JP2012041419A - 吸水性樹脂の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】吸水時の臭気が低減され、かつ微粉および粗粉の少ない吸水性樹脂の製造方法、それにより得られる吸水性樹脂および吸収体の提供。
【解決手段】水溶性エチレン性不飽和単量体を逆相懸濁重合させて吸水性樹脂を製造する方法であって、(1)界面活性剤および/または高分子保護コロイドの存在下に石油系炭化水素分散媒中、水溶性エチレン性不飽和単量体水溶液を、ラジカル重合開始剤を用いて、第1段目の逆相懸濁重合を行う工程、(2)界面活性剤および/または高分子保護コロイドが石油系炭化水素分散媒に溶解している状態で、第1段目の逆相懸濁重合が終了した反応混合物に、ラジカル重合開始剤を含む第2段目の水溶性エチレン性不飽和単量体水溶液を添加し、第2段目の逆相懸濁重合を行う工程、および(3)第2段目の逆相懸濁重合が終了した反応混合物を、冷却して界面活性剤および/または高分子保護コロイドの少なくとも一部を析出させ、ラジカル重合開始剤を含む第3段目の水溶性エチレン性不飽和単量体水溶液を添加し、第3段目の逆相懸濁重合を行う工程を含むことを特徴とする吸水性樹脂の製造方法、それにより得られる吸水性樹脂および吸収体が提供される。
【選択図】なし

Description

本発明は、吸水性樹脂の製造方法、およびそれにより得られる吸水性樹脂に関する。更に詳しくは、逆相懸濁重合によって吸水性樹脂を製造する方法において、吸水時の臭気が低減され、かつ微粉および粗粉が少ない吸水性樹脂を得る方法、それにより得られる吸水性樹脂および吸収体に関する。
吸水性樹脂は、近年、紙おむつや生理用品等の衛生材料、保水剤や土壌改良剤等の農園芸材料、および止水剤や結露防止剤等の工業資材など、種々の分野で広く使用されている。これらの分野の中でも、特に紙おむつや生理用品等の衛生材料に使用されることが多い。
紙おむつ、生理用ナプキン等の衛生材料は、一般的に、トップシート、バックシート、ホットメルト接着剤、伸縮材、吸水性樹脂、親水性繊維等からなり、多くの合成樹脂や改質剤が使用され、原料成分に由来する臭気が感じられることがある。これらの衛生材料は、人体に着用されるため、わずかな臭気であっても、使用者に不快感を与えることから、無臭化が望まれている。
これら衛生材料における構成材料の中で、吸水性樹脂についても、その製造過程で使用される物質に由来する臭気がわずかにあり、吸水時に発散しやすくなるため、臭気の低減が望ましいと考えられる。
また近年、デザイン性、携帯時における利便性、流通時における効率などの観点から、吸収性物品の薄型化、軽量化に対する要求は高まっている。吸収性物品において一般的に行われている薄型化のための方法としては、例えば、嵩高く吸水能力の低い木材の解砕パルプ等の親水性繊維を減らし、吸水量が多い吸水性樹脂を増加させる方法がある。この吸水性樹脂を高濃度に含有する吸収体中の吸水性樹脂には、吸水倍率が高いことに加えて、液拡散性が優れていることが求められ、さらに吸収体自体として、その肌触りが良好であり、柔軟性があることも求められている。
前記液拡散性は、一般的に吸水性樹脂中の微粉の割合が大きくなると低下する傾向にある。すなわち吸水性樹脂中の微粉は、膨潤すると体液等が拡散するための通り道を塞ぎやすく、いわゆる「ゲルブロッキング」を起こしやすい。ゲルブロッキングを起こした吸収体は、液体の拡散性が悪くなるため、本来の吸収体の性能が十分に発揮されずに液体の逆戻り量も多くなる。
一方、薄型化された吸収体は、親水性繊維の含有量が少なく吸水性樹脂の割合が大きいため、粗粉の割合が大きい吸水性樹脂を使用した場合、吸収体が非常にごつごつしたものとなり、その柔軟性が大きく損なわれる。このような吸収体は、肌触りの感触を重視する紙おむつ等の使用に耐えるものではない。そのため、吸水性能と触感に優れた薄型化吸収体に使用する吸水性樹脂には、微粉および粗粉が少ない吸水性樹脂が好ましい。
さらに、吸収性物品中の吸水性樹脂の量が増加することにより、吸水性樹脂中の臭気低減の要求が高まっている。
衛生材料に用いられる吸水性樹脂としては、例えば、ポリアクリル酸部分中和物、澱粉−アクリル酸グラフト重合体の中和物、澱粉−アクリロニトリルグラフト重合体の加水分解物、酢酸ビニル−アクリル酸エステル共重合体のケン化物等が知られている。
このような吸水性樹脂の製造方法としては、水溶液重合法、逆相懸濁重合法等が知られているが、水溶性単量体を分散媒に懸濁させて重合する逆相懸濁重合法によって製造された吸水性樹脂の場合、その臭気の主な原因は分散媒に由来していると考えられる。
このような逆相懸濁重合法による製造方法において、ラジカル重合開始剤を用いて石油系炭化水素溶媒中でα,β−不飽和カルボン酸およびそのアルカリ金属塩水溶液を架橋剤の存在下または不存在下に重合させるに際し、ショ糖脂肪酸エステルを保護コロイド剤として使用することを特徴とする吸水性樹脂の製造方法(特許文献1参照)や、ラジカル重合開始剤を用いて石油系炭化水素溶媒中で、α,β−不飽和カルボン酸およびそのアルカリ金属塩の25質量%以上の水溶液を架橋剤の存在下または不存在下に重合させるに際し、界面活性剤としてHLB2〜16のポリグリセリン脂肪酸エステルを使用することを特徴とする製造法(特許文献2参照)、第1段目モノマーの重合によって、吸水性樹脂粒子を生成した後、冷却し、ショ糖脂肪酸エステル等の界面活性剤を析出させた状態で、第1段目のポリマー粒子が懸濁した重合反応液に、再度、モノマーを添加し、これを重合させることによって、吸水性樹脂粒子を得る方法(特許文献3参照)等が提案されている。
特開昭61−087702号公報 特開昭62−172006号公報 特開平03−227301号公報
しかしながら、前記特許文献1〜3に記載のいずれの製造方法も、臭気の低減には着目しておらず、得られた吸水性樹脂の臭気は充分に低いものではなかった。また、その吸水性樹脂は、微粉または粗粉が比較的に多いものであった。
本発明は、前記のごとき従来技術の問題点を解決するためになされたものであって、本発明の目的は、吸水時の臭気が低減され、かつ微粉および粗粉の少ない吸水性樹脂の製造方法、それにより得られる吸水性樹脂、および該吸水性樹脂を含む吸収体を提供することにある。
すなわち、本発明は、以下に示す吸水性樹脂の製造方法、吸水性樹脂および吸収体に関する。
項1.水溶性エチレン性不飽和単量体を逆相懸濁重合させて吸水性樹脂を製造する方法であって、
(1)界面活性剤および/または高分子保護コロイドの存在下に石油系炭化水素分散媒中、水溶性エチレン性不飽和単量体水溶液を、ラジカル重合開始剤を用いて、第1段目の逆相懸濁重合を行う工程、
(2)界面活性剤および/または高分子保護コロイドが石油系炭化水素分散媒に溶解している状態で、第1段目の逆相懸濁重合が終了した反応混合物に、ラジカル重合開始剤を含む第2段目の水溶性エチレン性不飽和単量体水溶液を添加し、第2段目の逆相懸濁重合を行う工程、および
(3)第2段目の逆相懸濁重合が終了した反応混合物を、冷却して界面活性剤および/または高分子保護コロイドの少なくとも一部を析出させ、ラジカル重合開始剤を含む第3段目の水溶性エチレン性不飽和単量体水溶液を添加し、第3段目の逆相懸濁重合を行う工程
