JP2012027389A - 光学積層体およびその製造方法 - Google Patents

光学積層体およびその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】防眩性反射防止フィルムに好適な光学積層体を提供すること。
【解決手段】本発明の光学積層体は、基材層と、凹凸を有する防眩層(A)とを有する光学積層体であって、前記防眩層(A)が、基材層に隣接する高屈折率層および、高屈折率層に隣接する低屈折率層からなり、前記防眩層(A)が、コアの平均粒径が20〜250nmであるコア・シェル構造を有する有機微粒子と、平均粒径が1〜15μmの有機微粒子とを含み、前記低屈折率層に含有される前記コアの平均粒径が20〜250nmであるコア・シェル構造を有する有機微粒子が、特定のフッ素系重合体から形成されるコアを有する。
【選択図】図5

Description

本発明は、光学積層体およびその製造方法に関する。詳しくは高屈折率層および低屈折率層からなる防眩層を有する光学積層体およびその製造方法に関する。
液晶ディスプレイ(LCD)、プラズマディスプレイ(PDP)、有機エレクトロルミネッセンスディスプレイ(OELD)等の各種表示装置の開発は、近年盛んに行われており、高品質化、低コスト化が開発の主題となっている。
高品質化における重要なテーマとして視認性の向上が挙げられる。視認性の向上としては、高視野角化や、高精細化に加えて、防眩性や反射防止性を向上させることが重要な技術的アプローチの一つである。なお、防眩とは画面への映り込みを防止することを意味し、反射防止とは、表示画面へ入射した外光(入射光)に由来する反射光によるコントラストの低下を防止することを意味する。
表示画面の視認性を向上するためには、防眩膜や、反射防止膜を表示画面の表面に設ける手法が一般に行われている。
防眩膜は、微粒子やエンボス加工などで膜表面に凹凸を設け、外部光を乱反射させることで外部光の映り込みを防ぎ画面の視認性の低下を防ぐものである。
反射防止膜には、低屈折率層および高屈折率層を有し、その屈折率の違いによりそれぞれの界面で反射される光の干渉を利用することにより、反射光を低減するもの、反射防止層の表面側を低屈折率とし、表示画面方向の深さ方向に向かって徐々に屈折率を大きくすることにより、反射光を低減するものがある。
反射防止膜を生産する方法としては例えば、スパッタ技術によって反射防止膜を生産する方法が挙げられる。該方法は、非常に高性能な反射防止膜を生産することが可能であるが、大画面用の反射防止膜を生産するためには、設備コストが非常に高くなる。
また、反射防止膜を生産する別の方法としては例えば、低屈折率物質として、中空微粒子を用いて反射防止膜を生産する方法が挙げられる。しかしながら、安定した品質の中空微粒子を製造することは技術的に非常に困難であり、大幅なコスト増が懸念されている。
さらに、反射防止膜を生産する別の方法としては例えば、低屈折率層に非晶性フッ素系ポリマーを用いて反射防止膜を生産する方法が挙げられる。フッ素原子を含むフッ素系ポリマーは、一般に屈折率が低く、また防汚性を付加することも可能である。しかしながら高屈折率層上に、フッ素系ポリマーを用いて低屈折率層を形成すると、高屈折率層との密着性に劣る場合があり、また低屈折率層を0.1μm程度で形成した際に、膜強度に劣る場合があり、実用化に充分な物性を有した反射防止膜を製造することが困難であった。
ところで反射防止膜と、防眩膜とはそれぞれ一長一短がある。反射防止膜は、反射率を低く抑え、画面をクリアに見せるが、画面へ映り込んだ物体の輪郭は鮮明である。一方、防眩膜は、画面へ映り込んだ物体の輪郭は不鮮明であるが、画面が全体的に白っぽくなってしまう。
反射防止膜において、画面へ映り込んだ物体が鮮明であるのは、反射防止膜が平ら、すなわち画面がフラットであることが原因である。一方、防眩膜において、画面へ映り込んだ物体が不鮮明であるのは、防眩膜が表面に凹凸を有する、すなわち画面が凹凸を有することが原因である。そして反射防止膜の低反射率は、反射防止膜の表層に、均一な100nm程度の低屈折率層が設けられていることが原因であり、防眩膜を用いると画面全体が白っぽくなるのは、防眩膜には、低反射処理が施されていない上に、拡散反射光が反射防止膜と比べて強いことが原因である。
反射防止膜および防眩膜の長所を合わせるために、また短所を補うために、凹凸を有する防眩膜上に、均一な低屈折率層をコーティングにより形成することにより得られる、防眩性反射防止フィルムが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
特開2002−82207号公報
特許文献1に記載の防眩性反射防止フィルムは、凹凸を有する防眩膜上に、架橋性含フッ素化合物を含む塗布液を塗布し、架橋することにより、低屈折率層を形成しているが、凹凸を有する防眩膜上に、均一に塗付することは困難であり、得られる低屈折率層の厚さを均一にすることは困難であった。低屈折率層の厚さが均一でない場合には、反射光の波長がずれるため、画面の色むらの原因となっていた。
また、特許文献1に記載の方法で製造された防眩性反射防止フィルムにおいては、0.1μm程度の厚さで形成された低屈折率層は、膜強度に劣る場合があり、また、防眩層との接着性に劣る場合があった。
本発明は、上記従来技術の有する課題を鑑みてされたものであり、防眩性反射防止フィルムに好適な光学積層体を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を達成するために鋭意研究を重ねた結果、高屈折率の凹凸を有する防眩層を形成し、該層の表層部に、フッ素ガスを用いた直接フッ化処理を施すことにより、低屈折率層および高屈折率層からなる、凹凸を有する防眩層を有する光学積層体が得られ、該光学積層体の低屈折率層の厚さが均一であることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明の光学積層体は、基材層と、凹凸を有する防眩層(A)とを有する光学積層体であって、前記防眩層(A)が、基材層に隣接する高屈折率層および、高屈折率層に隣接する低屈折率層からなり、前記防眩層(A)が、コアの平均粒径が20〜250nmであるコア・シェル構造を有する有機微粒子と、平均粒径が1〜15μmの有機微粒子とを含み、前記低屈折率層に含有される前記コアの平均粒径が20〜250nmであるコア・シェル構造を有する有機微粒子が、架橋構造と、炭素・炭素二重結合を有する重合性基が重合することにより形成される鎖と、芳香環および脂環から選択される少なくとも1種の環とを有し、前記鎖が‐CF2‐基および‐CHF‐基からなる群から選択される少なくとも一種のフッ素置換メチレン基を有し、前記環を構成する炭素原子の少なくとも一部にフッ素原子が結合するフッ素系重合体から形成されるコアを有することを特徴とする。
前記高屈折率層に含有される前記コアの平均粒径が20〜250nmであるコア・シェル構造を有する有機微粒子が、架橋構造と、炭素・炭素二重結合を有する重合性基が重合することにより形成される鎖と、芳香環および脂環から選択される少なくとも1種の環とを有し、前記鎖がメチレン基を有する重合体から形成されるコアを有することが好ましい。
前記低屈折率層の厚さが、50〜300nmであることが好ましい。
前記防眩層(A)の凸部の頂点の厚さが、1〜16μmであることが好ましい。
本発明の光学積層体は、コアの平均粒径が20〜250nmであるコア・シェル構造を有する有機微粒子と、平均粒径が1〜15μmの有機微粒子と、バインダーモノマーとを含む塗布液を、基材上に塗布し、高屈折率層からなる、凹凸を有する防眩層(a)と、基材層とを有する積層体を得て、該積層体が有する高屈折率層の表層部に、フッ素ガスを用いた直接フッ化処理を施し、低屈折率層を形成することにより得られる、低屈折率層および高屈折率層からなる、凹凸を有する防眩層(A)と、基材層とからなる光学積層体であり、前記塗布液に含まれるコアの平均粒径が20〜250nmであるコア・シェル構造を有する有機微粒子が、架橋構造と、炭素・炭素二重結合を有する重合性基が重合することにより形成される鎖と、芳香環および脂環から選択される少なくとも1種の環とを有し、前記鎖がメチレン基を有する重合体から形成されるコアを有することが好ましい。
