JP2012030428A - インクジェット記録用キャストコート紙及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】インク吸収性、光沢性、画像鮮明性等のインクジェット記録体としての適性に優れ、かつ生産性に優れたインクジェット記録用キャストコート紙及びその製造方法を提供する。
【解決手段】本発明は、透気性基材上に、顔料を主成分とし、接着剤、カチオン性インク定着剤を含む塗工層を少なくとも一層有し、塗工層のうち最表層が湿潤状態である間に鏡面ドラムに圧接し、乾燥した後、鏡面ドラムより剥離して得られるインクジェット記録用キャストコート紙において、最表層に、水溶性の離型剤と、融点が55〜105℃であり、融解熱90mJ/mg以上である水分散性の離型剤を含有することを特徴とする。
【選択図】なし

Description

本発明は、光沢タイプのインクジェット記録体に関し、詳しくはインク吸収性、光沢性、画像鮮明性等のインクジェット記録体としての適性に優れ、かつ生産性に優れたインクジェット記録用キャストコート紙及びその製造方法に関する。
インクの液滴を微細なノズルから射出し、被記録体表面上に付着させることにより画像を形成させるインクジェット記録方式は、記録時の騒音が少ないこと、フルカラー画像の形成が容易であること、高速記録が可能であること、及び、他の印刷装置より記録コストが安価であることなどの理由により、端末プリンター、ファクシミリ、プロッター、あるいは帳票印刷等で広く利用されている。
近年、インクジェットプリンターは高精細化・高速化が進み、また、デジタルカメラ等による撮影画像の出力などを目的として一般家庭ユーザへの普及が拡大している。
そのなか、インクジェット記録体には、撮影画像を出力した記録画像の品質を銀塩方式の写真の品質に近づけるために、インクジェット記録体表面の光沢性が優れるとともに、記録画像の発色性や深みなどの高い画質が求められる。またインクジェットプリンターの高速化に対応するインク吸収性が求められている。
光沢タイプのインクジェット記録体を製造する方法としては、塗工した塗料が乾燥してからスーパーカレンダーやグロスカレンダー処理によって表面を平滑化する方法や、塗工面が湿潤状態(再湿潤状態を含む)である間に、加熱された鏡面ドラムに圧接・乾燥して光沢発現する処理(所謂、キャスト処理)方法があるが、カレンダーによる処理は強圧により塗工層の空隙を潰してしまうため、インク吸収性が十分に得られない虞があるので、キャスト処理する方法が好ましく採用されている。
キャスト処理の方法は、高光沢印刷用塗工紙の代表的な製造方法の一つである。湿潤状態の塗工面を加熱された鏡面ドラムに圧接・乾燥し、ドラムから剥離させるものであるが、湿潤状態の塗工面側にドラムがあるため、水分は基材を通り、裏面側より蒸発、乾燥される一方、塗工面は鏡面ドラムの面が写し取られるため高光沢な塗工面が得られる。キャスト塗工方式の技術課題として、鏡面ドラム上で乾燥させた用紙をドラムから剥離させる離型性と呼ばれる適性が必要である。離型性が不良の場合、ドラム表面から用紙を剥離することが困難になり、甚だしい場合は用紙が破れて操業ができなくなることがある。キャスト処理を長時間の連続操業するためには、ドラムからの離型性を維持することが重要であり、例えば、特許文献1のようにドラム表面と塗工液中に離型剤を用いる方法や、特許文献2のように、特殊な装置を用いてドラム表面に離型剤を供給しながら製造する方法などが提案されている。
インクジェット記録用紙の場合、通常、インク染料を保持できるようにインク定着剤を用いるが、インク中の染料をできるだけ表面に定着する必要があるため、最表層或いはその下の層に染料インク定着剤を用いることが多い。このインク定着剤は、インク中に含まれる染料の特性上、カチオン性化合物が使用されている。従来の印刷用紙塗工紙は、アニオン性の塗工層であり、キャスト処理には特許文献1に開示された製造方法は有効であったが、最表層或いはその下の層にカチオン性化合物を有するインクジェット記録用紙の場合、印刷用塗工紙に比べて程遠いレベルの操業性しか達成できない。また、特許文献2に開示された製造方法は、特殊な装置を必要とするものであり、例示された離型剤を用いても、インクジェット記録用紙をキャスト処理する場合には適さないものであった。
また、インクジェット記録用キャストコート紙の製造方法について、特許文献3〜11のような様々な技術が開示されているが、いまだに連続しての生産ができていないのが現状である。
特開平3−113090号公報 特開平11−279987号公報 特開平6−320857号公報 [0025]段 特開平11−208103号公報 請求項1、[0032]段、[0040]段 特開2002−337446号公報 請求項1、[0036]段、[0037]段 特開2003−103915号公報 請求項1、[0014]段 特許第3778058号公報 [0038]段 特開2003−165268号公報 請求項1、[0034]段 特開2005−22334号公報 請求項3、[0075]段 特開2005−238819号公報 請求項1,3、[0005]段、[0037]段 特許第4191229号公報 請求項1、[0016]〜[0021]段
本発明者等は、最表層或いはその下の層にカチオン性化合物を有するインクジェット記録用紙をキャスト処理方法で仕上げる場合の連続して生産ができない原因について、鋭意研究を行なった結果、鏡面ドラムからの離型性の改善だけでは不十分であり、経時的に発生するドラムの曇り(以下、ドラム曇りともいう)という問題があることを突き止め、離型性とドラム曇りの両方を改善する必要があることを見出した。更に、鏡面ドラム(キャストドラムともいう。)に用紙をプレスロールで押し付けたとき、鏡面ドラム表面と用紙端部、プレスロールの間隙に塗料が入り、乾燥・固化して用紙端部に付着して起こる、所謂エッジ粕が発生することを発見し、これを改善する必要があることを見出した。
優れた離型性を保つためには、いくつかの方法が考えられる。
その一つは、ドラム表面と用紙表面の接着力より用紙最表層に塗工された塗料の凝集力を強める方法である。これにより、ドラム表面に最表層塗料の一部が残る現象が抑えられる。具体的には、表層中に含まれる接着剤量を多くして強度を高める、成膜性の強い接着剤を選択して顔料の結着を高める、架橋剤を配合して接着剤の分子量を高めて塗工層内部の強度を強める、といった方法である。
しかし、これらの方法では、塗工層内部の空隙が減る場合が多く、結果としてインクジェットプリンターによって打ち込まれたインクの吸収を阻害して画像が滲んだり、乾燥が遅くなるといった不都合を起こす場合がある。したがって、インクジェット記録用紙に対しては、塗工層の凝集力を高める方法だけでは不十分である。
別の解決方法として、ドラム表面と用紙最表層表面の間に、用紙最表層塗料より小さな凝集力を持つ材料の層を設ける方法がある。例えば、ドラム表面にポリエチレン等の熱可塑性樹脂層や界面活性剤の多分子膜からなる凝集力の小さい層を設け、その層の内部で分離するようにすることで、用紙の表層を損なわずにドラムから離型させることが可能である。
この方法であれば塗工層中の空隙を接着剤が埋めることがないため、インク吸収性を損なう懸念が少なくて済むため、インクジェット記録用紙には好適である。
しかしこの方法では、ドラム表面とインクジェット記録用紙表面の分離の状態によってはドラムに残った層の影響でドラムが曇り、用紙の光沢感が失われたり光沢度が不安定になったりする。一旦ドラム曇りが発生すると、製品不良となるため、製造を中止し、ドラム表面のバフ掛け処理を行うなどの作業を必要とするため、安定した連続生産ができない原因となる。
すなわち、光沢タイプのインクジェット記録用紙をキャスト法によって製造する場合、離型性に加えて、ドラム曇りの解消が重要な課題となる。
一方、エッジ粕の発生理由は次のとおりと考えられる。用紙表面にキャスト塗料を塗工し、鏡面ドラムにプレスロールで圧接するとき、鏡面ドラムとプレスロールは用紙の厚み分だけ持ち上げられているため、用紙端部の鏡面ドラム、プレスロールの間に僅かな隙間が開く。この隙間はプレスロールの硬度を下げることにより改善の方向に向かうが、プレスロールの硬度がJISゴム硬度計で60°以下の場合は押し付ける面圧が低くなりすぎ、好ましくなく、70°以上が好ましい。しかし、このような条件では、用紙の厚みが約80μmを越えると隙間にキャスト塗料が入り、そこで乾燥、固化する。用紙が鏡面ドラムから剥離する際、乾燥、固化した塗料がすべて用紙端部に付着すれば鏡面ドラム表面に塗料が残ることはないが、その一部あるいは全部が鏡面ドラム表面に残ると、それが鏡面ドラム表面の用紙端部が当たっていた部分に沿って線状に付着する。線状に付着し乾燥した塗料は次第に成長し、しばらく経つと剥がれ、用紙端部に付着してエッジ粕となる。エッジ粕はキャスト塗料に混入して異物となったり用紙中に巻き込まれて型が付いたり、様々なトラブルを引き起こすことがある。
キャストコート紙を安定して製造するには、離型性、ドラム曇りに加えて、エッジ粕の改善は重要な課題である。
