JP2011512903A - イオントフォレシスを介した眼組織への治療薬の向上した送達 - Google Patents

イオントフォレシスを介した眼組織への治療薬の向上した送達 Download PDF

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Abstract

【課題】コルチコステロイド類を経眼イオントフォレシスによる送達により被験者の眼に送達するための方法、並びにデキサメタゾン類を経眼イオントフォレシスにより送達するための装置、経眼イオントフォレシスによる送達に適したデキサメタゾン製剤およびそのキットを提供する。
【解決手段】前記方法は、a)コルチコステロイドを被験者に眼に投与すること;およびb)pH約2.5〜約6.5の条件下で経眼イオントフォレシスを実施すること;を含み、それによって該化合物を眼に送達する。前記装置は、a)デキサメタゾン製剤を含有する少なくとも1つの媒質を含み、眼球の一部を覆うことを意図して表面に沿って広がるリザーバ;およびb)分極されたとき、媒質を通って眼の表面へと向かう電場をリザーバに対して供給する電極;を含む。
【選択図】図5

Description

(関連出願)
本出願は、2008年2月25日出願の米国特許仮出願第61/031,267号、および2008年4月25日出願の米国特許仮出願第61/047,950号の優先権を主張し、各々の内容全体が参照により本明細書に組み込まれる。
コルチコステロイドは広く処方されている治療薬である。全身、局所および注射用製剤が様々な状態の眼のために常套的に使用される。特に、コルチコステロイドの局所適用は、眼疾患のために非侵襲的に送達されるコルチコステロイドの最も広い用途を占める。しかしながら、このアプローチは、バイオアベイラビリティーが低く、それゆえ効果が限られるという難点を抱える。
ステロイドホルモンであるグルココルチコイドの一種であるデキサメタゾン類は、抗炎症薬および免疫抑制薬として働く。眼膜を越えたデキサメタゾン類の拡散を可能にする眼製剤が使用されるが、そのような局所製剤は、取込みが緩慢で、不十分かつ不均一であるという難点がある。現在の眼送達方法は眼への低いレベルの暴露しか達成しないので、頻繁な適用が必要であり、コンプライアンスの問題も重要である。
局所的にデキサメタゾン類を適用するに際し、眼へのイオントフォレシスを含む適用は今まで記載されていない。様々な治療薬を皮膚へ局所適用するために行なわれる、上市済のクーロン力を利用したイオントフォレシスに基づくと、すでに十分理解されている医薬品であっても、イオントフォレシスのためにカスタマイズされた製剤が必要であることは明らかである。このようなカスタマイズは、投薬の有効性を最大化し、安全性を改善し、商業的な課題を克服する。皮膚への適用の際に問題となる公知の技術的な製剤上の課題は、結果的に眼への送達の際にも問題になり得る。しかし、経眼イオントフォレシスでは、皮膚の場合よりも付加的な製剤上の課題が提示される。そのため、コルチコステロイド類を経眼イオントフォレシスによって送達するのに適した理想的な新規製剤を開発することが求められている。そのような製剤は、API濃度、溶質、賦形剤、安定剤、緩衝剤、送達アプリケータ、イオントフォレシス投与量等を含む、多くの可変的な要素を有する。眼への局所的な送達を非侵襲的に行なうのに適したコルチコステロイド類を開発することにより、眼科医のための治療選択肢は顕著に拡大する。
負に荷電した化合物を、組織内へまたは組織を介して(たとえば眼内へおよび眼を介して)、送達することを向上するための装置および方法が本明細書において説明される。より詳細には、本明細書で説明される方法および装置は、哺乳動物の眼に、化合物(たとえばリン酸デキサメタゾン)を能動的に送達するためにイオントフォレシスを利用する。前記方法および装置は、たとえばイオントフォレシスを介した場合において、薬剤送達量および患者の安全性を最大化するためのコルチコステロイド製剤およびこれらの製剤の使用を開発することに焦点を合わせている。これらの新規製剤は、様々な炎症媒介性眼疾患を治療するのに適する。種々の強度の活性医薬成分(Active Pharmaceutical Ingredient:API)を含有する製剤は、種々のイオントフォレシスの投与量(たとえば電流レベルおよび適用時間)で使用することができる。これらの溶液は、たとえば:(1)開始および終了pHを管理するために適切に緩衝されてもよく、(2)貯蔵寿命(化学的安定性)を管理するために安定化されてもよく、および/または(3)浸透圧を調節する他の賦形剤を含有してもよい。さらに、薬剤(drug product)の溶液は、競合イオンの存在を最小限に抑えるように作製される。これらの独特の投与形態は様々な治療上の必要性に対処することができる。経眼イオントフォレシスは、実質的な量のAPIを多くの眼組織に送達するための新規で非侵襲的な外来患者アプローチである。この非侵襲的アプローチは、眼注射に付随する感染の有意の危険性を伴わずに、眼注射で達成されるのと同等またはより良好な結果を導き得る。
1つの実施形態は、コルチコステロイド、コルチコステロイド誘導体、そのプロドラッグまたは塩をイオントフォレシスによって被験者の眼に送達するための方法であって、a)化合物を被験者の眼に投与すること;およびb)pHが約2.5〜約6.5である条件下で経眼イオントフォレシスを実施し、それによって化合物を眼に送達することを含む方法を対象とする。特定実施形態では、コルチコステロイドはデキサメタゾン化合物、その誘導体である。特定実施形態では、イオントフォレシスの開始時pHは約5.7である。特定実施形態では、コルチコステロイドはプロドラッグの形態である。特定実施形態では、コルチコステロイドはイオントフォレシスの前に注射によって送達される。特定実施形態では、注射の方法は、眼房内注射、角膜内注射、結膜下注射、テノン嚢下注射、網膜下注射、硝子体内注射および前眼房への注射からなる群より選択される。特定実施形態では、コルチコステロイドはイオントフォレシスの前に局所的に投与される。特定実施形態では、局所的投与は、コルチコステロイドが、溶液、ペーストおよびヒドロゲルからなる群より選択される形態で提供されることを含む。特定実施形態では、コルチコステロイドは発泡体基質に包埋(embedded)されている。特定実施形態では、コルチコステロイドはリザーバに担持(supported)されている。特定実施形態では、経眼イオントフォレシスの工程は、コルチコステロイドを投与する工程の前、その間またはその後に実施される。特定実施形態では、化合物は、約1.7×10−4mA・分〜約120mA・分(たとえば約10mA・分〜約30mA・分)のイオントフォレシス投与量によって送達される。特定実施形態では、イオントフォレシス投与量は約20mA・分である。特定実施形態では、化合物は、約4.0mAの電流で約5分間にわたって送達される。特定実施形態では、化合物は、約10mA未満の可変電流または定電流で送達される。特定実施形態では、化合物は、約10分未満の時間にわたって送達される。
1つの実施形態は、デキサメタゾン類をイオントフォレシスによって被験者の眼に送達するためのキットであって、前記キットは、約2.5〜約6.5のpH範囲でのイオントフォレシスに用いられるとともに、化合物をイオントフォレシスによって被験者の眼に送達する装置のために使用されるキットを対象とする。
