JP2012007935A - X線回折装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】測定精度の向上が図られるX線回折装置、を提供する。
【解決手段】X線回折装置10は、X線発生部22と、2次元検出器50と、スリット板40とを備える。X線発生部22は、X線を発生し、試料30に向けて照射する。2次元検出器50は、試料30により回折されたX線を2次元的に受光し、その受光領域内の各点においてX線を検出する。スリット板40は、試料30と2次元検出器50との間のX線の光路上に配置され、試料30により回折されたX線を部分的に遮蔽する。
【選択図】図1

Description

この発明は、一般的には、X線回折装置に関し、より特定的には、回折X線を検出する検出器として2次元検出器を備えるX線回折装置に関する。
従来のX線回折装置に関して、たとえば、特開2008−275387号公報には、結晶軸の方位決定を高速で、かつ高精度に行なうことを目的としたX線単結晶方位測定装置が開示されている(特許文献1)。特許文献1に開示されたX線単結晶方位測定装置は、X線を発生する点状のX線源と、X線源から発生されたX線を細く絞るためのピンホールコリメータと、試料を挟んで回折角度(2θ)の方向に配置される2次元検出器とを有する。
特開2008−275387号公報
上述の特許文献に開示されるように、X線の回折現象を利用して物質の結晶構造を調べるX線回折装置が知られている。このようなX線回折装置において、多くの回折点の測定を短時間で行なうことを目的に、物質により回折されたX線(回折X線)を2次元的に受光し、その受光領域内の各点においてX線を検出することが可能な2次元検出器が用いられている。
図20は、2次元検出器の分解能を説明するための図である。図20を参照して、2次元検出器のX線検出部65に対して、大きさや配置場所が異なる試料61〜63が配置されている。図中に示す例では、X線検出部65と、試料61および試料62との間の距離は、それぞれ、X線検出部65と試料63との間の距離よりも大きい。試料61の大きさは、試料62および試料63の大きさよりも大きい。試料61〜63に細く絞った線状のX線が照射されると、各試料でX線が回折され、回折X線が生じる。この回折X線は、所定の回折角度を伴ってX線検出部65でリング状の回折パターンとなって検出される。
この際、回折X線は試料内部の任意の結晶格子で生じるため、X線検出部65で検出される回折パターンは、試料61〜63の各試料の大きさに応じた幅を持つ。たとえば、図中に示す例において、試料62による回折パターンは、幅Aの広がりを持ち、試料62よりも大きい試料61による回折パターンは、幅Aよりも大きい幅Bの広がりを持つ。
また、X線検出部65に現れる回折パターンの幅は、X線検出部65に対して回折X線が入射する角度によっても変化する。このため、互いに等しい大きさの試料62と試料63とであっても、回折パターンの広がり方は異なるし、各試料においても、回折角度が高角になるほど回折パターンの幅が大きくなる。
このように、試料のサイズや試料およびX線検出部間の距離に応じて、2次元検出器で検出される回折パターンの幅が変化する。一方、検出される回折パターンの幅があまりにも広いと、回折X線の角度精度、分解能が低下してしまうという問題が生じる。
そこでこの発明の目的は、上記の課題を解決することであり、測定精度の向上が図られるX線回折装置を提供することである。
この発明に従ったX線回折装置は、X線発生部と、2次元検出器と、視野制限部材とを備える。X線発生部は、X線を発生し、試料に向けて照射する。2次元検出器は、試料により回折されたX線を2次元的に受光し、その受光領域内の各点においてX線を検出する。視野制限部材は、試料と2次元検出器との間のX線の光路上に配置され、試料により回折されたX線を部分的に遮蔽する。
このように構成されたX線回折装置によれば、試料により回折されたX線(回折X線)を部分的に遮蔽する視野制限部材を設けることによって、2次元検出器で検出される回折X線のパターンの幅を小さく抑えることができる。これにより、2次元検出器による回折X線の分解能を向上させ、試料の測定を精度よく実施することができる。
また好ましくは、視野制限部材は、X線が透過不能な板材から形成される。板材には、スリットが形成される。このように構成されたX線回折装置によれば、板材によって回折X線の一部を遮蔽するとともに、スリットを通過した回折X線を2次元検出器で検出することができる。
また好ましくは、スリットは、X線発生部から試料に照射されたX線の光軸を中心とする円形状を有する。このように構成されたX線回折装置によれば、2次元検出器で検出される回折X線のパターン形状に対応させて、回折X線を部分的に遮蔽することができる。
