上に形成されている。第2電極30の形状は、例えば、層状または薄膜状である。第2電極30の厚みは、例えば、50nm以上300nm以下である。第2電極30の平面形状は、特に限定されず、例えば、矩形、円形である。第2電極30としては、第1電極10の材質として列挙した上記の材料を用いることができる。
第2電極30の機能の一つとしては、第1電極10と一対になって、圧電体20に電圧を印加するための他方の電極(例えば、圧電体20の上方に形成された上部電極)となることが挙げられる。
なお、図示の例では、基板1上に、第1電極10、圧電体層20、および第2電極30からなる積層体が4つ形成されているが、その数は特に限定されない。
また、図示の例では、第1電極10は、各積層体(第1電極10、圧電体層20、および第2電極30からなる積層体)において、個別電極として互いに分離しているが、共通電極として互いに接続されていてもよい。同様に、図示の例では、第2電極30は、各積層体において、個別電極として互いに分離しているが、共通電極として互いに接続されていてもよい。
以上のような圧電素子100は、例えば、圧電アクチュエーターとして、液体噴射ヘッドや、該液体噴射ヘッドを用いた液体噴射装置(例えばインクジェットプリンター)などに適用される。
2. 圧電素子の製造方法
次に、本実施形態に係る圧電素子の製造方法について、図面を参照しながら説明する。図2〜図7は、本実施形態に係る圧電素子100の製造工程を模式的に示す断面図である。
図2に示すように、基板1上に第1電極10を形成する。より具体的には、第1電極10は、第1電極層(図示せず)を成膜した後、該第1電極層をパターニングすることにより形成される。第1電極層は、例えば、スパッタ法、真空蒸着法、MOCVD(Metal Organic Chemical Vapor Deposition)法により成膜される。パターニングは、例えば、フォトリソグラフィー技術およびエッチング技術により行われる。
次に、少なくとも第1電極10の上面12に、親水処理を行う。親水処理は、例えば、第1電極10の上面12に真空紫外線を照射することにより行われる。
図3に示すように、基板1上および第1電極10上に、樹脂層40を成膜する。樹脂層40は、例えば、SOD(Spin On Dielectric)法、CVD(Chemical Vapor Deposition)法により成膜される。
樹脂層40は、後述する前駆体層20aを脱脂するための焼成温度に対して、耐熱性を有する。ここで「耐熱性を有する」とは、例えば、前駆体層20aを脱脂するための焼成温度にさらされても、その形状を維持できること、または、仮に収縮したとしても、収縮後の体積は、収縮前の体積の90%以上であること、と定義することができる。樹脂層40の材質としては、前駆体層20aを脱脂するための焼成温度に対して耐熱性を有していれば特に限定されないが、例えば、感光性ポリイミド(より具体的には、東レ:PW1200シリーズ)を用いることができる。樹脂層40の厚みは、例えば、2μm程度である。
図4に示すように、樹脂層40をパターニングして、第1電極10の上面12を露出する。樹脂層40として感光性ポリイミドを用いる場合、感光性ポリイミドを露光することによって、上面12を露出することができる。感光性ポリイミドの露光は、所定のパターンを有するマスクMを用いて行うことができる。
図5に示すように、露出した第1電極10の上面12を覆うように、前駆体溶液20aを塗布する。前駆体溶液20aは、例えば、スピンコート法、インクジェット法、スプレー法によって塗布される。前駆体溶液20aは、その厚みが樹脂層40の厚みより小さくなるように塗布される。すなわち、前駆体溶液20aが塗布された状態で、樹脂層40の上面42は、露出している。具体的には、前駆体溶液20aの厚みは、1μm程度である。
前駆体溶液20aは、圧電体層20を構成する金属元素を含有している。圧電体層20の材質が、例えば、チタン酸ビスマスナトリウムカリウムである場合、前駆体溶液20aは、Ti、Bi、Na、Kをそれぞれ含む有機金属化合物を、各金属が所望のモル比となるように混合し、該混合物をアルコールなどの有機溶媒を用いて溶解または分散させたものである。Ti、Bi、Na、Kをそれぞれ含有する有機金属化合物としては、例えば、金属アルコキシド、有機酸塩、βジケトン錯体を用いることができる。
より具体的には、Tiを含有する有機金属化合物としては、例えば、チタニウムイソプロポキシド、2−エチルヘキサン酸チタン、チタン(ジ−i−プロポキシド)ビス(アセチルアセトナート)が挙げられる。
Biを含有する有機金属化合物としては、例えば、2−エチルヘキサン酸ビスマス、酢酸ビスマスが挙げられる。
Naを含有する有機金属化合物としては、例えば、2−エチルヘキサン酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、ナトリウムアセチルアセトナートが挙げられる。