1つの実施形態は、被験者の眼への経眼イオントフォレシスによる送達に適したデキサメタゾン製剤を対象とする。特定実施形態では、デキサメタゾン類はプロドラッグの形態である。特定実施形態では、イオントフォレシスによる送達は、約2.5〜約6.5のpH範囲で実施される。特定実施形態では、pHは約5.7である。
1つの実施形態は、デキサメタゾン類を送達するための装置であって、a)デキサメタゾン製剤を含有する少なくとも1つの媒質を含み、眼球の一部を覆うことが意図された表面に沿って広がるリザーバ;およびb)分極されたとき、媒質を通って眼の表面へと向かう電場をリザーバに対して供給する電極を含み、デキサメタゾン製剤の少なくとも一部がイオントフォレシスを介して眼の表面を経由して経眼的に送達される装置を対象とする。特定実施形態では、リザーバは、a)デキサメタゾン製剤を含有する少なくとも1つの媒質を収容するための第一容器;b)導電性エレメントを含有する導電性媒質を収容するための第二容器;およびc)第一容器と第二容器の間に位置づけられ、導電性エレメントに対して透過性であり、活性物質に対して不透過性である半透膜を含む。
1つの実施形態は、眼イオントフォレシスによってコルチコステロイドの有効量を投与することを含む、哺乳動物においてコルチコステロイド感受性眼疾患を治療するための方法を対象とする。特定実施形態では、眼疾患は、ブドウ膜炎、ドライアイ、術後炎症および角膜移植拒絶反応からなる群より選択される。特定実施形態では、コルチコステロイドはリン酸デキサメタゾンである。特定実施形態では、リン酸デキサメタゾンの投与は単回投与で行われる。
図1は、イオントフォレシスの装置および手順の概略図である。 図2は、リン酸デキサメタゾンのインビトロ送達を示すグラフである。 図3は、様々なクエン酸ナトリウム濃度を使用したリン酸デキサメタゾンのインビトロ送達を示すグラフである。 図4は、適用電流に対して、リン酸デキサメタゾンのフラックス(flux)が線形依存することを示すグラフである(平均±標準偏差、n=4)。 図5は、EyeGate II装置および発電機を使用した場合のニュージーランドウサギ眼におけるイオントフォレシス投与の配置を示す画像である。 図6は、コンカナバリンAまたはリン酸緩衝食塩水(各群についてn=8)を涙腺に注射したウサギにおける涙液の流れの測定を示すグラフである。2日目に、リン酸デキサメタゾンまたはリン酸緩衝食塩水のいずれかをイオントフォレシスにて単回投与によりウサギに与えた。涙液流量をシルマー細片で測定し、5分間の流量をmmでの距離として記録した。(=P<0.01)。 図7は、試験の8日目のウサギの眼表面でのフルオレセイン染色の代表的な細隙灯顕微鏡画像である。左のパネル:第1群−ウサギはコンカナバリンA誘発性ドライアイを有し、2日目に食塩水でイオントフォレシス処置された。中央のパネル:第2群−ウサギはコンカナバリンA誘発性ドライアイを有し、2日目にリン酸デキサメタゾンでイオントフォレシス処置された。右のパネル:第3群−ウサギは食塩水を注射され、2日目に食塩水でイオントフォレシス処置された。 図8は、涙腺へのリン酸デキサメタゾン溶液またはリン酸緩衝食塩水(各群についてn=8)のいずれかの単回イオントフォレシス投与後のウサギにおけるフルオレセイン染色スコアを示すグラフである。(=P<0.01)。 図9は、コンカナバリンAまたは食塩水を涙腺に注射し、および2日目にリン酸デキサメタゾンまたは食塩水によってイオントフォレシス処置した後の、4日目または8日目のウサギの涙腺および角膜におけるインターロイキン1β(IL−1β)の発現を示すグラフである。n=4、=P<0.01。角膜において有意差は認められず、特異的な涙腺炎症反応であることを示唆した。 図10は、コンカナバリンAまたは食塩水の涙腺注射および2日目のリン酸デキサメタゾンまたは食塩水によるイオントフォレシス治療後の、4日目または8日目のウサギの涙腺および角膜におけるトランスフォーミング増殖因子β1(TGF−β1)の発現を示すグラフである。n=4、=P<0.01。角膜において有意差は認められず、特異的な涙腺炎症反応を示唆した。
イオントフォレシスの工程は、イオン性物質(たとえば薬剤)が対象の表面を通過するための運動性を高めるために、イオン性物質(たとえば薬剤)に対して電流を印加することを含む。3つの主要な力が電流によって引き起こされるフラックスを支配する。第一の力は電気化学的反発力であり、これにより同符号の荷電種が表面(組織)を通過するのを推進する。イオントフォレシスは、最も初期には、経皮適用が検討された。
電流が電解質および荷電物質(たとえば、活性医薬成分(Active Pharmaceutical Ingredient:API)を含有する水溶液を通過するとき、いくつかの事象がおこる:(1)電極によりイオンが発生する、(2)新たに発生したイオンが同種の荷電粒子(典型的には送達される薬剤)に接近する/衝突する、および(3)新たに発生したイオン間での電気的反発により、溶解/懸濁している荷電粒子(API)が、電極に隣接する表面(組織)内および/または表面(組織)を通過するよう推し進められる。さらに電流を継続的に適用すると、単純な局所投与で達成されるよりも顕著にAPIは組織内へ推進される。イオントフォレシスの程度は適用電流および処置時間に比例する。コルチコステロイドは、たとえば約1mA〜約10mAの範囲の定電流または可変電流の設定により送達され得る。全体的なイオントフォレシス投与量は電流と時間の関数である。イオントフォレシス投与は、たとえば、約10分間未満、約15分間未満、約20分間未満、または約5分間の期間にわたって適用され得る。
イオントフォレシス(イオン導入)は、イオンが電極によって容易に発生し得る、水系製剤で発生する。イオンを発生させるために2種類の電極:(1)不活性電極(inert electrodes)および(2)能動電極(active electrodes)が使用できる。各々のタイプの電極は、電解質を含む水性媒質を必要とする。不活性電極によるイオントフォレシスは、印加電流が生じさせ得る加水分解の程度によって支配される。電解反応は水酸化物イオン(陰極)またはヒドロニウムイオン(陽極)のいずれかを生成する。一部の薬剤は、緩衝剤を含有しており、緩衝剤は、これらのイオンによって引き起こされるpHシフトを軽減することができる。緩衝剤が存在すると、電解によって発生したイオンに関して薬剤と競合し得る同種荷電イオンを発生させ、これにより薬剤の送達を低下させ得る。薬剤送達電極の電気的極性は、薬剤の化学的性質、特にそのpK/等電点および初期投与溶液のpHに依存する。薬剤の組織への導入は、電解によって発生するイオンと薬剤の電荷との間の電気化学的反発力によって主として発生する。そのため、イオントフォレシスは、薬剤吸収を高めるという点で局所的薬剤適用に比べて顕著な利点を提供する。薬剤送達の速度は、当業者によって決定でき、印加電流を変化させることによって調節されてもよい。
経眼イオントフォレシスは文献において報告されているが、基本的理解として、経眼イオントフォレシスにおいて典型的に使用されるはるかに高い電流での薬剤送達のためのアプローチは、経皮電気的輸送に関する理解と同じものとはいえない。本発明は、経眼イオントフォレシスに関し、特定のリン酸デキサメタゾン製剤を使用するための製剤および条件についての予想外の発見をし、それを対象とする。以下に、強膜の電気的性質(電荷、選択透過性、pI)およびモデルアニオン種(たとえば緩衝リン酸デキサメタゾン)のイオントフォレシス輸送について述べる。
