JP2012035490A - 圧電アクチュエーターの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】変位低下を抑えつつ、基板と下電極との密着性が向上し、安定した駆動の行なえる圧電アクチュエーター、圧電アクチュエーターを備えた液体噴射ヘッドおよび液体噴射装置を得ること。
【解決手段】チタン膜61と、チタン膜61上に形成され、膜厚の比が1.5以下の白金膜62とが、チタンと白金と酸素とを含むPZT前駆体膜71とともに焼成される。チタン膜61の膜厚を40nm以下とすることで、PZT前駆体膜71との界面への焼成によるチタンの拡散を抑えることができ、酸化チタンの形成を抑えることができる。また、白金膜62の膜厚に応じてチタン膜61の膜厚の下限が決まる。したがって、変位低下を抑えつつ、弾性膜50および絶縁体膜55と下電極60との密着性を向上でき、安定した駆動が行なえる圧電アクチュエーター310および圧電アクチュエーター310の製造方法を得ることができる。
【選択図】図7

Description

本発明は、圧電アクチュエーターの製造方法に関する。
チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)等に代表される結晶を含む圧電体は、圧電効果等を有しているため、圧電アクチュエーターに応用されている。圧電アクチュエーターは、基板と一対の電極を有する圧電素子とを備えている。圧電アクチュエーターの駆動は、一対の電極間に電圧を印加し、電圧に応じて圧電体を変形させて行なう。
また、液体としてのインクを吐出するノズル開口と連通する圧力発生室の一部を圧電アクチュエーターで構成し、圧力発生室のインクを加圧してノズル開口からインクを吐出させる液体噴射ヘッドとしてのインクジェット式記録ヘッドおよび液体噴射装置としてのインクジェット式記録装置が知られている。
酸化膜である絶縁体膜を有する基板を用い、絶縁体膜上に、密着層および白金層からなる下電極としての下電極膜、チタン層、圧電体層、上電極としての上電極膜を順次積層した圧電アクチュエーターとしてのアクチュエーター装置が知られている。
下電極膜は、具体的には、絶縁体膜上に、チタンからなる厚さが5〜50nmの密着層を形成し、次いで、密着層上に白金からなり厚さが50〜500nmの白金層を形成して得られる(特許文献1参照)。
特開2007−118193号公報
密着層を厚くすると、酸化膜と下電極との密着性は向上するが、PZTの焼成時にチタンが下電極とPZTとの界面まで拡散し、界面に酸化チタンが形成されて変位低下が生じる。
したがって、変位低下を抑えつつ、基板と下電極との密着性が向上し、安定した駆動が行なえる圧電アクチュエーター、圧電アクチュエーターを備えた液体噴射ヘッド、液体噴射装置などを得るのが困難である。
本発明は、上述の課題を解決するためになされたものであり、以下の形態または適用例として実現することが可能である。
[適用例1]
酸化膜を有する基板の前記酸化膜上に40nm以下の膜厚のチタン膜を形成するチタン膜形成工程と、前記チタン膜上に、膜厚の比(白金膜の膜厚)/(前記チタン膜の膜厚)が1.5以下の前記白金膜を形成する白金膜形成工程と、前記白金膜上に鉛、ジルコンおよびチタンを含む圧電体前駆体膜を形成する圧電体前駆体膜形成工程と、前記圧電体前駆体膜を焼成して圧電体層を形成する圧電体層形成工程とを含むことを特徴とする圧電アクチュエーターの製造方法。
この適用例によれば、40nm以下の膜厚のチタン膜と、チタン膜上に形成され、膜厚の比である(白金膜の膜厚)/(チタン膜の膜厚)が1.5以下の白金膜とが、チタン、白金および酸素を含む圧電体前駆体膜とともに焼成される。チタン膜の膜厚を40nm以下とすることで、圧電体前駆体膜との界面への焼成によるチタンの拡散が抑えられ、酸化チタンの形成が抑えられる。また、白金膜の膜厚に応じてチタン膜の膜厚の下限が決まる。したがって、変位低下を抑えつつ、基板と下電極との密着性が向上し、安定した駆動が行なえる圧電アクチュエーターの製造方法が得られる。
