JP2012022795A - 導電性組成物および太陽電池セル - Google Patents
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Abstract
【解決手段】銀粉(A)と、脂肪酸銀塩(B)と、エポキシ樹脂(C)と、カチオン系硬化剤(D)とを含有する導電性組成物。好ましくは、前記カチオン系硬化剤(D)が、スルホニウム塩である。更に好ましくは、前記脂肪酸銀塩(B)が、カルボキシ銀塩基(−COOAg)と水酸基(−OH)とをそれぞれ1個以上有する脂肪酸銀塩(B1)、および/または、カルボキシ銀塩基(−COOAg)を2個以上有するポリカルボン酸銀塩(B2)である。
【選択図】なし
Description
例えば、特許文献1には、「銀粉末と加熱硬化性成分と溶剤とを主成分とし、前記加熱硬化性成分がエポキシ当量1000以下のエポキシ樹脂とエポキシ当量1500以上のエポキシ樹脂と硬化剤とを含有することを特徴とする導電性ペースト組成物。」が記載され([請求項1])、硬化剤が、イミダゾール類、三級アミンおよびフッ化ホウ素を含むルイス酸およびそれらの錯体あるいは塩からなる群の少なくとも一つから選ばれることが記載されている([請求項3])。
また、特許文献2および3に記載されたペースト材料は、使用する硬化剤の種類や焼成温度によっては、導電線パターンや電極の形成に用いられる導電膜の体積抵抗率(比抵抗)が高くなる場合があることが明らかとなった。
式(II)中、R1は水素原子または炭素数1〜10のアルキル基を表し、複数のR1はそれぞれ同一であっても異なっていてもよい。
式(III)中、R1は水素原子または炭素数1〜10のアルキル基を表し、R3は炭素数1〜6のアルキレン基を表す。複数のR1はそれぞれ同一であっても異なっていてもよい。)
上記表面電極および/または上記裏面電極が、上記(15)に記載の導電性組成物を用いて形成される太陽電池セル。
また、本発明の導電性組成物を用いれば、低温(150〜350℃程度)焼成であっても、断線の発生を抑制して電極等を形成することができるため、シリコン基板への熱によるダメージを軽減できる効果も有し、非常に有用である。
更に、本発明の導電性組成物を用いれば、シリコン基板のみならず、耐熱性の低い基材上にも電子回路、アンテナ等の回路を容易かつ短時間で作製することができるため非常に有用である。
また、本発明の導電性組成物は、後述するように印刷性等の観点から、必要に応じて溶媒(E)を含有していてもよい。
以下に、銀粉(A)、脂肪酸銀塩(B)、エポキシ樹脂(C)およびカチオン性硬化剤(D)ならびに所望により含有してもよい溶媒(E)について詳述する。
本発明の導電性組成物で用いる銀粉(A)は特に限定されず、従来公知の導電性ペーストで配合されているものを使用することができる。
ここで、球状とは、長径/短径の比率が2以下の粒子の形状をいう。
また、平均粒子径とは、球状の銀粉末の粒子径の平均値をいい、レーザー回折式粒度分布測定装置を用いて測定された50%体積累積径(D50)をいう。なお、平均値を算出する基になる粒子径は、球状の銀粉末の断面が楕円形である場合はその長径と短径の合計値を2で割った平均値をいい、正円形である場合はその直径をいう。
例えば、後述する実施例で使用する銀粉(AgC−103、福田金属箔社製)の写真(図2)で示されるものは球状の銀粉末に該当するが、銀粉(AgC−2011、福田金属箔社製)の写真(図3)で示されるものは球状の銀粉末には該当せず、フレーク(鱗片)状の銀粉末に該当するものである。
ここで、フレーク状の銀粉末を併用する場合の含有量は、上記銀粉(A)の総質量のうち50質量%以下であるのが好ましい。
本発明の導電性組成物で用いる脂肪酸銀塩(B)は、有機カルボン酸の銀塩であれば特に限定されないが、シリコン基板への熱によるダメージをより軽減できる理由から、カルボキシ銀塩基(−COOAg)と水酸基(−OH)とをそれぞれ1個以上有する脂肪酸銀塩(B1)、および/または、カルボキシ銀塩基(−COOAg)を2個以上有するポリカルボン酸銀塩(B2)であるのが好ましい。