(定義)
本明細書で使用される、「被験者」という用語は、動物、特に哺乳動物、たとえばヒトを指す。
本明細書で使用される、「効果」という用語は、所望の作用が得られる程度を指す。具体的には、この用語は、デキサメタゾン類またはそのプロドラッグが炎症を治療するうえで有効である程度を指す。本発明に関連して使用される「効果」という用語はまた、炎症に付随する1つ以上の症状または臨床事象の緩和または軽減を指す。
本明細書で使用される、「前部ブドウ膜炎」は、ブドウ膜の前部(すなわち虹彩と毛様体)の眼内炎症を指す。「虹彩炎」は虹彩だけの炎症を指すが、「虹彩毛様体炎」は虹彩と毛様体の両方の炎症を指す。「前部ブドウ膜炎」、「虹彩炎」および「虹彩毛様体炎」はしばしば同義的に使用される。前部ブドウ膜炎に関し、炎症の持続が12週間未満である場合は「急性」と称され、それより長く持続する場合は「慢性」と称される。慢性前部ブドウ膜炎は、3カ月以上の期間および頻回の発作を伴う疾患の再発によって特徴づけられる。再発とは、休止期間の後に眼内炎症が再び現れることを指す。
本明細書で使用される、「デキサメタゾン類またはDEX類」は、一般にデキサメタゾン化合物、その誘導体および塩、たとえばリン酸デキサメタゾン、リン酸デキサメタゾンナトリウムなどを指す。本明細書で使用される、「誘導体」という用語は、たとえばコルチコステロイドなどの、化学修飾を有する化合物を指す。
本明細書で使用される、「グルココルチコイド類」は、しばしば様々な炎症性障害を治療するうえで有用な、コルチコステロイド類を指す。デキサメタゾン類のような、グルココルチコイド類またはコルチコステロイド類は、たとえば炎症反応の浮腫、フィブリン沈着、毛細血管沈着および食細胞移動を阻害することによって炎症を抑制する。他の組織におけるように、コルチコステロイド類は眼組織において特異的作用を有さないと思われるが、広範囲の抗炎症活性を発揮する。眼組織におけるコルチコステロイド類の作用は以下:1)細胞性免疫応答の低減、2)炎症血管透過性の低減、3)血液房水関門の安定化、4)フィブリノイド滲出の制限、4)線維芽細胞分化転換の阻害、5)上皮増殖の阻害、6)炎症性角膜血管新生の阻害、7)創傷治癒の遅延、8)眼内圧の上昇、および9)白内障の誘発が含まれる。また、コルチコステロイド類は炎症部位への白血球の移動を阻害し、白血球が炎症領域にとどまる能力を低下させ得る。
(活性医薬成分:API)
本発明は、デキサメタゾン類、リン酸DEXおよびリン酸DEXナトリウムの1つ以上を含む方法および製剤を対象とする。活性物質(たとえばデキサメタゾン)およびその製剤は、好ましくは媒質1ml当たり約0.1mg〜約100mgの濃度で存在する。
活性物質は、それ自体イオン性であってもよいし、またはそれらのイオン化が促進される形態であってもよい。それゆえ、活性物質を、たとえばポリマー、デンドリマー、ポリマーナノ粒子もしくはミクロスフェア、またはリポソーム(活性物質は水性コアに含まれ、リポソームの壁部には含まれない)などの、末端基にイオンを提示する添加剤に結合することが可能である。活性物質のイオン化を改善するための技術の様々な他の例は当技術分野において公知である(Bourlais, C. et al., Prog. Retin Eye Res., 17:33-58, 1998; Ding, S., Pharm. Sci. Tech. Today, 1 :328-335 1998; Lallemand, F. et al, Eur. J. Pharm. Biopharm., 56:307-318, 2003)。
(眼炎症を治療するための方法)
コルチコステロイド類は並ぶもののない抗炎症作用を有し、その作用は迅速に発現する。コルチコステロイド類の点眼剤は、前部眼組織における急性炎症状態を治療するために使用されてきた(McGhee, C. et al., Drug Saf., 25:33-55, 2002)。たとえば、2つの臨床試験により、短期の集中的投与レジメンを使用した強力なコルチコステロイド類の局所適用が、人工涙液補充に対して不応答性であった中等度から重症の乾性角結膜炎(KCS)を有する患者において急性ドライアイの徴候と症状を軽減することを明らかにしている(Marsh, P and Pflugfelder, S., Ophthalmology, 106:811-816, 1999; Hong, S. et al., J. Ocul. Pharmacol. Ther., 23:78-82, 2007)。患者は、活性投与期間を有意に超える期間にわたってドライアイの徴候と症状の緩和を経験しており、これはこの治療が根本的に炎症性病変を改善したことを示す。局所的なコルチコステロイド類の使用は、依然として角膜移植拒絶発作に対する中心治療法である。ステロイド類の薬理学的作用は、ホスホリパーゼA2およびリポ−オキシゲナーゼ経路を阻害することによるプロスタグランジン合成の遮断、細胞およびフィブリン滲出の両方の減少、走化性および食作用の阻害、毛細血管透過性の回復、多形核細胞(PMN)のリソソーム膜の安定化、ならびに移植片血管新生の阻害を含む。
前部ブドウ膜炎は広い範囲の病因を包含する。そして、最も一般的な形態の前部ブドウ膜炎は病因がいまだに未知である。ブドウ膜炎の徴候および症状は、病因と炎症の位置によって異なる。前部ブドウ膜炎は、疼痛または羞明、角膜縁周囲の発赤、ならびに前房内細胞およびフレアの症状によってより一般的なタイプの眼炎症と区別される。前部ブドウ膜炎を患う患者は、前部ブドウ膜炎が全身性疾患に続発するものでない限り、一方の眼に疼痛の症状を示し得るが、全身性疾患に続発する前部ブドウ膜炎の場合は、疼痛または発赤は必ず起きる症状ではない。多く見られる前部ブドウ膜炎の視力を脅かす合併症(たとえば後嚢下白内障(PSC)、緑内障および黄斑浮腫)は、一般にその再発性のために起こる。
前部ブドウ膜炎の医学的管理はその重症度によって異なり、局所的または全身的コルチコステロイド治療およびしばしば毛様体筋麻痺薬を用いて行なわれる。局所ステロイド点眼薬が使用される場合、治療の頻度は、治療される炎症の重症度によって15〜30分ごと、1時間ごと、または一日おきなどであってもよい。前部ブドウ膜炎を治療するうえでのコルチコステロイドの役割は、たとえば、滲出液の生成を低減すること、細胞膜を安定化すること、顆粒球によるリゾチームの放出を阻害すること、およびリンパ球の循環を抑制することによって炎症を低減することである。毛様体筋麻痺薬は、前部ブドウ膜炎の治療において3つの目的に役立つ:1)虹彩を固定化することによって疼痛を緩和する、2)膨隆虹彩および眼内圧(IOP)上昇を導き得る、水晶体前嚢への虹彩の付着(虹彩後癒着)を予防する、ならびに3)血液房水関門を安定化し、さらなるタンパク質漏出(フレア)を防ぐのを助ける。
ステロイドホルモンであるデキサメタゾン[9−フルオロ−11β,17,21−トリヒドロキシ−16α−メチルプレグナ−1,4−ジエン−3,20−ジオン]は、様々な機械的/外科的、化学的、および/または免疫学的性質の作用物質に対する炎症反応を抑制することができるグルココルチコイドステロイドホルモンの種類に属する。全身に投与されたデキサメタゾンの抗炎症活性は、プレドニゾンまたはプレドニゾロンより約6〜10倍大きく、コルチゾンより約30〜40倍強力である。デキサメタゾン(DEX)は、ヒト臨床試験およびウサギモデルにおいて眼の炎症を抑制するおよび/またはブロックするうえで有効であることが示された。
