JP3631001B2 - インクジェットヘッドおよびインクジェットプリント装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、プリント媒体に向ってインク滴を吐出させることによりプリントを行うインクジェットヘッドおよびインクジェットプリント装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
インクジェットヘッドとして、ヒータからの熱エネルギーによりインクを瞬時に発泡させ、その気泡の成長によりインクを吐出してプリントを行うものがある。このようなヘッドは、特に高速記録、高密度記録に優れている。このようなヘッドにおいては、ヒータ上で発生したインクの気泡が外気と連通する方式のものが知られている(特開平4−10940号、特開平4−10941号、特開平4−10942号等)。この方式のヘッドの第1の特徴は、インクの吐出速度が高く吐出信頼性が高いことである。第2の特徴は、ヒータと吐出口との間のインクがほぼ全て吐出されて、全吐出口からの吐出インクの体積がほぼ一様となるため、濃度ムラが少ないことである。
【0003】
記録技術の進歩に伴い、より小さなインク滴を被記録媒体に高密度に記録することが求められてきている。しかし、インク滴を小さくしようとすればする程、インクの流路が細くなり、吐出効率の低下すなわち吐出速度が低下する傾向がある。このため、インクの吐出方向の不安定化、ヘッド休止時のインク中の水分蒸発によるインクの増粘による吐出不安定化等、信頼性の問題が生じやすい。この点、前述した方式のヘッド、つまり気泡が大気と連通する方式のヘッドは、前述したような理由から、このような問題を起こしづらく、今後の高品位記録の要請に応え得るものである。
【0004】
しかしながら、このような方式のヘッドには、次のような問題があった。すなわち、気泡が成長している時点でその気泡が外気と連通するため、外気と連通した時点の気泡がそのまま大きなメニスカスになり、インクのリフィル時間が長くなってしまうことである。そのリフィル終了を待たずに次の発泡が起きると、場合によってはインクが正常の液滴とならずミスト状態となり、かつインクが様々な方向に飛翔し、インクが被記録材上で汚れとなるいわゆるミスト現象を引き起こす。
【0005】
一方、従来より、パソコン等の出力手段として様々な記録方式のプリンターが用いられており、近年のパソコンの処理速度の高性能化、インターネットの普及などに伴い、カラー画像記録の高速化の要求がますます増大してきている。そこで、レーザビームプリンタ並みの高速印字が可能で、カラー化にも容易に対応でき、低コストであるインクジェットプリンターが広く使用されるようになっている。
【0006】
このインクジェットプリンターの代表的な記録方式の一つであるバブルジェット記録方式は、前述したように、熱エネルギー発生手段によりインクを加熱して気化させ、発生した気泡の圧力によりインク液滴を吐出口から吐出させる方式である。インク液滴吐出後、気泡内のインクの蒸発が凝縮し液体に戻るため、ついには気泡は消滅する。インク液滴吐出によりインク流路内のインクが減少するが、インク供給路からインクが補充される。
【0007】
図15は、背景技術に係るバブルジェット記録方式のヘッドの構成を示す説明図である。インク供給路21から多数のインク流路22が分岐しており、インク供給路21とインク流路22とは連通している。各インク流路22の先端には、インク液滴の吐出口23が設けられており、この吐出口23と対向するように熱エネルギー発生手段である発熱体24(図17参照)がそれぞれ配設されている。また、各インク流路22の長さ(インク供給路21との分岐位置25から、吐出口23までの距離)は均一ではなく僅かに違えることにより、吐出口位置をずらして高密度記録が可能になっている。なお、吐出口23中心と発熱体24中心とは対向位置にあるため、インク供給路21との分岐位置25から吐出口23までの距離と、インク供給路21との分岐位置25から発熱体24までの距離(C−H間距離)とは一致している。
【0008】
この例では合計256本のインク流路22が設けられているが、図15には、そのうちの32本のみ示している。これらのインク流路22は、図面左方に位置する偶数番流路と右方の奇数番流路との2組に分けられ、さらに、それぞれの組において、インク流路は8本ずつの16グループに分けられている。同一グループの8本のインク流路22の発熱体24は同時に駆動され、各グループ毎の計16回の発熱体駆動を1サイクルとするように時分割駆動が行われる。なお、インク流路22の長さ(分岐位置25から吐出口23までの距離)は5種類に分けられる。
【0009】
この例を具体的に説明すると、偶数番流路(以下、「偶数流路」ともいう)に関しては、Seg0,32,64,96,128…224の8本が第1グループ、Seg10,42,74…234が第2グループ、Seg20,52…244が第3グループ、Seg30,62…254が第4グループ、Seg8,40…232が第5グループ、Seg18,50…242が第6グループ、Seg28,60…252が第7グループ、Seg6,38…230が第8グループ、Seg16,48…240が第9グループ、Seg26,58…250が第10グループ、Seg4,36…228が第11グループ、Seg14,46…238が第12グループ、Seg24,56…248が第13グループ、Seg2,34…226が第14グループ、Seg12,44…236が第15グループ、Seg22,54…246が第16グループというように、16本おきにインク流路がグループ分けされている。
