したがって、広範囲にたる外科切開を必要とせずに容易に導入することができ、適切かつ均一な骨の圧密化を行って治癒を促進する髄内器具アセンブリに対する必要性は依然として存在する。
本発明は概して、骨を圧迫により圧密化しまた維持するための髄内器具アセンブリに関する。有利には、ある実施形態において、髄内器具アセンブリは骨係合部材を有し、当該部材は、骨係合部材ガイドに沿って移動可能であり、骨係合ポイントを有し、少なくとも1個の骨係合ポイントは別の係合ポイントに対して骨係合部材ガイドの軸線に沿って移動可能とする。骨係合部材は、アセンブリの圧迫部材により、骨係合部材ガイドに沿って前進し、ある実施形態において、骨係合部材は骨の端部に係合するよう傾けることができる。したがって、髄内器具アセンブリは、肘頭または脚踝などの関節における骨の髄管内に容易に挿入することができ、治癒を促進するよう骨の適正かつ均一な圧迫による圧密化行うことができる。
ある実施形態において、髄内器具アセンブリは髄内器具と、骨係合部材ガイド、圧迫部材、および骨係合部材を備える。髄内器具を、骨の髄管内に挿入し、欠損の両側で骨を固定するように構成する。骨係合部材ガイドは髄内器具の端部に取り付けるよう構成し、圧迫部材は骨係合部材ガイドに沿って移動可能とする。骨係合部材ガイドに沿って移動可能である骨係合部材は、少なくとも2個の骨係合ポイントを有し、少なくとも1個の骨係合ポイントは他の少なくとも1個の骨係合ポイントに対して、骨係合部材ガイドの軸線に沿って移動可能とし、骨の端部に係合するよう構成する。したがって、骨の方向に圧迫部材により骨係合部材に力を加えることにより、骨係合部材を骨係合部材ガイドに沿って前進させ、これにより、少なくとも1個の骨係合ポイントが、他の少なくとも1個の骨係合ポイントに対して移動可能とし、すべての骨係合ポイントが骨の端部に密接に係合する。
いくつかの実施形態において、骨係合部材ガイドは、細長空洞を画定し、骨係合部材は内側部分および外側部分を有する。内側部分は骨係合部材ガイド内で移動可能に保持するよう構成し、外側部分は骨係合部材ガイドの外部に突出し、少なくとも1個の骨係合ポイントが骨の端部に係合するように構成する。圧迫部材は、骨係合部材内側部分に力を加えるよう構成して、骨係合部材の外側部分は骨の端部に係合するよう構成した1個以上の押圧要素を有する。骨係合部材の外側部分は、いくつかの場合において、少なくとも2個の押圧要素を有し、少なくとも1個の押圧要素は他の押圧要素より短くする。
髄内器具アセンブリの骨係合部材の外側部分は、いくつかの場合において、ドリルガイドに取り付けるよう構成する。骨係合部材の外側部分は、髄内器具アセンブリに対してドリルガイドを整列させるキー溝を画定する。
いくつかの実勢形態において、髄内器具アセンブリは、髄内器具および骨係合部材ガイドを連結する破断スタッドを有する。破断スタッドは、所定量の力が破断スタッドに加わるとき、髄内器具から破断するよう構成する。いくつかの場合において、この破断作業は、骨係合部材ガイドおよび圧迫部材を髄内器具から取り外した後に行う。破断スタッドは、さらに、骨係合部材ガイドにおける対応する孔に嵌合して、髄内器具に対する骨係合部材ガイドの位置を制限する。骨係合部材ガイドは、さらにロック用横孔を画定し、破断スタッドは対応するロック用横孔を画定し、これらロック用横孔はロック機構を収容するよう構成し、これにより、骨係合部材ガイドおよび破断スタッドはロック機構が所定位置にあるとき、ともにロックされる。さらに、髄内器具は、骨係合部材に少なくとも部分的に係合するように構成した周縁リップを有する結節部を画定する。
別の実勢形態において、髄内器具アセンブリは、骨の髄管内に挿入して欠損の両側で骨を固定するよう構成した髄内器具、骨係合部材ガイド、圧迫部材、骨係合部材を有する。骨係合部材ガイドは、髄内器具の端部に取り付けるよう構成し、圧迫部材は骨係合部材ガイドに対して移動可能とする。この実施形態の骨係合部材は、骨の端部に係合するよう構成したいくつかの互いに離散した押圧要素を有する。骨係合部材は骨係合部材ガイドに沿って移動可能とし、骨に向けて圧迫部材により骨係合部材に加える力は、髄内器具方向へ骨接合部材ガイドに沿って骨係合部材を前進させ、少なくとも1個の押圧要素が骨の端部に係合する。骨係合部材ガイドは、髄内器具の対応ノッチに整列するよう構成したタブを有し、髄内器具に対する骨係合部材ガイドの回転を制限する。
髄内器具アセンブリは、髄内器具および骨係合部材ガイドを連結する破断スタッドを有する。破断スタッドは、所定量の力が破断スタッドに加わるとき、髄内器具から破断するよう構成する。いくつかの場合において、この破断作業は、骨係合部材ガイドおよび圧迫部材を髄内器具から取り外した後に行う。骨係合部材ガイドは、さらにロック用横孔を画定し、破断スタッドは対応するロック用横孔を画定し、これらロック用横孔はロック機構を収容するよう構成し、これにより、骨係合部材ガイドおよび破断スタッドはロック機構が所定位置にあるときともにロックされる。髄内器具アセンブリは、さらに、骨係合部材ガイドに少なくとも部分的に係合するように構成した周縁リップを有する結節部を画定する。
