JP2012022933A - 二次電池用負極材料、リチウムイオン二次電池用負極およびリチウムイオン二次電池 - Google Patents

二次電池用負極材料、リチウムイオン二次電池用負極およびリチウムイオン二次電池 Download PDF

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Abstract

【課題】炭素繊維を用いた二次電池用負極材料として、リチウムイオン二次電池の初期の充放電効率とサイクル特性を効果的に改善できるものを提供する。
【解決手段】多数の微結晶の黒鉛で構成され、図3に示す微細構造を有する炭素繊維として、直径が50nm以上800nm以下である細い炭素繊維と、直径が900nm以上5000nm以下である太い炭素繊維を作製する。これらの混合物をリチウムイオン二次電池の負極材料として使用する。
【選択図】図3

Description

この発明は、炭素繊維を用いた二次電池用負極材料と、これを用いたリチウムイオン二次電池用負極およびリチウムイオン二次電池に関する。
リチウムイオン二次電池は、近年、携帯用端末やモバイル通信機器の電源として広く普及している。また、リチウムイオン二次電池は、現存する二次電池の中でも最もエネルギー密度が高いため、ハイブリッド自動車や燃料電池自動車の補助電源として、あるいは定置用大型電源として使用することも検討されている。従来のリチウムイオン二次電池は、正極材料としてLiCoO2 、負極材料として黒鉛を用いたものが一般的である。
下記の特許文献1および2には、リチウムイオン二次電池の負極材料として炭素繊維を用いることが記載されている。
特許文献1には、リチウムイオン二次電池の大電流放電特性やサイクル特性を改善するために、黒鉛に炭素質が被覆された被覆黒鉛粒子に、気相成長法で製造された炭素繊維を添加した材料を、負極活物質として使用することが記載されている。しかしながら、この方法では十分な改善効果が得られていないのが実情である。その原因の一つは、導電性補助材として添加している気相成長法で製造された炭素繊維が、導電性に異方性を有するためと考えられる。
従来の方法(アーク法や気相成長法)で製造された炭素繊維の構造は、図5に示すように、グラフェンシート(炭素の六員環ネットワーク)が特定の方向を向いて重なった構造や、径の異なる複数の円筒状に巻かれたグラフェンシートが同軸状に入れ子になった構造となっている。図5の(a)はヘリングボーンタイプ、(b)はマルチウォールタイプ(多層型カーボンナノチューブ)、(c)はカップスタックタイプと称されている。このような構造の炭素繊維は、グラフェンシート面に沿って伝達する電流または熱伝導の程度に方向性(異方性)が生じる。
すなわち、気相成長法で製造された炭素繊維が例えば図5(b)の構造を有する場合、円筒状の繊維の軸に沿った方向の導電性は極めて高いが、円筒状の周面からの導電性が低い。つまり、導電性に異方性を有するため、被覆黒鉛粒子に対する炭素繊維の接触方向を制御しないと、高い導電性が得られない。これに起因して、気相成長法で製造された炭素繊維の場合は、導電性補助材として添加することで得られる効果が期待したほどにならないと推測される。
特許文献2には、不可逆容量が小さく且つ充放電容量が大きなリチウムイオン二次電池を得るために、エレクトロスピニング法により高分子材料からなる繊維状物を形成し、繊維状物を焼成して生成させた炭素繊維を主成分とする負極を、リチウムイオン二次電池に使用することが記載されている。
具体的に、高分子材料としては、ポリアクリロニトリル(PAN)、セルロース、レーヨン、ポリカルボジイミド、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、ポリスチレン、ポリアクリル酸等を用いている。このような高分子材料を溶媒に溶かした高分子材料含有溶液を、支持体に向けて噴射して、支持体上に高分子材料からなる繊維状物の堆積層を形成している。この堆積層を焼成して生成させた炭素繊維は、数十〜数百ナノメートルと細いだけでなく、3次元連続構造を有しており、基板からの導電パスが確保されており、更には高表面積であると記載されている。
特許文献2の実施例では、銅箔上に直径が80〜300nmで長さが1mm以上のナイロンナノファイバーを5mg/cm2 の割合で堆積した後、この堆積層を銅箔につけた状態でアルゴン減圧雰囲気で焼成して三次元連続状炭素繊維を得、これを銅箔ごと直径16mmの大きさに打ち抜いたものを負極として用いている。この負極を構成する炭素繊維は非晶質カーボンからなり、多数の微結晶の黒鉛で構成されるものではない。
下記の特許文献3には、エレクトロスピニング法を実施することができる紡糸装置が記載されている。この紡糸装置は、原料の溶融物を貯蔵する貯蔵容器と、貯蔵容器に貯蔵された溶融物を細糸状に吐出する溶融物吐出ノズルと、溶融物吐出ノズルに対向して配置されたコレクタと、コレクタと溶融物吐出ノズルとの間に電圧を印加して、溶融物吐出ノズルから吐出された溶融物を帯電させる溶融物帯電手段と、を備えている。この溶融物吐出ノズルは、溶融物を入れる第1のノズル部と、ガスを入れる第2のノズル部とからなり、第2のノズル部に入れたガスにより加圧しながら、第1のノズル部内の溶融物を細糸状に吐出するものである。
