以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。先ず、図1を参照して、本実施形態に係る玉磨き揚送装置1が設けられる遊技島台30の概略構成について説明する。図1は、遊技島台30の内部構造の概略を示す正面図である。図において、遊技島台30は、周知のように、直方体状に枠組み構成され、その長手方向側面中央に遊技機31を背向列設するようになっている。また、遊技島台30には、その中央部に揚送装置収納部32が構成され、該揚送装置収納部32内に本実施形態の要部を構成する研磨揚送装置としての玉磨き揚送装置1が収納設置されている。本実施形態に係る玉磨き揚送装置1は、後に詳述するように帯状の搬送ベルト13によって遊技媒体としてのパチンコ玉を揚送するものである。なお、詳細に図示しないが、玉磨き揚送装置1の上部には、揚送されたパチンコ玉を一時的に貯留する上部タンクが設けられ、その上部タンクから左右に補給樋33が傾斜状に設けられており、上部タンクからパチンコ玉を流下させるようになっている。補給樋33には、各遊技機31に対応して分岐装置34が設けられ、その分岐装置34によって分岐された玉が分岐装置34に接続されるスプリングホース35と賞球補給装置36とを介して各遊技機31に供給される。
一方、各遊技機31から排出される使用済玉は、周知のように計数機能を有するアウト玉回収箱37(以下、これをアウト玉計数装置37ともいう)から下方に排出される。アウト玉回収箱37から排出されたパチンコ玉は、アウト玉誘導レール38や貯留タンク39を介して玉磨き揚送装置1の導入樋7に誘導され、その後は、上記したように玉磨き揚送装置1によって上部に研磨揚送される。つまり、パチンコ玉は、遊技島台30の内部を循環して使用されている。
また、上記した遊技島台30は、遊技場に複数配置されるものであるが、このような複数の遊技島台30のうちの所定の遊技島台30には、遊技客が獲得したパチンコ玉を当該遊技島台30の貯留タンク39に返却するための玉返却装置40がその島端(必ずしも島端でなくてもよい、例えば、島中央)に設けられている。また、遊技島台30の両端外部には、貯留タンク39内の貯留量を報知する等の各種表示機能を有する表示装置41が設けられ、遊技島台30の内部には、当該遊技島台30の全体を制御する島コントロール基板42と、当該遊技島台30内の玉磨き揚送装置1を制御する島設備制御基板43と、が設けられている。
次に、本実施形態の要部を構成する玉磨き揚送装置1の全体の構成について、図2乃至図11を参照して説明する。図2は、玉磨き揚送装置1を後方から見た斜視図であり、図3は、ガイドレール11に取り付けられた巻取装置60を示す斜視図であり、図4は、巻取装置60からロール状に巻き取られた研磨ベルト20を取り外す状態を示す斜視図であり、図5は、巻取装置60の駆動部から見た側面図であり、図6は、研磨ベルト20の終端部の係合凹部94が停止装置160の位置まで移動した状態の玉磨き揚送装置1を示す斜視図であり、図7は、使用済の研磨ベルト20の終端部と未使用の研磨ベルト20の始端部とがベルト結合部材91を介して結合された状態の玉磨き揚送装置1を示す斜視図であり、図8は、研磨ベルト20の結合部分が巻取装置60の位置まで移動した状態の玉磨き揚送装置1を示す斜視図であり、図9(A),(B)は、それぞれ使用済の研磨ベルト20と未使用の研磨ベルト20とがベルト結合部材91を介して結合される状態を示す説明図であり、図10は、引張装置110を開放した状態を示す斜視図であり、図11は、停止装置160を開放した状態を示す斜視図である。
図2において、玉磨き揚送装置1は、正方形状に形成された支持台2の上部に角筒状の揚送筒本体3が垂直状に立設され、揚送筒本体3の長手方向の外周を、下部に支持される下部ローラ4と調節ナット17によって締着軸支される上部ローラ(図示しない)との間に掛け渡される革製の搬送ベルト13が周回するようになっている。また、揚送筒本体3の内部には、複数の中間ローラ(図示しない)が適宜間隔をおいて上下方向に並んで回転自在に軸支され、中間ローラの一部が揚送筒本体3の上昇側面から外に突出して、搬送ベルト13を案内支持している。また、下部ローラ4は、詳細には図示しないが、比較的大きな直径の円筒状ローラとして構成され、電流が供給されると円筒状のローラが回転して、搬送ベルト13を周回駆動するものである。
この下部ローラ4の下方には、図示右側に揚送前のパチンコ玉が導入される導入樋7が固着され、図示左側に導入されたパチンコ玉を揚送筒本体3の下端部まで移動させる流入円弧樋5が固着されている。なお、導入樋7及び流入円弧樋5の内側には、図示しないが、導入されたパチンコ玉を複数列に整列させる溝が形成されている。また、上記した導入樋7及び流入円弧樋5の取付構造は、その一端が僅かに移動し得るように取付板8,6にそれぞれ止着され、その他端が前記支持台2に植立される支持ピン18にスプリング(図示しない)を介して摺動自在に軸支されている。即ち、導入樋7の下端及び流入円弧樋5の下端は、支持ピン18に挿通されて調節ナット(図示しない)によって抜けないように止着されているが、常に支持ピン18に介装されるスプリングによって上方に付勢されている。しかして、調節ナットの締着度合によって搬送ベルト13と導入樋7及び流入円弧樋5との間の微妙な間隔を調整することができ、その間隔を調整することにより、パチンコ玉のスムーズな移動を可能にすることができる。
また、下部ローラ4の上部の揚送筒本体3には、搬送ベルト13に張力を付与する複数のテンションローラ14,15,16が回転自在に軸支されている。特に、第2テンションローラ15は、スプリング(図示しない)を介して取りつけられているので、そのスプリングの付勢力によって搬送ベルト13に対して常に一定の張力を与えることができる。また、下部ローラ4と各テンションローラ14,15,16とは、ほぼ上下の位置関係にあり、搬送ベルト13が装着されたときに、下部ローラ4は搬送ベルト13の内側に位置し、第3テンションローラ16は、搬送ベルト13の外側に、第2テンションローラ15は、搬送ベルト13の内側に、第1テンションローラ14は、搬送ベルト13の外側に、それぞれ位置するようになっている。
ところで、揚送筒本体3の背面側には、縦長方形状のガイドレール11が一側辺を軸支されて開閉自在に取り付けられている。ガイドレール11は、搬送ベルト13と対面して揚送される玉を研磨する研磨ベルト20がその前面の全長に渡って周回装着されるものである。そして、主として研磨ベルト20を玉磨き揚送装置1に装着する際に開放されると共に、研磨ベルト20自体がガイドレール11の表面に搬送ベルト13と対面するように周回して装着される。また、研磨ベルト20が装着されたときには、係止金具12によってガイドレール11を揚送筒本体3に対面させた状態で固定支持されているものである。なお、係止金具12は、ガイドレール11と揚送筒本体3との間の間隔を調節し得るようになっており、この調節により搬送ベルト13と研磨ベルト20とによるパチンコ玉の挟持力を常に最適な強さに調節することができるようになっている。研磨ベルト20は、その玉磨き能力を発揮させるために、比較的織目の粗い布で構成されている。
しかして、上記のように、係止金具12により揚送筒本体3に対面してガイドレール11を取り付けた状態において、導入樋7に導入されたパチンコ玉は、流入円弧樋5を経由して、搬送ベルト13と研磨ベルト20とに挟持されて研磨されながら揚送され、揚送筒本体3の上方に固着されて玉を吐き出し方向に屈曲する上部屈曲樋9を経由して、排出樋10からきれいにされたパチンコ玉が排出される。
また、上記したガイドレール11の背面側には、本発明に係る研磨ベルト移動装置を構成する巻取機構部22及び装着機構部23が設けられている。巻取機構部22は、使用済の研磨ベルト20の上端を引っ張るための引張装置110と、使用済の研磨ベルト20をロール状に巻取り収納するための巻取装置60と、から構成されている。また、装着機構部23は、研磨ベルト20が移動しないよう研磨ベルト20の下端を挟持しておくための停止装置160と、未使用の研磨ベルト20を収納するための収納装置19と、から構成されている。この巻取機構部22及び装着機構部23の構成及び作用について、以下、詳細に説明する。なお、収納装置19は、未使用のロール状にまるめられた研磨ベルト20を載置収納するだけのボックスであるため、以下には詳細に説明しないが、その設置箇所は、後述するガイドレール11の開閉位置よりも低い床面に設置されている。
