JP2012004486A - 窒化物半導体装置及び窒化物半導体装置の製造方法 - Google Patents

窒化物半導体装置及び窒化物半導体装置の製造方法 Download PDF

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慎一 好田
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俊幸 瀧澤
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教夫 池戸
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Abstract

【課題】シリコン基板上に優れた結晶性の窒化物半導体層が形成された窒化物半導体装置を提供する。
【解決手段】シリコン基板10と、シリコン基板10に接するとともにシリコン基板10上の一部分に形成された窒化シリコンからなる選択成長マスク層20とを備え、選択成長マスク層20が形成されていないシリコン基板10上に、当該シリコン基板10に接するように窒化物半導体層30が形成されている。
【選択図】図1

Description

本発明は、窒化物半導体装置及びその製造方法に関し、特に、シリコン基板の上に窒化物半導体が形成された窒化物半導体装置及びその製造方法に関する。
窒化物半導体は、ワイドバンドギャップ半導体であり、絶縁破壊電界が大きいという優れた特性を有する。また、窒化物半導体は、シリコン系半導体又はガリウム砒素(GaAs)等の化合物半導体と比べて、電子の飽和ドリフト速度が大きいという特性も有する。
さらに、窒化物半導体装置を構成する窒化物半導体として窒化アルミニウム(AlGaN)と窒化ガリウム(GaN)とを用いた場合、(0001)面を主面とするAlGaNとGaNとのヘテロ界面には、自発分極及びピエゾ分極によって電荷が生じる。これにより、ヘテロ界面におけるシートキャリア濃度は、アンドープの場合であっても、1×1013cm-2以上となる。このため、ヘテロ界面には2次元電子ガス(2DEG:2 Dimensional Electron Gas)が発生する。この2次元電子を利用することにより、電流密度が大きいヘテロ接合電界効果トランジスタ(HFET: Hetero−junction Field Effect Transistor)を実現することができる。
現在、このような窒化物半導体を結晶成長させる基板としては、結晶成長材料と同じ窒化物半導体からなる基板ではなく、サファイア基板、炭化シリコン基板又はシリコン基板といった、窒化物半導体との格子不整合が大きい結晶成長材料とは異なる異種基板が用いられている。これは、窒化物半導体からなる基板を作製する場合であっても異種基板上に気相成長法により形成して作製する必要があり、窒化物半導体からなる基板を作製するには、現状ではコストが高く、大口径の基板が得られないからである。一方、シリコン基板は、大口径の基板を量産することができ、コスト面でも優位である。
しかしながら、シリコン基板上に窒化物半導体を形成する場合、以下のような欠点を有する。
まず、窒化物半導体は、シリコンと比べて熱膨張係数が大きく、その差も大きい。また、窒化物半導体の結晶成長は、一般に1000℃程度の高温で行う。このため、高温で窒化物半導体をシリコン基板の上に成膜し、その後、基板温度を室温まで下げたときに、窒化物半導体とシリコン基板との熱膨張係数の差によって窒化物半導体に引っ張り応力が発生しやすい。このため、シリコン基板の上に形成した窒化物半導体に高密度の欠陥が発生したりクラックが発生したりするという問題がある。
また、ガリウム(Ga)を含む窒化物半導体を形成する場合、その原料がシリコンとの化合物を形成しやすい。このため、窒化物半導体がシリコン基板上に平坦に成長しにくいという問題もある。
さらに、シリコン基板等の異種基板上に成長した窒化物半導体は、基板との格子不整合の影響を受けて、転位密度が非常に高くなるという問題もある。
従来、このような問題に対しては、窒化物半導体を選択成長させることによって、高品質の窒化物半導体を形成する技術が検討されている。この技術は、酸化シリコン層、窒化シリコン層、又は酸化アルミニウム層上には成長しにくく選択成長するという窒化物半導体の性質を利用したものである。
このような窒化物半導体を選択成長させる従来技術として、例えば、特許文献1には、サファイア基板の異種基板上に、GaNからなる窒化物半導体層を下地結晶膜として成長させた後、下地結晶膜を部分的に覆うように選択成長マスクを形成し、選択成長マスクで覆われていない成長領域から窒化物半導体を形成するという技術が開示されている。
また、特許文献2には、サファイア基板の異種基板上に、GaNからなる種結晶層を成長させた後、当該種結晶層の一部をエッチングにより除去し、残した部分から窒化物半導体を形成するという技術が開示されている。
また、特許文献3には、シリコン基板上に直接マスク層を形成し、マスク層の一部を除去して開口部を形成し、マスクの開口部から窒化物半導体を形成するという技術が開示されている。
特開2000−349338号公報 特許第4179317号公報 特許第3864222号公報
しかしながら、特許文献1及び特許文献2に開示された従来技術は、窒化物半導体を形成する前に、下地結晶膜又は種結晶層としての窒化物半導体を別途形成する必要がある。従って、高コストであるとともに、結晶成長装置の占有時間が長くなるという問題がある。