特許文献3の[0025]段には、離型剤として種々の材料が例示されているが、その効果は「スムーズに離型する」ためについてのみ([0025]段)であり、離型性、ドラム曇り、エッジ粕のすべてを改善するための方法について示唆するものではない。
特許文献4は、離型剤として高級脂肪酸アミドを使用する([請求項1])。しかしその効果は離型性を制御するため([0032]段、[0040]段)であり、離型性、ドラム曇り、エッジ粕のすべてを改善するための方法について示唆するものではない。
特許文献5には、最表層のみならず、それに隣接する塗工層にも離型剤を添加して離型性を改善する方法が提案され([請求項1])、一定の成果を上げている([0036]段、[0037]段)が、離型性、ドラム曇り、エッジ粕のすべてを改善するための方法について示唆するものではない。
特許文献6は、記録画像の耐水性と離型性を両立するためにカチオン性パラフィンワックスを使用することが提案され([請求項1])、また、一般的な離型剤が例示されている([0014]段)が、離型性のみに注目しており、離型性、ドラム曇り、エッジ粕のすべてを改善するための方法について示唆するものではない。
特許文献7には、離型剤として各種ワックス類、脂肪酸およびその塩等が例示されている([0038]段)が、離型性、ドラム曇り、エッジ粕のすべてを改善するための方法について示唆するものではない。
特許文献8は、離型剤として炭素数12〜19の脂肪酸およびその水溶性塩を使用することが提案され([請求項1])、併用可能な離型剤としてポリオレフィンワックス類、脂質、シリコーン化合物、フッ素化合物が例示([0034]段)されており、一定の成果を上げているが、離型性、ドラム曇り、エッジ粕のすべてを改善するための方法について示唆するものではない。
特許文献9は、ポリエチレンワックスとその他の離型剤を併用することが提案されている(請求項3)。その他の離型剤としては、高級アルキル燐酸エステルおよびそのアルカリ金属塩、高級脂肪酸アミド、高級脂肪酸アルカリ塩類、脂質等が例示されており([0075]段)、一定の成果を上げているが、離型性、ドラム曇り、エッジ粕のすべてを改善するための方法について示唆するものではない。
特許文献10は、ポリオキシエチレンアルキルアミノエーテルを浸透剤としてゲル化液や再湿潤液等に添加することが提案され(請求項1、3)、離型剤としてポリエチレン等の合成樹脂、脂肪酸または高級脂肪酸の金属塩、脂肪酸アミド及びパラフィンワックス等が例示されている([0005]段)が、離型性を改善するものであり([0037]段)、離型性、ドラム曇り、エッジ粕のすべてを改善するための方法について示唆するものではない。
特許文献11は、凝固法によるキャスト型インクジェット記録用紙において、光沢層上に塗布する凝固液がノニオン系離型剤、アニオン系離型剤に加えて界面活性剤を含むことが提案され(請求項1)、実施例1〜22と25〜27ではオレイン酸カリウムを、実施例23ではオレイン酸アンモニウムを使用し、実施例1〜20と23〜27では酸化ポリエチレンエマルジョンの中和物を、実施例21〜22ではワックス類を使用している。離型性は低いが光沢性が優れるノニオン系離型剤と、光沢性が劣るが離型性が高いアニオン系離型剤を併用することにより、離型性と光沢性を両立するものであり([0016]〜[0021]段が、離型性、ドラム曇り、エッジ粕のすべてを改善するための方法について示唆するものではない。
本発明者等は、離型性とドラム曇りに加えてエッジ粕の三つすべてを同時に解決する方法について鋭意研究の結果、特定の水分散性の離型剤と水溶性の離型剤を含有せしめることで、この課題が解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。本発明は以下のとおりである。
(1)透気性基材上に、顔料を主成分とし、接着剤、カチオン性インク定着剤を含む塗工層を少なくとも一層有し、塗工層のうち最表層が湿潤状態である間に鏡面ドラムに圧接し、乾燥した後、鏡面ドラムより剥離して得られるインクジェット記録用キャストコート紙において、最表層に、水溶性の離型剤と、融点が55〜105℃であり、融解熱90mJ/mg以上である水分散性の離型剤を含有することを特徴とするインクジェット記録用キャストコート紙。
(2)水分散性の離型剤が、炭素数14〜22の脂肪酸類、ワックス類、及びポリエチレン類から選ばれる少なくとも一種である(1)記載のインクジェット記録用キャストコート紙。
(3)水溶性の離型剤が、脂肪酸塩、脂肪族アミン塩または脂肪族4級アンモニウム塩脂肪酸類である(1)又は(2)記載のインクジェット記録用キャストコート紙。
(4)水分散性の離型剤100質量部に対して、水溶性物資50〜100質量部含有する(1)〜(3)のいずれか一項に記載のインクジェット記録用キャストコート紙。
上記(1)〜(4)記載のインクジェット記録用キャストコート紙において、塗工層の最表層に平均粒子径5μm未満の顔料を含有することインク吸収性が優れたインクジェット記録用キャストコート紙となるため好ましく、特に顔料としてコロイド状粒子を用いると、高光沢のインクジェット記録用キャストコート紙となるため好ましい。更に、最表層にカチオン性インク定着剤を含有すると、より高い記録濃度が得られるため好ましい。
また、塗工層をインク定着層と光沢発現層の積層する構成とし、最表層である光沢発現層の塗工量を0.1〜5g/mとすること、より高い記録濃度が得られるため好ましい。更に、インク定着層が顔料として一次粒子径5〜50nm、二次粒子径10〜800nmの気相法シリカを含み、接着剤として、ポリビニルアルコール類を含有せしめると、光沢発現層が更に安定して設けることができ、キャスト処理後の光沢度が更に向上する。このため、光沢発現層の塗工量は0.1〜5g/mという少量でも十分な光沢を得ることができ、更には、高い記録濃度を得ることができる。
更に、インクジェット記録用キャストコート紙の表面のJIS−Z−8741による20°光沢度が15%以上であることが好ましい。
(5)透気性基材上に、顔料を主成分とし、接着剤、カチオン性インク定着剤を含む塗工層を少なくとも一層有し、塗工層のうち最表層が湿潤状態である間に鏡面ドラムに圧接し、乾燥した後、鏡面ドラムより剥離して得られるインクジェット記録用キャストコート紙の製造方法において、湿潤状態の最表層に、水溶性の離型剤と、融点が55〜105℃であり、融解熱90mJ/mg以上である水分散性の離型剤を含有せしめることを特徴とするインクジェット記録用キャストコート紙の製造方法。
(6)水分散性の離型剤が、炭素数14〜22の脂肪酸類、ワックス類、及びポリエチレン類から選ばれる少なくとも一種である(5)記載のインクジェット記録用キャストコート紙の製造方法。
(7)水溶性の離型剤が、脂肪酸塩、脂肪族アミン塩または脂肪族4級アンモニウム塩脂肪酸類である(5)又は(6)記載のインクジェット記録用キャストコート紙の製造方法。
(8)水分散性の離型剤100質量部に対して、水溶性物資50〜100質量部含有する(5)〜(7)のいずれか一項に記載のインクジェット記録用キャストコート紙の製造方法。
上記(5)〜(8)記載のインクジェット記録用キャストコート紙の製造方法において、塗工層の最表層の塗工液が平均粒子径3μm以下の顔料を含有することインク吸収性が優れたインクジェット記録用キャストコート紙が得られるため好ましく、特に顔料としてコロイド状粒子を用いることが、高光沢のインクジェット記録用キャストコート紙が得られるため好ましい。更に、カチオン性インク定着剤を含むと、より高い記録濃度が得られる高光沢のインクジェット記録用キャストコート紙となるため好ましい。
また、塗工層をインク定着層と光沢発現層の積層する構成とし、最表層である光沢発現層の塗工量を0.1〜5g/mとすること、より高い記録濃度が得られるため好ましい。更に、インク定着層が顔料として一次粒子径5〜50nm、二次粒子径10〜800nmの気相法シリカを含み、接着剤として、ポリビニルアルコール類を含有せしめると、光沢発現層が更に安定して設けることができ、キャスト処理後の光沢度が更に向上する。このため、光沢発現層の塗工量は0.1〜5g/mという少量でも十分な光沢を得ることができ、更には、高い記録濃度を得ることができる。
本発明は、これまで成し得なかったインクジェット記録用キャストコート紙の生産の際の離型性とドラム曇りを改善することにより、生産性を大幅に改善するものであり、また、得られたインクジェット記録用キャストコート紙は、光沢性、記録濃度、画像の鮮明性に優れるものである。
