JP2012016889A - インクジェット記録ヘッド - Google Patents
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Abstract
【課題】安定した高速記録が可能なインクジェット記録ヘッドを提供する。
【解決手段】インクを貯蔵可能な共通液室60と、共通液室60に個別に連通し、共通液室60から流入したインクが流れる複数のインク流路53と、複数のインク流路53に個別に連通し、複数のインク流路53を流れるインクを吐出する複数の吐出口51と、複数のインク流路53における複数の吐出口51の各々に対向する位置に設けられ、インクを複数の吐出口51の各々から吐出させるのに必要なエネルギを発生させる複数の吐出エネルギ発生素子52と、を有し、共通液室60内には、複数の吐出エネルギ発生素子52の各々から発生したエネルギによって複数のインク流路53から共通液室60へ伝播されたインクの圧力波を吸収可能な固体の圧力緩衝体71が封入されている。
【選択図】図2
【解決手段】インクを貯蔵可能な共通液室60と、共通液室60に個別に連通し、共通液室60から流入したインクが流れる複数のインク流路53と、複数のインク流路53に個別に連通し、複数のインク流路53を流れるインクを吐出する複数の吐出口51と、複数のインク流路53における複数の吐出口51の各々に対向する位置に設けられ、インクを複数の吐出口51の各々から吐出させるのに必要なエネルギを発生させる複数の吐出エネルギ発生素子52と、を有し、共通液室60内には、複数の吐出エネルギ発生素子52の各々から発生したエネルギによって複数のインク流路53から共通液室60へ伝播されたインクの圧力波を吸収可能な固体の圧力緩衝体71が封入されている。
【選択図】図2
Description
本発明は、複数のノズルを有するオンデマンド型インクジェット記録ヘッドに関する。
記録時にのみインクを吐出するオンデマンド型インクジェット記録ヘッドを搭載した記録装置において、インクは、液滴となって、ノズルの一端に設けられたインク吐出用の微細な孔(以下、吐出口と呼ぶ)から吐出される。その際、液滴の液量に応じて、ノズル内に形成されるメニスカスが後退する。その後、後退したメニスカスは毛管力の作用により吐出口側へ引き戻される。その後、再びノズル内のインクの充填状態が吐出前の状態へと復帰する。このような現象はリフィルと呼ばれている。
ところで、オンデマンド型インクジェット記録装置の記録速度を高めるためには、駆動周波数を増加させるか、一つのインクジェット記録ヘッドに多数のノズル(吐出口)を設けるのが一般的である。オンデマンド型インクジェット記録装置の一つであるサーマル式インクジェット記録装置は、インクジェット記録ヘッドの構造が簡単で、容易にノズルを高密度に配列できる。そのためサーマル式インクジェット記録装置については、多数のノズルを一体に形成することによって記録速度の高速化を図っている。
図18は、単一のノズルからインクを吐出する場合のリフィル挙動と多数のノズルからインクを吐出する場合のリフィル挙動を示した波形図である。図18において、横軸はインク吐出後の経過時間を示し、縦軸はインク吐出後のメニスカスの変位量を示している。縦軸では、吐出口と同一平面(以下、吐出口面と呼ぶ)となる位置を0(基準)としている。変位量がプラスであるときはメニスカスが吐出口面から***していることを示す。一方、位置がマイナスであるときはメニスカスが吐出口面からノズル内部へ沈降していることを示す。また、図18において、波形101は、単一のノズルからインクを吐出する場合のリフィル挙動を示し、波形106は、多数のノズルからインクを吐出する場合の代表的な一のノズルのリフィル挙動を示す。
図18に示すように、インク吐出後、メニスカスは、吐出口面から***する。その後、メニスカスは、吐出口面を中心として減衰振動のような挙動を示す。なお、本明細書では、インクの吐出後、メニスカスの変位量が最初に0に復帰するまでの時間をリフィル時間と定義する。