また、特許文献3に開示された従来技術は、マスク層を形成する際のスパッタ工程又は蒸着工程が必要となり、さらには、マスク層に開口部を形成する際のフォトリソグラフィ法によるエッチング工程も必要となる。この場合、スパッタ工程等又はエッチング工程によってマスク層の開口部分における下地の結晶性が劣化する。窒化物半導体は、結晶成長する部分の下地の結晶性を引き継ぐという性質を有するので、結晶性が劣化した下地の上に形成される窒化物半導体も結晶性が悪くなるという問題がある。
本発明は、このような問題を解決するためになされたものであり、シリコン基板の上に形成され、優れた結晶性の窒化物半導体層を有する窒化物半導体装置及び窒化物半導体の製造方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明に係る窒化物半導体装置の一態様は、シリコン基板と、前記シリコン基板に接するとともに前記シリコン基板上の一部分に形成された窒化シリコンからなる選択成長マスク層とを備え、前記選択成長マスク層が形成されていない前記シリコン基板上に、当該シリコン基板に接するように窒化物半導体層が形成されている。
本態様によれば、窒化シリコンからなる選択成長マスク層を用いることにより、結晶性に優れた窒化物半導体層を形成することができる。
さらに、本発明に係る窒化物半導体装置の一態様において、前記シリコン基板は凹部を有し、前記選択成長マスク層は、前記凹部のみに形成されていることが好ましい。
これにより、選択成長マスク層と窒化物半導体層との間に空隙を形成することができるので、窒化物半導体層とシリコン基板との間に発生する応力を緩和することができる。
さらに、本発明に係る窒化物半導体装置の一態様において、前記窒化物半導体層は、前記選択成長マスク層上にも形成されていることが好ましい。
これにより、面積の大きい窒化物半導体層を形成することができる。
さらに、本発明に係る窒化物半導体装置の一態様において、前記選択成長マスク層の表面は、前記シリコン基板と前記窒化物半導体層とが接する接触面よりも、前記窒化物半導体層側に存在しないことが好ましい。
これにより、窒化物半導体層の形成時において選択成長マスク層の開口部領域が最も高い位置に位置することになるので、選択成長マスク層の形成時や窒化物半導体層の形成時において、窒化物半導体の欠陥の原因であるパーティクルやウォーターマーク等が窒化物半導体層の形成領域に残留しにくくなる。
さらに、本発明に係る窒化物半導体装置の一態様において、前記選択成長マスク層と前記シリコン基板との界面を境界として、前記選択成長マスク層と前記シリコン基板との間の炭素原子濃度は一定であることが好ましい。
これにより、選択成長マスク層とシリコン基板との界面は露出することなく形成される。
さらに、本発明に係る窒化物半導体装置の一態様において、前記選択成長マスク層は、前記シリコン基板の表面の一部分を窒化することによって形成されていることが好ましい。
これにより、容易に選択成長マスク層を形成することができる。
さらに、本発明に係る窒化物半導体装置の一態様において、前記窒化物半導体層上に、窒化物半導体からなる能動層が形成されていることが好ましい。
これにより、電界効果型トランジスタを構成することができる。
また、本発明に係る窒化物半導体装置の製造方法の一態様は、シリコン基板の表面を酸化して、酸化シリコンからなる第1の層を形成する工程と、前記第1の層をパターニングして前記シリコン基板の表面を露出させる工程と、パターニングした前記第1の層をマスクとして、露出させた前記シリコン基板の表面を窒化して、窒化シリコンからなる第2の層を形成する工程と、前記第1の層を除去して前記シリコン基板を露出させる工程と、前記第1の層を除去して露出させた前記シリコン基板上に、窒化物半導体層を形成する工程と、を含むものである。
これにより、シリコン基板を酸化させて形成される酸化シリコンが、シリコン基板上の窒化物半導体層を形成する部分を、窒化物半導体の結晶成長直前まで保護することができる。すなわち、シリコン基板上の窒化物半導体層を形成する部分は、第2の層を形成する工程における当該第2の層の成膜時やドライエッチング時等において、ダメージを受けることが無い。このため、窒化物半導体の結晶成長直前まで、窒化物半導体層を形成するシリコン基板の表面を劣化させることなく清浄な表面を維持することができる。従って、結晶性に優れた窒化物半導体層を形成することができる。
さらに、第2の層として窒化シリコンを用いることにより、第2の層を選択成長マスクとして機能させて、シリコン基板上に窒化物半導体を選択成長させることができ、且つ、フッ酸によって酸化シリコンを選択的に除去することもできる。
さらに、本態様による製造方法によれば、第2の層の表面が、第1の層を除去して露出させた部分(第2の層の開口部)におけるシリコン基板と窒化物半導体層とが接する接触面よりも、窒化物半導体層側に存在しないこととなる。これにより、窒化物半導体層の形成時において第2の層の開口部分が最も高い位置に位置することになるので、第2の層の形成時や窒化物半導体層の形成時において、窒化物半導体の欠陥の原因であるパーティクルやウォーターマーク等が窒化物半導体層の形成領域に残留しにくくなる。
さらに、本発明に係る窒化物半導体装置の製造方法の一態様において、前記第2の層を形成する工程の前に、前記シリコン基板に凹部形成する工程を含み、前記第2の層を形成する工程において、前記第2の層を前記凹部のみに形成することが好ましい。
これにより、第2の層と窒化物半導体層との間に空隙を形成することができるので、窒化物半導体層とシリコン基板との間に発生する応力を緩和することができる。
さらに、本発明に係る窒化物半導体装置の製造方法の一態様において、前記窒化物半導体層を形成する工程において、前記窒化物半導体層を前記第2の層上にも形成することが好ましい。
これにより、面積の大きい窒化物半導体層を形成することができる。