DEX製剤は多くの市販形態で入手可能であり、それらはいくつかのプロドラッグ:デキサメタゾン塩基(アルコール)、酢酸デキサメタゾンまたはリン酸デキサメタゾン二ナトリウムを含む。DEXおよびそのプロドラッグは、経口的、局所的、静脈内もしくは筋肉内注射によって、または吸入によって投与され得る。眼科学においては、リン酸DEX二ナトリウム(Decadron(登録商標)、Merck & Co.)0.1%溶液が使用されてきた。0.1%溶液が眼の治療のために広く使用されるが、投与量および治療期間は個々の患者によってかなり異なる。リン酸DEX0.1%溶液は、無傷角膜に容易には浸透しない。眼炎症の治療のためのDEX投与量の選択は、主として臨床有効性データと、薬理学および薬物動態試験からの補助情報に基づく。
前部ブドウ膜炎をわずらう患者は、典型的には炎症の初期段階の間は強力な局所ステロイド薬で積極的に治療され、頻繁な間隔で繰り返し評価されて、当業者によって判断される臨床応答に応じてステロイドの漸減スケジュールが決定される。それゆえ、実際には、局所適用されるコルチコステロイドの投与量を調節する主要な手段は、薬剤を点眼する頻度を変化させることである。最大の効果を所望する場合は、局所ステロイドを1時間ごとに、さらにはそれ以上の頻度で投与する。前部ブドウ膜炎の非常に重篤な症例では、酢酸プレドニゾロン1%またはデキサメタゾンアルコール0.1%が、補助療法として眼周囲および/または経口コルチコステロイドと共に、1時間ごとに24時間体制で必要とされ得る。治療の有効性が評価される場合、これらの処置に関するコンプライアンスがしばしば考慮対象となる。局所ステロイドに関する治療の失敗の大部分は、患者のコンプライアンスの低さ、不十分な投薬、または急激なもしくは急速な漸減スケジュールに起因すると考えられる。
ブドウ膜炎に加えて、デキサメタゾン類の眼へのイオントフォレシスによる治療に適する他の状態としては、たとえばドライアイ、糖尿病性黄斑浮腫、加齢性黄斑変性、および他の炎症性眼状態が含まれる。
(経眼イオントフォレシス装置)
たとえば、デキサメタゾン類およびその適切な製剤を送達するための装置が記述されている(各々の内容が全体として参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第6,154,671号;米国特許出願公開第2006/0142706号;米国特許出願公開第 2005/0245856号;国際公開広報第WO 2006/072887号;および米国特許出願公開第2007/0123814号)。
好ましい実施形態では、イオントフォレシス装置は、局所アプリケータと共に、経眼イオントフォレシスを実施するために使用される。そのような装置の一例を以下で述べるが、当業者は、経眼イオントフォレシスに適する他の装置も、本発明の製剤および方法を使用するために有用であることを認識するであろう。
イオントフォレシスアプリケータは環状形態であり、眼の強膜の表面に適合し、薬剤の眼への直接送達を可能にするように設計される。アプリケータの内径は、眼の中心に装置を位置づけるのを容易にするため平均的な角膜と同じ程度の直径である。眼とアプリケータの間において、眼に直接接触する表面は、親水性軟質ポリウレタンの発泡体からなり、この発泡体は、治療の間に送達されるリン酸デキサメタゾン溶液のためのリザーバとしての役割を果たす。電極は不活性であり、発泡体の形状と大きさに適合する環状形態である。
発泡体リザーバは、リザーバを充填する工程を容易にし、システム内の気泡を除去しやすくする親水性発泡体で作製されてもよい。アプリケータの遠位部分とアプリケータの発泡体リザーバは、眼と装置の間の界面として機能する。これらのコンポーネントの寸法は、特に、角膜縁から1mmの位置で、強膜の表面に適合するように設計される。アプリケータの内側直径は、アプリケータの設置と目の中心への位置づけを助けるのぞき窓(viewing port)として機能する。
リザーバの寸法および形状は、送達される分子が均一に且つ眼面積に広く分布するような寸法および形状であり、それにより、単位面積当たりの分子の活動を最小限に抑えて、表在性の眼組織を過度のストレスから保護することができ、そしてまた、全身吸収を回避しつつ製品を標的眼内組織に正確に送達することができる。リザーバの適用表面に関し、より大きな表面積は、眼球上でのより低い電場滞留時間を可能にし、眼球上の電流密度を制限する。
リザーバの適用表面は、標的領域をカバーするように選択されてもよい。それゆえ、活性物が均一に分布する領域を最大化するために、リザーバの表面領域だけでなく、リザーバの形状も適宜適合されてもよい。装置のリザーバは、たとえば、角膜の少なくとも一部を介して、または強膜の少なくとも一部と角膜の少なくとも一部を介して、または強膜の少なくとも一部を介して、活性物質を投与するように適合されてもよい。ある実施形態では、リザーバの適用表面は環状であり、眼球の光軸の周囲に伸びていてもよい。
リザーバに収容された媒質は眼球の表面から広がる。媒質は、たとえば天然または合成ゲル部材、天然または合成発泡体、または溶液単体を含んでいてもよく、前記発泡体は、溶液中の活性物質を受け入れるための眼への適用に対して幾何学的および組成的に適合性を有している。また、導電性媒質(たとえば水またはヒドロゲルなど)も、リザーバを通して電場を眼球の表面へと誘導し、伝導するためにリザーバに入れることができる。媒質はまた、たとえば電解質、安定化添加剤、薬剤保存添加剤、pH調節緩衝剤、PEG化剤、ならびに組み合わせたときに活性物質の半減期および/またはバイオアベイラビリティーを高める任意の他の作用物質のような補助的作用物質も含有し得る。
アプリケータ電極は、たとえば、一方の表面に銀被覆を施し、他方の表面には導電性炭素被覆を有する平膜で作製され得る。電極の銀被覆表面は電源コネクターピンと接触しており、電流が電極の周囲に(around)均一に分散するのを助ける。導電性炭素は発泡体リザーバ内の薬剤と接触しており、電流を薬剤に伝達する役割を果たす。ここで、炭素表面は不活性であり、薬剤と反応しない。電極は、たとえば、アプリケータ電極からの潜在的熱作用を最小限に抑えるために眼の表面から約6mm離れている。
受動電極または帰還電極は、身体を通して電流を「ループさせる」ため、身体の一部、たとえば耳、額または頬に設置することができる。能動電極と同様に、受動電極は、活性物質がカチオン性であるかアニオン性であるかに応じて陽極または陰極を含み得る。帰還電極は、たとえば標準的なTENS型の電極と非常に類似したものであってもよい。TENS型の電極は、電流が被験者の体内から出ていき、定電流発生器に戻ってくることを可能にするように設計された導電性材料の複数層からなる。電極は、長方形の平板状であり、額に取り付けるように寸法づけられる。市販の導電性ゲル接着剤により電極を被験者に固定する。
能動電極またはアプリケータ電極は、作動時に、約10mA/cmまたはそれ以下の電流密度を提供し、約10分間またはそれ以下の時間で分極されるように配置され得る。一部の実施形態では、装置は、その内容が全体として参照により本明細書に組み込まれる、フランス特許第FR 04/04673号に記載されるように、装置を保護するためまたは不活性物質を金属汚染物質から保護するために、任意で能動電極の表面に形成される保護層を含む。装置は、能動電極と眼表面の間の距離が、電場による眼組織の損傷を予防するように選択される、好適な位置に配置されてもよい。眼表面から能動電極までの距離は、たとえば少なくとも約4mmであるように選択されてもよい。