【0010】
奇数番流路(以下、「奇数流路」ともいう)に関しても、偶数流路と同様に、Seg1,33,65,97,129…225が第1グループ、Seg11,43,75…235が第2グループ、Seg21,53…245が第3グループ、…、Seg23,55…247が第16グループというように、16本おきにインク流路がグループ分けされている。したがって、各グループは偶数流路8本と奇数流路8本の合計16本で構成されている。
【0011】
記録時には、第1グループから第16グループまで順番にグループごとに駆動される。あるグループを駆動してから次のグループを駆動するまでの間隔は5.9μsである。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
前記した図15の例の場合、偶数流路では、C−H間距離の短いインク流路から順にインク液滴を吐出するように駆動され、また、奇数流路では、C−H間距離の長いインク流路から順にインク液滴を吐出するように駆動される。後からインク液滴を吐出するインク流路は、先にインク液滴を吐出したインク流路の影響を受ける。すなわち、たとえば第16グループのSe22,54…246およびSeg23,55…247は、それ以前に駆動された全グループのインク流路の振動の影響を受ける。特に、C−H間距離の短いインク流路では、他のグループにおけるインク吐出による振動の影響が、吐出口部分のメニスカス部にまで及び易い。
【0013】
図16は、図15の偶数流路の第16グループのインク流路(C−H間距離の短いインク流路)に関し、第1グループに駆動パルスが印加されてからの経過時間を横軸に、吐出口部分のメニスカスの位置を縦軸にとったグラフである。なお、メニスカスの位置は、吐出口端面を0とし、プラスの数値はメニスカスが吐出口の外側に盛り上がるように突出している量を示し、マイナスの数値はメニスカスが吐出口の内側に後退している量を示す。第16グループのインク流路の発熱体(ヒーター)が駆動されるまで、他のグループの発熱体の駆動が15回行われる間に、第16グループのメニスカスは膨張を続け吐出口端面からの突出量が増大する。
【0014】
本発明者が検討を重ね経験則的に得た結果によれば、メニスカスの突出が吐出口から+3μm以上になると、図17の示すように、発熱体駆動時に記録用のインク液滴9が球状になって吐出し、それと分離された小滴10が追随して吐出する、いわゆる玉割れ吐出現象が生じる。この場合、他の吐出口に比べて、吐出されるインク量が多く液滴が大きくなる。例えば、全吐出口からインクを吐出していわゆる黒ベタ印字を行うような場合、記録面に、部分的に濃度の濃い黒スジが周期的に表れてしまい、印字品質が悪くなる。なお、図17において、符号29aは、インク吐出後のメニスカスを示している。
【0015】
図15の奇数流路の場合は、C−H間距離の長いインク流路から順にインク液滴を吐出するように駆動され、また、C−H間距離の最も短いインク流路は第1グループにある。通常の印字動作においては、時分割駆動サイクル(16回の発熱体駆動=1サイクル)が繰り返されるので、第2グループから第16グループまでのインク液滴吐出、さらに次サイクルにおける第1グループのインク液滴吐出までの間のインク流路の振動の影響により、第1グループのメニスカス部のインクの位置は、図16に示す状態と実質的に同様になる。従って、時分割駆動サイクルが繰り返し行われるのであれば、どのグループに属していても、C−H間距離の短いインク流路は、前記玉割れ吐出現象が生じるおそれがある。
【0016】
本発明の第1の目的は、吐出信頼性を保ちつつ、高速プリントを可能とすることである。また、本発明の他の目的は、ミスト現象のない高品位記録を可能とすることである。
【0017】
さらに、本発明の他の目的は、玉割れ吐出現象を防止し、印字品質のよいインクジェットヘッドおよびインクジェットプリント装置を提供することにある。
【0018】
【課題を解決するための手段】
本発明のインクジェットヘッドは、インク流路内のインクに、電気熱変換体から熱エネルギーを付与して気泡を発生させることにより、前記電気熱変換体と対向する吐出口からインクを吐出可能なインクジェットヘッドにおいて、前記インク流路は前記吐出口にインクを供給するものであり、前記インク流路の天井部に外部に開放される補助穴を、前記インク流路1つに対して複数に分けて設け、該複数の補助穴の合計の開口面積を、前記吐出口の開口面積の3倍以上とし、前記補助穴と前記吐出口との間の最短距離は前記インク流路の高さの3倍以上としたことを特徴とする。
【0021】
本発明のインクジェットプリント装置は、上記のインクジェットヘッドと、該ヘッドを載置するための手段とを有することを特徴とする。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0023】
(第1の実施形態)
図1,図2,図3は、本発明の第1の実施形態を説明するための図であり、図1は、インクジェットヘッド1の平面図、図2は、図1のII−II線に沿う拡大断面図、図3は、図2のIII 矢視図である。
【0024】