以下に、脂肪酸銀塩(B1)およびポリカルボン酸銀塩(B2)について詳述する。
上記脂肪酸銀塩(B1)は、カルボキシ銀塩基(−COOAg)と水酸基(−OH)とをそれぞれ1個以上有する脂肪酸銀塩であり、具体的には、以下に示す水酸基を1個以上有する脂肪酸と酸化銀とを反応させて得られるものである。
式(2)中、R1は水素原子または炭素数1〜10のアルキル基を表し、複数のR1はそれぞれ同一であっても異なっていてもよい。
式(3)中、R1は水素原子または炭素数1〜10のアルキル基を表し、R3は炭素数1〜6のアルキレン基を表す。複数のR1はそれぞれ同一であっても異なっていてもよい。
また、上記式(1)中、R2の炭素数1〜6のアルキレン基としては、メチレン基、エチレン基、プロパン−1,3−ジイル基、ブタン−1,4−ジイル基、ヘプタン−1,5−ジイル基、ヘキサン−1,6−ジイル基が挙げられる。R2としては、メチレン基、エチレン基であるのが好ましい。上記式(1)中、nの0〜2の整数としては、1または2であるのが好ましい。
また、上記式(3)中、R3の炭素数1〜6のアルキレン基としては、メチレン基、エチレン基、プロパン−1,3−ジイル基、ブタン−1,4−ジイル基、ヘプタン−1,5−ジイル基、ヘキサン−1,6−ジイル基が挙げられる。R2としては、メチレン基、エチレン基であるのが好ましい。
特に、2,2−ビス(ヒドロキシメチル)−n−酪酸および/または2−ヒドロキシイソ酪酸であるのが、得られる脂肪酸銀塩(B2)である2,2−ビス(ヒドロキシメチル)−n−酪酸銀塩および/または2−ヒドロキシイソ酪酸銀塩を含有する本発明の導電性組成物を用いた電極等の形成が更に低温かつ短時間で可能となる理由から好ましい。
この反応は、例えば、上記式(1)〜(3)で表される化合物を用いた場合は以下に示す反応式で表される反応が進行するものであれば特に限定されないが、上記酸化銀を粉砕しつつ進行させる方法や、上記酸化銀を粉砕した後に上記脂肪酸を反応させる方法が好ましい。前者の方法としては、具体的には、上記酸化銀と、溶剤により上記脂肪酸を溶液化したものとを、ボールミル等により混練し、固体である上記酸化銀を粉砕させながら、室温で、1〜24時間程度、好ましくは2〜8時間反応させるのが好ましい。
式(II)中、R1は水素原子または炭素数1〜10のアルキル基を表し、複数のR1はそれぞれ同一であっても異なっていてもよい。
式(III)中、R1は水素原子または炭素数1〜10のアルキル基を表し、R3は炭素数1〜6のアルキレン基を表す。複数のR1はそれぞれ同一であっても異なっていてもよい。
中でも、イソホロンおよび/またはα−テルピネオールを溶媒として用いるのが、上記反応により得られる脂肪酸銀塩(B1)を含有する本発明の導電性組成物のチクソ性が良好となる。
上記ポリカルボン酸銀塩(B2)は、カルボキシ銀塩基(−COOAg)を2個以上有するポリカルボン酸銀塩であり、具体的には、以下に示すカルボキシ基を2個以上有する脂肪酸と酸化銀とを反応させて得られるものである。
なお、式(4)中、mが2以上の場合、カルボキシ基の炭素が結合するR4の炭素は、同一であっても異なっていてもよい。
mが2の場合におけるR4が示す飽和脂肪族炭化水素基としては、例えば、メチレン基、エタン−1,1−ジイル基、エタン−1,2−ジイル基、プロパン−1,3−ジイル基、ブタン−1,4−ジイル基、ペンタン−1,5−ジイル基、ヘキサン−1,6−ジイル基、ヘプタン−1,7−ジイル基、オクタン−1,8−ジイル基等が挙げられる。
mが3の場合におけるR4が示す飽和脂肪族炭化水素基としては、例えば、メタン−トリイル基、エタン−1,1,2−トリイル基、プロパン−1,1,3−トリイル基、プロパン−1,2,3−トリイル基、ブタン−1,1,3−トリイル基、ブタン−1,1,4−トリイル基、ブタン−1,2,4−トリイル基等が挙げられる。
mが4の場合におけるR4が示す飽和脂肪族炭化水素基としては、例えば、エタン−1,2,2,2−テトライル基、プロパン−1,2,2,3−テトライル基、ブタン−1,2,3,4−テトライル基等が挙げられる。