いくつかの実施形態において、圧迫部材およびドリルガイドを髄内器具に取り付けるためのガイドアダプタを有する。ガイドアダプタは骨係合部材ガイドと、骨係合部材ガイドに沿って移動可能な骨係合部材とを有する。骨係合部材ガイドの一方の端部は、髄内器具に係合するよう構成したタブを有し、骨係合部材ガイドの他方の端部は、圧迫部材を支持するよう構成する。骨係合部材は、少なくとも2個の骨係合ポイントを有し、少なくとも1個の骨係合ポイントは、他の少なくとも1個の骨係合ポイントに対して、骨係合部材ガイドの軸線に沿って移動可能とし、髄内器具を導入したとき骨の端部に係合するよう構成する。
いくつかの場合において、骨係合部材は細長空洞を画定し、骨係合部材は内側部分および外側部分を有する。内側部分は、骨係合部材ガイド内で移動可能に保持するよう構成し、外側部分は骨係合部材ガイドの外部に突出し、少なくとも1個の骨係合ポイントが骨の端部に係合するよう構成する。骨係合部材の外側部分は、骨の端部に係合するよう構成した多くの押圧要素を備え、少なくとも1個の押圧要素は、他の押圧要素よりも短くする。さらに、骨係合部材ガイドは、ドリルガイドをガイドアダプタに取り付けるとき、ガイドアダプタに対するドリルガイドが整列するよう構成したキー溝を有する。いくつかの実施形態では、ガイドアダプタの一方の端部は、髄内器具にガイドアダプタを連結するための破断スタッドを取り付けるよう構成する。
他の実施形態において、骨欠損を治癒するための髄内器具アセンブリを組み立てる方法を提供する。ガイドアダプタを髄内器具の近位端に取り付け、ガイドアダプタは、骨係合部材ガイドと、骨係合部材ガイドに沿って移動可能な骨係合部材を備える。骨係合部材ガイドは、髄内器具の近位端に取り付けるよう構成した第1端部を有し、骨係合部材は少なくとも2個の骨係合ポイントを備える。少なくとも1個の骨係合ポイントは、他の少なくとも1個の骨係合ポイントに対して、骨係合部材ガイドの軸線に沿って移動可能とし、骨の端部に係合するよう構成する。本発明方法は、さらに、骨係合部材ガイドの第2端部に圧迫部材を取り付けるステップを備え、圧迫部材は骨係合部材ガイドに沿って移動可能とする。
ドリルガイドは、さらに、ガイドアダプタに取り付けることができ、ドリルガイドは、髄内器具に形成した対応の孔に位置するドリル孔を骨に穿孔できるよう構成する。さらに、ガイドアダプタを髄内器具の近位端部に取り付けるステップは、髄内器具の近位端部に破断スタッドを設けるステップと、破断スタッドに骨係合部材ガイドの第1端部を取り付けるステップとを有する。いくつかの場合において、ガイドアダプタは、髄内器具の近位端部により画定する結節部に形成するリップに係合する。ロック機構を、ガイドアダプタおよび破断スタッドに形成した対応するロック用横孔に挿入する。
他の実施形態において、髄内器具と、髄内器具に取り付ける骨係合部材ガイドと、骨接合部材ガイドに沿って移動可能である骨係合部材と、圧迫部材とを有する髄内器具アセンブリを用いて骨欠損を治癒する圧密化のための圧迫を加える方法を提供する。髄内器具アセンブリの髄内器具を、骨の髄腔内に挿入して、髄内器具を、欠損の遠位側に位置する遠位側骨断片に固定する。圧迫部材を骨方向に前進させ、髄内器具アセンブリの骨係合部材に係合させる。骨係合部材は、少なくとも2個の骨係合ポイントを有し、少なくとも1個の骨係合ポイントは、他の少なくとも1個の骨係合ポイントに対して、骨係合部材ガイドの軸線に沿って移動可能とし、骨の端部に係合するよう構成する。骨係合部材は連続して圧迫部材とともに前進し、これにより、骨の遠位側の骨断片は欠損の近位側に位置する骨の近位側骨断片に向かって移動する。さらに、髄内器具を、骨の近位側および遠位側の骨断片の圧迫状態を維持するために近位側骨断片に固定する。
いくつかの場合において、骨係合部材ガイドおよび圧迫部材を、挿入および固定した髄内器具から取り外す。本発明方法は、骨係合部材ガイドから破断スタッドを破断し、ついで、髄内器具から破断スタッドを分離することにより、髄内器具から骨係合部材ガイドおよび圧迫部材を取り外す。
他の実施形態において、髄内器具を骨係合部材ガイドに取り付けるための髄内器具および破断スタッドを得る。髄内器具は、骨の髄管内に挿入して欠損の両側で骨を固定するよう構成する。破断スタッドは、近位部分および遠位部分を有し、近位部分は骨係合部材ガイドに係合するよう構成し、遠位部分は髄内器具に係合するよう構成する。遠位部分は、応力集中領域を有し、これにより、破断スタッドに加える力が、応力集中領域に集中し、破断スタッドが応力集中領域でまたはその近傍で破断して、したがって破断スタッドを髄内器具から取り外すことができるようになる。
いくつかの場合において、破断スタッドの近位部分をドミノ形状にし、破断スタッドの遠位部分はテーパ付き形状にする。さらに、破断スタッドの遠位部部分の応力集中領域は、破断スタッドの他の部分よりも断面積が小さい領域とすることができる。
上位概念的用語で説明してきたが、以下に、縮尺通りには示していない添付図面につき本発明を説明する。
本発明を、以下に添付図面につきより詳細に説明するが、本発明のすべての実施形態を示すわけではない。実際には、本発明は、多くの異なる形態で実施することができ、本明細書に説明する実施形態に限定するものではなく、むしろ、これら実施形態は、本明細書が適用可能な法的要件を満たすようにすることを提示するものである。同一参照符号は、全体を通して同様の要素を示す。