本発明の光学積層体の製造方法は、コアの平均粒径が20〜250nmであるコア・シェル構造を有する有機微粒子と、平均粒径が1〜15μmの有機微粒子と、バインダーモノマーとを含む塗布液を、基材上に塗布し、高屈折率層からなる防眩層(a)と、基材層とを有する積層体を得る工程、および該積層体が有する高屈折率層の表層部に、フッ素ガスを用いた直接フッ化処理を施すことにより、低屈折率層を形成する工程を有する、低屈折率層および高屈折率層からなる防眩層(A)と、基材層とからなる光学積層体の製造方法であり、前記塗布液に含まれるコアの平均粒径が20〜250nmであるコア・シェル構造を有する有機微粒子が、架橋構造と、炭素・炭素二重結合を有する重合性基が重合することにより形成される鎖と、芳香環および脂環から選択される少なくとも1種の環とを有し、前記鎖がメチレン基を有する重合体から形成されるコアを有する。
本発明の光学積層体は、防眩性および反射防止性に優れており、防眩性反射防止フィルムとして有用である。
また、本発明の光学積層体の製造方法によって得られる光学積層体は、低屈折率層の厚さが、従来の製造方法(例えば特許文献1参照)で得られた防眩性反射防止フィルムと比べて、均一である。
防眩層(a)と、基材層とを有する積層体の一態様の概念図である。 防眩層(a)と、基材層とを有する積層体の一態様の概念図である。 本発明の光学積層体の一態様の概念図である。 本発明の光学積層体の一態様の概念図である。 実施例1で得られた光学積層体のTEM写真である。 実施例2で得られた光学積層体のTEM写真である。 参考例1で得られた高屈折フィルムおよび参考例2で得られた反射防止フィルムのIRスペクトルである。
次に本発明について具体的に説明する。
本発明の光学積層体は、基材層と、凹凸を有する防眩層(A)とを有する光学積層体であって、前記防眩層(A)が、基材層に隣接する高屈折率層および、高屈折率層に隣接する低屈折率層からなり、前記防眩層(A)が、コアの平均粒径が20〜250nmであるコア・シェル構造を有する有機微粒子と、平均粒径が1〜15μmの有機微粒子とを含み、前記低屈折率層に含有される前記コアの平均粒径が20〜250nmであるコア・シェル構造を有する有機微粒子が、架橋構造と、炭素・炭素二重結合を有する重合性基が重合することにより形成される鎖と、芳香環および脂環から選択される少なくとも1種の環とを有し、前記鎖が‐CF2‐基および‐CHF‐基からなる群から選択される少なくとも一種のフッ素置換メチレン基を有し、前記環を構成する炭素原子の少なくとも一部にフッ素原子が結合するフッ素系重合体から形成されるコアを有することを特徴とする。
本発明の光学積層体は、防眩層(A)にコアの平均粒径が20〜250nmであるコア・シェル構造を有する有機微粒子および平均粒径が1〜15μmの有機微粒子を含有する。本発明の光学積層体が有する防眩層(A)は、前述のように粒径の異なる粒子から形成されるため、凹凸を有し、該凹凸に由来する防眩性を有する。
また、本発明の光学積層体は、防眩層(A)が高屈折率層および低屈折率層からなるが、該低屈折率層に含有されるコアの平均粒径が20〜250nmであるコア・シェル構造を有する有機微粒子が、架橋構造と、炭素・炭素二重結合を有する重合性基が重合することにより形成される鎖と、芳香環および脂環から選択される少なくとも1種の環とを有し、前記鎖が‐CF2‐基および‐CHF‐基からなる群から選択される少なくとも一種のフッ素置換メチレン基を有し、前記環を構成する炭素原子の少なくとも一部にフッ素原子が結合するフッ素系重合体から形成されるコアを有するため、低屈折率層の屈折率は低く、本発明の光学積層体が有する防眩層は、高屈折率層および低屈折率層に由来する優れた反射防止性を有する。
本発明の光学積層体は、基材上に高屈折率層を形成した後に、有機微粒子を含む塗布液を高屈折率層上に塗付することにより形成することにより得られる光学積層体であってもよいが、通常は本発明の光学積層体は、コアの平均粒径が20〜250nmであるコア・シェル構造を有する有機微粒子と、平均粒径が1〜15μmの有機微粒子と、バインダーモノマーとを含む塗布液を、基材上に塗布し、高屈折率層からなる、凹凸を有する防眩層(a)と、基材層とを有する積層体を得て、該積層体が有する高屈折率層の表層部に、フッ素ガスを用いた直接フッ化処理を施し、低屈折率層を形成することにより得られる、低屈折率層および高屈折率層からなる、凹凸を有する防眩層(A)と、基材層とからなる光学積層体である。また、前記塗布液に含まれるコアの平均粒径が20〜250nmであるコア・シェル構造を有する有機微粒子は通常、架橋構造と、炭素・炭素二重結合を有する重合性基が重合することにより形成される鎖と、芳香環および脂環から選択される少なくとも1種の環とを有し、前記鎖がメチレン基を有する重合体から形成されるコアを有する。
なお、前述の架橋構造と、炭素・炭素二重結合を有する重合性基が重合することにより形成される鎖と、芳香環および脂環から選択される少なくとも1種の環とを有し、前記鎖が‐CF2‐基および‐CHF‐基からなる群から選択される少なくとも一種のフッ素置換メチレン基を有し、前記環を構成する炭素原子の少なくとも一部にフッ素原子が結合するフッ素系重合体から形成されるコアとは、例えば、架橋構造と、炭素・炭素二重結合を有する重合性基が重合することにより形成される鎖と、芳香環および脂環から選択される少なくとも1種の環とを有し、前記鎖がメチレン基を有する重合体から形成されるコアに、フッ素ガスを用いた直接フッ化処理を施すことにより形成されるコアである。
本発明の光学積層体は、基材層と、防眩層(A)とを有する。以下順に説明する。
〔基材層〕
本発明の光学積層体が有する基材層としては、特に限定は無いが、例えば以下の基材から形成される。前記基材の材質としては、特に限定はないが、樹脂、ガラス、金属、金属化合物、セラミックス等を用いることができる。中でも透明な樹脂やガラスが好ましい。前記樹脂としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリエーテルスルフォン、ポリエステル、ポリアクリル系樹脂、ポリビニルアルコール、ポリカーボネート、トリアセチルセルロース、ジアセチルセルロース、ポリアクリロニトリル等があげられる。
また、基材の厚さとしては、基材の材質等によっても異なるが、通常は1μm〜1mm、好ましくは10〜200μmである。基材の形状としては、特に限定はないが、通常は、フィルム状またはシート状である。
〔防眩層(A)〕
本発明の光学積層体が有する防眩層(A)は、基材層に隣接する高屈折率層および、高屈折率層に隣接する低屈折率層からなる。また、防眩層(A)は、コアの平均粒径が20〜250nmであるコア・シェル構造を有する有機微粒子と、平均粒径が1〜15μmの有機微粒子とを含んでいる。さらに、前記コアの平均粒径が20〜250nmであるコア・シェル構造を有する有機微粒子の中でも、前記低屈折率層に含有される有機微粒子は、架橋構造と、炭素・炭素二重結合を有する重合性基が重合することにより形成される鎖と、芳香環および脂環から選択される少なくとも1種の環とを有し、前記鎖が‐CF2‐基および‐CHF‐基からなる群から選択される少なくとも一種のフッ素置換メチレン基を有し、前記環を構成する炭素原子の少なくとも一部にフッ素原子が結合するフッ素系重合体から形成されるコアを有する。
本発明の光学積層体が有する防眩層(A)は、通常は、コアの平均粒径が20〜250nmであるコア・シェル構造を有する有機微粒子と、平均粒径が1〜15μmの有機微粒子と、バインダーモノマーとを含む塗布液を、基材上に塗布し、高屈折率層からなる、凹凸を有する防眩層(a)と、基材層とを有する積層体を得て、該積層体が有する高屈折率層の表層部に、フッ素ガスを用いた直接フッ化処理を施し、低屈折率層を形成することにより得られる。なお、前記塗布液に含まれるコアの平均粒径が20〜250nmであるコア・シェル構造を有する有機微粒子としては、架橋構造と、炭素・炭素二重結合を有する重合性基が重合することにより形成される鎖と、芳香環および脂環から選択される少なくとも1種の環とを有し、前記鎖がメチレン基を有する重合体から形成されるコアを有する有機微粒子が通常用いられる。
(塗布液)
前記塗布液は、コアの平均粒径が20〜250nmであるコア・シェル構造を有する有機微粒子と、平均粒径が1〜15μmの有機微粒子と、バインダーモノマーとを含む。
