JP2012028243A - 導電性銅ペースト - Google Patents

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Abstract

【課題】下地層との密着性、ならびに、下地層との電気的接触の保持に、熱硬化性樹脂成分、あるいは、ガラス・フリットを利用せず、また、厚膜の導電体層の作製にも適する、新規な構成の導電性銅ペーストの提供。
【解決手段】銅粉と微細銅粉、さらに、(ジアルキルアミノ)アルキルアミンに溶解した脂肪族モノカルボン酸の銅塩を、分散溶媒の脂肪族多価アルコールとともに均一に混合してなる導電性銅ペースト、あるいは、銅粉と微細銅粉、さらに、(ジアルキルアミノ)アルキルアミンに分散した銅ナノ粒子を、分散溶媒の脂肪族多価アルコールとともに均一に混合してなる導電性銅ペーストであり、該導電性銅ペーストの利用することで、良好な導電性を示す焼結体層の作製が可能となる。
【選択図】なし

Description

本発明は、導電性銅ペーストに関し、特には、下地層に対する密着性を付与する、熱硬化性樹脂成分、あるいは、ガラス・フリットを添加していない導電性銅ペーストに関する。
無機材料基板の基板面に配線層や、電極層を形成する目的に、従来から、導電性金属ペーストが利用されている。
例えば、p型シリコン基板を利用して作製される太陽電池では、その受光面となる基板表面に、n+型半導体層を形成し、該n+型半導体層上に、グリッド状のn側電極が作製される。一方、p型シリコン基板の裏面には、p側電極として、アルミニウム電極が作製される。このp型シリコン基板裏面のアルミニウム電極の作製に、導電性アルミニウムペーストが利用されている。また、グリッド状のn側電極の作製には、導電性銀ペーストや導電性銅ペーストが利用されている。
太陽電池の受光面となる基板表面には、反射防止膜が形成されており、該反射防止膜にグリッド状の開口を設け、この開口部にグリッド状のn側電極が作製される。例えば、前記グリッド状の開口部に併せて、スクリーン印刷を利用し、導電性銅ペーストを塗布して、グリッド状パターンの導電性銅ペーストの塗布膜層を形成する。ついで、該導電性銅ペーストの塗布膜層に焼成処理を施し、導電体膜の形成がなされている。
導電体膜の形成に利用される、従来型の導電性銅ペーストは、熱硬化型の導電性銅ペーストと、焼成用の導電性銅ペーストの二種に大別できる。
熱硬化型の導電性銅ペーストは、導電性フィラーの銅粉と熱硬化性樹脂成分を含んでおり、導電体層中において、導電性フィラーの銅粉相互の接触を保持するため、熱硬化性樹脂の硬化物が利用されている。また、熱硬化性樹脂の硬化物は、形成される導電体層と下地層との密着性を維持する、有機接着剤の機能も有している。導電性フィラーの銅粉相互の電気的接触、ならびに、銅粉と下地層との電気的接触は、該熱硬化性樹脂の硬化物によって保持されている。
焼成用の導電性銅ペーストは、一般に、導電性フィラーの銅粉とガラス・フリットを含んでいる。高温で焼成処理を施すことにより、導電性フィラーの銅粉相互は焼結体を構成し、その際、ガラス・フリットの溶融が進行し、銅粉相互の焼結体層全体に浸潤し、下地層との密着性を維持する。すなわち、溶融後、固化するガラス・フリット成分は、銅粉相互の焼結体層全体と下地層との密着性を維持する、無機接着剤として機能している。なお、形成される導電体層は、銅粉焼結体層と、該層中に浸潤しているガラス・フリットの溶融固化物とで構成されている。銅粉焼結体層と下地層との電気的接触は、該ガラス・フリットの溶融固化物によって保持されている。
太陽電池の受光面となる基板表面に形成する、グリッド状のn側電極は、受光面積を広くするため、その電極幅を狭く設定し、代わりに、電極厚さを相対的に厚く設定することで、配線抵抗の増加を抑制している。一般に、熱硬化型の導電性銅ペーストを利用して、作製される導電体層の抵抗率は、焼成用の導電性銅ペーストを利用して、作製される導電体層の抵抗率よりも高くなる。そのため、前記グリッド状のn側電極の形成には、多く場合、焼成用の導電性銅ペーストが利用されている。
従来型の導電性銅ペースト、すなわち、熱硬化型の導電性銅ペーストと、焼成用の導電性銅ペーストは、太陽電池の受光面となる基板表面に形成する、グリッド状のn側電極の形成に利用されているが、下記の点で改善の余地を残している。
熱硬化型の導電性銅ペーストを利用して形成される導電体層は、熱硬化性樹脂の硬化物と導電性フィラーの銅粉で構成されているため、ハンダ接合には適さないという本質的な課題を有している。
また、焼成用の導電性銅ペーストを利用して形成される導電体層においては、銅粉焼結体層の表面を、ガラス・フリットの溶融物が被覆した状態となり、屡、ハンダ接合には適さない形状となるという本質的な課題を有している。
上記の課題は、熱硬化型の導電性銅ペーストは、熱硬化性樹脂成分を必須成分とすること、また、焼成用の導電性銅ペーストは、ガラス・フリットを必須成分とすることに起因している。
その点を考慮すると、熱硬化性樹脂成分、あるいは、ガラス・フリットを配合しなくとも、下地層との密着性、ならびに、下地層との電気的接触の保持が可能な、新規な構成の導電性銅ペーストの開発が必要となる。特に、太陽電池の受光面となる基板表面に形成する、グリッド状のn側電極の形成に利用する上では、厚膜の導電体層の作製に適する、熱硬化性樹脂成分、あるいは、ガラス・フリットを添加していない導電性銅ペーストの開発が必要となる。さらには、導電性銅ペーストを利用して、導電体層を形成する際、加熱処理の温度を400℃程度に選択することで、良好な導電性を示す導電体層の形成が可能な導電性銅ペーストであることが望ましい。
本発明は、前記の課題を解決するもので、本発明の目的は、下地層との密着性、ならびに、下地層との電気的接触の保持に、熱硬化性樹脂成分、あるいは、ガラス・フリットを利用せず、また、厚膜の導電体層の作製にも適する、新規な構成の導電性銅ペーストを提供することにある。
本発明者らは、上記の課題を解決するため、熱硬化性樹脂成分、あるいは、ガラス・フリットを添加していない状態において、導電性フィラーの銅粉相互の焼結体を形成するための手段を検討した。
まず、導電性フィラーの銅粉の表面には、僅かに表面酸化膜が存在しているので、該表面酸化膜を還元することが必要であることに気付いた。酸化によって、オキソ基(=O)またはホルミル基(−CHO)へと変換可能なヒドロキシル基を有する有機化合物、具体的には、脂肪族多価アルコールの存在下、水素ガスを含む還元性雰囲気において、少なくとも、250℃以上の温度で加熱処理を施すことで、銅粉の表面に存在する僅かな表面酸化膜を還元できることを見出した。さらに、表面酸化膜の還元を終えた後、水素ガスを含む還元性雰囲気中において、300℃以上の温度で、銅粉相互が接触した状態で加熱処理を継続すると、銅粉相互の焼結体を形成することが可能であることを見出した。
上記の条件で形成される銅粉相互の焼結体は、銅粉相互の接触部位を介して、導電性を示すが、該銅粉相互の接触部位の接触面積が狭いため、接触抵抗は大きく、銅粉相互の焼結体層全体の抵抗率は相当に高いことが見出された。
導電性フィラーとして利用する、銅粉として、平均粒径を2μm〜10μmの範囲に選択するミクロンサイズの銅粉と、平均粒子径を0.2μm〜1.0μmの範囲に選択するサブ・ミクロンサイズの微細銅粉とを併用し、ミクロンサイズの銅粉の隙間を、サブ・ミクロンサイズの微細銅粉が埋める形状とすると、銅粉相互の接触部位の密度が格段に増加することを見出した。銅粉相互の接触部位の密度が格段に増加する結果、個々の銅粉相互の接触部位の接触面積が狭いものの、高密度の電気的伝導経路のネットワークが構成されるため、銅粉相互の焼結体層全体の抵抗率は大幅に低減できることを見出した。
さらに、ミクロンサイズの銅粉、サブ・ミクロンサイズの微細銅粉に加えて、平均粒子径を10nm〜100nmの範囲に選択する銅ナノ粒子を添加すると、該銅ナノ粒子は、銅粉相互の接触部位の近傍の狭い隙間を充填することを見出した。その際、水素ガスを含む還元性雰囲気中において、300℃以上の温度で加熱処理を行うと、銅ナノ粒子は、銅粉の表面に融合し、また、銅ナノ粒子相互の融着も進行する結果、各銅粉相互の接触部位の実効的な接触面積が拡大され、銅粉相互の焼結体層全体の抵抗率が一層低減されることを見出した。
さらには、下地層の表面と、銅粉が接触する部位でも、該銅ナノ粒子は、その狭い隙間を充填する。その際、水素ガスを含む還元性雰囲気中において、300℃以上の温度で加熱処理を行うと、銅ナノ粒子は、銅粉の表面に融合し、また、銅ナノ粒子相互の融着も進行する結果、該下地層表面と銅粉が接触する部位を核として、銅ナノ粒子相互の融着体皮膜が形成される。結果的に、下地層の表面に対して、この銅ナノ粒子相互の融着体皮膜を介して、銅粉が固着された状態が達成され、下地層の表面に対する密着性の付与と、下地層との電気的接触の保持がなされることを見出した。
一方、平均粒子径を10nm〜100nmの範囲に選択する銅ナノ粒子の添加に代えて、脂肪族モノカルボン酸の銅塩((R-COO)2Cu(II))を(ジアルキルアミノ)アルキルアミンに溶解した溶液を添加し、脂肪族多価アルコールの存在下、水素ガスを含む還元性雰囲気において、少なくとも、250℃以上の温度で加熱処理を施すことで、該脂肪族モノカルボン酸の銅塩((R-COO)2Cu(II))に含まれる銅カチオン(Cu2+)を還元し、金属銅原子(Cu)を生成させると、該金属銅原子(Cu)は、銅粉相互の接触部位の極く狭い隙間部分に選択的に蓄積されることを見出した。すなわち、各銅粉相互の接触部位の極く狭い隙間を充填するように、該金属銅原子(Cu)の蓄積が進行する結果、各銅粉相互の接触部位の実効的な接触面積が拡大され、銅粉相互の焼結体層全体の抵抗率が一層低減されることを見出した。
さらには、下地層の表面と、銅粉が接触する部位でも、該金属銅原子(Cu)は、その狭い隙間を充填するように蓄積される。その際、水素ガスを含む還元性雰囲気中において、300℃以上の温度で加熱処理を行うと、蓄積される金属銅原子(Cu)の層は、銅粉の表面に融合し、また、下地層表面と銅粉が接触する部位を核として、蓄積される金属銅原子(Cu)からなる銅皮膜が形成される。結果的に、下地層の表面に対して、この銅皮膜を介して、銅粉が固着された状態が達成され、下地層の表面に対する密着性の付与と、下地層との電気的接触の保持がなされることを見出した。
特に、下地層の表面にシラノール構造(Si−OH)が存在すると、脂肪族モノカルボン酸の銅塩((R-COO)2Cu(II))に由来する銅原子(Cu)は、該シラノール構造(Si−OH)部に対して、Si−O−Cuの形状で固定化される。更には、下地層の表面において、Si−O−Cuの形状で固定化される銅原子を核として、下地層表面を被覆する金属銅皮膜層の成長がなされる。従って、この下地層表面を被覆する金属銅皮膜層は、優れた密着性を発揮する。加えて、下地層の表面に銅粉が接触する部位では、銅粉の表面にも部分的に該金属銅皮膜層が形成されており、両者の間では、金属原子間の結合が存在する。この寄与も加わって、シラノール構造(Si−OH)を有する下地層表面と銅粉の間では、該金属銅皮膜層の介在に起因する、高い密着特性が付与される。
以上の一連の知見に基づき、本発明者らは、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の第一の形態にかかる導電性銅ペーストは、
熱硬化性樹脂成分あるいはガラス・フリットを配合していない導電性銅ペーストであって、
該導電性銅ペーストは、
銅粉、微細銅粉、脂肪族モノカルボン酸の銅塩、(ジアルキルアミノ)アルキルアミン、第一の有機溶媒を含み、
前記第一の有機溶媒は、室温で液体であり、沸点は、200℃以上であるが、400℃を超えない範囲であり、ヒドロキシル基以外の反応性官能基を内在していない、アルコール性ヒドロキシル基を有する有機溶媒であり;
前記脂肪族モノカルボン酸の銅塩は、(ジアルキルアミノ)アルキルアミンに溶解してなる溶液として、前記第一の有機溶媒と混合して、混合液とされ、
前記銅粉と微細銅粉が、前記混合液中に分散されているペースト状の組成物であり;
前記銅粉の平均粒径は、2μm〜10μmの範囲に選択され、
前記微細銅粉の平均粒子径は、0.2μm〜1.0μmの範囲に選択され、
前記脂肪族モノカルボン酸の銅塩は、その沸点が、230℃以上であるが、400℃を超えない範囲である脂肪族モノカルボン酸(R-COOH)に由来する、脂肪族モノカルボン酸の銅塩であり、
前記(ジアルキルアミノ)アルキルアミンは、室温で液体であり、沸点は、230℃以上であるが、300℃を超えない範囲の(ジアルキルアミノ)アルキルアミンであり、
前記銅粉と微細銅粉の含有比率、(銅粉の含有量):(微細銅粉の含有量)は、80質量部:20質量部〜60質量部:40質量部の範囲に選択され、
前記銅粉と微細銅粉の重量の総和(WCu-powder+WCu-fine-powder)に対する、脂肪族モノカルボン酸の銅塩に含まれる銅原子の重量の合計(WCu-carboxylate)の比率、(WCu-powder+WCu-fine-powder):(WCu- carboxylate)は、100質量部:0.15質量部〜100質量部:0.7質量部の範囲に選択され、
前記銅粉、微細銅粉の重量の総和(WCu-powder+WCu-fine-powder)と、第一の有機溶媒の重量(Wdispersion-medium)の比率、(WCu-powder+WCu-fine-powder):Wdispersion-mediumは、100質量部:2質量部〜100質量部:10質量部の範囲に選択され、
前記脂肪族モノカルボン酸の銅塩と(ジアルキルアミノ)アルキルアミンの含有比率は、脂肪族モノカルボン酸の銅塩1分子当たり、(ジアルキルアミノ)アルキルアミンが、2.2分子〜8分子の範囲となる比率に選択され;
該導電性銅ペーストは、300℃以上400℃以下の温度に加熱することで、焼成することが可能である
ことを特徴とする導電性銅ペーストである。
その際、
前記第一の有機溶媒は、
室温で液体であり、沸点は、200℃以上であるが、400℃を超えない範囲である炭素数9〜14のアルカノール、
室温で液体であり、沸点は、200℃以上であるが、400℃を超えない範囲である炭素数4〜9のアルカンジオール、
室温で液体であり、沸点は、200℃以上であるが、400℃を超えない範囲である分子量4000以下のポリアルキレングリコール、
室温で液体であり、沸点は、200℃以上であるが、400℃を超えない範囲である多価アルコールモノアルキルエーテル、
グリセリン、1,2,3−ブタントリオール、1,2,4−ブタントリオール、1,2,5−ペンタントリオール、1,2,6−ヘキサントリオールからなる群より選択することができる。
なお、本発明の第一の形態にかかる導電性銅ペーストの一態様は、
熱硬化性樹脂成分あるいはガラス・フリットを配合していない導電性銅ペーストであって、
該導電性銅ペーストは、
銅粉、微細銅粉、脂肪族モノカルボン酸の銅塩、(ジアルキルアミノ)アルキルアミン、第二の有機溶媒を含み、
前記第二の有機溶媒は、室温で液体であり、沸点は、230℃以上であるが、400℃を超えない範囲の脂肪族多価アルコールであり;
前記脂肪族モノカルボン酸の銅塩は、(ジアルキルアミノ)アルキルアミンに溶解してなる溶液として、前記第二の有機溶媒と混合して、混合液とされ、
前記銅粉と微細銅粉が、前記混合液中に分散されているペースト状の組成物であり;
前記銅粉の平均粒径は、2μm〜10μmの範囲に選択され、
前記微細銅粉の平均粒子径は、0.2μm〜1.0μmの範囲に選択され、
前記脂肪族モノカルボン酸の銅塩は、その沸点が、230℃以上であるが、400℃を超えない範囲である脂肪族モノカルボン酸(R-COOH)に由来する、脂肪族モノカルボン酸の銅塩であり、
前記(ジアルキルアミノ)アルキルアミンは、室温で液体であり、沸点は、230℃以上であるが、300℃を超えない範囲の(ジアルキルアミノ)アルキルアミンであり、
前記銅粉と微細銅粉の含有比率、(銅粉の含有量):(微細銅粉の含有量)は、80質量部:20質量部〜60質量部:40質量部の範囲に選択され、
前記銅粉と微細銅粉の重量の総和(WCu-powder+WCu-fine-powder)に対する、脂肪族モノカルボン酸の銅塩に含まれる銅原子の重量の合計(WCu-carboxylate)の比率、(WCu-powder+WCu-fine-powder):(WCu- carboxylate)は、100質量部:0.15質量部〜100質量部:0.7質量部の範囲に選択され、
前記銅粉、微細銅粉の重量の総和(WCu-powder+WCu-fine-powder)と、第二の有機溶媒の重量(Wdispersion-medium)の比率、(WCu-powder+WCu-fine-powder):Wdispersion-mediumは、100質量部:2質量部〜100質量部:10質量部の範囲に選択され、
前記脂肪族モノカルボン酸の銅塩と(ジアルキルアミノ)アルキルアミンの含有比率は、脂肪族モノカルボン酸の銅塩1分子当たり、(ジアルキルアミノ)アルキルアミンが、2.2分子〜8分子の範囲となる比率に選択され;
該導電性銅ペーストは、300℃以上400℃以下の温度に加熱することで、焼成することが可能である
ことを特徴とする導電性銅ペーストである。
その際、
前記第二の有機溶媒は、
室温で液体であり、沸点は、230℃以上であるが、400℃を超えない範囲の炭素数4〜9のアルカンジオール、室温で液体であり、沸点は、230℃以上であるが、400℃を超えない範囲である分子量4000以下のポリアルキレングリコール、ならびに、グリセリン、1,2,3−ブタントリオール、1,2,4−ブタントリオール、1,2,5−ペンタントリオール、1,2,6−ヘキサントリオールからなる群より選択することができる。
本発明の第一の形態にかかる導電性銅ペーストにおいては、
前記銅粉の平均粒径は、3μm〜8μmの範囲に選択され、
前記微細銅粉の平均粒子径は、0.3μm〜0.8μmの範囲に選択されていることがより好ましい。
特には、前記銅粉と微細銅粉の含有比率、(銅粉の含有量):(微細銅粉の含有量)は、75質量部:25質量部〜65質量部:35質量部の範囲に選択されていることが望ましい。
また、前記銅粉と微細銅粉の重量の総和(WCu-powder+WCu-fine-powder)に対する、脂肪族モノカルボン酸の銅塩に含まれる銅原子の重量の合計(WCu-carboxylate)の比率、(WCu-powder+WCu-fine-powder):(WCu- carboxylate)は、100質量部:0.3質量部〜100質量部:0.5質量部の範囲に選択することが好ましい
前記銅粉、微細銅粉の重量の総和(WCu-powder+WCu-fine-powder)と、第一の有機溶媒の重量(Wdispersion-medium)の比率、(WCu-powder+WCu-fine-powder):Wdispersion-mediumは、100質量部:3質量部〜100質量部:4.5質量部の範囲に選択されていることが好ましい。
特に、上記本発明の第一の形態にかかる導電性銅ペーストの一態様では、第二の有機溶媒として、脂肪族多価アルコールを使用しているが、
前記銅粉、微細銅粉の重量の総和(WCu-powder+WCu-fine-powder)と、第二の有機溶媒の重量(Wdispersion-medium)の比率、(WCu-powder+WCu-fine-powder):Wdispersion-mediumは、100質量部:3質量部〜100質量部:4.5質量部の範囲に選択されていることが好ましい。
前記脂肪族モノカルボン酸の銅塩((R-COO)2Cu(II))を構成する、沸点が、230℃以上であるが、400℃を超えない範囲の脂肪族モノカルボン酸アニオンとして、
炭素数10〜20の脂肪族モノカルボン酸由来のアニオンを選択することが好ましい。
前記(ジアルキルアミノ)アルキルアミンは、
室温で液体であり、沸点は、230℃以上であるが、300℃を超えない範囲の総炭素数9〜13の(ジアルキルアミノ)プロピルアミン(R’2N-CH2CH2CH2-NH2)からなる群より選択されることが好ましい。
なお、前記導電性銅ペーストの粘度は、2Pa・s〜50Pa・s(25℃)の範囲に選択されていることが望ましい。
本発明の第一の形態にかかる導電性銅ペーストにおいては、さらに、焼結助剤を添加することはできる。
例えば、焼結助剤として、銅以外の金属カチオン種とカルボン酸アニオン種とならなる、カルボン酸金属塩または金属カルボン酸錯体が添加されており、
前記銅以外の金属カチオン種は、ビスマス、錫からなる群から選択される、一種、または複数種の金属のカチオン種であり、
前記カルボン酸アニオン種は、炭素数6〜20の脂肪族モノカルボン酸からなる群から選択されるカルボン酸のアニオン種であり、
前記カルボン酸金属塩または金属カルボン酸錯体を還元することにより生成する金属原子の体積総和Vlow-mp-metalと、前記脂肪族モノカルボン酸の銅塩を還元することにより生成する金属原子の体積総和VCu-metalとの比率、Vlow-mp-metal:VCu-metalが、2:1を超えない範囲に選択されている態様とすることができる。
また、焼結助剤として、銅以外の金属カチオン種とカルボン酸アニオン種とならなる、カルボン酸金属塩または金属カルボン酸錯体が添加されており、
前記銅以外の金属カチオン種は、第一金属群のカチオン種と第二金属群のカチオン種を混合してなる混合金属カチオン種であり、
前記第一金属群のカチオン種は、ビスマス、錫からなる群から選択される、一種、または複数種の金属のカチオン種であり、
前記第二金属群のカチオン種は、亜鉛、アルミニウム、インジウム、銀、コバルト、チタン、ニッケル、マンガンからなる群から選択される、一種、または複数種の金属のカチオン種であり、
該混合金属カチオン種中、前記第二金属群のカチオン種の金属原子数の総和は、前記第一金属群のカチオン種の金属原子数の総和に対して、10%未満の範囲に選択されており、
前記カルボン酸アニオン種は、炭素数6〜20の脂肪族モノカルボン酸からなる群から選択されるカルボン酸のアニオン種であり、
前記第一金属群のカチオン種とカルボン酸アニオン種とならなる、カルボン酸金属塩または金属カルボン酸錯体を還元することにより生成する第一金属群の金属原子の体積総和Vlow-mp-metalと、前記脂肪族モノカルボン酸の銅塩を還元することにより生成する金属原子の体積総和VCu-metalとの比率、Vlow-mp-metal:VCu-metalが、2:1を超えない範囲に選択されている態様とすることができる。
また、本発明の第二の形態にかかる導電性銅ペーストは、
熱硬化性樹脂成分あるいはガラス・フリットを配合していない導電性銅ペーストであって、
該導電性銅ペーストは、
銅粉、微細銅粉、銅ナノ粒子、(ジアルキルアミノ)アルキルアミン、第三の有機溶媒を含み、
前記第三の有機溶媒は、室温で液体であり、沸点は、200℃以上であるが、400℃を超えない範囲であり、ヒドロキシル基以外の反応性官能基を内在していない、アルコール性ヒドロキシル基を有する有機溶媒であり;
前記銅ナノ粒子は、(ジアルキルアミノ)アルキルアミン中に分散した分散液として、前記第三の有機溶媒と混合して、混合液とされ、
前記銅粉と微細銅粉が、前記混合液中に分散されているペースト状の組成物であり;
前記銅粉の平均粒径は、2〜10μmの範囲に選択され、
前記微細銅粉の平均粒子径は、0.2〜1.0μmの範囲に選択され、
前記銅ナノ粒子の平均粒子径は、10nm〜100nmの範囲に選択され、
前記(ジアルキルアミノ)アルキルアミンは、室温で液体であり、沸点は、230℃以上であるが、300℃を超えない範囲の(ジアルキルアミノ)アルキルアミンであり、
前記銅粉と微細銅粉の含有比率、(銅粉の含有量):(微細銅粉の含有量)は、80質量部:20質量部〜60質量部:40質量部の範囲に選択され、
前記銅粉、微細銅粉の重量の総和(WCu-powder+WCu-fine-powder)と、第三の有機溶媒の重量(Wdispersion-medium)の比率、(WCu-powder+WCu-fine-powder):Wdispersion-mediumは、100質量部:3質量部〜100質量部:10質量部の範囲に選択され、
前記銅粉、微細銅粉の重量の総和(WCu-powder+WCu-fine-powder)と、前記銅ナノ粒子の重量の総和(WCu-nano-particle)の比率、(WCu-powder+WCu-fine-powder):(WCu-nano-particle)は、100質量部:3質量部〜100質量部:15質量部の範囲に選択され、
前記銅ナノ粒子と(ジアルキルアミノ)アルキルアミンの含有比率は、該銅ナノ粒子の体積の合計(VCu-nano-particle)と、(ジアルキルアミノ)アルキルアミンの体積(Vdispersion-medium)の比率、(VCu-nano-particle):Vamineは、10:50〜10:100の範囲に選択され;
該導電性銅ペーストは、300℃以上400℃以下の温度に加熱することで、焼成することが可能である
ことを特徴とする導電性銅ペーストである。
その際、
前記第三の有機溶媒は、
室温で液体であり、沸点は、200℃以上であるが、400℃を超えない範囲である炭素数9〜14のアルカノール、
室温で液体であり、沸点は、200℃以上であるが、400℃を超えない範囲である炭素数4〜9のアルカンジオール、
室温で液体であり、沸点は、200℃以上であるが、400℃を超えない範囲である、分子量4000以下のポリアルキレングリコール、
室温で液体であり、沸点は、200℃以上であるが、400℃を超えない範囲である多価アルコールモノアルキルエーテル、
グリセリン、1,2,3−ブタントリオール、1,2,4−ブタントリオール、1,2,5−ペンタントリオール、1,2,6−ヘキサントリオールからなる群より選択することができる。
なお、本発明の第二の形態にかかる導電性銅ペーストの一態様は、
熱硬化性樹脂成分あるいはガラス・フリットを配合していない導電性銅ペーストであって、
該導電性銅ペーストは、
銅粉、微細銅粉、銅ナノ粒子、(ジアルキルアミノ)アルキルアミン、第四の有機溶媒を含み、
前記第四の有機溶媒は、室温で液体であり、沸点は、230℃以上であるが、400℃を超えない範囲の脂肪族多価アルコールであり;
前記銅ナノ粒子は、(ジアルキルアミノ)アルキルアミン中に分散した分散液として、前記第四の有機溶媒と混合して、混合液とされ、
前記銅粉と微細銅粉が、前記混合液中に分散されているペースト状の組成物であり;
前記銅粉の平均粒径は、2μm〜10μmの範囲に選択され、
前記微細銅粉の平均粒子径は、0.2μm〜1.0μmの範囲に選択され、
前記銅ナノ粒子の平均粒子径は、10nm〜100nmの範囲に選択され、
前記(ジアルキルアミノ)アルキルアミンは、室温で液体であり、沸点は、230℃以上であるが、300℃を超えない範囲の(ジアルキルアミノ)アルキルアミンであり、
前記銅粉と微細銅粉の含有比率、(銅粉の含有量):(微細銅粉の含有量)は、80質量部:20質量部〜60質量部:40質量部の範囲に選択され、
前記銅粉と微細銅粉の重量の総和(WCu-powder+WCu-fine-powder)に対する、前記銅ナノ粒子に含まれる銅原子の重量の合計(WCu-nano-particle)の比率、(WCu-powder+WCu-fine-powder):(WCu-nano-particle)は、100質量部:3質量部〜100質量部:15質量部の範囲に選択され、
前記銅粉、微細銅粉の重量の総和(WCu-powder+WCu-fine-powder)と、第四の有機溶媒の重量(Wdispersion-medium)の比率、(WCu-powder+WCu-fine-powder):Wdispersion-mediumは、100質量部:3質量部〜100質量部:10質量部の範囲に選択され、
前記銅ナノ粒子と(ジアルキルアミノ)アルキルアミンの含有比率は、該銅ナノ粒子の体積の合計(VCu-nano-particle)と、(ジアルキルアミノ)アルキルアミンの体積(Vdispersion-medium)の比率、(VCu-nano-particle):Vamineは、10:50〜10:100の範囲に選択され;
該導電性銅ペーストは、300℃以上400℃以下の温度に加熱することで、焼成することが可能である
ことを特徴とする導電性銅ペーストである。
その際、
前記第四の有機溶媒は、
室温で液体であり、沸点は、230℃以上であるが、400℃を超えない範囲の炭素数4〜9のアルカンジオール、室温で液体であり、沸点は、230℃以上であるが、400℃を超えない範囲である、分子量4000以下のポリアルキレングリコール、ならびに、グリセリン、1,2,3−ブタントリオール、1,2,4−ブタントリオール、1,2,5−ペンタントリオール、1,2,6−ヘキサントリオールからなる群より選択することが好ましい。
本発明の第二の形態にかかる導電性銅ペーストにおいては、
前記銅粉の平均粒径は、3μm〜8μmの範囲に選択され、
前記微細銅粉の平均粒子径は、0.3μm〜0.8μmの範囲に選択されていることがより好ましい。
前記銅粉と微細銅粉の含有比率、(銅粉の含有量):(微細銅粉の含有量)は、75質量部:25質量部〜65質量部:35質量部の範囲に選択されていることが好ましい。
また、前記銅粉と微細銅粉の重量の総和(WCu-powder+WCu-fine-powder)に対する、前記銅ナノ粒子に含まれる銅原子の重量の合計(WCu-nano-particle)の比率、(WCu-powder+WCu-fine-powder):(WCu-nano-particle)は、100質量部:3質量部〜100質量部:8質量部の範囲に選択されていることがより好ましい。
一方、前記銅粉、微細銅粉の重量の総和(WCu-powder+WCu-fine-powder)と、前記第三の有機溶媒の重量(Wdispersion-medium)の比率、(WCu-powder+WCu-fine-powder):Wdispersion-mediumは、100質量部:3.5質量部〜100質量部:5.0質量部の範囲に選択されていることは好ましい。
特に、上記本発明の第二の形態にかかる導電性銅ペーストの一態様では、第四の有機溶媒として、脂肪族多価アルコールを使用しているが、
前記銅粉、微細銅粉の重量の総和(WCu-powder+WCu-fine-powder)と、第四の有機溶媒の重量(Wdispersion-medium)の比率、(WCu-powder+WCu-fine-powder):Wdispersion-mediumは、100質量部:3.5質量部〜100質量部:5.0質量部の範囲に選択されていることが好ましい。
前記(ジアルキルアミノ)アルキルアミンは、
室温で液体であり、沸点は、230℃以上であるが、300℃を超えない範囲の総炭素数9〜13の(ジアルキルアミノ)プロピルアミン(R’2N-CH2CH2CH2-NH2)からなる群より選択されることが好ましい。
なお、前記導電性銅ペーストの粘度は、2Pa・s〜50Pa・s(25℃)の範囲に選択されていることが望ましい。
上述の本発明の第二の形態にかかる導電性銅ペーストにおいては、さらに、脂肪族モノカルボン酸の銅塩と焼結助剤を添加することはできる。
例えば、該導電性銅ペーストは、さらに、脂肪族モノカルボン酸の銅塩と焼結助剤を含み、
前記脂肪族モノカルボン酸の銅塩は、その沸点が、230℃以上であるが、400℃を超えない範囲である脂肪族モノカルボン酸(R-COOH)に由来する、脂肪族モノカルボン酸の銅塩であり、
前記脂肪族モノカルボン酸の銅塩は、前記(ジアルキルアミノ)アルキルアミンに溶解してなる溶液として添加されており、
該脂肪族モノカルボン酸の銅塩の(ジアルキルアミノ)アルキルアミン溶液中における、前記脂肪族モノカルボン酸の銅塩と(ジアルキルアミノ)アルキルアミンの含有比率は、脂肪族モノカルボン酸の銅塩1分子当たり、(ジアルキルアミノ)アルキルアミンが、2.2分子〜8分子の範囲となる比率に選択され、
前記焼結助剤は、銅以外の金属カチオン種とカルボン酸アニオン種とならなる、カルボン酸金属塩または金属カルボン酸錯体であり、
前記銅以外の金属カチオン種は、ビスマス、錫からなる群から選択される、一種、または複数種の金属のカチオン種であり、
前記カルボン酸アニオン種は、炭素数6〜20の脂肪族モノカルボン酸からなる群から選択されるカルボン酸のアニオン種であり、
前記銅粉と微細銅粉の重量の総和(WCu-powder+WCu-fine-powder)に対する、脂肪族モノカルボン酸の銅塩に含まれる銅原子の重量の合計(WCu-carboxylate)の比率、(WCu-powder+WCu-fine-powder):(WCu- carboxylate)は、100質量部:0.15質量部〜100質量部:0.7質量部の範囲に選択され、
前記カルボン酸金属塩または金属カルボン酸錯体を還元することにより生成する金属原子の体積総和Vlow-mp-metalと、前記脂肪族モノカルボン酸の銅塩を還元することにより生成する金属原子の体積総和VCu-metalとの比率、Vlow-mp-metal:VCu-metalが、2:1を超えない範囲に選択されている態様とすることができる。
また、該導電性銅ペーストは、さらに、脂肪族モノカルボン酸の銅塩と焼結助剤を含み、
前記脂肪族モノカルボン酸の銅塩は、その沸点が、230℃以上であるが、400℃を超えない範囲である脂肪族モノカルボン酸(R-COOH)に由来する、脂肪族モノカルボン酸の銅塩であり、
前記脂肪族モノカルボン酸の銅塩は、(ジアルキルアミノ)アルキルアミンに溶解してなる溶液として添加されており、
該脂肪族モノカルボン酸の銅塩の(ジアルキルアミノ)アルキルアミン溶液中における、前記脂肪族モノカルボン酸の銅塩と(ジアルキルアミノ)アルキルアミンの含有比率は、脂肪族モノカルボン酸の銅塩1分子当たり、(ジアルキルアミノ)アルキルアミンが、2.2分子〜8分子の範囲となる比率に選択され、
前記焼結助剤は、銅以外の金属カチオン種とカルボン酸アニオン種とならなる、カルボン酸金属塩または金属カルボン酸錯体であり、
前記銅以外の金属カチオン種は、第一金属群のカチオン種と第二金属群のカチオン種を混合してなる混合金属カチオン種であり、
前記第一金属群のカチオン種は、ビスマス、錫からなる群から選択される、一種、または複数種の金属のカチオン種であり、
前記第二金属群のカチオン種は、亜鉛、アルミニウム、インジウム、銀、コバルト、チタン、ニッケル、マンガンからなる群から選択される、一種、または複数種の金属のカチオン種であり、
該混合金属カチオン種中、前記第二金属群のカチオン種の金属原子数の総和は、前記第一金属群のカチオン種の金属原子数の総和に対して、10%未満の範囲に選択されており、
前記カルボン酸アニオン種は、炭素数6〜20の脂肪族モノカルボン酸からなる群から選択されるカルボン酸のアニオン種であり、
前記銅粉と微細銅粉の重量の総和(WCu-powder+WCu-fine-powder)に対する、脂肪族モノカルボン酸の銅塩に含まれる銅原子の重量の合計(WCu-carboxylate)の比率、(WCu-powder+WCu-fine-powder):(WCu- carboxylate)は、100質量部:0.15質量部〜100質量部:0.7質量部の範囲に選択され、
前記第一金属群のカチオン種とカルボン酸アニオン種とならなる、カルボン酸金属塩または金属カルボン酸錯体を還元することにより生成する第一金属群の金属原子の体積総和Vlow-mp-metalと、前記脂肪族モノカルボン酸の銅塩を還元することにより生成する金属原子の体積総和VCu-metalとの比率、Vlow-mp-metal:VCu-metalが、2:1を超えない範囲に選択されている態様とすることができる。
上述する本発明の第二の形態にかかる導電性銅ペーストにおいて、さらに、脂肪族モノカルボン酸の銅塩と焼結助剤を添加する態様では、
前記脂肪族モノカルボン酸の銅塩((R-COO)2Cu(II))を構成する、沸点が、230℃以上であるが、400℃を超えない範囲の脂肪族モノカルボン酸アニオンとして、
炭素数10〜20の脂肪族モノカルボン酸由来のアニオンを選択することが望ましい。
加えて、本発明は、上述する本発明の第一の形態にかかる導電性銅ペースト、本発明の第二の形態にかかる導電性銅ペーストの使用方法の発明も、適用している。
すなわち、本発明にかかる導電性銅ペーストの使用方法は、
上述の構成を具える本発明の第一の形態にかかる導電性銅ペースト、本発明の第二の形態にかかる導電性銅ペーストからなる群から選択される導電性銅ペーストを、焼結体膜の作製に使用する方法であって、
前記導電性銅ペーストを使用して、焼結体膜を作製する工程は、
下地層上に前記導電性銅ペーストの塗布膜を形成する工程と、
水素ガスを含む還元性雰囲気中において、前記導電性銅ペーストの塗布膜を、300℃以上400℃以下の温度に加熱することで、前記導電性銅ペーストを焼成する工程を含み、
前記水素ガスを含む還元性雰囲気は、不活性ガス中に水素ガスを1〜4体積%で含有しており、
前記加熱時間は、5分間〜60分間の範囲に選択され、
作製される前記焼結体膜は、抵抗率が15μΩ・cm以下の範囲の導電性膜であり、
前記焼結体膜の膜厚は、20μm〜100μmの範囲に選択される
ことを特徴とする導電性銅ペーストの使用方法である。
その際、前記焼結体膜の膜厚は、30μm〜80μmの範囲に選択されることがの望ましい。
なお、作製される前記焼結体膜は、抵抗率が5μΩ・cm〜15μΩ・cmの範囲の導電性膜であることは好ましい。
