JP2012032059A - クローズド廃棄物処分場における換気システム及び換気制御方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 自然換気で足りない分のみを機械換気で補うことにより、省エネルギー化を図る。
【解決手段】 処分場11外の風速を計測する風速計2と、処分場11内外の温度を測定する温度計3と、前記風速計2及び前記温度計3による測定結果に基づいて自然換気量を算出し、処分場11内のガス濃度を設定した管理濃度に保つために必要な換気量のうち、前記算出した前記自然換気量で不足する分を機械換気で補うように、換気ファン10の運転を制御する制御部7とを備えている。
【選択図】 図1
【解決手段】 処分場11外の風速を計測する風速計2と、処分場11内外の温度を測定する温度計3と、前記風速計2及び前記温度計3による測定結果に基づいて自然換気量を算出し、処分場11内のガス濃度を設定した管理濃度に保つために必要な換気量のうち、前記算出した前記自然換気量で不足する分を機械換気で補うように、換気ファン10の運転を制御する制御部7とを備えている。
【選択図】 図1
Description
本発明は、クローズド廃棄物処分場における換気システム及び換気制御方法に関する。
クローズド廃棄物処分場においては、安全な内部環境を確保するため、換気扇等の機械換気設備が設置されている。この換気設備は、廃棄物から発生するガスや、廃棄物の埋め立て作業を行うバックホウやブルドーザー等の車両から発生する排気ガスの換気を考慮して設計されており、基本的にすべての換気設備を稼動させることが必要である。
また、内部環境が安全な状態にあることを確認するために、処分場内には、ガス検知器が複数箇所に設置され、ガス検知器の検知データに基づいて、換気設備を作動させることにより、安全な内部環境を確保している(例えば、特許文献1参照。)
ところで、クローズ廃棄物処分場の換気では、機械換気の他、自然の風による換気や、日射による温度差による換気等の自然換気が期待できるが、自然換気の効果を把握する有効な手法が確立されておらず、機械換気量の削減を行うことができなかった。
本発明は、上記のような従来の問題に鑑みなされたものであって、機械換気量の削減が可能なクローズド廃棄物処分場における換気システム及び換気制御方法を提供することを目的とする。
上記のような課題を解決するために、本発明は、以下のような手段を採用している。
すなわち、本発明は、クローズド廃棄物処分場の換気システムであって、処分場外の風速を計測する風速計と、処分場内外の温度を測定する温度計と、前記風速計及び前記温度計による測定結果に基づいて自然換気量を算出し、処分場内のガス濃度を設定した管理濃度に保つために必要な換気量のうち、前記算出した前記自然換気量で不足する分を機械換気で補うように、換気ファンの運転を制御する制御部とを備えていることを特徴とする。
すなわち、本発明は、クローズド廃棄物処分場の換気システムであって、処分場外の風速を計測する風速計と、処分場内外の温度を測定する温度計と、前記風速計及び前記温度計による測定結果に基づいて自然換気量を算出し、処分場内のガス濃度を設定した管理濃度に保つために必要な換気量のうち、前記算出した前記自然換気量で不足する分を機械換気で補うように、換気ファンの運転を制御する制御部とを備えていることを特徴とする。
本発明のクローズド廃棄物処分場の換気システムによれば、処分場外の風速及び処分場内外の温度を測定することにより、処分場内の自然換気量を算出し、処分場内のガス濃度を設定した管理濃度に保つために必要な換気量のうち、算出した自然換気量で不足する分を機械換気で補うように、換気ファンの運転を制御部で制御することになる。従って、自然換気で不足する分を機械換気で補うことになるので、省エネルギー化を図ることができる。