[適用例2]
上記圧電アクチュエーターの製造方法であって、前記白金の膜厚が、30nm以下であることを特徴とする圧電アクチュエーターの製造方法。
この適用例では、基板と下電極との密着性のバラツキを抑えて均一な密着性を有する圧電アクチュエーターの製造方法が得られる。
実施形態におけるインクジェット式記録装置の一例を示す概略斜視図。 インクジェット式記録ヘッドの概略構成を示す分解部分斜視図。 (a)はインクジェット式記録ヘッドの部分平面図、(b)は(a)におけるA−A部分断面図。 圧電アクチュエーターの製造方法を示すフローチャート図。 圧電アクチュエーターの製造方法を表す概略断面図。 圧電アクチュエーターの製造方法を表す概略断面図。 圧電アクチュエーターの製造方法を表す概略断面図。 圧電アクチュエーターの製造方法を表す概略断面図。 密着層の膜厚と変位低下率との関係を表す図。 白金の膜厚と密着力との関係を表す図。
以下、実施形態を図面に基づいて詳しく説明する。
図1は、液体噴射装置としてのインクジェット式記録装置1000の一例を示す概略斜視図である。インクジェット式記録装置1000は、液体噴射ヘッドとしてのインクジェット式記録ヘッド1を備えている。
図1において、インクジェット式記録装置1000は、記録ヘッドユニット1Aおよび1Bを備えている。記録ヘッドユニット1Aおよび1Bには、インク供給手段を構成するカートリッジ2Aおよび2Bが着脱可能に設けられ、この記録ヘッドユニット1Aおよび1Bを搭載したキャリッジ3は、装置本体4に取り付けられたキャリッジ軸5に軸方向移動自在に設けられている。
記録ヘッドユニット1Aおよび1Bは、例えば、それぞれブラックインク組成物およびカラーインク組成物を吐出する。そして、駆動モーター6の駆動力が図示しない複数の歯車およびタイミングベルト7を介してキャリッジ3に伝達されることで、記録ヘッドユニット1Aおよび1Bを搭載したキャリッジ3はキャリッジ軸5に沿って移動する。一方、装置本体4にはキャリッジ軸5に沿ってプラテン8が設けられており、図示しない給紙ローラーなどにより給紙された紙等の記録媒体である記録シートSがプラテン8上を搬送されるようになっている。
記録ヘッドユニット1Aおよび1Bは、インクジェット式記録ヘッド1を記録シートSに対向する位置に備えている。図では、インクジェット式記録ヘッド1は、記録ヘッドユニット1Aおよび1Bの記録シートS側に位置しており、直接図示されていない。
図2に、実施形態にかかるインクジェット式記録ヘッド1を示す分解部分斜視図を示した。インクジェット式記録ヘッド1の形状は略直方体であり、図2は、インクジェット式記録ヘッド1の長手方向(図中の白抜き矢印方向)に直交する面で切断した分解部分斜視図である。
また、図3(a)には、インクジェット式記録ヘッド1の部分平面図を、(b)には、(a)におけるA−A部分断面図を示した。
図2および図3において、インクジェット式記録ヘッド1は、流路形成基板10とノズルプレート20と保護基板30とコンプライアンス基板40と駆動回路200とを備えている。
流路形成基板10とノズルプレート20と保護基板30とは、流路形成基板10をノズルプレート20と保護基板30とで挟むように積み重ねられ、保護基板30上には、コンプライアンス基板40が形成されている。
流路形成基板10は、面方位(110)のシリコン単結晶板からなる。流路形成基板10には、異方性エッチングによって、複数の圧力発生室12が列をなすように形成されている。圧力発生室12のインクジェット式記録ヘッド1の幅方向の断面形状は台形状で、圧力発生室12は、インクジェット式記録ヘッド1の幅方向に長く形成されている。
