JP2011507525A - セルロース分解増強活性を有するポリペプチドとこれをコードするポリヌクレオチド - Google Patents

セルロース分解増強活性を有するポリペプチドとこれをコードするポリヌクレオチド Download PDF

Info

Publication number
JP2011507525A
JP2011507525A JP2010539794A JP2010539794A JP2011507525A JP 2011507525 A JP2011507525 A JP 2011507525A JP 2010539794 A JP2010539794 A JP 2010539794A JP 2010539794 A JP2010539794 A JP 2010539794A JP 2011507525 A JP2011507525 A JP 2011507525A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
polypeptide
seq
enhancing activity
sequence
polynucleotide
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2010539794A
Other languages
English (en)
Inventor
ハリス,ポール
メイユラン,スチンドラ
ブラウン,キンバリー
Original Assignee
ノボザイムス アクティーゼルスカブ
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by ノボザイムス アクティーゼルスカブ filed Critical ノボザイムス アクティーゼルスカブ
Publication of JP2011507525A publication Critical patent/JP2011507525A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Classifications

    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C12BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
    • C12NMICROORGANISMS OR ENZYMES; COMPOSITIONS THEREOF; PROPAGATING, PRESERVING, OR MAINTAINING MICROORGANISMS; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING; CULTURE MEDIA
    • C12N9/00Enzymes; Proenzymes; Compositions thereof; Processes for preparing, activating, inhibiting, separating or purifying enzymes
    • C12N9/14Hydrolases (3)
    • C12N9/24Hydrolases (3) acting on glycosyl compounds (3.2)
    • C12N9/2402Hydrolases (3) acting on glycosyl compounds (3.2) hydrolysing O- and S- glycosyl compounds (3.2.1)
    • C12N9/2405Glucanases
    • C12N9/2434Glucanases acting on beta-1,4-glucosidic bonds
    • C12N9/2437Cellulases (3.2.1.4; 3.2.1.74; 3.2.1.91; 3.2.1.150)
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C12BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
    • C12NMICROORGANISMS OR ENZYMES; COMPOSITIONS THEREOF; PROPAGATING, PRESERVING, OR MAINTAINING MICROORGANISMS; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING; CULTURE MEDIA
    • C12N9/00Enzymes; Proenzymes; Compositions thereof; Processes for preparing, activating, inhibiting, separating or purifying enzymes
    • C12N9/14Hydrolases (3)
    • C12N9/24Hydrolases (3) acting on glycosyl compounds (3.2)
    • C12N9/2402Hydrolases (3) acting on glycosyl compounds (3.2) hydrolysing O- and S- glycosyl compounds (3.2.1)
    • C12N9/2405Glucanases
    • C12N9/2434Glucanases acting on beta-1,4-glucosidic bonds
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C12BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
    • C12PFERMENTATION OR ENZYME-USING PROCESSES TO SYNTHESISE A DESIRED CHEMICAL COMPOUND OR COMPOSITION OR TO SEPARATE OPTICAL ISOMERS FROM A RACEMIC MIXTURE
    • C12P19/00Preparation of compounds containing saccharide radicals
    • C12P19/14Preparation of compounds containing saccharide radicals produced by the action of a carbohydrase (EC 3.2.x), e.g. by alpha-amylase, e.g. by cellulase, hemicellulase
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C12BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
    • C12YENZYMES
    • C12Y302/00Hydrolases acting on glycosyl compounds, i.e. glycosylases (3.2)
    • C12Y302/01Glycosidases, i.e. enzymes hydrolysing O- and S-glycosyl compounds (3.2.1)
    • C12Y302/01004Cellulase (3.2.1.4), i.e. endo-1,4-beta-glucanase
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C12BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
    • C12YENZYMES
    • C12Y302/00Hydrolases acting on glycosyl compounds, i.e. glycosylases (3.2)
    • C12Y302/01Glycosidases, i.e. enzymes hydrolysing O- and S-glycosyl compounds (3.2.1)
    • C12Y302/01021Beta-glucosidase (3.2.1.21)
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C12BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
    • C12YENZYMES
    • C12Y302/00Hydrolases acting on glycosyl compounds, i.e. glycosylases (3.2)
    • C12Y302/01Glycosidases, i.e. enzymes hydrolysing O- and S-glycosyl compounds (3.2.1)
    • C12Y302/01091Cellulose 1,4-beta-cellobiosidase (3.2.1.91)

Landscapes

  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Organic Chemistry (AREA)
  • Life Sciences & Earth Sciences (AREA)
  • Health & Medical Sciences (AREA)
  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Zoology (AREA)
  • Wood Science & Technology (AREA)
  • Bioinformatics & Cheminformatics (AREA)
  • Genetics & Genomics (AREA)
  • General Health & Medical Sciences (AREA)
  • General Engineering & Computer Science (AREA)
  • Biochemistry (AREA)
  • Microbiology (AREA)
  • Biotechnology (AREA)
  • Molecular Biology (AREA)
  • Medicinal Chemistry (AREA)
  • Biomedical Technology (AREA)
  • General Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Chemical Kinetics & Catalysis (AREA)
  • Micro-Organisms Or Cultivation Processes Thereof (AREA)
  • Preparation Of Compounds By Using Micro-Organisms (AREA)
  • Peptides Or Proteins (AREA)
  • Breeding Of Plants And Reproduction By Means Of Culturing (AREA)

Abstract

本発明は、セルロース分解増強活性を有する単離されたポリペプチドと、該ポリペプチドをコードする単離されたポリヌクレオチドとに関する。本発明はまた、該ポリヌクレオチドを含む核酸構築体、ベクター、及び宿主細胞、ならびに該ポリペプチドを製造及び使用するための方法に関する。

Description

配列リストの参照
本出願は、コンピューターで読める形で配列リストを含む。このコンピューターで読める形は、参照することにより本明細書に組み込まれる。
生物学的材料の寄託の参照
本出願は、生物学的材料の寄託への参照を含み、この寄託は参照することにより本明細書に組み込まれる。
発明の分野
本発明は、セルロース分解増強活性を有する単離されたポリペプチドと、このポリペプチドをコードする単離されたポリヌクレオチドに関する。本発明はまた、このポリヌクレオチドを含む核酸構築体、ベクター、及び宿主細胞、ならびにこのポリペプチドの製造法と使用法とに関する。
関連技術の説明
セルロースは、ベータ−1,4−結合により連結された単糖グルコースのポリマーである。多くの微生物は、ベータ結合グルカンを加水分解する酵素を産生する。これらの酵素には、エンドグルカナーゼ、セロビオヒドロラーゼ、及びベータグルコシダーゼがある。エンドグルカナーゼはセルロースポリマーをランダムな位置で消化して、これを開環してセロビオヒドロラーゼの攻撃を受けやすくする。セロビオヒドロラーゼは、セルロースポリマーの末端からセロビオースの分子を連続的に放出する。セロビオースは、グルコースの水溶性ベータ−1,4−結合ダイマーである。ベータグルコシダーゼはセロビオースを加水分解してグルコースにする。
リグノセルロース原料のエタノールへの変換は、大量の原料が容易に入手でき、原料の消却や埋め立てが避けられ、及びエタノール燃料が清潔であるという利点がある。木材、農業残渣、草本作物、及び自治体の固体廃棄物は、エタノール生産の原料であると考えられている。これらの材料は、主にセルロース、ヘミセルロース、及びリグニンからなる。セルロースはいったんグルコースに変換されると、グルコースは酵母により容易に発酵されてエタノールになる。
セルロース系原料を変換する能力を改良することは、当該分野において有益であろう。