先ず、巻取機構部22を構成する巻取装置60について、図3乃至図8を参照して説明する。
巻取装置60は、ガイドレール11の裏面中央部に取り付けられ、図3に示すように、板金により一側面が開放された箱状に形成されると共に、内部に使用済の研磨ベルト20が巻き取られた状態で収納される。巻取装置60は、当該巻取装置60の基体をなすベース部材61と、該ベース部材61の外側に取り付けられるプーリ85,86やスリップベルト87等を保護するための保護カバー62と、巻取装置60で巻き取られた研磨ベルト20を取り出す際に開く開閉カバー63と、研磨ベルト20を巻取るための巻取軸64と、研磨ベルト20を巻取る際に研磨ベルト20の両側方の端面を揃えるためのサイドカバー65,66と、から構成されている。
ベース部材61は、全周が同方向に折り曲げられて壁面が形成され、この壁面により一側面が開放した箱状に形成されている。このベース部材61の一側方(図3の右側)には、取付ネジ72aにより取り付けられたヒンジ72を介して、開閉カバー63が開閉自在に取り付けられている。ベース部材61の上方壁面の表面で右側端面には固定磁石71が取付ネジ71aにより取り付けられているため、開閉カバー63が閉塞された際に、開閉カバー63が固定磁石71に吸着され、開閉カバー63がベース部材61に固定されることとなる。また、壁面のうち開閉カバー63側の壁面には、図4に示すように、巻き取られた研磨ベルト20及びサイドカバー65が抜き取れる程度の大きさの切り欠き68が、壁面のほぼ中央部に形成されている。
また、ベース部材61の他側方(図3の左側)には、駆動プーリ85,従動プーリ86及びスリップベルト87から構成される駆動部がベース部材61の外側で形成され、この駆動部を保護するための保護カバー62が取付ネジ62aにより着脱自在に取り付けられている。また、ベース部材61の保護カバー62側壁面の上部には、ギアヘッド69を介してモータ70が装着されており、図5に示すように、ギアヘッド69の出力軸82には、駆動プーリ85が軸着されている。このギアヘッド69は、ベース部材61の壁面に穿設された取付長穴84に挿通した取付ネジ84aにより取り付けられ、出力軸82が同じくベース部材61の壁面に穿設された出力軸挿通穴83に挿通されている。この取付長穴84及び出力軸挿通穴83は、上下方向に長く穿設されているため、取付長穴84及び出力軸挿通穴83の長さの範囲内でギアヘッド69の上下方向の取付位置を調節し、スリップベルトの張りを調整することができる。また、ベース部材61の保護カバー62側壁面の上下方向ほぼ中央には、軸受け(図示しない)を介して巻取軸64が軸支されている。巻取軸64の保護カバー62側の軸端には、従動プーリ86が軸着されている。
駆動プーリ85と従動プーリ86との間には、ゴム等の伸縮性があり、比較的摩擦係数の大きい材料で形成されるスリップベルト87が掛け渡されている。このスリップベルト87は、その断面が円形状であり、また、駆動プーリ85及び従動プーリ86の外周の断面形状は、半円形状である。このため、タイミングベルトとタイミングプーリのように凹凸を係合させて回転を伝達するものではなく、スリップベルト87と駆動プーリ85及び従動プーリ86との間の摩擦力によって回転を伝達するものである。
しかして、モータ70を回転させることにより、モータ70の回転がギアヘッド69の出力軸82に出力されて駆動プーリ85を回転させ、駆動プーリ85の回転が駆動プーリ85とスリップベルト87との摩擦力によってスリップベルト87を回動させる。さらに、スリップベルト87の回動がスリップベルト87と従動プーリ85との摩擦力によって従動プーリ85を回転させ、従動プーリ85が回転することにより、巻取軸64が回転することとなる。
また、ベース部材61の背面側には、取付片67が左右2箇所取り付けられている。この取付片67には、巻取装置60をガイドレール11に取り付けるための取付ネジ(図示しない)が挿通する取付溝81が形成されている。しかして、取付片67をガイドレール11を挟持するように差し込んで、取付溝81をガイドレール11の側面に螺合される取付ネジに係止した後、その取付ネジを締め付けることにより巻取装置60がガイドレール11に固定されることとなる。
また、開閉カバー63は、板金により台形形状に形成されるものであり、前述のように、ベース部材61に対してヒンジ72により開閉自在に取り付けられている。この開閉カバー63の上下方向ほぼ中央で、巻取軸64の端部に対応する位置には、U字状の切り欠き部が形成され、この切り欠き部の形状とほぼ同形状の凹部を有する軸受け台74が、取付ネジ74aにより開閉カバー63に取り付けられている。このとき、切り欠き部と軸受け台74の凹部とが重なるように軸受け台74が取り付けられている。また、この軸受け台74の斜め上方には、開閉カバー63を開閉する際に用いる取っ手73が取付ネジ73aにより取り付けられている。
巻取軸64は、鋼製の棒材により形成されるものであり、前述のように、軸受けを介してベース部材61の保護カバー62側壁面に回転自在に取り付けられている。この巻取軸64は、図示しないが、軸受け近傍の径が研磨ベルト20巻取部分の径よりも大きく形成されており、段付き形状となっている。この巻取軸64の研磨ベルト20巻取部分の軸上には、研磨ベルト20を巻取るきっかけの役目をする係止片78が、巻取軸64の前記段付き部分に当接して、止めネジ78aにより巻取軸64の研磨ベルト20巻取部分を覆うように固定されている。この係止片78は、円筒形状に形成されるものであり、その径は、巻取軸64の軸受け近傍部分の径とほぼ同じ径寸法で形成されている。また、係止片78の開閉カバー63側端部の一部が軸方向に突出して凸部を形成しており、この凸部下面と巻取軸64との間には、隙間が形成されている。一方、巻取軸64の軸受け近傍部分の外周には、V字状の溝(図示しない)が形成されているが、これは、巻取軸64に前記サイドカバー66を装着するためのものである。
サイドカバー66は、取付ネジ79aによりサイドカバー取付部材79に取り付けられるものであるが、このサイドカバー取付部材79の中心には、巻取軸64の軸受け近傍部分を挿通するための挿通穴が穿設されている。この挿通穴の壁面には、3カ所にボールベアリング(図示しない)の先端が突出しており、このボールベアリングは、サイドカバー取付部材79内に埋設されているものである。また、このボールベアリングは、サイドカバー取付部材79内に埋設されたスプリングによって挿通穴側に向かって押圧されており、先端に圧力を加えることにより、サイドカバー取付部材79内に埋没するものである。
しかして、巻取軸64の軸受け近傍部分にサイドカバー66の装着されたサイドカバー取付部材79を挿入した際、ボールベアリングが巻取軸64の軸受け近傍部分に押圧されてサイドカバー取付部材79内に埋没する。そして、一旦サイドカバー取付部材79内に埋没したボールベアリングは、巻取軸64の軸受け近傍部分の前記V字状溝の位置で再び挿通穴壁面上に突出してV字状溝に嵌合することとなる。このようにして、サイドカバー取付部材79が巻取軸64に対して取り付けられるが、サイドカバー取付部材79は、巻取軸64に対して固着されるものではないため、サイドカバー66は、巻取軸64に対して回転自在であり、また、着脱自在である。
なお、サイドカバー66は、アクリル等の樹脂材料により円形形状に形成されるものである。また、巻取軸64の開閉カバー63側の先端部近傍には、V字状の溝(図示しない)が巻取軸64の周回に亘って形成されており、これは、巻取軸64にサイドカバー65を装着するためのものである。サイドカバー65は、サイドカバー66と同様、アクリル等の樹脂材料により円形形状に形成されるものであり、取付ネジ(図示しない)によりサイドカバー取付部材76に取り付けられるものである。