また、流路形成基板10の圧力発生室12の長手方向外側の領域には連通部13が形成され、さらに、連通部13と各圧力発生室12とが、各圧力発生室12に設けられた液体供給路としてのインク供給路14を介して連通されている。インク供給路14は、圧力発生室12よりも狭い幅で形成されており、連通部13から圧力発生室12に流入するインクの流路抵抗を一定に保持している。
ノズルプレート20には、各圧力発生室12のインク供給路14とは反対側の端部近傍に、外部と連通するノズル開口21が穿設されている。
なお、ノズルプレート20は、ガラスセラミックス、シリコン単結晶基板または不錆鋼などからなる。
流路形成基板10とノズルプレート20とは、マスク膜51を介して、接着剤や熱溶着フィルム等によって固着されている。マスク膜51は、窒化シリコン等からなり、マスク膜51を介して流路形成基板10をKOH等のアルカリ溶液を用いて異方性エッチングすることにより、流路形成基板10に圧力発生室12、連通部13およびインク供給路14等を形成する。
流路形成基板10のノズルプレート20が固着された面と対向する面には、基板としての振動板を構成する弾性膜50が形成されている。弾性膜50は、熱酸化により形成された酸化膜からなる。
流路形成基板10の弾性膜50上には、酸化膜からなる絶縁体膜55が形成されている。絶縁体膜55は、例えば、以下のようにして形成する。
まず、ジルコニウム膜を形成する。ジルコニウム膜は、スパッタリング法等により形成できる。ジルコニウム膜を500〜1200℃の拡散炉で熱酸化することにより酸化ジルコニウムからなる絶縁体膜55を形成する。
実施形態では、基板としての振動板は、弾性膜50と絶縁体膜55とから構成されている。
また、絶縁体膜55上には、厚さが例えば、約0.01〜0.02μmの下電極60と、厚さが例えば、約0.5〜5μmの圧電体層70と、厚さが例えば、約0.01μmの上電極80とを含む圧電素子300が形成されている。
下電極60は、例えば、白金、イリジウム、チタン等の金属や、これらの酸化物を含む。
圧電体層70は、例えば、圧電材料のPZTを含む。圧電材料としては、例えば、PZTに、ニオブ、ニッケル、マグネシウム、ビスマスまたはイットリウム等の金属を添加したリラクサ強誘電体等を用いてもよい。また、鉛を圧電材料に含まない、いわゆる非鉛の圧電材料を用いてもよい。
上電極80は、金、白金、イリジウム等の金属を用いることができる。
一般的には、圧電素子300のいずれか一方の電極を共通電極とし、他方の電極および圧電体層70を圧力発生室12毎にパターニングして構成する。そして、ここではパターニングされたいずれか一方の電極および圧電体層70から構成され、両電極への電圧の印加により圧電歪みが生じる部分を圧電体能動部という。
なお、実施形態では、下電極60を圧電素子300の共通電極とし、上電極80を圧電素子300の個別電極としているが、駆動回路や配線の都合でこれを逆にしても支障はない。いずれの場合においても、圧力発生室12毎に圧電体能動部が形成されていることになる。また、ここでは、圧電素子300と圧電素子300の駆動により変位が生じる基板としての弾性膜50および絶縁体膜55とを合わせて圧電アクチュエーター310と称する。
以下に、圧電アクチュエーター310の製造方法について述べる。
図4は、圧電アクチュエーター310の製造方法の一部を示すフローチャート図である。
圧電アクチュエーター310の製造方法は、チタン膜形成工程としてのステップ1(S1)と、白金膜形成工程としてのステップ2(S2)と、圧電体前駆体膜形成工程としてのステップ3(S3)と、圧電体層形成工程としてのステップ4(S4)とを含む。
