JP2012005942A - コーティングダイおよびダイコータ - Google Patents

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Abstract

【課題】ホールダイ型コーティングダイの塗布上流側に吸引口を設けたホールダイコータにおいて、基板バラツキあるいは偏肉によって塗工ギャップが変化し、それによって生じる圧力差バラツキによって塗布液の液柱が不安定になるという問題を解決し、ホールダイコータの塗布プロセス時の液柱の安定性を高める。
【解決手段】基板6上に塗布液Aをコーティングする際の基板6とホールダイヘッド4との相対移動方向と逆の向きに気体吸引口を設置し、かつホールダイヘッド4の隣接するノズル穴5間におけるリップ部9に、塗布液Aの塗布上流方向と下流方向とを連通する溝20を形成する。これにより基板6の寸法のバラツキあるいは偏肉による圧力差バラツキによって塗布液Aの液柱10が不安定になることを防ぐ。
【選択図】図1

Description

本発明は、基板上にコーティング材を塗布して塗布パターンを形成するコーティングダイおよび該コーティングダイを具備するダイコータに関するものである。
近年、フラットパネルディスプレイ(FPD)と呼ばれる薄型平面状の表示デバイスの開発、製造が盛んに行われている。フラットパネルディスプレイには多くの方式があるが、主だったものとして、液晶ディスプレイ(LCD),プラズマディスプレイ(PDP),有機エレクトロルミネッセンス(有機EL)などを挙げることができる。
これらの表示デバイスの製造工程には基板上にストライプ状のパターンを設ける工程があり、このストライプのパターンを、フォトリソグラフィ法,インクジェット法,印刷法などの各種パターニングプロセスを用いて形成している。
また、ホールダイコート法も、塗布目的の材料を、溶媒あるいは添加剤を有する溶媒などに溶解あるいは分散させて基板上に塗布することにより、基板上にストライプ状のパターンを形成するコーティングプロセスの一種である。このホールダイコート法は、同一目的を達成するための他のコーティングプロセスと比較して装置構造が簡便であることや、材料利用効率が高いなどの点から注目されている。
ホールダイコート法について図面を用いて説明する。なお、以下、各図中の同じ構成要素については同じ符号を用いて説明する。
図8はホールダイコート法において用いるホールダイヘッドの全体斜視図、図9は図8のホールダイヘッドを備えたホールダイコータを示す斜視図、図10は図9のホールダイコータにより基板上に塗布液を塗工(コーティング)する状態を模式的に示す断面図である。
図8〜図10において、塗布液を供給する配管1,マニホールド2,ノズルプレート3からなるホールダイヘッド4を、基板6に対して一定間隔、すなわち、基板6とノズル穴5間の塗布ギャップ8だけ離して配置し、ホールダイヘッド4あるいは基板6を塗布パターンの形成方向に相対的に水平移動(図10に矢印で示す基板相対移動方向)させることにより塗布する。
前記塗布動作により基板6上に、ノズル穴5の間隔に応じた塗布液パターン7が形成される。そして、塗布液パターン7が塗布された基板6は、当該塗布工程に続いて乾燥工程に進み、塗布液中の溶媒を除去することによって目的のパターンが得られる。
ホールダイコート法は、得たいパターンのストライプ幅と乾燥膜厚が決定すると、それに対するウェット膜厚も決まり、「乾燥膜厚÷ウェット膜厚」、すなわち、塗布液の固形分量も決まる。しかしながら、フラットパネルディスプレイにおいて用いられるような高精細のパターンの場合、薄い膜厚の塗布膜を得ようとしたときには、固形分量を低くする必要があり、塗布液の粘度が低くなるため、液柱の安定化が困難になることがある。