本発明の実施形態は、概して、長骨または間接周囲骨の骨折、骨切り手術、および他の骨欠損を修復するための髄内器具アセンブリに関する。しかし、説明を分かり易くするため、本明細書および添付面図は骨折に言及するが、器具骨折、骨切り手術および他の骨欠損、ならびにその組み合わせの修復を含むいかなるタイプの骨修復を、本明細書で説明する器具の実施形態を用いて行うことができることを認識されたい。
さらに以下に説明するように、髄内器具アセンブリは、骨折した骨の髄管に挿入するよう構成した器具を有する。ガイドアダプタは、髄内器具の端部に取り付けるものであり、移動可能な骨係合部材を有し、この骨係合部材は、器具側とは反対側の端部でガイドアダプタに取り付ける圧迫部材が骨係合部材を骨の端部に係合するよう押し付ける。導入した髄内器具を骨折部の遠位側の骨断片にも固定し、次に圧迫部材および骨係合部材により圧迫を加えることにより、固定した骨断片を骨折部の近位側の骨断片に向けて押圧する。望ましい圧密化(圧迫)を生じた後、近位側骨断片を髄内器具に固定し、ガイドアダプタおよび圧迫部材を器具から破断し、これにより患者は治癒プロセス中患部の関節を広範囲に使用することができる。この点に関して、用語「近位」および「遠位」は、アセンブリを骨内に挿入した後のアセンブリの挿入位置に対する骨およびアセンブリの位置を意味する。言い換えれば、骨折部の近位側は、髄内器具アセンブリを挿入した位置に近い骨断片を意味し、骨折部の遠位側は、挿入部から離れた側の骨断片を意味する。したがって、肘頭の尺骨に適用する場合、用語「近位」および「遠位」は、人体を記述するのに使用するそれらの用語と一致する。しかしながら、足首に適応する場合、例えば用語は逆転して使用する。
圧迫部材は予め調節し、以下に説明するように髄内器具を髄管内に前進させるとき、骨係合部材を近位側骨断片に押し付ける。このようにして、骨折部位における少なくとも部分的な圧迫が、近位側骨断片内における髄内器具の位置を変えることなく得られる。またこのようにして、骨断片の相互整列は、より確実な締結具を配置するまで、骨係合部材により一時的に保持される。
図1Aにつき説明すると、本発明の一実施形態による髄内器具アセンブリ10を分解した状態で示す。アセンブリ10は、髄内器具12、ガイドアダプタ14、以下に説明する骨折を治癒するため端部を突き合わせて取り付ける圧迫部材16を有する。髄内器具12は、骨の髄管に挿入して骨折の両側で骨を固定するように構成する(すなわち、形状および大きさを決める)。したがって、髄内器具12の特別な形態は、治療すべき骨のタイプおよびサイズに応じて変化することができる。例えば、大人の大腿骨の骨折部を固定するために使用する髄内器具12は異なる大きさを有し、児童の橈骨の骨折部を固定するために用いる器具12とは異なる形状とする。さらに、器具12は、任意の吸収可能または、人体内の使用に適合する吸収不能材料、例えばチタン、ステンレス鋼、コバルトクロム、プラスチック、炭素繊維およびポリマーで形成することができる。
図1Aに図示する実施形態において、例えば、髄内器具12は、肘頭から挿入する大人の尺骨内に使用するよう構成する。しかし、髄内器具12およびアセンブリ10は、人体の様々な他の部位に使用することができ、例えば足首の横方向踝(遠位腓骨)の骨折を修復するのに使用できる。図1Aの髄内器具12にはテーパを付け、近位端(すなわち挿入時に肘頭に最も近い端部)は遠位端(すなわち挿入時に肘頭から最も遠い端部)よりもわずかに大きい直径を有する。また、髄内器具は、長さ全体にわたり、逆向きのテーパを付けるまたは均一直径にすることができる。その軸線は、図1Aに示すように直線状にする、または曲線状にすることができる。尺骨18および肘頭20を図2Aに示し、図2Aは一実施形態による導入後のアセンブリ10を示す。再度図1Aにつき説明すると、髄内器具12は、骨断片双方を髄内器具12に固定する固定具を収容するよう構成した多数の孔22を有する。1個またはそれ以上の孔22を、髄内器具の遠位端寄りに配置し、例えば、骨折の遠位側の骨断片を髄内器具12に固定するとともに、1個またはそれ以上の他の孔22を髄内器具12の近位端寄りに配置し、以下に説明するように骨折の近位側の骨断片を固定する。さらに、孔22は、固定具、例えばピン、ボルト、ペグ、ネジおよび止めネジ等、様々な固定具を収容するよう構成する。いくつかの場合において、孔22は対応する雄ネジ付き固定具を収容するために雌ネジを形成する。図1Bに示すように、孔22は対応する固定具を収容するよう構成した側面に面取り開口23とし、固定具を受容およびガイドするための大きな開口を設けることにより固定具の挿入を容易にする。
アセンブリ10のガイドアダプタ14は、骨係合部材ガイド24および骨係合部材26を有し、一実施形態により組み立てた状態を図3に示す。骨係合部材ガイド24は、髄内器具12の端部に、すなわち器具12の近位端に取り付けるよう構成し、また骨係合部材26の少なくとも一部を骨係合部材ガイド24内に保持するよう構成する。例えば、図3に示す実施形態において、骨係合部材26は、骨係合部材ガイド24内で移動可能に保持するように構成した内側部分28と、骨係合部材ガイド24の外部に突出し、以下に説明するように骨端部に係合するよう構成した外側部分30とを有する。いくつかの場合において、ガイドアダプタの骨係合部材ガイド24は、骨係合部材ガイドにおけるカニューレ状部分の内部のような細長空洞32を画定し、骨係合部材ガイド24に沿って骨係合部材26を移動可能にする。ガイドアダプタの骨係合部材26は、髄内器具を挿入する骨の端部に係合するよう構成し、図2Aおよび6Aに示す。骨係合部材26は、骨自体、または骨に結合するやわらかい組織、または骨表面に存在する他の材料に対して直接的に係合することができると理解されたい。