サーマル方式のインクジェット記録ヘッドでは、多数のノズルから同時、もしくは若干の時間差をもってインクを吐出する場合、気泡の生成時に発生したインクの圧力波は、各ノズルと連通する共通液室に伝播する。そのため、各ノズルから共通液室へ伝播する圧力の総和は、各ノズルにおけるリフィルの向きとは反対方向に作用する大きな力となる。その結果、多数のノズルからインクを吐出する場合、各ノズルのリフィル時間t6は、単一のノズルからインクを吐出する場合のリフィル時間t1に比べ長くなる。また、図18に示すように、多数のノズルからインクを吐出する場合、メニスカスの振幅A6が、単一のノズルからインクを吐出した場合の振幅A1と比較して大きくなる。そのため、メニスカスの変位量が0となる安定した状態に戻るまでに多くの時間を要する。メニスカスが不安定な状態で次のインクの吐出が行われると、インク滴の液量が変化したり、インクの吐出方向の精度が損なわれたりといった吐出不良が生じる場合がある。このような吐出不良は、記録媒体に形成されるインクドットの径の変化による記録品位の低下や、記録媒体上へのインク滴の着弾精度低下による記録画像のボケ、スジ、白ヌケ等の発生を招くことがある。そのため、駆動周波数は、リフィルが不安定な状態で次の吐出が行われない範囲で設定する必要がある。その結果、メニスカスが安定した状態に戻るまでに多くの時間を要すると、駆動周波数を高めることが困難となる。したがって、メニスカスの振幅の増大は、多ノズル化を妨げる要因となる。
多数のノズルからインクを吐出させる場合にリフィル時間が長くなる問題や、メニスカスの振幅が大きくなる問題を解決する方法の一つが特許文献1に開示されている。特許文献1には、共通液室内の任意の位置に気泡をトラップさせ、その気泡により共通液室内の圧力変動を吸収する方法が開示されている。
特許文献1に記載のインクジェット記録ヘッドのように、圧力緩衝体として気泡を用いる場合、共通液室内に存在する気泡が持つ圧縮性の大きさを示す容量Cは、以下の式により示される。
(数1)において、Vbubは気泡の体積を示し、Pbubは気泡の圧力を示す。気泡による
圧力緩衝効果の大小は、この容量Cの大きさによって変化する。
圧力緩衝効果の大小は、この容量Cの大きさによって変化する。
圧力緩衝体として気泡を用いる場合、共通液室内で長期に渡って気泡の形状(体積)を一定に保ち続けることは非常に困難である。時間の経過に伴って気泡の体積が減少してしまうと、上記の(数1)より容量Cも減少するので、共通液室内におけ
る圧力緩衝効果が低減する。したがって、圧力緩衝体として気泡を用いる場合、共通液室内における圧力緩衝効果を持続できないので、高速記録を安定させることが困難になる。
る圧力緩衝効果が低減する。したがって、圧力緩衝体として気泡を用いる場合、共通液室内における圧力緩衝効果を持続できないので、高速記録を安定させることが困難になる。
そこで、本発明は、安定した高速記録が可能なインクジェット記録ヘッドを提供することを目的とする。
上記目的を達成するための本発明によるインクジェット記録ヘッドは、インクを貯蔵可能な共通液室と、前記共通液室に個別に連通し、前記共通液室から流入した前記インクが流れる複数のインク流路と、前記複数のインク流路に個別に連通し、前記複数のインク流路を流れる前記インクを吐出する複数の吐出口と、前記複数のインク流路における前記複数の吐出口の各々に対向する位置に設けられ、前記インクを前記複数の吐出口の各々から吐出させるのに必要なエネルギを発生させる複数の吐出エネルギ発生素子と、を有し、前記共通液室内には、前記複数の吐出エネルギ発生素子の各々から発生した前記エネルギによって前記複数のインク流路から前記共通液室へ伝播された前記インクの圧力波を吸収可能な固体の圧力緩衝体が封入されている。