図10に示すように、ホールダイコータによる塗布プロセス中、相対移動しているノズル穴5のリップ部(突出部分)9と基板6との間に挟まれた塗布液パターン7を形成する塗布液Aの液柱10は塗布方向にせん断力11を受けることになる。この場合、同じダイコートであるスリットダイコータに比べると、ホールダイコータの液柱10は細線であるため、スリットダイコータの塗布液Aのカーテンと比べてせん断力11によって途切れやすい。
前記せん断力11を弱くするためには塗布速度を遅くすればよいが、速度を遅くした分、塗工時間が長くなり、ダイコータのスループットは低下してしまうため、実用的な解決方法ではない。
また、塗布速度を遅くする方法以外にも、リップ部9先端と基板6との距離、すなわち、塗工ギャップを小さくして、液柱10を短くすることによっても、せん断に対する安定性を高めることができる。しかし、実生産時において、基板6には板厚バラツキ、あるいは偏肉があるため、塗工ギャップを小さくするとリップ部9の先端と基板6とが接触してしまう可能性が高くなり、これも実用的な解決策にはならない。
ここで、前記板厚バラツキとは、連続で塗工処理を行う複数の基板の間における板厚の個体差とし、前記偏肉とは1枚の基板の面内の場所による板厚のバラツキとする。
ホールダイコータ法において、塗布方向の上流側から気体を供給することにより、ストライプ状の塗布面を形成する方法が特許文献1に記載されている。
特許文献1によれば、ホールダイヘッドのノズル列のうち、液柱が形成されない隙間の部分に気体噴出口を設け、塗布上流側から下流側に向かって気体(空気)を送り出し、気体の流れによってノズル先端から押し出された液柱がノズル列の横方向に広がらないようにすることにより、塗布下流方向にノズルから吐出する液柱を太くさせることができるとしている。
特許文献1の記載によれば、当該方法により、液柱を太く形成しても、隣接ノズル穴の液柱と接触することがなくなるため、従前の構造のノズルに比べて液柱を太くすることができるようになり、液柱を安定化させることができるとしている。
しかしながら、特許文献1に記載の方法では、ノズル穴から吐出された液柱に対して塗布下流方向に加わるせん断力に、さらに気体噴出口から送り出された気体によって塗布下流側に引き出す力が加わり、より液柱が途切れやすくなってしまうため、解決方法としては不十分である。
上記のように、ホールダイコータにおいて、ホールダイヘッドのノズル穴から吐出された液柱は、塗布下流方向に基板の移動速度に応じたせん断力を受けることになるが、せん断力によって液柱を途切れさせないためには、液柱にせん断力と逆の向きに力を作用させて力を釣り合わせ、液柱を引きちぎられないようにする方法が有効である。
液柱にせん断力に対向する力を与える手段として、コーティングダイのノズル穴のリップ部近傍における塗布方向の上流側に気体吸引口を設け、塗布上流側から空気を吸引して近傍を減圧状態にすることにより、液柱の上流側と下流側に圧力差を設け、液柱を上流側に引っ張る力を作用させて液柱を安定化させる方法が考えられる。当該方法の一例を以下に説明する。
図11は気体吸引口を設けたホールダイコータの構成例による塗工を模式的に示す断面図である。当該構成例では、図10の構成と同様、相対移動しているノズル穴5のリップ部9と基板6との間に挟まれた塗布液パターン7の塗布液Aの液柱10は塗布方向にせん断力11を受けるが、このダイのリップ部9近傍には気体吸引口12が配置されていて、図11の矢印13の向きに気体が吸引されるため、塗布液Aの液柱10には気圧差による力14が作用する。この力14がせん断力11と釣り合い、液柱10を安定化させる。
これにより、塗布速度を下げたり、塗工ギャップを小さくしたりすることなく、安定した塗布を可能すると考えられる。
特開2003−80147号公報
図11にて説明した構成例では、液柱に対して塗布下流方向に作用するせん断力と、上流方向に作用する圧力差の力との釣り合いで液柱を安定化させ、基板の板厚バラツキ、あるいは偏肉による塗工ギャップのバラツキに対して、十分マージンの取れる大きさの塗工ギャップでの塗布が行われる。しかし、基板の板厚バラツキ、あるいは偏肉によるコーティングプロセス中のギャップの変化による液柱の影響に対しては課題を残している。