本発明は、透気性基材上に、顔料を主成分とし、接着剤、カチオン性インク定着剤を含む塗工層を少なくとも一層有し、塗工層のうち最表層が湿潤状態である間に鏡面ドラムに圧接し、乾燥した後、鏡面ドラムより剥離して得られるインクジェット記録用キャストコート紙において、最表層に、水溶性の離型剤と、融点が55〜105℃であり、融解熱90mJ/mg以上である水分散性の離型剤を含有することを特徴とするインクジェット記録用キャストコート紙であり、また、透気性基材上に、顔料を主成分とし、接着剤、カチオン性インク定着剤を含む塗工層を少なくとも一層有し、塗工層のうち最表層が湿潤状態である間に鏡面ドラムに圧接し、乾燥した後、鏡面ドラムより剥離して得られるインクジェット記録用キャストコート紙の製造方法において、湿潤状態の最表層に、水溶性の離型剤と、融点が55〜105℃であり、融解熱90mJ/mg以上である水分散性の離型剤を含有せしめることを特徴とするインクジェット記録用キャストコート紙の製造方法である。
まず、本発明のインクジェット記録用キャストコート紙を構成する材料について説明する。
<基材>
本発明では基材を透気性基材に限定するが、これはキャスト処理が可能である基材であることを規定するものであり、インクジェット記録体と使用されるが、キャスト処理ができないポリオレフィン樹脂被覆紙(所謂、RC紙)やPETフィルムなどを除くということである。例えば、紙基材や透気性を有する樹脂フィルムまたはシート材が例示できる。とりわけ、優れた透気性、記録用紙としての取り扱い易さ、および廃棄の容易さ等の面から紙基材を使用することが好ましい。
〔紙基材〕
紙基材としては、通常インクジェット記録用キャストコート紙として使用される公知の紙基材を用いることができ、原紙に限らず、原紙に加工処理を施したものも含み、例えば、上質紙、アート紙、コート紙、キャスト塗被紙、クラフト紙、バライタ紙、板紙、含浸紙、蒸着紙などが使用できる。また、一般の塗工紙等に使用される酸性紙、中性紙等の別も適宜用いられる。
紙基材を構成する原紙は、木材パルプを主成分とし、必要に応じて填料、各種助剤等が添加されている。木材パルプとしては、各種化学パルプ、機械パルプ、再生パルプ等を使用することができる。特に、針葉樹および広葉樹のクラフトパルプ、あるいはこれらクラフトパルプを漂白した針葉樹晒クラフトパルプ(NBKPと称す)、広葉樹晒クラフトパルプ(LBKPと称す)が好ましい。また、これらのパルプにおいて、その漂白工程で塩素の影響を取り除いた塩素フリーパルプ、例えば、パルプ漂白に塩素そのものを使わずに塩素化合物を使うECF(Elemental Chlorine Free)パルプ、パルプ漂白に塩素元素が一切入っていない漂白剤を用いるTCF(Total Chlorine Free)パルプ等を用いることは好ましい。
これらのパルプは、紙力、抄紙適性等を調整するために、叩解機により叩解度を調整でき、その叩解度(フリーネス(CSF:Canadian Standard Freeness))は特に限定しないが、250〜550ml(JIS−P8121)が好ましい。
原紙に添加される填料は、例えば、軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、焼成カオリン、合成ゼオライト、シリカ、酸化チタン、タルク等が好ましく用いられる。中でも軽質炭酸カルシウム、焼成カオリン、合成ゼオライトは多孔質のためインクジェットプリンターから吐出されたインク中の溶媒を吸収する能力に優れているために好ましく、その中でも、軽質炭酸カルシウムは白色度が高い紙基材が得られ、インクジェット記録用シートの光沢感も高まるので好ましい。
原紙中の填料の含有率(灰分)は、1〜20質量%程度が好ましい。この範囲であれば、平滑度、透気度、紙力や剛性のバランスがとれ、光沢度や写像性、剛性のバランスに優れた光沢インクジェット記録用シートが得られやすくなる。
原紙に添加される助剤としては、サイズ剤、定着剤、紙力増強剤、カチオン化剤、歩留り向上剤、染料、蛍光増白剤等が挙げられる。上記サイズ剤としては、公知のサイズ剤が、例えば、強化ロジン、アルケニル無水コハク酸等が用いられる。また、このサイズ剤の定着剤として硫酸バンド、定着歩留まり向上剤として澱粉等がサイズ剤に併用されて用いられる。
原紙には、サイズプレス処理しても良い。サイズプレスの目的は、サイズ度のコントロール、紙力の増強、平滑化等であり、サイズプレス液にはそれぞれの目的に合わせて澱粉類、ポリビニルアルコール類、サイズ剤、各種顔料等、公知公用の材料が使用される。紙基材のステキヒトサイズ度(JIS−P8122)は1〜300秒程度が好ましく、4〜200秒がより好ましい。サイズ度が1秒未満であると、塗工時に皺が発生する等操業上問題となる虞があり、300秒を越えるとインク吸収性が低下する虞があり、かつ印字後のカールやコックリング(吸収ジワ)が著しくなる虞があり好ましくない。
紙基材の坪量は、特に限定されないが、20〜400g/m程度が好ましい。紙基材の王研式透気度(日本TAPPI No.5)は10〜350秒が好ましく、10〜200秒がより好ましく、20〜100秒がさらに好ましい。この透気度が10秒未満であると、インク定着層用塗工液が紙基材からなる基材に過剰に浸透する虞があり、350秒を超えると、鏡面ドラムに圧接仕上げする際に、操業性が低下する虞があり、好ましくない。紙基材は、長網抄紙機などにより製造され、その厚さは、特に限定されないが、用途に応じて20μm〜500μmの範囲で適宜選択される。
<塗工層>
本発明は、基材上に、顔料を主成分とし、接着剤、カチオン性インク定着剤を含む塗工層を少なくとも一層有し、塗工層のうち最表層が湿潤状態である間に鏡面ドラムに圧接し、乾燥した後、鏡面ドラムより剥離することによりキャスト処理がなされる。
塗工層が一層の場合は、顔料を主成分とし、接着剤、カチオン性インク定着剤を含むインク定着層が最表層となり、塗工層が複数層有する場合は、例えば、インク溶媒を吸収する下塗り層と、顔料を主成分とし、接着剤、カチオン性インク定着剤を含むインク定着層(最表層)の構成、インク溶媒を基材に浸透させない下塗り層と、顔料を主成分とし、接着剤、カチオン性インク定着剤を含むインク定着層(最表層)の構成、顔料を主成分とし、接着剤とカチオン性インク定着剤を含むインク定着層上に、更に、顔料を主成分とし、接着剤とカチオン性インク定着剤を含むインク定着層(最表層)の構成、顔料を主成分とし、接着剤とカチオン性インク定着剤を含むインク定着層と、コロイド状粒子を含む光沢発現層(最表層)の構成、前記下塗り層と、顔料を主成分とし、接着剤とカチオン性インク定着剤を含むインク定着層と、コロイド状粒子を含む光沢発現層(最表層)の構成、或いは更にこれらの層を組み合わせた構成、各層間に任意の層を設けた構成等が挙げられる。
〔インク定着層〕
このインク定着層は、主成分である顔料と、これを保持する接着剤を含むみ、さらにインク中の染料や顔料をよりよく定着させるためにカチオン性インク定着剤を含有する層である。
(顔料)
インク定着層の顔料としては、公知のインクジェット記録用紙用の顔料が使用できるが、光沢性を得るためは、平均粒子径が10nm〜3μmの微細2次顔料を用いることが好ましく、シリカ、アルミナ、アルミナ水和物から選ばれる顔料を用いることが好ましい。これらの顔料のなかでは、シリカが特に好ましく、一次粒子径5nm〜50nmの気相法シリカがより好ましい。
気相法シリカはアニオン性を示すため、気相法シリカとカチオン性化合物とを混合して得られるシリカ−カチオン性化合物凝集体粒子として用いることが好ましい。なお、シリカ−カチオン性化合物凝集体粒子の平均粒子径が3μmを超えるような場合、これを粉砕分散して、平均粒子径10nm〜3μmの範囲に調節するとよい。10nm未満では、インク吸収性が低下するおそれがあり、3μmを超えると、平滑性が損なわれるため、高い光沢性を得るために、上層の光沢発現層の塗工量を多くするなどの必要があり、結果として、インク吸収性の低下や生産性の低下に繋がるという懸念点がある。平均粒子径を1μm以下にすると、塗工層の透明性が高まり、印字濃度が高くなるため好ましい。この凝集体粒子は、平均粒子径は30〜800nmの範囲が最も好ましい。カチオン性化合物およびシリカ−カチオン性化合物凝集体粒子は、インク定着剤として作用しており、詳しくは、インク定着剤の項で説明する。
ここでいう平均粒子径とは動的光散乱法に基づく装置を使用して測定した粒子径分布のメジアン径であり、本発明者らは「動的光散乱式粒径分布測定装置LB−500型(株式会社堀場製作所製)」を使用したが、測定原理が同じであれば、装置のモデルが異なっても、ほぼ同じ値が得られる。
インク定着層には、本発明の効果を損なわない範囲で、上記の平均粒子径10nm〜3μmの微細2次顔料に併用して通常の記録用紙に使用される公知の顔料を用いることができる。これらの顔料としては、カオリン(含クレー)、炭酸カルシウム、酸化チタン、酸化亜鉛、非晶質シリカ(含コロイダルシリカ)、酸化アルミニウム、ゼオライト、セピオライト、スメクタイト、合成スメクタイト、珪酸マグネシウム、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム、珪藻土、スチレン系プラスチックピグメント、ハイドロタルサイト、尿素樹脂系プラスチックピグメント、ベンゾグアナミン系プラスチックピグメント等が挙げられ、単独或いは併用で用いられる。
(接着剤)