mが2の場合におけるR4が示す不飽和脂肪族炭化水素基としては、例えば、エチレン−1,2−ジイル基、プロペン−1,3−ジイル基等が挙げられる。
mが3の場合におけるR4が示す不飽和脂肪族炭化水素基としては、例えば、プロペン−1,2,3−トリイル基、プロペン−1,3,3−トリイル基等が挙げられる。
mが4の場合におけるR4が示す不飽和脂肪族炭化水素基としては、例えば、プロペン−1,1,2,3−テトライル基等が挙げられる。
mが2の場合におけるR4が示す脂環式炭化水素基としては、例えば、シクロヘキサン−1,2−ジイル基、シクロヘキサン−1,4−ジイル基、シクロヘキセン−1,2−ジイル基、シクロヘキセン−4,5−ジイル基、1−メチルシクロヘキセン−4,5−ジイル基等が挙げられる。
mが3の場合におけるR4が示す脂環式炭化水素基としては、例えば、シクロプロパン−1,2,3−トリイル基、シクロペンタン−1,1,2−トリイル基、シクロヘキサン−1,2,4−トリイル基等が挙げられる。
mが4の場合におけるR4が示す脂環式炭化水素基としては、例えば、シクロブタン−1,2,3,4−テトライル基、シクロペンタン−1,2,3,4−テトライル基、シクロペンタン−1,2,4,5−テトライル基、シクロヘキサン−1,2,4,5−テトライル基、3,6−ジメチルシクロヘキサン−1,2,4,5−テトライル基等が挙げられる。
mが2の場合におけるR4が示す芳香族炭化水素基としては、例えば、ベンゼン−1,2−ジイル基、ベンゼン−1,3−ジイル基、ベンゼン−1,4−ジイル基、ナフタレン−1,4−ジイル基、ナフタレン−2,3−ジイル基、ナフタレン−2,6−ジイル基等が挙げられる。
mが3の場合におけるR4が示す芳香族炭化水素基としては、例えば、ベンゼン−1,2,4−トリイル基、ベンゼン−1,3,5−トリイル基等が挙げられる。
mが4の場合におけるR4が示す芳香族炭化水素基としては、例えば、ベンゼン−1,2,4,5−テトライル基、ビフェニル−3,3′,4,4′−テトライル基等が挙げられる。
脂肪族ポリカルボン酸としては、具体的には、例えば、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、セバシン酸などの飽和ジカルボン酸;フマル酸、マレイン酸、イタコン酸などの不飽和ジカルボン酸;トリカルバリル酸などの飽和トリカルボン酸;アコニット酸などの不飽和トリカルボン酸;1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸などの飽和テトラカルボン酸;等が挙げられる。
脂環式ポリカルボン酸としては、具体的には、例えば、4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸、4−メチル−4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸などの不飽和脂環式ジカルボン酸;1,2,3,4−シクロペンタンテトラカルボン酸などの飽和脂環式テトラカルボン酸;等が挙げられる。
芳香族ポリカルボン酸としては、具体的には、例えば、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸などのベンゼンジカルボン酸;トリメリット酸、トリメシン酸などのトリカルボン酸;ピロメリット酸、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸などのテトラカルボン酸;1,4−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、2,3−ナフタレンジカルボン酸などのナフタレンジカルボン酸;等が挙げられる。
これらを1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
特に、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸であるのが、得られるポリカルボン酸銀塩(B2)である1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸銀塩を含有する本発明の導電性組成物を用いた電極等の形成が更に低温かつ短時間で可能となる理由から好ましい。