WO2006/074647号は、セルロース分解増強活性を有する単離されたポリペプチドと、チエラビア・テレストリス(Thielavia terrestris)からのそのポリヌクレオチドを開示する。WO2005/074656号は、セルロース分解増強活性を有する単離されたポリペプチドと、サーモアスカス・オーランチアカス(Thermoascus aurantiacus)からのそのポリヌクレオチドを開示する。WO2007/089290号は、セルロース分解増強活性を有する単離されたポリペプチドと、トリコデルマ・リーセイ(Trichoderma reesei)からのそのポリヌクレオチドを開示する。
本発明は、セルロース分解増強活性を有するポリペプチドと、このポリペプチドをコードするポリヌクレオチドに関する。
発明の要約
本発明は、以下よりなる群から選択されるセルロース分解増強活性を有する単離されたポリペプチドに関する:
(a)配列番号2又は配列番号4の成熟ポリペプチドと少なくとも60%の同一性を有するアミノ酸配列を含むポリペプチド;
(b)少なくとも中程度の厳密性条件下で、(i)配列番号1又は配列番号3の成熟ポリペプチドコード配列と、(ii)配列番号1又は配列番号3の成熟ポリペプチドコード配列中に含まれるcDNA配列と、又は(iii)(i)もしくは(ii)の完全長相補鎖と、ハイブリダイズするポリヌクレオチドによりコードされるポリペプチド;
(c)配列番号1又は配列番号3の成熟ポリペプチドコード配列と少なくとも60%の同一性を有するヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチドによりコードされるポリペプチド;及び
(d)配列番号2又は配列番号4の成熟ポリペプチドの1つ又はそれ以上(数個)のアミノ酸の置換、欠失、及び/又は挿入を含む変種。
本発明はまた、以下よりなる群から選択されるセルロース分解増強活性を有するポリペプチドをコードする単離されたポリヌクレオチドに関する:
(a)配列番号2又は配列番号4の成熟ポリペプチドと少なくとも60%の同一性を有するアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードするポリヌクレオチド;
(b)少なくとも中程度の厳密性条件下で、(i)配列番号1又は配列番号3の成熟ポリペプチドコード配列と、(ii)配列番号1又は配列番号3の成熟ポリペプチドコード配列中に含まれるcDNA配列と、又は(iii)(i)もしくは(ii)の完全長相補鎖と、ハイブリダイズするポリヌクレオチド;
(c)配列番号1又は配列番号3の成熟ポリペプチドコード配列と少なくとも60%の同一性を有するヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチド;及び
(d)配列番号2又は配列番号4の成熟ポリペプチドの1つ又はそれ以上(数個)のアミノ酸の置換、欠失、及び/又は挿入を含む変種をコードするポリヌクレオチド。
本発明はまた、核酸構築体、組換え発現ベクター、そのポリヌクレオチドを含む組換え宿主細胞、及びセルロース分解増強活性を有するポリペプチドの製造法に関する。
本発明はまた、2本鎖RNA(dsRNA)分子を細胞に投与するか又は細胞中に発現することを含む、細胞中のセルロース分解増強活性を有するポリペプチドの発現を阻害する方法であって、dsRNAは本発明のポリヌクレオチドのサブ配列を含むことを特徴とする方法に関する。本発明はまた、かかる2本鎖阻害性RNA(dsRNA)分子に関し、ここでdsRNAは随時siRNA又はmiRNA分子である。
本発明はまた、セルロース分解増強活性を有するポリペプチドの存在下で、セルロース系材料をセルロース分解酵素組成物で処理することを含んでなる、セルロース系材料を分解又は変換するための方法で、ここでセルロース分解増強活性を有するポリペプチドの存在が、セルロース分解増強活性を有するポリペプチドが存在しない場合と比較して、セルロース系材料の分解を上昇させることを特徴とする方法に関する。
本発明はまた、発酵生成物を製造する方法であって、(a)セルロース分解増強活性を有するポリペプチドの存在下で、セルロース系材料をセルロース分解酵素組成物で糖化し(ここで、セルロース分解増強活性を有するポリペプチドの存在は、セルロース分解増強活性を有するポリペプチドが存在しない場合と比較して、セルロース系材料の分解を上昇させる);(b)工程(a)の糖化したセルロース系材料を1つ又はそれ以上の発酵微生物で発酵させて発酵生成物を生成させ、そして(c)発酵物から発酵生成物を回収することを含んでなる方法に関する。
本発明はまた、セルロース系材料を1つ又はそれ以上の発酵微生物で発酵させることを含んでなるセルロース系材料の発酵方法であって、ここで、セルロース系材料は、本発明のセルロース分解増強活性を有するポリペプチドの存在下で、セルロース分解酵素組成物で加水分解され、セルロース分解増強活性を有するポリペプチドの存在は、セルロース分解増強活性を有するポリペプチドが存在しない場合と比較して、セルロース系材料の加水分解を上昇させることを特徴とする方法に関する。
本発明はまた、セルロース分解増強活性を有するポリペプチドをコードする単離されたポリヌクレオチドを含む植物に関する。
本発明はまた、セルロース分解増強活性を有するポリペプチドを製造する方法であって、(a)セルロース分解増強活性を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含むトランスジェニック植物又は植物細胞を、ポリペプチドの産生を促進する条件下で培養し、(b)ポリペプチドを回収することを含んでなる方法に関する。
本発明はさらに、タンパク質をコードする遺伝子を含む核酸構築体であって、遺伝子は、配列番号2のアミノ酸1〜17又は配列番号4のアミノ酸1〜15を含むかもしくはこれからなるシグナルペプチドをコードするヌクレオチド配列に機能できる形で結合しており、遺伝子はヌクレオチド配列に対して異物であることを特徴とする核酸構築体に関する。
セルロース分解増強活性を有するミセリオフトラ・サーモフィラ(Myceliophthora thermophila)CBS202.75 GH61AポリペプチドのゲノムDNA配列と推定アミノ酸配列とを示す(それぞれ、配列番号1と2)。 pSMai190の制限地図を示す。 セルロース分解増強活性を有するミセリオフトラ・サーモフィラ(Myceliophthora thermophila)CBS202.75 GH61FポリペプチドのゲノムDNA配列と推定アミノ酸配列とを示す(それぞれ、配列番号3と4)。 pSMai192の制限地図を示す。 pSMai185の制限地図を示す。 pSMai198の制限地図を示す。 前処理したトウモロコシ茎葉の酵素的加水分解に対する、セルロース分解増強活性を有するミセリオフトラ・サーモフィラ(Myceliophthora thermophila)GH61AとGH61Fポリペプチドの作用を示す。
定義
セルロース分解増強活性:本明細書において用語「セルロース分解増強活性」は、セルロース分解活性を有するタンパク質によるセルロース系材料の加水分解を増強する生物活性として規定される。本発明の目的においてセルロース分解増強活性は、セルラーゼタンパク質によるセルロース系材料の加水分解からの、還元糖の増加又はセロビオースとグルコースの合計の増加を、以下の条件により測定することにより決定される:1〜50mgの総タンパク質/PCS中のセルロースg数(ここで、総タンパク質は、PCS中のセルロース1g当たり80〜99.5%w/wの総タンパク質と、0.5〜20%w/wのセルロース分解増強活性を有するタンパク質からなる)を50℃で1〜7日間を、セルロース分解増強活性の無い同様の総タンパク質添加(1〜50mgの総タンパク質/PCS中のセルロースg数)による対照加水分解と比較。好適な態様において3%の総タンパク質重量の麹菌(Aspergillus oryzae)ベータグルコシダーゼ(WO02/095014号の実施例22の麹菌(Aspergillus oryzae)で組換え産生)、又は3%の総タンパク質重量のアスペルギルス・フミガタス(Aspergillus fumigatus)ベータグルコシダーゼ(WO02/095014号の実施例22の麹菌(Aspergillus oryzae)で組換え産生)のセルラーゼタンパク質添加の存在下で、CELLUCLAST(登録商標)混合物1.5リットル(Novazymes A/S, Bagsvaerd, Denmark)を、セルロース分解活性の供給源として使用する。
セルロース分解増強活性を有するポリペプチドは、配列番号2又は配列番号4の成熟ポリペプチドのセルロース分解増強活性の少なくとも20%、好ましくは少なくとも40%、さらに好ましくは少なくとも50%、さらに好ましくは少なくとも60%、さらに好ましくは少なくとも70%、さらに好ましくは少なくとも80%、さらに好ましくは少なくとも90%、さらに好ましくは少なくとも95%、最も好ましくは少なくとも100%を有する。
セルロース分解増強活性を有するポリペプチドは、同程度の加水分解に達するのに必要なセルロース分解酵素の量を、好ましくは少なくとも0.1倍、さらに少なくとも0.2倍、さらに好ましくは少なくとも0.3倍、さらに好ましくは少なくとも0.4倍、さらに好ましくは少なくとも0.5倍、さらに好ましくは少なくとも1倍、さらに好ましくは少なくとも3倍、さらに好ましくは少なくとも4倍、さらに好ましくは少なくとも5倍、さらに好ましくは少なくとも10倍、さらに好ましくは少なくとも20倍、さらに好ましくは少なくとも30倍、さらに好ましくは少なくとも50倍、そして最も好ましくは少なくとも100倍低下させることにより、セルロース分解増強活性を有するタンパク質により触媒されるセルロース系材料の加水分解を増強する。
セルロース分解活性:本明細書において用語「セルロース分解活性」は、セルロース系材料を加水分解する生物活性として規定される。セルロース分解性タンパク質は、カルボキシメチルセルロース(CMC)を加水分解し、こうしてインキュベーション混合物の粘度を低下させる。得られる粘度の低下は、振動粘度計(例えば、Sofrasser,FranceのMIVI3000)により測定される。セルラーゼ粘度単位(CEVU)として測定されるセルラーゼ活性の測定は、カルボキシメチルセルロース(CMC)溶液の粘度を低下させる試料の能力を測定することにより、試料中に存在する触媒活性の量を定量する。このアッセイは、セルロース分解性タンパク質と基質に適した温度とpHで行われる。CELLUCLAST(登録商標)(Novozymes A/S, Bagsvaerd, Denmark)について、アッセイは、CMCを基質(33.3g/L カルボキシメチルセルロース Hercules 7 LFD)として、約3.3〜4.2CEVU/mlの酵素濃度で、40℃で0.1Mリン酸塩(pH9.0)中で30分間行われる。CEVU活性は、宣言された酵素スタンダード、例えばCELLUZYME(登録商標)Standard 7-1194(Novozymes A/S, Bagsvaerd, Denmarkから得られる)に対して計算される。
本発明の目的においてセルロース分解活性は、以下の条件下でセルロース分解性混合物によるセルロース系材料の加水分解の上昇を測定することにより決定される:セルロース分解性タンパク質の添加の無い対照加水分解と比較して、1〜10mgのセルロース分解性タンパク質/1gのPCS中のセルラーゼで50℃で5〜7日間。
エンドグルカナーゼ:本明細書において用語「エンドグルカナーゼ」は、セルロース、セルロース誘導体(例えば、カルボキシメチルセルロース及びヒドロキシルエチルセルロース)、リケニン中の1,4−ベータ−D−グリコシド結合、穀類ベータ−D−グルカン類又はキシログルカン類のような混合ベータ−1,3−グルカン類、及びセルロース性成分を含有する他の植物材料中のベータ−1,4−結合の、内部加水分解(endohydrolysis)を触媒するエンド−1,4−(1,3;1,4)−ベータ−D−グルカン4−グルカノヒドロラーゼ(E.C.No.3.2.1.4)として規定される。本発明の目的において、エンドグルカナーゼ活性は、Ghose, 1987, Pure and Appl. Chem. 59:257-268の方法に従ってカルボキシメチルセルロース(CMC)加水分解を使用して測定される。
セロビオヒドロラーゼ:本明細書において用語「セロビオヒドロラーゼ」は、セルロース、セロオリゴ糖、又は任意のベータ−1,4−結合グルコース含有ポリマー中の1,4−ベータ−D−グルコシド結合の加水分解を触媒して、鎖の還元末端又は非還元末端からセロビオースを放出する、1,4−ベータ−D−グルカンセロビオヒドロラーゼ(E.C.No.3.2.1.91)として規定される。本発明の目的において、セロビオヒドロラーゼ活性は、Lever et al., 1972, Anal. Biochem. 47:273-279、及び van Tibeurgh et al., 1982, FEBS Letters 149:152-156; van Tibeurgh and Claeyssens, 1985, FEBS Letters 187:283-288に記載された方法に従って測定される。本発明において、トウモロコシ茎葉中のセルロースの加水分解を評価するためにLever et al.の方法が使用され、蛍光性二糖誘導体上のセロビオヒドロラーゼ活性を測定するためにTilbeurgh et al.の方法が使用された。