また好ましくは、試料は、2次元検出器が試料を透過したX線を受光するように透過配置される。このように構成されたX線回折装置によれば、X線の入射方向における試料の長さが大きく、2次元検出器で検出される回折X線のパターンの幅が大きくなる場合においても、回折X線を部分的に遮蔽する視野制限部材を設けることによって、そのパターンの幅を小さく抑えることができる。
また好ましくは、試料は、2次元検出器が試料に反射されたX線を受光するように反射配置される。このように構成されたX線回折装置によれば、試料の表面に対してX線を照射する角度が浅く、2次元検出器で検出される回折X線のパターンの幅が大きくなる場合においても、回折X線を部分的に遮蔽する視野制限部材を設けることによって、そのパターンの幅を小さく抑えることができる。
以上に説明したように、この発明に従えば、測定精度の向上が図られるX線回折装置を提供することができる。
この発明の実施の形態1におけるX線回折装置を示す側面図である。 X線の回折パターンの一例を示す正面図である。 図1中のX線回折装置に設けられたスリット板を示す正面図である。 図1中に示すX線回折装置との比較のためのX線回折装置を示す側面図である。 図1中のX線回折装置において、回折X線がX線検出部に進行する様子を示す側面図である。 図1中のX線回折装置において、X線検出部で検出される回折パターンを示す正面図である。 スリット板を設けなかった第1比較例における回折角度と回折強度との関係を示すグラフである。 スリット板を設けなかった第1比較例における回折角度と回折強度との関係を示す別のグラフである。 スリット板を設けなかった第2比較例における回折角度と回折強度との関係を示すグラフである。 スリット板を設けなかった第2比較例における回折角度と回折強度との関係を示す別のグラフである。 スリット板を設けた第1実施例における回折角度と回折強度との関係を示すグラフである。 スリット板を設けた第1実施例における回折角度と回折強度との関係を示す別のグラフである。 スリット板を設けた第2実施例における回折角度と回折強度との関係を示すグラフである。 スリット板を設けた第2実施例における回折角度と回折強度との関係を示す別のグラフである。 この発明の実施の形態2におけるX線回折装置を示す側面図である。 図15中に示すX線回折装置との比較のためのX線回折装置を示す側面図である。 図15中の2点鎖線XVIIにより囲まれた範囲を拡大して示す側面図である。 この発明の実施の形態3におけるX線回折装置で用いられるスリット板を示す正面図である。 図18中のスリット板を用いた場合の、X線検出部で検出される回折パターンを示す正面図である。 2次元検出器の分解能を説明するための図である。
この発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。なお、以下で参照する図面では、同一またはそれに相当する部材には、同じ番号が付されている。
(実施の形態1)
図1は、この発明の実施の形態1におけるX線回折装置を示す側面図である。図1を参照して、X線回折装置10は、X線の回折現象を利用して試料30の結晶構造を調べるための装置である。本実施の形態では、試料30として多結晶の物質が選択される。
まず、図1中のX線回折装置10の構造について説明すると、X線回折装置10は、その主要な構成として、X線発生部22、スリット板40および2次元検出器50を有する。
X線発生部22は、X線を発生し、その発生したX線を試料30に向けて照射する。より具体的には、X線発生部22は、X線源20およびコリメータ24から構成されている。X線源20は、X線を発生する光源として設けられている。X線源20は、所定線量のX線を発生するものであればよく、たとえば、X線管球が用いられる。コリメータ24は、X線源20で発生したX線を細く絞るために設けられている。コリメータ24に替えて、たとえば、スリット板もしくは集光ミラーが用いられてもよい。
2次元検出器50は、試料30で生じた回折X線を2次元的に受光し、平面的領域内の各点においてX線を検出する。
2次元検出器50は、X線検出部52を有する。X線検出部52は、たとえば、フィルムやイメージングプレート、CCD(Charge Coupled Device)カメラなどから構成されている。
試料30にX線が照射されると、試料30内の結晶格子によってX線が回折され、回折X線が生じる。この際、試料30に入射するX線の光軸101と、試料30から出射された回折X線の光軸102とがなす角度が、回折角度(2θ)である。X線検出部52では、試料30で生じた回折X線を受光することによって、X線の回折パターンが検出される。
本実施の形態では、2次元検出器50が試料30を透過したX線を受光するように、試料30が透過(Laue)配置されている。試料30は、X線が入射する表面30aと、表面30aとは反対側に面し、回折X線が出射する表面30bとを有する。試料30は、表面30aとX線発生部22とが向かい合い、表面30bと2次元検出器50とが向かい合うように配置される。