さらには、本発明の第一の形態にかかる導電性銅ペースト、本発明の第二の形態にかかる導電性銅ペーストにおいて、上記の焼結助剤を添加する態様を選択する際、該焼結助剤の添加量を、前記「銅粉の表面積と微細銅粉の表面積の総和」を基準として、下記の範囲に選択することも可能である。
すなわち、該焼結助剤をさらに添加する導電性銅ペーストの一態様では、
焼結助剤として、銅以外の金属カチオン種とカルボン酸アニオン種とならなる、カルボン酸金属塩または金属カルボン酸錯体を添加する際、
前記カルボン酸金属塩または金属カルボン酸錯体中に含まれる、金属カチオン種の金属原子数の総和は、前記銅粉の表面積と微細銅粉の表面積との総和に対して、100μmol/m2以下の範囲に選択することが望ましい。
また、該焼結助剤をさらに添加する導電性銅ペーストの他の一態様では、
焼結助剤として、上述の第一金属群のカチオン種と第二金属群のカチオン種を混合してなる混合金属カチオン種とカルボン酸アニオン種とならなる、カルボン酸金属塩または金属カルボン酸錯体を添加する際、、
前記カルボン酸金属塩または金属カルボン酸錯体中に含まれる、金属カチオン種の金属原子数の総和は、前記銅粉の表面積と微細銅粉の表面積との総和に対して、100μmol/m2以下の範囲に選択することが望ましい。
本発明にかかる導電性銅ペーストを利用すると、水素ガスを含む還元性雰囲気中、上記第一の有機溶媒、第二の有機溶媒、第三の有機溶媒、第四の有機溶媒として使用される、アルコール性ヒドロキシル基を有する有機溶媒、例えば、脂肪族多価アルコールの存在下、300℃以上400℃以下の温度、例えば、350℃〜400℃の範囲に選択される温度で加熱処理することによって、導電性フィラーとして含有する、平均粒径が2μm〜10μmの範囲に選択される銅粉、平均粒子径が0.2μm〜1.0μmの範囲に選択される微細銅粉の混合物から、銅粉相互の焼結体層が形成され、良導電性の導電体層として利用できる。
特に、本発明の第一の形態にかかる導電性銅ペーストでは、配合されている脂肪族モノカルボン酸の銅塩((R-COO)2Cu(II))中に含まれる銅カチオン(Cu2+)は、加熱処理に伴って還元を受け、金属銅原子(Cu)の析出がなされ、各銅粉相互の接触部位、下地層と銅粉が接触する部位に析出した金属銅原子(Cu)の集積がなされる。その結果、各銅粉相互の接触部位の実効的な接触面積が拡大され、銅粉相互の焼結体層全体の抵抗率が一層低減される。また、下地層の表面に対する密着性の付与と、下地層との電気的接触の保持がなされる。
また、本発明の第二の形態にかかる導電性銅ペーストでは、配合されている銅ナノ粒子は、銅粉相互の接触部位の近傍の狭い隙間、ならびに、下地層の表面と銅粉が接触する部位の近傍の狭い隙間を充填する。その結果、各銅粉相互の接触部位の実効的な接触面積が拡大され、銅粉相互の焼結体層全体の抵抗率が一層低減される。また、下地層の表面に対する密着性の付与と、下地層との電気的接触の保持がなされる。
さらに、本発明にかかる導電性銅ペーストは、熱硬化性樹脂成分、あるいは、ガラス・フリットを含んでいないので、導電性フィラーの銅粉相互の焼結体で構成される導電体層は、ハンダ接合に適合したものとなる。また、平均粒径が2μm〜10μmの範囲に選択される銅粉末、平均粒子径が0.2μm〜1.0μmの範囲に選択される銅微粒子の混合物から、銅粉相互の焼結体層が形成されており、厚膜の導電体層の作製に適合している。
以下に、本発明にかかる導電性銅ペーストに関して、より詳しく説明する。
本発明にかかる導電性銅ペーストは、従来の導電性銅ペーストにおいて、広く利用されている、ガラス・フリット、ならびに、熱硬化性樹脂成分を配合していない点に特徴がある。さらには、本発明にかかる導電性銅ペーストは、300℃以上400℃以下の温度、例えば、350℃〜400℃の範囲に選択される温度で加熱処理することによって、含有される導電性フィラーの焼結が可能であり、得られる焼結体の抵抗率(体積固有抵抗)が、金属銅の抵抗率 1.673μΩ・cm(30℃)に対して、その10倍未満の良導電性の導電体となるという利点を具える点に特徴がある。
本発明の第一の形態にかかる導電性銅ペーストを利用して作製される導電体層では、その下地層の表面との密着性を向上するため、ガラス・フリット、熱硬化性樹脂の利用に代えて、配合されている脂肪族モノカルボン酸の銅塩((R-COO)2Cu(II))中に含まれる銅カチオン(Cu2+)を還元し、生成する金属銅原子(Cu)からなる金属銅皮膜層を利用している。また、平均粒径が2μm〜10μmの範囲に選択される銅粉と、平均粒子径が0.2μm〜1.0μmの範囲に選択される微細銅粉を併用し、さらに、各銅粉相互の接触部位の近傍の狭い隙間に、生成する金属銅原子(Cu)を集積させ、各銅粉相互の接触部位の実効的な接触面積を拡大させることによって、銅粉相互の焼結体層全体の抵抗率の低減を図っている。
本発明の第二の形態にかかる導電性銅ペーストを利用して作製される導電体層では、その下地層の表面との密着性を向上するため、ガラス・フリット、熱硬化性樹脂の利用に代えて、配合されている、平均粒子径を10nm〜100nmの範囲に選択する銅ナノ粒子を利用している。また、平均粒径が2μm〜10μmの範囲に選択される銅粉と、平均粒子径が0.2μm〜1.0μmの範囲に選択される微細銅粉を併用し、さらに、各銅粉相互の接触部位の近傍の狭い隙間に、銅ナノ粒子を集積させ、各銅粉相互の接触部位の実効的な接触面積を拡大させることによって、銅粉相互の焼結体層全体の抵抗率の低減を図っている。
加えて、本発明にかかる導電性銅ペーストでは、分散溶媒として、酸化によって、オキソ基(=O)またはホルミル基(−CHO)へと変換可能なヒドロキシル基を有する有機化合物、例えば、脂肪族多価アルコール、または脂肪族多価アルコールのモノアルキルエーテルを使用する。導電性銅ペーストを利用して、導電体層を形成する際、ヒドロキシル基を有する有機化合物、例えば、脂肪族多価アルコール、または脂肪族多価アルコールのモノアルキルエーテルの存在下、水素ガスを含む還元性雰囲気において、少なくとも、250℃以上の温度で加熱処理を施すことで、銅粉、微細銅粉の表面に僅かに存在する、表面酸化膜を還元している。その結果、各銅粉相互の接触部位では、金属銅表面が互いに接触する状態となり、該銅粉相互の接触部位の接触抵抗を低減することを可能としている。
本発明の第二の形態にかかる導電性銅ペーストでは、平均粒子径を10nm〜100nmの範囲に選択する銅ナノ粒子の表面に、(ジアルキルアミノ)アルキルアミンを利用して被覆分子層を形成した上で、表面に該被覆分子層が形成されている銅ナノ粒子を、脂肪族多価アルコール中に分散させる形態を採用している。
本発明の第一の形態にかかる導電性銅ペーストでは、脂肪族モノカルボン酸の銅塩((R-COO)2Cu(II))を(ジアルキルアミノ)アルキルアミンに一旦溶解して、脂肪族モノカルボン酸の銅塩((R-COO)2Cu(II))のアミン錯体を形成した上で、該錯体のアミン溶液を、脂肪族多価アルコール中に混合する形態を採用している。
従って、本発明の第一の形態にかかる導電性銅ペーストは、必須成分として、平均粒径が2〜10μmの範囲に選択される銅粉、平均粒子径が0.2μm〜1.0μmの範囲に選択される微細銅粉、脂肪族モノカルボン酸の銅塩((R-COO)2Cu(II))、該銅塩の溶解に利用する(ジアルキルアミノ)アルキルアミン、分散溶媒として利用する、第一の有機溶媒あるいは第二の有機溶媒、例えば、酸化によって、オキソ基(=O)またはホルミル基(−CHO)へと変換可能なアルコール性ヒドロキシル基を有する有機溶媒である、脂肪族多価アルコールを含み、前記銅粉、微細銅粉が、該分散溶媒中に均一に分散されているペースト状の組成物の形態とされている。
本発明の第二の形態にかかる導電性銅ペーストは、必須成分として、平均粒径が2〜10μmの範囲に選択される銅粉、平均粒子径が0.2μm〜1.0μmの範囲に選択される微細銅粉、平均粒子径を10nm〜100nmの範囲に選択する銅ナノ粒子、該銅ナノ粒子表面の被覆剤分子層の形成に利用する(ジアルキルアミノ)アルキルアミン、分散溶媒として利用する、第三の有機溶媒あるいは第四の有機溶媒、例えば、酸化によって、オキソ基(=O)またはホルミル基(−CHO)へと変換可能なアルコール性ヒドロキシル基を有する有機溶媒である、脂肪族多価アルコールを含み、前記銅粉、微細銅粉、銅ナノ粒子が、該分散溶媒中に均一に分散されているペースト状の組成物の形態とされている。
まず、本発明の第一の形態、ならびに、第二の形態かかる導電性銅ペーストの調製に使用される、平均粒径が2〜10μmの範囲に選択される銅粉、平均粒子径が0.2μm〜1.0μmの範囲に選択される微細銅粉、ならびに、第一の有機溶媒あるいは第二の有機溶媒、ならびに、第三の有機溶媒あるいは第四の有機溶媒について、以下に説明する。また、第一の有機溶媒あるいは第二の有機溶媒、ならびに、第三の有機溶媒あるいは第四の有機溶媒として利用される、アルコール性ヒドロキシル基を有する有機溶媒、例えば、脂肪族多価アルコール、または脂肪族多価アルコールのモノアルキルエーテルについて、具体例を示し、焼結過程におけるその役割を以下に説明する。
本発明の導電性銅ペーストを利用して作製される導電体層は、厚膜の銅配線層、あるいは、太陽電池の受光面側に設けるn側電極層の作製に利用される。前記の用途では、作製される導電体層の厚さtlayerは、通常、30μm〜80μmの範囲に選択される。この導電体層は、導電性銅ペースト中に含有される銅粉と微細銅粉を加熱焼成することによって形成される、微細銅粉と銅粉相互の焼結体層により構成されている。その際、導電体層の厚さは、積層された銅粉と微細銅粉が焼結された焼結体層の厚さに相当する。積層された銅粉と微細銅粉が焼結された焼結体層の厚さのバラツキ、ならびに、表面の凹凸は、使用する銅粉の平均粒径dCu-powderと微細銅粉の平均粒子径dCu-fine-powder、ならびに、銅粉と微細銅粉の含有比率に依存する。
銅粉と微細銅粉が均一に分散されている場合、銅粉相互の隙間を、微細銅粉が充填された形態に、銅粉と微細銅粉の積層構造が形成される。その際、形成される銅粉相互の焼結体層(導電体層)の厚さのバラツキΔtlayerは、最大で、使用される銅粉の平均粒径dCu-powderの1/2程度、また、表面の凹凸δtlayerは、最大で、使用される銅粉の平均粒径dCu-powderの1/4程度になる。
作製される導電体層の厚さtlayerに対して、厚さのバラツキΔtlayerは、通常、大きくとも、(Δtlayer/tlayer)<1/4、より好ましくは、(Δtlayer/tlayer)≦1/10の範囲とすることが望ましい。その際、Δtlayer≦1/2・dCu-powderを考慮すると、(1/2・dCu-powder/tlayer)<1/4、より好ましくは、(1/2・dCu-powder/tlayer)≦1/10の範囲となるように、アルミニウム粉末の平均粒径dAl-powderを選択することが望ましい。従って、作製される導電体層の厚さtlayerに対して、銅粉末の平均粒径dCu-powderは、(dCu-powder/tlayer)<1/2、より好ましくは、(dCu-powder/tlayer)≦1/5の範囲となるように選択することが望ましい。
その点を考慮して、作製される導電体層の厚さtlayerが、20μm〜100μmの範囲、好ましくは、30μm〜80μmの範囲である際、本発明にかかる導電性銅ペースト中に含有される、銅粉の平均粒径dCU-powderは、2μm〜10μmの範囲、より好ましくは、3μm〜8μmの範囲に選択することが望ましい。
一方、平均粒径dCu-powderの銅粉相互の隙間を、微細銅粉が充填された形態に、銅粉と微細銅粉の積層構造を形成する上では、微細銅粉の平均粒子径dCu-fine-powderを、銅粉の平均粒径dCu-powderの1/4以下、より好ましくは、銅粉の平均粒径dCu-powderの1/10以下の範囲に選択することが望ましい。従って、平均粒径dCu-powderが、2〜10μmの範囲、例えば、3μm〜8μmの範囲に選択される銅粉を使用する際、微細銅粉の平均粒子径dCu-fine-powderは、0.2μm〜1.0μmの範囲、より好ましくは、0.2μm〜0.8μmの範囲に選択することが望ましい。
また、使用される銅粉の形状は、フレーク状銅粉、粒状銅粉、不定形状銅粉からなる群から選択される。一般に、形成される導電体層の厚さのバラツキ、表面の凹凸を抑制する目的では、粒状銅粉を使用することが望ましい。微細銅粉の形状も、フレーク状微細銅粉、粒状微細銅粉、不定形状微細銅粉からなる群から選択することが可能である。一般に、微細銅粉によって、銅粉相互の隙間を充填する目的では、粒状微細銅粉を使用することが望ましい。
本発明においては、微細銅粉によって、銅粉相互の隙間を充填することによって、銅粉相互の接触部位に加えて、銅粉相互の隙間を充填する微細銅粉と、銅粉との接触部位を利用することで、銅粉相互の電気的接続経路を格段に増す形態とする。この目的を達成する上では、銅粉と微細銅粉の含有比率、(銅粉の含有量):(微細銅粉の含有量)は、80質量部:20質量部〜60質量部:40質量部の範囲、より好ましくは、75質量部:25質量部〜65質量部:35質量部の範囲に選択することが望ましい。前記の銅粉と微細銅粉の含有比率を選択することで、銅粉と微細銅粉の積層構造全体として、隙間空間は減少し、銅粉相互の電気的接続経路は格段に増加する。
一方、本発明にかかる導電性銅ペーストの調製に利用する、銅粉、微細銅粉の表面には、通常、僅かであるが、表面酸化膜が存在している。銅粉と微細銅粉の積層構造から、焼結体層を形成する際、銅粉、微細銅粉の表面に存在する表面酸化膜を還元する。アルコール性ヒドロキシル基を有する有機溶媒、なかでも、酸化によって、オキソ基(=O)またはホルミル基(−CHO)へと変換可能なアルコール性ヒドロキシル基(−OH)を有する有機化合物、例えば、脂肪族多価アルコール、または脂肪族多価アルコールのモノアルキルエーテルの存在下、水素ガスを含む還元性雰囲気において、少なくとも、250℃以上の温度で加熱処理を施すことで、微細銅粉、銅粉の表面に存在する僅かな表面酸化膜を還元する。
前記の銅粉と微細銅粉の含有比率、微細銅粉の平均粒子径dCu-fine-powderと銅粉の平均粒径dCu-powderの比率を選択する場合、銅粉の表面積の総和と、微細銅粉の表面積の総和を比較すると、(微細銅粉の表面積の総和)≫(銅粉の表面積の総和)となっている。
銅粉、微細銅粉の表面に部分的存在する、表面酸化膜は、酸化銅(CuO)に相当する銅酸化物で構成されている。導電性銅ペースト中では、分散溶媒として利用する、アルコール性ヒドロキシル基を有する有機溶媒、例えば、脂肪族多価アルコール、または脂肪族多価アルコールのモノアルキルエーテルは、銅粉、微細銅粉の表面に溶媒和(吸着)している。酸化銅(CuO)に相当する銅酸化物に対して、アルコール性ヒドロキシル基を有する有機溶媒、例えば、脂肪族多価アルコール、または脂肪族多価アルコールのモノアルキルエーテルは、そのヒドロキシル基(>CH−OH)を利用して、該銅酸化物中の酸素原子(Cu−O−Cu)と水素結合型の分子間結合を行っている。その際、表面酸化膜の還元は、下記の二つの素過程を経由して進行すると、推定される。
水素ガス(H2)を含む還元性雰囲気中、加熱処理を施すと、酸化によって、オキソ基(=O)へと変換可能なアルコール性ヒドロキシル基を有する有機溶媒、例えば、脂肪族多価アルコール、または脂肪族多価アルコールのモノアルキルエーテルは、該銅酸化物と反応し、下記の酸化・還元反応を起こす。
CuO + (>CH−OH) → Cu + (>C=O) + H2O↑
前記アルコール性ヒドロキシル基を有する有機溶媒、例えば、脂肪族多価アルコールのモノアルキルエーテルや脂肪族多価アルコール由来の反応生成物(>C=O)は、微細銅粉、銅粉の表面に露呈する金属銅原子上に、そのオキソ基(>C=O)のπ電子を利用して、配位することができる。水素ガスを含む還元性雰囲気では、この金属銅原子上に配位している、オキソ基(>C=O)に対して、水素分子(H2)が付加することで、元のヒドロキシル基(>CH−OH)に変換することが可能である。
(>C=O) + H2 → (>CH−OH)
元のヒドロキシル基(>CH−OH)の再生がなされた、アルコール性ヒドロキシル基を有する有機溶媒、例えば、脂肪族多価アルコール分子、または脂肪族多価アルコールのモノアルキルエーテル分子は、再び、銅粉、微細銅粉の表面に溶媒和(吸着)することができる。
見かけ上、水素ガスを含む還元性雰囲気から供給される、水素分子(H2)を利用して、表面酸化膜の還元が進行している。
従って、本発明にかかる導電性銅ペーストにおいて、分散溶媒として利用する、アルコール性ヒドロキシル基を有する有機溶媒、例えば、脂肪族多価アルコールは、酸化によって、オキソ基(=O)またはホルミル基(−CHO)へと変換可能なヒドロキシル基(−OH)を有し、そのヒドロキシル基(>CH−OH)を利用して、該銅酸化物中の酸素原子(Cu−O−Cu)と水素結合型の分子間結合が可能である必要がある。また、アルコール性ヒドロキシル基を有する有機溶媒、例えば、脂肪族多価アルコール、または脂肪族多価アルコールのモノアルキルエーテルの存在下、水素ガスを含む還元性雰囲気において、少なくとも、250℃以上の温度で加熱処理を施す上では、該アルコール性ヒドロキシル基を有する有機溶媒、例えば、脂肪族多価アルコール、または脂肪族多価アルコールのモノアルキルエーテルは、前記の加熱処理温度において、そのアルコール性ヒドロキシル基(>CH−OH)を利用して、銅粉、微細銅粉の表面の表面酸化膜上に溶媒和(吸着)していることが必要である。すなわち、ヒドロキシル基(−OH)が、>CH−OHの形状、あるいは、−CH2−OHの形状で存在する、アルコール性ヒドロキシル基(−OH)を有する有機化合物を利用することが好ましい。
本発明の第一の形態にかかる導電性銅ペースト、第二の形態にかかる導電性銅ペーストでは、第一の有機溶媒あるいは第二の有機溶媒、ならびに、第三の有機溶媒あるいは第四の有機溶媒として、上記の条件を満たす有機溶媒を採用している。具体的には、第一の有機溶媒、第三の有機溶媒として、室温で液体であり、沸点は、200℃以上であるが、400℃を超えない範囲、好ましくは、300℃を超えない範囲であり、ヒドロキシル基以外の反応性官能基を内在していない、アルコール性ヒドロキシル基を有する有機溶媒を利用する。また、第二の有機溶媒、第四の有機溶媒として、室温で液体であり、沸点は、230℃以上であるが、400℃を超えない範囲、好ましくは、300℃を超えない範囲の脂肪族多価アルコールを利用する。
一方、銅粉、微細銅粉の表面の表面酸化膜の還元が完了した後、銅粉、微細銅粉の焼結が進行する段階では、銅粉、微細銅粉の金属銅表面上に溶媒和(吸着)した状態で残留しないことが望ましい。従って、室温で液体であり、沸点は、230℃以上であるが、400℃を超えない範囲、好ましくは、300℃を超えない範囲の脂肪族多価アルコール、または脂肪族多価アルコールのモノアルキルエーテルを利用することが好ましい。一般に、室温で液体であり、沸点は、230℃以上であるが、400℃を超えない範囲、好ましくは、300℃を超えない範囲の脂肪族多価アルコールを利用することがより好ましい。
例えば、上述する本発明の第一の形態にかかる導電性銅ペーストの一態様、本発明の第二の形態にかかる導電性銅ペーストの一態様、上記の条件を満たす第二の有機溶媒、第四の有機溶媒として、室温で液体であり、沸点は、230℃以上であるが、400℃を超えない範囲、好ましくは、300℃を超えない範囲の脂肪族多価アルコールを利用する。
一方、銅粉、微細銅粉の表面の表面酸化膜の還元が完了した後、銅粉、微細銅粉の焼結が進行する段階では、銅粉、微細銅粉の金属銅表面上に溶媒和(吸着)した状態で残留しないことが望ましい。従って、室温で液体であり、沸点は、230℃以上であるが、300℃を超えない範囲、好ましくは、300℃を超えない範囲の脂肪族多価アルコール、または脂肪族多価アルコールのモノアルキルエーテルを利用することが好ましい。より好ましくは、室温で液体であり、沸点は、230℃以上であるが、280℃を超えない範囲の脂肪族多価アルコール、または脂肪族多価アルコールのモノアルキルエーテルを利用することが望ましい。
本発明の第一の形態にかかる導電性銅ペースト、本発明の第二の形態にかかる導電性銅ペーストにおいては、第一の有機溶媒、第三の有機溶媒として利用可能な、室温で液体であり、沸点は、200℃以上であるが、400℃を超えない範囲であり、ヒドロキシル基以外の反応性官能基を内在していない、アルコール性ヒドロキシル基(−OH)を有する有機化合物のうち、酸化によって、オキソ基(=O)またはホルミル基(−CHO)へと変換可能なアルコール性ヒドロキシル基(−OH)を有する有機化合物が、上記の銅粉、微細銅粉の表面の表面酸化膜の還元除去に好適に利用される。該銅粉、微細銅粉の表面の表面酸化膜の還元除去に好適に利用可能な、酸化によって、オキソ基(=O)またはホルミル基(−CHO)へと変換可能なアルコール性ヒドロキシル基(−OH)を有する有機化合物として、下記の化合物を例示することができる。
炭素数9〜12の直鎖の飽和脂肪族第一級アルコールである、1−ノナノール(融点−5.5℃、沸点213.5℃)、1−ドデカノール(融点23.5℃、沸点259℃)など;
炭素数18の不飽和脂肪族第一級アルコールである、オレイルアルコール(融点5.5〜7.5℃、沸点345〜355℃)など;
炭素数10〜24の分岐を有する飽和脂肪族第一級アルコールである、イソデシルアルコール(融点7℃、沸点220℃)、イソステアリルアルコール(沸点265〜275℃)、ヘキシルデカノール(融点−21〜−15℃、沸点300〜310℃)、2−オクチル−1−ドデカノール(融点−20℃、沸点340〜360℃)、2−デシル−1−テトラデカノール(融点19〜20℃、沸点280〜290℃)など;
炭素数10〜12の脂肪族第二級アルコールである、2−デカノール(融点−6〜−4℃、沸点211℃)、2−ドデカノール(融点19℃、沸点250℃)など;
炭素数4〜9のアルカンジオールである、2,5−ヘキサンジオール(沸点216℃)、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール(沸点243℃)、3−メチル−1,3−ブタンジオール(沸点203℃)、3−メチル−1,5−ペンタンジオール(沸点250℃)、2−メチル−1,8−オクタンジオール(沸点290〜300℃)、1,2−ペンタンジオール(沸点206℃)、1,2−ヘキサンジオール(沸点223℃)、1,3−ノナンジオール(沸点271℃)など;
分子量が4000以下の範囲のポリアルキレングリコール、例えば、総炭素数が4〜9の範囲のポリアルキレングリコール、特には、ポリエチレングリコール類である、ジエチレングリコール(沸点244℃)、トリエチレングリコール(沸点287℃)、ポリプロピレングリコール類である、ジプロピレングリコール(沸点232℃)、トリプロピレングリコール(沸点268℃)など;
炭素数3〜6のアルカントリオールである、グリセリン(融点17.8℃、沸点298℃)、1,2,3−ブタントリオール(沸点290〜300℃)、1,2,4−ブタントリオール(沸点320〜330℃)、1,2,5−ペンタントリオール(沸点325〜335℃)、1,2,6−ヘキサントリオール(融点25℃、沸点340〜350℃)など;
アルキレングリコールモノアルキルエーテル、ポリアルキレングリコールモノアルキルエーテル型の多価アルコールモノアルキルエーテルである、エチレングリコールモノヘキシルエーテル(沸点208℃)、エチレングリコールモノオクチルエーテル(沸点229℃)、ジエチレングリコールモノブチルエーテル(沸点231℃)、ジエチレングリコールモノヘキシルエーテル(沸点259℃)、ジエチレングリコールモノオクチルエーテル(沸点272℃)、トリエチレングリコールモノメチルエーテル(沸点249℃)、トリエチレングリコールモノブチルエーテル(沸点271℃)、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル(沸点212℃)、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル(沸点229℃)、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル(沸点242℃)、トリプロピレングリコールモノブチルエーテル(沸点274℃)など;
本発明の第一の形態にかかる導電性銅ペーストにおいて、分散溶媒として利用する、前記第一の有機溶媒として、
室温で液体であり、沸点は、200℃以上であるが、400℃を超えない範囲である炭素数9〜14のアルカノール、
室温で液体であり、沸点は、200℃以上であるが、400℃を超えない範囲である炭素数4〜9のアルカンジオール、
室温で液体であり、沸点は、200℃以上であるが、400℃を超えない範囲である分子量4000以下のポリアルキレングリコール、
室温で液体であり、沸点は、200℃以上であるが、400℃を超えない範囲ある多価アルコールモノアルキルエーテル、
グリセリン、1,2,3−ブタントリオール、1,2,4−ブタントリオール、1,2,5−ペンタントリオール、1,2,6−ヘキサントリオールからなる群より選択される、酸化によって、オキソ基(=O)またはホルミル基(−CHO)へと変換可能なアルコール性ヒドロキシル基(−OH)を有する有機溶媒が好適に利用できる。
前記室温で液体であり、沸点は、200℃以上であるが、400℃を超えない範囲、好ましくは、300℃を超えない範囲である多価アルコールモノアルキルエーテルにおいて、その多価アルコール部分は、アルカンポリオールであるものが好適に利用できる。例えば、アルカンポリオールモノアルキルエーテルのうち、前記の要件を満たすものとして、エチレングリコールモノオクチルエーテル(融点−60以下、沸点229℃)を例示できる。さらには、前記室温で液体であり、沸点は、200℃以上であるが、400℃を超えない範囲、好ましくは、300℃を超えない範囲である多価アルコールモノアルキルエーテルにおいて、その多価アルコール部分は、ポリアルキレングリコール(HO-(CnH2n-O)m-CnH2n-OH)であるものも利用できる。ポリアルキレングリコールモノアルキルエーテルのうち、前記の要件を満たすものとして、トリエチレングリコールモノブチルエーテル(融点−48℃、沸点271℃)を例示できる。
さらには、上述する本発明の第一の形態にかかる導電性銅ペーストの一態様において、第二の有機溶媒として利用する、前記脂肪族多価アルコールは、室温で液体であり、沸点は、230℃以上であるが、400℃を超えない範囲、好ましくは、300℃を超えない範囲の脂肪族多価アルコールである。例えば、前記脂肪族多価アルコールとして、室温で液体であり、沸点は、230℃以上であるが、400℃を超えない範囲、好ましくは、300℃を超えない範囲の炭素数4〜9のアルカンジオール、例えば、炭素数6〜8のアルカンジオールの一つ、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール(融点:−40℃、沸点:245℃)、あるいは、沸点は、230℃以上であるが、400℃を超えない範囲、好ましくは、300℃を超えない範囲である、分子量4000以下のポリアルキレングリコール、例えば、総炭素数が4〜9の範囲のポリアルキレングリコールである、ジプロピレングリコール(融点:−40℃、沸点:232℃)、トリプロピレングリコール(分子量192、沸点268℃)など、ならびに、グリセリン、1,2,3−ブタントリオール、1,2,4−ブタントリオール、1,2,5−ペンタントリオール、1,2,6−ヘキサントリオールが好適に利用できる。具体的には、該脂肪族多価アルコールに存在するアルコール性ヒドロキシル基(−OH)の一つは、酸化によって、(>CH−OH)→(>C=O)とオキソ基(=O)に変換される構造であるもの、例えば、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール(融点:−40℃、沸点:245℃)、グリセリンなどが好適に利用できる。
前記第二の有機溶媒として利用する、脂肪族多価アルコールは、上述する本発明の第二の形態にかかる導電性銅ペーストの一態様において、第四の有機溶媒としても、好適に利用することができる。
本発明の第二の形態にかかる導電性銅ペーストでは、第三の有機溶媒として利用する、上述のアルコール性ヒドロキシル基を有する有機溶媒、例えば、脂肪族多価アルコール中に、銅粉、微細銅粉、ならびに、銅ナノ粒子が分散される。従って、銅粉、微細銅粉、ならびに、銅ナノ粒子の体積の総和(VCu-powder+VCu-fine-powder+VCu-nano-particle)に対する、第三の有機溶媒の体積(Vdispersion-medium)の比率、(VCu-powder+VCu-fine-powder+VCu-nano-particle):Vdispersion-mediumは、20:6〜20:10の範囲、好ましくは、20:7〜20:9の範囲に選択することが望ましい。
なお、第三の有機溶媒として利用する、上述のアルコール性ヒドロキシル基を有する有機溶媒、例えば、脂肪族多価アルコールは、銅粉、微細銅粉の表面の表面酸化膜の還元を行う際に利用される。その点を考慮すると、銅粉、微細銅粉の重量の総和(WCu-powder+WCu-fine-powder)と、第三の有機溶媒の重量(Wdispersion-medium)の比率、(WCu-powder+WCu-fine-powder):Wdispersion-mediumは、100質量部:2質量部〜100質量部:10質量部の範囲、好ましくは、100質量部:3質量部〜100質量部:7質量部の範囲、より好ましくは、100質量部:3.5質量部〜100質量部:5.0質量部の範囲に選択することが望ましい。
一方、本発明の第一の形態にかかる導電性銅ペーストでは、液相は、上述の第一の有機溶媒と、脂肪族モノカルボン酸の銅塩((R-COO)2Cu(II))の(ジアルキルアミノ)アルキルアミン溶液とを混合した液となる。銅粉と微細銅粉は、この混合液中に分散される。従って、銅粉と微細銅粉の体積の総和(VCu-powder+VCu-fine-powder)に対する、第一の有機溶媒の体積(Vdispersion-medium)の比率、(VCu-powder+VCu-fine-powder):Vdispersion-mediumは、20:5〜20:9の範囲、好ましくは、20:6〜20:8の範囲に選択することが望ましい。
なお、第一の有機溶媒として利用する、上述のアルコール性ヒドロキシル基を有する有機溶媒、例えば、脂肪族多価アルコールは、銅粉、微細銅粉の表面の表面酸化膜の還元を行う際に利用される。その点を考慮すると、銅粉、微細銅粉の重量の総和(WCu-powder+WCu-fine-powder)と、第一の有機溶媒の重量(Wdispersion-medium)の比率、(WCu-powder+WCu-fine-powder):Wdispersion-mediumは、100質量部:2質量部〜100質量部:10質量部の範囲、好ましくは、100質量部:3質量部〜100質量部:5質量部の範囲、例えば、100質量部:3質量部〜100質量部:4.5質量部の範囲に選択することが望ましい。
本発明の第一の形態にかかる導電性銅ペーストでは、脂肪族モノカルボン酸の銅塩((R-COO)2Cu(II))の(ジアルキルアミノ)アルキルアミン溶液を一旦調製した上で、第一の有機溶媒と混合している。
該脂肪族モノカルボン酸の銅塩((R-COO)2Cu(II))の(ジアルキルアミノ)アルキルアミン溶液は、脂肪族モノカルボン酸の銅塩((R-COO)2Cu(II))1分子に対して、(ジアルキルアミノ)アルキルアミンが、2.2分子〜8分子の範囲となる組成、好ましくは、3分子〜8分子の範囲、より好ましくは、4分子〜7分子の範囲となる組成とすることが望ましい。
脂肪族モノカルボン酸の銅塩((R-COO)2Cu(II))は、一般に、Cu:Cu結合を有する二量体を形成している。溶媒の(ジアルキルアミノ)アルキルアミン中に溶解すると、脂肪族モノカルボン酸の銅塩((R-COO)2Cu(II))の銅カチオン(Cu2+)に、2分子の(ジアルキルアミノ)アルキルアミン(R’2N-Cm2m-NH2)が、そのアミノ基(−NH2)の孤立電子対を利用して配位している、脂肪族モノカルボン酸の銅塩((R-COO)2Cu(II))のアミン錯体((R-COO)2Cu(II)):2(R’2N-Cm2m-NH2))となる。その後、脂肪族モノカルボン酸の銅塩((R-COO)2Cu(II))の(ジアルキルアミノ)アルキルアミン溶液と、分散溶媒の脂肪族多価アルコールを混合すると、脂肪族モノカルボン酸の銅塩((R-COO)2Cu(II))のアミン錯体が、(ジアルキルアミノ)アルキルアミンと脂肪族多価アルコールの混合液中に溶解された状態となる。その大半は、脂肪族モノカルボン酸の銅塩((R-COO)2Cu(II))のアミン錯体の脂肪族モノカルボン酸アニオン(R-COO-)のC=Oに対して、第一の有機溶媒として利用する、上述のアルコール性ヒドロキシル基を有する有機溶媒、例えば、第二の有機溶媒の脂肪族多価アルコールのヒドロキシル基(>CH−OH)が、水素結合型の分子間結合を形成し、溶媒和した状態となっている。
水素ガス(H2)を含む還元性雰囲気中、加熱処理を施すと、下記の反応式で表記される、上述のアルコール性ヒドロキシル基を有する有機溶媒、例えば、脂肪族多価アルコールのヒドロキシル基(>CH−OH)のオキソ基(>C=O)への変換と、該脂肪族モノカルボン酸銅のアミン錯体の還元反応が進行する。
(R-COO)2Cu(II):2(R'2N-CmH2m-NH2)+(>CH−OH)
→ 2R-COOH+(Cu(0):2(R'2N-CmH2m-NH2))+(>C=O)
なお、上述のアルコール性ヒドロキシル基を有する有機溶媒、例えば、脂肪族多価アルコール由来の反応生成物(>C=O)は、微細銅粉、銅粉の表面に露呈する金属銅原子上に、そのオキソ基(>C=O)のπ電子を利用して、配位することができる。水素ガスを含む還元性雰囲気では、この金属銅原子上に配位している、オキソ基(>C=O)に対して、水素分子(H2)が付加することで、元のヒドロキシル基(>CH−OH)に変換することが可能である。
(>C=O) + H2 → (>CH−OH)
一方、該脂肪族モノカルボン酸銅のアミン錯体の還元によって生成する金属銅原子は、当初、(ジアルキルアミノ)アルキルアミンが2分子配位した形状となる。(ジアルキルアミノ)アルキルアミンが、二座配位子として機能する際には、二座配位子の(ジアルキルアミノ)アルキルアミン2分子が配位している金属銅原子(Cu(0): 2(R'2N-CmH2m-NH2)として、分散溶媒中に分散することができる。一方、(ジアルキルアミノ)アルキルアミンが、一座配位子として機能する際には、周囲に存在する(ジアルキルアミノ)アルキルアミンまたは、分散溶媒の脂肪族多価アルコールが更に配位し、例えば、一座配位子の(ジアルキルアミノ)アルキルアミン4分子が配位している金属銅原子(Cu(0): 4(R'2N-CmH2m-NH2)として、分散溶媒中に分散する。
なお、液相中に溶解している(ジアルキルアミノ)アルキルアミンの濃度が十分に高い状態では、二座配位子として機能する(ジアルキルアミノ)アルキルアミンを使用する場合であっても、二座配位子の(ジアルキルアミノ)アルキルアミン2分子が配位している金属銅原子(Cu(0): 2(R'2N-CmH2m-NH2)は、相当部分、(ジアルキルアミノ)アルキルアミン4分子が配位している金属銅原子(Cu(0): 4(R'2N-CmH2m-NH2)に変換される。
一方、(ジアルキルアミノ)アルキルアミンは、微細銅粉、銅粉の表面に露呈している金属銅原子に対しても、そのアミノ基(−NH2)の孤立電子対を利用して、配位的な結合をする。
一方、水素ガス(H2)を含む還元性雰囲気中、加熱処理を施すと、銅粉、微細銅粉の表面の表面酸化膜の還元が進行し、生成する表面の金属銅原子に(ジアルキルアミノ)アルキルアミンが配位的な結合(吸着)をする結果、液相中に溶解している(ジアルキルアミノ)アルキルアミンの量が減少する。また、(ジアルキルアミノ)アルキルアミン4分子が配位している金属銅原子(Cu(0): 4(R'2N-CmH2m-NH2)の生成が進むと、液相中に溶解している(ジアルキルアミノ)アルキルアミンの量が減少する。
加えて、第一の有機溶媒の上述のアルコール性ヒドロキシル基を有する有機溶媒、例えば、第二の有機溶媒の脂肪族多価アルコールの沸点より、(ジアルキルアミノ)アルキルアミンの沸点が低い場合、相対的に(ジアルキルアミノ)アルキルアミンの蒸散速度が優るため。液相中に溶解している(ジアルキルアミノ)アルキルアミンの濃度が減少する。
銅粉、微細銅粉の表面に露呈する金属銅原子に配位的な結合(吸着)をしている、(ジアルキルアミノ)アルキルアミンと、液相中に溶解している(ジアルキルアミノ)アルキルアミンは、解離平衡状態となっている。従って、液相中に溶解している(ジアルキルアミノ)アルキルアミンの濃度が、一定水準を下回ると、銅粉、微細銅粉の表面に露呈する金属銅原子に配位的な結合(吸着)をしている、(ジアルキルアミノ)アルキルアミンの解離が進行する。
また、(ジアルキルアミノ)アルキルアミン4分子が配位している金属銅原子においても、金属銅原子に配位している(ジアルキルアミノ)アルキルアミンと、液相中に溶解している(ジアルキルアミノ)アルキルアミンは、解離平衡状態となっている。従って、液相中に溶解している(ジアルキルアミノ)アルキルアミンの濃度が、一定水準を下回ると、金属銅原子に配位している(ジアルキルアミノ)アルキルアミンの解離が進行する。
