JP2011508896A - 超解像を達成するための新規なデジタル方法を有する光学顕微鏡 - Google Patents

超解像を達成するための新規なデジタル方法を有する光学顕微鏡 Download PDF

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Abstract

位相分布及び振幅分布の内挿及び外挿を含めて、波を再生するための方法及び装置、並びに顕微鏡などの結像装置への適用が開示される。

Description

本願は、2006年8月16日に出願した米国仮出願第60/838,228号の利益を主張するものである。
(発明の背景)
位相及び振幅の両方の再生、並びに超解像を達成するために発明者が発見した方法を、最も簡単に、したがって最も包括的に説明すると、主として3本の柱:レイリー-ゾンマーフェルトのスカラー波回折の式、パーセバルの数学的法則及び「反復誤差低減」による再生の原理1、に基づいているということになる。
物理的には、問題には、横断するデカルト座標X及びYと、散乱放射の波面が伝播する方向に沿った直交Z座標とを有する、3次元機器が関係する。発明者は、Xo、Yo及びXd、Ydのところに2つの共役横断面を定義している。下付きo(出力)面は、下付きd(回折)面の上流にあり、散乱波面が、Z軸に沿って出力から回折面に伝播する。スカラー回折の式の厳格な要件を満たすために、波面は、例えば原点(Xo=0,Yo=0)のところの適度に小さな穴の中を除く出力面のところでヌル又はゼロであると考えられる。さらに物理的には、出力面は、その面における、小さな穴の領域内ではない任意の点に散乱波を存在させない、完全な遮蔽(occluding)面である。回折面は、そこでの2次元波面を、上流の出力面のところのその同じ波面の2次元フーリエ変換として表現することができるように、十分に大きな距離Zdだけ出力面より下流にある。2つの共役面間の空間体積内の各点は、その一意のX、Y及びZ座標によって位置を特定することができる。各点での波動関数は、1つの数ではなく2つからなる複素値を有する。この2つの数は、振幅及び位相と呼ばれる。要約すれば、つまり、ZoからZdまでの空間内のあらゆる所、特に出力面内に、スカラー出力波を表す2次元振幅分布及び2次元位相分布を有する。この波が、Zdで回折面に伝播する。振幅及び位相の回折面における分布、したがって散乱波の回折面における分布は、出力面におけるその様子とは大いに異なる。数学的には、出力面における散乱波は、2つの面間の距離Zdを移動したことにより、回折面において新しい散乱波に変形している。新しい回折波を得るために、出力波がフーリエ変換されている。ここで、第1の問題、即ちフーリエ逆問題の本質が、明らかになる。
通常、フーリエ変換は、出力面における完全な(2次元複素)波形を用い、それを、回折面における完全な波形に変換する。しかし、現在の技術は、回折面における振幅分布(位相分布なし)を容易に測定し、はるかにより多くの困難を伴って出力面における振幅分布(位相分布なし)を測定する様式を提供することしかできない。位相情報は測定可能ではなく、したがって散乱波は、それが伝達する情報の大きなパーセンテージを失っている。散乱波に含まれる情報の80%もが、ここで失われると推定する人もいる。しかし、我々に両方の面における振幅分布だけが分かっていると仮定すると、ほとんどの場合、Gerchberg-Saxton2アルゴリズムによって、完全な波動関数を推論することが可能である。ここで、我々が、回折面について振幅分布しか手元にないという、より可能性のある状況にあると仮定すると、共役出力面において自然に存在する又は共役出力面における波動関数に対して人為的に課された、他のいくつかの制約が分かることにより、位相分布をやはり計算することができる。これらの有用な制約の1つに、波がそれを通って伝播する、遮蔽スクリーンに開いた穴の境界があり得る。数学的には、この境界は、出力面のところに波動関数のいわゆるサポート領域(area of support)を画定する。別の制約は、振幅及び/又は波相がそれ以内でなければならない、既知の範囲の値を課すことがある。実際に、研究者は、その仕様が既知である様々な位相板(又は部分遮蔽板)をサポート領域内に配置して、各摂動フィルタに対応する異なる回折波振幅(位相分布なし)を測定することにより、研究者自身の制約の組を作成することができる。このような構成が、発明者の手により研究された。計算アルゴリズム(Gerchberg-Saxtonアルゴリズムを改変した形態)がGerchberg,R.W.による「波面の位相回復に対する新手法(A new approach to phase retrieval of a wave front)」に示されている。この論文の内容が、引用により本明細書中に組み込まれる。該論文は、該方法が、出力面及び回折面の両方における正しい波動関数をその位相関数と共に見出すことに、常に成功することを示している。しかし、それだけではない。
(発明の要旨)
発明者は、上述のGerchbergの論文中に示されているアルゴリズムを改変すると、逆位相問題が解決するだけでなく、回折波を外挿及び/又は内挿もすることを発見した。これは、回折面において疑わしい又は欠落したデータ点がある場合、該アルゴリズムが、そこにあるはずの複素値を生成することを意味する。さらに、測定された回折パターン振幅分布が、完全な分布よりも小さい場合、改変されたアルゴリズムは、欠落している値を生成(外挿)し、そうすることで、回復された波動関数において超解像を達成する。
(詳細な説明)
新しいアルゴリズムを説明するに当たり、発明者は、様々な照射吸収性及び位相変化がその広がり全体にわたって分布した透過タイプの試料からデータを収集するための、最小限の物理的な本質から始める。この試料は、回折面の距離Zd上流に配置された、Zoの2次元遮蔽面に開いた穴の中に取り付けられる。穴のサイズ及び位置、並びに距離Zdは既知である。試料の照射は、コヒーレントで、一様な振幅及び位相の波面によるものである。試料のすぐ上流又は下流(理想的には試料のところ)で、波面位相が位相フィルタにより変更され、それにより、試料のところの波面が、試料の未知の振幅及び位相の分布と、既知の位相フィルタ分布との和となる。フィルタ位相分布は既知である。フィルタ振幅分布は、定数1に等しい。問題に応じて、これから示すように、いくつかの異なる位相フィルタがあり、それらは試料に関するデータの収集中に互いに交替する。ちなみに、位相フィルタではなく、異なる穴あき遮蔽フィルタを使用することができ、その場合、「穴あき」フィルタは、場合によって様々なサイズの空間的に分布した既知の穴を有する光遮蔽バリアである。穴あきフィルタと位相フィルタの組合せを使用することもできる。(試料のところの)出力波は、Z軸に沿って、Z=Zdのところに配置された回折面に伝播する。そこで、波面の強度、もっと正確に言えば振幅分布が、異なる位相フィルタごとに連続的に測定される。手元の回折パターンの数は、使用される位相フィルタの数(例えばN個)に等しい。回折パターンが明らかになる。必要なすべてのデータが、この時点で手元にある。
これらのデータすべてのコンピュータ処理が、反復的に行われる。アルゴリズムの連続するサイクルは、試料の振幅分布及び位相分布のますます良好な推定値をもたらす。連続する推定値が変化しない可能性がある。その場合、追加の回折パターンを生成するために、追加のフィルタが必要になる。しかし、アルゴリズムは、平均2乗誤差の意味において、正しい推定値から逸脱しないように保証されている。
ここで、回折面における波動関数は、試料面におけるフィルタリング後の波動関数のフーリエ変換であることを思い出されたい。特に理由もなく、ある特定のフィルタに対応する回折面において、第1の反復アルゴリズムサイクルを開始してみよう。発明者らは、測定された波の振幅分布を手元に有しており、それを位相分布について発明者らが行うことのできる最良の推測と組み合わせて、回折面における、その特定のフィルタに関する完全な波動関数についての発明者らの第1の推定値を得る。その推定値を逆フーリエ変換にかけて、フィルタリング後の試料波の推定値を得る。コンピュータでは、実際のフィルタの影響を打ち消すために、逆位相フィルタを使用する。(物理的フィルタの要素が位相を例えばプラス37度シフトさせた場合、逆フィルタはその要素の位相をマイナス37度だけシフトさせることになる。)。これにより、試料の位相及び振幅の分布の第1の生の推定値が得られる。この試料推定値を保存する。発明者は通常、出力面をカバーするX及びYのインデックスをそれぞれが有する、2つの2次元行列を使用している。一方の行列は、試料上の各点における試料波動関数を定義する複素数の実部を含み、他方の部分は、虚部を含む。次に、各回折面振幅分布を用いて同じ手順を行い、生成された波形の実部及び虚部を2つの対応する実数行列及び虚数行列内に追加する。次に、2つの行列内の各数を、使用された回折パターン数(N)で除算する。また、発明者らは、遮蔽スクリーン面に開いた穴の外側で、真の試料波の値がゼロであることが分かっているので、穴の外側の要素のすべての値をゼロに設定することができる。この時点で、発明者らは、既知のアプリオリな制約を満足させる様々な補正がある場合に、可能な限り小さく補正するように常に注意しながら、真の試料波に関して発明者らに分かっている任意のデータを、2つの行列内に含まれる推定された波動関数に組み込むことができる可能性がある。明らかに、この時点で、発明者らの2つの行列は、出力面又は試料面における波動関数の第1の推定値を保持しているのである。発明者らが、任意の位相フィルタ又は遮蔽フィルタを出力面に適用する前に、ある数(例えばN個)の、回折面における記録済み回折パターンを用いて、出力面における波動関数のただ1つの推定値を生成してきたことに留意されたい。アルゴリズム内の次のステップは、試料波動関数のこの推定値が、それが位相(又は遮蔽)フィルタにより変更された後に生成することになるN個の回折パターンの推定値を生成することである。
発明者は、位相フィルタのうち1つを用いて、それを出力面における試料波動関数の推定値に基本的に適用する。次いで、波を回折面に伝播させる。コンピュータではこれが、試料波動関数のフィルタリング後の推定値を数学的にフーリエ変換することにより行われる。生成された回折パターン振幅分布は、物理的に測定された、そのフィルタに対応する回折パターン振幅分布と合致しない。したがって、アプリオリの測定データがない波上のすべての点には手をつけないまま、回折波振幅分布を測定分布と置き換える。アルゴリズムが進むと、それらの点は、それらが有していなければならない値をとるようになる。そのように生じた点は、回折波におけるそれらの位置に応じて、外挿又は内挿されると言うことができる。回折波の位相分布を変更していなかったことに留意されたい。したがって、選択された位相フィルタに対応する回折波の第2の推定値が手元にあり、その回折波動関数が保存される。次のN-1個の残りのフィルタリング後の出力波について、同じ手順を行い、合計でN個の回折波の第2の推定値を得る。それらは、新しいN個の回折波推定値であり、それを用いて、反復アルゴリズムの次のサイクルを開始する。
ここで、異なる回折パターンを生成するために位相フィルタではなく穴あき摂動フィルタが使用される場合、データのコンピュータ処理がわずかに異なることに留意されたい。この場合、穴あきフィルタによって遮断された画素に戻りが当たる場合、その戻りは、出力試料の推定値を得るための平均化の際にカウントされない。
発明者は、性能指数を、測定された回折振幅分布から、推定された回折振幅分布を引いた差の2乗の和として定義する。これを、任意の特定のサイクルに関する誤差エネルギーと呼ぶ。この誤差エネルギーは増加し得ず、十分な数のフィルタリングデータが与えられる場合、常に減少して限界値ゼロに近づくことが分かる。もちろん、ゼロ誤差は、位相逆問題が解決されただけでなく、外挿問題及び内挿問題を解決することが必要な場合にはそれも解決されたことを意味する。
今しがた説明した方法は、いくつかの物理的実施態様で実施するのに向いており、その物理的実施態様は、場合によって有用な方法のいくつかの変形形態を提案する。例えば、図1に示すのは、コヒーレント光源110と;Z軸に沿った位置Zoのところに配置された遮蔽面120に開いた穴121を覆って配置されたガラススライド123上に取り付けられた試料122と;異なる位相シフト分布をそれぞれが与える複数のセクタを備える回転位相フィルタ140と;Z軸に沿った位置Zdのところに配置された検出器130(例えば、電荷結合デバイス検出器)と;検出器130に接続された、2次元高速フーリエ変換などのデジタル信号処理機能を実施することができるコンピュータ150;とを備える光学顕微鏡100である。上述の方法を顕微鏡100の動作に適用し、それにより、超解像を達成することができる。これを行うために、位相フィルタ140がN回回転され、それにより、毎回、異なる位相変更セクタが、試料から回折面に伝播する光の経路内に介入する。次いで、これは、アルゴリズムへの入力として必要な検出器130でN個の回折パターンを生成する。アルゴリズムは上述のように実行され、回折面での位相分布だけでなく、検出器130により測定されない点、例えば検出器130の物理的な広がりを越える点(外挿)、及び/又は検出器130により測定されたものの間にある抜けた若しくは疑わしい点(内挿)での振幅及び位相の分布も生成する。
今しがた説明した装置では、遮蔽面120が黒色に塗られており、かつサポート領域(光波が面Zoのところで存在することのできる領域)が明確に画定されるように、穴121が明確に画定された縁部を有していれば、有用である。図では、穴121がほぼ円形として示されているが、穴121は他の形状を有してよい。
図は、試料122を通って透過される光源110からの光を示しているが、他の変形形態では、そのような装置は、透過光ではなく反射光又は散乱光で動作することができる。