図5(a)および図5(b)は基板形成工程を、図5(c)はチタン膜形成工程(S1)を、図5(d)は白金膜形成工程(S2)を、図6(e)はイリジウム膜形成工程を、図6(f)は種チタン膜形成工程を、図6(g)〜図7(j)は圧電体前駆体膜形成工程(S3)または圧電体層形成工程(S4)を、図7(k)〜図8(m)は圧電アクチュエーター形成工程を表している。ここで、図5(a)〜図7(j)は拡大概略断面図で、図7(k)〜図8(m)は概略断面図である。
図5(a)において、基板形成工程では、シリコンウェハーである流路形成基板用ウェハー110を約1100℃の拡散炉で熱酸化し、その表面に弾性膜50を形成する。なお、実施形態では、流路形成基板用ウェハー110として、膜厚が約625μmと比較的厚く剛性の高いシリコンウェハーを用いている。
図5(b)において、基板形成工程では、弾性膜50上に、酸化ジルコニウムからなる絶縁体膜55を形成する。具体的には、弾性膜50上に、例えば、スパッタ法等によりジルコニウム膜を形成後、このジルコニウム膜を、例えば、500〜1200℃の拡散炉で熱酸化することにより酸化ジルコニウムからなる絶縁体膜55を形成する。
図5(c)において、チタン膜形成工程(S1)では、絶縁体膜55上に、密着層としての厚さが40nm以下のチタン膜61を形成する。実施形態では、チタン膜61を20nmの厚さで形成した。このようにチタン膜61を設けることによって、絶縁体膜55と図3に示した下電極60との密着力を高めることができる。
図5(d)において、白金膜形成工程(S2)では、チタン膜61上に白金からなり、膜厚の比(白金膜の膜厚)/(チタン膜の膜厚)が1.5以下の白金膜62を形成する。実施形態では、白金膜62を30nmの厚さで形成した。
図6(e)において、イリジウム膜形成工程では、白金膜62上にイリジウム膜63を形成する。イリジウム膜63の厚さは、例えば、5nmとする。イリジウム膜63を形成することにより、図3に示した圧電体層70からの鉛の拡散を低減できる。
図6(f)において、種チタン膜形成工程では、イリジウム膜63上にチタンからなり厚さが1〜20nm、実施形態では厚さが4nmの種チタン膜64を形成する。このようにイリジウム膜63上に種チタン膜64を設けることにより、後の工程で種チタン膜64上に図3に示した圧電体層70を形成する際に、圧電体層70の優先配向方位を(100)または(111)に制御することができ、好適な圧電効果を備えた圧電体層70を得ることができる。なお、種チタン膜64は、圧電体が結晶化する際に、結晶化を促進させるシードとして機能し、圧電体層70の焼成後には種チタン膜64の一部または全部が圧電体層70内に拡散するものである。
チタン膜61、白金膜62、イリジウム膜63および種チタン膜64とで下電極膜65が形成される。
下電極膜65の各層は、例えば、DCマグネトロンスパッタリング法によって形成できる。
図6(g)〜図7(j)において、圧電体前駆体膜形成工程(S3)と圧電体層形成工程(S4)とで、図3に示した圧電体層70を形成する。実施形態では、金属有機物を触媒に溶解、分散したいわゆるゾルを塗布乾燥してゲル化し、さらに高温で焼成することで金属酸化物からなる圧電体層70を得る、いわゆるゾル−ゲル法を用いて圧電体層70を形成している。なお、圧電体層70の材料としては、例えば、PZT等の強誘電性圧電性材料や、これにニオブ、ニッケル、マグネシウム、ビスマスまたはイットリウム等の金属を添加したリラクサ強誘電体等が用いられる。
さらに、これらの液相法による圧電体層膜の製造方法に限定されず、スパッタリングなどの蒸着法を用いた圧電体層膜の製造方法であってもよい。
なお、ゾル−ゲル法に限定されず、例えば、MOD(Metal−Organic Decomposition)法等を用いてもよい。