特開2003−168429号公報 特開2007−207654号公報 特開2009−275339号公報
この発明の課題は、炭素繊維を用いた二次電池用負極材料として、リチウムイオン二次電池の初期の充放電効率とサイクル特性を効果的に改善できるものを提供することである。
上記課題を解決するために、この発明の二次電池用負極材料は、多数の微結晶の黒鉛で構成され、直径が50nm以上800nm以下である細い炭素繊維と、多数の微結晶の黒鉛で構成され、直径が900nm以上5000nm以下である太い炭素繊維と、の混合物からなることを特徴とする。
この発明の二次電池用負極材料は、多数の微結晶の黒鉛で構成された炭素繊維であって、太さが細いものと太いものの混合物を使用することで、繊維同士が接触しやすくなり、リチウムイオン二次電池の初期の充放電効率とサイクル特性を効果的に改善できる。
前記細い炭素繊維と太い炭素繊維は、ランダムに配向した多数の微結晶の黒鉛で構成され、Cu−Kα線のX線回折により測定される(002)面の面間隔が0.3400nm以上0.3700nm以下であることが好ましい。
ランダムに配向した多数の微結晶の黒鉛で構成され、Cu−Kα線のX線回折により測定される(002)面の面間隔が0.3400nm以上0.3700nm以下である炭素繊維は、下記の(a) に示すピッチ繊維の紡糸工程と、ピッチ繊維の不融化工程と、不融化されたピッチ繊維を不活性ガス雰囲気で熱処理する工程を経て製造することができる。
(a)ピッチ系物質の溶融物を紡糸ノズルからコレクタに向けて吐出する際に、前記紡糸ノズルの周囲に予熱されたガスを供給し、この予熱ガスを、前記溶融物の吐出方向と平行に前記コレクタに向けて吹き付けることを特徴とする、エレクトロスピニング法によるピッチ繊維の紡糸工程。
この発明のリチウムイオン二次電池用負極は、この発明の二次電池用負極材料を活物質の主成分として有する。
この発明のリチウムイオン二次電池用負極を有するリチウムイオン二次電池は、初期の充放電効率とサイクル特性に優れたものとなる。
<この発明の二次電池用負極材料をなす炭素繊維の製造方法について>
この発明の二次電池用負極材料をなす炭素繊維は、(a) に示すピッチ繊維の紡糸工程と、ピッチ繊維の不融化工程と、不融化されたピッチ繊維を不活性ガス雰囲気で熱処理する工程を経て製造することができる。
ピッチ繊維の紡糸工程で使用するピッチ系物質としては、無水添ピッチと水添ピッチがある。無水添ピッチは、石油系タールまたは石炭タールを常圧蒸留および減圧蒸留して重質留分と軽質留分に分離し、得られた重質留分をそのまま熱処理し、重縮合させて所定の軟化点に調製する方法で得られ、光学的等方性を有し、「General Purpose ピッチ」と称される。水添ピッチは、得られた重質留分を水添分解することで熱安定性を高めた後に熱処理し、所定の軟化点に調整する方法で得られ、光学的異方性を有し、「High Peformance ピッチ」、「液晶ピッチ」と称される。
(a)のピッチ繊維の紡糸工程において、ピッチ系物質としては、軟化点が210℃を超え280℃未満である無水添ピッチを用いるか、軟化点が120℃を超え250℃未満である水添ピッチを用いることが好ましい。無水添ピッチの場合は、軟化点が220℃以上250℃以下のものを用いることがより好ましい。水添ピッチの場合は、軟化点が200℃以上230℃以下のものを用いることがより好ましい。
軟化点が210℃を超える無水添ピッチには結晶の種(embryo)が多数、非晶質状態で存在するため、これをピッチ系物質として用いて紡糸されたピッチ繊維を、炭素化または黒鉛化する際に、いろいろな方向を向いたembryoを起点とした結晶成長が生じる。これにより、多数の結晶がランダムに存在する炭素繊維が得られる。
ただし、軟化点が280℃以上の無水添ピッチは、ピッチ系物質の熱変質温度(340℃程度)に加熱された溶融物として紡糸ノズルから突出する際の粘度が高くなり、良好な紡糸状態が得られないため使用しない。
軟化点が210℃以下の無水添ピッチにはembryoがほとんど存在しないため、これをピッチ系物質として用いて紡糸されたピッチ繊維を、炭素化または黒鉛化しても、多数の結晶がランダムに存在する炭素繊維は得られない。また、紡糸の際に、紡糸ノズルから溶融物を吐出し、この吐出された溶融物に静電引力が加わることで、炭素化または黒鉛化の際に、少し配向しながら結晶が成長していくと考えられる。
軟化点が250℃以上の水添ピッチは紡糸の際に配向しやすいため、これをピッチ系物質として用いて紡糸されたピッチ繊維を、炭素化または黒鉛化しても、多数の結晶がランダムに存在する炭素繊維は得られない。得られた炭素繊維の結晶構造はa軸が繊維軸に沿った(配向した)構造となる。よって、水添ピッチの場合は軟化点が250℃未満のものを使用する。
軟化点が120℃以下の水添ピッチは、炭素繊維を得るために、この発明の方法で紡糸工程を行った後に行う不融化工程で、処理温度を100℃程度と低くする必要があり、不融化工程にかかる時間が極端に長くなる。これに対して、軟化点が120℃を超える水添ピッチは、不融化工程の処理温度を100℃を超えた高温で行うことができるため、不融化工程にかかる時間を短縮できる。