本発明によれば、固体の圧力緩衝体でインクの圧力波を吸収している。そのため、圧力緩衝体として気泡を用いる場合に比べ、その形状を長期に渡って維持できる。これにより、複数の吐出口からインクを吐出しても共通液室に伝播されるインクの圧力波を長期間吸収できるので、安定した高速記録が可能となる。
(実施形態1)
図1は、本実施形態のインクジェット記録ヘッドを吐出口側から見た平面図である。図2は、図1に記載の切断線h−hに沿った断面図である。図3は、図1に記載の切断線i−iに沿った断面図である。
図1は、本実施形態のインクジェット記録ヘッドを吐出口側から見た平面図である。図2は、図1に記載の切断線h−hに沿った断面図である。図3は、図1に記載の切断線i−iに沿った断面図である。
本実施形態のインクジェット記録ヘッドでは、インクタンク31に収容されているインクが、インク供給路67を通じて第2の共通液室66に供給される(図2参照)。第2の共通液室66は、第3の基板70に形成されている。第2の共通液室66に連通する第1の共通液室65は、第2の基板69に形成されている。本実施形態では、第1の共通液室65と、第2の共通液室66とが、インクを貯蔵可能な共通液室60を構成している。第1の共通液室65には、複数のインク流路53が個別に連通している。各インク流路53は、第1の基板68に形成されている。第1の共通液室65からノズルフィルタ54を通って各インク流路53に流入したインクは、各インク流路53に個別に連通する複数の吐出口51に向かって導かれる。各吐出口51は第1の基板68に形成されている。各インク流路53における吐出口51に対向する位置には、吐出エネルギ発生素子52が設けられている。本実施形態では、吐出エネルギ発生素子52は、インクを吐出口51から吐出させるのに必要なエネルギとして熱エネルギを発生させる発熱素子である。吐出エネルギ発生素子52に駆動信号が入力されると吐出エネルギ発生素子52は発熱する。すると、吐出エネルギ発生素子52近傍のインクが発泡し、このとき発生した気泡の圧力でインクが吐出口51から吐出される。
本実施形態では、図3に示すように第2の共通液室66内に、インク吐出時に各インク流路53から共通液室60に伝播するインクの圧力波を吸収可能な5個の固体の圧力緩衝体71が封入されている。本実施形態の圧力緩衝体71は、直径が0.64mmの天然ゴム製の球体である。このゴム製の球体は、射出成形により製造される。なお、本実施形態のインクジェット記録ヘッドでは、第1の基板68、第2の基板69、および第3の基板70は、それぞれ別の部材で形成され、張付けられている。圧力緩衝体71は、第2の基板69と第3の基板70を張付ける工程で第2の共通液室66内に封入される。
圧力緩衝体71が持つ圧縮性の大きさを示す容量C(復元力の係数)は、体積変化をΔV、圧力変化をΔPとすると、次式により示される。
弾性変形する部材における体積弾性率Kは、以下の式により示される。
また、体積弾性率Kと剛性率Gは、それぞれ以下の式により定義される。
ここで、Eはヤング率、γはポアソン比である。
(数2)〜(数5)より圧力緩衝体71の容量Cは、以下の式により示される。
(数6)より、部材のヤング率Eとポアソン比γ、体積Vより、圧力緩衝体71の容量
Cを求めることができる。
Cを求めることができる。
本実施形態の圧力緩衝体71について直径が0.64mm、ヤング率Eが1.5MPa、ポアソン比γが0.46とすると、(数6)より、圧力緩衝体71の容量Cは
2.2×104μm3/kPaとなる。本実施形態では、5つの圧力緩衝体71が第2の共通液室66内に封入されているため、容量Cの合計値は1.1×105μm3/kPaとなる。
2.2×104μm3/kPaとなる。本実施形態では、5つの圧力緩衝体71が第2の共通液室66内に封入されているため、容量Cの合計値は1.1×105μm3/kPaとなる。
また、本実施形態のインクジェット記録ヘッドでは、図1に示すように、第1の共通液室65を挟んで2列のノズル列(吐出口列)が形成されている。ノズルの本数は、片側256本の合計512本である。