ベータグルコシダーゼ:本明細書において用語「ベータグルコシダーゼ」は、末端の非還元ベータ−D−グルコース残基の加水分解を触媒してベータ−D−グルコースの放出を伴うベータ−D−グルコシドグルコヒドロラーゼ(E.C.3.2.1.21)として規定される。本発明の目的において、ベータグルコシダーゼ活性は、Venturi et al., 2002, J. Basic Microbiol. 42:55-66に記載の基本的な方法により測定されるが、そこに記載されたものとは異なる条件が使用された。1単位のベータグルコシダーゼ活性は、100mMクエン酸ナトリウム、0.01%ツイーン(登録商標)20中の4mM p−ニトロフェニル−ベータ−D−グルコピラノシドから、pH5で50℃で1分間に1.0μモルのp−ニトロフェノールが産生されると規定される。
ファミリー61グリコシドヒドラーゼ:本明細書において用語「ファミリー61グリコシドヒドラーゼ」又は「ファミリーGH61」は、Henrissat B., 1991, A classification of glycosyl hydrolases based on amino-acid sequence similarities, Biochem. J. 280:309-316、及びHenrisaat B., and Bairoch A., 1996, Updating the sequence-based classification of glycosyl hydrolases, Biochem. J. 316:695-696に従って、グリコシドヒドロラーゼファミリー61に分類されるポリペプチドと規定される。現在Henrissatは、GH61ファミリーを分類せずに列記し、このファミリーに属するポリペプチドについて、機構、触媒性求核物質/塩基、触媒性プロトンドナー、及び3D構造が不明であるとしている。
セルロース系材料:セルロース系材料は、セルロースを含む任意の材料である。バイオマスの一次細胞壁の主要な多糖はセルロースであり、第2に豊富な物質はヘミセルロースであり、第3はペクチンである。細胞が増殖を停止した後に生成される2次細胞壁はまた多糖を含有し、ヘミセルロースに共有的に架橋したポリマーリグニンにより強化される。セルロースはアンヒドロセロビオースのホモポリマーであり、従って線状ベータ−(1,4)−D−グルカンであり、ヘミセルロースは種々の化合物(例えば、キシラン、キシログルカン、アラビノキシラン、及びマンナン)を一連の置換基との複合分岐構造で含む。セルロースは一般には多型体であるが、植物組織中に主に並行グルカン鎖の不溶性結晶性マトリックスとして存在する。ヘミセルロースは、通常セルロースならびに他のヘミセルロースに水素結合しており、これが細胞壁マトリックスの安定化を助ける。
セルロースは、一般に例えば植物の茎、葉、外皮、殻、及び穂軸、又は木の葉、枝、及び木質に存在する。セルロース系材料は、特に限定されないが、草本物質、農業残渣、森林残渣、自治体の固形廃棄物、紙くず、パルプ、及び製紙工場残渣である。セルロース系材料は任意のタイプのバイオマスであり、特に限定されないが、森林資源、自治体の固形廃棄物、紙くず、作物、作物残渣がある(例えば、Wiselogel et al., 1995, Handbook on Bioethanol (Charles E. Wyman, 編者)、pp. 105-118中、Taylor & Francis, Washington D.C.; Wyman, 1994, Bioresource Technology 50:3-16; Lynd, 1990, Applied Biochemistry and Biotechnology 24/25:695-719; Mosier et al., 1999, Recent Progress in Bioconversion of Lignocellulosics, Advances in Biochemical Engineering/Biotechnology中, T. Scheper, 編集長, Volume 65, pp. 23-40, Springer-Verlag、New York)。本明細書においてセルロースは、リグノセルロース、リグニンを含む植物細胞壁物質、セルロース、及び混合マトリックス中のヘミセルロースの形でもよい。好適な態様においてセルロース系材料はリグノセルロースである。
ある態様においてセルロース系材料は草本物質である。別の態様においてセルロース系材料は農業残渣である。別の態様においてセルロース系材料は、森林残渣である。別の態様においてセルロース系材料は、自治体の固定廃棄物である。別の態様においてセルロース系材料は、紙くずである。別の態様においてセルロース系材料は、パルプ及び製紙工場残渣である。
別の態様においてセルロース系材料はトウモロコシ茎葉である。別の態様においてセルロース系材料はトウモロコシ繊維である。別の態様においてセルロース系材料はオレンジの皮である。別の態様においてセルロース系材料は稲わらである。別の態様においてセルロース系材料は麦わらである。別の態様においてセルロース系材料はスイッチグラス(switch grass)である。別の態様においてセルロース系材料はススキ(miscanthus)である。別の態様においてセルロース系材料はバガスである。
別の態様においてセルロース系材料は微結晶セルロースである。別の態様においてセルロース系材料は細菌性セルロースである。
セルロース系材料はそのまま使用されるか、又は本明細書に記載のように当該分野で公知の従来法を使用して前処理される。好適な態様においてセルロース系材料は前処理される。
前処理トウモロコシ茎葉:本明細書において用語「PCS」又は「前処理トウモロコシ茎葉」は、トウモロコシ茎葉の熱と希酸による処理から得られるセルロース系材料として規定される。
単離されたポリペプチド:本明細書において用語「単離されたポリペプチド」は、供給源から単離されたポリペプチドを意味する。好適な態様においてポリペプチドは、SDS−PAGEにより測定すると、少なくとも1%の純度、好ましくは少なくとも5%の純度、さらに好ましくは少なくとも10%の純度、さらに好ましくは少なくとも20%の純度、さらに好ましくは少なくとも40%の純度、さらに好ましくは少なくとも60%の純度、さらに好ましくは少なくとも80%の純度、そして最も好ましくは少なくとも90%の純度である。
実質的に純粋なポリペプチド:本明細書において用語「実質的に純粋なポリペプチド」は、最大10重量%、好ましくは最大8重量%、さらに好ましくは最大6重量%、さらに好ましくは最大5重量%、さらに好ましくは最大4重量%、さらに好ましくは最大3重量%、さらに好ましくは最大2重量%、さらに好ましくは最大1重量%、そして最も好ましくは最大0.5重量%の他のポリマー物質(ここに、ポリペプチドが本来又は組換え法で結合している)を含む。従って実質的に純粋なポリペプチドは、調製物中に存在する総ポリペプチド物質の少なくとも92重量%の純度、好ましくは少なくとも94重量%の純度、さらに好ましくは少なくとも95重量%の純度、さらに好ましくは少なくとも96重量%の純度、さらに好ましくは少なくとも97重量%の純度、さらに好ましくは少なくとも98重量%の純度、さらに好ましくは少なくとも99重量%の純度、さらに好ましくは少なくとも99.5重量%の純度、そして最も好ましくは少なくとも100重量%の純度である。本発明のポリペプチドは、好ましくは実質的に純粋な型であり、すなわちポリペプチド調製物が、これが本来又は組換え法で結合している他のポリペプチド物質を基本的に含まない。これは、例えば公知の組換え法又は古典的精製法によりポリペプチドを調製することにより行うことができる。
成熟ポリペプチド:本明細書において用語「成熟ポリペプチド」は、翻訳と翻訳後修飾(例えば、N末端プロセシング、C末端末端切断、グリコシル化、リン酸化など)の後の最終型のポリペプチドとして規定される。好適な態様において成熟ポリペプチドは、配列番号2のアミノ酸1〜17がシグナルペプチドであると予測するSignalPプログラム(Nielsen et al., 1997, Protein Engineering 10:1-6)に基づいて、配列番号2のアミノ酸18〜232である。別の好適な態様において成熟ポリペプチドは、配列番号4のアミノ酸1〜15がシグナルペプチドであると予測するSignalPプログラムに基づいて、配列番号4のアミノ酸16〜235である。
成熟ポリペプチドコード配列:本明細書において用語「成熟ポリペプチドコード配」は、セルロース分解増強活性を有する成熟ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列として規定される。好適な態様において成熟ポリペプチドコード配列は、配列番号1のヌクレオチド1〜51がシグナルペプチドであると予測するSignalPプログラムに基づいて、配列番号1のヌクレオチド52〜921である。別の好適な態様において成熟ポリペプチドコード配列は、配列番号3のヌクレオチド1〜45がシグナルペプチドであると予測するSignalPプログラムに基づいて、配列番号3のヌクレオチド46〜851である。
同一性:2つのアミノ酸配列又は2つのヌクレオチド配列の間の関連は、「同一性」というパラメータにより説明される。
本発明の目的において2つのアミノ酸配列の間の同一性の程度は、EMBOSSパッケージ(EMBOSS: The European Molecular Biology Open Software Suite, Rice et al., 2000, Trends in Genetics 16:276-277)のNeedleプログラム(好ましくは、バージョン3.0.0又はそれ以後)で実施されるように、Needleman-Wunschアルゴリズム(Needleman and Wunsch, 1970, J. Mol. Biol. 48:443-453)を使用して測定される。使用される随時のパラメータは、ギャップオープンペナルティ(gap open penalty)が10、ギャップエクステンションペナルティ(gap extension penalty)が0.5、及びEBLOSUM62(BLOSUM62のEMBOSS版)置換マトリックスである。Needle名前付き「最長同一性(longest identity)」(-nobriedオプションを使用して得られる)の出力は同一性パーセントとして使用され、以下のように計算される:
(同一の残基×100)(アライメントの長さ−アライメント中のギャップの総数)
本発明の目的において、2つのデオキシヌクレオチド配列間の同一性の程度は、EMBOSSパッケージ(EMBOSS: The European Molecular Biology Open Software Suite, Rice et al., 2000, 前述)のNeedleプログラム(好ましくは、バージョン3.0.0又はそれ以後)で実施されるように、Needleman-Wunschアルゴリズム(Needleman and Wunsch, 1970, 前述)を使用して測定される。使用される随時のパラメータは、ギャップオープンペナルティ(gap open penalty)が10、ギャップエクステンションペナルティ(gap extension penalty)が0.5、及びEDNAFULL(NCBI NUC4.4のEMBOSS版)置換マトリックスである。Needle名前付き「最長同一性(longest identity)」(-nobriedオプションを使用して得られる)の出力は同一性パーセントとして使用され、以下のように計算される:
(同一のデオキシヌクレオチド×100)(アライメントの長さ−アライメント中のギャップの総数)
相同配列:本明細書において用語「相同配列」は、配列番号2もしくは配列番号4のセルロース分解増強活性を有するマイセリオフトラ・サーモフィラ(Myceliophthora thermophilia)ポリペプチド又はその成熟ポリペプチドを用いて、tfasty検索(Pearson, W.R., 1999, Bioinformatics Methods and Protocols中, S. Misener and S.A. Krawetz編、pp. 185-219)で、0.001未満のE値(予測スコア(expectancy score))を有する予測されるタンパク質として規定される。
ポリペプチドフラグメント:本明細書において用語「ポリペプチドフラグメント」は、配列番号2もしくは配列番号4の成熟ポリペプチドの、アミノ末端及び/又はカルボキシル末端から1つ又はそれ以上の(数個の)アミノ酸が欠失されたポリペプチド又はその相同配列として規定され、ここでフラグメントはセルロース分解増強活性を有する。好適な態様においてフラグメントは、配列番号2の成熟ポリペプチド又はその相同配列の、少なくとも185アミノ酸残基、さらに好ましくは少なくとも195アミノ酸残基、及び最も好ましくは少なくとも205アミノ酸残基を含有する。別の好適な態様においてフラグメントは、配列番号4の成熟ポリペプチド又はその相同配列の、少なくとも190アミノ酸残基、さらに好ましくは少なくとも200アミノ酸残基、及び最も好ましくは少なくとも210アミノ酸残基を含有する。
サブ配列:本明細書において用語「サブ配列」は、配列番号1もしくは配列番号3の成熟ポリペプチドコード配列の5’末端及び/又は3’末端から、1つ又はそれ以上の(数個の)ヌクレオチドが欠失されたヌクレオチド配列、又はその相同配列として規定され、ここでサブ配列はセルロース分解増強活性を有するポリペプチドフラグメントをコードする。好適な態様においてサブ配列は、配列番号1の成熟ポリペプチドコード配列又はその相同配列の、少なくとも555ヌクレオチド、さらに好ましくは少なくとも585ヌクレオチド、及び最も好ましくは少なくとも615ヌクレオチドを含有する。別の好適な態様においてサブ配列は、配列番号3の成熟ポリペプチドコード配列又はその相同配列の、少なくとも570ヌクレオチド、さらに好ましくは少なくとも600ヌクレオチド、及び最も好ましくは少なくとも630ヌクレオチドを含有する。