ヘッド1は、発熱抵抗体(電気熱変換体)11の発熱によりインク17を加熱して気泡を発生させ、その成長により吐出口12からインク滴17′を吐出して記録を行うものである。10はSi製の基板であり、その基板11上に、電気熱変換体としての発熱抵抗体(「ヒータ」ともいう)11が設けられている。発熱抵抗体11の表面は、吐出口12と略平行に対向している。18は、基板10に開けられたインク供給口であり、その両側に64ずつの吐出口12が配列されている。左の列と右の列の吐出口12のそれぞれは、84.6μmのピッチで図1中の上下方向に配置され、また左右の吐出口12は42.3μmずれて斜めに対向するいわゆる千鳥配置となっている。
【0025】
インク17は、不図示のタンクからインク供給口18を通して導入され、図2中の矢印9の方向から発熱抵抗体11の部分に供給される。14は、供給口18から各々の発熱抵抗体11へインクを供給するための液流路(インク流路)であり、隔壁16によって分離されている。隔壁16と端16′と供給口18のエッジ18′との距離L1は10μmである。また、発熱抵抗体11の中心からエッジ18′までの距離L2は111μmである。液流路14の高さH1は12μmである。図中13は、本発明の特徴としての補助穴であり、液流路14上の天板15に設けられている。天板15の厚みW1は8μmである。
【0026】
吐出口12および補助穴13のサイズは、それぞれ22μm×22μm、30μm×54μmであり、両者とも四隅にR4μmのラウンジ部が形成されている。吐出口12と補助穴13の中心間距離L3は65μmであり、最短距離L4は40μmである。
【0027】
本例の場合は、発熱抵抗体11から吐出口12の上面までの距離(H1+W1)が20μmと短いため、この間のインク17がほぼそのインク滴17′として吐出され、発生した気泡が消滅する前に、その気泡が大気に連通されることになる。図2は、その様子を示したものである。気泡の発生、成長により、インク17は、吐出口12から吐出すると共に、補助穴13の外側に盛り上がるように、若干盛り出ることになる。この盛り出し量の最大は、オリフィスプレートを成す天板15の上面から高さ6μm、体積は3800μm3 であった。なお、吐出する液滴17′の体積は9000μm3 であった。
【0028】
このようなインク17の盛り出しにより、この盛り出し部分の圧力が上昇し、次の時点におけるインク17の再充填を助けることになる。本例では、発熱抵抗体11への電気パルスの印加開始から、インク滴17′の吐出を経てインク17が再充填されるまでの時間(「リフィル時間」ともいう)は52μsecであった。比較例として、補助穴13がない場合は、その時間に76μsecを要した。
【0029】
もし、補助穴13の位置が本例よりも吐出口12に近い場合には、補助穴13からインク滴が吐出してしまい、もしくは、そのインク滴が吐出しないまでも吐出口12の周辺がインクで濡れてしまい、ひいてはそのインクが吐出口12を塞いで連続使用に耐えられなくなる。逆に、補助穴13の位置が本例よりも吐出口12から遠い場合には、補助穴13と吐出口12との間の流路抵抗が高くなって、インク17の再充填時間の短縮効果が小さくなる。
【0030】
次に、補助穴13のサイズについて述べる。補助穴13のサイズが小さ過ぎると圧力上昇は十分になるが、その盛り出したインク17を貯える能力(容量)が減ってしまう。逆に、補助穴13のサイズが大き過ぎると盛り出したインク17の曲率半径が大きくなり、圧力上昇が足りずに、再充填時間の短縮効果が小さくなる。
【0031】
以上の観点から、本発明では、補助穴を液流路内に設け、補助穴13の開口面積を吐出口12の開口面積の3倍以上とし、かつ、それらの間の最短距離L4を液流路14の高さH1の3倍以上とした。このように補助穴13の大きさと位置を特定したことの有効性は、次のような実験により確認できた。
【0032】
図7は、本実施形態において、まず、補助穴13の位置を変更して、A4サイズの記録紙1頁の印字の間に、吐出口12周辺のインクの濡れによって印字不可能になる割合を示したものである。ここで、縦軸は、10回のテスト中に印字不可能になった回数を示す。以上の実験は複数回行われたが、吐出口12と補助穴13との最短距離L4が流路14高さH1の3倍を下回ると、急に、吐出口12周辺のインクの濡れによる印字不能の割合が増した。尚、図7は複数回の実験の中の代表的な一例を示しているが、このときには最短距離が流路高さの3倍より少し小さい値でも回数:0回の結果が出た。図8は、補助穴13のサイズを変えた時のリフィル時間である。補助穴13のサイズ(開口面積)が吐出口12のサイズ(開口面積)の3倍を越える(以上となる)と、リフィル時間が安定的に短くなった。
【0033】
なお、補助穴は、大きさの上限として、補助穴を下に向けても、メニスカスが保持されて補助穴からインクがこぼれ落ちない大きさ以下であることが好ましい。
【0034】
(第2の実施形態)
本例の場合は、補助穴13からインク17が盛り出した時の圧力上昇を十分に高くし、その盛り出したインクを貯える容量を確保するために、比較的小さな補助穴13を複数設けた。
【0035】
図4は、本例におけるヘッドの主要部の平面図である。4つの補助穴13−1,13−2,13−3,13−4を設けた以外は、前述した第1の実施形態と同じである。各補助穴13−1〜13−4のサイズは20μm×20μmであり、それぞれの四隅にはR4μmのラウンジ部が形成されている。本例のヘッドによる効果は第1の実施形態の場合よりも顕著となった。構成上、本例が前述した第1の実施形態と違う点は、第1の実施形態のものより小さな開口面積の補助穴13(13−1〜13−4)を複数設けている点である。本例の補助穴13の全体としての開口面積、つまり補助穴13−1〜13−4の合計の開口面積は、第1の実施形態よりも多少大きく、また補助穴13−3,13−4は吐出口12からより離れている。しかし、補助穴13の大きさと位置は、前述した第1の実施形態と同様に特定されている。