ここで、圧力緩衝体71が封入されていないインクジェット記録ヘッドにおいて、512本のノズルの全てからインクを吐出したときの、時間の経過に伴うメニスカスの位置の計測結果について説明する。各吐出エネルギ発生素子52に入力される駆動信号のパルス幅は0.84μsとし、駆動電圧は24Vとする。各吐出エネルギ発生素子52の駆動順序は、16時分割の順次駆動とする。図4は、吐出エネルギ発生素子52の駆動順序を示すタイミングチャートである。16時分割の順次駆動では、互いに隣接した16本のノズルが1つのグループを形成しており、その1グループ内の16本のノズルからインクが順番に全て吐出されることで、一周期となる。その際、各グループにおいて同じタイミングで駆動されるノズル(吐出エネルギ発生素子52)の組はブロックと呼ばれる。ブロック間の駆動間隔(以下ブロック間隔と呼ぶ)は2.6μsであり、2.6μs経過するごとに、次のブロックからインクが順番に吐出される。
図5は、圧力緩衝体が封入されていないインクジェット記録ヘッドのリフィル挙動を示す波形図である。図5は、図18と同様に、横軸がインク吐出後の経過時間を示し、縦軸がインク吐出後のメニスカスの変位量を示している。本実施形態においてメニスカスの変位量は、レーザドップラ振動計によってメニスカス先端の速度の時間変化を計測することにより求めた。なお、横軸について、吐出が開始される瞬間(前のインクの吐出が終了した瞬間)の時間を0μsとして表記した。計測対象のノズルは、図6に示すように、ノズル列の中心付近に位置するノズルmとした。本実施形態における駆動順序とブロック間隔において、最もリフィルの遅延が顕著なブロックは12番目のブロックであったため、計測対象のノズルは12番目に吐出されるブロックのノズルmとした。また図5には、計測対象のノズルにおけるリフィル挙動を示す波形102だけでなく単一のノズルからインクを吐出した場合のリフィル挙動を示す波形101も比較のために示した。
図5に示すように、単一のノズルからインクを吐出する場合のリフィル時間t1は約25.5μsである。このリフィル時間を確保する周期で駆動することが安定した吐出を可能にする条件だと考えると、駆動周波数の許容上限値は39.2kHzとなる。
一方、512本のノズルの全てからインクを吐出する場合は、リフィル時間t2が約84.9μsとなり、単一のノズルからインクを吐出する場合に比べ大きく遅延する。この場合、リフィル時間を確保するためには駆動周波数の許容上限値は11.8kHzとなる。つまり、圧力緩衝体71が第2の共通液室66内に封入されていない状態で多数のノズルからインクを吐出すると、単一のノズルからインクを吐出する場合に比べ、駆動周波数の許容上限値が大きく低下する。駆動周波数の低下は、高速記録の妨げとなる。
次に、圧力緩衝体71が第2の共通液室66内に封入された本実施形態のインクジェット記録ヘッドにおいて、512本のノズルの全てからインクを吐出したときの、時間の経過に伴うメニスカスの位置の計測結果について説明する。
図7は、本実施形態のインクジェット記録ヘッドのリフィル挙動を示す波形図である。図7には、計測対象のノズルにおけるリフィル挙動を示す波形103だけでなく単一のノズルからインクを吐出した場合のリフィル挙動を示す波形101も比較のために示した。なお、計測対象のノズルや、吐出エネルギ発生素子52の駆動条件については、上述したケース(図5に示すケース)と同様に設定した。
図7に示すように、圧力緩衝体71を第2の共通液室66内に封入した場合も、リフィル時間t3は、単一のノズルからインクを吐出する場合に比べ遅延する。しかし、圧力緩衝体が共通液室内に封入されていない場合(図5参照)に比べ、リフィル時間の遅延量は大きく軽減している。本実施形態のインクジェット記録ヘッドのリフィル時間t3は約60.6μsである。このリフィル時間を確保するためには、駆動周波数の許容上限値は16.5kHzとなる。圧力緩衝体71が封入されていない場合の駆動周波数の許容上限値は11.8kHzなので、圧力緩衝体71を第2の共通液室66内に封入することによって駆動周波数の許容上限値を高く設定できるという効果を奏する。