塗布液に含まれるコアの平均粒径が20〜250nmであるコア・シェル構造を有する有機微粒子としては通常、架橋構造と、炭素・炭素二重結合を有する重合性基が重合することにより形成される鎖と、芳香環および脂環から選択される少なくとも1種の環とを有し、前記鎖がメチレン基を有する重合体から形成されるコアを有する有機微粒子が用いられる。以下、塗布液に含まれる架橋構造と、炭素・炭素二重結合を有する重合性基が重合することにより形成される鎖と、芳香環および脂環から選択される少なくとも1種の環とを有し、前記鎖がメチレン基を有する重合体から形成されるコアを有する、コアの平均粒径が20〜250nmであるコア・シェル構造を有する有機微粒子を、フッ化処理前有機微粒子とも記す。
また、前記フッ化処理前有機微粒子のコアを形成する、架橋構造と、炭素・炭素二重結合を有する重合性基が重合することにより形成される鎖と、芳香環および脂環から選択される少なくとも1種の環とを有し、前記鎖がメチレン基を有する重合体を、原料重合体とも記す。
前記原料重合体は、通常多官能性モノマーの重合体または、多官能性モノマーと単官能性モノマーとの共重合体である。
中でも、原料重合体製造時における重合速度の調節、原料重合体の成形性、原料重合体の成形物や成形塗膜等の可撓性、耐候性等の観点から、原料重合体は、多官能性モノマーと単官能性モノマーとの共重合体であることが好ましい。
多官能性モノマーとしては、例えばジビニルベンゼン、ジイゾプロペニルベンゼン、4,4’‐ジビニルビフェニル等の芳香族ジビニル化合物、2,2−ビス(4−(メタ)アクリロイルオキシエチルジフェニル)プロパン等のビスフェノールA誘導体、9,9−ビス(4−メタクリロキシエトキシ)フェニル)フルオレン等のジフェニルフルオレン誘導体、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,10−デカンジオールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート等の多官能(メタ)アクリレートを用いることができる。
これらの多官能性モノマーは1種単独で用いてもよく、2種以上を用いてもよい。
なお、(メタ)アクリレートとは、メタクリレートとアクリレートとを示す。
これらの中でも、高屈折率層にフッ素ガスを用いた直接フッ化処理を施した際に、得られる低屈折率層の屈折率と、高屈折率層との屈折率変化が大きい芳香族ジビニル化合物を用いることが好ましく、ジビニルベンゼン、ジイゾプロペニルベンゼン、4,4’‐ジビニルビフェニルを用いることがより好ましい。
また単官能性モノマーとしては、例えばスチレン、o,m,p‐エチルスチレン、イソプロペニルベンゼン、p‐フェニルスチレン等の芳香族ビニル化合物、ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、tert‐ブチル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリルエステル化合物を用いることができる。
これらの単官能性モノマーは1種単独で用いてもよく、2種以上を用いてもよい。
これらの中でも、高屈折率層にフッ素ガスを用いた直接フッ化処理を施した際に、直接フッ化処理の前後における屈折率変化が大きい芳香族ビニル化合物を用いることが好ましく、スチレン、o,m,p‐エチルスチレン、イソプロペニルベンゼン、p‐フェニルスチレンを用いることがより好ましい。
なお、原料重合体を製造する際に用いるモノマーの中で、少なくとも1種は、芳香環および脂環からなる群から選択される少なくとも1種の環を有することが必要である。
前記原料重合体が、ジビニルベンゼン、ジイゾプロペニルベンゼン、4,4’‐ジビニルビフェニルからなる群から選択される少なくとも1種の多官能性モノマーと、スチレン、o,m,p‐エチルスチレン、イソプロペニルベンゼン、p‐フェニルスチレンからなる群から選択される少なくとも1種の単官能性モノマーとの共重合体である場合には、重合体の骨格が炭素骨格となり特に好ましい。なお、直接フッ化処理においては、炭素‐炭素結合と比べて、炭素‐ヘテロ原子結合は切断されやすいため、原料重合体の骨格が炭素骨格であることが好ましい。なお、骨格とは重合体の構造式から水素原子と置換基を取り除いた骨組みのことを示す。
また、溶剤やバインダーモノマーへの分散性等を考慮すると芳香族を有しない極性のあるアクリルモノマーを共重合することも可能である。
前記原料重合体が、前記単官能性モノマーに由来する構成単位と、前記多官能性モノマーに由来する構成単位とを有する場合には、そのモル比(単官能性モノマーに由来する構成単位:多官能性モノマーに由来する構成単位)は、重合容易性の観点から10:90〜95:5であることが好ましく、30:70〜90:10であることがより好ましい。
なお、単官能性モノマーに由来する構成単位と、前記多官能性モノマーに由来する構成単位とのモル比は、そのモノマーの仕込み量から求めることができる。
前記フッ化処理前有機微粒子は、原料重合体から形成されるコアを有する、コアの平均粒径が20〜250nmであるコア・シェル構造を有する有機微粒子である。
前記フッ化処理前有機微粒子としては、コアが前述の原料重合体から形成され、シェルが熱可塑性樹脂から形成されることが、成形加工性および他の樹脂、溶剤への分散性向上の観点から好ましい。
前記シェルを構成する熱可塑性樹脂は、バインダーモノマー等に対する分散性およびバインダー樹脂との相溶性に優れていることが好ましく、具体的には、未架橋の熱可塑性樹脂であることが好ましい。
またフッ化処理前有機微粒子は、コアが、架橋構造を有するため硬度に優れる原料重合体から形成されるため、硬度に優れる。
フッ化処理前有機微粒子は、コアシェル構造を有し、コアの平均粒径は、20〜250nmであり、20〜100nmがより好ましい。該範囲内では、塗布液を基材に塗工した際の透明性に優れる傾向があるため、得られた光学積層体の防眩層(A)の硬度に優れる傾向があるため好ましい。
また、フッ化処理前有機微粒子の、粒子全体の平均粒径は、通常は、550nm以下であり、好ましくは215nm以下であることが好ましい。また、フッ化処理前有機微粒子の、粒子全体の平均粒径は21nm以上であることが好ましい。上記範囲ではバインダーモノマーまたは溶剤に対するフッ化処理前有機微粒子の分散性が良好であり、また透明性により優れる傾向があるため好ましい。
フッ化処理前有機微粒子のコアの平均粒径は、コアを製造した段階、すなわち原料重合体を重合した段階で、ベックマンコールター社製サブミクロン粒子アナライザーN4を用いて測定してもよく、前述の防眩層(a)と基材層とを有する積層体や、防眩層(A)と基材層とを有する本発明の光学積層体の断面を、透過型電子顕微鏡(TEM)等を用いて撮影し、その画像から測定してもよい。なお、TEMを用いて、コアの平均粒径を測定する場合には、TEMを用いて3〜8万倍の倍率で見える100個の微粒子の最大径(長軸径)を測定し、最大径の平均値を算出することにより求めることができる。
また、フッ化処理前有機微粒子の粒子全体の平均粒径は、該粒子の作成時にベックマンコールター社製サブミクロン粒子アナライザーN4を用いて測定することができる。なお、前述の防眩層(a)と基材層とを有する積層体や、防眩層(A)と基材層とを有する本発明の光学積層体において、フッ化処理前有機微粒子のシェル部分は他の樹脂と区別することが困難である場合が多く、粒子全体の平均粒径をTEM等を用いて測定することは困難である。
フッ化処理前有機微粒子における、前記コアとシェルとの組成比はコア/シェル=10/90〜90/10(質量比)であり、より好ましくは30/70〜70/30(質量比)である。
フッ化処理前有機微粒子の製造方法としては、特に限定はないが、例えば前記原料重合体を含む微粒子を乳化重合法により製造し、次いで該微粒子をコアとして、シェルを乳化重合法により形成することにより、フッ化処理前有機微粒子を得る方法が挙げられる。
前記方法の具体例としては、まず、前記原料重合体を得るために用いられるモノマーを、コアを構成する原料モノマーとして、界面活性剤、重合開始剤等と共に、水へ添加して乳化重合を行い、原料重合体を得る。続いてシェルを形成するモノマーを追加し、乳化重合を行う事によってフッ化処理前有機微粒子を得る。
