JP2011507532A - 高収率でイソブタノールを産生する酵母生物 - Google Patents

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Abstract

イソブタノールを製造する方法が開示されている。一実施形態では、この方法は、少なくとも1つの外来遺伝子を含有するイソブタノール産生経路で形質転換された微生物を提供する工程を含む。微生物は、理論収率の少なくとも10パーセントの収率で炭素源からイソブタノールを産生するように選択される。この方法は、イソブタノールが産生されるまで、炭素源を提供する供給原料を含有する培地中で微生物を培養する工程を含む。この方法は、イソブタノールを回収する工程を含む。一実施形態では、微生物はクラブトリー陰性表現型を有する酵母である。別の実施形態では、微生物は、クラブトリー陽性表現型を有する酵母微生物である。イソブタノールを産生する微生物が開示されている。一実施形態では、微生物は、少なくとも1つの外来遺伝子を含有するイソブタノール産生経路を含み、理論収率の少なくとも10パーセントの収率で、炭素源から回収可能な量のイソブタノールを産生するように選択される。

Description

関連出願の相互参照
[0001] 本願は、2007年12月23日に出願された米国仮出願第61/016,483号の優先権を主張する。したがって、本願は、上記に参照した出願のすべての対象物を、そのような対象物が本明細書と相反さない程度に、その全体として参照により組み込む。
[0002] 代謝的に操作された微生物、およびそのような生物を作出する方法が提供される。適当な基質を、代謝的に操作された微生物、およびこの微生物に由来する酵素調剤と接触させることによって、生物燃料である代謝産物を製造する方法も提供される。
[0003] 生物燃料は、20世紀初頭に及ぶ長い歴史を有する。1900年の早期に、Rudolf Dieselは、フランスのパリにおける世界博覧会で、ラッカセイ油で動作するエンジンを実証した。その後すぐに、Henry Fordは、トウモロコシから得たエタノールで動作するモデルTを実証した。供給量の増加、およびより低い費用での効率のために、1930年代および1940年代に、石油系燃料が生物燃料に取って代わった。
[0004] 米国の石油生産の減少と結びついた1970年代の市場変動により、原油価格が高騰し、生物燃料への関心が再び取り上げられた。現在、政策立案者、産業プランナー、認識している民間人、金融界を含めた多くの利益団体が、石油系燃料をバイオマス由来生物燃料に置き換えることに興味を持っている。生物燃料を開発することについての主な動機は、経済的、政治的、および環境的な性質のものである。
[0005] 1つは「ピークオイル」、すなわち、原油の消費速度が供給速度を超える時点の脅威であり、したがって、燃料コストが著しく増加し、代替燃料に対する要求が増大する。さらに、中東および他のオイルに富む領域における不安定性は、国内で生産される生物燃料の要求を増大させた。また、二酸化炭素に関連した気候変動の可能性に関する環境への懸念は、重要な社会的および倫理的な原動力であり、これは、政府規制および政策、例えば、自動車からの二酸化炭素放出に対する上限の規定、二酸化炭素放出に対する税、および生物燃料の使用に対する税制上の優遇措置などをもたらし始めている。
[0006] エタノールは、現在、最も豊富な、発酵生産される燃料であるが、ガソリンと比較される場合、いくつかの欠点を有する。これに比べて、ブタノールは、燃料として、エタノールに対していくつかの利点を有する。ブタノールは、エタノールと同じ供給原料から製造することができるが、エタノールと異なり、これは、ガソリンと任意の比で互換性であり、改良することなく、現存する燃焼エンジンにおいて、純粋な燃料として使用することもできる。エタノールと異なり、ブタノールは、水を吸収せず、したがって、現存する石油化学のインフラ内に貯蔵し、流通させることができる。ガソリンのエネルギー含量に近い、そのより高いエネルギー含量のために、燃料経済性(ガロン当たりのマイル)は、エタノールの燃料経済性より良好である。また、ブタノール−ガソリンブレンドは、エタノール−ガソリンブレンドより蒸気圧が低く、これは、蒸発による炭化水素放出を低減することにおいて重要である。
[0007] イソブタノールは、ブタノールと同じ利点を有し、その分岐炭素鎖のために、より高いオクタン価を有するという追加の利点を有する。イソブタノールは、商品化学物質としても有用であり、MTBEの前駆体でもある。イソブタノールは、異種の代謝経路を発現する微生物において生産することができるが、これらの微生物は、その固有の低い性能特性のために商業的に妥当ではなく、この特性には、低い生産性、低い力価、低い収率、および発酵過程の間の酸素の必要が含まれる。
[0008] 一実施形態では、イソブタノールを製造する方法が提供される。この方法は、イソブタノール産生代謝経路を含む組換え微生物であって、理論収率の少なくとも5パーセントの収率で炭素源からイソブタノールを産生するように選択される組換え微生物を提供する工程を含む。この方法は、回収可能な量のイソブタノールが産生されるまで、炭素源を提供する供給原料を含有する培地中で微生物を培養する工程、およびイソブタノールを回収する工程をさらに含む。いくつかの態様では、微生物は、理論収率の約10パーセント、20パーセントまたは50パーセントを超える収率でイソブタノールを産生するように選択される。
[0009] 別の実施形態では、本明細書に提供される方法は、親微生物と比較した場合、低減されたピルビン酸脱炭酸酵素(PDC)活性を含むように操作された組換え微生物を含む。一態様では、組換え微生物は、少なくとも1つのピルビン酸脱炭酸酵素(PDC)遺伝子の突然変異を含み、前記遺伝子によってコードされるポリペプチドのピルビン酸脱炭酸酵素活性の低減を生じる。別の態様では、組換え微生物は、ピルビン酸脱炭酸酵素(PDC)遺伝子の部分的な欠失を含み、この遺伝子によってコードされるポリペプチドのピルビン酸脱炭酸酵素活性の低減を生じる。別の態様では、組換え微生物は、ピルビン酸脱炭酸酵素(PDC)遺伝子の完全な欠失を含み、この遺伝子によってコードされるポリペプチドのピルビン酸脱炭酸酵素活性の低減を生じる。さらに別の態様では、組換え微生物は、少なくとも1つのピルビン酸脱炭酸酵素(PDC)遺伝子に関連した調節領域の改変を含み、前記遺伝子によってコードされるポリペプチドのピルビン酸脱炭酸酵素活性の低減を生じる。別の態様では、組換え微生物は、転写制御因子の改変を含み、ピルビン酸脱炭酸酵素遺伝子転写の低減を生じる。別の態様では、組換え微生物は、すべてのピルビン酸脱炭酸酵素(PDC)遺伝子において突然変異を含み、この遺伝子によってコードされるポリペプチドのピルビン酸脱炭酸酵素活性の低減を生じる。
[0010] 別の実施形態では、本明細書に提供される方法は、ピルビン酸をイソブタノールに変換するための異種の代謝経路を発現するようにさらに操作された組換え微生物を利用する。一態様では、組換え微生物は、ピルビン酸をイソブタノールに変換するための天然代謝経路の活性を増大させるようにさらに操作されている。別の態様では、組換え微生物は、異種遺伝子によってコードされる少なくとも1つの酵素、および天然遺伝子によってコードされる少なくとも1つの酵素を含むようにさらに操作されている。さらに別の態様では、組換え微生物は、ピルビン酸をイソブタノールに変換するための天然代謝経路を含むように選択される。
[0011] 一実施形態では、本明細書に提供される方法は、サッカロミセス・クラデ(Saccharomyces clade)の酵母組換え微生物を含む。
[0012] 別の実施形態では、本明細書に提供される方法は、サッカロミセス・センスストリクト(Saccharomyces sensu stricto)酵母微生物である組換え生物を含む。一態様では、サッカロミセス・センスストリクト酵母微生物は、以下の種、すなわちS.セレビシエ(S. cerevisiae)、S.セレビシエ、S.クドリアブゼビイ(S. kudriavzevii)、S.ミカタエ(S. mikatae)、S.バヤヌス(S. bayanus)、S.ウバルム(S. uvarum)、S.カロカニス(S. carocanis)、またはこれらのハイブリッドのうちの1つから選択される。
[0013] 別の実施形態では、本明細書に提供される方法は、クラブトリー陽性組換え酵母微生物を含む。一態様では、クラブトリー陽性酵母微生物は、サッカロミセス属、クルイベロミセス(Kluyveromyces)属、ジゴサッカロミセス(Zygosaccharomyces)属、デバリオミセス(Debaryomyces)属、ピキア(Pichia)属、またはシゾサッカロミセス(Schizosaccharomyces)属のうちの1つから選択される。他の態様では、クラブトリー陽性酵母微生物は、サッカロミセス・セレビシエ、サッカロミセス・ウバルム、サッカロミセス・バヤヌス、サッカロミセス・パラドキサス(Saccharomyces paradoxus)、サッカロミセス・カステリ(Saccharomyces castelli)、サッカロミセス・クルイベリ(Saccharomyces kluyveri)、クルイベロミセス・サーモトレランス(Kluyveromyces thermotolerans)、カンジダ・グラブラタ(Candida glabrata)、Z.バイリ(Z. bailli)、Z.ロウキシイ(Z. rouxii)、デバリオミセス・ハンセニイ(Debaryomyces hansenii)、ピキア・パストリウス(Pichia pastorius)、シゾサッカロミセス・ポンベ(Schizosaccharomyces pombe)、またはサッカロミセス・ウバルムから選択される。
[0014] 別の実施形態では、本明細書に提供される方法は、WGD(全ゲノム重複)後酵母微生物を含む。一態様では、WGD後酵母は、サッカロミセス属またはカンジダ属のうちの1つから選択される。別の態様では、WGD後酵母は、サッカロミセス・セレビシエ、サッカロミセス・ウバルム、サッカロミセス・バヤヌス、サッカロミセス・パラドキサス、サッカロミセス・カステリ、およびカンジダ・グラブラタから選択される。
[0015] 別の実施形態では、イソブタノールを製造する方法が提供される。この方法は、イソブタノール産生代謝経路を含み、炭素源からイソブタノールを産生するように選択される、組換え微生物を提供する工程を含む。この組換え体は、親微生物と比較した場合、ピルビン酸脱炭酸酵素(PDC)活性の低減をさらに含む。この方法は、回収可能な量のイソブタノールが産生されるまで、炭素源を提供する供給原料を含有する培地中で微生物を培養する工程、およびイソブタノールを回収する工程をさらに含む。いくつかの態様では、微生物は、サッカロミセス・クラデの酵母である。他の態様では、微生物は、PDC活性の変化を伴うことなく、親微生物の増殖速度と実質的に等価な増殖速度で、C2化合物とは無関係に、グルコース上で増殖するように操作されている。一態様では、微生物は、サッカロミセス・センスストリクト酵母である。他の態様では、微生物は、PDC活性の変化を伴うことなく、親微生物の増殖速度と実質的に等価な増殖速度で、C2化合物とは無関係に、グルコース上で増殖するように操作されている。
[0016] 他の態様では、微生物は、クルイベロミセス属、ピキア属、ハンゼヌラ(Hansenula)属、またはカンジダ属のうちの1つから選択されるクラブトリー陰性酵母微生物である。他の態様では、クラブトリー陰性酵母微生物は、クルイベロミセス・ラクチス(Kluyveromyces lactis)、クルイベロミセス・マルキシアヌス(Kluyveromyces marxianus)、ピキア・アノマラ(Pichia anomala)、ピキア・スチピチス(Pichia stipitis)、ハネンスラ・アノマラ(Hanensula anomala)、カンジダ・ウチリス(Candida utilis)、またはクルイベロミセス・ワルチイ(Kluyveromyces waltii)から選択される。他の態様では、クラブトリー陰性酵母微生物は、トリコスポロン・プルランス(Tricosporon pullulans)、ロドトルラ・リグノフィラ(Rhodotorula lignophila)、またはミキソチマ・バンデルワルチイ(Myxozyma vanderwaltii)、カンジダ・エタノリカ(Candida ethanolica)、デバロミセス・カルソニイ(Debaromyces carsonii)、ピキア・カスチラエ(Pichia castillae)から選択される。
[0017] 別の態様では、微生物は、クラブトリー陽性酵母微生物である。いくつかの態様では、微生物は、PDC活性の変化を伴うことなく、親微生物の増殖速度と実質的に等価な増殖速度で、C2化合物とは無関係に、グルコース上で増殖するように操作されている。クラブトリー陽性酵母微生物は、サッカロミセス属、クルイベロミセス属、ジゴサッカロミセス属、デバリオミセス属、ピキア属、またはシゾサッカロミセス属のうちの1つから選択される。他の態様では、クラブトリー陽性酵母微生物は、サッカロミセス・セレビシエ、サッカロミセス・ウバルム、サッカロミセス・バヤヌス、サッカロミセス・パラドキサス、サッカロミセス・カステリ、サッカロミセス・クルイベリ、クルイベロミセス・サーモトレランス、カンジダ・グラブラタ、Z.バイリ、Z.ロウキシイ、デバリオミセス・ハンセニイ、ピキア・パストリウス、シゾサッカロミセス・ポンベ、またはサッカロミセス・ウバルムから選択される。他の態様では、微生物は、PDC活性の変化を伴うことなく、親微生物の増殖速度と実質的に等価な増殖速度で、C2化合物とは無関係に、グルコース上で増殖するように操作されている。
[0018] 他の態様では、微生物は、サッカロミセス属またはカンジダ属のうちの1つから選択されるWGD(全ゲノム重複)後酵母である。他の態様では、WGD後酵母は、サッカロミセス・セレビシエ、サッカロミセス・ウバルム、サッカロミセス・バヤヌス、サッカロミセス・パラドキサス、サッカロミセス・カステリ、およびカンジダ・グラブラタから選択される。他の態様では、微生物は、PDC活性の変化を伴うことなく、親微生物の増殖速度と実質的に等価な増殖速度で、C2化合物とは無関係に、グルコース上で増殖するように操作されている。
[0019] 別の態様では、微生物は、サッカロミセス属、クルイベロミセス属、カンジダ属、ピキア属、デバリオミセス属、ハンゼヌラ属、パキソレン(Pachysolen)属、ヤロウィア(Yarrowia)属、またはシゾサッカロミセス属のうちの1つから選択されるWGD(全ゲノム重複)前酵母である。他の態様では、WGD前酵母は、サッカロミセス・クルイベリ、クルイベロミセス・サーモトレランス、クルイベロミセス・マルキシアヌス、クルイベロミセス・ワルチイ、クルイベロミセス・ラクチス、カンジダ・トロピカリス(Candida tropicalis)、ピキア・パストリス(Pichia pastoris)、ピキア・アノマラ、ピキア・スチピチス、デバリオミセス・ハンセニイ、H.アノマラ、パキソレン・タンノフィルス(Pachysolen tannophills)、ヤロウィア・リポリチカ(Yarrowia lipolytica)、およびシゾサッカロミセス・ポンブ(Schizosaccharomyces pomb)から選択される。
[0020] 他の態様では、本明細書に提供される方法は、トリコスポロン属、ロドトルラ属、またはミキソチマ属のうちの1つから選択される非発酵酵母微生物である微生物を含む。
[0021] 別の実施形態では、組換え微生物が提供される。この微生物は、イソブタノール産生代謝経路を含み、炭素源からイソブタノールを産生するように選択される。この微生物は、親の微生物と比較した場合、ピルビン酸脱炭酸酵素(PDC)活性の低減も含む。様々な態様では、本明細書に提供される微生物として、クラブトリー陰性酵母微生物、サッカロミセス・クラデの微生物、サッカロミセス・センスストリクト酵母微生物、クラブトリー陽性酵母微生物、WGD(全ゲノム重複)後酵母微生物、WGD(全ゲノム重複)前酵母微生物、および非発酵酵母微生物が挙げられる。
[0022] いくつかの実施形態では、本明細書に提供される微生物は、PDC活性の変化を伴うことなく、親微生物の増殖速度と実質的に等価な増殖速度で、C2化合物とは無関係に、グルコース上で増殖するように操作されている。
[0023] 本発明の例示的な実施形態は、図面において例示される。
[0024]図1は、イソブタノール経路の例示的な実施形態を例示する図である。 [0025]図2Aは、ピルビン酸をイソブタノールに変換するイソブタノール経路、ならびにピルビン酸をアセトアルデヒドおよび二酸化炭素に変換するPDC経路と一緒に、解糖によるピルビン酸の産生を例示する図である。 [0026]図2Bは、追加のピルビン酸を受け取ることによって、PDC経路の欠失または低減のために、高収率でイソブタノールを形成するイソブタノール経路を例示する図である。 [0027]図EX4−1は、S.セレビシエPdcマイナス菌株GEVO1584のケモスタット展開(chemostat evolution)の間の、炭素源組成物および経時的な給餌速度(feeding rate)を例示するグラフである。このグラフは、480時間の期間にわたって、酢酸がどのように0.375g/Lから0g/Lに減少したかを示す。これは、全給餌速度も示す。より高い給餌速度は、増殖速度がより高いことを意味した。ケモスタットは、培養物200mlを含んでいたので、希釈率は、200mlで給餌速度を除することによって計算することができる。 [0028]図EX4−2は、親菌株であるGEVO1187と比較した、YPDにおける、進化したPdcマイナス突然変異体菌株GEVO1863の増殖を例示するグラフである。 [0029]図EX4−3は、進化したPCD突然変異体であるGEVO1863は、親菌株GEVO1187と異なって、YPD培地中でエタノールを産生しないことを例示するグラフである。 [0030]図EX1−1は、プラスミドpGV1503の模式的なマップを例示する図である。 [0031]図EX1−2は、プラスミドpGV1537の模式的なマップを例示する図である。 [0032]図EX5−1は、プラスミドpGV1429の模式的なマップを例示する図である。 [0033]図EX5−2は、プラスミドpGV1430の模式的なマップを例示する図である。 [0034]図EX5−3は、プラスミドpGV1431の模式的なマップを例示する図である。 [0035]図EX5−4は、プラスミドpGV1472の模式的なマップを例示する図である。 [0036]図EX5−5は、プラスミドpGV1473の模式的なマップを例示する図である。 [0037]図EX5−6は、プラスミドpGV1475の模式的なマップを例示する図である。 [0038]図EX6−1は、プラスミドpGV1254の模式的なマップを例示する図である。 [0039]図EX6−2は、プラスミドpGV1295の模式的なマップを例示する図である。 [0040]図EX6−3は、プラスミドpGV1390の模式的なマップを例示する図である。 [0041]図EX6−4は、プラスミドpGV1438の模式的なマップを例示する図である。 [0042]図EX7−1は、プラスミドpGV1590の模式的なマップを例示する図である。 [0043]図EX7−2は、プラスミドpGV1726の模式的なマップを例示する図である。 [0044]図EX7−3は、プラスミドpGV1727の模式的なマップを例示する図である。 [0045]図EX8−1は、プラスミドpGV1056の模式的なマップを例示する図である。 [0046]図EX8−2は、プラスミドpGV1062の模式的なマップを例示する図である。 [0047]図EX8−3は、プラスミドpGV1102の模式的なマップを例示する図である。 [0048]図EX8−4は、プラスミドpGV1103の模式的なマップを例示する図である。 [0049]図EX8−5は、プラスミドpGV1104の模式的なマップを例示する図である。 [0050]図EX8−6は、プラスミドpGV1106の模式的なマップを例示する図である。 [0051]図EX8−7は、プラスミドpGV1649の模式的なマップを例示する図である。 [0052]図EX8−8は、プラスミドpGV1664の模式的なマップを例示する図である。 [0053]図EX8−9は、プラスミドpGV1672の模式的なマップを例示する図である。 [0054]図EX8−10は、プラスミドpGV1673の模式的なマップを例示する図である。 [0055]図EX8−11は、プラスミドpGV1677の模式的なマップを例示する図である。 [0056]図EX8−12は、プラスミドpGV1679の模式的なマップを例示する図である。 [0057]図EX8−13sは、プラスミドpGV1683の模式的なマップを例示する図である。
[0058] 本明細書で使用する場合、および添付の特許請求の範囲において、単数形の「1つの(a)」、「および(and)」、および「その(the)」は、脈絡により明らかに別段に指示されていない限り、複数の指示対象を含む。したがって、例えば、「1つのポリヌクレオチド(a nucleotide)」への言及は、こうしたポリヌクレオチドの複数を含み、「その微生物(the microorganism)」への言及は、1種または複数の微生物などへの言及を含む。
[0059] 別段の定義のない限り、本明細書で使用されるすべての技術的および科学的用語は、本開示が属する技術分野の当業者に一般に理解されるのと同じ意味を有する。本明細書に記載されるものと同様または等価な方法および物質を、開示される方法および組成物の実践において使用することができるが、例示的な方法、デバイス、および物質が本明細書に記載されている。
[0060] 上記および本文全体にわたって論じられる任意の刊行物は、本願の出願日前に単にこれらを開示するために提供される。本明細書のいかなる部分も、本発明者らが、優先する開示により、そのような開示に先行する権利を与えられないという承認として解釈されるべきではない。
[0061] 用語「微生物」には、古細菌ドメイン、細菌ドメイン、および真核生物ドメインに由来する原核微生物種および真核微生物種が含まれ、後者には、酵母および糸状菌、原虫、藻類、またはより高度な原生生物が含まれる。用語「微生物細胞」および「微生物(microbe)」は、用語微生物(microorganism)と互換的に使用される。