しかして、サイドカバー66を巻取軸64の軸受け近傍部分に装着する場合と同様に、巻取軸64にサイドカバー65の装着されたサイドカバー取付部材76を挿入した際、前記ボールベアリングが巻取軸64に押圧されてサイドカバー取付部材76内に埋没する。そして、一旦サイドカバー取付部材76内に埋没したボールベアリングは、巻取軸64先端部の前記V字状溝の位置で再び挿通穴壁面上に突出してV字状溝に嵌合することとなる。このようにして、サイドカバー取付部材76が巻取軸64に対して取り付けられるが、サイドカバー取付部材76は、巻取軸64に対して固着されるものではないため、サイドカバー65は、巻取軸64に対して回転自在であり、また、着脱自在である。
また、サイドカバー取付部材76には、ベアリング77を介して軸受け75が回転自在に取り付けられている。この軸受け75は、径の異なる円盤が複数個重なったような形状に形成されており、先端に形成された最も径の小さい部分の径寸法は、軸受け台74の凹部の径寸法よりもやや小さい程度に形成されている。しかして、巻取軸64にサイドカバー65を取り付け、開閉カバー63を閉塞した場合、軸受け75の前記先端部分が開閉カバー63に取り付けられた軸受け台74の凹部に嵌入し、巻取軸64を支持することとなる。
以上のように構成される巻取装置60ヘの研磨ベルトの着脱方法及び作用について説明する。先ず、巻取装置60側方の開閉カバー63を開放し、巻取軸64からサイドカバー65を抜き取る。巻取軸64からサイドカバー65を抜き取った後、研磨ベルト20の端部に形成された嵌挿部80を巻取軸64に挿入する。なお、研磨ベルト20の幅寸法は、嵌挿部80側へ向かうに従い徐々に小さくなっている。研磨ベルト20を巻取軸64に挿入した際、図3に示すように、嵌挿部80を係止片78に形成された前記凸部と巻取軸64との隙間に挿入し、嵌挿部80の側方端部が係止片78に当接するまで嵌挿部80を保護カバー62側へ押圧することにより、研磨ベルト20が巻取軸64に取り付けられる。嵌挿部80に研磨ベルト20を取り付けた後、サイドカバー65を巻取軸64に取り付け、開放してあった開閉カバー63を閉塞することにより、前述のように、開閉カバー63の軸受け台74が軸受け75に嵌入し、巻取軸64が支持され、巻取装置60に研磨ベルト20が装着される。
上記したように巻取装置60に研磨ベルト20を装着した後、モータ70を回転駆動させることにより、回転が前記駆動プーリ85,スリップベルト87及び従動プーリ86を介して巻取軸64に伝達され、巻取軸64が回転する。このとき、巻取軸64の回転方向は、開閉カバー63側から見て時計方向に回転することとなる。巻取軸64が回転した際、係止片78も同時に回転することとなるが、係止片78が回転すると係止片78先端の凸部が研磨ベルト20の嵌挿部80を係止して回転するため、研磨ベルト20が巻取軸64に巻き取られていくことになる。このように、研磨ベルト20を巻取る際の研磨ベルト20の取付作業は、巻取軸64に研磨ベルト20の嵌挿部80を嵌挿するだけで完了するため簡単に行うことができる。また、巻取軸64の回転に従い、研磨ベルト20が次第に巻き取られるが、巻取軸64の両側方には巻取軸64と共に回転するサイドカバー65,66が装着されているため、このサイドカバー65,66により研磨ベルト20の両側方の端部が揃えられながら巻き取られることとなる。このとき、巻取軸方向にずれたままロール状に巻き取られた研磨ベルト20の側端部がサイドカバー65,66に接触しても、サイドカバー65,66もロール状の研磨ベルト20と共に回転するため、ロール状の研磨ベルト20とサイドカバー65,66との間の摩擦抵抗を少なくすることができ、モータ70に負担がかかることを防止して研磨ベルト20の巻取作業をスムーズに行うことができる。
なお、研磨ベルト20がロール状に巻き取られるに従って、そのロール径は次第に大きくなっていくため、モータ70の回転が一定の場合は、研磨ベルト20の巻取量も次第に多くなっていく。ところが、前記引張装置110が研磨ベルト20を引っ張って巻取装置60へ送出する量は一定であるため、巻取装置60の研磨ベルト20の巻取量が引張装置110の研磨ベルト20の引張量を超えた場合には、巻取装置60で巻取る研磨ベルト20の量が不足してしまう。この場合、タイミングベルトのようにプーリとベルトの噛み合いによってモータ70の回転を伝えるものであるとモータ70に大きな負荷がかかり、モータ70が停止してしまい、モータ70に負荷がかかってしまう。しかし、前述したように、モータ70の回転の巻取軸64への伝達は、駆動プーリ85及び従動プーリ86とスリップベルト87との間の摩擦力によって行うものであるため、巻取装置60の研磨ベルト20の巻取量が引張装置110の研磨ベルト20の引張量を超えた場合には、スリップベルト87が駆動プーリ85あるいは従動プーリ86に対してスリップする。このため、モータ70は停止することがなく、モータ70に負荷がかかることがない。また、巻き取られた研磨ベルト20を巻取装置60から取り外すには、研磨ベルト20の装着作業の手順と逆に、即ち、開閉カバー63を開放した後、サイドカバー65を取り外し、巻き取られた研磨ベルト20を手前に引き出すことにより、容易に研磨ベルト20を取り外すことができる。
さらに、本実施形態の巻取装置60には、図6乃至図8に示すように、研磨ベルト状態検出手段及びベルト結合部検出手段としてのベルト結合部検知センサ90が設けられている。ベルト結合部検知センサ90は、研磨ベルト20のロール交換時に使用済の研磨ベルト20の終端部と未使用の研磨ベルト20の始端部とを一時的に結合するベルト結合部材91に設けられるICタグ93のIC情報を読み込むためのICタグリーダから構成されている。ベルト結合部材91は、ほぼ正方形状の面ファスナー布から構成されており、その両面には、図9(A),(B)に示すように、それぞれ面ファスナー凸となる係合凸部92が設けられている。また、面ファスナー布からなるベルト結合部材91の内部には、そのほぼ中央位置にIC情報を記憶したICタグ93が内蔵されている。一方、研磨ベルト20の始端部及び終端部は、前述したように研磨ベルト20を巻取装置60の巻取軸64に取り付けるための嵌挿部80が設けられるものであるが、該嵌挿部80を構成する研磨ベルト20の凸状部分の一方面には、ベルト結合部材91の係合凸部92(面ファスナー凸)と係合する面ファスナー凹の係合凹部94(係合部)が設けられている(図6参照)。
しかして、玉磨き揚送装置1に装着される研磨ベルト20は、パチンコ玉の研磨によって使用済となった部分が巻取装置60で順次巻き取られ、最終的に、終端部(嵌挿部80)の係合凹部94が停止装置160の位置まで移動すると、この状態(図6に示す状態)で従業員による研磨ベルトのロール交換作業が行われる。具体的には、停止装置160の位置まで移動した使用済の研磨ベルト20の終端部に設けられた係合凹部94に対して、ベルト結合部材91の一方面の係合凸部92が係合して取り付けられ、当該ベルト結合部材91の他方面の係合凸部92に対して、未使用の研磨ベルト20の始端部(嵌挿部80)に設けられた係合凹部94が係合して取り付けられる(図9(A),(B)参照)。これにより、使用済の研磨ベルト20の終端部と未使用の研磨ベルト20の始端部とがベルト結合部材91を介して結合されるようになっている(図7参照)。そして、このような研磨ベルト20の結合状態で、巻取装置60による研磨ベルト20の巻き取りが行われ、研磨ベルト20の結合部分(ベルト結合部材91)が巻取装置60の位置まで移動すると(図8参照)、巻取装置60に設けられたベルト結合部検知センサ90(ICタグリーダ)がベルト結合部材91に内蔵されたICタグ93のIC情報を読み込むようになっている。なお、ベルト結合部検知センサ90によって読み込まれるIC情報は、後述する研磨ベルト20の巻取り処理において巻取装置60を駆動制御するために用いられるデータであり、結合部分(ベルト結合部材91)の検知において、機械式の検知方法等のようにベルト結合部材91乃至研磨ベルト20をベルト結合部検出手段(ベルト結合部検知センサ90)に直接接触させる必要がない。このため、ベルト結合部検出手段に対して押圧力等の外力を加えることがなく、結果として、外力によってベルト結合部検出手段が故障することを回避できる。また、IC情報の読み込みに基づく巻取装置60の駆動制御については後で詳述する。