また、本発明において、前記処分場のガス濃度を測定するガス検知器を備え、前記制御部は、前記ガス検知器による測定結果に基づいて算出した、前記処分場内のガス濃度を設定した管理濃度に保つために必要な換気量から、前記算出した自然換気量を減じたものを機械換気とすることとしてもよい。
さらに、本発明は、前記ガス検知器による測定結果に基づいて算出した前記必要な換気量は、廃棄物発生ガス想定値による必要換気量、重機発生ガスによる必要換気量、及び粉塵による必要換気量のうちの最大の値を示すものであることとしてもよい。
さらに、本発明は、クローズド廃棄物処分場の換気制御方法であって、処分場外の風速及び処分場内外の温度を測定し、これらの測定結果から処分場内の自然換気量を計算により求め、処分場内のガス濃度を設定した管理濃度に保つために必要な換気量のうち、前記計算により求めた自然換気量で不足する分のみを機械換気で補うことを特徴とする。
さらに、本発明において、前記処分場のガス濃度を測定し、この測定結果に基づいて算出した前記処分場内のガス濃度を設定した管理濃度に保つために必要な換気量から、前記算出した自然換気量を減じたものを機械換気量として求め、この機械換気量が得られるように換気ファンの運転を制御することとしてもよい。
さらに、本発明において、前記ガス濃度の測定結果に基づいて算出した前記必要な換気量は、廃棄物発生ガス想定値による必要換気量、重機発生ガスによる必要換気量、粉塵による必要換気量のうち、最大の値を示すものであることとしてもよい。
以上、説明したように、本発明のクローズド廃棄物処分場における換気システム及び換気制御方法によれば、自然換気によって不足する分を機械換気によって補うことになるので、省エネルギー化を図ることができる。
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態について説明する。
図1及び図2には、本発明によるクローズド廃棄物処分場における換気システム及び換気制御方法の一実施の形態が示されている。本実施の形態の換気システム及び換気制御方法は、クローズド廃棄物処分場の内部を自然換気と機械換気とによって換気するものであって、自然換気で不足する分のみを機械換気で補うことにより、省エネルギー化を図るように構成したものである。
図1及び図2には、本発明によるクローズド廃棄物処分場における換気システム及び換気制御方法の一実施の形態が示されている。本実施の形態の換気システム及び換気制御方法は、クローズド廃棄物処分場の内部を自然換気と機械換気とによって換気するものであって、自然換気で不足する分のみを機械換気で補うことにより、省エネルギー化を図るように構成したものである。
クローズド廃棄物処分場の内部において、実際に生じている換気量は、「総換気量」=「機械換気」+「風による通風換気」+「日射による重力換気」の関係にある。このため、本実施の形態においては、風速(処分場の外部の風速)、及び気温(処分場内外の温度)を測定し、この測定結果から自然換気量を計算により求め、この計算により求めた自然換気量と必要換気量とを比較し、自然換気で不足する分のみを機械換気で補うこととしている。
すなわち、本実施の形態の換気システム1は、図1に示すように、クローズド廃棄物処分場11の外部の風速を測定する風速計2と、内部及び外部の温度を測定する温度計3と、内部に発生するガスの濃度を測定するガス検知器5と、風速計2、温度計3、及びガス検知器5からのデータを記録するデータロガー6と、記録部(データロガー6)からのデータに基づいて換気ファン10の運転の制御を行う制御部(制御用PC7)とを備えている。なお、図中符号8は、風速計2からの測定データを電気信号に変換する変換器、符号9は、制御用PC7からの制御信号を電気信号に変換する変換器である。
以下、上記の換気システム1による換気制御方法について、図2の換気制御システムのフロー図に基づいて、具体的に説明する。
(1)ステップ1
まず、図3に示すように、クローズド廃棄物処分場11をモデル化(テントサイズ、GL以上:86802m3、GL以下:47850m3)し、このモデル処分場の廃棄物発生ガス(H2S、CH4、O2)想定値による必要換気量QA、重機発生ガスによる必要換気量QR、及び粉塵による必要換気量QCを求める。