[0062] 「細菌」または「真正細菌」は、原核生物のドメインを指す。細菌には、以下のような少なくとも11の異なる群が含まれる:(1)2つの主要な亜門、すなわち(1)高G+C群(放線菌類(Actinomycetes)、マイコバクテリア(Mycobacteria)、ミクロコッカス(Micrococcus)、など)(2)低G+C群(バチルス(Bacillus)、クロストリジア(Clostridia)、ラクトバシラス(Lactobacillus)、ブドウ球菌(Staphylococci)、連鎖球菌(Streptococci)、マイコプラズマ(Mycoplasma))が存在するグラム陽性(グラム+)細菌;(2)プロテオバクテリア(proteobacteria)、例えば、紅色光合成+非光合成グラム陰性菌(ほとんどの「一般的な」グラム陰性菌を含む);(3)ラン藻類(Cyanobacteria)、例えば、酸素発生型光合成生物;(4)スピロヘータ(Spirochete)および関連種;(5)プランクトミセス(Planctomyces);(6)バクテロイデス(Bacteroides)、フラボバクテリア(Flavobacteria);(7)クラミジア(Chlamydia);(8)緑色硫黄細菌;(9)緑色非硫黄細菌(嫌気性光合成生物も);(10)放射線抵抗性ミクロコッカスおよび類縁体;(11)サーモトガ(Thermotoga)およびサーモシホ(Thermosipho)好熱菌。
[0063] 「グラム陰性菌」には、球菌、非腸内桿菌、および腸内桿菌が含まれる。グラム陰性菌の属として、例えば、ナイセリア(Neisseria)、スピリルム(Spirillum)、パスツレラ(Pasteurella)、ブルセラ(Brucella)、エルシニア(Yersinia)、フランシセラ(Francisella)、ヘモフィルス(Haemophilus)、ボルデテラ(Bordetella)、エシェリキア(Escherichia)、サルモネラ(Salmonella)、シゲラ(Shigella)、クレブシエラ(Klebsiella)、プロテウス(Proteus)、ビブリオ(Vibrio)、シュードモナス(Pseudomonas)、バクテロイデス(Bacteroides)、アセトバクター(Acetobacter)、アエロバクター(Aerobacter)、アグロバクテリウム(Agrobacterium)、アゾトバクター(Azotobacter)、スピリラ(Spirilla)、セラチア(Serratia)、ビブリオ、リゾビウム(Rhizobium)、クラミジア、リケッチア(Rickettsia)、トレポネーマ(Treponema)、およびフソバクテリウム(Fusobacterium)が挙げられる。
[0064] 「グラム陽性菌」には、球菌、非胞子形成桿菌、および胞子形成桿菌が含まれる。グラム陽性菌の属として、例えば、アクチノミセス(Actinomyces)、バチルス、クロストリジウム、コリネバクテリウム(Corynebacterium)、エリジペロスリックス(Erysipelothrix)、ラクトバシラス、リステリア(Listeria)、マイコバクテリウム(Mycobacterium)、ミクソコッカス(Myxococcus)、ノカルジア(Nocardia)、ブドウ球菌、連鎖球菌、およびストレプトミセス(Streptomyces)が挙げられる。
[0065] 用語「属」は、Taxonomic Outline of Bacteria and Archaea(Garrity, G.M., Lilburn, T.G., Cole, J.R., Harrison, SH., Euzeby, J., and Tindall, B.J. (2007) The Taxonomic Outline of Bacteria and Archaea. TOBA Release 7.7, March 2007. Michigan State University Board of Trustees. [http://www.taxonomicoutline.org/])による関連種の分類群として定義される。
[0066] 用語「種」は、97%を超える16SリボソームRNA配列相同性、および70%を超えるゲノムハイブリダイゼーションを有する密接に関連した生物のコレクションとして定義され、すべての他の生物と十分に異なる結果、異なる単位として認識される。
[0067] 用語「組換え微生物」および「組換え宿主細胞」は、本明細書で互換的に使用され、内因性のポリヌクレオチドを発現もしくは過剰発現し、またはベクター中に含められるものなどの異種のポリヌクレオチドを発現するように遺伝的に改変された微生物、あるいは内在性遺伝子の発現の変化を有する微生物を指す。「変化」とは、遺伝子の発現、または1つもしくは複数のポリペプチドもしくはポリペプチドサブユニットをコードするRNA分子もしくは等価なRNA分子のレベル、または1つもしくは複数のポリペプチドもしくはポリペプチドサブユニットの活性が上方制御または下方制御され、その結果、発現、レベル、または活性が、変化のない状態で観察されるものより大きい、または小さいことを意味する。例えば、用語「変化させる」は、「阻害する」を意味することができるが、単語「変化させる」の使用は、この定義に限定されない。
[0068] 遺伝子配列に関して、用語「発現」は、遺伝子の転写、および適切な場合、得られたmRNA転写物のタンパク質への翻訳を指す。したがって、脈絡から明らかとなるように、タンパク質の発現は、オープンリーディングフレーム配列の転写および翻訳から生じる。宿主細胞における所望の産物の発現レベルは、細胞中に存在する対応するmRNAの量、または選択された配列によってコードされる所望の産物の量に基づいて求めることができる。例えば、選択された配列から転写されたmRNAは、PCRまたはノーザンハイブリダイゼーションによって定量化することができる(Sambrook et al., Molecular Cloning: A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Laboratory Press (1989)参照)。選択された配列によってコードされるタンパク質は、様々な方法、例えば、タンパク質に反応して認識し、結合する抗体を使用して、ELISAによって、タンパク質の生物活性をアッセイすることによって、またはそのような活性に依存しないアッセイ、例えば、ウエスタンブロッティングもしくはラジオイムノアッセイなどを使用することによって定量化することができる。Sambrook et al.,1989、上記を参照。ポリヌクレオチドは、一般に、所望の代謝産物を産生するための代謝経路に関与する標的酵素をコードする。用語「組換え微生物」および「組換え宿主細胞」は、特定の組換え微生物を指すだけでなく、そのような微生物の子孫または潜在的な子孫も指すと理解される。突然変異または環境的な影響のために、世代を継ぐうちにある特定の改変が起こり得るので、そのような子孫は、実際には親細胞と同一でない場合があるが、本明細書で使用する場合、この用語の範囲内に依然として含まれる。
[0069] 用語「野生型の微生物」は、自然において発生する細胞、すなわち、遺伝的に改変されていない細胞を記述する。野生型の微生物は、第1の標的酵素を発現または過剰発現するように遺伝的に改変することができる。この微生物は、第2の標的酵素を発現または過剰発現するように改変された微生物の世代における親微生物として作用することができる。さらには、第1および第2の標的酵素を発現または過剰発現するように改変された微生物は、第3の標的酵素を発現または過剰発現するように改変することができる。
[0070] したがって、「親微生物」は、連続的、遺伝的改変事象のための参照細胞として機能する。それぞれの改変事象は、参照細胞中に核酸分子を導入することによって実現することができる。この導入により、標的酵素の発現または過剰発現が促進される。用語「促進する」は、例えば、親微生物におけるプロモーター配列の遺伝的改変による、標的酵素をコードする内因性ポリヌクレオチドの活性化を包含すると理解される。用語「促進する」は、親微生物中に、標的酵素をコードする異種のポリヌクレオチドを導入することを包含することがさらに理解される。
[0071] 用語「操作する」は、微生物において検出可能な変化を生じる、微生物の任意の処置を指し、この処置は、それだけに限らないが、微生物に対して異種のポリヌクレオチドおよび/またはポリペプチドを挿入すること、ならびに微生物に固有のポリヌクレオチドおよび/またはポリペプチドを突然変異させることを含む。用語「代謝的に操作された」または「代謝的な操作」は、所望の代謝産物の産生のための、生合成遺伝子、オペロンに関連する遺伝子、およびそのようなポリヌクレオチドの制御要素の合理的な経路設計およびアセンブリーを伴う。「代謝的に操作された」は、所望の経路に至る中間体と競合する競合代謝経路の低下、破壊またはノックアウトを含めた遺伝子操作および適切な培養条件を使用した、転写、翻訳、タンパク質の安定性、およびタンパク質の機能性の調節および最適化による、代謝フラックスの最適化をさらに含むことができる。
[0072] 用語「代謝的に操作された微生物」および「改変された微生物」は、本明細書で互換的に使用され、特定の対象細胞を指すだけでなく、そのような細胞の子孫または潜在的な子孫も指す。突然変異または環境的な影響のために、世代を継ぐうちにある特定の改変が起こり得るので、そのような子孫は、実際には親細胞と同一でない場合があるが、本明細書で使用する場合、この用語の範囲内に依然として含まれる。
[0073] 用語「突然変異」は、本明細書で使用する場合、核酸またはポリペプチドの変化を生じる、核酸および/またはポリペプチドの任意の改変を指す。突然変異には、例えば、ポリヌクレオチド中の1個または複数の残基の点突然変異、欠失、または挿入が含まれ、これには、遺伝子のタンパク質コード領域内で生じる変化、ならびにそれだけに限らないが、制御配列またはプロモーター配列などの、タンパク質コード配列の外側領域における変化が含まれる。遺伝子変化は、任意の型の突然変異であってもよい。例えば、突然変異は、遺伝子の一部またはすべての点突然変異、フレームシフト突然変異、挿入、または欠失を構成することができる。さらに、改変された微生物のいくつかの実施形態では、微生物ゲノムの一部は、異種のポリヌクレオチドと置換されている。いくつかの実施形態では、突然変異は天然に存在する。他の実施形態では、突然変異は、人為淘汰圧力の結果である。さらに他の実施形態では、微生物ゲノムにおける突然変異は、遺伝子操作の結果である。
[0074] 用語「生合成経路」は、「代謝経路」とも呼ばれ、1つの化学種を別の化学種に変換するための一連の同化または異化の生化学反応を指す。遺伝子産物が、並行して、または連続して、同じ基質上で作用し、同じ産物を産生するか、または同じ基質と代謝産物最終生成物との間の代謝中間体(すなわち、代謝産物)上で作用し、もしくはこの代謝中間体を産生する場合、この遺伝子産物は同じ「代謝経路」に属する。
[0075] 用語「異種の」は、分子、特に、酵素およびポリヌクレオチドを参照して本明細書で使用する場合、分子が由来した生物、または自然において見出される生物以外の生物において発現される分子を示し、発現レベルとは無関係であり、この発現レベルは、天然の微生物における分子の発現レベルより低く、等しく、または高くなり得る。
[0076] 一方、用語「天然の」または「内因性の」は、分子、特に、酵素およびポリヌクレオチドを参照して本明細書で使用する場合、分子が由来した生物、または自然において見出される生物において発現される分子を示し、発現レベルとは無関係であり、この発現レベルは、天然の微生物における分子の発現レベルより低く、等しく、または高くなり得る。天然の酵素またはポリヌクレオチドの発現は、組換え微生物において改変することができることが理解される。
[0077] 用語「供給原料」は、微生物または発酵過程に供給される原料、または原料の混合物として定義され、これから他の産物を作製することができる。例えば、バイオマスまたはバイオマスに由来する炭素化合物などの炭素源は、発酵過程において生物燃料を産生する微生物のための供給原料である。しかし、供給原料は、炭素源以外の栄養分を含有することができる。
[0078] 用語「基質」または「適当な基質」は、酵素の作用によって別の化合物に変換され、または変換されることを意味する任意の物質または化合物を指す。この用語は、1種の化合物だけではなく、化合物の組合せ、例えば、少なくとも1つの基質、またはその誘導体を含有する溶液、混合物および他の物質なども含む。さらに、用語「基質」は、任意のバイオマス由来の糖などの出発材料として使用するのに適した炭素源を提供する化合物だけでなく、本明細書に記載されるような代謝的に操作された微生物と関連する経路において使用される中間体および最終生成物代謝産物も包含する。
[0079] 用語「発酵」または「発酵過程」は、微生物が、供給原料および栄養分などの原料を含有する培地中で培養される過程として定義され、微生物は、供給原料などの原料を産物に変換する。
[0080] 用語「細胞乾燥重量(cell dry weight)」すなわち「CDW」は、微生物中に含まれる水が、当業者に既知の方法を使用して除去された後の微生物の重量を指す。CDWはグラムで報告される。
[0081] 用語「生物燃料」は、燃料内に含まれるすべての炭素がバイオマスに由来し、微生物によって少なくとも部分的に燃料に生化学的に変換される燃料を指す。生物燃料は、1炭素原子当たり0.5未満の酸素原子を含有する非エタノール化合物としてさらに定義される。生物燃料はそれ自体で燃料であるが、石油系燃料とブレンドすることによって、燃料を生成することができる。生物燃料は、石油化学的に得られたガソリン、ディーゼル燃料、またはジェット燃料の代替品として使用することができる。
[0082] 用語「体積生産性」または「生産速度」は、時間の単位当たり、媒質の体積当たり形成される産物の量として定義される。体積生産性は、1時間当たり、1リットル当たりのグラム(g/L/h)で報告される。
[0083] 用語「収率」は、原料の単位重量当たりに得られる産物の量として定義され、基質1g当たりの産物のg(g/g)として表すことができる。収率は、理論収率的収率の割合として表すこともできる。「理論収率的収率」は、産物を作製するのに使用される代謝経路の化学量論によって指示される、基質の所与の量当たり生成することができる産物の最大量として定義される。例えば、グルコースのイソブタノールへの1つの典型的な変換に対する理論収率的収率は、0.41g/gである。したがって、0.39g/gのグルコースからのイソブタノールの収率は、理論収率の95%、または95%の理論収率的収率と表される。
[0084] 用語「力価」は、溶液の強度、または溶液中の物質の濃度として定義される。例えば、発酵ブロス中の生物燃料の力価は、発酵ブロス1リットルの溶液中の生物燃料のg(g/L)として記述される。
[0085] 「通性嫌気性生物」または「通性嫌気性微生物」は、酸素の存在下または非存在下で増殖することができる生物として定義される。
[0086] 「絶対的嫌気性生物」または「絶対的嫌気性微生物」は、酸素の存在下で増殖することができず、任意の濃度の酸素の暴露に耐えられない生物として定義される。
[0087] 「嫌気性生物」または「嫌気性微生物」は、酸素の存在下で増殖することができない生物として定義される。
[0088] 「好気性条件」は、発酵培地中の酸素濃度が、最終電子受容体として使用するのに、好気性微生物または通性嫌気性微生物にとって十分に高い条件として定義される。
[0089] 対照的に、「嫌気性条件」は、発酵培地中の酸素濃度が、最終電子受容体として使用するのに微生物にとって低すぎる条件として定義される。嫌気性条件は、最終電子受容体として、微生物にとって酸素がもはや利用可能でなくなるまで、窒素などの不活性ガスを用いて発酵培地をスパージすることによって実現することができる。あるいは、嫌気性条件は、最終電子受容体として、微生物にとって酸素を利用できなくなるまで、微生物が発酵の利用可能な酸素を消費することによって実現することができる。
[0090] 「好気性代謝」は、酸素が最終電子受容体として使用されることによって、炭水化物から一般にATPの形態でエネルギーを生成する生化学的過程を指す。好気性代謝は、例えば、解糖およびTCAサイクルを介して起こり、1個のグルコース分子が、酸素の存在下で完全に代謝されて二酸化炭素になる。
[0091] 対照的に、「嫌気性代謝」は、酸素が、NADHに含まれる電子の最終的な受容体でない生化学的過程を指す。嫌気性代謝は、酸素以外の化合物が、最終電子受容体として役割を果たす嫌気性呼吸、およびNADHに由来する電子が、「発酵経路」を介して還元産物を生成するのに利用される基質レベルのリン酸化に分類することができる。
[0092] 「発酵経路」において、NAD(P)Hは、NAD(P)H中に担持される電子を生成した同じ代謝経路によって生成される分子にその電子を供与する。例えば、ある特定の酵母菌株の発酵経路の1つでは、解糖を介して生成されるNAD(P)Hは、ピルビン酸にその電子を移し、エタノールを生じる。発酵経路は、嫌気性条件下で通常活性であるが、好気性条件下、NADHが、呼吸鎖を介して完全に酸化されない条件下でも起こり得る。例えば、ある特定のグルコース濃度の上で、クラブトリー陽性酵母は、好気性条件下で大量のエタノールを産生する。
[0093] 用語「副生物」は、生物燃料または生物燃料前駆体の製造に関係する望まれない生成物を意味する。副生物は、一般に廃棄物として処理され、製造過程にコストを加える。
[0094] 用語「非発酵酵母」は、NADHに由来する電子が、グルコースからエタノールおよびCOの産生などの発酵経路を介した還元産物を生成するのに利用される嫌気性代謝を実証することができない酵母種である。非発酵酵母は、「Durham管試験」(J.A. Barnett, R.W. Payne, and D. Yarrow. 2000. Yeasts Characteristics and Identification. 3rd edition. p. 28-29. Cambridge University Press, Cambridge, UK.)によって、またはエタノールおよびCOなどの発酵産生の産生をモニタリングすることによって同定することができる。
[0095] 用語「ポリヌクレオチド」は、用語「核酸」と互換的に本明細書で使用され、ヌクレオチド、ヌクレオシド、またはこれらの類似体を含めた2つ以上の単量体からなる有機ポリマーを指し、これらは、それだけに限らないが、任意の長さの一本鎖または二本鎖の、センスまたはアンチセンスデオキシリボ核酸(DNA)、および適切な場合、siRNAを含めた、任意の長さの一本鎖または二本鎖の、センスまたはアンチセンスリボ核酸(RNA)を含む。用語「ヌクレオチド」は、プリンまたはピリミジン塩基およびリン酸基に結合したリボースまたはデオキシリボース糖からなり、核酸の塩基構造単位である、任意のいくつかの化合物を指す。用語「ヌクレオシド」は、デオキシリボースまたはリボースと結合したプリンまたはピリミジン塩基からなり、特に核酸中に見出される化合物(グアノシンまたはアデノシン)を指す。用語「ヌクレオチド類似体」または「ヌクレオシド類似体」はそれぞれ、1つまたは複数の個々の原子が、異なる原子または異なる官能基で置換されたヌクレオチドまたはヌクレオシドを指す。したがって、用語ポリヌクレオチドは、任意の長さの核酸、DNA、RNA、これらの類似体および断片を含む。3つ以上のヌクレオチドのポリヌクレオチドは、ヌクレオチドオリゴマーまたはオリゴヌクレオチドとも呼ばれる。
[0096] 本明細書に記載されるポリヌクレオチドには、「遺伝子」が含まれ、本明細書に記載される核酸分子には、「ベクター」または「プラスミド」が含まれることが理解される。したがって、用語「遺伝子」は、「構造遺伝子」とも呼ばれ、1つまたは複数のタンパク質、または酵素のすべてまたは一部を構成する、アミノ酸の特定の配列をコードするポリヌクレオチドを指し、プロモーター配列などの制御(転写されていない)DNA配列を含むことができ、この配列は、例えば、遺伝子が発現される条件を決定する。遺伝子の転写された領域は、イントロン、5’−非翻訳領域(UTR)、および3’−UTR、ならびにコード配列を含めた非翻訳領域を含むことができる。
[0097] 用語「オペロン」は、共通のプロモーターから1個の転写単位として転写される2つ以上の遺伝子を指す。いくつかの実施形態では、オペロンを含む遺伝子は、隣接遺伝子である。オペロン全体の転写は、共通のプロモーターを改変することによって、改変する(すなわち、増大させる、減少させる、または排除する)ことができることが理解される。あるいは、オペロン中の任意の遺伝子または遺伝子の組合せは、コードされるポリペプチドの機能または活性が変更されるように改変することができる。改変は、コードされるポリペプチドの活性を増大させることができる。さらに、改変は、コードされるポリペプチドに新しい活性を与えることができる。例示的な新しい活性には、代替の基質の使用および/または代替の環境条件下で機能する能力が含まれる。
[0098] 「ベクター」は、核酸が、生物、細胞、または細胞成分間を伝搬かつ/または移動することができる任意の手段である。ベクターとして、ウイルス、バクテリオファージ、プロ−ウイルス、プラスミド、ファージミド、トランスポゾン、および人工の染色体、例えば、YAC(酵母人工染色体)、BAC(細菌性人工染色体)、およびPLAC(植物人工染色体)などが挙げられ、これは「エピソーム」であり、すなわち、自発的に複製し、宿主細胞の染色体に組み込むことができる。ベクターは、裸のRNAポリヌクレオチド、裸のDNAポリヌクレオチド、同じ鎖内にDNAおよびRNAの両方からなるポリヌクレオチド、ポリリシン結合DNAもしくはRNA、ペプチド結合DNAもしくはRNA、リポソーム結合DNAなどであってもよく、これは、本質的にエピソームではなく、またはベクターは、上記ポリヌクレオチドコンストラクトのうちの1つまたは複数を含む生物、例えば、アグロバクテリウムまたは細菌などとすることができる。
[0099] 「形質転換」は、ベクターが宿主細胞中に導入される過程を指す。形質転換(またはトランスダクション、またはトランスフェクション)は、化学物質形質転換(例えば、酢酸リチウム形質転換)、電気穿孔、マイクロインジェクション、微粒子銃(または粒子ボンバードメント媒介送達)、またはアグロバクテリウム媒介形質転換を含めたいくつかの手段のうちの任意の1つによって実現することができる。
[00100] 用語「酵素」は、本明細書で使用する場合、1つまたは複数の化学的または生化学的な反応を触媒または促進する任意の物質を指し、これは通常、完全または部分的にポリペプチドからなる酵素を含むが、ポリヌクレオチドを含む異なる分子からなる酵素を含むことができる。