接着剤は、上記顔料を基材上に保持するために配合される。インクジェット記録用紙用の公知の接着剤を使用することができ、水分散系接着剤、水溶性接着剤を単独、併用とも可能である。水分散系接着剤としては、例えば、スチレン−ブタジエン共重合樹脂、メチルメタクリレート−ブタジエン共重合体の共役ジエン系樹脂、アクリル系樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂等のビニル系樹脂等が挙げられる。この中で、得られる塗膜のインク吸収性および透明性の面で、アクリル系樹脂およびウレタン系樹脂が特に好ましい。これらの水分散系接着剤は、単独で用いても、または2種以上の併用であっても良い。
水溶性接着剤としては、カゼイン、大豆蛋白、ゼラチン、合成蛋白等の蛋白質類、澱粉や酸化澱粉等の各種澱粉類、キチン、キトサン等の各種多糖類、ポリビニルアルコール、カチオン性ポリビニルアルコール、シリル変性ポリビニルアルコール等の変性ポリビニルアルコールを含むポリビニルアルコール類、カルボキシメチルセルロースやメチルセルロース等のセルロース誘導体、水性ポリウレタン樹脂、水性ポリエステル樹脂等が挙げられる。
これらの接着剤の中でも表面強度の点からポリビニルアルコールを用いることが好ましい。インク定着層に用いられるポリビニルアルコールは、そのケン化度の相違により性状が異なり、目的に応じてそのケン化度を選択することが好ましい。ケン化度が95%以上、より好ましくは98%以上のポリビニルアルコールを使用すると、塗工層の強度が強くなるとともに、塗工液調製時に泡立ちなどもおこらず、製造時の作業性が非常に良好である。また、ケン化度が75〜90%の部分ケン化ポリビニルアルコールを使用すると、塗工層の可撓性に優れ、その折り割れ防止に非常に効果的である。これらケン化度の異なるポリビニルアルコールは、その目的に応じて、それぞれ単独で用いても、併用して用いても良い。
また、上記ポリビニルアルコールは、その重合度が3500以上であることが好ましく、3500〜5000であることが特に好ましい。重合度が3500未満であると、インク定着層の強度が弱いと共に、ひび割れが発生しやすく、かつ断裁時に紙粉が発生する虞があり、5000を超えると、十分なインク吸収性が得られにくいとともに、溶液粘度が高く塗工液調整におけるハンドリング面が困難となる虞があり、好ましくない。
インク定着層の接着剤の配合量は、顔料100質量部に対して7〜50質量部であることが好ましく、10〜40質量部であることがより好ましい。この配合量が、7質量部未満であると、塗膜強度が十分でないおそれがあり、50質量部を超えると、インクの吸収性を損なう虞があり好ましくない。
(インク定着剤)
インク定着剤は、インクジェット記録用インク中の染料色素を定着する作用を有し、これにより印字画像に耐水性を付与する。このインク定着剤には、カチオン性化合物が用いられ、カチオン性樹脂や低分子カチオン性化合物、金属化合物が例示される。
カチオン性樹脂としては、例えば、(イ)ポリエチレンポリアミンやポリプロピレンポリアミン等のポリアルキレンポリアミン類またはその誘導体、(ロ)第2級または第3級アミノ基や第4級アンモニウム基を有するアクリル重合体、またはそれらのアクリルアミドの共重合体、(ハ)ポリビニルアミンおよびポリビニルアミジン類、(ニ)ジシアンジアミド−ホルマリン共重合体に代表されるジシアン系カチオン性化合物、(ホ)ジシアンジアミド−ポリエチレンアミン共重合体に代表されるポリアミン系カチオン性化合物、(へ)エピクロルヒドリン−ジメチルアミン共重合体、(ト)ジアリルジメチルアンモニウム−SO重縮合体、(チ)ジアリルアミン塩−SO重縮合体、(リ)ジアリルジメチルアンモニウムクロライド重合体、(ヌ)アリルアミン塩の共重合体、(ル)ジアルキルアミノエチル(メタ)アクリレート4級塩共重合体、(オ)アクリルアミド−ジアリルアミン共重合体、(ワ)5員環アミジン構造を有するカチオン性樹脂等が挙げられる。
低分子カチオン性化合物としては、シラン系、チタネート系、アルミニウム系またはジルコニウム系などのカチオン性カップリング剤やカチオン性界面活性剤等が挙げられる。
金属化合物としては、水溶性アルミニウム化合物(例えば、塩化アルミニウムまたはその水和物、硫酸アルミニウムまたはその水和物、アンモニウムミョウバン等の無機塩、無機系の含アルミニウムカチオンポリマーであるポリ水酸化アルミニウム化合物等)、水溶性ジルコニウム化合物(例えば、酢酸ジルコニウム、塩化ジルコニウム、オキシ塩化ジルコニウム、ヒドロキシ塩化ジルコニウム、硝酸ジルコニウム、塩基性炭酸ジルコニウム、水酸化ジルコニウム、炭酸ジルコニウム・アンモニウム、炭酸ジルコニウム・カリウム、硫酸ジルコニウム、フッ化ジルコニウム化合物等)、水溶性チタン化合物(例えば塩化チタン、硫酸チタン等)、水溶性ランタノイド属化合物(例えば、塩化セリウム、硝酸セリウム、硫酸セリウム、酢酸セリウム、硝酸ランタン等)などの水溶性多価金属塩等が挙げられる。
これらのインク定着剤は単独に、また2種以上併用して用いられる。
(シリカ−カチオン性化合物凝集体微粒子)
上記カチオン性化合物は、気相法シリカとの混合液中で気相法シリカと凝集し、シリカ−カチオン性化合物凝集体を形成する。このため、このカチオン性化合物は、単体で用いるよりあらかじめ気相法シリカと凝集体を形成して用いることが好ましい。シリカ−カチオン性化合物凝集体微粒子を形成するために用いる単体の気相法シリカは、平均粒子径が3〜40nmの1次粒子であるが、この凝集体微粒子は、実質的に1次粒子が凝集してできた二次粒子からなっている。シリカ−カチオン性化合物凝集体は、平均粒子径0.01〜1μmとなるように粉砕・分散し、シリカ−カチオン性化合物凝集体微粒子として、インク定着層用塗工液に用いることが好ましい。粉砕・分散する方法としては、超音波、高速回転ミル、ローラミル、容器駆動媒体ミル、媒体撹拌ミル、ジェットミル、擂解機、サンドグラインダ、ナノマイザ(商品名)、ホモミキサ等が挙げられる。
顔料およびインク定着剤としてこのシリカ−カチオン性化合物凝集体微粒子は、1種単独で、あるいは2種以上併用して用いられるが、これを用いることによって、インク定着層の透明性、表面強度、平滑性ならびにインクの吸収性、発色性、耐候性、耐水性等を向上させることができる。
(インク定着層の他の成分)
インク定着層には、さらに、一般塗工紙の製造において使用される分散剤、増粘剤、消泡剤、帯電防止剤、防腐剤等の各種助剤が適宜添加される。また、インク定着層中に、蛍光染料、着色剤を添加することもできる。
なお、インク定着層中には、さらにインクの定着性を高め耐水性を向上させるために、単体のカチオン性化合物を配合してもよい。カチオン性化合物としては、上記シリカ−カチオン性化合物凝集体で用いたカチオン性化合物が例示でき、その中でも、水溶性樹脂あるいはエマルジョンのものが好ましく用いられる。また、この単体で配合するカチオン性化合物、特にカチオン性樹脂は、接着剤としての役割も併せて付与させる場合にしばしば用いられる。
インク定着層のインク吸収性を高めるたせるためには、極力バインダー成分を抑えた方が好ましいが、バインダー成分が少ないと、インク定着層を形成するために塗工液を塗工する際に、塗工層にひび割れを生じやすい。その場合は、例えば、塗工層を乾燥初期に増粘またはゲル化させることで乾燥時の熱風による塗工層のひび割れを防ぐことができる。
塗工層を増粘またはゲル化させる方法としては、特に限定するものではないが、例えば、塗工液に配合した水溶性バインダーと架橋反応可能な架橋剤を用いて増粘またはゲル化させる方法、電子線などのエネルギーを供給することにより増粘またはゲル化させる方法(例えば特開2002−160439号公報に開示)、水溶性バインダーとして、温度条件によって親水性と疎水性を示す感温性高分子化合物を用い、温度変化させることにより増粘またはゲル化させる方法(例えば特開2003−40916号公報に開示)などが挙げられる。この中で、架橋剤剤を用いる方法は、特殊な装置や化合物を必要としないので好ましく、以下に代表例として説明する。
接着剤との架橋性を有する化合物としては、各種公知の架橋剤、ゲル化剤が使用できる。ポリビニルアルコールに対する架橋性を有する化合物としては、グリオキザールなどのアルデヒド系架橋剤、エチレングリコールジグリシジルエーテルなどのエポキシ系架橋剤、ビスビニルスルホニルメチルエーテルなどのビニル系架橋剤、ホウ酸およびホウ砂などのホウ素含有化合物、グリシジル化合物、ジルコニウム化合物、アルミニウム化合物、クロム化合物等などが例示できる。中でも、ホウ素含有化合物は、増粘またはゲル化が早く生じるので特に好ましい。
ホウ素含有化合物としては、ホウ素原子を中心原子とする酸素酸及びその塩のことである。具体例としては、オルトホウ酸、メタホウ酸、次ホウ酸、四ホウ酸、五ホウ酸、及びそれらのナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩等が挙げられる。中でも、オルトホウ酸と四ホウ酸二ナトリウムが、塗料を適度に増粘させる効果があるために好ましく用いられる。