この反応は、例えば、上記式(4)で表される化合物を用いた場合は以下に示す反応式で表される反応が進行するものであれば特に限定されず、上述した式(1)〜(3)で表される化合物を用いた場合と同様の方法が挙げられる。
なお、式(IV)中、mが2以上の場合、カルボキシ基の炭素が結合するR4の炭素は、同一であっても異なっていてもよい。
本発明の導電性組成物で用いるエポキシ樹脂(C)は、1分子中に2個以上のオキシラン環(エポキシ基)を有する化合物からなる樹脂であれば特に限定されず、一般的に、エポキシ当量が90〜2000のものである。
このようなエポキシ樹脂としては、従来公知のエポキシ樹脂を用いることができる。
具体的には、例えば、ビスフェノールA型、ビスフェノールF型、臭素化ビスフェノールA型、水添ビスフェノールA型、ビスフェノールS型、ビスフェノールAF型、ビフェニル型等のビスフェニル基を有するエポキシ化合物や、ポリアルキレングリコール型、アルキレングリコール型のエポキシ化合物や、ナフタレン環を有するエポキシ化合物や、フルオレン基を有するエポキシ化合物等の二官能型のグリシジルエーテル系エポキシ樹脂;
フェノールノボラック型、オルソクレゾールノボラック型、トリスヒドロキシフェニルメタン型、テトラフェニロールエタン型等の多官能型のグリシジルエーテル系エポキシ樹脂;
ダイマー酸等の合成脂肪酸のグリシジルエステル系エポキシ樹脂;
N,N,N′,N′−テトラグリシジルジアミノジフェニルメタン(TGDDM)、テトラグリシジルジアミノジフェニルスルホン(TGDDS)、テトラグリシジル−m−キシリレンジアミン(TGMXDA)、トリグリシジル−p−アミノフェノール、トリグリシジル−m−アミノフェノール、N,N−ジグリシジルアニリン、テトラグリシジル1,3−ビスアミノメチルシクロヘキサン(TG1,3−BAC)、トリグリシジルイソシアヌレート(TGIC)等のグリシジルアミン系エポキシ樹脂;
トリシクロ〔5,2,1,02,6〕デカン環を有するエポキシ化合物、具体的には、例えば、ジシクロペンタジエンとメタクレゾール等のクレゾール類またはフェノール類を重合させた後、エピクロルヒドリンを反応させる公知の製造方法によって得ることができるエポキシ化合物;
脂環型エポキシ樹脂;東レチオコール社製のフレップ10に代表されるエポキシ樹脂主鎖に硫黄原子を有するエポキシ樹脂;ウレタン結合を有するウレタン変性エポキシ樹脂;ポリブタジエン、液状ポリアクリロニトリル−ブタジエンゴムまたはアクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)を含有するゴム変性エポキシ樹脂等が挙げられる。
また、これらのうち、硬化性、耐熱性、耐久性およびコストの観点から、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂であるのが好ましい。
ここで、エチレンオキシドおよび/またはプロピレンオキシドによる付加は、例えば、ビスフェノールA、ビスフェノールF等)をエピクロロヒドリンと反応させてエポキシ樹脂を調製する際に、エチレンおよび/またはプロピレンを添加することにより付加(変性)することができる。
エチレンオキシドおよび/またはプロピレンオキシドが付加されたエポキシ樹脂としては市販品を用いることができ、その具体例としては、エチレンオキシド付加ビスフェノールA型エポキシ樹脂(BEO−60E、新日本理化社製)、プロピレンオキシド付加ビスフェノールA型エポキシ樹脂(BPO−20E、新日本理化社製)、プロピレンオキシド付加ビスフェノールA型エポキシ樹脂(EP−4010S、ADEKA社製)、プロピレンオキシド付加ビスフェノールA型エポキシ樹脂(EP−4000S、ADEKA社製)等が挙げられる。
本発明の導電性組成物で用いるカチオン系硬化剤(D)は、特に限定されず、スルホニウム系、アンモニウム系、ホスホニウム系の硬化剤が好ましい。