前記乳化重合に用いることが可能な重合開始剤としては、例えば過酸化ベンゾイル、tert−ブチルハイドロパーオキサイド、tert−ブチルパーオキシピバレート、クメンハイドロパーオキサイド等の有機過酸化物、アゾビスイソブチロニトリル、アゾビス−(2,4−ジメチル)バレロニトリル等の有機アゾ化合物が挙げられる。
また、光重合開始剤として公知のベンゾインエーテル系化合物類、ベンゾフェノン化合物類、アセトフェノン化合物類、ベンジルケタール化合物類、ビスアシルホスフィンオキサイド化合物類等から選択した物を用いる事ができる。これらの開始剤を一種単独で用いても二種以上を用いてもよい。
また、重合度の調節の為にメルカプタン類のような公知の連鎖移動剤を使用することも可能である。さらに一般的に用いられる酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤などを添加することにより耐光性や耐熱性を向上させることも勿論可能ある。
乳化重合に使用される界面活性剤としては、一般的に用いられるアニオン系界面活性剤の他、ノニオン系、カチオン系の界面活性剤を用いることができる。これらの界面活性剤は、1種単独で用いても、2種以上を併用して用いてもよい。
界面活性剤の具体例としては、アニオン系界面活性剤としては、脂肪酸塩、アルキルスルホン酸塩、エーテルリン酸塩等、ノニオン系界面活性剤としてはポリオキシエチレンアルキルエーテル系、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル等、カチオン系界面活性剤としてはアルキル四級アンモニウム塩が挙げられる。
前記シェルは、微粒子が、溶剤やバインダーモノマー等への分散性やバインダー樹脂との相溶性を発揮するためには、以下のモノマーから得られる非架橋重合体であることが好ましい。
シェルを形成するためのモノマーとしては、単官能性モノマーが好ましく、例えばスチレン、メチルスチレン、エチルスチレン等のアルキルスチレン類、イソプロペニルベンゼン等の芳香族ビニル化合物、ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、tert‐ブチル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、メチル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリルエステル化合物、アクリロニトリル等を用いることができる。これらの単官能性モノマーは1種単独で用いてもよく、2種以上を用いてもよい。
これらの単官能性モノマーとしては、少なくともフッ素化された場合に低屈折率となりやすい芳香族ビニルモノマーを用いることが好ましく、微粒子の溶剤やバインダーモノマーへの分散性や、バインダー樹脂との相溶性を向上させるため、アクリロニトリル、エチル(メタ)アクリレート、メチル(メタ)アクリレート等を、芳香族ビニルモノマーと併用して用いる事が好ましい。
前記方法で得られる、フッ化処理前有機微粒子は、乳化重合により得られる該フッ化処理前有機微粒子の分散した水溶液そのままで使用してもよいが、フッ化処理前有機微粒子をポリマー固体物として回収後、溶剤等に再分散して使用することが好ましい。
フッ化処理前有機微粒子をポリマー固体物として回収する方法に関しては特に制限はないが、前記フッ化処理前有機微粒子の分散した水溶液を直接乾燥する方法、前記フッ化処理前有機微粒子の分散した水溶液に酸を添加して回収する酸析法、前記フッ化処理前有機微粒子の分散した水溶液に塩を添加して回収する塩析法、前記フッ化処理前有機微粒子の分散した水溶液を凍結した後に再溶解し、沈殿物をろ過し回収する方法、前記フッ化処理前有機微粒子の分散した水溶液を凍結し、凍結乾燥を行い回収する方法等公知の方法を用いる事ができる。得られたポリマー固体物については、適当な溶剤によって再分散して使用するが、分散に際しては通常の攪拌法の外に超音波やホモジナイザーなどを使用することも可能である。
このようにして得られた、フッ化処理前有機微粒子は、後述の平均粒径が1〜15μmの有機微粒子およびバインダーモノマー等と混合することにより、塗布液として使用することができる。
塗布液に含まれる平均粒径が1〜15μmの有機微粒子としては、特に限定はないが、該有機微粒子としては通常、多官能性モノマーの重合体または、多官能性モノマーと単官能性モノマーとの共重合体から形成される粒子である。なお、平均粒径が1〜15μmの有機微粒子は、平均粒径が、1〜10μmであることが好ましい。
中でも、平均粒径が1〜15μmの有機微粒子製造時における重合速度の調節、フッ化速度の調節、防眩層(A)の可撓性、耐候性等の観点から、平均粒径が1〜15μmの有機微粒子は、多官能性モノマーと単官能性モノマーとの共重合体から形成されることが好ましい。
多官能性モノマーとしては、例えばジビニルベンゼン、ジイゾプロペニルベンゼン、4,4’‐ジビニルビフェニル等の芳香族ジビニル化合物、2,2−ビス(4−(メタ)アクリロイルオキシエチルジフェニル)プロパン等のビスフェノールA誘導体、9,9−ビス(4−メタクリロキシエトキシ)フェニル)フルオレン等のジフェニルフルオレン誘導体、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,10−デカンジオールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート等の多官能(メタ)アクリレートを用いることができる。
これらの多官能性モノマーは1種単独で用いてもよく、2種以上を用いてもよい。
また単官能性モノマーとしては、例えばスチレン、o,m,p‐エチルスチレン、イソプロペニルベンゼン、p‐フェニルスチレン等の芳香族ビニル化合物、ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、tert‐ブチル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリルエステル化合物を用いることができる。
これらの単官能性モノマーは1種単独で用いてもよく、2種以上を用いてもよい。
また、溶剤やバインダーモノマーへの分散性等を考慮すると芳香族を有しない極性のあるアクリルモノマーを共重合することも可能である。
前記多官能性モノマーおよび単官能性モノマーとしては、前述のフッ化処理前有機微粒子のコアを構成する原料重合体と、同様のモノマーを用いることが好ましい。平均粒径が1〜15μmの有機微粒子が、原料重合体と同種のモノマーから形成されると、原料重合体と平均粒径が1〜15μmの有機微粒子との屈折率が同程度となり、内部散乱の抑制が可能であり、防眩層(a)に直接フッ化処理を施す際のフッ化速度の均一性に優れ、粒子の分散性に優れるため好ましい。
前記平均粒径が1〜15μmの有機微粒子が、多官能性モノマーと単官能性モノマーとの共重合体から形成される場合には、そのモル比(単官能性モノマーに由来する構成単位:多官能性モノマーに由来する構成単位)は、重合容易性の観点から10:90〜95:5であることが好ましく、30:70〜90:10であることがより好ましい。
なお、単官能性モノマーに由来する構成単位と、前記多官能性モノマーに由来する構成単位とのモル比は、そのモノマーの仕込み量から求めることができる。
また、平均粒径が1〜15μmの有機微粒子としては、多層構造の微粒子であってもよい。
前記平均粒径が1〜15μmの有機微粒子の製造方法としては、特に限定はないが、例えば前記モノマーの存在下で、懸濁重合を行う方法が挙げられる。
懸濁重合においては、単官能性モノマーや多官能性モノマー等のモノマーを、重合開始剤、懸濁剤、および酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤などの添加剤等と共に、水系媒体中に懸濁分散した後に、モノマーを重合することにより、平均粒径が1〜15μmの有機微粒子を得ることができる。
塗布液に含まれるバインダーモノマーとしては、特に限定はないが、該バインダーモノマーとしては、前述のフッ化処理前有機微粒子および平均粒径が1〜15μmの有機微粒子を均一に分散し、好適に塗膜を形成することができるUV(紫外線)硬化性モノマーが好ましい。バインダーモノマーとしてUV硬化性モノマーを用いる場合には、通常、支持体上に塗布液を塗布した後に、UV照射によりUV硬化性モノマーを硬化することにより、高屈折率層からなる防眩層(a)を形成する。なお、UV硬化性モノマー等のバインダーモノマーを硬化(重合)することにより、バインダー樹脂となる。