(1)ステップ1
まず、図3に示すように、クローズド廃棄物処分場11をモデル化(テントサイズ、GL以上:86802m3、GL以下:47850m3)し、このモデル処分場の廃棄物発生ガス(H2S、CH4、O2)想定値による必要換気量QA、重機発生ガスによる必要換気量QR、及び粉塵による必要換気量QCを求める。
1)廃棄物発生ガス(H2S、CH4、O2)想定値による必要換気量QA
この必要換気量QAは、設置されている換気ファンの能力×台数により計算する。本モデル処分場においては、QA:6858(m3/min)とした。
この必要換気量QAは、設置されている換気ファンの能力×台数により計算する。本モデル処分場においては、QA:6858(m3/min)とした。
2)粉塵による必要換気量QC
この必要換気量QCは、対象とする施設に応じて適宜設定され、本モデル処分場においては、未設定(ゼロ)とした。
この必要換気量QCは、対象とする施設に応じて適宜設定され、本モデル処分場においては、未設定(ゼロ)とした。
3)重機発生ガス等による必要換気量QR
この必要換気量QRは、廃棄物からの発生ガス濃度によらず確保しなければならない最低換気量であり、以下の式(1)により求める。
QR=QP+Qm……(1)
ただし、QR:重機発生ガス等による必要換気総量(m3/min)
QP:作業員に対する換気量(m3/min)
Qm:重機作業に対する換気量(m3/min)
なお、稼動機械として、以下の表1に記載した重機を検討した。
なお、表1において、出力当たり換気量は、NOxの標準発生量をもとに25ppmの管理目標濃度まで希釈するものとして求めたものである。
この必要換気量QRは、廃棄物からの発生ガス濃度によらず確保しなければならない最低換気量であり、以下の式(1)により求める。
QR=QP+Qm……(1)
ただし、QR:重機発生ガス等による必要換気総量(m3/min)
QP:作業員に対する換気量(m3/min)
Qm:重機作業に対する換気量(m3/min)
なお、稼動機械として、以下の表1に記載した重機を検討した。
なお、表1において、出力当たり換気量は、NOxの標準発生量をもとに25ppmの管理目標濃度まで希釈するものとして求めたものである。
これにより、重機作業に対する必要換気量として、以下のように試算される。
Qm=142×2.2×0.25×3+170×0.8×0.45×10
=846.3(m3/min)
=50778(m3/h)
Qm=142×2.2×0.25×3+170×0.8×0.45×10
=846.3(m3/min)
=50778(m3/h)
また、作業員に対する換気量QPは、以下の式(2)により求める。
QP=S×N……(2)
ただし、QP:作業員に対する必要換気量(m3/min)
S:作業員一人当たりの必要換気量(1.5〜3.0(m3/min))
建災防換気技術指針では3(m3/min)
N:最大作業員数
本モデル処分場での作業員を5人とすると、
QP=3.0×5=15(m3/min)
これにより、重機発生ガス等による必要換気量QRは、
QR=QP+Qm=846.3+15=861.3(m3/min)
となる。
QP=S×N……(2)
ただし、QP:作業員に対する必要換気量(m3/min)
S:作業員一人当たりの必要換気量(1.5〜3.0(m3/min))
建災防換気技術指針では3(m3/min)
N:最大作業員数
本モデル処分場での作業員を5人とすると、
QP=3.0×5=15(m3/min)
これにより、重機発生ガス等による必要換気量QRは、
QR=QP+Qm=846.3+15=861.3(m3/min)
となる。
(2)ステップ2
次に、ステップ1で求めた、廃棄物発生ガス想定値による必要換気量(必要換気量QA)、重機発生ガスによる必要換気量(必要換気量QR)、及び粉塵による必要換気量(必要換気量QC)のうち、最大値を必要換気量Qと設定する。