[00101] 用語「タンパク質」または「ポリペプチド」は、本明細書で使用する場合、2つ以上のアミノ酸単量体および/またはその類似体からなる有機ポリマーを示す。本明細書で使用する場合、用語「アミノ酸」または「アミノ酸単量体」は、グリシンおよびDまたはLの両光学異性体を含めた任意の天然および/または合成アミノ酸を指す。用語「アミノ酸類似体」は、1つまたは複数の個々の原子が、異なる原子、または異なる官能基で置換されたアミノ酸を指す。したがって、用語ポリペプチドは、全長のタンパク質、およびペプチド、ならびにこれらの類似体および断片を含めた、任意の長さのアミノ酸ポリマーを含む。3つ以上のアミノ酸のポリペプチドは、タンパク質オリゴマーまたはオリゴペプチドとも呼ばれる。
[00102] 用語「相同体」は、第1のファミリーまたは種の元の酵素または遺伝子に関して使用され、第2のファミリーまたは種の異なる酵素または遺伝子を指し、これは、機能的、構造的、またはゲノム分析によって、第1のファミリーまたは種の元の酵素または遺伝子に対応する、第2のファミリーまたは種の酵素または遺伝子であると判定される。ほとんどの場合、相同体は、機能的、構造的、またはゲノム類似性を有することになる。酵素または遺伝子の相同体を、遺伝子プローブおよびPCRを使用して、容易にクローン化することができる技法が知られている。相同体としてのクローン化配列の素性は、機能的アッセイを使用して、および/または遺伝子のゲノムマッピングによって確認することができる。
[00103] タンパク質をコードする核酸配列が、第2のタンパク質をコードする核酸配列と同様の配列を有する場合、タンパク質は、第2のタンパク質に対して「相同性」を有し、または「相同性」である。あるいは、2つのタンパク質が、「同様の」アミノ酸配列を有する場合、タンパク質は、第2のタンパク質に対して相同性を有する。(したがって、用語「相同タンパク質」は、2つのタンパク質が、同様のアミノ酸配列を有することを意味するために定義される)。
[00104] 用語「類似体」または「類似の」は、互いに機能のみで関係し、共通の系統に由来せず、共通の祖先配列を共有しない核酸配列もしくはタンパク質配列、またはタンパク質構造を指す。類似体は、配列が異なる場合があるが、収束進化のために同様の構造を共有することができる。例えば、酵素が、基質を産物に変換する同じ反応を触媒し、配列において無関係であり、2つの酵素が、構造において関連しているかどうかに関係ない場合、2つの酵素は類似体であり、または類似している。
一般の微生物
[00105] クロストリジウム・アセトブチリクム(Clostridium acetobutylicum)などの1−ブタノールの天然産生株が知られているが、これらの生物は、発酵の間に副生成物、例えば、アセトン、エタノール、および酪酸なども産生する。さらに、これらの微生物は、S.セレビシエまたは大腸菌(E. coli)などのより一般に使用される産生宿主より、相対的に処置が困難であり、著しく少ないツールが利用可能である。さらに、これらの天然産生株の生理機能および代謝的調節は、それほどよく理解されておらず、高効率の産生に向けた急速な進展を妨害している。さらに、工業的に妥当な量でグルコースをイソブタノールに代謝することできる天然微生物はまったく同定されていない。
[00106] サッカロミセス・セレビシエを含めた様々な酵母種によるイソブタノールおよび他のフーゼルアルコールの産生は、アルコール飲料の酒造家に特別興味を持たれており、この酒造家にとってフーゼルアルコールは望ましくないオフノートを構成することが多い。野生型酵母におけるイソブタノールの産生は、12〜219mg/Lのイソブタノールが生成された、ワイン醸造からのグレープマスト(Romano, et al., Metabolic diversity of Saccharomyces cerevisiae strains from spontaneously fermented grape musts, World Journal of Microbiology and Biotechnology. 19:311-315, 2003)から、16〜34mg/Lのイソブタノールを生成する、補充された最少培地(Oliviera, et al. (2005) World Journal of Microbiology and Biotechnology 21:1569-1576)におよぶ様々な増殖培地に対して実証されている。Dickinsonらからの研究(J Biol Chem. 272(43):26871-8, 1997)により、分岐鎖アミノ酸(例えば、バリンまたはロイシン)をイソブタノールに変換する内因性のS.セレビシエ経路において利用される酵素工程が同定された。
[00107] 本明細書に提供される組換え微生物は、適当な炭素源からイソブタノールを産生するための経路に関与する、複数の異種および/または天然の標的酵素を発現することができる。
[00108] したがって、代謝的に「操作された」または「改変された」微生物は、最適な宿主もしくは親微生物への遺伝物質の導入および/または天然遺伝子の発現の改変によって作製され、それによって微生物の細胞の生理機能および生化学が改変または変更される。遺伝物質の導入および/または天然遺伝子の発現の改変を通じて、親微生物は、新しい特性、例えば、新しい、またはより多くの量の細胞内代謝産物を産生する能力を得る。本明細書で記載されるように、親微生物への遺伝物質の導入および/または親微生物における天然遺伝子の発現の改変により、イソブタノールを産生する新しい、または改良された能力が生じる。親微生物に導入された遺伝物質および/または親微生物における発現に関して改変された遺伝子は、イソブタノールを産生するための生合成経路に関与する酵素のうちの1つまたは複数をコードする遺伝子(複数も)、または遺伝子の一部を含有し、これらの遺伝子、例えば、プロモーター配列の発現および/または発現の調節のための追加の要素も含むことができる。
[00109] 宿主または親微生物への遺伝物質の導入に加えて、操作または改変された微生物も、遺伝子またはポリヌクレオチドの変化、破壊、欠失、またはノックアウトを含むことによって、微生物の細胞の生理機能および生化学を変更することができる。遺伝子またはポリヌクレオチドの変化、破壊、欠失またはノックアウトを通じて、微生物は、新しい、または改善された特性(例えば、新しい代謝産物もしくはより多くの量の細胞内代謝産物を産生し、所望の経路を下る代謝産物のフラックスを改善し、かつ/または副生成物の産生を低減する能力)を得る。
[00110] 本明細書に提供される組換え微生物は、親微生物において入手できない量で代謝産物を産生することもできる。「代謝産物」は、代謝によって産生される任意の物質、または特定の代謝過程に必要な、もしくは関与する物質を指す。代謝産物は、代謝の出発材料(例えば、グルコースもしくはピルビン酸)、中間体(例えば、2−ケトイソ吉草酸)、または最終生成物(例えば、イソブタノール)である有機化合物である場合がある。代謝産物は、より複雑な分子を構築するのに使用することができ、またはこれらは、より単純なものに分解することができる。中間体の代謝産物は、他の代謝産物から合成し、おそらくより複雑な物質を作製するのに使用し、またはより単純な化合物に分解することができ、化学エネルギーの放出を伴うことが多い。
[00111] 例示的な代謝産物には、グルコース、ピルビン酸、およびイソブタノールが含まれる。代謝産物のイソブタノールは、ピルビン酸をイソブタノールに変換する代謝経路を発現または過剰発現するように代謝的に操作された組換え微生物によって生成することができる。ピルビン酸をイソブタノールに変換する例示的な代謝経路は、アセトヒドロキシ酸合成酵素(ALS)、ケトール酸レダクトイソメラーゼ(KARI)、ジヒドロキシ酸デヒドラターゼ(DHAD)、2−ケト酸脱炭酸酵素(KIVD)、およびアルコール脱水素酵素(ADH)からなる場合がある。
[00112] したがって、イソブタノールを産生し、いくつかの態様では、標的酵素、例えば、ALS、KARI、DHAD、KIVD、およびADHなどの発現の上昇を含むことができる組換え微生物が本明細書に提供される。
[00113] 本開示は、本開示の方法、組成物および生物において有用な特異的遺伝子を同定するが、そのような遺伝子に対する絶対的な同一性は必要ではないことが認識される。例えば、ポリペプチドまたは酵素をコードする配列を含む特定の遺伝子またはポリヌクレオチドの変更を、活性について実施およびスクリーニングすることができる。一般にそのような変更は、保存的突然変異およびサイレント突然変異を含む。そのような改変された、または突然変異したポリヌクレオチドおよびポリペプチドは、当技術分野で既知の方法を使用して、機能的な酵素の発現についてスクリーニングすることができる。
[00114] 遺伝子コードの固有の縮重のために、同じ、または機能的に等価なポリペプチドを実質的にコードする他のポリヌクレオチドを、そのような酵素をコードするポリヌクレオチドをクローン化し、発現させるのに使用することもできる。
[00115] 当業者によって理解されるように、コード配列を改変することによって、特定の宿主におけるその発現を増強することは有利となり得る。遺伝子コードは重複しており、64の可能なコドンを有するが、ほとんどの生物は一般に、これらのコドンのサブセットを使用する。1つの種において最も頻繁に利用されるコドンは、最適コドンと呼ばれ、それほど頻繁に利用されないものは、希少コドンまたは低使用コドンとして分類される。コドンを置換することによって、宿主の好適なコドン使用、すなわち「コドン最適化」または「種のコドンバイアスの制御」と時に呼ばれる過程を反映することができる。
[00116] 特定の原核生物宿主または真核生物宿主によって好まれるコドンを含有する最適化されたコード配列(Murray et al. (1989) Nucl. Acids Res. 17:477-508も参照)を調製することによって、例えば、最適化されていない配列から生成される転写物と比較した場合、翻訳速度を増大させ、またはより長い半減期などの望ましい特性を有する組換えRNA転写物を生成することができる。翻訳終止コドンも改変することによって、宿主の選好性を反映することができる。例えば、S.セレビシエおよび哺乳動物についての典型的な終止コドンは、それぞれUAAおよびUGAである。単子葉植物についての典型的な終止コドンはUGAであり、一方、昆虫および大腸菌は、一般に、終止コドンとしてUAAを使用する(Dalphin et al. (1996) Nucl. Acids Res. 24: 216-218)。植物における発現のためにヌクレオチド配列を最適化するための方法は、米国特許第6,015,891号、およびこれに引用された参考文献に提供されている。
[00117] 遺伝子コードの縮重した性質のために、ヌクレオチド配列が異なる様々なDNA化合物を使用することによって、本開示の所与の酵素をコードすることができることを、当業者は認識するであろう。上述した生合成の酵素をコードする天然のDNA配列は、本開示の実施形態を単に例示するために本明細書に参照され、本開示は、本開示の方法において利用される酵素のポリペプチドおよびタンパク質のアミノ酸配列をコードする任意の配列のDNA化合物を含む。同様の様式で、ポリペプチドは一般に、所望の活性の喪失または著しい喪失を伴うことなく、そのアミノ酸配列における1つまたは複数のアミノ酸の置換、欠失、および挿入を許容することができる。本開示は、ポリペプチドが改変され、またはバリアントポリペプチドが、参照ポリペプチドの酵素的な同化もしくは異化の活性を有する限り、本明細書に記載される特定のタンパク質と異なるアミノ酸配列を有するポリペプチドを含む。さらに、本明細書に示されるDNA配列によってコードされるアミノ酸配列は、本開示の実施形態を単に例示する。
[00118] さらに、代謝産物を生成するのに有用な酵素の相同体は、本明細書に提供される微生物および方法によって包含される。
[00119] 本明細書で使用する場合、2つのタンパク質(またはタンパク質の領域)は、アミノ酸配列が、少なくとも約30%、40%、50%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の同一性を有するとき実質的に相同性である。2つのアミノ酸配列、または2つの核酸配列の同一性率を求めるために、配列は、最適な比較目的のために整列される(例えば、最適なアライメントのために、第1および第2のアミノ酸または核酸配列のうちの1つまたは両方にギャップを導入することができ、非相同配列を比較目的のために無視することができる)。一実施形態では、比較目的のために整列される参照配列の長さは、参照配列の長さの少なくとも30%、一般的には少なくとも40%、より一般的には少なくとも50%、さらにより一般的には少なくとも60%、さらにより一般的には少なくとも70%、80%、90%、100%である。次いで、対応するアミノ酸位置またはヌクレオチド位置で、アミノ酸残基またはヌクレオチドが比較される。第1の配列における1つの位置が、第2の配列における対応する位置と同じアミノ酸残基またはヌクレオチドによって占有されているとき、分子は、その位置で同一である(本明細書で使用する場合、アミノ酸または核酸の「同一性」は、アミノ酸または核酸の「相同性」と等価である)。2つの配列間の同一性率は、2つの配列の最適なアライメントのために導入される必要がある、ギャップの数、および各ギャップの長さを考慮に入れた、配列によって共有される同一の位置の数の関数である。
[00120] 「相同性の」が、タンパク質またはペプチドに関して使用される場合、同一でない残基の位置は、同類アミノ酸置換によって異なることが多いことが認識される。「同類アミノ酸置換」は、アミノ酸残基が、同様の化学的性質(例えば、電荷または疎水性)を伴う側鎖(R基)を有する別のアミノ酸残基によって置換されるものである。一般に、同類アミノ酸置換により、タンパク質の機能的特性は実質的に変更されない。2つ以上のアミノ酸配列が同類置換によって互いに異なる場合では、配列同一性率または相同性の程度は、上向きに調整することによって、置換の保存的性質を補正することができる。この調整を行うための手段は、当業者に周知である(例えば、ここに参照により本明細書に組み込まれている、Pearson W.R. Using the FASTA program to search protein and DNA sequence databases, Methods in Molecular Biology,1994, 25:365-89を参照)。
[00121] 以下の6つの群はそれぞれ、互いに同類置換であるアミノ酸を含有する:1)セリン(S)、トレオニン(T);2)アスパラギン酸(D)、グルタミン酸(E);3)アスパラギン(N)、グルタミン(Q);4)アルギニン(R)、リシン(K);5)イソロイシン(I)、ロイシン(L)、メチオニン(M)、アラニン(A)、バリン(V)、および6)フェニルアラニン(F)、チロシン(Y)、トリプトファン(W)。
[00122] ポリペプチドについての配列同一性は、パーセント配列同一性率とも呼ばれ、一般に、配列分析ソフトウェアを使用して測定される。例えば、the Sequence Analysis Software Package of the Genetics Computer Group (GCG),University of Wisconsin Biotechnology Center,910 University Avenue,Madison,Wis.53705を参照。タンパク質分析ソフトウェアは、同類アミノ酸置換を含めた、様々な置換、欠失、および他の改変に割り当てられた相同性の尺度を使用して、同様の配列を照合する。例えば、GCGは、「Gap」および「Bestfit」などのプログラムを含み、これらは、デフォルトのパラメータを用いて使用することによって、生物の異なる種に由来する相同性ポリペプチドなどの密接に関連したポリペプチド同士間、または野生型タンパク質とその突然変異タンパク質の間の配列相同性または配列同一性を求めることができる。例えば、GCGバージョン6.1を参照。
[00123] 様々な生物に由来する多数の配列を含むデータベースと分子配列を比較して使用される一般的なアルゴリズムは、コンピュータープログラムBLAST(Altschul, S.F., et al. (1990) "Basic local alignment search tool." J. Mol. Biol. 215:403-410; Gish, W. and States, D.J. (1993) "Identification of protein coding regions by database similarity search." Nature Genet. 3:266-272; Madden, T.L., et al. (1996) "Applications of network BLAST server" Meth. Enzymol. 266:131-141; Altschul, S.F., et al. (1997) "Gapped BLAST and PSI-BLAST: a new generation of protein database search programs." Nucleic Acids Res. 25:3389-3402; Zhang, J. and Madden, T.L. (1997) "PowerBLAST: A new network BLAST application for interactive or automated sequence analysis and annotation." Genome Res. 7:649-656)、特にblastpまたはtblastn(Altschul, S.F., et al. (1997) "Gapped BLAST and PSI-BLAST: a new generation of protein database search programs." Nucleic Acids Res. 25:3389-3402)である。BLASTpについての典型的なパラメータは、期待値:10(デフォルト);フィルター:seg(デフォルト);ギャップを開けるためのコスト:11(デフォルト);ギャップを延ばすためのコスト:1(デフォルト);最大アライメント:100(デフォルト
);ワードサイズ:11(デフォルト);記述の数:100(デフォルト);ペナルティマトリックス:BLOWSUM62である。
[00124] 多数の様々な生物に由来する配列を含むデータベースを探索しているとき、アミノ酸配列を比較することが一般的である。アミノ酸配列を使用したデータベース探索は、当技術分野で知られているblastp以外のアルゴリズムによって比較することができる。例えば、ポリペプチド配列は、GCGバージョン6.1におけるプログラムであるFASTAを使用して比較することができる。FASTAは、クエリー配列と探索配列の間の最大重なりの領域のアライメントおよび配列同一性率をもたらす(Pearson, W.R. (1990) "Rapid and Sensitive Sequence Comparison with FASTP and FASTA" Meth. Enzymol. 183:63-98)。例えば、アミノ酸配列同士間の配列同一性率は、ここに参照により本明細書に組み込まれているGCGバージョン6.1において提供されるような、そのデフォルトパラメータ(2のワードサイズおよびPAM250スコアリングマトリックス)を有するFASTAを使用して求めることができる。
[00125] 本開示は、高収率で適当な基質からイソブタノールを産生するための生化学的経路を含む、代謝的に操作された微生物を提供する。本開示の代謝的に操作された微生物は、生物のゲノム内、または生物内のゲノム外側に1つまたは複数の組換えポリヌクレオチドを含む。微生物は、野生型生物において見出される遺伝子の低下、破壊、もしくはノックアウトおよび/または異種ポリヌクレオチドの導入および/または内因性ポリヌクレオチドの発現もしくは過剰発現を含むことができる。
[00126] 一態様では、本開示は、親微生物と比較した場合、少なくとも1つの標的酵素の発現の上昇を含む組換え微生物を提供し、親生物において見出されない酵素をコードする。別の態様またはさらなる態様では、微生物は、イソブタノールの産生に必要な代謝産物と競合する酵素をコードする、少なくとも1つの遺伝子の低下、破壊、またはノックアウトを含む。組換え微生物は、イソブタノールを産生するための生合成経路に関与する、少なくとも1つの代謝産物を産生する。一般に、組換え微生物は、標的酵素を含む、少なくとも1つの組換え代謝経路を含み、競合的な生合成経路における活性の低減、または酵素の発現をさらに含むことができる。この経路は、イソブタノールの産生において基質または代謝中間体を改変するように作用する。標的酵素は、適当な生物源に由来するポリヌクレオチドによってコードされ、このポリヌクレオチドから発現される。いくつかの実施形態では、ポリヌクレオチドは、原核生物源または真核生物源に由来し、本開示の微生物中に組換えによって操作された遺伝子を含む。他の実施形態では、ポリヌクレオチドは、宿主生物体に固有の遺伝子を含む。
[00127] 様々な微生物を改変することによって、イソブタノールを産生するのに適した組換え代謝経路を含めることができることが理解される。様々な実施形態では、微生物は、酵母微生物から選択することができる。イソブタノールの産生のための酵母微生物は、ある特定の特徴に基づいて選択することができる。
[00128] 一特徴は、微生物が、様々な炭素源をイソブタノールに変換するように選択される特性を含むことができる。したがって、一実施形態では、本明細書に開示される組換え微生物は、それだけに限らないが、グルコース、ガラクトース、マンノース、キシロース、アラビノース、ラクトース、スクロース、およびこれらの混合物を含めた様々な炭素源を産物に変換することができる。
[00129] 別の特徴は、野生型または親微生物が非発酵性であるという特性を含むことができる。言い換えれば、これは炭素源を嫌気的に代謝することができないが、酵母は、酸素の存在下で炭素源を代謝することができる。非発酵性酵母は、天然に存在する酵母、ならびに遺伝的に改変された酵母の両方を指す。発酵性酵母を用いた嫌気性発酵の間、解糖からNADHを酸化するための主な経路は、エタノールの産生を通じてである。エタノールは、アセトアルデヒドの還元を介してアルコール脱水素酵素(ADH)によって産生され、アセトアルデヒトは、ピルビン酸脱炭酸酵素(PDC)によってピルビン酸から産生される。したがって、一実施形態では、発酵性酵母を、固有のPDC活性を低減または排除することにより、非発酵性になるように操作することができる。したがって、解糖によって産生されるピルビン酸のほとんどは、PDCによって消費されず、イソブタノール経路に利用可能である。この経路の欠失により、イソブタノール経路に利用可能なピルビン酸および還元当量が増加する。発酵経路は、イソブタノールの低収率および低生産性の一因となる。したがって、PDCの欠失は、イソブタノールの収率および生産性を増加させることができる。