Kを含有する有機金属化合物としては、例えば、2−エチルヘキサン酸カリウム、2−エチルヘキサン酸カリウム、酢酸カリウム、カリウムアセチルアセトナートが挙げられる。
有機溶媒としては、例えば、ブタノール、メタノール、エタノール、プロパノールが挙げられる。
図6に示すように、前駆体溶液20aを、焼成により乾燥した後、焼成により脱脂して、前駆体層20bを形成する。乾燥するための焼成温度は、例えば、100℃以上200℃以下であり、焼成時間は、例えば、2分以上5分以下である。なお、ここで「乾燥」とは、前駆体溶液の溶媒を蒸発させることをいう。
脱脂するための焼成温度は、例えば、300℃以上450℃以下であり、焼成時間は、例えば、2分以上5分以下である。上述のように、樹脂層40は、脱脂するための焼成温度に対して、耐熱性を有する。仮に、脱脂するための焼成温度に対して、耐熱性を有さない場合は、樹脂層は変形してしまい、所望の形状の圧電体層を形成することができない場合がある。なお、ここで「脱脂」とは、前駆体溶液20aに含まれる有機成分を、例えば、NO、CO、HOとして、離脱させることをいう。
乾燥するための焼成および脱脂するための焼成は、例えば、ホットプレートを用いて行われる。
図7に示すように、前駆体層20bを焼成により結晶化して、圧電体層20を形成する。結晶化するための焼成温度は、例えば、650℃以上800℃以下であり、焼成時間は、例えば、2分以上5分以下である。焼成時の雰囲気は、例えば、酸素雰囲気または窒素雰囲気である。焼成は、例えば、赤外線ランプの照射により加熱するRTA(Rapid Thermal Annealing)によって行われる。
樹脂層40の材質が感光性ポリイミドの場合、結晶化するための焼成により、樹脂層40と基板1との密着性は小さくなる。そのため、樹脂層40は、結晶化するための焼成により、基板1から剥離することができる。なお、結晶化するための焼成により、完全に樹脂層40を剥離できない場合は、その後、例えば、アッシング、エアーブロー、水洗によって剥離してもよい。
なお、上記では、一度に例えば厚み1μm程度の前駆体溶液20aを塗布し、乾燥・脱脂、結晶化させて厚み1μm程度の圧電体層20を形成する例について説明したが、例えば、塗布工程、乾燥・脱脂工程、結晶化工程を複数回繰り返すことによって、厚み1μm程度の圧電体層20を形成してもよい。
図1に示すように、圧電体層20上に第2電極30を形成する。より具体的には、第2電極30は、第2電極層(図示せず)を成膜した後、該第2電極層をパターニングすることにより形成される。第2電極層は、例えば、スパッタ法、真空蒸着法、MOCVD法により成膜される。パターニングは、例えば、フォトリソグラフィー技術およびエッチング技術により行われる。
以上の工程により、圧電素子100を製造することができる。
本実施形態に係る圧電素子100の製造方法は、例えば、以下の特徴を有する。
圧電素子100の製造方法によれば、予め樹脂層40をパターニングし、露出した第1電極10の上面12上に圧電体層20を形成することができる。そのため、圧電体層20を結晶化した後に、圧電体層20をパターニングする必要がない。したがって、パターニング時のエッチングダメージが圧電体層20に加わることを防止することができる。よって、信頼性の高い圧電素子100を得ることができる。
圧電素子100の製造方法によれば、樹脂層40の材質を感光性ポリイミドとすることにより、樹脂層40は、前駆体溶液20aを脱脂するための焼成温度(300℃〜450℃)に対して、耐熱性を有することができる。さらに、前駆体層20bを結晶化するための焼成温度(650℃〜800℃)により、樹脂層40は、基板1から剥離することができる。したがって、例えば、別途、樹脂層40を剥離する工程を設ける必要が無く、簡易な工程で所望の形状を有する圧電素子100を得ることができる。
圧電素子100の製造方法によれば、前駆体溶液20aを塗布する前に、第1電極10の上面12に親水処理を行うことができる。これにより、前駆体溶液20aの厚みムラを小さくすることができる。
圧電素子100の製造方法によれば、例えば、全面に圧電体層を形成した後に該圧電体層をパターニングする場合に比べて、圧電体層20のクラック発生を抑制することができる。ここで、下記の実験例により、前駆体層を焼成により結晶化させて圧電体層を形成する際に、圧電体層(前駆体層)の面積が大きいほど圧電体層にクラックが発生しやすいことがわかった。圧電素子100の製造方法では、予め樹脂層40をパターニングし選択的に圧電体層20を形成することができるので、焼成により結晶化させる圧電体層の面積を小さくすることができる。その結果、圧電体層20のクラック発生を抑制でき、信頼性の高い圧電素子100を得ることができる。
以下、圧電体層に発生するクラックと、圧電体層の面積と、の関係に関する実験例について説明する。
3. 実験例
3.1. 試料の作製
2種類のシリコン基板を用意した。一方は、20mm角(面積:400mm)の平面を備えたシリコン基板であり、他方は、6インチウェハー(面積:約17670mm)のシリコン基板である。