次に、ステップ1で求めた、廃棄物発生ガス想定値による必要換気量(必要換気量QA)、重機発生ガスによる必要換気量(必要換気量QR)、及び粉塵による必要換気量(必要換気量QC)のうち、最大値を必要換気量Qと設定する。
(3)ステップ3
次に、風による自然換気量QWを計算するとともに、テント内外の温度差による重力換気量QTを計算する。
次に、風による自然換気量QWを計算するとともに、テント内外の温度差による重力換気量QTを計算する。
1)風による自然換気量QW
風による自然換気量QWは、以下の式(3)〜(5)により求める。ここで、測定項目は、外部温度、外部風速、設定項目は、風圧係数、流量係数、換気口(流入、流出)面積、とする。
ただし、θ0:外部摂氏温度(℃)
C1、C2:風圧係数
ρ0:外部空気の密度(kg/m3)
v0:建物上空の建物の影響を受けない一般の風の速度(m/s)
ΔP:建物の風上側と風下側の間に生じる圧力差(Pa)
α:流量係数(開口の形状、寸法で異なるが、通常0.6〜0.7程度とされる。ここでは、0.6を採用する。)
ここで、総合実効面積αAは、
並列のとき、αA=α1A1+α2A2+……αnAn ……(6)
直列のとき、
となる。
図4に、並列と直列との関係を示す。図4において、給気側の開口、及び排気側の開口は並列の関係にあり、給気側の開口と排気側の開口とは、直列の関係にある。なお、図4に示す給気側開口、及び排気側開口の並列、直列の関係は、「最新建築環境工学改訂2版、井上書院、160〜161頁」に記載の内容に基づいて設定したものである。
これにより、本モデル処分場において、
θ0:12℃より、ρ0=1.239とし、v0:1.2m/sより、C1=0.15、C2=−0.15と設定すると、ΔP=0.268
となる。
また、給気:1.95m2のガラリが5箇所+18.86m2の出入口とすると、並列の式(6)により、1.95×5+18.86=28.61m2となる。
さらに、排気:直径0.75mの換気扇が27箇所とすると、並列の式(6)により、
となる。
これにより、総合実効面積αAは、並列の式(7)により、
となる。
また、風により確保される自然換気量Qwは、
となる。
ここで、実測と計算値から求めた補正係数C=0.3を乗じることにより、実際の風による換気量は、
4.34×0.3=1.302 m3/s(=78.1m3/min)
となる。
風による自然換気量QWは、以下の式(3)〜(5)により求める。ここで、測定項目は、外部温度、外部風速、設定項目は、風圧係数、流量係数、換気口(流入、流出)面積、とする。
ただし、θ0:外部摂氏温度(℃)
C1、C2:風圧係数
ρ0:外部空気の密度(kg/m3)
v0:建物上空の建物の影響を受けない一般の風の速度(m/s)
ΔP:建物の風上側と風下側の間に生じる圧力差(Pa)
α:流量係数(開口の形状、寸法で異なるが、通常0.6〜0.7程度とされる。ここでは、0.6を採用する。)
ここで、総合実効面積αAは、
並列のとき、αA=α1A1+α2A2+……αnAn ……(6)
直列のとき、
となる。
図4に、並列と直列との関係を示す。図4において、給気側の開口、及び排気側の開口は並列の関係にあり、給気側の開口と排気側の開口とは、直列の関係にある。なお、図4に示す給気側開口、及び排気側開口の並列、直列の関係は、「最新建築環境工学改訂2版、井上書院、160〜161頁」に記載の内容に基づいて設定したものである。
これにより、本モデル処分場において、
θ0:12℃より、ρ0=1.239とし、v0:1.2m/sより、C1=0.15、C2=−0.15と設定すると、ΔP=0.268
となる。
また、給気:1.95m2のガラリが5箇所+18.86m2の出入口とすると、並列の式(6)により、1.95×5+18.86=28.61m2となる。
さらに、排気:直径0.75mの換気扇が27箇所とすると、並列の式(6)により、
となる。
これにより、総合実効面積αAは、並列の式(7)により、