次に、巻取機構部22を構成する引張装置110について、図10を参照して説明する。引張装置110は、ガイドレール11の裏面中央部よりやや上方に取り付けられている。この引張装置110は、図10に示すように、モータ123及び主ローラ125(駆動ローラ)が固着される取付主体111と、該取付主体111に対して取付ネジ151で固着される支軸(図示しない)を中心として開閉自在に設けられ且つ圧接ローラ144,145が揺動自在に取り付けられる開閉カバー体112と、から構成され、開閉カバー体112を開放した状態で研磨ベルト20を主ローラ125の前面側に垂らした後、開閉カバー体112を閉じて係止金具120によって施錠することにより研磨ベルト20を主ローラ125と圧接ローラ144,145とで蛇行状に挟持する構造となっている。
取付主体111は、取付主体111の基体をなす主基体113に、各部品が集約して取り付けられるものである。主基体113は、両側方が同方向に直角に曲げられて壁面を形成すると共に、両壁面の上下端もそれぞれ外側に向かって曲げられている。主基体113の開放側(図10の右側)壁面の上下端には、三方を折り曲げて構成される取付板114が取付ネジ122により取り付けられている。この取付板114の開閉カバー体112側に位置する折り曲げ部が調節ネジ当接部121を形成している。また、取付板114の外側面上下には、引張装置110を閉塞したときに、閉塞した状態で固定させるための係止金具120が取り付けられている。
一方、主基体113の支点側(図10の左側)壁面の上部には、ギアヘッド124を介してモータ123が装着されており、同じく支点側壁面の下部には、ベアリング126を介して主ローラ125が軸支されている。なお、ベアリング126は、図示しないが、開放側壁面にも装着されており、主ローラ125は、これら両側方のベアリング126によって軸支されている。また、ギアヘッド124には、出力軸(図示しない)が主基体113の支点側壁面の外側に突出しており、この出力軸の軸端には、駆動プーリ127が固着されている。また、主ローラ125を軸支するシャフト(図示しない)が、主基体113の支点側壁面の外側に突出しており、このシャフトの軸端には、従動プーリ128が固着されている。そして駆動プーリ127と従動プーリ128との間には、タイミングベルト129が掛け渡されている。従って、モータ123が駆動されることにより、駆動プーリ127、タイミングベルト129、及び従動プーリ128を経由して駆動力が伝達され、主ローラ125が回転駆動せしめられることとなる。なお、主ローラ125の外周には、研磨ベルト20との摩擦力を強めるためにダイヤカット加工が施されている。
また、主基体113の背面側上部には、研磨ベルト20を挿通するためのガイド部材115が左右対称に設けられている。このガイド部材115は、上方部分が断面コの字状に折り曲げられて折曲部116が形成され、このコの字状部分に研磨ベルト20が挿通し、研磨ベルト20を左右からガイドするものである。また、このガイド部材115の下方には、L字状の連結片(図示しない)が主基体113の左右に取り付けられている。この連結片の起立した面には、上下2箇所のスライド長穴(図示しない)が穿設されており、このスライド長穴は、取付片117に対して主基体113を上下摺動可能に取り付けるためのものである。この取付片117は、断面コの字状に形成され、その折り曲げ部分には、引張装置110全体をガイドレール11に取り付けるための取付ネジ(図示しない)が挿通する取付溝119及び取付長穴(図示しない)が形成されている。また、取付片117の折り曲げ部分の内側寸法は、ガイドレール11の幅寸法とほぼ同じ間隔で形成されている。この取付片117の主基体113側の面には、やはり断面コの字状に形成される連結部材118が接合されており、この連結部材118の起立した面には、ネジ穴(図示しない)が上下2箇所穿設されている。しかして、前記連結片に穿設されたスライド長穴に取付ネジを挿通し、この取付ネジを連結部材118のネジ穴に螺着することにより、取付片117が主基体113に対して取り付けられることとなる。このとき、上記したように、主基体113は、取付片117に対してスライド長穴の長さ分だけ上下方向にスライド可能な状態に取り付けられる。
しかして、取付片117をガイドレール11を挟持するように差し込んで、取付片117に形成される取付溝119をガイドレール11の側面に螺合されるボルト(図示しない)に係止した後、そのボルトを締め付けることにより引張装置110がガイドレール11に固定されることとなる。このとき、前述のように、取付片117に対して主基体113が上下摺動可能に取り付けられているため、引張装置110は、ガイドレール11に対してスライド長穴の長さ分だけ上下摺動自在に取り付けられることとなる。
一方、開閉カバー体112は、開閉カバー体112の基体をなすカバー基体140に、各部品が集約して取り付けられるものである。カバー基体140は、後方が開放したボックス状に形成され、その内側面の左右方向ほぼ中央の上下2箇所に支持部材143が固着されている。この2箇所の支持部材143の間には、ローラ取付板141が、支持部材143に挿通される支軸142によって揺動自在に軸支されている。このローラ取付板141は、一面が開放したボックス状に形成され、開放面側には、ゴム製の円柱材で形成された圧接ローラ144,145が回転自在に軸支されている。また、ローラ取付板141の両側面で、圧接ローラ144と圧接ローラ145との間には、開閉カバー体112を閉塞した場合に主ローラ125が位置する主ローラ嵌入部146が形成されている。
また、一方の圧接ローラ144には、ビス(図示しない)が埋設されており、これに対応してローラ取付板141の底面部には、研磨ベルト状態検出手段及び研磨ベルト移動量検出手段としてのスリップ検知センサ147がセンサ台148を介して取り付けられている。カバー基体140の開放側端部の上下には、開閉カバー体112を閉じた際に係止金具120が係合する係止片149が、取付ネジ150により取り付けられている。そして、開閉カバー体112を取付主体111に対して閉じた状態においては、主ローラ125の斜め上下に圧接ローラ144,145が位置している。
また、カバー基体140の開放側端部の上下には、開閉カバー体112を閉塞した際の、開閉カバー体112の端部と取付主体111の端部との隙間を調整するための調節ネジ(図示しない)が設けられている。この調節ネジは、開閉カバー体112端部に穿設されたネジ穴(図示しない)に螺着されるものであり、開閉カバー体112を閉塞した際に、調節ネジの先端部分が取付主体111の前記調節ネジ当接部121に当接するようになっている。また、調節ネジのネジ頭とカバー基体140との間には、調節ネジを固定するための固定ナット(図示しない)が調節ネジに螺合している。
上記のように構成される引張装置110では、任意の厚さの研磨ベルト20をその厚さに応じて開閉カバー体112と取付主体111との隙間寸法を適正に調整しながら引張装置110に装着することができるが、以下にその手順について説明する。先ず、開閉カバー体112を開放し、調節ネジを固定している固定ナットを緩めた後、調節ネジをカバー基体140から外れない程度に十分に緩める。次に、研磨ベルト20を取付主体111の主ローラ125の前面側に垂らした後、開閉カバー体112を係止金具120で閉塞する。開閉カバー体112を閉塞した状態で、調節ネジの先端が調節ネジ当接部121に当接するまで調節ネジを締め込む。調節ネジの先端が調節ネジ当接部121に当接した位置で、緩めてあった固定ナットを締め付けて調整ねじを固定する。これにより、挟持した研磨ベルト20の厚さに応じた、開閉カバー体112と取付主体111との隙間寸法が決定する。そして、係止片149に係止金具120を係止させるだけで開閉カバー体112が取付主体111に固定され、研磨ベルト20が引張装置110に最適な状態で装着されることとなる。このとき、挟持される研磨ベルト20が厚さの薄いものの場合には、開閉カバー体112と取付主体111との隙間寸法は小さくなり、調節ネジは、深く締め込まれることがない。一方、挟持される研磨ベルト20が厚さの厚いものの場合には、開閉カバー体112と取付主体111との隙間寸法は大きくなり、調節ネジが深く締め込まれることとなる。このように、調節ネジの締め込みの程度により、任意の厚さの研磨ベルト20を装着することができる。
