JP2012006826A - 塊状グラフェンオキサイド、塊状グラフェン、およびこれらの製造方法 - Google Patents

塊状グラフェンオキサイド、塊状グラフェン、およびこれらの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】イオン交換体、吸着剤、キャパシタまたは電池などの材料として好適なグラフェンオキサイドを提供すること。
【解決手段】アスペクト比が0.1〜1であり、平均粒径が1〜44μmであり、且つテトラブチルアンモニウムヒドロキシド水溶液で処理したときに薄葉状に微細化しない、マクロ多孔質である塊状グラフェンオキサイド。
【選択図】なし

Description

本発明は、塊状グラフェンオキサイド、塊状グラフェン、およびこれらの製造方法に関する。
グラファイトの基本層であるグラフェンは、特異的な物性が期待できることから広く研究されている。グラフェンは、一般的に、(1)グラファイトを酸化することによって酸化グラファイトを得、(2)酸化グラファイトを剥離することによって層状グラフェンオキサイドを得、(3)層状グラフェンオキサイドを還元することによって、製造される(例えば特許文献1〜3)。
しかし、黒鉛化度の高いグラファイト(例えば天然黒鉛等)を酸化することによって得られる層状グラフェンオキサイドは、イオン交換体、吸着剤、キャパシタ、電池などの材料として使用するのが難しい。黒鉛化度の高いグラファイトを用いると、酸化グラファイトの剥離工程で、数層が積層した層状グラフェンオキサイドだけでなく、単層の層状グラフェンオキサイドまでもが剥離するため、その後のろ過工程でそれらの層状グラフェンオキサイドがそのまま積層され、濾過装置と同等の大きさである巨大な積層物が生成するからである(非特許文献1)。
また、非特許文献2では、黒鉛化度の低い人造黒鉛をグラフェン硫酸・硝酸混合液中に分散させ、塩素酸により酸化しグラフェンオキサイドとした後に電気炉にて空気中1050℃に加熱分解して(還元して)、膨張黒鉛を調製し、次いで得られた膨張黒鉛をエタノール中で超音波を用いて剥離することによって、グラフェンナノシートを調製している。
特表2010−506014号公報 特開2003−238131号公報 特開2002−53313号公報
D.A. Dikinら, "Preparation and characterization of graphene oxide paper", Nature, 2007年, 448巻, pp. 457-469 P. Guoら, "Electrochemical performance of graphene nanosheets as anode material for lithium-ion batteries", Electrochemistry Communications, 2009年, 第11巻, pp. 1320-1324
上述したような大きさが数センチメートルにも達する積層グラフェンオキサイドおよびグラフェンは、キャパシタやリチウム電池などの材料として使用するには不適切である。本発明はこのような事情に鑑みなされたものであって、その目的は、イオン交換体、吸着剤またはキャパシタやリチウム電池などの材料として好適な数十ミクロン程度の粒径を有する塊状グラフェンオキサイドおよび塊状グラフェンを提供することにある。
上記目的を達成するために本発明者らが鋭意検討を重ねた結果、黒鉛化度の低いグラファイトを酸化すれば、取扱いが容易である塊状のグラフェンオキサイドを製造できることを見出し、本発明を完成した。本発明の特徴は以下の通りである。
[1] アスペクト比が0.1〜1であり、平均粒径が1〜44μmであり、且つテトラブチルアンモニウムヒドロキシド水溶液で処理したときに薄葉状に微細化しない、マクロ多孔質である塊状グラフェンオキサイド。
[2] 黒鉛化度がマイナスであり、アスペクト比が0.1〜1であり、平均粒径が1〜44μmであり、且つテトラブチルアンモニウムヒドロキシド水溶液で処理したときに薄葉状に微細化しない、マクロ多孔質である塊状グラフェン。
[3] 金属イオンを含有する上記[1]に記載の塊状グラフェンオキサイド。
[4] アルカリ金属イオンを含有する上記[3]に記載の塊状グラフェンオキサイド。[5] 上記[1]に記載の塊状グラフェンオキサイドおよび/または上記[2]に記載の塊状グラフェンと、金属および/または金属酸化物との複合体。
[6] 金属および/または金属酸化物が酸化チタンである上記[5]に記載の複合体。
[7] 黒鉛化度が0%以上95%以下であるグラファイトを水中で酸化することを含む、塊状グラフェンオキサイドの製造方法。
[8] 黒鉛化度が0%以上95%以下であるグラファイトを水中で酸化することを含む、上記[1]に記載の塊状グラフェンオキサイドの製造方法。
[9] グラファイトの黒鉛化度が50%以上である上記[7]または[8]に記載の塊状グラフェンオキサイドの製造方法。
[10] 酸化剤を用いてグラファイトを酸化する上記[7]〜[9]のいずれかに記載の塊状グラフェンオキサイドの製造方法。