さらに、本発明に係る窒化物半導体装置の製造方法の一態様において、さらに、前記窒化物半導体層上に、窒化物半導体からなる能動層を形成する工程を含むことが好ましい。
これにより、窒化物半導体層を備える電界効果型トランジスタを製造することができる。
本発明に係る窒化物半導体装置及びその製造方法によれば、シリコン基板上に優れた結晶性を有する窒化物半導体層を容易に形成することができる。
本発明の第1の実施形態に係る窒化物半導体装置の構成を示す断面図 本発明の第1の実施形態に係る窒化物半導体装置の製造方法における各工程の構成を模式的に示した断面図 本発明の第1の実施形態に係る窒化物半導体装置の断面を部分的に拡大した模式図(a)及び断面SEM写真(b) 本発明の第2の実施形態に係る窒化物半導体装置の構成を示す断面図 本発明の第3の実施形態に係る窒化物半導体装置の構成を示す断面図 本発明の第4の実施形態に係る窒化物半導体装置の構成を示す断面図 本発明の第5の実施形態に係る窒化物半導体装置の構成を示す断面図 本発明の第5の実施形態に係る窒化物半導体装置の製造方法における各工程の構成を模式的に示した断面図
以下、本発明に係る窒化物半導体装置及び窒化物半導体装置の製造方法について、実施形態に基づいて図面を参照しながら説明する。
(第1の実施形態)
まず、本発明の第1の実施形態に係る窒化物半導体装置について、図1を用いて説明する。図1は、本発明の第1の実施形態に係る窒化物半導体装置の構成を示す断面図である。
図1に示すように、本発明の第1の実施形態に係る窒化物半導体装置1は、シリコン基板10と、選択成長マスク層20と、窒化物半導体層30とを有する。
シリコン基板10としては、(111)面を主面とするシリコン基板を用いることができる。なお、シリコンの(111)面上には、窒化物半導体の(0001)面が成長されやすい。
選択成長マスク層20は、シリコン基板10の表面の一部分を窒化させることによって形成された窒化シリコン(SiN)からなるマスク層である。選択成長マスク層20は、シリコン基板10を露出させるように形成された開口部を有する。
窒化物半導体層30は、選択成長マスク層20が形成されていないシリコン基板10上、すなわち、選択成長マスク層20の開口部におけるシリコン基板10上に形成されている。また、窒化物半導体層30は、開口部領域のシリコン基板10に接するようにして形成されている。窒化物半導体層30は、例えば、窒化ガリウムで構成することができる。
次に、本発明の第1の実施形態に係る窒化物半導体装置1の製造方法について、図2を用いて説明する。図2は、本発明の第1の実施形態に係る窒化物半導体装置の製造方法における各工程の断面図である。
図2(a)に示すように、まず、シリコン基板10を、例えば酸化炉を用いて酸素ガスを含む雰囲気において1000℃程度の温度でアニールすることによって、シリコン基板10の表面を酸化して、シリコン基板10の表面に酸化シリコンマスク層(第1の層)40を形成する(第1の工程)。
次に、図2(b)に示すように、フォトリソグラフィを用いて、酸化シリコンマスク層40上に所定形状にパターニングされたレジストマスク層50を形成する(第2の工程)。なお、レジストマスク層50が形成されない領域においては、酸化シリコンマスク層40が露出されている。
次に、図2(c)に示すように、例えば希フッ酸によるエッチングを行うことによって、レジストマスク層50をマスクとして酸化シリコンマスク層40を除去する(第3の工程)。すなわち、レジストマスク層50が形成されていない領域(レジストマスク層50の開口部分)において露出する酸化シリコンマスク層40を除去して、これにより酸化シリコンマスク層40に開口部を設ける。これにより、酸化シリコンマスク層40が除去された部分において、シリコン基板10が露出する。
次に、レジストマスク層50を所定の方法によって除去した後、酸化シリコンマスク層40が形成されたシリコン基板10をアニール炉に投入し、例えばアンモニア雰囲気において700℃程度以上の温度でアニールを行ってシリコン基板10の表面を窒化する(第4工程)。これにより、図4(d)に示すように、酸化シリコンマスク層40をマスクとして、露出するシリコン基板10の表面が窒化され、シリコン基板10の表面の一部分に窒化シリコンからなる選択成長マスク層20を形成することができる。なお、酸化シリコンマスク層40で覆われるシリコン基板10上には選択成長マスク層20は形成されず、この部分が選択成長マスク層20の開口部となる。
次に、図2(e)に示すように、過酸化水素水を含む洗浄(例えばRCA洗浄)や希フッ酸洗浄により、シリコン基板10の洗浄を兼ねて、酸化シリコンマスク層40を除去する(第5の工程)。これにより、酸化シリコンマスク層40の下に存在するシリコン基板10が露出する。
次に、図2(f)に示すように、表面を露出させたシリコン基板10を結晶成長炉に投入し、選択成長マスク層20の開口部分におけるシリコン基板10上、すなわち、露出させたシリコン基板10上に、窒化物半導体層30を結晶成長する(第6の工程)。
以上により、本発明の第1の実施形態に係る窒化物半導体装置1を製造することができる。