図6(g)において、パターニングする前の下電極膜65上に圧電体前駆体膜であるPZT前駆体膜71を成膜する。すなわち、下電極膜65が形成された流路形成基板10上に金属有機化合物を含むゾルを塗布(塗布工程)する。次いで、このPZT前駆体膜71を所定温度に加熱して一定時間乾燥させる。例えば、実施形態では、PZT前駆体膜71を170〜180℃で8〜30分保持することで乾燥(乾燥工程)できる。また、乾燥工程での昇温レートは0.5〜1.5℃/secが好適である。なお、ここで言う「昇温レート」とは、加熱開始時の温度(室温)と到達温度との温度差の20%上昇した温度から、温度差の80%の温度に達するまでの温度の時間変化率と規定する。例えば、室温25℃から100℃まで50秒で昇温させた場合の昇温レートは、(100−25)×(0.8−0.2)/50=0.9[℃/sec]となる。
次に、乾燥したPZT前駆体膜71を所定温度に加熱して一定時間保持することによって脱脂(脱脂工程)する。例えば、実施形態では、PZT前駆体膜71を300〜400℃程度の温度に加熱して約10〜30分保持することで脱脂した。なお、ここで言う脱脂とは、PZT前駆体膜71に含まれる有機成分を、例えば、NO2、CO2、H2O等として離脱させることである。また、脱脂では、昇温レートを0.5〜1.5℃/secとするのが好ましい。
図6(h)において、PZT前駆体膜71を所定温度に加熱して焼成(焼成工程)し、一定時間保持することによって結晶化させ、圧電体膜72を形成する。焼成では、PZT前駆体膜71を680〜900℃に加熱するのが好ましい。実施形態では、680℃で5〜30分間加熱を行ってPZT前駆体膜71を焼成して圧電体膜72を形成した。ここで、焼成におけるPZT前駆体膜71の加熱方法は特に限定されないが、例えば、RTA(Rapid Thermal Annealing)法等を用いて、昇温レートを比較的速くすることが好ましい。例えば、実施形態では、赤外線ランプの照射により加熱するRTA装置を用いて、PZT前駆体膜71を比較的速い昇温レートで加熱した。なお、PZT前駆体膜71を焼成する際の昇温レートは、50℃/sec以上である。
図7(i)において、下電極膜65上に圧電体膜72の1層目を形成した段階で、下電極膜65および1層目の圧電体膜72を同時にパターニングする。
ここで、例えば、種チタン膜64を形成した後にパターニングしてから1層目の圧電体膜72を形成すると、フォト工程、イオンミリング、アッシングしてパターニングするために、種チタン膜64が変質してしまう。したがって、変質した種チタン膜64上に1層目の圧電体膜72を形成しても当該圧電体膜72の結晶性が良好なものではなくなり、1層目の圧電体膜72の上に形成される他の圧電体膜72も、1層目の圧電体膜72の結晶状態に影響して結晶成長するため、良好な結晶性を有する圧電体膜72が形成されない。
それに比べ、1層目の圧電体膜72を形成した後に下電極膜65と同時にパターニングすれば、1層目の圧電体膜72は種チタン膜64に比べて2層目以降の圧電体膜72を良好に結晶成長させる種としても性質が強く、たとえパターニングで表層に極薄い変質層が形成されていても2層目以降の圧電体膜72の結晶成長に大きな影響を与えない。
図7(j)において、パターニング後に上述した塗布工程、乾燥工程、脱脂工程及び焼成工程からなる圧電体膜形成工程を複数回繰り返すことで、複数層の圧電体膜72からなる所定厚さの圧電体層70を形成する。例えば、ゾルの1回あたりの膜厚が0.1μm程度の場合には、例えば、10層の圧電体膜72からなる圧電体層70全体の膜厚は約1.1μm程度となる。