を含むことを特徴とする吸水性樹脂の製造方法。
項2.工程(3)により得られた吸水性樹脂を後架橋剤で後架橋する工程をさらに含むことを特徴とする項1に記載の吸水性樹脂の製造方法。
項3.界面活性剤が、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステルおよびショ糖脂肪酸エステルからなる群より選ばれた少なくとも1種である項1または2に記載の吸水性樹脂の製造方法。
項4.高分子保護コロイドが、無水マレイン酸変性ポリエチレン、無水マレイン酸変性ポリプロピレン、無水マレイン酸変性エチレン・プロピレン共重合体、無水マレイン酸・エチレン共重合体、無水マレイン酸・プロピレン共重合体、無水マレイン酸・エチレン・プロピレン共重合体、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン・プロピレン共重合体、酸化型ポリエチレン、酸化型ポリプロピレンおよび酸化型エチレン・プロピレン共重合体からなる群より選ばれた少なくとも1種である項1〜3のいずれかに記載の吸水性樹脂の製造方法。
項5.水溶性エチレン性不飽和単量体が、アクリル酸およびその塩、メタクリル酸およびその塩、ならびにアクリルアミドからなる群より選ばれた少なくとも1種である項1〜4のいずれかに記載の吸水性樹脂の製造方法。
項6.石油系炭化水素分散媒が、炭素数6〜8の脂肪族炭化水素および脂環族炭化水素からなる群より選ばれた少なくとも1種である項1〜5のいずれかに記載の吸水性樹脂の製造方法。
項7.項1〜6のいずれかに記載の製造方法によって得られる吸水性樹脂。
項8.項7に記載の吸水性樹脂および親水性繊維を含む吸収体。
本発明の製造方法によって、吸水時の臭気が低減され、かつ微粉および粗粉の少ない吸水性樹脂、およびそれを含む吸収体を提供することができる。
本発明の製造方法は、3段階(工程(1)〜(3))の逆相懸濁重合反応によって行われることを特徴とする。
本発明の製造方法においては、まず界面活性剤および/または高分子保護コロイドの存在下に石油系炭化水素分散媒中、水溶性エチレン性不飽和単量体水溶液を、ラジカル重合開始剤を用いて、第1段目の逆相懸濁重合を行う(工程1)。
使用する水溶性エチレン性不飽和単量体としては、例えば、(メタ)アクリル酸(本明細書においては「アクリ」および「メタアクリ」を合わせて「(メタ)アクリ」と表記する。以下同様)、2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸およびそれらの塩、(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、およびポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート等の非イオン性単量体、ならびに、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、およびジエチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド等のアミノ基含有不飽和単量体やその4級化物等を挙げることができ、これらの群から選ばれる少なくとも1種を用いることができる。なかでも、(メタ)アクリル酸およびその塩、ならびに、アクリルアミド、メタアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミドが好ましく用いられる。
水溶性エチレン性不飽和単量体は、通常、水溶液として用いることができる。単量体水溶液における単量体の濃度は、20質量%以上飽和濃度以下であることが好ましく、25〜70質量%がより好ましく、30〜55質量%の範囲であることがさらに好ましい。
水溶性エチレン性不飽和単量体は、(メタ)アクリル酸、2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸のように酸基を有する場合、その酸基をアルカリ金属塩などのアルカリ性中和剤によって中和しておいてもよい。このようなアルカリ性中和剤としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、および水酸化アンモニウム等の水溶液を挙げることができる。これらアルカリ性中和剤は単独で用いても、併用してもよい。
アルカリ性中和剤による全酸基に対する中和度は、得られる吸水性樹脂の浸透圧を高めることで吸収能力を高め、かつ余剰のアルカリ性中和剤の存在により、安全性などに問題が生じないようにする観点から、10〜100モル%の範囲が好ましく、30〜80モル%の範囲がより好ましい。
石油系炭化水素分散媒としては、例えば、n−ヘキサン、n−ヘプタン、2−メチルヘキサン、3−メチルヘキサン、n−オクタン等の炭素数6〜8の脂肪族炭化水素、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、シクロペンタン、メチルシクロペンタン等の炭素数6〜8の脂環族炭化水素、ベンゼン、トルエン、キシレン等の炭素数6〜8の芳香族炭化水素等が挙げられる。なかでも、工業的に入手が容易であり、品質が安定しており、かつ安価であるため、n−ヘキサン、n−ヘプタン、シクロヘキサンが好適に用いられる。これら石油系炭化水素分散媒は単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
石油系炭化水素分散媒の使用量は、水溶性エチレン性不飽和単量体水溶液を均一に分散し、重合温度の制御を容易にする観点から、通常、第1段目の水溶性エチレン性不飽和単量体水溶液100質量部に対して、50〜900質量部が好ましく、100〜800質量部がより好ましい。
使用する界面活性剤としては、例えば、ショ糖脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ソルビトール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンヒマシ油、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、アルキルアリルホルムアルデヒド縮合ポリオキシエチレンエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックコポリマー、ポリオキシエチレンポリオキシプロピルアルキルエーテル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、アルキルグルコシド、N−アルキルグルコンアミド、ポリオキシエチレン脂肪酸アミド、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシエチレンアルキルエーテルのリン酸エステル、およびポリオキシエチレンアルキルアリルエーテルのリン酸エステル等が挙げられる。なかでも、単量体水溶液の分散安定性の面から、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステルおよびショ糖脂肪酸エステルが好ましい。これらの界面活性剤は、単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