[00130] 第3の特徴は、生体触媒が、様々な炭素源をイソブタノールに変換するように選択される特性を含むことができる。
[00131] 一実施形態では、酵母微生物は、1998年にKurtzmanおよびRobnett("Identification and phylogeny of ascomycetous yeast from analysis of nuclear large subunit (26S) ribosomal DNA partial sequences." Antonie van Leeuwenhoek 73: 331-371, figure2)によって、子嚢菌酵母の分類学的クラスとして定義された「サッカロミセス酵母クラデ」から選択することができる。彼らは、リボソーム大サブユニット26Sをコードする遺伝子の5’末端で、D1/D2ドメインのヌクレオチド配列を比較することによって、約500の酵母種の関連性を求めることができた。S.セレビシエならびにこのサッカロミセス酵母クラデから最も遠位の2つの酵母、すなわちK.ラクチスおよびK.マルキシアヌスのD1/D2ヌクレオチド配列の対での比較では、80%を超える同一性を共有する。
[00132] 用語「サッカロミセス・センスストリクト」分類学群は、S.セレビシエに高度に関連した酵母種のクラスターである(Rainieri, S. et al 2003. Saccharomyces Sensu Stricto: Systematics, Genetic Diversity and Evolution. J. Biosci Bioengin 96(1)1-9)。サッカロミセス・センスストリクト酵母種として、それだけに限らないが、S.セレビシエ、S.セレビシエ、S.クドリアブゼビイ、S.ミカタエ、S.バヤヌス、S.ウバルム、S.カロカニス、およびこれらの種に由来するハイブリッドが挙げられる(Masneuf et al. 1998. New Hybrids between Saccharomyces Sensu Stricto Yeast Species Found Among Wine and Cider Production Strains. Yeast 7(1)61-72)。
[00133] 古来の全ゲノム重複(WGD)事象は、半子嚢菌類酵母の進化の間に起こり、比較ゲノムツールを使用して発見された(Kellis et al 2004 "Proof and evolutionary analysis of ancient genome duplication in the yeast S. cerevisiae." Nature 428:617-624. Dujon et al 2004 "Genome evolution in yeasts." Nature 430:35-44. Langkjaer et al 2003 "Yeast genome duplication was followed by asynchronous differentiation of duplicated genes." Nature 428:848-852. Wolfe and Shields 1997 "Molecular evidence for an ancient duplication of the entire yeast genome." Nature 387:708-713)。この主要な進化事象を使用して、酵母は、WGD事象の後に共通の祖先から分岐した種(本明細書で「WGD後酵母」と呼ばれる)およびWGD事象の前に酵母系列から分岐した種(本明細書で「WGD前酵母」と呼ばれる)に分類することができる。
[00134] したがって、一実施形態では、酵母微生物は、それだけに限らないが、サッカロミセスおよびカンジダを含めたWGD後酵母属から選択することができる。好適なWGD後酵母種として、S.セレビシエ、S.ウバルム、S.バヤヌス、S.パラドキサス、S.カステリ、およびC.グラブラタが挙げられる。
[00135] 別の実施形態では、酵母微生物は、それだけに限らないが、サッカロミセス、クルイベロミセス、カンジダ、ピキア、イッサトケンキア(Issatchenkia)、デバリオミセス、ハンゼヌラ、ヤロウィア、およびシゾサッカロミセスを含めた、全ゲノム重複前(WGD前)酵母属から選択することができる。代表的なWGD前酵母種として、S.クルイベリ、K.サーモトレランス、K.マルキシアヌス、K.ワルチイ、K.ラクチス、C.トロピカリス、P.パストリス、P.アノマラ、P.スチピチス、I.オリエンタリス(I. orientalis)、I.オシデンタリス(I. occidentalis)、I.スクツラタ(I. scutulata)、D.ハンセニイ、H.アノマラ、Y.リポリチカ、およびS.ポンベが挙げられる。
[00136] 酵母微生物は、クラブトリー陰性であっても、クラブトリー陽性であってもよい。クラブトリー陰性表現型を有する酵母細胞は、クラブトリー効果を示さない任意の酵母細胞である。用語「クラブトリー陰性」は、天然に存在する生物および遺伝的に改変された生物の両方を指す。簡単に言えば、クラブトリー効果は、高濃度のグルコース(例えば、1L当たり50gのグルコース)の存在により、好気性条件下で培養される場合の微生物による酸素消費の阻害として定義される。言い換えれば、クラブトリー陽性表現型を有する酵母細胞は、グルコースの存在のために酸素利用可能性に関係なく発酵し続ける一方で、クラブトリー陰性表現型を有する酵母細胞は、酸素消費のグルコース媒介阻害を示さない。
[00137] したがって一実施形態では、酵母微生物は、それだけに限らないが、クルイベロミセス属、ピキア属、イッサトケンキア属、ハンゼヌラ属、およびカンジダ属を含めた、クラブトリー陰性表現型を有する酵母から選択することができる。クラブトリー陰性種として、それだけに限らないが、K.ラクチス、K.マルキシアヌス、P.アノマラ、P.スチピチス、I.オリエンタリス、I.オシデンタリス、I.スクツラタ、H.アノマラ、およびC.ウチリスが含まれる。
[00138] 別の実施形態では、酵母微生物は、それだけに限らないが、サッカロミセス、クルイベロミセス、ジゴサッカロミセス、デバリオミセス、ピキア、およびシゾサッカロミセスを含めた、クラブトリー陽性表現型を有する酵母から選択することができる。クラブトリー陽性酵母種として、それだけに限らないが、S.セレビシエ、S.ウバルム、S.バヤヌス、S.パラドキサス、S.カステリ、S.クルイベリ、K.サーモトレランス、C.グラブラタ、Z.バイリ、Z.ロウキシイ、D.ハンセニイ、P.パストリウス、およびS.ポンベが挙げられる。
[00139] 一実施形態では、酵母微生物は、解糖によりグルコースなどの炭素源をピルビン酸に変換するように操作されており、ピルビン酸は、操作されたイソブタノール経路を介してイソブタノールに変換される(PCT/US2006/041602、PCT/US2008/053514)。イソブタノールを産生するための代替経路は、国際特許出願第PCT/US2006/041602号、およびDickinson et al.,Journal of Biological Chemistry 273:25751−15756(1998)に記載されている。
[00140] したがって、ピルビン酸をイソブタノールに変換するように操作されたイソブタノール経路は、以下の反応からなることができる:
1.2ピルビン酸→アセト乳酸+CO
2.アセト乳酸+NADPH→2,3−ジヒドロキシイソ吉草酸+NADP
3.2,3−ジヒドロキシイソ吉草酸→α−ケトイソ吉草酸
4.α−ケトイソ吉草酸→イソブチルアルデヒド+CO
5.イソブチルアルデヒド+NADPH→イソブタノール+NADP
[00141] これらの反応は、酵素、すなわち、1)アセト乳酸合成酵素(ALS、EC4.1.3.18)、2)ケト−酸レダクト−イソメラーゼ(KARI、EC1.1.1.86)、3)ジヒドロキシ酸デヒドラターゼ(DHAD、EC4.2.1.9)、4)ケト−イソ吉草酸脱炭酸酵素(KIVD、EC4.1.1.1)、および5)アルコール脱水素酵素(ADH、EC1.1.1.1または1.1.1.2)によって実施される。
[00142] 別の実施形態では、酵母微生物は、これらの酵素を過剰発現するように操作されている。例えば、これらの酵素は、天然遺伝子によってコードされ得る。例えば、ALSは、B.スブチリス(B. subtilis)のalsS遺伝子、L.ラクチスのalsS、またはK.ニューモニア(K. pneumonia)のilvK遺伝子によってコードされ得る。例えば、KARIは、大腸菌、C.グルタミクム(C. glutamicum)、M.マリパルジス(M. maripaludis)、またはピロミセス(Piromyces)種E2のilvC遺伝子によってコードされ得る。例えば、DHADは、大腸菌またはC.グルタミクムのilvD遺伝子によってコードされ得る。KIVDは、L.ラクチスのkivD遺伝子によってコードされ得る。ADHは、S.セレビシエのADH2、ADH6、またはADH7によってコードされ得る。
[00143] 本発明の酵母微生物は、ピルビン酸をイソブタノールに変換する、増大された能力を有するように操作することができる。一実施形態では、酵母微生物は、ピルビン酸をイソブチルアルデヒドに変換する、増大された能力を有するように操作することができる。別の実施形態では、酵母微生物は、ピルビン酸をケト−イソ吉草酸に変換する、増大された能力を有するように操作することができる。別の実施形態では、酵母微生物は、ピルビン酸を2,3−ジヒドロキシイソ吉草酸に変換する、増大された能力を有するように操作することができる。別の実施形態では、酵母微生物は、ピルビン酸をアセト乳酸に変換する、増大された能力を有するように操作することができる。
[00144] さらに、前述の酵素をコードする任意の遺伝子(または本明細書に述べられる任意の他のもの(もしくはその発現を制御または調節する任意の調節エレメント))は、遺伝子/タンパク質工学技法、例えば、指向進化または合理的な突然変異生成などによって最適化することができ、これらは当業者に知られている。そのような作用により、当業者は、酵母における発現および活性のための酵素を最適化することが可能になる。
[00145] さらに、これらの酵素をコードする遺伝子は、他の真菌種および細菌性種から同定することができ、この経路の調節のために発現させることができる。それだけに限らないが、S.セレビシエおよびS.ウバルムを含めたサッカロミセス種、K.サーモトレランス(K. thermotolerans)、K.ラクチス、およびK.マルキシアヌスを含めたクルイベロミセス種、ピキア種、H.ポリモルファ(H. polymorpha)を含めたハンゼヌラ種、カンジダ種、トリコスポロン(Trichosporon)種、Y.種スチピチスを含めたヤマダジマ(Yamadazyma)種、トルラスポラ・プレトリエンシス(Torulaspora pretoriensis)、S.ポンベを含めたシゾサッカロミセス種、クリプトコッカス(Cryptococcus)種、アスペルギルス(Aspergillus)種、ニューロスポラ(Neurospora)種、またはウスチラゴ(Ustilago)種を含めた様々な生物は、これらの酵素の供給源として機能を果たすことができる。嫌気性真菌に由来する遺伝子の供給源には、それだけに限らないが、ピロミセス種、オルピノミセス(Orpinomyces)種、またはネオカリマスチクス(Neocallimastix)種が含まれる。有用である原核生物酵素の供給源として、それだけに限らないが、大腸菌、ジモモナス・モビリス(Zymomonas mobilis)、黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)、バチルス種、クロストリジウム種、コリネバクテリウム種、シュードモナス種、ラクトコッカス(Lactococcus)種、エンテロバクター(Enterobacter)種、およびサルモネラ種が挙げられる。
一般の方法
酵母微生物におけるPDCの同定
[00146] ピルビン酸脱炭酸酵素(PDC)活性を有する酵素をコードする遺伝子を同定するのに、任意の方法を使用することができる。PDCは、アセトアルデヒドを形成するためのピルビン酸の脱炭酸を触媒する。一般に相同性もしくは類似のPDC遺伝子および/または相同性もしくは類似のPDC酵素は、機能的、構造的および/または遺伝子分析によって同定することができる。ほとんどの場合、相同性もしくは類似のPDC遺伝子および/または相同性もしくは類似のPDC酵素は、機能的、構造的、または遺伝子の類似性を有する。当業者に既知の技法が、相同遺伝子および相同酵素を同定するのに適当となり得る。一般に、類似遺伝子および/または類似酵素は、機能的な分析によって同定することができ、機能的な類似性を有する。当業者に既知の技法が、類似遺伝子および類似酵素を同定するのに適当となり得る。例えば、相同または類似の遺伝子、タンパク質、または酵素を同定するために、技法は、それだけに限らないが、遺伝子/酵素の公開された配列に基づくプライマーを使用するPCR、またはPDC遺伝子の中の保存領域を増幅するために設計された縮重プライマーを使用する縮重PCRによるPDC遺伝子のクローニングを含むことができる。さらに、当業者は、機能的な相同性または類似性を有する相同または類似の遺伝子、タンパク質、または酵素を同定するための技法を使用することができる。技法は、前記活性のためのインビトロ酵素アッセイによって、酵素の触媒活性について細胞または細胞培養物を検査する工程、次いで精製によって前記活性を有する酵素を単離する工程、技法、例えば、エドマン分解、有望な核酸配列に対するPCRプライマーの設計、PCRによる前記DNA配列の増幅、および前記核酸配列のクローニングなどによって酵素のタンパク質配列を決定する工程を含む。相同もしくは類似遺伝子および/または相同もしくは類似酵素、類似遺伝子および/または類似酵素もしくはタンパク質を同定するために、技法はまた、データベース例えば、BRENDA、KEGG、またはMetaCYCなどを用いた、候補遺伝子または酵素に関するデータの比較を含む。候補遺伝子または酵素は、本明細書の教示に従って、上述したデータベース内で同定することができる。さらに、PDC活性は、表現型的に求めることができる。例えば、発酵条件下でのエタノール産生を評価することができる。エタノール産生の欠如は、PDC活性をまったく含まない酵母微生物を示す場合がある。
遺伝子挿入および欠失
[00147] 核酸分子を酵母中に導入するために、任意の方法を使用することができ、多くのそのような方法は周知である。例えば、形質転換および電気穿孔は、核酸を酵母細胞中に導入するための一般的な方法である。例えば、Gietz et al.,Nucleic Acids Res.27:69−74(1992);Ito et al.,J. Bacterol.153:163−168(1983);およびBecker and Guarente, Methods in Enzymology 194:182−187(1991)を参照。
[00148] 一実施形態では、対象とする遺伝子の、酵母微生物のDNA断片または標的遺伝子中への組込みは、相同的組換えの原理によって行われる。この実施形態によれば、少なくとも1つの酵母マーカー遺伝子および/または組み込まれる遺伝子(内部モジュール)を含むモジュールを含有する組込みカセットは、標的組込み部位(組換え配列)の両端のDNA断片に相同のDNA断片によって、いずれかの側に隣接する。適切な方法によってこのカセットを用いて酵母を形質転換した後、組込みカセットの組換え配列に対応するゲノムの2つの部位の間の染色体領域を置換する内部モジュールを得ることもできる(Orr-Weaver et al., Proc Natl Acad Sci U S A 78:6354-6358 (1981))。
[00149] 一実施形態では、酵母微生物中に対象の遺伝子を組み込むための組込みカセットは、異種遺伝子を酵母染色体中に組み込むための組換え配列によって隣接した選択可能マーカーとともに、適切なプロモーターおよびターミネーターの制御下で異種遺伝子を含む。一実施形態では、異種遺伝子は、天然遺伝子(複数も)のコピー数を増加させることが望まれる、適切な天然遺伝子を含む。選択可能マーカー遺伝子は、それだけに限らないが、HIS3、TRP1、LEU2、URA3、bar、ble、hph、およびkanを含めた、酵母において使用される任意のマーカー遺伝子とすることができる。組換えの配列は、所望の用途に適した所望の組込み部位に応じて随意に選択することができる。
[00150] 別の実施形態では、酵母微生物の染色体中への遺伝子の組込みは、ランダムな組込みを介して行うことができる(Kooistra, R., Hooykaas, P.J.J., Steensma, H.Y. 2004. Yeast 21: 781-792)。
[00151] さらに、一実施形態では、ある特定の導入されたマーカー遺伝子は、当業者に周知の技法を使用してゲノムから取り出される。例えば、URA3マーカー喪失は、FOA(5−フルオロオロト酸)含有培地中にURA3含有細胞を蒔き、FOA耐性コロニーを選択することによって得ることができる(Boeke, J. et al, 1984, Mol. Gen. Genet, 197, 345-47)。
[00152] 本開示の酵母細胞内に含まれる外因性核酸分子は、任意の形態でその細胞内に維持することができる。例えば、外因性核酸分子は、細胞のゲノム中に組み込み、または娘細胞に安定に伝える(継承する)ことができるエピソーム状態で維持することができる。そのような染色体外の遺伝子要素(プラスミドなど)は、娘細胞中にそのような遺伝子要素が存在することを保証する選択マーカーをさらに含有することができる。さらに、酵母細胞は、安定に、または一過性に形質転換することができる。さらに、本明細書に記載される酵母細胞は、上述した特定の外因性核酸分子の1個のコピー、または多数のコピーを含有することができる。
酵素活性の低減
[00153] 本発明の範囲内の酵母微生物は、低減されたピルビン酸脱炭酸酵素活性などの低減された酵素活性を有することができる。用語「低減された」は、特定の酵素活性に関して本明細書で使用する場合、同じ種の同等の酵母細胞において測定される酵素活性より低いレベルの酵素活性を指す。用語の低減されたは、同じ種の同等の酵母細胞において測定される酵素活性より、酵素活性の消失も指す。したがって、ピルビン酸脱炭酸酵素活性を欠いている酵母細胞は、低減されたピルビン酸脱炭酸酵素活性を有するとみなされ、その理由はすべてでなくとも、ほとんどの同等の酵母菌株は、少なくともいくらかのピルビン酸脱炭酸酵素活性を有するためである。そのような低減された酵素活性は、より低い酵素濃度、酵素のより低い比活性、またはこれらの組合せの結果である場合がある。低減された酵素活性を有する酵母を作製するために、多くの様々な方法を使用することができる。例えば、酵母細胞は、一般的な突然変異生成またはノックアウト技術を使用して、乱された酵素コード座位を有するように操作することができる。例えば、Methods in Yeast Genetics(1997 edition),Adams,Gottschling,Kaiser,and Stems,Cold Spring Harbor Press(1998)を参照。さらに、ある特定の点突然変異(複数も)を導入することができ、これは低減された活性を有する酵素を生じる。
[00154] あるいは、アンチセンス技術を、酵素活性を低減するのに使用することができる。例えば、酵母は、酵素が産生されるのを妨げるアンチセンス分子をコードするcDNAを含有するように操作することができる。用語「アンチセンス分子」は、本明細書で使用する場合、内因性ポリペプチドのコード鎖に対応する配列を含有する任意の核酸分子を包含する。アンチセンス分子はまた、フランキング配列(例えば、制御配列)を有することができる。したがって、アンチセンス分子は、リボザイムまたはアンチセンスオリゴヌクレオチドとすることができる。リボザイムは、限定することなく、ヘアピン、ハンマーヘッド、またはアックスヘッド構造を含めた、任意の一般的な構造を有することができ、ただし分子がRNAを切断するという条件がある。
[00155] 低減された酵素活性を有する酵母は、多くの方法を使用して同定することができる。例えば、低減されたピルビン酸脱炭酸酵素活性を有する酵母は、一般的な方法を使用して容易に同定することができ、これは、例えば、ガスクロマトグラフィーによるエタノール形成の測定を含むことができる。
異種遺伝子の過剰発現
[00156] 天然または異種の核酸分子からポリペプチドを過剰発現させるための方法は周知である。そのような方法は、限定することなく、核酸配列の構築を含み、その結果、調節エレメントは、所望のポリペプチドをコードする核酸配列の発現を促進する。一般に、調節エレメントは、転写のレベルで他のDNA配列の発現を調節するDNA配列である。したがって、調節エレメントには、限定することなく、プロモーター、エンハンサーなどが含まれる。例えば、外来遺伝子は、誘導プロモーターまたは構成的プロモーターの制御下にあることができる。さらに、酵母中の外因性核酸分子からポリペプチドを発現させるための方法は周知である。例えば、クルイベロミセスおよびサッカロミセス内の外因性ポリペプチドの発現に使用される核酸コンストラクトは周知である(クルイベロミセスについては、例えば、米国特許第4,859,596号および同第4,943,529号、ならびにサッカロミセスについては例えば、Gellissen et al.,Gene 190(1):87-97(1997)を参照)。酵母プラスミドは、選択可能マーカーおよび複製の起源を有する。さらに、ある特定のプラスミドは、動原体配列も含有することができる。これらの動原体プラスミドは、一般に、単一コピーまたは低コピープラスミドである。動原体配列を含まず、2ミクロン(S.セレビシエ)または1.6ミクロン(K.ラクチス)複製起点を利用するプラスミドは、高コピープラスミドである。選択可能マーカーは、原栄養性、例えば、HIS3、TRP1、LEU2、URA3、もしくはADE2、または抗生物質耐性、例えば、bar、ble、hph、もしくはkanなどとすることができる。
[00157] 別の実施形態では、異種制御要素は、内在性遺伝子の発現を活性化または抑圧するのに使用することができる。さらに、発現が抑圧または排除される場合、妥当な酵素、タンパク質、またはRNAについての遺伝子は、既知の欠失技法によって排除することができる。