図2は、X線の回折パターンの一例を示す正面図である。図1および図2を参照して、試料30が多結晶である場合、X線の回折パターンは、光軸101を中心とするリング形状となって表れる。図2中には、回折角度の低角側から高角側に順に、回折パターン201,202,203,204,205が示されている。X線検出部52は、平面的な広がりを持って形成されており、たとえば、図2中の枠110もしくは枠120の範囲内で回折パターンを検出することができる。2次元検出器50は、検出された回折パターンを周方向に積分することにより各回折角度における回折強度を得る。また、回折パターンのリング内における強度分布によって、試料の結晶配向性などの情報も得られる。
図3は、図1中のX線回折装置に設けられたスリット板を示す正面図である。図1および図3を参照して、スリット板40は、試料30と2次元検出器50との間のX線の光路上に配置されている。スリット板40は、回折X線の光路上に配置されている。スリット板40は、試料30とX線検出部52との間に配置されている。スリット板40は、表面30bと向かい合って配置されている。本実施の形態では、光軸101の軸上に、X線検出部52、試料30およびスリット板40が挙げた順に並んでいる。
スリット板40は、X線を透過させない板材から形成されている。スリット板40は、たとえば、Ni(ニッケル)、Ta(タンタル)、W(タングステン)、Mo(モリブデン)、Pb(鉛)などの金属板、またはこれらの元素をベースとする合金板から形成されている。
スリット板40には、開口部であるスリット42が形成されている。スリット42は、円形状を有して形成されている。スリット42は、光軸101を中心とする円形状を有して形成されている。スリット42は、少なくとも、光軸101を中心とする円弧部分を有するように形成されている。
続いて、図1中のX線回折装置10によって奏される作用、効果について説明する。
図4は、図1中に示すX線回折装置との比較のためのX線回折装置を示す側面図である。図4を参照して、本比較例におけるX線回折装置310においては、試料30とX線検出部52との間に図1中のスリット板40が設けられていない。図中では、X線が照射される試料として、試料30および試料30´が想定されている。光軸101の軸方向における試料の長さを試料の厚みと呼ぶ場合に、試料30は厚みTを有し、試料30´は、試料30よりも小さい厚みを有する。
X線は、試料30内部の任意の結晶格子によって回折されるため、表面30aと表面30bとの間のあらゆる位置で回折X線が生じる。このような回折X線が2次元検出器50に向かうと、X線検出部52では、同一回折角度(2θ)の回折X線が、所定の幅Cを有したリング状の回折パターンとして検出されることになる。
回折パターンの幅Cは、試料30の厚みと回折角度とに関係する。比較的大きい厚みを有する試料30の場合、試料30´の場合よりも、X線検出部52において検出される回折パターンの幅は大きくなる。この場合、試料30の表面30b側を基準面とすると、その基準面から表面30a側に離れた位置から生じた回折X線は、見た目上高角の回折角度を有した回折パターンとなって検出される。このため、試料30の厚みが大きいほど、X線検出部52による回折X線の角度精度や角度分解能が低下することとなる。
本発明は、試料の厚みが0.3mmよりも大きい場合に好適に適用される。また、試料の厚みが1mm以上である場合にさらに好適に適用される。また、試料の厚みが3mm以上である場合にさらに好適に適用される。
図5は、図1中のX線回折装置において、回折X線がX線検出部に進行する様子を示す側面図である。図6は、図1中のX線回折装置において、X線検出部で検出される回折パターンを示す正面図である。
図5および図6を参照して、これに対して、本実施の形態におけるX線回折装置10においては、試料30と2次元検出器50との間の回折X線の光路上にスリット板40が配置されている。本実施の形態では、スリット板40に光軸101を中心とする円形状のスリット42が形成されるため、試料30内部において表面30b側から生じた回折X線がスリット42を通過する一方、表面30a側から生じた回折X線はスリット板40によって2次元検出器50に向けた進行を遮られる。
図6中には、X線検出部52において検出される回折パターンが示されている。回折X線の一部がスリット板40によって遮蔽されることによって、外周側に示された帯部212が回折パターンとして現れなくなる。その結果、内周側に示された幅狭の帯部211を回折パターンとして検出することができる。
続いて、図1中のX線回折装置10によって奏される上記作用、効果を確認するための実施例について説明する。