フィルタ140などのマルチセクタ位相フィルタを、光路を経由して回転させる代わりに、他の技法を使用して、必要なN個の回折パターンを生成するために必要な位相変化を達成することができる。例えば、回転ではなく並進によって、個々の位相フィルタを光路内及び光路外に移動させる機構体を使用することができる。空間光変調器を適用して、位相を連続的に変化する量だけ変更することができる。また、遮蔽フィルタ又は部分遮蔽フィルタを使用することもできる。一例として参考文献3の図4を参照されたい。
上記の変形形態は、光波の位相を時間的に連続して変更することに基づいている。しかし、ビームスプリッティングなどの光学的技法を使用することにより、出力波の複数の位相変更された複製を生成して、複数の検出器に並列にかけることができる。次いで、結果として得られる回折パターンが並列に逆フーリエ変換される場合、アルゴリズムの動作のかなりのスピードアップを達成することができる。
図1の顕微鏡は、レンズなし顕微鏡であることに留意されたい。したがって、この顕微鏡には、レンズの欠陥(defect)などにより導入される典型的な欠陥(imperfection)がない。しかし、本明細書において説明する方法及び装置は、カメラなどのレンズベースシステムに適用することもできる。各場合において必要なことは、それぞれの面のところでの波動関数がフーリエ変換を介して(又はより短いドリフト距離での波動関数が、フレネル変換を介して-参考文献3の式1参照)関連付けられるという意味における、1対の共役面の特定である。カメラの場合、適切な共役面は、カメラレンズの後焦点面及び像面である。望遠鏡への適用も明示的に企図される。
上記の議論の多くが、可視光に関してであった。しかし、この方法及び装置を、電波、X線及び電子波など、他の波及び波様現象の位相及び振幅の再生に適用できることが理解されよう。
以下の文献が、引用によりその全体が本開示中に組み込まれる。文献3及び4は、添付I及びIIとして、本開示に物理的に添付し、かつ含まれる。
1.Gerchberg,R.W.及びSaxton,W.O.の論文(1972、Optik、35、237)
2.Gerchberg,R.W.の論文(1974、Optica Acta、v.21、n.9、709)
3.Gerchberg R.W.の論文(2002、J.of Modern Optics、v.49、n 7、1185)
4.2005年6月14日にRalph W.Gerchbergに発行の米国特許第6,906,839号
添付I
JOURNAL OF MODERN OPTICS、2002、VOL.49、NO.7、1185-1196
Taylor & Fancis
Taylor & Fancis Group
波面の位相回復に対する新手法
アール.ダブリュー.ガーチバーグ(R.W.GERCHBERG)
20 Kensington Road、Ardsley、New York(ニューヨーク)州10502、USA;
電子メール:[email protected]
(2001年5月18日受理;2001年11月2日改訂版受理)
(要約)
このプロジェクトの主目的は、波面の位相分布を一貫して及び確実に発見するデータ収集技法及び処理技法を含むプロセスを開発することであった。研究の間、データ収集についての新しい考えが発展して、波面又はその位相分布にほとんど又はまったく似ていない新規なタイプの強度写真が、位相分布を得るための数学的処理に必要になる段階に至った。便宜のため、こうした情報像をフェーザグラム(phasorgram)と呼んでいる。フェーザグラムは、応用デバイスの回折面又は像面において記録される。追加データは、有用ではあるが必要なく、したがって、ガーチバーグ及びサクストン(Saxton)のよく知られた方法のように2つのフーリエ共役面からデータを必要とすることがなくなる。これらのデータの数学的処理は、これもやはり新しい反復アルゴリズムによって実施される。このアルゴリズムは、良好なデータが与えられる場合、位相分布を得損ねていない。最新のデバイスは、このプロセスに必要な新しい類のデータを測定するように設計されていない。したがって、いくつかの新規なデバイスが提案される。新しいプロセスは、X線結晶学の位相問題に重大な影響を及ぼし得るものである。
(1.序文)
スカラー波面は、2次元複素関数として表すことができる。現在、この複素関数の振幅はごく普通に測定されているが、関連する位相又は角度分布は、直接回復可能ではない。本論文が取り組む問題は、波面の測定振幅分布から位相分布を推論するという新しい方法である。この新しい方法を使用して、多くのコンピュータシミュレーションを実行してきた。それらはすべて、位相分布の発見に容易に成功している。
グッドマン(Goodman)の[1]書籍の第3章に言及されているホイヘンス(Huygens)、ヤング(Young)、フレネル(Fresnel)、キルヒホッフ(Kirchhoff)、レイリー(Rayleigh)及びゾンマーフェルト(Sommerfeld)の回折理論は、この方法の基礎となっている。グッドマンは、光軸近似及びフレネル回折の制約を用いて、(波面に垂直な)z軸に沿って伝播するz=ziでの初期波面が、ziの下流の、z=zoでの観測波面に、方程式
Figure 2011508896
により関連付けられることを示している(式中、U(x,y)は、z軸に垂直な(x,y)面における合計複素波動関数であり、zは、初期波面と観測波面との間のドリフト距離であり(即ちz=zo-zi)、λは波長であり、下付き文字iは、初期波面における数量を意味し、下付き文字oは、観測波面における数量を意味し、kは1波長当たりのラジアン単位の自由空間波数である。)。
この回折の方程式(1)並びに光軸及びフレネル回折の制約の非常に読みやすい導出過程が、グッドマンの書籍の第III及びIV章に示されている。方程式(1)は、このプロジェクト全体の根本原理である。この式は、スカラー波面(伝播のz方向に垂直な面におけるデカルト座標x及びyの2次元複素関数)が完全に分かっていると仮定して、下流の任意のドリフト距離での2次元複素波動関数を計算することが可能であるという概念を有効にするものである。したがって、逆の質問:波の伝播の方向に沿った座標zoでの観測面における、コヒーレント単色波面の測定強度しか与えられない場合、zoより上流の初期座標ziで波面を完全に(振幅と位相のどちらも)決定することが可能であるか、を提起することが可能である。
方程式(1)は、zoでの波面が、ziでの波面に関連付けられることを、かなり簡単に示している。まず、定数因子exp(jkz)/jλzがあり、これは、波長、及び初期面と観測面との間のドリフト距離によって決まる。次いで、2次位相因子
Figure 2011508896
があり、これは、波長と観測面における横方向位置との関数である。発明者らは、これらの因子両方における位相関数が現在の測定機器には可視ではなく、したがって、両因子の影響は、単に拡大定数(magnification constant)1/λzであると言及しておく。測定可能なのは、初期面における複素関数のフーリエ変換の振幅であり、これは、初期面における実際の複素波面に単純な様式で参照し戻すことができる。次いで、元の質問が次のように簡単になる:観測面における複素波面の振幅分布が与えられる場合、その位相関数を生成し、それにより、初期面における実際の波動関数を再生させるための情報を一意にもたらすことができるか。
その答えはもちろん否である。この逆問題を一意に解決するのに十分な情報がまったくない。より多くの情報が必要である。
多くの現状により、追加の独立した情報を取得する可能性が生まれている。初期面と観測面のどちらも実験に利用できるので、これは確かである。フーリエ共役面のどちらか一方又は両方において波の強度を測定することができ、レンズ、絞り又はキノフォームレンズなど、明確に画定されたデバイス又は摂動体(perturber)をそれらの面において使用することによって、それらの面のどちらか一方において波を変更することができる。例として、単一の凸レンズを有する通常の光学カメラ(light camera)では、後焦点面(初期面)における波面と像面(観測面)との関係が、コヒーレント単色光での方程式(1)の関係である。方程式(1)はやはり、結晶の面から去る波とその回折パターンについても当てはまるようである。これらは、方程式(1)が当てはまり、初期面と観測面のどちらもデータの収集及び実験に利用できる多くの状況のうちの2つにすぎない。ガーチバーグ及びサクストン(GS)[2]は、電子顕微鏡において、像面(観測面)における波の強度だけでなく、フーリエ面(初期面)における波の強度も測定することによりこの可能性を利用していた。その結果が、すべてではないがいくつかのケースにおいて、完全な波面、即ち振幅と位相の両方の発見に対する答えをもたらした。キム(Kim)[3]がごく最近論文を発表し、その論文では、新しい合成回折面像を生成するために初期面が部分的に不明瞭にされている。そうしたデータをGSタイプのアルゴリズムで使用して、位相回復問題を部分的に解決し、次いでその結果を第1の推定値として使用して、不明瞭にされていない初期面から生じる第2の回折パターンを使用して答えがさらに改善される。キムのシミュレーションにおいて、初期波が複素数であるのではなく実数であり、初期波が常に正であることが分かっている。この位相回復問題の解決を助けるために、この情報が使用されることが暗に示されている。
発明者らの研究も合成像を形成し、それを用いて位相回復問題を解決する。しかし、初期波は実関数に限定されず、初期面における摂動は、波面の残りを非摂動状態に維持しながらも基本的にゼロに設定された広い領域に限定されない。
このプロジェクトでは、例えば、大いに異なるバイナリ位相分布パターンをもつ複数のキノフォームバイナリ位相レンズを使用しており、それらを初期面に連続的に挿入して、初期面での位相分布を変更し、その結果、異なる初期面レンズにそれぞれが対応する大いに異なる観測面波が合成された。各レンズが、新しい写真即ちフェーザグラムを形成した。この特定のデモンストレーションでは、6つの異なるキノフォームレンズを使用して、6つの異なるフェーザグラムを形成しており、それが図1に示してある。図1に示す写真は、非摂動初期面波により生成された回折パターンとは似ていない。そのパターンであれば、観測面全体にわたって一定になるはずである。観測可能な詳細はそこにはなかった。図1の6つの異なるフェーザグラムに加えて、6つのバイナリ位相キノフォームレンズの位相分布についての知識が、その位相回復問題を解決するために使用したすべてであった。
Figure 2011508896
Figure 2011508896
位相問題を数学的に解決するための新しいアルゴリズムプロセスは、循環的である。像面における各フェーザグラムを表す複素関数が推定され、次いで、それらの推定値を使用して、初期面における複素波動関数の単一の新しい推定値が生成される。次いで、この新しい初期面複素関数を使用して、像面フェーザグラムのより良好な推定値が生成され、以下同様である。これらの推定値の良好性の指標は、各画素の推定振幅と測定振幅との差の2乗を、すべてのフェーザグラムにわたって合計した和である。この数を、各画素の測定振幅の2乗をすべてのフェーザグラムにわたるすべての画素にわたって合計した和(定義されたフェーザグラムのエネルギー)で除算すると、分数誤差と呼ばれる正規化された指標がもたらされる。分数誤差が小さくなるほど、フェーザグラム推定値が、測定されたフェーザグラムに似ているようになり、恐らくは、複素関数推定値が、目指す関数に良く似るようになることに留意されたい。
図2は、分数誤差が反復回数の関数として減少した様子を示す。曲線は単調に減少しており、それが、データを処理するのに使用されるアルゴリズムの必要な結果であることが分かる。この問題に必要な37回の反復の間、定数因子を除き発明者らの分数誤差と同じものである、キムの論文内で定義された正規化した平均2乗誤差は、4桁減少した。図3は、反復1、10、20、30及び37に関して目指す位相分布が進展した様子についての等高線プロットを示す。初期面におけるサポート領域(波の振幅がゼロに近くない面内の領域)はかなり狭く、それにより、解決することが比較的容易な問題になっていた。このシミュレーションの他の詳細は、写真及びキノフォームレンズの視野が64×64画素であり、全体で4096画素であったことである。キノフォームレンズは、大きさが2×1画素の位相要素を有していた。この2画素の単位はそれぞれ、初期面波に1.0又は-1.0を乗算するものであった。これらを、キノフォームレンズの隣接する領域にコイン投げベースで分配した。
Figure 2011508896
第2のデモンストレーションは、より困難な問題を解決し、その問題では、この場合もやはり、測定された非摂動像は一定であった。しかし、未知の位相分布は、大きさが64×64画素の視野内で、画素ごとに0から2πまで完全にランダムであった。両共役面におけるサポート領域は、面全体であった。初期面内に連続的に配置された摂動デバイスは、15個の穴あき絞り(holed stop)であった。15個の絞りそれぞれに開いた穴の大きさは、5画素×5画素を測定した。この穴を、各絞りにおいて、接触する領域にコイン投げベースで分配した。図4は、典型的な穴あき絞りを示す。
この特定のデモンストレーションでは、237回の反復を費やして、104分の1未満の分数誤差に達し、基本的に完全な位相回復を実現した。この問題における位相のランダムな性質が、アルゴリズムの進行の認識を困難にしている。しかし、1回目及び225回目の反復後に推定された位相分布を、等高線を記した状態で図5に示す。225回目の反復における位相分布は、基本的に目指す分布である。再構成された詳細に留意されたい。図6は、反復の関数としての分数誤差の対応する曲線を示す。この曲線を図2の曲線と比較してみる価値があろう。
Figure 2011508896
Figure 2011508896