となる。
また、風により確保される自然換気量Qwは、
となる。
ここで、実測と計算値から求めた補正係数C=0.3を乗じることにより、実際の風による換気量は、
4.34×0.3=1.302 m3/s(=78.1m3/min)
となる。
2)テント内外温度差による重力換気量QT
テント内外温度差による重力換気量QTは、以下の式(8)〜(12)により求める。ここで、測定項目は、外部温度、内部温度、設定項目は、流量係数、換気口(流入、流出)面積、給気口から排気口までの距離、給気口の設置高さとする。
ただし、θ0:外部摂氏温度(℃)
θ1n:給気口の内部摂氏温度(℃)
ρ0:外部空気の密度(kg/m3)
ρ1in:給気口の内部空気の密度(kg/m3)
α1、α2:流量係数 0.6
A1:給気口の開口面積(m2)
A2:排気口の開口面積(m2)
H:給気口から排気口までの距離(m)
h1in:給気口の高さ(m)
(本モデル処分場では0に設定する)
hn:給気口から中性帯までの距離(m)
なお、中性帯とは、温度差換気において、室内の空気圧が、室外の大気圧と同じになる垂直方向の位置を意味する(図5参照)。中性帯の上下に給排気口を設けることで自然換気が促進される。
Q1:給気口の流量(m3/S)
ΔP:開口前後(室内外)の圧力差
P1out:給気口外部の気圧(基準圧として0としておく)
P1in:給気口内部の気圧
本モデル処分場では、
H:18m
A1:28.6m2
A2:11.9m3
としている。これにより、給気口から中性帯までの距離hnは、
となる。
また、θ0:12℃
θ1in:13℃
とすると、外部空気の密度ρ0、給気口の内部空気の密度ρ1inは、
さらに、開口前後の圧力差ΔPは、P1outを0とすることにより、
となり、テント内外温度差による重力換気量QTは、
となる。
ここで、実測と計算値から求めた補正係数C=0.3を乗じることにより、実際のテント内外温度差による換気量は、
7.876×0.3=2.363(m3/s)=141.7(m3/min)
となる。
テント内外温度差による重力換気量QTは、以下の式(8)〜(12)により求める。ここで、測定項目は、外部温度、内部温度、設定項目は、流量係数、換気口(流入、流出)面積、給気口から排気口までの距離、給気口の設置高さとする。
ただし、θ0:外部摂氏温度(℃)
θ1n:給気口の内部摂氏温度(℃)
ρ0:外部空気の密度(kg/m3)
ρ1in:給気口の内部空気の密度(kg/m3)
α1、α2:流量係数 0.6
A1:給気口の開口面積(m2)
A2:排気口の開口面積(m2)
H:給気口から排気口までの距離(m)
h1in:給気口の高さ(m)
(本モデル処分場では0に設定する)
hn:給気口から中性帯までの距離(m)
なお、中性帯とは、温度差換気において、室内の空気圧が、室外の大気圧と同じになる垂直方向の位置を意味する(図5参照)。中性帯の上下に給排気口を設けることで自然換気が促進される。
Q1:給気口の流量(m3/S)
ΔP:開口前後(室内外)の圧力差
P1out:給気口外部の気圧(基準圧として0としておく)
P1in:給気口内部の気圧
本モデル処分場では、
H:18m
A1:28.6m2
A2:11.9m3
としている。これにより、給気口から中性帯までの距離hnは、
となる。
また、θ0:12℃
θ1in:13℃
とすると、外部空気の密度ρ0、給気口の内部空気の密度ρ1inは、
さらに、開口前後の圧力差ΔPは、P1outを0とすることにより、
となり、テント内外温度差による重力換気量QTは、
となる。
ここで、実測と計算値から求めた補正係数C=0.3を乗じることにより、実際のテント内外温度差による換気量は、
7.876×0.3=2.363(m3/s)=141.7(m3/min)
となる。
(4)ステップ4
次に、上記のステップ1〜3で求めた必要換気量Q(QA、QR、QCのうちの最大値)、必要換気量QW、必要換気量QTに基づいて、機械換気量QMを、以下の式(13)により求め、この求めた機械換気量QMに基づいて、換気ファンを一定時間(例えば、1時間)連続運転し、テント内の換気を行う。