骨係合部材は、骨端部に係合するよう構成した少なくとも2個の骨係合ポイントを有する。図3において、例えば、骨係合ポイントは圧迫要素40の端部により構成し、これら圧迫要素は3個の突枝として示し、骨係合部材26の内側部分28から骨の端部に向かって突出する。しかし、他の実施形態において、骨係合ポイントは、単独の骨係合要素における2個またはそれ以上のポイントのように連続表面上のポイントとすることができる。例えば、骨係合部材26は、例えば、内側部分28に従属する平坦リングまたは馬蹄形パッドにより構成し、このパッドにおける少なくとも2個の互いに破断した幾何学的破断ポイントは、骨係合部材が骨係合部材ガイド24に対して傾くとき、軸線方向に互いに相対移動可能とすることができる。任意の場合において、少なくとも1個の骨係合ポイントは、他の少なくとも1個の骨係合ポイントに対して軸線方向に相対移動可能にし、これにより、より一層容易かつ緊密に骨に係合できるようにする。骨係合部材26は骨係合部材ガイド24の軸線Xに対して傾けることができ、したがって、図3内に曲線矢印で示すように、骨係合部材26を任意の方向に傾けて、X軸線に対して直交しない骨表面に係合することができる。この例を図6Aに示す。他の実施形態において、骨係合ポイントは、望ましい向きにして骨端部に係合させるよう、曲がる、回転する、および/または抜き差し嵌合するよう(傾けた状態または傾けない状態で)構成する構体に対して画定し、これにより加える圧迫力をより均一にすることができる。
図4につき説明すると、骨係合部材ガイド24は、骨係合部材(図示せず)周りに骨係合部材ガイド24を形成するよう互いに嵌合する、または連結する1個またはそれ以上の部分を有する。例えば、骨係合部材ガイド24は、底部部分34および上側部分36を有し、骨係合部材26(図3に示す)またはその一部を底部部分34内に配置した後に、底部部分および上側部分をともに溶接するまたは他の方法で固定的に取り付ける。この点に関して、底部部分34には、骨接合部材26の外側部分30が通過する1個またはそれ以上のスロット38を設ける。図3に示す実施形態において、例えば、3個のスロット(1個のみ見える)は底部部分34に画定し、骨係合部材26の外側部分30は骨端部に係合するよう構成した3個の圧迫要素を有する。さらに、3個の圧迫要素のうち少なくとも1個は、他の圧迫要素より短くし、圧迫要素と骨端部との間における係合の強度または安定性を強化する。言い換えれば、圧迫要素の長さの差によって、圧迫要素が角度付き骨表面に適合することを可能にするとともに、骨係合部材が骨に係合するよう傾かなければならない範囲を限定する。したがって、骨係合部材26の内側部分28の角度は、X軸線に対して90°近辺に維持し、骨に対してより緊密な係合を生ずるようにする。このことを図2Bおよび図2Cに示し、角度α(等長の圧迫要素に対応する)は角度β(非等長の圧迫要素に対応する)より大きい。他の実施形態では、外側部分30は異なる構成にすることができる。
骨係合部材ガイド24の底部部分34には、さらに、骨係合部材26が骨方向にどのくらい前進したかの目視基準を外科医に与える溝35を設ける。例えば、溝35は、所定間隔、例えば1mmの等間隔離して設ける。この場合、3個の溝を通過した骨係合部材26の前進は、骨係合部材26が3mm前進したことを示す。
再度図1Aにつき説明すると、アセンブリ10の圧迫部材16は、骨係合部材ガイド24の端部に取り付けるよう構成し、骨係合部材ガイド24の反対側の端部には髄内器具12を取り付ける。いくつかの実施形態において、圧迫部材16は押し込み部材44を有し、押し込み部材は図1Aに示すように圧迫部材16と一体に形成する、または圧迫部材16と破断は別個に形成し、圧迫部材に対して、例えば溶接またはネジ連結により取り付ける構成とする。いずれにせよ、圧迫部材16は骨係合部材ガイド24に沿って移動可能にし、また骨接合部材26を骨端部に係合するよう移動する(例えば押し込み部材44により)よう構成する。
例えば、図5Aは、図1Aに示した実施形態による圧迫部材16を取り付けたガイドアダプタの拡大図である。この例において、骨係合部材ガイド24の上側部分36は雌ネジ領域46を有し、圧迫部材16は、骨係合部材ガイド24の雌ネジ領域と一致するよう構成した対応雄ネジ領域48を設ける。このようにして、圧迫部材16を回転する、例えば、ハンドル50を矢印で示す方向に回転することにより、骨係合部材26に向けて骨係合部材ガイド24内で圧迫部材16および押し込み部材44を前進させるよう作用する。ハンドル50は様々な構成とすることができる。例えば、図1Aに示すハンドル50は「T」字状としたが、図7Aに示すハンドル50はノブ形状とする。随意的に、押し込み部材44は、圧迫部材16とともに、または圧迫部材16とは別個に手動で押し込む、または骨係合部材24を通して骨係合部材26に向けて電気モータにより押し込むことができる。圧迫部材および/または押し込み部材44と骨係合部材ガイド24との間におけるロック機構を設け、骨係合部材26に対する圧迫部材16の位置を維持する。