上記カチオン系硬化剤(D)としては、具体的には、例えば、三フッ化ホウ素のアミン塩、P−メトキシベンゼンジアゾニウムヘキサフルオロホスフェート、ジフェニルイオドニウムヘキサフルオロホスフェート、テトラフェニルスルホニウム、テトラ−n−ブチルホスホニウムテトラフェニルボレート、テトラ−n−ブチルホスホニウム−o,o−ジエチルホスホロジチオエート、下記式(i)で表されるスルホニウム塩、下記式(ii)で表されるスルホニウム塩等が挙げられ、これらを1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
同様に、Rが示す脂肪族炭化水素基としては、例えば、炭素数1〜12の飽和または不飽和の鎖式炭化水素基(例えば、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基等)が挙げられ、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、tert−ペンチル基、ヘキシル基、イソヘキシル基、2−エチルヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、ビニル基、アリル基、イソプロペニル基、−CH=CH−(CH2)8−基、エチニル基等が挙げられる。
これは、低温(150〜350℃程度)でも十分な硬化性を示すカチオン系硬化剤(D)を使用することにより、イミダゾール系硬化剤を使用した場合よりもエポキシ樹脂(C)の重合度が上がり、その結果、上述した銀粉(A)同士の接触が多くなるため、断線の発生を抑制して高い導電性を発現すると考えられる。また、熱処理により脂肪酸銀塩(B)から分解される銀が融解する際にシリコン基板に適度に濡れ広がるため、シリコン基板との密着性が向上すると考えられる。
本発明の導電性組成物は、印刷性等の作業性の観点から、溶媒(E)を含有するのが好ましい。
上記溶媒(E)は、本発明の導電性組成物を基材上に塗布することができるものであれば特に限定されず、その具体例としては、ブチルカルビトール、メチルエチルケトン、イソホロン、α−テルピネオール等が挙げられ、これらを1種単独で用いても2種以上を併用してもよい。
本発明の導電性組成物は、上述したエポキシ樹脂(C)の分解を抑制し、シリコン基板との優れた密着性を保持できる理由から、酸化銀の含有量は上述した溶媒(E)100質量部に対して5質量部以下であるのが好ましく、1質量部以下であるのがより好ましく、実質的に酸化銀を含有していない態様が最も好ましい。
本発明の導電性組成物は、必要に応じて、上述した銀粉(A)以外の金属粉、還元剤等の添加剤を含有していてもよい。
上記金属粉としては、具体的には、例えば、銅、アルミニウム等が挙げられ、中でも、銅であるのが好ましい。また、0.01〜10μmの粒径の金属粉であるのが好ましい。
上記還元剤としては、具体的には、例えば、エチレングリコール類等が挙げられる。
ここで、本発明の太陽電池セルは、上述した本発明の導電性組成物が全裏面電極型(いわゆるバックコンタクト型)太陽電池の裏面電極の形成にも適用することができるため、全裏面電極型の太陽電池にも適用することができる。
以下に、本発明の太陽電池セルの構成について図1を用いて説明する。
また、図1に示すように、本発明の太陽電池セル1は、反射率低減のため、例えば、ウェハー表面にエッチングを施して、ピラミッド状のテクスチャを形成し、反射防止膜3を具備するのが好ましい。
本発明の太陽電池セルが具備する表面電極および裏面電極は、いずれか一方または両方が本発明の導電性組成物を用いて形成されていれば、電極の配置(ピッチ)、形状、高さ、幅等は特に限定されない。なお、電極の高さは、通常、数〜数十μmに設計されるが、本発明の導電性組成物を用いて形成した電極の断面の高さと幅の比率(高さ/幅)(以下、「アスペクト比」という。)を大きく(例えば、0.4程度以上)調整することが可能となる。
ここで、表面電極および裏面電極は、図1に示すように、通常、複数個有するものであるが、本発明においては、例えば、複数の表面電極の一部のみが本発明の導電性組成物で形成されたものであってもよく、複数の表面電極の一部と複数の裏面電極の一部が本発明の導電性組成物で形成されたものであってもよい。