ここで、前述のように、厚さの厚い研磨ベルト20を挟持した場合、取付主体111に対して開閉カバー体112が角度を持って固定されることになる。このため、従来品のような圧接ローラ144,145が開閉カバー体112に対して平行に固着されている場合、圧接ローラ144,145が主ローラ125に対して角度を持って固定されてしまうことになる。この状態で研磨ベルト20を送出した場合、研磨ベルト20全体に均等に圧力がかからないため、研磨ベルト20が左右方向にずれてしまう。しかし、本実施形態における圧接ローラ144,145は、開閉カバー体112に対し揺動自在に軸支されているため、取付主体111に対して開閉カバー体112が角度を持って固定された場合でも、開閉カバー体112を閉塞した際、圧接ローラ144,145は、主ローラ125に追従し、主ローラ125に対して平行に押圧されることとなる。このため、研磨ベルト20を送出した場合、研磨ベルト20全体に均等に圧力が加わり、研磨ベルト20が左右方向にずれることがない。
上記のように構成される引張装置110は、後述する停止装置160が非停止状態となっているときに、モータ123が回転状態になると、主ローラ125と圧接ローラ144,145とによって蛇行状に挟持される研磨ベルト20が各ローラ125,144,145の圧接力により研磨ベルト20を引っ張って下方に移動させることとなる。このとき、圧接ローラ144に埋設されたビスの回転をスリップ検知センサ147で検出することにより、圧接ローラ144の回転数を検知し、回転数所定値以上になる、もしくは、モータ123の回転時間が所定時間以上になったらモータ123を停止状態にすることができる。この圧接ローラ144の回転数が所定値以下でモータ123が停止した場合には、スリップ等により研磨ベルト20が正常に引っ張られていない場合であるので、その異常信号は外部に出力され、引張装置110の異常を報知するようになっている。なお、このような引張装置110の圧接ローラ144及びスリップ検知センサ147によって、研磨ベルト20の巻取り量を算出する研磨ベルト移動量検出手段が構成されている。
次に、装着機構部23を構成する停止装置160について、図11を参照して説明する。停止装置160は、ガイドレール11の裏面下部に取り付けられている。この停止装置160は、図11に示すように、電磁クラッチ機構172及び主ローラ170が固着される取付主体161と、該取付主体161に対して取付ネジ201で固着される支軸(図示しない)を中心として開閉自在に設けられ且つ圧接ローラ195,196が揺動自在に軸支される開閉カバー体162と、から構成され、開閉カバー体162を開放した状態で研磨ベルト20を主ローラ170の前面側に垂らした後、開閉カバー体162を閉じて係止金具173によって施錠することにより研磨ベルト20を主ローラ170と圧接ローラ195,196とで蛇行状に挟持する構造となっている。
取付主体161は、主ローラ170をそのほぼ中央に水平状に軸支される主基体163と、電磁クラッチ機構172を被覆する支持基体164とから構成されている。主基体163は、主ローラ170を水平方向に軸支するためにその両サイドに軸支側板175,176を有し、その一方の軸支側板175の裏面に電磁クラッチ機構172がビス止めされると共に、該電磁クラッチ機構172を被覆するようにコ字状に形成された支持基体164が軸支側板175の上下に外側に向かって突設される取付片に取付ネジ165で止着固定されている。また、他方(開放側)の軸支側板176には、係止金具173が設けられている取付板166が該軸支側板176の上下に外側に向かって突設される取付片に取付ネジ167で止着固定されている。さらに、軸支側板176の前方には、調節ネジ当接部168が外側に向かって突設されている。この軸支側板176と取付板166との間には、空間が形成されるが、この空間内には、主ローラ170の一方の端部が突出して収納されている。
また、主基体163の軸支側板175,176には、そのほぼ中央にベアリング171が固着され、そのベアリング171に主ローラ170が回転自在に軸支されている。主ローラ170の他端は、軸支側板175のベアリング171を貫通して電磁クラッチ機構172に連結されている。この電磁クラッチ機構172は、通電時に主ローラ170の回転が許容されるようになっており、非通電時に主ローラ170の回転が禁止されるようになっている。なお、主ローラ170は、金属製の円柱材によって形成され、その外周面にダイヤカット等の加工が施されて研磨ベルト20を圧着したときに、その間の摩擦力が大きくなるようになって研磨ベルト20の移動を確実に防止するようになっている。
さらに、主基体163には、その裏面側に一対の取付片169が突設されている。この一対の取付片169の内側寸法は、ガイドレール11の横幅寸法とほぼ同じ間隔で形成され、該取付片169をガイドレール11を挟持するように差し込んで、取付片169のほぼ中央に形成される取付溝174をガイドレール11の側面に螺合される取付ネジ(図示しない)に係止した後、その取付ネジを締着することにより、停止装置160をガイドレール11に固定している。なお、主基体163の上辺は、内側に折り曲げられており、その前方に研磨ベルト20が挿入される研磨ベルト挿入部が構成されるが、この研磨ベルト挿入部の間隔は、極めて小さく形成され、例えば、上方から落下するパチンコ玉や大きめの異物等が停止装置160の内部に侵入しないようにして停止装置160の作動状態が長期間に亘ってスムーズに行われるようになっている。
一方、開閉カバー体162は、開閉カバー体162の基体をなすカバー基体190に、各部品が集約して取り付けられるものである。カバー基体190は、後方が開放したボックス状に形成され、その内側面の左右方向ほぼ中央の上下2箇所に支持部材(図示しない)が固着されている。この2箇所の支持部材の間には、ローラ取付板194が、支持部材に挿通される支軸(図示しない)によって揺動自在に軸支されている。このローラ取付板194は、一面が開放したボックス状に形成され、開放面側には、ゴム製の円柱材で形成された圧接ローラ195,196が回転自在に軸支されている。また、ローラ取付板194の両側面で、圧接ローラ195と圧接ローラ196との間には、開閉カバー体162を閉塞した場合に主ローラ170が位置する主ローラ嵌入部197が形成されている。そして、開閉カバー体162を取付主体161に対して閉じた状態においては、主ローラ170の斜め上下に圧接ローラ195,196が位置している。
また、開閉カバー体162の開放側端部の上下には、開閉カバー体162を閉塞した際の、開閉カバー体162の端部と取付主体161の端部との隙間を調整するための調節ネジ202が設けられている。この調節ネジ202は、開閉カバー体112端部に穿設されたネジ穴(図示しない)に螺着されるものであり、開閉カバー体162を閉塞した際に、調節ネジ202の先端部分が取付主体161の調節ネジ当接部168に当接するようになっている。また、調節ネジ202のネジ頭とカバー基体190との間には、調節ネジ202を固定するための固定ナット203が調節ネジ202に螺合している。