次に、本発明の第1の実施形態に係る窒化物半導体装置1の具体例について、図3(a)及び図3(b)を用いて説明する。図3(a)は、本発明の第1の実施形態に係る窒化物半導体装置の断面を部分的に拡大した模式図であり、図3(b)は、図3(a)の断面における断面SEM写真である。なお、図3(b)に示す窒化物半導体装置1のサンプルは、結晶成長炉としてMOCVD(有機金属気相成長法:Metal Organic Chemical Vapor Deposition)を用い、窒化物半導体層30として、膜厚が50nmの窒化アルミニウム層(AlN)30aと膜厚が2800nmの窒化ガリウム層(GaN)30bとを成膜した。また、シリコン基板10としては、(111)面を主面とするシリコン基板を用いた。なお、六方晶系に属するGaN系結晶の面方位を、c面、a面、m面で示し、結晶軸方向をc軸、a軸、m軸で示す。c面は(0001)面であり、c軸はc面の法線ベクトルを示す。a面は(11−20)面であり、a軸はa面の法線ベクトルを示す。また、m面は(10−10)面であり、m軸はm面の法線ベクトルを示す。なお、一般に窒化物半導体のMOCVD法による結晶成長においては、m軸方向よりもa面軸方向の方が、結晶成長の制御が容易である。このため、図3(a)及び図3(b)では、c軸を中心として90度回転した方向にストライプを形成することとした。また、このようにすることにより、選択成長を制御しやすい他、劈開面であるm面を効率的に使用できるといった利点がある。
図3(a)及び図3(b)に示すように、SiNからなる選択成長マスク層20が形成されていないシリコン基板10上(選択成長マスク層20の開口部)には、窒化アルミニウム層30a及び窒化ガリウム層30bが積層された窒化物半導体層30が形成されている。一方、選択成長マスク層20上には、窒化アルミニウム層30a及び窒化ガリウム層30bは成膜されていない。このように、選択成長マスク層20によって窒化物半導体層30の選択成長が実現できていることが分かる。
このとき、窒化アルミニウム層30aを成膜するときの成膜条件によっては、SiNからなる選択成長マスク層20上にも窒化アルミニウム層が堆積する。この場合、選択成長マスク層20上に堆積した窒化アルミニウムは、シリコン基板10の結晶性を引き継ぐことができないので、多結晶膜となる。従って、窒化アルミニウム層を成膜した後に窒化ガリウム層30bを成膜する場合、多結晶の窒化アルミニウム層上には窒化ガリウムは成長できず、選択成長マスク層20の開口部における窒化アルミニウム層30a上に選択的に窒化ガリウム層30bが成長する。このようにして、窒化物半導体層の選択成長を実現することができる。
なお、本実施形態では、シリコン基板10として(111)面を主面とする基板を用いているので、当該シリコン基板10の(111)面上には(0001)面の窒化物半導体層30が結晶成長する。また、図3(a)及び図3(b)に示すように、窒化ガリウム層30bには、(10−12)面も形成されているが、窒化ガリウム層30bの成長条件を変化させることによって、(10−10)面や(11−20)面を安定的に結晶成長させることができ、窒化ガリウム層30b等の窒化物半導体層30の側面を垂直に成長させることも可能である。
また、窒化物半導体層30の成長時に、シリコン基板10に対して水平方向(横方向)の結晶成長速度を上げる場合には、選択成長マスク層20のマスクパターンは窒化物半導体層30の(11−20)面が露出しやすいように形成することが望ましい。具体的には、選択成長マスク層20のマスクパターンは、窒化物半導体層30のm軸に平行な方向に延びる直線状に形成すればよい。
なお、シリコン基板10の(111)面上に結晶成長した(0001)面の窒化物半導体層30の各面方位は、次のようになる。(0001)面の窒化物半導体層30における(11−20)面は、(111)面のシリコン基板10の(112)面と平行となり、(0001)面の窒化物半導体層30における(10−10)面は、同シリコン基板10の(1−10)面と平行となる。
以上、本発明の第1の実施形態に係る窒化物半導体装置1によれば、選択成長マスク層20としての窒化シリコン層は、シリコン基板10のシリコンの一部を窒化することによって形成される。これにより、選択成長マスク層20の開口部領域における窒化物半導体層30の下地となるシリコン基板10の表面の結晶性は劣化しない。従って、選択成長マスク層20の開口部領域におけるシリコン基板10上において、結晶性に優れた窒化物半導体層30を形成することができる。
また、本発明の第1の実施形態に係る窒化物半導体装置1の製造方法によれば、シリコン基板10上における窒化物半導体層30の形成領域を、酸化シリコンマスク層40によって窒化物半導体の結晶成長直前まで保護することができる。すなわち、シリコン基板10上の窒化物半導体層30の形成領域は、第1の工程以降、第2〜第5の工程において、各種層の成膜時やエッチング時等におけるダメージを受けることが無い。このため、第6の工程における窒化物半導体層30の結晶成長直前まで、窒化物半導体層30の形成領域であるシリコン基板10の表面を何ら劣化させることなく清浄な状態に保つことができる。従って、低コスト及び短いタクトタイムで、結晶性に優れた窒化物半導体層30を形成することができる。なお、本実施形態に係る製造方法によれば、従来のように窒化物半導体層30を形成するためだけの下地の半導体層を別途形成する工程もない。
さらに、本実施形態に係る製造方法によれば、選択成長マスク層20として窒化シリコンを用いているので、選択成長マスク層20を窒化物半導体層30の選択成長マスクとして機能させるだけではなく、第5の工程において、フッ酸によって酸化シリコンマスク層40を選択的に除去するためのマスクとしても機能させることができる。
また、本実施形態では、選択成長マスク層20はシリコン基板10の表面の一部を窒化させるものであるので、選択成長マスク層20は、シリコン基板10の表面に埋め込まれた形となって形成される。このため、選択成長マスク層20の表面は、シリコン基板10と窒化物半導体層30とが接する接触面よりも、シリコン基板10寄りにのみ存在し、窒化物半導体層30側には存在しないことになる。すなわち、選択成長マスク層20の表面は、シリコン基板10と窒化物半導体層30との接触面と同一面か、当該接触面よりもシリコン基板10寄りに存在することになる。