[00158] 本明細書で記載されるように、本開示の範囲内の任意の酵母は、発現、過剰発現、または抑圧される特定の酵素に特異的な選択技法によって同定することができる。所望の表現型を有する菌株を同定する方法は、当業者に周知である。そのような方法として、限定することなく、PCR、RT−PCR、ならびにノーザン分析およびサザン分析などの核酸ハイブリダイゼーション技法、特定の基質に対する、または特定の基質、化合物、選択剤などの存在下での増殖能力の変更が挙げられる。場合によっては、免疫組織化学技法および生化学的技法を使用することによって、コードされたポリペプチドの発現を検出することにより、細胞が特定の核酸を含有するかどうかを判定することができる。例えば、コードされた酵素に対する特異性を有する抗体を使用することによって、特定の酵母細胞が、そのコードされた酵素を含有するかどうかを判定することができる。さらに、生化学的な技法を使用することによって、酵素ポリペプチドの発現の結果として産生される産物を検出することにより、細胞が、酵素ポリペプチドをコードする特定の核酸分子を含有するかどうかを判定することができる。例えば、細胞を、アセト乳酸合成酵素をコードするベクターを用いて形質転換し、ベクターを含まない細胞と比較して、アセト乳酸濃度の増加を検出することは、ベクターが存在し、遺伝子産物が活性であることを共に示す。特異的な酵素活性または特定の産物の存在を検出するための方法は、当業者に周知である。例えば、アセト乳酸の存在は、Hugenholtz and Starrenburg,Appl.Microbioi.Biotechnol.38:17−22(1992)によって記載されているように判定することができる。
酵素活性の増大
[00159] 本発明の酵母微生物は、増大した酵素の活性を有するようにさらに操作することができる。用語「増大した」は、特定の酵素活性に関して本明細書で使用する場合、同じ種の同等の酵母細胞において測定される酵素活性より高いレベルの酵素活性を指す。例えば、特異的な酵素の過剰発現は、その酵素に関する細胞中の活性のレベルを増大させることができる。解糖またはイソブタノール経路に関与する酵素に関する増大した活性は、イソブタノールの生産性および収率を増加させる。
[00160] 酵素活性を増大させるための方法は、当業者に既知である。そのような技法は、コピー数の増加および/もしくは強いプロモーターの使用、酵素の負の調節を解除するための突然変異の導入、比活性を増大させ、かつ/もしくは基質に対するKmを減少させるための特異的な突然変異の導入によって、または指向進化によって酵素の発現を増大させることを含むことができる。例えば、Methods in Molecular Biology(vol.231),ed.Arnold and Georgiou,Humana Press(2003)を参照。
炭素源
[00161] 本明細書に開示される生体触媒は、様々な炭素源をイソブタノールに変換することができる。用語「炭素源」は一般に、原核生物増殖または真核細胞増殖のために、炭素の供給源として使用されるのに適した物質を指す。炭素源として、それだけに限らないが、バイオマス加水分解産物、デンプン、スクロース、セルロース、ヘミセルロース、キシロース、およびリグニン、ならびにこれらの基質の単量体成分が挙げられる。炭素源は、それだけに限らないが、ポリマー、炭水化物、酸、アルコール、アルデヒド、ケトン、アミノ酸、ペプチドなどを含めた、様々な形態での様々な有機化合物を含むことができる。これらとして、例えば、様々な単糖、例えば、グルコース、デキストロース(D−グルコース)など、マルトース、オリゴ糖、多糖、飽和もしくは不飽和脂肪酸、コハク酸、乳酸、酢酸、エタノールなど、またはこれらの混合物が挙げられる。光合成生物は、光合成の産物としての炭素源をさらに産生することができる。いくつかの実施形態では、炭素源は、バイオマス加水分解産物およびグルコースから選択することができる。
[00162] 用語「C2化合物」は、すべてのピルビン酸脱炭酸酵素(PDC)遺伝子において、前記遺伝子のピルビン酸脱炭酸酵素活性の低減をもたらす突然変異を有する操作された酵母微生物のための炭素源と使用する場合、それだけに限らないが、エタノールおよび酢酸を含めた2個の炭素原子からなる有機化合物を指す。
[00163] 用語「供給原料」は、他の産物を産生することができる微生物または発酵過程に供給される原料または原料の混合物として定義される。例えば、バイオマスまたはバイオマスに由来する炭素化合物などの炭素源は、発酵過程において生物燃料を産生する微生物のための供給原料である。しかし、供給原料は、炭素源以外の栄養分を含むことができる。
[00164] 用語「従来の炭水化物」は、特殊な植物、例えば、サトウキビ、トウモロコシ、およびコムギなどから生成される糖およびデンプンを指す。しばしば、これらの特殊な植物は、子実などの植物の一部において糖およびデンプンを濃縮し、これらは収穫され、処理されることによって、糖およびデンプンが抽出される。従来の炭水化物は、食物として、およびまたより少ない程度に、生物燃料および化学物質を生成するための発酵過程の炭素源として使用される。
[00165] 用語「バイオマス」は、本明細書で使用する場合、緑色植物の茎、葉、およびデンプン含有部分を主に指し、デンプン、リグニン、セルロース、ヘミセルロース、および/またはペクチンから主になる。バイオマスは、化学的または酵素処理により分解することによって、バイオマスが構成されている単糖およびフェノールにすることができる(Wyman, C.E. 2003 Biotechnological Progress 19:254-62)。バイオマス加水分解産物と呼ばれるこの得られた物質は、中和および処理されることによって、生体触媒に悪影響を及ぼし得る微量の有機物質が除去され、生体触媒を使用する発酵のための供給原料として使用される。
[00166] 用語「デンプン」は、本明細書で使用する場合、消化酵素によって容易に加水分解される、グルコースのポリマーを指す。デンプンは通常、植物、例えば、ジャガイモ、トウモロコシの仁、米子実、コムギ子実、およびサトウキビの茎などの植物の特殊な部分に濃縮される。
[00167] 用語「リグニン」は、本明細書で使用する場合、結合フェノール単量体化合物、例えば、p−クマリルアルコール、コニフェリルアルコール、およびシナピルアルコールなどから主になるポリマー物質を指し、これは、植物における構造的硬直性の基礎を形成し、植物の木部と頻繁に呼ばれる。リグニンはまた、植物の細胞壁の非炭水化物部分であるとみなされる。
[00168] 用語「セルロース」は、本明細書で使用する場合、式(C6H10O5)nのβ−グルコースの長鎖ポリマー多糖炭水化物を指し、リグニンおよび任意のヘミセルロースとともに、植物の細胞壁中に通常見出される。
[00169] 用語「ヘミセルロース」は、植物細胞壁の多糖のクラスを指し、これは、いくつかのヘテロポリマーのうちのいずれであってもよい。これらとして、キシラン、キシログルカン、アラビノキシラン、アラビノガラクタン、グルクロノキシラン、グルコマンナン、およびガラクトマンナンが挙げられる。ヘミセルロースの単量体成分として、それだけに限らないが、D−ガラクトース、L−ガラクトース、D−マンノース、L−ラムノース、L−フコース、D−キシロース、L−アラビノース、およびD−グルクロン酸が挙げられる。このクラスの多糖は、セルロースとともに、ほとんどすべての細胞壁中に見出される。ヘミセルロースは、セルロースより重量が低く、熱水またはキレート化剤によって抽出することができないが、アルカリ水溶液によって抽出することができる。ヘミセルロースのポリマー鎖は、ほとんどの植物細胞の細胞壁を形成している架橋された繊維のネットワークにおいて、ペクチンおよびセルロースを結合する。
高収率でイソブタノールを産生することを特徴とする微生物
[00170] 最も経済的にイソブタノールを産生するための生体触媒について、高収率で産生することが望まれる。産生される唯一の産物が、イソブタノールであることが好ましい。余分な産物は、産物の収率の低減、および特に余分な産物がほとんど、またはまったく価値がない場合、資本コストおよび操業コストの増大につながる。余分な産物はまた、イソブタノールからこれらの産物を分離するのに追加の資本コストおよび操業コストを必要とする。
[00171] 微生物は、バイオマスに由来する1つまたは複数の炭素源を、理論収率の5%超の収率でイソブタノールに変換することができる。一実施形態では、収率は10%超である。一実施形態では、収率は理論収率の50%超である。一実施形態では、収率は理論収率の60%超である。別の実施形態では、収率は理論収率の70%超である。さらに別の実施形態では、収率は理論収率の80%超である。さらに別の実施形態では、収率は理論収率の85%超である。さらに別の実施形態では、収率は理論収率の90%超である。さらに別の実施形態では、収率は理論収率の95%超である。さらに別の実施形態では、収率は理論収率の97.5%超である。
[00172] より具体的には、微生物は、バイオマスに由来することができるグルコースを、理論収率の5%超の収率でイソブタノールに変換する。一実施形態では、収率は理論収率の10%超である。一実施形態では、収率は理論収率の50%超である。一実施形態では、収率は理論収率の60%超である。別の実施形態では、収率は理論収率の70%超である。さらに別の実施形態では、収率は理論収率の80%超である。さらに別の実施形態では、収率は理論収率の85%超である。さらに別の実施形態では、収率は理論収率の90%超である。さらに別の実施形態では、収率は理論収率の95%超である。さらに別の実施形態では、収率は理論収率の97.5%超である。
過剰発現されたイソブタノール経路およびPdcマイナス表現型を介したピルビン酸からのイソブタノールの産生を特徴とする微生物
[00173] 酵母において、ピルビン酸のアセトアルデヒドへの変換は、ピルビン酸プールに対する主要なドレーンであり(図2A)、したがって、イソブタノール経路との競合の主要な原因である。この反応は、ピルビン酸脱炭酸酵素(PDC)酵素によって触媒される。酵母微生物におけるこの酵素活性の低減は、イソブタノール経路に対するピルビン酸の利用可能性および還元当量を増大させ、ピルビン酸依存性イソブタノール経路を発現する酵母微生物におけるイソブタノール産生および収率を改善することができる(図2B)。
[00174] PDC活性の低減は、1)PDCをコードする構造遺伝子についての正の転写制御因子の突然変異もしくは欠失、または2)所与の生物におけるすべてのPDC遺伝子の突然変異もしくは欠失によって実現することができる。用語「転写制御因子」は、ゲノム中の異なる座位の転写を増大または減少させるために途中で機能するタンパク質または核酸を特定することができる。例えば、S.セレビシエにおいて、PDC1、5、6遺伝子の正の転写制御遺伝子をコードするPDC2遺伝子を欠失させることができ、PDC2遺伝子が欠失したS.セレビシエは、野生型のPDC活性のわずか約10%しか有さないことが報告されている(Hohmann, Mol Gen Genet, 241:657-666 (1993))。あるいは、例えば、PDCに関するすべての構造遺伝子(例えば、S.セレビシエにおいて、PDC1、PDC5、およびPDC6、またはK.ラクチスにおいて、PDC1)が欠失される。
[00175] PDC対立遺伝子の3つすべてにおいて破壊を含む、サッカロミセス・セレビシエ菌株などのクラブトリー陽性酵母菌株は、発酵によってもはやエタノールを産生しない。しかし、PDCによって触媒される反応の下流産物であるアセチル−CoAは、必要な分子の同化産生(anabolic production)に必要である。したがって、Pdc−突然変異体は、単にグルコース上で増殖することができず、アセチル−CoAを合成するのに、2炭素の炭素源であるエタノールまたは酢酸を必要とする(Flikweert MT, de Swaaf M, van Dijken JP, Pronk JT. FEMS Microbiol Lett. 1999 May 1;174(1):73-9. PMID:10234824、およびvan Maris AJ, Geertman JM, Vermeulen A, Groothuizen MK, Winkler AA, Piper MD, van Dijken JP, Pronk JT. Appl Environ Microbiol. 2004 Jan;70(1):159-66. PMID: 14711638)。
したがって、一実施形態では、そのようなクラブトリー陽性酵母菌株を進化させることによって、2炭素分子を必要とせず、グルコース上で野生型と同様の増殖速度を有する、PDC突然変異体酵母の変異体を生成することができる。ケモスタット展開または連続希釈を含めた任意の方法を利用することによって、野生型と同様の速度で、唯一の炭素源としてのグルコース上で増殖することができる、3つのPDC対立遺伝子が欠失した菌株の変異体を生成することができる(van Maris et al., Directed Evolution of Pyruvate Decarboxylase-Negative Saccharomyces cerevisiae, Yielding a C2-Independent, Glucose-Tolerant, and Pyruvate-Hyperproducing Yeast, Applied and Environmental Microbiology, 2004, 70(1), 159-166)。
高収率イソブタノール発酵のために微生物を使用する方法
[00176] 高収率で炭素源からイソブタノールを生成するための方法において、酵母微生物は、炭素源を含有する適切な培地中で培養される。
[00177] 別の例示的な実施形態は、炭素源を含有する適当な培地中に本発明の組換え酵母微生物を含み、この炭素源は、本発明の酵母微生物によってイソブタノールに変換することができる、イソブタノールを生成するための方法を提供する。
[00178] ある特定の実施形態では、この方法は、培地からイソブタノールを単離する工程をさらに含む。例えば、イソブタノールは、当業者に既知の任意の方法、例えば、蒸留、浸透気化法、または液液抽出などによって、培地から単離することができる。
一般的な方法
[00179] 試料調製:発酵ブロスからの試料(2mL)を、後の基質分析および産物分析のために−20℃で貯蔵した。分析の前に、試料を解凍し、14,000×gで10分間遠心分離した。0.2μmのフィルターを通して上清を濾過した。基質および産物の分析は、信頼できる標準物質(99%超、Sigma-Aldrichから入手)、および5点較正曲線(ガスクロマトグラフィーによる分析のための内部標準として1−ペンタノールを用いて)を使用して実施した。
[00180] 光学密度および細胞乾燥重量の判定:酵母培養物の光学密度を、DU800分光光度計(Beckman-Coulter, Fullerton, CA, USA)を使用して600nmで求めた。試料を希釈したが、これは、0.1と0.8の間の光学密度を得るのに必要なためである。細胞乾燥重量は、培養物50mLを遠心分離した後、上清をデカントすることによって求めた。milliQ HO 50mLを用いて細胞ペレットを1回洗浄し、遠心分離し、milliQ HO 25mLを用いてペレットを再度洗浄した。次いで細胞ペレットを80℃で少なくとも72時間乾燥させた。細胞乾燥重量は、乾燥した細胞ペレットを含む遠心管の重量から遠心管の重量を減じることによって計算した。
[00181] ガスクロマトグラフィー:エタノールおよびイソブタノールの分析は、フレームイオン化検出器(FID)に接続した、DB−FFAPカラム(Agilent Technologies;長さ30m、内径0.32mm、膜厚0.25μM)または等価物を装着したHP5890ガスクロマトグラフで実施した。温度プログラムは以下の通りであった:注入器について200℃、検出器について300℃、1分間100℃の乾燥器、235℃まで70℃/分の勾配、次いで2.5分間保持。
[00182] 高速液体クロマトグラフィー:グルコースおよび有機酸の分析は、Aminex HPX−87Hイオン排除カラム(Bio-Rad、300×7.8mm)または等価物、およびH陽イオンガードカラム(Bio−Rad)または等価物を装備した、HP−1100高速液体クロマトグラフィーシステムで実施した。有機酸は、HP−1100 UV検出器(210nm、8nm 360nm参照)を使用して検出する一方で、グルコースは、HP−1100屈折率検出器を使用して検出した。カラム温度は60℃であった。この方法は、移動相として水中0.008Nの硫酸を用いたアイソクラチックであった。流速は0.6mL/分に設定した。注入サイズは20μLであり、実行時間は30分であった。
[00183] 嫌気性バッチ発酵:嫌気性バッチ培養を、共栓100mL血清瓶内で、30℃で実施した。1L当たり20gのグルコースの初期グルコース濃度で、合計20mLの合成培地を使用した(Kaiser et al., Methods in Yeast Genetics, a Cold Spring Harbor Laboratory Manual (1994))。試料2mLを24および48時間で採取する。発酵は、48時間後またはすべてのグルコースが消費されるとき終了する。上述したようなガスクロマトグラフィーおよび/または高速液体クロマトグラフィーによって、試料を処理および分析する。
[00184] 酵母形質転換−K.ラクチス:形質転換を、Kooistra et al.,Yeast 21:781−792(2004)による電気穿孔によって実施した。
[00185] S.セレビシエ菌株の酢酸リチウム形質転換は、酢酸リチウム法(Gietz et al., Nucleic Acids Res. 27:69-74 (1992)によって形質転換した。細胞は、2700rcfで、室温で2分間遠心分離することによって、約0.8〜1.0のOD600で、既知組成(defined)(SC)エタノール培地50mL中で増殖させた一晩培養物から採取した。細胞ペレットを、滅菌水50mL中に再懸濁し、遠心分離(2700rcf;2分;室温)によって採取し、滅菌水25mL中で再懸濁した。細胞は、遠心分離(2700rcf;2分;室温)によって採取し、100mMの酢酸リチウム1mL中で再懸濁した。細胞懸濁液を滅菌した1.5mLの管に移し、全速力で10秒間遠心分離することによって採取した。細胞ペレットの体積の4倍の体積(例えば、細胞ペレット100μLに対して400μL)を有する100mMの酢酸リチウム中で細胞を再懸濁した。調製したDNAミックス(50%のPEG 72μl、1Mの酢酸リチウム10μl、煮沸したサケ***DNA3μl、および各プラスミド5μl)に、細胞懸濁液15μlを添加し、5回の短パルスでボルテックスすることによって混合した。細胞/DNA懸濁液を、30℃で30分間、および42℃で22分間インキュベートした。全速力で10秒間遠心分離することによって細胞を採取し、SOS(1Mのソルビトール、0.34%(w/v)の酵母エキス、0.68%(w/v)のペプトン、6.5mMのCaCl)100μl中で再懸濁した。細胞懸濁液を、適切な選択的寒天プレートの上部に塗布した。
[00186] 酵母コロニーPCR:酵母細胞を寒天培地から採取し、0.2%のSDS 30μlに移し、90℃で4分間加熱した。細胞を沈降させ、上清1μlを、標準Taq(NEB)を使用するPCRに使用した。
[00187] 分子生物学:別段の記述のない限り、クローニングおよびプラスミド構築のための標準的な分子生物学方法を一般に使用した(Sambrook & Russell)。
[00188] 培地:
[00189] YP:1%(w/v)の酵母エキス、2%(w/v)のペプトンを含有する。YPDは、2%(w/v)グルコースを含有するYPであり、YPEは、2%(w/v)のエタノールを含有するYPである。
[00190] SC+完全:20g/Lのグルコース、14g/LのSigma(商標)の合成ドロップアウト培地サプリメント(ヒスチジン、トリプトファン、ウラシル、およびロイシンを除くアミノ酸および栄養分を含む)、および6.7g/LのDifco(商標)の酵母窒素塩基。0.076g/Lのヒスチジン、0.076g/Lのトリプトファン、0.380g/Lのロイシン、および0.076g/Lのウラシル。
[00191] SC−HWUL:20g/Lのグルコース、14g/LのSigma(商標)の合成ドロップアウト培地サプリメント(ヒスチジン、トリプトファン、ウラシル、およびロイシンを除くアミノ酸および栄養分を含む)、および6.7g/LのDifco(商標)の酵母窒素塩基。
[00192] SC−WLU:20g/Lのグルコース、14g/LのSigma(商標)の合成ドロップアウト培地サプリメント(ヒスチジン、トリプトファン、ウラシル、およびロイシンを除くアミノ酸および栄養分を含む)、アミノ酸を含まない6.7g/LのDifco(商標)の酵母窒素塩基、および0.076g/Lのヒスチジン。
[00193] SC−HWU:20g/Lのグルコース、14g/LのSigma(商標)の合成ドロップアウト培地サプリメント(ヒスチジン、トリプトファン、ウラシル、およびロイシンを除くアミノ酸および栄養分を含む)、アミノ酸を含まない6.7g/LのDifco(商標)の酵母窒素塩基、および0.380g/Lのロイシン。
[00194] SC−エタノール−HWU:2%(w/v)のエタノール、14g/LのSigma(商標)の合成ドロップアウト培地サプリメント(ヒスチジン、トリプトファン、ウラシル、およびロイシンを除くアミノ酸および栄養分を含む)、6.7g/LのDifco(商標)の酵母窒素塩基、および0.380g/Lのロイシン。
[00195] 上述した培地の固体版は、2%(w/v)の寒天を含有する。
菌株、プラスミドおよびプライマー配列
(実施例1)
K.ラクチスにおけるPDC欠失の構築および確認
[00196] この実施例の目的は、サッカロミセス・クラデのメンバー、クラブトリー陰性酵母、WGD前酵母K.ラクチスのPDC欠失バリアントの構築および確認方法を説明することである。