次に、シリコン基板の表面全面に熱酸化により二酸化シリコン層を形成した。次に、二酸化シリコン層の全面にスパッタ法により酸化ジルコニウムを形成し、酸化ジルコニウムの全面にスパッタ法により白金層を形成した。
次に、白金層の全面に圧電体層をスピンコート法により形成した。その手法は、以下のとおりである。まず、所定の金属元素が溶解したブタノール容器を所定の割合で混合して、前駆体溶液を調整した。この前駆体溶液を白金層上に滴下し、2500rpmでシリコン基板を回転させた(塗布工程)。次に、150℃で3分間焼成した後、400℃で3分間焼成して前駆体層を形成した(乾燥・脱脂工程)。次に、RTAで750℃、3分間焼成を行って、圧電体層を形成した(結晶化工程)。そして、圧電体層の表面にクラックが発生しているか否かを金属顕微鏡により確認した。クラックが発生していない場合は、クラックが発生するまで、塗布工程、乾燥・脱脂工程、結晶化工程を繰り返し、より厚い圧電体層を形成した。
なお、前駆体溶液は、次のとおり、3種類用意した。前駆体溶液1としては、Ti、Bi、Na、Kの各元素が溶解したものを用いた。これにより、圧電体層1として、チタン酸ビスマスナトリウムカリウム層を得た。前駆体溶液2としては、Nb、Na、Kの各元素が溶解したものを用いた。これにより、圧電体層2として、ニオブ酸ナトリウムカリウム層を得た。前駆体溶液3としては、Ti、Zr、Baの各元素が溶解したものを用いた。これにより、圧電体層3として、チタン酸ジルコン酸バリウム層を得た。
3.2. 金属顕微鏡観察結果
Figure 2012049161
表1は、圧電体層1〜3において、圧電体層の表面にクラックが発生したときの圧電体層の膜厚を示したものである。表1により、シリコン基板の面積が小さいほど、すなわち圧電体層の面積が小さいほど、クラックが発生する膜厚が厚いことがわかった。つまり、圧電体層の面積が小さいほど、クラックは発生しにくいといえる。
なお、近年、環境負荷の小さい非鉛系の圧電体層の要求が強まっているが、非鉛系の圧電体層は、鉛系の圧電体層に比べてクラックが発生しやすい。そのため、非鉛系の圧電体層において、クラックの抑制は重要な課題となり得る。
4. 液体噴射ヘッド
次に、本実施形態に係る液体噴射ヘッドについて、図面を参照しながら説明する。図8は、本実施形態に係る液体噴射ヘッド600の要部を模式的に示す断面図である。図9は、本実施形態に係る液体噴射ヘッド600の分解斜視図であり、通常使用される状態とは上下を逆に示したものである。
液体噴射ヘッド600は、本発明に係る圧電素子(圧電アクチュエーター)を有する。以下では、基板1(上部に振動板1aを含む構造体)の上に圧電素子100が形成され、圧電素子100と振動板1aとが圧電アクチュエーター102を構成している液体噴射ヘッド600を例示して説明する。
液体噴射ヘッド600は、図8および図9に示すように、ノズル板610と、圧力室基板620と、圧電素子100と、を含む。さらに、液体噴射ヘッド600は、図9に示すように、筐体630を有することができる。なお、図9では、圧電素子100を簡略化して図示している。
ノズル板610は、図8および図9に示すように、ノズル孔612を有する。ノズル孔612からは、インクが吐出される。ノズル板610には、例えば、多数のノズル孔612が一列に設けられている。ノズル板610の材質としては、例えば、シリコン、ステンレス鋼(SUS)などを挙げることができる。
ノズル孔612は、ノズル板610を、例えばフォトリソグラフィー技術およびエッチング技術によりパターニングすることで形成される。
圧力室基板620は、ノズル板610上(図9の例では下)に設けられている。圧力室基板620の材質としては、例えば、シリコンなどを例示することができる。圧力室基板620がノズル板610と振動板1aとの間の空間を区画することにより、図9に示すように、リザーバー(液体貯留部)624と、リザーバー624と連通する供給口626と、供給口626と連通する圧力室622と、が設けられている。この例では、リザーバー624と、供給口626と、圧力室622とを区別して説明するが、これらはいずれも液体の流路(例えば、マニホールドということもできる)であって、このような流路はどのように設計されても構わない。また、例えば、供給口626は、図示の例では流路の一部が狭窄された形状を有しているが、設計に従って任意に形成することができ、必ずしも必須の構成ではない。
リザーバー624は、外部(例えばインクカートリッジ)から、振動板1aに設けられた貫通孔628を通じて供給されるインクを一時貯留することができる。リザーバー624内のインクは、供給口626を介して、圧力室622に供給されることができる。圧力室622は、振動板1aの変形により容積が変化する。圧力室622はノズル孔612と連通しており、圧力室622の容積が変化することによって、ノズル孔612からインク等が吐出される。