(a)のピッチ繊維の紡糸方法は、前記紡糸ノズルの周囲に予熱されたガスを供給し、この予熱ガスを、前記紡糸ノズルから前記溶融物を吐出する際に、その吐出方向と平行に前記コレクタに向けて吹き付けることを特徴としている。この吹き付けられた予熱ガスの剪断力で、ピッチ繊維がランダムな微細構造を有するようになると推定できる。この予熱ガスの吹き付け圧力を調整することで、ピッチ繊維の太さを制御することができる。
そして、この方法でピッチ繊維の紡糸工程を行った後に、ピッチ繊維の不融化工程と、不融化されたピッチ繊維を不活性ガス雰囲気で熱処理する工程(炭素化工程および黒鉛化工程)を通常の方法で行うことにより、平均直径が50nm以上5000nm以下であり、ランダムに配向した多数の微結晶の黒鉛から構成され、Cu−Kα線のX線回折により測定される(002)面の面間隔が0.3400nm以上0.3700nm以下である炭素繊維を得ることができる。
なお、熱処理する工程(炭素化工程および黒鉛化工程)の温度は、500℃以上2700℃未満が好ましく、800℃以上2500℃以下がより好ましい。
この発明の二次電池用負極材料によれば、リチウムイオン二次電池の初期の充放電効率とサイクル特性を効果的に改善することができる。
この発明の実施形態に相当する二次電池用負極材料を作製するための紡糸工程で使用する紡糸装置を示す概略構成図である。 図1の装置の溶融物吐出ノズル5の構造を示す断面図である。 実施例のNo.1で得られた炭素繊維の微細構造を模式的に示す模式図である。 気相成長法で得られた(実施例のNo.3で使用した)炭素繊維の微細構造を模式的に示す模式図である。 従来の炭素繊維の微細構造の例を示す図であって、(a)はヘリングボーンタイプ、(b)はマルチウォールタイプ(多層型カーボンナノチューブ)、(c)はカップスタックタイプである。
以下、この発明を実施するための形態について説明する。
この発明の二次電池用負極材料は、多数の微結晶の黒鉛で構成され、直径が50nm以上800nm以下である細い炭素繊維と、多数の微結晶の黒鉛で構成され、直径が900nm以上5000nm以下である太い炭素繊維と、の混合物からなる。これらの炭素繊維は、図1の紡糸装置を用いたピッチ繊維の紡糸工程と、ピッチ繊維の不融化工程と、不融化されたピッチ繊維を不活性ガス雰囲気で熱処理する工程を経て製造することができる。
図1の紡糸装置は、ピッチ系物質1を貯蔵する貯蔵容器2と、貯蔵容器2を加熱して内部のピッチ系物質1を溶融状態に保持する電熱ヒーター3と、貯蔵容器2に接続された窒素ガス供給ライン4と、貯蔵容器2の下端に配置された溶融物吐出ノズル5と、溶融物吐出ノズル5の先端と対向する位置に配置された平板状のコレクタ6と、コレクタ6と溶融物吐出ノズル5との間に電圧を印加する電圧発生器7と、で構成されている。
ピッチ系物質1は別の容器で溶融状態とされ、その容器からギヤポンプ等により貯蔵容器2内に供給されるようになっている。貯蔵容器2は密閉構造となっていて、例えば0.3〜0.7MPa程度に加圧された窒素ガスが、窒素ガス供給ライン4から供給されるように構成されている。この加圧ガスの供給により、貯蔵容器2内のピッチ系物質1が溶融物吐出ノズル5に導入される。
溶融物吐出ノズル5は、図2に示すように、紡糸ノズル51と、外筒52と、ノズルガイド53とで構成されている。紡糸ノズル51は、主要部51aと後端部51bと先端ノズル部51cとで構成されている。紡糸ノズル51の後端部51bに、内部5Aに溶融物を導入する配管54が接続されている。この配管54を介して、紡糸ノズル51の内部5Aに、貯蔵容器2から溶融状態のピッチ系物質1が導入される。
紡糸ノズル51の主要部51aと外筒52およびノズルガイド53との間に、空間5Bが設けてある。この空間5Bにガスを導入する配管55が、外筒52に接続されている。紡糸ノズル51の先端ノズル部51cは、先端に向けて段階的に直径が小さく形成されている。ノズルガイド53は、紡糸ノズル51の先端ノズル部51cの形状に対応させて、先端に向けて内径が段階的に小さく形成されている。そして、ノズルガイド53の先端に、例えば直径が0.5mm程度のノズル口53aが形成されている。
この実施形態の紡糸方法では、軟化点が210℃を超え280℃未満である無水添ピッチ、または軟化点が120℃を超え250℃未満である水添ピッチを用意して、これを別の容器に入れて溶融状態とする。この溶融状態となったピッチ系物質1が、図1の紡糸装置の貯蔵容器2内に供給される。
電熱ヒーター3で、ピッチ系物質1の粘度が(1〜100ポイズ)となるように貯蔵容器2を加熱し、窒素ガス供給ライン4から供給された加圧窒素ガスにより、貯蔵容器2内のピッチ系物質1を配管54から溶融物吐出ノズル5の紡糸ノズル51内に導入する。また、300℃程度に加熱された不活性ガス(窒素ガス、ヘリウムガス、アルゴンガス等)を、配管55から溶融物吐出ノズル5の空間5Bに導入する。これにより、加熱された不活性ガスが、溶融物吐出ノズル5の空間5B(紡糸ノズル51の主要部51aの周囲)に供給される。
また、電圧発生器7により、コレクタ6と溶融物吐出ノズル5との間に0.5〜100kVの範囲で電圧を印加する。ここでは、安全性の観点から、コレクタ6を接地し、溶融物吐出ノズル5を正電圧側としている。コレクタ6の接地位置と溶融物吐出ノズル5の先端位置との距離は、例えば10〜200mmとする。この距離を10mm以上とすることにより、コレクタ6と溶融物吐出ノズル5との間の絶縁破壊が防止され、安定した電位環境を保持することができる。また、この距離が200mmを超えると、コレクタ6と溶融物吐出ノズル5との間に十分な電場が生じない。