これにより、窒化物半導体層30の形成時において選択成長マスク層20の開口部領域が最も高い位置に位置することになるので、選択成長マスク層20の形成時や窒化物半導体層30の形成時において、窒化物半導体の欠陥の原因であるパーティクルやウォーターマーク等が窒化物半導体層30の形成領域に残留しにくくなる。従って、結晶性に優れた高品質の窒化物半導体層30を形成することができる。
また、上述のように本実施形態では、選択成長マスク層20はシリコン基板10の一部を窒化させるものであるので、選択成長マスク層20とシリコン基板10との界面は一度も露出することがない。従って、選択成長マスク層20とシリコン基板10との界面近傍においては、炭素原子といった不純物は、シリコン基板10の内部にもともと内在するもの以外のものについては存在しない。従って、選択成長マスク層20からシリコン基板10に向かって深さ方向に連続的に炭素濃度を測定すると、選択成長マスク層20とシリコン基板10との界面を境界として、選択成長マスク層20とシリコン基板10との間の炭素原子濃度は一定となり、選択成長マスク層20とシリコン基板10との界面近傍における炭素原子濃度は変化しない。
なお、シリコン基板上に優れた結晶性の窒化物半導体層を結晶成長させる場合は、酸化シリコンは選択成長マスク層となってしまうため、窒化物半導体層の形成領域におけるシリコン基板上の自然酸化膜は十分に除去する必要がある。しかし、本実施形態に係る製造方法によれば、窒化物半導体層30の結晶成長直前まで、窒化物半導体層30の形成領域は酸化シリコンマスク層40で覆われているとともに、当該酸化シリコンマスク層40は窒化物半導体層30の結晶成長直前に除去される。これにより、窒化物半導体層30の形成領域におけるシリコン基板10の表面は窒化物半導体層30の結晶成長直前まで何ら劣化させることなく清浄な状態に保つことができる。これにより、優れた結晶性を有する窒化物半導体層30を選択的に結晶成長することができる。
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態に係る窒化物半導体装置2について、図4を用いて説明する。図4は、本発明の第2の実施形態に係る窒化物半導体装置の構成を示す断面図である。なお、図4において、図1に示す構成要素と同じ構成要素については、同じ符号を付している。
図4に示すように、本発明の第2の実施形態に係る窒化物半導体装置2は、シリコン基板10と、選択成長マスク層20と、窒化物半導体層31とを有する。
本実施形態に係る選択成長マスク層20は、第1の実施形態と同様の選択成長マスク層20であるが、シリコン基板10を露出させる開口部が複数個形成されている。つまり、シリコン基板10と窒化物半導体層31とが接する箇所が複数個存在する。
さらに、本実施形態に係る窒化物半導体層31は、選択成長マスク層20の開口部におけるシリコン基板10上だけではなく、選択成長マスク層20の上にも直接形成されている。すなわち、本実施形態では、複数の開口部におけるシリコン基板10から窒化物半導体の結晶成長が始まり、結晶成長が進むに従って窒化物半導体が横方向(シリコン基板10の水平方向)にも選択成長されて、横方向に成長する窒化物半導体同士を結合させることにより窒化物半導体層31が形成される。
以上、本実施形態に係る窒化物半導体装置2は、第1の実施形態に係る窒化物半導体装置1と同様の効果を奏することができる。さらに、本実施形態に窒化物半導体装置2は、上記構成により、高品質で優れた結晶性でありながら、面積の大きい窒化物半導体層31を形成することができる。
また、本実施形態において、選択成長マスク層20の開口部は、窒化物半導体層31のm軸に平行な方向に沿った直線状に形成することが好ましい。これにより、窒化物半導体層31のa軸方向における結晶成長速度を速くすることができ、上記横方向における選択成長を容易に行うことができる。さらに、成長初期における窒化物半導体層31の結晶成長面を、(11−22)面等のシリコン基板10に対して鋭角をなす面となるように、窒化物半導体層31の成長条件を調整することが好ましい。これにより、シリコン基板10の下地層より垂直方向に伸びている貫通転位を、シリコン基板10に対して水平方向へと曲げることができる。これにより、窒化物半導体層31の横方向における選択成長をさらに容易に行うことができる。なお、貫通転位とは、転位欠陥が伝搬されて結晶成長面を貫通する転位のことである。
なお、本実施形態に係る窒化物半導体装置2は、第1の実施形態に係る窒化物半導体装置1の製造方法と同様の方法で製造することができる。
(第3の実施形態)
次に、本発明の第3の実施形態に係る窒化物半導体装置3について、図5を用いて説明する。図5は、本発明の第3の実施形態に係る窒化物半導体装置の構成を示す断面図である。
図5に示すように、本発明の第3の実施形態に係る窒化物半導体装置3は、シリコン基板11と、選択成長マスク層21と、窒化物半導体層32とを有する。
本実施形態に係るシリコン基板11は、第1の実施形態と同様に、(111)面を主面とするシリコン基板であるが、本実施形態では、第1の実施形態とは異なり、シリコン基板11の上に凹部11aが形成されている。つまり、隣接する凹部11aに挟まれるようにしてシリコン基板11の上に凸部11bが形成されるようにして構成されている。
また、本実施形態に係る選択成長マスク層21は、第1の実施形態と同様に、シリコン基板11の一部を窒化させて形成されるものであるが、本実施形態では、第1の実施形態とは異なり、シリコン基板11の凹部11aの表面にのみ形成されており、凸部11bの上面には選択成長マスク層21は形成されていない。すなわち、凹部11a以外のシリコン基板11上には選択成長マスク層21が存在しない。