本発明の太陽電池セルが具備していてもよい反射防止膜は、受光面の表面電極が形成されていない部分に形成される膜(膜厚:0.05〜0.1μm程度)であって、例えば、シリコン酸化膜、シリコン窒化膜、酸化チタン膜、これらの積層膜等から構成されるものである。
本発明の太陽電池セルが具備するシリコン基板は特に限定されず、太陽電池を形成するための公知のシリコン基板(板厚:100〜450μm程度)を用いることができ、また、単結晶または多結晶のいずれのシリコン基板であってもよい。
ここで、p型を与える不純物としては、ホウ素、アルミニウム等が挙げられ、n型を与える不純物としては、リン、砒素などが挙げられる。
なお、本発明の太陽電池セルが反射防止層を具備する場合、反射防止膜は、プラズマCVD法等の公知の方法により形成することができる。
以下に、配線形成工程、熱処理工程について詳述する。
上記配線形成工程は、本発明の導電性組成物をシリコン基材上に塗布して配線を形成する工程である。
ここで、塗布方法としては、具体的には、例えば、インクジェット、スクリーン印刷、グラビア印刷、オフセット印刷、凸版印刷等が挙げられる。
上記熱処理工程は、上記配線形成工程で得られた塗膜を熱処理して導電性の配線(電極)を得る工程である。
配線を熱処理することにより、脂肪酸銀塩(B)から分解される銀が融解する際に銀粉(A)が連結され、電極(銀膜)が形成される。
また、本発明においては、本発明の導電性組成物を用いているため、低温(150〜350℃程度)であっても、良好な熱処理(焼成)を施すことができる。
ボールミルに、下記第1表に示す銀粉等を下記第1表中に示す組成比となるように添加し、これらを混合することにより導電性組成物を調製した。
次いで、調製した導電性組成物をシリコン基板(単結晶シリコンウェハー、LS−25TVA、156mm×156mm×200μm、信越化学工業社製)上に、スクリーン印刷で塗布して塗膜を形成した後、オーブンにて200℃で30分間乾燥し、導電性被膜を作製した。
形成した各導電性被膜について、低抵抗率計(ロレスターGP、三菱化学社製)を用いた4端子4探針法により比抵抗(体積固有抵抗値)を測定した。その結果を下記第1表に示す。
形成した各導電性被膜のシリコン基板に対する密着性の評価は、碁盤目はく離試験により行った。その結果を下記第1表に示す。
具体的には、得られた各導電性被膜付きシリコン基板に、1mmの基盤目を100個(10×10)作り、基盤目上にセロハン粘着テープを完全に付着させ、指の腹で10回こすった後、テープの一端を導電性膜に直角に保った状態で瞬間的に引き離し、完全に剥がれないで残った基盤目の数を調べた。完全に剥がれないで残った基盤目数が100、即ち、全く剥がれなかったものが最も好ましい。
・銀粉1:AgC−103(形状:球状、平均粒子径:1.5μm、福田金属箔社製)
・銀粉2:AgC−2011(形状:フレーク状、平均粒子径:2〜10μm、福田金属箔社製)
まず、酸化銀(東洋化学工業社製)50g、2,2−ビス(ヒドロキシメチル)−n−酪酸(東京化成社製)64gおよびメチルエチルケトン(MEK)300gをボールミルに投入し、室温で24時間撹拌させることにより反応させた。
次いで、吸引ろ過によりMEKを取り除き、得られた粉末を乾燥させることにより、白色の2,2−ビス(ヒドロキシメチル)−n−酪酸銀塩を調製した。
まず、酸化銀(東洋化学工業社製)50g、2−ヒドロキシイソ酪酸(東京化成社製)45gおよびメチルエチルケトン(MEK)300gをボールミルに投入し、室温で24時間撹拌させることにより反応させた。
次いで、吸引ろ過によりMEKを取り除き、得られた粉末を乾燥させることにより、白色の2−ヒドロキシイソ酪酸銀塩を調製した。
まず、酸化銀(東洋化学工業社製)50g、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸(新日本理化社製)25.29gおよびメチルエチルケトン(MEK)300gをボールミルに投入し、室温で24時間撹拌させることにより反応させた。