[11] 上記[1]に記載の塊状グラフェンオキサイドを、還元剤を用いて還元することを含む、上記[2]に記載の塊状グラフェンの製造方法。
[12] 上記[1]に記載の塊状グラフェンオキサイドを、水中でヒドラジンを用いて還元することを含む、上記[11]に記載の製造方法。
本発明の塊状グラフェンオキサイドおよび塊状グラフェンは、イオン交換体、吸着剤またはキャパシタやリチウム電池などの材料として好適に使用することができる。
実施例1で得られた塊状グラフェンオキサイド、および実施例6で得られた中和した塊状グラフェンオキサイドのX線回折図である[(a)塊状グラフェンオキサイド、(b)NaOHで中和した塊状グラフェンオキサイド、(c)TMA(テトラメチルアンモニウムヒドロキシド)で中和した塊状グラフェンオキサイド、(d)TBA(テトラブチルアンモニウムヒドロキシド)で中和した塊状グラフェンオキサイド]。 実施例1で得られた塊状グラフェンオキサイドのSEM像(倍率2000倍)である。 実施例1で用いた原料であるG15のSEM像(倍率2000倍)である。 実施例1で得られた塊状グラフェンオキサイドおよびG15の水銀圧入法によって求めた細孔分布曲線である(実線:G15、点線:実施例1で得られた塊状グラフェンオキサイド)。 実施例2で得られた塊状グラフェンオキサイドのSEM像(倍率2000倍)である。 実施例3で得られた塊状グラフェンオキサイドのSEM像(倍率2000倍)である。 実施例3で得られた塊状グラフェンオキサイドのSEM像(倍率1000倍)である。 実施例6の中和滴定におけるpH滴定曲線を示す図である。 NaOHで中和した塊状グラフェンオキサイドを用いて作製した実施例8のキャパシタの特性を示す図である。 実施例9および実施例10並びに比較例1で作製したリチウム電池の充放電曲線を示す図である[実線1:実施例10(負極:グラフェン−TiO2複合体)、点線2:実施例9(負極:グラフェン−TiO2複合体)、破線3:比較例1(負極:アセチレンブラック−TiO2)]。
本発明者はキャパシタやリチウム電池等の材料に好適に使用することができる塊状グラフェンオキサイドおよび塊状グラフェンを製造するために鋭意検討を重ねた。その結果、黒鉛化度の低いグラファイトを水中で酸化すれば、sp3混成軌道を用いた原料グラファイト中の単結合が、完全に酸化されずにグラフェンオキサイド中に残存し、その結果、グラフェンオキサイドの剥離は完全には進行せず、塊状グラフェンオキサイドが得られることを見出した。
本発明において「黒鉛化度」とは、純粋な黒鉛にどの程度近いかを表す指標であり、下記式(1)によって計算される値である。なお、下記式(1)はR.F. Franklinsによる"The structure of graphitic carbon", Acta Crystallographica, 第4巻1951年第253−261頁に記載されたものである。
黒鉛化度(%)=(3.440−d002)×100/0.0864 (1)
[式(1)中、d002は(002)面の面間隔(Å)である。]
式(1)中のd002をX線回折法で求めることによって、グラファイトの黒鉛化度を算出することができる。本発明の製造方法では、黒鉛化度が0%以上95%以下であるグラファイトを使用する。グラファイトの黒鉛化度が95%よりも高いと、ナノシート化してグラフェンオキサイドがペーパー様となり、塊状グラフェンオキサイドを製造することができない。グラファイトの黒鉛化度の上限は、好ましくは92%である。一方、グラファイトの黒鉛化度の下限は、好ましくは50%、より好ましくは80%である。グラファイトの黒鉛化度が50%よりも低いと、還元により生成するグラフェンの導電性が劣り、該グラフェンとTiO2等との複合材料の電気特性が低下する。
黒鉛化度が低いグラファイトは市販されている。黒鉛化度が低いグラファイトとして、例えば、宝泉株式会社から市販されている人造黒鉛(Dong Xing Electrical Carbon Co., Ltd製のメソフェーズカーボンマイクロビーズ、商品名「G15」、中国産)および大阪ガス株式会社製のメソフェーズカーボンマイクロビーズ(商品名「MCMB6−28」)を使用できる。
黒鉛化度が低いグラファイトは、水中で酸化される(好ましくは酸化剤を用いた化学酸化を行う)。酸化剤としては、例えば、KMnO4、次亜塩素酸、塩素酸、過硫酸アンモニウム、重クロム酸カリウムなどが挙げられる。これらの中でKMnO4が好ましい。グラファイトを酸化させる方法としては、特に制限はなく、例えばKMnO4を酸化剤として使用する公知のHummers法などを使用することができる。詳しくは、Hummers法では、グラファイトを硫酸中に分散させ、酸化剤となる硝酸ナトリウム、KMnO4などを添加し、しばらくおいてから大量の水を加え、約100℃程度の温度で穏やかに撹拌する。このHummers法での反応時間は、好ましくは、0.5〜2時間程度である。
上記のようにして塊状グラフェンオキサイドが得られる。得られた塊状グラフェンオキサイドは、公知の手段(例えばろ過)によって回収し、200℃以下で乾燥することが好ましい。