導入システム(transfer system)はシリンジ(syringe)とスパイク(spike)で構成されてもよく、薬剤を標準的なバイアルからアプリケータの発泡体リザーバに移す働きをする。プラスチックで製造され得るスパイクは、リン酸DEX点眼液を含むガラスバイアルの上部シールに穴をあけるために使用される鋭い先端を有する。導入システムの遠位末端は、シリンジからアプリケータリザーバへの薬剤の移動を容易にするためにアプリケータと結合している。また、導入システムは、滅菌・単回使用の使い捨て製品として提供されてもよい。
イオントフォレシスの発電機は、薬剤のイオントフォレシス送達のために使用されるあらかじめ定められた範囲で定電流をアプリケータに流すように設計された携帯式のバッテリー操作装置であってもよい。発電機は、当業者によって決定される所望の電流まで、あらかじめ定められた速度で電流を自動的に増大させる。
(イオントフォレシスパラメータ)
いくつかの相互依存性因子が、眼炎症疾患の治療における特定の局所ステロイド製剤の全体的効果と安全性に影響を及ぼす。これらは、角膜、強膜または血液眼関門を通って浸透する局所ステロイドの能力、相対的抗炎症効力と作用期間、投与の用量と頻度、および有害事象プロファイルを含む。たとえば前部ブドウ膜炎に関して、早期に且つ積極的に眼に介入する医学的緊急性、および前眼房においてステロイドの適切な治療レベルを達成するために必要とされる高い頻度の投与を考慮すると、眼へのステロイド送達の代替的な方法は臨床的に興味深い。
経眼イオントフォレシスによる送達のために有効なリン酸DEXナトリウム製剤を製造するに際し、適切な溶液パラメータの例をここで説明する。各々のパラメータの上限および下限有効性を述べるが、当業者は、たとえば制御された速度の薬剤送達を生じさせるためにこれらのパラメータを調節する方法を理解しているであろう。考慮されるパラメータは以下のとおりである:
1.pH これは較正済みpHメータによって測定される。様々なpH範囲が、たとえばリン酸緩衝液を含む様々な緩衝系を使用して酸または塩基でのpH調整によって得られる。
2.伝導率 これは較正済みpH/伝導率メータによって測定される。様々な伝導率範囲が、塩(たとえばNaCl、KCl等)濃度を変化させることによって得られる。
3.モル浸透圧濃度 これは較正済み浸透圧計によって測定される。様々なモル浸透圧濃度範囲が、たとえばマンニトールの添加などによって得られる。
4.イオン強度 様々なイオン強度が、様々なイオン性化合物(たとえばNaCl、KCl、CaCl、MgCl等)の添加によって得られる。イオン強度は以下の計算式を使用することによって決定される:
[式中、Iはイオン強度であり、Cはi番目の分子の濃度であり、そしてzはi番目の分子の電荷である。]
5.粘度 これは較正済み粘度計によって測定される。様々な粘度が、たとえば様々なポリエチレングリコール類(PEG)の添加によって得られる。
DEX類の送達を最適化するときに考慮される他のパラメータは、たとえば、不活性電極対能動電極の使用、緩衝系の選択、賦形剤の選択(場合によりモル浸透圧濃度を調整するために必要とされる)、化合物の電荷(たとえばpKおよびpI)、化合物の溶解度、API濃度、化合物の安定性、薬剤安定剤、共溶媒およびエマルションの選択を含む。
薬剤を送達するために使用されるアプリケータとして、荷電分子を送達するために必要とされるイオン(水酸化物またはヒドロニウム)を生成するための、水の電解を刺激する電極(不活性または能動)を利用する。それゆえ、リン酸DEXを送達するために生理的pHでのアニオンの陰極送達(水酸化物イオンを生成する)が必要とされる。これにより水酸化物イオンが生成され、そして、アニオン性リン酸DEXの眼組織への移動を促進すると同時に、薬剤溶液のpHを上昇させる。薬剤の溶液は十分な緩衝能力を有しており、投薬によって生成されるすべての水酸化物イオンを収容する。リン酸DEXの独特の物理化学的性質、特にリン酸DEXが2つのpKを有することにより、顕著な緩衝能力を備えた高度に水溶性の製剤が製造可能となる。
DEXは荷電基を欠き、非常に限られた水溶解度(0.1mg/mL)を有するため、DEXの水性製剤は経眼イオントフォレシスに適さない。これら2つの欠点は、デキサメタゾン類のプロドラッグ、たとえばリン酸デキサメタゾンを利用することによって克服され、このようなプロドラッグは付加的な利点である内部緩衝能力を提供する。前部ブドウ膜炎をわずらう患者におけるイオントフォレシス送達を行なうことを意図した最終薬剤は、リン酸DEXの水溶液(たとえば約40mg/mL、約25〜50mg/mL;および約10〜100mg/mLの濃度)であり、当技術分野で公知の方法によって(たとえば、APIを注射用蒸留水に懸濁し、その後水酸化ナトリウムで溶液のpHを5.7に調整することによって)生成される。この操作により水溶液の酸性度が低くなるので、リン酸DEXは溶解し、透明な溶液を生じる。1つの実施形態では、最終薬剤をフィルター滅菌し、USP 1型ガラスバイアルに無菌的に充填してもよい。このバイアルは、たとえばブロモブチルゴム栓とアルミニウムのオーバーシールで閉じることができる。最終薬剤のバイアルは、遮光して約2〜8℃で保存できる。製品は、投与の前に室温に温めることができる。
(実施例1)DEXの経眼イオントフォレシスのための条件
インビトロ試験を、pH約5.66の100mMクエン酸ナトリウム中の10mg/mL溶液を使用して±3mAで実施した。約1%が陰極送達を使用してレセプターに移動した。
競合イオン数を減少させた場合のDEXの輸送効率への影響を検討するため、4つの異なる濃度のクエン酸ナトリウム緩衝液を使用してインビトロ試験を実施した。クエン酸ナトリウムの量が減少するとDEXフラックスが上昇した(図1および2参照)。なお、たとえば、低濃度のクエン酸ナトリウム溶液からpH変化を排除したこと、およびドナー溶液の浸透圧を調節するために様々な非荷電賦形剤を使用したことを含め、他の条件は多様である。
(実施例2)
不活性電極を使用したウサギ強膜を横切るDEXの電気的輸送
経眼イオントフォレシスの試験、特にバリア層の選択透過性の特徴づけ、および構造−輸送の関係を確立するための試験をここで述べる。ウサギ強膜を横切る、モデルアニオン性化合物(リン酸DEX)の電気的輸送を検討した。広く使用される点眼薬であるリン酸DEXを、負電荷を有するモデル薬剤として選択した。強膜を横切る薬剤フラックスを、皮膚に関して成功しているのと同じ方法で最適化することが可能かどうかを検討すること、および特に線形の「フラックス−電流」関係が、眼送達において使用される、より高い電流密度にも当てはまるかどうかを確認することが本試験の目標である。
(方法)
すべての経強膜イオントフォレシス試験を、切除したウサギ強膜に関して水平拡散セル(透過面積=0.2cm、容積=4mL)において実施した。組織を結膜、眼球外筋および網膜から切り離した。強膜を、結膜側を薬剤溶液の方に向けて、2つの半電池の間に固定した。PtまたはAg/AgCl電極を使用して、電源によって供給される定電流を印加した。各々の実験を少なくとも4回実施した。適切な無電流下での受動的制御も実施した。