また、図7に示すように、本実施形態のインクジェット記録ヘッドでは、リフィル時間の遅延が抑制されただけでなく、メニスカスの振幅A3も、圧力緩衝体71が封入されていない場合(図5の振幅A2参照)に比べ小さくなっている。リフィルが完了したノズルでも、メニスカスの位値が十分に安定していない状態で次のインクの吐出が行われると、吐出時のメニスカスの変位の大きさに応じて、吐出される液滴の体積が変化する。そのため、リフィル時間後のメニスカスの振幅が小さければ、どのタイミングで次のインクの吐出が行われても、吐出体積変化の比較的小さい安定した吐出を行うことが可能となる。
なお、本実施形態においては、圧力緩衝体71として直径が0.64mmのゴム球を5個用いることにより、容量Cが1.1×105μm3/kPaとなったが、容量Cの値を調整することにより、圧力緩衝の効果を変化させることが可能である。具体的には、材料や体積、封入する個数を変化させることで、容量Cの値を変化させることが可能である。
また、圧力緩衝体71の部材は、本実施形態のように弾性体ではなく、多孔性の金属やセラミクス、樹脂など、内部に空気を保持可能な多孔質体を用いても、同様の圧力緩衝効果が得られる。
次に、圧力緩衝体71の替わりに気泡が第2の共通液室66内に注入されたインクジェット記録ヘッドにおいて、512本のノズルの全てからインクを吐出したときの、時間の経過に伴うメニスカスの位置の計測結果について説明する。
図8、9は、気泡が共通液室内に注入されているインクジェット記録ヘッドの要部の構成を示す断面図である。図8は図2と同じ断面を示し、図9は、図3と同じ断面を示している。図8および図9に示されたインクジェット記録ヘッドでは、第2の共通液室内66内に直径が約0.6mmの気泡81が注入されている。直径が0.6mmの気泡81の容量Cは、気泡81を球形と仮定した場合、(数1)より1.1×106μm3/kPaとなる。
図10は、図8、9に示すインクジェット記録ヘッドのリフィル挙動を示す波形図である。図10には、計測対象のノズルにおけるリフィル挙動を示す波形104だけでなく単一のノズルからインクを吐出した場合のリフィル挙動を示す波形101も比較のために示した。なお、計測対象のノズル、各吐出エネルギ発生素子52の駆動条件については、上述した2つのケース(図5、図7に示すケース)と同様に設定した。
図10に示すように、圧力緩衝体として気泡81を注入した場合も、リフィル時間t4は、単一のノズルからインクを吐出する場合に比べ遅延する。しかし、圧力緩衝体71が共通液室内に封入されていない場合(図5参照)に比べ、リフィル時間の遅延量は大きく軽減している。さらに、メニスカスの振幅A4も圧力緩衝体71が封入されていない場合(図5の振幅A2参照)に比べ小さくなっている。図8、9に示すインクジェット記録ヘッドでは、リフィル時間t4は約51.0μsである。このリフィル時間を確保するためには、駆動周波数の許容上限値は19.6kHzとなる。このように、圧力緩衝体として気泡を用いた場合にも、大きな圧力緩衝効果が得られる。また、同一体積のゴム球(圧力緩衝体71)と気泡81を比較した場合、圧力緩衝効果は気泡81の方が大きい。これは、直径が約0.64μmの5個のゴム球の容量Cが1.1×105μm3/kPaであるのに対し、ほぼ同一体積の一つの気泡の容量Cが、その10倍の1.1×106μm3/kPaとなるからだと考えられる。
しかし、圧力緩衝体として気泡81を用いる場合、第2の共通液室66内で長期に渡って気泡81の形状(体積)を一定に保ち続けることが非常に困難である。気泡81の体積が減少してしまうと、上記の(数1)より容量Cも減少する。すると、