また、凹部11a以外のシリコン基板11上、すなわち凸部11b上には、シリコン基板11に接するようにして窒化物半導体層32が形成されている。また、窒化物半導体層32は、凹部11aにおける選択成長マスク層21上には直接形成されていないが、シリコン基板11の横方向に形成されており、選択成長マスク層21とは空隙60を介して選択成長マスク層21の上方にまで形成されている。
このように構成される本発明の第3の実施形態に係る窒化物半導体装置3は、例えば第1の実施形態に係る窒化物半導体装置1の製造方法に準じて製造することができる。
例えば、図2(c)に示す第1の実施形態の製造方法における第3の工程において、希フッ酸によって酸化シリコンマスク層40をエッチング除去したが、希フッ酸の代わりにRIE(Reactive Ion Etching)などの装置を用いたドライエッチングにより、酸化シリコンマスク層40を除去した後において、あるいは酸化シリコンマスク層40の除去工程と同じ工程において、酸化シリコンマスク層40を除去した部分におけるシリコン基板をエッチングすればよい。これにより、シリコン基板11に凹部11aを形成して凸部11bを構成することができる。
さらに、ドライエッチングで凹部11aを形成した後に、当該凹部11aに対してさらに希フッ酸によるエッチングを行って、シリコン基板に残留するドライエッチングによるダメージを除去する工程を追加してもよい。これにより、高品質の選択成長マスク層21を形成することができる。
なお、これ以外の工程は、第1の実施形態と同様の工程を行うことにより、本実施形態に係る窒化物半導体装置3を製造することができる。但し、窒化物半導体層32が選択成長マスク層20の上方にも形成されるように、窒化物半導体層32の成長条件を調整することが好ましい。
以上、本発明の第3の実施形態に係る窒化物半導体装置3は、第1の実施形態に係る窒化物半導体装置1と同様の効果を奏することができる。さらに、本実施形態に係る窒化物半導体装置3によれば、選択成長マスク層21の表面が、シリコン基板11と窒化物半導体層32との接触面よりも低い位置に存在することになり、選択成長マスク層21と窒化物半導体層32との間に空隙60が存在する。これにより、窒化物半導体層32とシリコン基板11との間に発生する応力を緩和することができるという効果も得ることができる。
(第4の実施形態)
次に、本発明の第4の実施形態に係る窒化物半導体装置4について、図6を用いて説明する。図6は、本発明の第4の実施形態に係る窒化物半導体装置の構成を示す断面図である。なお、図6において、図5に示す構成要素と同じ構成要素については、同じ符号を付している。
図6に示すように、本発明の第4の実施形態に係る窒化物半導体装置4は、シリコン基板11と、選択成長マスク層21と、窒化物半導体層33とを有する。
本実施形態に係るシリコン基板11は、第3の実施形態と同様のシリコン基板11であるが、本実施形態では、凸部11bが複数個形成されている。つまり、シリコン基板11と窒化物半導体層33とが接する箇所が複数個存在する。
さらに、本実施形態に係る窒化物半導体層33は、シリコン基板11の凸部11bの上面だけではなく、選択成長マスク層20の上方にも形成されている。すなわち、本実施形態では、複数の凸部11bにおけるシリコン基板11から窒化物半導体の結晶成長が始まり、結晶成長が進むに従って窒化物半導体が横方向(シリコン基板11の水平方向)にも選択成長されて、横方向に成長する窒化物半導体同士を結合させることによって窒化物半導体層33が形成される。
以上、本実施形態に係る窒化物半導体装置4は、第3の実施形態に係る窒化物半導体装置3と同様の効果を奏することができる。さらに、本実施形態に窒化物半導体装置4は、上記構成により、高品質で優れた結晶性でありながら、面積の大きい窒化物半導体層33を形成することができる。
特に、本実施形態に係る窒化物半導体装置4は、第3の実施形態に係る窒化物半導体装置3と同様に、選択成長マスク層21と窒化物半導体層33との間に空隙60が存在するが、本実施形態では、空隙60が窒化物半導体層33の内部に封止される構成となる。従って、窒化物半導体層33を劣化させることなく窒化物半導体装置4の内部に発生する応力を緩和することができる。
また、本実施形態において、選択成長マスク層21の開口部は、第2の実施形態における選択成長マスク層20と同様に、窒化物半導体層33のm軸に平行な方向に沿った直線状に形成することが好ましい。これにより、窒化物半導体層33のa軸方向における結晶成長速度を速くすることができ、上記横方向における選択成長を容易に行うことができる。
(第5の実施形態)
次に、本発明の第5の実施形態に係る窒化物半導体装置5について、図7を用いて説明する。図7は、本発明の第5の実施形態に係る窒化物半導体装置の構成を示す断面図である。なお、図7において、図1に示す構成要素と同じ構成要素については、同じ符号を付している。
図7に示すように、本発明の第5の実施形態に係る窒化物半導体装置5は、高電子移動度トランジスタ(HEMT: High Electron Mobility Transistor)であって、シリコン基板10と、選択成長マスク層20と、窒化物半導体層であるバッファ層71とを有し、さらに、バッファ層71上に、緩衝層72、電子走行層73、電子供給層74が順次形成されたものである。また、電子供給層74上には、ソース電極75S、ゲート電極75G及びドレイン電極75Dが形成されている。
バッファ層71は、選択成長マスク層20が形成されていない領域、すなわち、選択成長マスク層20の開口部分において、シリコン基板10と接するように形成されている。さらに、バッファ層71は、選択成長マスク層20の上にも形成されており、第2の実施形態と同様に、選択成長マスク層20の開口部分におけるシリコン基板10から窒化物半導体の成長が始まり、結晶成長が進むに従って窒化物半導体が横方向にも選択成長されて形成される。