黒鉛化度が低いグラファイトを酸化する本発明の製造方法によって、マクロ多孔質である塊状グラフェンオキサイドが得られる。ここで、「マクロ多孔質」とは、孔径(細孔直径)が1μm以上である多孔質状態を意味する。孔径は、通常、粒径の約1/50〜約1/5であるが、好ましくは1〜10μmである。孔径は、水銀圧入法またはN2吸着法によって測定することができる。また、塊状グラフェンオキサイドの多孔率は、好ましくは10〜50vol%である。ここで、「多孔率」とは、物体の全容積のなかで細孔の占める容積の割合をいう。多孔率は、比重差、かさ密度などをベースに計算することができる。
また、「塊状」とは、グラフェンオキサイドのアスペクト比(短径/長径)が0.1〜1であることを意味する。ここでグラフェンオキサイドの「短径」とは、グラフェンオキサイドの最短径を意味し、「長径」とは、グラフェンオキサイドの最長径を意味する。グラフェンオキサイドのアスペクト比は、グラフェンオキサイドを倍率2000倍でSEM(走査型電子顕微鏡)にて観察し、1000個のグラフェンオキサイドの短径(最短径)と長径(最長径)とを測定して、各グラフェンオキサイドのアスペクト比を算出し、これを算術平均することによって求められる。但し、粒径が0.1μm以下であるグラフェンオキサイドは、アスペクト比の計算対象から除くこととする。グラフェンオキサイドのアスペクト比は、好ましくは0.5〜1である。
上記製造方法によって得られる本発明の塊状グラフェンオキサイドの平均粒径は、1〜44μm、好ましくは5〜20μmである。この平均粒径は、上記のようにSEMにて観察して、1000個のグラフェンオキサイドの長径(最長径)と短径(最短径)とを測定し、これらを算術平均することによって求められる。但し、粒径が0.1μm以下であるグラフェンオキサイドは、平均粒径の計算対象から除くこととする。また、本発明の塊状グラフェンオキサイドの最大径は、好ましくは44μm以下である。
上記製造方法によって得られる本発明の塊状グラフェンオキサイドは、「テトラブチルアンモニウムヒドロキシド水溶液で処理したときに薄葉状に微細化しない」ことも特徴の一つとする。この特徴によって、複合化の際に種々の化学処理を施しても形態を保持するという利点が発揮される。本発明において「テトラブチルアンモニウムヒドロキシド水溶液で処理したときに薄葉状に微細化するか否か」は、塊状グラフェンオキサイド1gを室温下で蒸留水100mLに分散させ、該分散水を穏やかに撹拌しながらそのpHが11になるまで0.24Nのテトラブチルアンモニウムヒドロキシド(TBA)水溶液を添加し、TBA水溶液の添加完了後に10分間保持してから、該分散液の状態を観察することによって判定する。この判定は、簡便には、系が粒子状サスペンジョンを維持するか、ナノ物質のコロイド状になるかを目視で確認することによって行うことができ、精密には、SEM写真によってその粒子径が微細になるかどうかを確認することによって行うことができる。
本発明の塊状グラフェンオキサイドは、その分子中にカルボキシ基を有するので、金属塩基と反応して金属塩(即ち金属イオンを含有する塊状グラフェンオキサイド)を形成することができる。金属イオンとしては、アルカリ金属イオンおよびアルカリ土類金属イオンが好ましく、アルカリ金属イオンがより好ましく、Na+イオンが特に好ましい。Na+イオンを含有する塊状グラフェンオキサイドは、下記実施例に示すように、銅イオン等に対するイオン交換体およびキャパシタやリチウム電池の電極用の材料として好適である。
本発明の塊状グラフェンは、上記塊状グラフェンオキサイドを還元することによって得られる。本発明の塊状グラフェンは、黒鉛化度がマイナスであり、アスペクト比が0.1〜1であり、平均粒径が1〜44μmであり、且つテトラブチルアンモニウムヒドロキシド水溶液で処理したときに薄葉状に微細化しない、マクロ多孔質であることを特徴とする。黒鉛化度およびアスペクト比の意味、並びに黒鉛化度、アスペクト比および平均粒径の測定法、並びにテトラブチルアンモニウムヒドロキシド水溶液で処理したときに薄葉状に微細化するか否かの判定法は、塊状グラフェンオキサイドの場合に上述したとおりである。本発明の塊状グラフェンにおいて、孔径は、通常、粒径の約1/50〜約1/5であるが、好ましくは1〜10μmであり、多孔率は、好ましくは10〜50vol%であり、アスペクト比は、好ましくは0.5〜1であり、平均粒径は、好ましくは5〜20μmである。また、本発明の塊状グラフェンの最大径は、好ましくは44μm以下である。
塊状グラフェンオキサイドの還元は、還元剤を用いて行われる。還元剤としては、例えば、ヒドラジン、ナトリウムボロハイドライド(NaBH4)などを挙げることができる。これらの中で、価格の点からヒドラジンが好ましい。水中でヒドラジンを用いて、塊状グラフェンオキサイドを還元することが特に好ましい。こうすることによって、塊状グラフェンオキサイドの形態(即ちアスペクト比および平均粒径)を維持したまま、還元することができる。