QM=Q−(QW+QT)……(13)
次に、上記のステップ1〜3で求めた必要換気量Q(QA、QR、QCのうちの最大値)、必要換気量QW、必要換気量QTに基づいて、機械換気量QMを、以下の式(13)により求め、この求めた機械換気量QMに基づいて、換気ファンを一定時間(例えば、1時間)連続運転し、テント内の換気を行う。
QM=Q−(QW+QT)……(13)
(5)ステップ5
次に、換気ファンを一定時間運転した後に、換気指標ガス(CH4、CO2)による必要換気量QA1を求めるとともに、室内環境監視ガス(H2S、CH4、O2、CO)による必要換気量QA2を求める。
ここで、測定項目は、換気指標ガス(CH4、CO2)のテント内における平均ガス濃度、室内環境監視ガス(H2S、CH4、O2、CO)のテント内におけるピンポイント(例えば、10箇所)のガス濃度である。また、換気指標ガスのガス濃度、及び室内環境監視ガスのガス濃度の測定には、各種のガス検知器を使用することができ、例えば、レーザー方式のガス検知器(レーザーメタン検知器(商品名)、東京ガス・エンジニアリング株式会社製、等)を使用することができる。
次に、換気ファンを一定時間運転した後に、換気指標ガス(CH4、CO2)による必要換気量QA1を求めるとともに、室内環境監視ガス(H2S、CH4、O2、CO)による必要換気量QA2を求める。
ここで、測定項目は、換気指標ガス(CH4、CO2)のテント内における平均ガス濃度、室内環境監視ガス(H2S、CH4、O2、CO)のテント内におけるピンポイント(例えば、10箇所)のガス濃度である。また、換気指標ガスのガス濃度、及び室内環境監視ガスのガス濃度の測定には、各種のガス検知器を使用することができ、例えば、レーザー方式のガス検知器(レーザーメタン検知器(商品名)、東京ガス・エンジニアリング株式会社製、等)を使用することができる。
1)ガス濃度からの必要換気量QA
ガス濃度からの必要換気量QAは、以下の式(14)、(15)により求める。
M=Q×P……(14)
ただし、M:ガス発生量(mg/min)
Q:換気量(m3/min)
P:ガス濃度(mg/m3)
ただし、QA:ガス濃度からの必要換気量(m3/h)
M:有害ガスの発生量(cc/h)
Pi:許容限度(ppm)
P0:外気中の濃度(ppm)
本モデル処分場では、
最も多く発生するガスはメタンであり、自然換気だけの状態で、
PCH4=1025mg/m3(=1500ppm)であった。
このときの換気量Qは、風による換気量+実際のテントの内外温度差による換気量であり、
Q=78.1+141.7=219.8m3/min
そこで、ガス発生量Mは、
M=Q×Pより、
M=219.8×1025
=225295mg/min
=13517700mg/h=19764158cc/h
となる。
また、メタンの許容濃度は3000ppmであるから、ガス濃度からの必要換気量QAは、
となる。
すでに、発生するメタンの量が1500ppmと許容限度の3000ppm内であるため、意味がないが、計算結果でも必要な換気量は自然換気でまかなえているため、発生ガスからは、機械換気は不要になる。
ガス濃度からの必要換気量QAは、以下の式(14)、(15)により求める。
M=Q×P……(14)
ただし、M:ガス発生量(mg/min)
Q:換気量(m3/min)
P:ガス濃度(mg/m3)
ただし、QA:ガス濃度からの必要換気量(m3/h)
M:有害ガスの発生量(cc/h)
Pi:許容限度(ppm)
P0:外気中の濃度(ppm)
本モデル処分場では、
最も多く発生するガスはメタンであり、自然換気だけの状態で、
PCH4=1025mg/m3(=1500ppm)であった。
このときの換気量Qは、風による換気量+実際のテントの内外温度差による換気量であり、
Q=78.1+141.7=219.8m3/min