本実施例では、図5中に示すように、試料30の基準面(表面30b)からスリット板40までの距離X、スリット42の開口高さZ、試料30の厚みTを種々に変化させたモデルを想定し、各モデルにおける回折角度(2θ)と回折強度との関係とを求めるシミュレーションを行なった。シミュレーションでは、CeOの標準モデルに基づいて回折角度と回折強度との関係を算出した。また、比較のため、スリット板40を設けない場合の回折角度と回折強度との関係も求めた。
図7は、スリット板を設けなかった第1比較例における回折角度と回折強度との関係を示すグラフである。図8は、スリット板を設けなかった第1比較例における回折角度と回折強度との関係を示す別のグラフである。
図7および図8を参照して、第1比較例の条件は、スリット板無し、試料30の厚みT=0.3mmである。図中には、試料30の基準面(図5中の表面30b)から距離x(x=0,0.1,0.2,0.3mm)だけ離れた各位置で回折X線が生じると想定し、各位置で生じた回折X線による回折強度と、各位置で生じた回折X線による回折強度の合算(sum)とが示されている。図7中には、回折角度10度の結果が示され、図8中には、回折角度20度の結果が示されている。
シミュレーションの結果、回折X線が生じる位置が試料30の基準面から離れるほど、見た目上の回折角度が高角になることが確認できた。また、第1比較例では、試料30の厚みが比較的小さいため、回折角度のばらつきがそれほど大きくならなかった。結果、各位置で生じた回折X線による回折強度の合算は、尖鋭した回折強度のピークを形成する曲線となった。
図9は、スリット板を設けなかった第2比較例における回折角度と回折強度との関係を示すグラフである。図10は、スリット板を設けなかった第2比較例における回折角度と回折強度との関係を示す別のグラフである。
図9および図10を参照して、第2比較例の条件は、スリット板無し、試料30の厚みT=3mmである。図中には、試料30の基準面から距離x(x=0,1,2,3mm)だけ離れた各位置で回折X線が生じると想定し、各位置で生じた回折X線による回折強度と、各位置で生じた回折X線による回折強度の合算(sum)とが示されている。図9中には、回折角度10度の結果が示され、図10中には、回折角度20度の結果が示されている。
第2比較例では、試料の厚みが大きいため、回折X線が生じる複数の位置間において回折角度のばらつきが大きくなった。その結果、特に図10中の回折角度が20度である場合に、各位置で生じた回折X線による回折強度の合算が、頂部が平らな回折強度のピークを形成する曲線となった。
図11は、スリット板を設けた第1実施例における回折角度と回折強度との関係を示すグラフである。図12は、スリット板を設けた第1実施例における回折角度と回折強度との関係を示す別のグラフである。
図11および図12を参照して、これらの実施例の条件は、スリット板あり、試料30の厚みT=3mm、スリット42の開口高さZ=3mm、試料30の基準面からスリット板40までの距離X=5mmである。図中には、試料30の基準面から距離x(x=0,1,2,3mm)だけ離れた各位置で回折X線が生じると想定し、各位置で生じた回折X線による回折強度と、各位置で生じた回折X線による回折強度の合算(sum)とが示されている。図11中には、回折角度10度の結果が示され、図12中には、回折角度20度の結果が示されている。
図11中では、シミュレーションの対象とする回折角度が小さかったため、試料30内の各位置で生じた回折X線がスリット板40によって遮蔽されない結果となった。図12中では、試料30の基準面(表面30b)から3mm離れた位置、すなわち表面30aで生じた回折X線がスリット板40によって遮蔽された。その結果、各位置で生じた回折X線による回折強度の合算を示す曲線の頂部が、図10中に示す比較例よりも尖鋭した形状となった。
図13は、スリット板を設けた第2実施例における回折角度と回折強度との関係を示すグラフである。図14は、スリット板を設けた第2実施例における回折角度と回折強度との関係を示す別のグラフである。
図13および図14を参照して、これらの実施例の条件は、スリット板あり、試料30の厚みT=3mm、スリット42の開口高さZ=2.5mm、試料30の基準面からスリット板40までの距離X=5mmである。図中には、試料30の基準面から距離x(x=0,1,2,3mm)だけ離れた各位置で回折X線が生じると想定し、各位置で生じた回折X線による回折強度と、各位置で生じた回折X線による回折強度の合算(sum)とが示されている。図13中には、回折角度10度の結果が示され、図14中には、回折角度20度の結果が示されている。