リン酸DEXの陰極経強膜イオントフォレシスを0.5mA、1mAおよび2mAで2時間にわたって実施した。ドナー溶液は、0.4%w/vリン酸DEX水溶液であった。レセプター溶液は同じくpH7.4のリン酸緩衝食塩水であった。実験数は限られたものの、この場合はヒツジ強膜を使用して実施した。これらの試験からのデータは、対応するウサギ膜を用いて得られた結果と区別できなかった。レセプター相の試料をHPLCによってデキサメタゾンに関して検定した。
(結果)
強膜を横切るリン酸デキサメタゾンのイオントフォレシス送達は簡便であり、1時間後に達成されたフラックスは印加電流に直接比例した(図4)。
(実施例3)
デキサメタゾンおよび2つのプロドラッグ、リン酸DEXナトリウムとリン酸DEXを使用して試験を実施した。比較薬物動態データに基づき、リン酸DEXをイオントフォレシス送達のための適切なプロドラッグとして選択した。デキサメタゾンがプロドラッグの活性部分であると考えられるので、ここではデキサメタゾンの薬理学を述べる。
公表文献は、特に眼炎症のモデルにおける、デキサメタゾンの薬理学的作用を支持する。インビトロおよびインビボの両方で、デキサメタゾンの薬理学的作用を特徴づける多くの実験が報告されている。これらの薬理学的試験ではしばしばデキサメタゾンのプロドラッグが使用されており、これらのプロドラッグのデキサメタゾンへの変換は比較的迅速且つ完全に起こると推測される。これらのデータをあわせると、デキサメタゾンが炎症を効率的におよび有効に阻害することを裏付ける。これらの所見を導くインビトロおよびインビボ試験をここで述べる。
デキサメタゾン類を被験者に送達するための製剤および方法をここで述べる。眼への治療薬のイオントフォレシス送達は、電場を形成する低電流を印加して生体膜を越える荷電物質(薬剤)の移動を促進することにより、眼の内部でより高い薬剤レベルを非侵襲的に達成する手段として興味深い。電場は、新たに形成されたイオンと薬剤の間で電気的反発力を生じさせ、それにより薬剤が眼組織へ浸透する。生理的pHにおいてアニオンである、リン酸デキサメタゾン水溶液をイオントフォレシスで送達する場合、たとえば不活性電極による陰極電解を必要とする。この場合、アニオン性のリン酸デキサメタゾンが眼組織内へ移動するのを促進する水酸化物イオンが発生し、同時に薬剤溶液のpHを上昇させる。しかし、リン酸デキサメタゾン類には独特の物理化学的性質があり、特にリン酸デキサメタゾンにはpKが2つ(1.9と6.4)存在するため、水酸化物イオンが生成されてもそれを収容する顕著な緩衝能力(初期pH5.7〜5.8)が備わる水溶性の製剤(40mg/mL)を製造することが可能となる。
活性生成物の組織への浸透に関する生物物理学的および生物学的機構は十分には理解されていない。大部分の経皮モデルは修正ネルンスト‐プランク式に基づく。この式によれば、総フラックスは能動輸送機構と受動輸送機構:受動拡散、電気的反発力および電気浸透フラックスの合計であり、それらを以下のネルンスト‐プランク式において要約する。すなわち:
フラックス合計=フラックス受動+フラックス電気+フラックス浸透
フラックス合計
=−D/(DC/DX)+(D・Z・V・F・C)/(K・T)±C・U
[式中、
D=拡散係数(生体膜の特徴)
dc/dx=濃度勾配
z=原子価
V=電場
F=ファラデー定数
K=ボルツマン定数
T=温度
=イオン化薬剤濃度
C=薬剤濃度
u=水の対流。]
(インビトロ試験)
イオントフォレシス下での薬剤の安定性を評価するためにインビトロ実験を実施した。これらの実験はウッシングチャンバ(Ussing chambers)を用い、広い範囲のイオントフォレシス投与量(たとえば120mA・分まで)を使用した。化合物濃度は、UV検出器と組み合わせたHPLC分析を用いて測定し、様々な濃度の溶液を試験することによって標準曲線を作成した。
ドナーチャンバとレシーバチャンバは玉継ぎ手によって接続され、新鮮採取したウサギ強膜組織はその継ぎ手により(セルクランプとテンションノブを使用して)圧縮された。40mg/mLのリン酸デキサメタゾン水溶液(1.0N水酸化ナトリウム水溶液でpHを5.7に調整した)をドナーチャンバに入れた。レシーバチャンバを0.9%食塩水で満たした。室温で最大120分間放置した後、試料をドナーおよびレシーバチャンバから取り出し、リン酸デキサメタゾンおよびデキサメタゾン濃度を評価した。次に、不活性電極をドナーおよびレシーバチャンバに入れた。陰極イオントフォレシスを生じさせるために接続線を発電機に設定した。経時的に、デキサメタゾン、リン酸デキサメタゾンおよび何らかの不純物を定量するためにドナーおよびレシーバチャンバからアリコートを採取した。平均すると、デキサメタゾン/リン酸デキサメタゾンは、受動的(電流なし)にはほとんどまたは全く移動しなかったが、能動的(電流あり)には最大で物質の5%まで膜を越えて流入した。120分間まで、ドナーチャンバまたはレシーバチャンバにおいて有意の不純物は検出されなかった。薬剤濃度の線形比例関係が得られた。
もとのリン酸デキサメタゾン濃度の約95%がドナーチャンバに存在した。残留溶液は1つの定量可能な物質(濃度>0.5%)を含んでいた。定量可能な物質は、HPLC(UV検出)に基づく総曲線下面積の<5%を占め、これはデキサメタゾンであった(標準品との比較に基づく)。他の定量可能な物質は検出されなかった。
レセプターチャンバは、試験開始時にドナーチャンバ内に存在した総リン酸デキサメタゾンの<5%を含んだ。レセプターチャンバ溶液において存在する物質の95%がリン酸デキサメタゾンであった。HPLC(UV検出)に基づく総曲線下面積の<5%を占める、物質の残りの部分はデキサメタゾンであった(標準品との比較に基づく)。他の定量可能な物質は検出されなかった。
(吸収および眼組織濃度)
リン酸DEX二ナトリウムの局所投与、結膜下注射および一定クーロンのイオントフォレシス送達に関し、それぞれの2時間後のリン酸DEX(プロドラッグ)およびデキサメタゾン(活性部分)の眼組織濃度を42匹の雄性および雌性フォーブ・ド・ブルゴーニュ有色ウサギ(6匹/群)において評価した。7種の処置を以下のように単回投与量で右眼に投与した:
第1群:注射用滅菌水を充填した、右眼に設置したイオントフォレシス装置;電流は印加せず
第2群:2.5mAで5分間のイオントフォレシス装置(リン酸DEX二ナトリウム10mg/mL溶液0.5mLを充填した装置、Sigma)によるリン酸DEX二ナトリウムのイオントフォレシス送達
第3群:2.5mAで5分間のイオントフォレシス装置(リン酸DEX二ナトリウム40mg/mL溶液0.5mLを充填した装置、Sigma)によるリン酸DEX二ナトリウムのイオントフォレシス送達
第4群:2.5mAで5分間のイオントフォレシス装置(リン酸DEX二ナトリウム10mg/mL溶液0.5mLを充填した装置、Abraxis)によるリン酸DEX二ナトリウムのイオントフォレシス送達
第5群:リン酸DEX二ナトリウム(リン酸DEX二ナトリウム40mg/mL溶液0.75mL、Sigma)の結膜下注射
第6群:リン酸DEX二ナトリウム(リン酸DEX二ナトリウム10mg/mL溶液0.75mL、Abraxis)の結膜下注射
第7群:リン酸DEX二ナトリウム(リン酸DEX二ナトリウム10mg/mL溶液0.05mL、Abraxis)の局所点眼。