UV硬化性モノマーとしては、一種単独で用いても、二種以上を用いてもよいが、例えば、ウレタン(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、多官能(メタ)アクリレート等が挙げられる。この中でも、UV硬化性モノマーの少なくとも一部として、多官能(メタ)アクリレートを用いることが好ましい。多官能(メタ)アクリレートを用いることが、該モノマーが重合(硬化)した樹脂のフッ素化反応時の分解性の観点から好ましい。また、UV硬化性モノマーには予めフッ素原子が含まれる物を用いる事もできる。これらのUV硬化性モノマーには、UV硬化性を好適に発現するための、光重合開始剤や光重合促進剤等を配合して用いることが好ましい。
なお、塗布液を調製する際に、前記バインダーモノマーは、該モノマーそのものを用いてもよく、該モノマーが溶剤に溶解した溶液状態で用いられてもよい。なお、バインダーモノマーが溶解した溶液を、以下ハードコート液とも記す。塗布液を調製する際に、ハードコート液を用いると、微粒子の密着性・膜硬度の観点から好ましい。
本発明に用いられる塗布液は、前述のフッ化処理前有機微粒子と、平均粒径が1〜15μmの有機微粒子と、バインダーモノマーとを含む。該塗布液に用いられる溶剤としては特に限定はないが、通常は、ケトン系有機溶媒や芳香族炭化水素系溶媒等が用いられる。
また、前記塗布液には、前述のフッ化処理前有機微粒子、平均粒径が1〜15μmの有機微粒子、バインダーモノマー、および溶剤以外の成分(他の成分)が含まれていてもよい。前記他の成分としては、酸化防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤等の添加剤等が挙げられる。なお、バインダーモノマーとして、UV硬化性モノマーを用い、かつ紫外線吸収剤を用いる場合には、紫外線吸収剤としては、UV硬化性モノマーの硬化を妨げない種類、量で用いられる。
本発明に用いる塗布液は、前述の各成分を任意の順番で混合することにより得られる。
本発明に用いる塗布液は通常、フッ化処理前有機微粒子100質量部あたり、バインダーモノマーが10〜500質量部、平均粒径が1〜15μmの有機微粒子が0.4〜40質量部用いられる。また、好ましくはフッ化処理前有機微粒子100質量部あたり、バインダーモノマーが25〜400質量部、平均粒径が1〜15μmの有機微粒子が1〜24質量部用いられる。
また、溶剤は、フッ化処理前有機微粒子100質量部あたり、20〜12700質量部好ましくは、20〜7500質量部の範囲で用いられる。
また、塗布液全体を100質量%とすると、平均粒径が1〜15μmの有機微粒子が0.3〜1質量%含まれることが好ましい。該範囲内では、得られる光学積層体が防眩性に特に優れる傾向があり好ましい。
以下本発明の光学積層体について、その製法と共に具体的に示す。
本発明の光学積層体は通常、コアの平均粒径が20〜250nmであるコア・シェル構造を有する有機微粒子と、平均粒径が1〜15μmの有機微粒子と、バインダーモノマーとを含む塗布液を、基材上に塗布し、高屈折率層からなる防眩層(a)と、基材層とを有する積層体を得る工程、および該積層体が有する高屈折率層の表層部に、フッ素ガスを用いた直接フッ化処理を施すことにより、低屈折率層を形成する工程を経て製造される。なお、塗布液に含まれる前記コアの平均粒径が20〜250nmであるコア・シェル構造を有する有機微粒子としては、通常前述のフッ化処理前有機微粒子が用いられる。
前記防眩層(a)と、基材層とを有する積層体を得る工程は、前述の塗布液を、基材上に塗付することにより行われる。塗布液を基材上に塗付する方法としては、カーテンフロートコート、ディッピング、ロールコーティング、バーコーティング、スピンコート、スプレーコーティング等の塗工方法が挙げられる。
前記防眩層(a)と、基材層とを有する積層体を得る工程においては、通常は塗付を行った後に、塗布液中の溶剤の除去を目的とした乾燥が行われる。また、バインダーモノマーとしてUV硬化性モノマーを用いた場合には、さらにUV照射を行い、高屈折率層の強度を向上させることが好ましい。
前記防眩層(a)と、基材層とを有する積層体を得る工程により得られる積層体の概念図を図1および2に示す。該工程で得られる積層体は、防眩層(a)(高屈折率層)(10)および基材層(20)から形成されており、該防眩層(a)(10)中に、コアの平均粒径が20〜250nmであるコア・シェル構造を有する有機微粒子(12)と、平均粒径が1〜15μmの有機微粒子(14)が含まれる。防眩層(a)(10)は凹凸を有しており、防眩層(a)(10)の凸部は、平均粒径が1〜15μmの有機微粒子(14)に由来する。なお、前記積層体において、凸部の頂点は、平均粒径が1〜15μmの有機微粒子(14)から形成されていてもよく(図1)、平均粒径が1〜15μmの有機微粒子(14)と、コアの平均粒径が20〜250nmであるコア・シェル構造を有する有機微粒子(12)とから形成されていてもよく(図2)、これらが混在していてもよい。
なお、前記防眩層(a)と、基材層とを有する積層体における、防眩層(a)の厚さとしては、防眩層(a)の凸部の頂点の厚さが、通常は1〜16μmであり、好ましくは1〜10μmである。
前記低屈折率層を形成する工程は、前記防眩層(a)と、基材層とを有する積層体を得る工程により得られた積層体が有する高屈折率層(防眩層(a))の表層部に、フッ素ガスを用いた直接フッ化処理を施すことにより行われる。該工程では、高屈折率層の表層部に存在する重合体がフッ素化されることにより、高屈折率層からなる、凹凸を有する防眩層(a)が、高屈折率層および低屈折率層からなる、凹凸を有有する防眩層(A)へ変化し、防眩層(A)と、基材層とからなる光学積層体が得られる。
なお、該直接フッ化処理により、防眩層(a)中に存在する、コアの平均粒径が20〜250nmであるコア・シェル構造を有する有機微粒子、具体的には架橋構造と、炭素・炭素二重結合を有する重合性基が重合することにより形成される鎖と、芳香環および脂環から選択される少なくとも1種の環とを有し、前記鎖がメチレン基を有する重合体から形成されるコアを有するコアの平均粒径が20〜250nmであるコア・シェル構造を有する有機微粒子の中で、表層部に存在する粒子はフッ素化され、架橋構造と、炭素・炭素二重結合を有する重合性基が重合することにより形成される鎖と、芳香環および脂環から選択される少なくとも1種の環とを有し、前記鎖が‐CF2‐基および‐CHF‐基からなる群から選択される少なくとも一種のフッ素置換メチレン基を有し、前記環を構成する炭素原子の少なくとも一部にフッ素原子が結合するフッ素系重合体から形成されるコアを有するコアの平均粒径が20〜250nmであるコア・シェル構造を有する有機微粒子へ変化する。
前記フッ素系重合体は、前記鎖および環にフッ素原子が含まれているため、従来のフッ素系重合体と比べて、より低い屈折率を有しており、光線透過率にも優れている。また、フッ素系重合体は架橋構造を有しており、そのため硬度に優れる。このようなフッ素系重合体をコアとして有する有機微粒子が低屈折率層に分散していることにより、本発明の光学積層体は、反射防止性に優れ、また硬度にも優れる。
前記原料重合体は、直接フッ化処理により、炭素・炭素二重結合を有する重合性基が重合することにより形成される鎖が有するメチレン基の少なくとも一部の水素原子が置換され、‐CF2‐基および、‐CHF‐基からなる群から選択される少なくとも1種のフッ素置換メチレン基となり、芳香環および脂環からなる群から選択される少なくとも1種の環を構成する炭素原子の少なくとも一部に、フッ素原子が結合し、本発明に用いるフッ素系重合体となると推定される。本発明の光学積層体は、低屈折率層が比較的薄いため、該反応が起こっていることを本発明の光学積層体から分析により確認することは、困難である。しかしながら、参考実験として、原料重合体から形成されるフィルム(高屈折率フィルム)および、該高屈折率フィルムに直接フッ化処理を施し、比較的厚い低屈折率層(例えば、2μm以上)を形成することにより得られる、少なくとも高屈折率層/低屈折率層の層構造を有するフィルム(反射防止フィルム)を形成し、これらフィルムのIRスペクトルを分析することにより、該反応が起こっていることを確認することが可能である。