第2の共通液室66内で長期間一定の圧力緩衝効果を得られなくなる可能性が高い。一方、本実施形態のインクジェット記録ヘッドのように、圧力緩衝体71としてゴム球を用いる場合は、気泡81よりも長い期間体積を一定に維持できる。そのため、容量Cが変動しにくくなり、その結果、安定した圧力緩衝効果を得ることができる。このように、圧力緩衝体として弾性体を用いる本発明は、圧力緩衝体として気泡を用いる場合と比較して、効果の持続性、安定性という点で非常に有利となる。圧力緩衝効果の大きさの点でも、圧力緩衝体71として弾性体を用いる場合は、封入個数を増やしたり、体積を増加させたりすることにより、より大きな圧力効果を得ることが可能となる。
第2の共通液室66内で長期間一定の圧力緩衝効果を得られなくなる可能性が高い。一方、本実施形態のインクジェット記録ヘッドのように、圧力緩衝体71としてゴム球を用いる場合は、気泡81よりも長い期間体積を一定に維持できる。そのため、容量Cが変動しにくくなり、その結果、安定した圧力緩衝効果を得ることができる。このように、圧力緩衝体として弾性体を用いる本発明は、圧力緩衝体として気泡を用いる場合と比較して、効果の持続性、安定性という点で非常に有利となる。圧力緩衝効果の大きさの点でも、圧力緩衝体71として弾性体を用いる場合は、封入個数を増やしたり、体積を増加させたりすることにより、より大きな圧力効果を得ることが可能となる。
次に、圧力緩衝体71を第2の共通液室66内ではなくインク供給路67内に封入したインクジェット記録ヘッドにおいて、512本のノズルの全てからインクを吐出したときの、時間経過に伴うメニスカスの位置の計測結果について説明する。
図11は、圧力緩衝体がインク供給路内に封入されているインクジェット記録ヘッドの要部の構成を示す断面図である。図11に示されたインクジェット記録ヘッドでは、図11に示すように、5個の圧力緩衝体71がインク供給路67に封入されている。各圧力緩衝体71は、直径が0.64mmのゴム球である。ゴム球の容量Cの5個分の合計は、本実施形態のインクジェット記録ヘッドと同じく1.1×105μm3/kPaとなる。
図12は、図11に示すインクジェット記録ヘッドのリフィル挙動を示す波形図である。図12に示すように、メニスカスの振幅A5は、圧力緩衝体が封入されていないインクジェット記録ヘッドのメニスカス振動A2(図5参照)と比較して、やや小さくなっている。またリフィル時間t5は、約82.2μsであり、このリフィル時間を確保するためには、駆動周波数の許容上限値は12.2kHzとなる。圧力緩衝体71が封入されていない場合の駆動周波数の許容上限値は11.8kHzなので、圧力緩衝体71をインク供給路67に封入してもリフィル時間の遅延量はほとんど改善されない。よって、大きな圧力緩衝効果を得るためには、圧力緩衝体71は本実施形態のように第2の共通液室66内に存在していることが望ましい。
なお、図13に示すようにノズル列内で片寄った印字を行った場合、圧力緩衝体71の大きさや比重などによっては、圧力緩衝体71は、第2の共通液室66内のインクの流れに対して追随性を持ちインクを吐出するノズルの方向へ移動する(図14参照)。図13では、印字可能領域93の上側に印字領域91が片寄っており、印字領域91の下側が非印字領域92となっている。
(実施形態2)
本実施形態のインクジェット記録ヘッドについて説明する。なお、実施形態1で説明した構成と同様の構成については同じ符号を付し、詳細な説明を省略する。
本実施形態のインクジェット記録ヘッドについて説明する。なお、実施形態1で説明した構成と同様の構成については同じ符号を付し、詳細な説明を省略する。
実施形態1で説明した圧力緩衝体71は球状であった。そのため、その重量や大きさによっては、圧力緩衝体71が第2の共通液室66におけるインク供給路67との連通部分72(図3参照)を塞ぐことが懸念される。この場合、インクタンク31からのインクの供給が阻害され、吐出不良を招くおそれがある。また、圧力緩衝体71が第2の共通液室66からインク供給路67内を通ってインクタンク31へ移動してしまうことも懸念される。この場合、実施形態1で説明したように、圧力緩衝体71が第2の共通液室66から流出することにより、圧力緩衝効果が減少してしまうおそれがある。