塊状グラフェンオキサイドは、完全に還元してもよく、部分的に還元してもよい。部分的な還元によって、部分還元体(即ち塊状グラフェンオキサイドと塊状グラフェンとの混合物)が得られる。この部分還元体は、本発明の塊状グラフェンオキサイドおよび塊状グラフェンを含有するので、本発明の範囲内に含まれる。
本発明の塊状グラフェンは、黒鉛化度が低いグラファイトを酸化することによって塊状グラフェンオキサイドを得、これを還元することによって得られる。この酸化の段階で、グラファイトの結晶性が低下する。低下した結晶性は、還元しても元に戻らない。そのため本発明の塊状グラフェンの結晶性は低く、その黒鉛化度がマイナスになる。
本発明の塊状グラフェンオキサイドおよび塊状グラフェンは、孔径が1〜10μm程度である細孔を有し、この細孔に金属および/または金属酸化物を取り込むことによって、吸着剤として作用することができる。またこの細孔によって、本発明の塊状グラフェンオキサイドおよび塊状グラフェンは、金属および/または金属酸化物と複合体を形成することができる。なお、本発明の塊状グラフェンオキサイドおよび塊状グラフェンの原料である黒鉛化度が低いグラファイト(例えば上述のG15)の孔径はオングストロームレベルであり、金属および/または金属酸化物と複合体を形成することが困難である。これと同様に、活性炭も金属および/または金属酸化物と複合体を形成することが困難である。
複合体の形成に用いることができる金属としては、例えば、スズ、アルミニウム、パラジウム、白金、ロジウム、イリジウム、鉄、ニッケル、コバルトなどが挙げられる。また金属酸化物としては、例えば、酸化チタン、酸化スズ、シリコンオキサイドなどが挙げられる。これらの中で、酸化チタンが好ましく、二酸化チタン(TiO2)がより好ましい。
塊状グラフェン−TiO2複合体は、下記実施例に示すように、キャパシタやリチウム電池の電極用の材料として好適である。塊状グラフェン−TiO2複合体は、例えば、下記(1)または(2)の方法によって製造することができる:
(1)塊状グラフェンとTiO2ナノ粒子とを混合することによって、塊状グラフェン−TiO2複合体を製造する。
(2)まず塊状グラフェンオキサイドとTiO2ナノ粒子とを混合して塊状グラフェンオキサイド−TiO2複合体を得、次いで得られた塊状グラフェンオキサイド−TiO2複合体を還元することによって、塊状グラフェン−TiO2複合体を製造する。
塊状グラフェン−TiO2複合体の製造方法としては、上記(2)の方法が好ましく、この方法の中でも、水中でヒドラジンを用いて塊状グラフェンオキサイド−TiO2複合体を還元することがより好ましい。好ましい方法によって製造された塊状グラフェン−TiO2複合体を電極材料として用いれば、下記実施例に示すように、電気的特性に優れたリチウム電池を製造することができる。
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例によって制限を受けるものではなく、上記・下記の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施することも勿論可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。
実施例1:塊状グラフェンオキサイドの製造
500mLビーカー中の濃硫酸(220mL)に、宝泉株式会社から市販されている「G15」(メソフェーズカーボンマイクロビーズ、黒鉛化度:89%、平均粒径:約15μm、アスペクト比:約1、10g)を分散させた。氷浴中で撹拌しながら、この分散液にNaNO3(5g)を加えた。分散液を20℃以下に保ちながら、KMnO4(20g)を少量ずつ加えた。その後、分散液を35±3℃の温度で30分間維持した。分散液を2000mLビーカーに移し、蒸留水(460mL)を加えた後、98℃で15分間加熱した。更に蒸留水(1400mL)および30質量%のH22水溶液(10g)を加えて、沈澱しているMnO2を還元し、可溶化した。半日放置した後、上澄み液を棄て、再び蒸留水(1000mL)を加えた。その後、この操作をさらに2回繰り返した。分散液を吸引濾過して固形物を回収し、これを80℃で1日乾燥することによって、塊状グラフェンオキサイド(19.5g)が得られた。
SEMを倍率:2000倍で用いて、得られた塊状グラフェンオキサイドを観察し、アスペクト比および平均粒径を測定した。このアスペクト比は0.8であり、平均粒径は20μmであった。また、この塊状グラフェンオキサイドは、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド水溶液で処理しても、薄葉状に微細化しなかった。
得られた塊状グラフェンオキサイドのX線回折を測定した(X線回折では銅管球を用い、加速電圧を30kV、電流を20mAとした)。結果を図1(a)に示す。図1(a)に示すように、d=0.94nm(2θ=9°)付近に特徴的なピークが現れる。この特徴的なピークは、グラフェンオキサイド層間に水が存在することに起因すると考えられる(A. Buchesteinerら, "Water dynamics in graphite oxide investigated with neutron scattering", J. Phys. Chem. B, 2006年, 110巻, pp. 22328-22338)。