これにより、紡糸ノズル51の内部5Aに導入された溶融状態のピッチ系物質1が、ノズル口53aからコレクタ6に向けて吐出され、その際に、300℃程度に予熱された不活性ガスが溶融物吐出ノズル5の空間5Bに導入され、この不活性ガスが、溶融状態のピッチ系物質1の吐出方向と平行に、コレクタ6に向けて吹き付けられる。この不活性ガスの剪断力により、コレクタ6で捕集されるピッチ繊維の微細構造がランダムになると推定できる。
このようにして得られたピッチ繊維に対して、一般的な不融化工程(ピッチ繊維を酸素含有雰囲気中で加熱する工程)を行った後、不融化されたピッチ繊維を不活性ガス雰囲気で熱処理する炭素化工程および黒鉛化工程を、それぞれ通常の方法で行う。
その結果、ランダムに配向した多数の微結晶の黒鉛から構成され、Cu−Kα線のX線回折により測定される(002)面の面間隔が0.3400nm以上0.3700nm以下である炭素繊維を得ることができる。また、不活性ガスの吹き付け圧力を変えることで、得られる炭素繊維の直径を変えることができる。よって、直径が50nm以上800nm以下である細い炭素繊維と、多数の微結晶の黒鉛で構成され、直径が900nm以上5000nm以下である太い炭素繊維を得ることができる。
そして、これらの炭素繊維の混合物は導電性に優れるため、リチウムイオン二次電池の負極材料として使用することで、リチウムイオン二次電池の初期の充放電効率とサイクル特性を改善することができる。
なお、不融化工程の加熱温度は、使用したピッチ系物質の軟化点に応じて、例えば100〜300℃とする。また、炭素化工程は500℃以上1200℃以下で行い、黒鉛化工程は、炭素化工程の後に2000℃以上2700℃未満の温度で行う。不融化工程後のピッチ繊維を500〜1200℃で加熱すると揮発性物質が大量に発生するため、炭素化工程は、揮発性物質を除去できる構造になっている炉(炭素化炉)を使用して行う。黒鉛化工程は、炭素化工程で揮発性物質が除去された炭素繊維を、熱効率が高く、酸化性物質の混入がない構造の炉(黒鉛化炉)に移し換えて行う。
次に、リチウムイオン二次電池の負極に関する、この発明の特徴以外の部分を説明する。
<リチウムイオン二次電池の負極>
リチウムイオン二次電池の負極は、例えば、炭素材料からなる負極材料(負極活物質)と、結合材と、導電剤などの添加剤とで構成される負極合剤を、集電材の表面に塗布することで製造することができる。
この発明では、負極活物質の主成分として、前述の炭素繊維の混合物を含有するが、これに加えて他の炭素材料、例えば、天然黒鉛、人造黒鉛を含有してもよい。人造黒鉛としては、ピッチを加熱して黒鉛化したもの、ピッチを加熱して得られるメソカーボン小球体、バルクメソフェーズ、コークスなどの黒鉛化したもの、これらの黒鉛化物の表面をピッチ、フェノール樹脂で被覆後、焼成したものなどが例示できる。また、これらの複数の炭素材料を混合して用いてもよい。さらに、粉状、球状、リン片状、繊維状の炭素材料を負極材料として使用できる。
また、導電剤として、カーボンブラック、気相成長法で得られた炭素繊維などを使用してもよい。
結合剤としては、電解質に対して化学的安定性、電気化学的安定性を有するものが好ましく、有機溶媒に溶解および/または分散させる有機系結合剤はもちろんのこと、水系溶媒に溶解および/または分散する水系結合剤を用いても、優れた充放電特性を発現する負極を得ることができる。
例えば、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレンなどのフッ素系樹脂、ポリエチレン、ポリビニルアルコールなどの樹脂、さらにはカルボキシメチルセルロース、スチレンブタジエンゴムなどのゴムなどが用いられるが、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルアルコール、スチレンブタジエンゴムなどの水系結合剤を用いることが好ましい。これらを併用することもできる。結合剤は、通常、負極合剤の全量中0.5〜20質量%の割合で使用されるのが好ましい。
溶媒としては、負極合剤の調製に使用される通常の溶媒が使用される。具体的には、N ーメチルピロリドン、ジメチルホルムアミド、水、アルコールなどが挙げられるが、水系溶媒の使用が環境汚染、安全性の点から好ましい。
より具体的な負極の作製方法は、まず、負極材料を分級などにより所望の粒度に調整し、結合剤と混合して得た混合物を溶媒に分散させ、ペースト状にして負極合剤を調製する。すなわち、負極材料と、結合剤を、水、イソプロピルアルコール、N ーメチルピロリドン、ジメチルホルムアミドなどの溶媒に混合または分散して得たスラリーを、公知の攪拌機、混合機、混練機、ニーダーなどを用いて攪拌混合してペーストを調製する。このペーストを、集電材の片面または両面に塗布し、乾燥すれば、負極合剤層が均一かつ強固に接着した負極が得られる。負極合剤層の膜厚は10〜200μm、好ましくは20〜100μmである。