上記のように構成される停止装置160では、任意の厚さの研磨ベルト20をその厚さに応じて開閉カバー体162と取付主体161との隙間寸法を適正に調整しながら停止装置160に装着することができるが、以下にその手順について説明する。先ず、開閉カバー体162を開放し、調節ネジ202を固定している固定ナット203を緩めた後、調節ネジ202をカバー基体190から外れない程度に十分に緩める。次に、研磨ベルト20を取付主体161の主ローラ170の前面側に垂らした後、開閉カバー体162を係止金具173にて閉塞する。開閉カバー体162を閉塞した状態で、調節ネジ202の先端が調節ネジ当接部168に当接するまで調節ネジ202を締め込む。調節ネジ202の先端が調節ネジ当接部168に当接した位置で、緩めてあった固定ナット203を締め付けて調節ネジ202を固定する。これにより、挟持した研磨ベルト20の厚さに応じた、開閉カバー体162と取付主体161との隙間寸法が決定する。そして、後述する係止片199に係止金具173を係止させるだけで開閉カバー体162が取付主体161に固定され、研磨ベルト20が停止装置160に最適な状態で装着されることとなる。このとき、挟持される研磨ベルト20が厚さの薄いものの場合には、開閉カバー体162と取付主体161との隙間寸法は小さくなり、調節ネジ202は、深く締め込まれることがない。一方、挟持される研磨ベルト20が厚さの厚いものの場合には、開閉カバー体162と取付主体161との隙間寸法は大きくなり、調節ネジ202が深く締め込まれることとなる。このように、調節ネジ202の締め込みの程度により、任意の厚さの研磨ベルト20を装着することができる。
ここで、前述のように、厚さの厚い研磨ベルト20を挟持した場合、取付主体161に対して開閉カバー体162が角度を持って固定されることになる。このため、従来品のような圧接ローラ195,196が開閉カバー体162に対して平行に固着されている場合、圧接ローラ195,196が主ローラ170に対して角度を持って固定されてしまうことになる。この状態で研磨ベルト20を送出した場合、研磨ベルト20全体に均等に圧力がかからないため、研磨ベルト20が左右方向にずれてしまう。しかし、本実施形態における圧接ローラ195,196は、開閉カバー体162に対し揺動自在に軸支されているため、取付主体161に対して開閉カバー体162が角度を持って固定された場合でも、開閉カバー体162を閉塞した際、圧接ローラ195,196は、主ローラ170に追従し、主ローラ170に対して平行に押圧されることとなる。このため、研磨ベルト20を送出した場合、研磨ベルト20全体に均等に圧力が加わり、研磨ベルト20が左右方向にずれることがない。
しかして、主ローラ170と圧接ローラ195,196とで研磨ベルト20を挟持したときには、研磨ベルト20が蛇行状となるように挟持される。このため、主ローラ170の回転が電磁クラッチ機構172によって停止されているときには、確実に研磨ベルト20の移動が停止されることとなる。また、圧接ローラ195,196がゴム製の軟質材によって構成されているので、研磨ベルト20に付着した微小な異物がそのまま主ローラ170と圧接ローラ195,196との間に巻き込まれても、圧接ローラ195,196のゴムの弾性力により異物が吸収されて回転の邪魔となることはない。
開閉カバー体162には、上記した構成以外に、その背面に研磨ベルト接触片198が設けられ、その上面に研磨ベルト20の両側端部がガイドされる折曲部192を有するガイド部材191が取付ネジ193により止着され、その開放側側面にバックルタイプの前記係止金具173と係合されて施錠する係止片199が取付ネジ200により止着されている。このうち、研磨ベルト接触片198は、以下のような構成及び作用を呈するものである。
即ち、前記開閉カバー体112の背面両側には接触片支持部材(図示しない)が設けられ、この接触片支持部材に対して一端が常に研磨ベルト20に接触している研磨ベルト接触片198が揺動自在に軸支されている。また、開閉カバー体162の背面中央部には、開口(図示しない)が開設され、該開口に位置検出センサ204の検出片(図示しない)が臨むようになっている。この位置検出センサ204(研磨ベルト状態検出手段、研磨ベルト所定残量検出手段)は、検出片が研磨ベルト接触片198と接触したときに位置検出センサ204の突起(図示しない)を押圧することにより研磨ベルト接触片198の位置を検出するものである。そして、収納装置19に収納された研磨ベルト20は、研磨ベルト接触片198に接触して研磨ベルト接触片198を開閉カバー体162の背面に当接した垂直状態としつつ、開閉カバー体162の上面のガイド部材191の折曲部192に案内されて、停止装置160の上部に形成される前記研磨ベルト挿入部に挿入されて引き出された後、ガイドレール11の下部から上部にかけて回装される。なお、ガイド部材191は、開閉カバー体162の上面に設けたが、研磨ベルト挿入部の前方であれば、どこに設けてもよい。
上記のように構成される停止装置160の作用について説明する。先ず、通常の状態(収納装置19に研磨ベルト20がある場合)においては、停止装置160に回装される研磨ベルト20の張力により、研磨ベルト20と接触する研磨ベルト接触片198の一端が引き上げられて、研磨ベルト接触片198は垂直状に保持されるので、位置検出センサ204により研磨ベルト接触片198の接触が検知される。しかし、収納装置19に収納された研磨ベルト20が最後まで使用され、その終端が収納装置19から開放されたとき(収納装置19に研磨ベルト20がなくなった状態)には、停止装置160に回装される研磨ベルト20の張力が緩み、研磨ベルト20と接触する研磨ベルト接触片198の一端を引き上げることができなくなるため、研磨ベルト接触片198は自重により傾斜方向に揺動する。すると、位置検出センサ204は、研磨ベルト接触片198の接触を検知しなくなるから、その旨の信号が外部に導出される。従って、本実施形態に係る停止装置160は、収納装置19の研磨ベルト20が最後まで使用されたことを検知して外部に報知し、研磨ベルト20の交換を促すことができる。即ち、停止装置160の位置検出センサ204は、研磨ベルト20の1ロール終了状態を検知する研磨ベルト所定残量検出手段を構成している。
また、研磨ベルト20が停止装置160に挿入される際に、研磨ベルト20の進行方向のズレを補正するガイド部材191の折曲部192に沿って導入されるので、例えば、研磨ベルト20が収納装置19内の偏った位置に収納されていたときに研磨ベルト20が停止装置160に対して斜め方向に侵入した場合であっても、ガイド部材191の折曲部192によって研磨ベルト20が主ローラ170及び圧接ローラ195,196に対して斜めに侵入せず、正確な状態で侵入するので、結果的に巻取装置60に巻き取られるまで研磨ベルト20が所定の正確な位置を保持するという利点を有するものである。
なお、上記した実施形態の場合、研磨ベルト20が最後まで使用されたことが検知されて外部に報知され、この報知により、ガイドレール11等を開閉して研磨ベルト20の交換をするものであるが、このような研磨ベルト20の交換報知においては、研磨ベルト20の1ロール終了検知時での巻取り量等に基づいて研磨ベルト20を交換すべきか否かを判断して、交換すべきであると判断したときに研磨ベルト20の交換報知を行うようになっている。以下、このような交換報知を含めた研磨ベルト20の巻取り処理について図12乃至図15を参照して説明する。図12は、遊技島台30に設けられる島コントロール基板42及び島設備制御基板43の接続構成を示すブロック図であり、図13は、研磨ベルト20の巻取り処理の一部を示すフローチャートであり、図14は、研磨ベルト20の巻取り処理の一部を示すフローチャートであり、図15は、研磨ベルト20の変形例における巻取り処理の一部を示すフローチャートである。
先ず、図12を参照して遊技島台30に設けられる島コントロール基板42及び島設備制御基板43の接続構成について説明する。図12に示すように、遊技島台30に設けられる研磨ベルト移動装置駆動制御手段としての島コントロール基板42は、中央演算装置としてのCPU44、読み書き可能メモリとしてのRAM45、及び読み出し専用メモリとしてのROM46を備えている。CPU44は、ROM46に格納されている制御プログラムを実行することにより遊技島台30を全般的に制御する。また、RAM45には、島コントロール基板42で実行される種々の処理において生成される各種データや入力信号等の情報が一時的に記憶される。