例えば、配位している(ジアルキルアミノ)アルキルアミンが2分子に減少した、金属銅原子(Cu(0): 2(R'2N-CmH2m-NH2)は、銅粉、微細銅粉の表面に露呈する金属銅原子に接すると、金属銅原子間に金属結合を形成して、固着する。すなわち、銅粉、微細銅粉の表面に露呈する金属銅原子を核として、該脂肪族モノカルボン酸銅に由来する金属銅原子(Cu(0): 2(R'2N-CmH2m-NH2)の固着が起こり、その後、この固着した金属銅原子に配位している(ジアルキルアミノ)アルキルアミンが離脱すると、脂肪族モノカルボン酸銅に由来する金属銅原子(Cu(0): 2(R'2N-CmH2m-NH2)がさらに固着する。従って、銅粉、微細銅粉の表面に露呈する金属銅原子を核として、脂肪族モノカルボン酸銅に由来する金属銅原子の凝集体が形成される。
前記の現象は、液相中に分散されている、(ジアルキルアミノ)アルキルアミン4分子が配位している金属銅原子の分散密度が上昇するとともに、顕著に促進される。換言すると、液相を構成している、(ジアルキルアミノ)アルキルアミンと第一の有機溶媒の上述のアルコール性ヒドロキシル基を有する有機溶媒、例えば、第二の有機溶媒の脂肪族多価アルコールの蒸散が進行するとともに、前記の現象が顕著に促進される。
蒸散が進行し、液相の体積が減少する(濃縮が進む)と、液相は、微細銅粉、銅粉相互の接触部位の周囲の狭い隙間、下地層と微細銅粉、銅粉の接触部位の周囲の狭い隙間に、液相が凝集された状態となる。そのため、液相の濃縮とともに、(ジアルキルアミノ)アルキルアミンが配位している金属銅原子の分散濃度が上昇し、結果的に、微細銅粉、銅粉相互の接触部位の周囲の狭い隙間、下地層と微細銅粉、銅粉の接触部位の周囲の狭い隙間で、優先的に金属銅原子の凝集体の形成が進行する。
従って、微細銅粉、銅粉相互の接触部位の周囲の狭い隙間、下地層と微細銅粉、銅粉の接触部位の周囲の狭い隙間は、該金属銅原子の凝集体で埋め込まれた状態となる。その後、焼成が進行すると、微細銅粉、銅粉相互の接触部位の周囲、下地層と微細銅粉、銅粉の接触部位の周囲では、該金属銅原子の凝集体と、微細銅粉、銅粉との一体化が進行する。結果的に、微細銅粉、銅粉相互の接触部位、下地層と微細銅粉、銅粉の接触部位では、接触面積の拡大がなされる。
加えて、下地層の表面にシラノール構造(Si−OH)が存在すると、加熱処理を施す間に、脂肪族モノカルボン酸銅に由来する銅原子(Cu)は、該シラノール構造(Si−OH)部に対して、Si−O−Cuの形状で固定化される。この下地層の表面にSi−O−Cuの形状で固定化される銅原子を核として、脂肪族モノカルボン酸銅に由来する金属銅原子の凝集体の形成も進行する。下地層の表面にシラノール構造(Si−OH)が高い密度で存在する場合、形成される金属銅原子の凝集体相互が接触し、表面拡散によって一体化すると、該表面を被覆する金属銅皮膜層の成長がなされる。この現象は、液相を構成している、(ジアルキルアミノ)アルキルアミンと分散溶媒の脂肪族多価アルコールの蒸散が進行した段階で、初めて可能となる。すなわち、下地層と微細銅粉、銅粉の接触部位の周囲の狭い隙間で、優先的に前記の現象が進行する。
勿論、この下地層の表面を被覆する金属銅皮膜層は、優れた密着性を発揮する。特に、下地層の表面に銅粉が接触する部位では、銅粉の表面にも部分的に金属銅原子の凝集体が形成されており、両者の金属銅原子の凝集体間でも、一体化が進行すると、金属原子間の結合が形成される。この寄与も加わって、シラノール構造(Si−OH)を有する下地層表面と銅粉の間では、該金属銅皮膜層の介在に起因する、高い密着特性が付与される。
本発明の第一の形態にかかる導電性銅ペーストでは、上記の現象を利用することで、微細銅粉、銅粉相互の焼結体中、微細銅粉、銅粉相互の接触部位における、接触面積の拡大を達成している。また、下地層と微細銅粉、銅粉の接触部位でも、実効的な接触面積の拡大を図っている。
該機構を考慮すると、銅粉と微細銅粉の体積の総和(VCu-powder+VCu-fine-powder)に対する、脂肪族モノカルボン酸銅に由来する金属銅原子の体積の合計(VCu-metal)の比率、(VCu-powder+VCu-fine-powder):(VCu-metal)は、100:0.15〜100:0.7の範囲、より好ましくは、100:0.3〜100:0.5の範囲とすることが望ましい。換言すると、銅粉と微細銅粉の金属銅原子の総和(MCu-powder+MCu-fine-powder)に対する、脂肪族モノカルボン酸銅に含まれる銅原子数の合計(MCu-carboxylate)の比率、(MCu-powder+MCu-fine-powder):(MCu- carboxylate)は、100:0.15〜100:0.7の範囲、より好ましくは、100:0.3〜100:0.5の範囲とすることが望ましい。すなわち、銅粉と微細銅粉の金属銅の重量の総和(WCu-powder+WCu-fine-powder)に対する、脂肪族モノカルボン酸銅に含まれる銅原子の重量の合計(WCu-carboxylate)の比率、(WCu-powder+WCu-fine-powder):(WCu- carboxylate)は、100質量部:0.15質量部〜100質量部:0.7質量部の範囲、より好ましくは、100質量部:0.3質量部〜100質量部:0.5質量部の範囲とすることが望ましい。
一方、脂肪族モノカルボン酸銅の溶解に利用する、(ジアルキルアミノ)アルキルアミンは、分散溶媒の脂肪族多価アルコールと同様に、水素ガス(H2)を含む還元性雰囲気中、加熱処理を施す際、蒸散することが必要である。従って、室温で液体であり、沸点は、230℃以上であるが、300℃を超えない範囲の(ジアルキルアミノ)アルキルアミンを利用することが好ましい。より好ましくは、室温で液体であり、沸点は、230℃以上であるが、280℃を超えない範囲の(ジアルキルアミノ)アルキルアミンを利用することが望ましい。
さらには、第一の有機溶媒のアルコール性ヒドロキシル基を有する有機溶媒、例えば、第二の有機溶媒の脂肪族多価アルコールの沸点に対して、該(ジアルキルアミノ)アルキルアミンの沸点が低くなるように、第一の有機溶媒のアルコール性ヒドロキシル基を有する有機溶媒、例えば、第二の有機溶媒の脂肪族多価アルコールと(ジアルキルアミノ)アルキルアミンの組み合わせを選択することが望ましい。より好ましくは、第一の有機溶媒のアルコール性ヒドロキシル基を有する有機溶媒、例えば、第二の有機溶媒の脂肪族多価アルコールの沸点より、該(ジアルキルアミノ)アルキルアミンの沸点は低く、その沸点の差は、少なくとも、30℃以内、好ましくは、20℃以内となるように、第一の有機溶媒(あるいは第二の有機溶媒)と(ジアルキルアミノ)アルキルアミンの組み合わせを選択することが望ましい。
加えて、第一の有機溶媒のアルコール性ヒドロキシル基を有する有機溶媒、例えば、第二の有機溶媒の脂肪族多価アルコール中に、(ジアルキルアミノ)アルキルアミンは、脂肪族モノカルボン酸銅に由来する金属銅原子に対して配位する際、そのアミノ基(−NH2)の孤立電子対を利用して、配位的な結合を形成できること、特には、そのアミノ基(−NH2)とジアルキルアミノ基(−NR’2)を利用して、二座配位子として機能することが望ましい。
本発明の第一の形態にかかる導電性銅ペーストにおいて、脂肪族モノカルボン酸銅の溶解に利用する、(ジアルキルアミノ)アルキルアミン(R’2N-Cm2m-NH2)として、室温で液体である、総炭素数9〜13の(ジアルキルアミノ)アルキルアミンを利用することが好ましい。特には、そのアミノ基(−NH2)とジアルキルアミノ基(−NR’2)を利用して、二座配位子として機能する、総炭素数9〜13の(ジアルキルアミノ)プロピルアミン(R’2N-CH2CH2CH2-NH2)、例えば、ジブチルアミノプロピルアミン(融点:−50℃、沸点:238℃)などが好適に利用できる。
第一の有機溶媒のアルコール性ヒドロキシル基を有する有機溶媒、例えば、第二の有機溶媒の脂肪族多価アルコールと(ジアルキルアミノ)アルキルアミンの組み合わせとして、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール(融点:−40℃、沸点:245℃)とジブチルアミノプロピルアミン(融点:−50℃、沸点:238℃)の組み合わせ、あるいは、ジプロピレングリコール(融点:−40℃、沸点:232℃)とジブチルアミノプロピルアミンの組み合わせなどが好適に選択できる。
一方、脂肪族モノカルボン酸の銅塩((R-COO)2Cu(II))のアミン錯体は、第一の有機溶媒のアルコール性ヒドロキシル基を有する有機溶媒、例えば、第二の有機溶媒の脂肪族多価アルコール中において、加熱処理する際、配位子の(ジアルキルアミノ)アルキルアミンが離脱し、代わりに、第一の有機溶媒のアルコール性ヒドロキシル基を有する有機溶媒、例えば、第二の有機溶媒の脂肪族多価アルコールが配位する形状に変換されないことが必要である。例えば、脂肪族多価アルコールは、ヒドロキシル基(−OH)が隣接する炭素原子上に存在する構造(−CH(OH)−CH(OH)−)を有すると、当該構造は、二座配位子として機能し、配位子の(ジアルキルアミノ)アルキルアミン2分子を置換することが可能である。換言すると、第一の有機溶媒のアルコール性ヒドロキシル基を有する有機溶媒、例えば、第二の有機溶媒の脂肪族多価アルコールは、ヒドロキシル基(−OH)が隣接する炭素原子上に存在する構造(−CH(OH)−CH(OH)−)を含まないものは、二座配位子として機能しないので、脱離が容易となる。分散溶媒の脂肪族多価アルコールとして、例えば、2−エチル−1,3−ヘキサンジオールのように、1,3−ジオール構造を有するアルカンジオールを採用すると、前記の利点が得られる。
また、脂肪族モノカルボン酸の銅塩((R-COO)2Cu(II))のアミン錯体の還元は、第一の有機溶媒の上記のアルコール性ヒドロキシル基を有する有機溶媒、例えば、第二の有機溶媒の脂肪族多価アルコールを利用する機構を利用するので、脂肪族モノカルボン酸の銅塩((R-COO)2Cu(II))のアミン錯体は、第一の有機溶媒のアルコール性ヒドロキシル基を有する有機溶媒、例えば、第二の有機溶媒の脂肪族多価アルコール中において、自己分解的還元反応を行わないことが望ましい。自己分解的還元反応では、脂肪族モノカルボン酸アニオンに由来する、CO2の発生が起こり、発生するCO2に起因する発泡が生じるので、本発明では望ましくない。
第一の有機溶媒のアルコール性ヒドロキシル基を有する有機溶媒、例えば、第二の有機溶媒の脂肪族多価アルコールの存在下、水素ガス(H2)を含む還元性雰囲気中、加熱処理を施す際、自己分解的還元反応よりも、上述のアルコール性ヒドロキシル基を有する有機溶媒、例えば、脂肪族多価アルコールを利用する還元反応が優先的に進行することが望ましい。一般に、脂肪族モノカルボン酸の銅塩((R-COO)2Cu(II))の自己分解的還元反応は、脂肪族モノカルボン酸アニオンの炭素数が増加するとともに、その反応開始温度は上昇する。従って、本発明の第一の形態にかかる導電性銅ペーストでは、脂肪族モノカルボン酸の銅塩((R-COO)2Cu(II))を構成する脂肪族モノカルボン酸アニオンとして、炭素数10〜20の脂肪族モノカルボン酸由来のアニオンを選択することが望ましい。
一方、上述の機構では、脂肪族モノカルボン酸の銅塩((R-COO)2Cu(II))のアミン錯体の還元に伴って、脂肪族モノカルボン酸(R-COOH)が副生される。水素ガス(H2)を含む還元性雰囲気中、加熱処理を施す間に、該脂肪族モノカルボン酸(R-COOH)の蒸散がなされることが望ましい。従って、該脂肪族モノカルボン酸(R-COOH)の沸点は、230℃以上であるが、400℃を超えない範囲、好ましくは、230℃以上であるが、300℃を超えない範囲であることが望ましい。従って、沸点が、230℃以上であるが、400℃を超えない範囲、好ましくは、230℃以上であるが、300℃を超えない範囲である脂肪族モノカルボン酸(R-COOH)に由来する、脂肪族モノカルボン酸の銅塩((R-COO)2Cu(II))を採用することが望ましい。
例えば、炭素数10〜20の脂肪族モノカルボン酸のうち、炭素数10のデカン酸(沸点:268.4℃)、炭素数11のウンデカン酸(沸点:284℃)、炭素数12のラウリン酸(ドデカン酸、沸点:298.9℃)など、沸点が300℃以下のものに相当する。炭素数10〜20の脂肪族モノカルボン酸のうち、その沸点が、230℃以上であるが、400℃を超えない範囲のものとして、オレイン酸(沸点:286℃/100mmHg)や、エライジン酸(沸点:234℃/15mmHg)が好適に利用できる。
具体的には、脂肪族モノカルボン酸の銅塩((R-COO)2Cu(II))として、例えば、オレイン酸(沸点:286℃/100mmHg)に由来する、オレイン酸銅、エライジン酸(沸点:234℃/15mmHg)に由来する、エライジン酸銅など、該カルボン酸の沸点が、230℃以上であるが、400℃を超えない範囲である、直鎖の脂肪族モノカルボン酸(R-COOH)に由来する、脂肪族モノカルボン酸の銅塩((R-COO)2Cu(II))を採用することが望ましい。
本発明の第二の形態にかかる導電性銅ペーストでは、平均粒子径を10nm〜100nmの範囲に選択する銅ナノ粒子は、その表面には、ジアルキルアミノアルキルアミンからなる被覆剤分子層が形成されている状態とした上で、上述の第三の有機溶媒中に分散させている。室温で保管する際、ジアルキルアミノアルキルアミンからなる被覆剤分子層の解離を防止するため、上述の第三の有機溶媒中にジアルキルアミノアルキルアミンが溶解している状態とする。
すなわち、該銅ナノ粒子の表面に露呈する金属銅原子に対して、ジアルキルアミノアルキルアミンは、そのアミノ基(−NH2)の孤立電子対を利用して、配位的な結合をしている。具体的には、該銅ナノ粒子を、ジアルキルアミノアルキルアミン中に分散してなる分散液を一旦調製し、該銅ナノ粒子のアミン分散液を、第三の有機溶媒中に混合する。
該銅ナノ粒子のアミン分散液は、銅ナノ粒子の体積の合計(VCu-nano-particle)と、溶媒であるジアルキルアミノアルキルアミンの体積(Vdispersion-medium)の比率、(VCu-nano-particle):Vamineは、10:50〜10:100の範囲、好ましくは、10:50〜10:80の範囲に選択することが望ましい。
本発明の第二の形態にかかる導電性銅ペーストでも、銅粉、微細銅粉の表面に露呈する金属銅原子に対して、ジアルキルアミノアルキルアミンは、そのアミノ基(−NH2)の孤立電子対を利用して、配位的な結合(吸着)をしている。
一方、水素ガス(H2)を含む還元性雰囲気中、加熱処理を施すと、銅粉、微細銅粉の表面の表面酸化膜の還元が進行し、生成する表面の金属銅原子に(ジアルキルアミノ)アルキルアミンが配位的な結合(吸着)をする結果、液相中に溶解している(ジアルキルアミノ)アルキルアミンの量が減少する。
加えて、第三の有機溶媒のアルコール性ヒドロキシル基を有する有機溶媒、例えば、第四の有機溶媒の脂肪族多価アルコールの沸点より、(ジアルキルアミノ)アルキルアミンの沸点が低い場合、相対的に(ジアルキルアミノ)アルキルアミンの蒸散速度が優るため。液相中に溶解している(ジアルキルアミノ)アルキルアミンの濃度が減少する。
銅粉、微細銅粉の表面に露呈する金属銅原子に配位的な結合(吸着)をしている、(ジアルキルアミノ)アルキルアミンと、液相中に溶解している(ジアルキルアミノ)アルキルアミンは、解離平衡状態となっている。従って、液相中に溶解している(ジアルキルアミノ)アルキルアミンの濃度が、一定水準を下回ると、銅粉、微細銅粉の表面に露呈する金属銅原子に配位的な結合(吸着)をしている、(ジアルキルアミノ)アルキルアミンの解離が進行する。
また、銅ナノ粒子の表面の被覆剤分子層においても、金属銅原子に配位している(ジアルキルアミノ)アルキルアミンと、液相中に溶解している(ジアルキルアミノ)アルキルアミンは、解離平衡状態となっている。従って、液相中に溶解している(ジアルキルアミノ)アルキルアミンの濃度が、一定水準を下回ると、金属銅原子に配位している(ジアルキルアミノ)アルキルアミンの解離が進行する。
例えば、被覆剤分子層の相当部分が離脱している、銅ナノ粒子が、銅粉、微細銅粉の表面に露呈する金属銅原子に接すると、両者の金属銅原子間に金属結合を形成して、固着する。すなわち、銅粉、微細銅粉の表面に露呈する金属銅原子を核として、銅ナノ粒子の固着が起こり、その後、この固着した銅ナノ粒子の表面から、(ジアルキルアミノ)アルキルアミンがさらに離脱すると、銅ナノ粒子がさらに固着する。従って、銅粉、微細銅粉の表面に露呈する金属銅原子を核として、銅ナノ粒子複数からなる集積層(凝集体)が形成される。
前記の現象は、液相中に分散されている、銅ナノ粒子の分散密度が上昇するとともに、顕著に促進される。換言すると、液相を構成している、(ジアルキルアミノ)アルキルアミンと、第三の有機溶媒のアルコール性ヒドロキシル基を有する有機溶媒、例えば、第四の有機溶媒の脂肪族多価アルコールの蒸散が進行するとともに、前記の現象が顕著に促進される。
蒸散が進行し、液相の体積が減少する(濃縮が進む)と、液相は、微細銅粉、銅粉相互の接触部位の周囲の狭い隙間、下地層と微細銅粉、銅粉の接触部位の周囲の狭い隙間に、液相が凝集された状態となる。そのため、液相の濃縮とともに、銅ナノ粒子の分散濃度が上昇し、結果的に、微細銅粉、銅粉相互の接触部位の周囲の狭い隙間、下地層と微細銅粉、銅粉の接触部位の周囲の狭い隙間で、優先的に銅ナノ粒子の集積層(凝集体)の形成が進行する。
従って、微細銅粉、銅粉相互の接触部位の周囲の狭い隙間、下地層と微細銅粉、銅粉の接触部位の周囲の狭い隙間は、該銅ナノ粒子の集積層(凝集体)で埋め込まれた状態となる。その後、焼成が進行すると、微細銅粉、銅粉相互の接触部位の周囲、下地層と微細銅粉、銅粉の接触部位の周囲では、該銅ナノ粒子の集積層(凝集体)と、微細銅粉、銅粉との一体化が進行する。結果的に、微細銅粉、銅粉相互の接触部位、下地層と微細銅粉、銅粉の接触部位では、接触面積の拡大がなされる。
加えて、下地層の表面にシラノール構造(Si−OH)が存在すると、加熱処理を施す間に、銅ナノ粒子の表面の銅原子(Cu)は、該シラノール構造(Si−OH)部に対して、Si−O−Cuの形状で固定化される。この下地層の表面にSi−O−Cuの形状で固定化される銅ナノ粒子を核として、銅ナノ粒子の凝集体(集積層)の形成も進行する。下地層の表面にシラノール構造(Si−OH)が高い密度で存在する場合、固定化された銅ナノ粒子相互が接触し、表面拡散によって一体化すると、該表面を被覆する金属銅皮膜層の成長がなされる。この現象は、液相を構成している、(ジアルキルアミノ)アルキルアミンと、第三の有機溶媒のアルコール性ヒドロキシル基を有する有機溶媒、例えば、第四の有機溶媒の脂肪族多価アルコールの蒸散が進行した段階で、初めて可能となる。すなわち、下地層と微細銅粉、銅粉の接触部位の周囲の狭い隙間で、優先的に前記の現象が進行する。
勿論、この下地層の表面を被覆する金属銅皮膜層は、優れた密着性を発揮する。特に、下地層の表面に銅粉が接触する部位では、銅粉の表面にも部分的に銅ナノ粒子の凝集体(集積層)が形成されており、両者の銅ナノ粒子の凝集体間でも、一体化が進行すると、金属原子間の結合が形成される。この寄与も加わって、シラノール構造(Si−OH)を有する下地層表面と銅粉の間では、該金属銅皮膜層の介在に起因する、高い密着特性が付与される。
該機構を考慮すると、銅粉と微細銅粉の体積の総和(VCu-powder+VCu-fine-powder)に対する、銅ナノ粒子の体積の合計(VCu-nano-particle)の比率、(VCu-powder+VCu-fine-powder):(VCu-nano-particle)は、100:3〜100:15の範囲、好ましくは、100:3〜100:8の範囲、より好ましくは、100:3〜100:5の範囲とすることが望ましい。換言すると、銅粉と微細銅粉の金属銅原子の総和(MCu-powder+MCu-fine-powder)に対する、銅ナノ粒子に含まれる銅原子数の合計(MCu-nano-particle)の比率、(MCu-powder+MCu-fine-powder):(MCu-nano-particle)は、100:3〜100:15の範囲、好ましくは、100:3〜100:8の範囲、より好ましくは、100:3〜100:5の範囲とすることが望ましい。すなわち、銅粉と微細銅粉の金属銅の重量の総和(WCu-powder+WCu-fine-powder)に対する、銅ナノ粒子に含まれる銅原子の重量の合計(WCu-nano-particle)の比率、(WCu-powder+WCu-fine-powder):(WCu-nano-particle)は、100質量部:3質量部〜100質量部:15質量部の範囲、好ましくは、100質量部:3質量部〜100質量部:8質量部の範囲、より好ましくは、100質量部:3質量部〜100質量部:5質量部の範囲とすることが望ましい。
一方、銅ナノ粒子のアミン分散液の調製に利用する、(ジアルキルアミノ)アルキルアミンは、第三の有機溶媒のアルコール性ヒドロキシル基を有する有機溶媒、例えば、第四の有機溶媒の脂肪族多価アルコールと同様に、水素ガス(H2)を含む還元性雰囲気中、加熱処理を施す際、蒸散することが必要である。従って、室温で液体であり、沸点は、230℃以上であるが、300℃を超えない範囲の(ジアルキルアミノ)アルキルアミンを利用することが好ましい。より好ましくは、室温で液体であり、沸点は、230℃以上であるが、280℃を超えない範囲の(ジアルキルアミノ)アルキルアミンを利用することが望ましい。
さらには、第三の有機溶媒のアルコール性ヒドロキシル基を有する有機溶媒、例えば、第四の有機溶媒の脂肪族多価アルコールの沸点に対して、該(ジアルキルアミノ)アルキルアミンの沸点が低くなるように、第三の有機溶媒のアルコール性ヒドロキシル基を有する有機溶媒、例えば、第四の有機溶媒の脂肪族多価アルコールと、(ジアルキルアミノ)アルキルアミンの組み合わせを選択することが望ましい。より好ましくは、第三の有機溶媒のアルコール性ヒドロキシル基を有する有機溶媒、例えば、第四の有機溶媒の脂肪族多価アルコールの沸点より、該(ジアルキルアミノ)アルキルアミンの沸点は低く、その沸点の差は、少なくとも、30℃以内、好ましくは、20℃以内となるように、第三の有機溶媒のアルコール性ヒドロキシル基を有する有機溶媒、例えば、第四の有機溶媒の脂肪族多価アルコールルと、(ジアルキルアミノ)アルキルアミンの組み合わせを選択することが望ましい。
加えて、第三の有機溶媒のアルコール性ヒドロキシル基を有する有機溶媒、例えば、第四の有機溶媒の脂肪族多価アルコール中に、(ジアルキルアミノ)アルキルアミンは、脂肪族モノカルボン酸銅に由来する金属銅原子に対して配位する際、そのアミノ基(−NH2)の孤立電子対を利用して、配位的な結合を形成できること、特には、そのアミノ基(−NH2)とジアルキルアミノ基(−NR’2)を利用して、二座配位子として機能することが可能であるが望ましい。
本発明の第二の形態にかかる導電性銅ペーストにおいて、銅ナノ粒子の分散に利用する、(ジアルキルアミノ)アルキルアミン(R’2N-Cm2m-NH2)として、室温で液体である、総炭素数9〜13の(ジアルキルアミノ)アルキルアミンを利用することが好ましい。特には、そのアミノ基(−NH2)とジアルキルアミノ基(−NR’2)を利用して、二座配位子として機能する、総炭素数9〜13の(ジアルキルアミノ)プロピルアミン(R’2N-CH2CH2CH2-NH2)、例えば、ジブチルアミノプロピルアミン(融点:−50℃、沸点:238℃)などが好適に利用できる。
第三の有機溶媒のアルコール性ヒドロキシル基を有する有機溶媒、例えば、第四の有機溶媒の脂肪族多価アルコールと、(ジアルキルアミノ)アルキルアミンの組み合わせとして、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール(融点:−40℃、沸点:245℃)とジブチルアミノプロピルアミン(融点:−50℃、沸点:238℃)、あるいは、ジプロピレングリコール(融点:−40℃、沸点:232℃)とジブチルアミノプロピルアミンの組み合わせなどが好適に選択できる。
加えて、本発明の第一の形態にかかる導電性銅ペーストでは、脂肪族モノカルボン酸の銅塩に加えて、さらに、下記の焼結助剤を添加する導電性銅ペーストとすることも可能である。
すなわち、第一の有機溶媒のアルコール性ヒドロキシル基を有する有機溶媒、例えば、脂肪族多価アルコールの存在下、水素ガス(H2)を含む還元性雰囲気中、加熱処理を施すことにより、還元すると金属原子を生成可能な、銅以外の金属カチオン種とカルボン酸アニオン種とならなる、カルボン酸金属塩または金属カルボン酸錯体を、焼結助剤をさらに添加することができる。
脂肪族モノカルボン酸の銅塩に加えて、該焼結助剤をさらに添加する導電性銅ペーストの一態様において、
焼結助剤として添加する、銅以外の金属カチオン種とカルボン酸アニオン種とならなる、カルボン酸金属塩または金属カルボン酸錯体では、
前記銅以外の金属カチオン種は、ビスマス、錫からなる群から選択される、一種、または複数種の金属のカチオン種であり、
前記カルボン酸アニオン種は、炭素数6〜20の脂肪族モノカルボン酸からなる群から選択されるカルボン酸のアニオン種である。
該カルボン酸金属塩または金属カルボン酸錯体を還元することにより、生成する金属原子は、脂肪族モノカルボン酸の銅塩の還元により生成する金属銅原子とともに、微細銅粉、銅粉相互の接触部位の周囲の狭い隙間、下地層と微細銅粉、銅粉の接触部位の周囲の狭い隙間に充填される。
該カルボン酸金属塩または金属カルボン酸錯体を還元することにより、生成する金属の融点は、ビスマスは271.4℃、錫は232℃であり、少なくとも、350℃以上の温度では、溶融状態となる。該カルボン酸金属塩または金属カルボン酸錯体を還元することにより生成する、これら低融点金属原子と、脂肪族モノカルボン酸の銅塩の還元により生成する金属銅原子とからなる凝集体は、該低融点金属の融点を超える温度において、合金化を起こす。
該カルボン酸金属塩または金属カルボン酸錯体を還元することにより、生成する金属の抵抗率は、ビスマスは120μΩ・cm(20℃)、錫は11μΩ・cm(20℃)であり、金属銅の抵抗率1.673μΩ・cm(30℃)と比較すると、桁違い高い値である。従って、これら低融点金属と銅とからなる合金は、該低融点金属の含有比率が増すとともに、急激に抵抗率が上昇する。また、該低融点金属の含有比率が低い範囲でも、所謂、合金散乱の影響により、これら低融点金属と銅とからなる合金の抵抗率は、金属銅の抵抗率より格段に高い値となる。
該カルボン酸金属塩または金属カルボン酸錯体を還元することにより生成する、これら低融点金属原子と、脂肪族モノカルボン酸の銅塩の還元により生成する金属銅原子の凝集体から形成される合金は、微細銅粉、銅粉相互の接触部位の周囲の狭い隙間を充填するため、低融点金属の含有比率が増すとともに、微細銅粉、銅粉相互の接触部位における接触面積の拡大がなされる。一方、低融点金属の含有比率が増すとともに、形成される合金自体の抵抗率は、金属銅の抵抗率から急激に上昇する。この「合金化に起因する抵抗率の上昇」の影響は、低融点金属の抵抗率が高いほど顕著になる。
従って、低融点金属の含有比率が一定水準を超えると、「接触面積の拡大」の効果を、「合金化に起因する抵抗率の上昇」の影響が相殺する。
換言すると、該カルボン酸金属塩または金属カルボン酸錯体を還元することにより生成する、これら低融点金属原子の体積総和Vlow-mp-metalと、脂肪族モノカルボン酸の銅塩の還元により生成する金属銅原子の体積総和VCu-metalの比率、Vlow-mp-metal:VCu-metalを、低融点金属の種類に応じて、一定水準を超えない範囲に選択する必要がある。通常、該比率、Vlow-mp-metal:VCu-metalが、少なくとも、4:1を超えない範囲、通常、2:1を超えない範囲、好ましくは、1:1を超えない範囲に選択することが望ましい。
本発明の第一の形態にかかる導電性銅ペーストでは、前記カルボン酸金属塩または金属カルボン酸錯体中に含まれる、金属カチオン種の金属原子数の総和は、前記銅粉の表面積と微細銅粉の表面積との総和に対して、100μmol/m2以下の範囲、好ましくは、80μmol/m2以下の範囲、より好ましくは、50μmol/m2以下の範囲、特に好ましくは、30μmol/m2以下の範囲に選択することが望ましい。
さらには、該焼結助剤をさらに添加する導電性銅ペーストの他の一態様において、
焼結助剤として添加する、銅以外の金属カチオン種とカルボン酸アニオン種とならなる、カルボン酸金属塩または金属カルボン酸錯体では、
前記銅以外の金属カチオン種は、第一金属群のカチオン種と第二金属群のカチオン種を混合してなる混合金属カチオン種であり、
前記第一金属群のカチオン種は、ビスマス、錫からなる群から選択される、一種、または複数種の金属のカチオン種であり、
前記第二金属群のカチオン種は、亜鉛、アルミニウム、インジウム、銀、コバルト、チタン、ニッケル、マンガンからなる群から選択される、一種、または複数種の金属のカチオン種であり、
該混合金属カチオン種中、前記第二金属群のカチオン種の金属原子数の総和は、前記第一金属群のカチオン種の金属原子数の総和に対して、10%未満の範囲に選択されており、
前記カルボン酸アニオン種は、炭素数6〜20の脂肪族モノカルボン酸からなる群から選択されるカルボン酸のアニオン種である。
該カルボン酸金属塩または金属カルボン酸錯体を還元することにより、生成する前記第一金属群の金属原子と第二金属群の金属原子は、脂肪族モノカルボン酸の銅塩の還元により生成する金属銅原子とともに、微細銅粉、銅粉相互の接触部位の周囲の狭い隙間、下地層と微細銅粉、銅粉の接触部位の周囲の狭い隙間に充填される。
該カルボン酸金属塩または金属カルボン酸錯体を還元することにより、生成する第一金属群の金属の融点は、ビスマスは271.4℃、錫は232℃であり、少なくとも、350℃以上の温度では、溶融状態となる。また、生成する第二金属群の金属の融点は、亜鉛は419.5℃、アルミニウムは660.36℃、インジウムは156.6℃、銀は961℃、コバルトは1495℃、チタンは1667℃、ニッケルは1456℃、マンガンは1244℃である。
該カルボン酸金属塩または金属カルボン酸錯体を還元することにより生成する、前記第一金属群の金属原子と第二金属群の金属原子と、脂肪族モノカルボン酸の銅塩の還元により生成する金属銅原子とからなる凝集体は、前記第一金属群の金属の融点を超える温度において、合金化を起こす。前記第一金属群の金属は、いずれも低融点金属であり、該第一金属群の金属が溶融することにより、前記凝集体の合金化を促進する。
一般に、高融点金属の含有比率が増すとともに、合金化の過程は困難となる。
前記第二金属群の金属は、インジウムを除き、その融点は400℃以上である。前記第一金属群の金属原子と第二金属群の金属原子と、銅ナノ粒子とから構成される凝集体から合金化を行う際、前記第二金属群のカチオン種の金属原子数の総和を、前記第一金属群のカチオン種の金属原子数の総和に対して、10%未満の範囲に留めることで、300℃〜400℃の範囲において、合金化が進行することを保証している。
該カルボン酸金属塩または金属カルボン酸錯体を還元することにより、生成する第一金属群の金属の抵抗率は、ビスマスは120μΩ・cm(20℃)、錫は11μΩ・cm(20℃)であり、金属銅の抵抗率1.673μΩ・cm(30℃)と比較すると、桁違い高い値である。また、生成する第二金属群の金属の抵抗率は、亜鉛は5.8μΩ・cm(20℃)、アルミニウムは2.655μΩ・cm(20℃)、インジウムは8.37μΩ・cm(20℃)、銀は1.59μΩ・cm(20℃)、コバルトは6.24μΩ・cm(20℃)、チタンは42.0μΩ・cm(20℃)、ニッケルは6.84μΩ・cm(20℃)、マンガンは185μΩ・cm(20℃)である。銀を除き、第二金属群の金属の抵抗率も、金属銅の抵抗率1.673μΩ・cm(30℃)よりも高い値である。
従って、前記第一金属群の金属、第二金属群の金属と銅とからなる合金は、前記第一金属群の金属の含有比率が増すとともに、急激に抵抗率が上昇する。また、該第一金属群の金属の含有比率が低い範囲でも、所謂、合金散乱の影響により、前記第一金属群の金属、第二金属群の金属と銅とからなる合金の抵抗率は、金属銅の抵抗率より格段に高い値となる。
該カルボン酸金属塩または金属カルボン酸錯体を還元することにより生成する、前記第一金属群の金属原子と第二金属群の金属原子と、脂肪族モノカルボン酸の銅塩の還元により生成する金属銅原子の凝集体から形成される合金は、微細銅粉、銅粉相互の接触部位の周囲の狭い隙間を充填するため、前記第一金属群の金属と第二金属群の金属の含有比率が増すとともに、微細銅粉、銅粉相互の接触部位における接触面積の拡大がなされる。一方、前記第一金属群の金属の含有比率が増すとともに、形成される合金自体の抵抗率は、金属銅の抵抗率から急激に上昇する。この「合金化に起因する抵抗率の上昇」の影響は、前記第一金属群の金属の抵抗率が高いほど顕著になる。
従って、前記第一金属群の金属の含有比率が一定水準を超えると、「接触面積の拡大」の効果を、「合金化に起因する抵抗率の上昇」の影響が相殺する。
換言すると、該カルボン酸金属塩または金属カルボン酸錯体を還元することにより生成する、低融点金属である前記第一金属群の金属原子の体積総和Vlow-mp-metalと、脂肪族モノカルボン酸の銅塩の還元により生成する金属銅原子の体積総和VCu-metalの比率、Vlow-mp-metal:VCu-metalを、前記第一金属群の金属(低融点金属)の種類に応じて、一定水準を超えない範囲に選択する必要がある。通常、該比率、Vlow-mp-metal:VCu-metalが、少なくとも、4:1を超えない範囲、通常、2:1を超えない範囲、好ましくは、1:1を超えない範囲に選択することが望ましい。
本発明の第一の形態にかかる導電性銅ペーストでは、前記カルボン酸金属塩または金属カルボン酸錯体中に含まれる、前記第一金属群のカチオン種と第二金属群のカチオン種を混合してなる混合金属カチオン種の金属原子数の総和は、前記銅粉の表面積と微細銅粉の表面積との総和に対して、100μmol/m2以下の範囲、好ましくは、80μmol/m2以下の範囲、より好ましくは、50μmol/m2以下の範囲、特に好ましくは、30μmol/m2以下の範囲に選択することが望ましい。
加えて、本発明の第二の形態にかかる導電性銅ペーストでも、銅ナノ粒子に加えて、さらに、脂肪族モノカルボン酸の銅塩と、下記の焼結助剤を添加する導電性銅ペーストとすることも可能である。
すなわち、上記本発明の第一の形態で利用される脂肪族モノカルボン酸の銅塩と、焼結助剤として、第三の有機溶媒のアルコール性ヒドロキシル基を有する有機溶媒、例えば、第四の有機溶媒の脂肪族多価アルコールの存在下、水素ガス(H2)を含む還元性雰囲気中、加熱処理を施すことにより、還元すると金属原子を生成可能な、銅以外の金属カチオン種とカルボン酸アニオン種とならなる、カルボン酸金属塩または金属カルボン酸錯体を、さらに添加することができる。
前記脂肪族モノカルボン酸の銅塩に加えて、該焼結助剤をさらに添加する導電性銅ペーストの一態様において、
焼結助剤として添加する、銅以外の金属カチオン種とカルボン酸アニオン種とならなる、カルボン酸金属塩または金属カルボン酸錯体では、
前記銅以外の金属カチオン種は、ビスマス、錫からなる群から選択される、一種、または複数種の金属のカチオン種であり、
前記カルボン酸アニオン種は、炭素数6〜20の脂肪族モノカルボン酸からなる群から選択されるカルボン酸のアニオン種である。
該カルボン酸金属塩または金属カルボン酸錯体を還元することにより、生成する金属原子は、脂肪族モノカルボン酸の銅塩を還元することにより生成する金属銅原子、ならびに、銅ナノ粒子とともに、微細銅粉、銅粉相互の接触部位の周囲の狭い隙間、下地層と微細銅粉、銅粉の接触部位の周囲の狭い隙間に充填される。
該カルボン酸金属塩または金属カルボン酸錯体を還元することにより、生成する金属の融点は、ビスマスは271.4℃、錫は232℃であり、少なくとも、350℃以上の温度では、溶融状態となる。該カルボン酸金属塩または金属カルボン酸錯体を還元することにより生成する、これら低融点金属原子と、脂肪族モノカルボン酸の銅塩を還元することにより生成する金属銅原子とから構成される凝集体は、該低融点金属の融点を超える温度において、合金化を起こす。該合金化した低融点金属原子と金属銅原子の凝集体と、銅ナノ粒子とともに、微細銅粉、銅粉相互の接触部位の周囲の狭い隙間、下地層と微細銅粉、銅粉の接触部位の周囲の狭い隙間に充填される。
該カルボン酸金属塩または金属カルボン酸錯体を還元することにより、生成する金属の抵抗率は、ビスマスは120μΩ・cm(20℃)、錫は11μΩ・cm(20℃)であり、金属銅の抵抗率1.673μΩ・cm(30℃)と比較すると、桁違い高い値である。従って、これら低融点金属原子と金属銅原子とからなる合金は、該低融点金属の含有比率が増すとともに、急激に抵抗率が上昇する。また、該低融点金属の含有比率が低い範囲でも、所謂、合金散乱の影響により、これら低融点金属と銅とからなる合金の抵抗率は、金属銅の抵抗率より格段に高い値となる。