【0036】
本例では、1つ1つの補助穴13−1〜13−4の開口面積が小さいために、気泡が成長する際、これら補助穴13−1〜13−4からのインク17の盛り出しによる圧力上昇が第1の実施形態の場合よりも高くなり、リフィル時間がより短縮されて45μsecとなった。
【0037】
(第3の実施形態)
図5は、本発明の第3の実施形態におけるヘッドの主要部の平面図である。本例では、補助穴13が供給口12から見てヒータ11の奥方(図5中の右方)に設けられている。このタイプのヘッドでは、リフィル時間の短縮をより大幅に図ることができた。そのリフィル時間は、インク滴17′の1発目で30μsecであったが、2発目は42μsec、3発目は55μsec、4発目で65μsec、5発目は71μsecであった。つまり、1発目での効果は良いが、それ以降は効果は落ちた。しかしながら、図5中の2点鎖線のように供給口18とヒータ11との間にも補助穴13−1,13−2を追加することにより、この欠点が解消して、リフィル時間が安定して48μsecとなった。
【0038】
いずれにしても、本例におけるヒータ11の奥方の補助穴13の大きさと位置は、前述した第1の実施形態と同様に特定されている。このようにヒータ11の奥方の補助穴13の大きさと位置を特定したことの有効性は、第1の実施形態と同様、吐出口まわりの濡れによる不吐出の割合の測定(図7)と、リフィル時間の測定(図8)によって確認できた。
【0039】
(第4の実施形態)
1つのヘッド内の複数の発熱抵抗体11が備わり、これらが異なるタイミング(時分割)で駆動される場合、ヒータ11から供給口12までの間の距離を異ならせることがある。つまり、ヘッドを走査しつつプリントをするいわゆるシリアルスキャン方式において、列状に配設された吐出口12を複数のブロックに分け、それらのブロック毎のヒータ11を時分割駆動する場合、それらのブロック毎の吐出口12の位置を走査方向にずらす必要がある。仮に、そのようなずれがない場合には、走査方向と直交する方向の縦線を直線状にプリントすることができなくなる。このようないわゆる縦線の直線性の要求から、結果的に、ヒータ11から供給口12までの間の距離がブロック毎に異なることになる。一般に、供給口12とヒータ11との間の距離が長いとリフィル時間が長くなる。そこで、供給口12からヒータ11までの間の距離に比例した個数の補助穴13を設けることが有効となる。
【0040】
(第5の実施形態)
図6は、本発明の第5の実施形態としてのインクジェットプリント装置の概略を示す斜視図である。
【0041】
インクジェットプリント装置100において、キャリッジ101は、互いに平行に延在する2本のガイド軸104および105と摺動可能に係合する。これにより、キャリッジ101は、駆動用モータおよびその駆動力を伝達するベルト等の駆動力伝達機構(いずれも不図示)により、ガイド軸104および105に沿って往復動される。キャリッジ101には、インクジェットユニット103が搭載される。そのユニット103は、前述した実施形態におけるインクジェットヘッド1と、このヘッド1で用いられるインクを収納するインク容器としてのインクタンクとを有する。
【0042】
本例の場合、インクジェットユニット103は、ブラック(Bk),シアン(C),マゼンタ(M)およびイエロー(Y)の4色の各インクのそれぞれを吐出する4個のヘッド、およびこれらのそれぞれに対応して設けられるタンクからなる。さらに、各ヘッドとタンクとは相互に着脱可能とされ、タンク内のインクが無くなった場合等、必要に応じて個々のインク色毎にタンクのみを交換できるようになっている。また、ヘッドのみを必要に応じて交換できることは勿論である。なお、ヘッドおよびタンクの着脱の構成は、上記の例に限られず、ヘッドとタンクが一体に形成された構成としてもよい。
【0043】
プリント媒体としての用紙106は、装置の前端部に設けられる挿入口111から挿入され、最終的にその搬送方向が反転され、送りローラ109によって上記キャリッジ101の移動領域の下部に搬送される。キャリッジ101に搭載されたヘッドは、その移動に伴って、プラテン108によって支持された用紙106上のプリント領域にプリントする。
【0044】
以上のようにして、キャリッジ101の移動に伴う、ヘッドの吐出口配列の幅に対応した幅のプリントと、用紙106の送りとを交互に繰り返しながら、用紙106全体にプリントがなされ、その後、用紙106は装置前方に排出される。
【0045】
キャリッジ101の移動可能な領域の左端には、キャリッジ101上の各ヘッドとそれらの下部において対向可能な回復系ユニット110が設けられている。この回復系ユニット110により、非記録時等に、各ヘッドの吐出口をキャップする動作や各ヘッドの吐出口からインクを吸引する等の動作を行うことができる。また、この左端部の所定位置は、ヘッドのホームポジションとして設定される。
【0046】
一方、装置の右端部には、スイッチや表示素子を備えた操作部107が設けられる。ここにおけるスイッチは、装置電源のオン/オフや各種プリントモードの設定時等に使用され、表示素子は装置の各種状態を表示する役割をする。