第3のデモンストレーションは、64画素×64画素の視野内に8画素×8画素の繰返し単位を含む初期面に、穴あき絞りを使用した結果を示した。繰返し単位内の64画素それぞれの振幅及び位相をランダムに、0〜2の振幅及び0〜2πの位相で選択した。穴あき絞りは、上記で概説したのと同じランダム方式に従って設計し、穴は5画素×5画素であった。このデモンストレーションの振幅分布が図7として示してあり、108分の1未満の分数誤差に収束する新しいアルゴリズムが、図8に示してある。この実行は、明らかに結晶学を念頭において計画されたものであり、その結果はこの場合もやはり、基本的に完全であった。9個のフェーザグラムを使用した。
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したがって、観測面において、初期面内に配置された既知の摂動デバイスごとに大いに異なる写真即ちフェーザグラムとして生成された新しい情報があれば、発明者らは位相回復問題を一意に解決することができると思われる。この見解は限定される。というのも、発明者らは誤差が各反復に伴って減少する、又は最悪の場合でも同じ状態にとどまるはずであることを示すことができ、それを示すことになるが、一意性又は停滞に関して証明が、それが何十回もの試行シミュレーションにおいて問題になっていないにもかかわらず、考案されていないためである。これらのシミュレーションのそれぞれは、より多くの又はより少ないフェーザグラムを使用して解決されており、再生された複素波動関数に意外な結果はない。停滞(反復ごとに同じ状態にとどまる誤差)は、フェーザグラムの数が十分である限り生じていない。しかし、発明者らは、所与の問題に必要な最小数のフェーザグラムを決定するためのルールをまだ考案していない。フィーンアップ(Fienup)及びワッカーマン(Wackerman)[4]は、GS法の多くの変形アルゴリズムにおいて停滞問題に対処した。それらのアルゴリズムは、2枚の写真しか処理しないことに留意されよう。
(2.新しい反復アルゴリズム)
図9は、新しいアルゴリズムの流れ図である。そのプロセスは、複素波動関数の振幅分布であるN個のフェーザグラムからの開始に続くことができる。N個のフェーザグラムそれぞれに有効な一意の位相分布が探求される。開始に当たり、可能な位相分布を次から次へと重ねて推定する理由はないと仮定する。すべてのフェーザグラムについての位相分布をゼロに設定する。したがって、それらがすべて実関数であるということが第1の推定である。次に、そのそれぞれをフーリエ変換し、N個の複素変換関数を維持する。特定のフェーザグラムに関連する摂動デバイスが絞りであった場合、各変換式上の絞られたすべての画素は、そのフェーザがゼロ振幅に設定されている。摂動デバイスが光学レンズ又はキノフォームレンズであった場合、摂動体の位相の影響を除去する。即ち、摂動体が画素フェーザを1ラジアンだけ進ませた場合、その画素フェーザを1ラジアンだけ遅らせる。同じ除去手順を、すべての変換関数内のすべての画素について実施する。次に、画素ごとに、N個の変換複素関数(初期波面推定値)それぞれからの同じ画素についてのフェーザをベクトル的に合算し、それらを平均化する。遮断されたため振幅がゼロであるフェーザは、平均化において考慮されない。したがって、10個の変換式があり、特定の画素について、その変換式のうち3個の変換式においてその画素が遮断された場合、残りの7個のフェーザの和が7で除算される。このルールは、摂動体がレンズ又はキノフォームである場合には当てはまらない。その場合、ゼロ振幅フェーザは、平均化の際に値としてカウントされる。結果として得られる単一の平均化された変換式が、初期面波面の新しい推定値である。次に、この波推定値に、異なる摂動体それぞれの影響を順番に適用されたい。次いで、フィルタリング後の初期波推定値のそれぞれを逆フーリエ変換して、それらを維持する。これらの新しい複素関数のそれぞれは、そのそれぞれのフィルタ又は摂動体のフェーザグラムの未補正推定値である。この推定値を、該推定値の位相を維持しながら、新しいフェーザグラム推定値のそれぞれにおける各画素フェーザの振幅を、測定振幅値に設定することにより補正する。ここで、次の反復サイクルが、これらの新しいフェーザグラム推定値から開始する。
Figure 2011508896
ここで行われてきたことに留意されたい。N個のフェーザグラムと、それらを形成したN個の摂動体の完全な知識があった。キムによる論文の場合のように、初期波動関数の恐らくは制限されたサポートに関して、又は初期波動関数が複素関数であるか否かなどに関しての情報は手元になかった。その代わりに、このアルゴリズムは、誤差エネルギー低減の原理だけを利用していた。誤差エネルギーとは何であり、それがここでどのように使用されているだろうか。誤差エネルギーの定義及びその使用のされ方は、処理アルゴリズムを検討すると明らかになる。このアルゴリズムは、観測面における複素関数を、N個のフェーザグラムそれぞれについて推定することから開始する。N個のフェーザグラムすべてにおける画素ごとのフェーザは、その振幅が測定振幅に設定され、便宜のため、各フェーザの位相がゼロに設定される。N個のフェーザグラムはそれぞれ、フーリエ変換され、それらの対応する摂動体の影響が除去される。これにより、複素初期波のN個の異なる推定値が得られる。次に、ある原理すなわち誤差低減原理に従って、これらのN個の推定値を組み合わせて、単一の初期波推定値を得なければならない。各初期波画素推定値は、N個以下のフェーザ推定値を有し、それらのそれぞれは、その画素についての同じフェーザ推定値に変更される。この変更には、異なるベクトルのこれらのフェーザ推定値それぞれに対して、そのそれぞれをその画素についての単一の最終フェーザ推定値に変更するためにベクトル加算することが必要である。発明者らは、N個以下のフェーザ推定値それぞれに加算されて、その画素についての最終の単一フェーザ推定値が得られる別個のベクトルそれぞれの、ノルムの2乗の和が最小になるように最終フェーザ推定値を選択する方法を探究している。N個の初期波推定値それぞれにおいて、すべての画素にわたってとられるこの数の和は、補正エネルギーと呼ばれる。補正エネルギーが可能な限り小さくなるようにしたい。この要件をさしあたり受け入れると、質問は次のようになる:この最小補正エネルギーはどのようにして得られるか。
単一の画素及びその、例えばL個のフェーザ推定値について考える。Eを、この画素の合計補正エネルギー寄与と仮定されたい。次いで、以下の方程式:
Figure 2011508896
が得られ、上式で、(Ui,Vi)は、i番目のフェーザ推定値の実数座標及び虚数座標であり、(Uo,Vo)は、最終フェーザ推定値の実数座標及び虚数座標である。展開すると、
Figure 2011508896
が得られる。U及びVは独立変数である;したがってそれぞれについて別々に解くと、
Figure 2011508896
又は
Figure 2011508896
が得られ、同様に
Figure 2011508896
が得られる。即ち、フェーザ推定値を平均化すると、目指した最終フェーザ推定値がもたらされる。この手順は、極値を保証するにすぎないが、物理的状況は、最大値があり得ないようなものになる。
次に、順番に摂動体のそれぞれが、この推定値に適用され、逆フーリエ変換されると、観測面におけるN個のフェーザグラムのN個の新しい推定値が得られる。摂動体(光学レンズ又はキノフォームレンズ又は穴あき絞り)は、初期未補正波形推定値とそれに追加された補正関数の両方のエネルギー(ノルムの2乗)を維持するものが選択されている。フーリエ変換の線形性により、複素フェーザグラムの新しい推定値が、2つの部分;以前の反復推定値と、それに加えてそれぞれの補正関数の変換式、からなることが確実になる。さらに、パーセバルの定理により、フェーザグラム推定値のこの2つの部分それぞれのエネルギーが、それが初期面において有していたのと同じエネルギーを有することが確実になる。手短に言うと、パーセバルの定理によれば、2つの共役フーリエ面の両方における関数のエネルギー(複素関数の積分2乗ノルム)が同じになる。ここで、観測面における各画素フェーザに、可能な限り小さな補正を行うことが選択される。図10を参照すると、アルガン図によれば、新しい推定値の位相を維持し、フェーザ振幅を既知の振幅と置き換えることにより、観測面における画素ごとの新しい誤差ベクトルCBが、初期面からの補正エネルギーベクトルACと同じ又はそれよりも少ないエネルギーを有することになる。該プロセスがフーリエ変換及び摂動体の影響の除去を経て初期波面のN個の新しい推定値まで進んだときの、すべてのフェーザグラムにわたる合計誤差エネルギーが、合計補正エネルギーの上限である。これは、初期波の新しい推定値が、初期波の以前の推定値に、観測面において追加された誤差関数の変換式を加えたものと同じものであるためである。パーセバルの定理により、誤差関数エネルギーが両共役面において同じであることが確実になる。したがって、この時点で、アルゴリズムが補正関数エネルギーを誤差エネルギーに等しくして以前の初期波推定値に戻ることがあり、アルゴリズムプロセスが停滞することになる。補正エネルギーも誤差エネルギーも変化しない。しかし、フェーザ推定値を平均化することにより、可能な限り低い合計補正エネルギーを有することが保証される。このようにして、アルゴリズムは、初期面において補正エネルギーを低減させ、次いで観測面において誤差エネルギーを低減させながら、一方の共役面から他方に進む。目標はもちろん、誤差エネルギー又は補正エネルギーをゼロにする、又は可能な限りゼロに近くする位相分布を見出すことである。
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観測面(フェーザグラム)においてだけでなく初期面においても振幅分布の測定値がある場合、わずかに異なる状況が発生する。フェーザ推定値を、上記のアルゴリズムと同様に平均化し、次いでフェーザ角度を維持しなければならず、平均化されたフェーザの振幅がその測定されたものと合致するように調整される。したがって、初期面における波の振幅の測定値が手元にある場合、この調整を用いれば、アルゴリズムがずっと効率的になる。
(3.要旨)
位相回復の新しい方法について記載してきた。この方法は、レイリー及びゾンマーフェルトの、また光軸近似及びフレネルの回折要件により簡単化されたキルヒホッフ、フレネル及びホイヘンスの回折の式に基づいている。この方程式が式(1)として与えられる。簡単化されて、問題が基本的に次のようになった:複素2次元関数の振幅がその共役フーリエ領域のどちらか一方又は両方において与えられる場合、位相関数を一意的にかつ確実に発見することが可能であるか。その答えは、それらの測定値だけに基づくと否である。しかし、実験を用いて、位相回復問題に対する答えをもたらすために追加の測定が行えることが示された。例えば、通常のカメラでは、レンズの後焦点面における光波が、回折の方程式(1)の関係を結像面と共有する。両方の面が利用可能であり、後焦点面内に光学レンズ又は様々な絞り又はキノフォームレンズを使用することにより、結像面において新しい写真(フェーザグラム)を形成することができる。不定数のこれらのフェーザグラムと、それに加えてそのフェーザグラムを生成した初期面摂動体(レンズなど)の正確な知識が、位相回復を確実にするのに十分な追加情報である。同様に、様々な絞りが、放射結晶の側面に対して置かれた結晶試料から得られるディフラクトグラムも、解決することができた。
これらのデータにより、新しい反復アルゴリズムが強化されて、位相回復問題の解決策に至った。アルゴリズムが明らかにされ、その定義された誤差エネルギーが、各反復に伴って減少し、又は最悪の場合でも同じ状態にとどまるはずであることが分かった。誤差がゼロである又は非常に小さい場合、答えが手元にあることが実証された。しかし、これが必ずそうなることが、依然として証明されていない。摂動体の設計をこれから最適化し、その設計と位相回復問題を解決するのに必要なフェーザグラムの数とのトレードオフについて研究する必要がある。シミュレーションを実施してきたが、これらの原理を使用するデバイスを構築することが、依然として実際に残っている。
(謝辞)
著者は、その提案の多くが本論文中に組み込まれた2人の匿名の査読者に謝意を表したい。
(参考文献)
[1]グッドマン、ジェー.ダブリュー.(J.W.)、1968、フーリエ光学入門(Introduction to Fourier Optics)(New York(ニューヨーク)州:マグロウヒル(McGraw-Hill))、30〜55頁
[2]ガーチバーグ、アール.ダブリュー.及びサクストン、ダブリュー.オー.(W.O.)、1972、Optik、35、237
[3]キム、ダブリュー.(W.)、2001、Optics Lett.、26、134
[4]フィーンアップ、ジェー.アール.(J.R.)及びワッカーマン、シー.シー.(C.C.)、1986、J.opt.Soc.Am.A、3、1879
添付II
(12)米国特許
ガーチバーグ
US006906839B2
(10)特許番号:US 6906839 B2
(45)文献発行日:*2005年6月14日
(54)波面の位相情報を回復させるためのシステム及び方法
(76)発明者:ラルフ(Ralph)ダブリュー.ガーチバーグ、20 Kensington Rd.、Ardsley、NY(US)10502
(*)注意:任意のディスクレーマーを条件として、本特許の期間は、米国特許法第154条(b)のもとで0日間延長又は調整される。
本特許はターミナルディスクレーマーの対象である。
(21)出願番号:10/408488
(22)出願日:2003年4月7日
(65)以前の公報データ
US 2003/0202634 A1 2003年10月30日
関連米国出願データ
(60)2000年11月8日出願の出願第09/708290号、現在では特許第6369932号の一部継続出願である、2001年5月16日出願の出願第09/858943号、現在では特許第6545790号の分割出願。
(60)1999年11月8日出願の仮出願第60/163978号。
(51)国際特許分類第7版...G02F 1/00;G02F 1/01;G02F 1/29;G02B 27/42