また、負極材料と、ポリエチレン、ポリビニルアルコールなどの樹脂粉末を、必要ならば、他の黒鉛質材料とともに乾式混合し、通常の成形方法に準じて負極を成形することができる。例えば、金型内でその混合物をホットプレス成形して負極を成形することができる。負極合剤層を形成した後、プレス加圧などの圧着を行うと、負極合剤層と集電材との接着強度をより高めることができる。
負極に用いる集電材の形状は特に限定されないが、箔状、またはメッシュ、エキスパンドメタルなどの網状のものなどが用いられる。集電材の材質としては、銅、ステンレス、ニッケルなどが挙げられる。集電材の厚さは、箔状の場合は、5〜20μmであることが好ましい。
次に、リチウムイオン二次電池の負極以外の構成について説明する。
<リチウムイオン二次電池の構造>
リチウムイオン二次電池は、通常、負極、正極および非水電解質を主たる電池構成要素としている。正極および負極はそれぞれリチウムイオンの担持体であり、充電時にはリチウムイオンが負極に吸蔵され、放電時に負極から離脱することで、二次電池として作用する。
リチウムイオン二次電池の構造は、用途、搭載機器、要求される充放電容量などに応じて、円筒型、角型、コイン型、ボタン型などの中から任意に選択することができる。より安全性の高い密閉型非水電解液電池を得るためには、過充電などの異常時に電池内圧の上昇を感知して電流を遮断させる手段を備えたものであることが好ましい。高分子固体電解質二次電池や高分子ゲル電解質二次電池などの高分子電解質二次電池の場合には、アルミラミネートフィルムに封入した構造とすることもできる。
これらの高分子電解質二次電池は、負極、正極および高分子電解質を、例えば、負極、高分子電解質、正極の順で積層し、電池の外装内に収容することで構成される。さらに、負極と正極の外側に高分子電解質を配するようにしてもよい。
<リチウムイオン二次電池の正極>
正極は、例えば正極材料と結合剤と導電剤よりなる正極合剤を集電材の表面に塗布することにより形成される。正極材料(正極活物質)は、十分量のLiを吸蔵・離脱し得るものを選択することが好ましい。正極活物質としては、リチウム含有遷移金属酸化物、遷移金属カルコゲン化物、バナジウム酸化物(V2 5 、V6 13、V2 4 、V3 8 など)およびそのリチウム化合物などのリチウム含有化合物、一般式Mx Mo6 8-y (式中Mは少なくとも一種の遷移金属元素であり、Xは0≦X≦4、Yは0≦Y≦1の範囲の数である)で表されるシェブレル相化合物、活性炭、活性炭素繊維などを用いることができる。このリチウム含有遷移金属酸化物はLiと遷移金属との複合酸化物であり、Liと2種類以上の遷移金属を固溶したものであってもよい。
このリチウム含有遷移金属酸化物は、具体的には、LiM1 1-p2 p 2 (式中M1 およびM2 は少なくとも一種の遷移金属元素であり、pは0≦p≦1の範囲の数である)、またはLiM1 2-q2 q 4 (式中M1 およびM2 は少なくとも一種の遷移金属元素であり、qは0≦q≦2の範囲の数である)で示される。
M、M1 およびM2 で示される遷移金属は、Co、Ni、Mn、Cr、Ti、V、Fe、Zn、Al、In、Snなどであり、好ましいのはCo、Fe、Mn、Cr、Ti、V、Alなどである。好ましい具体例はLiCoO2 、LiNiO2 、LiMnO2 、LiNi0.9 Co0.1 2 、LiNi0.5 Co0.5 2 などである。
このリチウム含有遷移金属酸化物は、例えば、Liと遷移金属の酸化物または塩類を出発原料として、これら出発原料を所望の金属酸化物の組成に応じて混合し、酸素雰囲気下、600〜1000℃の温度で焼成することにより得ることができる。出発原料は酸化物または塩類に限定されず、水酸化物などでもよい。
正極活物質は、前記化合物を単独で使用しても、2種類以上併用してもよい。例えば、正極材料に炭酸リチウムなどの炭酸アルカリ塩を添加することもできる。
このような正極材料によって正極を形成するには、例えば、正極活物質と結合剤および電極に導電性を付与するための導電剤よりなる正極合剤を集電材の片面または両面に塗布することで正極合剤層を形成する。結合剤としては、負極で用いたものが使用可能である。導電剤としては、黒鉛やカーボンブラックなどの炭素材料が用いられる。
正極に用いる集電材の形状は特に限定されないが、箔状、またはメッシュ、エキスパンドメタルなどの網状のものなどが用いられる。集電材の材質としては、アルミニウム、銅、ステンレス、ニッケルなどが挙げられる。集電材の厚さは、箔状の場合は、10〜40μmであることが好ましい。
正極の場合も負極の場合と同様に、正極合剤を溶剤中に分散させることでペースト状にし、このペースト状負極合剤を集電材に塗布し乾燥することによって正極合剤層を形成してよく、正極合剤層を形成した後、さらにプレス加圧などの圧着を行っても構わない。これにより、正極合剤層が均一かつ強固に集電材に接着される。
<リチウムイオン二次電池の非水電解質>
リチウムイオン二次電池は、非水電解質として液系の電解質のほかに、固体電解質またはゲル電解質などの高分子電解質を使用することができる。液系の場合は非水電解質二次電池は、いわゆるリチウムイオン二次電池として構成され、高分子系の場合は高分子固体電解質二次電池、高分子ゲル電解質二次電池などの高分子電解質二次電池として構成される。