【0047】
(第6の実施形態)
図9は本発明のインクジェットヘッド(以下、「インクジェット記録ヘッド」ともいう)の第6の実施形態の要部を模式的に示した説明図である。基本的な構成は、前記した図15の例と同様であり、インク流路21から256本のインク流路22が分岐している。各インク流路22の先端には吐出口23が設けられ、この吐出口23と対向するように、熱エネルギー発生手段である発熱体(電気熱変換体)24(図12,13参照)が配設されている。インク流路22の長さは均一ではなく僅かに違えることにより、吐出口23の位置をずらして高密度記録が可能になっている。
【0048】
256本のインク流路22は、図1左方に位置する偶数番流路(以下、「偶数流路」ともいう)と右方の奇数番流路(以下、「奇数流路」ともいう)との2組に分けられ、さらに、それぞれの組において、インク流路は8本ずつの16グループに分けられている。図15の従来例と同様に、各グループは、偶数流路8本と奇数流路8本の合計16本で構成されている。そして、記録時には、同一グループの16本のインク流路22の発熱体24が同時に駆動され、かつ第1グループから第16グループまで順番に発熱体駆動されて、16回の発熱体駆動で1サイクルとなるように、時分割駆動が行われる。流路数が256本と多いため、瞬間に流れる電流値を抑制するように、このような時分割駆動を行っている。あるグループを駆動してから次のグループを駆動するまでの間隔は5.9μsである。
【0049】
なお、図9には、便宜上、256本のインク流路22の内の32本のみがSeg0〜Seg31として示され、それらは実際の寸法通りに表されてはいない。インク供給路21との分岐位置25から、発熱体(ヒーター)24の中心までの距離(C−H間距離)は、各インク流路22ごとに異なっている。図面左側の偶数流路に関しては、Seg0の発熱体24の中心の位置を0とすると、Seg2の発熱体24の中心は図面右方に0.0165mmずれた位置にある。以下、同様に、Seg4…Seg30の偶数流路の発熱体24の中心位置は、0.0125mm、0.0090mm、0.0050mm、0.0015mm、0.0175mm、0.0140mm、0.0100mm、0.0065mm、0.0025mm、0.0190mm、0.0150mm、0.0115mm、0.0075mm、0.0040mmずれた位置にある。
【0050】
一方、右側の奇数流路に関しては、Seg1の発熱体24の中心はSeg0の発熱体24の中心から図面右方へ0.2960mm離れた位置にある。このSeg1の発熱体24の中心の位置を0とすると、Seg3,Seg5…Seg31の奇数流路の発熱体24の中心位置は、図中の右方に、0.0165mm、0.0125mm、0.0090mm、0.0050mm、0.0015mm、0.0175mm、0.0140mm、0.0100mm、0.0065mm、0.0025mm、0.0190mm、0.0150mm、0.0115mm、0.0075mm、0.0040mmずれて、偶数流路と同様な位置関係になっている。
【0051】
このように各インク流路22は、C−H間距離により概ね5種類に分けられる。すなわち、偶数流路のSeg2,Seg12,Seg22と奇数流路のSeg1,Seg11,Seg21,Seg31がC−H間距離の最も短い流路群である。次いで、Seg4,Seg14,Seg24,Seg9,Seg19,Seg29が次に短い流路群である。さらに、C−H間距離の短い順に、Seg6,Seg16,Seg26,Seg7,Seg17,Seg27の流路群、Seg8、Seg18,Seg28,Seg5,Seg15,Seg25の流路群と続き、Seg0,Seg10、Seg20,Seg30,Seg3,Seg13,Seg23がC−H間距離の最も長い流路群である。なお、吐出口23の中心と発熱体24の中心とは対向位置にあるため、インク供給路21との分岐位置25から吐出口23までの距離と、C−H間距離とは一致している。
【0052】
本実施形態では、C−H間距離が最も短い流路群の各インク流路の吐出口23および発熱体24と、分岐位置25との間に、図9,図10に示すように、補助穴(以下、「圧力緩衝用のダミー孔部」という)26が設けられている。
【0053】
Seg0〜Seg31を駆動する駆動信号が入力されると、前記第1グループから第16グループの順番に、それらの発熱体24に駆動パルスが印加される。
【0054】
例えば、偶数の第16グループのインク流路(Seg22)は、先にインク液滴吐出が行われる他の全てのインク流路(Seg0〜Seg21およびSeg24〜Seg31)からの流体力学上の影響を、インク液滴吐出の直前まで受けている。
【0055】
すなわち、バブルジェット方式のインクジェット記録ヘッドの場合、発熱体24の加熱によりインク中に気泡が発生し、その圧力によりインク液滴が吐出口23から吐出し、その後、液体に戻り消滅する。それから、インク供給路21からインク流路22にインクが補充される。このようにインク流路22内では、気泡の発生−インク液滴吐出−気泡の消滅−インクの補充という過程で、内部に圧力変動および振動が生じる。全インク流路22は、インク供給路21によってつながっているため、他のインク流路におけるインク液滴吐出の影響が伝わってくる。図9に示す例では、第16グループのインク流路(Seg22)は、それまでの15回の他のインク流路のインク液滴吐出の影響を受けて、内部のインクの圧力変動および振動発生が起こっている。そのため、従来は、Seg22などC−H間距離が他より短いインク流路の先端のメニスカスは、図16に示すように、他のインク流路のインク液滴吐出時のインクの圧力変動や振動の影響を受けて、振動しながら徐々に外部に膨らんで盛り上がる。そのため、この状態でインク液滴の吐出が行われると、図17に示すような玉割れ吐出現象が生じていた。