なお、上述のように下電極膜65上に圧電体膜72の1層目を形成した段階でこれらを同時にパターニングすることで、2層目の圧電体膜72を形成する際に、下電極膜65および1層目の圧電体膜72が形成された部分とそれ以外の部分との境界近傍において、下地の違いによる2層目の圧電体膜72の結晶性への悪影響を小さく、すなわち、緩和できる。これにより、下電極膜65とそれ以外の部分との境界近傍において、2層目の圧電体膜72の結晶成長が良好に進み、結晶性に優れた圧電体層70を形成できる。
このように圧電体膜72を形成した際に、下電極膜65を構成するチタン膜61と白金膜62とイリジウム膜63と種チタン膜64も同時に加熱され、下電極膜65の中でチタンの拡散や、白金の結晶粒の形成や、酸化等が起こり、チタン、白金、酸素およびイリジウムとを含む合金が形成される。したがって、図6(h)〜図7(j)では、各段階によって下電極膜65の様子が異なると考えられるので各膜を詳細には示していない。
図7(k)において、圧電体層70を形成した後は、例えば、イリジウムからなる上電極膜を流路形成基板用ウェハー110の全面に形成し、圧電体層70および上電極膜を、各圧力発生室12に対向する領域にパターニングして、下電極60、圧電体層70および上電極80を備えた圧電素子300および圧電アクチュエーター310を形成する。上電極膜は、スパッタリング法、例えば、DCまたはRFスパッタリング法によって形成できる。
図8(l)において、流路形成基板用ウェハー110の圧電素子300および圧電アクチュエーター310を覆うように、保護膜100を形成すると共に所定形状にパターニングして接続孔120を形成する。保護膜100としては、耐湿性を有する材料、例えば、酸化シリコン、酸化タンタル、酸化アルミニウム等の無機絶縁材料を用いるのが好ましく、特に、無機アモルファス材料である酸化アルミニウム、例えば、アルミナを用いるのが好ましい。
このように圧電素子300を保護膜100で覆うことにより、大気中の水分等に起因する圧電素子300の破壊を防止できる。保護膜100の材料として酸化アルミニウムを用いた場合、保護膜100の膜厚を100nm程度と比較的薄くしても、高湿度環境下での水分透過を十分に防ぐことができる。
なお、実施形態では、保護膜100を図2に示すように、複数の圧電素子300に亘って連続して設けるようにしたが、特にこれに限定されず、例えば、保護膜100を圧電素子300毎に設けるようにしてもよい。
図8(m)において、流路形成基板用ウェハー110の全面に亘って、例えば、金(Au)等からなるリード電極膜を形成後、例えば、レジスト等からなる図示しないマスクパターンを介して圧電素子300毎にパターニングする。
なお、圧電素子300が形成された段階までで、圧電素子300および圧電アクチュエーター310としたが、保護膜100やリード電極90を含めて、圧電素子300および圧電アクチュエーター310としてもよい。
図2、図3および図8(m)においてリード電極90は、保護膜100および上電極80に形成された接続孔120を介して一端部が上電極80に接続されている。一方、他端部は延設され、延設された先端部は、少なくともその先端部が、保護基板30に形成された貫通孔33の底部に露出している。リード電極90の他端部は、圧電素子300を駆動する駆動回路200と接続配線210を介して接続されている。
圧電素子300が形成された流路形成基板10上には、保護基板30が接着剤35によって接着されている。
保護基板30は、圧電素子300に対向する領域に、圧電素子300の運動を阻害しない程度の空間を確保した状態の圧電素子保持部31を有する。
なお、実施形態では、各圧電素子保持部31は、各圧力発生室12の列に対応する領域に一体的に設けられているが、圧電素子300毎に独立して設けられていてもよい。