コーティングプロセス中のギャップの変化が塗布液の液柱の安定性に与える影響について図12を参照して説明する。
図12は、図11と同様に気体吸引口12を設けたホールダイコータによる塗工を模式的に示す断面図であって、図11におけるA矢視図である。図12において、基板6の川幅方向が図面左右方向であり、基板移動方向が図面垂直方向の奥側であって、さらに図面手前が塗布下流側であり、気体吸引口を図面奥側に配設(図12には図示せず)している。
図12において、液柱10は左右に列状に並んでおり、液柱10と基板6とリップ部9とに囲まれた空間15a,15bが存在している。気体吸引口が図面奥側に位置しており、気体吸引口から空気を吸引しているため、図面奥側の方が図面手前側に比べて圧力が低くなっている。このため前記空間15a,15bを通して図面手前から奥の向きに空気の流れが発生する。ここで基板6の表面が幾何学的に平面であり、該面内で完全に均一であれば、前記空間15a,15bの大きさは基板6の面内すべて同じ大きさになる。
しかし、上記のように実際には、基板6には板厚バラツキあるいは偏肉があり、図12に示す板厚6a,6bのように基板6ごとに、あるいは基板6内で厚みが異なるため、空間15a,15bの大きさにはバラツキが生じる。
一方、気体吸引口から吸引する気体の量は略一定であるとみなすことができる。そのため、空間15a,15bのように空間にバラツキがあると、空間15a,15bを通る空気の流量がバラついて、ノズル穴の上流、下流での圧力差がノズル左右方向でバラつくことになる。また、基板6の川幅方向だけでなく、移動方向にも偏肉がある場合には、コーティングプロセス開始から終了の間で前記空間の大きさが変化して、それに伴い圧力差も変化する。
一方で、ホールダイヘッドの相対移動速度が一定であれば、せん断ひずみは基板6の左右方向において塗布開始から終了の間で一定であるため、液柱10を塗布下流方向に引っ張る力と塗布上流方向に引っ張る力のバランスが崩れてしまい、基板6の面内全体において塗布開始から終了まで液柱10の安定性を維持することが難しい。
本発明は、前記従来の課題を解決するものであり、塗布上流側に吸引口を設けたホールダイヘッドを有するホールダイコータにおいて、基板バラツキあるいは偏肉による圧力差のバラツキを解決し、ホールダイコータの塗布プロセス時の液柱の安定性を高めることを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明は、リップ部先端に列状にノズル穴が複数設置されているホールダイヘッドを具備し、基板上に塗布液をコーティングするホールダイ型のコーティングダイであって、コーティングする際の前記基板と前記ホールダイヘッドとの相対移動方向とは逆向きに気体を吸引する気体吸引口を備え、隣接する前記ノズル穴間の前記リップ部に、前記塗布液の塗布方向における上流側と下流側の両面にそれぞれ溝を形成したことを特徴とする。
本構成によって、液柱と基板、リップ部上の溝部に囲まれた空間が大きくなるため、基板の板厚バラツキあるいは偏肉によって生じる空間の大きさの変化の割合が小さくなり、よって、塗布方向の上流側と下流側に生じた圧力差による空気の流量の変動を小さすることができ、液柱を安定化させることができる。
以上のように、本発明のコーティングダイを用いることにより、ホールダイコータによるコーティングプロセスをより安定的なプロセスにすることができる。