そこで、ガス発生量Mは、
M=Q×Pより、
M=219.8×1025
=225295mg/min
=13517700mg/h=19764158cc/h
となる。
また、メタンの許容濃度は3000ppmであるから、ガス濃度からの必要換気量QAは、
となる。
すでに、発生するメタンの量が1500ppmと許容限度の3000ppm内であるため、意味がないが、計算結果でも必要な換気量は自然換気でまかなえているため、発生ガスからは、機械換気は不要になる。
(6)ステップ6
次に、換気指標ガス(CH4、CO2)による必要換気量QA1、室内環境監視ガス(H2S、CH4、O2、CO)による必要換気量QA2のうち、大きい値をQAと設定し、ステップ1に戻り、ステップ1で求めた重機発生ガス等による必要換気量QRと廃棄物等からの発生ガスによる必要換気量QAを比較し、より大きい量がテントの必要換気量になる。
本モデル処分場では、
QR:846.3m3/min
QA:110m3/min
であるから、機械換気必要量QMは、
QM=QR−風により確保される自然換気量QW−テント内外温度差による重力換気量QT
=846.3−78.1−141.7
=626.5m3/min
となる。
そして、上記のように求めた機械換気必要量QMに基づいて換気ファンを運転し、本モデル処分場内の換気を行う。
次に、換気指標ガス(CH4、CO2)による必要換気量QA1、室内環境監視ガス(H2S、CH4、O2、CO)による必要換気量QA2のうち、大きい値をQAと設定し、ステップ1に戻り、ステップ1で求めた重機発生ガス等による必要換気量QRと廃棄物等からの発生ガスによる必要換気量QAを比較し、より大きい量がテントの必要換気量になる。
本モデル処分場では、
QR:846.3m3/min
QA:110m3/min
であるから、機械換気必要量QMは、
QM=QR−風により確保される自然換気量QW−テント内外温度差による重力換気量QT
=846.3−78.1−141.7
=626.5m3/min
となる。
そして、上記のように求めた機械換気必要量QMに基づいて換気ファンを運転し、本モデル処分場内の換気を行う。
そして、上記のステップ1〜6を繰り返し、一定時間毎(例えば、1時間毎)に、テント内の平均有害ガス濃度、例えば、平均メタン濃度(二酸化炭素濃度)を測定し、測定したガス濃度と換気量から現在のテント内のガス量を計算し、テント内のガス濃度を設定した管理濃度に保つために必要な換気量を計算し、測定したガス濃度から必要となる換気量(変動)と重機の排ガスや粉塵から計算される必要換気量(固定)とを、一定時間毎に比較して、最も大きいものを必要換気量とすることにより、最適な換気ファンの制御を行う。
この場合、測定したガス濃度に基づいて換気ファンの運転を開始しても、テント内のガス濃度に変化が生じるには、換気ファンを一定時間運転し続ける必要があるので、例えば、上記のステップ1〜6を実行するのに要する時間を1サイクルとし、例えば、この1サイクルが終了する直前の所長さ定の時間にガス濃度を測定し、その平均値に基づいて換気ファンの運転を制御するものとする。
この場合、測定したガス濃度に基づいて換気ファンの運転を開始しても、テント内のガス濃度に変化が生じるには、換気ファンを一定時間運転し続ける必要があるので、例えば、上記のステップ1〜6を実行するのに要する時間を1サイクルとし、例えば、この1サイクルが終了する直前の所長さ定の時間にガス濃度を測定し、その平均値に基づいて換気ファンの運転を制御するものとする。
なお、各換気は、計算値と実際値に誤差が生じるため、計算値に対して補正する必要があるため、換気運転しながら補正係数を随時修正し、適正な換気制御を行う。また、有害ガスが一定濃度を超えた場合には、注意喚起の信号転倒とともに、全ての換気ファンをフル稼働させる。さらに、制御する換気ファンの優先順位は、管理者が任意に変更できるものとし、電動式の開口については、開閉が本システムに連動し、換気計算に生かされるものとする。