(52)米国特許分類...359/237;359/279;359/299;359/300;250/550
(58)サーチ分野...359/237、279、359/299、300、559;250/550
(56)引用文献
米国特許文献
4330775 A 5/1982 岩本(Iwamoto)ら...340/146.3
4953188 A 8/1990 ジーゲル(Siegel)ら...378/43
5426521 A 6/1995 陳(Chen)ら...359/9
6222986 B1 4/2001 乾谷(Inuiya)...386/117
6289235 B1 9/2001 ウェバー(Webber)ら...600/426
6412087 B1 6/2002 松本(Matsumoto)...714/738
主任審査官-ティモシートンプソン(Timothy Thompson)
(74)代理人、弁理士又は事務所-Jones Day
(57)要約
記録された強度値から位相情報を回復させるためのシステム及び方法が開示される。一態様では、位相フィルタが、物体を観測するために使用されるレンズの後焦点面(BFP)でよい面内に配置される。位相フィルタは、BFPにおける波面分布の位相を、既知の様式で変更する。振幅絞り、又は位相フィルタリングパターンと振幅フィルタリングパターンの組合せを使用して、共役回折面において異なるN組の強度データを捕捉することもできる。N個の強度像を使用して、第1の面での波面の推定値が得られる。次いで、この波面推定値を使用して、N個のフィルタリングパターンの1つにそれぞれが対応する、共役面での波面のN個の変更された推定値が生成される。一実装形態では、N個の変更されたIP推定値が、推定振幅をその像の実際に測定された振幅と置き換えることにより補正される。このプロセスが、測定値と合成的に生成された値との間の誤差基準が既知のしきい値未満に下がるまで反復的に繰り返される。結果として得られる位相推定値を使用して、見た目がホログラムに類似した波面情報を表示することができ、又はレンズなし顕微鏡を形成することができる。
16請求項、23図面
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(波面の位相情報を回復させるためのシステム及び方法)
これは、1999年11月8日出願の仮出願第60/163978号から変換された、2000年11月8日出願の出願第09/708290号、現在では米国特許第6369932号の一部継続出願である、2001年5月16日出願の第09/858943号、現在では米国特許第6545790号の分割出願である。
(発明の分野)
本発明は一般に、波面の位相情報を回復させ、回復された情報を使用するためのシステム及び方法を対象とする。より詳細には、本発明は、波面に関連する位相情報を、測定された強度情報から決定するためのシステム及び方法を対象とする。
(発明の背景)
ホイヘンス、キルヒホッフ、ゾンマーフェルト及びレイリーは、本発明の理論的基礎をなす、現在受け入れられている回折理論を生み出し、それに最も寄与した。基本的に、この理論は、その他の場所では暗い平坦なスクリーンに開いた平坦な窓に広がる既知の波面が与えられる場合に、そのスクリーンを越えた任意の点での波面が計算可能であるということを公理とみなすものである。この理論の変形が、マイクロ波の範囲内の電磁波面について、アンテナのところの既知の電界分布を仮定して、フラウンホーファー(Fraunhofer)の遠視野アンテナパターン(far-field antenna pattern)を計算するのに使用されている。通常の光学カメラは、十分にコヒーレントで擬似の単色光波を仮定して、回折理論の照射窓としてカメラの対物レンズの後焦点面(BFP)、及び像をそこで計算することができる面として結像面を含む。もちろん、カメラの場合には、像面内に写真フィルム又は電子感知デバイスが配置されて、波の強度を記録しており、計算を行う必要はない。しかし、波面内の各点において、単に波の強度があるだけではなく、結像されている物体に関する80パーセントもの情報を含み得る波の位相があることが理解されよう。このことについてより完全に理解するには、従来型のホログラムが物体を3次元で結像する可能性を思い起こしさえすればよい。具体的には、コヒーレントな波面に関する位相情報を使用して、観測者がわきにそれた場合に不明瞭な物体が可視になることが可能なように、ホログラフィにより3次元像が形成される。したがって、本発明を使用して取り組む問題を、次のように述べることができる:波面が各点での(強度に直接的に関連する)振幅及び位相によって特徴付けられる複素関数であると仮定して、強度測定値だけを使用して位相をどのように捕捉することができるか。
この問題の複雑さを理解するために、次の所見について考えられたい:所与の瞬間において、1波長の位相は約6.28ラジアンである。赤色光の場合、その位相が発生する長さは、約0.6ミクロンである。これは、光が1秒あたり約300,000,000メートルで移動することを考えると、空間内の点を通過するそのような波の周波数が、約3.1*1015ラジアン/秒であることを意味する。その類の応答時間を有するデバイスは存在しない。通常の光学カメラの場合、回折理論に関連する対象となる2つの面は、レンズのBFP及び像面である。これらは、像面における波面が基本的に、BFPにおける照射波のフーリエ変換であるという意味において、共役面であることが分かっている。
コヒーレント単色結像システムでは、強度情報のみを記録する検出媒体から位相情報を抽出するという問題が、一貫した解決策がなく依然として問題である。波面にわたる位相関数を決定するために、いくつかの実験的方法が提案されている。ガボール、ディー.(Gabor,D.)、「新しい顕微鏡原理(A New Microscope Principle)」、Nature 161、777(1948)に開示された1つのそのような方法は、参照波を、記録面における対象とする波に追加するものである。結果として得られるホログラムは、写真乾板上に一連の強度縞を記録し、これは、対象とする完全な波動関数を再生するのに十分な情報を含んでいる。しかし、多くの実際的適用では、この方法は使用するには煩雑であり、実用的でない。
強度記録から完全な波動関数を推論するために、参照波を使用しない他の方法が提案されている。例えば、エリクソン、エイチ.(Erickson,H.)及びクルーグ、エー.(Klug,A.)、「電子顕微鏡写真のフーリエ変換:デフォーカス及び収差の影響、並びにアンダーフォーカスコントラスト増強の使用に対する影響(The Fourier Transform of an Electron Micrograph: Effects of Defocusing and Aberrations,and Implications for the use of Underfocus Contrast Enhancements)」、Berichte der Bunsen Gesellschaft、Bd.74、Nr.11、1129〜1137(1970)を参照されたい。ほとんどの場合、これらの方法は線形近似を必要とし、したがって、対象とする波面にわたるわずかな位相及び/又は振幅のずれについてのみ有効である。一般に、これらの方法には、集中的な計算リソースが必要になるという欠点もある。
別の方法は、結像面と回折面のどちらにおいても波面の強度記録を好都合に形成できることを提案していた。ガーチバーグ、アール.及びサクストン、ダブリュー.、「電子顕微鏡における像面写真及び回折面写真からの位相決定(Phase Determination from Image and Diffraction Plane Pictures in the Electron Microscope)」、Optik、Vol.34、No.3、275〜284頁(1971)。この方法は、波にわたる波動関数を、像面及び回折面におけるその強度の点から定義する2次方程式の組を使用するものである。この分析方法は、わずかな位相又は振幅のずれについて有効であるという上述の欠点により制限を受けないが、この場合もやはり、一般に大量の計算リソースを必要とする。
1971年に、本発明者は、結像面及び回折面における強度記録から完全な波動関数(振幅及び位相)を決定するための計算方法について述べた論文を共同執筆した。背景情報として引用により本明細書中に組み込まれている、「像面写真及び回折面写真から位相を決定するための実用的アルゴリズム(A Practical Algorithm for the Determination of Phase from Image and Diffraction Plane Pictures)」、Cavendish Laboratory、Cambridge、England、Optik、Vol.35、No.2、(1972)237〜246頁を参照されたい。この方法は、この2つの面における複素波動関数間にフーリエ変換関係があることに依存するものである。この方法は、電子顕微鏡法、通常の光学写真技術及びx線回折パターンだけを測定することができる結晶学の分野において、有用な用途があると分かっている。
いわゆるGerchberg-Saxton解決法が、図1にブロック図形式で示されている。アルゴリズムへの入力データは、像100面及び回折110面において物理的にサンプリングした波動関数強度の平方根である。機器は、強度を物理的に測定することしかできないが、複素波動関数の振幅は、測定強度の平方根に正比例する。サンプリングした結像振幅に対応する位相の初期推定値として働くπ〜-πの乱数120のアレイを発生させるために、乱数発生器が使用される。より良好な位相推定値が手元にアプリオリにある場合、それを代わりに使用することができる。次いで、アルゴリズムのステップ130において、(単位振幅「フェーザ」として表される)推定位相120に、像面からの対応するサンプリングした像振幅が乗算され、合成された複素離散関数の離散フーリエ変換が、ステップ140において、高速フーリエ変換(FFT)アルゴリズムによって達成される。この変換から生じる離散複素関数の位相が、単位振幅「フェーザ」として維持され(ステップ150)、次いでそれに、真の対応するサンプリングした回折面振幅が、ステップ160において乗算される。次いで、この離散複素関数(複素回折面波の推定値)が、ステップ170において逆高速フーリエ変換される。この場合もやはり、生成された離散複素関数の位相が、単位振幅「フェーザ」として維持され(ステップ180)、次いでそれに、対応する測定像振幅が乗算されて、像面における複素波動関数の新しい推定値が形成される130。次いで、ステップ130〜180のシーケンスが、波形の計算振幅が測定振幅に十分近く合致するまで繰り返される。これは、その分子が、複素離散波動関数の測定振幅と計算振幅との差の2乗を、どちらか一方の面におけるすべてのサンプル点にわたって合計した和であり、その分母が、測定振幅の2乗をその面におけるすべての点にわたって合計した和である分数を使用することにより、測定することができる。この分数が0.01未満であるとき、関数は通常、適切にバンド内にある。この分数はしばしば、誤差2乗和(SSE)を波動関数の測定エネルギーで除算した商:SSE/エネルギーとして表される。この分数は、分数誤差として知られている。
上述のGerchberg-Saxtonプロセスにかかる理論的制約は、誤差2乗和(SSE)、したがって分数誤差が、プロセスの各反復に伴って減少し、又は最悪の場合でも一定にとどまらなければならないことである。
Gerchberg-Saxton解決法は、多くの様々な文脈において広く使用されているが、主要な問題は、アルゴリズムが、誤差2乗和(SSE)ゼロに減少するのではなく「ロック」する可能性があることである。即ち、誤差が一定にとどまることがあり、通常は各反復に伴って進展する波動関数が、変化しなくなることになる。SSEが増加し得ないということから、このように、アルゴリズムの進行が「エラーウェル(error well)」内にトラップされることがある。ガーチバーグ、アール.、「位相回復のためのガーチバーグサクストンアルゴリズムにおけるロック問題(The Lock Problem in the Gerchberg Saxton Algorithm for Phase Retrieval)」、Optik、74、91(1986)並びにフィーンアップ、ジェー.及びワッカーマン、シー.、「位相回復停滞問題及び解決策(Phase retrieval stagnation problems and solutions)」、J.Opt.Soc.Am.A、3、1897(1986)を参照されたい。上記で特定した刊行物はすべてここに、背景情報として引用により組み込まれる。この方法に伴う別の問題は、1次元写真において明らかになっており、その場合、一意でない解決策が出現した。さらに、このアルゴリズムには収束の遅さがある。今日まで、Gerchberg-Saxton法に伴うこれらの問題に対し、代替となる満足のゆく解決策はない。したがって、従来技術に関連する欠点を伴わずに、波面の位相情報を回復させることができる、システム及び方法が必要とされている。
(発明の要旨)
本発明は、「誤差低減」原理により推進されるものであり、観測されている物体からの波面の複数のサンプルを必要とする。一態様では、本発明は、物体からの散乱波が衝突する収束レンズの後焦点面が波動関数を含み、それが物体のフーリエ変換に正比例し、したがって該物体の像面波動関数のフーリエ変換に正比例するという事実に依存する。ある画素とその隣接する画素のいずれかとの位相差がわずかにしか変化しない場合、従来技術の方法は、それらのわずかな位相差間を区別しようとする際に、多くの計算を必要としていた。実際の後焦点面(BFP)波が像面における真の像に、この2つの面間にドリフト空間が介在することにより変わるので(数学的には、BFP波にフーリエ変換をかけると像面波が得られる)、本発明によれば、この2つの共役面における測定値間に、非常に有用な関係が得られる。しかし、この2つの面における波相互間の他の関係を、BFPにおいて位相及び/又は振幅の分布を変更することにより得ることができる。本発明の一態様では、BFP内に、BFP位相分布に対する影響が既知の、物理的に異なるが既知の複数の位相フィルタを使用することにより、これを達成することができる。BFPにおける位相を効果的に変更する他の物理的方法(例えばデフォーカスの使用)があることに留意されたい。この介在から生じる像面波は、真の物体波とは大いに異なり、その結果として、この2つの共役面における強度測定値間に新しい関係をもたらし得る。本発明は、これらの新しい「合成された」関係のいくつかを使用して、再生波形の計算を激減させ、反復アルゴリズムの停滞を回避し、再生波動関数のいくつかの公知の曖昧さを回避する。