リチウムイオン二次電池に使用される非水電解質は、通常の非水電解液に使用される電解質塩であり、具体的には、LiPF6 、LiBF4 、LiAsF6 、LiClO4 、LiB(C6 5 )、LiCl、LiBr、LiCF3 SO3 、LiCH3 SO3 、LiN(CF3 SO2 2 、LiC(CF3 SO2 3 、LIN(CF3 CH2 OSO2 2 、LIN(CF3 CF3 OSO2 2 、LIN(HCF2 CF2 CH2 OSO2 2 、LIN[(CF3 2 CHOSO2 2 、LIB[C6 3 (CF3 2 4 、LiAlCl4 、LiSiF6 などのリチウム塩が挙げられる。
特にLiPF6 とLiBF4 が酸化安定性の点から好ましい。電解液中の電解質塩の濃度は0.1〜5mol/l であることが好ましく、0.5〜3.0mol/l であることがより好ましい。
非水電解質液とするための溶媒としては、通常の非水電解液の溶媒として使用されるものが挙げられる。具体的には、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネートなどのカーボネート、1,1−または1,2−ジメトキシエタン、1,2−ジエトキシエタン、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、γ−ブチロラクトン、1,3−ジオキソフラン、4−メチルー1,3−ジオキソフラン、アニソール、ジエチルエーテルなどのエーテル、スルホラン、メチルスルホランなどのチオエーテル、アセトニトリル、クロロニトリル、プロピオニトリルなどのニトリル、ホウ酸トリメチル、ケイ酸テトラメチル、ニトロメタン、ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン、酢酸エチル、トリメチルオルトホルメート、ニトロベンゼン、塩化ベンゾイル、臭化ベンゾイル、テトラヒドロチオフェン、ジメチルスルホキシド、3−メチル−2−オキサゾリドン、エチレングリコール、ジメチルサルファイトなどの非プロトン性有機溶媒を用いることができる。
高分子電解質を用いる場合は、マトリックス構成する高分子として可塑剤(非水電解液)でゲル化した高分子を用いる。高分子電解質とするためのマトリックスとしては、ポリエチレンオキサイドやその架橋体などのエーテル系高分子化合物、ポリメタクリレート系高分子化合物、ポリアクリレート系高分子化合物、ポリビニリデンフルオライドやビニリデンフルオライドーヘキサフルオロプロピレン共重合体などのフッ素系高分子化合物などを単独または混合して用いることができる。これらの中では、酸化還元安定性などの観点から、ポリビニリデンフルオライドやビニリデンフルオライドーヘキサフルオロプロピレン共重合体などのフッ素系高分子化合物などを用いることが好ましい。
高分子電解質の場合、可塑剤が配合されるが、可塑剤としては、前記電解質塩や非水溶媒が使用される。高分子ゲル電解質の場合、可塑剤である非水電解液中の電解質塩濃度は0.1〜5mol/l であることが好ましく、0.5〜2.0mol/l であることがより好ましい。
このような高分子電解質の製造方法は特に制限されないが、例えば、マトリックスを構成する高分子化合物、リチウム塩および非水溶媒(可塑剤)を混合し、加熱して高分子化合物を溶融・溶解する方法、混合用有機溶媒に高分子化合物、リチウム化合物および非水溶媒を溶解させた後、混合用有機溶媒を蒸発させる方法、重合性モノマー、リチウム塩および非水溶媒を混合し、混合物に紫外線、電子線または分子線などを照射して重合させる方法などを挙げることができる。
前記高分子電解質中の非水溶媒の割合は10〜90質量%が好ましく、30〜80質量%がより好ましい。10質量%未満であると導電率が低くなり、90質量%を越えると機械的強度が弱くなり、成膜しにくくなる。
<リチウムイオン二次電池のセパレータ>
リチウムイオン二次電池のセパレータとしては、例えば、織布、不織布、合成樹脂製微多孔膜などが挙げられる。合成樹脂製微多孔膜が好ましいが、なかでもポリオレフィン系製微多孔膜が厚さ、膜強度、膜抵抗などの点から好ましい。具体的には、ポリエチレンおよびポリプロピレン製微多孔膜、またはこれらを複合した微多孔膜などである。
以下、具体的な実施例および比較例を挙げてこの発明を説明する。
[サンプルNo.1]
ピッチ系物質として、コールタールを原料として調製された水添ピッチ(軟化点200℃)を使用した。図1の紡糸装置として、容量が10mLであるステンレス製のバレル(樽形容器)からなる貯蔵容器2を備えたものを用意した。また、この紡糸装置は、溶融物吐出ノズル5として、基本的に図2に示すものであるが、紡糸ノズル51の先端部51cの形状は図2とは異なり、直径が一定のもの(段階的に直径が小さく形成されていないもの)を備えている。この先端部51cが27G(内径0.20mm、外径0.42mm)で、外筒52の内径が0.50mmで、ノズルガイド53のノズル口53aが0.50mmである。
電熱ヒーター3に温度調節器を接続して、貯蔵容器2内のピッチ系物質1の温度が330℃となるように制御した。溶融物吐出ノズル5の外筒52の外側にも電熱ヒーターを巻いて温度調節器を接続し、紡糸ノズル51の内部5Aの温度が330℃になるように制御した。