導入したアセンブリ10(図6A参照)において、押し込み部材44により骨係合部材26に対して力を連続的に加える、例えば、骨係合部材26が押し込み部材44および骨に係合した後にハンドル50を連続回転することにより、骨係合部材26を髄内器具12に向けて骨係合部材ガイド24に沿って一層前進させるよう作用する。結果として、取り付けた骨断片と一緒に髄内器具12を、反対方向(すなわち圧迫部材16の方向)に移動し、これにより図6Aに示すような圧密化を生ずる。いくつかの実施形態において、圧迫部材16(例えば押し込み部材44による)は、骨係合部材26の内側部分28に力を加えるよう構成する。図5Bは、骨係合部材ガイド24がない状態で見える図5Aの骨係合部材を示す。
髄内器具アセンブリ10のガイドアダプタ14は、図7Aに示すように、ドリルガイド52に取り付けるよう構成する。ドリルガイド52は様々な構成とすることができ、髄内器具12の構成、使用するドリルのタイプ(図示せず)、医者の好み、美的外見、材料の耐久性およびX線透過性、他の状況に応じて構成する。一実施形態によれば、ドリルガイド52はX線透過性のプラスチック材料で形成する。一般的に、ドリルガイド52はカニューレ54を有し、このカニューレ54は、髄内器具アセンブリ10を導入した骨に固定具を固定するのに使用するドリルビット、または他の器具をガイドするよう構成する。例えば、骨折した尺骨を治療するにあたり、ドリルガイド52は、アセンブリ10を導入した後に患者の肘および前腕を包囲し、ドリルビットをカニューレ54内に挿入し、ドリルビットが骨に接近して適切な穿孔を容易にする角度を維持することができる。さらに、カニューレ54は、最小侵襲性穿刺切開部から軟組織(例えば前腕)内にカニューレが埋没し、骨に衝合するとき、軟組織のプロテクタとして作用する。このことにより、包囲する軟組織構造にダメージを与えることなく、ドリルビットが通過して骨に係合できる。各カニューレ54は、ドリルガイド52が画定する様々な位置におけるガイド孔56間で移動可能である。この点に関して、ガイド孔56は髄内器具12(図1A)の孔22に整列するよう構成し、したがって、ガイド孔56にカニューレ54を位置決めすることにより、器具の孔22に整列する孔を骨に穿孔することを容易にし、つぎに固定具を挿入して、穿孔した骨を器具12に固定する。ドリルガイドのカニューレ54は、さらに、図7Cに示すカニューレ54における深度表示マーキング57を用いる、またできれば、カニューレ54の入り口付近で読める深度マークを有するよう構成したドリルビットを用いることにより、穿孔作業中におけるドリルビットの深さを示すよう構成することができる。
ドリルガイド52は、様々な方法でガイドアダプタ14に取り付けることができる。例えば、図4,7Aおよび7Bにつき説明すると、ドリルガイド52は、骨係合部材ガイド24(図4に示す)の上側部分36の対応部分上でスライドするよう構成した連結部53(図7Aに示す)に円形空洞を設けることができる。この場合、六角ナット58または他のタイプの端部固定具を、上側部分36の端部に、例えば雄ネジ部59により、または溶接により上側部分36に取り付けて、ドリルガイド52を所定位置に保持することができる。随意的に、ドリルガイド52およびガイドアダプタ14は単一ピースの材料から形成することができ、これにより、ドリルガイド52およびガイドアダプタ14は、破断個別の連結部品としてではなく、モノリシック体とすることができる。
さらにその上、骨係合部材ガイド24はキー溝60(図4参照)を、例えば上側部分36に画定し、このキー溝60は、骨係合部材ガイド24およびアセンブリ10に対してドリルガイドを全体的に整列させるよう構成する。この場合、ドリルガイド52は、図7Bに示すように連結部53の空洞(上側部分36上でスライドするため真円の空洞ではない)内に形成した対応する突出部62を設ける、すなわちキー溝60に嵌合するよう構成し、これにより、ドリルガイド52は適正な向きでのみ上側部分36を収容する(すなわち突出部62がキー溝60に嵌合して整列する)。代替案として、破断図1Aおよび8に示すような長方形のバーの形式とした別個のアダプタキー63を設け、ドリルガイド52に対するガイドアダプタ14の回転を防止する。この点に関して、ガイドアダプタ14の軸線に整列する長方形断面の溝または溝孔を、ガイドアダプタ14の上側部分の外面にミル加工する。対応する溝孔を、ガイドアダプタ14に固定すべきドリルガイドにミル加工またはブローチ加工する。アダプタキー63を次に、ガイドアダプタ14の溝孔内に圧入し、これにより、図面に示すように表面から突出させ、ドリルガイド52における対応する溝孔に係合でき、したがって、ドリルガイド52に対するガイドアダプタ14の回転を防止する。