また、前記界面活性剤に代えて、あるいは前記界面活性剤と共に高分子保護コロイドを用いてもよい。使用される高分子保護コロイドとしては、無水マレイン酸変性ポリエチレン、無水マレイン酸変性ポリプロピレン、無水マレイン酸変性エチレン・プロピレン共重合体、無水マレイン酸変性EPDM(エチレン・プロピレン・ジエン・ターポリマー)、無水マレイン酸変性ポリブタジエン、無水マレイン酸・エチレン共重合体、無水マレイン酸・プロピレン共重合体、無水マレイン酸・エチレン・プロピレン共重合体、無水マレイン酸・ブタジエン共重合体、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン・プロピレン共重合体、酸化型ポリエチレン、酸化型ポリプロピレン、酸化型エチレン・プロピレン共重合体、エチレン・アクリル酸共重合体、エチルセルロース、エチルヒドロキシエチルセルロース等が挙げられる。なかでも、単量体水溶液の分散安定性の面から、無水マレイン酸変性ポリエチレン、無水マレイン酸変性ポリプロピレン、無水マレイン酸変性エチレン・プロピレン共重合体、無水マレイン酸・エチレン共重合体、無水マレイン酸・プロピレン共重合体、無水マレイン酸・エチレン・プロピレン共重合体、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン・プロピレン共重合体、酸化型ポリエチレン、酸化型ポリプロピレンおよび酸化型エチレン・プロピレン共重合体が好ましい。これらの高分子保護コロイドは、単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
これらの界面活性剤および/または高分子保護コロイドの使用量は、石油系炭化水素分散媒中における、単量体水溶液の分散状態を良好に保ち、かつ使用量に見合う分散効果を得るため、第1段目の単量体水溶液100質量部に対して、0.1〜5質量部、好ましくは0.2〜3質量部とされる。
前記単量体水溶液に添加されるラジカル重合開始剤としては、例えば、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、および過硫酸ナトリウム等の過硫酸塩類、メチルエチルケトンパーオキシド、メチルイソブチルケトンパーオキシド、ジ−t−ブチルパーオキシド、t−ブチルクミルパーオキシド、t−ブチルパーオキシアセテート、t−ブチルパーオキシイソブチレート、t−ブチルパーオキシピバレート、および過酸化水素等の過酸化物類、ならびに、2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)2塩酸塩、2,2’−アゾビス〔2−(N−フェニルアミジノ)プロパン〕2塩酸塩、2,2’−アゾビス〔2−(N−アリルアミジノ)プロパン〕2塩酸塩、2,2’−アゾビス{2−〔1−(2−ヒドロキシエチル)−2−イミダゾリン−2−イル〕プロパン}2塩酸塩、2,2’−アゾビス{2−メチル−N−〔1,1−ビス(ヒドロキシメチル)−2−ヒドロキシエチル〕プロピオンアミド}、2,2’−アゾビス〔2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)−プロピオンアミド〕、および4,4’−アゾビス(4−シアノ吉草酸)等のアゾ化合物等を挙げることができる。これらの中では、入手が容易で取り扱いやすいという観点から、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウムおよび2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)2塩酸塩が好ましい。これらラジカル重合開始剤は、単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
ラジカル重合開始剤の使用量は、通常、第1段目の単量体に対して0.005〜1モル%である。使用量が0.005モル%より少ない場合、重合反応に多大な時間を要するので、好ましくない。使用量が1モル%を超える場合、急激な重合反応が起こるので、好ましくない。
なお、前記ラジカル重合開始剤は、亜硫酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウム、硫酸第一鉄、およびL−アスコルビン酸等の還元剤を併用して、レドックス重合開始剤として用いることもできる。
重合反応の反応温度は、使用するラジカル重合開始剤によって異なるが、通常20〜110℃、好ましくは40〜90℃である。反応温度が20℃より低い場合、重合速度が遅く、重合時間が長くなるので、経済的に好ましくない。反応温度が110℃より高い場合、重合熱を除去することが難しくなるので、円滑に反応を行なうことが困難となる。反応時間は、0.1時間〜4時間が好ましい。
前記単量体水溶液に、必要に応じて架橋剤(内部架橋剤)を添加して重合してもよい。重合反応前の単量体水溶液に添加する内部架橋剤としては、例えば重合性不飽和基を2個以上有する化合物が用いられる。例えば、(ポリ)エチレングリコール[本明細書において、例えば、「ポリエチレングリコール」と「エチレングリコール」を合わせて「(ポリ)エチレングリコール」と表記する。以下同様]、(ポリ)プロピレングリコール、トリメチロールプロパン、グリセリンポリオキシエチレングリコール、ポリオキシプロピレングリコール、および(ポリ)グリセリン等のポリオール類のジまたはトリ(メタ)アクリル酸エステル類、前記のポリオールとマレイン酸およびフマール酸等の不飽和酸類とを反応させて得られる不飽和ポリエステル類、N,N’−メチレンビス(メタ)アクリルアミド等のビスアクリルアミド類、ポリエポキシドと(メタ)アクリル酸とを反応させて得られるジまたはトリ(メタ)アクリル酸エステル類、トリレンジイソシアネートやヘキサメチレンジイソシアネート等のポリイソシアネートと(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチルとを反応させて得られるジ(メタ)アクリル酸カルバミルエステル類、アリル化澱粉、アリル化セルロース、ジアリルフタレート、N,N’,N”−トリアリルイソシアヌレート、ならびに、ジビニルベンゼン等が挙げられる。
また、内部架橋剤としては、重合性不飽和基を2個以上有する前記化合物に加えて、その他の反応性官能基を2個以上有する化合物を用いることができる。例えば、(ポリ)エチレングリコールジグリシジルエーテル、(ポリ)プロピレングリコールジグリシジルエーテル、および(ポリ)グリセリンジグリシジルエーテル等のグリシジル基含有化合物、N,N’−メチレンビスアクリルアミド、(ポリ)エチレングリコール、(ポリ)プロピレングリコール、(ポリ)グリセリン、ペンタエリスリトール、エチレンジアミン、ポリエチレンイミン、ならびに、グリシジル(メタ)アクリレート等が挙げられる。これら内部架橋剤は2種類以上を併用してもよい。これらの中では、低温での反応性に優れている観点から、(ポリ)エチレングリコールジグリシジルエーテル、(ポリ)プロピレングリコールジグリシジルエーテル、および(ポリ)グリセリンジグリシジルエーテルおよびN,N’−メチレンビスアクリルアミドが好ましい。