アレレ変種:本明細書において用語「アレレ変種」は、同じ染色体遺伝子座を占める遺伝子の2つ又はそれ以上の代替型の任意のものを示す。アレレ変種は、天然には変異により発生し、集団内の多型を引き起こし得る。遺伝子変異は、サイレント(コードされるポリペプチドに変化無し)でも、改変されたアミノ酸配列を有するポリペプチドをコードしてもよい。ポリペプチドのアレレ変種は、遺伝子のアレレ変種によりコードされるポリペプチドである。
単離されたポリヌクレオチド:本明細書において用語「単離されたポリヌクレオチド」は、供給源から単離されたポリヌクレオチドを意味する。好適な態様においてポリヌクレオチドは、アガロースゲル電気泳動により測定して、少なくとも1%の純度、好ましくは少なくとも5%の純度、さらに好ましくは少なくとも10%の純度、さらに好ましくは少なくとも20%の純度、さらに好ましくは少なくとも40%の純度、さらに好ましくは少なくとも60%の純度、さらに好ましくは少なくとも80%の純度、そして最も好ましくは少なくとも90%の純度である。
実質的に純粋なポリヌクレオチド:本明細書において用語「実質的に純粋なポリヌクレオチド」は、他の外因性もしくは不要なヌクレオチドを含まないポリヌクレオチド調製物、及び遺伝子工学作成されたタンパク質生産系内での使用に適した形のポリヌクレオチド調製物を意味する。すなわち、実質的に純粋なポリヌクレオチドは、最大10重量%、好ましくは最大8重量%、さらに好ましくは最大6重量%、さらに好ましくは最大5重量%、さらに好ましくは最大4重量%、さらに好ましくは最大3重量%、さらに好ましくは最大2重量%、さらに好ましくは最大1重量%、そして最も好ましくは最大0.5重量%の他のポリヌクレオチド物質(ここに、ポリヌクレオチドが天然に又は組換え法で結合している)を含む。従って実質的に純粋なポリヌクレオチドは、天然に存在する5’非翻訳領域及び3’非翻訳領域(例えばプロモーター及びターミネーター)を含んでよい。実質的に純粋なポリヌクレオチドは、少なくとも90重量%の純度、好ましくは少なくとも92重量%の純度、好ましくは少なくとも94重量%の純度、さらに好ましくは少なくとも95重量%の純度、さらに好ましくは少なくとも96重量%の純度、さらに好ましくは少なくとも97重量%の純度、さらに好ましくは少なくとも98重量%の純度、さらに好ましくは少なくとも99重量%の純度、そして最も好ましくは少なくとも99.5重量%の純度である。本発明のポリヌクレオチドは、好ましくは実質的に純粋な型であり、すなわちポリヌクレオチド調製物が、これが天然に又は組換え法で結合している他のポリヌクレオチド物質を基本的に含まない。ポリヌクレオチドは、ゲノム、cDNA、RNA、半合成、合成起源、又はこれらの任意の組合せでもよい。
コード配列:本明細書において用語「コード配列」は、ヌクレオチド配列を意味し、これはそのタンパク質産物のアミノ酸配列を直接特定する。コード配列の境界は、一般に読みとり枠により決定され、これは通常ATG開始コドン又は代替開始コドン(例えばGTG及びTTG)で始まり、停止コドン(例えば、TAA、TAG、及びTGA)で終わる。コード配列は、DNA、cDNA、合成、又は組換えヌクレオチド配列でもよい。
cDNA:本明細書において用語「cDNA」は、真核細胞から得られる成熟したスプライスされたmRNA分子から、逆転写により調製できるDNA分子として規定される。cDNAは、対応するゲノムDNAに存在するイントロン配列が欠如している。初期1次RNA転写体は、成熟したスプライスされたmRNAとして現れる前の一連の工程により処理されるmRNAの前駆体である。これらの工程には、スプライシングと呼ばれるプロセスによるイントロン配列の除去がある。すなわちmRNAから得られるcDNAは、イントロン配列が欠如している。
核酸構築体:本明細書において用語「核酸構築体」は、天然に存在する遺伝子から単離されるか、又は本来天然には存在しない形のもしくは合成型の核酸のセグメントを含有するように修飾された、1本鎖又は2本鎖の核酸分子を意味する。核酸構築体という用語は、核酸構築体が本発明のコード配列の発現に必要な制御配列を含有する時、用語「発現カセット」と同義である。
制御配列:本明細書において用語「制御配列」は、本発明のポリペプチドをコードするポリヌクレオチドの発現に必要なすべての成分を含むと規定される。各制御配列は、ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列に固有であるかもしくは異種でもよく、又は互いに固有であるかもしくは異種でもよい。かかる制御配列には、特に限定されないが、リーダー配列、ポリアデニル化配列、プロペプチド配列、プロモーター、シグナルペプチド配列、及び転写ターミネーターがある。少なくとも制御配列は、プロモーター、及び転写と翻訳停止シグナルを含む。制御配列は、制御配列と、ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列のコード領域との結合を促進する特異的制限部位を導入するためのリンカーを具備してもよい。
機能できる形で結合:本明細書において用語「機能できる形で結合」は、制御配列がポリペプチドのコード配列の発現を指令するように、ポリヌクレオチド配列のコード配列に対して適切な位置に置かれる配向を意味する。
発現:用語「発現」は、特に限定されないが、転写、転写後修飾、翻訳、翻訳後修飾、及び分泌を含む、ポリペプチドの産生に関与する任意の工程を含む。
発現ベクター:本明細書において用語「発現ベクター」は、本発明のポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含み、その発現を与える追加のヌクレオチドに機能できる形で結合した線状もしくは環状DNA分子として定義される。
宿主細胞:本明細書において用語「宿主細胞」は、本発明のポリヌクレオチドを含む核酸構築体もしくは発現ベクターを用いて、形質転換、トランスフェクション、形質導入などを受ける任意のタイプの細胞を含む。
修飾:本明細書において用語「修飾」は、配列番号2もしくは配列番号4の成熟ポリペプチドからなるポリペプチド又はその相同配列の化学修飾、ならびにかかるポリペプチドをコードするDNAの遺伝子操作を意味する。修飾は、1つ又はそれ以上(数個)のアミノ酸の置換、欠失、及び/又は挿入、ならびに1つ又はそれ以上(数個)のアミノ酸側鎖の置換でもよい。
人工的変種:本明細書において用語「人工的変種」は、配列番号1もしくは配列番号3の成熟ポリペプチドコード配列の修飾ポリヌクレオチド配列又はその相同配列を発現する生物により産生される、セルロース分解増強活性を有するポリペプチドを意味する。修飾ヌクレオチド配列は、配列番号1もしくは配列番号3に開示されたポリヌクレオチド配列又はその相同配列の修飾により、ヒトの介入により得られる。
発明の詳細な説明
セルロース分解増強活性を有するポリペプチド
第1の態様において本発明は、配列番号2又は配列番号4の成熟ポリペプチドとの同一性の程度が、好ましくは少なくとも60%、さらに好ましくは少なくとも65%、さらに好ましくは少なくとも70%、さらに好ましくは少なくとも75%、さらに好ましくは少なくとも80%、さらに好ましくは少なくとも85%、さらに好ましくは少なくとも90%、さらに好ましくは少なくとも95%、そして最も好ましくは少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、又は少なくとも99%であるアミノ酸配列を含む、セルロース分解増強活性を有する単離されたポリペプチドに関する(以後「相同的ポリペプチド」)。好適な態様において相同的ポリペプチドは、配列番号2又は配列番号4の成熟ポリペプチドとは、10個のアミノ酸、好ましくは5個のアミノ酸、さらに好ましくは4個のアミノ酸、さらに好ましくは3個のアミノ酸、最も好ましくは2個のアミノ酸、そしてさらに最も好ましくは1個のアミノ酸が異なるアミノ酸配列を有する。
本発明のポリペプチドは、好ましくは配列番号2のアミノ酸配列、又はそのアレレ変種、又はセルロース分解増強活性を有するそのフラグメントを含む。好適な態様においてポリペプチドは、配列番号2のアミノ酸配列を有する。別の好適な態様においてポリペプチドは配列番号2の成熟ポリペプチドを含む。別の好適な態様においてポリペプチドは、配列番号2のアミノ酸18〜232、又はそのアレレ変種、又はセルロース分解増強活性を有するそのフラグメントを含む。別の好適な態様においてポリペプチドは、配列番号2のアミノ酸18〜232を含む。別の好適な態様においてポリペプチドは、配列番号2のアミノ酸配列、又はそのアレレ変種、又はセルロース分解増強活性を有するそのフラグメントからなる。別の好適な態様においてポリペプチドは、配列番号2のアミノ酸配列からなる。別の好適な態様においてポリペプチドは、配列番号2の成熟ポリペプチドからなる。別の好適な態様においてポリペプチドは、配列番号2のアミノ酸18〜232、又はそのアレレ変種、又はセルロース分解増強活性を有するそのフラグメントからなる。別の好適な態様においてポリペプチドは、配列番号2のアミノ酸18〜232からなる。
本発明のポリペプチドは、好ましくは配列番号4のアミノ酸配列、又はそのアレレ変種、又はセルロース分解増強活性を有するそのフラグメントを含む。好適な態様においてポリペプチドは、配列番号4のアミノ酸配列を有する。別の好適な態様においてポリペプチドは配列番号4の成熟ポリペプチドを含む。別の好適な態様においてポリペプチドは、配列番号4のアミノ酸16〜235、又はそのアレレ変種、又はセルロース分解増強活性を有するそのフラグメントを含む。別の好適な態様においてポリペプチドは、配列番号4のアミノ酸16〜235を含む。別の好適な態様においてポリペプチドは、配列番号4のアミノ酸配列、又はそのアレレ変種、又はセルロース分解増強活性を有するそのフラグメントからなる。別の好適な態様においてポリペプチドは、配列番号4のアミノ酸配列からなる。別の好適な態様においてポリペプチドは、配列番号4の成熟ポリペプチドからなる。別の好適な態様においてポリペプチドは、配列番号4のアミノ酸16〜235、又はそのアレレ変種、又はセルロース分解増強活性を有するそのフラグメントからなる。別の好適な態様においてポリペプチドは、配列番号4のアミノ酸16〜235からなる。
第2の態様において本発明は、好ましくは超低厳密性条件下で、さらに好ましくは低厳密性条件下で、さらに好ましくは中厳密性条件下で、さらに好ましくはやや高厳密性条件下で、さらに好ましくは高厳密性条件下で、そして最も好ましくは超高厳密性条件下で、(i)配列番号1又は配列番号3の成熟ポリペプチドコード配列と、(ii)配列番号1又は配列番号3の成熟ポリペプチドコード配列中に含まれるcDNA配列と、(iii)(i)もしくは(ii)のサブ配列と、又は(iv)(i)、(ii)、もしくは(iii)の完全長相補鎖と、ハイブリダイズするポリヌクレオチドによりコードされる、セルロース分解増強活性を有する単離されたポリペプチドに関する(Sambrook, E.F. Fritsch, and T. Maniatis, 1989, Molecular Cloning, A Laboratory Manual, 2nd edition, Cold Spring Harbor, New York)。配列番号1又は配列番号3の成熟ポリペプチドコード配列のサブ配列は、少なくとも100個の連続ヌクレオチド、又は好ましくは少なくとも200個の連続ヌクレオチドを含む。さらにサブ配列は、セルロース分解増強活性を有するポリペプチドフラグメントをコードしてもよい。好適な態様において相補鎖は、配列番号1又は配列番号3の成熟ポリペプチドコード配列の完全長相補鎖である。
配列番号1もしくは配列番号3のヌクレオチド配列又はそのサブ配列、ならびに配列番号2もしくは配列番号4のアミノ酸配列又はそのフラグメントは、当該分野で公知の方法に従って異なる属又は種の株から、セルロース分解増強活性を有するポリペプチドをコードするDNAを同定しクローン化するための核酸プローブを設計するのに使用される。特にこのようなプローブは、対応する遺伝子を同定し単離するために、標準的サザンブロッティング法に従って、目的の属又は種のゲノム又はcDNAとのハイブリダイゼーションのために使用することができる。このようなプローブは、全配列よりはるかに短かくてもよいが、少なくとも14ヌクレオチド、好ましくは少なくとも25ヌクレオチド、さらに好ましくは少なくとも35ヌクレオチド、及び最も好ましくは少なくと70ヌクレオチドの長さでなければならない。しかし核酸プローブは、少なくとも100ヌクレオチドの長さであることが好ましい。例えば核酸プローブは、少なくとも200ヌクレオチド、好ましくは少なくとも300ヌクレオチド、さらに好ましくは少なくとも400ヌクレオチド、又は最も好ましくは少なくと500ヌクレオチドの長さでもよい。さらに長いプローブを使用してもよく、例えば好ましくは少なくとも600ヌクレオチド、さらに好ましくは少なくとも700ヌクレオチド、又は最も好ましくは少なくと800ヌクレオチドの長さでもよい。DNAプローブとRNAプローブの両方とも使用することができる。プローブは典型的には、対応する遺伝子を検出するために(例えば、32P、3H、35S、ビオチン、又はアビジンで)標識される。かかるプローブは本発明に包含される。