該カルボン酸金属塩または金属カルボン酸錯体を還元することにより生成する、これら低融点金属原子と、脂肪族モノカルボン酸の銅塩を還元することにより生成する金属銅原子から構成される凝集体から形成される合金は、微細銅粉、銅粉相互の接触部位の周囲の狭い隙間を充填するため、低融点金属の含有比率が増すとともに、微細銅粉、銅粉相互の接触部位における接触面積の拡大がなされる。一方、低融点金属の含有比率が増すとともに、形成される合金自体の抵抗率は、金属銅の抵抗率から急激に上昇する。この「合金化に起因する抵抗率の上昇」の影響は、低融点金属の抵抗率が高いほど顕著になる。
従って、低融点金属の含有比率が一定水準を超えると、「接触面積の拡大」の効果を、「合金化に起因する抵抗率の上昇」の影響が相殺する。
換言すると、該カルボン酸金属塩または金属カルボン酸錯体を還元することにより生成する、低融点金属原子の体積総和Vlow-mp-metalと、脂肪族モノカルボン酸の銅塩の還元により生成する金属銅原子の体積総和VCu-metalの比率、Vlow-mp-metal:VCu-metalを、低融点金属の種類に応じて、一定水準を超えない範囲に選択する必要がある。通常、該比率、Vlow-mp-metal:VCu-metalが、4:1を超えない範囲、好ましくは、2:1を超えない範囲、より好ましくは、1:1を超えない範囲に選択することが望ましい。
本発明の第二の形態にかかる導電性銅ペーストでは、前記カルボン酸金属塩または金属カルボン酸錯体中に含まれる、金属カチオン種の金属原子数の総和は、前記銅粉の表面積と微細銅粉の表面積との総和に対して、100μmol/m2以下の範囲、好ましくは、80μmol/m2以下の範囲、より好ましくは、50μmol/m2以下の範囲、特に好ましくは、30μmol/m2以下の範囲に選択することが望ましい。
加えて、脂肪族モノカルボン酸の銅塩と、該焼結助剤をさらに添加する導電性銅ペーストの他の一態様において、
前記焼結助剤として添加する、銅以外の金属カチオン種とカルボン酸アニオン種とならなる、カルボン酸金属塩または金属カルボン酸錯体では、
前記銅以外の金属カチオン種は、第一金属群のカチオン種と第二金属群のカチオン種を混合してなる混合金属カチオン種であり、
前記第一金属群のカチオン種は、ビスマス、錫からなる群から選択される、一種、または複数種の金属のカチオン種であり、
前記第二金属群のカチオン種は、亜鉛、アルミニウム、インジウム、銀、コバルト、チタン、ニッケル、マンガンからなる群から選択される、一種、または複数種の金属のカチオン種であり、
該混合金属カチオン種中、前記第二金属群のカチオン種の金属原子数の総和は、前記第一金属群のカチオン種の金属原子数の総和に対して、10%未満の範囲に選択されており、
前記カルボン酸アニオン種は、炭素数6〜20の脂肪族モノカルボン酸からなる群から選択されるカルボン酸のアニオン種である。
該カルボン酸金属塩または金属カルボン酸錯体を還元することにより、生成する前記第一金属群の金属原子と第二金属群の金属原子は、脂肪族モノカルボン酸の銅塩の還元により生成する金属銅原子、ならびに、銅ナノ粒子とともに、微細銅粉、銅粉相互の接触部位の周囲の狭い隙間、下地層と微細銅粉、銅粉の接触部位の周囲の狭い隙間に充填される。
該カルボン酸金属塩または金属カルボン酸錯体を還元することにより、生成する第一金属群の金属の融点は、ビスマスは271.4℃、錫は232℃であり、少なくとも、350℃以上の温度では、溶融状態となる。また、生成する第二金属群の金属の融点は、亜鉛は419.5℃、アルミニウムは660.36℃、インジウムは156.6℃、銀は961℃、コバルトは1495℃、チタンは1667℃、ニッケルは1456℃、マンガンは1244℃である。
該カルボン酸金属塩または金属カルボン酸錯体を還元することにより生成する、前記第一金属群の金属原子と第二金属群の金属原子と、銅ナノ粒子とから構成される凝集体は、前記第一金属群の金属の融点を超える温度において、合金化を起こす。前記第一金属群の金属は、いずれも低融点金属であり、該第一金属群の金属が溶融することにより、前記凝集体の合金化を促進する。
一般に、高融点金属の含有比率が増すとともに、合金化の過程は困難となる。
前記第二金属群の金属は、インジウムを除き、その融点は400℃以上である。前記第一金属群の金属原子と第二金属群の金属原子と、脂肪族モノカルボン酸の銅塩の還元により生成する金属銅原子から構成される凝集体から合金化を行う際、前記第二金属群のカチオン種の金属原子数の総和を、前記第一金属群のカチオン種の金属原子数の総和に対して、10%未満の範囲に留めることで、300℃〜400℃の範囲において、合金化が進行することを保証している。
該カルボン酸金属塩または金属カルボン酸錯体を還元することにより、生成する第一金属群の金属の抵抗率は、ビスマスは120μΩ・cm(20℃)、錫は11μΩ・cm(20℃)であり、金属銅の抵抗率1.673μΩ・cm(30℃)と比較すると、桁違い高い値である。また、生成する第二金属群の金属の抵抗率は、亜鉛は5.8μΩ・cm(20℃)、アルミニウムは2.655μΩ・cm(20℃)、インジウムは8.37μΩ・cm(20℃)、銀は1.59μΩ・cm(20℃)、コバルトは6.24μΩ・cm(20℃)、チタンは42.0μΩ・cm(20℃)、ニッケルは6.84μΩ・cm(20℃)、マンガンは185μΩ・cm(20℃)である。銀を除き、第二金属群の金属の抵抗率も、金属銅の抵抗率1.673μΩ・cm(30℃)よりも高い値である。
従って、前記第一金属群の金属、第二金属群の金属と銅とからなる合金は、前記第一金属群の金属と第二金属群の金属の含有比率が増すとともに、急激に抵抗率が上昇する。また、該第一金属群の金属と第二金属群の金属の含有比率が低い範囲でも、所謂、合金散乱の影響により、前記第一金属群の金属、第二金属群の金属と銅とからなる合金の抵抗率は、金属銅の抵抗率より格段に高い値となる。
該カルボン酸金属塩または金属カルボン酸錯体を還元することにより生成する、前記第一金属群の金属原子と第二金属群の金属原子と、脂肪族モノカルボン酸の銅塩の還元により生成する金属銅原子から構成される凝集体から形成される合金は、微細銅粉、銅粉相互の接触部位の周囲の狭い隙間を充填するため、前記第一金属群の金属と第二金属群の金属の含有比率が増すとともに、微細銅粉、銅粉相互の接触部位における接触面積の拡大がなされる。一方、前記第一金属群の金属と第二金属群の金属の含有比率が増すとともに、形成される合金自体の抵抗率は、金属銅の抵抗率から急激に上昇する。この「合金化に起因する抵抗率の上昇」の影響は、前記第一金属群の金属と第二金属群の金属の抵抗率が高いほど顕著になる。
従って、前記第一金属群の金属と第二金属群の金属の含有比率が一定水準を超えると、「接触面積の拡大」の効果を、「合金化に起因する抵抗率の上昇」の影響が相殺する。
換言すると、該カルボン酸金属塩または金属カルボン酸錯体を還元することにより生成する、低融点金属である前記第一金属群の金属原子の体積総和Vlow-mp-metalと前記第二金属群の金属原子の体積総和Vsecond-metalの合計と、脂肪族モノカルボン酸の銅塩の還元により生成する金属銅原子の体積総和VCu-metalの比率、(Vlow-mp-metal+Vsecond-metal):VCu-metalを、前記第一金属群の金属(低融点金属)の種類、第二金属群の金属の種類に応じて、一定水準を超えない範囲に選択する必要がある。
前記第二金属群のカチオン種の金属原子数の総和を、前記第一金属群のカチオン種の金属原子数の総和に対して、10%未満の範囲に留めているので、前記の比率、(Vlow-mp-metal+Vsecond-metal):VCu-metalに対する条件に代えて、低融点金属である前記第一金属群の金属原子の体積総和Vlow-mp-metalと、脂肪族モノカルボン酸の銅塩の還元により生成する金属銅原子の体積総和VCu-metalの比率、Vlow-mp-metal:VCu-metalを、前記第一金属群の金属(低融点金属)の種類に応じて、一定水準を超えない範囲に選択するという条件を採用することもできる。通常、該比率、Vlow-mp-metal:VCu-metalが、4:1を超えない範囲、好ましくは、2:1を超えない範囲、より好ましくは、1:1を超えない範囲に選択することが望ましい。従って、(Vlow-mp-metal+Vsecond-metal):VCu-metalも、4:1を超えない範囲、好ましくは、2:1を超えない範囲、より好ましくは、1:1を超えない範囲に選択することが望ましい。
本発明の第二の形態にかかる導電性銅ペーストでは、前記カルボン酸金属塩または金属カルボン酸錯体中に含まれる、前記第一金属群のカチオン種と第二金属群のカチオン種を混合してなる混合金属カチオン種の金属原子数の総和は、前記銅粉の表面積と微細銅粉の表面積との総和に対して、100μmol/m2以下の範囲、好ましくは、80μmol/m2以下の範囲、より好ましくは、50μmol/m2以下の範囲、特に好ましくは、30μmol/m2以下の範囲に選択することが望ましい。
なお、本発明の第一の形態にかかる導電性銅ペースト、本発明の第二の形態にかかる導電性銅ペーストのいずれにおいても、前記焼結助剤として添加する、銅以外の金属カチオン種とカルボン酸アニオン種とならなる、カルボン酸金属塩または金属カルボン酸錯体は、第一の有機溶媒、第三の有機溶媒として利用する、上述のアルコール性ヒドロキシル基を有する有機溶媒、例えば、脂肪族多価アルコール中に、該カルボン酸金属塩または金属カルボン酸錯体のアミン錯体の形状で溶解させる。
具体的には、導電性銅ペーストの液相中には、(ジアルキルアミノ)アルキルアミン(R’2N-Cm2m-NH2)が含まれている。銅以外の金属カチオン種とカルボン酸アニオン種とならなる、カルボン酸金属塩または金属カルボン酸錯体、例えば、二価の金属カチオン種(M2+)とカルボン酸アニオン(R”-COO-)とからなる(R”-COO-2(M2+)中の金属カチオン種(M2+)に対して、(ジアルキルアミノ)アルキルアミンが一座配位子として、配位することで、アミン錯体((R"-COO)2M(II)):2(R'2N-CmH2m-NH2))が形成される。従って、銅以外の金属カチオン種とカルボン酸アニオン種とならなる、カルボン酸金属塩または金属カルボン酸錯体は、アミン錯体、例えば、((R"-COO)2M(II)):2(R'2N-CmH2m-NH2))の形状で、第一の有機溶媒、第三の有機溶媒として利用する、アルコール性ヒドロキシル基を有する有機溶媒、例えば、脂肪族多価アルコール中に溶解している。
銅以外の金属カチオン種とカルボン酸アニオン種とならなる、カルボン酸金属塩または金属カルボン酸錯体のアミン錯体、例えば、((R"-COO)2M(II)):2(R'2N-CmH2m-NH2))の形状のアミン錯体は、上述した脂肪族モノカルボン酸の銅塩のアミン錯体((R-COO)2Cu(II)):2(R'2N-CmH2m-NH2))と同様の反応機構により、還元される。
また、カルボン酸金属塩または金属カルボン酸錯体のアミン錯体、例えば、((R"-COO)2M(II)):2(R'2N-CmH2m-NH2))の形状のアミン錯体の還元によって生成する金属原子M(0)は、当初、(ジアルキルアミノ)アルキルアミンが2分子配位した形状となる。(ジアルキルアミノ)アルキルアミンが、二座配位子として機能する際には、二座配位子の(ジアルキルアミノ)アルキルアミン2分子が配位している金属原子(M(0): 2(R'2N-CmH2m-NH2)として、分散溶媒中に分散することができる。
銅以外の金属カチオン種とカルボン酸アニオン種とならなる、カルボン酸金属塩または金属カルボン酸錯体のアミン錯体の還元に伴い、カルボン酸アニオン(R”-COO-)に由来するカルボン酸(R”-COOH)が副生される。
前記カルボン酸アニオン種は、炭素数6〜20の脂肪族モノカルボン酸(R”-COOH)からなる群から選択されるカルボン酸のアニオン種である。
その際、該炭素数6〜20の脂肪族モノカルボン酸(R”-COOH)に由来するカルボン酸アニオン(R”-COO-)と銅以外の金属カチオン種とならなる、カルボン酸金属塩または金属カルボン酸錯体は、第一の有機溶媒、第三の有機溶媒として利用する、アルコール性ヒドロキシル基を有する有機溶媒、例えば、脂肪族多価アルコールの存在下、水素ガス(H2)を含む還元性雰囲気中、加熱処理を施す際、自己分解的還元反応よりも、上述のアルコール性ヒドロキシル基を有する有機溶媒、例えば、脂肪族多価アルコールを利用する還元反応が優先的に進行することが望ましい。一般に、脂肪族モノカルボン酸の金属塩((R”-COO)2M(II))の自己分解的還元反応は、脂肪族モノカルボン酸アニオンの炭素数が増加するとともに、その反応開始温度は上昇する。従って、本発明の第一の形態にかかる導電性銅ペーストでは、脂肪族モノカルボン酸の金属塩((R”-COO)2M(II))を構成する脂肪族モノカルボン酸アニオンとして、炭素数6〜20の脂肪族モノカルボン酸由来のアニオンを選択することが望ましい。
一方、上述の機構では、カルボン酸金属塩または金属カルボン酸錯体のアミン錯体の還元に伴って、脂肪族モノカルボン酸(R”-COOH)が副生される。水素ガス(H2)を含む還元性雰囲気中、加熱処理を施す間に、該脂肪族モノカルボン酸(R”-COOH)の蒸散がなされることが望ましい。従って、該脂肪族モノカルボン酸(R”-COOH)の沸点は、230℃以上であるが、400℃を超えない範囲、好ましくは、230℃以上であるが、300℃を超えない範囲であることが望ましい。従って、沸点が、230℃以上であるが、400℃を超えない範囲、好ましくは、230℃以上であるが、300℃を超えない範囲である脂肪族モノカルボン酸(R”-COOH)に由来する、脂肪族モノカルボン酸の金属塩((R”-COO)2M(II))を採用することが望ましい。
なお、炭素数7のヘプタン酸(沸点223.0℃)から炭素数12のラウリン酸(ドデカン酸、沸点298.9℃)の範囲内の直鎖のアルカン酸は、沸点が300℃を超えない脂肪族モノカルボン酸として、利用できる。
本発明にかかる導電性銅ペーストを利用して、下地層上に導電体層、例えば、銅配線層、電極層を作製する際、所望の塗布形状で、該導電性銅ペーストの塗布膜を形成する。この導電性銅ペーストの塗布膜の膜厚tdrawingは、作製される導電体層の厚さtlayerに応じて、選択される。
本発明の第一の形態にかかる導電性銅ペーストを利用する際には、作製される導電体層の厚さtlayerと塗布膜の膜厚tdrawingの比、tlayer/tdrawingは、導電性銅ペースト中に含有される、前記銅粉と微細銅粉の体積比率の合計に依存する。
本発明の第一の形態にかかる導電性銅ペースト中に含有される、前記銅粉と微細銅粉の体積比率の合計は、30体積%〜60体積%の範囲、好ましくは、40体積%〜55体積%の範囲に選択されていることが望ましい。
また、所望の塗布形状で、該導電性銅ペーストの塗布膜を形成する際、例えば、スクリーン印刷法を適用する場合、該導電性銅ペーストの液粘度は、スクリーン印刷法に適する粘度とする必要がある。スクリーン印刷法を適用する場合、該導電性銅ペーストの液粘度は、2Pa・s〜50Pa・s(25℃)の範囲、より望ましくは、2Pa・s〜40Pa・s(25℃)の範囲に選択されていることが好ましい。
本発明の第二の形態にかかる導電性銅ペーストを利用する際には、作製される導電体層の厚さtlayerと塗布膜の膜厚tdrawingの比、tlayer/tdrawingは、導電性銅ペースト中に含有される、前記銅粉、微細銅粉、銅ナノ粒子の体積比率の合計に依存する。
本発明の第二の形態にかかる導電性銅ペースト中に含有される、前記銅粉、微細銅粉、銅ナノ粒子の体積比率の合計は、30体積%〜70体積%の範囲、好ましくは、30体積%〜55体積%の範囲、より好ましくは、40体積%〜55体積%の範囲に選択されていることが望ましい。
また、所望の塗布形状で、該導電性銅ペーストの塗布膜を形成する際、例えば、スクリーン印刷法を適用する場合、該導電性銅ペーストの液粘度は、スクリーン印刷法に適する粘度とする必要がある。スクリーン印刷法を適用する場合、該導電性銅ペーストの液粘度は、2Pa・s〜50Pa・s(25℃)の範囲、より望ましくは、2Pa・s〜40Pa・s(25℃)の範囲に選択されていることが好ましい。
本発明の第一の形態にかかる導電性銅ペーストを利用して、下地層上に導電体層を作製する際、該導電体層の下地層の表面への密着性の向上は、脂肪族モノカルボン酸の銅塩((R-COO)2Cu(II))の還元によって生成する、金属銅原子を利用することで、下地層と焼結体層との実効的な接触面積を拡大することで達成されている。
本発明の第一の形態にかかる導電性銅ペーストを利用して、下地層上に導電体層を作製する際、該導電体層の下地層の表面への密着性の向上は、銅ナノ粒子から形成される金属銅皮膜を利用することで、下地層と焼結体層との実効的な接触面積を拡大することで達成されている。
そのため、本発明にかかる導電性銅ペーストでは、熱硬化性樹脂成分、あるいは、ガラス・フリットを配合していない。
本発明にかかる導電性銅ペーストにおいては、ガラス・フリットを配合していないので、焼成処理において、該ガラス・フリットを溶融する温度まで加熱する必要はない。
本発明にかかる導電性銅ペーストを利用して、下地層上に導電体層を作製する場合、該導電性銅ペーストの塗布膜に対して、水素ガスを含む還元性雰囲気中において、含有される、(ジアルキルアミノ)アルキルアミンと、上述のアルコール性ヒドロキシル基を有する有機溶媒、例えば、脂肪族多価アルコールの蒸散と、銅粉ならびに微細銅粉の焼成が進行する温度において、加熱処理を行う。具体的には、300℃以上400℃以下の温度、好ましくは、350℃以上400℃以下の温度に加熱することで、焼成することが可能である。
なお、水素ガスを含む還元性雰囲気として、例えば、水素ガスを不活性ガス中に1%〜4%の濃度で含む混合ガスを利用することができる。

その際、下地層として、その表面にシラノール構造(Si−OH)が存在する層を使用することが好ましい。なお、下地層の表面にシラノール構造(Si−OH)が存在する状況は、例えば、ガラス基板などの表面、あるいは、シリコンの表面に極く薄い表面酸化層が存在する場合に相当する。
従って、上述する本発明の第一の形態にかかる導電性銅ペースト、本発明の第二の形態にかかる導電性銅ペーストを、焼結体膜の作製に使用する際、前記導電性銅ペーストを使用して、焼結体膜を作製する工程は、
下地層上に前記導電性銅ペーストの塗布膜を形成する工程と、
水素ガスを含む還元性雰囲気中において、前記導電性銅ペーストの塗布膜を、300℃以上400℃以下の温度、好ましくは、350℃以上400℃以下の温度に加熱することで、前記導電性銅ペーストを焼成する工程を含んでいる。その際、前記水素ガスを含む還元性雰囲気は、不活性ガス中に水素ガスを1〜4体積%で含有しており、300℃以上400℃以下の範囲に選択される加熱温度に応じて、加熱時間は、5分間〜60分間の範囲に選択することができる。具体的には、加熱温度を、350℃以上400℃以下の温度に選択する場合、加熱時間を、5分間〜20分間の範囲に選択することができる。
後述の具体例に示すように、作製する焼結体膜の抵抗率は、金属銅の抵抗率 1.673μΩ・cm(30℃)に対して、その9倍以下、具体的には、15μΩ・cm以下の範囲とすることが可能である。すなわち、作製する焼結体膜の抵抗率を、金属銅の抵抗率の3倍〜9倍の範囲、具体的には、5μΩ・cm〜15μΩ・cmの範囲にすることが可能である。
以下に、実施例を示し、本発明をより具体的に説明する。これらの実施例は、本発明にかかる最良の実施形態の一例ではあるものの、本発明はこれら実施例により限定を受けるものではない。
(実施例1)
本実施例1の導電性銅ペーストは、下記の原料を用いて調製されている。
平均粒径が2〜10μmの範囲に選択されるとして、三井金属製球状銅粉MA−C08JM(平均粒径7μm)を、平均粒子径が0.2μm〜1.0μmの範囲に選択される微細銅粉として、三井金属製微細銅粉1020Y(平均粒径0.4μm)を使用する。該微細銅粉の平均粒子径dCu-fine-powderと、球状銅粉の平均粒径dCu-powderの比率、(dCu-fine-powder/dCu-powder)は、4/70に選択されている。
脂肪族モノカルボン酸の銅塩((R-COO)2Cu(II))として、オレイン酸銅((CH3(CH27CH=CH(CH27COO)2Cu(II):分子量626.54)を採用し、予め、ジブチルアミノプロピルアミン((C492N(CH23NH2、融点:−50℃、沸点:238℃)中に溶解し、オレイン酸銅のアミン錯体を形成させている。なお、固体のオレイン酸銅自体は、Cu:Cu結合を有する二量体を形成している。形成されるオレイン酸銅のアミン錯体は、オレイン酸銅((CH3(CH27CH=CH(CH27COO)2Cu(II))1分子に対して、ジブチルアミノプロピルアミン((C492N(CH23NH2)2分子が、銅カチオン(Cu2+)に配位する構造と推定できる。その結果、二量体型のオレイン酸銅は、2分子のオレイン酸銅のアミン錯体に変換され、溶媒のジブチルアミノプロピルアミン中に溶解された状態となる。本実施例1では、オレイン酸銅3.3質量部を、ジブチルアミノプロピルアミン6.6質量部に溶解し、オレイン酸銅のアミン錯体のアミン溶液を予め調製している。該オレイン酸銅のアミン錯体のアミン溶液の組成は、オレイン酸銅1分子当たり、ジブチルアミノプロピルアミン7分子に選択されている。
第一の有機溶媒として利用する脂肪族多価アルコールは、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール(分子量:146.2、融点:−40℃、沸点:245℃)である。
三井金属製球状銅粉MA−C08JM(平均粒径7μm)70質量部、三井金属製微細銅粉1020Y(平均粒径0.4μm)30質量部に、オレイン酸銅3.3質量部をジブチルアミノプロピルアミン6.6質量部中に溶解した溶液と、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール3質量部を混合する。その後、攪拌脱泡器で攪拌して、液相中に、前記銅粉と微細銅粉が均一に分散している、銅ペーストを調製する。
前記球状銅粉と微細銅粉の金属銅原子数の総和と、オレイン酸銅中の銅との原子数の比率、(球状銅粉と微細銅粉の金属銅原子数の総和):(オレイン酸銅中の銅との原子数)は、100:0.335となっている。また、球状銅粉と微細銅粉の金属銅1モル当たり、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール0.013モルが含まれている。
金属銅の密度8.95g/cm3(20℃)、2−エチル−1,3−ヘキサンジオールの密度0.942g/cm3(25℃)とすると、前記球状銅粉と微細銅粉の体積の総和(VCu-powder+VCu-fine-powder)と、第一の有機溶媒の2−エチル−1,3−ヘキサンジオールの体積(Vdispersion-medium)の比率、(VCu-powder+VCu-fine-powder):Vdispersion-mediumは、20:5.7と算出される。
なお、オレイン酸銅の密度0.95g/cm3(20℃)、ジブチルアミノプロピルアミンの密度0.826g/cm3(20℃)であるので、前記オレイン酸銅のアミン錯体のアミン溶液10gの体積は、11.6cm3と見積もれる。
従って、調製された銅ペースト中における、前記球状銅粉と微細銅粉の体積比率は、23体積%となっている。
また、3.3質量部のオレイン酸銅中の銅が、全て金属銅原子に還元されると、オレイン酸銅に由来する金属銅原子の合計は、0.335質量部となる。従って、調製された銅ペースト100容量部に対する、オレイン酸銅に由来する金属銅原子、球状銅粉と微細銅粉の体積の合計は、23容量部となる。
調製された銅ペーストの液粘度は、3Pa・s(スパイラル回転粘度計 10rpm 25℃)であった。
まず、該銅ペースト中に分散されている、球状銅粉と微細銅粉の表面は、液相中に含まれる、ジブチルアミノプロピルアミン、または2−エチル−1,3−ヘキサンジオールが、溶媒和(吸着)している。表面に露呈している金属銅に対しては、ジブチルアミノプロピルアミンが、そのアミノ基(−NH2)の孤立電子対を利用して、配位的な結合をしている。一方、球状銅粉と微細銅粉の表面には、部分的に表面酸化膜が存在している。該表面酸化膜を構成する、酸化銅(CuO)に相当する銅酸化物に対して、2−エチル−1,3−ヘキサンジオールが、そのヒドロキシル基(>CH−OH)を利用して、該銅酸化物中の酸素原子(Cu−O−Cu)と水素結合型の分子間結合を行っている。その際、表面酸化膜の還元は、下記の二つの素過程を経由して進行すると、推定される。
水素ガスを含む還元性雰囲気中、加熱処理を施すと、2−エチル−1,3−ヘキサンジオールのヒドロキシル基(>CH−OH)は、該銅酸化物と反応し、下記の酸化・還元反応を起こす。
CuO + (>CH−OH) → Cu + (>C=O) + H2O↑
2−エチル−1,3−ヘキサンジオール由来の反応生成物(>C=O)は、微細銅粉、銅粉の表面に露呈する金属銅原子(Cu)上に、そのオキソ基(>C=O)のπ電子を利用して、配位することができる。水素ガスを含む還元性雰囲気では、この金属銅原子(Cu)上に配位している、オキソ基(>C=O)に対して、水素分子(H2)が付加することで、元のヒドロキシル基(>CH−OH)に変換することが可能である。
(>C=O) + H2 → (>CH−OH)
元のヒドロキシル基(>CH−OH)の再生がなされた、2−エチル−1,3−ヘキサンジオールは、再び、表面酸化膜を構成する該銅酸化物中の酸素原子(Cu−O−Cu)に溶媒和(吸着)することができる。
見かけ上、水素ガスを含む還元性雰囲気から供給される、水素分子(H2)を利用して、表面酸化膜の還元が進行する。
一方、該銅ペースト中、オレイン酸銅のアミン錯体((CH3(CH27CH=CH(CH27COO)2Cu(II):2((C492N(CH23NH2))は、ジブチルアミノプロピルアミンと2−エチル−1,3−ヘキサンジオールの混合液中に溶解されている。2−エチル−1,3−ヘキサンジオールの存在下、N2/3%H2雰囲気中、加熱処理を施すと、下記の反応式で表記される、2−エチル−1,3−ヘキサンジオールのヒドロキシル基(>CH−OH)のオキソ基(>C=O)への変換と、該オレイン酸銅のアミン錯体の還元反応が進行する。
(CH3(CH2)7CH=CH(CH2)7COO)2Cu(II):2((C4H9)2N(CH2)3NH2)+(>CH−OH)
→ 2CH3(CH2)7CH=CH(CH2)7COOH+(Cu(0):2((C4H9)2N(CH2)3NH2)+(>C=O)
なお、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール由来の反応生成物(>C=O)は、微細銅粉、銅粉の表面に露呈する金属銅原子上に、そのオキソ基(>C=O)のπ電子を利用して、配位することができる。水素ガスを含む還元性雰囲気では、この金属銅原子上に配位している、オキソ基(>C=O)に対して、水素分子(H2)が付加することで、元のヒドロキシル基(>CH−OH)に変換することが可能である。
(>C=O) + H2 → (>CH−OH)
一方、該オレイン酸銅のアミン錯体の還元によって生成する金属銅原子は、ジブチルアミノプロピルアミンが二座配位子として、2分子配位した形状となっている。その後、さらに、2分子のジブチルアミノプロピルアミンが配位すると、合計4分子のジブチルアミノプロピルアミンが配位している金属銅原子(Cu(0):4((C4H9)2N(CH2)3NH2)へと変換される。(Cu(0):4((C4H9)2N(CH2)3NH2)ならびに(Cu(0):2((C4H9)2N(CH2)3NH2)は、最終的に、銅粉、微細銅粉の表面の金属銅原子を核として、金属銅原子の凝集体を形成する。
2/3%H2雰囲気中、加熱処理を行っている間に、ジブチルアミノプロピルアミンと2−エチル−1,3−ヘキサンジオールの蒸散も進む。その結果、液相の体積が減少する(濃縮が進む)と、液相は、微細銅粉、銅粉相互の接触部位の周囲の狭い隙間、下地層と微細銅粉、銅粉の接触部位の周囲の狭い隙間に、液相が凝集された状態となる。そのため、液相の濃縮とともに、合計4分子のジブチルアミノプロピルアミンが配位している金属銅原子(Cu(0):4((C4H9)2N(CH2)3NH2)は、微細銅粉、銅粉相互の接触部位の周囲の狭い隙間、下地層と微細銅粉、銅粉の接触部位の周囲の狭い隙間で、優先的に金属銅原子の凝集体を形成する。従って、微細銅粉、銅粉相互の接触部位の周囲の狭い隙間、下地層と微細銅粉、銅粉の接触部位の周囲の狭い隙間は、該金属銅原子の凝集体で埋め込まれた状態となる。その後、焼成が進行すると、微細銅粉、銅粉相互の接触部位の周囲、下地層と微細銅粉、銅粉の接触部位の周囲では、該金属銅原子の凝集体と、微細銅粉、銅粉との一体化が進行する。結果的に、微細銅粉、銅粉相互の接触部位、下地層と微細銅粉、銅粉の接触部位では、接触面積の拡大がなされる。
なお、オレイン酸銅のアミン錯体の還元に伴って、副生されるオレイン酸(沸点:286℃)は、分散溶媒の2−エチル−1,3−ヘキサンジオール中に一旦は溶解する。その後、N2/3%H2雰囲気中、加熱処理を行う際、オレイン酸は、第一の有機溶媒の2−エチル−1,3−ヘキサンジオールと同様に、徐々に蒸散される。
また、当初、銅粉、微細銅粉の表面に露呈している金属銅に対しては、ジブチルアミノプロピルアミンが、そのアミノ基(−NH2)の孤立電子対を利用して、配位的な結合をしている。ジブチルアミノプロピルアミンの沸点は、第一の有機溶媒の2−エチル−1,3−ヘキサンジオールの沸点より低いため、ジブチルアミノプロピルアミンの蒸散速度は相対的に速い。その結果、液相中のジブチルアミノプロピルアミンの濃度が低下し、銅粉、微細銅粉の表面に露呈している金属銅に対して、配位的な結合をしているジブチルアミノプロピルアミンの離脱が促進される。最終的に、微細銅粉、銅粉相互の接触部位において、表面に露呈している金属銅が直接接する状態となると、焼結が進行する。
加えて、スライドガラスの表面には、シラノール構造(Si−OH)が存在するため、オレイン酸銅に由来する銅原子(Cu)は、該シラノール構造(Si−OH)部に対して、Si−O−Cuの形状で固定化される。更には、スライドガラスの表面において、Si−O−Cuの形状で固定化される銅原子を核として、該表面を被覆する金属銅皮膜層の成長がなされる。従って、このスライドガラス表面を被覆する金属銅皮膜層は、優れた密着性を発揮する。特に、スライドガラスの表面に銅粉が接触する部位では、銅粉の表面にも部分的に該金属銅皮膜層が形成されており、両者の間では、金属原子間の結合が存在する。この寄与も加わって、シラノール構造(Si−OH)を有するスライドガラス表面と銅粉の間では、該金属銅皮膜層の介在に起因する、高い密着特性が付与される。
調製された銅ペーストを、スライドガラス上に、5mm×20mmのパターンで塗布した。該銅ペースト塗布膜の平均厚さは、58μmであった。該銅ペースト塗布膜を、N2/3%H2雰囲気下、400℃、10min加熱処理して、焼成を行った。
得られた焼成物の平均膜厚は、49μmであった。該焼成物を前記平均膜厚の均一な導電体と仮定して、測定したシート抵抗値から、体積固有抵抗率を算出した。算出された体積固有抵抗率は、9μΩ・cmであった。
金属銅の抵抗率 1.673μΩ・cm(30℃)に対して、得られた焼成物の体積固有抵抗率 9μΩ・cmは、5.4倍となっている。
(実施例2)
本実施例2の導電性銅ペーストは、下記の原料を用いて調製されている。
平均粒径が2〜10μmの範囲に選択される銅粉として、三井金属製球状銅粉MA−C08JM(平均粒径7μm)を、平均粒子径が0.2μm〜1.0μmの範囲に選択される微細銅粉として、三井金属製微細銅粉1020Y(平均粒径0.4μm)を使用する。該微細銅粉の平均粒子径dCu-fine-powderと、球状銅粉の平均粒径dCu-powderの比率、(dCu-fine-powder/dCu-powder)は、4/70に選択されている。
平均粒子径を10nm〜100nmの範囲に選択する銅ナノ粒子として、平均粒子径70nmの銅ナノ粒子を使用する。該銅ナノ粒子の表面には、ジブチルアミノプロピルアミンからなる被覆剤分子層が形成されている状態とする。その際、該銅ナノ粒子の表面に露呈する金属銅原子に対して、ジブチルアミノプロピルアミンは、そのアミノ基(−NH2)の孤立電子対を利用して、配位的な結合をしている。具体的には、ジブチルアミノプロピルアミンの被覆剤分子層を具えた平均粒子径70nmの銅ナノ粒子を、エタノール中に分散してなる分散液を使用する。該平均粒子径70nmの銅ナノ粒子のエタノール分散液の組成は、平均径70nmの銅ナノ粒子5質量部当たり、ジブチルアミノプロピルアミン0.15質量部、分散溶媒のエタノール5質量部を含有する組成に選択されている。
第三の有機溶媒として利用する脂肪族多価アルコールは、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール(融点:−40℃、沸点:245℃)である。
三井金属製球状銅粉MA−C08JM(平均粒径7μm)65質量部、三井金属製微細銅粉1020Y(平均粒径0.4μm)35質量部に、平均径70nmの銅ナノ粒子5質量部がエタノール5質量部中に分散されている分散液と、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール5質量部を混合する。次いで、エバポレーターによって、該混合液中のエタノールを除去する。その後、攪拌脱泡器で攪拌して、液相中に、前記銅ナノ粒子、ならびに銅粉と微細銅粉が均一に分散している、銅ペーストを調製する。
前記球状銅粉と微細銅粉の金属銅重量の総和と、銅ナノ粒子の重量、(球状銅粉と微細銅粉の金属銅重量の総和):(銅ナノ粒子の重量)は、100:5となっている。また、球状銅粉と微細銅粉の金属銅1モル当たり、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール0.021モルが含まれている。
金属銅の密度8.95g/cm3(20℃)、2−エチル−1,3−ヘキサンジオールの密度0.942g/cm3(25℃)とすると、前記球状銅粉と微細銅粉の体積の総和(VCu-powder+VCu-fine-powder)と、第三の有機溶媒の2−エチル−1,3−ヘキサンジオールの体積(Vdispersion-medium)の比率、(VCu-powder+VCu-fine-powder):Vdispersion-mediumは、21:9.5と算出される。
従って、調製された銅ペースト中における、前記球状銅粉、微細銅粉、銅ナノ粒子の合計体積の比率は、70体積%となっている。
調製された銅ペーストの液粘度は、20Pa・s(スパイラル回転粘度計 10rpm 25℃)であった。
まず、該銅ペースト中に分散されている、銅ナノ粒子の表面に露呈している金属銅に対しては、ジブチルアミノプロピルアミンが、そのアミノ基(−NH2)の孤立電子対を利用して、配位的な結合をしている。一方、球状銅粉と微細銅粉の表面は、液相中に含まれる、2−エチル−1,3−ヘキサンジオールが、溶媒和(吸着)している。通常、球状銅粉と微細銅粉の表面には、表面酸化膜が存在している。該表面酸化膜を構成する、酸化銅(CuO)に相当する銅酸化物に対して、2−エチル−1,3−ヘキサンジオールが、そのヒドロキシル基(>CH−OH)を利用して、該銅酸化物中の酸素原子(Cu−O−Cu)と水素結合型の分子間結合を行っている。その際、表面酸化膜の還元は、下記の二つの素過程を経由して進行すると、推定される。
水素ガスを含む還元性雰囲気中、加熱処理を施すと、2−エチル−1,3−ヘキサンジオールのヒドロキシル基(>CH−OH)は、該銅酸化物と反応し、下記の酸化・還元反応を起こす。
CuO + (>CH−OH) → Cu + (>C=O) + H2O↑
2−エチル−1,3−ヘキサンジオール由来の反応生成物(>C=O)は、微細銅粉、銅粉の表面に露呈する金属銅原子(Cu)上に、そのオキソ基(>C=O)のπ電子を利用して、配位することができる。水素ガスを含む還元性雰囲気では、この金属銅原子(Cu)上に配位している、オキソ基(>C=O)に対して、水素分子(H2)が付加することで、元のヒドロキシル基(>CH−OH)に変換することが可能である。
(>C=O) + H2 → (>CH−OH)
元のヒドロキシル基(>CH−OH)の再生がなされた、2−エチル−1,3−ヘキサンジオールは、再び、表面酸化膜を構成する該銅酸化物中の酸素原子(Cu−O−Cu)に溶媒和(吸着)することができる。
見かけ上、水素ガスを含む還元性雰囲気から供給される、水素分子(H2)を利用して、表面酸化膜の還元が進行する。
当初、銅ナノ粒子の表面に露呈している金属銅に対しては、ジブチルアミノプロピルアミンが、そのアミノ基(−NH2)の孤立電子対を利用して、配位的な結合をしている。ジブチルアミノプロピルアミンの沸点は、分散溶媒の2−エチル−1,3−ヘキサンジオールの沸点より低いため、ジブチルアミノプロピルアミンの蒸散速度は相対的に速い。その結果、加熱処理を施すと、液相中のジブチルアミノプロピルアミンの濃度が低下し、銅ナノ粒子の表面に露呈している金属銅に対して、配位的な結合をしているジブチルアミノプロピルアミンの離脱が促進される。