具体例としては、原料重合体の一種であるスチレン・ジビニルベンゼン・エチルスチレン共重合体から形成される高屈折フィルムのIRスペクトルおよび、該高屈折率フィルムにフッ素ガスを用いた直接フッ化処理を行うことにより得られる反射防止フィルムのIRスペクトルを対比することにより確認することができる。該具体例においては、高屈折フィルムのIRスペクトルでは、芳香族C−H伸縮振動の3100〜3000cm-1のピーク、メチレンC−H伸縮振動の2960〜2850cm-1のピーク、および芳香族C=C伸縮振動の1610〜1490cm-1のピークが観察されるが、反射防止フィルムのIRスペクトルにおいては、前記芳香族C−H伸縮振動の3100〜3000cm-1のピーク、メチレンC−H伸縮振動の2960〜2850cm-1のピーク、および芳香族C=C伸縮振動の1610〜1490cm-1のピークが、高屈折フィルムのIRスペクトルと比べて、消失もしくは減衰し、代わってC−F伸縮振動の1270〜1100cm-1のピークが出現する。このような直接フッ化処理前後のIRスペクトルの変化より、原料重合体は、直接フッ化処理により、炭素・炭素二重結合を有する重合性基が重合することにより形成される鎖が有するメチレン基の少なくとも一部の水素原子が置換され、‐CF2‐基および、‐CHF‐基からなる群から選択される少なくとも1種のフッ素置換メチレン基となり、芳香環および脂環からなる群から選択される少なくとも1種の環を構成する炭素原子の少なくとも一部に、フッ素原子が結合し、本発明に用いるフッ素系重合体となることが分かる。
なお、一般に重合体に、フッ素ガスを用いた直接フッ化処理を行うと、重合体の分子鎖の一部が切断される場合があるが、本発明に用いる原料重合体は、架橋構造を有しているため、多少の分子鎖が切断された場合であっても、得られるフッ素液重合体は、低分子量化が生じて、耐溶剤性が落ちたりすることがない。
前記直接フッ化処理の具体例としては、防眩層(a)および基材層を有する積層体を密閉空間に配置し、予め酸素の除去を行うために、真空引きを行った後に、該空間にフッ素ガスを導入し、フッ素ガスの分圧が600Pa〜1.5MPa、密閉空間の全圧が1000Pa〜1.5MPa、温度−50℃〜100℃の条件下で、5秒〜1000分保持する方法が挙げられる。
なお、密閉空間にフッ素ガスを導入する際には、フッ素ガス単独でもよいが、窒素や、アルゴン、ヘリウム等の不活性ガスを同時に導入してもよくまた、これらの不活性ガスで希釈したフッ素ガスを用いても良い。また、最初の酸素除去の為に真空引きを行った後にこれらの不活性ガスを導入し、再度真空引きを行うと該空間内の残存する酸素をより低減することができるため好ましい。
フッ素ガスを用いた直接フッ化処理では、前記原料重合体が有する水素原子の少なくとも一部をフッ素原子で置換、もしくは芳香環に付加することができ、好適にフッ素系重合体を得ることができる。
直接フッ化処理を用いずに、フッ素を含有するモノマーを用いて重合を行うことにより得られるフッ素系重合体や、原料重合体に化学的にフッ素原子を導入することにより得られるフッ素系重合体は、極薄いフィルムや複雑な形状の成形体を作製しようとすると困難だが、前記防眩層(a)および基材層を有する積層体に、直接フッ化処理を施す場合には、前記積層体を所望の形状に成形してからフッ素を導入することが可能である上、高屈折率層の極表面だけをフッ素系重合体(低屈折率層)へ改質することができる。
また、直接フッ化処理においては、フッ素ガスは非常に反応性が高いガスであるため、水素原子の位置、反応性を問わず、高屈折率層中に分散した、コア・シェル構造を有する有機微粒子が有する原料重合体が有するメチレン基の水素原子をフッ素原子で置換することや、芳香環の水素原子をフッ素原子に置換、もしくは芳香環にフッ素原子の付加をすること等ができる。
前記低屈折率層を形成する工程では、防眩層(a)の表層部でフッ素化が起こるため、凹凸を有する防眩層(a)であっても、均一な厚さでフッ素系重合体(低屈折率層)へ改質することができる。このため、本発明の光学積層体を用いたディスプレイにおいて、画面全体が白っぽくなることを抑制することが可能であり、画面へ映り込んだ物体を不鮮明にすることが可能である。
前記低屈折率層を形成する工程により得られる本発明の光学積層体の概念図を図3および4に示す。該工程で得られる光学積層体は、高屈折率層(32)および低屈折率層(34)からなる防眩層(A)(30)および基材層(20)からなる光学積層体である。
防眩層(A)(30)中には、コアの平均粒径が20〜250nmであるコア・シェル構造を有する有機微粒子(12)と、平均粒径が1〜15μmの有機微粒子(14)が含まれている。防眩層(A)(30)は、高屈折率層(32)および低屈折率層(34)を有しており、低屈折率層(34)に含有されるコアの平均粒径が20〜250nmであるコア・シェル構造を有する有機微粒子(12)は、直接フッ化処理により、フッ素化されている。また、平均粒径が1〜15μmの有機微粒子(14)は、その一部が低屈折率層(34)に存在してもよく(図3)、高屈折率層(32)にのみ存在してもよく(図4)、これらが混在してもよい。なお、平均粒径が1〜15μmの有機微粒子(14)の一部が低屈折率層(34)に存在する場合には、低屈折率層(34)に存在する部分は、直接フッ化処理によりフッ素化されている。
なお、本発明の光学積層体において、前記低屈折率層の厚さは、通常は50〜300nmであり、好ましくは60〜290nmである。また、前記防眩層(A)の凸部の頂点の厚さ、すなわち、高屈折率層および低屈折率層を合わせた凸部の頂点の厚さは、通常は1〜16μmであり、好ましくは1〜10μmである。低屈折率層の厚さが上記範囲内であると、光学積層体が反射防止性に優れる傾向があり、防眩層(A)の凸部の頂点の厚さが上記範囲内では、防眩性に優れる傾向があり好ましい。
また、防眩層(A)の凹部の厚さ、すなわち、高屈折率層および低屈折率層を合わせた凹部の厚さは通常は0.4〜14μmである。
なお、前記低屈折率層の厚さは、透過型電子顕微鏡(TEM)等を用いて、光学積層体の断面を撮影し、その画像から求めることができる。TEM画像では、フッ素は電子密度が高いため、低屈折率層と高屈折率層とは、明暗がわかれ、区別可能である。また、防眩層(A)の凸部の頂点の厚さは、光学積層体の厚さを、厚み計により測定し、光学積層体の厚さから基材層の厚さを減ずることにより求めることができる。さらに、防眩層(A)の凹部の厚さは、透過型電子顕微鏡(TEM)等を用いて、光学積層体の断面を撮影し、その画像から求めることができる。
次に本発明について実施例を示してさらに詳細に説明するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。
〔製造例1〕ナノオーダーのコア・シェル構造を有する有機微粒子の製造
(コアの製造)
ガラス容器に純水180g、1質量%エチレンジアミン四酢酸鉄ナトリウム2水塩水溶液0.6g、1%酒石酸水溶液6gを投入、攪拌し、窒素を吹き込んだ。
前記ガラス容器を湯浴中で70℃に加熱した後に、予め窒素置換を行った混合モノマー(スチレン14.3gおよび57質量%ジビニルベンゼン(残部は、主としてエチルスチレン)15.7g)および界面活性剤として5%アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム水溶液40gを投入し、窒素雰囲気下で混合し、70℃まで昇温を行った。
次いで重合開始剤として5%tert‐ブチルハイドロパーオキサイド水溶液16.8g、5%ナトリウムホルムアルデヒドスルフォキシレート水溶液16.8gを投入し窒素雰囲気下70℃で重合を行った。2時間後更に5%tert‐ブチルハイドロパーオキサイド水溶液8.4g、5%ナトリウムホルムアルデヒドスルフォキシレート水溶液8.4g、5%アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム水溶液20gを追加投入し、4時間後にも5%tert‐ブチルハイドロパーオキサイド水溶液8.4g、5%ナトリウムホルムアルデヒドスルフォキシレート8.4gを追加投入して重合反応を継続、6時間後に冷却して重合を終了し、微粒子分散水溶液を得た。
終了時点での微粒子分散水溶液中の微粒子の平均粒径は36nmであった。なお、平均粒径の測定は、ベックマンコールター社製サブミクロン粒子アナライザーN4を用いて行った。