330℃に予熱した窒素ガスを配管55から溶融物吐出ノズル5の空間5Bに導入し、ノズル口53aで1000mm/sの線速度となるように流量を調節した。この状態で、電圧発生器7により30kVの電圧を発生させて、コレクタ6と溶融物吐出ノズル5との間に印加した。溶融物吐出ノズル5の真下で、ノズル口53aとの距離が120mmとなる位置にアース電極を置いた。
この状態で、先ず、貯蔵容器2に窒素ガス供給ライン4から0.3MPaの加圧窒素を導入して紡糸を行った。これにより、紡糸が良好に進み、直径200nm前後のピッチ繊維Aが得られた。
次に、貯蔵容器2に窒素ガス供給ライン4から0.4MPaの加圧窒素を導入して紡糸を行った。これにより、紡糸が良好に進み、直径1000nm(1μm)前後のピッチ繊維Bが得られた。
次に、貯蔵容器2に窒素ガス供給ライン4から0.5MPaの加圧窒素を導入して紡糸を行った。これにより、紡糸が良好に進み、直径3000nm(3μm)前後のピッチ繊維Cが得られた。
得られたピッチ繊維Aを、大気中において、200℃で24時間、次に250℃で12時間、さらに300℃で5時間と、段階的に加熱することで不融化工程を行った。次に、不融化工程を行った炉内に窒素ガスを導入して窒素ガス雰囲気とし、3℃/minの速度で1000℃まで昇温した後、1000℃に0.5時間保持する熱処理(炭素化工程)を行った。
次に、この熱処理がなされた炭素繊維を黒鉛化炉に入れて、炉内にアルゴンガスを導入してアルゴンガス雰囲気とし、3℃/minの速度で3000℃まで昇温した後、3000℃で10時間保持する熱処理(黒鉛化工程)を行った。これにより、直径が比較的均一で200nm前後である炭素繊維Aが得られた。
ピッチ繊維Bおよびピッチ繊維Cに対しても同じ処理を行ったところ、それぞれ、直径が比較的均一で1000nm(1μm)前後である炭素繊維B、直径が比較的均一で3000nm(3μm)前後である炭素繊維Cが得られた。
このようにして得られた炭素繊維A〜Cを、それぞれ、めのう製乳鉢で粉砕して、平均繊維長が30μmとなるようにした。これらの炭素繊維A〜CをX線回折装置にかけて、(002)面間隔を測定したところ、いずれも0.3466nmであった。なお、この面間隔は(002)面のピークトップのθ角より算出した。これらの炭素繊維A〜Cを透過電子顕微鏡で観察した結果、その繊維構造は、図3に示すような、多数の微細結晶がランダムに存在する構造であることが判明した。図3に示すように、このような構造であると、電子(e- )は繊維の軸に沿った方向だけでなく、軸に交差する方向にも通過する。
上述のようにして製造した炭素繊維A〜Cを、質量比でA:B:C=1:2:7となるように混合した。この混合物とバインダーであるポリビニリデンフルオロライド(PVdF)を、質量比で混合物:PVdF=90: 10となるように混合した。この混合物にN−メチルピロリドンを添加することでPVdFを溶解し、ペースト状炭素材を得た。
このペースト状炭素材を、クリアランスを200μmに設定したドクターブレード塗布器具を用いて、集電体である銅箔の片面に塗布して電極板を作製した。この電極板を100℃で12分間乾燥した後、電極密度が1.8〜2.2g/cm3 になるようにプレスした。これを130℃で一昼夜、真空乾燥することで、試験電極を得た。
得られた試験電極のうち電極密度が1.9g/cm3 のものと、対極として用いたリチウム箔との間に多孔質のセパレーターを介在させ、非水系電解液に浸漬させることで、試験用電池を作製した。非水系電解液としては、エチレンカーボネート(EC)とエチルメチルカーボネート(EMC)を、体積比でEC:EMC=1: 2の割合で混合した溶媒に、LiPF6 を1mol/kgの濃度となるように溶解させたものを用いた。
この試験用電池の電池特性を調べたところ、放電容量は346mAh/gであり、負荷逆容量は20mAh/gであった。これらの値から算出された充放電効率は94.2%であった。また、充電受入れ性は1.0Cの充電で35.3%、放電率は2.0Cの放電で92.0%であった。なお、「C」は、定電流放電(充電)時の電流値の時間率を示す係数であって、「1.0Cの充電(放電)」は、1時間で充電(放電)が終了する電流値で定電流充電(放電)を行うことを意味する。「2.0Cの放電(充電)」は、0.5時間で放電が終了する電流値で定電流放電(充電)を行うことを意味する。
[サンプルNo.2]
ピッチ系物質として、コールタールを原料として調製された水添ピッチ(軟化点218℃)を使用した。図1の紡糸装置としてNo.1と同じものを使用したが、予熱した窒素ガスを溶融物吐出ノズル5の空間5Bに導入しなかった。また、溶融物吐出ノズル5の真下で、ノズル口53aとの距離が60mmとなる位置にアース電極を置いた。また、貯蔵容器2に窒素ガス供給ライン4から導入する加圧窒素の圧力を、0.1MPa、0.3MPa、0.4MPaとした。これ以外はNo.1と同じ方法で紡糸を行った。
これにより、紡糸が良好に進み、加圧窒素の圧力を0.1MPaとした場合には、直径200nm前後のピッチ繊維Dが得られた。加圧窒素の圧力を0.3MPaとした場合には、直径1000nm(1μm)前後のピッチ繊維Eが得られた。加圧窒素の圧力を0.5MPaとした場合には、直径3000nm(3μm)前後のピッチ繊維Fが得られた。