本発明の実施の形態1におけるホールダイのリップ先端付近および塗布の状態を模式的に示した断面図 本実施の形態において塗布液が基板接触する前の状態のホールダイヘッドと液球を示した断面図 本発明の実施の形態3におけるホールダイのリップ先端付近および塗布の状態を模式的に示した断面図 本発明の実施の形態4における気体吸引口とリップ部の溝の関係を模式的に示した底面図 本発明の実施の形態4の他の構成例における気体吸引口とリップ部の溝の関係を模式的に示した底面図 本発明の実施の形態5における気体吸引口とリップ部の溝の関係を模式的に示した底面図 本発明の実施の形態5の他の構成例における気体吸引口とリップ部の溝の関係を模式的に示した底面図 従来のホールダイコート法において用いるホールダイヘッドの全体斜視図 図8のホールダイヘッドを備えたホールダイコータを示す斜視図 図9のホールダイコータにより基板上に塗布液を塗工(コーティング)する状態を模式的に示す断面図 気体吸引口を設けたホールダイコータの構成例による塗工を模式的に示す断面図 気体吸引口を設けたホールダイコータの構成例による塗工を模式的に示す断面図
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
(実施の形態1)
図1は本発明の実施の形態1におけるホールダイのリップ先端付近および塗布の状態を模式的に示した断面図である。なお、以下の説明において、図8〜図12にて説明した構成要素と同じ部材については同じ符号を用い、詳しい説明は省略する。
本実施の形態は、基本的には、図8〜図11に示す構成のホールダイヘッド4,ノズルプレート3からなるものであり、図1には図示していないが、背景技術にて説明した先出願の発明のように、塗布液Aの液柱10にせん断力に対向する力を与える手段として、ノズル穴5が形成されているリップ部9近傍における塗布方向(基板相対移動方向)の上流側に気体吸引口を設け、塗布上流側から空気を吸引して近傍を減圧状態にすることにより、液柱10の上流側と下流側とに圧力差を設け、液柱10を上流側に引っ張る力を作用させて液柱10を安定化させるような構成になっている。
図1において、本実施の形態では、ホールダイヘッド4の隣接する各ノズル穴5間のリップ部9に溝20が形成されている。この溝20を設けたことにより、前記先出願の発明の構成において問題であったホールダイヘッド4のリップ部9と基板6と液柱10とに挟まれて形成された空間(図12の空間15a,15b)の大きさが、基板6の板厚バラツキあるいは偏肉によって変化し、それによって圧力差が変化することによって、液柱10の安定性が損なわれるという課題を解決することができる。
溝が設けられていない図12に示す構成と、本実施の形態とを、具体的に比較検討すると、溝が設けられていない図12に示す構成における空間15a,15bに対して、本実施の形態の溝20を設けた場合、本実施の形態の空間21の広さは、図12に示す構成における空間15a,15bの大きさに溝20の大きさを加えたものになる。
図1に示す溝20の深さ22をd、溝20の幅23をwとすると、溝20の断面積はd・wになり、図12に示す構成における空間15a,15bの大きさをS(幅をhとする)とした場合、本実施の形態の空間20の大きさはS+d・wとなる。さらに、Sには基板6のバラツキあるいは偏肉(最大の変化量をgとする)24によって、SからS+g・hまで変化するが、本実施の形態ではSがS+d・wになるため、同じ基板バラツキ量gであっても、空間20の変化量はS+d・wからS+d・w+g・hまでの変化になり、変化率で考えると、図12に示す構成の構成における変化率=((S+g・h)/S)−1=g・h/Sが((S+d・w+g・h)/(S+d・w))−1=g・h/(S+d・w)になり、d・w・g・h/S(S+d・w)だけ変化量が小さくなる。
簡便のために溝20の幅wと空間21の幅hが等しいとすると、図12と図1の空間の大きさの差は、空間の高さ(塗工(コーティング)ギャップと溝の深さと基板バラツキの合計)で決まることになり、それぞれをH(塗工ギャップ量)、D(溝深さ)、ΔG(板厚バラツキ量)とすると、溝を設けない図12の構成では、空間の大きさはH・wから(H+ΔG)wまで変化し、本実施の形態の構成では(H+D)wから(H+D+ΔG)wまで変化するといえる。
一般に幅A、高さB、長さCの並行平板空間に、長さCの方向に粘度ηのニュートン流体を流量Qで通した場合、上流側と下流側での圧力差Δpは下式(数1)で表される。