いくつかの場合において、図7Aの実施形態に示すように、ドリルガイド52には、髄内器具12が適正な回転方向の向きで髄管内に挿入されているか否かを決定する方法を外科医に与える外部回転ガイド86を設ける。もし髄内器具が適正な回転方向の向きでない場合、いくつかの固定具を、特定の骨折タイプに対する次善の(または劣悪であっても)位置に配置する。外部回転ガイド86は、例えば、「X」字”状に形成して、身体の異なる骨にも使用できるようにする。例えば、右肘に髄内器具12を導入することは、整列のために外科医が「X」の一方のラインを使用することを必要とし、同時に、左肘上に髄内器具12を導入することは、整列のために外科医が他方のラインを使用することを必要とする。「X」の交差部材は正方形または長方形の断面とし、交差部材にプリントまたは刻印すべき「右(right)」または「左(left)」などの標識を設ける。髄内器具12を髄管に挿入した後、ねじ用の穿孔前に、上腕骨顆(この例では)間の軸線に対して、外部回転ガイド86の平面を整列させることにより適切な回転を確実にする。この場合の軸線は、上腕骨関節の関節ラインに対して水平から約10°の位置とすべきである。器具が不適正な回転方向の向きである場合、「X」の対応するラインは上腕骨顆の軸線から傾いて見え、穿孔前に器具の位置を再調整する必要があることを外科医に警告する。外部回転ガイド86は調節可能とし、これにより外部回転ガイドを特定患者の上腕上顆軸に応じて上げたり下げたりすることができる。
図3,4および10Aにつき説明すると、ガイドアダプタ14には、さらに、髄内器具12に係合して、髄内器具12に対するガイドアダプタ14の回転を制限するように構成したタブ64または他の突起を設ける。この点に関して、タブ64は髄内器具12の取り付け端部における対応するノッチ65に嵌合するよう構成し、したがってガイドアダプタ14および髄内器具12はタブ64を対応ノッチ65に整列したときのみに取り付けることができ、取り付けた後には、接合部に加わるねじりおよび曲げ力を制御する。随意的に、髄内器具12には、ガイドアダプタ14の対応ノッチに係合して、髄内器具12に対するガイドアダプタ14の回転を制限して、接合部に加わるねじりおよび曲げ力を制御するよう構成したタブ64または他の突起を設けることができる。
いくつかの実施形態において、図8に一例を示したように、髄内器具アセンブリ10は、髄内器具12およびガイドアダプタ14を連結する破断(ブレイクアウェイ)スタッド66を有する。破断スタッド66は、破断スタッド66に所定量の力を加えたときに、髄内器具から破断するように構成する。図9Aおよび9Bを参照すると、例えば、破断スタッド66は近位部68と遠位部70とを有する。近位部68は、骨係合部材ガイドに係合するよう構成し、骨係合部材ガイドを、破断スタッド66に対して回転不能に固定する。例えば、近位部68は、図9Aで分かるように、スラブ状またはドミノ形状を有し、この形状はガイドアダプタ14における対応くぼみに嵌合するよう構成し、したがって、ガイド補助器具14と破断スタッド66との間における相対回転を制御する。いくつかの場合における近位部68は、ガイドアダプタ14における窪みに形成した溝孔に嵌合する***部を画定する、または、破断スタッド66を特定向きでのみ窪みに収容するよう構成する。
遠位部70は、髄内器具に係合するよう構成し、また応力集中領域72を設け、破断スタッド66に加える力がこの応力集中領域72に応力集中し、応力集中領域72でまたはその近傍で破断スタッド66を破断する。遠位部70は様々な方法で構成することができる。例えば、図9Bに示すように、遠位部70は円錐形状のテーパ付きにすることができる。したがって、図9の実施形態において、応力集中領域72は、テーパ部70の断面積が最も小さい領域である。代替案として、応力集中領域72は、「シャークバイト(サメの咬み跡)」 形状または他のタイプの断面積減少形状にすることができる。このようにして、アセンブリ10を骨折した骨の髄管内に導入し、骨折部の圧密化を行い、骨折した骨断片を治癒できるよう髄内器具に固定した後、ガイドアダプタ14および圧迫部材16をアセンブリの残りの部分から破断する。このとき破断スタッド66は、破断スタッド66に所定の力を加えることにより、髄内器具12を導入した骨内に残したまま取り外すことができ、治癒を容易にし、同時に患者は患部の関節および骨をできる限り使用できるようになる。いくつかの実施形態において、破断スタッド66は、ガイドアダプタ14をアセンブリから取り外す前に破断することができる。
いくつかの場合において、応力集中領域72は、破断スタッド6を髄内器具12に取り付ける遠位部70にアンダーカットを設け、取り外し(すなわち破断スタッド66の破断)の際に、髄内器具12に取り付けた状態を維持する破断スタッド66の残存部が、器具12内に埋め込まれる。このようにして、残存スタッド部分は患者には触知しにくく、また軟組織炎症の可能性を減少させる。
しかし、髄内アセンブリ10は、必ずしも、ガイドアダプタ14および圧迫部材16を髄内器具12から破断できるようにする破断スタッド66を設ける必要はない。ガイドアダプタ14および圧迫部材16は他の方法取り外すことができ、例えば導入が完了した後にネジ外すことができるネジ連結とすることができる。
いくつかの実施形態では、髄内器具12の近位端は、図8および9Bに示すように、破断スタッド66を取り付けるための短い切り株状部または結節部13を画定する。結節部13は、ガイドアダプタ14の骨係合部材ガイドに部分的に嵌合する周縁リップ15を設け、これにより髄内器具12を骨に導入する際に髄内器具に加わる曲げ力を相殺できるようにする。さらに、リップ15は、髄内器具12を導入後に髄内器具12の取り扱いを可能にし、例えば、もし取り外しが必要または望ましい場合、髄内器具を骨から取り外し易くする。この場合、破断スタッド66を破断してアセンブリの残りの部分から髄内器具12を取り外すために、ガイドアダプタ14は、応力集中領域72に力を加える前にリップ15から離脱させなければならない。ガイドアダプタ14には周縁に***部21または同様の指標を設け、図9Cに示すガイドアダプタ14内における結節部13の端部の位置を示す。この***部またはマークは、結節部13が骨の端部から突出しないように挿入しなければならない髄内器具12の深度を指示する作用を行う。