島コントロール基板42には、入出力部47を介して遊技島台30内に設けられる各種構成装置が接続されている。具体的に、遊技島台30内に列設される複数の遊技機31の各アウト玉計数装置37がそれぞれ入出力基板となる台I/O基板48aを介して島コントロール基板42(入出力部47)に接続され、遊技島台30の島端に設けられる玉返却装置40が入出力基板となる島端I/O基板48bを介して島コントロール基板42(入出力部47)に接続され、遊技島台30の両端外部に設けられる表示装置41が島コントロール基板42(入出力部47)に接続され、さらには、遊技島台30に設けられる島設備制御基板43が島コントロール基板42(入出力部47)に接続されている。
なお、島設備制御基板43には、遊技島台30中央の揚送装置収納部32内に収納設置される玉磨き揚送装置1と、該玉磨き揚送装置1を構成する巻取装置60(図12中には、研磨ベルト自動巻取装置と記載)と、が接続されている。また、遊技場内には複数の遊技島台30が配置されており、各遊技島台30の島コントロール基板42は、それぞれ遊技場の天井部分等に設けられる中継HUB49を介して遊技場全体を管理する設定手段としての管理装置50に接続されている。
しかして、島コントロール基板42には、各遊技機31毎にアウト玉計数装置37からの玉計数信号が入力されると共に、玉返却装置40からの玉計数信号が入力され、さらには、巻取装置60からの1ロール終了信号及び回転数信号が島設備制御基板43を介して入力される。島コントロール基板42に入力された玉計数信号、1ロール終了信号、及び回転数信号は、それぞれ中継HUB49を介して管理装置50に出力される。そして、管理装置50は、入力された各種信号に基づいて各遊技島台30の島コントロール基板42毎にコマンド信号を出力し、これを受けた島コントロール基板42は、コマンド信号の種類に応じて表示装置41、又は島設備制御基板43を介した玉磨き揚送装置1及び巻取装置60に駆動信号を出力して、遊技島台30に設けられる各種構成装置を作動制御するようになっている。したがって、管理装置50と島コントロール基板42と島設備制御基板43とによって巻取制御手段が構成されている。
次に、上記した管理装置50の管理に基づいた島コントロール基板42による研磨ベルト20の巻取り処理について、図13乃至図15を参照して説明する。研磨ベルト20の巻取り処理として、島コントロール基板42は、図13に示すように、先ず、フラグFが「0」であるか否かを判定する(ステップS1)。ステップS1でフラグFが「0」であると判定されたときは、巻取装置60を駆動させて研磨ベルト20の巻き取りを開始すると共に、当該巻取装置60の駆動開始タイミングで1ロール終了状態以外となる通常状態での研磨ベルト20の巻き取りを制御するためのタイマ1をスタートさせる(ステップS2)。その後、前述した停止装置160の位置検出センサ204(研磨ベルト所定残量検出手段)の検知に基づき研磨ベルト20が1ロール終了状態であるか否かを判定する(ステップS3)。ステップS3で研磨ベルト20が1ロール終了状態であれば、フラグFを「0」から「1」に切り換える(ステップS4)。そして、巻取装置60の駆動停止により研磨ベルト20の巻き取りを停止すると共に、従業員に研磨ベルト20の交換を促す報知(研磨ベルト20の1ロール終了状態の報知)を行う(ステップS5)。なお、実施形態中では、遊技島台30の両端外部に設けられた表示装置41の点灯表示によって研磨ベルト20の交換を促す報知を行うようになっている。その後は、従業員によって、ベルト結合部材91を介して使用済の研磨ベルト20の終端部と未使用の研磨ベルト20の始端部とを結合する作業が行われる。
一方、ステップS3で研磨ベルト20が1ロール終了状態でなければ、次いで、研磨ベルト20の巻き取りにおいてガイドレール11の一面分の巻き取りが完了したか否かを判定する(ステップS6)。なお、このようなガイドレール11一面分の研磨ベルト20の巻き取りが完了したか否かの判定は、前述した研磨ベルト移動量検出手段(引張装置110の圧接ローラ144及びスリップ検知センサ147)によって算出される研磨ベルト20の巻取り量が、ガイドレール11の一面分に相当するか否かの判定によって行われる(通常時研磨ベルト移動制御手段)。ステップS6でガイドレール11の一面分の巻き取りが完了していれば、即ち、研磨ベルト20の通常の巻き取りが完了していれば、巻取装置60の駆動停止により研磨ベルト20の巻き取りを停止する(ステップS7)。ステップS6でガイドレール11の一面分の巻き取りが完了していなければ、即ち、研磨ベルト20の通常の巻き取りが完了していなければ、次に、前記ステップS2でスタートされたタイマ1が所定時間(研磨ベルト20の通常時の巻き取りにおいて充分な時間)経過したか否かを判定する(ステップS8)。ステップS8でタイマ1が所定時間経過していなければ、前記ステップS3へ戻る一方、ステップS8でタイマ1が所定時間経過していれば、巻取装置60の駆動停止により研磨ベルト20の巻き取りを停止すると共に、研磨ベルト20の巻取り動作において異常が発生したことを従業員に報知する(ステップS9)。なお、実施形態中では、遊技島台30の両端外部に設けられた表示装置41の点滅表示によって異常発生の報知を行うようになっている。
また、ステップS1でフラグFが「0」でない、言い換えればフラグFが「1」であると判定されたときは、図14に示すように、巻取装置60を駆動させて研磨ベルト20の巻き取りを開始すると共に、当該巻取装置60の駆動開始タイミングで1ロール終了状態での研磨ベルト20の巻き取りを制御するためのタイマ2をスタートさせる(ステップS11)。その後、巻取装置60に設けられた前述のベルト結合部検知センサ90によってベルト結合部材91に内蔵されたICタグ93のIC情報が読み込まれたか否か、言い換えれば、使用済の研磨ベルト20と未使用の研磨ベルト20との結合部分(ベルト結合部材91)が巻取装置60の位置まで移動したか否かを判定する(ステップS12)。ステップS12でIC情報の読み込みがあり、ベルト結合部材91が巻取装置60の位置まで移動したと判定されたときには、巻取装置60の駆動停止により1ロール終了状態での研磨ベルト20の巻き取りを停止する(ステップS13:ロール交換時巻取制御手段)。なお、このとき、巻取装置60の駆動停止に伴って、停止装置160及び引張装置110の駆動も同時に停止する。次いで、フラグFを「1」から「0」に切り換え(ステップS14)、従業員に未使用の研磨ベルト20の始端部(嵌挿部80)を巻取装置60に取り付けることを促す報知を行う(ステップS15)。なお、実施形態中では、遊技島台30の両端外部に設けられた表示装置41の点灯表示によって未使用の研磨ベルト20の巻取装置60への取り付けを促す報知を行うようになっている。その後は、従業員によって、使用済の研磨ベルト20と未使用の研磨ベルト20とを結合するベルト結合部材91が取り外されて、使用済の研磨ベルト20を回収すると共に、未使用の研磨ベルト20の始端部(嵌挿部80)を巻取装置60に取り付ける作業が行われる。
一方、ステップS12でIC情報の読み込みがなく、ベルト結合部材91が巻取装置60の位置まで移動していないと判定されたときには、次に、前記ステップS11でスタートされたタイマ2が所定時間(研磨ベルト20のロール交換時の巻き取りにおいて充分な時間)経過したか否かを判定する(ステップS16)。ステップS16でタイマ2が所定時間経過していなければ、前記ステップS12へ戻る一方、ステップS16でタイマ2が所定時間経過していれば、前記ステップS9と同様に、巻取装置60の駆動停止により研磨ベルト20の巻き取りを停止すると共に、研磨ベルト20の巻取り動作において異常が発生したことを従業員に報知する(ステップS17)。