(数1)
Δp=Q・12ηC/A・B^3
(数1)の式より、空間の高さBと圧力差ΔpはΔp∝B^(−3)の関係にあるといえる。また、ここでの流量Qは気体吸引口からの吸引量に応じた一定の値であると考えることができる。
ここで、a=Q・12ηC/A・10^(−6)とし、この関係から仮に、塗工ギャップを70μm、基板のバラツキが10μm、溝の深さを50μmとして、溝が無いダイを用いた場合の基板バラツキ10μmに対する圧力のバラツキを考える。
この場合、溝がない場合の圧力バラツキは9.62×10^(−7)×aになるのに対して、50μmの溝を設けた場合、基板バラツキ10μmに対する圧力バラツキは1.24×10^(−7)・aとなり、同じ基板バラツキ量でも圧力バラツキを約1/8に抑えることができる。
このように、基板6上に塗布液をコーティングする際の基板6とホールダイヘッド(コーティングダイ)4との相対移動方向と逆の向きに気体の吸引口を有し、かつ隣接するノズル穴5間のリップ部9に、塗布方向の上流側と下流側との両面を貫通する溝20を形成することにより、より安定して基板6上に塗布液Aを塗布することが可能になる。
なお、上記説明において、本実施の形態の効果を分かりやすくするために、塗工ギャップおよび溝の深さを例示したが、本発明の意図する範囲において、これらの数値は適切に変更することができる。これらの数値は目的とする塗工パターン、およびそれにより導き出されるノズルの間隔、ノズルの穴径、ダイの加工精度、塗布液の粘度、接触角などの各種パラメータによって最適化される数値であり、上述の数値には限定されないが、溝の幅が狭過ぎると、基板の板厚バラツキ、あるいは偏肉による圧力差のバラツキを緩和する効果が小さくなり、好ましくない。また、溝の幅が広すぎると液柱の端部が溝の端部が重なり、塗布液が溝に入ってしまうため好ましくない。
以下に前記溝20の幅23の最大値について、図1,図2を参照して具体的に説明する。
ノズル穴5から吐出された塗布液Aは微小で、重力の影響を受けないと考えてよく、ノズル穴5から吐出された塗布液Aの先端が基板6の表面に着液するまでは、塗布液Aの露出部分30はリップ部9の平面で切り取られた球の形状であると考えられ、その液球の鉛直方向の断面を見ると、液球の断面、すなわち、円弧の端部がリップ部9の平面となす角度は接触角φになる。ここで塗布液Aの露出部分30の高さ31をJとし、露出部分30の半幅(半径)32をKとすると、tan(φ/2)=J/Kになる。
塗布開始の瞬間、塗布液Aの露出部分30の高さ(=J)31は、塗工ギャップ(H)8に等しくなるまで大きくなってから基板6に着液するが、それに伴って露出部分30の半幅(半径)Kも大きくなり、その最大値はKmax=H/tan(φ/2)となる。従って、ノズルの先端の肉厚(ノズル溝端部からノズル穴端部までの距離)32をL、隣接ノズル穴5間の距離(ノズル穴ピッチ)26をM、ノズル穴5の直径27をN、溝20の幅23をwとすると、M=2・L+w+Nであり、また、露出部分30の液球が基板6の表面に接する瞬間において、露出部分30の液球の半径Kが溝20に到達してはならないので、N/2+L>Kを満たす必要がある。これらの関係より、塗工ギャップHとノズル穴ピッチMに対して溝20の幅wが取り得る最大値が決まる。そのwmaxは下記(数2)となる。
(数2)
max=M−2・H/tan(φ/2)
前記(数2)より塗布液Aとリップ9部の接触角φは大きい方が溝20の幅を大きく設計することができて、本発明の効果を高めることになり好ましい。
(実施の形態2)
したがって、ホールダイヘッド4のリップ部9には撥液処理が施されていることが望ましい。これは本発明の実施の形態2である。