[00197] プラスミドpGV1537の構築:プラスミドpGV1537(配列番号1.1)を、以下の一連の工程によって構築した。pGV1537を生成するのに実施したすべてのPCR反応は、KODポリメラーゼ(Novagen, Inc., Gibbstown, NJ)および製造者による標準的な反応条件を使用した。2つのPCR反応の第1ラウンドを実施し、1つのPCR反応は、プライマー1006および1016を含み、鋳型としてK.ラクチス菌株GEVO1287由来のゲノムDNA約100ngを使用した。他方の第1ラウンドのPCR反応は、プライマー1017および1009、ならびに鋳型としてK.ラクチス菌株GEVO1287由来のゲノムDNA約100ngを含んでいた。2つの得られたPCR産物(それぞれサイズが約530bpおよび630bp)を、製造者の指示書に従って、Zymo ResearchのゲルDNA抽出キット(Zymo Research, Orange, CA)を使用してゲル精製し、水10μL中に溶出した。次いで、それぞれの溶出したPCR産物2(2)マイクロリットルを、KODポリメラーゼ触媒PCRの最終ラウンドの鋳型として使用し、このPCRは、プライマー1006と1009も含んでいた。得られた生成物を精製し(Zymo Research DNA Clean & Concentrate キット、Zymo Research, Orange, CA)、酵素MfeIおよびAatIIを用いて消化して完了し、得られた生成物ゲルを上述したように精製および溶出した。このDNAをベクターpGV1503中に連結し(図EX1−1)、これをEcoRIとAatIIを用いて消化し、子ウシアルカリホスファターゼで処理し、上述したようにゲル精製した。連結したDNAの形質転換から生じるコロニーを、制限消化分析によってスクリーニングし、プライマー838、1010、および1019を使用して、DNAシークエンシング反応によって確認した。連結および引き続く分析から得られる正しい組換えDNAを、pGV1537と命名した(図EX1−2)。
[00198] K.ラクチスKlpdc1Δ菌株の構築:菌株GEVO1287を、PmIIで消化した直線化プラスミドpGV1537を用いて形質転換した。形質転換は、Kooistraら(Kooistra, R., Hooykaas, P.J.J., and Steensman, H.Y. (2004) "Efficient gene targeting in Kluyveromyces lactis". Yeast 21:781-792)によって記載されているように、本質的に、直線化pGV1537約300ngを用いて、電気穿孔によって実施した。形質転換細胞は、0.2mg/mLのジェネテシン(G418)を含有するYPDプレート上に蒔くことによって選択した。形質転換から生じるコロニーは、YPDプレート上にコロニーをパッチングし、次いで5μM(最終濃度)の呼吸阻害剤アンチマイシンAを含有するYPD上へのレプリカ平板法によってさらに選択したが、これは、K.ラクチスのPdc変異体は、アンチマイシンAの存在下で、グルコース上で増殖することができず(Bianchi, M., et al., (1996). "The petite negative yeast Kluyveromyces lactis has a single gene expressing pyruvate decarboxylase activity". Molecular Microbiology 19(1):27-36)、したがって、この方法によって同定することができるためである。YPD+アンチマイシンA上にパッチングした83のG418耐性のコロニーのうち、6つのコロニー(約7%)は増殖することができず、したがって候補Klpdc1::pGV1537破壊菌株として同定した。
[00199] コロニーPCRによるK.ラクチスKlpdc1Δ菌株の確認:候補Klpdc1::pGV1537破壊菌株を、コロニーPCR分析によって確認した。確認するために、候補系統からのゲノムDNAを、以下の方法によって得た。少量(マッチ棒の先と等価)の酵母細胞を、0.2%のSDS 50μL中に再懸濁し、95℃まで6分間加熱した。懸濁液を遠心分離(30秒、16,000×g)によってペレット化し、上清1μLを、50μLのPCR反応における鋳型として使用した。標準的な成分に加えて、反応物は、1.5%の最終濃度のTriton X−100および5%の最終濃度のDMSOを含んでいた。使用された様々なプライマーセット、および予想された予想単位複製配列サイズを表EX1−1に示す。これらの分析によって、正しいKlpdc1Δ::pGV1537菌株を同定し、GEVO1742と命名した。
[00200] 発酵によるGEVO1742Klpdc1Δ::pGV1537の確認:KlPdc1p(Klpdc1Δ)を欠いているK.ラクチスの菌株は、グルコース上で増殖されるとき、著しく低いレベルのエタノールを産生することが示されている(Bianchi, M., et al., (1996). "The 'petite negative yeast Kluyveromyces lactis has a single gene expressing pyruvate decarboxylase activity". Molecular Microbiology 19(1):27-36)。この表現型を確認するために、菌株GEVO1287およびGEVO1742を用いた発酵を実施した。簡単に言えば、YPD中で増殖させた各菌株の飽和した一晩(3mL)培養物を、0.1の開始OD600で、YPD 25mL中に播種し、振盪機内のゆるく蓋をしたフラスコ中で、30℃、250rpmで24時間、好気的に増殖させた。増殖後、培養物2mLを採取し、細胞を遠心分離(5分、14,000×g)によってペレット化し、上清をガスクロマトグラフィーおよび液体クロマトグラフィーによる分析にかけた。これらの分析からのデータの概要を、表EX1−2に要約する。発酵培地中のエタノール産生の強い減少、およびピルビン酸の蓄積の増大は、PDC1が欠失されたK.ラクチス菌株の特徴である。したがって、これらの観察は、菌株GEVO1742は、実際にKlpdc1Δであるという分子遺伝学的結論を確認する。
(実施例2)
S.セレビシエにおけるPDC欠失の構築および確認
[00201] この実施例の目的は、サッカロミセス・センスストリクト酵母群、サッカロミセス酵母クラデのメンバー、クラブトリー陽性酵母、およびWGD後酵母、S.セレビシエのPDC欠失バリアントの構築および確認方法を説明することである。
[00202] 菌株GEVO1537およびGEVO1538は、1%の酢酸カリウム中で3〜4日間インキュベートし、これにより胞子形成が誘発される。得られたハプロイド胞子を、ランダムな胞子分析によって回収した。簡単に言えば、胞子形成細胞の培養物を顕微鏡で検査することによって、十分な画分の細胞が胞子形成したことを確認した(10%超)。胞子形成した細胞の培養物5(5)mLを、遠心分離(3000×gで5分)によって採取し、水1mLで1回洗浄した。細胞を水5mL中に再懸濁し、これに1mg/mLのザイモリエース−Tの溶液(新たに作製)(水中)0.5mL、ならびにβ−メルカプトエタノール10μLを加えた。この細胞懸濁液を、振盪機内で、50rpm、30℃で一晩インキュベートした。1.5%のTriton X−100 5mLを添加し、この混合物を氷上で15分間インキュベートした。この溶液を、50%の出力で、1サイクル当たり30秒間、3回超音波処理し、超音波処理リサイクル間に氷上で2分休止した。この懸濁液を遠心分離し(1200×g、5分)、水5mLで2回洗浄した。最終的な細胞ペレットを水1mL中に再懸濁し、細胞をYP+2%のEtOHに蒔いた。
[00203] この手順の後、別々の個々の胞子を、固体培地上に蒔くことによって、コロニー、すなわち遺伝子型HO pdc1::Tn5ble pdc5::Tn5ble pdc6:APT1 HlS3 LEU2 TRP1 URA3、および未知の接合型のすべてを得た。細胞の一部の画分は、HO+遺伝子状態、および得られる接合型転換、および二倍体を形成するための再接合のために、(ホモ接合)二倍体であった。
[00204] 想定されるPdcマイナスコロニーの接合型座位の遺伝子型は、MATa座位(プライマー#489および#491)またはMATα座位(プライマー#490および#491)に特異的なプライマーを使用する標準的な条件下で、Taq DNAポリメラーゼ(New England BioLabs, Ipswich, MA)を使用して、PCRによって確認した。2つの可能なプライマーセットのうちの一方で単一のPCR生成物を生成し、他方で試験したとき生成物をまったく生成しないコロニーは、想定されるハプロイドPdcマイナス菌株であった。接合型を確認するために、そのような菌株を、Gevo1187およびGevo1188(CEN.PK)に対して交配させた。得られた二倍体子孫を、グルコースを含有し(CEN.PKバックグラウンドによって導入されるPDC+遺伝子の存在について選択するため)、また以下の栄養分、すなわちヒスチジン、ロイシン、トリプトファン、またはウラシルのうちの少なくとも1つを欠いている(Gevo1537またはGEVO1538バックグラウンドに由来する対応する遺伝子の、野生型対立遺伝子によって提供されるような適切な原栄養性について選択するため)培地上で選択した。
[00205] 二倍体細胞を、YP+2%のエタノールを含有する寒天プレート上で胞子形成および出芽させた(Pdcマイナス分離株の増殖を可能にするため)。Pdcマイナス候補を同定するために、生存可能なコロニーをYPD寒天プレート上に画線し、グルコース上で生存不能であったコロニーを単離した。グルコース上で増殖することができないことにより、これらの候補がpdc1::bleおよびpdc5::bleであることが確認される。pdc6::apt1は、抗生物質G418を含有するYP+エタノールプレート上で増殖する能力が確認された。想定されるPdcマイナスコロニーの接合型座位の遺伝子型は、MATa座位(プライマー#489および#491)、またはMATα座位(プライマー#490および#491)に特異的なプライマーを使用する標準的な条件下で、Taq DNAポリメラーゼ(New England BioLabs, Ipswich, MA)を使用して、PCRによって確認した。PCR反応物の両方のセットに由来する生成物の存在は、活性なHOでコードされた酵素による接合型対立遺伝子転換の結果として、両方の接合型対立遺伝子が集団中に存在することを示した。MAT座位特異的なプライマーの一方のセットについてPCR生成物が存在し、他方については存在しないことは、この菌株は、この活性を欠き、したがってho−であることを示した。これらの分析に基づいて、6つの候補コロニーがho−菌株として同定され、1つの候補#4はHOであった。
[00206] これらのPdcマイナス菌株を、ロイシン、ヒスチジン、トリプトファン、またはウラシルのうちの1つを欠いているSC+エタノールプレートに画線することによって、これらの菌株内の栄養要求性突然変異の存在を判定した。1つのPdcマイナス菌株であるGEVO1581は、ヒスチジン、ウラシル、およびトリプトファンについて栄養要求性であり、したがって、3つのマーカー(his3、ura3、およびtrp1)を担持した。別のPdcマイナス菌株であるGEVO1715は、ウラシルおよびロイシンについて栄養要求性であり、したがって、2つのマーカー、すなわちura3およびleu2を担持した。
[00207] GEVO1581およびGEVO1715をRFLP分析によリスクリーニングすることによって、ho対立遺伝子の存在を立証した。HO座位の447bp部分を、プライマー1375および1376を使用して、ho対立遺伝子(H475L)において変化しているコドンを含んだPCRによって増幅した。この突然変異は、AluI制限部位を導入し、したがって、AluI(New England BioLabs, Ipswich, MA)を用いた消化により、447bpの断片(HO)または122bpの断片と325bpの断片(ho)を得た。RFLP分析に基づくと、GEVO1581はHOであり、GEVO1715はhoであった。
4つのすべての栄養要求性マーカーを有するPdcマイナス菌株を得るために、GEVO1715を、GEVO1188および上述したように生成した二倍体に対して交配させた。得られた二倍体を胞子形成させ、Pdcマイナス候補は、フレオマイシンおよびG418の両方を含有するYP+エタノール上に蒔くことによって単離した。これらの候補をYPD寒天プレート上に画線し、グルコース上での生存不能について試験した。グルコース上で増殖しなかったものをこの表現型として単離し、フレオマイシンおよびG418に対する耐性に加えて、これらの候補がpdc1::ble、pdc5::ble、およびpdc6::apt1であることを確認する。これらの分離株を、ロイシン、ヒスチジン、トリプトファン、またはウラシルのうちの1つを欠いているSC+エタノールプレート上に画線することによって、これらの菌株内での栄養要求性突然変異の存在を判定した。これらのPdcマイナス菌株の1つであるGEVO1584は、ヒスチジン、ウラシル、トリプトファンおよびロイシンについて栄養要求性であり、したがって、4つのすべてのマーカー、his3、ura3、trp1、およびleu2を担持した。GEVO1584はまた、上述したようにそれぞれコロニーPCRおよびRFLP分析によってMATaおよびhoであることが確認された。
(実施例3)
他のPdcマイナスS.セレビシエ菌株
[00208] PDC活性を欠くように操作されたS.セレビシエは、以前に記載されている(Flikweert, M.T., van der Zanden, L., Janssen, W.M.T.M, Steensma, H.Y., van Dijken J.P., Pronk J.T. (1996) Yeast 12(3):247-57)。そのような菌株はこれらの供給源から得ることができる。
(実施例4)
S.セレビシエPDC三重突然変異体のケモスタット展開
[00209] この実施例は、メンバーのサッカロミセス・センスストリクト酵母群、サッカロミセス・クラデ酵母、クラブトリー陽性、WGD後酵母、S.セレビシエのPDC欠失バリアントは、これが2炭素分子を必要とせず、グルコース上で親菌株と同様の増殖速度を有するように進化させることができることを実証する。
[00210] DasGip発酵槽容器を滅菌し、YNB(蒸留水1リットル当たり、Difco由来のアミノ酸を含まないYNB6.7gを含有する酵母窒素塩基、培地1リットル当たり以下のものを添加した:ヒスチジン0.076g、トリプトファン0.076g、ロイシン0.380g、および/またはウラシル0.076g;培地は、数滴のHCLまたはKOHを添加することによってpHを5に調整した)200mlで満たし、2%w/vのエタノールを含めた。容器を設置し、すべてのプローブをDasGipの指示書に従って較正した。この容器には、DasGipシステムのオフガス分析器、ならびに質量分析計も取り付けた。酸素、二酸化炭素、イソブタノール、およびエタノールのオンライン測定を、実験全体を通して行った。容器内部にあった2つのプローブは、すべての時点でpHおよび溶解酸素レベルを測定した。培地の入口および出口も容器上に設置した。出口管を200mlのレベルの真上の高さに配置し、ポンプ速度を最大に設定した。この配置は、容器内の体積を200mlを維持するのに役立った。すべての時点で1時間当たり12標準リットル(slph)で、空気を発酵槽中にスパージした。容器の温度を31.8℃で一定に保持し、撹拌速度を300rpmで維持した。CO、O、エタノールおよびイソブタノール濃度について、オフガスを分析した。オフガス中の二酸化炭素(XCO2)および酸素(XO2)レベルの量は、細胞の代謝的状態を評価するのに使用した。XCO2レベルの増加およびXO2レベルの減少は、増殖速度およびグルコース消費速度の増加を示した。エタノールレベルをモニターすることによって、他の酵母細胞、または突然変異体菌株の潜在的な復帰変異体からの汚染がまったくないことを保証したが、これは、S.セレビシエPDC三重突然変異体(GEVO1584)は、エタノールを産生しないためである。容器中の最低pHを5に設定し、ベース制御は、pHが5未満に低下したとき、容器中に水酸化カリウムを投入するように設定した。
[00211] GEVO1584を、炭素源として2% w/vのエタノールを含むYNB培地10mlに播種した。培養物を、振盪しながら30℃で一晩インキュベートした。この一晩培養物を使用してDasGip容器に播種した。最初に、容器をバッチ様式で有効にすることによって、高細胞密度を構築した。約3gCDW/Lの細胞バイオマスに到達したとき、容器をケモスタット様式に転換し、培養物の希釈を開始した。容器に投入した培地は、7.125g/Lのグルコースおよび0.375g/Lの酢酸(5%の炭素の等量)を含むYNBであった。初期希釈率を0.1h−1に設定したが、細胞密度が低下し始めた場合、希釈率を.025h−1に減少させることによって、ウォッシュアウトを回避した。GEVO1584は接合型aであった。実験をして数日後のケモスタット集団の接合型についてのPCRチェックは、依然として存在する菌株は接合型aであることを示した。
[00212] ケモスタット中の培養物は安定化され、希釈率は0.1h−1に増加した。0.1h−1の希釈率で定常状態に到達した後、酢酸の濃度は徐々に減少した。これは、勾配ポンピング(gradient pumping)スキームを有効に生じる、2ポンプシステムを使用することによって実現した。最初にポンプAは、7.125g/Lのグルコース、および0.6g/Lの酢酸を含むYNBを、12.5mL/hの速度でポンピングしており、ポンプCは、7.125g/Lのグルコースのみを含むYNBを7.5mL/hの速度でポンピングしていた。容器中に入る合わせた酢酸は、0.375g/Lであった。次いで、3週間の期間にわたって、ポンプAの速度を徐々に減少させ、ポンプCの速度を同じ量で増加させ、その結果、合わせた供給速度は、常に20mL/hであった。ポンプAの速度が3mL/h未満に低下したとき、培養物は、徐々にウォッシュアウトを開始した。完全なウォッシュアウトを回避するために、希釈率を0.1h−1から0.075h−1に減少させた(図EX4−1)。この希釈率で、ポンプAの速度は、最終的に0に低下し、進化した菌株は、グルコースのみで増殖することができた。約5週間の期間にわたって、容器から直接に、または流出物ラインから試料を時折取り出した。試料は、HPLCを使用して、グルコース、酢酸、およびピルビン酸について分析し、グルコースを含むYNB、エタノールを含むYNB、および負の対照としてYNB(ウラシルを含まない)とグルコースまたはエタノール上に蒔いた。ケモスタットから単離した菌株は、ウラシルを含まないYNBプレート上で増殖しなかった。OD600を定期的に測ることによって、ケモスタットがウォッシュアウトしていないことを確認した。菌株の将来の特徴づけのために、培養物の試料の凍結ストックを定期的に作製した。
[00213] 進化した菌株の増殖を特徴づけるために、YNB、YPD(酵母エキス、ペプトン、デキストロース)、およびYPE(酵母エキス、ペプトン、エタノール)を、様々な濃度のグルコースまたはエタノールとともに使用した。増殖の特徴づけは、スナップキャップ試験管または48ウェルプレート(7.5ml)中で実施した。スナップキャップ試験管は、空気が管を出入りするように完全には閉じず、48ウェルプレートは、空気透過性膜で覆うことによって酸素の移動を可能にした。汚染をチェックするために、YPDまたはYPE寒天プレートは、抗生物質G418およびフレオマイシンとともに使用した。PDC三重突然変異体菌株(GEVO1584)は、G418耐性マーカーおよびフレオマイシン耐性マーカーの両方を有し、したがって、その菌株の子孫は、抗生物質上で増殖することができた。各ケモスタット試料から単離した1つのコロニーを、増殖速度について試験した。35日目のケモスタット集団から単離した1つのコロニーを選択したが、その理由は、唯一の炭素源としてのグルコース上で高速で増殖するためであり、このコロニーは、G418およびフレオマイシンの両方に耐性であり、エタノールまたは酢酸を必要とすることなく増殖した。この1つのコロニーは、試験管中、YPD上で、30℃、250rpmの振盪で、24回の連続的なシリアル移動を通じてさらに進化させた。得られた菌株であるGEVO1863は、野生型酵母である親と同様にグルコースで増殖し(図EX4−2)、エタノールを産生せず(図EX4−3)、増殖のためにエタノールまたは酢酸を必要としなかった。
(実施例5)
PdcプラスK.ラクチスにおけるイソブタノール産生
[00214] この実施例では、サッカロミセス・クラデのメンバー、クラブトリー陰性、WGD前酵母、K ラクチスにおけるイソブタノール産生を実証する。
[00215] イソブタノール産生経路を、K.ラクチスベクターに基づく発現系:TEF1プロモーターを含有するSacI−MluI断片においてクローン化した。ラクトコッカス・ラクチスalsSおよびCYC1ターミネーター配列の一部を、K.ラクチス発現プラスミド、pGV1430の同じ部位中にクローン化することによって(図EX5−2)、pGV1472を生成した(図EX5−4、配列番号5-1)。TEF1プロモーター、大腸菌ilvD、TDH3プロモーター、大腸菌ilvC、およびCYC1ターミネーターの一部を含有するSacI−MluI断片を、K.ラクチス発現プラスミド、pGV1429の同じ部位中にクローン化することによって(図EX5−1)、pGV1473を生成した(図EX5−5、配列番号5.2)。TEF1プロモーター、L.ラクチスkivD、TDH3プロモーターおよびS.セレビシエADH7を含有するBssHII−NotI断片。ScAdh7を、K.ラクチス発現プラスミド、pGV1431中にクローン化することによって(図EX5−3)、pGV1475を得た(図EX5−6、配列番号5.3)。
[00216] K.ラクチス菌株GEVO1287を、上記プラスミドのpGV1472、pGV1473、およびpGV1475を用いて形質転換することによって(表EX5−1)、イソブタノール経路を発現させた。対照として、K.ラクチス GEVO1287も、空のベクターのpGV1430、pGV1429、およびpGVI431を用いて形質転換した(表EX5−1)。
[00217] 形質転換細胞を一晩増殖させ、SC−WLU培地20mLを使用して100mLの発酵瓶に移した。GC分析のために、試料2mLを24時間および48時間に採取した。各時点で、GC分析のために試料を取り出した後、20%のグルコース2mLを添加した。48時間で発酵を終了した。GC試料を記載されているように処理した。結果を表EX5−2に示す。48時間で、イソブタノール経路で形質転換されたK.ラクチスにおいて、最大0.25g/Lのイソブタノールが産生されたが、経路を有さない対照菌株は、0.022g/Lのみを産生した。