ガイドアダプタ14の骨係合部材ガイド24にはロック用横孔74を設け、破断スタッド66には、図9Aに示すように、対応するロック用横孔76を設ける。ガイドアダプタ14および破断スタッド66を組み付けるとき、各ロック用横孔74,76は整列し、したがって、ロック機構78、例えば図示のようなピンを収容するよう構成し、ロック機構が所定位置にあるときにガイドアダプタ14および破断スタッド66を互いにロックするよう作用する。図10Bにつき説明すると、ロック機構78の挿入は、骨に対するアセンブリの導入中、ガイドアダプタ14に対して髄内器具12を保持し、また接合部における回転安定性を維持するよう作用する。留め具79を、図7Aに示すように、アセンブリ10の操作中、ロック機構78を所定の位置に保持するようドリルガイド52の連結部53に設ける。髄内器具12をガイドアダプタ14から取り外す際に、上述のように、ロック機構78を取り外すことで髄内器具をガイドアダプタから離脱可能となる(すなわち結節部13のリップ15を骨係合部材ガイドから離脱可能にする)。この時点において、軸線に沿うまたは横方向のいずれかに加える曲げ力、および/または軸方向荷重をアセンブリに加えることにより、応力集中領域72(図9B参照)で破断スタッド66を破断し、アセンブリの残存部から髄内器具12を取り外すことができる。
他の実施形態において、骨の欠損(一つ以上)を修復する髄内器具アセンブリの組み付け方法を提供する。図1Aにつき説明すると、骨の髄管内に挿入するよう構成した髄内器具12を用意する。上述のように、髄内器具12は、骨の位置およびタイプならびに他の条件に応じて様々な形態とすることができる。骨の髄管は、いくつかの場合において、当業者に既知である道具または方法を用いて髄内器具12を収容するよう予め準備し、例えば髄管を切削することにより、髄管の寸法を髄内器具12の寸法に対応させる。つぎに、髄内器具を骨の予め準備した髄管内に挿入する。例えば、図2Aにつき説明すると、髄内器具12は、尺骨幹端または肘頭20から骨折した尺骨18の髄管内に挿入する。別の例として、髄内器具12を、腓骨幹端または外果から骨折した腓骨の髄管内に挿入する。髄内器具は、さらに、付属工具の支援の下または付属工具なしで、骨内に自身の通路を切り出すように構成することもできる。
図1Aにつき説明すると、ガイドアダプタ14を、髄管内に髄内器具12を挿入する前または後のいずれかで髄内器具12の近位端部に取り付ける。上述のように、ガイドアダプタ14は、髄内器具12の近位端部に取り付けるよう構成した第1端部を有する骨係合部材ガイド24と、骨係合部材ガイド24に沿って移動可能であり、少なくとも2個の骨係合ポイントを有する骨係合部材26とを有する。少なくとも1個の骨係合ポイントは、他の少なくとも1個の骨係合ポイントに対して骨係合部材ガイド24の軸線に沿って移動可能にし、骨端部と係合するよう構成する。例えば、骨係合部材ガイド24は、図2A,2Bおよび2Cに示すように、骨係合部材ガイド24の軸線Xに対して傾けることができる、または、1個以上の骨係合ポイントを、骨に係合するよう、曲げる、回転する、または抜き差し嵌合することができる離散的な圧迫要素のような構体に設けることができる。
上述のように、骨係合部材ガイド24は1個以上のコンポーネントにより形成することができる。ガイドアダプタ14の骨係合部材26は、骨の端部に係合するよう構成する。例えば、図3において、骨係合部材26は、骨の端部表面(図2Aおよび6Aに示すように)に係合するよう構成する複数の圧迫要素40を有する。再度図1Aにつき説明すると、骨係合部材ガイド24に沿って移動可能である圧迫部材16は、骨係合部材ガイド24の第2端部に取り付けることができる(例えば、図5に示す)。
図7Aに示すドリルガイド52を、例えば図4および7Aにつき説明したように、ガイドアダプタ14に取り付ける。ドリルガイド52は、骨に貫通する(すなわち、患者の軟組織から骨内に貫通する)孔を開けることができるよう構成し、これにより、穿孔した孔は、髄内器具12に設けた孔に整列するようになる。このようにして、締結具、例えばネジ、ペグ、ボルト、ピンまたは他の締結具を、骨内の孔に通して挿入しまた髄内器具内の対応の孔に収容し、所定位置で髄内器具に対して骨を保持する。
いくつかの実施形態例えば、図8および9Aに示す実施形態では、破断スタッド66を使用して、髄内器具12の近位端部にガイドアダプタを取り付けることができる。この点に関して、破断スタッド66の一方の端部を髄内器具12の近位端に取り付け、破断スタッド66の他方の端部を骨係合部材ガイド24の第1端部に取り付ける。上述のように、ロック機構78を使用して、破断スタッド66およびガイドアダプタ14をロック用横孔74,76によりともに保持し、髄内器具12のリップ15を、図10Bに示すように付加的な支持を行うよう、ガイドアダプタ14と係合する。