【0056】
しかし本実施形態では、インク流路Seg22の分岐位置25と発熱体24との間にダミー孔部26が設けられている。従って、インクがダミー孔部26から外部へ膨張して突出することにより、他のインク流路のインク液滴の吐出による圧力変動や振動は緩衝され、結果的に、メニスカスは吐出口から外部にあまり突出しない。従来は、他のインク流路におけるインク液滴の吐出に応じて、吐出口23においてメニスカスが盛り上がったり縮んだりしていた(図16参照)。しかし、本実施形態では、図13に示すように、ダミー孔部26において同様にインクが盛り上がったり縮んだりする。この結果、吐出口23のメニスカス部には、圧力変動や振動がダイレクトに伝わらずかなり緩衝され、メニスカスの変位が小さくなる(図11参照)。したがってインク液滴吐出時には、図12に示すように、玉割れ吐出現象は生ぜず、尾を引いた1個のインク液滴27が正常に吐出される。吐出されるインク液滴27が他の吐出口からの液滴と同等の大きさになるので、黒ベタ印字を行っても、部分的に濃度の濃い黒スジは発生しない。
【0057】
インク液滴吐出が行われたインク流路は、インク供給路からインクが補充されて、流路内の振動は一旦収まり、メニスカスは0の位置に復帰する。そして、第1〜16グループの駆動が繰り返されると、インク流路Seg22のメニスカスに関しては、図11に示すグラフの0〜90μs間の波形が繰り返される。なお、ダミー孔部26は発熱体24から十分距離をおいて設けられている。したがって、吐出口23からインク液滴が吐出される場合にも、ダミー孔部26におけるインクは、表面張力により保持され、凹凸するのみで外部に漏出することはない。
【0058】
また、このような構成では、奇数流路に関しては、1サイクル中の前半にインクを吐出する第1〜4グループのインク流路Seg1,Seg11,Seg21,Seg31に、ダミー孔部26が設けられている。前記したような第1〜16グループの駆動サイクルが繰り返し行われる場合、奇数流路は、偶数流路の場合とタイミングが少しずれるだけであり、偶数流路の場合と同様にダミー孔部26によりインクの圧力変動や振動が緩衝される。したがって、奇数流路からも、図12のような正常な吐出が行われて、吐出される液滴は、周囲の他の吐出口から吐出される液滴に比べて大きくならない。
【0059】
(第7の実施形態)
上記第6の実施形態は、C−H間距離が最も短い流路群にダミー孔部26が形成されているが、どの流路にダミー孔部を形成するかは任意に設定できる。例えば、図示しないが第7の実施形態として、C−H間距離の最も長い流路群(Seg0,Seg3,Seg10,Seg13,Seg20,Seg23)に、第6の実施形態と同様なダミー孔部26(図10参照)を設けることもできる。
【0060】
以上説明してきたように、第6,第7の実施形態では、インク流路22にダミー孔部26を設けることにより、球割れ現象を回避することができる。ただし、あまり多くのインク流路22にダミー孔部26を設けると、吐出口23が形成される吐出口プレートの機械的強度が下がり、またインク中の揮発成分の蒸発量が全体的に多くなって、粘度上昇による不吐出が起きやすくなるという弊害が生じる。そのため、前記第6,7の実施形態のように、全インク流路の2〜3割程度のインク流路22にダミー孔部26が設けられることが好ましく、さらに、ダミー孔部26が設けられているインク流路22は、全インク流路22中において偏りなく配置されることが好ましい。
【0061】
また、上記第6,第7の実施形態におけるダミー孔部26は、前述した第1〜第4の実施形態における補助穴13と同じ条件で設けることができる。ダミー孔部26を補助穴13と同じように設けることにより、インク吐出信頼性の向上、およびインクのリフィル時間の短縮等、第1〜第4の実施形態と同様の効果をも奏することができる。
【0062】
(第8の実施形態)
図14には、以上の第6,第7の実施形態において説明した構成のインクジェット記録ヘッド211を備えたインクジェット記録装置が示されている。この記録装置の構成を簡単に説明すると、供給ローラ212等を含み紙等の記録媒体(図示せず)が供給される給紙部213と、記録媒体にインクジェット記録ヘッド211からインク吐出を行なう印字部214と、印字された記録媒体を排出する排紙部215とを有している。印字部214には、インクジェット記録ヘッド211を載置するための手段であるキャリッジ216が、ガイドレール217に沿って摺動可能に設けられている。そして、キャリッジ216にインクジェット記録ヘッド211が搭載され、これらは、記録媒体の搬送方向に実質的に直交する方向に一体的に往復動する。
【0063】
(その他)
なお、本発明は、特にインクジェット記録方式の中でも、インク吐出を行わせるために利用されるエネルギとして熱エネルギを発生する手段(例えば電気熱変換体やレーザ光等)を備え、前記熱エネルギによりインクの状態変化を生起させる方式のプリントヘッド(以下、「記録ヘッド」ともいう)、プリント装置(以下、「記録装置」ともいう)において優れた効果をもたらすものである。かかる方式によれば記録の高密度化,高精細化が達成できるからである。