内部架橋剤の添加量は、得られる吸水性樹脂の吸水性能を十分に高める観点から第1段目の単量体に対して、1モル%以下とすることが好ましく、0.5モル%以下とすることがより好ましい。なお、内部架橋剤の添加が任意であるのは、単量体重合後から乾燥までのいずれかの工程において、粒子表面近傍の架橋を施すための架橋剤を添加することによっても、吸水性樹脂の吸水能を制御することが可能なためである。
また、吸水性樹脂の吸水性能を制御するために、連鎖移動剤を添加してもよい。このような連鎖移動剤としては、次亜リン酸塩類、チオール類、チオール酸類、第2級アルコール類、アミン類などを例示することができる。
第1段目の逆相懸濁重合の終了は、重合反応温度が最高点に達し、反応温度が下降し始めることによって確認することができる。
本発明においては、第1段目の逆相懸濁重合が終了した反応混合物に、第2段目のラジカル重合開始剤を含む水溶性エチレン性不飽和単量体水溶液を添加し、第2段目の逆相懸濁重合を行う(工程2)が、界面活性剤および/または高分子保護コロイドが石油系炭化水素分散媒に溶解している状態で行う点に特徴がある。
このような製造方法を行うことで、吸水時の臭気が低減され、かつ微粉および粗粉の少ない吸水性樹脂が得られる理由は、詳らかではないが、以下の理由に基づくものと推測される。
逆相懸濁重合法は、界面活性剤を溶解した分散媒に水溶性エチレン性不飽和単量体水溶液を添加し、攪拌下にて、単量体水溶液の液滴を分散させる方法が行われる。この際に、単量体水溶液の液滴中に分散媒が含まれることにより、得られる吸水性樹脂の内部に少量の分散媒が内包され、結果的に、この分散媒が吸水時の臭気となる。
第1段目の逆相懸濁重合が終了した反応混合物に、界面活性剤および/または高分子保護コロイドが石油系炭化水素分散媒に溶解している状態で、第2段目の水溶性エチレン性不飽和単量体水溶液を添加することで、第2段目の水溶性エチレン性不飽和単量体は均一に石油系炭化水素分散媒に分散される。この際に、第1段目の逆相懸濁重合に使用されたことによる界面活性剤および/または高分子保護コロイドの減少、および系内にある第1段目の逆相懸濁重合により生成した含水ゲル粒子の影響等により、分散媒が単量体水溶液の液滴中に含まれにくくなり、結果的に吸水性樹脂の吸水時の臭気が低下する。
また、第1段目の逆相懸濁重合が終了した反応混合物への第2段目の水溶性エチレン性不飽和単量体の添加において、界面活性剤および/または高分子保護コロイドが石油系炭化水素分散媒から析出した状態では、第2段目の水溶性エチレン性不飽和単量体が第1段目の逆相懸濁重合で生成した含水ゲル粒子に吸収される。その結果、含水ゲルは大きい粒子となり、この粒子の存在下に、第3段目の逆相懸濁重合をさらに行うと、含水ゲルはさらに大きい粒子になり、最終的に得られる吸水性樹脂は、粗粉が多くなる傾向となる。
第2段目の水溶性エチレン性不飽和単量体水溶液を反応混合物に添加する際の反応混合物の温度は、界面活性剤および/または高分子保護コロイドが溶解している温度であればよく、例えば、30℃を超えて80℃以下、好ましくは35〜70℃、より好ましくは40〜60℃である。単量体水溶液を反応混合物に添加する際の温度が、30℃以下の場合、界面活性剤および/または高分子保護コロイドが石油系炭化水素分散媒中に析出する傾向にあり、また、80℃を超える場合、単量体水溶液が石油系炭化水素分散媒中に十分に混合される前に重合反応が進行する傾向にある。
第2段目の水溶性エチレン性不飽和単量体としては、第1段目の水溶性エチレン性不飽和単量体として例示したものと同様なものが使用できるが、単量体の種類、中和度、中和塩および単量体水溶液濃度は、第1段目の水溶性エチレン性不飽和単量体と同じであっても異なっていてもよい。
第2段目の水溶性エチレン性不飽和単量体の添加量は、吸水時の臭気が低減され、かつ微粉および粗粉の少ない吸水性樹脂を得る観点から、第1段目の水溶性エチレン性不飽和単量体100質量部に対して、80〜200質量部が好ましく、100〜160質量部がより好ましい。
第2段目の水溶性エチレン性不飽和単量体水溶液に添加されるラジカル重合開始剤およびその使用量についても、第1段目の重合に用いられるラジカル重合開始剤として例示したものから適宜選択して使用することができる。
また、第2段目の水溶性エチレン性不飽和単量体水溶液にも、必要に応じて、内部架橋剤、連鎖移動剤等を添加してもよく、第1段目の重合の際に例示したものから選択して使用することができる。
第2段目の逆相懸濁重合における反応温度についても、使用するラジカル重合開始剤によって異なるが、通常20〜110℃、好ましくは40〜90℃である。
本発明においては、第2段目の逆相懸濁重合が終了した反応混合物を、冷却して界面活性剤および/または高分子保護コロイドの少なくとも一部を析出させ、第3段目のラジカル重合開始剤を含む水溶性エチレン性不飽和単量体水溶液を添加し、第3段目の逆相懸濁重合を行う点(工程3)にも特徴がある。
第2段目の逆相懸濁重合が終了した反応混合物に、第3段目の水溶性エチレン性不飽和単量体水溶液を添加する際に、界面活性剤および/または高分子保護コロイドが溶解している状態では、単量体水溶液が第1、2段目の重合で得られた含水ゲルに吸収される前に、石油系炭化水素分散媒に分散されるため、得られる吸水性樹脂の粒径は小さく、微粉が多くなる傾向にある。
第3段目の水溶性エチレン性不飽和単量体を添加する前に、界面活性剤および/または高分子保護コロイドの少なくとも一部を析出させる際の反応混合物の温度は、例えば、30℃以下、好ましくは10〜30℃、より好ましくは15〜27℃である。反応混合物の温度が30℃を超える場合、界面活性剤および/または高分子保護コロイドが石油系炭化水素分散媒に溶解したり、単量体水溶液が含水ゲルに吸収される前に重合反応が進行する傾向にある。
第3段目の水溶性エチレン性不飽和単量体としては、第1段目の水溶性エチレン性不飽和単量体として例示したものと同様なものが使用できるが、単量体の種類、中和度、中和塩および単量体水溶液濃度は、第1段目の水溶性エチレン性不飽和単量体と同じであっても異なっていてもよい。
第3段目の水溶性エチレン性不飽和単量体の添加量は、吸水時の臭気が低減され、かつ微粉および粗粉の少ない吸水性樹脂を製造し、さらに生産性を高める観点から、第1段目の水溶性エチレン性不飽和単量体100質量部に対して、150〜600質量部が好ましく、200〜500質量部がより好ましい。
第3段目の水溶性エチレン性不飽和単量体水溶液に添加されるラジカル重合開始剤およびその使用量についても、第1段目の重合に用いられるラジカル重合開始剤として例示したものから適宜選択して使用することができる。
また、第3段目の水溶性エチレン性不飽和単量体水溶液にも、必要に応じて、内部架橋剤、連鎖移動剤等を添加してもよく、第1段目の重合の際に例示したものから選択して使用することができる。