髄内器具10を組み立て、また患部の骨の髄管内に導入した後、ステップの順序に関係なく、骨折部の両側における骨断片を互いに接近する方向に圧迫を加えて圧密化し、それにより骨の治癒を促進する。圧迫を加える方法のある実施形態によれば、髄内器具を、例えば上述のように、骨の髄管内に挿入する。図6Aにつき説明すると、髄内器具12を骨の遠位側断片80(髄内器具アセンブリに対して骨折部の遠位側の断片)に固定する。例えば、1個以上の止めネジ82を、髄内器具の孔22(図1Aおよび8に示す)に挿入し、髄内器具12に対して遠位側骨断片80を保持する。
次に、髄内器具および骨の方向(図5Aに下向き矢印で示す)に、圧迫部材16を前進させて、骨係合部材26に係合させることにより圧迫を加える。例えば、図5Aにおいて、圧迫部材16のハンドル50を回転して、押し込み部材44を前進させ、骨係合部材26に係合させる。この結果、骨係合部材26を骨の方向に前進させ、骨の端部に係合し、図6Aに示すように髄内器具方向に骨係合部材ガイドに沿って前進を継続し、したがって、遠位側の骨断片80が近位側骨断片84(すなわち、髄内器具アセンブリに対して骨折の近位側に位置する骨断片)に向かって相対移動する。圧迫部材16、骨係合部材26、骨係合部材ガイド24、髄内器具12、および遠位側骨断片80の相対移動を、図6Aに各要素上の矢印で示す。
図6Bにつき説明すると、望ましい量の圧迫による圧密化を達成した後、髄内器具12を近位側骨断片84に固定し、遠位および近位側の骨断片80,84の圧密化を維持する。例えば、ねじ、ペグ、ボルト、ピンまたは他の締結具82を髄内器具12内の孔に挿入し、双皮質的(バイコーティカル)および/または単皮質的(ユニコーティカル)に、近位側骨断片84を髄内器具12に固定する。いくつかの実施形態において、髄内器具12における遠位部および/または近位部の孔に雌ネジ(または他のタイプの捕捉機構)を設け、締結具の雄ネジ(または対応する捕捉機構)に係合するよう構成する。図6Aおよび図6Bは、本例におけるネジ82が器具12に対して横方向に、また他のネジ82に対して平行に配置して示すが、ネジ82または他の締結具は、髄内器具12内の収容孔の形態および他の条件に応じて、様々な向きにし、骨と髄内器具12の間の適切な固定を可能にすることができる。
他の実施形態において、近位側骨断片84は骨折部に圧迫を加える前に髄内アセンブリに予め固定し、これにより、骨折部の圧迫による圧密化が、近位側骨断片内における髄内器具の位置を変更することなく行うことができる。この点に関して、圧迫部材を予め調整し、骨係合部材をガイドアダプタに沿う所定ポイントにセットする。このようにして、髄内器具を近位側骨断片84の髄管内に前進させるにつれて、骨係合部材を骨端部に押し付け、髄内器具を近位側骨断片における適正な(すなわち、器具の近位端が皮質表面に整列する)位置に配置することができる。つぎに、髄内ガイドアセンブリ全体を遠位側骨断片80に向けて押し込み、このとき外科医は、遠位側骨断片84に向けて近位側骨断片84を前進させる経路を手動で制御および調節することができ、この際に、望ましいレベルの初期圧迫が骨折部位で生ずるまで、髄内ガイドアセンブリをわずかに回転または横方向運動を行う。髄内器具の位置は、もし必要であれば、圧迫部材により調節することができる。このように2個の骨折断片を互いに押し付け合うことにより、髄内器具アセンブリは一時的に、遠位側ねじを所定位置に取り付けるまで骨折部を密着状態に保持する。もしより多くの圧迫による圧密化を必要とする場合、圧迫部材をさらに骨係合部材ガイドに沿って(骨方向に)進める。適切な量の圧迫を与えた後、近位側のネジを所定位置に押し込む。
いずれの場合において、ガイドアダプタ、圧迫部材および他の添付アクセサリ(例えば、ドリルガイド)は、適切な量の圧迫を達成し、また髄内器具12を遠位および近位側の骨断片80,84に固定した後には、必要がなくなる。この結果、骨係合部材ガイドの第1端部を髄内器具12から取り外し、例えば、骨係合部材ガイドを髄内器具12からネジ戻すことにより取り外すことができる。このようにして、髄内器具12は骨の髄管内に残り、骨折部の安定化および適切な治癒を容易にするよう骨区域80,84を取り付け状態にし、同時にアセンブリの外部要素を取り外して、比較的平坦な骨表面を与え、患者がより快適に患部をできる限り使用できるようになる。
破断スタッドを有する実施形態(図8,9Aおよび9B)において、ガイドアダプタおよび圧迫部材16を、破断スタッド66に力を加えて(例えば集中応力区域72に)破断する前にロック機構を取り外すことにより、導入および固定した髄内器具12から取り外すことができる。例えば、図9A,9Bおよび10Bにつき説明すると、ロック機構78を孔74,76から取り外す必要がなく、髄内器具12をガイドアダプタ14から離脱する(すなわちリップ15を離脱することにより)ことができる。離脱した後、アセンブリに力を加えて破断スタッド66を破断して、髄内器具12をアセンブリの残存部から破断する。さらに、しばらく経ってから骨から髄内器具12を取り外すことが必要となる場合、リップ15を用いて、上述のように髄管から髄内器具12を抜き出すことができる。
本明細書に記載した本発明に対する多くの変更および他の実施形態は、上述の説明および関連する図面に示した教示の利益を有することを、本発明に関連する当業者は理解するだろう。したがって、本発明は記載する特定実施形態に限定することなく、添付の特許請求の範囲内で多くの変更および他の実施形態を含むことを理解すべきである。特定の用語を本明細書で使用したが、総称として説明主旨のみで使用し、限定する意図ではない。