本発明の一実施態様では、収束レンズの後焦点面(BFP)にランダム位相フィルタが挿入される。この位相フィルタは、BFPにおける画素の位相を既知の様式で変更し、それにより、像面における結果として得られる像が変わる。BFPにおける個々の画素の位相分布は、ランダムに選択することができ、又は所望の分布によるものとすることができる。本発明の諸代替実施態様では、従来型の収束レンズ及び/又は発散レンズを、位相フィルタとして使用することができる。
上記の1つ以上のフィルタを使用すると、異なるN組の振幅(強度)データが像面から得られる。即ち、物体のN個の異なる像が、像面において形成される。本発明の一代替実施態様では、波の強度をBFPにおいても記録できることに留意されたい。次に、N個の強度像のそれぞれを、像面のところで測定された強度値、及びランダムでよい、又は事前知識に基づいて選択することができる位相値を使用して処理し、「合成」波面を得る。実際問題として、どんな初期位相推定値も機能するが、便宜のため、初めは、各複素画素についての位相をゼロと仮定することができる。次いで、N個の像それぞれについて結果として得られる波動関数が、(標準的な高速アルゴリズムを使用して)逆フーリエ変換され、対応するBFPフィルタそれぞれの既知の位相シフトが、各画素から減算される。これが順番にN個の像それぞれについて行われると、BFPにおける波動関数のN個の推定値が得られる。結果として得られるBFP推定値が、N個の像それぞれについて保存される。次いで、好ましい一実施態様によれば、これらのBFP推定値が平均化されて、複素BFP波面の単一のBFP推定値が得られる。
BFP強度データがN個のIP像と共に測定されている本発明の一代替実施態様では、BFP波推定値の振幅が、反復プロセス内のこの時点で測定振幅分布に変更される。次いで、N個のIP像それぞれについて、その対応するフィルタの位相シフトが順番に単一のBFP推定値に追加され、(N個の異なる位相フィルタの影響により異なる)N個の異なるBFP推定値がフーリエ変換されて、像面での波動関数のN個の推定値が生成される。次いで、N個の推定値それぞれが、その特定の像に関する実際に測定された振幅を使用して補正される。この補正の結果、誤差値がもたらされる。次いで、上記のプロセスが、N個の像すべてのSSEが本願の目的に合うほど十分に小さくなるまで反復的に繰り返される。典型的なケースでは、N個の像すべてのエネルギーの1%未満(即ち分数誤差が1%未満である)を使用することができる。
本発明の別の重要な態様では、照射共役面内に配置された絶対的な絞りを、処理アルゴリズムをほんのわずかに改変した上で使用して、波面の位相関数を一義的に回復させることもできることが発見された。同じ結果を、(一方が波面の強度/振幅を含み、他方が波面のフーリエ変換の強度/振幅を含む)2つの共役面間のドリフト空間を変更することにより達成することもできる。さらに、いくつかの実際的適用では、損失性位相フィルタ及び損失性絞りを使用することもできる。
したがって、本発明の別の態様では、位相情報の回復を、1組の振幅フィルタ(以後「絞り」)を使用して達成することができる。絞りを使用した実験から、絞りを上記で論じた位相フィルタに加えて又はその代わりに、処理アルゴリズムをほんのわずかに改変した上で成功裏に使用できることが分かった。重要な実際的適用では、絞りの使用を、機能するX線顕微鏡の構築に適用することができる。
本発明の別の態様では、特定の実際的適用に関する様々な実施態様において、部分的絞り若しくは損失性絞り、又は損失性位相フィルタ、或いはそれらの組合せを使用することができる。
本発明のさらに別の態様では、物理的絞り又は位相フィルタを使用する代わりに、所望の組の回折像を、試料面からのドリフト空間の長さを変更することにより形成することができる。X線顕微鏡を含むレンズなし顕微鏡も、この実施態様に従って構築することができる。
具体的に、一態様では、本発明は、実質的に単色のコヒーレント放射に対応する波面の位相情報を回復させるための方法であって:(a)第1の面内に配置された、材料の試料を、実質的に単色のコヒーレント放射で照射すること;(b)該試料により変調された放射を、実質的に該第1の面のところに配置された1つ以上のフィルタに対応するN個の所定のフィルタリングパターンに従って、選択的にフィルタリングすること;(c)N個のフィルタリングパターンそれぞれについて、選択的にフィルタリングした変調放射の空間強度値を、該第1の面に対する共役回折面である第2の面のところで捕捉して、N個の対応する強度分布を生成すること;(d)該第2の面において捕捉されたN個の強度分布を、該第1の面での波面の推定値をもたらすように処理することであって、該処理するステップが、対応するフィルタリングパターンの影響を補正することを含むこと;(e)もたらされた波面推定値を、N個の異なるフィルタリングパターンを使用してフィルタリングして、N個のフィルタリング後の推定値を得ること;(f)フィルタリング後の推定値を、該第2の面でのN個の推定強度分布を生成するように処理すること;並びに第2の面における捕捉強度分布及び推定強度分布に関連する誤差基準が所定のしきい値に達するまで、(g)ステップ(d)、(e)及び(f)を繰り返すこと;を含む、前記方法である。好ましい一実施態様では、フィルタリングパターンが、位相フィルタリングパターン、振幅絞り、又はそれらの組合せである。フィルタリングパターンの数は一般に、所望の解像度に応じて選択され、又は基礎となる波面に関する情報を使用して最適化することができる。特定の一実施態様では、放射がX線放射である。さらに該方法は、回復された位相情報を使用して波面を表示するステップを含む。
別の態様では、本発明は、装置であって:(a)試料面内に配置された材料の試料を照射するための平行放射の供給源と;(b)それぞれが、照射された試料により変調された放射を所定の遮断パターンに従って遮断する、複数の異なる絞りと;(c)該複数の絞りそれぞれについて、変調放射の強度分布の表示を、試料面に対する共役回折面である面において捕捉する1つ以上のセンサと;(d)変調放射の波面の位相情報を、複数の絞りによって付与された捕捉強度分布及び所定の遮断パターンから回復させるプロセッサと;を備える、前記装置である。好ましい一実施態様では、放射の供給源がX線供給源であり、このデバイスをX線顕微鏡として使用することができる。
別の態様では、本発明は、放射を処理するための装置であって:(a)試料面内に配置された試料を照射するための平行放射の供給源と;(b)該試料により変調された放射の強度分布の表示を、該試料面に対する共役回折面である面において捕捉する1つ以上のセンサと;(c)変調放射に所定の位相シフトを導入するなどのために、該試料面と該共役回折面との間の距離を変更する運動機構体と;(d)変調放射の波面の位相情報を、該運動機構体により導入された複数の所定の位相シフトを使用して得られた複数の捕捉強度分布から回復させるためのプロセッサと;を備える、装置である。
さらに別の態様では、本発明は、第1の面において変調された実質的に単色のコヒーレント放射を処理するための方法であって:(a)変調放射に対応するN個の強度分布を、第1の面に対する共役回折面である第2の面のところで捕捉することであって、該捕捉強度分布が、変調放射を該第1の面でN個の異なるフィルタリングパターンを使用してフィルタリングすることにより得られること;(b)該第2の面において捕捉されたN個の強度分布を、該第1の面での放射波面の推定値をもたらすように処理することであって、該処理するステップが、対応するフィルタリングパターンの影響を補正することを含むこと;(c)該第1の面での放射波面のもたらされた推定値を、N個の異なるフィルタリングパターンを使用することにより処理して、該第2の面におけるN個の推定強度分布を計算すること;(d)該第2の面における捕捉強度分布と推定強度分布との差に対応する誤差基準を計算すること;並びにステップ(d)において計算された誤差基準が所定のしきい値未満に下がるまで、(e)ステップ(b)、(c)及び(d)を反復的に繰り返すこと;を含む、前記方法である。
(図面の簡単な説明)
本発明は、様々な好ましい実施態様において、図面に関連して示され、最も良く理解される。
(図1)位相情報を回復させるための従来技術の方法を示す図である。
(図2)本発明の一実施態様による、強度データを得るための装置を示す図である。
(図3)本発明の方法の好ましい一実施態様をブロック図形式で示す図である。
(図4A〜F)図2の装置を透明物体(純位相物体)と共に使用して得られた、グレースケール像強度透視図である。
(図5A〜D)特定の透明物体の位相が、本発明の方法の一実施態様における反復過程中に進展するときのそのグレースケール透視図である。
(図6)N個の像すべてについて計算した誤差2乗和(SSE)をそれらの合計エネルギーで除算した商(即ちSSE/合計エネルギー)を、本発明の方法の一実施態様による反復回数の関数として示す典型的なグラフである。
(図7)計算した分数誤差対本発明の方法の一実施態様における反復回数を、異なる数の数組のデータについて示すグラフである。
(図8)図3に示す計算アルゴリズムが反復適用されるときの、2つの典型的な画素フェーザの位相推定値の進展を示す図である。
(図9)像面からのデータのみを使用して実行した実験(グラフA)と、後焦点面及び像面からのデータを使用した同じ実験(グラフB)とを比較した場合の分数誤差のグラフである。
(図10)好ましい一実施態様において、一連の振幅絞りを使用して位相情報を回復させるために使用することができるデバイスを、ブロック図形式で示す図である。
(図11)絞りと共に使用することができるように改変された、本発明の方法の別の好ましい実施態様の流れ図である。
(図12及び図13)機能するX線顕微鏡のコンピュータシミュレーションで使用された、本発明に従って使用することができる2つの異なる絞りを示す図である。
(図14)本発明の別の実施態様による可変ドリフト顕微鏡デバイスを、ブロック図形式で示す図である。
(図15A〜H)本発明に従って、6個の絞りを使用して構築されたX線顕微鏡の動作を、コンピュータシミュレーションした結果を示す図である。
(図16)誤差2乗和の減少を、本発明の特定の実施態様で使用された反復回数の関数として示す図である。
(好ましい実施態様の詳細な説明)
本発明は、複素波分布が、フーリエ変換などの一般に線形であり、可逆であり、かつエネルギーを保存する変換により関連付けられる2つの面がその伝播経路に沿って存在する、波面の伝播に一般に当てはまる。この2つの面は、共役面とも呼ばれる。そのような共役面は、例えば電磁アンテナ開口とその遠視野(フラウンホーファー)面との間、又は物体面と物体面を結像する収束レンズの後焦点面との間、又は光学カメラの対物レンズの後焦点面とカメラの像面との間、又は透過型電子顕微鏡の回折面と像面との間、又はX線照射された結晶構造とその回折面との間などに存在する。記録媒体の能力がそれらの面において強度分布のみを記録することに限定されると仮定すると、それらの面にわたって位相分布を回復させる必要も生じる。波面は、強度/振幅及び位相を含む面にわたる複素関数である。この開示では、話を簡単にするため、この2つの面を光学カメラの後焦点面(BFP)及びその対応する像面(IP)と呼ぶ。上記で言及したように、像面における波面は、カメラの後焦点面(BFP)における波のフーリエ変換(FT)に比例する。
本発明の好ましい一実施態様は、可視電磁スペクトルにおける波面の位相情報の回復という点から説明されるが、本発明はそのように限定されず、x線、赤外線、電子顕微鏡法、ソナーなど、スペクトルの他の領域にも適用することができる。全般的に、この方法は、スカラー波動方程式により、ある文脈の物理的現象の十分に正確な写真が得られるどんな文脈においても有効である。さらに、下流の回折/像面において異なる合成強度を得るために既知の様式で物体/回折面での波の位相及び/又は振幅を変更する物理的機構体が必要になる。
図2は、本発明の好ましい一実施態様による、強度データを得るための装置を示す。要素200は、結像すべき物体を表す。この物体は、透明であり、したがってバックライトで照らしても、又は光を反射するように照射してもよい。好ましい一実施態様では、物体からの光は、図2に光線Aとして示す単色コヒーレント光である。本発明の諸代替実施態様では、特定の実際的適用の要求に合わせて、純単色コヒーレント光源の代わりに、部分的コヒーレント光源を使用することができ、その場合、システムは点光源の代わりに分散型光源を使用する。(大まかに言えば、2つの穴を有するスクリーンを通して照射される分散型光源からの光は、スクリーンの背後の壁面上に、完全に強め合う/弱め合うのではなく、距離が隔たるにつれてぼやけた状態になる縞を発生させる)。別の代替実施態様では、狭帯域幅内で放出する擬似単色光源を使用することができる。これらの代替実施態様光源を使用できるかどうかは、具体的な適用によって決まる。
図2をさらに参照すると、レンズ(又はレンズ系)210を使用して、物体200からの光Aが光Bに収束される。例えば、可視光の場合には、好都合な焦点距離を有する収束レンズが有用であり、電子顕微鏡法の文脈では、磁気レンズが適切である。どんなタイプのレンズ210が使用されるかは、その適用によって決まり、唯一の制約は、レンズ210が共役のBFP面とIP面の対を生み出すことである。