図13中では、シミュレーションの対象とする回折角度が小さかったため、試料30内の各位置で生じた回折X線がスリット板40によって遮蔽されない結果となった。図14中では、試料30の基準面(表面30b)から3mm離れた位置、すなわち表面30aで生じた回折X線と、試料30の基準面から2mm離れた位置で生じた回折X線とが、スリット板40によって遮蔽された。その結果、各位置で生じた回折X線による回折強度の合算を示す曲線の頂部が、図12中に示す実施例よりもさらに尖鋭した形状となった。
以上に説明した、この発明の実施の形態1におけるX線回折装置10の構造についてまとめて説明すると、本実施の形態におけるX線回折装置10は、X線発生部22と、2次元検出器50と、視野制限部材としてのスリット板40とを備える。X線発生部22は、X線を発生し、試料30に向けて照射する。2次元検出器50は、試料30により回折されたX線を2次元的に受光し、その受光領域内の各点においてX線を検出する。スリット板40は、試料30と2次元検出器50との間のX線の光路上に配置され、試料30により回折されたX線を部分的に遮蔽する。
このように構成された、この発明の実施の形態1におけるX線回折装置10によれば、試料30により回折されたX線を部分的に遮蔽するスリット板40を設けることによって、2次元検出器50で検出される回折パターンの幅を小さく抑えることができる。これにより、2次元検出器50による回折X線の分解能を向上させ、試料30の測定を精度よく実施することができる。
(実施の形態2)
図15は、この発明の実施の形態2におけるX線回折装置を示す側面図である。本実施の形態におけるX線回折装置は、実施の形態1におけるX線回折装置10と比較して、基本的には同様の構造を有する。以下、重複する構造については、その説明を繰り返さない。
図15を参照して、本実施の形態におけるX線回折装置70においては、試料30が、2次元検出器50が試料30に反射されたX線を受光するように反射(Bragg)配置されている。試料30は、X線が試料30の表面30aに対して非常に浅い角度で照射するように斜入射配置されている。試料30としては、主に薄膜の試料が選択される。本実施の形態においても、スリット板40が、試料30と2次元検出器50との間のX線の光路上に配置されおり、2次元検出器50に向かう回折X線の一部を遮蔽する。スリット板40には、光軸101を中心とする円形状のスリット42が形成されている。
図16は、図15中に示すX線回折装置との比較のためのX線回折装置を示す側面図である。図16を参照して、本比較例におけるX線回折装置320においては、試料30とX線検出部52との間に図15中のスリット板40が設けられていない。
X線発生部22から発せられたX線が、試料30の表面30aに対して浅い角度で入射し、試料30の表層で回折されることによって、回折X線が生じる。この際、試料30にはコリメータ24によって細く絞られたX線が照射されるが、そのX線もある程度の線幅を有する。このため、回折X線は、試料30の表層における一定幅の領域で生じる。そのような回折X線が2次元検出器50に向かうと、X線検出部52では、リング状の回折パターンが所定の幅Eを有した形態で検出されることになる。
本実施の形態では、回折パターンの幅Eは、試料30に照射するX線の線幅(図15中における上下方向のX線の高さ)と、X線の光軸101と表面30aとがなす角度と、回折角度とに関係する。試料30に照射するX線の光軸101と表面30aとがなす角度が小さいほど、回折パターンの幅Eは大きくなる。
図15を参照して、これに対して、本実施の形態におけるX線回折装置70においては、試料30と2次元検出器50との間の回折X線の光路上にスリット板40が配置されている。これにより、2次元検出器50に向かう回折X線の一部がスリット板40によって遮られることとなるため、X線検出部52において幅Eよりも小さい幅Fを有する回折パターンを検出することができる。
このように構成された、この発明の実施の形態2におけるX線回折装置70によれば、実施の形態1に記載の効果を同様に得ることができる。
図17は、図15中の2点鎖線XVIIにより囲まれた範囲を拡大して示す側面図である。図17を参照して、図中では、X線発生部22から発せられたX線が線幅eを有する場合が想定されており、このようなX線が試料30によって反射されると、試料30の表面30aにはX線が照射されるフットプリント領域71が形成される。好ましくは、スリット板40は、X線進行方向におけるフットプリント領域71の中心位置、すなわち、光軸101と表面30aとが交わる位置72よりも、X線進行方向の下流側に設けられることが好ましい。この場合、スリット板40が、回折X線に加えて、試料30に入射するX線をも部分的に遮蔽することを抑制できる。
X線進行方向におけるフットプリント領域71の中心位置と下流側端部との間の長さをdとするとき、本発明は、長さdが0.3mmよりも大きい場合に好適に適用される。また、長さdが1mm以上である場合にさらに好適に適用される。また、長さdが3mm以上である場合にさらに好適に適用される。
(実施の形態3)