ホウ素化合物の含有量は、ホウ素化合物及びポリビニルアルコールの重合度にもよるが、基材の片面に0.01〜2.0g/m含有されることが好ましい。含有量が2.0g/m以下であることにより、親水性バインダーとの架橋密度が高くなりすぎず、塗膜強度を良好なものにできる。一方、含有量が0.01g/m以上であることにより、親水性接着剤との架橋が強まり、塗料のゲル化を促進して塗膜がひび割れしにくいものとなる。
インク定着層は、例えば、架橋剤を予め原紙表面や後述する下塗層表面に塗布・含浸させておき、インク定着層用塗工液を塗布する、または、インク定着層用塗工液に架橋剤を配合しておき塗布する、または、インク定着層用塗工液を塗布後、架橋剤を塗布する、または、インク定着層用塗工液に架橋剤を不活性な状態で配合しておき、基材表面に先に塗工した架橋剤を活性化する層の上にこれを塗工して架橋剤を活性化し、架橋反応を起こす等の方法により製造される。中でも、インク定着層用塗工液に架橋剤を不活性な状態で配合しておき、基材表面に先に塗工した架橋剤を活性化する層の上にこれを塗工して架橋剤を活性化し、架橋反応を起こす方法は、増粘またはゲル化を均一に起こすことができるのみならず、必要以上の架橋剤を添加せずに済むため好ましい。
インク定着層の乾燥固形分塗工量には、制限はないが、一般に2〜100g/mであることが好ましく、5〜50g/mであることがより好ましい。塗工量が2g/m以上であることにより、高精細・高速のプリンターにおけるインク吸収性が充分なものとなり、塗工量が50g/m以下であることにより塗膜のひび割れが起こりにくくなる。
インク定着層は、2層以上形成することもでき、このように2層以上で構成する場合は、それぞれの層を構成するシリカや接着剤は同じでも良いし、異なっていても構わない。
また、同一の層内に2種類以上のシリカや接着剤を混合しても良いし、それらを組み合わせて使用しても良い。
インク定着層を形成するための塗工装置としては、ブレードコータ、エアーナイフコータ、ロールコータ、バーコータ、グラビアコータ、ロッドブレードコータ、リップコータ、カーテンコータおよびダイコータ等の各種塗工装置が挙げられる。
また、スライドビードコータなどを用い、複数のインク定着層を同時に塗工することもできる。2層以上のインク定着層を塗工する場合は、下層が未乾燥のうちに上層を下層の上に塗工する方法、すなわち、Wet on Wet法を用いることが好ましい。
さらに、この塗工したインク定着層に、必要に応じてスーパーカレンダー、ブラシ掛け等の平滑化処理を施しても良い。
〔下塗り層〕
下塗り層は、インク定着層の機能を補う目的で設けることができる。例えば、インク溶媒を吸収する目的で下塗り層を設けることにより、インクの着色成分と溶媒成分をいち早く分離することができる。例えば、インク溶媒を基材に浸透させない目的で下塗り層を設けることにより、インク溶媒が紙基材への浸透することによるコックリングを防ぐことができる。勿論、インク溶媒を基材に浸透させない下塗り層上に、インク溶媒を吸収する下塗り層を積層することもできる。
どちらの下塗り層においても、顔料と接着剤を含有する塗工層である。顔料としては、カオリン(含クレー)、雲母、炭酸カルシウム、酸化チタン、酸化亜鉛、非晶質シリカ(含コロイダルシリカ)、酸化アルミニウム、ゼオライト、セピオライト、スメクタイト、合成スメクタイト、珪酸マグネシウム、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム、珪藻土、スチレン系プラスチックピグメント、ハイドロタルサイト、尿素樹脂系プラスチックピグメント、ベンゾグアナミン系プラスチックピグメント等が挙げられ、単独或いは併用で用いられる。接着剤としては、インクジェット記録用紙用の公知の接着剤を使用することができ、水分散系接着剤、水溶性接着剤を単独、併用とも可能である。
インク溶媒を吸収する目的の下塗り層の場合、顔料として、非晶質シリカ、酸化アルミニウム、アルミノシリケート、炭酸カルシウムを用いることが好ましく、特に湿式法シリカを用いることが好ましい。接着剤については、特に限定するものではないが、過剰に用いるとインク溶媒の吸収性が損なわれるため、顔料100質量部に対して7〜50質量部程度である。
一方、インク溶媒を基材に浸透させない目的の下塗り層の場合、顔料としては、雲母、カオリン(含クレー)、炭酸カルシウム、スメクタイト、合成スメクタイトなどを用いることが好ましく、特に雲母、カオリン(含むクレー)を用いることが好ましい。接着剤としては、水分散系接着剤を用いることが、インク溶媒の浸透を抑制する効果が高いので、好ましく、顔料100質量部に対して50〜500質量部程度である。
下塗り層には、さらに、一般塗工紙の製造において使用される分散剤、増粘剤、消泡剤、帯電防止剤、防腐剤等の各種助剤が適宜添加される。また、下塗り層中に、蛍光染料、着色剤を添加することもできる。また、インク定着層のひび割れを防止するため、架橋剤を配合することもできる。
下塗り層を形成するための塗工装置としては、ブレードコータ、エアーナイフコータ、ロールコータ、バーコータ、グラビアコータ、ロッドブレードコータ、リップコータ、カーテンコータおよびダイコータ等の各種塗工装置が挙げられる。
〔光沢発現層〕
本発明は、インク定着層をキャスト処理することもできるが、より高光沢な面を得るためには、インク定着層上に、光沢発現層を設け、キャスト処理することが好ましい。光沢発現層は、顔料と接着剤を主成分とする。光沢発現層の乾燥塗工量が0.1〜5g/mであるとき、生産性に優れ、より鮮明な画像を得ることができる。光沢発現層の塗工量は、このように少ないため、光沢発現層には必ずしもインク定着剤を配合する必要はない。
(顔料)
顔料はコロイド状粒子であることが望ましい。光沢発現層のコロイド状粒子とは、水中に懸濁分散してコロイド状をなしている無機粒子或いは有機粒子を指し、コロイド状粒子を含有することにより、均一で高い光沢性を得ることが出来る。該コロイド状粒子として、例えば、コロイダルシリカ、ベーマイト、擬ベーマイト等のアルミナゾルやコロイダルアルミナ、カチオン性アルミニウム酸化物又はその水和物、或いは特公昭47−26959号公報に開示されているようなコロイド状シリカ粒子表面をアルミナコーティングした粒子、等の無機粒子、ポリスチレン、メチルメタクリレート、スチレン−ブタジエン共重合体、メチルメタクリレート−ブタジエン共重合体、アクリル酸エステル及びメタクリル酸エステル共重合体、マイクロカプセル、尿素樹脂、メラミン等の有機粒子が挙げられる。本発明において好ましいコロイド状粒子としては、コロイダルシリカや無定形シリカを保護コロイドを作る能力のある水溶性化合物の存在下で分散・解砕したものが例示される。無定形シリカとしては、一次粒子径が小さく二次粒子径が大きくて解砕しにくいゲル法シリカより一次粒子径が大きめで解砕しやすい沈降法シリカや気相法シリカがより好ましく、二次粒子径が小さい気相法シリカは更に好ましい。これらのコロイド状粒子は、2種以上併用することも可能である。
光沢発現層のコロイド状粒子は、インクを定着させる機能を有するカチオン性コロイド状粒子が好ましい。カチオン性コロイド状粒子は、上述のコロイド状粒子の内、該粒子表面が正に帯電した粒子を指し、例えば、ベーマイト、擬ベーマイト等のアルミナゾルやコロイダルアルミナ、カチオン性アルミニウム酸化物又はその水和物、コロイド状シリカ粒子表面をアルミナコーティングした粒子等が挙げられる。また、保護コロイドを作る能力のある水溶性化合物としてカチオン性樹脂等を選択し、その存在下で分散・解砕した気相法シリカも、好ましく使用される。
(接着剤)
光沢発現層中には、コロイド状粒子等をインク定着層上に固着させる目的で、接着剤を含有する。該接着剤は、上記インク定着層に用いた上述の接着剤のなかから選ばれ、単独であっても、または2種類以上であってもよい。光沢発現層には、操業中に定着層に含まれる物質が抽出・溶解して混じる可能性がある。例えば、定着層が硼酸や硼砂等の物質を含んでいたり、或いは定着層の下に設けた下塗り層にこれらの物質が混入していたりした場合、これらが光沢発現層に混入する場合もある。この意味では、光沢発現層に含まれる接着剤は、ポリビニルアルコール等よりもアクリル系樹脂やウレタン系樹脂の方が硼素化合物と反応しにくいので好ましい。しかし、ポリビニルアルコールやゼラチン、カゼイン等の水溶性接着剤は一般にアクリル系樹脂やウレタン系樹脂に比べて乾燥皮膜が硬いため、プリンターに給紙したときに傷がつきにくく、要求される品質に合わせてこれらを使いこなすことが重要である。
光沢発現層中のコロイド状粒子がカチオン性である場合や、光沢発現層中にインク定着剤を配合する場合は、ポリビニルアルコールやゼラチン、カチオン変性した接着剤を使用する必要がある。
光沢発現層中のコロイド状粒子がアニオン性である場合は、ポリビニルアルコールやカゼイン、アニオン系の接着剤が使用可能である。