図2の要素220は、レンズ210のBFPを表す。位相フィルタ230が、図2の例示ではBFP220の位置に配置される。回折又はBFP220において生じる複素波動関数は、その強度が、選択された媒体にとって通常の様式で捕捉及び記録され得る。例えば、可視光、X線又は電子ビームの場合、複素波で写真フィルムを直接露光することが、有用な記録技法である。電荷結合デバイス(CCD)アレイを使用して、BFP220のところで像を捕捉することもできる。当業者には理解されるように、直接デジタル記録することも、多くの適用において適切である。
位相フィルタ要素230は、BFP220のところに挿入された1つ以上の位相フィルタを表す。一般に、フィルタ230は、本発明により必要とされる複数の像強度データを生成するために使用される。一実施態様では、位相フィルタ230は、一様な分布を有するランダム位相板である。他の分布を有する他のランダム位相フィルタを使用することもできる。ランダム位相板230は、画素の位相を、-π〜+πの任意分だけランダムに変更する。例えば、ある画素の位相が10度であり、その隣接する画素が11度の位相を有していた場合、ランダム位相板230を通過した後に、この2つの画素の位相は、-75度及び+34度になることがあった。各画素が受ける位相シフトの量は、その隣接する画素に対してランダムでよいが、本発明によれば、画素それぞれに適用される位相シフトの量は既知量である。
要約すると、本発明の一態様では、BFP220における光が位相フィルタ230により変更される。これは画素ごとに行われ、その結果、BFP220から出る複素波面振幅/強度の変化はないが、その「不可視の」位相分布が、場合によってはかなり変化する。次いで、BFP220と像面240との間の空間を通過した後(図2の光線Cを参照されたい)、位相フィルタ230の影響が、像面240のところの記録された強度像内に見られる。像面240のところで記録された像は、位相フィルタ230により導入された位相変化のため、元の物体200に似ていない。したがって、例えば、像面240のところで、透明位相物体200の像は、特徴のない一様な強度像ではない。また、透明位相物体200の像は、物体200の元の位相に必ずしも似ているとも限らない。
複数の像を得るために使用される異なるフィルタ230間の相互相関が+0.1〜-0.1であることが、必要ではないが望ましい。本発明の様々な実施態様では、従来型の光学系を位相フィルタ230として使用することもできる。例えば、一連のコンピュータシミュレーションでは、9個のレンズを位相フィルタ230として使用しており、第1のフィルタがプラス8ジオプタレンズであることから始まり、8ジオプタ単位で増加が進み、したがって9番目のフィルタレンズは72ジオプタであった。別の、本発明の好ましい実施態様では、Boulder Nonlinear Systems社から入手可能になっているタイプの空間光変調器を、位相フィルタ230として使用することができる。現在、こうした変調器は、128×128又は256×256画素のアレイとして入手可能であり、画素ごとに可変な位相変化を導入することができる。特定の一実施態様では、変調器が、+π又は0に固定された位相変化を導入することができる(バイナリ位相フィルタ)。諸代替実施態様では、速度のいくらかの損失が生じる可能性があるが、位相変化の量を任意とすることができる。具体的には、特定の一実施態様では、位相フィルタが、(画素ごとの変更の代わりに)画素ブロックにランダム位相変化を導入することができ、その実施態様は、いくらかの収束速度損失を犠牲にしてデバイスの複雑さを低減させることができる。
要素240は、本発明の装置の像面を表す。像面240上に合焦された像は、写真フィルム又は電荷結合デバイス(CCD)アレイなど、任意の適切な較正済み記録媒体によって捕捉することができる。像面240のところで記録された像は、像面240に当たる光の強度という点から測定される。サンプリングした像の振幅は、測定強度の平方根に比例することが理解されよう。
位相フィルタ230を使用して像面240のところで捕捉された一連の異なる像を、本議論では「フェーザグラム」と呼ぶものとする。フェーザグラムは、位相フィルタ230のシフトをBFP220波動関数に適用することにより誘起される、像面における複素波形の合成強度像である。像面240での複素波動関数は通常、実際の物体200と振幅又は位相の分布が似ていない。基本的に、フェーザグラムは、BFP220のところで、異なる位相フィルタ230によって実施される実験から生じる強度写真である。フェーザグラムを表す強度データ及びそれを形成した1つ以上のフィルタ230の知識は、物体200の位相分布について解決するために、図3として示す新しいアルゴリズムが必要とするデータとなる。
図2に示すように、BFP220及び像面240は、プロセッサ250に結合されている。この直接結合は、BFP像及びIP240での像の強度が、前述のCCDアレイなどの電子デバイスを使用して捕捉される実施態様を表している。像を捕捉するために写真フィルムが使用される場合、プロセッサ250へのフィルムの結合は、較正済みの光学式走査プロセス(図示せず)を通じて達成することができる。図3のアルゴリズムを実行するためのソフトウェア及び位相フィルタ230の既知の位相シフトの分布が、プロセッサ250に予めロードされる。以下により完全に説明するように、本発明の一実施態様では、強度データが、像面240のところでしか測定されず、BFP220のところでは測定されない。この実施態様では、BFP220とプロセッサ250の間を接続する必要はない。当然ながら、Boulder Nonlinear Systems社から入手可能なタイプの位相フィルタを使用する場合、プロセッサを使用して、特定の測定についてフィルタにより導入される位相角を選択できることが理解されよう。
図3は、物体200に関連する位相情報を回復させるための、本発明のプロセスの一実施態様を示す。前述のとおり、図2の装置を使用すると、1つ以上の位相フィルタ230を使用して得られた、物体200のN個の異なる像、即ちフェーザグラムに関する強度測定値が得られる。好ましい実施態様によれば、N個の異なるフェーザグラムに関する測定強度が、1つ以上の位相フィルタ230により導入された位相シフトと共に、プロセッサ250のメモリ内に記憶される。
好ましい一実施態様によれば、ステップ300が、本発明のプロセスの初期反復の開始点である。初期反復では、像面240のところで測定された振幅(振幅は測定強度の平方根である)が使用される。便宜のため、各画素についての位相がゼロであると通常仮定される。換言すれば、像面240における複素波動関数は、純粋に実数であると仮定される。より良好な情報が存在する場合、初期位相分布推定値は、それに一致しているべきである。初期反復では、N個のフェーザグラムの振幅に対して補正は行われない。
ステップ310(i)では、N個のフェーザグラムそれぞれに逆高速フーリエ変換がかけられる。これは、画像処理分野の技術者には公知の、クーリー(Cooley)及びテューキー(Tukey)の高速フーリエ変換アルゴリズムを使用して達成することができる。クーリー、ジェー.(J.)及びテューキー、ジェー.(J.)、Mathematics of Computation、19、297(1965)を参照されたい。個々のフェーザグラムの逆変換は、並列に(速度が重要である場合)又は連続的に実施できることが理解されよう。したがって、図3のステップ310の添え字(i)は、両実施態様をカバーすると解釈すべきである。したがって、図2を参照すると、使用されるプロセッサ250のタイプに応じて、逆フーリエ変換をN個のフェーザグラム(i=1,...,N)それぞれについて連続的に計算しても、並列に実施してもよい。
ステップ320では、画素ごとの、その対応する位相フィルタ230(図2)により寄与される既知の位相シフトが、結果として得られる複素波動関数から減算される。逆フーリエ変換の計算の場合と同様に、各複素波動関数(i=1,...,N)についてのこの演算も、連続的に又は並列に行うことができる。減算ステップ320の結果、共役BFP220での複素波の推定値がもたらされる。(理解しやすいように図2を参照されたい)。続く処理ステップでは、このN個の推定値がコンピュータメモリ内に保存される。図3に示す実施態様によれば、BFP220(図2)のところで測定できたであろう実際のデータは使用されない。
好ましい一実施態様では、次いで、ステップ330において、BFP220におけるN個の複素波推定値を合計し、その和をNで除算すると、BFP複素波動関数の単一の平均化された推定値が得られる。次いで、この推定値を使用して、画素ごとの、その対応するフィルタにより寄与される既知の位相シフトを再度追加すると、等しい振幅分布であるが、異なる位相分布を有するN個の異なる波形が得られる(ステップ340)。或いは、BFP220のところで強度データが測定されている場合、その測定振幅データを使用して、ステップ330において同様に平均化された推定複素波動関数の振幅を補正する。
ステップ340において、その対応するフィルタにより寄与される各画素について既知の位相シフトを追加してN個の異なる波形が得られた後、N個の波形をそれぞれ高速フーリエ変換すると(ステップ350)、共役像面240における複素波のN個の新しい推定値が得られる。次いで、これらの推定値のそれぞれが、その測定フェーザグラムとしての対応する振幅分布を有するように補正される(ステップ300)。この時点での位相分布は変更されない。
一旦推定像面波形が、実際に測定されたフェーザグラム振幅分布に対して補正されると、プロセスステップ300〜350は、ステップ300において必要な補正量が何らかのしきい値未満に減少するまで繰り返される。ほとんどの場合、このしきい値未満への減少は、N個の像すべてにわたるSSEをN個の像すべてにわたる振幅の2乗(合計エネルギー)で除算した商である分数誤差が0.0001未満であるときに起こる。異なる適用では、異なる分数誤差しきい値を使用できることが理解されよう。
図3に関して説明した手順は、N個のフェーザグラムすべてにおけるすべての画素について、画素ごとの推定振幅とフェーザグラムにおけるその測定値との差により定義される誤差2乗和(SSE)を、低減させる又は最悪の場合でも維持するように保証される。従来技術の方法とは対照的に、本発明の方法を使用することにより、N個のフェーザグラムすべてではなく任意のフェーザグラムにわたってとられた「部分的な」SSEが、反復ごとに実際に増加することがあり得る。しかし、(すべてのフェーザグラムにわたって合計された)合計SSEは、反復ごとに増加し得ない。
図4A〜4Fは、図2の装置を使用することにより得られた6個の像(フェーザグラム)のグレースケール透視図を示す。これらの計算された像は、透明位相物体200(図2)を、BFP220内に連続的に配置される一連の6個の異なる屈折レンズ230(図2)を通じて写真撮影することをシミュレーションするものである。図4A〜4Fの差は、使用された異なるレンズ230のみによるものである。レンズ230を挿入しなければ、物体200が透明なので、これらの像はすべて白色になっていたはずである。第1の実験的設定において使用した像面240は、16×16正方格子上でサンプリングした。次いで、クーリー及びテューキーの高速フーリエ変換アルゴリズムの要件を満足させて、BFP220においても16×16格子内に256画素があった。
第1の実験は、透明であるが、グラフィカルに認識可能な位相関数を有する物体200を使用して実施した。繰り返して言うが、位相は、強度記録媒体でも人間の目でも検出可能ではない。したがって、物体及びそのグラフィカルに認識可能な位相分布は不可視であった。位相分布は、ラジアン単位の位相が以下の式により与えられる視野内に設定された、一定の位相値3.0ラジアンのブロック体「G」の形状をとっていた:
theta(r,c)=(r3+0.5c3)/810-3.14159
式中、r=16×16写真マトリクスの行数(0〜15)
c=16×16写真マトリクスの列数(0〜15)。
第2の実験は、やはりこの場合も透明であるが、物体画素ごとの位相が今回は-π〜+πの範囲にわたる一様ランダム分布から選択された、第2の物体200を使用して行った。即ち、各画素は、他の画素のいずれからも位相が完全に独立していた。
これらの2つの各実験では、一連の6個の収束屈折レンズを位相フィルタ230(図2)として使用し、強度測定値を像面240のところで得た。これらのレンズ230は、BFPにおける波動関数の位相を、以下の式に従って増加させた:
NR2/10
式中、nは、異なるレンズフィルタそれぞれについて1〜Nの整数であり;
Rは、後焦点面における画素の半径である。
第2の実験と同じランダム位相物体200を使用した、さらに別の第3の実験を行った。第3の実験では、一連のランダム位相フィルタ230が、最初の2つの実験の屈折フィルタに取って代わった。ランダム位相フィルタ230は、後焦点面における各画素の位相を、+π〜-πの一様な分布に従ってシフトさせた。この一連の中で使用された各ランダム位相フィルタは、該一連の中の他のフィルタのいずれに対しても+0.1〜-0.1の相互相関値を有していた。
図5A〜5Dは、アルゴリズム(図3)が物体200の位相分布を回復させるときのその進展を示す。第1の実験において、アルゴリズムのサイクルの数が増加するときの位相推定値が示されている。図5Aは、プロセスステップ300〜350を10回反復した後の位相推定値を示す。図5Bは、90回反復した後の同じものを示し、図5C及び5Dはそれぞれ、114回目及び126回目の反復後の位相推定値を示す。
図5Dに明らかに示されているように、本発明の方法は、透明物体200から出る波面に関する位相情報を回復させることができた。