図18は、この発明の実施の形態3におけるX線回折装置で用いられるスリット板を示す正面図である。本実施の形態におけるX線回折装置は、実施の形態1におけるX線回折装置10と比較して、基本的には同様の構造を有する。以下、重複する構造については、その説明を繰り返さない。
図18を参照して、本実施の形態では、X線回折装置が、図3中のスリット板40に替えてスリット板46を有する。
スリット板46は、その構成部位として、枠部48、支持部49および遮蔽部47を有する。枠部48は、枠形状を有し、本実施の形態では、矩形形状の周縁を取り囲むように延在する形状を有する。遮蔽部47は、枠部48の内側に配置されている。遮蔽部47は、円形状を有する。スリット板46が図1中のX線回折装置10に設置された状態で、遮蔽部47は、光軸101を中心とする円形状を有する。支持部49は、枠部48と遮蔽部47との間で延伸している。本実施の形態では、線状に延びる4本の支持部49が遮蔽部47の外周上に等ピッチに配置されている。遮蔽部47は、支持部49によって枠部48の内側に支持されている。
遮蔽部47は、X線を透過させない板材から形成されている。支持部49は、X線を透過させる部材、たとえば、X線の透過率の高い樹脂などから形成されている。このような構成により、遮蔽部47の周囲には、光軸101を中心にリング状に延在するスリット45が形成される。
図19は、図18中のスリット板を用いた場合の、X線検出部で検出される回折パターンを示す正面図である。図18および図19を参照して、本実施の形態では、スリット板40に光軸101を中心とするリング状のスリット45が形成されるため、図1中の試料30の表面30a側から生じた回折X線がスリット45を通過する一方、表面30b側から生じた回折X線は遮蔽部47によって2次元検出器50に向けた進行を遮られる。
図19中には、X線検出部52において検出される回折パターンが示されている。回折X線の一部がスリット板46によって遮蔽されることによって、内周側に示された帯部222が回折パターンとして現れなくなる。その結果、外周側に示された幅狭の帯部221を回折パターンとして検出することができる。
このように構成された、この発明の実施の形態3におけるX線回折装置によれば、実施の形態1に記載の効果を同様に得ることができる。
なお、本発明において用いられる視野制限部材の形状は、図3および図18中に示す形状に限られず、2次元検出器で検出される回折パターンの範囲や、測定の目的に応じて必要となる測定精度などを考慮して適宜変更される。たとえば、図2中の枠110に示すように、回折パターンの検出範囲がリング形状の上半分である場合は、図3中のスリット板40の下半分を省略することも考えられる。また、図2中の枠120に示すように、回折パターンの検出範囲が極小である場合は、矩形形状のスリットが形成されたスリット板を近似的に利用することもできる。
以上に説明した実施の形態1〜3におけるX線回折装置の構造を適宜組み合わせて、新たなX線回折装置を構成してもよい。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
この発明は、主に、多結晶構造を有する試料を測定するためのX線回折装置に利用される。
10,70,310,320 X線回折装置、20 X線源、22 X線発生部、24 コリメータ、30 試料、30a,30b 表面、40,46 スリット板、42,45 スリット、47 遮蔽部、48 枠部、49 支持部、50 2次元検出器、52,62 X線検出部、61〜63 試料、71 フットプリント領域、72 位置、101,102 光軸、110,120 枠、201〜205 回折パターン、211,212,221,222 帯部。

Claims (5)

  1. X線を発生し、試料に向けて照射するX線発生部と、
    試料により回折されたX線を2次元的に受光し、その受光領域内の各点においてX線を検出する2次元検出器と、
    試料と前記2次元検出器との間のX線の光路上に配置され、試料により回折されたX線を部分的に遮蔽する視野制限部材とを備える、X線回折装置。
  2. 前記視野制限部材は、X線が透過不能な板材から形成され、
    前記板材には、スリットが形成される、請求項1に記載のX線回折装置。
  3. 前記スリットは、前記X線発生部から試料に照射されたX線の光軸を中心とする円形状を有する、請求項2に記載のX線回折装置。
  4. 試料は、前記2次元検出器が試料を透過したX線を受光するように透過配置される、請求項1から3のいずれか1項に記載のX線回折装置。
  5. 試料は、前記2次元検出器が試料に反射されたX線を受光するように反射配置される、請求項1から3のいずれか1項に記載のX線回折装置。
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