リザーバー624、供給口626、および圧力室622は、圧力室基板620を、例えばフォトリソグラフィー技術およびエッチング技術によりパターニングすることで形成される。
圧電素子100は、圧力室基板620上(図9の例では下)に設けられている。圧電素子100は、圧電素子駆動回路(図示せず)に電気的に接続され、圧電素子駆動回路の信号に基づいて動作(振動、変形)することができる。振動板1aは、圧電体30の動作によって変形し、圧力室622の内部圧力を適宜変化させることができる。
筐体630は、図9に示すように、ノズル板610、圧力室基板620、および圧電素子100を収納することができる。筐体630の材質としては、例えば、樹脂、金属などを挙げることができる。
液体噴射ヘッド600によれば、信頼性の高い圧電素子100を含む。したがって、液体噴射ヘッド600は、高い信頼性を有することができる。
なお、ここでは、液体噴射ヘッド600がインクジェット式記録ヘッドである場合について説明した。しかしながら、本実施形態の液体噴射ヘッドは、例えば、液晶ディスプレイ等のカラーフィルターの製造に用いられる色材噴射ヘッド、有機ELディスプレイ、FED(面発光ディスプレイ)等の電極形成に用いられる電極材料噴射ヘッド、バイオチップ製造に用いられる生体有機物噴射ヘッドなどとして用いられることもできる。
なお、上述した実施形態および変形例は一例であって、これらに限定されるわけではない。例えば、各実施形態および各変形例を適宜組み合わせることも可能である。
上記のように、本発明の実施形態について詳細に説明したが、本発明の新規事項および効果から実体的に逸脱しない多くの変形が可能であることは当業者には容易に理解できよう。従って、このような変形例はすべて本発明の範囲に含まれるものとする。
1 基体、1a 振動板、10 第1電極、12 第1電極の上面、20 圧電体層、
20a 前駆体溶液、20b 前駆体層、30 第2電極、40 樹脂層、
42 樹脂層の上面、100 圧電素子、600 液体噴射ヘッド、610 ノズル板、
612 ノズル孔、620 圧力室基板、622 圧力室、624 リザーバー、
626 供給口、628 貫通孔、630 筐体

Claims (6)

  1. 基板の上方に、第1電極を形成する工程と、
    前記基板および前記第1電極の上方に、樹脂層を成膜する工程と、
    前記樹脂層をパターニングして、前記第1電極を露出する工程と、
    露出した前記第1電極を覆うように、前駆体溶液を塗布する工程と、
    前記前駆体溶液を焼成により脱脂して、前駆体層を形成する工程と、
    前記前駆体層を焼成により結晶化して、圧電体層を形成する工程と、
    前記圧電体層の上方に、第2電極を形成する工程と、
    を含み、
    前記樹脂層は、前記前駆体溶液を脱脂するための焼成温度に対して、耐熱性を有する、圧電素子の製造方法。
  2. 請求項1において、
    前記樹脂層の材質は、感光性ポリイミドであり、
    前記前駆体溶液を脱脂するための焼成温度は、300℃以上450℃以下であり、
    前記前駆体層を結晶化するための焼成温度は、650℃以上800℃以下である、圧電素子の製造方法。
  3. 請求項1または2において、
    前記前駆体層を結晶化するための焼成により、前記樹脂層は前記基板から剥離する、圧電素子の製造方法。
  4. 請求項1ないし3のいずれか1項において、
    前記前駆体溶液を塗布する工程の前に、前記第1電極の上面に親水処理を行う工程を、さらに含む、圧電素子の製造方法。
  5. 請求項1ないし4のいずれか1項において、
    前記圧電体層は、鉛を含有していない、圧電素子の製造方法。
  6. 請求項1ないし5のいずれか1項に記載の圧電素子の製造方法を含む、液体噴射ヘッドの製造方法。
JP2010186919A 2010-08-24 2010-08-24 圧電素子の製造方法、および液体噴射ヘッドの製造方法 Withdrawn JP2012049161A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2010186919A JP2012049161A (ja) 2010-08-24 2010-08-24 圧電素子の製造方法、および液体噴射ヘッドの製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2010186919A JP2012049161A (ja) 2010-08-24 2010-08-24 圧電素子の製造方法、および液体噴射ヘッドの製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2012049161A true JP2012049161A (ja) 2012-03-08

Family

ID=45903740