SEMを倍率:2000倍で用いて、実施例1で得られた塊状グラフェンオキサイドおよびその原料であるG15のSEM像を撮影した。これらのSEM像を、それぞれ、図2および図3に示す。図2に示すように、実施例1で得られた塊状グラフェンオキサイドには数μmオーダーの孔(亀裂)が開いていること(即ち、マクロ多孔質であること)が認められるが、図3に示すように、G15では、数μmオーダーの孔は認められない。
次に、水銀圧入法によって気孔率を測定したところ、実施例1で得られた塊状グラフェンオキサイドの気孔率は50〜75vol%であり、G15の気孔率は24vol%であった。ここで、「塊状グラフェンオキサイドの気孔率」とは、塊状グラフェンオキサイド群(即ち、塊状グラフェンオキサイド粒子の集合)中に含まれる水銀を挿入することができる空隙容積(即ち、塊状グラフェンオキサイド中の空隙(細孔)および塊状グラフェンオキサイド間の空隙の合計容積)の、塊状グラフェンオキサイド群の全容積(即ち、塊状グラフェンオキサイド自体の体積および空隙の合計容積)に対する割合をいう。G15の気孔率は、最密充填の気孔率である26vol%と良く一致している。このことから、G15の気孔率は、G15粒子とG15粒子との間隙に存在する空間に由来するものであり、G15自体はほとんど細孔を有さないと考えられる。一方、実施例1で得られた塊状グラフェンオキサイドが、その気孔率を前記下限の50vol%として計算すると、その多孔率(即ち、物体{即ち、塊状グラフェンオキサイド自体}の全容積のなかで細孔の占める容積の割合)は32vol%であり、その気孔率を前記上限の75vol%として計算すると、その多孔率は66vol%である。
また、水銀圧入法によって、実施例1で得られた塊状グラフェンオキサイドおよびG15の細孔分布曲線を測定した。その結果を図4に示す。G15では、細孔直径が約3μm付近にピークが現れるが、このピークは、G15粒子自体が有する細孔ではなく、G15粒子の間隙に存在する空間に由来すると考えられる。一方、実施例1で得られたグラフェンオキサイドは、細孔直径が1〜4μmおよび8〜10μmである領域にピークを有する。この実施例1で得られたグラフェンオキサイドの細孔分布曲線のピークは、図2に示すSEM像において、その亀裂幅が約1〜3μmであり、亀裂長さが約5〜15μmであることと、良く一致する。
実施例2:塊状グラフェンオキサイドの製造
40g(実施例1の2倍)のKMnO4を使用したこと以外は実施例1と同様にして、塊状グラフェンオキサイドを製造した。
SEMを倍率:2000倍で用いて、得られた塊状グラフェンオキサイドを観察し、アスペクト比および平均粒径を測定した。このアスペクト比は0.4であり、平均粒径は25μmであった。また、この塊状グラフェンオキサイドは、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド水溶液で処理しても、薄葉状に微細化しなかった。また、この塊状グラフェンオキサイドのSEM像を図5に示す。前記アスペクト比および図5から分かるように、KMnO4の使用量の増大は、アスペクト比の低下をもたらした。
実施例3:塊状グラフェンオキサイドの製造
2gのKMnO4を5時間ごとに合計10回添加したこと以外は(KMnO4の添加量の合計:20g、添加時間の合計45時間)、実施例1と同様にして、塊状グラフェンオキサイドを製造した。
SEMを倍率:2000倍で用いて、得られた塊状グラフェンオキサイドを観察し、アスペクト比および平均粒径を測定した。このアスペクト比は0.25であり、平均粒径は30μmであった。また、この塊状グラフェンオキサイドは、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド水溶液で処理しても、薄葉状に微細化しなかった。また、この塊状グラフェンオキサイドのSEM像(倍率2000倍)を図6に示す。前記アスペクト比および図6から分かるように、長時間かけてKMnO4を添加することは、アスペクト比の低下をもたらした。なお、参考のために、得られた塊状グラフェンオキサイドの倍率1000倍のSEM像を図7に示す。
実施例4:塊状グラフェンオキサイドの製造
G15に替えて、大阪ガス株式会社製の「MCMB6−28」(メソフェーズカーボンマイクロビーズ、黒鉛化度:90%、平均粒径:約6μm、アスペクト比:約1、10g)を使用したこと以外は実施例1と同様にして、塊状グラフェンオキサイドを製造した。
SEMを倍率:2000倍で用いて、得られた塊状グラフェンオキサイドを観察し、アスペクト比および平均粒径を測定した。このアスペクト比は0.8であり、平均粒径は7μmであった。また、この塊状グラフェンオキサイドは、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド水溶液で処理しても、薄葉状に微細化しなかった。実施例4で得られた塊状グラフェンオキサイドは、平均粒径が小さいこと以外は、実施例1で得られた塊状グラフェンオキサイドと比べて大きな違いはなかった。