接着剤の配合量は、コロイド状粒子100質量部に対し1〜200質量部、より好ましくは10〜100質量部の範囲で調節される。接着剤の配合量が1質量部より少ないと、光沢発現層の固着力が弱くなり、塗工層の欠落が発生する虞があり、200質量部を越えると、インク吸収性が低下し、所望のインクジェット記録適性が得られなくなる虞があり、好ましくない。
(その他添加剤)
また、この最表層には、必要に応じてインク定着剤、分散剤、架橋剤、増粘剤(流動変成剤)、消泡剤、耐水化剤(印刷適性向上剤)、帯電防止剤、防腐剤、紫外線吸収剤、保存性改良剤、蛍光増白剤、および着色剤等の各種添加剤を適宜添加することができる。
最表層用塗工液を塗工する場合には、各種公知の塗工方法を採用することができ、例えば、ブレード、ブラシコータ、チャンプレックスコータ、バーコータ、グラビアコータ等の塗工装置を適宜使用するとよい。
<キャスト処理>
本発明は、塗工層のうち最表層が湿潤状態である間に鏡面ドラムに圧接し、乾燥した後、鏡面ドラムより剥離すること(所謂キャスト処理)により、光沢を有するインクジェット記録用紙を製造する。キャスト処理の方法としては、特に限定するものではなく、公知のウェット法、リウエット法、凝固法等が採用できる。
上記光沢発現層を設けた構成の場合は、光沢発現層が最表層であり、光沢発現層を設けない構成の場合は、インク定着層が最表層となる。インク定着層をキャスト処理する場合、或いは光沢発現層にカチオン性物質(例えばインク定着剤)を含有する場合、最表層はカチオン性の塗工層となるので、生産性を高める課題を解決するために、離型性とドラム曇りの両方を改善する必要がある。また、光沢発現層にカチオン性物質を含まない場合においても、光沢発現層の塗工量が少なく、且つ湿潤状態でキャスト処理を施すので、インク定着層のカチオン性物質が少しずつ光沢発現層に移行してしまい、生産性を低下する問題があり、改善する必要がある。
本発明は、最表層に、水溶性の離型剤と、融点が55〜105℃であり、融解熱90mJ/mg以上である水分散性の離型剤を含有させることにより、離型性の改善と、エッジ粕の低減と、ドラム曇りの改善とを達成するものである。
離型性の改善については、水分散性の離型剤が主として働く。従来の印刷用のキャスト塗被紙の製造からインクジェット記録用キャストコート紙の製造においても、鏡面ドラムはその表面にバフ掛けを行ない、油性物性の皮膜を形成されている。鏡面ドラムの表面の油性物質の皮膜を形成する油性物質としては、例えば、ステアリン酸、オレイン酸、ミリスチン酸、ベヘン酸等の脂肪酸類、パラフィン、ポリエチレンやその変性物が例示される。
インクジェット記録用キャストコート紙の製造の際、ドラム表面で最表層塗料が乾燥し、乾燥した最表層がドラムから剥離するとき、ドラム表面に皮膜した油性物質は最表層表面に徐々にとられるため、減少していく。本発明では最表層に水分散性の離型剤を含有せしめているので、次に接する湿潤状態の最表層に存在する水分散性の離型剤がこれを補うため、離型性が維持される。おそらく、水分散性の離型剤は、芯物質の表面を親水性物質で包み込んでコロイド状粒子となり、湿潤状態の最表層中に分散している。これらは表面が親水性であり、ドラム表面に配列して層を作りやすい傾向にある。最表層が乾燥し離型するとき、ドラム表面で層を形成していた油性物質皮膜の中間で分離するため、湿潤状態の最表層に含まれる顔料や接着剤がドラム表面に残る量を少なく抑えることができると考えられる。
エッジ粕の低減については、上記水分散性の離型剤を融点が55〜105℃であり、融解熱が90mJ/mg以上の水分散性の離型剤に限定することにより解決する。
この理由は定かではないが、以下のように推測される。すなわち、融点が55℃未満の材料は鏡面ドラム(キャストドラム)の熱で容易に溶融し、塗工層中に浸透・吸収されるため、塗工層表面に留まらず、離型剤としての働きが小さい。逆に、融点が105℃を超えると、鏡面ドラム(キャストドラム)の熱で十分に溶融せず、離型剤として働かない。更に、融解熱が低いものは一般に分子量分布の幅が広く、または結晶化度が低く、溶融状態で粘度が高めのために、離型が不良であったりエッジ粕が残りやすかったりするものと推測する。
なお、水分散性の離型剤の融点と融解熱は、以下のようにして測定した。
(1)水分散性の離型剤をシャーレに分取し、40℃に設定した熱風乾燥機で1昼夜乾燥する。
(2)サンプルをアルミセルに封入、示差熱走査熱量計で融点と融解熱を測定した。
本発明者らは「示差熱走査熱量計DSC6200型(セイコーインスツ(株)製)」を使用したが、測定原理が同じであれば、装置のモデルが異なっても、ほぼ同じ値が得られる。
ドラム曇りの改善には、水溶性の離型剤を併用することにより解決する。
上記水分散性の離型剤だけでは、最表層塗料中に含まれる顔料や接着剤が、僅かにドラム表面に残っていくため、経時的にドラム曇りが発生するものと考えられる。水溶性の離型剤は、ドラム表面に残っている極少量の塗工層成分をドラムから離脱させる、洗浄効果を持っているものと考えられる。この洗浄効果によりドラム表面を清浄に保つことができ、ドラム曇りが解消し、水分散性の離型剤の効果とあいまって、相乗的な離型効果が得られるものと思われる。
水分散性の離型剤としては、融点が55〜105℃であり、融解熱が90mJ/mg以上であれば特に限定するものではないが、水分散性の離型剤の芯物質としては凝集力の小さな材料、特にドラム表面で溶融しているものが好ましく、融点が115℃以下であることがより好ましい。例えば、炭素数14〜22の脂肪酸類(例えば、ステアリン酸、オレイン酸、ミリスチン酸、ベヘン酸等)、パラフィン等のワックス類、ポリエチレンやその変性物が例示される。
上記の離型剤のうち、ポリエチレンやその変性物は溶融時の粘度が高く、層を作りやすいため、離型性としての効果は優れているが、反面、粘度が高すぎた場合はドラム表面に残り、ドラムが曇りやすくなる場合がある。脂肪酸類は溶融時の粘度が低く、離型が良好でドラム曇りも少ないが、分散物の粒子径が大きくなりやすい。分散物の粒子径が大きすぎると、記録濃度が低下する懸念がある。ワックス類は溶融時の粘度が低いものを選択することができ、分散物の粒子径も小さくしやすいため、離型剤が良好でドラム曇りも少なく、記録濃度を低下させることなく添加できるため、最も好ましい。
また、水分散物の離型剤の粒子径は1μm以下が好ましく、10〜500nmが更に好ましく、10〜80nmが最も好ましい。粒子径が1μmを超えると、最表層の透明性が低下してしまい、記録濃度が低下する懸念がある。一方、10nm未満の場合は分散物の芯物質に対する被覆物質の量が相対的に大きくなるためか、離型剤としての効果が少なくなる懸念がある。
水溶性の離型剤としては、離型性やエッジ粕を損なうことなく、ドラム表面を洗浄できる物質であればよく、例えば、最表層塗料がアニオン性の場合は、オレイン酸ナトリウムやオレイン酸カリウム、ステアリン酸ナトリウムやステアリン酸カリウムに代表される脂肪酸のアルカリ金属塩、オレイン酸アンモニウムやステアリン酸アンモニウム等のアンモニウム塩等のアニオン性を示す脂肪酸塩が例示できる。最表層塗料がインク定着剤を含むなどの理由により、カチオン性を示す場合は、これらの水溶性離型剤は使用できず、例えば、炭素数14〜22の脂肪族アミン塩類や四級脂肪族アンモニウム塩を用いることが好ましい。具体的には、脂肪族アミン塩類としては、ステアリルアミン塩酸塩やステアリルアミン酢酸塩、ベヘニルアミン酢酸塩等の一級アミン塩や、ラウリルトリメチルアンモニウムクロライドやジステアリルジメチルアンモニウムクロライドに代表される四級のアンモニウム塩が例示される。四級脂肪族アンモニウム塩は洗浄効果が強い傾向にあるため、これらを使用する場合は水分散性の離型剤を多く使用する必要がある。従って、一級脂肪族アミン塩がより好ましい。特に、一級脂肪族アミン塩酸塩、一級脂肪族アミン酢酸塩が更に好ましく、ベヘニルアミン、ステアリルアミン、オレイルアミン、ヤシ脂肪アミン、牛脂脂肪アミン等の塩酸塩、酢酸塩、燐酸塩等が好ましく、皮膚に対する刺激性やpHといった取扱いの観点から、ベヘニルアミンまたはステアリルアミンの酢酸塩が、最も好ましい。
水溶性の離型剤の持つ洗浄効果があまりにも大きいと、バフ掛け時にドラム表面に設けた油性物質までも洗い落としてしまい、ドラム表面を清浄に保てても離型性を落とす原因となる。洗浄効果が高すぎる場合は前述の水分散性の離型剤の量を増やしてバランスを取る必要があるが、水分散性の離型剤は基本的に非水溶性のため、過度に配合するとインク吸収性を落とす懸念があり、好ましくない。水溶性の離型剤は、水分散性の離型剤100質量部に対し、50〜100質量部程度である。
また、水分散性の離型剤や水溶性の離型剤の過剰な添加はインクの吸収を阻害したり、逆に浸透を助長したりする場合がある。また、材料によっては、C型給紙傷を悪化させる場合もあるため、添加量は必要最小限に留めるほうが副作用は出にくく好ましい。水分散性の離型剤と水溶性の離型剤の合計添加量は最表層の顔料100質量部に対して、3〜30質量部程度であり、好ましくは5〜20質量部である。なお、水分散性の離型剤と水溶性の離型剤は、最表層用の塗工液に配合するとよいが、リウエットキャスト法の場合のリウエット液、凝固法の場合の凝固液に配合しても構わない。