保護基板30の材料としては、例えば、ガラス、セラミックス材料、金属、樹脂等が挙げられるが、流路形成基板10の熱膨張率と略同一の材料で形成されていることがより好ましく、実施形態では、流路形成基板10と同一材料のシリコン単結晶基板を用いて形成する。
また、保護基板30には、流路形成基板10の連通部13に対応する領域にリザーバー部32が設けられている。このリザーバー部32は、実施形態では、保護基板30を厚さ方向に貫通して圧力発生室12の列に沿って設けられており、流路形成基板10の連通部13と連通されて各圧力発生室12の共通のインク室となるマニホールド130を構成している。
駆動信号は、例えば、駆動電源信号等の駆動ICを駆動させるための駆動系信号のほか、シリアル信号(SI)等の各種制御系信号を含み、配線は、それぞれの信号が供給される複数の配線で構成される。
保護基板30上には、封止膜41および固定板42とからなるコンプライアンス基板40が接合されている。ここで、封止膜41は、剛性が低く可撓性を有する材料(例えば、厚さが6μmのポリフェニレンサルファイド(PPS)フィルム)からなり、この封止膜41によってリザーバー部32の一方面が封止されている。また、固定板42は、金属等の硬質の材料(例えば、厚さが30μmのステンレス鋼(SUS)等)で形成されている。この固定板42のマニホールド130に対向する領域は、厚さ方向に完全に除去された開口部43となっているため、マニホールド130の一方面は可撓性を有する封止膜41のみで封止されている。
インクジェット式記録ヘッド1の製造は、以下のように行なうことができる。
流路形成基板用ウェハー110および保護基板用ウェハーの外周縁部の不要部分を、例えば、ダイシング等により切断することによって除去する。そして、流路形成基板用ウェハー110の保護基板用ウェハーとは反対側の面にノズル開口21が穿設されたノズルプレート20を接合すると共に、保護基板用ウェハーにコンプライアンス基板40を接合し、流路形成基板用ウェハー110等を図2および図3に示すような一つのチップサイズの流路形成基板10等に分割することによって、実施形態のインクジェット式記録ヘッド1とする。
インクジェット式記録ヘッド1では、カートリッジ2Aおよび2Bからインクを取り込み、マニホールド130からノズル開口21に至るまで内部をインクで満たした後、駆動回路200からの記録信号に従い、圧力発生室12に対応するそれぞれの下電極60と上電極80との間に電圧が印加される。電圧の印加によって、弾性膜50および圧電体層70がたわみ変形し、各圧力発生室12内の圧力が高まりノズル開口21からインク滴が吐出する。
図9に、チタン膜61の膜厚と変位低下率を表す図を示した。
図9において、横軸がチタン膜61の膜厚(nm)を示し、縦軸が変位低下率(%)を示している。
変位低下率は、一定の電圧を印加した場合の圧電アクチュエーター310の変位量を初期で測定し、190億回駆動後の圧電アクチュエーター310の変位量を測定して、初期の変位量に対する変位量低下の割合で評価を行なった。
20nmで3.9%、50nmで5.5%であった。5%以上の変位低下率は、圧電アクチュエーター310の駆動性能としては好ましくない低下である。
図10に、白金の膜厚と密着力との関係を表す図を示した。
図10において、横軸が白金膜62の膜厚(nm)を示し、縦軸が密着力(Kg/cm2)を示している。ここで、チタン膜61の膜厚は、20nmとし、イリジウム膜63の膜厚は、20nmとした。
密着力の評価は引っ張り試験により行なった。密着力の評価は複数回行い、図には、最小値、最大値および平均値を示した。
白金膜62の膜厚が、30nmでは密着性が向上し、バラツキが少なくなるのがわかる。
このような実施形態によれば、以下の効果がある。