図5に示されていない初期位相推定値は、関数が初期には実数であると仮定されているので、一様に白色なはずである。図5Aに示す10回目の推定後、推定関数と測定関数との間の分数誤差は5%であった。図5Bに示す90回目の推定後、分数誤差は0.8%であった。114回目の反復後、分数誤差は0.09%に減少し、図5Dに示す最終推定では、分数誤差がたった0.01%であった。これらの分数誤差は、特定の実施態様において、合計誤差エネルギー(6個のフェーザグラムすべてにわたるSSEの和)を(6個のフェーザグラムすべてにわたる)合計フェーザグラムエネルギーで除算した商として測定される。
図6は、透明ランダム位相物体200及び6個の異なる屈折レンズ230を使用した、第2の実験の結果のグラフを示す。このグラフは、この方法の反復回数の関数としてのフェーザグラムの分数誤差を、10を底とする対数に換算して形成されている。繰り返して言うが、この実験では、BFP220内に6個の異なる収束レンズ230を使用し、かつ透明ランダム位相物体200を使用した。グラフから分かるように、初期の反復は、誤差エネルギーのゆっくりとした減少を示し、これは「探索段階」と考えられる。この「探索段階」の間、分数誤差は、1回の反復あたり1000分の1未満の程度で、非常にゆっくりと減少する。誤差はゆっくりと減少しているが、画素の位相は良好な速度で実際に変化している。分数誤差は、アルゴリズムが失敗していることを示しているようであるが、実際には、アルゴリズムは良好なペースで解に向かって進みつつある。約100回の反復のところで、かなり急速に最終解に終結する。
図7は、6個のランダム位相フィルタ230及び同じランダム位相透明物体200を使用した、第3の実験の結果を示す。この場合もやはり、この図は、本発明の方法の反復回数の関数としての分数誤差のグラフを示す。曲線のそれぞれは、方法の進展を、様々な数のフェーザグラムを使用して物体の位相を再生する別々の実行と共に示す。最も長い時間がかかった処理では、5個のフェーザグラムを使用しており、最も速い処理では、10個のフェーザグラムを処理していた。この図に示されるように、方法が正しい解に向かって進むについれて、プロセスのそれぞれは、反復回数に伴う初期のゆっくりとした減少と、それに続く誤差の急速な降下を受けた。8個及び9個のフェーザグラムを使用した実行において軽微な逆転があるのを除き、全体として、フェーザグラムが多く使用されるほど、位相分布を回復させるのに必要な反復が少なくなるようであった。
上記の実験の文脈において、約5個未満のフェーザグラムを用いて位相分布を回復させようとする試行は、アルゴリズムが分数誤差を実際的な点を超えて低減させようとしてし損ねて、全体的に不成功であったと言及することができる。アルゴリズムは「ロック」したようである。満足のゆく解に達する最小数のフェーザグラムが、方法に対するより基本的な制約となっているか否かについては不明である。元のGerchberg-Saxtonアルゴリズムは、位相分布を試行し回復させるために、2つの強度像からのデータしか使用することができなかったが、本発明の方法は、使用することができる強度像(フェーザグラム)の数に制限を課さないと言及しておくことがさらに重要となり得る。
図8は、2つの異なる画素の位相を、反復回数の関数として示す。これらの画素の処理は、図7に示す10個のフェーザグラムの処理の曲線に対応する。図8と図7のグラフを比較して、「探索段階」の間(ほぼ1回目と50回目の反復の間)に、誤差はゆっくりと減少しているが(図7)、画素それぞれの推定位相は、かなり急速に変化していることに留意されたい。画素位相のこの急速な変化は、関数に対する解に近づくとき(ほぼ60回目の反復より先で)、横ばいになる。
本発明の第2の実施態様では、BFP220のところで測定されるデータが本発明の方法で使用される。手短に言うと、BFP220における強度測定が行われる。これ自体は新規な技法ではなく、どんな概念上の困難もない。例えば、透過型電子顕微鏡において、BFP面及びIP面のどちらにおいても強度値を収集することに問題はない。いくつかの文脈では、これらのデータを得る物理的実現性が、多かれ少なかれ困難かもしれない。
本発明の方法の特定の一実施態様によれば、図3に示すアルゴリズムのステップ330において、これらのデータを使用して、BFP推定値の振幅を補正することができる。即ち、BFP220における波に関する平均化された推定値が得られた後、推定位相分布を維持しながら、その推定値の振幅分布が測定振幅分布と置き換えられる。次いで、アルゴリズムが以前のように進行する。アルゴリズム内のこの追加ステップは、図9から分かるように、物体の位相分布を見出すプロセスをスピードアップさせる際にかなり効果的であると思われる。
図9は、本発明の第1の実施態様(BFP測定値なし)を使用して測定された分数誤差と、後焦点面からの測定データが使用される、第2の実施態様を使用して得られた分数誤差とを比較した結果を示す。これらのグラフはそれぞれ、5個の初期フェーザグラムを使用して得られた。グラフAは、像面のところで測定されたデータだけを使用したプロセスの進展を示し、グラフBは、後焦点面と像面の両方からのデータを使用した方法の進展を示す。図9から分かるように、後面からのデータが使用される場合、問題を解決するのに必要な反復回数が激減する。図9から分かるように、BFPからのデータを追加すると、像面からのデータを使用することのみに対して、解を得る効率が増大する。
本発明の反復プロセスでは、補正が、位相推定値を維持し、画素振幅を補正するものである場合には必ず、多かれ少なかれ効果的であり得る別の補正も可能であることに留意されたい。したがって、画素の(j-1)番目の位相推定値yj-1が利用可能であり、j番目の位相推定値が生成されるyj場合、新しい位相yjnewは、yj-1<yjnew<2yj-yj-1の範囲内のどこにあってもよい。この範囲は、yjを明らかに含んでおり、これは、本開示の例示においてyjnewの代わりに使用される値である。
絞り、可変ドリフト空間、損失性フィルタ及び他の手法を使用した位相回復
本発明の別の重要な態様では、照射共役面内に配置された絶対的な絞りを、処理アルゴリズムをほんのわずかに改変した上で使用して、波面の位相関数を一義的に回復させることもできることが発見された。同じ結果を、(一方が波面の強度/振幅を含み、他方が波面のフーリエ変換の強度/振幅を含む)2つの共役面間のドリフト空間を変更することにより達成することもできる。さらに、いくつかの実際的適用では、損失性位相フィルタ及び損失性絞りが有益であることが分かっている。したがって、本発明のこの態様によれば、回折結像デバイスにおいて、いくつかの異なるタイプの物理的要素又は処理機構体を使用して、合成像(フェーザグラム)を生成することができる。具体的には、本発明を使用して、X線顕微鏡並びに他のレンズなし及びレンズ付き結像デバイスを構築することが可能であることが示される。
位相情報を回復させるプロセスにおいて絞りを使用するケースは、共役のフーリエ変換面又はフレネル変換面がどちらも、合焦デバイスを使用しなくても実験に利用可能となり得ることが分かっていれば、より良く理解することができる。即ち、例えば顕微鏡法の場合、試料面及びその回折面又はフレネル変換面がそれぞれ、位相フィルタリング又は絞り、並びに回折パターンの記録及び測定に利用可能である。また、試料面と回折面(この例における2つの共役面)の間のドリフト空間の長さが容易に変更され、これは、重要な実際的考慮事項である。
X線顕微鏡法の1つの主要な問題は、X線を屈折させるために使用することができる効果的なレンズがないことである。本発明の一態様では、異なってはいるが既知のパターンに従って穴が分配された状態で放射を吸収し、平坦な試料スライド上にそれぞれが順番に置かれる複数の材料シートを使用して、この問題を克服することができる。好ましい一実施態様では、このシートを鉛から形成することができる。この実施態様によれば、これらの絞りを通過する放射が、回折面において異なる像(フェーザグラム)を形成する。本発明によれば、これらの像は、完全な波動関数を再生するのに必要なデータをもたらす。
別の実施態様では、試料面と測定面との間のドリフト空間の変更を使用して、波面全体(振幅及び位相)を回復させる処理アルゴリズムへの入力としての様々な回折パターン(フェーザグラム)を生成するように、X線顕微鏡を設計することができる。
図10は、第1の好ましい実施態様において一連の絞りを使用して位相情報を回復させるために使用することができるデバイスを、ブロック図形式で示す。そのようなデバイスの重要な実際的な用途は、X線顕微鏡の設計の分野にある。図示のように、このデバイスは放射供給源400を備えており、これは、図に示す特定の実施態様ではX線放射である。放射供給源400は、好ましい一実施態様では、X線でよい放射平行ビーム410を発生させ、このビームは、平坦で一様な非変調波面をもたらし、それが試料420を照射して、試料420により変調される。好ましい一実施態様では、穴を有する薄いシート絞り430が、試料の放射供給源より下流側上に配置される。変調ビームは、所定のドリフト空間440を横切ってドリフトして、その強度分布を、試料面に共役な回折面450において記録する。面450のところで波面の強度を測定するために、検出デバイス(図示せず)が使用される。このデバイスは、特定の適用及び放射タイプに適していると当技術分野で知られるどんなタイプのものでもよい。一般に、このデバイスは、検出デバイスにより捕捉された強度分布を記憶するためのメモリ(図示せず)、及び当技術分野で知られるような、記憶された分布を以下に記載のアルゴリズムに従って処理するためのプロセッサをさらに備える。
動作の際には、放射ビームを試料の中に通過させ、異なる絞り430を使用して出力を変調させるプロセスが、いくつかの異なる絞りを用いて繰り返されて、1組の様々な像が得られる。これらの像は、処理アルゴリズムへの入力として使用され、特定の実施態様向けの処理アルゴリズムが、図11にブロック図形式で示されている。図10に示す設計は、様々な実際的適用では、レンズなし光学顕微鏡としても使用できるが、X線を合焦することができるレンズが現在存在しないX線の場合には、特別関連があることが理解されよう。本発明によるドリフト空間の選択は、試料の最終像において所望の解像度、及び放射供給源400の波長によって変わることがさらに理解されよう。この2つのパラメータを設定した状態で、2つの面間のドリフト空間を、従来技術で知られる、回折の式に対するいくつかの近似式を使用して計算することができる。例えば、背景情報として引用により本明細書中に組み込まれている、グッドマン、ジェー.ピー.(J.P.)、「フーリエ光学入門(Introduction to Fourier Optics)」、マグロウヒル(McGraw Hill)、New York(ニューヨーク)州、57〜74頁(1968)の第4章、「フレネル及びフラウンホーファー回折(Fresnel and Fraunhofer Diffraction)」を参照されたい。
図11は、共役面内に使用された異なる絞りごとに、回折面における波面の強度/振幅としてもたらされたデータ、及びその絞りの仕様を使用する、アルゴリズムの流れ図を示す。X線顕微鏡の場合、共役面又は照射面は、試料のところであることが理解されよう。図12及び13は、本発明による機能するX線顕微鏡のコンピュータシミュレーションで使用された、異なる絞りのうち2つを示す。この2つのシミュレーションでは、特定の一実施態様では鉛で形成された絞りに開いた穴が、白色として表されており、鉛又は波を完全に遮断する領域が、黒色で示されている。シミュレーションに使用された特定の実施態様では、穴が5画素×5画素の正方形であるが、様々な実施態様では他のサイズを使用できることが理解されよう。
特定の一実施態様では、領域が遮断されるか否かについての決定が、一様な確率分布から選択することにより、ランダムベースで行われる。したがって、そのような決定は、基本的に「コイン投げ」ベースで行うことができる。しかし、アルゴリズムは、各絞りにおいて、試料上のどの画素が遮断されているかという知識を必要とすることが理解されよう。本発明の諸代替実施態様では、穴の設計及び配置を、様々な実際的適用に合わせてプログラム化した様式で最適化することができる。したがって、適用に応じて、フィルタの数N、したがって放射露光時間を低減させることが望ましい場合がある。或いは、アルゴリズムの収束速度の最適化に焦点を合わせることが望ましい場合もある。異なる最適化基準を異なる実際的適用で使用することができ、異なる最適化基準は、アルゴリズムの適用に関するより多くの実験的データが利用可能になると、明らかになるであろう。
例えば、上述の実施態様で使用された、図12及び13に示す基本的にランダムな分布とは対照的に、本発明の別の実施態様では、1組の数学的に独立した2次元フィルタマスクを使用することができる。即ち、アダマール関数を使用して、この実施態様で使用されるフィルタに適した1組の遮断パターンを生成することができる。直交(又は正規直交)フィルタを使用すると、アルゴリズムの収束をスピードアップできることが理解されよう。フィルタの最適数Nの選択に関して、実際的なシミュレーションでは、5個又は6個のフィルタがほとんどの場合十分であると示されているが、実際の数は、基礎となる詳細レベル及び所望の解像度によって変わる可能性があることが予想される。この情報を考慮に入れるために、本発明の一実施態様では、調査中の典型的な材料の既知の代表的なサンプルの波動関数を含む行列の特異値分解を用いて、フィルタの数Nを、所定の絶対値しきい値を超える特異値の数に一致するように選択することが提案される。当業者には明らかとなるように、上述の手法に対する様々な変更を、諸代替実施態様で使用することができる。したがって、そのような手法は、特許請求の範囲において定義する本発明の範囲内に明らかに含まれる。