最終的に、表面酸化膜の還元が完了した微細銅粉、銅粉相互の接触部位において、微細銅粉、銅粉、ならびに銅ナノ粒子の間で、相互に表面に露呈している金属銅が直接接する状態となると、焼結が進行する。
具体的には、N2/3%H2雰囲気中、加熱処理を行っている間に、ジブチルアミノプロピルアミンと2−エチル−1,3−ヘキサンジオールの蒸散も進む。その結果、液相の体積が減少する(濃縮が進む)と、液相は、微細銅粉、銅粉相互の接触部位の周囲の狭い隙間、下地層と微細銅粉、銅粉の接触部位の周囲の狭い隙間に、液相が凝集された状態となる。そのため、液相の濃縮とともに、分散している銅ナノ粒子は、微細銅粉、銅粉相互の接触部位の周囲の狭い隙間、下地層と微細銅粉、銅粉の接触部位の周囲の狭い隙間に、集積される。従って、微細銅粉、銅粉相互の接触部位の周囲の狭い隙間、下地層と微細銅粉、銅粉の接触部位の周囲の狭い隙間は、該銅ナノ粒子で埋め込まれた状態となる。その後、焼成が進行すると、微細銅粉、銅粉相互の接触部位の周囲、下地層と微細銅粉、銅粉の接触部位の周囲では、該銅ナノ粒子と、微細銅粉、銅粉との一体化が進行する。結果的に、微細銅粉、銅粉相互の接触部位、下地層と微細銅粉、銅粉の接触部位では、接触面積の拡大がなされる。
調製された銅ペーストを、スライドガラス上に、5mm×20mmのパターンで塗布した。該銅ペースト塗布膜の平均厚さは、63μmであった。該銅ペースト塗布膜を、N2/3%H2雰囲気下、400℃、10min加熱処理して、焼成を行った。
得られた焼成物の平均膜厚は、55μmであった。該焼成物を前記平均膜厚の均一な導電体と仮定して、測定したシート抵抗値から、体積固有抵抗率を算出した。算出された体積固有抵抗率は、8μΩ・cmであった。
金属銅の抵抗率 1.673μΩ・cm(30℃)に対して、得られた焼成物の体積固有抵抗率 8μΩ・cmは、4.8倍となっている。
(実施例3−1)〜(実施例3−8)
実施例3−1〜実施例3−8の導電性銅ペーストは、下記の原料を用いて調製されている。
平均粒径が2〜10μmの範囲に選択される銅粉として、三井金属製球状銅粉1400YM(平均粒径4μm、BET比表面積1600cm2/g)を、平均粒子径が0.2μm〜1.0μmの範囲に選択される微細銅粉として、三井金属製微細銅粉1020Y(平均粒径0.4μm、BET比表面積26000cm2/g)を使用する。該微細銅粉の平均粒子径dCu-fine-powderと、球状銅粉の平均粒径dCu-powderの比率、(dCu-fine-powder/dCu-powder)は、1/10に選択されている。
脂肪族モノカルボン酸の銅塩((R-COO)2Cu(II))として、オレイン酸銅((CH3(CH27CH=CH(CH27COO)2Cu(II))を採用し、予め、ジブチルアミノプロピルアミン((C492N(CH23NH2、融点:−50℃、沸点:238℃)中に溶解し、オレイン酸銅のアミン錯体を形成させている。なお、固体のオレイン酸銅自体は、Cu:Cu結合を有する二量体を形成している。形成されるオレイン酸銅のアミン錯体は、オレイン酸銅((CH3(CH27CH=CH(CH27COO)2Cu(II))1分子に対して、ジブチルアミノプロピルアミン((C492N(CH23NH2)2分子が、銅カチオン(Cu2+)に配位する構造と推定できる。その結果、二量体型のオレイン酸銅は、2分子のオレイン酸銅のアミン錯体に変換され、溶媒のジブチルアミノプロピルアミン中に溶解された状態となる。実施例3−1〜実施例3−8では、オレイン酸銅3.3質量部を、ジブチルアミノプロピルアミン6.6質量部に溶解し、オレイン酸銅のアミン錯体のアミン溶液を予め調製している。該オレイン酸銅のアミン錯体のアミン溶液の組成は、オレイン酸銅1分子当たり、ジブチルアミノプロピルアミン7分子に選択されている。
第一の有機溶媒として利用する脂肪族多価アルコールは、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール(分子量:146.23、融点:−40℃、沸点:245℃)である。
実施例3−1〜実施例3−7の導電性銅ペーストでは、焼結助剤が添加されている。
焼結助剤として利用するカルボン酸金属塩は、2−エチルヘキサン酸ビスマス(III)である。具体的には、2−エチルヘキサン酸ビスマス(III)/2−エチルヘキサン酸溶液(和光純薬工業製、ビスマス含有率25質量%)を使用し、所定量の2−エチルヘキサン酸ビスマス(III)を添加する。
実施例3−1〜実施例3−7の導電性銅ペーストでは、三井金属製球状銅粉1400YM80質量部、三井金属製微細銅粉1020Y20質量部に、オレイン酸銅3.3質量部をジブチルアミノプロピルアミン6.6質量部中に溶解した溶液と、2−エチルヘキサン酸ビスマス(III)/2−エチルヘキサン酸溶液の所定量と、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール3質量部を混合する。その後、攪拌脱泡器で攪拌して、液相中に、前記銅粉と微細銅粉が均一に分散している、銅ペーストを調製する。
一方、実施例3−8の導電性銅ペーストでは、焼結助剤は添加されていない。
実施例3−8の導電性銅ペーストでは、三井金属製球状銅粉1400YM80質量部、三井金属製微細銅粉1020Y20質量部に、オレイン酸銅3.3質量部をジブチルアミノプロピルアミン6.6質量部中に溶解した溶液と、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール3質量部を混合する。その後、攪拌脱泡器で攪拌して、液相中に、前記銅粉と微細銅粉が均一に分散している、銅ペーストを調製する。
前記球状銅粉と微細銅粉の金属銅原子数の総和と、オレイン酸銅中の銅との原子数の比率、(球状銅粉と微細銅粉の金属銅原子数の総和):(オレイン酸銅中の銅との原子数)は、299:1(100:0.334)となっている。また、球状銅粉と微細銅粉の金属銅1モル当たり、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール0.013モルが含まれている。
前記球状銅粉と微細銅粉の表面積の総和は、[(80×1600+20×26000)/10000]m2となっている。
なお、オレイン酸銅の密度0.95g/cm3(20℃)、ジブチルアミノプロピルアミンの密度0.826g/cm3(20℃)であるので、前記オレイン酸銅のアミン錯体のアミン溶液10gの体積は、11.6cm3と見積もれる。
また、2−エチルヘキサン酸ビスマス(III)/2−エチルヘキサン酸溶液の密度1.17g/cm3(25℃)であるので、2−エチルヘキサン酸ビスマス(III)/2−エチルヘキサン酸溶液10gの体積は、8.5cm3と見積もれる。
調製された銅ペーストを、スライドガラス上に、5mm×20mmのパターンで塗布した。該銅ペースト塗布膜を、N2/3%H2雰囲気下、400℃、10min加熱処理して、焼成を行った。該焼成物を平均膜厚の均一な導電体と仮定して、測定したシート抵抗値から、体積固有抵抗率を算出した。
下記の表1−1〜表1−2に、実施例3−1〜実施例3−8の導電性銅ペーストの組成を示す。また、銅ペースト塗布膜の平均膜厚、焼成物を平均膜厚、算出した体積固有抵抗率も併せて示す。
Figure 2012028243
Figure 2012028243
実施例3−1〜実施例3−7の導電性銅ペーストでは、加熱に伴い、下記の反応が進行する。
まず、該銅ペースト中に分散されている、球状銅粉と微細銅粉の表面は、液相中に含まれる、2−エチルヘキサン酸、ジブチルアミノプロピルアミン、または2−エチル−1,3−ヘキサンジオールと接触している。表面に露呈している金属銅に対しては、ジブチルアミノプロピルアミンが、そのアミノ基(−NH2)の孤立電子対を利用して、配位的な結合をしている。一方、球状銅粉と微細銅粉の表面には、部分的に表面酸化膜が存在している。該表面酸化膜を構成する、酸化銅(CuO)に相当する銅酸化物に対して、2−エチルヘキサン酸が作用すると、銅酸化物との間で下記の反応が進行すると、推定される。
CuO+CH3(CH2)4CH(C2H5)COOH) → [CH3(CH2)4CH(C2H5)COO-:Cu2+-OH)];
[CH3(CH2)4CH(C2H5)COO-:Cu2+-OH)] + CH3(CH2)4CH(C2H5)COOH)
→ (CH3(CH2)4CH(C2H5)COO)2Cu(II) + H2O;
生成する2−エチルヘキサン酸銅(II)は、ジブチルアミノプロピルアミンと2−エチル−1,3−ヘキサンジオールの混合液中に溶解されると推定される。すなわち、2−エチルヘキサン酸銅(II)にジブチルアミノプロピルアミンが配位した、2−エチルヘキサン酸銅(II)のアミン錯体((CH3(CH24CH(C25)COO)2Cu(II):2((C492N(CH23NH2))が形成されると推断される。2−エチル−1,3−ヘキサンジオールの存在下、N2/3%H2雰囲気中、加熱処理を施すと、下記の反応式で表記される、2−エチル−1,3−ヘキサンジオールのヒドロキシル基(>CH−OH)のオキソ基(>C=O)への変換と、該2−エチルヘキサン酸銅(II)のアミン錯体の還元反応が進行すると推断される。
(CH3(CH2)4CH(C2H5)COO)2Cu(II):2((C4H9)2N(CH2)3NH2)+(>CH−OH)
→ 2CH3(CH2)4CH(C2H5)COOH+(Cu(0):2((C4H9)2N(CH2)3NH2)+(>C=O)
なお、該表面酸化膜を構成する、酸化銅(CuO)に相当する銅酸化物のうち、2−エチルヘキサン酸と反応しない部分が残余すると、残余する該銅酸化物に対して、2−エチル−1,3−ヘキサンジオールが、そのヒドロキシル基(>CH−OH)を利用して、該銅酸化物中の酸素原子(Cu−O−Cu)と水素結合型の分子間結合を行っている。その際、表面酸化膜の還元は、下記の二つの素過程を経由して進行すると、推定される。
水素ガスを含む還元性雰囲気中、加熱処理を施すと、2−エチル−1,3−ヘキサンジオールのヒドロキシル基(>CH−OH)は、該銅酸化物と反応し、下記の酸化・還元反応を起こす。
CuO + (>CH−OH) → Cu + (>C=O) + H2O↑
2−エチル−1,3−ヘキサンジオール由来の反応生成物(>C=O)は、微細銅粉、銅粉の表面に露呈する金属銅原子(Cu)上に、そのオキソ基(>C=O)のπ電子を利用して、配位することができる。水素ガスを含む還元性雰囲気では、この金属銅原子(Cu)上に配位している、オキソ基(>C=O)に対して、水素分子(H2)が付加することで、元のヒドロキシル基(>CH−OH)に変換することが可能である。
(>C=O) + H2 → (>CH−OH)
元のヒドロキシル基(>CH−OH)の再生がなされた、2−エチル−1,3−ヘキサンジオールは、再び、表面酸化膜を構成する該銅酸化物中の酸素原子(Cu−O−Cu)に溶媒和(吸着)することができる。
見かけ上、水素ガスを含む還元性雰囲気から供給される、水素分子(H2)を利用して、表面酸化膜の還元が進行する。
更に、該銅ペースト中、2−エチルヘキサン酸ビスマス(III)/2−エチルヘキサン酸溶液として添加される、2−エチルヘキサン酸ビスマス(III)は、ジブチルアミノプロピルアミンと2−エチル−1,3−ヘキサンジオールの混合液中に溶解される。その結果、2−エチルヘキサン酸ビスマス(III)にジブチルアミノプロピルアミンが配位した、2−エチルヘキサン酸ビスマス(III)のアミン錯体((CH3(CH24CH(C25)COO)3Bi(III):((C492N(CH23NH2))が形成されると推断される。2−エチル−1,3−ヘキサンジオールの存在下、N2/3%H2雰囲気中、加熱処理を施すと、下記の反応式で表記される、2−エチル−1,3−ヘキサンジオールのヒドロキシル基(>CH−OH)のオキソ基(>C=O)への変換と、該2−エチルヘキサン酸ビスマス(III)のアミン錯体の還元反応が進行すると推断される。
(CH3(CH2)4CH(C2H5)COO)3Bi(III):((C4H9)2N(CH2)3NH2)+(>CH−OH)
→ 3CH3(CH2)4CH(C2H5)COOH+[(Bi(0):(C4H9)2N(CH2)3NH2)]+(>C=O)
[(Bi(0):(C4H9)2N(CH2)3NH2)]+(C4H9)2N(CH2)3NH2
→ (Bi(0):2((C4H9)2N(CH2)3NH2
なお、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール由来の反応生成物(>C=O)は、微細銅粉、銅粉の表面に露呈する金属銅原子上に、そのオキソ基(>C=O)のπ電子を利用して、配位することができる。水素ガスを含む還元性雰囲気では、この金属銅原子上に配位している、オキソ基(>C=O)に対して、水素分子(H2)が付加することで、元のヒドロキシル基(>CH−OH)に変換することが可能である。
(>C=O) + H2 → (>CH−OH)
すなわち、該2−エチルヘキサン酸ビスマス(III)のアミン錯体の還元によって生成する金属ビスマス原子も、ジブチルアミノプロピルアミンが二座配位子として、2分子配位した形状となっている。
実施例3−1〜実施例3−5の導電性銅ペーストでは、オレイン酸銅と2-エチルヘキサン酸ビスマスの合計に含まれる金属原子(CuとBi)1原子当たり、ジブチルアミノプロピルアミンが4分子以上含まれている。従って、金属銅原子(Cu(0):2((C4H9)2N(CH2)3NH2)と、金属ビスマス原子(Bi(0):2((C4H9)2N(CH2)3NH2)は、さらに、ジブチルアミノプロピルアミン2分子が配位し、それぞれ、ジブチルアミノプロピルアミン4分子が配位した、(Cu(0):4((C4H9)2N(CH2)3NH2)と(Bi(0):4((C4H9)2N(CH2)3NH2)に変換される。最終的に、銅粉、微細銅粉の表面の金属銅原子を核として、金属銅原子と金属ビスマス原子からなる凝集体を形成する。
実施例3−6、実施例3−7の導電性銅ペーストでは、オレイン酸銅と2-エチルヘキサン酸ビスマスの合計に含まれる金属原子(CuとBi)1原子当たり、ジブチルアミノプロピルアミンが2分子以上、4分子未満含まれている。従って、金属銅原子(Cu(0):2((C4H9)2N(CH2)3NH2)と、金属ビスマス原子(Bi(0):2((C4H9)2N(CH2)3NH2)のうち一部は、さらに、ジブチルアミノプロピルアミン2分子が配位し、それぞれ、ジブチルアミノプロピルアミン4分子が配位した、(Cu(0):4((C4H9)2N(CH2)3NH2)と(Bi(0):4((C4H9)2N(CH2)3NH2)に変換される。最終的に、銅粉、微細銅粉の表面の金属銅原子を核として、金属銅原子と金属ビスマス原子からなる凝集体を形成する。
実施例3−8の導電性銅ペーストでは、オレイン酸銅に含まれる金属原子(CuとBi)1原子当たり、ジブチルアミノプロピルアミンが7分子含まれている。従って、金属銅原子(Cu(0):2((C4H9)2N(CH2)3NH2)は、さらに、ジブチルアミノプロピルアミン2分子が配位し、それぞれ、ジブチルアミノプロピルアミン4分子が配位した、(Cu(0):4((C4H9)2N(CH2)3NH2)に変換される。最終的に、銅粉、微細銅粉の表面の金属銅原子を核として、金属銅原子からなる凝集体を形成する。
実施例3−1〜実施例3−5の導電性銅ペーストでは、N2/3%H2雰囲気中、加熱処理を行っている間に、ジブチルアミノプロピルアミンと2−エチル−1,3−ヘキサンジオールの蒸散も進む。その結果、液相の体積が減少する(濃縮が進む)と、液相は、微細銅粉、銅粉相互の接触部位の周囲の狭い隙間、下地層と微細銅粉、銅粉の接触部位の周囲の狭い隙間に、液相が凝集された状態となる。そのため、液相の濃縮とともに、液相に分散している、金属銅原子(Cu(0):4((C4H9)2N(CH2)3NH2)ならびに金属ビスマス原子(Bi(0):4((C4H9)2N(CH2)3NH2)は、微細銅粉、銅粉相互の接触部位の周囲の狭い隙間、下地層と微細銅粉、銅粉の接触部位の周囲の狭い隙間で、優先的に金属銅原子と金属ビスマス原子からなる凝集体を形成する。従って、微細銅粉、銅粉相互の接触部位の周囲の狭い隙間、下地層と微細銅粉、銅粉の接触部位の周囲の狭い隙間は、該金属銅原子と金属ビスマス原子からなる凝集体で埋め込まれた状態となる。その後、焼成が進行すると、微細銅粉、銅粉相互の接触部位の周囲、下地層と微細銅粉、銅粉の接触部位の周囲では、該金属銅原子と金属ビスマス原子からなる凝集体の合金化と、微細銅粉、銅粉との一体化が進行する。結果的に、微細銅粉、銅粉相互の接触部位、下地層と微細銅粉、銅粉の接触部位では、接触面積の拡大がなされる。
実施例3−6、実施例3−7の導電性銅ペーストでも、N2/3%H2雰囲気中、加熱処理を行っている間に、ジブチルアミノプロピルアミンと2−エチル−1,3−ヘキサンジオールの蒸散も進む。その結果、液相の体積が減少する(濃縮が進む)と、液相は、微細銅粉、銅粉相互の接触部位の周囲の狭い隙間、下地層と微細銅粉、銅粉の接触部位の周囲の狭い隙間に、液相が凝集された状態となる。そのため、液相の濃縮とともに、液相に分散している、金属銅原子(Cu(0):2((C4H9)2N(CH2)3NH2)、金属ビスマス原子(Bi(0):4((C4H9)2N(CH2)3NH2)、金属銅原子(Cu(0):4((C4H9)2N(CH2)3NH2)ならびに金属ビスマス原子(Bi(0):4((C4H9)2N(CH2)3NH2)は、微細銅粉、銅粉相互の接触部位の周囲の狭い隙間、下地層と微細銅粉、銅粉の接触部位の周囲の狭い隙間で、優先的に金属銅原子と金属ビスマス原子からなる凝集体を形成する。従って、微細銅粉、銅粉相互の接触部位の周囲の狭い隙間、下地層と微細銅粉、銅粉の接触部位の周囲の狭い隙間は、該金属銅原子と金属ビスマス原子からなる凝集体で埋め込まれた状態となる。その後、焼成が進行すると、微細銅粉、銅粉相互の接触部位の周囲、下地層と微細銅粉、銅粉の接触部位の周囲では、該金属銅原子と金属ビスマス原子からなる凝集体の合金化と、微細銅粉、銅粉との一体化が進行する。結果的に、微細銅粉、銅粉相互の接触部位、下地層と微細銅粉、銅粉の接触部位では、接触面積の拡大がなされる。
実施例3−8の導電性銅ペーストでも、N2/3%H2雰囲気中、加熱処理を行っている間に、ジブチルアミノプロピルアミンと2−エチル−1,3−ヘキサンジオールの蒸散も進む。その結果、液相の体積が減少する(濃縮が進む)と、液相は、微細銅粉、銅粉相互の接触部位の周囲の狭い隙間、下地層と微細銅粉、銅粉の接触部位の周囲の狭い隙間に、液相が凝集された状態となる。そのため、液相の濃縮とともに、液相に分散している、金属銅原子(Cu(0):4((C4H9)2N(CH2)3NH2)は、微細銅粉、銅粉相互の接触部位の周囲の狭い隙間、下地層と微細銅粉、銅粉の接触部位の周囲の狭い隙間で、優先的に金属銅原子と金属ビスマス原子からなる凝集体を形成する。従って、微細銅粉、銅粉相互の接触部位の周囲の狭い隙間、下地層と微細銅粉、銅粉の接触部位の周囲の狭い隙間は、該金属銅原子からなる凝集体で埋め込まれた状態となる。その後、焼成が進行すると、微細銅粉、銅粉相互の接触部位の周囲、下地層と微細銅粉、銅粉の接触部位の周囲では、該金属銅原子とからなる凝集体の合金化と、微細銅粉、銅粉との一体化が進行する。結果的に、微細銅粉、銅粉相互の接触部位、下地層と微細銅粉、銅粉の接触部位では、接触面積の拡大がなされる。
実施例1、実施例2と比較して、実施例3−8では、利用する球状銅粉の平均粒径が小さく、また、球状銅粉と微細銅粉の配合比率は、80:20と、球状銅粉の比率が増している。従って、実施例1、実施例2と比較して、実施例3−8では、球状銅粉相互の接触部位の密度が有意に増加している。換言すると、実施例1、実施例2と比較して、実施例3−8では、球状銅粉相互の接触部位における接触抵抗の総和が有意に増加している。その結果、実施例1、実施例2の銅ペーストを使用する場合と比較して、実施例3−8の銅ペーストを使用する場合、得られた焼成物の体積固有抵抗率は有意に高くなっている。
一方、実施例3−1〜実施例3−7の導電性銅ペーストでは、焼結助剤の2−エチルヘキサン酸ビスマス(III)が添加されている。従って、球状銅粉相互の接触部位における接触抵抗は、金属銅原子と金属ビスマス原子からなる凝集体の合金化による、合金層の体積と抵抗率に依存する。
金属銅の抵抗率ρCu 1.673μΩ・cm(30℃)と比較すると、金属ビスマスの抵抗率ρBi 120μΩ・cm(20℃)は、桁違いに大きい。しかし、2−エチルヘキサン酸ビスマス(III)の添加に起因する、接触部位における接触抵抗の変化は、「接触面積の拡大」と、接触部位における「金属銅原子と金属ビスマス原子との合金化による抵抗率の増加」の二つの要素のバランスに依存する。
実施例3−1の導電性銅ペーストでは、比率VCu-metal:VBi-metalは、1:0.32であり、2−エチルヘキサン酸ビスマス(III)の添加に因る「接触面積の拡大」の寄与が相対的に大きく、実施例3−8の導電性銅ペーストと比較すると、接触抵抗の低減の効果が得られている。
実施例3−2の導電性銅ペーストでは、比率VCu-metal:VBi-metalは、1:0.16であり、2−エチルヘキサン酸ビスマス(III)の添加に因る「接触面積の拡大」の寄与が相対的に大きく、実施例3−8の導電性銅ペーストと比較すると、接触抵抗の低減の効果が得られている。
実施例3−3の導電性銅ペーストでは、比率VCu-metal:VBi-metalは、1:0.70であり、2−エチルヘキサン酸ビスマス(III)の添加に因る「接触面積の拡大」の寄与が相対的に大きく、実施例3−8の導電性銅ペーストと比較すると、接触抵抗の低減の効果が得られている。
実施例3−4の導電性銅ペーストでは、比率VCu-metal:VBi-metalは、1:1.03であり、2−エチルヘキサン酸ビスマス(III)の添加に因る「合金化による抵抗率の増加」の影響が増しているが、「接触面積の拡大」の寄与が相対的に大きく、実施例3−8の導電性銅ペーストと比較すると、接触抵抗の低減の効果が得られている。
実施例3−5の導電性銅ペーストでは、比率VCu-metal:VBi-metalは、1:1.73であり、2−エチルヘキサン酸ビスマス(III)の添加に因る「合金化による抵抗率の増加」の影響がより増しているが、「接触面積の拡大」の寄与が相対的に大きく、実施例3−8の導電性銅ペーストと比較すると、接触抵抗の低減の効果が得られている。
実施例3−6の導電性銅ペーストでは、比率VCu-metal:VBi-metalは、1:2.76であり、2−エチルヘキサン酸ビスマス(III)の添加に因る「合金化による抵抗率の増加」の影響がさらに増しているが、「接触面積の拡大」の寄与が相対的に大きく、実施例3−8の導電性銅ペーストと比較すると、接触抵抗の低減の効果が得られている。
実施例3−7の導電性銅ペーストでは、比率VCu-metal:VBi-metalは、1:3.46であり、2−エチルヘキサン酸ビスマス(III)の添加に因る「合金化による抵抗率の増加」の影響が更に増しているため、「接触面積の拡大」の寄与を相殺する結果、実施例3−8と比較すると、接触抵抗の低減の効果は得られていない。
(実施例3B−1)〜(実施例3B−4)
実施例3B−1〜実施例3B−4の導電性銅ペーストは、下記の原料を用いて調製されている。
平均粒径が2〜10μmの範囲に選択される銅粉として、三井金属製球状銅粉1400YM(平均粒径4μm、BET比表面積1600cm2/g)を、平均粒子径が0.2μm〜1.0μmの範囲に選択される微細銅粉として、三井金属製微細銅粉1020Y(平均粒径0.4μm、BET比表面積26000cm2/g)を使用する。該微細銅粉の平均粒子径dCu-fine-powderと、球状銅粉の平均粒径dCu-powderの比率、(dCu-fine-powder/dCu-powder)は、1/10に選択されている。
平均粒子径を10nm〜100nmの範囲に選択する銅ナノ粒子として、平均粒子径70nmの銅ナノ粒子を使用する。該銅ナノ粒子の表面には、ジブチルアミノプロピルアミンからなる被覆剤分子層が形成されている状態とする。その際、該銅ナノ粒子の表面に露呈する金属銅原子に対して、ジブチルアミノプロピルアミンは、そのアミノ基(−NH2)の孤立電子対を利用して、配位的な結合をしている。具体的には、ジブチルアミノプロピルアミンの被覆剤分子層を具えた平均粒子径70nmの銅ナノ粒子を、エタノール中に分散してなる分散液を使用する。該平均粒子径70nmの銅ナノ粒子のエタノール分散液の組成は、平均径70nmの銅ナノ粒子5質量部当たり、ジブチルアミノプロピルアミン0.15質量部、分散溶媒のエタノール5質量部を含有する組成に選択されている。
脂肪族モノカルボン酸の銅塩((R-COO)2Cu(II))として、オレイン酸銅((CH3(CH27CH=CH(CH27COO)2Cu(II))を採用し、予め、ジブチルアミノプロピルアミン((C492N(CH23NH2、融点:−50℃、沸点:238℃)中に溶解し、オレイン酸銅のアミン錯体を形成させている。なお、固体のオレイン酸銅自体は、Cu:Cu結合を有する二量体を形成している。形成されるオレイン酸銅のアミン錯体は、オレイン酸銅((CH3(CH27CH=CH(CH27COO)2Cu(II))1分子に対して、ジブチルアミノプロピルアミン((C492N(CH23NH2)2分子が、銅カチオン(Cu2+)に配位する構造と推定できる。その結果、二量体型のオレイン酸銅は、2分子のオレイン酸銅のアミン錯体に変換され、溶媒のジブチルアミノプロピルアミン中に溶解された状態となる。
実施例3B−1では、オレイン酸銅1.0質量部を、ジブチルアミノプロピルアミン2.0質量部に溶解し、オレイン酸銅のアミン錯体のアミン溶液を予め調製している。実施例3B−2〜実施例3B−4では、オレイン酸銅3.3質量部を、ジブチルアミノプロピルアミン6.6質量部に溶解し、オレイン酸銅のアミン錯体のアミン溶液を予め調製している。該オレイン酸銅のアミン錯体のアミン溶液の組成は、オレイン酸銅1分子当たり、ジブチルアミノプロピルアミン6.7分子に選択されている。
第三の有機溶媒として利用する脂肪族多価アルコールは、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール(分子量:146.23、融点:−40℃、沸点:245℃)である。
焼結助剤として利用するカルボン酸金属塩は、2−エチルヘキサン酸ビスマス(III)である。具体的には、2−エチルヘキサン酸ビスマス(III)/2−エチルヘキサン酸溶液(和光純薬工業製、ビスマス含有率25質量%)を使用し、所定量の2−エチルヘキサン酸ビスマス(III)を添加する。
実施例3B−1〜実施例3B−4の導電性銅ペーストでは、三井金属製球状銅粉1400YM80質量部、三井金属製微細銅粉1020Y20質量部に、平均径70nmの銅ナノ粒子がエタノール中に分散されている分散液の所定量と、オレイン酸銅をジブチルアミノプロピルアミン中に溶解した溶液の所定量と、2−エチルヘキサン酸ビスマス(III)/2−エチルヘキサン酸溶液の所定量と、2−エチル−1,3−ヘキサンジオールの所定量を混合する。次いで、エバポレーターによって、該混合液中のエタノールを除去する。その後、攪拌脱泡器で攪拌して、液相中に、前記銅粉と微細銅粉が均一に分散している、銅ペーストを調製する。
前記球状銅粉と微細銅粉の金属銅原子数の総和と、オレイン酸銅中の銅との原子数の比率、(球状銅粉と微細銅粉の金属銅原子数の総和):(オレイン酸銅中の銅との原子数)は、実施例3B−1では、986:1、実施例3B−2〜3B−4では、299:1(100:0.334)となっている。
前記球状銅粉と微細銅粉の表面積の総和は、[(80×1600+20×26000)/10000]m2となっている。
調製された銅ペーストを、スライドガラス上に、5mm×20mmのパターンで塗布した。該銅ペースト塗布膜を、N2/3%H2雰囲気下、400℃、10min加熱処理して、焼成を行った。該焼成物を平均膜厚の均一な導電体と仮定して、測定したシート抵抗値から、体積固有抵抗率を算出した。
下記の表2に、実施例3B−1〜実施例3B−4の導電性銅ペーストの組成を示す。また、銅ペースト塗布膜の平均膜厚、焼成物を平均膜厚、算出した体積固有抵抗率も併せて示す。
Figure 2012028243
実施例1、実施例2と比較して、実施例3B−1、実施例3−4、実施例3−8では、利用する球状銅粉の平均粒径が小さく、また、球状銅粉と微細銅粉の配合比率は、80:20と、球状銅粉の比率が増している。従って、実施例1、実施例2と比較して、本実施例3B−1、実施例3−4、実施例3−8では、球状銅粉相互の接触部位の密度が有意に増加している。
実施例3B−1と実施例3−4では、2−エチルヘキサン酸ビスマス(III)に由来する金属ビスマス原子とオレイン酸銅に由来する金属銅原子の体積比は、約1:1である。実施例3−4では、2−エチルヘキサン酸ビスマス(III)に由来する金属ビスマス原子とオレイン酸銅に由来する金属銅原子の体積合計(VCu-metal+VBi-metal)と、前記球状銅粉と微細銅粉の体積の総和(VCu-powder+VCu-fine-powder)と比は、(VCu-metal+VBi-metal):(VCu-powder+VCu-fine-powder)は、約1:150であるが、実施例3B−1では、(VCu-metal+VBi-metal):(VCu-powder+VCu-fine-powder)は、約1:500である。従って、球状銅粉相互の接触部位に充填される「金属銅原子と金属ビスマス原子のと合金」による「接触抵抗の低減効果」は、実施例3−4の銅ペーストと比較し、実施例3B−1の銅ペーストが優ることは無い。従って、実施例3B−1の銅ペーストにおいては、球状銅粉相互の接触部位に充填される「銅ナノ粒子」のよる「接触抵抗の低減効果」が主要な寄与を持ち、球状銅粉相互の接触部位に充填される「金属銅原子と金属ビスマス原子のと合金」による「接触抵抗の低減効果」は副次的な寄与を持つのみと判断される。
実施例1、実施例2と比較して、実施例3B−2、実施例3−1、実施例3−8では、利用する球状銅粉の平均粒径が小さく、また、球状銅粉と微細銅粉の配合比率は、80:20と、球状銅粉の比率が増している。従って、実施例1、実施例2と比較して、実施例3B−2、実施例3−1、実施例3−8では、球状銅粉相互の接触部位の密度が有意に増加している。
実施例3B−2と実施例3−1では、2−エチルヘキサン酸ビスマス(III)に由来する金属ビスマス原子とオレイン酸銅に由来する金属銅原子の体積比は、約0.32:1である。実施例3−1では、2−エチルヘキサン酸ビスマス(III)に由来する金属ビスマス原子とオレイン酸銅に由来する金属銅原子の体積合計(VCu-metal+VBi-metal)と、前記球状銅粉と微細銅粉の体積の総和(VCu-powder+VCu-fine-powder)と比は、(VCu-metal+VBi-metal):(VCu-powder+VCu-fine-powder)は、約1:227であり、実施例3B−2では、(VCu-metal+VBi-metal):(VCu-powder+VCu-fine-powder)は、約1:228である。従って、球状銅粉相互の接触部位に充填される「金属銅原子と金属ビスマス原子のと合金」による「接触抵抗の低減効果」は、実施例3−1の銅ペーストと比較し、実施例3B−2の銅ペーストが優ることは無い。従って、実施例3B−2の銅ペーストにおいては、球状銅粉相互の接触部位に充填される「銅ナノ粒子」のよる「接触抵抗の低減効果」と、球状銅粉相互の接触部位に充填される「金属銅原子と金属ビスマス原子のと合金」による「接触抵抗の低減効果」が、同等の寄与を持つと判断される。
実施例1、実施例2と比較して、実施例3B−3、実施例3−1、実施例3−8では、利用する球状銅粉の平均粒径が小さく、また、球状銅粉と微細銅粉の配合比率は、80:20と、球状銅粉の比率が増している。従って、実施例1、実施例2と比較して、実施例3B−3、実施例3−1、実施例3−8では、球状銅粉相互の接触部位の密度が有意に増加している。
実施例3B−3と実施例3−1では、2−エチルヘキサン酸ビスマス(III)に由来する金属ビスマス原子とオレイン酸銅に由来する金属銅原子の体積比は、約0.32:1である。実施例3−1では、2−エチルヘキサン酸ビスマス(III)に由来する金属ビスマス原子とオレイン酸銅に由来する金属銅原子の体積合計(VCu-metal+VBi-metal)と、前記球状銅粉と微細銅粉の体積の総和(VCu-powder+VCu-fine-powder)と比は、(VCu-metal+VBi-metal):(VCu-powder+VCu-fine-powder)は、約1:227であり、実施例3B−3では、(VCu-metal+VBi-metal):(VCu-powder+VCu-fine-powder)は、約1:228である。従って、球状銅粉相互の接触部位に充填される「金属銅原子と金属ビスマス原子のと合金」による「接触抵抗の低減効果」は、実施例3−1の銅ペーストと比較し、本実施例3B−3の銅ペーストが優ることは無い。従って、実施例3B−3の銅ペーストにおいては、球状銅粉相互の接触部位に充填される「銅ナノ粒子」のよる「接触抵抗の低減効果」と、球状銅粉相互の接触部位に充填される「金属銅原子と金属ビスマス原子のと合金」による「接触抵抗の低減効果」が、同等の寄与を持つと判断される。
実施例1、実施例2と比較して、実施例3B−4、実施例3−1、実施例3−8では、利用する球状銅粉の平均粒径が小さく、また、球状銅粉と微細銅粉の配合比率は、80:20と、球状銅粉の比率が増している。従って、実施例1、実施例2と比較して、実施例3B−4、実施例3−1、実施例3−8では、球状銅粉相互の接触部位の密度が有意に増加している。
実施例3B−4と実施例3−1では、2−エチルヘキサン酸ビスマス(III)に由来する金属ビスマス原子とオレイン酸銅に由来する金属銅原子の体積比は、約0.32:1である。実施例3−1では、2−エチルヘキサン酸ビスマス(III)に由来する金属ビスマス原子とオレイン酸銅に由来する金属銅原子の体積合計(VCu-metal+VBi-metal)と、前記球状銅粉と微細銅粉の体積の総和(VCu-powder+VCu-fine-powder)と比は、(VCu-metal+VBi-metal):(VCu-powder+VCu-fine-powder)は、約1:227であり、実施例3B−4では、(VCu-metal+VBi-metal):(VCu-powder+VCu-fine-powder)は、約1:228である。従って、球状銅粉相互の接触部位に充填される「金属銅原子と金属ビスマス原子のと合金」による「接触抵抗の低減効果」は、実施例3−1の銅ペーストと比較し、実施例3B−4の銅ペーストが優ることは無い。従って、実施例3B−4の銅ペーストにおいては、球状銅粉相互の接触部位に充填される「銅ナノ粒子」のよる「接触抵抗の低減効果」と、球状銅粉相互の接触部位に充填される「金属銅原子と金属ビスマス原子のと合金」による「接触抵抗の低減効果」が、同等の寄与を持つと判断される。
実施例3B−2〜実施例3B−4の銅ペーストと、実施例3B−1の銅ペーストとを比較すると、球状銅粉と微細銅粉の表面酸化皮膜の還元に利用される、2−エチル−1,3−ヘキサンジオールの含有比率に有意な差異がある。加えて、エタノールの減圧留去を実施する際、2−エチル−1,3−ヘキサンジオールも僅かに蒸散するため、実施例3B−2〜実施例3B−4の銅ペースト中に含まれる、2−エチル−1,3−ヘキサンジオールの含有比率はさらに減少している。特に、実施例3B−4の銅ペーストにおいては、2−エチル−1,3−ヘキサンジオールの含有比率の低下は増す結果、球状銅粉と微細銅粉の表面酸化皮膜の還元が部分的に達成されていないことに付随して、実施例3B−1の銅ペーストと比較し、球状銅粉相互の接触部位に充填される「銅ナノ粒子」のよる「接触抵抗の低減効果」は同等であるが、球状銅粉相互の接触部位に充填される「金属銅原子と金属ビスマス原子のと合金」による「接触抵抗の低減効果」が十分に発揮されていないと推断される。
(実施例3C−1)、(実施例3D−1)
本実施例3C−1と実施例3D−1の導電性銅ペーストは、下記の原料を用いて調製されている。
平均粒径が2〜10μmの範囲に選択される銅粉として、三井金属製球状銅粉1400YM(平均粒径4μm、BET比表面積1600cm2/g)を、平均粒子径が0.2μm〜1.0μmの範囲に選択される微細銅粉として、三井金属製微細銅粉1020Y(平均粒径0.4μm、BET比表面積26000cm2/g)を使用する。該微細銅粉の平均粒子径dCu-fine-powderと、球状銅粉の平均粒径dCu-powderの比率、(dCu-fine-powder/dCu-powder)は、1/10に選択されている。
平均粒子径を10nm〜100nmの範囲に選択する銅ナノ粒子として、平均粒子径70nmの銅ナノ粒子を使用する。該銅ナノ粒子の表面には、ジブチルアミノプロピルアミンからなる被覆剤分子層が形成されている状態とする。その際、該銅ナノ粒子の表面に露呈する金属銅原子に対して、ジブチルアミノプロピルアミンは、そのアミノ基(−NH2)の孤立電子対を利用して、配位的な結合をしている。具体的には、ジブチルアミノプロピルアミンの被覆剤分子層を具えた平均粒子径70nmの銅ナノ粒子を、エタノール中に分散してなる分散液を使用する。該平均粒子径70nmの銅ナノ粒子のエタノール分散液の組成は、平均径70nmの銅ナノ粒子5質量部当たり、ジブチルアミノプロピルアミン0.15質量部、分散溶媒のエタノール5質量部を含有する組成に選択されている。