第3段目の水溶性エチレン性不飽和単量体水溶液を、第2段目の逆相懸濁重合が終了した反応混合物に添加する前に、反応混合物の攪拌性を向上させ、重合温度の制御を容易にする観点から、石油系炭化水素分散媒を添加してもよい。添加する石油系炭化水素分散媒の量は、通常、第1段目の水溶性エチレン性不飽和単量体水溶液100質量部に対して、100〜1000質量部が好ましく、200〜800質量部がより好ましく、300〜600質量部がさらに好ましい。
第3段目の逆相懸濁重合における反応温度についても、使用するラジカル重合開始剤によって異なるが、通常20〜110℃、好ましくは40〜90℃である
本発明においては、水溶性エチレン性不飽和単量体の重合後から乾燥までの工程において、後架橋剤を添加して、後架橋処理を施すことにより、表面架橋密度が高まり、加圧下吸収能、吸水速度、ゲル強度等の諸性能を高めた衛生材料用途に好適な吸水性樹脂を得ることができる。
このような後架橋剤としては、反応性官能基を2個以上有する化合物を挙げることができる。その例としては、(ポリ)エチレングリコールジグリシジルエーテル、(ポリ)グリセロール(ポリ)グリシジルエーテル、(ポリ)プロピレングリコールジグリシジルエーテル、および(ポリ)グリセリンジグリシジルエーテル等のジグリシジル基含有化合物、(ポリ)エチレングリコール、(ポリ)プロピレングリコール、(ポリ)グリセリン、ペンタエリスリトール、エチレンジアミン、およびポリエチレンイミン等が挙げられる。これらの中でも、(ポリ)エチレングリコールジグリシジルエーテル、(ポリ)プロピレングリコールジグリシジルエーテル、および(ポリ)グリセリンジグリシジルエーテルが特に好ましい。これらの後架橋剤は、単独で使用してもよいし、2種類以上を併用してもよい。
後架橋剤の添加量は、得られる吸水性樹脂の吸水能を低下させず、かつ表面近傍の架橋密度を強めて、諸性能を高める観点から、単量体の総量に対して、0.005モル%から1モル%の範囲とすることが好ましく、0.01モル%から0.5モル%の範囲とすることがより好ましい。
後架橋剤の添加時期は、第3段目の重合終了後であればよく、後架橋剤は、特に限定されないが、吸水性樹脂の固形分100質量部に対し、1〜400質量部の範囲の水分存在下に添加されるのが好ましく、5〜200質量部の範囲の水分存在下に添加されるのがより好ましく、10〜100質量部の範囲の水分存在下に添加されるのが最も好ましい。このように、後架橋剤添加時の水分量をコントロールすることによって、より好適に、吸水性樹脂の表面近傍における架橋を施すことで、優れた吸水性能を達成することができる。
後架橋剤を添加する際には、必要に応じて溶媒として親水性有機溶媒を用いてもよい。この親水性有機溶媒としては、例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、およびイソプロピルアルコール等の低級アルコール類、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類、ジエチルエーテル、ジオキサン、およびテトラヒドロフラン等のエーテル類、N,N−ジメチルホルムアミド等のアミド類、ならびに、ジメチルスルホキシド等のスルホキシド類等が挙げられる。これら親水性有機溶媒は、単独で使用してもよいし、2種類以上を併用してもよい。
後架橋反応における温度は、50〜250℃が好ましく、60〜180℃がより好ましく、60〜140℃がさらに好ましく、70〜120℃がよりさらに好ましい。
本発明において、乾燥工程は常圧下でも減圧下で行ってもよく、乾燥効率を高めるため、窒素等の気流下で行ってもよい。乾燥工程が常圧の場合、乾燥温度は70〜250℃が好ましく、80〜180℃がより好ましく、80〜140℃がさらに好ましく、90〜130℃がよりさらに好ましい。また、減圧下の場合、乾燥温度は60〜100℃が好ましく、70〜90℃がより好ましい。
乾燥後の吸水性樹脂の水分率は、流動性を持たせる観点から20質量%以下であることが好ましく、通常は10質量%以下であることがより好ましい。また、流動性を向上させるために、非晶質シリカ粉末を添加してもよい。
衛生材料用途に好適な吸水性樹脂の中位粒子径としては、200〜600μmが好ましく、250〜500μmがより好ましく、300〜450μmがさらに好ましい。
また、吸水性樹脂の粒度分布において、ゲルブロッキングを抑え、液拡散性に優れた吸収体を得る観点から、粒子径が150μm以下の吸水性樹脂は10質量%以下であることが好ましく、吸収体自体の肌触りを良好にし、柔軟性を与える観点から、粒子径が600μmを超える吸水性樹脂は15質量%以下であることが好ましい。吸水性樹脂の中位粒子径および粒度分布は、後述する実施例に記載の測定方法によって測定される。
このように、本発明の製造方法によって、吸水時の臭気が低減され、かつ微粉および粗粉が少ない、優れた特性を有する吸水性樹脂が提供できる。
また、本発明の製造方法により得られる吸水性樹脂を用いた吸収体は、吸水性樹脂および親水性繊維を含む。吸収体の構成としては、例えば、吸水性樹脂と親水性繊維を均一にブレンドしたミキシング構造、層状の親水性繊維の間に吸水性樹脂を保持したサンドイッチ構造、吸水性樹脂と親水性繊維とをティッシュで包んだ構造等が挙げられるが、本発明はかかる例示に限定されるものではない。なお、吸収体には補強材として、合成繊維が含まれていてもよい。
吸収体における吸水性樹脂の含有量は、好ましくは5〜85質量%であり、より好ましくは15〜75質量%であることが望ましい。吸水性樹脂の含有量が5質量%未満の場合、吸収容量が少なくなり、液モレおよび逆戻りの増加につながる傾向がある。また吸水性樹脂の含有量が85質量%を超える場合、吸収体がコスト高になったり、吸収体の感触が硬くなる傾向がある。
親水性繊維としては、例えば、木材から得られる綿状パルプ、メカニカルパルプ、ケミカルパルプ、セミケミカルパルプ等のセルロース繊維、レーヨン、アセテート等の人工セルロース繊維等が挙げられるが、本発明はかかる例示のみに限定されるものではない。なお、親水性繊維は、ポリアミド、ポリエステル、ポリオレフィン等の合成樹脂からなる繊維を含有してもよい。
以下に、本発明を実施例および比較例に基づいてさらに詳細に説明するが、本発明はかかる実施例のみに限定されるものではない。
各実施例および比較例で得られた吸水性樹脂の、水分率、生理食塩水吸水能、中位粒子径、粒度分布および臭気官能試験を、以下に示す方法により評価した。
<水分率>
吸水性樹脂約2gを、予め秤量したアルミホイールケース(8号)に精秤した(Wa(g))。上記サンプルを、内温を105℃に設定した熱風乾燥機(ADVANTEC社製)で2時間乾燥させた後、デシケーター中で放冷して、乾燥後の吸水性樹脂の質量Wb(g)を測定した。以下の式から、吸水性樹脂の水分率を算出した。
Figure 2012041419
<生理食塩水吸水能>
500mL容のビーカーに、0.9質量%塩化ナトリウム水溶液(生理食塩水)500gを量り取り、600r/minで撹拌させながら、吸水性樹脂2.0gを、ママコが発生しないように分散させた。撹拌させた状態で60分間放置し、吸水性樹脂を十分に膨潤させた。その後、予め目開き75μm標準篩の質量Wc(g)を測定しておき、これを用いて、前記ビーカーの内容物をろ過し、篩いを水平に対して約30度の傾斜角となるように傾けた状態で、30分間放置することにより余剰の水分をろ別した。吸水ゲルの入った篩いの質量Wd(g)を測定し、以下の式により、生理食塩水吸水能を求めた。