投与の2時間後に収集した眼組織および血漿をリン酸デキサメタゾンおよびデキサメタゾン濃度に関して分析した。試料をELISAまたはHPLC−MS/MS法によって分析した。イオントフォレシスまたは結膜下投与では、局所点眼と比較してリン酸デキサメタゾンおよびデキサメタゾンは、眼組織においてより高い濃度を提示した。結膜下投与は結膜および脈絡膜組織において非常に高い濃度のリン酸デキサメタゾンおよびデキサメタゾンを生じさせた。他の眼組織は高いレベルのデキサメタゾンおよびリン酸デキサメタゾンを有していた。房水濃度は、検討したすべての投与様式に関して投与の2時間後の虹彩−毛様体組織濃度と相関した。硝子体液濃度は、すべての投与様式に関し、投与から2時間後の網膜濃度と相関した。投与後2時間目の全身曝露は、リン酸DEX二ナトリウムのイオントフォレシスおよび局所投与では非常に低かった(<100ng/mL)。結膜下投与は、投与後2時間目に低いが測定可能な血漿レベル(<4000ng/mL)を生じさせた。
イオントフォレシス装置によるイオントフォレシス送達後のデキサメタゾンおよびリン酸デキサメタゾンの薬物動態を24匹の雌性ニュージーランド白色ウサギにおいて特徴づけた。リン酸デキサメタゾン(60mg/mL)を両眼に単回投与として3mAで5分間イオントフォレシス送達するか、またはリン酸デキサメタゾン40mg/mLを1日1回連続3日間にわたって両眼にイオントフォレシス送達した。眼組織および血漿を、投与後に収集した一連の試料においてリン酸デキサメタゾンおよびデキサメタゾン濃度に関してHPLC−MS/MS法によって分析した。デキサメタゾン(DEX)の血漿および眼組織濃度ならびに曝露測定における投与量に比例した上昇が、40mg/mLおよび60mg/mLのリン酸デキサメタゾン溶液のイオントフォレシス投与後に認められた(表1)。
すべての眼組織または血漿中のデキサメタゾンのピーク濃度は比較的速やかに起こり、イオントフォレシス投与後2時間以内であった。眼組織におけるデキサメタゾンの有意な濃度上昇は、イオントフォレシス投与後6時間目までに起こった。総じて、デキサメタゾンおよびリン酸デキサメタゾンは、イオントフォレシス投与後48時間以内に血漿および眼組織からほぼ完全に消失した。脈絡膜組織における濃度はその他の眼組織ほど迅速に低下しなかった。デキサメタゾンおよびリン酸デキサメタゾンの脈絡膜組織濃度は、リン酸デキサメタゾンのイオントフォレシス送達後48時間目に測定可能であったが、概して脈絡膜におけるピーク濃度の10%未満であった。デキサメタゾンおよびリン酸デキサメタゾンのピーク濃度と比較して、血漿および眼組織における濃度はイオントフォレシス投与後24時間目に比較的低かった。投与後24時間目に、眼組織および血漿における濃度は、脈絡膜を除くすべての組織においてピークデキサメタゾンまたはリン酸デキサメタゾン濃度の10%未満であった。房水中のデキサメタゾンおよびリン酸デキサメタゾン濃度は虹彩−毛様体中の濃度と相関した。
一定クーロンのイオントフォレシスによる送達後のデキサメタゾンおよびリン酸デキサメタゾンの血漿および眼組織濃度へのpHおよびリン酸デキサメタゾンの化学的形態の影響を6匹の雌性ニュージーランド白色ウサギにおいて評価した。行なわれた処置は、リン酸DEX遊離酸から作製したリン酸デキサメタゾン40mg/mL、pH5.8;リン酸DEX二ナトリウム塩から作製したリン酸デキサメタゾン40mg/mL、pH5.8;およびリン酸DEX二ナトリウム塩から作製したリン酸デキサメタゾン40mg/mL、pH7.0であり、5mAで5分間の単回でイオントフォレシス投与量を投与した。血漿および眼組織中のデキサメタゾン濃度は、イオントフォレシス送達後、リン酸DEX二ナトリウム塩から調製した製剤と比較した場合、リン酸デキサメタゾン遊離酸から調製したリン酸デキサメタゾン製剤においてより高かった。
(実施例4)
イオントフォレシス送達についての付加的なパラメータは多様である。条件は、たとえば、以下を含む:
能動電極または不活性電極の使用;
様々なモル浸透圧濃度(典型的には200〜240mOsm/L);
イオントフォレシスの開始時pHを約2.5から約6.5まで変化させること(典型的には約5.7〜5.8);
緩衝液:緩衝系なしまたは当技術分野で公知の緩衝系の使用;
賦形剤の選択;
薬剤濃度(典型的には約40mg/mL);
薬剤安定剤の選択:安定剤なし(安定剤が刺激原であり得る場合)、または当技術分野で公知の他の安定剤(以下参照);
様々な共溶媒;および/または
様々なエマルション。
イオントフォレシス送達を最適化するための他の条件も多様であり、たとえばモル浸透圧濃度は、たとえば約200〜600mOsm/L、約250〜500mOsm/L、約300〜400mOsm/L、または約200〜550mOsm/Lの範囲であってもよい。当業者は、最適結果を達成するためにモル浸透圧濃度を変化させる方法を理解しているであろう。
典型的には約2.5〜7.5であるイオントフォレシスの開始時pHも、最適結果を達成するためにこの範囲内で変化させることができ、たとえば約3.0〜6.5、約3.5〜6.0、約4.0〜6.0、または約5.0〜6.0の範囲が使用できる。
当業者は、特定のpH範囲を達成するために使用される緩衝系を変化させる方法を理解しているであろう。例示的な緩衝系は、たとえば酢酸リチウム、クエン酸リチウム、酒石酸リチウム、クエン酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、酒石酸カリウム、酒石酸カリウム、酒石酸カリウム等を含む。
当業者は、たとえば非荷電糖類を使用することによって、モル浸透圧濃度を調整するために使用できる賦形剤の選択を変化させる方法を理解しているであろう。
当業者は、条件が、たとえば送達される化合物のpK、化合物の溶解度、送達される化合物の濃度(たとえばデキサメタゾンに関しては、約1〜100mg/mL、約5〜80mg/mL、約10〜50mg/mL、または約20〜50mg/mL)などのパラメータに基づいて変化することを認識するであろう。
条件の例は、たとえば以下を含む:
A.
電極:不活性
装置:EyeGate IIアプリケータ
電流極:陰極
電流範囲:0.01〜10mA
投与時間:1秒〜10分間
総イオントフォレシス投与量(電流×時間(分)):0.01〜100mA・分
B.
電極:不活性
装置:EyeGate IIアプリケータ
電流極:陰極
電流範囲:0.1〜10mA
投与時間:30秒〜10分間
総イオントフォレシス投与量(電流×時間(分)):0.1〜100mA・分
C.
電極:不活性
装置:EyeGate IIアプリケータ
電流極:陰極
電流範囲:0.5〜10mA
投与時間:30秒〜5分間
総イオントフォレシス投与量(電流×時間(分)):0.5〜50mA・分
好ましいDEX製剤は、たとえば以下を含む:
A.
電極:能動および不活性
モル浸透圧濃度:200〜600mOsm/L
イオントフォレシスの開始時pH:3.5〜8.5
ビヒクル:注射用蒸留水
安定剤:ベンジルアルコール、塩化ベンザルコニウム、EDTA、クエン酸塩、重亜硫酸塩、メタ重亜硫酸塩
濃度:1〜100mg/mL
保存:有酸素および無酸素
B.
電極:不活性
モル浸透圧濃度:200〜400mOsm/L
イオントフォレシスの開始時pH:5.4〜6.4
ビヒクル:注射用蒸留水
安定剤:0.1%ベンジルアルコール、0.01%塩化ベンザルコニウム、0.1%EDTA、0.65%クエン酸塩、0.1%重亜硫酸塩、0.1%メタ重亜硫酸塩
緩衝剤:酢酸リチウム、クエン酸リチウム、酒石酸リチウム、クエン酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、酒石酸カリウム、酒石酸カリウム、酒石酸カリウム等
賦形剤の選択:非荷電糖類
濃度:1〜60mg/mL
保存:有酸素および無酸素
C.