従ってこのような他の株から調製されるゲノムDNA又はcDNAライブラリーは、上記プローブとハイブリダイズし、セルロース分解増強活性を有するポリペプチドをコードするDNAについてスクリーニングされる。このような他の株からのゲノムDNA又は他のDNAは、アガロースもしくはポリアクリルアミドゲル電気泳動、又は他の分離法により分離される。ライブラリーからのDNA又は分離されたDNAは、ニトロセルロース又は他の適切な担体物質上に転移及び固定化される。配列番号1又は配列番号3と相同的なクローンもしくはDNA又はそのサブ配列を同定するために、担体物質は好ましくはサザンブロットで使用される。
本発明の目的においてハイブリダイゼーションは、ヌクレオチド配列が、配列番号1又は配列番号3の成熟ポリペプチドコード配列;配列番号1又は配列番号3の成熟ポリペプチドコード配列中に含まれるcDNA配列;その完全長相補鎖;又はサブ配列に対応する標識核酸プローブに、超低厳密性条件〜超高厳密性条件下でハイブリダイズすることを示す。これらの条件下で核酸プローブがハイブリダイズする分子は、例えばX線フィルムを使用して検出することができる。
好適な態様において核酸プローブは、配列番号1の成熟ポリペプチドコード配列である。別の好適な態様において核酸プローブは、配列番号1のヌクレオチド52〜921である。別の好適な態様において核酸プローブは、配列番号2のポリペプチド又はそのサブ配列をコードするポリヌクレオチド配列である。別の好適な態様において核酸プローブは、配列番号1である。別の好適な態様において核酸プローブは、大腸菌(E. coli)NRRL B−50083に含まれるプラスミドpSMai190中に含まれるポリヌクレオチド配列であり、ここでそのポリヌクレオチド配列はセルロース分解増強活性を有するポリペプチドをコードする。別の好適な態様において核酸プローブは、大腸菌(E. coli)NRRL B−50083に含まれるプラスミドpSMai190中に含まれる成熟ポリペプチドコード領域である。
別の好適な態様において核酸プローブは、配列番号3の成熟ポリペプチドコード配列である。別の好適な態様において核酸プローブは、配列番号3のヌクレオチド46〜851である。別の好適な態様において核酸プローブは、配列番号4又はそのサブ配列のポリペプチドをコードするポリヌクレオチド配列である。別の好適な態様において核酸プローブは配列番号3である。別の好適な態様において核酸プローブは、大腸菌(E. coli)NRRL B−50085に含まれるプラスミドpSMai192中に含まれるポリヌクレオチド配列であり、ここでそのポリヌクレオチド配列はセルロース分解増強活性を有するポリペプチドをコードする。別の好適な態様において核酸プローブは、大腸菌(E. coli)NRRL B−50083に含まれるプラスミドpSMai192中に含まれる成熟ポリペプチドコード領域である。
少なくとも100ヌクレオチドの長さの長いプローブについて、超低〜超高厳密性条件は、42℃で、5×SSPE、0.3% SDS、200μg/mlの剪断分解及び変性サケ***DNA中で、及び超低及び低厳密性用に25%ホルムアミド、中〜高厳密性用に35%ホルムアミド、高及び超高厳密性用に50%ホルムアミド中で、標準的サザンブロッティング法に従う最適には12〜24時間の、プレハイブリダイゼーション及びハイブリダイゼーションとして規定される。
少なくとも100ヌクレオチドの長さの長いプローブについて、担体物質は最終的に、2×SSC、0.2% SDSを使用して、好ましくは45℃(超低厳密性)、さらに好ましくは50℃(低厳密性)、さらに好ましくは55℃(中程度厳密性)、さらに好ましくは60℃(中程度〜高厳密性)、さらに好ましくは65℃(高厳密性)、最も好ましくは70℃(超高厳密性)で、各15分で3回洗浄される。
約15ヌクレオチド〜約70ヌクレオチドの長さの短いプローブについて、厳密性条件は、0.9M NaCl、0.09M トリス塩酸(pH7.6)、6mM EDTA、0.5% NP−40、1×デンハルツ溶液、1mM ピロリン酸ナトリウム、1mM リン酸一ナトリウム、0.1mM ATP、及び0.2mg/mlの酵母RNA中で、Bolton and McCarthy(1962, Proceedings of the National Academy of Sciences USA 48:1390)の計算を使用して計算されるTmより約5℃〜約10℃低い温度で、標準的サザンブロッティング法に従う最適には12〜24時間のプレハイブリダイゼーション、ハイブリダイゼーション、及び洗浄ポストハイブリダイゼーションとして規定される。
約15ヌクレオチド〜約70ヌクレオチドの長さの短いプローブについて、担体材料は、6×SSCと0.1% SDSを使用して15分で1回洗浄され、6×SSCを使用して計算されたTmより5℃〜10℃低い温度で各15分で2回洗浄される。
第3の態様において本発明は、配列番号1又は配列番号3の成熟ポリペプチドコード配列と、好ましくは少なくとも60%、さらに好ましくは少なくとも65%、さらに好ましくは少なくとも70%、さらに好ましくは少なくとも75%、さらに好ましくは少なくとも80%、さらに好ましくは少なくとも85%、さらに好ましくは少なくとも90%、最も好ましくは少なくとも95%、そしてさらに最も好ましくは少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、又は少なくとも99%の同一性を有するヌクレオチド配列を含むか又はこれからなり、セルロース分解増強活性を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチドによりコードされる、セルロース分解増強活性を有する単離されたポリペプチドに関する。
第4の態様において本発明は、配列番号2又は配列番号4の成熟ポリペプチド又はその相同配列の、1つ又はそれ以上(数個)のアミノ酸の置換、欠失、及び/又は挿入を含む人工的変種に関する。好ましくはアミノ酸の変化は、小さいものであり、すなわちタンパク質の折り畳み及び/又は活性に大きな影響を与えない保存的アミノ酸置換;典型的には1〜約30アミノ酸の小さい欠失;小さなアミノ末端又はカルボキシル末端伸長、例えばアミノ末端メチオニン残基;約20〜25残基の小さいリンカーペプチド;又は正味荷電もしくは他の機能(例えばポリヒスチジン区域、抗原性エピトープもしくは結合ドメイン)を変化させることにより精製を促進する小さい伸長である。
保存的置換の例は、塩基性アミノ酸(アルギニン、リジン、ヒスチジン)、酸性アミノ酸(グルタミン酸、アスパラギン酸)、極性アミノ酸(グルタミン、アスパラギン)、疎水性アミノ酸(ロイシン、イソロイシン、バリン)、芳香族アミノ酸(フェニルアラニン、トリプトファン、チロシン)、及び小アミノ酸(グリシン、アラニン、セリン、スレオニン、メチオニン)の群内である。一般に比活性を変化させないアミノ酸置換は当該分野で公知であり、例えばH. Neurath and R.L. Hill, 1979, The Proteins, Academic Press, New Yorkに記載されている。最も一般的に存在する交換は、Ala/Ser、Val/Ile、Asp/Glu、Thr/Ser、Ala/Gly、Ala/Thr、Ser/Asn、Ala/Val、Ser/Gly、Tyr/Phe、Ala/Pro、Lys/Arg、Asp/Asn、Leu/Ile、Leu/Val、Ala/Glu、及びAsp/Glyである。
20個の標準的アミノ酸以外に、非標準的アミノ酸(例えば、4−ヒドロキシプロリン、6−N−メチルリジン、2−アミノイソ酪酸、イソバリン、及びアルファメチオニンセリン)を、野生型ポリペプチドのアミノ酸残基の代わりに使用してもよい。アミノ酸残基の代わりに、限定された数の非保存的アミノ酸(遺伝コードでコードされないアミノ酸)及び非天然アミノ酸を使用してもよい。「非天然アミノ酸」は、タンパク質合成後に修飾されているか、及び/又は標準的アミノ酸とは異なる化学構造を側鎖中に有する。非天然アミノ酸は、化学的に合成することができ、好ましくは市販されており、ピペコリン酸、チアゾリジンカルボン酸、デヒドロプロリン、3−及び4−メチルプロリン、及び3,3−ジメチルプロリンがある。
あるいはアミノ酸の変化は、ポリペプチドの物理化学的性質が改変されるようなものである。例えばアミノ酸変化は、ポリペプチドの熱安定性を改良し、基質特異性を改変し、最適pHを変化させることなどがある。
親ポリペプチド中の必須アミノ酸は、当該分野で公知の方法、例えば部位特異的突然変異誘発又はアラニンスキャニング突然変異誘発(Cunningham and Wells, 1989, Science 244:1081-1085)により同定することができる。後者の方法において分子のすべての残基で単一のアラニン変異が導入され、分子の活性に決定的に重要なアミノ酸残基を同定するために、得られる変異分子が生物活性(すなわち、セルロース分解増強活性)について試験される。また、Hilton et al.、1996, J. Biol. Chem. 271:4699-4708を参照。酵素の活性部位又は他の生物学的相互作用はまた、核磁気共鳴、結晶解析、電子回折、又は光親和性標識のような方法に推定接触部位アミノ酸の変異を組合せるような、物理的構造分析により測定される。例えば、Vos et al., 1992, Science 255:306-312; Smith et al., 1992, J. Mol. Biol. 224:899-904; Wlodaver et al., 1992, FEBS Lett. 309:59-64を参照。必須アミノ酸の本体はまた、本発明のポリペプチドと関連するポリペプチドとの同一性の解析から推定できる。
単一の又は複数のアミノ酸置換、欠失、及び/又は挿入を行い、公知の突然変異誘発法、組換え、及び/又はシャフリングを行い、次に関連するスクリーニング法(例えば、Reidhaar-Olson and Sauer, 1988, Science 241:53-57; Bowie and Sauer, 1989, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 86:2152-2156; WO95/17413号;又はWO95/22625号に開示された方法)を使用して試験することができる。使用できる他の方法には、誤りが出やすいPCR、ファージ表示(例えば、Lowman et al., 1991, Biochem. 30:10832-10837; 米国特許第5,223,409号;WO92/06204号)、及び領域特異的突然変異誘発(Derbyshire et al., 1986, Gene 46:145; Ner et al., 1988, DNA 7:127)がある。
突然変異誘発/シャフリング法は、宿主細胞に発現されるクローン化され突然変異誘発されたポリペプチドの活性を検出するために、高処理能力自動スクリーニング法と組合せることができる(Ness et al., 1999, Nature Biotechnology 17:893-896)。活性ポリペプチドをコードする突然変異誘発DNA分子は宿主細胞から回収し、当該分野で公知の標準的方法を使用して迅速に配列決定することができる。これらの方法は、目的のポリペプチド中の個々のアミノ酸残基の重要性の迅速な測定を可能にし、未知の構造のポリペプチドに応用することができる。
配列番号2又は配列番号4の成熟ポリペプチドのアミノ酸置換、欠失、及び/又は挿入の総数は、10、好ましくは9、さらに好ましくは8、さらに好ましくは7、さらに好ましくは6、さらに好ましくは5、さらに好ましくは4、さらに好ましくは3、最も好ましくは2、そしてさらに最も好ましくは1である。
セルロース分解増強活性を有するポリペプチドの供給源
本発明のポリペプチドは、任意の属の微生物から得られる。本発明の目的において、ある供給源に関連して本明細書で使用される用語「から得られる」は、ヌクレオチド配列によりコードされるポリペプチドが、その供給源により、又はその供給源からのヌクレオチド配列が挿入されている菌株により産生されることを意味する。好適な態様において、ある供給源から得られるポリペプチドは、細胞外に分泌される。
本発明のセルロース分解増強活性を有するポリペプチドは、細菌のポリペプチドでもよい。例えばポリペプチドは、グラム陰性菌のポリペプチド、例えばセルロース分解増強活性を有するバシルス(Bacillus)、連鎖球菌(Streptococcus)、ストレプトミセス(Streptomyces)、ブドウ球菌(Staphylococcus)、腸球菌(Enterococcus)、乳酸菌(Lactobacillus)、ラクトコッカス(Lactococcus)、クロストリジウム(Clostridium)、ゲオバシルス(Geobacillus)、又はオセアノバシルス(Oceanobacillus)のポリペプチド、又はセルロース分解増強活性を有する大腸菌(E. coli)、シュードモナス(Pseudomonas)、サルモネラ(Salmonella)、キャンピロバクター(Campylobacter)、ヘリコバクター(Helicobacter)、フラボバクテリウム(Flavobacterium)、フソバクテリウム(Fusobacterium)、イリオバクター(llyobacter)、ナイセリア(Neisseria)、又はウレアプラズマ(Ureaplasma)のポリペプチドでもよい。