脂肪族モノカルボン酸の銅塩((R-COO)2Cu(II))として、オレイン酸銅((CH3(CH27CH=CH(CH27COO)2Cu(II))を採用し、予め、ジブチルアミノプロピルアミン((C492N(CH23NH2、融点:−50℃、沸点:238℃)中に溶解し、オレイン酸銅のアミン錯体を形成させている。なお、固体のオレイン酸銅自体は、Cu:Cu結合を有する二量体を形成している。形成されるオレイン酸銅のアミン錯体は、オレイン酸銅((CH3(CH27CH=CH(CH27COO)2Cu(II))1分子に対して、ジブチルアミノプロピルアミン((C492N(CH23NH2)2分子が、銅カチオン(Cu2+)に配位する構造と推定できる。その結果、二量体型のオレイン酸銅は、2分子のオレイン酸銅のアミン錯体に変換され、溶媒のジブチルアミノプロピルアミン中に溶解された状態となる。
実施例3C−1では、オレイン酸銅3.3質量部を、ジブチルアミノプロピルアミン2.6質量部に溶解し、オレイン酸銅のアミン錯体のアミン溶液を予め調製している。該オレイン酸銅のアミン錯体のアミン溶液の組成は、オレイン酸銅1分子当たり、ジブチルアミノプロピルアミン2.65分子に選択されている。
実施例3D−1では、オレイン酸銅のアミン錯体のアミン溶液を添加していない。
第三の有機溶媒として利用する脂肪族多価アルコールは、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール(分子量:146.23、融点:−40℃、沸点:245℃)である。
焼結助剤として利用するカルボン酸金属塩は、2−エチルヘキサン酸ビスマス(III)である。具体的には、2−エチルヘキサン酸ビスマス(III)/2−エチルヘキサン酸溶液(和光純薬工業製、ビスマス含有率25質量%)を使用し、所定量の2−エチルヘキサン酸ビスマス(III)を添加する。
三井金属製球状銅粉1400YM80質量部、三井金属製微細銅粉1020Y20質量部に、平均径70nmの銅ナノ粒子がエタノール中に分散されている分散液の所定量と、オレイン酸銅をジブチルアミノプロピルアミン中に溶解した溶液の所定量と、2−エチルヘキサン酸ビスマス(III)/2−エチルヘキサン酸溶液0.48質量部と、2−エチル−1,3−ヘキサンジオールの所定量を混合する。次いで、エバポレーターによって、該混合液中のエタノールを除去する。その後、攪拌脱泡器で攪拌して、液相中に、前記銅粉と微細銅粉が均一に分散している、銅ペーストを調製する。
前記球状銅粉と微細銅粉の表面積の総和に対するビスマス原子の添加比率は、0.48×0.25/209/[(80×1600+20×26000)/10000]≒8.88μmol/m2となっている。
調製された銅ペーストを、スライドガラス上に、5mm×20mmのパターンで塗布した。該銅ペースト塗布膜を、N2/3%H2雰囲気下、400℃、10min加熱処理して、焼成を行った。該焼成物を平均膜厚の均一な導電体と仮定して、測定したシート抵抗値から、体積固有抵抗率を算出した。
下記の表3に、実施例3C−1、実施例3D−1の導電性銅ペーストの組成を示す。また、銅ペースト塗布膜の平均膜厚、焼成物を平均膜厚、算出した体積固有抵抗率も併せて示す。
Figure 2012028243
実施例1、実施例2と比較して、実施例3C−1、実施例3B−2、実施例3−1、実施例3−8では、利用する球状銅粉の平均粒径が小さく、また、球状銅粉と微細銅粉の配合比率は、80:20と、球状銅粉の比率が増している。従って、実施例1、実施例2と比較して、実施例3C−1、実施例3B−2、実施例3−1、実施例3−8では、球状銅粉相互の接触部位の密度が有意に増加している。
実施例3C−1、実施例3B−2と実施例3−1では、2−エチルヘキサン酸ビスマス(III)に由来する金属ビスマス原子とオレイン酸銅に由来する金属銅原子の体積比は、約0.32:1である。実施例3−1では、2−エチルヘキサン酸ビスマス(III)に由来する金属ビスマス原子とオレイン酸銅に由来する金属銅原子の体積合計(VCu-metal+VBi-metal)と、前記球状銅粉と微細銅粉の体積の総和(VCu-powder+VCu-fine-powder)と比は、(VCu-metal+VBi-metal):(VCu-powder+VCu-fine-powder)は、約1:227であり、実施例3C−1、実施例3B−2では、(VCu-metal+VBi-metal):(VCu-powder+VCu-fine-powder)は、約1:228である。従って、球状銅粉相互の接触部位に充填される「金属銅原子と金属ビスマス原子のと合金」による「接触抵抗の低減効果」は、実施例3−1の銅ペーストと比較し、実施例3C−1、実施例3B−2の銅ペーストが優ることは無い。従って、実施例3C−1、実施例3B−2の銅ペーストにおいては、球状銅粉相互の接触部位に充填される「銅ナノ粒子」のよる「接触抵抗の低減効果」と、球状銅粉相互の接触部位に充填される「金属銅原子と金属ビスマス原子のと合金」による「接触抵抗の低減効果」が、同等の寄与を持つと判断される。
実施例1、実施例2と比較して、実施例3D−1、実施例3B−3、実施例3−1、実施例3−8では、利用する球状銅粉の平均粒径が小さく、また、球状銅粉と微細銅粉の配合比率は、80:20と、球状銅粉の比率が増している。従って、実施例1、実施例2と比較して、実施例3D−1、実施例3B−3、実施例3−1、実施例3−8では、球状銅粉相互の接触部位の密度が有意に増加している。
実施例3B−3と実施例3−1では、2−エチルヘキサン酸ビスマス(III)に由来する金属ビスマス原子とオレイン酸銅に由来する金属銅原子の体積比は、約0.32:1であるが、実施例3D−1では、オレイン酸銅に由来する金属銅原子は存在しない。実施例3B−3では、2−エチルヘキサン酸ビスマス(III)に由来する金属ビスマス原子とオレイン酸銅に由来する金属銅原子の体積合計(VCu-metal+VBi-metal)と、前記球状銅粉と微細銅粉の体積の総和(VCu-powder+VCu-fine-powder)と比は、(VCu-metal+VBi-metal):(VCu-powder+VCu-fine-powder)は、約1:228であり、本実施例3D−1では、(VBi-metal):(VCu-powder+VCu-fine-powder)は、約1:912である。従って、本実施例3D−3の銅ペーストにおける、球状銅粉相互の接触部位に充填される「金属ビスマス原子」による「接触抵抗の低減効果」は、実施例3B−1の銅ペーストにおける、球状銅粉相互の接触部位に充填される「金属銅原子と金属ビスマス原子のと合金」による「接触抵抗の低減効果」よりも優ることは無い。従って、実施例3D−1の銅ペーストにおいては、球状銅粉相互の接触部位に充填される「銅ナノ粒子」のよる「接触抵抗の低減効果」と、球状銅粉相互の接触部位に充填される「金属ビスマス原子」による「接触抵抗の低減効果」が、同等の寄与を持つと判断される。
(実施例3E−1、実施例3E−2)
(実施例3F−1、実施例3F−2)
実施例3E−1、実施例3E−2、実施例3F−1、実施例3F−2の導電性銅ペーストは、下記の原料を用いて調製されている。
平均粒径が2〜10μmの範囲に選択される銅粉として、三井金属製球状銅粉1400YM(平均粒径4μm、BET比表面積1600cm2/g)を、平均粒子径が0.2μm〜1.0μmの範囲に選択される微細銅粉として、三井金属製微細銅粉1020Y(平均粒径0.4μm、BET比表面積26000cm2/g)を使用する。該微細銅粉の平均粒子径dCu-fine-powderと、球状銅粉の平均粒径dCu-powderの比率、(dCu-fine-powder/dCu-powder)は、1/10に選択されている。
脂肪族モノカルボン酸の銅塩((R-COO)2Cu(II))として、オレイン酸銅((CH3(CH27CH=CH(CH27COO)2Cu(II))を採用し、予め、ジブチルアミノプロピルアミン((C492N(CH23NH2、融点:−50℃、沸点:238℃)中に溶解し、オレイン酸銅のアミン錯体を形成させている。なお、固体のオレイン酸銅自体は、Cu:Cu結合を有する二量体を形成している。形成されるオレイン酸銅のアミン錯体は、オレイン酸銅((CH3(CH27CH=CH(CH27COO)2Cu(II))1分子に対して、ジブチルアミノプロピルアミン((C492N(CH23NH2)2分子が、銅カチオン(Cu2+)に配位する構造と推定できる。その結果、二量体型のオレイン酸銅は、2分子のオレイン酸銅のアミン錯体に変換され、溶媒のジブチルアミノプロピルアミン中に溶解された状態となる。
実施例3E−1では、オレイン酸銅6.6質量部を、ジブチルアミノプロピルアミン6.6質量部に溶解し、オレイン酸銅のアミン錯体のアミン溶液を予め調製している。該オレイン酸銅のアミン錯体のアミン溶液の組成は、オレイン酸銅1分子当たり、ジブチルアミノプロピルアミン3.36分子に選択されている。
実施例3E−1では、オレイン酸銅1.0質量部を、ジブチルアミノプロピルアミン2.0質量部に溶解し、オレイン酸銅のアミン錯体のアミン溶液を予め調製している。該オレイン酸銅のアミン錯体のアミン溶液の組成は、オレイン酸銅1分子当たり、ジブチルアミノプロピルアミン3.36分子に選択されている。
第一の有機溶媒として利用する脂肪族多価アルコールは、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール(分子量:146.23、融点:−40℃、沸点:245℃)である。
実施例3E−1、実施例3E−2では、焼結助剤を添加している。
焼結助剤として利用するカルボン酸金属塩は、2−エチルヘキサン酸ビスマス(III)である。具体的には、2−エチルヘキサン酸ビスマス(III)/2−エチルヘキサン酸溶液(和光純薬工業製、ビスマス含有率25質量%)を使用し、所定量の2−エチルヘキサン酸ビスマス(III)を添加する。
三井金属製球状銅粉1400YM80質量部、三井金属製微細銅粉1020Y20質量部に、オレイン酸銅をジブチルアミノプロピルアミン中に溶解した溶液の所定量と、2−エチルヘキサン酸ビスマス(III)/2−エチルヘキサン酸溶液0.48質量部と、2−エチル−1,3−ヘキサンジオールの所定量を混合する。その後、攪拌脱泡器で攪拌して、液相中に、前記銅粉と微細銅粉が均一に分散している、銅ペーストを調製する。
前記球状銅粉と微細銅粉の表面積の総和に対するビスマス原子の添加比率は、0.48×0.25/209/[(80×1600+20×26000)/10000]≒8.88μmol/m2となっている。
実施例3F−1、実施例3F−2では、焼結助剤を添加していない。
三井金属製球状銅粉1400YM80質量部、三井金属製微細銅粉1020Y20質量部に、オレイン酸銅をジブチルアミノプロピルアミン中に溶解した溶液の所定量と、2−エチル−1,3−ヘキサンジオールの所定量を混合する。その後、攪拌脱泡器で攪拌して、液相中に、前記銅粉と微細銅粉が均一に分散している、銅ペーストを調製する。
調製された銅ペーストを、スライドガラス上に、5mm×20mmのパターンで塗布した。該銅ペースト塗布膜を、N2/3%H2雰囲気下、400℃、10min加熱処理して、焼成を行った。該焼成物を平均膜厚の均一な導電体と仮定して、測定したシート抵抗値から、体積固有抵抗率を算出した。
下記の表4に、実施例3E−1、実施例3E−2、実施例3F−1、実施例3F−2の導電性銅ペーストの組成を示す。また、銅ペースト塗布膜の平均膜厚、焼成物を平均膜厚、算出した体積固有抵抗率も併せて示す。
Figure 2012028243
実施例3E−1では、上述の実施例3−1と比較すると、オレイン酸銅ならびに2−エチルヘキサン酸ビスマス(III)1分子に対する、ジブチルアミノプロピルアミンの含有比率は大幅に低下しているが、オレイン酸銅または2−エチルヘキサン酸ビスマス(III)1分子当たり、ジブチルアミノプロピルアミンが2分子以上含まれている。従って、実施例3−1と同様に、実施例3E−1においても、オレイン酸銅のアミン錯体と同様に、2−エチルヘキサン酸ビスマス(III)もアミン錯体を形成した後、その還元が進行していると推断される。
上記の実施例3−1と比較し、実施例3E−1では、オレイン酸銅に由来する金属銅原子の体積が2倍となっている。従って、実施例3−1における、VCu-metal:VBi-metal=1:0.32に対して、本実施例3E−1では、VCu-metal:VBi-metal=1:0.16となっている。また、本実施例3E−1のVCu-metal:VBi-metal=1:0.16は、実施例3−2における、VCu-metal:VBi-metal=1:0.15とほぼ等しい。
金属銅の抵抗率 1.673μΩ・cm(30℃)と比較すると、金属ビスマスの抵抗率 120μΩ・cm(20℃)は、桁違いに大きい。しかし、2−エチルヘキサン酸ビスマス(III)の添加に起因する、接触部位における接触抵抗の変化は、「接触面積の拡大」と、接触部位における「金属銅原子と金属ビスマス原子との合金化による抵抗率の増加」の二つの要素のバランスに依存する。実施例3−2と同様に、該実施例3E−1でも、2−エチルヘキサン酸ビスマス(III)の添加に因る「接触面積の拡大」の寄与が相対的に大きく、前述の実施例3−8と比較すると、接触抵抗の低減の効果が得られている。
実施例3E−2でも、上述の実施例3−1と比較すると、オレイン酸銅ならびに2−エチルヘキサン酸ビスマス(III)1分子に対する、ジブチルアミノプロピルアミンの含有比率は大幅に低下しているが、オレイン酸銅または2−エチルヘキサン酸ビスマス(III)1分子当たり、ジブチルアミノプロピルアミンが2分子以上含まれている。従って、実施例3−1と同様に、実施例3E−2においても、オレイン酸銅のアミン錯体と同様に、2−エチルヘキサン酸ビスマス(III)もアミン錯体を形成した後、その還元が進行していると推断される。
金属銅の抵抗率 1.673μΩ・cm(30℃)と比較すると、金属ビスマスの抵抗率 120μΩ・cm(20℃)は、桁違いに大きい。しかし、2−エチルヘキサン酸ビスマス(III)の添加に起因する、接触部位における接触抵抗の変化は、「接触面積の拡大」と、接触部位における「金属銅原子と金属ビスマス原子との合金化による抵抗率の増加」の二つの要素のバランスに依存する。実施例3−4と同様に、該実施例3E−2でも、2−エチルヘキサン酸ビスマス(III)の添加に因る「接触面積の拡大」の寄与が相対的に大きく、前述の実施例3−8と比較すると、接触抵抗の低減の効果が得られている。
実施例3−8においては、オレイン酸銅1分子当たり、ジブチルアミノプロピルアミン6.7分子が添加されているが、実施例3F−1では、オレイン酸銅1分子当たり、ジブチルアミノプロピルアミン2.7分子しか添加されていない。その結果、実施例3−8では、オレイン酸銅から生成する銅原子に対して、ジブチルアミノプロピルアミン4分子が配位した状態となるが、実施例3F−1では、オレイン酸銅から生成する銅原子に対して、ジブチルアミノプロピルアミン2分子が配位した状態しか達成できない。そのため、実施例3F−1では、オレイン酸銅から生成する銅原子の相当部分は、液中で凝集して、凝集体を構成し、銅粉や微細銅粉の表面に付着しており、結果として、銅粉相互の狭い隙間、銅粉と微細銅粉との狭い隙間に充填される銅原子の量は、実施例3−8の場合よりも、大幅に減少していると推定される。その結果、実施例3F−1では、前述の実施例3−8と比較すると、接触抵抗の低減の効果は寧ろ劣っていると、判断される。
実施例3−8においては、オレイン酸銅1分子当たり、ジブチルアミノプロピルアミン6.7分子が添加されているが、実施例3F−1でも、オレイン酸銅1分子当たり、ジブチルアミノプロピルアミン6.5分子が添加されている。その結果、実施例3−8では、オレイン酸銅から生成する銅原子に対して、ジブチルアミノプロピルアミン4分子が配位した状態となるが、実施例3F−1でも、オレイン酸銅から生成する銅原子に対して、ジブチルアミノプロピルアミン4分子が配位した状態が達成されている。そのため、実施例3F−2では、銅粉相互の狭い隙間、銅粉と微細銅粉との狭い隙間に充填される銅原子の量は、実施例3−8の場合の約1/2となっていると推定される。その結果、実施例3F−2では、前述の実施例3−8と比較すると、接触抵抗の低減の効果は低いものの、前記実施例3F−1と比較すると、接触抵抗の低減の効果は優っていると判断される。
(実施例4−1)
本実施例4−1の導電性銅ペーストは、下記の原料を用いて調製されている。
平均粒径が2〜10μmの範囲に選択される銅粉として、三井金属製球状銅粉1400YM(平均粒径4μm、BET比表面積1600cm2/g)を、平均粒子径が0.2μm〜1.0μmの範囲に選択される微細銅粉として、三井金属製微細銅粉1020Y(平均粒径0.4μm、BET比表面積26000cm2/g)を使用する。該微細銅粉の平均粒子径dCu-fine-powderと、球状銅粉の平均粒径dCu-powderの比率、(dCu-fine-powder/dCu-powder)は、1/10に選択されている。
脂肪族モノカルボン酸の銅塩((R-COO)2Cu(II))として、オレイン酸銅((CH3(CH27CH=CH(CH27COO)2Cu(II))を採用し、予め、ジブチルアミノプロピルアミン((C492N(CH23NH2、融点:−50℃、沸点:238℃)中に溶解し、オレイン酸銅のアミン錯体を形成させている。なお、固体のオレイン酸銅自体は、Cu:Cu結合を有する二量体を形成している。形成されるオレイン酸銅のアミン錯体は、オレイン酸銅((CH3(CH27CH=CH(CH27COO)2Cu(II))1分子に対して、ジブチルアミノプロピルアミン((C492N(CH23NH2)2分子が、銅カチオン(Cu2+)に配位する構造と推定できる。その結果、二量体型のオレイン酸銅は、2分子のオレイン酸銅のアミン錯体に変換され、溶媒のジブチルアミノプロピルアミン中に溶解された状態となる。本実施例4−1では、オレイン酸銅3.3質量部を、ジブチルアミノプロピルアミン6.6質量部に溶解し、オレイン酸銅のアミン錯体のアミン溶液を予め調製している。該オレイン酸銅のアミン錯体のアミン溶液の組成は、オレイン酸銅1分子当たり、ジブチルアミノプロピルアミン7分子に選択されている。
第一の有機溶媒として利用する脂肪族多価アルコールは、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール(分子量:146.23、融点:−40℃、沸点:245℃)である。
焼結助剤として利用するカルボン酸金属塩は、2−エチルヘキサン酸錫(II)(和光純薬工業製、分子量405.12)である。
三井金属製球状銅粉1400YM80質量部、三井金属製微細銅粉1020Y20質量部に、オレイン酸銅3.3質量部をジブチルアミノプロピルアミン6.6質量部中に溶解した溶液と、2−エチルヘキサン酸錫(II)0.23質量部と、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール3質量部を混合する。その後、攪拌脱泡器で攪拌して、液相中に、前記銅粉と微細銅粉が均一に分散している、銅ペーストを調製する。
前記球状銅粉と微細銅粉の表面積の総和に対する錫原子の添加比率は、0.23×405.12/[(80×1600+20×26000)/10000]≒9μmol/m2となっている。添加された該2−エチルヘキサン酸錫(II)が全て還元され、金属錫が生成すると仮定すると、金属銅の密度8.95g/cm3(20℃)、金属錫の密度7.265g/cm3(20℃)とすると、2−エチルヘキサン酸錫(II)の還元により生成する金属錫の体積VSn-metalと、前記球状銅粉と微細銅粉の体積の総和(VCu-powder+VCu-fine-powder)の比率、(VCu-powder+VCu-fine-powder):VSn-metalは、1210:1と算出される。
また、オレイン酸銅((CH3(CH2)7CH=CH(CH2)7COO)2Cu(II))のアミン錯体と、2−エチルヘキサン酸錫(II)((CH3(CH2)4CH(C2H5)COO)2Sn(II))との添加比率は、オレイン酸銅のアミン錯体:2−エチルヘキサン酸錫(II)は、1分子:0.12分子と算出される。該銅ペースト中には、オレイン酸銅または2−エチルヘキサン酸錫(II)1分子当たり、2−エチル−1,3−ヘキサンジオールが3.75分子、ジブチルアミノプロピルアミンが6.25分子存在している。
前記球状銅粉と微細銅粉の金属銅原子数の総和と、オレイン酸銅中の銅との原子数の比率、(球状銅粉と微細銅粉の金属銅原子数の総和):(オレイン酸銅中の銅との原子数)は、299:1(100:0.334)となっている。また、球状銅粉と微細銅粉の金属銅1モル当たり、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール0.013モルが含まれている。
なお、オレイン酸銅の密度0・95g/cm3(20℃)、ジブチルアミノプロピルアミンの密度0.826g/cm3(20℃)であるので、前記オレイン酸銅のアミン錯体のアミン溶液10gの体積は、11.6cm3と見積もれる。
また、2−エチルヘキサン酸錫(II)の密度は、1.251g/cm3(20℃)である。
調製された銅ペースト中における、前記球状銅粉と微細銅粉の体積比率は、42.96体積%となっている。
また、3.3質量部のオレイン酸銅中の銅が、全て金属銅原子に還元されると、オレイン酸銅に由来する金属銅原子の合計は、0.334質量部となる。0.23質量部の2−エチルヘキサン酸錫(II)中の錫が、全て金属錫原子に還元されると、2−エチルヘキサン酸錫(II)に由来する金属錫原子の合計は、0.067質量部となる。従って、銅ペースト100容量部に対する、2−エチルヘキサン酸錫(II)に由来する金属錫原子、オレイン酸銅に由来する金属銅原子、球状銅粉と微細銅粉の体積の合計は、43.14容量部となる。
調製された銅ペーストの液粘度は、3Pa・s(スパイラル回転粘度計 10rpm 25℃)であった。
まず、該銅ペースト中に分散されている、球状銅粉と微細銅粉の表面は、液相中に含まれる、ジブチルアミノプロピルアミン、または2−エチル−1,3−ヘキサンジオールが、溶媒和(吸着)している。表面に露呈している金属銅に対しては、ジブチルアミノプロピルアミンが、そのアミノ基(−NH2)の孤立電子対を利用して、配位的な結合をしている。一方、球状銅粉と微細銅粉の表面には、部分的に表面酸化膜が存在している。該表面酸化膜を構成する、酸化銅(CuO)に相当する銅酸化物に対して、2−エチル−1,3−ヘキサンジオールが、そのヒドロキシル基(>CH−OH)を利用して、該銅酸化物中の酸素原子(Cu−O−Cu)と水素結合型の分子間結合を行っている。その際、表面酸化膜の還元は、下記の二つの素過程を経由して進行すると、推定される。
水素ガスを含む還元性雰囲気中、加熱処理を施すと、2−エチル−1,3−ヘキサンジオールのヒドロキシル基(>CH−OH)は、該銅酸化物と反応し、下記の酸化・還元反応を起こす。
CuO + (>CH−OH) → Cu + (>C=O) + H2O↑
2−エチル−1,3−ヘキサンジオール由来の反応生成物(>C=O)は、微細銅粉、銅粉の表面に露呈する金属銅原子(Cu)上に、そのオキソ基(>C=O)のπ電子を利用して、配位することができる。水素ガスを含む還元性雰囲気では、この金属銅原子(Cu)上に配位している、オキソ基(>C=O)に対して、水素分子(H2)が付加することで、元のヒドロキシル基(>CH−OH)に変換することが可能である。
(>C=O) + H2 → (>CH−OH)
元のヒドロキシル基(>CH−OH)の再生がなされた、2−エチル−1,3−ヘキサンジオールは、再び、表面酸化膜を構成する該銅酸化物中の酸素原子(Cu−O−Cu)に溶媒和(吸着)することができる。
見かけ上、水素ガスを含む還元性雰囲気から供給される、水素分子(H2)を利用して、表面酸化膜の還元が進行する。
一方、該銅ペースト中、オレイン酸銅のアミン錯体((CH3(CH27CH=CH(CH27COO)2Cu(II):2((C492N(CH23NH2))は、ジブチルアミノプロピルアミンと2−エチル−1,3−ヘキサンジオールの混合液中に溶解されている。2−エチル−1,3−ヘキサンジオールの存在下、N2/3%H2雰囲気中、加熱処理を施すと、下記の反応式で表記される、2−エチル−1,3−ヘキサンジオールのヒドロキシル基(>CH−OH)のオキソ基(>C=O)への変換と、該オレイン酸銅のアミン錯体の還元反応が進行する。
(CH3(CH2)7CH=CH(CH2)7COO)2Cu(II):2((C4H9)2N(CH2)3NH2)+(>CH−OH)
→ 2CH3(CH2)7CH=CH(CH2)7COOH+(Cu(0):2((C4H9)2N(CH2)3NH2)+(>C=O)
さらに、該銅ペースト中、2−エチルヘキサン酸錫(II)は、ジブチルアミノプロピルアミンと2−エチル−1,3−ヘキサンジオールの混合液中に溶解されている。従って、2−エチルヘキサン酸錫(II)にジブチルアミノプロピルアミンが配位した、2−エチルヘキサン酸錫(II)のアミン錯体((CH3(CH24CH(C25)COO)2Sn(II):2((C492N(CH23NH2))が形成されると推断される。2−エチル−1,3−ヘキサンジオールの存在下、N2/3%H2雰囲気中、加熱処理を施すと、下記の反応式で表記される、2−エチル−1,3−ヘキサンジオールのヒドロキシル基(>CH−OH)のオキソ基(>C=O)への変換と、該2−エチルヘキサン酸錫(II)のアミン錯体の還元反応が進行すると推断される。
(CH3(CH2)4CH(C2H5)COO)2Sn(II):2((C4H9)2N(CH2)3NH2)+(>CH−OH)
→ 2CH3(CH2)4CH(C2H5)COOH+(Sn(0):2((C4H9)2N(CH2)3NH2)+(>C=O)
すなわち、該オレイン酸銅のアミン錯体の還元によって生成する金属銅原子は、ジブチルアミノプロピルアミンが二座配位子として、2分子配位した形状となっている。該2−エチルヘキサン酸錫(II)のアミン錯体の還元によって生成する金属錫原子も、ジブチルアミノプロピルアミンが二座配位子として、2分子配位した形状となっている。金属銅原子(Cu(0):2((C4H9)2N(CH2)3NH2)と金属錫原子(Sn(0):2((C4H9)2N(CH2)3NH2)は、最終的に、銅粉、微細銅粉の表面の金属銅原子を核として、金属銅原子と金属錫原子からなる凝集体を形成する。
2/3%H2雰囲気中、加熱処理を行っている間に、ジブチルアミノプロピルアミンと2−エチル−1,3−ヘキサンジオールの蒸散も進む。その結果、液相の体積が減少する(濃縮が進む)と、液相は、微細銅粉、銅粉相互の接触部位の周囲の狭い隙間、下地層と微細銅粉、銅粉の接触部位の周囲の狭い隙間に、液相が凝集された状態となる。そのため、液相の濃縮とともに、金属銅原子(Cu(0):2((C4H9)2N(CH2)3NH2)と金属錫原子(Sn(0):2((C4H9)2N(CH2)3NH2)は、微細銅粉、銅粉相互の接触部位の周囲の狭い隙間、下地層と微細銅粉、銅粉の接触部位の周囲の狭い隙間で、優先的に金属銅原子と金属錫原子からなる凝集体を形成する。従って、微細銅粉、銅粉相互の接触部位の周囲の狭い隙間、下地層と微細銅粉、銅粉の接触部位の周囲の狭い隙間は、該金属銅原子と金属錫原子からなる凝集体で埋め込まれた状態となる。その後、焼成が進行すると、微細銅粉、銅粉相互の接触部位の周囲、下地層と微細銅粉、銅粉の接触部位の周囲では、該金属銅原子と金属錫原子からなる凝集体と、微細銅粉、銅粉との一体化が進行する。結果的に、微細銅粉、銅粉相互の接触部位、下地層と微細銅粉、銅粉の接触部位では、接触面積の拡大がなされる。
なお、オレイン酸銅のアミン錯体の還元に伴って、副生されるオレイン酸(沸点:286℃)、2−エチルヘキサン酸錫(II)のアミン錯体の還元に伴って、副生される2−エチルヘキサン酸(沸点:228℃)は、分散溶媒の2−エチル−1,3−ヘキサンジオール中に一旦は溶解する。その後、N2/3%H2雰囲気中、加熱処理を行う際、オレイン酸、2−エチルヘキサン酸は、分散溶媒の2−エチル−1,3−ヘキサンジオールと同様に、徐々に蒸散される。
また、当初、銅粉、微細銅粉の表面に露呈している金属銅に対しては、ジブチルアミノプロピルアミンが、そのアミノ基(−NH2)の孤立電子対を利用して、配位的な結合をしている。ジブチルアミノプロピルアミンの沸点は、分散溶媒の2−エチル−1,3−ヘキサンジオールの沸点より低いため、ジブチルアミノプロピルアミンの蒸散速度は相対的に速い。その結果、液相中のジブチルアミノプロピルアミンの濃度が低下し、銅粉、微細銅粉の表面に露呈している金属銅に対して、配位的な結合をしているジブチルアミノプロピルアミンの離脱が促進される。最終的に、微細銅粉、銅粉相互の接触部位において、表面に露呈している金属銅が直接接する状態となると、焼結が進行する、
調製された銅ペーストを、スライドガラス上に、5mm×20mmのパターンで塗布した。該銅ペースト塗布膜の平均厚さは、55μmであった。該銅ペースト塗布膜を、N2/3%H2雰囲気下、400℃、10min加熱処理して、焼成を行った。
得られた焼成物の平均膜厚は、43μmであった。該焼成物を前記平均膜厚の均一な導電体と仮定して、測定したシート抵抗値から、体積固有抵抗率を算出した。算出された体積固有抵抗率は、11μΩ・cmであった。
金属銅の抵抗率 1.673μΩ・cm(30℃)に対して、得られた焼成物の体積固有抵抗率11μΩ・cmは、5.8倍となっている。
金属銅の抵抗率 1.673μΩ・cm(30℃)と比較すると、金属錫の抵抗率 11μΩ・cm(20℃)は、約7倍と大きいが、金属ビスマスの抵抗率 120μΩ・cm(20℃)と比較すると、約1/10である。2−エチルヘキサン酸錫(II)の添加に起因する、接触部位における接触抵抗の変化は、「接触面積の拡大」と、接触部位における「金属銅原子と金属錫原子との合金化による抵抗率の増加」の二つの要素のバランスに依存する。該実施例4−1では、2−エチルヘキサン酸錫(II)の添加に因る「接触面積の拡大」の寄与が相対的に大きく、前述の実施例3−8と比較すると、接触抵抗の低減の効果が得られている。
(実施例5−1)〜(実施例5−10)
実施例5−1〜実施例5−10の導電性銅ペーストは、下記の原料を用いて調製されている。
平均粒径が2〜10μmの範囲に選択される銅粉として、三井金属製球状銅粉1400YM(平均粒径4μm、BET比表面積1600cm2/g)を、平均粒子径が0.2μm〜1.0μmの範囲に選択される微細銅粉として、三井金属製微細銅粉1020Y(平均粒径0.4μm、BET比表面積26000cm2/g)を使用する。該微細銅粉の平均粒子径dCu-fine-powderと、球状銅粉の平均粒径dCu-powderの比率、(dCu-fine-powder/dCu-powder)は、1/10に選択されている。
脂肪族モノカルボン酸の銅塩((R-COO)2Cu(II))として、オレイン酸銅((CH3(CH27CH=CH(CH27COO)2Cu(II))を採用し、予め、ジブチルアミノプロピルアミン((C492N(CH23NH2、融点:−50℃、沸点:238℃)中に溶解し、オレイン酸銅のアミン錯体を形成させている。なお、固体のオレイン酸銅自体は、Cu:Cu結合を有する二量体を形成している。形成されるオレイン酸銅のアミン錯体は、オレイン酸銅((CH3(CH27CH=CH(CH27COO)2Cu(II))1分子に対して、ジブチルアミノプロピルアミン((C492N(CH23NH2)2分子が、銅カチオン(Cu2+)に配位する構造と推定できる。その結果、二量体型のオレイン酸銅は、2分子のオレイン酸銅のアミン錯体に変換され、溶媒のジブチルアミノプロピルアミン中に溶解された状態となる。実施例5−1〜実施例5−10では、オレイン酸銅3.3質量部を、ジブチルアミノプロピルアミン6.6質量部に溶解し、オレイン酸銅のアミン錯体のアミン溶液を予め調製している。該オレイン酸銅のアミン錯体のアミン溶液の組成は、オレイン酸銅1分子当たり、ジブチルアミノプロピルアミン7分子に選択されている。
第一の有機溶媒として、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール(分子量:146.23、融点:−40℃、沸点:245℃)に代えて、下記のアルコール性ヒドロキシル基を有する溶媒を利用している。
(実施例5−1)
1,2−ヘキサンジオール(分子量118.17、融点:−25℃、沸点223℃)、
(実施例5−2)
1,3−ブタンジオール(分子量90.12、融点:<−50℃、沸点208℃)、
(実施例5−3)
1,4−ブタンジオール(分子量90.12、融点:20.1℃、沸点235℃)、
(実施例5−4)
1−デカノール(分子量158.3、融点:6.4℃、沸点232.9℃)、
(実施例5−5)
トリエチレングリコールモノブチルエーテル(TEGBE、分子量206.08、融点−48℃、沸点271℃)
(実施例5−6)
グリセリン(1,2,3−プロパントリオール、分子量92.10、融点18.07℃、沸点290.5℃)、
(実施例5−7)
1,2,6−ヘキサントリオール(分子量134.17、融点25℃、沸点220℃)、
(実施例5−8)
ジプロピレングリコールモノブチルエーテル(分子量190.29、沸点231℃)
(実施例5−9)
トリプロピレングリコール(分子量192、沸点268℃)
(実施例5−10)
トリプロピレングリコールモノメチルエーテル(分子量206.3、沸点242℃)
焼結助剤は、添加されていない。
三井金属製球状銅粉1400YM80質量部、三井金属製微細銅粉1020Y20質量部に、オレイン酸銅3.3質量部をジブチルアミノプロピルアミン6.6質量部中に溶解した溶液と、前記の各種溶媒3質量部を混合する。その後、攪拌脱泡器で攪拌して、液相中に、前記銅粉と微細銅粉が均一に分散している、銅ペーストを調製する。
前記球状銅粉と微細銅粉の金属銅原子数の総和と、オレイン酸銅中の銅との原子数の比率、(球状銅粉と微細銅粉の金属銅原子数の総和):(オレイン酸銅中の銅との原子数)は、299:1(100:0.334)となっている。
調製された銅ペーストを、スライドガラス上に、5mm×20mmのパターンで塗布した。該銅ペースト塗布膜を、N2/3%H2雰囲気下、400℃、10min加熱処理して、焼成を行った。該焼成物を平均膜厚の均一な導電体と仮定して、測定したシート抵抗値から、体積固有抵抗率を算出した。
下記の表5−1〜表5−3に、実施例5−1〜実施例5−10の導電性銅ペーストの組成を示す。また、銅ペースト塗布膜の平均膜厚、焼成物を平均膜厚、算出した体積固有抵抗率も併せて示す。
Figure 2012028243
Figure 2012028243
Figure 2012028243
実施例5−1では、N2/3%H2雰囲気中、加熱処理を行っている間に、ジブチルアミノプロピルアミンと1,2−ヘキサンジオールの蒸散も進む。その結果、液相の体積が減少する(濃縮が進む)と、液相は、微細銅粉、銅粉相互の接触部位の周囲の狭い隙間、下地層と微細銅粉、銅粉の接触部位の周囲の狭い隙間に、液相が凝集された状態となる。そのため、液相の濃縮とともに、合計4分子のジブチルアミノプロピルアミンが配位している金属銅原子(Cu(0):4((C4H9)2N(CH2)3NH2)は、微細銅粉、銅粉相互の接触部位の周囲の狭い隙間、下地層と微細銅粉、銅粉の接触部位の周囲の狭い隙間で、優先的に金属銅原子の凝集体を形成する。従って、微細銅粉、銅粉相互の接触部位の周囲の狭い隙間、下地層と微細銅粉、銅粉の接触部位の周囲の狭い隙間は、該金属銅原子の凝集体で埋め込まれた状態となる。その後、焼成が進行すると、微細銅粉、銅粉相互の接触部位の周囲、下地層と微細銅粉、銅粉の接触部位の周囲では、該金属銅原子の凝集体と、微細銅粉、銅粉との一体化が進行する。結果的に、微細銅粉、銅粉相互の接触部位、下地層と微細銅粉、銅粉の接触部位では、接触面積の拡大がなされる。
なお、オレイン酸銅のアミン錯体の還元に伴って、副生されるオレイン酸(沸点:286℃)は、第一の有機溶媒の1,2−ヘキサンジオール中に一旦は溶解する。その後、N2/3%H2雰囲気中、加熱処理を行う際、オレイン酸は、第一の有機溶媒の1,2−ヘキサンジオールと同様に、徐々に蒸散される。
また、当初、銅粉、微細銅粉の表面に露呈している金属銅に対しては、ジブチルアミノプロピルアミンが、そのアミノ基(−NH2)の孤立電子対を利用して、配位的な結合をしている。ジブチルアミノプロピルアミンの沸点(238℃)は、分散溶媒の1,2−ヘキサンジオールの沸点(223℃)より僅か高い。その沸点の差は僅かであるので、ジブチルアミノプロピルアミンと1,2−ヘキサンジオールの蒸散速度には大きな差は無い。従って、銅粉、微細銅粉の表面に露呈している金属銅に対して、配位的な結合をしているジブチルアミノプロピルアミンは、液相中に溶出し、蒸散することで、離脱がなされる。最終的に、微細銅粉、銅粉相互の接触部位において、表面に露呈している金属銅が直接接する状態となると、焼結が進行する。