本実施形態において、バッファ層71は、窒化物半導体からなり、複数の層で構成されていてもよい。なお、バッファ層71のシリコン基板10に接する層は、例えばAlxGa(1-x)N(0≦x≦1)からなる層であればよい。本実施形態では、シリコン基板10に接する層として、窒化アルミニウム(x=1)を用いている。また、横方向に選択成長を促進させる層としては、AlxGa(1-x)N(0≦x≦1)からなる層であればよい。本実施形態では、横方向に選択成長を促進させる層として、窒化ガリウム(x=0)を用いている。このように本実施形態では、バッファ層71としては、図3(a)に示すような窒化アルミニウム層と窒化ガリウムからなる複数の層で構成した。
緩衝層72は、窒化物半導体を成膜した後において、シリコン基板の反りやクラックを緩和するための層である。従って、緩衝層72は、挿入することが望ましいが、省略しても構わない。
本実施形態において、緩衝層72は、膜厚が500nm程度のAlxGa(1-x)N(0≦x≦1)の単膜を用いることができる。その他、緩衝層72としては、AlxGa(1-x)N(0≦x<y)とAlyGa(1-y)N(x<y≦1)とで構成された超格子構造としても良い。さらに、上記のAlxGa(1-x)N(0≦x≦1)の単膜と上記の超格子構造とを複合化して構成しても良い。なお、緩衝層72を厚く成膜することができれば、緩衝層72上の窒化物半導体は高結晶化することができる他に、素子の高耐圧化に優位となるが、厚膜化によって上記の反りやクラックが発生しやすくなってしまうため、緩衝層72の膜厚は適切に設計することが好ましい。
電子走行層73は、例えばアンドープGaNからなる層である。なお、本実施形態においてアンドープとは、意図して不純物を導入していないことを示す。電子走行層73としては、キャリアをトラップする炭素原子等の不純物の混入が少ないことが望ましい。
電子供給層74は、電子走行層73よりもバンドギャップの大きな材料で構成されており、電子走行層73との界面に2次元電子ガスを発生させる。例えば、電子供給層74を、アンドープAlGaNとし、上記のように電子走行層73をアンドープGaNとすると、自発分極及びピエゾ分極の影響により、電子走行層73と電子供給層74とのヘテロ界面に2次元電子ガスが発生する。
ソース電極75S及びドレイン電極75Dは、これらの電極と接する窒化物半導体とオーミック接合しており、例えば、TiとAlとの積層構造の電極である。
ゲート電極75Gは、当該ゲート電極75Gと接する層とショットキー接合をしており、例えば、Ni層とPt層とAu層の積層構造の電極である。
このように、本発明の第5の実施形態に係る窒化物半導体装置5は、窒化物半導体層(バッファ層71)上に、電子走行層73や電子供給層74の能動層が形成されたものであり、ソース電極75S及びドレイン電極75Dを動作させることにより、電子走行層73と電子供給層74との界面に発生する2次元電子ガス中を電子が高速走行して、ドレイン電流が流れる。そして、ゲート電極75Gの電圧を制御することにより、ゲート電極75G直下の空乏層を制御することができ、2次電子ガス中を走行するドレイン電流を制御することができる。
以上、本実施形態に係る窒化物半導体装置5によれば、上記構成によって、素子の能動部位における貫通転位の密度は、選択成長マスク層20の開口部分における貫通転位80の密度と比較すると小さくなる。これにより、素子の能動部位の結晶性を向上させることができるので、素子のリーク電流を低減することができるとともに、高耐圧化を可能とすることができる。
次に、本発明の第5の実施形態に係る窒化物半導体装置5の製造方法について、図8を用いて説明する。図8は、本発明の第5の実施形態に係る窒化物半導体装置5の製造方法における各工程の構成を示した断面図である。
まず、図8(a)に示すように、第1の実施形態に係る窒化物半導体装置1と同様の工程(第1〜第5の工程)によって、シリコン基板10上に、所定のパターンの選択成長マスク層20を形成する。なお、本実施形態では、シリコン基板10は、(111)面を表面に持つ基板であって、選択成長マスク層20は、m軸に平行、すなわちシリコン基板の(1−10)面の法線に平行なストライプ状のパターンとする。
次に、選択成長マスク層20が形成されたシリコン基板10を結晶成長炉に投入し、図8(a)に示すように、シリコン基板10に接するようにして窒化物半導体層からなるバッファ層71を結晶成長させる。また、バッファ層71は、選択成長マスク層20上にも形成されるように、シリコン基板10の主面に対して水平方向にも結晶成長させる。
なお、結晶成長炉は、窒化物半導体が成膜できる炉であればよく、MBE法(分子線エピタキシー法)やHVPE法(ハイドライド気相エピタキシー法)等も用いることができるが、量産性が高く薄膜制御が行いやすいMOCVD法を用いることが望ましい。本実施形態では、以下、MOCVDを用いた場合について説明する。
結晶成長炉にシリコン基板10を投入後、H2及びN2の混合ガス雰囲気において、1200℃程度の高温でアニールを行う。次に、900℃程度まで温度を下げて、トリメチルアルミニウム(TMA)及びアンモニアガスを供給することにより、高炭素濃度の窒化アルミニウムからなる第1のバッファ層を20nmの膜厚で成膜する。次に、高炭素濃度の窒化アルミニウムを成膜した後、成長温度を1100℃に再び上昇させて、上記と同様にして、TMA及びアンモニアガスを供給し、低炭素濃度の窒化アルミニウムからなる第2のバッファ層を150nmの膜厚で成膜する。次に、横方向の選択成長を促進させるために、TMG及びアンモニアガスを供給することにより、窒化ガリウムからなる第3のバッファ層を成膜する。これにより、3層構造のバッファ層71を形成することができる。