好適な態様においてポリペプチドは、セルロース分解増強活性を有するバシルス・アルカロフィルス(Bacillus alkalophilus)、バシルス・アミロリクエファシエンス(Bacillus amyloliquefaciens)、バシルス・ブレビス(Bacillus brevis)、バシルス・サーキュランス(Bacillus circulans)、バシルス・クラウシイ(Bacillus clausii)、バシルス・コアグランス(Bacillus coagulans)、バシルス・フィルムス(Bacillus firmus)、バシルス・ラウタス(Bacillus lautus)、バシルス・レンタス(Bacillus lentus)、バシルス・リケニホルミス(Bacillus licheniformis)、バシルス・メガテリウム(Bacillus megaterium)、バシルス・プミルス(Bacillus pumilus)、バシルス・ステアロサーモフィルス(Bacillus stearothermophilus)、枯草菌(Bacillus subtilis)、バシラス・ツリンギエンシス(Bacillus thuringiensis)のポリペプチドである。
別の好適な態様においてポリペプチドは、セルロース分解増強活性を有するストレプトコッカス・エキシミリス(Streptococcus equisimilis)、ストレプトコッカス・ピオゲネス(Streptococcus pyogenes)、ストレプトコッカス・ウベリス(Streptococcus uberis)、又はストレプトコッカス・エクイ(Streptococcus equi)亜種ズーエピデミクス(Zooepidemicus)のポリペプチドである。
別の好適な態様においてポリペプチドは、セルロース分解増強活性を有するストレプトミセス・アクロモゲネス(Streptomyces achromogenes)、ストレプトミセス・アベルミチリス(Streptomyces avermitilis)、ストレプトミセス・コエリカラー(Streptomyces coelicolor)、ストレプトミセス・グリセウス(Streptomyces griseus)、又はストレプトミセス・リビダンス(Streptomyces lividans)のポリペプチドである。
本発明のセルロース分解増強活性を有するポリペプチドはまた真菌ポリペプチドであり、さらに好ましくは酵母ポリペプチド、例えばセルロース分解増強活性を有するカンジダ(Candida)、クルイベロミセス(Kluyveromyces)、ピキア(Pichia)、サッカロミセス(Saccharomyces)、シゾサッカロミセス(Schizosaccharomyces)、又はヤロウィア(Yarrowia)のポリペプチド、さらに好ましくは糸状菌ポリペプチド、例えば、セルロース分解増強活性を有するアクレモニウム(Acremonium)、アガリクス(Agaricus)、アルテルナリア(Alternarta)、アスペルギルス(Aspergillus)、アウレオバシジウム(Aureobasidium)、ボトリオスペリア(Botryospaeria)、セリポリオプシス(Ceriporiopsis)、ケトミジウム(Chaetomidium)、クリソスポリウム(Chrysosporium)、クラビセプス(Claviceps)、コクリオボルス(Cochliobolus)、コプリノプシス(Coprinopsis)、コプトテルメス(Coptotermes)、コリナスカス(Corynascus)、クリホネクトリア(Cryphonectria)、クリプトコッカス(Cryptococcus)、ディプロジア(Diplodia)、エキシジア(Exidia)、フィリバシジウム(Filibasidium)、フザリウム(Fusarium)、ジベレラ(Gibberella)、ホロマスチゴトイデス(Holomastigotoides)、フミコーラ(Humicola)、イルペックス(Irpex)、レンチヌラ(Lentinula)、レプトスペリア(Leptospaeria)、マグナポルテ(Magnaporthe)、メラノカルプス(Melanocarpus)、メリピルス(Meripilus)、ムコール(Mucor)、ミセリフトラ(Myceliophthora)、ネオカリマスティクス(Neocallimastix)、ノイロスポラ(Neurospora)、ペシロミセス(Paecilomyces)、ペニシリウム(Penicillium)、フェネロケテ(Phanerochaete)、ピロミセス(Piromyces)、ポイトラシア(Poitrasia)、シュードプレクタニア(Pseudoplectania)、シュードトリコニムファ(Pseudotrichonympha)、リゾムコール(Rhizomucor)、シゾフィルム(Schizophyllum)、シタリジウム(Scytalidium)、タラロミセス(Talaromyces)、サーモアスクス(Thermoascus)、チエラビア(Thielavia)、トリポクラジウム(Tolypocladium)、トリコデルマ(Trichoderma)、トリコフェア(Trichophaea)、ベルチシリウム(Verticillium)、ボルバリエラ(Volvariella)、又はキシラリア(Xylaria)のポリペプチドでもよい。
好適な態様においてポリペプチドは、セルロース分解増強活性を有するサッカロミセス・カールスベルゲンシス(Saccharomyces carlsbergensis)、サッカロミセス・セレビッシェ(Saccharomyces cerevisiae)、サッカロミセス・ジアスタチクス(Saccharomyces diastaticus)、サッカロミセス・ダグラシイ(Saccharomyces douglasii)、サッカロミセス・クルイベリ(Saccharomyces kluyveri)、サッカロミセス・ノルベンシス(Saccharomyces norbensis)、又はサッカロミセス・オビホルミス(Saccharomyces oviformis)のポリペプチドである。
別の好適な態様においてポリペプチドは、セルロース分解増強活性を有するアクレモニウム・セルロリチクス(Acremonium cellulolyticus)、アスペルギルス・アクレアタス(Aspergillus aculeatus)、アスペルギルス・アワモリ(Aspergillus awamori)、アスペルギルス・フミガタス(Aspergillus fumigatus)、アスペルギルス・フェチヅス(Aspergillus foetidus)、アスペルギルス・ジャポニカス(Aspergillus japonicus)、アスペルギルス・ニーヅランス(Aspergillus nidulans)、アスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)、麹菌(Aspergillus oryzae)、クリソスポリウム・ケラチノフィルム(Chrysosporium keratinophilum)、クリソスポリウム・ルクノウェンセ(Chrysosporium lucknowense)、クリソスポリウム・トロピクム(Chrysosporium tropicum)、クリソスポリウム・メルダリウム(Chrysosporium merdarium)、クリソスポリウム・イノプス(Chrysosporium inops)、クリソスポリウム・パニコラ(Chrysosporium pannicola)、クリソスポリウム・クイーンスランヂクム(Chrysosporium queenslandicum)、クリソスポリウム・ゾナツム(Chrysosporium zonatum)、フザリウム・バクトリジオイデス(Fusarium bactridioides)、フザリウム・セレアリス(Fusarium cerealis)、フザリウム・クルークウェレンセ(Fusartum crookwellense)、フザリウム・クルモルム(Fusartum culmorum)、フザリウム・グラミネアルム(Fusarium graminearum)、フザリウム・グラミヌム(Fusarium graminum)、フザリウム・ヘテロスポルム(Fusarium heterosporum)、フザリウム・ネグンジ(Fusarium negundi)、フザリウム・オキシスポルム(Fusarium oxysporum)、フザリウム・レチクラツム(Fusarium reticulatum)、フザリウム・ロセウム(Fusarium roseum)、フザリウム・サンブシヌム(Fusartum sambucinum)、フザリウム・サルコクロウム(Fusarium sarcochroum)、フザリウム・スポロトリキオイデス(Fusarium sporotrichioides)、フザリウム・スルフレウム(Fusartum sulphureum)、フザリウム・トルロスム(Fusarium torulosum)、フザリウム・トリコテシオイデス(Fusarium trichothecioides)、フザリウム・ベエナツム(Fusarium venenatum)、フミコーラ・グリセア(Humicola grisea)、フミコーラ・インソレンス(Humicola insolens)、フミコーラ・ランギノーサ(Humicola lanuginosa)、イルペックス・ラクテウス(Irpex lacteus)、ムコール・ミエヘイ(Mucor miehei)、ノイロスポラ・クラッサ(Neurospora crassa)、ペニシリウム・フニクロスム(Penicillium funiculosum)、ペニシリウム・プルプロゲヌム(Penicillium purpurogenum)、ファネロケテ・クリソスポルツム(Phanerochaete chrysosportum)、チエラビア・アクロマチカ(Thielavia achromatica)、チエラビア・アルボミセス(Thielavia albomyces)、チエラビア・アルボピロサ(Thielavia albopilosa)、チエラビア・アウストラレインシス(Thielavia australeinsis)、チエラビア・フィメティ(Thielavia fimeti)、チエラビア・ミクロスポラ(Thielavia microspora)、チエラビア・オビスポラ(Thielavia ovispora)、チエラビア・ペルビアナ(Thielavia peruviana)、チエラビア・スペデドニウム(Thielavia spededonium)、チエラビア・セトーサ(Thielavia setosa)、チエラビア・スブテルモフィラ(Thielavia subthermophila)、チエラビア・テレストリス(Thielavia terrestris)、トリコデルマ・ハルジアヌム(Trichoderma harzianum)、トリコデルマ・コニンギイ(Trichoderma koningii)、トリコデルマ・ロンギブラキアツム(Trichoderma longibrachiatum)、トリコデルマ・リーセイ(Trichoderma reesei)、又はトリコデルマ・ビリデ(Trichoderma viride)のポリペプチドである。
別の好適な態様においてポリペプチドは、セルロース分解増強活性を有するミセリオフトラ・ヒヌレア(Myceliophthora hinnulea)、ミセリオフトラ・ルテア(Myceliophthora lutea)、ミセリオフトラ・サーモフィラ(Myceliophthora thermophila)、又はミセリオフトラ・ベレレア(Myceliophthora vellerea)のポリペプチドである。
より好適な態様においてポリペプチドは、セルロース分解増強活性を有するミセリオフトラ・サーモフィラ(Myceliophthora thermophila)のポリペプチドである。最も好適な態様においてポリペプチドは、セルロース分解増強活性を有するミセリオフトラ・サーモフィラ(Myceliophthora thermophila)CBS202.75ポリペプチド、例えば配列番号2又は配列番号4の成熟ポリペプチドを含むポリペプチドである。
上記の種について本発明は、これらが知られている名前に無関係に、完全又は不完全状態、及び他の分類上の同等物、例えばアナモルフ(anamorpho)を含むことは理解されるであろう。当業者は、適切な同等物の本体を容易に認識するであろう。
これらの種の株は、多くの菌株保存機関、例えばアメリカンタイプカルチャーコレクション(American Type Culture Collection)(ATCC)、ドイツ微生物細胞培養コレクション(Deutsche Sammlung von Mikroorganismen und Zellkulturen GmbH)(DSM)、オランダ微生物株保存センター(Centraalbureau voor Schimmelcultures)(CBS)、アグリカルチュラル・リサーチ・サービス・パテント・カルチャー・コレクション(Agricultural Research Service Patent Culture Collection)、ノーザン・リジョナル・リサーチ・センター(Northern Regional Research Center)(NRRL)で公に容易に入手できる。
さらにこのようなポリペプチドは同定され、上記プローブを使用して自然から単離された微生物を含む他の供給源(例えば、土壌、コンポスト、水など)から得られる。自然の環境から微生物を単離する方法は、当該分野で公知である。次に、そのような微生物のゲノムもしくはcDNAライブラリーを同様にスクリーニングすることにより、ポリヌクレオチドが得られる。ポリペプチドをコードするポリヌクレオチド配列が、プローブを用いていったん検出されると、当業者に公知の方法を使用してポリヌクレオチドが単離又はクローン化される(例えば、Sambrook et al., 1989、前述参照)。