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2010186919A Withdrawn JP2012049161A (ja) 2010-08-24 2010-08-24 圧電素子の製造方法、および液体噴射ヘッドの製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2012049161A (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2013219250A (ja) * 2012-04-10 2013-10-24 Murata Mfg Co Ltd 圧電セラミック電子部品、及び該圧電セラミック電子部品の製造方法
US9583270B2 (en) 2013-03-13 2017-02-28 Ricoh Company, Ltd. Complex oxide, thin-film capacitive element, liquid droplet discharge head, and method of producing complex oxide

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2013219250A (ja) * 2012-04-10 2013-10-24 Murata Mfg Co Ltd 圧電セラミック電子部品、及び該圧電セラミック電子部品の製造方法
US9583270B2 (en) 2013-03-13 2017-02-28 Ricoh Company, Ltd. Complex oxide, thin-film capacitive element, liquid droplet discharge head, and method of producing complex oxide

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4367654B2 (ja) 圧電素子及び液体噴射ヘッド
JP6205703B2 (ja) アクチュエーター、液体噴射ヘッド、及び液体噴射装置
JP6115206B2 (ja) 液体噴射ヘッド、液体噴射装置、圧電素子及びその製造方法
JP2014225531A (ja) 電子デバイス、電子デバイスの製造方法
JP3902023B2 (ja) 圧電アクチュエータ、液滴噴射ヘッド、およびそれを用いた液滴噴射装置
JP2012175092A (ja) 液体噴射ヘッド及び液体噴射装置並びに圧電素子
JP4501917B2 (ja) アクチュエータ装置及び液体噴射ヘッド
TWI624970B (zh) 壓電裝置、液體噴射頭、液體噴射裝置及壓電裝置之製造方法
JP2009113419A (ja) 液体噴射ヘッドの製造方法及び圧電素子の製造方法
JP2008078408A (ja) アクチュエータ装置及び液体噴射ヘッド
JP6206631B2 (ja) 液体噴射ヘッド、液体噴射装置及び圧電素子
JP2012049161A (ja) 圧電素子の製造方法、および液体噴射ヘッドの製造方法
JP2012069622A (ja) 圧電素子の製造方法および液体噴射ヘッドの製造方法
JP4811598B2 (ja) アクチュエータ装置及びその製造方法並びに液体噴射ヘッド
JP2011222849A (ja) 液体噴射ヘッド、液体噴射装置、および圧電素子
JP2009190351A (ja) 液体噴射ヘッドの製造方法及び圧電素子の製造方法
JP2011238711A (ja) 液体噴射ヘッド、液体噴射装置、及び圧電素子
JP5928675B2 (ja) 液体噴射ヘッド、液体噴射装置、圧電素子、超音波センサー及び赤外線センサー
JP2018160535A (ja) 圧電素子、及び圧電素子応用デバイス
JP2012033684A (ja) 圧電素子の製造方法、および液体噴射ヘッドの製造方法
JP2009208411A (ja) 液体噴射ヘッドの製造方法
JP2012243837A (ja) セラミックス膜の製造方法、圧電素子の製造方法、液体噴射ヘッドの製造方法、及び液体噴射装置の製造方法
JP2008147350A (ja) 圧電素子の製造方法及び液体噴射ヘッドの製造方法並びに圧電素子
JP6064352B2 (ja) 液体噴射ヘッドの製造方法、液体噴射装置の製造方法及び圧電素子の製造方法
JP2012033683A (ja) 圧電素子の製造方法、および液体噴射ヘッドの製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A300 Application deemed to be withdrawn because no request for examination was validly filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A300

Effective date: 20131105