(有機微粒子の製造)
前記コアの製造で作成した微粒子分散水溶液を70℃に昇温し、予め窒素置換したスチレン9.65g、アクリロニトリル3.22g、n‐ドデシルメルカプタン0.05g、50%ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド水溶液0.13gを投入、更に窒素雰囲気下で5%tert‐ブチルハイドロパーオキサイド水溶液5.2g、5%ナトリウムホルムアルデヒドスルフォキシレート5.2gを投入して重合反応を行った。2時間後に更に5%tert‐ブチルハイドロパーオキサイド水溶液2.6g、5%ナトリウムホルムアルデヒドスルフォキシレート2.6gを追加投入して重合を継続、4時間後に冷却して重合を終了し、コア・シェル構造を有する有機微粒子を含む微粒子分散水溶液を得た。重合終了時の微粒子分散水溶液中の有機微粒子の平均粒径は、48nmであった。なお、粒径の測定は、ベックマンコールター社製サブミクロン粒子アナライザーN4を用いて行った。
なお、コアとシェルとの質量比(コア/シェル)は、モノマー使用量から30/12.87(70/30)であった。
(有機微粒子の塩析)
前記有機微粒子の製造で作成した、微粒子分散水溶液200gを90℃の3%塩化カルシウム水溶液200g中に滴下し、塩析を行った。次いで沈殿物のろ過を行い、水洗、40℃乾燥を行い、白い粉末(有機微粒子)を得た。
〔製造例2〕マイクロオーダーの有機微粒子の製造
デュポン社Ludox HS40(コロイドシリカゾル、40%SiO2)8.3g、純水207.5gをセパラブルフラスコに秤量して混合攪拌を行った後に、ジエチルアミノエチルメタクリレート0.33g、亜硝酸ナトリウム0.033gを添加、攪拌混合を行った。この溶液に5%の塩酸水溶液を添加することによりpH3.5に調整しA液とした。
別にスチレン15.94g、57質量%ジビニルベンゼン(残部は、主としてエチルスチレン)17.26g、パーロイルL(過酸化ラウロイル、日本油脂社製)0.5gを混合攪拌してB液とした。
B液をA液に加えて日立社製ホモジナイザーHG30を用いて2分間懸濁処理を行った。この懸濁液を窒素気流下で、60℃で20時間加熱し、その後に70℃で8時間加熱することにより重合を完結させた。懸濁液を冷却後、桐山ロートを用いて生成した微粒子を濾別し、水洗を行った。更に5%水酸化ナトリウム水溶液を用いて洗った後に再度水洗を行ってから乾燥を行い、平均粒径4.4μmのジビニルベンゼン/スチレン微粒子を製造した。なお、平均粒径はシスメックス社製フロー式粒子像分析装置FPIA−3000を用いて測定し、50%径の値としている。
〔製造例3〕紫外線硬化性ハードコート液の調製
ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート80g、2,2−ビス〔4−(メタ)アクリロキシエトキシフェニル〕プロパン20g、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン3g、メチルエチルケトン100gを混合して紫外線硬化性ハードコート液(固形分50%)を調製した。
〔製造例4〕マイクロオーダー有機微粒子およびナノオーダーのコア・シェル構造を有する有機微粒子を含有するハードコート液Aの調製
上記製造例2で得たマイクロオーダーの有機微粒子、製造例1で得たナノオーダーのコア・シェル構造を有する有機微粒子、および製造例3で得た紫外線硬化性ハードコート液を、マイクロオーダー有機微粒子/ナノオーダーのコア・シェル構造を有する有機微粒子/紫外線硬化性ハードコート液(固形分)=8/100/100(質量部)となるように調整し、さらに溶剤であるメチルエチルケトンを加え、マイクロオーダー有機微粒子濃度が0.5wt%となるように調整し、ホモジナイザー(KIKA Works ULTRA TURRAX)10000/minで1時間攪拌しマイクロオーダー有機微粒子およびナノオーダーのコア・シェル構造を有する有機微粒子を含有するハードコート液Aを得た。
〔製造例5〕マイクロオーダー有機微粒子およびナノオーダーのコア・シェル構造を有する有機微粒子を含有するハードコート液Bの調製
上記製造例2で得たマイクロオーダーの有機微粒子、製造例1で得たナノオーダーのコア・シェル構造を有する有機微粒子、および製造例3で得た紫外線硬化性ハードコート液を、マイクロオーダー有機微粒子/ナノオーダーのコア・シェル構造を有する有機微粒子/紫外線硬化性ハードコート液(固形分)=4/100/100(質量部)となるように調整し、さらに溶媒であるメチルエチルケトンを加え、マイクロオーダー有機微粒子濃度が0.5wt%となるように調整し、ホモジナイザー(KIKA Works ULTRA TURRAX)10000/minで1時間攪拌しマイクロオーダー有機微粒子およびナノオーダーのコア・シェル構造を有する有機微粒子を含有するハードコート液Bを得た。
〔比較例1〕
前記製造例4で得られたハードコート液Aをバーコーティングによって透明PET(テトロンフィルムHS−74、帝人デュポンフィルム(株)、厚さ80μm)基材上に塗工し、ドライヤー乾燥でメチルエチルケトン溶媒を飛ばし、UV照射(650mJ/cm2)を行い、膜を作成し、基材/凹凸を有する高屈折率層(防眩層(a))の層構造を有する凹凸フィルム(積層体)を得た。なお、厚み計(ONO SOKKI社製、ディジタルリニアゲージ)により測定した積層体の厚さは85μmであり、防眩層(a)の凸部の頂点の厚さは5μmであった。また、TEM写真より求めた防眩層(a)の凹部の厚さは0.5μmであった。
〔実施例1〕
比較例1で得た凹凸フィルム(積層体)を2枚用意し、該フィルムの基材面同士を重ね合わせ、その端部をシールプレッシャー(キュートシーラー 富士インパルス製)を用いて熱融着した。
前記基材同士が融着されたフィルムをフッ素ガス処理用チャンバーに入れ、酸素の除去を行うため充分に真空引きを行った後、チッソ混合をしたフッ素ガス(全圧95kPa、フッ素分圧3.3kPa)雰囲気下、室温で、7分間フッ素ガス処理を行い、凹凸を有する高屈折率層の表層部に低屈折率層を形成し、融着している端部を切り離し、基材/高屈折率層/低屈折率層の層構造を有する光学積層体を2枚得た。なお得られた光学積層体は、高屈折率層および低屈折率層が、凹凸を有する防眩層を形成していた。
得られた光学積層体について、透過型電子顕微鏡による断面観察を行ったところ、低屈折率層が凹凸を有する高屈折率層上に、70nmの厚さで均一に形成されていた。なお、断面観察により得られたTEM写真を図5に示す。また、厚み計(ONO SOKKI社製、ディジタルリニアゲージ)により測定した光学積層体の厚さは85μmであり、防眩層(A)の凸部の頂点の厚さは5μmであった。また、TEM写真より求めた防眩層(A)の凹部の厚さは0.5μmであった。
〔比較例2〕
前記製造例4で得られたハードコート液Aを、前記製造例5で得られたハードコート液Bに変えた以外は比較例1と同様に行い、基材/凹凸を有する高屈折率層(防眩層(a))の層構造を有する凹凸フィルム(積層体)を得た。
なお、厚み計(ONO SOKKI社製、ディジタルリニアゲージ)により測定した積層体の厚さは85μmであり、防眩層(a)の凸部の頂点の厚さは5μmであった。また、TEM写真より求めた防眩層(a)の凹部の厚さは1.6μmであった。
〔実施例2〕
比較例1で得た凹凸フィルム(積層体)を、比較例2で得られた凹凸フィルム(積層体)に変えた以外は実施例1と同様に行い、基材/高屈折率層/低屈折率層の層構造を有する光学積層体を2枚得た。なお得られた光学積層体は、高屈折率層および低屈折率層が、凹凸を有する防眩層を形成していた。
得られた光学積層体について、透過型電子顕微鏡による断面観察を行ったところ、低屈折率層が凹凸を有する高屈折率層上に、80nmの厚さで均一に形成されていた。なお、断面観察により得られたTEM写真を図6に示す。また、厚み計(ONO SOKKI社製、ディジタルリニアゲージ)により測定した光学積層体の厚さは85μmであり、防眩層(A)の凸部の頂点の厚さは5μmであった。また、TEM写真より求めた防眩層(A)の凹部の厚さは1.5μmであった。
〔フィルムの評価〕
実施例、比較例で得た積層体について、以下の評価を行った。
(光線透過率測定)
日立分光光度計U4000を使用して波長300〜1200nmにおける積層体の光線透過率(%)を測定した。