【0064】
その代表的な構成や原理については、例えば、米国特許第4723129号明細書,同第4740796号明細書に開示されている基本的な原理を用いて行うものが好ましい。この方式は所謂オンデマンド型,コンティニュアス型のいずれにも適用可能であるが、特に、オンデマンド型の場合には、液体(インク)が保持されているシートや液路に対応して配置されている電気熱変換体に、記録情報に対応していて核沸騰を越える急速な温度上昇を与える少なくとも1つの駆動信号を印加することによって、電気熱変換体に熱エネルギを発生せしめ、記録ヘッドの熱作用面に膜沸騰を生じさせて、結果的にこの駆動信号に一対一で対応した液体(インク)内の気泡を形成できるので有効である。この気泡の成長,収縮により吐出用開口を介して液体(インク)を吐出させて、少なくとも1つの滴を形成する。この駆動信号をパルス形状とすると、即時適切に気泡の成長収縮が行われるので、特に応答性に優れた液体(インク)の吐出が達成でき、より好ましい。このパルス形状の駆動信号としては、米国特許第4463359号明細書,同第4345262号明細書に記載されているようなものが適している。なお、上記熱作用面の温度上昇率に関する発明の米国特許第4313124号明細書に記載されている条件を採用すると、さらに優れた記録を行うことができる。
【0065】
記録ヘッドの構成としては、上述の各明細書に開示されているような吐出口,液路,電気熱変換体の組合せ構成(直線状液流路または直角液流路)の他に熱作用部が屈曲する領域に配置されている構成を開示する米国特許第4558333号明細書,米国特許第4459600号明細書を用いた構成も本発明に含まれるものである。加えて、複数の電気熱変換体に対して、共通するスリットを電気熱変換体の吐出部とする構成を開示する特開昭59−123670号公報や熱エネルギの圧力波を吸収する開孔を吐出部に対応させる構成を開示する特開昭59−138461号公報に基いた構成としても本発明の効果は有効である。すなわち、記録ヘッドの形態がどのようなものであっても、本発明によれば記録を確実に効率よく行うことができるようになるからである。
【0066】
さらに、記録装置が記録できる記録媒体の最大幅に対応した長さを有するフルラインタイプの記録ヘッドに対しても本発明は有効に適用できる。そのような記録ヘッドとしては、複数記録ヘッドの組合せによってその長さを満たす構成や、一体的に形成された1個の記録ヘッドとしての構成のいずれでもよい。
【0067】
加えて、上例のようなシリアルタイプのものでも、装置本体に固定された記録ヘッド、あるいは装置本体に装着されることで装置本体との電気的な接続や装置本体からのインクの供給が可能になる交換自在のチップタイプの記録ヘッド、あるいは記録ヘッド自体に一体的にインクタンクが設けられたカートリッジタイプの記録ヘッドを用いた場合にも本発明は有効である。
【0068】
また、本発明の記録装置の構成として、記録ヘッドの吐出回復手段、予備的な補助手段等を付加することは本発明の効果を一層安定できるので、好ましいものである。これらを具体的に挙げれば、記録ヘッドに対してのキャッピング手段、クリーニング手段、加圧或は吸引手段、電気熱変換体或はこれとは別の加熱素子或はこれらの組み合わせを用いて加熱を行う予備加熱手段、記録とは別の吐出を行なう予備吐出手段を挙げることができる。
【0069】
また、搭載される記録ヘッドの種類ないし個数についても、例えば単色のインクに対応して1個のみが設けられたものの他、記録色や濃度を異にする複数のインクに対応して複数個数設けられるものであってもよい。すなわち、例えば記録装置の記録モードとしては黒色等の主流色のみの記録モードだけではなく、記録ヘッドを一体的に構成するか複数個の組み合わせによるかいずれでもよいが、異なる色の複色カラー、または混色によるフルカラーの各記録モードの少なくとも一つを備えた装置にも本発明は極めて有効である。
【0070】
さらに加えて、以上説明した本発明実施例においては、インクを液体として説明しているが、室温やそれ以下で固化するインクであって、室温で軟化もしくは液化するものを用いてもよく、あるいはインクジェット方式ではインク自体を30℃以上70℃以下の範囲内で温度調整を行ってインクの粘性を安定吐出範囲にあるように温度制御するものが一般的であるから、使用記録信号付与時にインクが液状をなすものを用いてもよい。加えて、熱エネルギによる昇温を、インクの固形状態から液体状態への状態変化のエネルギとして使用せしめることで積極的に防止するため、またはインクの蒸発を防止するため、放置状態で固化し加熱によって液化するインクを用いてもよい。いずれにしても熱エネルギの記録信号に応じた付与によってインクが液化し、液状インクが吐出されるものや、記録媒体に到達する時点ではすでに固化し始めるもの等のような、熱エネルギの付与によって初めて液化する性質のインクを使用する場合も本発明は適用可能である。このような場合のインクは、特開昭54−56847号公報あるいは特開昭60−71260号公報に記載されるような、多孔質シート凹部または貫通孔に液状又は固形物として保持された状態で、電気熱変換体に対して対向するような形態としてもよい。本発明においては、上述した各インクに対して最も有効なものは、上述した膜沸騰方式を実行するものである。