そこで、本実施形態では、図15に示すように、表面に複数の突起物112が形成された圧力緩衝体111が第2の共通液室66内に封入されている。圧力緩衝体111において、突起物112の先端間の距離Dは、第2の共通液室66におけるインク供給路67との連通部分72の幅Wよりも長くなっている(図15参照)。これにより、圧力緩衝体111がインク供給路67との連通部分72側へ移動したときに、突起物112により、この連通部分72と圧力緩衝体111との間に隙間が形成される。そのため、インクタンク31からのインク供給の阻害を防止できる。さらに、圧力緩衝体111が第2の共通液室66からインク供給路67へ移動することを防止できる。なお、圧力緩衝体112は、ゴムのような汎用的な材料で形成できるので、複雑な形状であっても、射出成形により成形可能である。
図16および図17は、圧力緩衝体の他の形状を示す断面図である。圧力緩衝体によるインク供給の妨げおよび圧力緩衝効果の減少を回避する手段として、図16、17に示す圧力緩衝体121を用いることとしてもよい。圧力緩衝体121は、第2の共通液室66における最小幅部よりもわずかに大きい直径を持つ球形である。そして、この圧力緩衝体121を第2の共通液室66内に挟み込ませるように封入することによって、圧力緩衝体121が第2の共通液室66内の一部分に固定される。これにより、圧力緩衝体121が、第2の共通液室66におけるインク供給路67との連通部分72を塞いだり、インク供給路67へ流れ込んだりすることを防止できる。
51 吐出口
52 吐出エネルギ発生素子
53 インク流路
60 共通液室
71 圧力緩衝体
52 吐出エネルギ発生素子
53 インク流路
60 共通液室
71 圧力緩衝体
Claims (5)
- インクを貯蔵可能な共通液室と、前記共通液室に個別に連通し、前記共通液室から流入した前記インクが流れる複数のインク流路と、前記複数のインク流路に個別に連通し、前記複数のインク流路を流れる前記インクを吐出する複数の吐出口と、前記複数のインク流路における前記複数の吐出口の各々に対向する位置に設けられ、前記インクを前記複数の吐出口の各々から吐出させるのに必要なエネルギを発生させる複数の吐出エネルギ発生素子と、を有し、
前記共通液室内には、前記複数の吐出エネルギ発生素子の各々から発生した前記エネルギによって前記複数のインク流路から前記共通液室へ伝播された前記インクの圧力波を吸収可能な固体の圧力緩衝体が封入されている、インクジェット記録ヘッド。 - 前記複数の吐出エネルギ発生素子の各々は、前記エネルギとして熱エネルギを発生させる発熱素子である、請求項1に記載のインクジェット記録ヘッド。
- 前記圧力緩衝体は、弾性体である、請求項1または請求項2に記載のインクジェット記録ヘッド。
- 前記圧力緩衝体は、内部に空気を保持可能な多孔質体である、請求項1または請求項2に記載のインクジェット記録ヘッド。
- 前記共通液室に連通するインク供給路と、前記インク供給路を通じて前記共通液室に前記インクを供給するインクタンクと、をさらに有し、前記圧力緩衝体の表面に、複数の突起物が形成され、前記複数の突起物の先端間の距離が前記共通液室における前記インク供給路との連通部分の幅よりも長い、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のインクジェット記録ヘッド。
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JP2010155805A JP2012016889A (ja) | 2010-07-08 | 2010-07-08 | インクジェット記録ヘッド |
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