撥液処理の方法としては特に制限はないが、実施の形態2においては、フッ素系表面処理剤(例えば3M社製ノベックEGC−1720)塗布による処理、フッ素樹脂の微粒子を分散させたメッキ液(例えば無電解ニッケル浴)を用いてホールダイヘッド4の表面にめっきを行い、析出しためっき膜中にフッ素樹脂を含有させる複合めっき法による処理、フッ素含有モノマーを用いた蒸着重合法やCVD(Chemical Vapor Deposition)法によって気相からホールダイヘッド4の表面に撥液膜を形成する処理方法などを用いることができる。
(実施の形態3)
図3は本発明の実施の形態3におけるホールダイのリップ先端付近および塗布の状態を模式的に示した断面図である。
図3に示す構成において、図11に示す構成と同様に、相対移動しているノズル穴5のリップ部9と基板6の間に挟まれた塗布液Aは塗布方向にせん断力11を受けている。実施の形態3では、リップ部9近傍に気体吸引口12が設けられ、矢印13の向きに気体が吸引されているため、塗布液Aの液柱10には気圧差による力14が働き、これがせん断力11と釣り合い、液柱10を安定化させている。
図11の構成と比較して、実施の形態3の構成は、気体吸引口12が基板6から離れた位置に設けられている点が異なっている。
気体吸引口12を基板6から離して設置することにより、塗布方向の上流側の空間33a,33bを大きくとることができる。上述したように、基板6には板厚バラツキおよび偏肉によって表面高さにバラツキ34があり、これによって、塗布方向の上流側の空間の大きさも変化する。
気体吸引口12からの吸引量が一定であるとすると、塗布方向の上流側の圧力は、塗布方向の上流側の空間の大きさに依存し、さらに塗布プロセス中の基板6の表面バラツキ34によって変動する。この場合、表面バラツキ34の量が、ある一定の範囲内であるならば、表面バラツキ34によって発生する圧力バラツキの大きさは、塗布方向の上流側の空間33a,33bが大きい方が小さくなる。
このため実施の形態3では、気体吸引口12をリップ部9の表面と同じ高さ位置に配置する(ノズル穴5と気体吸引口12を面一にする)のではなく、基板6の表面から離すことによって、塗布方向の上流側の空間33a,33bを大きくして、圧力バラツキを低減している。このように塗布方向の上流側の圧力バラツキを低減することによって、より安定に基板6上に塗布液Aを塗布することが可能になる
(実施の形態4)
図4,図5は本発明の実施の形態4における気体吸引口とリップ部の溝の関係を模式的に示した底面図である。
図4はホールダイヘッド4を下方、即ち図1の基板6側から見たリップ部9の先端部分を示している。実施の形態4ではノズル穴5は横1列に形成されており、隣接する各ノズル穴5の間に溝20が形成されている。実施の形態4において、ノズル穴列は2列以上形成されており、その具体的な構造を図5に示す。
ただし、図5に示す構成例ではノズル穴列が2列になっていて、この2列の各々のノズル穴5が互い違いに三角形状に配列した構成、いわゆる千鳥配列になっている。
図5に示すようなノズル配置にすることにより、溝20を図4のものと比べてより大きく広く取ることができ、同じ溝20の深さであっても、流量を多くとることが可能になり、基板6の表面バラツキに対する塗布方向の上流側の圧力バラツキを、より効果的に緩和することができる。
また、図5に示す構成例では、ノズル列を2列にした場合について説明したが、ノズル穴5の列は2列に限定されるものではなく、3列あるいは4列と増やすに従って、同じ列の中で隣接するノズル穴5の間隔が広くなるため、さらに幅の広い溝20を形成することが可能であり、ノズル穴の塗布方向の位置が、列の数に応じた幅の分だけ分散することによって、塗布液Aのストライプパターンの始終点の位置のバラツキが問題にならない範囲において、より好ましい構成といえる。
ただし、図5に示す構成では、ノズル穴列が2列であるため、隣接ノズル穴間の距離は2倍になり、溝の幅もほぼ2倍にすることが可能であるが、塗布方向に対する溝の角度をθとすると距離は1/cosθ(≧1)倍になり、前記(数1)式により、圧力損失が大きくなる方向に働く。