実施例5−2では、N2/3%H2雰囲気中、加熱処理を行っている間に、ジブチルアミノプロピルアミンと1,3−ブタンジオールの蒸散も進む。その結果、液相の体積が減少する(濃縮が進む)と、液相は、微細銅粉、銅粉相互の接触部位の周囲の狭い隙間、下地層と微細銅粉、銅粉の接触部位の周囲の狭い隙間に、液相が凝集された状態となる。そのため、液相の濃縮とともに、合計4分子のジブチルアミノプロピルアミンが配位している金属銅原子(Cu(0):4((C4H9)2N(CH2)3NH2)は、微細銅粉、銅粉相互の接触部位の周囲の狭い隙間、下地層と微細銅粉、銅粉の接触部位の周囲の狭い隙間で、優先的に金属銅原子の凝集体を形成する。従って、微細銅粉、銅粉相互の接触部位の周囲の狭い隙間、下地層と微細銅粉、銅粉の接触部位の周囲の狭い隙間は、該金属銅原子の凝集体で埋め込まれた状態となる。その後、焼成が進行すると、微細銅粉、銅粉相互の接触部位の周囲、下地層と微細銅粉、銅粉の接触部位の周囲では、該金属銅原子の凝集体と、微細銅粉、銅粉との一体化が進行する。結果的に、微細銅粉、銅粉相互の接触部位、下地層と微細銅粉、銅粉の接触部位では、接触面積の拡大がなされる。
なお、オレイン酸銅のアミン錯体の還元に伴って、副生されるオレイン酸(沸点:286℃)は、第一の有機溶媒の1,3−ブタンジオール中に一旦は溶解する。その後、N2/3%H2雰囲気中、加熱処理を行う際、オレイン酸は、第一の有機溶媒の1,3−ブタンジオールと同様に、徐々に蒸散される。
また、当初、銅粉、微細銅粉の表面に露呈している金属銅に対しては、ジブチルアミノプロピルアミンが、そのアミノ基(−NH2)の孤立電子対を利用して、配位的な結合をしている。ジブチルアミノプロピルアミンの沸点(238℃)は、第一の有機溶媒の1,3−ブタンジオールの沸点(208℃)より高い。その沸点の差は然程大きくないので、ジブチルアミノプロピルアミンと1,3−ブタンジオールの蒸散速度には然程大きな差は無い。従って、銅粉、微細銅粉の表面に露呈している金属銅に対して、配位的な結合をしているジブチルアミノプロピルアミンは、液相中に溶出し、蒸散することで、離脱がなされる。最終的に、微細銅粉、銅粉相互の接触部位において、表面に露呈している金属銅が直接接する状態となると、焼結が進行する。
実施例5−3では、N2/3%H2雰囲気中、加熱処理を行っている間に、ジブチルアミノプロピルアミンと1,4−ブタンジオールの蒸散も進む。その結果、液相の体積が減少する(濃縮が進む)と、液相は、微細銅粉、銅粉相互の接触部位の周囲の狭い隙間、下地層と微細銅粉、銅粉の接触部位の周囲の狭い隙間に、液相が凝集された状態となる。そのため、液相の濃縮とともに、合計4分子のジブチルアミノプロピルアミンが配位している金属銅原子(Cu(0):4((C4H9)2N(CH2)3NH2)は、微細銅粉、銅粉相互の接触部位の周囲の狭い隙間、下地層と微細銅粉、銅粉の接触部位の周囲の狭い隙間で、優先的に金属銅原子の凝集体を形成する。従って、微細銅粉、銅粉相互の接触部位の周囲の狭い隙間、下地層と微細銅粉、銅粉の接触部位の周囲の狭い隙間は、該金属銅原子の凝集体で埋め込まれた状態となる。その後、焼成が進行すると、微細銅粉、銅粉相互の接触部位の周囲、下地層と微細銅粉、銅粉の接触部位の周囲では、該金属銅原子の凝集体と、微細銅粉、銅粉との一体化が進行する。結果的に、微細銅粉、銅粉相互の接触部位、下地層と微細銅粉、銅粉の接触部位では、接触面積の拡大がなされる。
なお、オレイン酸銅のアミン錯体の還元に伴って、副生されるオレイン酸(沸点:286℃)は、第一の有機溶媒の1,4−ブタンジオール中に一旦は溶解する。その後、N2/3%H2雰囲気中、加熱処理を行う際、オレイン酸は、第一の有機溶媒の1,4−ブタンジオールと同様に、徐々に蒸散される。
また、当初、銅粉、微細銅粉の表面に露呈している金属銅に対しては、ジブチルアミノプロピルアミンが、そのアミノ基(−NH2)の孤立電子対を利用して、配位的な結合をしている。ジブチルアミノプロピルアミンの沸点(238℃)は、第一の有機溶媒の1,4−ブタンジオールの沸点(235℃)より僅かに高い。その沸点の差は小さいので、ジブチルアミノプロピルアミンと1,4−ブタンジオールの蒸散速度には大きな差は無い。従って、銅粉、微細銅粉の表面に露呈している金属銅に対して、配位的な結合をしているジブチルアミノプロピルアミンは、液相中に溶出し、蒸散することで、離脱がなされる。最終的に、微細銅粉、銅粉相互の接触部位において、表面に露呈している金属銅が直接接する状態となると、焼結が進行する。
実施例5−4では、N2/3%H2雰囲気中、加熱処理を行っている間に、ジブチルアミノプロピルアミンと1−デカノールの蒸散も進む。その結果、液相の体積が減少する(濃縮が進む)と、液相は、微細銅粉、銅粉相互の接触部位の周囲の狭い隙間、下地層と微細銅粉、銅粉の接触部位の周囲の狭い隙間に、液相が凝集された状態となる。そのため、液相の濃縮とともに、合計4分子のジブチルアミノプロピルアミンが配位している金属銅原子(Cu(0):4((C4H9)2N(CH2)3NH2)は、微細銅粉、銅粉相互の接触部位の周囲の狭い隙間、下地層と微細銅粉、銅粉の接触部位の周囲の狭い隙間で、優先的に金属銅原子の凝集体を形成する。従って、微細銅粉、銅粉相互の接触部位の周囲の狭い隙間、下地層と微細銅粉、銅粉の接触部位の周囲の狭い隙間は、該金属銅原子の凝集体で埋め込まれた状態となる。その後、焼成が進行すると、微細銅粉、銅粉相互の接触部位の周囲、下地層と微細銅粉、銅粉の接触部位の周囲では、該金属銅原子の凝集体と、微細銅粉、銅粉との一体化が進行する。結果的に、微細銅粉、銅粉相互の接触部位、下地層と微細銅粉、銅粉の接触部位では、接触面積の拡大がなされる。
なお、オレイン酸銅のアミン錯体の還元に伴って、副生されるオレイン酸(沸点:286℃)は、第一の有機溶媒の1−デカノール中に一旦は溶解する。その後、N2/3%H2雰囲気中、加熱処理を行う際、オレイン酸は、第一の有機溶媒の1−デカノールと同様に、徐々に蒸散される。
また、当初、銅粉、微細銅粉の表面に露呈している金属銅に対しては、ジブチルアミノプロピルアミンが、そのアミノ基(−NH2)の孤立電子対を利用して、配位的な結合をしている。ジブチルアミノプロピルアミンの沸点(238℃)は、第一の有機溶媒の1−デカノールの沸点(232.9℃)より僅かに高い。その沸点の差は大きくないので、ジブチルアミノプロピルアミンと1−デカノールの蒸散速度には大きな差は無い。従って、銅粉、微細銅粉の表面に露呈している金属銅に対して、配位的な結合をしているジブチルアミノプロピルアミンは、液相中に溶出し、蒸散することで、離脱がなされる。最終的に、微細銅粉、銅粉相互の接触部位において、表面に露呈している金属銅が直接接する状態となると、焼結が進行する。
実施例5−5では、N2/3%H2雰囲気中、加熱処理を行っている間に、ジブチルアミノプロピルアミンとTEGBEの蒸散も進む。その結果、液相の体積が減少する(濃縮が進む)と、液相は、微細銅粉、銅粉相互の接触部位の周囲の狭い隙間、下地層と微細銅粉、銅粉の接触部位の周囲の狭い隙間に、液相が凝集された状態となる。そのため、液相の濃縮とともに、合計4分子のジブチルアミノプロピルアミンが配位している金属銅原子(Cu(0):4((C4H9)2N(CH2)3NH2)は、微細銅粉、銅粉相互の接触部位の周囲の狭い隙間、下地層と微細銅粉、銅粉の接触部位の周囲の狭い隙間で、優先的に金属銅原子の凝集体を形成する。従って、微細銅粉、銅粉相互の接触部位の周囲の狭い隙間、下地層と微細銅粉、銅粉の接触部位の周囲の狭い隙間は、該金属銅原子の凝集体で埋め込まれた状態となる。その後、焼成が進行すると、微細銅粉、銅粉相互の接触部位の周囲、下地層と微細銅粉、銅粉の接触部位の周囲では、該金属銅原子の凝集体と、微細銅粉、銅粉との一体化が進行する。結果的に、微細銅粉、銅粉相互の接触部位、下地層と微細銅粉、銅粉の接触部位では、接触面積の拡大がなされる。
なお、オレイン酸銅のアミン錯体の還元に伴って、副生されるオレイン酸(沸点:286℃)は、第一の有機溶媒のTEGBE中に一旦は溶解する。その後、N2/3%H2雰囲気中、加熱処理を行う際、オレイン酸は、第一の有機溶媒のTEGBEと同様に、徐々に蒸散される。
また、当初、銅粉、微細銅粉の表面に露呈している金属銅に対しては、ジブチルアミノプロピルアミンが、そのアミノ基(−NH2)の孤立電子対を利用して、配位的な結合をしている。ジブチルアミノプロピルアミンの沸点(238℃)は、第一の有機溶媒のTEGBEの沸点(271℃)より有意に低いため、ジブチルアミノプロピルアミンの蒸散速度は相対的に速い。その結果、液相中のジブチルアミノプロピルアミンの濃度が低下し、銅粉、微細銅粉の表面に露呈している金属銅に対して、配位的な結合をしているジブチルアミノプロピルアミンの離脱が促進される。最終的に、微細銅粉、銅粉相互の接触部位において、表面に露呈している金属銅が直接接する状態となると、焼結が進行する。
実施例5−6では、N2/3%H2雰囲気中、加熱処理を行っている間に、ジブチルアミノプロピルアミンとグリセリンの蒸散も進む。その結果、液相の体積が減少する(濃縮が進む)と、液相は、微細銅粉、銅粉相互の接触部位の周囲の狭い隙間、下地層と微細銅粉、銅粉の接触部位の周囲の狭い隙間に、液相が凝集された状態となる。そのため、液相の濃縮とともに、合計4分子のジブチルアミノプロピルアミンが配位している金属銅原子(Cu(0):4((C4H9)2N(CH2)3NH2)は、微細銅粉、銅粉相互の接触部位の周囲の狭い隙間、下地層と微細銅粉、銅粉の接触部位の周囲の狭い隙間で、優先的に金属銅原子の凝集体を形成する。従って、微細銅粉、銅粉相互の接触部位の周囲の狭い隙間、下地層と微細銅粉、銅粉の接触部位の周囲の狭い隙間は、該金属銅原子の凝集体で埋め込まれた状態となる。その後、焼成が進行すると、微細銅粉、銅粉相互の接触部位の周囲、下地層と微細銅粉、銅粉の接触部位の周囲では、該金属銅原子の凝集体と、微細銅粉、銅粉との一体化が進行する。結果的に、微細銅粉、銅粉相互の接触部位、下地層と微細銅粉、銅粉の接触部位では、接触面積の拡大がなされる。
なお、オレイン酸銅のアミン錯体の還元に伴って、副生されるオレイン酸(沸点:286℃)は、第一の有機溶媒のグリセリン中に一旦は溶解する。その後、N2/3%H2雰囲気中、加熱処理を行う際、オレイン酸は、第一の有機溶媒のグリセリンと同様に、徐々に蒸散される。
また、当初、銅粉、微細銅粉の表面に露呈している金属銅に対しては、ジブチルアミノプロピルアミンが、そのアミノ基(−NH2)の孤立電子対を利用して、配位的な結合をしている。ジブチルアミノプロピルアミンの沸点(238℃)は、第一の有機溶媒のグリセリンの沸点(290.5℃)より有意に低いため、ジブチルアミノプロピルアミンの蒸散速度は相対的に速い。その結果、液相中のジブチルアミノプロピルアミンの濃度が低下し、銅粉、微細銅粉の表面に露呈している金属銅に対して、配位的な結合をしているジブチルアミノプロピルアミンの離脱が促進される。最終的に、微細銅粉、銅粉相互の接触部位において、表面に露呈している金属銅が直接接する状態となると、焼結が進行する。
実施例5−7では、N2/3%H2雰囲気中、加熱処理を行っている間に、ジブチルアミノプロピルアミンと1,2,6−ヘキサントリオールの蒸散も進む。その結果、液相の体積が減少する(濃縮が進む)と、液相は、微細銅粉、銅粉相互の接触部位の周囲の狭い隙間、下地層と微細銅粉、銅粉の接触部位の周囲の狭い隙間に、液相が凝集された状態となる。そのため、液相の濃縮とともに、合計4分子のジブチルアミノプロピルアミンが配位している金属銅原子(Cu(0):4((C4H9)2N(CH2)3NH2)は、微細銅粉、銅粉相互の接触部位の周囲の狭い隙間、下地層と微細銅粉、銅粉の接触部位の周囲の狭い隙間で、優先的に金属銅原子の凝集体を形成する。従って、微細銅粉、銅粉相互の接触部位の周囲の狭い隙間、下地層と微細銅粉、銅粉の接触部位の周囲の狭い隙間は、該金属銅原子の凝集体で埋め込まれた状態となる。その後、焼成が進行すると、微細銅粉、銅粉相互の接触部位の周囲、下地層と微細銅粉、銅粉の接触部位の周囲では、該金属銅原子の凝集体と、微細銅粉、銅粉との一体化が進行する。結果的に、微細銅粉、銅粉相互の接触部位、下地層と微細銅粉、銅粉の接触部位では、接触面積の拡大がなされる。
なお、オレイン酸銅のアミン錯体の還元に伴って、副生されるオレイン酸(沸点:286℃)は、第一の有機溶媒の1,2,6−ヘキサントリオール中に一旦は溶解する。その後、N2/3%H2雰囲気中、加熱処理を行う際、オレイン酸は、第一の有機溶媒分散溶媒の1,2,6−ヘキサントリオールと同様に、徐々に蒸散される。
また、当初、銅粉、微細銅粉の表面に露呈している金属銅に対しては、ジブチルアミノプロピルアミンが、そのアミノ基(−NH2)の孤立電子対を利用して、配位的な結合をしている。ジブチルアミノプロピルアミンの沸点(238℃)は、第一の有機溶媒の1,2,6−ヘキサントリオールの沸点(220℃)より若干高い。その沸点の差は然程大きくないので、ジブチルアミノプロピルアミンと1,2,6−ヘキサントリオールの蒸散速度には然程大きな差は無い。従って、銅粉、微細銅粉の表面に露呈している金属銅に対して、配位的な結合をしているジブチルアミノプロピルアミンは、液相中に溶出し、蒸散することで、離脱がなされる。最終的に、微細銅粉、銅粉相互の接触部位において、表面に露呈している金属銅が直接接する状態となると、焼結が進行する。
実施例5−8では、N2/3%H2雰囲気中、加熱処理を行っている間に、ジブチルアミノプロピルアミンとジプロピレングリコールモノブチルエーテルの蒸散も進む。その結果、液相の体積が減少する(濃縮が進む)と、液相は、微細銅粉、銅粉相互の接触部位の周囲の狭い隙間、下地層と微細銅粉、銅粉の接触部位の周囲の狭い隙間に、液相が凝集された状態となる。そのため、液相の濃縮とともに、4分子のジブチルアミノプロピルアミンが配位している金属銅原子(Cu(0):4((C4H9)2N(CH2)3NH2)は、微細銅粉、銅粉相互の接触部位の周囲の狭い隙間、下地層と微細銅粉、銅粉の接触部位の周囲の狭い隙間で、優先的に金属銅原子の凝集体を形成する。従って、微細銅粉、銅粉相互の接触部位の周囲の狭い隙間、下地層と微細銅粉、銅粉の接触部位の周囲の狭い隙間は、該金属銅原子の凝集体で埋め込まれた状態となる。その後、焼成が進行すると、微細銅粉、銅粉相互の接触部位の周囲、下地層と微細銅粉、銅粉の接触部位の周囲では、該金属銅原子の凝集体と、微細銅粉、銅粉との一体化が進行する。結果的に、微細銅粉、銅粉相互の接触部位、下地層と微細銅粉、銅粉の接触部位では、接触面積の拡大がなされる。
なお、オレイン酸銅のアミン錯体の還元に伴って、副生されるオレイン酸(沸点:286℃)は、第一の有機溶媒のジプロピレングリコールモノブチルエーテル中に一旦は溶解する。その後、N2/3%H2雰囲気中、加熱処理を行う際、オレイン酸は、第一の有機溶媒のジプロピレングリコールモノブチルエーテルと同様に、徐々に蒸散される。
また、当初、銅粉、微細銅粉の表面に露呈している金属銅に対しては、ジブチルアミノプロピルアミンが、そのアミノ基(−NH2)の孤立電子対を利用して、配位的な結合をしている。ジブチルアミノプロピルアミンの沸点(238℃)は、第一の有機溶媒のジプロピレングリコールモノブチルエーテルの沸点(231℃)同程度であるため、ジブチルアミノプロピルアミンの蒸散速度も同程度である。その結果、液相中のジブチルアミノプロピルアミンの濃度が低下し、銅粉、微細銅粉の表面に露呈している金属銅に対して、配位的な結合をしているジブチルアミノプロピルアミンの離脱が促進される。最終的に、微細銅粉、銅粉相互の接触部位において、表面に露呈している金属銅が直接接する状態となると、焼結が進行する。
実施例5−9では、N2/3%H2雰囲気中、加熱処理を行っている間に、ジブチルアミノプロピルアミンとトリプロピレングリコールの蒸散も進む。その結果、液相の体積が減少する(濃縮が進む)と、液相は、微細銅粉、銅粉相互の接触部位の周囲の狭い隙間、下地層と微細銅粉、銅粉の接触部位の周囲の狭い隙間に、液相が凝集された状態となる。そのため、液相の濃縮とともに、4分子のジブチルアミノプロピルアミンが配位している金属銅原子(Cu(0):4((C4H9)2N(CH2)3NH2)は、微細銅粉、銅粉相互の接触部位の周囲の狭い隙間、下地層と微細銅粉、銅粉の接触部位の周囲の狭い隙間で、優先的に金属銅原子の凝集体を形成する。従って、微細銅粉、銅粉相互の接触部位の周囲の狭い隙間、下地層と微細銅粉、銅粉の接触部位の周囲の狭い隙間は、該金属銅原子の凝集体で埋め込まれた状態となる。その後、焼成が進行すると、微細銅粉、銅粉相互の接触部位の周囲、下地層と微細銅粉、銅粉の接触部位の周囲では、該金属銅原子の凝集体と、微細銅粉、銅粉との一体化が進行する。結果的に、微細銅粉、銅粉相互の接触部位、下地層と微細銅粉、銅粉の接触部位では、接触面積の拡大がなされる。
なお、オレイン酸銅のアミン錯体の還元に伴って、副生されるオレイン酸(沸点:286℃)は、第一の有機溶媒のトリプロピレングリコール中に一旦は溶解する。その後、N2/3%H2雰囲気中、加熱処理を行う際、オレイン酸は、第一の有機溶媒のトリプロピレングリコールと同様に、徐々に蒸散される。
また、当初、銅粉、微細銅粉の表面に露呈している金属銅に対しては、ジブチルアミノプロピルアミンが、そのアミノ基(−NH2)の孤立電子対を利用して、配位的な結合をしている。ジブチルアミノプロピルアミンの沸点(238℃)は、第一の有機溶媒のトリプロピレングリコールの沸点(268℃)より有意に低いため、ジブチルアミノプロピルアミンの蒸散速度が相対的に速い。その結果、液相中のジブチルアミノプロピルアミンの濃度が低下し、銅粉、微細銅粉の表面に露呈している金属銅に対して、配位的な結合をしているジブチルアミノプロピルアミンの離脱が促進される。最終的に、微細銅粉、銅粉相互の接触部位において、表面に露呈している金属銅が直接接する状態となると、焼結が進行する。
実施例5−10では、N2/3%H2雰囲気中、加熱処理を行っている間に、ジブチルアミノプロピルアミンとトリプロピレングリコールモノメチルエーテルの蒸散も進む。その結果、液相の体積が減少する(濃縮が進む)と、液相は、微細銅粉、銅粉相互の接触部位の周囲の狭い隙間、下地層と微細銅粉、銅粉の接触部位の周囲の狭い隙間に、液相が凝集された状態となる。そのため、液相の濃縮とともに、4分子のジブチルアミノプロピルアミンが配位している金属銅原子(Cu(0):4((C4H9)2N(CH2)3NH2)は、微細銅粉、銅粉相互の接触部位の周囲の狭い隙間、下地層と微細銅粉、銅粉の接触部位の周囲の狭い隙間で、優先的に金属銅原子の凝集体を形成する。従って、微細銅粉、銅粉相互の接触部位の周囲の狭い隙間、下地層と微細銅粉、銅粉の接触部位の周囲の狭い隙間は、該金属銅原子の凝集体で埋め込まれた状態となる。その後、焼成が進行すると、微細銅粉、銅粉相互の接触部位の周囲、下地層と微細銅粉、銅粉の接触部位の周囲では、該金属銅原子の凝集体と、微細銅粉、銅粉との一体化が進行する。結果的に、微細銅粉、銅粉相互の接触部位、下地層と微細銅粉、銅粉の接触部位では、接触面積の拡大がなされる。
なお、オレイン酸銅のアミン錯体の還元に伴って、副生されるオレイン酸(沸点:286℃)は、第一の有機溶媒のトリプロピレングリコールモノメチルエーテル中に一旦は溶解する。その後、N2/3%H2雰囲気中、加熱処理を行う際、オレイン酸は、第一の有機溶媒のトリプロピレングリコールモノメチルエーテルと同様に、徐々に蒸散される。
また、当初、銅粉、微細銅粉の表面に露呈している金属銅に対しては、ジブチルアミノプロピルアミンが、そのアミノ基(−NH2)の孤立電子対を利用して、配位的な結合をしている。ジブチルアミノプロピルアミンの沸点(238℃)は、第一の有機溶媒のトリプロピレングリコールモノメチルエーテルの沸点(242℃)同程度であるため、ジブチルアミノプロピルアミンの蒸散速度も同程度である。その結果、液相中のジブチルアミノプロピルアミンの濃度が低下し、銅粉、微細銅粉の表面に露呈している金属銅に対して、配位的な結合をしているジブチルアミノプロピルアミンの離脱が促進される。最終的に、微細銅粉、銅粉相互の接触部位において、表面に露呈している金属銅が直接接する状態となると、焼結が進行する。
(参考例1)
本参考例1の導電性銅ペーストは、下記の原料を用いて調製されている。
平均粒径が2〜10μmの範囲に選択される銅粉として、三井金属製球状銅粉1400YM(平均粒径4μm、BET比表面積1600cm2/g)を、平均粒子径が0.2μm〜1.0μmの範囲に選択される微細銅粉として、三井金属製微細銅粉1020Y(平均粒径0.4μm、BET比表面積26000cm2/g)を使用する。該微細銅粉の平均粒子径dCu-fine-powderと、球状銅粉の平均粒径dCu-powderの比率、(dCu-fine-powder/dCu-powder)は、1/10に選択されている。
脂肪族モノカルボン酸の銅塩((R-COO)2Cu(II))として、オレイン酸銅((CH3(CH27CH=CH(CH27COO)2Cu(II))を採用し、予め、ジブチルアミノプロピルアミン((C492N(CH23NH2、融点:−50℃、沸点:238℃)中に溶解し、オレイン酸銅のアミン錯体を形成させている。なお、固体のオレイン酸銅自体は、Cu:Cu結合を有する二量体を形成している。形成されるオレイン酸銅のアミン錯体は、オレイン酸銅((CH3(CH27CH=CH(CH27COO)2Cu(II))1分子に対して、ジブチルアミノプロピルアミン((C492N(CH23NH2)2分子が、銅カチオン(Cu2+)に配位する構造と推定できる。その結果、二量体型のオレイン酸銅は、2分子のオレイン酸銅のアミン錯体に変換され、溶媒のジブチルアミノプロピルアミン中に溶解された状態となる。本参考例1では、オレイン酸銅3.3質量部を、ジブチルアミノプロピルアミン6.6質量部に溶解し、オレイン酸銅のアミン錯体のアミン溶液を予め調製している。該オレイン酸銅のアミン錯体のアミン溶液の組成は、オレイン酸銅1分子当たり、ジブチルアミノプロピルアミン7分子に選択されている。
分散溶媒として利用する脂肪族多価アルコールは、1,2−ブタンジオール(分子量90.12、融点:−50℃、沸点195〜196.9℃)である。
焼結助剤は、添加されていない。
三井金属製球状銅粉1400YM80質量部、三井金属製微細銅粉1020Y20質量部に、オレイン酸銅3.3質量部をジブチルアミノプロピルアミン6.6質量部中に溶解した溶液と、1,2−ブタンジオール3質量部を混合する。その後、攪拌脱泡器で攪拌して、液相中に、前記銅粉と微細銅粉が均一に分散している、銅ペーストを調製する。
前記球状銅粉と微細銅粉の金属銅原子数の総和と、オレイン酸銅中の銅との原子数の比率、(球状銅粉と微細銅粉の金属銅原子数の総和):(オレイン酸銅中の銅との原子数)は、299:1(100:0.334)となっている。また、球状銅粉と微細銅粉の金属銅1モル当たり、1,2−ブタンジオール0.021モルが含まれている。
調製された銅ペースト中における、前記球状銅粉と微細銅粉の体積比率は、43.61体積%となっている。
また、3.3質量部のオレイン酸銅中の銅が、全て金属銅原子に還元されると、オレイン酸銅に由来する金属銅原子の合計は、0.34質量部となる。従って、調製された銅ペースト100容量部に対する、オレイン酸銅に由来する金属銅原子、球状銅粉と微細銅粉の体積の合計は、43.76容量部となる。
調製された銅ペーストの液粘度は、3Pa・s(スパイラル回転粘度計 10rpm 25℃)であった。
まず、該銅ペースト中に分散されている、球状銅粉と微細銅粉の表面は、液相中に含まれる、ジブチルアミノプロピルアミン、または1,2−ブタンジオールが、溶媒和(吸着)している。表面に露呈している金属銅に対しては、ジブチルアミノプロピルアミンが、そのアミノ基(−NH2)の孤立電子対を利用して、配位的な結合をしている。一方、球状銅粉と微細銅粉の表面には、部分的に表面酸化膜が存在している。該表面酸化膜を構成する、酸化銅(CuO)に相当する銅酸化物に対して、1,2−ブタンジオールが、そのヒドロキシル基(>CH−OH)を利用して、該銅酸化物中の酸素原子(Cu−O−Cu)と水素結合型の分子間結合を行っている。その際、表面酸化膜の還元は、下記の二つの素過程を経由して進行すると、推定される。
水素ガスを含む還元性雰囲気中、加熱処理を施すと、1,2−ブタンジオールのヒドロキシル基(>CH−OH)は、該銅酸化物と反応し、下記の酸化・還元反応を起こす。
CuO + (>CH−OH) → Cu + (>C=O) + H2O↑
1,2−ブタンジオール由来の反応生成物(>C=O)は、微細銅粉、銅粉の表面に露呈する金属銅原子(Cu)上に、そのオキソ基(>C=O)のπ電子を利用して、配位することができる。水素ガスを含む還元性雰囲気では、この金属銅原子(Cu)上に配位している、オキソ基(>C=O)に対して、水素分子(H2)が付加することで、元のヒドロキシル基(>CH−OH)に変換することが可能である。
(>C=O) + H2 → (>CH−OH)
一方、該銅ペースト中、オレイン酸銅のアミン錯体は、ジブチルアミノプロピルアミンと1,2−ブタンジオールの混合液中に溶解されている。1,2−ブタンジオールの存在下、N2/3%H2雰囲気中、加熱処理を施すと、下記の反応式で表記される、1,2−ブタンジオールのヒドロキシル基(>CH−OH)のオキソ基(>C=O)への変換と、該オレイン酸銅のアミン錯体の還元反応が進行する。
(CH3(CH2)7CH=CH(CH2)7COO)2Cu(II):2((C4H9)2N(CH2)3NH2)+(>CH−OH)
→ 2CH3(CH2)7CH=CH(CH2)7COOH+(Cu(0):2((C4H9)2N(CH2)3NH2)+(>C=O)
一方、該オレイン酸銅のアミン錯体の還元によって生成する金属銅原子は、ジブチルアミノプロピルアミンが二座配位子として、2分子配位した形状となっている。2分子のジブチルアミノプロピルアミンが配位している金属銅原子(Cu(0):2((C4H9)2N(CH2)3NH2)は、最終的に、銅粉、微細銅粉の表面の金属銅原子を核として、金属銅原子の凝集体を形成する。
2/3%H2雰囲気中、加熱処理を行っている間に、ジブチルアミノプロピルアミンと1,2−ブタンジオールの蒸散も進む。その結果、液相の体積が減少する(濃縮が進む)と、液相は、微細銅粉、銅粉相互の接触部位の周囲の狭い隙間、下地層と微細銅粉、銅粉の接触部位の周囲の狭い隙間に、液相が凝集された状態となる。そのため、液相の濃縮とともに、2分子のジブチルアミノプロピルアミンが配位している金属銅原子(Cu(0):2((C4H9)2N(CH2)3NH2)は、微細銅粉、銅粉相互の接触部位の周囲の狭い隙間、下地層と微細銅粉、銅粉の接触部位の周囲の狭い隙間で、優先的に金属銅原子の凝集体を形成する。従って、微細銅粉、銅粉相互の接触部位の周囲の狭い隙間、下地層と微細銅粉、銅粉の接触部位の周囲の狭い隙間は、該金属銅原子の凝集体で埋め込まれた状態となる。その後、焼成が進行すると、微細銅粉、銅粉相互の接触部位の周囲、下地層と微細銅粉、銅粉の接触部位の周囲では、該金属銅原子の凝集体と、微細銅粉、銅粉との一体化が進行する。結果的に、微細銅粉、銅粉相互の接触部位、下地層と微細銅粉、銅粉の接触部位では、接触面積の拡大がなされる。
なお、オレイン酸銅のアミン錯体の還元に伴って、副生されるオレイン酸(沸点:286℃)は、分散溶媒の1,2−ブタンジオール中に一旦は溶解する。その後、N2/3%H2雰囲気中、加熱処理を行う際、オレイン酸は、分散溶媒の1,2−ブタンジオールと同様に、徐々に蒸散される。
また、当初、銅粉、微細銅粉の表面に露呈している金属銅に対しては、ジブチルアミノプロピルアミンが、そのアミノ基(−NH2)の孤立電子対を利用して、配位的な結合をしている。ジブチルアミノプロピルアミンの沸点(238℃)は、分散溶媒の1,2−ブタンジオールの沸点(195〜196.9℃)より有意に高い。その沸点の差は相当に大きいので、ジブチルアミノプロピルアミンと1,2−ブタンジオールの蒸散速度には相当に大きな差がある。銅粉、微細銅粉の表面に露呈している金属銅に対して、配位的な結合をしているジブチルアミノプロピルアミンは、一旦、液相中に溶出するが、1,2−ブタンジオールの蒸散が進行すると、液相中でジブチルアミノプロピルアミンが濃縮される。その際、銅粉、微細銅粉の接触部位の隙間に、濃縮されたジブチルアミノプロピルアミンを含む液相が凝集される。最終的に、ジブチルアミノプロピルアミンは蒸散されるが、微細銅粉、銅粉相互の接触部位の周囲に、金属銅原子の凝集体が埋め込まれた状態に達する過程が部分的に阻害される。結果的に、該金属銅原子の凝集体と、微細銅粉、銅粉との一体化が進行することに因る、接触面積の拡大の効果が制限される。
調製された銅ペーストを、スライドガラス上に、5mm×20mmのパターンで塗布した。該銅ペースト塗布膜の平均厚さは、55μmであった。該銅ペースト塗布膜を、N2/3%H2雰囲気下、400℃、10min加熱処理して、焼成を行った。
得られた焼成物の平均膜厚は、44μmであった。該焼成物を前記平均膜厚の均一な導電体と仮定して、測定したシート抵抗値から、体積固有抵抗率を算出した。算出された体積固有抵抗率は、18μΩ・cmであった。
金属銅の抵抗率 1.673μΩ・cm(30℃)に対して、得られた焼成物の体積固有抵抗率18μΩ・cmは、10.7倍となっている。
(参考例2)
本参考例2の導電性銅ペーストは、下記の原料を用いて調製されている。
平均粒径が2〜10μmの範囲に選択される銅粉として、三井金属製球状銅粉1400YM(平均粒径4μm、BET比表面積1600cm2/g)を、平均粒子径が0.2μm〜1.0μmの範囲に選択される微細銅粉として、三井金属製微細銅粉1020Y(平均粒径0.4μm、BET比表面積26000cm2/g)を使用する。該微細銅粉の平均粒子径dCu-fine-powderと、球状銅粉の平均粒径dCu-powderの比率、(dCu-fine-powder/dCu-powder)は、1/10に選択されている。
脂肪族モノカルボン酸の銅塩((R-COO)2Cu(II))として、オレイン酸銅((CH3(CH27CH=CH(CH27COO)2Cu(II))を採用し、予め、ジブチルアミノプロピルアミン((C492N(CH23NH2、融点:−50℃、沸点:238℃)中に溶解し、オレイン酸銅のアミン錯体を形成させている。なお、固体のオレイン酸銅自体は、Cu:Cu結合を有する二量体を形成している。形成されるオレイン酸銅のアミン錯体は、オレイン酸銅((CH3(CH27CH=CH(CH27COO)2Cu(II))1分子に対して、ジブチルアミノプロピルアミン((C492N(CH23NH2)2分子が、銅カチオン(Cu2+)に配位する構造と推定できる。その結果、二量体型のオレイン酸銅は、2分子のオレイン酸銅のアミン錯体に変換され、溶媒のジブチルアミノプロピルアミン中に溶解された状態となる。本参考例2では、オレイン酸銅3.3質量部を、ジブチルアミノプロピルアミン6.6質量部に溶解し、オレイン酸銅のアミン錯体のアミン溶液を予め調製している。該オレイン酸銅のアミン錯体のアミン溶液の組成は、オレイン酸銅1分子当たり、ジブチルアミノプロピルアミン7分子に選択されている。
分散溶媒として、α−テルピネオール(分子量154.25、融点:31−35℃、沸点217−218℃)を使用している。
Figure 2012028243
焼結助剤は、添加されていない。
三井金属製球状銅粉1400YM80質量部、三井金属製微細銅粉1020Y20質量部に、オレイン酸銅3.3質量部をジブチルアミノプロピルアミン6.6質量部中に溶解した溶液と、α−テルピネオール3質量部を混合する。その後、攪拌脱泡器で攪拌して、液相中に、前記銅粉と微細銅粉が均一に分散している、銅ペーストを調製する。
前記球状銅粉と微細銅粉の金属銅原子数の総和と、オレイン酸銅中の銅との原子数の比率、(球状銅粉と微細銅粉の金属銅原子数の総和):(オレイン酸銅中の銅との原子数)は、299:1(100:0.334)となっている。また、球状銅粉と微細銅粉の金属銅1モル当たり、α−テルピネオール0.012モルが含まれている。
調製された銅ペースト中における、前記球状銅粉と微細銅粉の体積比率は、42.88体積%となっている。
また、3.3質量部のオレイン酸銅中の銅が、全て金属銅原子に還元されると、オレイン酸銅に由来する金属銅原子の合計は、0.34質量部となる。従って、調製された銅ペースト100容量部に対する、オレイン酸銅に由来する金属銅原子、球状銅粉と微細銅粉の体積の合計は、43.22容量部となる。
調製された銅ペーストの液粘度は、3Pa・s(スパイラル回転粘度計 10rpm 25℃)であった。
まず、該銅ペースト中に分散されている、球状銅粉と微細銅粉の表面は、液相中に含まれる、ジブチルアミノプロピルアミン、またはα−テルピネオールが、溶媒和(吸着)している。表面に露呈している金属銅に対しては、ジブチルアミノプロピルアミンが、そのアミノ基(−NH2)の孤立電子対を利用して、配位的な結合をしている。一方、球状銅粉と微細銅粉の表面には、部分的に表面酸化膜が存在している。該表面酸化膜を構成する、酸化銅(CuO)に相当する銅酸化物に対して、α−テルピネオールが、そのヒドロキシル基(−OH)を利用して、該銅酸化物中の酸素原子(Cu−O−Cu)と水素結合型の分子間結合を行っている。
α−テルピネオールのヒドロキシル基(−OH)は、酸化によるオキソ基(>C=O)への変換が不可能である。
一方、表面酸化膜の還元は、下記の二つの素過程を経由して進行すると、推定される。
水素ガスを含む還元性雰囲気中、加熱処理を施すと、α−テルピネオールは、酸化銅(CuO)によって、酸化的脱水素反応を受け、一方、酸化銅(CuO)は、金属銅と、水分子(H2O)に変換されると推定される。
CuO + (−CH2−CH<) → Cu + (−CH=C<) + H2O↑
α−テルピネオール由来の反応生成物(−CH=C<)は、微細銅粉、銅粉の表面に露呈する金属銅原子(Cu)上に、C=C結合(−CH=C<)のπ電子を利用して、配位することができる。水素ガスを含む還元性雰囲気では、この金属銅原子(Cu)上に配位している、C=C結合(−CH=C<)に対して、還元的水素付加反応によって、水素分子(H2)が付加されることで、C−C結合(−CH2−CH<)に変換することが可能である。
(−CH=C<) + H2 → (−CH2−CH<)
一方、該銅ペースト中、オレイン酸銅のアミン錯体は、ジブチルアミノプロピルアミンとα−テルピネオールの混合液中に溶解されている。α−テルピネオールの存在下、N2/3%H2雰囲気中、加熱処理を施すと、下記の反応式で表記される、α−テルピネオール中のC−C結合(−CH2−CH<)のC=C結合(−CH=C<)への変換と、該オレイン酸銅のアミン錯体の還元反応が進行する。
(CH3(CH2)7CH=CH(CH2)7COO)2Cu(II):2((C4H9)2N(CH2)3NH2)+(−CH2−CH<)
→ 2CH3(CH2)7CH=CH(CH2)7COOH+(Cu(0):2((C4H9)2N(CH2)3NH2)+(−CH=C<)
一方、該オレイン酸銅のアミン錯体の還元によって生成する金属銅原子は、ジブチルアミノプロピルアミンが二座配位子として、2分子配位した形状となっている。2分子のジブチルアミノプロピルアミンが配位している金属銅原子(Cu(0):2((C4H9)2N(CH2)3NH2)は、最終的に、銅粉、微細銅粉の表面の金属銅原子を核として、金属銅原子の凝集体を形成する。
2/3%H2雰囲気中、加熱処理を行っている間に、ジブチルアミノプロピルアミンとα−テルピネオールの蒸散も進む。その結果、液相の体積が減少する(濃縮が進む)と、液相は、微細銅粉、銅粉相互の接触部位の周囲の狭い隙間、下地層と微細銅粉、銅粉の接触部位の周囲の狭い隙間に、液相が凝集された状態となる。そのため、液相の濃縮とともに、2分子のジブチルアミノプロピルアミンが配位している金属銅原子(Cu(0):2((C4H9)2N(CH2)3NH2)は、微細銅粉、銅粉相互の接触部位の周囲の狭い隙間、下地層と微細銅粉、銅粉の接触部位の周囲の狭い隙間で、優先的に金属銅原子の凝集体を形成する。従って、微細銅粉、銅粉相互の接触部位の周囲の狭い隙間、下地層と微細銅粉、銅粉の接触部位の周囲の狭い隙間は、該金属銅原子の凝集体で埋め込まれた状態となる。その後、焼成が進行すると、微細銅粉、銅粉相互の接触部位の周囲、下地層と微細銅粉、銅粉の接触部位の周囲では、該金属銅原子の凝集体と、微細銅粉、銅粉との一体化が進行する。結果的に、微細銅粉、銅粉相互の接触部位、下地層と微細銅粉、銅粉の接触部位では、接触面積の拡大がなされる。
なお、オレイン酸銅のアミン錯体の還元に伴って、副生されるオレイン酸(沸点:286℃)は、分散溶媒のα−テルピネオール中に一旦は溶解する。その後、N2/3%H2雰囲気中、加熱処理を行う際、オレイン酸は、分散溶媒のα−テルピネオールと同様に、徐々に蒸散される。
また、当初、銅粉、微細銅粉の表面に露呈している金属銅に対しては、ジブチルアミノプロピルアミンが、そのアミノ基(−NH2)の孤立電子対を利用して、配位的な結合をしている。ジブチルアミノプロピルアミンの沸点(238℃)は、分散溶媒のα−テルピネオールの沸点(217−218℃)より僅かに高い。その沸点の差は大きくないので、ジブチルアミノプロピルアミンとα−テルピネオール蒸散速度には大きな差は無い。従って、銅粉、微細銅粉の表面に露呈している金属銅に対して、配位的な結合をしているジブチルアミノプロピルアミンは、液相中に溶出し、蒸散することで、離脱がなされる。最終的に、微細銅粉、銅粉相互の接触部位において、表面に露呈している金属銅が直接接する状態となると、焼結が進行する。
調製された銅ペーストを、スライドガラス上に、5mm×20mmのパターンで塗布した。該銅ペースト塗布膜の平均厚さは、58μmであった。該銅ペースト塗布膜を、N2/3%H2雰囲気下、400℃、10min加熱処理して、焼成を行った。
得られた焼成物の平均膜厚は、46μmであった。該焼成物を前記平均膜厚の均一な導電体と仮定して、測定したシート抵抗値から、体積固有抵抗率を算出した。算出された体積固有抵抗率は、18μΩ・cmであった。