実施例5:塊状グラフェンの製造
実施例1で得られた塊状グラフェンオキサイド(5g)を蒸留水(255mL)に分散させて、攪拌しながら分散液を90℃以上に加熱した。この分散液に、1/10(体積比)に希釈したヒドラジン一水和物の水溶液(50mL)を少しずつ添加した。ヒドラジンの添加後に分散液を冷却し、吸引濾過により固形物を分離し、これを80℃で1日乾燥することによって、塊状グラフェン(2.2g)が得られた。
SEMを倍率:2000倍で用いて、得られた塊状グラフェンを観察し、アスペクト比および平均粒径を測定した。このアスペクト比は0.8であり、平均粒径は20μmであった。また、この塊状グラフェンは、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド水溶液で処理しても、薄葉状に微細化しなかった。
得られた塊状グラフェンのX線回折を測定した(X線回折では銅管球を用い、加速電圧を30kV、電流を20mAとした)ところ、d002=3.6〜3.7Åの値が得られた。このd002の値および上記式(1)から、得られた塊状グラフェンの黒鉛化度は、−190%〜−300%であると計算される。
実施例6:塊状グラフェンオキサイドの中和
実施例1で得られた塊状グラフェンオキサイド中には、そのX線回折図(図1(a))から、水が存在すると考えられる。この水は、グラファイトの酸化によって生じたカルボキシ基に水和していると考えられる。そこで実施例1で得られた塊状グラフェンオキサイドを、NaOH、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド(TBA)またはテトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMA)を用いて中和した。これらの滴定曲線を図8に示す。
実施例1で得られた塊状グラフェンオキサイド(1g)を蒸留水(100mL)に分散させ、0.1NのNaOH水溶液または0.24NのTBA水溶液で滴定した。pH変化はpHメーターを用いて測定した。なお、0.37NのTMA水溶液を用いる滴定では、0.83gの塊状グラフェンオキサイドを使用したが、図8のTMA水溶液を用いる滴定曲線は塊状グラフェンオキサイド1gの換算値に基づき作成した。pHメーターによる測定値には経時変化が認められるので、アルカリ水溶液を滴下してから2分後の値を採用した。
NaOHを用いた滴定では、pH=11に達するまでに約3mmolのNaOHを要した。これに対してTBAを用いた滴定ではpH=10.5に達するまでに約1mmolのTBAで足りた。また、TMAを用いた滴定では、0.83gの塊状グラフェンオキサイドに対してpH=10.8に達するまでに、約1.65mmolのTMAで足りた(1gの塊状グラフェンオキサイドの場合に換算すると、TMA:約2mmol)。なお、滴定終了後の塊状グラフェンオキサイド分散液は一晩放置するとpHが若干低下した。しかしNaOHを用いた滴定の場合、一晩放置後の分散液に0.1mmol程度のNaOHを滴定するだけで、最終pH値(pH=11)に戻った。なお、これらの中和は弱酸(カルボン酸)と強塩基(NaOH)との中和であるため、当量点が塩基側にシフトしている。そのため、これらの中和実験では、約11であるpHを基準pHとして設定し、相対的実効中和量を測定した。
滴定終了後の塊状グラフェンオキサイド分散液をろ過して、中和した塊状グラフェンオキサイドを回収し、これを80℃で一晩乾燥した後、実施例1と同じ条件でX線回折測定を行った。NaOHで中和した塊状グラフェンオキサイドのX線回折図を図1(b)に、TMAで中和した塊状グラフェンオキサイドのX線回折図を図1(c)に、TBAで中和した塊状グラフェンオキサイドのX線回折図を図1(d)に示す。
NaOHで中和した塊状グラフェンオキサイドのX線回折図(図1(b))では、d=0.94nmの特徴的なピークは消失し、若干高角側に弱いピークが出現している。この結果から、NaOHで中和した塊状グラフェンオキサイドでは、グラフェンオキサイド層間の水が脱離したと推察することができる。水の脱離を確認するために、NaOHで中和した塊状グラフェンオキサイドを非酸素雰囲気下で200℃に加熱したところ、粒子の破裂および薄片化が生じなかった。一方、実施例1で得られた未中和の塊状グラフェンオキサイドを非酸素雰囲気下で200℃に加熱すると、水の脱離に起因すると考えられる粒子の破裂および薄片化が生じた。
TBAで中和した塊状グラフェンオキサイドのX線回折図(図1(d))は、実施例1で得られた未中和の塊状グラフェンオキサイドのX線回折図(図1(a))と類似している。しかし図1(d)ではd=0.94nmのピークは低角側にシフトしている。これはTBAで中和した塊状グラフェンオキサイドのグラフェンオキサイド層間の距離が長くなっているためであると考えられる。また図1(d)では、18〜25°付近に現れる第2および第3のピーク強度が図1(a)よりも増大している。