本発明のポリペプチドはまた、ポリペプチド又はそのフラグメントのN末端又はC末端に別のポリペプチドが融合した融合ポリペプチドもしくは切断可能融合ポリペプチドを含む。融合ポリペプチドは、別のポリペプチドをコードするヌクレオチド配列(又はその一部)を、本発明のヌクレオチド配列(又はその一部)に融合することにより産生される。融合ポリペプチドの製造法は当該分野で公知であり、コード配列がフレーム内に有り、かつ融合ポリペプチドの発現が同じプロモーターとターミネーターの制御下にあるように、ポリペプチドをコードするコード配列を連結することを含む。
融合ポリペプチドはさらに、切断部位を含んでよい。融合タンパク質の分泌により、その部位が切断されて、セルロース分解増強活性を有するポリペプチドが融合タンパク質から放出される。切断部位の例には、特に限定されないが、ジペプチドをコードするKex2部位(Martin et al., 2003, J. Ind. Microbiol. Biotechnol. 3: 568-76; Svetina et al., 2000, J. Biotechnol. 76: 245-251; Rasmussen-Wilson et al., 1997, Appl. Environ. Microbiol. 63: 3488-3493; Ward et al., 1995, Biotechnology 13: 498-503; 及び Contreras et al., 1991, Biotechnology 9: 378-381)、Ile−(Glu 又はAsp)−Gly−Arg部位(これはアルギニン残基の後で第Xa因子プロテアーゼにより切断される)(Eaton et al., 1986, Biochem. 25: 505-512); Asp−Asp−Asp−Asp−Lys部位(これはリジンの後でエンテロキナーゼにより切断される)(Collins-Racie et al., 1995, Biotechnology 13: 982-987);His−Tyr−Glu部位、又はHis−Tyr−Asp部位、これはゲネナーゼI(GenenaseI)により切断される(Carter et al., 1989, Proteins, Structure. Function, and Genetics 6: 240-248);Leu−Val−Pro−Arg−Gly−Ser部位(これはArgの後でトロンビンにより切断される)(Stevens, 2003, Drug Discovery World 4: 35-48); Glu−Asn−Leu−Tyr−Phe−Gln−Gly部位(これはGlnの後でTEVプロテアーゼにより切断される)(Stevens, 2003, 前述);及び Leu−Glu−Val−Leu−Phe−Gln−Gly−Pro部位(これは、Glnの後でヒトライノウイルス3Cプロテアーゼの遺伝子工学作成型により切断される)(Stevens, 2003, 前述)がある。
ポリヌクレオチド
本発明はまた、本発明のセルロース分解増強活性を有するポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含むか又はこれからなる単離されたポリヌクレオチドに関する。
好適な態様においてヌクレオチド配列は、配列番号1を含むか又はこれからなる。さらに別の好適な態様においてヌクレオチド配列は、大腸菌(E. coli)NRRL B−50083に含まれるプラスミドpSMai190中に含まれる配列を含むか又はこれからなる。別の好適な態様においてヌクレオチド配列は、配列番号1の成熟ポリペプチドコード配列を含むか又はこれからなる。別の好適な態様においてヌクレオチド配列は、配列番号1のヌクレオチド52〜921を含むか又はこれからなる。さらに別の好適な態様においてヌクレオチド配列は、大腸菌(E. coli)NRRL B−50083に含まれるプラスミドpSMai190中に含まれる成熟ポリペプチドコード配列を含むか又はこれからなる。
好適な態様においてヌクレオチド配列は、配列番号3を含むか又はこれからなる。さらに別の好適な態様においてヌクレオチド配列は、大腸菌(E. coli)NRRL B−50085に含まれるプラスミドpSMai192中に含まれる配列を含むか又はこれからなる。別の好適な態様においてヌクレオチド配列は、配列番号3の成熟ポリペプチドコード配列を含むか又はこれからなる。別の好適な態様においてヌクレオチド配列は、配列番号3のヌクレオチド46〜851を含むか又はこれからなる。さらに別の好適な態様においてヌクレオチド配列は、大腸菌(E. coli)NRRL B−50085に含まれるプラスミドpSMai192中に含まれる成熟ポリペプチドコード配列を含むか又はこれからなる。
本発明はまた、遺伝コードの縮重のために、配列番号1もしくは配列番号3又はこれらの成熟ポリペプチドコード配列とは異なる、配列番号2もしくは配列番号4又はこれらの成熟ポリペプチドのアミノ酸配列を含むか又はこれからなるポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を包含する。本発明はまた、それぞれセルロース分解増強活性を有する配列番号2又は配列番号4のフラグメントをコードする、配列番号1もしくは配列番号3のサブ配列に関する。
本発明はまた、配列番号1もしくは配列番号3の成熟ポリペプチドコード配列中に少なくとも1つの変異を含むか又はこれからなる変異ポリヌクレオチド(ここで変異ヌクレオチド配列はそれぞれ配列番号2もしくは配列番号4の成熟ポリペプチドをコードする)に関する。
ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを単離又はクローン化するのに使用される方法は当該分野で公知であり、ゲノムDNAからの単離、cDNAからの調製、又はこれらの組合せを含む。そのようなゲノムDNAからの本発明のポリヌクレオチドのクローニングは、例えば公知のポリメラーゼ連鎖反応(PCR)又は発現ライブラリーの抗体スクリーニングを使用して、共通の構造的特徴を有するクローン化されたDNAフラグメントを検出することにより行われる。例えば、Innis et al., 1990, PCR: A Guide to Methods and Application, Academic Press, New Yorkを参照。リガーゼ連鎖反応(LCR)、連結活性化転写(LAT)、及びヌクレオチド配列ベースの増幅(NASBA)のような他の核酸増幅法も使用される。ポリヌクレオチドは、ミセリオフトラ(Myceliophthora)の株又は他のもしくは関連する微生物からクローン化され、従って例えば、ヌクレオチド配列のポリペプチドをコードする領域のアレレ変種もしくは種変種でもよい。
本発明はまた、配列番号1又は配列番号3の成熟ポリペプチドコード配列と、好ましくは少なくとも60%、さらに好ましくは少なくとも65%、さらに好ましくは少なくとも70%、さらに好ましくは少なくとも75%、さらに好ましくは少なくとも80%、さらに好ましくは少なくとも85%、さらに好ましくは少なくとも90%、最も好ましくは少なくとも95%、そしてさらに最も好ましくは少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、又は少なくとも99%の同一性を有するヌクレオチド配列を含むか又はこれからなり、セルロース分解増強活性を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチドに関する。
本発明のポリペプチドをコードするヌクレオチド配列の修飾は、このポリペプチドと実質的に類似のポリペプチドの合成に必要なことがある。ポリペプチドと「実質的に類似」という用語は、ポリペプチドの非天然型を意味する。これらのポリペプチドは、ある工学作成的意味で、天然供給源から単離されるポリペプチドとは異なり、例えば比活性、熱安定性、最適pHなどが異なる人工的変種である。変種配列は、配列番号1又は配列番号3の成熟ポリペプチドコード配列として提示されるヌクレオチド配列(例えばそのサブ配列)に基づいて、及び/又はヌクレオチド配列にコードされるポリペプチドの別のアミノ酸配列を与えないが酵素の産生を目的とした宿主生物のコドン使用に対応するヌクレオチド置換の導入により、又は異なるアミノ酸配列を与えるヌクレオチド置換の導入により、構築される。ヌクレオチド置換の一般的説明については、例えばFord et al., 1991, Protein Expression and Purification 2:95-107を参照。
かかる置換は、分子の機能に決定的に重要な領域の外で行われ、それでも活性ポリペプチドが得られることは、当業者に明らかであろう。本発明の単離されたポリヌクレオチドによりコードされるポリペプチドの活性に必須のアミノ酸残基、従って好ましくは置換を受けないアミノ酸残基は、当該分野で公知方法、例えば部位特異的突然変異誘発又はアラニンスキャニング突然変異誘発(Cunningham and Wells, 1989, 前述)に従って同定される。後者の方法において分子のすべての陽性荷電残基で変異が導入され、得られる変異分子が、分子の活性に決定的に重要なアミノ酸残基を同定するために生物活性について試験される。基質−酵素相互作用の部位もまた、核磁気共鳴、結晶解析、又は光親和性標識のような方法により決定される3次元構造の解析により決定される(例えば、de Vos et al., 1992, 前述; Smith et al., 1992, 前述; Wlodaver et al., 1992, 前述、を参照)。
本発明はまた本明細書に記載のように、超低厳密性条件下で、好ましくは低厳密性条件下で、さらに好ましくは中厳密性条件下で、さらに好ましくはやや高厳密性条件下で、さらに好ましくは高厳密性条件下で、そして最も好ましくは超高厳密性条件下で、(i)配列番号1又は配列番号3の成熟ポリペプチドコード配列と、(ii)配列番号1又は配列番号3の成熟ポリペプチドコード配列中に含まれるcDNA配列と、(iii)(i)もしくは(ii)の完全長相補鎖とハイブリダイズする、本発明のポリペプチドをコードする単離されたポリヌクレオチド、又はそのアレレ変種とサブ配列に関する(Sambrook, 1989、前述)。好適な態様において相補鎖は、配列番号1又は配列番号3の成熟ポリペプチドコード配列の完全長相補鎖である。
本発明はまた、(a)DNA集団を、超低、低、中、やや高、高、又は超高厳密性条件下で、(i)配列番号1又は配列番号3の成熟ポリペプチドコード配列と、(ii)配列番号1又は配列番号3の成熟ポリペプチドコード配列中に含まれるcDNA配列と、(iii)(i)もしくは(ii)の完全長相補鎖とハイブリダイズさせ、そして(b)ハイブリダイズするポリヌクレオチド(これはセルロース分解増強活性を有するポリペプチドをコードする)を単離することにより得られる。好適な態様において相補鎖は、配列番号1又は配列番号3の成熟ポリペプチドコード配列の完全長相補鎖である。
核酸構築体
本発明はまた、制御配列に適合する条件下で適切な宿主細胞中で、コード配列の発現を指令する1つ又はそれ以上(数個)の制御配列に機能できる形で結合した、本発明の単離されたポリヌクレオチドを含む核酸構築体に関する。
本発明のポリペプチドをコードする単離されたポリヌクレオチドは、種々の方法で操作されてポリペプチドを発現させる。発現ベクターによっては、ベクターへの挿入の前にポリヌクレオチド配列の操作が好ましいか又は必要なことがある。組換えDNA法を使用してポリヌクレオチド配列を修飾する方法は、当該分野で公知である。
制御配列は、適切なプロモーター配列、本発明のポリペプチドをコードするポリヌクレオチドの発現のために宿主細胞により認識されるヌクレオチド配列でもよい。プロモーター配列は、ポリペプチドの発現を仲介する転写制御配列を含有する。プロモーターは、選択された宿主細胞(変異プロモーター、末端切断型プロモーター、及びハイブリッドプロモーターを含む)中で転写活性を示す任意のヌクレオチド配列であり、宿主細胞に対して同種又は異種の細胞外もしくは細胞内ポリペプチドをコードする遺伝子から得られる。
特に細菌宿主細胞中で本発明の核酸構築体の転写を指令するための適切なプロモーターの例は、大腸菌(E. coli)lacオペロン、ストレプトミセス・コエリカラー(Streptomyces coelicolor)アガラーゼ遺伝子(dagA)、枯草菌(Bacillus subtilis)レバンスクラーゼ遺伝子(sacB)、バシルス・リケニホルミス(Bacillus licheniformis)アルファ−アミラーゼ遺伝子(amyL)、バシラス・ステアロサーモフィルス(Bacillus stearothermophilus)マルトース生成性アミラーゼ(amyM)、バシルス・アミロリクエファシエンス(Bacillus amyloliquefaciens)アルファアミラーゼ遺伝子(amyQ)、バシルス・リケニホルミス(Bacillus licheniformis)ペニシリナーゼ遺伝子(penP)、枯草菌(Bacillus subtilis)xylA及びxylB遺伝子、及び原核生物ベータ−ラクタマーゼ遺伝子(Villa-Kamaroff et al. 1978, Proceedings of the National Academy of Sciences USA 75:3727-3731)、ならびにtacプロモーター(DeBoer et al., 1983, Proceedings of the National Academy of Sciences USA 80:21-25)から得られるプロモーターである。さらなるプロモーターは、「組換え細菌からの有用なタンパク質」、Scientific American, 1980, 242:74-94; 及びSambrook et al., 1989、前述、に記載されている。