得られたピッチ繊維D〜Fに対する不融化工程と、炭素化工程と、黒鉛化工程を、No.1と同じ方法で行った。これにより、ピッチ繊維Dからは直径が200nm前後で均一な炭素繊維Dが得られた。ピッチ繊維Eからは直径が1000nm(1μm)前後で均一な炭素繊維Dが得られた。ピッチ繊維Fからは直径が3000nm(3μm)前後で均一な炭素繊維Fが得られた。
得られた炭素繊維D〜Fを、それぞれ、めのう製乳鉢で粉砕して、平均繊維長が30μmとなるようにした。これらの炭素繊維をX線回折装置にかけて、No.1と同じ方法で(002)面間隔を測定したところ、0.3358nmであった。これらの炭素繊維を透過電子顕微鏡で観察した結果、図3に示す構造に似ているが、黒鉛微結晶のa軸が、繊維の軸方向に少し配向している構造であった。
上述のようにして製造した炭素繊維D〜Fを、質量比でD:E:F=1:2:7となるように混合した。この混合物とバインダーであるポリビニリデンフルオロライド(PVdF)を、質量比で混合物:PVdF=90: 10となるように混合した。この混合物を用い、No.1と同じ方法で試験電極を得た。得られた試験電極のうち電極密度が1.9g/cm3 のものと、対極として用いたリチウム箔との間に多孔質のセパレーターを介在させ、非水系電解液に浸漬させることで、試験用電池を作製した。非水系電解液はNo.1と同じものを用いた。
この試験用電池の電池特性を調べたところ、放電容量は344mAh/gであり、負荷逆容量は22mAh/gであった。これらの値から算出された充放電効率は93.6%であった。また、充電受入れ性は1.0Cの充電で33.3%、放電率は2.0Cの放電で90.1%であった。
[サンプルNo.3]
気相成長法で作製された炭素繊維(VGCF)として、平均直径が150nmで平均繊維長が8μmであるものを入手した。この炭素繊維をX線回折装置にかけて(002)面間隔を測定したところ、0.3383nmであった。また、この炭素繊維を透過電子顕微鏡で観察した結果、その繊維構造は、図4に示すようなマルチウォールタイプであった。図4に示すように、このような構造であると、電子(e- )は繊維の軸に沿った方向には通過するが、軸に交差する方向には通過しない。
この炭素繊維を、メソフェーズ小球体の黒鉛化品に対して、3質量%の含有率となるように混合した。この混合物を用い、No.1と同じ方法で試験電極を得た。得られた試験電極のうち電極密度が1.9g/cm3 のものと、対極として用いたリチウム箔との間に多孔質のセパレーターを介在させ、非水系電解液に浸漬させることで、試験用電池を作製した。非水系電解液はNo.1と同じものを用いた。
この試験用電池の電池特性を調べたところ、放電容量は345mAh/gであり、負荷逆容量は22mAh/gであった。これらの値から算出された充放電効率は93.6%であった。また、充電受入れ性は1.0Cで29.2%、放電率は2.0Cの放電で89.0%であった。
得られたNo.1〜No.3の試験用電池のサイクル特性を調べたところ、No.1およびNo.2の試験用電池はサイクル特性に優れたものであることが分かった。
これらの試験結果から、この発明の実施例に相当する負極材料からなる試験電極を有するNo.1およびNo.2の試験用電池は、比較例に相当する負極材料からなる試験電極を有するNo.3の試験用電池と比較して、優れた電池特性が得られている。No.1とNo.2の比較では、No.1の試験用電池で特に優れた電池特性が得られている。
1 ピッチ系物質
2 貯蔵容器
3 電熱ヒーター
4 窒素ガス供給ライン
5 溶融物吐出ノズル
51 紡糸ノズル
51a 主要部
51b 後端部
51c 先端ノズル部
52 外筒
53 ノズルガイド
53a ノズル口
54 溶融物導入用の配管
55 ガス導入用の配管
5A 紡糸ノズルの内部
5B ガスが導入される空間
6 コレクタ
7 電圧発生器

Claims (5)

  1. 多数の微結晶の黒鉛で構成され、直径が50nm以上800nm以下である細い炭素繊維と、多数の微結晶の黒鉛で構成され、直径が900nm以上5000nm以下である太い炭素繊維と、の混合物からなることを特徴とする二次電池用負極材料。
  2. 前記細い炭素繊維と太い炭素繊維は、ランダムに配向した多数の微結晶の黒鉛で構成され、Cu−Kα線のX線回折により測定される(002)面の面間隔が0.3400nm以上0.3700nm以下である請求項1記載の二次電池用負極材料。
  3. 前記細い炭素繊維と太い炭素繊維は、
    ピッチ系物質の溶融物を紡糸ノズルからコレクタに向けて吐出する際に、前記紡糸ノズルの周囲に予熱されたガスを供給し、この予熱ガスを、前記溶融物の吐出方向と平行に前記コレクタに向けて吹き付けることを特徴とする、エレクトロスピニング法によるピッチ繊維の紡糸工程と、
    ピッチ繊維の不融化工程と、
    不融化されたピッチ繊維を不活性ガス雰囲気で熱処理する工程と、
    を経て製造されたものである請求項2記載の二次電池用負極材料。
  4. 請求項1または2記載の二次電池用負極材料を活物質の主成分として有するリチウムイオン二次電池用負極。
  5. 請求項3記載のリチウムイオン二次電池用負極を有するリチウムイオン二次電池。
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