TMAで中和した塊状グラフェンオキサイドのX線回折図(図1(c))は、TBAで中和した塊状グラフェンオキサイドのX線回折図(図1(d))と類似している。
以上のように、TMAおよびTBAのいずれかで中和した塊状グラフェンオキサイドのX線回折図(図1(c)および(d))ではd=0.94nm付近のピークが残存している。これは、TMAおよびTBAでは塊状グラフェンオキサイド中に存在するカルボキシ基を完全に中和できなかった、または大きな陽イオンの挿入によりグラフェンオキサイド層の間隔が広がったことを表している。またNaOH、TMAおよびTBAの滴定量を比較すると(図8)、アンモニウムカチオンのイオン半径が最も大きいTBAの滴定量が最も小さかった。このことは、大きなイオンは、グラフェンオキサイド層の狭い層間には侵入できないこと、またはイオンが大きいため、イオンとイオンとが接触し、その間にプロトンが残存することを意味する。
実施例7:NaOHで中和した塊状グラフェンオキサイドのイオン交換体としての使用
実施例6のNaOH滴定の結果から、塊状グラフェンオキサイド1g中には、約3mmolの酸性官能基(カルボキシ基)が存在すると考えられる。そこで実施例6で得られたNaOHで中和した塊状グラフェンオキサイドをイオン交換体として用いて、イオン交換分離を試みた。
実施例6で得られたNaOHで中和した塊状グラフェンオキサイド1gをイオン交換カラムにつめ、Cuイオン、Coイオン、NiイオンおよびMnイオン(各0.02mmol)を含む0.01mol/dm3のHCl水溶液(2mL)をカラム上部から流し、金属イオンを吸着させた。その後、蒸留水10mLで洗浄した。この洗浄液に含まれる前述の金属イオンの濃度は全て10-5mol/L以下であり、この結果は4種のイオンがすべて吸着されたことを示している。0.1mol/LのHCl水溶液で溶離すると、NaOHで中和した塊状グラフェンオキサイドから、Mnイオン、Coイオン、NiイオンおよびCuイオンが、この順序で流出した。これらの結果から、NaOHで中和した塊状グラフェンオキサイドがイオン交換体として機能することが確認できた。
実施例8:NaOHで中和した塊状グラフェンオキサイドを用いたキャパシタ用電極の作製
実施例6で得られたNaOHで中和した塊状グラフェンオキサイドは、上述したように、非含水化合物であると推測される。そこでNaOHで中和した塊状グラフェンオキサイドは、活性炭類似の性能を有すると推測し、これを用いて電極を作製した。詳しくは、実施例6で得られたNaOHで中和した塊状グラフェンオキサイド(10mg)と、アセチレンブラックおよびテフロン(質量比1:2)からなる導電性バインダー(6mg)とを混練し、フィルム状に成形した。このフィルム状物をステンレス網(2cm2)に圧着して、同一質量の電極を二つ作製した。得られた一つの電極を正極として、もう一つを負極として使用した。電極は180℃で3時間真空乾燥した後、グローブボックス中に持ち込み、グローブボックス中のアルゴン雰囲気下でCR2032タイプのコインセル形状のキャパシタを作製した。キャパシタのセパレーターにはグラスファイバーマットを使用し、電解液には1.5Mの(C253CH3NPF6/プロピレンカーボネートを使用した。
作製したキャパシタの特性を、以下のようにして測定した。結果を図9に示す。電流密度0.5mA/cm2の定電流で充電し、上限電圧1.00V、2.00Vおよび3.00Vとし、5サイクル毎に上限電圧を1Vずつ高くした。放電下限電圧は0Vとした。充電電圧が1Vの時の充放電容量は1mAh/gであった。充電電圧を2Vに上げると、充放電容量は、サイクル数が増えるごとに、7mAh/gから9mAh/gへ増加した。さらに充電電圧を3Vに上げると、図9に示すように、充放電容量は30mAh/gレベルへと増加した。この結果から、NaOHで中和した塊状グラフェンオキサイドは、活性炭と同程度かそれ以上の性能を有することが確認できた。
実施例9:塊状グラフェン−TiO2複合体を使用したリチウム電池用電極の作製
アモルファスTiO2(和光純薬工業株式会社製、0.9g)および実施例5で得られた塊状グラフェン(0.1g)の混合物にアセトンを加え、遊星ミルを用いて220rpmで5時間湿式粉砕した。粉砕物を吸引濾過で回収した後、これを80℃で1日乾燥した。ステンレス板にステンレス網を溶接した集電体を準備した。この集電体に、得られた塊状グラフェン−TiO2複合体(20mg)を乗せた。この上からポリフッ化ビニリデン1.9mgを含むN−メチルピロリドン溶液を少しずつ滴下し、前記複合体を集電体全体に均一に分散させ、これを180℃で3時間真空乾燥することによって、電極を作製した。この電極を、グローブボックス中に持ち込み、アルゴンを満たしたグローブボックス中でCR2032タイプのリチウム電池を作製した。対極として金属リチウム箔を使用し、セパレーターにはグラスファイバーマットを使用し、電解液には1.0MのLiPF6エチレンカーボネート/ジメチルカーボネート(体積比1:2)を使用した。充放電は定電流で行い、電流は0.8mAとし、電圧範囲は1.0〜3.0Vとした。このリチウム電池の充放電曲線を図10の点線2に示す。1回目の充電容量は230mAh/gであり、一方、放電容量は140mAh/gであった。2サイクル目以降、クーロン効率はほぼ100%に達し、サイクル特性も良好であった。