[00218] イソブタノール力価を、リッチな複合培地を使用することによって増大させることができるかどうかを判定するために、SC−WLU培地の代わりにYPDを使用して、iB165(ベクターのみの対照)およびiB173を用いて、上述したように発酵を実施した。さらに、発酵はまた250mLのスクリューキャップフラスコ(微好気性条件)および125mLの金属キャップフラスコ(好気性条件)内で実施した。試料を24、48、および72で採取し、得られたイソブタノールレベルを表EX5−3に示す。
(実施例6)
PdcプラスS.セレビシエにおけるイソブタノール産生
[00219] この実施例では、サッカロミセス・センスストリクト群、サッカロミセス・クラデのメンバー、クラブトリー陽性、WGD後酵母、S.セレビシエにおけるイソブタノール産生を実証する。
[00220] イソブタノール産生経路を担持する様々なプラスミドを、S.セレビシエのPdcプラスバリアントのGEVO1187においてこの代謝経路を発現させるために構築した。プラスミドpGV1254(図EX6−1;配列番号6.6)、pGV1295(図EX6−2;配列番号6.7)、pGV1390(図EX6−3;配列番号6.8)、およびpGV1438(図EX6−4;配列番号6.9)は、イソブタノール経路の5つの遺伝子を一緒に発現した高コピーS.セレビシエプラスミドであった(表EX6−1)。pGV1390は、L.ラクチスalsSを含有するSalI−BamHI断片(配列番号6.1)を、高コピーS.セレビシエ発現プラスミドのpGV1387中にクローン化することによって生成し、この場合L.ラクチスalsSは、CUP1プロモーター下で発現される。pGV1295は、大腸菌ilvCを含有するSalI−BamHI断片(配列番号6.2)を、高コピーS.セレビシエ発現プラスミドのpGV1266中にクローン化することによって生成し、この場合大腸菌ilvCは、TDH3プロモーターを使用して発現される。pGV1438は、大腸菌ilvDを含有するSalI−BamHI断片(配列番号6.3)を、高コピーS.セレビシエ発現プラスミドのpGV1267中にクローン化することによって生成し、この場合、大腸菌ilvDは、TDH3プロモーターを使用して発現される。pGV1254は、TDH3プロモーターおよびpGV1241に由来するS.セレビシエADH2を含有する、EcoRI(クレノウポリメラーゼ処理によって満たした)−XhoI断片を、pGV1186のBamHI(クレノウによって満たした)およびXhoI部位中にクローン化することによって作製した。pGV1186は、L.ラクチスkivDを含有するSalI−BamHI断片(配列番号6.4)を、高コピーS.セレビシエ発現プラスミドのpGV1102中にクローン化することによって作製し、この場合、L.ラクチスkivDは、TEF1プロモーターを使用して発現される。pGV1241は、S.セレビシエADH2を含有するSalI−BamHI断片(配列番号6.5)を、高コピーS.セレビシエ発現プラスミドのpGV1106中にクローン化することによって作製し、この場合、S.セレビシエADH2は、TDH3プロモーターを使用して発現される。
[00221] GEVO1187は、表EX6−1に示すように、プラスミドを用いて形質転換した。欠損したイソブタノール経路対照として、pGV1390の代わりにpGV1056(図EX8−1、空のベクター対照)を用いて細胞を形質転換した。形質転換体を適切な選択プレート上に蒔いた。形質転換からの1つのコロニーを単離し、発酵によるイソブタノール産生について試験した。
[00222] 細胞を一晩増殖させ、嫌気性のバッチ発酵を、一般的な方法において記載されているように実施した。SC−HWULを培地として使用した。GCのために、24、48、および72時間に、試料2mLを採取した。各時点で、培養物に40%のグルコース溶液2mLを供給した。発酵は、72時間後に終了した。試料を記載されたように処理および分析した。結果を表EX6−2に示す。示したように、イソブタノール経路を含有するプラスミドを用いて形質転換したGEVO1187においてイソブタノールが産生された。
[00223] この実施例では、サッカロミセス・クラデのPdcマイナスメンバー、クラブトリー陰性、WGD前酵母、K.ラクチスにおけるイソブタノール産生を実証する。
[00224] プラスミドpGV1590、pGV1726、pGV1727の説明:pGV1590(図EX7−1、配列番号7.1)は、L.ラクチスkivD(TEF1プロモーター下)およびS.セレビシエADH7(TDH3プロモーター下)を発現させるのに使用されるK.ラクチス発現プラスミドである。このプラスミドは、K.マルキシアヌスURA3遺伝子およびK.ラクチスにおいてDNA複製を可能にする1.6ミクロン複製起点も担持する。pGV1726(図EX7−2、配列番号7.2)は、TRP1マーカーを担持し、CUP1プロモーターを使用してB.スブチリスalsSを発現する酵母組込みプラスミドである。pGV1727(図EX7−3、配列番号7.3)は、LEU2マーカーを担持し、TEF1プロモーター下で大腸菌ilvDおよびTDH3プロモーター下で大腸菌ilvCを発現する酵母組込みプラスミドである。pGV1726もpGV1727も酵母複製起点を担持しない。
[00225] GEVO1829、組み込まれた経路を有するK.ラクチス菌株の構築:イソブタノール経路を、経路遺伝子のランダム組込みによってPdcマイナスK.ラクチス菌株GEVO1742中に導入した。L.ラクチスkivdおよびS.セレビシエADH7を含有するが、酵母複製起点を含まない、pGV1590のAcc65I−NgoMIV断片を用いてGEVO1742を形質転換することによって、GEVO1794を生成した。L.ラクチスkivdおよびS.セレビシエADH7の両方の存在は、それぞれプライマーセットの1334+1335および1338+1339を使用してコロニーPCRによって確認した。pGV1727、すなわち大腸菌ilvD(TEF1プロモーター下)および大腸菌ilvC(TDH3プロモーター下)を担持する酵母組込みプラスミドを用いてGEVO1794形質転換し、このプラスミドは、BcgIを用いて消化することによって直線化されていた。得られた菌株であるGEVO1818は、それぞれ、プライマーセットの1330+1331および1325+1328を使用して、大腸菌ilvDおよび大腸菌ilvCの存在についてのコロニーPCRによって確認した。次いでGEVO1818は、AhdIを用いて消化することにって直線化されていた、pGV1726、すなわちB.スブチリスalsS(CUP1プロモーター下)を担持する酵母組込みプラスミドを用いて形質転換することによって、GEVO1829を生成した。B.スブチリスalsSの存在は、プライマー1321+1324を使用してコロニーPCRによって確認した。
[00226] 好気性発酵を実施することによって、イソブタノール経路を担持するPdcマイナス菌株、GEVO1829によるイソブタノール産生を試験した。イソブタノール経路を有さないPdcマイナス菌株、GEVO1742を対照として使用した。これらの菌株を、30℃、250rpmで一晩YPD中で培養し、次いで125mLのフラスコ中の新鮮なYPD20mL中に希釈し、30℃、250rpmで増殖させた。24時間および48時間に試料2mLを採取し、細胞を14,000×gで5分間ペレット化し、上清を、GCによってイソブタノールについて分析した。さらに、グルコース濃度をLCによって分析した。結果を表EX7−1に示す。48時間で、GEVO1742菌株のODは、8.5超に到達していたが、GEVO1829のODは、5未満であった。GEVO1829は、約15.7g/Lのグルコースを消費した一方で、GEVO1742は、おおよそ7.7g/Lのグルコースのを消費した。GEVO1829は、0.17g/Lのイソブタノールを産生した一方で、GEVO1742は、培地のバックグラウンドを超えてイソブタノールを産生しなかった。
(実施例8A)
PdcマイナスS.セレビシエ GEVO1581におけるイソブタノール産生
[00227] この実施例では、サッカロミセス・センスストリクト群、サッカロミセス・クラデ酵母のPdcマイナスメンバー、クラブトリー陽性酵母、WGD後酵母、S.セレビシエにおけるイソブタノール産生を実証する。
[00228] 欠失されたPDC活性をコードする3つの遺伝子(pdc1Δ、pdc5Δ、およびpdc6Δ)を有する菌株GEVO1581を使用することによって、イソブタノールを産生させた。イソブタノール経路酵素は、3つのプラスミド中にクローン化された遺伝子によってコードされた。pGV1103(図EX8−4、配列番号8.4)、pGV1104(図EX8−5、配列番号8.5)およびpGV1106(図EX8−6、配列番号8.6)は、マーカー遺伝子として、それぞれ、URA3、HIS3、およびTRP1を担持する空の高コピー発現ベクターであった。CUP1プロモーターを使用して発現するB.スブチリスalsS遺伝子は、低コピーCENプラスミド、pGV1673(図EX8−10、配列番号8.10)、または高コピープラスミド、pGV1649(図EX8−7、配列番号8.7)上でコードされた。これらのプラスミドの両方は、マーカー遺伝子としてTRP1を使用した。大腸菌ilvD(TEF1プロモーターを使用して発現される)および大腸菌ilvC(TDH3プロモーターを使用して発現される)は、高コピープラスミドpGV1677(図EX8−11、配列番号8.11)から発現された。このプラスミドは、マーカー遺伝子としてHIS3を利用した。L.ラクチスkivd(TEF1プロモーターを使用して発現される)およびS.セレビシエADH7(TDH3プロモーターを使用して発現される)は、高コピープラスミドpGV1664(図EX8−8、配列番号8.8)から発現された。このプラスミドは、マーカー遺伝子としてURA3を利用した。イソブタノール経路を再構成するためのこれらのプラスミドの組合せ(表EX8−1)を、酢酸リチウム形質転換(一般的な方法において記載されている)によってGEVO1581中に導入した。
[00229] 表EX8−1によるプラスミドで形質転換されたGEVO1581を用いて発酵実験を実施することによって、産生されたイソブタノールの量(力価)、および消費されたグルコースに対するイソブタノールの割合(収率)を求めた。
[00230] GEVO1581の形質転換体を用いた発酵:既知組成(SC−エタノール)培地3mL中で増殖させた細胞を使用して、培養物20mLにGEVO1581の形質転換体を播種して(1形質転換セット当たり3つの独立したコロニー)、約0.1のOD600にした。培養物を、約1のOD600に到達するまで、125mLの金属キャップフラスコ中で、30℃、250RPMでインキュベートした。グルコースを5%の最終濃度まで添加し、各試料(T=0試料)からアリコート2mLを取り出した。各試料のOD600を測定し、各試料中の細胞を遠心分離(14,000×g、5分)によってペレット化し、各試料からの上清を−20℃で貯蔵した。残存する培養物を、30℃、125RPMで、さらに48時間インキュベートした。試料(2mL)を24時間および48時間後に取り出し、ちょうど説明したように調製した。試料を解凍し、一般的な方法に記載されているように調製した。3つの個々の形質転換体は、発酵の間のプラスミドの各セットのために使用した。48時間後に消費されたグルコースの量、および産生されたピルビン酸、グリセロール、エタノール、およびイソブタノールの量を表EX8A−2に列挙する。
再び、既知組成(SC−エタノール)培地3mL中で増殖させた細胞を使用して、培養物20mLにGEVO1581の形質転換体を播種して、約0.1のOD600にした。培養物を、約1のOD600に到達するまで、125mLの金属キャップフラスコ中で、30℃、250RPMでインキュベートした。バイオマスをペレット化し、唯一の炭素源として2%のグルコースを含む培地20ml中で再懸濁し、各試料(T=0試料)からアリコート2mLを取り出した。各試料のOD600を測定し、各試料を−20℃で貯蔵した。残存する培養物を、30℃、125RPMで、さらに48時間インキュベートした。試料(2mL)を24時間および48時間後に取り出し、−20℃で貯蔵した。試料を解凍し、一般的な方法に記載されているように調製した。48時間後に産生されたエタノールおよびイソブタノールの量を表EX8A−3に列挙する。
(実施例8B)
PdcマイナスS.セレビシエGEVO1584におけるイソブタノール産生
[00231] この実施例では、サッカロミセス・センスストリクト群、サッカロミセス・クラデのPdcマイナスメンバー、クラブトリー陽性酵母、WGD酵母、S.セレビシエにおけるイソブタノール産生を実証する。
[00232] GEVO1581は二倍体菌株であり、したがってCEN.PKバックグラウンド中へのPdcマイナス酵母の第2の戻し交配を実施し、プラスミド増殖のために必要とされる栄養要求性マーカーを含むPdcマイナスハプロイド菌株GEVO1584を得た。
[00233] GEVO1584の形質転換:酢酸リチウム形質転換(一般的な方法において記載されている)を使用して、プラスミドの以下の組合せをGEVO1584中に形質転換し(表EX8B−1)、その後適切な最少培地上で選択した。pGV1672(図EX8−9、配列番号8.9)、pGV1056(図EX8−1、配列番号8.1)、およびpGV1062(図EX8−2、配列番号8.2)は、マーカー遺伝子としてTRP1、HIS3、およびURA3を担持する空の低コピーCEN発現ベクターであった。pGV1103(図EX8−4、配列番号8.4)、pGV1104(図EX8−5、配列番号8.5)、およびpGV1102(図EX8−3、配列番号8.3)は、それぞれ、マーカー遺伝子として、URA3、HIS3およびTRP1を担持する空の高コピー発現ベクターであった。イソブタノール経路は、低コピーCENプラスミド、pGV1673(図EX8−10、配列番号8.10)、pGV1679(図EX8−12、配列番号8.12)、およびpGV1683(図EX8−13、配列番号8.13)から発現された。pGV1673は、CUP1プロモーター下でB.スブチリスalsSを担持し、TRP1マーカー遺伝子を利用した。pGV1679は、それぞれTEF1およびTDH3プロモーターを使用して発現された、大腸菌ilvDおよび大腸菌ilvC遺伝子を担持し、HIS3マーカー遺伝子を利用した。pGV1683は、それぞれTEF1およびTDH3プロモーターを使用して発現された、L.ラクチスkivdおよびS.セレビシエADH7遺伝子を担持し、URA3マーカー遺伝子を利用した。イソブタノール経路は、高コピープラスミドpGV1649(図EX8−7、配列番号8.7)、pGV1677(図EX8−11、配列番号8.11)、およびpGV1664(図EX8−8、配列番号8.8)からも発現された。pGV1649は、CUP1プロモーター下でB.スブチリスalsSを担持し、TRP1マーカー遺伝子を利用した。pGV1677は、それぞれTEF1およびTDH3プロモーターを使用して発現された、大腸菌ilvDおよび大腸菌ilvC遺伝子を担持し、HIS3マーカー遺伝子を利用した。pGV1664は、それぞれTEF1およびTDH3プロモーターを使用して発現された、L.ラクチスkivdおよびS.セレビシエADH7遺伝子を担持し、URA3マーカー遺伝子を利用した。
[00234] GEVO1584の形質転換体を用いた発酵:エタノールを含有する既知組成(SC)培地(SC+エタノール−HWU)3mL中で増殖させた細胞を使用して、培養物200mLにGEVO1584の形質転換体を播種し、500mLの振盪フラスコ内で、SC+エタノール−HWU中、30℃、250RPMで72時間インキュベートした。72時間後に測定したOD600値は、1.4〜3.5の範囲であった。培養物を、新鮮なSC+エタノール−HWU培地250mL中に1:10で希釈し、500mLの振盪内で、30℃、250RPMで24時間インキュベートした。3000RPMで3分間遠心分離することによって細胞を収集し、125mLの金属キャップフラスコ内のSC+グルコース−HWU培地20mL中に再懸濁した。100%のエタノール250μLを各培養物に添加することによって、エタノール濃度を1%にした。アリコート2mLを取り出し、100μLを使用してOD600を測定し、残りのアリコートを遠心分離してペレット細胞にし(14,000×g、5分)、上清を−20℃で貯蔵した。培養物を125rpm、30℃でインキュベートした。インキュベーションの24時間および48時間後に各培養物からアリコート2mLを取り出し、OD600を以前と同様に測定し(表3、t=24およびt=48を参照)、試料を上述したように遠心分離し、貯蔵した。試料を解凍し、一般的な方法において記載されているように、GCおよびHPLCによって、試料を調製および分析した。結果を表EX8B−2に示す。
[00235] すべてのPdcマイナス酵母(GEVO1584)は、48時間のインキュベーション後に約10g/Lのグルコースおよび2g/L未満のエタノールを消費した(図1、AおよびB)。2μプラスミド上にイソブタノール経路を担持するものを除いて(0.5g/L未満)、すべての菌株は約1.5g/Lのピルビン酸を蓄積した。ピルビン酸の蓄積、および酵母がグルコースからエタノールを産生できないことにより、すべてがPDC活性を欠如されていることが確認される。48時間後、2μプラスミド上でコードされたイソブタノール経路を有するPdcマイナス酵母は、消費されたグルコースの6.36%の理論収率的収率で、0.248±0.032g/Lのイソブタノールを産生した(表EX8B−2)。CENプラスミドイソブタノール経路菌株は、10.27%の収率で0.392±0.087g/Lのイソブタノールを産生した(表EX8B−2)。イソブタノール力価は、等量のベクター対照菌株の十分上であった。

Claims (130)

  1. イソブタノールを製造する方法であって、
    イソブタノール産生代謝経路を含む組換え微生物を提供する工程であって、前記微生物は、理論収率の少なくとも5パーセントの収率で炭素源からイソブタノールを産生するものが選択される、工程と、
    回収可能な量のイソブタノールが産生されるまで、前記炭素源を提供する供給原料を含有する培地中で前記微生物を培養する工程と、
    イソブタノールを回収するステップと
    を含む方法。
  2. 前記微生物は、理論収率の約10パーセント超の収率でイソブタノールを産生するものが選択される、請求項1に記載の方法。
  3. 前記微生物は、理論収率の約20パーセント超の収率でイソブタノールを産生するものが選択される、請求項1に記載の方法。
  4. 前記微生物は、理論収率の約50パーセント超の収率でイソブタノールを産生するものが選択される、請求項1に記載の方法。
  5. 前記組換え微生物が、親微生物と比較して、ピルビン酸脱炭酸酵素(PDC)活性が低減するように操作されている、請求項1に記載の方法。
  6. 前記組換え微生物が、少なくとも1つのピルビン酸脱炭酸酵素(PDC)遺伝子において突然変異を含み、前記遺伝子によってコードされるポリペプチドのピルビン酸脱炭酸酵素活性の低減を生じている、請求項5に記載の方法。
  7. 前記組換え微生物が、ピルビン酸脱炭酸酵素(PDC)遺伝子の部分的な欠失を含み、前記遺伝子によってコードされるポリペプチドのピルビン酸脱炭酸酵素活性の低減を生じている、請求項5に記載の方法。
  8. 前記組換え微生物が、ピルビン酸脱炭酸酵素(PDC)遺伝子の完全な欠失を含み、前記遺伝子によってコードされるポリペプチドのピルビン酸脱炭酸酵素活性の低減を生じている、請求項5に記載の方法。
  9. 前記組換え微生物が、少なくとも1つのピルビン酸脱炭酸酵素(PDC)遺伝子に関連した調節領域の改変を含み、前記遺伝子によってコードされるポリペプチドのピルビン酸脱炭酸酵素活性の低減を生じている、請求項5に記載の方法。
  10. 前記組換え微生物が、転写制御因子の改変を含み、ピルビン酸脱炭酸酵素遺伝子転写の低減を生じている、請求項5に記載の方法。
  11. 前記組換え微生物が、すべてのピルビン酸脱炭酸酵素(PDC)遺伝子において突然変異を含み、前記遺伝子によってコードされるポリペプチドのピルビン酸脱炭酸酵素活性の低減を生じている、請求項5に記載の方法。
  12. 前記組換え微生物が、ピルビン酸をイソブタノールに変換するための異種の代謝経路を発現するようにさらに操作されている、請求項5に記載の方法。
  13. 前記組換え微生物が、ピルビン酸をイソブタノールに変換するための天然代謝経路の活性を増大させるようにさらに操作されている、請求項5に記載の方法。
  14. 前記組換え微生物が、ピルビン酸をイソブタノールに変換するための代謝経路を発現するようにさらに操作されており、前記微生物が、異種遺伝子によってコードされる少なくとも1つの酵素、および天然遺伝子によってコードされる少なくとも1つの酵素を含む、請求項5に記載の方法。
  15. 前記組換え微生物は、ピルビン酸をイソブタノールに変換するための天然代謝経路を含むものが選択される、請求項5に記載の方法。
  16. 前記微生物がサッカロミセス・クラデの酵母微生物である、請求項1に記載の方法。
  17. 前記酵母微生物は、理論収率の約10パーセント超の収率でイソブタノールを産生するものが選択される、請求項16に記載の方法。
  18. 前記酵母微生物は、理論収率の約20パーセント超の収率でイソブタノールを産生するものが選択される、請求項16に記載の方法。
  19. 前記組換え酵母微生物は、理論収率の約50パーセント超の収率でイソブタノールを産生するものが選択される、請求項16に記載の方法。
  20. 前記組換え酵母微生物が、親生物と比較して、ピルビン酸脱炭酸酵素(PDC)活性が低減するように操作されている、請求項16に記載の方法。
  21. 前記組換え酵母微生物が、少なくとも1つのピルビン酸脱炭酸酵素(PDC)遺伝子において突然変異を含み、前記遺伝子によってコードされるポリペプチドのピルビン酸脱炭酸酵素活性の低減を生じている、請求項20に記載の方法。
  22. 前記組換え酵母微生物が、ピルビン酸脱炭酸酵素(PDC)遺伝子の部分的な欠失を含み、前記遺伝子によってコードされるポリペプチドのピルビン酸脱炭酸酵素活性の低減を生じている、請求項20に記載の方法。
  23. 前記組換え酵母微生物が、ピルビン酸脱炭酸酵素遺伝子の完全な欠失を含み、前記遺伝子によってコードされるポリペプチドのピルビン酸脱炭酸酵素活性の低減を生じている、請求項20に記載の方法。
  24. 前記組換え酵母微生物が、少なくとも1つのピルビン酸脱炭酸酵素遺伝子に関連した調節領域の改変を含み、前記遺伝子によってコードされるポリペプチドのピルビン酸脱炭酸酵素活性の低減を生じている、請求項20に記載の方法。
  25. 前記組換え酵母微生物が、転写制御因子の改変を含み、ピルビン酸脱炭酸酵素遺伝子転写の低減を生じている、請求項20に記載の方法。