したがって、ノズルの配置と溝の構造は一意に決まるものではなく、目的とする塗工パターン、およびそれにより導き出されるノズルの間隔、ノズルの穴径、ダイの加工精度、塗布液の粘度、接触角などの各種パラメータによって最適化される数値になり、図5の形状には限定されない。
(実施の形態5)
図6は本発明の実施の形態5における気体吸引口とリップ部の溝の関係を模式的に示した底面図である。
図6において、リップ部9には、ホールダイヘッド4を塗布方向の上流側から下流側に見たとき、あるいはその逆の向きに見たときに、貫通部の開口幅が一定に見える角度が2つ以上存在する溝20が形成されている。即ち、図6における矢印35a,35bのように、溝20の角度を複数持たせることによって、より一層、塗布方向に対する溝20の開口を大きくすることができ、基板6の表面のバラツキに起因する、気体吸引口12から吸引した空気による圧力差の変動を効果的に抑制することが可能である。また、実施の形態5ではノズル穴列を複数具備しているが、ノズル穴列が1列であってもよい。
また、貫通部の開口幅が一定に見える角度が2つ以上存在する溝20を形成し、溝20の角度を複数持たせることで(図7における矢印36a,36bの溝角度)、ノズル穴列の前後で溝20の幅を広くすることにより、狭い幅の部分がより短くなった構造の溝20にすることができ、溝20を通過する空気の圧力損失を低減することができるため、基板6の表面のバラツキに起因する気体吸引口20から吸引した空気による圧力差の変動を抑制することが可能である。
なお、ダイコータとして、実施の形態1乃至5に開示したリップ部9の先端に列状に形成された複数のノズル穴5を備えたホールダイ型のコーティングダイを搭載することにより、上述したように、実施の形態1乃至5の構造を有するコーティングダイは、塗布方向の上流側に気体吸引口12を設け、塗布上流側から空気を吸引して近傍を減圧状態にすることにより、液柱10を上流側に引っ張る力を作用させて、液柱10を安定化させる能力が従来の構成のものより向上し、安定したコーティングプロセスを提供することが可能なダイコータが実現する。
本発明のコーティングダイは、従来の構成のものよりも安定的に基板に塗布液を塗工することが可能であり、フラットパネルディスプレイ(FPD)と呼ばれる薄型平面状の表示デバイスなどの製造工程などにおいて多用されるウェットコーティングプロセスに適用することができる。
4 ホールダイヘッド
5 ノズル穴
6 基板
9 リップ部
10 液柱
12 気体吸引口
20 溝
21 空間
30 露出部
A 塗布液

Claims (6)

  1. リップ部先端に列状にノズル穴が複数設置されているホールダイヘッドを具備し、基板上に塗布液をコーティングするホールダイ型のコーティングダイであって、
    コーティングする際の前記基板と前記ホールダイヘッドとの相対移動方向とは逆向きに気体を吸引する気体吸引口を備え、隣接する前記ノズル穴間の前記リップ部に、前記塗布液の塗布方向における上流側と下流側の両面にそれぞれ溝を形成したことを特徴とするコーティングダイ。
  2. 前記リップ部の先端部分に撥液処理を施したことを特徴とする請求項1記載のコーティングダイ。
  3. 前記気体吸引口を、該気体吸引口先端と前記基板間の距離が、前記ノズル穴と前記基板間の距離よりも離れた位置に設置したことを特徴とする請求項1記載のコーティングダイ。
  4. 前記ホールダイヘッドの長手方向に複数のリップ部を形成し、該リップ部のそれぞれに複数のノズル穴を形成したことを特徴とする請求項1記載のコーティングダイ。
  5. 前記溝が、前記リップ部を塗布方向の上流側から、あるいは下流側から逆方向を見たときに、前記溝の貫通部の開口幅が一定に見える角度が複数存在するように形成されていることを特徴とする請求項1記載のコーティングダイ。
  6. 請求項1乃至請求項5いずれか1項に記載のコーティングダイを搭載していることを特徴とするダイコータ。
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