キャスト処理の方法としては、ウェット法、リウエット法、凝固法等が公知の方法が採用できるが、最表層を塗布したのち、直ちに鏡面ドラムに圧接するウェット法は、最表層用塗工液の下層への浸み込みを防ぐことができ、好ましい。また、鏡面ドラムのニップ部に光沢発現層用塗工液の液溜まりを形成し、塗工するウェットキャスト法を用いると、より均一な塗工層が形成されやすく、印字濃度が高く、光沢の優れた光沢発現層が得られるので特に好ましい。
なお、加熱された鏡面ドラムの温度は例えば50〜150℃程度、好ましくは70〜120℃程度である。因みに、温度が低いと乾燥する能力が低く、温度が高いと最表層の水分が突沸する虞がある。
また、塗工層の最表層に平均粒子径5μm未満の顔料を含有することインク吸収性が優れたインクジェット記録用キャストコート紙となるため好ましく、特に顔料としてコロイド状粒子を用いると、高光沢のインクジェット記録用キャストコート紙となるため好ましい。更に、最表層にカチオン性インク定着剤を含有すると、より高い記録濃度が得られるため好ましい。
また、塗工層をインク定着層と光沢発現層の積層する構成とし、最表層である光沢発現層の塗工量を0.1〜5g/mとすること、より高い記録濃度が得られるため好ましい。更に、インク定着層が顔料として一次粒子径5〜50nm、二次粒子径10〜800nmの気相法シリカを含み、接着剤として、ポリビニルアルコール類を含有せしめると、光沢発現層が更に安定して設けることができ、キャスト処理後の光沢度が更に向上する。このため、光沢発現層の塗工量は0.1〜5g/mという少量でも十分な光沢を得ることができ、更には、高い記録濃度を得ることができる。
更に、インクジェット記録用キャストコート紙の表面のJIS−Z−8741による20°光沢度が15%以上であることが好ましい。
<裏面層>
本発明では、上記の最表層等を設けていない基材のもう一方の面側である裏面に、写真の風合いやインクジェット記録体のカール防止及び搬送性などの改良のために、裏面層を設けてもよい。裏面層には、特に限定するものではないが、顔料とバインダー系(例えば、コロイダルシリカとアクリル系エマルション型バインダー等)、有機エマルジョン系(例えば、シリコーン系エマルジョン型バインダー、アクリル系エマルジョン型バインダー等)、親水性・疎水性の接着剤系(例えば、澱粉やポリビニルアルコールの塗膜)、ラミネート(例えば、ポリエチレン等)等からなるものが挙げられる。
更に、裏面にインクジェット記録体や他の記録体を貼り合わせて両面記録体としたり、裏面に粘着剤層を形成してラベルとしたり、磁気カードやICカードの表面に貼り合わせてカードとしたりなど、公知の手段を施すことができる。
以下に実施例を挙げて、本発明をより具体的に説明するが、本発明は、これら実施例に限定されるものではない。
また、以下に示す実施例および比較例中の「部」および「%」は、特に断らない限り、それぞれ水を除く固形分の「質量部」および「質量%」を示す。
<実施例1>
[紙基材の作製]
木材パルプ(LBKP;ろ水度400mlCSF)100質量部、焼成カオリン(商品名:アンシレックス)5質量部、市販サイズ剤0.05質量部、硫酸バンド1.5質量部、湿潤紙力剤0.5質量部、澱粉0.75質量部よりなる製紙材料を使用し、長網抄紙機にて坪量180g/mの紙基材を製造した。なお、得られた紙基材の王研式透気度は45秒であった
[吸収層塗工液の作製]
水に分散剤(東亞合成(株)製、商品名:アロンSD−10)を0.5部、消泡剤(サンノプコ(株)製、商品名:ノプコ1407K)を0.05部、カチオン性樹脂(ハイモ(株)製、商品名:ハイマックスSC700M)10部を添加し、更に平均粒子径7μmの無定形シリカ(グレースジャパン(株)製、商品名:サイロジェットP407)100部を添加・分散した。これに加熱・溶解した変性ポリビニルアルコール((株)クラレ製、商品名:PVA R−1130)10部を添加し、蛍光染料(住友化学(株)製、商品名:ホワイテックスBP−S)を2部、紫染料(大日精化(株)製、商品名:DC−Violet XRN)0.1部、青染料(大日精化(株)製、商品名:DC−Blue XB)0.05部を添加し、固形分濃度20%の吸収層塗工液を調製した。
[カチオン性シリカ微粒子の作製]
平均粒子径1.0μmの気相法シリカ(日本アエロジル社製、商品名:エアロジルA300、平均1次粒子径 約8nm)を用い、ホモミキサにより分散した後、平均粒子径が50nmになるまで高速流衝突型ホモジナイザーで粉砕分散し、10質量%のシリカの水分散液を調製した。
前記10質量%水分散液100質量部に、5員環アミジン構造を有するカチオン性化合物(ハイモ(株)製、商品名:ハイマックスSC700M、分子量30万)10質量部を添加し、高速流衝突型ホモジナイザーで更に分散し、平均粒子径が0.10μmのシリカ−カチオン性化合物の10質量%水分散液を調製した。
[インク定着層塗工液の作製]
上記カチオン性シリカ微粒子100部に、接着剤としてポリビニルアルコール((株)クラレ製、商品名:PVA−145、重合度4500、ケン化度99%)10部、消泡剤(サンノプコ(株)製、商品名:SNデフォーマー777)0.1部を混合・攪拌し、固形分濃度12%のインク定着層塗工液を調製した。
[硼砂液の調製]
水に硼砂(シオノギ製薬(株)製、商品名:硼砂)100部と濡れ剤(ライオン(株)製、商品名:レオックス2160C)0.05部を混合・攪拌し、固形分濃度4%の硼砂液を調製した。
[光沢発現層塗工液aの作製]
水にコロイド状粒子としてコロイダルシリカ(日産化学(株)製、商品名:スノーテックスST−40、平均粒子径:40nm、1次粒子)100部、接着剤としてアクリル系ラテックス(ニチゴー・モビニール(株)製、商品名:モビニール5400)25部、カゼイン(日成共益(株)製、商品名:酸カゼイン)10部を含有する組成液を混合し、水分散性の離型剤としてパラフィンエマルジョン(互応化学(株)製、商品名:ダイジットS−5、融点:58℃、融解熱:104.6mJ/mg)10部、水溶性の離型剤としてオレイン酸アンモニウム((株)日新化学研究所製、商品名:DEF−116T)8部を添加・混合し、固形分濃度5%の光沢発現層用塗工液aを調製した。
[インクジェット記録用キャストコート紙の作製]
作製した紙基材の一方の面側に、吸収層塗工液を乾燥後の塗工量が8g/mになるように塗工・乾燥した後、硼砂液を乾燥後の塗工量が1g/mとなるように塗工・乾燥した。この表面にインク定着層塗工液を乾燥後の重量が8g/mとなるように塗工・乾燥した。
さらに、このインク定着層上に光沢発現層塗工液aを塗工した後、表面温度が95℃の鏡面ドラムに直ちに圧接して乾燥し、剥離させてインクジェット記録用キャストコート紙を作製した。このときの光沢発現層の乾燥塗工量は1g/mであった。
(実施例2)
[光沢発現層塗工液bの作製]
実施例1の光沢発現層塗工液aにおいて、水分散性の離型剤としてステアリルアミド(中京油脂(株)製、商品名:ハイミクロンL271、融点:100.1℃、融解熱:139.2mJ/mg)10部を用いた以外は光沢発現層塗工液aと同様にして、光沢発現層塗工液bを調製した。
[インクジェット記録用キャストコート紙の作製]
光沢発現層塗工液aを光沢発現層塗工液bに変更した以外は実施例1と同様にして、インクジェット記録用キャストコート紙を得た。
(実施例3)
[光沢発現層塗工液cの作成]
水にコロイド状粒子としてコロイダルシリカ(日産化学(株)製、商品名:スノーテックスAK−L、平均粒子径:40nm、1次粒子)100部、接着剤としてポリビニルアルコール((株)クラレ製、商品名:PVA117)12部を含有する組成液を混合し、水分散性の離型剤としてパラフィンエマルジョン(センカ(株)製、商品名:ソフェールC、融点:59℃、融解熱:104.0mJ/mg)10部、水溶性の離型剤としてステアリルアミン酢酸塩(花王(株)製、商品名:アセタミン86)8部を添加・混合し、固形分濃度5%の光沢発現層用塗工液cを調製した。
[インクジェット記録用キャストコート紙の作製]
光沢発現層塗工液aを光沢発現層塗工液cに変更した以外は実施例1と同様にして、インクジェット記録用キャストコート紙を得た。
(比較例1)
[光沢発現層塗工液dの作製]
実施例1の光沢発現層塗工液aにおいて、水分散性の離型剤としてパラフィンエマルジョン(互応化学(株)製、商品名:ダイジットEK、融点:53.8℃、融解熱:112.1mJ/mg)10部を用いた以外は光沢発現層塗工液aと同様にして、光沢発現層塗工液dを調製した。
[インクジェット記録用キャストコート紙の作製]
光沢発現層塗工液aを光沢発現層塗工液dに変更した以外は実施例1と同様にして、インクジェット記録用キャストコート紙を得た。
(比較例2)
[光沢発現層塗工液eの作製]
実施例1の光沢発現層塗工液aにおいて、水分散性の離型剤としてポリエチレンエマルジョン(サン・ノプコ(株)製、商品名:ノプコートPEM−17、融点:93℃、融解熱:49.3mJ/mg)10部を用いた以外は光沢発現層塗工液aと同様にして、光沢発現層塗工液eを調製した。