【0071】
さらに加えて、本発明インクジェット記録装置の形態としては、コンピュータ等の情報処理機器の画像出力端末として用いられるものの他、リーダ等と組合せた複写装置、さらには送受信機能を有するファクシミリ装置の形態を採るもの等であってもよい。
【0072】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明は、吐出口と補助穴の大きさと位置関係を特定することにより、インクの吐出信頼性、吐出安定性、印字等のプリント特性を向上させることができ、かつ高速プリントを可能とすることができる。
【0073】
また、本発明によると、インク液滴吐出時のインク圧力変動や振動が補助穴としてのダミー孔部により緩衝されて、続いてインク液滴が吐出されるインク流路のメニスカス部において、インクが外方に大きく盛り上げることが抑制される。この結果、玉割れ現象が防止でき、全インク流路で均一なインク液滴吐出が可能になり、印字品質が向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態としてのインクジェットヘッドの平面図である。
【図2】図1のII−II線に沿う拡大断面図である。
【図3】図2のIII 矢視図である。
【図4】本発明の第2の実施形態としてのインクジェットヘッドの要部の拡大平面図である。
【図5】本発明の第3の実施形態としてのインクジェットヘッドの要部の拡大平面図である。
【図6】本発明の第5の実施形態としてのインクジェットプリント装置の斜視図である。
【図7】本発明の第1の実施形態としてのインクジェットヘッドの有効性の実験データの説明図である。
【図8】本発明の第1の実施形態としてのインクジェットヘッドの有効性の実験データの説明図である。
【図9】本発明のインクジェットヘッドの第6の実施形態の要部を示す平面図である。
【図10】図9の部分拡大図である。
【図11】第6の実施形態におけるメニスカス位置の変動を示す説明図である。
【図12】第6の実施形態におけるインク液滴吐出状態を示す説明図である。
【図13】第6の実施形態におけるダミー孔部によるインクの圧力変動や振動の緩衝状態を示す説明図である。
【図14】本発明のインクジェット記録装置の斜視図である。
【図15】背景技術に係るインクジェットヘッドの要部を示す平面図である。
【図16】背景技術に係るインクジェットヘッドにおけるメニスカス位置の変動を示す説明図である。
【図17】背景技術に係るインクジェットヘッドにおけるインク液滴吐出状態を示す説明図である。
【符号の説明】
1 インクジェットヘッド
10 基板
11 発熱抵抗体(電気熱変換体)
12 吐出口
13 補助穴
14 液流路(インク流路)
15 天板
16 隔壁
17 インク
17′ インク滴
18 インク供給口
Claims (10)
- インク流路内のインクに、電気熱変換体から熱エネルギーを付与して気泡を発生させることにより、前記電気熱変換体と対向する吐出口からインクを吐出可能なインクジェットヘッドにおいて、
前記インク流路は前記吐出口にインクを供給するものであり、
前記インク流路の天井部に外部に開放される補助穴を、前記インク流路1つに対して複数に分けて設け、
該複数の補助穴の合計の開口面積を、前記吐出口の開口面積の3倍以上とし、
前記補助穴と前記吐出口との間の最短距離は前記インク流路の高さの3倍以上とした
ことを特徴とするインクジェットヘッド。 - 前記複数の補助穴のそれぞれの開口面積は、前記吐出口の開口面積よりも小さいことを特徴とする請求項1に記載のインクジェットヘッド。
- 前記吐出口よりもインクの供給方向の前側に位置する前記インク流路の天井部に前記補助穴を設けたことを特徴とする請求項1または2のいずれかに記載のインクジェットヘッド。
- 前記吐出口よりもインクの供給方向の後側に位置する前記インク流路の天井部に前記補助穴を設けたことを特徴とする請求項1または2のいずれかに記載のインクジェットヘッド。
- 前記吐出口よりもインクの供給方向の前側及び後側に位置する前記インク流路の天井部に前記補助穴を設けたことを特徴とする請求項1または2のいずれかに記載のインクジェットヘッド。
- 前記吐出口は、前記インクに発生する気泡の成長過程において、その気泡を大気と連通させることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載のインクジェットヘッド。
- 前記インク流路は、前記電気熱変換体が設けられる基板と、前記吐出口が形成される天板との間に形成され、
前記補助穴は、前記天板に形成されることを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載のインクジェットヘッド。 - 前記インク流路は、前記吐出口の数に対応して複数並列に形成されて共通のインク供給口に連通することを特徴とする請求項1から7のいずれかに記載のインクジェットヘッド。
- 前記インク流路は、前記共通のインク供給口の両側のそれぞれに複数ずつ並列に形成されていることを特徴とする請求項8に記載のインクジェットヘッド。
- 請求項1から9のいずれかに記載のインクジェットヘッドと、該ヘッドを載置するための手段とを有することを特徴とするインクジェットプリント装置。
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