実施例10:塊状グラフェン−TiO2複合体を使用したリチウム電池用電極の作製
アモルファスTiO2(和光純薬工業株式会社製)0.9gおよび実施例1で得られた塊状グラフェンオキサイド(0.1g)の混合物にアセトンを加え、遊星ミルを用いて220rpmで5時間湿式粉砕した。粉砕物を吸引濾過で回収した後、これを80℃で1日乾燥した。得られた塊状グラフェンオキサイド−TiO2複合体(0.5g)を蒸留水(200mL)に分散させ、攪拌しながら90℃以上に過熱した。この分散液に1/200(体積比)に希釈したヒドラジン一水和物水溶液10mLを少しずつ加えた。分散液を冷却した後、吸引濾過によって粉体を回収し、これを80℃で1日乾燥することによって、塊状グラフェン−TiO2複合体(0.4g)を得た。この複合体をX線回折で評価したところ、TiO2がアナターゼ型に変化していることが確認できた。
実施例9と同様にして、電極およびリチウム電池を作製し、リチウム電池の特性評価を行った。このリチウム電池の充放電曲線を図10の実線1に示す。実施例10で製造したリチウム電池の充電容量は270mAh/gであり、放電容量は160mAh/gであった。また充放電曲線の両方で、1.8V付近にアナターゼ型TiO2に特有の電圧平坦部が認められた。2サイクル目以降、クーロン効率はほぼ100%に達し、サイクル特性も良好であった。実施例10のリチウム電池の可逆容量は、実施例9のリチウム電池に比べて約15%も増大する(図10)。この可逆容量の増大は、塊状グラフェンオキサイド−TiO2複合体の還元に伴う結晶構造の変化によるものであると考えられる。
比較例1:アセチレンブラック−TiO2を使用したリチウム電池用電極の作製
実施例9および実施例10で用いた塊状グラフェン−TiO2複合体の代わりに、宝泉株式会社製の導電性バインダーを使用して、電極およびリチウム電池を作製した。この導電性バインダーは、アセチレンブラック、TiO2およびポリ四フッ化エチレン(結着剤)を含有する。導電性バインダー中のアセチレンブラックおよびポリ四フッ化エチレンの含有量は、TiO2100質量部に対して、いずれも20質量部以上であり、この導電性バインダーを用いれば、良好な特性を有するリチウム電池を製造することができる。
アモルファスTiO2(和光純薬工業株式会社製、20mg)および前記導電性バインダー(13mg)を混煉し、フィルム状に成形し、約2cm2の円形のステンレスメッシュに圧着して電極を作製した。そして、実施例9と同様にしてリチウム電池を作製し、リチウム電池の特性評価を行った。このリチウム電池の充放電曲線を図10の破線3に示す。比較例1のリチウム電池の充電容量は290mAh/gであった。しかし図10に示すように、比較例1のリチウム電池の放電容量は、実施例9の値(140mAh/g)に及ばなかった。
本発明の塊状グラフェンオキサイドおよび塊状グラフェンは、電極、吸着剤、イオン交換体などの材料として好適である。

Claims (12)

  1. アスペクト比が0.1〜1であり、平均粒径が1〜44μmであり、且つテトラブチルアンモニウムヒドロキシド水溶液で処理したときに薄葉状に微細化しない、マクロ多孔質である塊状グラフェンオキサイド。
  2. 黒鉛化度がマイナスであり、アスペクト比が0.1〜1であり、平均粒径が1〜44μmであり、且つテトラブチルアンモニウムヒドロキシド水溶液で処理したときに薄葉状に微細化しない、マクロ多孔質である塊状グラフェン。
  3. 金属イオンを含有する請求項1に記載の塊状グラフェンオキサイド。
  4. アルカリ金属イオンを含有する請求項3に記載の塊状グラフェンオキサイド。
  5. 請求項1に記載の塊状グラフェンオキサイドおよび/または請求項2に記載の塊状グラフェンと、金属および/または金属酸化物との複合体。
  6. 金属および/または金属酸化物が酸化チタンである請求項5に記載の複合体。
  7. 黒鉛化度が0%以上95%以下であるグラファイトを水中で酸化することを含む、塊状グラフェンオキサイドの製造方法。
  8. 黒鉛化度が0%以上95%以下であるグラファイトを水中で酸化することを含む、請求項1に記載の塊状グラフェンオキサイドの製造方法。
  9. グラファイトの黒鉛化度が50%以上である請求項7または8に記載の塊状グラフェンオキサイドの製造方法。
  10. 酸化剤を用いてグラファイトを酸化する請求項7〜9のいずれか一項に記載の塊状グラフェンオキサイドの製造方法。
  11. 請求項1に記載の塊状グラフェンオキサイドを、還元剤を用いて還元することを含む、請求項2に記載の塊状グラフェンの製造方法。
  12. 請求項1に記載の塊状グラフェンオキサイドを、水中でヒドラジンを用いて還元することを含む、請求項11に記載の製造方法。
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