金属銅の抵抗率 1.673μΩ・cm(30℃)に対して、得られた焼成物の体積固有抵抗率18μΩ・cmは、10.76倍となっている。
(参考例3)
本参考例3の導電性銅ペーストは、下記の原料を用いて調製されている。
平均粒径が2〜10μmの範囲に選択される銅粉として、三井金属製球状銅粉1400YM(平均粒径4μm、BET比表面積1600cm2/g)を、平均粒子径が0.2μm〜1.0μmの範囲に選択される微細銅粉として、三井金属製微細銅粉1020Y(平均粒径0.4μm、BET比表面積26000cm2/g)を使用する。該微細銅粉の平均粒子径dCu-fine-powderと、球状銅粉の平均粒径dCu-powderの比率、(dCu-fine-powder/dCu-powder)は、1/10に選択されている。
脂肪族モノカルボン酸の銅塩((R-COO)2Cu(II))として、オレイン酸銅((CH3(CH27CH=CH(CH27COO)2Cu(II))を採用し、予め、ジブチルアミノプロピルアミン((C492N(CH23NH2、融点:−50℃、沸点:238℃)中に溶解し、オレイン酸銅のアミン錯体を形成させている。なお、固体のオレイン酸銅自体は、Cu:Cu結合を有する二量体を形成している。形成されるオレイン酸銅のアミン錯体は、オレイン酸銅((CH3(CH27CH=CH(CH27COO)2Cu(II))1分子に対して、ジブチルアミノプロピルアミン((C492N(CH23NH2)2分子が、銅カチオン(Cu2+)に配位する構造と推定できる。その結果、二量体型のオレイン酸銅は、2分子のオレイン酸銅のアミン錯体に変換され、溶媒のジブチルアミノプロピルアミン中に溶解された状態となる。本参考例3では、オレイン酸銅3.3質量部を、ジブチルアミノプロピルアミン6.6質量部に溶解し、オレイン酸銅のアミン錯体のアミン溶液を予め調製している。該オレイン酸銅のアミン錯体のアミン溶液の組成は、オレイン酸銅1分子当たり、ジブチルアミノプロピルアミン7分子に選択されている。
分散溶媒として、ジエチレングリコールジ−n−ブチルエーテル(DEGDBE、分子量218.33、融点−60℃、沸点250℃)を使用している。
焼結助剤は、添加されていない。
三井金属製球状銅粉1400YM80質量部、三井金属製微細銅粉1020Y20質量部に、オレイン酸銅3.3質量部をジブチルアミノプロピルアミン6.6質量部中に溶解した溶液と、DEGDBE3質量部を混合する。その後、攪拌脱泡器で攪拌して、液相中に、前記銅粉と微細銅粉が均一に分散している、銅ペーストを調製する。
前記球状銅粉と微細銅粉の金属銅原子数の総和と、オレイン酸銅中の銅との原子数の比率、(球状銅粉と微細銅粉の金属銅原子数の総和):(オレイン酸銅中の銅との原子数)は、299:1(100:0.334)となっている。また、球状銅粉と微細銅粉の金属銅1モル当たり、DEGDBE0.009モルが含まれている。
調製された銅ペースト中における、前記球状銅粉と微細銅粉の体積比率は、42.92体積%となっている。
また、3.3質量部のオレイン酸銅中の銅が、全て金属銅原子に還元されると、オレイン酸銅に由来する金属銅原子の合計は、0.34質量部となる。従って、調製された銅ペースト100容量部に対する、オレイン酸銅に由来する金属銅原子、球状銅粉と微細銅粉の体積の合計は、43.07容量部となる。
調製された銅ペーストの液粘度は、2Pa・s(スパイラル回転粘度計 10rpm 25℃)であった。
まず、該銅ペースト中に分散されている、球状銅粉と微細銅粉の表面は、液相中に含まれる、ジブチルアミノプロピルアミン、またはDEGDBEが、溶媒和(吸着)している。表面に露呈している金属銅に対しては、ジブチルアミノプロピルアミンが、そのアミノ基(−NH2)の孤立電子対を利用して、配位的な結合をしている。
DEGDBEは、酸化によるオキソ基(>C=O)への変換が可能なヒドロキシル基(>CH−OH)を有していない。
一方、表面酸化膜の還元は、下記の二つの素過程を経由して進行すると、推定される。
水素ガスを含む還元性雰囲気中、加熱処理を施すと、DEGDBEは、酸化銅(CuO)によって、酸化的脱水素反応を受け、一方、酸化銅(CuO)は、金属銅と、水分子(H2O)に変換されると推定される。
CuO + (−CH2−CH2−) → Cu + (−CH=CH−)+ H2O↑
DEGDBE由来の反応生成物(−CH=CH−)は、微細銅粉、銅粉の表面に露呈する金属銅原子(Cu)上に、C=C結合(−CH=CH−)のπ電子を利用して、配位することができる。水素ガスを含む還元性雰囲気では、この金属銅原子(Cu)上に配位している、C=C結合(−CH=CH−)に対して、還元的水素付加反応によって、水素分子(H2)が付加されることで、C−C結合(−CH2−CH2−)に変換することが可能である。
(−CH=CH−) + H2 → (−CH2−CH2
一方、該銅ペースト中、オレイン酸銅のアミン錯体は、ジブチルアミノプロピルアミンとDEGDBEの混合液中に溶解されている。DEGDBEの存在下、N2/3%H2雰囲気中、加熱処理を施すと、下記の反応式で表記される、DEGDBE中のC−C結合(−CH2−CH2−)のC=C結合(−CH=CH−)への変換と、該オレイン酸銅のアミン錯体の還元反応が進行する。
(CH3(CH2)7CH=CH(CH2)7COO)2Cu(II):2((C4H9)2N(CH2)3NH2)+(−CH2−CH2−)
→ 2CH3(CH2)7CH=CH(CH2)7COOH+(Cu(0):2((C4H9)2N(CH2)3NH2)+(−CH=CH−)
一方、該オレイン酸銅のアミン錯体の還元によって生成する金属銅原子は、ジブチルアミノプロピルアミンが二座配位子として、2分子配位した形状となっている。2分子のジブチルアミノプロピルアミンが配位している金属銅原子(Cu(0):2((C4H9)2N(CH2)3NH2)は、最終的に、銅粉、微細銅粉の表面の金属銅原子を核として、金属銅原子の凝集体を形成する。
2/3%H2雰囲気中、加熱処理を行っている間に、ジブチルアミノプロピルアミンとDEGDBEの蒸散も進む。その結果、液相の体積が減少する(濃縮が進む)と、液相は、微細銅粉、銅粉相互の接触部位の周囲の狭い隙間、下地層と微細銅粉、銅粉の接触部位の周囲の狭い隙間に、液相が凝集された状態となる。そのため、液相の濃縮とともに、2分子のジブチルアミノプロピルアミンが配位している金属銅原子(Cu(0):2((C4H9)2N(CH2)3NH2)は、微細銅粉、銅粉相互の接触部位の周囲の狭い隙間、下地層と微細銅粉、銅粉の接触部位の周囲の狭い隙間で、優先的に金属銅原子の凝集体を形成する。従って、微細銅粉、銅粉相互の接触部位の周囲の狭い隙間、下地層と微細銅粉、銅粉の接触部位の周囲の狭い隙間は、該金属銅原子の凝集体で埋め込まれた状態となる。その後、焼成が進行すると、微細銅粉、銅粉相互の接触部位の周囲、下地層と微細銅粉、銅粉の接触部位の周囲では、該金属銅原子の凝集体と、微細銅粉、銅粉との一体化が進行する。結果的に、微細銅粉、銅粉相互の接触部位、下地層と微細銅粉、銅粉の接触部位では、接触面積の拡大がなされる。
なお、オレイン酸銅のアミン錯体の還元に伴って、副生されるオレイン酸(沸点:286℃)は、分散溶媒のDEGDBE中に一旦は溶解する。その後、N2/3%H2雰囲気中、加熱処理を行う際、オレイン酸は、分散溶媒のDEGDBEと同様に、徐々に蒸散される。
また、当初、銅粉、微細銅粉の表面に露呈している金属銅に対しては、ジブチルアミノプロピルアミンが、そのアミノ基(−NH2)の孤立電子対を利用して、配位的な結合をしている。ジブチルアミノプロピルアミンの沸点(238℃)は、分散溶媒のDEGDBEの沸点(250℃)より低いため、ジブチルアミノプロピルアミンの蒸散速度は相対的に速い。その結果、液相中のジブチルアミノプロピルアミンの濃度が低下し、銅粉、微細銅粉の表面に露呈している金属銅に対して、配位的な結合をしているジブチルアミノプロピルアミンの離脱が促進される。最終的に、微細銅粉、銅粉相互の接触部位において、表面に露呈している金属銅が直接接する状態となると、焼結が進行する。
調製された銅ペーストを、スライドガラス上に、5mm×20mmのパターンで塗布した。該銅ペースト塗布膜の平均厚さは、52μmであった。該銅ペースト塗布膜を、N2/3%H2雰囲気下、400℃、10min加熱処理して、焼成を行った。
得られた焼成物の平均膜厚は、40μmであった。該焼成物を前記平均膜厚の均一な導電体と仮定して、測定したシート抵抗値から、体積固有抵抗率を算出した。算出された体積固有抵抗率は、18μΩ・cmであった。
金属銅の抵抗率 1.673μΩ・cm(30℃)に対して、得られた焼成物の体積固有抵抗率18μΩ・cmは、10.7倍となっている。
下記の表6に、参考例1〜参考例3の導電性銅ペーストの組成を示す。また、銅ペースト塗布膜の平均膜厚、焼成物を平均膜厚、算出した体積固有抵抗率も併せて示す。
Figure 2012028243
本発明にかかる導電性銅ペーストは、従来のガラス・フリットを配合する導電性銅ペースト、あるいは、熱硬化性樹脂成分を配合する導電性銅ペーストが利用される、導電体層の形成に利用できる。具体的には、本発明にかかる導電性銅ペーストを利用して形成される導電体層は、良好な導電特性を示し、また、表面にシラノール構造(Si−OH)を有する下地層、例えば、ガラス、シリコンウエハ等に良好な密着性を示すため、配線形成、太陽電池の電極形成用材料として、好適に使用できる。

Claims (30)

  1. 熱硬化性樹脂成分あるいはガラス・フリットを配合していない導電性銅ペーストであって、
    該導電性銅ペーストは、
    銅粉、微細銅粉、脂肪族モノカルボン酸の銅塩、(ジアルキルアミノ)アルキルアミン、第一の有機溶媒を含み、
    前記第一の有機溶媒は、室温で液体であり、沸点は、200℃以上であるが、400℃を超えない範囲であり、ヒドロキシル基以外の反応性官能基を内在していない、アルコール性ヒドロキシル基を有する有機溶媒であり;
    前記脂肪族モノカルボン酸の銅塩は、(ジアルキルアミノ)アルキルアミンに溶解してなる溶液として、前記第一の有機溶媒と混合して、混合液とされ、
    前記銅粉と微細銅粉が、前記混合液中に分散されているペースト状の組成物であり;
    前記銅粉の平均粒径は、2μm〜10μmの範囲に選択され、
    前記微細銅粉の平均粒子径は、0.2μm〜1.0μmの範囲に選択され、
    前記脂肪族モノカルボン酸の銅塩は、その沸点が、230℃以上であるが、400℃を超えない範囲である脂肪族モノカルボン酸(R-COOH)に由来する、脂肪族モノカルボン酸の銅塩であり、
    前記(ジアルキルアミノ)アルキルアミンは、室温で液体であり、沸点は、230℃以上であるが、300℃を超えない範囲の(ジアルキルアミノ)アルキルアミンであり、
    前記銅粉と微細銅粉の含有比率、(銅粉の含有量):(微細銅粉の含有量)は、80質量部:20質量部〜60質量部:40質量部の範囲に選択され、
    前記銅粉と微細銅粉の重量の総和(WCu-powder+WCu-fine-powder)に対する、脂肪族モノカルボン酸の銅塩に含まれる銅原子の重量の合計(WCu-carboxylate)の比率、(WCu-powder+WCu-fine-powder):(WCu- carboxylate)は、100質量部:0.15質量部〜100質量部:0.7質量部の範囲に選択され、
    前記銅粉、微細銅粉の重量の総和(WCu-powder+WCu-fine-powder)と、第一の有機溶媒の重量(Wdispersion-medium)の比率、(WCu-powder+WCu-fine-powder):Wdispersion-mediumは、100質量部:2質量部〜100質量部:10質量部の範囲に選択され、
    前記脂肪族モノカルボン酸の銅塩と(ジアルキルアミノ)アルキルアミンの含有比率は、脂肪族モノカルボン酸の銅塩1分子当たり、(ジアルキルアミノ)アルキルアミンが、2.2分子〜8分子の範囲となる比率に選択され;
    該導電性銅ペーストは、300℃以上400℃以下の温度に加熱することで、焼成することが可能である
    ことを特徴とする導電性銅ペースト。
  2. 前記第一の有機溶媒は、
    室温で液体であり、沸点は、200℃以上であるが、400℃を超えない範囲である炭素数9〜14のアルカノール、
    室温で液体であり、沸点は、200℃以上であるが、400℃を超えない範囲である炭素数4〜9のアルカンジオール、
    室温で液体であり、沸点は、200℃以上であるが、400℃を超えない範囲である分子量4000以下のポリアルキレングリコール、
    室温で液体であり、沸点は、200℃以上であるが、400℃を超えない範囲である多価アルコールモノアルキルエーテル、
    グリセリン、1,2,3−ブタントリオール、1,2,4−ブタントリオール、1,2,5−ペンタントリオール、1,2,6−ヘキサントリオールからなる群より選択される
    ことを特徴とする請求項1に記載の導電性銅ペースト。
  3. 熱硬化性樹脂成分あるいはガラス・フリットを配合していない導電性銅ペーストであって、
    該導電性銅ペーストは、
    銅粉、微細銅粉、脂肪族モノカルボン酸の銅塩、(ジアルキルアミノ)アルキルアミン、第二の有機溶媒を含み、
    前記第二の有機溶媒は、室温で液体であり、沸点は、230℃以上であるが、400℃を超えない範囲の脂肪族多価アルコールであり;
    前記脂肪族モノカルボン酸の銅塩は、(ジアルキルアミノ)アルキルアミンに溶解してなる溶液として、前記第二の有機溶媒と混合して、混合液とされ、
    前記銅粉と微細銅粉が、前記混合液中に分散されているペースト状の組成物であり;
    前記銅粉の平均粒径は、2μm〜10μmの範囲に選択され、
    前記微細銅粉の平均粒子径は、0.2μm〜1.0μmの範囲に選択され、
    前記脂肪族モノカルボン酸の銅塩は、その沸点が、230℃以上であるが、400℃を超えない範囲である脂肪族モノカルボン酸(R-COOH)に由来する、脂肪族モノカルボン酸の銅塩であり、
    前記(ジアルキルアミノ)アルキルアミンは、室温で液体であり、沸点は、230℃以上であるが、300℃を超えない範囲の(ジアルキルアミノ)アルキルアミンであり、
    前記銅粉と微細銅粉の含有比率、(銅粉の含有量):(微細銅粉の含有量)は、80質量部:20質量部〜60質量部:40質量部の範囲に選択され、
    前記銅粉と微細銅粉の重量の総和(WCu-powder+WCu-fine-powder)に対する、脂肪族モノカルボン酸の銅塩に含まれる銅原子の重量の合計(WCu-carboxylate)の比率、(WCu-powder+WCu-fine-powder):(WCu- carboxylate)は、100質量部:0.15質量部〜100質量部:0.7質量部の範囲に選択され、
    前記銅粉、微細銅粉の重量の総和(WCu-powder+WCu-fine-powder)と、第二の有機溶媒の重量(Wdispersion-medium)の比率、(WCu-powder+WCu-fine-powder):Wdispersion-mediumは、100質量部:2質量部〜100質量部:10質量部の範囲に選択され、
    前記脂肪族モノカルボン酸の銅塩と(ジアルキルアミノ)アルキルアミンの含有比率は、脂肪族モノカルボン酸の銅塩1分子当たり、(ジアルキルアミノ)アルキルアミンが、2.2分子〜8分子の範囲となる比率に選択され;
    該導電性銅ペーストは、300℃以上400℃以下の温度に加熱することで、焼成することが可能である
    ことを特徴とする導電性銅ペースト。
  4. 前記第二の有機溶媒は、
    室温で液体であり、沸点は、230℃以上であるが、400℃を超えない範囲の炭素数4〜9のアルカンジオール、室温で液体であり、沸点は、230℃以上であるが、400℃を超えない範囲である、分子量4000以下のポリアルキレングリコール、ならびに、グリセリン、1,2,3−ブタントリオール、1,2,4−ブタントリオール、1,2,5−ペンタントリオール、1,2,6−ヘキサントリオールからなる群より選択される
    ことを特徴とする請求項3に記載の導電性銅ペースト。
  5. 前記銅粉の平均粒径は、3μm〜8μmの範囲に選択され、
    前記微細銅粉の平均粒子径は、0.3μm〜0.8μmの範囲に選択されている
    ことを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の導電性銅ペースト。
  6. 前記銅粉と微細銅粉の重量の総和(WCu-powder+WCu-fine-powder)に対する、脂肪族モノカルボン酸の銅塩に含まれる銅原子の重量の合計(WCu-carboxylate)の比率、(WCu-powder+WCu-fine-powder):(WCu- carboxylate)は、100質量部:0.3質量部〜100質量部:0.5質量部の範囲に選択されている
    ことを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の導電性銅ペースト。
  7. 前記銅粉、微細銅粉の重量の総和(WCu-powder+WCu-fine-powder)と、第一の有機溶媒の重量(Wdispersion-medium)の比率、(WCu-powder+WCu-fine-powder):Wdispersion-mediumは、100質量部:3質量部〜100質量部:4.5質量部の範囲に選択されている
    ことを特徴とする請求項1または2に記載の導電性銅ペースト。
  8. 前記銅粉、微細銅粉の重量の総和(WCu-powder+WCu-fine-powder)と、第二の有機溶媒の重量(Wdispersion-medium)の比率、(WCu-powder+WCu-fine-powder):Wdispersion-mediumは、100質量部:3質量部〜100質量部:4.5質量部の範囲に選択されている
    ことを特徴とする請求項3または4に記載の導電性銅ペースト。
  9. 前記銅粉と微細銅粉の含有比率、(銅粉の含有量):(微細銅粉の含有量)は、75質量部:25質量部〜65質量部:35質量部の範囲に選択されている
    ことを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項に記載の導電性銅ペースト。
  10. 前記脂肪族モノカルボン酸の銅塩((R-COO)2Cu(II))を構成する、沸点が、230℃以上であるが、400℃を超えない範囲の脂肪族モノカルボン酸アニオンとして、
    炭素数10〜20の脂肪族モノカルボン酸由来のアニオンを選択する
    ことを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項に記載の導電性銅ペースト。
  11. 前記(ジアルキルアミノ)アルキルアミンは、
    室温で液体であり、沸点は、230℃以上であるが、300℃を超えない範囲の総炭素数9〜13の(ジアルキルアミノ)プロピルアミン(R’2N-CH2CH2CH2-NH2)からなる群より選択される
    ことを特徴とする請求項1〜10のいずれか一項に記載の導電性銅ペースト。
  12. 前記導電性銅ペーストの粘度は、2Pa・s〜50Pa・s(25℃)の範囲に選択されている
    ことを特徴とする請求項1〜11のいずれか一項に記載の導電性銅ペースト。
  13. 熱硬化性樹脂成分あるいはガラス・フリットを配合していない導電性銅ペーストであって、
    該導電性銅ペーストは、
    銅粉、微細銅粉、銅ナノ粒子、(ジアルキルアミノ)アルキルアミン、第三の有機溶媒を含み、
    前記第三の有機溶媒は、室温で液体であり、沸点は、200℃以上であるが、400℃を超えない範囲であり、ヒドロキシル基以外の反応性官能基を内在していない、アルコール性ヒドロキシル基を有する有機溶媒であり;
    前記銅ナノ粒子は、(ジアルキルアミノ)アルキルアミン中に分散した分散液として、前記第三の有機溶媒と混合して、混合液とされ、
    前記銅粉と微細銅粉が、前記混合液中に分散されているペースト状の組成物であり;
    前記銅粉の平均粒径は、2〜10μmの範囲に選択され、
    前記微細銅粉の平均粒子径は、0.2〜1.0μmの範囲に選択され、
    前記銅ナノ粒子の平均粒子径は、10nm〜100nmの範囲に選択され、
    前記(ジアルキルアミノ)アルキルアミンは、室温で液体であり、沸点は、230℃以上であるが、300℃を超えない範囲の(ジアルキルアミノ)アルキルアミンであり、
    前記銅粉と微細銅粉の含有比率、(銅粉の含有量):(微細銅粉の含有量)は、80質量部:20質量部〜60質量部:40質量部の範囲に選択され、
    前記銅粉、微細銅粉の重量の総和(WCu-powder+WCu-fine-powder)と、第三の有機溶媒の重量(Wdispersion-medium)の比率、(WCu-powder+WCu-fine-powder):Wdispersion-mediumは、100質量部:3質量部〜100質量部:10質量部の範囲に選択され、
    前記銅粉、微細銅粉の重量の総和(WCu-powder+WCu-fine-powder)と、前記銅ナノ粒子の重量の総和(WCu-nano-particle)の比率、(WCu-powder+WCu-fine-powder):(WCu-nano-particle)は、100質量部:3質量部〜100質量部:15質量部の範囲に選択され、
    前記銅ナノ粒子と(ジアルキルアミノ)アルキルアミンの含有比率は、該銅ナノ粒子の体積の合計(VCu-nano-particle)と、(ジアルキルアミノ)アルキルアミンの体積(Vdispersion-medium)の比率、(VCu-nano-particle):Vamineは、10:50〜10:100の範囲に選択され;
    該導電性銅ペーストは、300℃以上400℃以下の温度に加熱することで、焼成することが可能である
    ことを特徴とする導電性銅ペースト。
  14. 前記第三の有機溶媒は、
    室温で液体であり、沸点は、200℃以上であるが、400℃を超えない範囲である炭素数9〜14のアルカノール、
    室温で液体であり、沸点は、200℃以上であるが、400℃を超えない範囲である炭素数4〜9のアルカンジオール、
    室温で液体であり、沸点は、200℃以上であるが、400℃を超えない範囲である分子量4000以下のポリアルキレングリコール、
    室温で液体であり、沸点は、200℃以上であるが、400℃を超えない範囲である多価アルコールモノアルキルエーテル、
    グリセリン、1,2,3−ブタントリオール、1,2,4−ブタントリオール、1,2,5−ペンタントリオール、1,2,6−ヘキサントリオールからなる群より選択される
    ことを特徴とする請求項13に記載の導電性銅ペースト。
  15. 熱硬化性樹脂成分あるいはガラス・フリットを配合していない導電性銅ペーストであって、
    該導電性銅ペーストは、
    銅粉、微細銅粉、銅ナノ粒子、(ジアルキルアミノ)アルキルアミン、第四の有機溶媒を含み、
    前記第四の有機溶媒は、室温で液体であり、沸点は、230℃以上であるが、400℃を超えない範囲の脂肪族多価アルコールであり;
    前記銅ナノ粒子は、(ジアルキルアミノ)アルキルアミン中に分散した分散液として、前記第四の有機溶媒と混合して、混合液とされ、
    前記銅粉と微細銅粉が、前記混合液中に分散されているペースト状の組成物であり;
    前記銅粉の平均粒径は、2μm〜10μmの範囲に選択され、
    前記微細銅粉の平均粒子径は、0.2μm〜1.0μmの範囲に選択され、
    前記銅ナノ粒子の平均粒子径は、10nm〜100nmの範囲に選択され、
    前記(ジアルキルアミノ)アルキルアミンは、室温で液体であり、沸点は、230℃以上であるが、300℃を超えない範囲の(ジアルキルアミノ)アルキルアミンであり、
    前記銅粉と微細銅粉の含有比率、(銅粉の含有量):(微細銅粉の含有量)は、80質量部:20質量部〜60質量部:40質量部の範囲に選択され、
    前記銅粉と微細銅粉の重量の総和(WCu-powder+WCu-fine-powder)に対する、前記銅ナノ粒子に含まれる銅原子の重量の合計(WCu-nano-particle)の比率、(WCu-powder+WCu-fine-powder):(WCu-nano-particle)は、100質量部:3質量部〜100質量部:15質量部の範囲に選択され、
    前記銅粉、微細銅粉の重量の総和(WCu-powder+WCu-fine-powder)と、第四の有機溶媒の重量(Wdispersion-medium)の比率、(WCu-powder+WCu-fine-powder):Wdispersion-mediumは、100質量部:3質量部〜100質量部:10質量部の範囲に選択され、
    前記銅ナノ粒子と(ジアルキルアミノ)アルキルアミンの含有比率は、該銅ナノ粒子の体積の合計(VCu-nano-particle)と、(ジアルキルアミノ)アルキルアミンの体積(Vdispersion-medium)の比率、(VCu-nano-particle):Vamineは、10:50〜10:100の範囲に選択され;
    該導電性銅ペーストは、300℃以上400℃以下の温度に加熱することで、焼成することが可能である
    ことを特徴とする導電性銅ペースト。
  16. 前記第四の有機溶媒は、
    室温で液体であり、沸点は、230℃以上であるが、400℃を超えない範囲の炭素数4〜9のアルカンジオール、室温で液体であり、沸点は、230℃以上であるが、400℃を超えない範囲である、分子量4000以下のポリアルキレングリコール、ならびに、グリセリン、1,2,3−ブタントリオール、1,2,4−ブタントリオール、1,2,5−ペンタントリオール、1,2,6−ヘキサントリオールからなる群より選択される
    ことを特徴とする請求項15に記載の導電性銅ペースト。
  17. 前記銅粉の平均粒径は、3μm〜8μmの範囲に選択され、
    前記微細銅粉の平均粒子径は、0.3μm〜0.8μmの範囲に選択されている
    ことを特徴とする請求項13〜16のいずれか一項に記載の導電性銅ペースト。
  18. 前記銅粉と微細銅粉の重量の総和(WCu-powder+WCu-fine-powder)に対する、前記銅ナノ粒子に含まれる銅原子の重量の合計(WCu-nano-particle)の比率、(WCu-powder+WCu-fine-powder):(WCu-nano-particle)は、100質量部:3質量部〜100質量部:8質量部の範囲に選択されている
    ことを特徴とする請求項13〜17のいずれか一項に記載の導電性銅ペースト。
  19. 前記銅粉、微細銅粉の重量の総和(WCu-powder+WCu-fine-powder)と、前記第三の有機溶媒の重量(Wdispersion-medium)の比率、(WCu-powder+WCu-fine-powder):Wdispersion-mediumは、100質量部:3.5質量部〜100質量部:5.0質量部の範囲に選択されている
    ことを特徴とする請求項13または14に記載の導電性銅ペースト。
  20. 前記銅粉、微細銅粉の重量の総和(WCu-powder+WCu-fine-powder)と、第四の有機溶媒の重量(Wdispersion-medium)の比率、(WCu-powder+WCu-fine-powder):Wdispersion-mediumは、100質量部:3.5質量部〜100質量部:5.0質量部の範囲に選択されている
    ことを特徴とする請求項15または16に記載の導電性銅ペースト。
  21. 前記銅粉と微細銅粉の含有比率、(銅粉の含有量):(微細銅粉の含有量)は、75質量部:25質量部〜65質量部:35質量部の範囲に選択されている
    ことを特徴とする請求項13〜20のいずれか一項に記載の導電性銅ペースト。
  22. 前記(ジアルキルアミノ)アルキルアミンは、
    室温で液体であり、沸点は、230℃以上であるが、300℃を超えない範囲の総炭素数9〜13の(ジアルキルアミノ)プロピルアミン(R’2N-CH2CH2CH2-NH2)からなる群より選択される
    ことを特徴とする請求項13〜21のいずれか一項に記載の導電性銅ペースト。
  23. 前記導電性銅ペーストの粘度は、2Pa・s〜50Pa・s(25℃)の範囲に選択されている
    ことを特徴とする請求項13〜22のいずれか一項に記載の導電性銅ペースト。
  24. 焼結助剤として、銅以外の金属カチオン種とカルボン酸アニオン種とならなる、カルボン酸金属塩または金属カルボン酸錯体が添加されており、
    前記銅以外の金属カチオン種は、ビスマス、錫からなる群から選択される、一種、または複数種の金属のカチオン種であり、
    前記カルボン酸アニオン種は、炭素数6〜20の脂肪族モノカルボン酸からなる群から選択されるカルボン酸のアニオン種であり、
    前記カルボン酸金属塩または金属カルボン酸錯体を還元することにより生成する金属原子の体積総和Vlow-mp-metalと、前記脂肪族モノカルボン酸の銅塩を還元することにより生成する金属原子の体積総和VCu-metalとの比率、Vlow-mp-metal:VCu-metalが、2:1を超えない範囲に選択されている
    ことを特徴とする請求項1〜12のいずれか一項に記載の導電性銅ペースト。
  25. 焼結助剤として、銅以外の金属カチオン種とカルボン酸アニオン種とならなる、カルボン酸金属塩または金属カルボン酸錯体が添加されており、
    前記銅以外の金属カチオン種は、第一金属群のカチオン種と第二金属群のカチオン種を混合してなる混合金属カチオン種であり、
    前記第一金属群のカチオン種は、ビスマス、錫からなる群から選択される、一種、または複数種の金属のカチオン種であり、
    前記第二金属群のカチオン種は、亜鉛、アルミニウム、インジウム、銀、コバルト、チタン、ニッケル、マンガンからなる群から選択される、一種、または複数種の金属のカチオン種であり、
    該混合金属カチオン種中、前記第二金属群のカチオン種の金属原子数の総和は、前記第一金属群のカチオン種の金属原子数の総和に対して、10%未満の範囲に選択されており、
    前記カルボン酸アニオン種は、炭素数6〜20の脂肪族モノカルボン酸からなる群から選択されるカルボン酸のアニオン種であり、
    前記第一金属群のカチオン種とカルボン酸アニオン種とならなる、カルボン酸金属塩または金属カルボン酸錯体を還元することにより生成する第一金属群の金属原子の体積総和Vlow-mp-metalと、前記脂肪族モノカルボン酸の銅塩を還元することにより生成する金属原子の体積総和VCu-metalとの比率、Vlow-mp-metal:VCu-metalが、2:1を超えない範囲に選択されている
    ことを特徴とする請求項1〜12のいずれか一項に記載の導電性銅ペースト。
  26. 該導電性銅ペーストは、さらに、脂肪族モノカルボン酸の銅塩と焼結助剤を含み、
    前記脂肪族モノカルボン酸の銅塩は、その沸点が、230℃以上であるが、400℃を超えない範囲である脂肪族モノカルボン酸(R-COOH)に由来する、脂肪族モノカルボン酸の銅塩であり、
    前記脂肪族モノカルボン酸の銅塩は、前記(ジアルキルアミノ)アルキルアミンに溶解してなる溶液として添加されており、
    該脂肪族モノカルボン酸の銅塩の(ジアルキルアミノ)アルキルアミン溶液中における、前記脂肪族モノカルボン酸の銅塩と(ジアルキルアミノ)アルキルアミンの含有比率は、脂肪族モノカルボン酸の銅塩1分子当たり、(ジアルキルアミノ)アルキルアミンが、2.2分子〜8分子の範囲となる比率に選択され、
    前記焼結助剤は、銅以外の金属カチオン種とカルボン酸アニオン種とならなる、カルボン酸金属塩または金属カルボン酸錯体であり、
    前記銅以外の金属カチオン種は、ビスマス、錫からなる群から選択される、一種、または複数種の金属のカチオン種であり、
    前記カルボン酸アニオン種は、炭素数6〜20の脂肪族モノカルボン酸からなる群から選択されるカルボン酸のアニオン種であり、
    前記銅粉と微細銅粉の重量の総和(WCu-powder+WCu-fine-powder)に対する、脂肪族モノカルボン酸の銅塩に含まれる銅原子の重量の合計(WCu-carboxylate)の比率、(WCu-powder+WCu-fine-powder):(WCu- carboxylate)は、100質量部:0.15質量部〜100質量部:0.7質量部の範囲に選択され、
    前記カルボン酸金属塩または金属カルボン酸錯体を還元することにより生成する金属原子の体積総和Vlow-mp-metalと、前記脂肪族モノカルボン酸の銅塩を還元することにより生成する金属原子の体積総和VCu-metalとの比率、Vlow-mp-metal:VCu-metalが、2:1を超えない範囲に選択されている
    ことを特徴とする請求項13〜22のいずれか一項に記載の導電性銅ペースト。
  27. 該導電性銅ペーストは、さらに、脂肪族モノカルボン酸の銅塩と焼結助剤を含み、
    前記脂肪族モノカルボン酸の銅塩は、その沸点が、230℃以上であるが、400℃を超えない範囲である脂肪族モノカルボン酸(R-COOH)に由来する、脂肪族モノカルボン酸の銅塩であり、
    前記脂肪族モノカルボン酸の銅塩は、(ジアルキルアミノ)アルキルアミンに溶解してなる溶液として添加されており、
    該脂肪族モノカルボン酸の銅塩の(ジアルキルアミノ)アルキルアミン溶液中における、前記脂肪族モノカルボン酸の銅塩と(ジアルキルアミノ)アルキルアミンの含有比率は、脂肪族モノカルボン酸の銅塩1分子当たり、(ジアルキルアミノ)アルキルアミンが、2.2分子〜8分子の範囲となる比率に選択され、
    前記焼結助剤は、銅以外の金属カチオン種とカルボン酸アニオン種とならなる、カルボン酸金属塩または金属カルボン酸錯体であり、
    前記銅以外の金属カチオン種は、第一金属群のカチオン種と第二金属群のカチオン種を混合してなる混合金属カチオン種であり、
    前記第一金属群のカチオン種は、ビスマス、錫からなる群から選択される、一種、または複数種の金属のカチオン種であり、
    前記第二金属群のカチオン種は、亜鉛、アルミニウム、インジウム、銀、コバルト、チタン、ニッケル、マンガンからなる群から選択される、一種、または複数種の金属のカチオン種であり、
    該混合金属カチオン種中、前記第二金属群のカチオン種の金属原子数の総和は、前記第一金属群のカチオン種の金属原子数の総和に対して、10%未満の範囲に選択されており、
    前記カルボン酸アニオン種は、炭素数6〜20の脂肪族モノカルボン酸からなる群から選択されるカルボン酸のアニオン種であり、
    前記銅粉と微細銅粉の重量の総和(WCu-powder+WCu-fine-powder)に対する、脂肪族モノカルボン酸の銅塩に含まれる銅原子の重量の合計(WCu-carboxylate)の比率、(WCu-powder+WCu-fine-powder):(WCu- carboxylate)は、100質量部:0.15質量部〜100質量部:0.7質量部の範囲に選択され、
    前記第一金属群のカチオン種とカルボン酸アニオン種とならなる、カルボン酸金属塩または金属カルボン酸錯体を還元することにより生成する第一金属群の金属原子の体積総和Vlow-mp-metalと、前記脂肪族モノカルボン酸の銅塩を還元することにより生成する金属原子の体積総和VCu-metalとの比率、Vlow-mp-metal:VCu-metalが、2:1を超えない範囲に選択されている
    ことを特徴とする請求項12〜22のいずれか一項に記載の導電性銅ペースト。
  28. 前記脂肪族モノカルボン酸の銅塩((R-COO)2Cu(II))を構成する、沸点が、230℃以上であるが、400℃を超えない範囲の脂肪族モノカルボン酸アニオンとして、
    炭素数10〜20の脂肪族モノカルボン酸由来のアニオンを選択する
    ことを特徴とする請求項26または27に記載の導電性銅ペースト。
  29. 請求項1〜28のいずれか一項に記載の導電性銅ペーストを、焼結体膜の作製に使用する方法であって、
    前記導電性銅ペーストを使用して、焼結体膜を作製する工程は、
    下地層上に前記導電性銅ペーストの塗布膜を形成する工程と、
    水素ガスを含む還元性雰囲気中において、前記導電性銅ペーストの塗布膜を、300℃以上400℃以下の温度に加熱することで、前記導電性銅ペーストを焼成する工程を含み、
    前記水素ガスを含む還元性雰囲気は、不活性ガス中に水素ガスを1〜4体積%で含有しており、
    前記加熱時間は、5分間〜60分間の範囲に選択され、
    作製される前記焼結体膜は、抵抗率が15μΩ・cm以下の範囲の導電性膜であり、
    前記焼結体膜の膜厚は、20μm〜100μmの範囲に選択される
    ことを特徴とする導電性銅ペーストの使用方法。
  30. 前記焼結体膜の膜厚は、30μm〜80μmの範囲に選択される
    ことを特徴とする請求項29に記載の導電性銅ペーストの使用方法。
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