次いで、吸引ろ過によりMEKを取り除き、得られた粉末を乾燥させることによって、白色の1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸銀塩を調製した。
・ビスフェノールA型エポキシ樹脂:EP−4100E(ADEKA社製)
・ビスフェノールF型エポキシ樹脂:YDF−170(新日鐵化学社製)
・溶媒:α−テルピネール
・カチオン系硬化剤D1:下記式(i−1)で表されるスルホニウム塩
・カチオン系硬化剤D2:下記式(i−2)で表されるスルホニウム塩
・イミダゾール系硬化剤:アミキュア(味の素ファインテクノ社製)
これに対し、カチオン系硬化剤(D)を用いて調製した実施例1〜5は、200℃で30分間という低温焼成条件であっても、体積抵抗率を低く、また、シリコン基板との密着性にも優れることが分かった。
2 n層
3 反射防止膜
4 表面電極
5 p層
6 裏面電極
7 シリコン基板
Claims (16)
- 銀粉(A)と、脂肪酸銀塩(B)と、エポキシ樹脂(C)と、カチオン系硬化剤(D)とを含有する導電性組成物。
- 前記カチオン系硬化剤(D)が、下記式(i)で表されるスルホニウム塩である請求項1に記載の導電性組成物。
- 前記脂肪酸銀塩(B)が、カルボキシ銀塩基(−COOAg)と水酸基(−OH)とをそれぞれ1個以上有する脂肪酸銀塩(B1)、および/または、カルボキシ銀塩基(−COOAg)を2個以上有するポリカルボン酸銀塩(B2)である請求項1または2に記載の導電性組成物。
- 前記脂肪酸銀塩(B1)が、下記式(I)〜(III)のいずれかで表される化合物である請求項3に記載の導電性組成物。
式(II)中、R1は水素原子または炭素数1〜10のアルキル基を表し、複数のR1はそれぞれ同一であっても異なっていてもよい。
式(III)中、R1は水素原子または炭素数1〜10のアルキル基を表し、R3は炭素数1〜6のアルキレン基を表す。複数のR1はそれぞれ同一であっても異なっていてもよい。) - 前記脂肪酸銀塩(B1)が、前記カルボキシ銀塩基に対するα位および/またはβ位の炭素原子に前記水酸基を有している請求項3または4に記載の導電性組成物。
- 前記脂肪酸銀塩(B1)が、前記カルボキシ銀塩基を1個有し、前記水酸基を1個または2個有する請求項3〜5のいずれかに記載の導電性組成物。
- 前記ポリカルボン酸銀塩(B2)が、水酸基を有しない請求項3に記載の導電性組成物。
- 前記ポリカルボン酸銀塩(B2)が、下記式(IV)で表される化合物である請求項3または7に記載の導電性組成物。
- 前記エポキシ樹脂(C)が、エチレンオキシドおよび/またはプロピレンオキシドが付加されたエポキシ樹脂である請求項1〜8のいずれかに記載の導電性組成物。
- 前記脂肪酸銀塩(B1)が、2,2−ビス(ヒドロキシメチル)−n−酪酸銀塩および/または2−ヒドロキシイソ酪酸銀塩である請求項3〜6および9のいずれかに記載の導電性組成物。
- 前記ポリカルボン酸銀塩(B2)が、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸銀塩である請求項3および7〜9のいずれかに記載の導電性組成物。
- 前記脂肪酸銀塩(B)の含有量が、前記銀粉(A)100質量部に対して、1〜100質量部である請求項1〜11のいずれかに記載の導電性組成物。
- 前記エポキシ樹脂(C)の含有量が、前記銀粉(A)100質量部に対して、1〜50質量部である請求項1〜12のいずれかに記載の導電性組成物。
- 前記カチオン系硬化剤(D)の含有量が、前記エポキシ樹脂(C)100質量部に対して、0.1〜10質量部である請求項1〜13のいずれかに記載の導電性組成物。
- 太陽電池電極用ペーストに用いる請求項1〜14のいずれかに記載の導電性組成物。
- 受光面側の表面電極、半導体基板および裏面電極を具備し、
前記表面電極および/または前記裏面電極が、請求項15に記載の導電性組成物を用いて形成される太陽電池セル。
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