(1)40nm以下の膜厚のチタン膜61と、チタン膜61上に形成され、膜厚の比である(白金膜62の膜厚)/(チタン膜61の膜厚)が1.5以下の白金膜62とが、チタン、白金および酸素を含むPZT前駆体膜71とともに焼成される。チタン膜61の膜厚を40nm以下とすることで、PZT前駆体膜71との界面への焼成によるチタンの拡散を抑えることができ、酸化チタンの形成を抑えることができる。また、白金膜62の膜厚に応じてチタン膜61の膜厚の下限が決まる。したがって、変位低下を抑えつつ、弾性膜50および絶縁体膜55と下電極60との密着性を向上でき、安定した駆動が行なえる圧電アクチュエーター310および圧電アクチュエーター310の製造方法を得ることができる。
(2)白金膜62の膜厚が、30nm以下なので、PZT前駆体膜71との界面への焼成によるチタンの拡散がより抑えられ、変位低下をより抑え、より安定した駆動が行なえる圧電アクチュエーター310および圧電アクチュエーター310の製造方法を得ることができる。
(3)前述の効果を有する圧電アクチュエーター310を備えているので、インクを安定して吐出できるインクジェット式記録ヘッド1を得ることができる。
(4)前述の効果を有するインクジェット式記録ヘッド1を備えているので、インクを安定して吐出できるインクジェット式記録装置1000を得ることができる。
上述した実施形態では、液体噴射ヘッドの一例としてインクジェット式記録ヘッドを挙げて説明したが、本発明は広く液体噴射ヘッド全般を対象としたものであり、インク以外の液体を噴射する液体噴射ヘッドにも勿論適用できる。
その他の液体噴射ヘッドとしては、例えば、プリンター等の画像記録装置に用いられる各種の記録ヘッド、液晶ディスプレイ等のカラーフィルターの製造に用いられる色材噴射ヘッド、有機ELディスプレイ、FED(電界放出ディスプレイ)等の電極形成に用いられる電極材料噴射ヘッド、バイオchip製造に用いられる生体有機物噴射ヘッド等が挙げられる。
1…インクジェット式記録ヘッド、1A,1B…記録ヘッドユニット、2A,2B…カートリッジ、3…キャリッジ、4…装置本体、5…キャリッジ軸、6…駆動モーター、7…タイミングベルト、8…プラテン、10…流路形成基板、12…圧力発生室、13…連通部、14…インク供給路、20…ノズルプレート、21…ノズル開口、30…保護基板、31…圧電素子保持部、32…リザーバー部、33…貫通孔、35…接着剤、40…コンプライアンス基板、41…封止膜、42…固定板、43…開口部、50…弾性膜、51…マスク膜、55…絶縁体膜、60…下電極、61…チタン膜、62…白金膜、63…イリジウム膜、64…種チタン膜、65…下電極膜、70…圧電体層、71…PZT前駆体膜、72…圧電体膜、80…上電極、90…リード電極、100…保護膜、130…マニホールド、200…駆動回路、300…圧電素子、310…圧電アクチュエーター、1000…インクジェット式記録装置。

Claims (2)

  1. 酸化膜を有する基板の前記酸化膜上に40nm以下の膜厚のチタン膜を形成するチタン膜形成工程と、
    前記チタン膜上に、膜厚の比(白金膜の膜厚)/(前記チタン膜の膜厚)が1.5以下の前記白金膜を形成する白金膜形成工程と、
    前記白金膜上に鉛、ジルコンおよびチタンを含む圧電体前駆体膜を形成する圧電体前駆体膜形成工程と、
    前記圧電体前駆体膜を焼成して圧電体層を形成する圧電体層形成工程とを含む
    ことを特徴とする圧電アクチュエーターの製造方法。
  2. 請求項1に記載の圧電アクチュエーターの製造方法において、
    前記白金膜の膜厚が、30nm以下である
    ことを特徴とする圧電アクチュエーターの製造方法。
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