(反射率測定)
積層体の反射測定面の反対面(基材)を、♯1200の耐水研磨紙を用いて荒らした後、顔料インクを用いた不透明マーカーで黒塗りすることにより、反射測定面以外で反射が生じないようにした測定サンプルを作成した。
前記測定サンプルの反射率を、5度正反射付属装置をセットした日立製分光光度計U4000を用いて測定した。
(Haze測定)
HazeメーターNDH2000(日本電色製)を使用し、サンプル(積層体)のHaze測定を行った。Hazeが高いと画面の白ボケが発生する。
Hazeとは試験片を透過する透過光のうち、前方散乱によって入射光から2.5°以上それた透過光の百分率を意味する。
(光沢度)
BYK社製micro−gloss60°で積層体の塗工面(凹凸を有する面)の光沢度測定を行い、防眩膜、反射防止防眩膜の映り込み強度の判定基準とした。
前記60°は、入射/反射光角度のことであり、光沢度(60°正反射)が低いほど光が拡散されているため、防眩効果が高い。なお、n(屈折率)=1.567の黒色ガラスの光沢度100を基準とする。
(表面粗さ(Ra(nm)))
積層体の試料表面(凹凸を有する面)をSeiko Instruments製SPI−3800走査型プローブ顕微鏡(SPM)の微小な探針で走査することによって三次元形状を高倍率で観察し、表面粗さ(Ra)を測定した。
表面粗さ(Ra)(nm)が大きいほど防眩性は高くなるが、Hazeが上昇し、画面の白ボケが発生する傾向がある。
本発明の光学積層体は、直接フッ化処理によって、高屈折率層の表層に低屈折率層が形成されている。表1より、本発明の光学積層体は、直接フッ化処理が行われる前の積層体(比較例の積層体)とほぼ同等のHazeを有しており、光沢度は小さく、光線透過率に優れ、かつ反射率が小さい。すなわち、本発明の光学積層体は、防眩性を兼ね備えた反射防止フィルムとして有用である。
また、本発明の光学積層体は、架橋構造を有する特定のフッ素系重合体を用いるため、硬度にも優れている。
〔参考例1〕
スチレン48重量部、ジビニルベンゼン30重量部、エチルスチレン22重量部を混合した後に、重合開始剤としてtert−ブチルパーオキシピバレートを1.5重量部添加してよく攪拌し、重合性単量体混合物を得た。
次いでこの重合性単量体混合物を2枚の対向するガラス製円板(厚さ5mm、2枚のガラス製円板間隔0.5mm)の周辺部をテープでシールする事により作成した重合板作成用型の中に流し込み、テープで封入した。この重合板作成用型を40℃で8時間保持し、5時間かけて65℃まで昇温し、2時間かけて120℃に昇温し、120℃で1時間保持し、2時間かけて70℃に降温するという加熱プログラムを組んだオーブンに入れて重合を行った後サンプル型より重合体を取り出し高屈折率フィルムを得た。
該フィルムのIRスペクトルを、パーキンエルマー製の赤外分光分析FT−IRを用いて、ATR法で測定した。なお、測定範囲は4000〜700cm-1であり、DuraScope製のダイヤモンドATRを用いて測定した。
得られたIRスペクトルを、図7に実線で示す。
〔参考例2〕
参考例1で得た高屈折率フィルムをフッ素ガス処理用チャンバーに入れ、酸素の除去を行うため充分に真空引きを行った後、窒素混合をしたフッ素ガス(全圧93kPa、フッ素分圧27kPa)雰囲気下、室温で、50分間フッ素ガス処理を行い、低屈折率層/高屈折率層/低屈折率層の層構造を有する反射防止フィルムを得た。また、この参考例で得られる反射防止フィルムは、フィルムの両面が低屈折率層となる。
参考例1と同様の条件でIRスペクトルを測定した。
得られたIRスペクトルを、図7に点線で示す。
図7より、原料重合体に、直接フッ化処理を施すことにより、原料重合体の有する芳香族C−H伸縮振動の3100〜3000cm-1のピーク、メチレンC−H伸縮振動の2960〜2850cm-1のピーク、および芳香族C=C伸縮振動の1610〜1490cm-1のピークが消失もしくは減衰し、代わってC−F伸縮振動の1270〜1100cm-1のピークが出現することがわかる。
10・・・防眩層(a)
12・・・コアの平均粒径が20〜250nmであるコア・シェル構造を有する有機微粒子
14・・・平均粒径が1〜15μmの有機微粒子
20・・・基材層
30・・・防眩層(A)
32・・・高屈折率層
34・・・低屈折率層

Claims (8)

  1. 基材層と、凹凸を有する防眩層(A)とを有する光学積層体であって、
    前記防眩層(A)が、基材層に隣接する高屈折率層および、高屈折率層に隣接する低屈折率層からなり、
    前記防眩層(A)が、コアの平均粒径が20〜250nmであるコア・シェル構造を有する有機微粒子と、平均粒径が1〜15μmの有機微粒子とを含み、
    前記低屈折率層に含有される前記コアの平均粒径が20〜250nmであるコア・シェル構造を有する有機微粒子が、
    架橋構造と、炭素・炭素二重結合を有する重合性基が重合することにより形成される鎖と、芳香環および脂環から選択される少なくとも1種の環とを有し、前記鎖が‐CF2‐基および‐CHF‐基からなる群から選択される少なくとも一種のフッ素置換メチレン基を有し、前記環を構成する炭素原子の少なくとも一部にフッ素原子が結合するフッ素系重合体から形成されるコアを有することを特徴とする光学積層体。
  2. 前記高屈折率層に含有される前記コアの平均粒径が20〜250nmであるコア・シェル構造を有する有機微粒子が、
    架橋構造と、炭素・炭素二重結合を有する重合性基が重合することにより形成される鎖と、芳香環および脂環から選択される少なくとも1種の環とを有し、前記鎖がメチレン基を有する重合体から形成されるコアを有することを特徴とする請求項1に記載の光学積層体。
  3. 前記低屈折率層の厚さが、50〜300nmであることを特徴とする請求項1または2に記載の光学積層体。
  4. 前記防眩層(A)の凸部の頂点の厚さが、1〜16μmであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の光学積層体。
  5. コアの平均粒径が20〜250nmであるコア・シェル構造を有する有機微粒子と、平均粒径が1〜15μmの有機微粒子と、バインダーモノマーとを含む塗布液を、基材上に塗布し、高屈折率層からなる、凹凸を有する防眩層(a)と、基材層とを有する積層体を得て、
    該積層体が有する高屈折率層の表層部に、フッ素ガスを用いた直接フッ化処理を施し、低屈折率層を形成することにより得られる、
    低屈折率層および高屈折率層からなる、凹凸を有する防眩層(A)と、基材層とからなる光学積層体であり、
    前記塗布液に含まれるコアの平均粒径が20〜250nmであるコア・シェル構造を有する有機微粒子が、架橋構造と、炭素・炭素二重結合を有する重合性基が重合することにより形成される鎖と、芳香環および脂環から選択される少なくとも1種の環とを有し、前記鎖がメチレン基を有する重合体から形成されるコアを有することを特徴とする光学積層体。
  6. 前記防眩層(A)が有する前記低屈折率層の厚さが、50〜300nmであることを特徴とする請求項5に記載の光学積層体。
  7. 前記防眩層(A)の凸部の頂点の厚さが、1〜16μmであることを特徴とする請求項5または6に記載の光学積層体。
  8. コアの平均粒径が20〜250nmであるコア・シェル構造を有する有機微粒子と、平均粒径が1〜15μmの有機微粒子と、バインダーモノマーとを含む塗布液を、基材上に塗布し、高屈折率層からなる防眩層(a)と、基材層とを有する積層体を得る工程、および
    該積層体が有する高屈折率層の表層部に、フッ素ガスを用いた直接フッ化処理を施すことにより、低屈折率層を形成する工程を有する、
    低屈折率層および高屈折率層からなる防眩層(A)と、基材層とからなる光学積層体の製造方法であり、
    前記塗布液に含まれるコアの平均粒径が20〜250nmであるコア・シェル構造を有する有機微粒子が、架橋構造と、炭素・炭素二重結合を有する重合性基が重合することにより形成される鎖と、芳香環および脂環から選択される少なくとも1種の環とを有し、前記鎖がメチレン基を有する重合体から形成されるコアを有することを特徴とする光学積層体の製造方法。
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