次に、図8(b)に示すように、バッファ層71上に、緩衝層72を形成する。本実施形態では、緩衝層72として、Al0.2Ga0.8N層とAlN層からなる超格子構造の緩衝層72を膜厚が500nm程度で成膜した。
次に、図8(c)に示すように、緩衝層72上に、電子走行層73を形成する。本実施形態では、電子走行層73として、1050℃程度の温度によって膜厚が2μm程度のアンドープ窒化ガリウム層を成膜した。
次に、図8(d)に示すように、電子走行層73上に、電子供給層74を形成する。本実施形態では、電子供給層74として、1100℃程度の温度によって膜厚が50nm程度のアンドープ窒化アルミニウムガリウム層を成膜した。
以上の層を連続して成膜した後に、各層が形成されたシリコン基板10を結晶成長炉から取り出す。
次に、EB(電子ビーム)蒸着装置を用いて電子供給層74上にTiとAlを順に成膜し、リフトオフ法によって不要部分を除去することにより、図8(e)に示すように、オーミック電極としてのソース電極75S及びドレイン電極75Dを所定のパターンで形成する。
次に、ソース電極75S及びドレイン電極75Dと同様の方法で、EB蒸着装置を用いて電子供給層74上にPtとAuを順に成膜し、リフトオフ法によって不要部分を除去する。これにより、図8(f)に示すように、ソース電極75Sとドレイン電極75Dとの間に、ゲート電極75Gを所定のパターンで形成する。
以上のようにして、本発明の第5の実施形態に係る窒化物半導体装置を製造することができる。
以上、本発明に係る窒化物半導体装置およびその製造方法について、実施形態に基づいて説明してきたが、本発明は、上記の実施形態に限定されるものではない。例えば、各実施の形態に対して当業者が思いつく各種変形を施して得られる形態や、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で各実施の形態における構成要素及び機能を任意に組み合わせることで実現される形態も本発明に含まれる。
本発明に係る窒化物半導体装置及びその製造方法は、窒化物半導体層を有する電界効果トランジスタ等、窒化物半導体を備えた電子デバイスに有用である。
1、2、3、4、5 窒化物半導体装置
10、11 シリコン基板
11a 凹部
11b 凸部
20、21 選択成長マスク層
30、31、32、33:窒化物半導体層
30a 窒化アルミニウム層
30b 窒化ガリウム層
40 酸化シリコンマスク層
50 レジストマスク層
60 空隙
71 バッファ層
72 緩衝層
73 電子走行層
74 電子供給層
75S ソース電極
75D ドレイン電極
75G ゲート電極
80 貫通転位

Claims (11)

  1. シリコン基板と、
    前記シリコン基板に接するとともに前記シリコン基板上の一部分に形成された窒化シリコンからなる選択成長マスク層とを備え、
    前記選択成長マスク層が形成されていない前記シリコン基板上に、当該シリコン基板に接するように窒化物半導体層が形成されている
    窒化物半導体装置。
  2. 前記シリコン基板は凹部を有し、
    前記選択成長マスク層は、前記凹部のみに形成されている
    請求項1に記載の窒化物半導体装置。
  3. 前記窒化物半導体層は、前記選択成長マスク層上にも形成されている
    請求項1又は請求項2に記載の窒化物半導体装置。
  4. 前記選択成長マスク層の表面は、前記シリコン基板と前記窒化物半導体層とが接する接触面よりも、前記窒化物半導体層側に存在しない
    請求項1〜3のいずれか1項に記載の窒化物半導体装置。
  5. 前記選択成長マスク層と前記シリコン基板との界面を境界として、前記選択成長マスク層と前記シリコン基板との間の炭素原子濃度は一定である
    請求項1〜4のいずれか1項に記載の窒化物半導体装置。
  6. 前記選択成長マスク層は、前記シリコン基板の表面の一部分を窒化することによって形成されている
    請求項1〜5のいずれか1項に記載の窒化物半導体装置。
  7. 前記窒化物半導体層上に、窒化物半導体からなる能動層が形成されている
    請求項1〜6のいずれか1項に記載の窒化物半導体装置。
  8. シリコン基板の表面を酸化して、酸化シリコンからなる第1の層を形成する工程と、
    前記第1の層をパターニングして前記シリコン基板の表面を露出させる工程と、
    パターニングした前記第1の層をマスクとして、露出させた前記シリコン基板の表面を窒化して、窒化シリコンからなる第2の層を形成する工程と、
    前記第1の層を除去して前記シリコン基板を露出させる工程と、
    前記第1の層を除去して露出させた前記シリコン基板上に、窒化物半導体層を形成する工程と、を含む
    窒化物半導体装置の製造方法。
  9. さらに、前記第2の層を形成する工程の前に、前記シリコン基板に凹部形成する工程を含み、
    前記第2の層を形成する工程において、前記第2の層を前記凹部のみに形成する
    請求項8に記載の窒化物半導体装置の製造方法。
  10. 前記窒化物半導体層を形成する工程において、
    前記窒化物半導体層を前記第2の層上にも形成する
    請求項8又は請求項9に記載の窒化物半導体装置の製造方法。
  11. さらに、前記窒化物半導体層上に、窒化物半導体からなる能動層を形成する工程を含む
    請求項8〜10のいずれか1項に記載の窒化物半導体装置の製造方法。
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