次に、前述した図13のステップS1でフラグFが「0」でなく「1」であると判定された場合の変形例の巻取り処理について図15を参照して説明する。変形例の巻取り処理では、ステップS1でフラグFが「0」でなく「1」であると判定されると、次に、図15に示すように、巻取装置60を駆動させて研磨ベルト20の巻き取りを開始すると共に、当該巻取装置60の駆動開始タイミングで1ロール終了状態での研磨ベルト20の巻き取りを制御するためのタイマ2をスタートさせる(ステップS21)。その後、巻取装置60に設けられた前述のベルト結合部検知センサ90によってベルト結合部材91に内蔵されたICタグ93のIC情報が読み込まれたか否か、言い換えれば、使用済の研磨ベルト20と未使用の研磨ベルト20との結合部分(ベルト結合部材91)が巻取装置60の位置まで移動したか否かを判定する(ステップS22)。ステップS22でIC情報の読み込みがあり、ベルト結合部材91が巻取装置60の位置まで移動したと判定されたときには、巻取装置60の駆動停止により1ロール終了状態での研磨ベルト20の巻き取りを停止し(ステップS23)、その所定時間後に停止装置160と引張装置110とを共に駆動停止する(ステップS24)。これにより、巻取装置60の駆動を停止した後も停止装置160及び引張装置110の駆動を所定時間継続して行うことになり、巻取装置60と引張装置110との間で研磨ベルト20の弛みが設けられる。次いで、フラグFを「1」から「0」に切り換え(ステップS25)、従業員に未使用の研磨ベルト20の始端部(嵌挿部80)を巻取装置60に取り付けることを促す報知を行う(ステップS26)。その後は、従業員によって、使用済の研磨ベルト20と未使用の研磨ベルト20とを結合するベルト結合部材91が取り外されて、使用済の研磨ベルト20を回収すると共に、未使用の研磨ベルト20の始端部(嵌挿部80)を巻取装置60に取り付ける作業が行われる。このとき、巻取装置60と引張装置110との間に位置する研磨ベルト20は、前記ステップS23及びステップS24の処理によって、適度な弛みが設けられた状態となっているので、使用済の研磨ベルト20と未使用の研磨ベルト20との間からベルト結合部材91を取り外して、未使用の研磨ベルト20の始端部(嵌挿部80)を巻取装置60に取り付ける作業が容易に行える。
一方、ステップS22でIC情報の読み込みがなく、ベルト結合部材91が巻取装置60の位置まで移動していないと判定されたときには、次に、前記ステップS21でスタートされたタイマ2が所定時間(研磨ベルト20のロール交換時の巻き取りにおいて充分な時間)経過したか否かを判定する(ステップS27)。ステップS27でタイマ2が所定時間経過していなければ、前記ステップS22へ戻る一方、ステップS27でタイマ2が所定時間経過していれば、巻取装置60の駆動停止により研磨ベルト20の巻き取りを停止すると共に、研磨ベルト20の巻取り動作において異常が発生したことを従業員に報知する(ステップS28)。
なお、以上説明した研磨ベルト20の巻取り制御において、営業開始時の研磨ベルト20の巻き取り停止状態、言い換えれば玉磨き揚送装置1の稼働状態では、常に、使用済の研磨ベルト20と未使用の研磨ベルト20との結合部分(ベルト結合部材91)が搬送ベルト13との対向面(パチンコ玉の揚送面)に位置しないように研磨ベルト20の巻き取りを行うようになっている。これにより、ベルト結合部材91がパチンコ玉の揚送面に位置した状態でパチンコ玉を揚送することで生じ得る使用済の研磨ベルト20と未使用の研磨ベルト20との結合部分の剥がれや、結合部分(ベルト結合部材91)から研磨ベルト20の裏側にパチンコ玉が入り込んでしまうような不具合を確実に回避するようになっている。
以上、本実施形態の構成によれば、研磨ベルト所定残量検出手段による研磨ベルトの1ロール終了状態の検知がない通常状態では、通常時研磨ベルト移動制御手段による制御に基づき、研磨ベルト移動量検出手段によってガイドレールの長手方向の全長寸法と同一の巻取り量が算出されるまで研磨ベルトの巻き取りを行う。これに対して、研磨ベルト所定残量検出手段によって研磨ベルトの1ロール終了状態が検知されると、従業員によって使用済の研磨ベルトと未使用の研磨ベルトとがベルト結合部材を介して結合される。そして、この状態でロール交換時巻取制御手段による制御に基づき、ベルト結合部検出手段によりベルト結合部材が検知されるまで、言い換えればベルト結合部材が巻取機構部の位置に移動するまで研磨ベルトの巻き取りを行う。即ち、研磨ベルトをロール交換するときには、研磨ベルトの巻き取りを開始してから使用済の研磨ベルトと未使用の研磨ベルトとを結合するベルト結合部材が巻取機構部の位置に移動するまで、自動的に研磨ベルトの巻き取りが行われ、ベルト結合部材が巻取機構部の位置に移動した時点で研磨ベルトの巻き取りが停止される。このため、従来のように、研磨ベルト同士の結合部分を巻取機構部の位置に正確に移動させるため、従業員が研磨ベルト同士の結合部分を目視しながら研磨ベルトの巻き取り動作を停止させるような操作が不要になる。従って、従業員は、研磨ベルトの巻き取りが開始されてから結合部分(ベルト結合部材)が巻取機構部の位置に移動するまでの間、その場に居合わせる必要がなくなり、結果として、研磨ベルトをロール交換する際の作業性を向上することができる。
また、ベルト結合部検出手段をIC情報の読み込みを可能にするICタグリーダから構成し、ベルト結合部材に内蔵されたICタグのIC情報をベルト結合部検出手段(ICタグリーダ)で読み込むことにより、使用済の研磨ベルトと未使用の研磨ベルトとの結合部分(ベルト結合部材)が巻取機構部の位置に移動したことを検知する。これにより、結合部分(ベルト結合部材)の検知において、機械式の検知方法等のようにベルト結合部材乃至研磨ベルトをベルト結合部検出手段に直接接触させる必要がなくなるので、ベルト結合部検出手段に対して押圧力等の外力を加えることがなく、結果として、外力によってベルト結合部検出手段が故障することを回避できる。
また、ロール交換時巻取制御手段の制御によって1ロール終了状態で研磨ベルトの巻き取りを行う場合、ベルト結合部検出手段によって使用済の研磨ベルトと未使用の研磨ベルトとの結合部分(ベルト結合部材)が検知されると、巻取装置の駆動を停止してから所定時間後に停止装置及び引張装置の駆動を停止して、巻取装置と引張装置との間に位置する研磨ベルトに弛みを設ける。これにより、使用済の研磨ベルトの巻き取り完了後にベルト結合部材を取り外して未使用の研磨ベルトの始端部を巻取装置に取り付ける作業が容易に行える。
さらに、引張装置に設けられて研磨ベルトを圧接する圧接ローラの回転数をスリップ検知センサで検知し、該スリップ検知センサによって検知された圧接ローラの回転数に基づいて巻取装置によって巻き取った使用済の研磨ベルトの巻取り量を算出する。そして、その算出される巻取り量が所定の巻取り量になるまで巻取機構部による研磨ベルトの巻き取りを継続することで、通常状態での研磨ベルトの巻き取りを行うことができる。
なお、実施形態中では、本発明に係るベルト結合部材(91)を、両面に研磨ベルト20の両端部に設けられた係合凹部94(面ファスナー凹)と係合する係合凸部92(面ファスナー凸)が設けられた面ファスナー布から構成しているが、この構成に限定するものではない。例えば、ベルト結合部材側に面ファスナー凹となる係合凹部を設ける一方、研磨ベルトの両端部に当該係合凹部と係合する係合凸部(面ファスナー凸)を設けるようにしてもよい。また、研磨ベルトとベルト結合部材との係合方法についても、特に面ファスナー凹凸の係合方法に限定しない。
また、ベルト結合部材(使用済の研磨ベルトと未使用の研磨ベルトとの結合部分)を検知するベルト結合部検出手段の構成についても、ICタグリーダに限定しない。例えば、ベルト結合部材にICタグを内蔵して設けるのではなく、金属性の部品を設け、ベルト結合部検出手段を金属センサから構成することで、ベルト結合部材(結合部分)を検知するようにしてもよい。さらには、ベルト結合部検出手段を機械式のもの(例えば、ベルト結合部材との接触によってベルト結合部材を検知するもの等)としたり、あるいは、ベルト結合部検出手段を近接センサやカラーセンサ等から構成してベルト結合部材(結合部分)を検知するようにしてもよい。
また、実施形態中、本発明に係る巻取機構部(22)は、巻取装置60と引張装置110とを別体の装置として構成しているが、これに限定するものではなく、巻取装置としての機能と引張装置としての機能とを両方兼ね備えた1つの装置で巻取機構部を構成するようにしてもよい。