上記のように構成した本実施の形態の換気制御システム及び換気制御方法にあっては、自然エネルギーで不足する分のみを機械換気で補っているので、自然エネルギーを有効に活用でき、省エネルギー化を図ることができる。
また、処分場内のガス濃度(平均メタン濃度や平均二酸化炭素濃度等)から、現在の処分場内の状況を確認できるので、処分場内で各種の作業を行う作業者の安全を確保できる。
1 換気システム
2 風速計
3 温度計
5 ガス検知器
6 記録部(データロガー)
7 コントローラー(制御用PC)
8 変換器
9 変換器
10 換気ファン
11 クローズド廃棄物処分場
2 風速計
3 温度計
5 ガス検知器
6 記録部(データロガー)
7 コントローラー(制御用PC)
8 変換器
9 変換器
10 換気ファン
11 クローズド廃棄物処分場
Claims (6)
- クローズド廃棄物処分場の換気システムであって、
処分場外の風速を計測する風速計と、
処分場内外の温度を測定する温度計と、
前記風速計及び前記温度計による測定結果に基づいて自然換気量を算出し、
処分場内のガス濃度を設定した管理濃度に保つために必要な換気量のうち、前記算出した前記自然換気量で不足する分を機械換気で補うように、換気ファンの運転を制御する制御部とを備えていることを特徴とするクローズド廃棄物処分場の換気システム。 - 前記処分場のガス濃度を測定するガス検知器を備え、
前記制御部は、前記ガス検知器による測定結果に基づいて算出した、前記処分場内のガス濃度を設定した管理濃度に保つために必要な換気量から、前記算出した自然換気量を減じたものを機械換気量として求め、この機械換気量が得られるように、換気ファンの運転を制御することを特徴とする請求項1に記載のクローズド廃棄物処分場の換気システム。 - 前記ガス検知器による測定結果に基づいて算出した前記必要な換気量は、廃棄物発生ガス想定値による必要換気量、重機発生ガスによる必要換気量、及び粉塵による必要換気量のうちの最大の値を示すものであることを特徴とする請求項2に記載のクローズド廃棄物処分場の換気システム。
- クローズド廃棄物処分場の換気制御方法であって、
処分場外の風速及び処分場内外の温度を測定し、これらの測定結果から処分場内の自然換気量を計算により求め、
処分場内のガス濃度を設定した管理濃度に保つために必要な換気量のうち、
前記計算により求めた自然換気量で不足する分のみを機械換気で補うことを特徴とするクローズド廃棄物処分場の換気制御方法。 - 前記処分場のガス濃度を測定し、この測定結果に基づいて算出した前記処分場内のガス濃度を設定した管理濃度に保つために必要な換気量から、前記算出した自然換気量を減じたものを機械換気量として求め、この機械換気量が得られるように換気ファンの運転を制御することを特徴とする請求項4に記載のクローズド廃棄物処分場の換気制御方法。
- 前記ガス濃度の測定結果に基づいて算出した前記必要な換気量は、廃棄物発生ガス想定値による必要換気量、重機発生ガスによる必要換気量、粉塵による必要換気量のうち、最大の値を示すものであることを特徴とする請求項5に記載のクローズド廃棄物処分場の換気制御方法。
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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CN113883634A (zh) * | 2021-10-12 | 2022-01-04 | 南京师范大学 | 基于室外颗粒物平衡点浓度的新风控制***及其使用方法 |
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-
2010
- 2010-07-29 JP JP2010170791A patent/JP2012032059A/ja active Pending
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