  26. 前記組換え酵母微生物が、すべてのピルビン酸脱炭酸酵素(PDC)遺伝子において突然変異を含み、前記遺伝子によってコードされるポリペプチドのピルビン酸脱炭酸酵素活性の低減を生じる、請求項20に記載の方法。
  27. 前記組換え酵母微生物が、ピルビン酸をイソブタノールに変換するための異種の代謝経路を発現するようにさらに操作されている、請求項20に記載の方法。
  28. 前記組換え酵母微生物が、ピルビン酸をイソブタノールに変換するための天然代謝経路の活性を増大させるようにさらに操作されている、請求項20に記載の方法。
  29. 前記組換え酵母微生物が、ピルビン酸をイソブタノールに変換するための代謝経路を発現するようにさらに操作されており、前記経路が、異種遺伝子によってコードされる少なくとも1つの酵素、および天然遺伝子によってコードされる少なくとも1つの酵素を含む、請求項20に記載の方法。
  30. 前記組換え酵母微生物は、ピルビン酸をイソブタノールに変換するための天然代謝経路を含むものが選択される、請求項20に記載の方法。
  31. 前記組換え酵母微生物が、PDC活性の変化を伴うことなく、親微生物の増殖速度と実質的に等価な増殖速度で、C2化合物とは無関係に、グルコース上で増殖する、請求項20に記載の方法。
  32. 前記微生物がサッカロミセス・センスストリクト酵母微生物である、請求項1に記載の方法。
  33. サッカロミセス・センスストリクト酵母微生物が、以下の種、すなわち、S.セレビシアエ、S.セレビシアエ、S.クドリアブゼビイ、S.ミカタエ、S.バヤヌス、S.ウバルム、S.カロカニス、またはこれらのハイブリッドのうちの1つから選択される、請求項32に記載の方法。
  34. 前記微生物は、理論収率の約10パーセント超の収率でイソブタノールを産生するものが選択される、請求項32に記載の方法。
  35. 前記微生物は、理論収率の約20パーセント超の収率でイソブタノールを産生するものが選択される、請求項32に記載の方法。
  36. 前記微生物は、理論収率の約50パーセント超の収率でイソブタノールを産生するものが選択される、請求項32に記載の方法。
  37. 前記組換え酵母微生物は、ピルビン酸脱炭酸酵素(PDC)活性が低減されている、請求項32に記載の方法。
  38. 前記組換え酵母微生物が、少なくとも1つのピルビン酸脱炭酸酵素(PDC)遺伝子において突然変異を含み、前記遺伝子によってコードされるポリペプチドのピルビン酸脱炭酸酵素活性の低減を生じている、請求項37に記載の方法。
  39. 前記組換え酵母微生物が、すべてのピルビン酸脱炭酸酵素(PDC)遺伝子において突然変異を含み、前記遺伝子によってコードされるポリペプチドのピルビン酸脱炭酸酵素活性の低減を生じている、請求項37に記載の方法。
  40. 前記組換え酵母微生物が、ピルビン酸脱炭酸酵素遺伝子の部分的な欠失を含み、前記遺伝子によってコードされるポリペプチドのピルビン酸脱炭酸酵素活性の低減を生じている、請求項37に記載の方法。
  41. 前記組換え酵母微生物が、ピルビン酸脱炭酸酵素遺伝子の完全な欠失を含み、前記遺伝子によってコードされるポリペプチドのピルビン酸脱炭酸酵素活性の低減を生じている、請求項37に記載の方法。
  42. 前記組換え酵母微生物が、少なくとも1つのピルビン酸脱炭酸酵素遺伝子に関連した調節領域の改変を含み、前記遺伝子によってコードされるポリペプチドのピルビン酸脱炭酸酵素活性の低減を生じている、請求項37に記載の方法。
  43. 前記組換え酵母微生物が、転写制御因子の改変を含み、ピルビン酸脱炭酸酵素遺伝子転写の低減を生じている、請求項37に記載の方法。
  44. 前記組換え酵母微生物が、ピルビン酸をイソブタノールに変換するための異種の代謝経路を発現するように操作されている、請求項37に記載の方法。
  45. 前記組換え酵母微生物が、ピルビン酸をイソブタノールに変化するための天然代謝経路の活性を増大させるように操作されている、請求項37に記載の方法。
  46. 前記組換え酵母微生物が、ピルビン酸をイソブタノールに変換するための代謝経路を発現するように操作されており、前記代謝経路が、異種遺伝子によってコードされる少なくとも1つの酵素、および天然遺伝子によってコードされる少なくとも1つの酵素を含む、請求項37に記載の方法。
  47. 前記組換え酵母微生物は、ピルビン酸をイソブタノールに変換するための天然代謝経路を含むものが選択される、請求項37に記載の方法。
  48. 前記組換え酵母微生物が、PDC活性の変化を伴うことなく、親微生物の増殖速度と実質的に等価な増殖速度で、C2化合物とは無関係に、グルコース上で増殖する、請求項37に記載の方法。
  49. 前記酵母微生物がクラブトリー陽性酵母微生物である、請求項1に記載の方法。
  50. 前記クラブトリー陽性酵母微生物が、サッカロミセス属、クルイベロミセス属、ジゴサッカロミセス属、デバリオミセス属、ピキア属またはシゾサッカロミセス属のうちの1つから選択される、請求項49に記載の方法。
  51. 前記クラブトリー陽性酵母微生物が、サッカロミセス・セレビシアエ、サッカロミセス・ウバルム、サッカロミセス・バヤヌス、サッカロミセス・パラドキサス、サッカロミセス・カステリ、サッカロミセス・クルイベリ、クルイベロミセス・サーモトレランス、カンジダ・グラブラタ、Z.バイリ、Z.ロウキシイ、デバリオミセス・ハンセニイ、ピキア・パストリウス、スキゾサッカロミセス・ポンベ、またはサッカロミセス・ウバルムから選択される、請求項49に記載の方法。
  52. 前記酵母微生物は、理論収率の約10パーセント超の収率でイソブタノールを産生するものが選択される、請求項49に記載の方法。
  53. 前記酵母微生物は、理論収率の約20パーセント超の収率でイソブタノールを産生するものが選択される、請求項45に記載の方法。
  54. 前記酵母微生物は、理論収率の約50パーセント超の収率でイソブタノールを産生するものが選択される、請求項49に記載の方法。
  55. 前記酵母微生物が、親微生物と比較して、ピルビン酸脱炭酸酵素(PDC)活性が低減するように操作されている、請求項49に記載の方法。
  56. 前記組換え酵母微生物が、少なくとも1つのピルビン酸脱炭酸酵素(PDC)遺伝子において突然変異を含む、請求項55に記載の方法。
  57. 前記組換え酵母微生物が、すべてのピルビン酸脱炭酸酵素(PDC)遺伝子において突然変異を含み、前記遺伝子によってコードされるポリペプチドのピルビン酸脱炭酸酵素活性の低減を生じている、請求項55に記載の方法。
  58. 前記組換え酵母微生物が、ピルビン酸脱炭酸酵素遺伝子の部分的な欠失を含み、前記遺伝子によってコードされるポリペプチドのピルビン酸脱炭酸酵素活性の低減を生じている、請求項55に記載の方法。
  59. 前記組換え酵母微生物が、ピルビン酸脱炭酸酵素遺伝子の完全な欠失を含み、前記遺伝子によってコードされるポリペプチドのピルビン酸脱炭酸酵素活性の低減を生じている、請求項55に記載の方法。
  60. 前記組換え酵母微生物が、少なくとも1つのピルビン酸脱炭酸酵素遺伝子に関連した調節領域の改変を含み、前記遺伝子によってコードされるポリペプチドのピルビン酸脱炭酸酵素活性の低減を生じている、請求項55に記載の方法。
  61. 前記組換え微生物が、転写制御因子の改変を含み、ピルビン酸脱炭酸酵素遺伝子転写の低減を生じている、請求項55に記載の方法。
  62. 前記組換え酵母微生物が、ピルビン酸をイソブタノールに変換するための異種の代謝経路を発現するように操作されている、請求項55に記載の方法。
  63. 前記組換え酵母微生物が、ピルビン酸をイソブタノールに変換するための天然代謝経路の活性を増大させるように操作されている、請求項55に記載の方法。
  64. 前記組換え酵母微生物が、ピルビン酸をイソブタノールに変換するための代謝経路を発現するように操作されており、前記代謝経路が、異種遺伝子によってコードされる少なくとも1つの酵素、および天然遺伝子によってコードされる少なくとも1つの酵素を含む、請求項55に記載の方法。
  65. 前記組換え酵母微生物が、PDC活性の変化を伴うことなく、親微生物の増殖速度と実質的に等価な増殖速度で、C2化合物とは無関係に、グルコース上で増殖する、請求項55に記載の方法。
  66. 前記組換え微生物が、ピルビン酸をイソブタノールに変換するための天然代謝経路を含むように選択される、請求項55に記載の方法。
  67. 前記微生物がWGD(whole genome duplication;全ゲノム重複)後酵母である、請求項1に記載の方法。
  68. 前記WGD後酵母が、サッカロミセス属またはカンジダ属のうちの1つから選択される、請求項67に記載の方法。
  69. 前記WGD後酵母が、サッカロミセス・セレビシエ、サッカロミセス・ウバルム、サッカロミセス・バヤヌス、サッカロミセス・パラドキサス、サッカロミセス・カステリ、およびカンジダ・グラブラタから選択される、請求項67に記載の方法。
  70. 前記酵母微生物は、理論収率の約10パーセント超の収率でイソブタノールを産生するものが選択される、請求項67に記載の方法。
  71. 前記酵母微生物は、理論収率の約20パーセント超の収率でイソブタノールを産生するものが選択される、請求項7に記載の方法。
  72. 前記酵母微生物は、理論収率の約50パーセント超の収率でイソブタノールを産生するものが選択される、請求項67に記載の方法。
  73. 前記酵母微生物は、親微生物と比較して、ピルビン酸脱炭酸酵素(PDC)活性が低減されている、請求項67に記載の方法。
  74. 前記組換え酵母微生物が、少なくとも1つのピルビン酸脱炭酸酵素(PDC)遺伝子において突然変異を含み、前記遺伝子のピルビン酸脱炭酸酵素活性の低減を生じている、請求項73に記載の方法。
  75. 前記組換え酵母微生物が、すべてのピルビン酸脱炭酸酵素(PDC)遺伝子において突然変異を含み、前記遺伝子のピルビン酸脱炭酸酵素活性の低減を生じる、請求項73に記載の方法。
  76. 前記組換え酵母微生物が、ピルビン酸脱炭酸酵素遺伝子の部分的な欠失を含み、前記遺伝子によってコードされるポリペプチドのピルビン酸脱炭酸酵素活性の低減を生じている、請求項73に記載の方法。
  77. 前記組換え酵母微生物が、ピルビン酸脱炭酸酵素遺伝子の完全な欠失を含み、前記遺伝子によってコードされるポリペプチドのピルビン酸脱炭酸酵素活性の低減を生じている、請求項73に記載の方法。
  78. 前記組換え微生物が、少なくとも1つのピルビン酸脱炭酸酵素遺伝子に関連した調節領域の改変を含み、前記遺伝子によってコードされるポリペプチドのピルビン酸脱炭酸酵素活性の低減を生じる、請求項73に記載の方法。
  79. 前記組換え微生物が、転写制御因子の改変を含み、ピルビン酸脱炭酸酵素遺伝子転写の低減を生じている、請求項73に記載の方法。
  80. 前記組換え酵母微生物が、ピルビン酸をイソブタノールに変換するための異種の代謝経路を発現するように操作されている、請求項73に記載の方法。
  81. 前記組換え酵母微生物が、ピルビン酸をイソブタノールに変換するための天然代謝経路の活性を増大させるように操作されている、請求項73に記載の方法。
  82. 前記組換え酵母微生物が、ピルビン酸をイソブタノールに変換するための代謝経路を発現するように操作されており、前記代謝経路が、異種遺伝子によってコードされる少なくとも1つの酵素、および天然遺伝子によってコードされる少なくとも1つの酵素を含む、請求項73に記載の方法。
  83. 前記組換え酵母微生物が、ピルビン酸をイソブタノールに変換するための天然代謝経路を含むように選択される、請求項73に記載の方法。
  84. 前記組換え酵母微生物が、PDC活性の変化を伴うことなく、親微生物の増殖速度と実質的に等価な増殖速度で、C2化合物とは無関係に、グルコース上で増殖する、請求項73に記載の方法。
  85. イソブタノールを製造する方法であって、
    以下を含む組換え微生物を提供する工程と、
    a)イソブタノール産生代謝経路(ここで、前記微生物は、炭素源からイソブタノールを産生するものが選択される);
    b)親微生物と比較して低減したピルビン酸脱炭酸酵素(PDC)活性;
    回収可能な量のイソブタノールが産生されるまで、前記炭素源を提供する供給原料を含有する培地中で前記微生物を培養する工程と、
    イソブタノールを回収するステップと
    を含む方法。
  86. 前記微生物は、サッカロミセス・クラデの酵母である、請求項85に記載の方法。
  87. 前記微生物が、PDC活性の変化を伴うことなく、親微生物の増殖速度と実質的に等価な増殖速度で、C2化合物とは無関係に、グルコース上で増殖するように操作されている、請求項86に記載の方法。
  88. 前記微生物がサッカロミセス・センスストリクト酵母である、請求項85に記載の方法。
  89. 前記サッカロミセス・センスストリクト酵母微生物が、S.セレビシエ、S.セレビシエ、S.クドリアブゼビイ、S.ミカタエ、S.バヤヌス、S.ウバルム、S.カロカニス、またはこれらの種のハイブリッドから選択される、請求項88に記載の方法。
  90. 前記酵母微生物が、PDC活性の変化を伴うことなく、親微生物の増殖速度と実質的に等価な増殖速度で、C2化合物とは無関係に、グルコース上で増殖するように操作されている、請求項88に記載の方法。
  91. 前記微生物がクラブトリー陰性酵母微生物である、請求項85に記載の方法。
  92. 前記クラブトリー陰性酵母微生物が、クルイベロミセス属、ピキア属、イッサトケンキア属、ハンゼヌラ属、またはカンジダ属のうちの1つから選択される、請求項91に記載の方法。
  93. 前記クラブトリー陰性酵母微生物が、クルイベロミセス・ラクチス、クルイベロミセス・マルキシアヌス、ピキア・アノマラ、ピキア・スチピチス、I.オリエンタリス、I.オシデンタリス、I.スクツラタ、ハネンスラ.アノマラ、カンジダ・ウチリス、またはクルイベロミセス・ワルチイから選択される、請求項85に記載の方法。
  94. 前記酵母微生物がクラブトリー陽性酵母微生物である、請求項85に記載の方法。
  95. 前記酵母微生物が、PDC活性の変化を伴うことなく、親微生物の増殖速度と実質的に等価な増殖速度で、C2化合物とは無関係に、グルコース上で増殖するように操作されている、請求項94に記載の方法。
  96. クラブトリー陽性酵母微生物が、サッカロミセス属、クルイベロミセス属、ジゴサッカロミセス属、デバリオミセス属、ピキア属、またはシゾサッカロミセス属のうちの1つから選択される、請求項94に記載の方法。
  97. 前記クラブトリー陽性酵母微生物が、サッカロミセス・セレビシエ、サッカロミセス・ウバルム、サッカロミセス・バヤヌス、サッカロミセス・パラドキサス、サッカロミセス・カステリ、サッカロミセス・クルイベリ、クルイベロミセス・サーモトレランス、カンジダ・グラブラタ、Z.バイリ、Z.ロウキシイ、デバリオミセス・ハンセニイ、ピキア・パストリウス、シゾサッカロミセス・ポンベ、またはサッカロミセス・ウバルムから選択される、請求項94に記載の方法。
  98. 前記微生物がWGD(全ゲノム重複)後酵母である、請求項85に記載の方法。
  99. 前記WGD後酵母が、サッカロミセス属またはカンジダ属のうちの1つから選択される、請求項98に記載の方法。
  100. 前記WGD後酵母が、サッカロミセス・セレビシエ、サッカロミセス・ウバルム、サッカロミセス・バヤヌス、サッカロミセス・パラドキサス、サッカロミセス・カステリ、およびカンジダ・グラブラタから選択される、請求項98に記載の方法。
  101. 前記酵母微生物が、PDC活性の変化を伴うことなく、親微生物の増殖速度と実質的に等価な増殖速度で、C2化合物とは無関係に、グルコース上で増殖するように操作されている、請求項98に記載の方法。
  102. 前記微生物がWGD(全ゲノム重複)前酵母である、請求項85に記載の方法。
  103. 前記WGD前酵母が、サッカロミセス属、クルイベロミセス属、カンジダ属、ピキア属、デバリオミセス属、ハンゼヌラ属、イッサトケンキア属、ヤロウィア属、またはシゾサッカロミセス属のうちの1つから選択される、請求項102に記載の方法。
  104. WGD前酵母が、サッカロミセス・クルイベリ、クルイベロミセス・サーモトレランス、クルイベロミセス・マルキシアヌス、クルイベロミセス・ワルチイ、クルイベロミセス・ラクチス、カンジダ・トロピカリス、ピキア・パストリス、ピキア・アノマラ、ピキア・スチピチス、デバリオミセス・ハンセニイ、H.アノマラ、I.オリエンタリス、I.オシデンタリス、I.スクツラタ、ヤロウィア・リポリチカ、およびシゾサッカロミセス・ポンベから選択される、請求項102に記載の方法。
  105. 前記微生物が非発酵酵母微生物である、請求項85に記載の方法。
  106. 前記非発酵酵母微生物が、トリコスポロン属、ロドトルラ属、またはミキソチマ属のうちの1つから選択される、請求項105に記載の方法。
  107. 前記非発酵酵母微生物が、トリコスポロン・プルランス、ロドトルラ・リグノフィラ、またはミキソチマ・バンデルワルチイ、カンジダ・エタノリカ、デバロミセス・カルソニイ、またはピキア・カスチラエから選択される、請求項105に記載の方法。
  108. 組換え微生物であって、
    a)イソブタノール産生代謝経路(ここで、前記微生物は、炭素源からイソブタノールを産生するものが選択されるイソブタノール代謝経路);
    b)親の微生物と比較して低減したピルビン酸脱炭酸酵素(PDC)活性
    を含む組換え微生物。
  109. 前記微生物がクラブトリー陰性酵母微生物である、請求項108に記載の組換え微生物。
  110. 前記クラブトリー陰性酵母微生物が、クルイベロミセス属、ピキア属、イッサトケンキア属、ハンゼヌラ属、またはカンジダ属のうちの1つから選択される、請求項109に記載の組換え微生物。
  111. 前記クラブトリー陰性酵母微生物が、クルイベロミセス・ラクチス、クルイベロミセス・マルキシアヌス、ピキア・アノマラ、ピキア・スチピチス、I.オリエンタリス、I.オシデンタリス、I.スクツラタ、ハネンスラ.アノマラ、カンジダ・ウチリス、またはクルイベロミセス・ワルチイから選択される、請求項109に記載の組換え微生物。
  112. 前記微生物がサッカロミセス・クラデの酵母である、請求項108に記載の組換え微生物。
  113. 前記酵母微生物が、PDC活性の変化を伴うことなく、親微生物の増殖速度と実質的に等価な増殖速度で、C2化合物とは無関係に、グルコース上で増殖するように操作されている、請求項112に記載の組換え微生物。
  114. 前記微生物がサッカロミセス・センスストリクト酵母である、請求項108に記載の組換え微生物。
  115. 前記サッカロミセス・センスストリクト酵母微生物が、S.セレビシエ、S.セレビシエ、S.クドリアブゼビイ、S.ミカタエ、S.バヤヌス、S.ウバルム、S.カロカニス、またはこれらの種のハイブリッドから選択される、請求項114に記載の組換え微生物。
  116. 前記微生物が、PDC活性の変化を伴うことなく、親微生物の増殖速度と実質的に等価な増殖速度で、C2化合物とは無関係に、グルコース上で増殖するように操作されている、請求項114に記載の方法。
  117. 前記微生物がクラブトリー陽性酵母微生物である、請求項108に記載の組換え微生物。
  118. 前記微生物が、PDC活性の変化を伴うことなく、親微生物の増殖速度と実質的に等価な増殖速度で、C2化合物とは無関係に、グルコース上で増殖するように操作されている、請求項117に記載の組換え微生物。
  119. 前記クラブトリー陽性酵母微生物が、サッカロミセス属、クルイベロミセス属、ジゴサッカロミセス属、デバリオミセス属、ピキア属、またはシゾサッカロミセス属のうちの1つから選択される、請求項117に記載の組換え微生物。
  120. 前記クラブトリー陽性酵母微生物が、サッカロミセス・セレビシエ、サッカロミセス・ウバルム、サッカロミセス・バヤヌス、サッカロミセス・パラドキサス、サッカロミセス・カステリ、サッカロミセス・クルイベリ、クルイベロミセス・サーモトレランス、カンジダ・グラブラタ、Z.バイリ、Z.ロウキシイ、デバリオミセス・ハンセニイ、ピキア・パストリウス、シゾサッカロミセス・ポンベ、またはサッカロミセス・ウバルムから選択される、請求項117に記載の組換え微生物。
  121. 前記微生物がWGD(全ゲノム重複)後酵母である、請求項108に記載の組換え微生物。
  122. 前記微生物が、PDC活性の変化を伴うことなく、親微生物の増殖速度と実質的に等価な増殖速度で、C2化合物とは無関係に、グルコース上で増殖するように操作されている、請求項121に記載の組換え微生物。
  123. WGD(全ゲノム重複)後酵母が、サッカロミセス属、またはカンジダ属のうちの1つから選択される、請求項121に記載の組換え微生物。
  124. WGD後酵母が、サッカロミセス・セレビシエ、サッカロミセス・ウバルム、サッカロミセス・バヤヌス、サッカロミセス・パラドキサス、サッカロミセス・カステリ、およびカンジダ・グラブラタから選択される、請求項121に記載の組換え微生物。
  125. 前記微生物がWGD(全ゲノム重複)前酵母である、請求項108に記載の組換え微生物。
  126. 前記WGD前酵母が、サッカロミセス属、クルイベロミセス属、カンジダ属、ピキア属、デバリオミセス属、ハンゼヌラ属、イッサトケンキア属、ヤロウィア属、またはシゾサッカロミセス属のうちの1つから選択される、請求項125に記載の組換え微生物。
  127. WGD前酵母が、サッカロミセス・クルイベリ、クルイベロミセス・サーモトレランス、クルイベロミセス・マルキシアヌス、クルイベロミセス・ワルチイ、クルイベロミセス・ラクチス、カンジダ・トロピカリス、ピキア・パストリス、ピキア・アノマラ、ピキア・スチピチス、デバリオミセス・ハンセニイ、H.アノマラ、I.オリエンタリス、I.オシデンタリス、I.スクツラタ、ヤロウィア・リポリチカ、およびシゾサッカロミセス・ポンベから選択される、請求項125に記載の組換え微生物。
  128. 前記微生物が非発酵酵母微生物である、請求項108に記載の組換え微生物。
  129. 前記非発酵酵母微生物が、トリコスポロン属、ロドトルラ属、ミキソチマ属のうちの1つから選択される、請求項128に記載の組換え微生物。
  130. 前記非発酵酵母微生物が、トリコスポロン・プルランス、ロドトルラ・リグノフィラ、またはミキソチマ・バンデルワルチイ、カンジダ・エタノリカ、デバロミセス・カルソニイ、ピキア・カスチラエから選択される、請求項128に記載の組換え微生物。
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