Figure 2012041419
<中位粒子径および粒度分布>
吸水性樹脂50gに、滑剤として、0.25gの非晶質シリカ(デグサジャパン(株)、Sipernat200)を混合した。
JIS標準篩を上から、目開き850μmの篩、目開き600μmの篩、目開き500μmの篩、目開き425μmの篩、目開き300μmの篩、目開き250μmの篩、目開き150μmの篩および受け皿の順に組み合わせ、組み合わせた最上の篩に、前記吸水性樹脂を入れ、ロータップ式振とう器を用いて20分間振とうさせて分級した。
分級後、各篩上に残った吸水性樹脂の質量を全量に対する質量百分率として計算し、粒子径の大きい方から順に積算することにより、篩の目開きと篩上に残った吸水性樹脂の質量百分率の積算値との関係を対数確率紙にプロットした。確率紙上のプロットを直線で結ぶことにより、積算質量百分率50質量%に相当する粒子径を中位粒子径とした。
また、目開き850μmの篩と目開き600μmの篩(600μmを超えるもの)、受け皿(150μm以下のもの)の各篩上に残った吸水性樹脂の質量を、全量に対する質量百分率として計算し、その値から粒度分布を求めた。
<臭気官能試験>
(1)人工尿の調整
10L容の容器に、塩化ナトリウム60g、塩化カルシウム二水和物1.8g、塩化マグネシウム六水和物3.6gおよび適量の蒸留水を入れ、完全に溶解させた。次に、1質量%ポリ(オキシエチレン)イソオクチルフェニルエーテル水溶液15gを添加し、さらに蒸留水を添加して、水溶液全体の質量を6000gに調整し、人工尿を調製した。
(2)臭気官能試験
以下の実施例4〜6および比較例4〜6により得られた吸収体を250mLガラス瓶に入れた後、人口尿30gを添加して吸収体を膨潤させた。生理食塩水を添加後、直ちに密封した。前記ガラス瓶中の分散媒由来の臭気を、5人のパネラー(A〜E)に、規定基準の「6段階臭気強度表示法」に準じて下記の基準により判定してもらい、その平均値で評価した。
Figure 2012041419
[実施例1]
攪拌機、2段パドル翼、還流冷却器、滴下ロートおよび窒素ガス導入管を備えた2L容の丸底円筒型セパラブルフラスコを準備した。このフラスコにn−ヘプタン340gをとり、HLB3のショ糖ステアリン酸エステル(三菱化学フーズ(株)、リョートーシュガーエステルS−370)0.46g、無水マレイン酸変性エチレン・プロピレン共重合体(三井化学(株)、ハイワックス1105A)0.46gを添加し、撹拌しつつ80℃まで昇温して界面活性剤および高分子保護コロイドを溶解した後、50℃まで冷却した。
一方、300mL容の三角フラスコに80質量%のアクリル酸水溶液46g(0.51モル)をとり、外部より冷却しつつ、21質量%の水酸化ナトリウム水溶液73.0gを滴下して75モル%の中和を行った後、ラジカル重合開始剤として過硫酸カリウム0.055g(0.20ミリモル)、内部架橋剤としてN,N’−メチレンビスアクリルアミド4.6mg(0.03ミリモル)を加えて溶解し、第1段目の単量体水溶液を調製した。
前記の第1段目の単量体水溶液の全量を、前記セパブルフラスコに添加して、系内を窒素で十分に置換した後、フラスコを70℃の水浴に浸漬して昇温し、第1段目の重合を30分間行い、第1段目の反応混合物を得た。
一方、別の300mL容の三角フラスコに80質量%のアクリル酸水溶液46g(0.51モル)をとり、外部より冷却しつつ、27質量%の水酸化ナトリウム水溶液56.6gを滴下して75モル%の中和を行った後、ラジカル重合開始剤として過硫酸カリウム0.055g(0.20ミリモル)、内部架橋剤としてN,N’−メチレンビスアクリルアミド4.6mg(0.03ミリモル)を加えて溶解し、第2段目の単量体水溶液を調製した。
第1段目の逆相懸濁重合の終了後、界面活性剤および高分子保護コロイドが溶解している状態を保持するため、反応混合物の温度が40〜60℃の範囲内になるように制御しながら、第2段目の単量体水溶液を系内に添加した。次いで、系内を窒素で十分に置換した後、フラスコを70℃の水浴に浸漬して昇温し、第2段目の重合を30分間行い、第2段目の反応混合物を得た。
一方、別の500mL容の三角フラスコに80質量%のアクリル酸水溶液128.8g(1.43モル)をとり、外部より冷却しつつ、27質量%の水酸化ナトリウム水溶液159.0gを滴下して75モル%の中和を行った後、ラジカル重合開始剤として過硫酸カリウム0.16g(0.59ミリモル)、内部架橋剤としてN,N’−メチレンビスアクリルアミド12.9mg(0.08ミリモル)を加えて溶解して、第3段目の単量体水溶液を調製した。
前記第2段目の反応混合物を26℃に冷却し、同温度の前記第3段目の単量体水溶液を系内に添加し、30分間吸収させると同時に系内を窒素で十分に置換した後、再度、フラスコを70℃の水浴に浸漬して昇温し、第3段目の重合を30分間行った。
第3段目の重合後、125℃の油浴で反応混合物を昇温し、n−ヘプタンと水との共沸蒸留によりn−ヘプタンを還流しながら224gの水を系外へ抜き出した後、エチレングリコールジグリシジルエーテルの2%水溶液8.17g(0.94ミリモル)を添加し、80℃で2時間、後架橋反応を行った。その後、125℃の油浴で反応混合物を昇温し、n−ヘプタンを蒸発させて乾燥することによって、吸水性樹脂228.5gを得た。吸水性樹脂の中位粒子径は340μm、水分率は7.1%であった。各性能の測定結果を表2に示す。
[実施例2]
攪拌機、2段パドル翼、還流冷却器、滴下ロートおよび窒素ガス導入管を備えた2L容の丸底円筒型セパラブルフラスコを準備した。このフラスコにシクロヘキサン200gをとり、HLB3のショ糖ステアリン酸エステル(三菱化学フーズ(株)、リョートーシュガーエステルS−370)0.55g、無水マレイン酸変性エチレン・プロピレン共重合体(三井化学(株)、ハイワックス1105A)0.55gを添加し、撹拌しつつ80℃まで昇温して界面活性剤および高分子保護コロイドを溶解した後、50℃まで冷却した。
一方、300mL容の三角フラスコに80質量%のアクリル酸水溶液46g(0.51モル)をとり、外部より冷却しつつ、21質量%の水酸化ナトリウム水溶液73.0gを滴下して75モル%の中和を行った後、ラジカル重合開始剤として過硫酸カリウム0.055g(0.20ミリモル)、内部架橋剤としてN,N’−メチレンビスアクリルアミド4.6mg(0.03ミリモル)を加えて溶解し、第1段目の単量体水溶液を調製した。
前記の第1段目の単量体水溶液の全量を、前記セパブルフラスコに添加して、系内を窒素で十分に置換した後、フラスコを70℃の水浴に浸漬して昇温し、第1段目の重合を30分間行い、第1段目の反応混合物を得た。
一方、別の300mL容の三角フラスコに80質量%のアクリル酸水溶液46g(0.51モル)をとり、外部より冷却しつつ、27質量%の水酸化ナトリウム水溶液56.6gを滴下して75モル%の中和を行った後、ラジカル重合開始剤として過硫酸カリウム0.055g(0.20ミリモル)、内部架橋剤としてN,N’−メチレンビスアクリルアミド4.6mg(0.03ミリモル)を加えて溶解し、第2段目の単量体水溶液を調製した。