電極:不活性
モル浸透圧濃度:200〜300mOsm/L
イオントフォレシスの開始時pH:5.7〜6.1
ビヒクル:注射用蒸留水
濃度:40mg/mL
(実施例5)
ウサギにおいてリン酸デキサメタゾンによる単回投与治療はコンカナバリンA誘発性ドライアイを消散させる
ドライアイのための現在の治療選択肢は、人工涙液による長期間の治療、プレドニゾロンなどの局所コルチコステロイド、および即時効果を生じさせ得る涙点プラグを含む。これらの治療は局所シクロスポリンA(Restasis(登録商標))と組み合わせることができ、症状を改善するために最大で6か月間を要し得る。有効性のためには局所コルチコステロイドの毎日の多回投与が必要とされる。しかしながら、長期間にわたるデキサメタゾン治療は、眼内圧上昇などの負の作用を及ぼし得る。コンカナバリンA誘発性ドライアイを有するウサギにおいて単回イオントフォレシスによって送達されるリン酸デキサメタゾン(Dex−P)の効果を評価した。
(ウサギにおけるドライアイの誘発)
リン酸緩衝食塩水(PBS)30mL中のコンカナバリンA(Sigma)300μgまたはPBS単独を、ドライアイ症状を導く炎症を誘発するために白色ニュージーランドウサギの涙腺に注射した。これはドライアイ症候群の広く確立されたモデルである。
(イオントフォレシスによる薬剤送達)
涙腺注射の48時間後、ウサギに対してEyeGate II装置(EyeGate Pharmaceuticals,Inc)を使用してリン酸デキサメタゾン(40mg/mL)またはリン酸緩衝食塩水を、単回15mA・分(−3.0mA、5分間)でイオントフォレシスにより投与した(図5)。動物を以下の処置群に割り当てた:
第1群:0日目にコンカナバリンA(Con A)注射、2日目にリン酸デキサメタゾンで処置
第2群:0日目にCon A注射、2日目にリン酸緩衝食塩水で処置
第3群:0日目にリン酸緩衝食塩水注射、2日目にリン酸緩衝食塩水で処置
第4群:0日目にリン酸緩衝食塩水注射、その後の処置なし。
(臨床所見)
Con A注射後、毎日動物を眼炎症の徴候に関して観察した。Con A注射後0、1、2、4、7および8日目に、すべての群においてシルマー細片を使用して涙液流量を測定した(図6)。0、2、4および8日目に、フルオレセイン染色と細隙灯顕微鏡検査を使用して眼表面損傷の徴候を評価した(図7および8)。染色を角膜の上部、中心および下部について0〜2で採点し、可能な合計スコアは6であった。
(サイトカインアッセイ)
Con A注射後4日目または8日目に動物を安楽死させた。犠死後、角膜と涙腺を切除し、液体窒素中で瞬間凍結した後、−80℃で保存した。すべての試料を、すりガラスを用いて、PBS 0.5mL+10mM EDTA中、手操作で均質化した。インターロイキン1β(IL−1β)(図9)およびトランスフォーミング増殖因子β1(TGF−β1)(図10)を、ヒトIL−1βまたはTGF−β1 ELISAキット(R&D Systems DuoSet ELISA development system)を製造者の指示に従って使用して、涙腺および角膜抽出物において測定した。得られた結果を、タンパク質アッセイにおいて測定した総タンパク質濃度に対して基準化した。ウサギとヒトのIL−1βおよびTGF−β1の高い相同性のゆえに、ヒト用キットはウサギサイトカインを検出するために適切である。
(結論)
リン酸デキサメタゾンの単回イオントフォレシス投与は、対照群と比較してウサギにおける涙液流量を増加させ、眼表面損傷の量を減少させる。食塩水処置群および対照群と比較して、リン酸デキサメタゾンの単回イオントフォレシス投与で処置した眼の涙腺においてIL−1βおよびTGF−β1の発現低下が認められる。4日目および8日目に角膜における炎症性サイトカインの有意の上昇は認められず、涙腺の特異的炎症反応を示唆している。コルチコステロイドの単回イオントフォレシス投与は、多回にわたる毎日の局所投与よりも安全で有効な代替手段である。
(他の実施形態)
他の実施形態は当業者に明白であろう。前記の詳細な説明は明瞭さのために提供されるものであり、単なる例示であることが了解されるべきである。本発明の精神および範囲は前記実施例に限定されず、以下の特許請求の範囲に包含される。本明細書で引用するすべての参考文献は、それらの全体が参照により本明細書に組み込まれる。

Claims (28)

  1. コルチコステロイド、コルチコステロイド誘導体、そのプロドラッグまたは塩をイオントフォレシスによって被験者の眼に送達するための方法であって、
    a)該化合物を被験者に眼に投与すること;および
    b)pH約2.5〜約6.5の条件下で経眼イオントフォレシスを実施すること
    を含み、それによって該化合物を眼に送達するための方法。
  2. 請求項1において、前記コルチコステロイドがデキサメタゾン化合物、その誘導体である方法。
  3. 請求項2において、イオントフォレシスの開始時pHが約5.7である方法。
  4. 請求項1において、前記コルチコステロイドがプロドラッグの形態である方法。
  5. 請求項1において、前記コルチコステロイドが、イオントフォレシスの前に注射によって送達される方法。
  6. 請求項5において、前記注射の方法が、眼房内注射、角膜内注射、結膜下注射、テノン嚢下注射、網膜下注射、硝子体内注射および前眼房への注射からなる群より選択される方法。
  7. 請求項1において、前記コルチコステロイドがイオントフォレシスの前に局所的に投与される方法。
  8. 請求項7において、前記コルチコステロイドが、溶液、ペーストおよびヒドロゲルからなる群より選択される形態で前記局所的投与において提供されることを含む方法。
  9. 請求項7において、前記コルチコステロイドが発泡体基質に包埋されている方法。
  10. 請求項7において、前記コルチコステロイドがリザーバに担持されている方法。
  11. 請求項1において、前記経眼イオントフォレシスの工程が、コルチコステロイドを投与する工程の前、その間またはその後に実施される方法。
  12. 請求項1において、前記化合物が、約1.7×10−4mA・分〜約120mA・分のイオントフォレシス投与量によって送達される方法。
  13. 請求項12において、前記化合物が、約10mA・分〜約30mA・分のイオントフォレシス投与量によって送達される方法。
  14. 請求項13において、前記イオントフォレシス投与量が約20mA・分である方法。
  15. 請求項14において、前記化合物が、約4.0mAの電流で約5分間にわたって送達される方法。
  16. 請求項12において、前記化合物が約10mA未満の可変電流または定電流で送達される方法。
  17. 請求項12において、前記化合物が約10分未満の時間にわたって送達される方法。
  18. デキサメタゾン類をイオントフォレシスによって被験者の眼に送達するためのキットであって、前記キットは、約2.5〜約6.5のpH範囲でのイオントフォレシスに用いられるとともに、化合物をイオントフォレシスによって被験者の眼に送達する装置のために使用されるキット。
  19. 被験者の眼への経眼イオントフォレシスによる送達に適したデキサメタゾン製剤。
  20. 請求項19において、デキサメタゾン類がプロドラッグの形態である製剤。
  21. 請求項19において、イオントフォレシスによる送達が約2.5〜約6.5のpH範囲で実施される製剤。
  22. 請求項21において、前記pHが約5.7である製剤。
  23. デキサメタゾン類を送達するための装置であって、
    a)デキサメタゾン製剤を含有する少なくとも1つの媒質を含み、眼球の一部を覆うことを意図して表面に沿って広がるリザーバ;および
    b)分極されたとき、媒質を通って眼の表面へと向かう電場をリザーバに対して供給する電極;
    を含み、該デキサメタゾン製剤の少なくとも一部が、イオントフォレシスを介して眼の表面を通過して経眼的に送達される装置。
  24. 請求項23において、前記リザーバが、
    a)デキサメタゾン製剤を含有する少なくとも1つの媒質を収容するための第一容器;
    b)導電性エレメントを含有する導電性媒質を収容するための第二容器;および
    c)第一容器と第二容器の間に位置づけられ、導電性エレメントに対して透過性であり、活性物質に対して不透過性である半透膜
    を含む装置。
  25. 経眼イオントフォレシスによってコルチコステロイドの有効量を投与することを含む、哺乳動物においてコルチコステロイド感受性眼疾患を治療するための方法。
  26. 請求項25において、前記眼疾患が、ブドウ膜炎、ドライアイ、術後炎症および角膜移植拒絶反応からなる群より選択される方法。
  27. 請求項26において、前記コルチコステロイドがリン酸デキサメタゾンである方法。
  28. 請求項27において、リン酸デキサメタゾンの投与が単回投与で行われる方法。
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