[インクジェット記録用キャストコート紙の作製]
光沢発現層塗工液aを光沢発現層塗工液eに変更した以外は実施例1と同様にして、インクジェット記録用キャストコート紙を得た。
(比較例3)
[光沢発現層塗工液fの作製]
実施例1の光沢発現層塗工液aにおいて、水分散性の離型剤としてポリエチレンワックスエマルジョン(中京油脂(株)製、商品名:ポリロンL787、融点:87.6℃、融解熱:30.1mJ/mg)10部を用いた以外は光沢発現層塗工液aと同様にして、光沢発現層塗工液fを調製した。
[インクジェット記録用キャストコート紙の作製]
光沢発現層塗工液aを光沢発現層塗工液fに変更した以外は実施例1と同様にして、インクジェット記録用キャストコート紙を得た。
(比較例4)
[光沢発現層塗工液gの作製]
実施例1の光沢発現層塗工液aにおいて、水分散性の離型剤としてポリエチレンワックスエマルジョン(中京油脂(株)製、商品名:ポリロンL618、融点:126.3℃、融解熱:86.9mJ/mg)10部を用いた以外は光沢発現層塗工液aと同様にして、光沢発現層塗工液gを調製した。
[インクジェット記録用キャストコート紙の作製]
光沢発現層塗工液aを光沢発現層塗工液gに変更した以外は実施例1と同様にして、インクジェット記録用キャストコート紙を得た。
(比較例5)
[光沢発現層塗工液hの作製]
実施例1の光沢発現層塗工液aにおいて、水分散性の離型剤としてステアリン酸亜鉛サスペンジョン(中京油脂(株)製、商品名:ハイドリンZ−8、融点:126.5℃、融解熱:86.9mJ/mg)10部を用いた以外は光沢発現層塗工液aと同様にして、光沢発現層塗工液hを調製した。
[インクジェット記録用キャストコート紙の作製]
光沢発現層塗工液aを光沢発現層塗工液hに変更した以外は実施例1と同様にして、インクジェット記録用キャストコート紙を得た。
(比較例6)
[光沢発現層塗工液iの作製]
実施例2において、光沢発現層塗工液bの水分散性の離型剤であるステアリルアミド(中京油脂(株)製、商品名:ハイミクロンL271、融点:100.1℃、融解熱:139.2mJ/mg)10部を18部とし、水溶性の離型剤であるオレイン酸アンモニウム((株)日新化学研究所製、商品名:DEF−116T)8部の添加量を0部にした以外は実施例2と同様にして、光沢発現層塗工液iを調製した。
[インクジェット記録用キャストコート紙の作製]
光沢発現層塗工液aを光沢発現層塗工液iに変更した以外は実施例1と同様にして、インクジェット記録用キャストコート紙を得た。
<評価方法>
インクジェット記録用キャストコート紙の生産性の評価として、離型性、エッジ粕、ドラム曇りを、また、記録体の品質の評価として、光沢性、インク吸収性、画像の鮮明性を、下記に示す方法で評価し、その結果を表1に示した。
なお、画像の鮮明性の評価は、記録画像の色濃度を測定することにより行った。インクジェットプリンターには、CANON社製、商標:iP−4300、印字モード:光沢紙、きれいモードを用いた。
「離型性」
インクジェット記録用キャストコート紙の最表層を塗工した後、表面温度95℃に加熱した鏡面ドラムに圧着し、1,000m塗工して離型の様子を観察し、下記の基準で評価した。
5:離型はまったく問題なく、極めて順調に操業できた。
4:離型はやや強制的にドラム表面から剥離する状態だったが、順調に操業できた。
3:離型は強制的にドラム表面から剥離する状態だったが、用紙表面に対するダメージなく操業できた。
2:離型は強制的にドラム表面から剥離する状態であり、用紙表面に対する若干のダメージが認められた。
1:ドラム表面から塗工層が剥離せずにドラム表面に残る、いわゆるドラムピックが発生し、1,000mの操業ができなかった。
「エッジ粕」
インクジェット記録用キャストコート紙の最表層を塗工した後、表面温度95℃に加熱した鏡面ドラムに圧着し、1,000m塗工して巻取の端部に付着した塗料の塊(エッジ粕)を観察し、下記の基準で評価した。
5:エッジ粕はまったくない。
4:エッジ粕の付着が若干認められたが、実用上問題のないレベル。
3:エッジ粕の付着が認められるが、実用上許容できるレベル。
2:エッジ粕の付着が多く、許容できる限界に近いレベル。
1:エッジ粕の付着が甚だしく、実用上許容できないレベル。
「ドラム曇り」
インクジェット記録用キャストコート紙の最表層を塗工した後、表面温度95℃に加熱した鏡面ドラムに圧着し、1000塗工後の鏡面表面にインクジェット記録用キャストコート紙の塗工層の残留があるかどうかを下記の基準で評価した。
5:ドラム表面に残留物は全く無く、ドラム表面の清浄性が極めて高い。
4:ドラム表面に残留物はほとんど無く、ドラム表面の清浄性が高い。
3:ドラム表面に残留物がやや認められるが、ドラム表面は比較的清浄で、通常に生産できる。
2:ドラム表面に残留物が多く見られ、ドラム表面の清浄性が劣る。
1:ドラム表面に残留物が極めて多く付着し、ドラム表面の光沢が失われている。
「光沢性」
20度鏡面光沢度は、JIS−Z−8741に準拠し、村上色彩技術研究所製デジタル光沢度計(GM−26D)を使用して、記録用紙表面を入反射角度20度の光沢度を測定、下記の5段階にて評価した。
5:光沢度40%以上できわめて優れた光沢。
4:光沢度30%以上、40%未満で優れた光沢。
3:光沢度15%以上、30%未満で実用上問題ない光沢。
2:光沢度5%以上、15%未満で光沢が低く、実用上問題のあるレベル。
1:光沢度5%未満で光沢が低く、実用不可。
「インク吸収性」
光沢インクジェット記録用紙に上記条件でシアン色インクと黄色インクを重ねた緑色ベタ印字を行い、ベタ印字画像中に斑があるかどうかを目視で観察し、下記5段階にて評価した。
5:印字斑は全く見られない。
4:印字斑はわずかに見られるが、実用上問題ないレベル。
3:印字斑はやや多いが、実用上問題ないレベル。
2:印字斑が多く、実用上問題のあるレベル。
1:印字斑が非常に多く、実用不可。
なお、印字斑は、先に打ち込まれたインクが、光沢インクジェット記録用紙の塗工層に完全に吸収されないうちに、次のインクが飛来して表面で重なった場合に生ずる現象であり、インク吸収速度が遅くなると、濃度の不均一として顕著に現れるものである。
「記録画像の鮮明性(印字濃度)」
インクジェット記録用キャストコート紙に黒色インクでベタ印字し、その色濃度をマクベス反射濃度計(モデル:Gretag Macbeth RD−19、マクベス社製)で測定した。尚、色濃度を測定する場合のみ、印字モードを光沢紙、きれいモード、マッチングしないに設定した。
Figure 2012030428
表1から明らかなように、本実施例のインクジェット記録用キャストコート紙の製造方法は生産性に優れるものであり、また、光沢性、インク吸収性、記録画像の鮮明性に優れたインクジェット記録用キャストコート紙が得られる。これに対し、比較例は、生産性に劣るものであることが分かった。
本発明は、生産性に優れた光沢タイプのインクジェット記録用キャストコート紙の製造方法を提供するものであり、本発明方法により製造されたインクジェット記録用キャストコート紙は、例えば、写真画質の記録を行うインク吐出の早い染料インク系インクジェットプリンターや顔料インク系インクジェットプリンターの出力用紙として利用される。

Claims (5)

  1. 透気性基材上に、顔料を主成分とし、接着剤、カチオン性インク定着剤を含む塗工層を少なくとも一層有し、塗工層のうち最表層が湿潤状態である間に鏡面ドラムに圧接し、乾燥した後、鏡面ドラムより剥離して得られるインクジェット記録用キャストコート紙において、最表層に、水溶性の離型剤と、融点が55〜105℃であり、融解熱90mJ/mg以上である水分散性の離型剤を含有することを特徴とするインクジェット記録用キャストコート紙。
  2. 水分散性の離型剤が、炭素数14〜22の脂肪酸類、ワックス類、及びポリエチレン類から選ばれる少なくとも一種である請求項1記載のインクジェット記録用キャストコート紙。
  3. 水溶性の離型剤が、脂肪酸塩、脂肪族アミン塩または脂肪族4級アンモニウム塩脂肪酸類である請求項1又は2記載のインクジェット記録用キャストコート紙。
  4. 水分散性の離型剤100質量部に対して、水溶性物資50〜100質量部含有する請求項1〜3のいずれか一項に記載のインクジェット記録用キャストコート紙。
  5. 透気性基材上に、顔料を主成分とし、接着剤、カチオン性インク定着剤を含む塗工層を少なくとも一層有し、塗工層のうち最表層が湿潤状態である間に鏡面ドラムに圧接し、乾燥した後、鏡面ドラムより剥離して得られるインクジェット記録用キャストコート紙の製造方法において、湿潤状態の最表層に、水溶性の離型剤と、融点が55〜105℃であり、融解熱90mJ/mg以上である水分散性の離型剤を含有せしめることを特徴とするインクジェット記録用キャストコート紙の製造方法。
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