第1段目の逆相懸濁重合の終了後、界面活性剤および高分子保護コロイドが溶解している状態を保持するため、反応混合物の温度が40〜60℃の範囲内になるように制御しながら、第2段目の単量体水溶液を系内に添加した。次いで、系内を窒素で十分に置換した後、フラスコを70℃の水浴に浸漬して昇温し、第2段目の重合を30分間行い、第2段目の反応混合物を得た。
一方、別の500mL容の三角フラスコに80質量%のアクリル酸水溶液128.8g(1.43モル)をとり、外部より冷却しつつ、27質量%の水酸化ナトリウム水溶液159.0gを滴下して75モル%の中和を行った後、ラジカル重合開始剤として過硫酸カリウム0.16g(0.59ミリモル)、内部架橋剤としてN,N’−メチレンビスアクリルアミド12.9mg(0.08ミリモル)を加えて溶解して、第3段目の単量体水溶液を調製した。
前記第2段目の反応混合物にシクロヘキサン200gを添加した後、反応混合物を23℃に冷却し、同温度の前記第3段目の単量体水溶液を系内に添加し、30分間吸収させると同時に系内を窒素で十分に置換した後、再度、フラスコを70℃の水浴に浸漬して昇温し、第3段目の重合を30分間行った。
第3段目の重合後、125℃の油浴で反応混合物を昇温し、シクロヘキサンと水との共沸蒸留によりシクロヘキサンを還流しながら224gの水を系外へ抜き出した後、エチレングリコールジグリシジルエーテルの2%水溶液8.17g(0.94ミリモル)を添加し、80℃で2時間、後架橋反応を行った。その後、125℃の油浴で反応混合物を昇温し、シクロヘキサンを蒸発させて乾燥することによって、吸水性樹脂225.8gを得た。吸水性樹脂の中位粒子径は430μm、水分率は8.3%であった。各性能の測定結果を表2に示す。
[実施例3]
攪拌機、2段パドル翼、還流冷却器、滴下ロートおよび窒素ガス導入管を備えた2L容の丸底円筒型セパラブルフラスコを準備した。このフラスコにn−ヘプタン140gをとり、HLB3のショ糖ステアリン酸エステル(三菱化学フーズ(株)、リョートーシュガーエステルS−370)0.54g、無水マレイン酸変性エチレン・プロピレン共重合体(三井化学(株)、ハイワックス1105A)0.54gを添加し、撹拌しつつ80℃まで昇温して界面活性剤および高分子保護コロイドを溶解した後、50℃まで冷却した。
一方、300mL容の三角フラスコに80質量%のアクリル酸水溶液38g(0.42モル)をとり、外部より冷却しつつ、21質量%の水酸化ナトリウム水溶液60.0gを滴下して75モル%の中和を行った後、ラジカル重合開始剤として過硫酸カリウム0.045g(0.17ミリモル)、内部架橋剤としてN,N’−メチレンビスアクリルアミド3.8mg(0.03ミリモル)を加えて溶解し、第1段目の単量体水溶液を調製した。
前記の第1段目の単量体水溶液の全量を、前記セパブルフラスコに添加して、系内を窒素で十分に置換した後、フラスコを70℃の水浴に浸漬して昇温し、第1段目の重合を30分間行い、第1段目の反応混合物を得た。
一方、別の300mL容の三角フラスコに80質量%のアクリル酸水溶液54g(0.60モル)をとり、外部より冷却しつつ、27質量%の水酸化ナトリウム水溶液66.7gを滴下して75モル%の中和を行った後、ラジカル重合開始剤として過硫酸カリウム0.065g(0.24ミリモル)、内部架橋剤としてN,N’−メチレンビスアクリルアミド5.4mg(0.04ミリモル)を加えて溶解し、第2段目の単量体水溶液を調製した。
第1段目の逆相懸濁重合の終了後、界面活性剤および高分子保護コロイドが溶解している状態を保持するため、反応混合物の温度が40〜60℃の範囲内になるように制御しながら、第2段目の単量体水溶液を系内に添加した。次いで、系内を窒素で十分に置換した後、フラスコを70℃の水浴に浸漬して昇温し、第2段目の重合を30分間行い、第2段目の反応混合物を得た。
一方、別の500mL容の三角フラスコに80質量%のアクリル酸水溶液128.8g(1.43モル)をとり、外部より冷却しつつ、27質量%の水酸化ナトリウム水溶液159.0gを滴下して75モル%の中和を行った後、ラジカル重合開始剤として過硫酸カリウム0.16g(0.59ミリモル)、内部架橋剤としてN,N’−メチレンビスアクリルアミド12.9mg(0.08ミリモル)を加えて溶解して、第3段目の単量体水溶液を調製した。
前記第2段目の反応混合物にn−ヘプタン200gを添加した後、反応混合物を27℃に冷却し、同温度の前記第3段目の単量体水溶液を系内に添加し、30分間吸収させると同時に系内を窒素で十分に置換した後、再度、フラスコを70℃の水浴に浸漬して昇温し、第3段目の重合を30分間行った。
第3段目の重合後、125℃の油浴で反応混合物を昇温し、n−ヘプタンと水との共沸蒸留によりn−ヘプタンを還流しながら230gの水を系外へ抜き出した後、エチレングリコールジグリシジルエーテルの2%水溶液8.17g(0.94ミリモル)を添加し、80℃で2時間、後架橋反応を行った。その後、125℃の油浴で反応混合物を昇温し、n−ヘプタンを蒸発させて乾燥することによって、吸水性樹脂230.1gを得た。吸水性樹脂の中位粒子径は360μm、水分率は7.8%であった。各性能の測定結果を表2に示す。
[比較例1]
攪拌機、2段パドル翼、還流冷却器、滴下ロートおよび窒素ガス導入管を備えた2L容の丸底円筒型セパラブルフラスコを準備した。このフラスコにn−ヘプタン340gをとり、ショ糖ステアリン酸エステル(三菱化学フーズ(株)、リョートーシュガーエステルS−370)0.92g、無水マレイン酸変性エチレン・プロピレン共重合体(三井化学(株)、ハイワックス1105A)0.92gを添加し、撹拌しつつ80℃まで昇温して界面活性剤を溶解した後、50℃まで冷却した。
一方、500mL容の三角フラスコに80質量%のアクリル酸水溶液92g(1.02モル)をとり、外部より冷却しつつ、21質量%の水酸化ナトリウム水溶液146.0gを滴下して75モル%の中和を行った後、ラジカル重合開始剤として過硫酸カリウム0.11g(0.41ミリモル)、内部架橋剤としてN,N’−メチレンビスアクリルアミド9.2mg(0.06ミリモル)を加えて溶解し、第1段目の単量体水溶液を調製した。
前記の第1段目の単量体水溶液の全量を、前記セパブルフラスコに添加して、系内を窒素で十分に置換した後、フラスコを70℃の水浴に浸漬して昇温し、第1段目の重合を30分間行い、第1段目の反応混合物を得た。
一方、別の500mL容の三角フラスコに80質量%のアクリル酸水溶液128.8g(1.43モル)をとり、外部より冷却しつつ、27質量%の水酸化ナトリウム水溶液159.0gを滴下して75モル%の中和を行った後、ラジカル重合開始剤として過硫酸カリウム0.16g(0.59ミリモル)、内部架橋剤としてN,N’−メチレンビスアクリルアミド12.9mg(0.08ミリモル)を加えて溶解して、第2段目の単量体水溶液を調製した。
前記第1段目の反応混合物を22℃に冷却し、同温度の前記第2段目の単量体水溶液を系内に添加し、30分間吸収させると同時に系内を窒素で十分に置換した後、再度、フラスコを70℃の水浴に浸漬して昇温し、第2段目の重合を30分間行った。