図11に戻ると、図11は、回折面における波面の位相を、そこで測定されたフェーザグラムそれぞれについて発見し、したがって試料から去る変調波の位相及び振幅を発見する反復アルゴリズムの流れ図を示す。手短に言えば、処理は、回折面からのフェーザグラム強度/振幅データから開始する。(例えば、純実数となるべき数が開始点としてかなり満足のいくものであると分かっていると仮定して)正しい位相分布に関する推定値と結合された第1のフェーザグラム振幅データが、510において高速フーリエ変換される。図3に示すケースと同様に、アプリオリの情報が利用可能であれば、それを代わりに使用できることが理解されよう。次いで、試料のところで対応する絞りによって遮断されていない画素が、フーリエ変換がその画素にもたらす複素振幅をもつと考えられる。フェーザグラムそれぞれが順番に、同様に高速フーリエ変換されて、試料面又は共役面のところの各画素が、それが遮断されていない場合に高速フーリエ変換がその画素にもたらした複素数をもつと考えられる。回折面からのすべてのフェーザグラムの変換から各画素が受け取った複素数の和が、好ましい一実施態様では平均化されて530、試料から去る複素波面の新しい推定値が形成される。振幅絞りを使用する本発明の諸実施態様では、試料面における画素ごとに平均化が異なることに留意されたい。というのも、絞りのうちいくつがその特定の画素を遮断したかに応じて複素数寄与の数が変わるためである。好ましい実施態様によれば、使用される第1の絞りにはまったく絞りがなく、それにより第1のフェーザグラムが、試料変調からの通常の回折パターンになるにすぎないため、試料のところの画素それぞれに対して少なくとも1つの寄与が常にある。これが、位相フィルタだけを使用する処理アルゴリズムと比べた変更点である。部分的絞り又は損失性絞り、及び損失性位相フィルタの場合、使用される損失性フィルタ又は損失性絞りは任意の画素に対する寄与を完全に遮断しないので、各画素に対する寄与はその数に等しくなることが理解されよう。これらのケースでは、寄与が平均化されて試料のところの新しい波推定値が形成される前に、寄与それぞれが、それぞれに対応するフィルタ又は部分的遮断部の影響を除去するように補正されなければならない。
図11に戻ると、次に、新しい波推定値が順番に、各フィルタ又は各絞りにより変更されて(540)、N個の新しい波面がもたらされ、それらについて、後に逆フーリエ変換550すると、回折面での回折波がもたらされる。回折面では、N個の回折波面がそれぞれ、対応するフェーザグラムの測定強度/振幅と合致するように補正される。複素数の位相は一般に維持されるが、アルゴリズムの様々な実施態様では、それを図3に示すように補正することもできる。新しいフェーザグラム推定値が、測定フェーザグラムの強度/振幅に合致するように補正され、アルゴリズムが次の反復を開始する。回折面におけるフェーザグラム振幅推定値に適用される補正が、十分に小さいと考えられるとき、アルゴリズムは反復を終了する。これまでのように、特定の一実施態様で使用される誤差基準を、上記で論じた分数誤差と同じに設定することができ、反復を停止させるために選択されるしきい値を、実際的適用に基づいて選択することができる。特定の一実施態様では、このしきい値が0.0001に選択される。様々な実施態様において、これに代わる誤差基準及び/又はしきい値を使用できることが理解されよう。
図11をさらに参照すると、好ましい一実施態様によれば、本明細書に示す絞り及びアルゴリズムを使用して、X線顕微鏡を構築することができる。即ち、図10を再度参照すると、試料420から出るX線ビームが位相及び振幅の点で変調されており、顕微鏡の仕事は、この変調波面を回復させることである。変調波面は、2次元の複素関数として適切に表され、その複素関数では、各画素が振幅及び位相として表現される複素数である。これは、2次元座標空間における複素関数U1(x,y)として表すことができる。本発明によれば、関数U1(x,y)を決定しなければならない。図10に示す実施態様では、絞り430が波面の異なる部分を遮断し、その結果、回折面で異なる複素波動関数が生じる(様々なフェーザグラム)。回折面での波は、試料のところの遮断されていない波に、以下のように関連付けられることが分かっている。
Figure 2011508896
回折において、フーリエ変換は、試料面波に2次位相因子を乗算した積のフーリエ変換であり、したがって、回折波面は遮断されていない試料波面に、試料波面に2次位相因子を乗算した積のフーリエ変換として実際に関連付けられる。アルゴリズムはこの関数を解き、次いでそれが、2次位相因子を打ち消すように補正されなければならない。
本発明によるX線顕微鏡を構築する代替様式は、ドリフト空間の長さを、様々な回折像をもたらすように変更することである。この実施態様では、試料面のところで波を変調するために絞り又はフィルタを使用する必要がない。これは、上記の方程式(1)を参照して理解することができる。具体的には、本発明のこの実施態様に従ってドリフト空間の長さを変更すると、zの値が変化する。したがって、試料のところの波面に乗算する2次位相因子が、ドリフト空間の異なる長さzそれぞれについて変化する。数学的には、これは、試料のところに異なる光学レンズを使用することと等価であり、これは、X線の周波数を含むあらゆる周波数において有効である。そのようなレンズは、式:
Figure 2011508896
に従って2次位相フィルタとして表すことができ、式中、fはレンズの焦点距離であり、したがって試料のところの等価レンズは、単に-1/zジオプタである。
したがって、例えば、ドリフト空間が1センチメートルである場合、試料波面を変更する等価レンズは-100ジオプタである。10センチメートルのとき、ドリフト空間は-10ジオプタレンズと等価になる。これにより、レンズなし可変ドリフト空間X線顕微鏡を構築することが、試料面又は共役面で位相フィルタとしてレンズを使用するのと同じことになる。これは、上記に示す実施態様において有効であることが分かっており、処理アルゴリズムを改変せずに図11及び/又は図3に示すように使用することができる。
図14は、この実施態様による可変ドリフト顕微鏡についての簡略ブロック図を示す。図10の符号を使用して、この実装形態は、図10に示す実施態様で使用される絞り430が、正確な可変長ドリフト空間をもたらすことができる機構体(図示せず)と置き換えられたことを除き、同じ基本構成要素を含む。必要な精度を確実にするどんな実際的な機構体も使用できることが理解されよう。
図15(A〜H)は、本発明に従って6個の絞りを使用して構築されたX線顕微鏡の動作をシミュレーションした結果を示す。視野が64×64画素であり、試料の反復単位が8画素×8画素であった。図示の実施態様で使用された絞りに開いた穴は、9画素×9画素であった。結果は波面が完全に再生されており、これは、これまでに試行したすべてのシミュレーション実行の典型である。
具体的には、図15A及び15Bは、結晶試料のところの実数波振幅(図15A)とその試料のところの回復された波振幅を示す。図のわきの凡例は、波振幅分布を異なる濃淡で示す。図15C、15D、15E、15F、15G及び15Hはそれぞれ、アルゴリズムの入力として使用されて、その結果が成功に至ったフェーザグラムを示す。
最後に、図16は、誤差2乗和が反復回数の関数として減少する様子を示す。図示のように、約330回の反復の後に、対数目盛で表す分数誤差が事実上ゼロに低減されている。
本発明を上記で、強度測定値から完全な波面を再生するという文脈において説明してきたが、その有用性の少なくとも一部は、再生された波面を人間の観測者に対して表示する又は他の様式で描画する能力にもあり得ることが明らかなはずである。原理上、(可視光適用の場合)再生された波面の像は、ホログラムとして現れるようにすることができる。主要な差は、ただ1つのコヒーレント単色光源が表示に必要になることである。再生された波面に関する情報(振幅及び位相)は、製品内で符号化することができ、次いでそれが光源で照射される。しかし、より大まかに言えば、本発明によるディスプレイは、reのプリントアウトとすることができる。
好ましい一実施態様では、「スカルプテッドフィルム(sculpted film)」を使用して再生された波面を表示することができる。スカルプテッドフィルムは、完全な位相及び振幅の情報を、アナログ体積ホログラム(3次元像)に変換するために使用される、新しい媒体である。このフィルムは2つの別個の部分を有する。
像の位相情報が媒体内に符号化され、これはキノフォームとして知られる。像の振幅情報が、写真乳剤に捕捉される。次いで、キノフォームと乳剤が接合される。このようにして、像の位相情報と振幅情報が一体化される。したがって、光がこのフィルム上に照射されると、像に関する完全な情報が再生され、3次元像が得られる。一代替実施態様では、当業者には理解されるように、Boulder Nonlinear Systems社から提供される位相フィルタを使用して、符号化された位相情報をもたらすこともできる。振幅変調は、フィルムを用いて、又は電子的に可変な光学密度媒体をさらに開発して、依然として達成することができる。
本発明のこれに代わる説明は、添付の添付Aに記載されている。
本発明をその特定の諸実施態様に関連して説明してきたが、当業者には、他の多くの変形形態及び変更形態、並びに他の用法が明らかとなるであろう。したがって、本発明は、本明細書における特定の開示によってではなく、添付の特許請求の範囲によってのみ限定されることが好ましい。
(書類名)特許請求の範囲
(請求項1)
装置であって:
(a)試料面内に配置された材料の試料を照射するための平行放射の供給源と;
(b)該照射された試料により変調された放射を、それぞれが所定の遮断パターンに従って遮断する、複数の異なる絞りと;
(c)該複数の絞りそれぞれについて、該変調放射の強度分布の表示を、該試料面に対する共役回折面である面において捕捉する1つ以上のセンサと;
(d)該変調放射の波面の位相情報を、該複数の絞りによって付与された該捕捉強度分布及び該所定の遮断パターンから回復させるプロセッサと;
を備える、前記装置。
(請求項2)
前記試料面及び前記共役回折面が、フーリエ変換によって関連付けられる共役面である、請求項1記載の装置。
(請求項3)
放射の前記供給源がX線供給源である、請求項1記載の装置。
(請求項4)
前記試料面が前記放射に実質的に垂直である、請求項1記載の装置。
(請求項5)
前記変調放射を、前記回復された位相情報を使用して表示するためのディスプレイをさらに備える、請求項1記載の装置。
(請求項6)
前記表示された変調放射が、前記照射された試料の構造の表示を所定の倍率でもたらす、請求項5記載の装置。
(請求項7)
前記放射がX線放射である、請求項6記載の装置。
(請求項8)
絞りごとに前記共役回折面における前記変調放射の強度分布を記憶するためのメモリをさらに備える、請求項1記載の装置。
(請求項9)
前記プロセッサが1つ以上の高速フーリエ変換プロセッサを備える、請求項1記載の装置。
(請求項10)
絞りごとの前記変調放射の強度分布の処理が連続的に行われる、請求項9記載の装置。
(請求項11)
絞りごとの前記変調放射の強度分布の処理が並列に行われる、請求項9記載の装置。
(請求項12)
前記遮断パターンがランダムに選択される、請求項1記載の装置。
(請求項13)
前記遮断パターンが画素ごとに選択され、その場合、個々の画素が前記1つ以上のセンサの解像度に対応する、請求項1記載の装置。
(請求項14)
前記遮断パターンがメタ画素ベースで選択され、その少なくとも一部のメタ画素が2つ以上の画素からなるグループに対応する、請求項13記載の装置。
(請求項15)
前記絞りのうち1つが前記変調放射の遮断を導入しない、請求項1記載の装置。
(請求項16)
前記プロセッサが、各画素が遮断された絞りの数を考慮に入れて位相情報を回復させる、請求項13記載の装置。

Claims (8)

  1. 波を再生するための方法であって:
    出力面のところの試料を照射するステップと;
    既知の位相シフトをもつ異なる位相フィルタを該出力面又はその付近で適用することから回折パターンのそれぞれが生じる、数Nの該回折パターンの振幅分布を、回折面のところで測定するステップと;
    該回折パターンのそれぞれを逆フーリエ変換して、該出力面での対応する位相シフト後の波の推定値を生成するステップと;
    該変換された回折パターン及び該既知の位相シフトに基づいて、以前に測定されていない点での振幅及び位相を含めて、該回折面及び試料面での波動関数を推定するステップと;
    を含む、前記方法。
  2. 波動関数を推定する前記ステップが内挿を含む、請求項1記載の方法。
  3. 波動関数を推定する前記ステップが外挿を含む、請求項1記載の方法。
  4. 波を再生するための方法であって:
    出力面のところの試料を照射するステップと;
    異なるフィルタを該出力面又はその付近で適用することから回折パターンのそれぞれが生じる、数Nの該回折パターンの振幅分布を、回折面のところで測定するステップと;
    該回折パターンのそれぞれを逆フーリエ変換して、該出力面での対応する波の推定値を生成するステップと;
    該変換された回折パターン及び該フィルタの既知の特性に基づいて、以前に測定されていない点での振幅及び位相を含めて、該回折面及び試料面での波動関数を推定するステップと;
    を含む、前記方法。
  5. 前記フィルタが、空間的に分布した既知の穴を有する穴あきフィルタである、請求項4記載の方法。
  6. 前記穴が様々なサイズである、請求項5記載の方法。
  7. 前記フィルタの少なくともいくつかが穴あきフィルタであり、かつ他のフィルタが位相フィルタである、請求項4記載の方法。
  8. 波を再生するための装置であって:
    電磁放射の供給源と;
    出力面のところに配置され、かつ該供給源により照射される試料と;
    該出力面と共役な関係を有する回折面のところに配置され、該回折面における第1組の点での該電磁放射の波の振幅を測定する検出器と;
    該回折面において、該第1組の点とは少なくともいくつかが異なる第2組の点で、該波の振幅及び位相を推定するプロセッサと;
    を備える、前記装置。
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