第2段目の重合後、125℃の油浴で反応混合物を昇温し、n−ヘプタンと水との共沸蒸留によりn−ヘプタンを還流しながら222gの水を系外へ抜き出した後、エチレングリコールジグリシジルエーテルの2%水溶液3.97g(0.46ミリモル)を添加し、80℃で2時間、後架橋反応を行った。その後、125℃の油浴で反応混合物を昇温し、n−ヘプタンを蒸発させて乾燥することによって、吸水性樹脂228.4gを得た。吸水性樹脂の中位粒子径は370μm、水分率は8.2%であった。各性能の測定結果を表2に示す。
[比較例2]
実施例1において、第1段目の逆相懸濁重合終了後の反応混合物に、第2段目の水溶性エチレン性不飽和単量体水溶液を添加する際に、界面活性剤および高分子保護コロイドを析出させるために第1段目の反応混合物を20℃に冷却し、同温度の前記第2段目の単量体水溶液を系内に添加し、30分間吸収させると同時に系内を窒素で十分に置換した後、再度、フラスコを70℃の水浴に浸漬して昇温し、第2段目の重合を30分間行うことに変更した以外は、実施例1と同様の操作を行い、吸水性樹脂229.4gを得た。吸水性樹脂の中位粒子径は510μm、水分率は7.7%であった。各性能の測定結果を表2に示す。
[比較例3]
実施例1において、第2段目の逆相懸濁重合終了後の反応混合物に、第3段目の水溶性エチレン性不飽和単量体水溶液を添加する際に、界面活性剤および高分子保護コロイドが溶解している状態を保持するため、反応混合物の温度が40〜60℃の範囲内になるように制御しながら、第3段目の単量体水溶液を系内に添加し、系内を窒素で十分に置換した後、フラスコを70℃の水浴に浸漬して昇温し、第3段目の重合を30分間行うことに変更した以外は、実施例1と同様の操作を行い、吸水性樹脂219.7gを得た。吸水性樹脂の中位粒子径は240μm、水分率は7.4%であった。各性能の測定結果を表2に示す。
[実施例4]
実施例1で得られた吸水性樹脂3.5gと解砕パルプ1.5gをミキサーを用いてブレンドしたものを、空気抄造によって直径5cmのティッシュペーパー(質量0.04g)上に形成させ、同じ大きさおよび質量のティッシュペーパーを重ねてシート状にし、その全体に145kPaの荷重を30秒間施してプレスすることにより吸収体を得た。吸収体の臭気官能試験の結果を、表3に示す。
[実施例5および6]
実施例4において、実施例1の吸水性樹脂に代えて、実施例2および3で得られた吸水性樹脂を用いた以外は、実施例4と同様にして、各々、実施例5および6として吸収体を得た。各吸収体の臭気官能試験の結果を、表3に示す。
[比較例4〜6]
実施例4において、実施例1の吸水性樹脂に代えて、比較例1〜3で得られた吸水性樹脂を用いる以外は、実施例4と同様にして、比較例4〜6として、各々、比較例1〜3の吸水性樹脂を含む吸収体を得た。各吸収体の臭気官能試験の結果を、表3に示す。
Figure 2012041419
Figure 2012041419
表2から明らかなように、実施例1〜3の製造方法では、微粉および粗粉が少なく、優れた特性を有する吸水性樹脂が得られた。また、表3から明らかなように、本発明にかかる製造方法により得られた吸水性樹脂を用いた吸収体は、吸水時の臭気が低減されていた。
一方、比較例においては、逆相懸濁重合を2段で行う製造方法の場合(比較例1)では、吸水時の臭気が強い吸収体であった(比較例4)。第2段目の水溶性エチレン性不飽和単量体水溶液を添加する際に、界面活性剤および高分子保護コロイドを析出させるために第1段目の反応混合物を冷却した製造方法の場合(比較例2)、粒度分布において粒子径が600μmを超えるものが38.5質量%であり、粗粉が多い吸水性樹脂が得られた。また、界面活性剤および高分子保護コロイドを溶解させた状態で第3段目の水溶性エチレン性不飽和単量体水溶液を添加し、逆相懸濁重合を行う製造方法の場合(比較例3)、粒子径が150μm以下のものが15.2質量%であり、微粉が多い吸水性樹脂が得られた。
本発明の製造方法で得られた吸水性樹脂は、吸水時の臭気が低減され、かつ微粉および粗粉が少ないので、特に薄型化された生理用品や紙おむつ等の衛生材料に好適に使用することができる。

Claims (8)

  1. 水溶性エチレン性不飽和単量体を逆相懸濁重合させて吸水性樹脂を製造する方法であって、
    (1)界面活性剤および/または高分子保護コロイドの存在下に石油系炭化水素分散媒中、水溶性エチレン性不飽和単量体水溶液を、ラジカル重合開始剤を用いて、第1段目の逆相懸濁重合を行う工程、
    (2)界面活性剤および/または高分子保護コロイドが石油系炭化水素分散媒に溶解している状態で、第1段目の逆相懸濁重合が終了した反応混合物に、ラジカル重合開始剤を含む第2段目の水溶性エチレン性不飽和単量体水溶液を添加し、第2段目の逆相懸濁重合を行う工程、および
    (3)第2段目の逆相懸濁重合が終了した反応混合物を、冷却して界面活性剤および/または高分子保護コロイドの少なくとも一部を析出させ、ラジカル重合開始剤を含む第3段目の水溶性エチレン性不飽和単量体水溶液を添加し、第3段目の逆相懸濁重合を行う工程
    を含むことを特徴とする吸水性樹脂の製造方法。
  2. 工程(3)により得られた吸水性樹脂を後架橋剤で後架橋する工程をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の吸水性樹脂の製造方法。
  3. 界面活性剤が、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステルおよびショ糖脂肪酸エステルからなる群より選ばれた少なくとも1種である請求項1または2に記載の吸水性樹脂の製造方法。
  4. 高分子保護コロイドが、無水マレイン酸変性ポリエチレン、無水マレイン酸変性ポリプロピレン、無水マレイン酸変性エチレン・プロピレン共重合体、無水マレイン酸・エチレン共重合体、無水マレイン酸・プロピレン共重合体、無水マレイン酸・エチレン・プロピレン共重合体、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン・プロピレン共重合体、酸化型ポリエチレン、酸化型ポリプロピレンおよび酸化型エチレン・プロピレン共重合体からなる群より選ばれた少なくとも1種である請求項1〜3のいずれか1項に記載の吸水性樹脂の製造方法。
  5. 水溶性エチレン性不飽和単量体が、アクリル酸およびその塩、メタクリル酸およびその塩、ならびにアクリルアミドからなる群より選ばれた少なくとも1種である請求項1〜4のいずれか1項に記載の吸水性樹脂の製造方法。
  6. 石油系炭化水素分散媒が、炭素数6〜8の脂肪族炭化水素および脂環族炭化水素からなる群より選ばれた少なくとも1種である請求項1〜5のいずれか1項に記載の吸水性樹脂の製造方法。
  7. 請求項1〜6のいずれか1項に記載の製造方法によって得られる吸水性樹脂。
  8. 請求項7に記載の吸水性樹脂および親水性繊維を含む吸収体。
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