糸状菌宿主細胞中で本発明の核酸構築体の転写を指令するための適切なプロモーターの例は、麹菌(Aspergillus oryzae)TAKAアミラーゼ、リゾムコール・ミエヘイ(Rhizomucor miehei)アスパラギン酸プロテイナーゼ、アスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)中性アルファ−アミラーゼ、アスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)酸安定性アルファ−アミラーゼ、アスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)もしくはアスペルギルス・アワモリ(Aspergillus awamori)グルコアミラーゼ(glaA)、リゾムコール・ミエヘイ(Rhizomucor miehei)リパーゼ、麹菌(Aspergillus oryzae)アルカリ性プロテアーゼ、麹菌(Aspergillus oryzae)トリオースリン酸イソメラーゼ、アスペルギルス・ニーズランス(Aspergillus nidulans)アセトアミダーゼ、フザリウム・ベネナツム(Fusarium venenatum)アミログルコシダーゼ(WO00/56900号)、フザリウム・ベネナツム(Fusarium venenatum)Daria(WO00/56900号)、フザリウム・ベネナツム(Fusarium venenatum)Quinn(WO00/56900号)、フザリウム・オキシスポルム(Fusarium oxysporum)トリプシン様プロテアーゼ(WO96/00787号)、トリコデルマ・リーセイ(Trichoderma reesei)ベータグルコシダーゼ、トリコデルマ・リーセイ(Trichoderma reesei)セロビオヒドロラーゼI、トリコデルマ・リーセイ(Trichoderma reesei)セロビオヒドロラーゼII、トリコデルマ・リーセイ(Trichoderma reesei)エンドグルカナーゼI、トリトリコデルマ・リーセイ(Trichoderma reesei)エンドグルカナーゼII、トリトリコデルマ・リーセイ(Trichoderma reesei)エンドグルカナーゼIII、トリコデルマ・リーセイ(Trichoderma reesei)エンドグルカナーゼIV、トリコデルマ・リーセイ(Trichoderma reesei)エンドグルカナーゼV,トリコデルマ・リーセイ(Trichoderma reesei)キシラナーゼI、トリコデルマ・リーセイ(Trichoderma reesei)キシラナーゼII、トリコデルマ・リーセイ(Trichoderma reesei)ベータ−キシロシダーゼの遺伝子から得られるプロモーター、ならびにNA2−tpiプロモーター(アスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)中性アルファ−アミラーゼと麹菌(Aspergillus oryzae)トリオースリン酸イソメラーゼの遺伝子からのプロモーターのハイブリッド);及びその変異体、末端切断型、及びハイブリッドプロモーターである。
酵母宿主において有用なプロモーターは、サッカロミセス・セレビッシェ(Saccharomyces cerevisiae)エノラーゼ(ENO−1)、サッカロミセス・セレビッシェ(Saccharomyces cerevisiae)ガラクトキナーゼ(GAL1)、サッカロミセス・セレビッシェ(Saccharomyces cerevisiae)アルコール脱水素酵素/グリセルアルデヒド−3−リン酸脱水素酵素(ADH1、ADH2/GAP)、サッカロミセス・セレビッシェ(Saccharomyces cerevisiae)トリオースリン酸イソメラーゼ(TPI)、サッカロミセス・セレビッシェ(Saccharomyces cerevisiae)メタロチオネイン(CUP1)、及びサッカロミセス・セレビッシェ(Saccharomyces cerevisiae)3−ホスホグリセレートキナーゼの遺伝子から得られる。酵母宿主細胞の他の有用なプロモーターは、Romanos et al., 1992, Yeast 8:423-488に記載されている。
制御配列はまた、宿主細胞により認識されて転写を停止させる配列である適切な転写停止配列でもよい。停止配列は、ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列の3’末端に機能できる形で結合している。選択された宿主細胞中で機能する任意のターミネーターが本発明で使用される。
糸状菌宿主細胞の好適なターミネーターは、麹菌(Aspergillus oryzae)TAKAアミラーゼ、アスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)グルコアミラーゼ、アスペルギルス・ニーズランス(Aspergillus nidulans)アントラニレートシンターゼ、アスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)アルファ−グルコシダーゼ、及びフザリウム・オキシスポルム(Fusarium oxysporum)トリプシン様プロテアーゼの遺伝子から得られる。
酵母宿主細胞の好適なターミネーターは、サッカロミセス・セレビッシェ(Saccharomyces cerevisiae)エノラーゼ、サッカロミセス・セレビッシェ(Saccharomyces cerevisiae)チトクロムC(CYC1)、及びサッカロミセス・セレビッシェ(Saccharomyces cerevisiae)グリセロアルデヒド−3−ホスフェート脱水素酵素の遺伝子から得られる。酵母宿主細胞の他の有用なターミネーターは、Romanos et al., 1992, 前述、に記載されている。
制御配列はまた、宿主細胞による翻訳に重要なmRNAの非翻訳領域である適切なリーダー配列でもよい。リーダー配列は、ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列の5’末端に機能できる形で結合している。選択された宿主細胞中で機能する任意のリーダー配列が、本発明で使用される。
糸状菌宿主細胞の好適なリーダーは、麹菌(Aspergillus oryzae)TAKAアミラーゼ、及びアスペルギルス・ニーズランス(Aspergillus nidulans)トリオースリン酸イソメラーゼの遺伝子から得られる。
酵母宿主細胞の適切なリーダーは、サッカロミセス・セレビッシェ(Saccharomyces cerevisiae)エノラーゼ(ENO−1)、サッカロミセス・セレビッシェ(Saccharomyces cerevisiae)3−ホスホグリセレートキナーゼ、サッカロミセス・セレビッシェ(Saccharomyces cerevisiae)アルファ因子、及びサッカロミセス・セレビッシェ(Saccharomyces cerevisiae)アルコール脱水素酵素/グリセロアルデヒド−3−ホスフェート脱水素酵素(ADH2/GAP)の遺伝子から得られる。
制御配列はまた、ヌクレオチド配列の3’末端に機能できる形で結合した配列であり、転写されると、転写されたmRNAにポリアデノシン残基を付加するシグナルとして、宿主細胞により認識されるポリアデニル化配列でもよい。
糸状菌宿主細胞の好適なポリアデニル化配列は、麹菌(Aspergillus oryzae)TAKAアミラーゼ、アスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)グルコアミラーゼ、アスペルギルス・ニーズランス(Aspergillus nidulans)アントラニレートシンターゼ、フザリウム・オキシスポルム(Fusarium oxysporum)トリプシン様プロテアーゼ、及びアスペルギルス・ニーズランス(Aspergillus nidulans)アルファ−グルコシダーゼの遺伝子から得られる。
酵母宿主細胞の適切なポリアデニル化配列は、Guo and Sherman, 1995, Molecular Cellular Biology 15:5983-5990に記載されている。
制御配列はまた、ポリペプチドのアミノ末端に結合したアミノ酸配列をコードし、コードされるポリペプチドを細胞の分泌経路に向けるシグナルペプチドコード配列でもよい。ヌクレオチド配列のコード配列の5’末端は、翻訳読みとり枠中で、分泌されるポリペプチドをコードするコード配列のセグメントに天然で結合しているシグナルペプチドコード配列を本来含有する。あるいはコード配列の5’末端は、コード配列に対して異種であるシグナルペプチドコード配列を含有してもよい。この異種シグナルペプチドコード配列は、コード配列がシグナルペプチドコード配列を天然に含有しない場合、必要となることがある。あるいは異種シグナルペプチドコード配列は、ポリペプチドの分泌を増強するために、天然のシグナルペプチドコード配列を単に置換してもよい。しかし選択された宿主細胞の分泌経路(すなわち、培養培地への分泌)へ発現されたポリペプチドを指令する任意のシグナルペプチドコード配列が、本発明で使用される。
細菌宿主細胞の有効なシグナルペプチドコード配列は、バシルス(Bacillus)NCIB 11837マルトース生成性アミラーゼ、バシラス・ステアロサーモフィルス(Bacillus stearothermophilus)アルファ−アミラーゼ、バシルス・リケニホルミス(Bacillus licheniformis)ズブチリシン(subtilisin)、バシルス・リケニホルミス(Bacillus licheniformis)ベータ−ラクタマーゼ、バシラス・ステアロサーモフィルス(Bacillus stearothermophilus)中性プロテアーゼ(nprT、npfS、nprM)、及び枯草菌(Bacillus subtilis)prsAの遺伝子から得られるシグナルペプチドコード配列である。さらなるシグナルペプチドは、Simonen and Palva, 1993, Microbiological Reviews 57:109-137に記載されている。
糸状菌宿主細胞のための有効なシグナルペプチドコード配列は、麹菌(Aspergillus oryzae)TAKAアミラーゼ、アスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)中性アミラーゼ、アスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)グルコアミラーゼ、リゾムコール・ミエヘイ(Rhizomucor miehei)アスパラギン酸プロテイナーゼ、フミコーラ・インソレンス(Humicola insolens)セルラーゼ、フミコーラ・インソレンス(Humicola insolens)エンドグルカナーゼV、及びフミコーラ・ラヌギノーサ(Humicola lanuginosa)リパーゼの遺伝子から得られるシグナルペプチドコード配列である。
酵母宿主細胞の有用なシグナルペプチドは、サッカロミセス・セレビッシェ(Saccharomyces cerevisiae)アルファ因子及びサッカロミセス・セレビッシェ(Saccharomyces cerevisiae)インベルターゼの遺伝子から得られる。他の有用なシグナルペプチドコード配列は、Romanos et al., 1992, 前述、に記載されている。
好適な態様においてシグナルペプチドは、配列番号2のアミノ酸1〜17を含むか又はこれからなる。別の好適な態様においてシグナルペプチドコード配列は、配列番号1のヌクレオチド1〜51を含むか又はこれからなる。
別の好適な態様においてシグナルペプチドは、配列番号4のアミノ酸1〜15を含むか又はこれからなる。別の好適な態様においてシグナルペプチドコード配列は、配列番号3のヌクレオチド1〜45を含むか又はこれからなる。
制御配列はまた、ポリペプチドのアミノ末端に位置するアミノ酸配列をコードするプロペプチドコード配列でもよい。生じるポリペプチドは、プロ酵素又はプロポリペプチド(又はある場合にはチモーゲン)として知られている。プロペプチドは一般に不活性であり、プロポリペプチドから、プロペプチドの触媒性もしくは自己触媒性切断により成熟活性ポリペプチドに変換することができる。プロペプチドコード配列は、枯草菌(Bacillus subtilis)アルカリ性ホスファターゼ(aprE)、枯草菌(Bacillus subtilis)中性プロテアーゼ(nprT)、サッカロミセス・セレビッシェ(Saccharomyces cerevisiae)アルファ因子、リゾムコール・ミエヘイ(Rhizomucor miehei)アスパラギン酸プロテイナーゼ、及びマイセリオフトラ・サーモフィラ(Myceliophthora thermophilia)ラッカーゼ(WO95/33836号)の遺伝子から得られる。
シグナルペプチドとプロペプチド配列との両方がポリペプチドのアミノ末端に存在する場合、プロペプチド配列はポリペプチドのアミノ末端の隣に位置し、シグナルペプチド配列はプロペプチド配列のアミノ末端の隣に位置する。
宿主細胞の増殖に対して、ポリペプチドの発現を制御を可能にする制御配列を付加することが好ましいことがある。制御系の例は、化学的又は物理的刺激(制御化合物の存在を含む)に応答して遺伝子発現をオン又はオフさせるものである。原核細胞系の制御系には、lac、tac、及びtrpオペレーター系がある。酵母ではADH2系又はGAL1系が使用される。
糸状菌ではTAKAアルファ−アミラーゼプロモーター、アスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)グルコアミラーゼプロモーター、及び麹菌(Aspergillus oryzae)グルコアミラーゼプロモーターが、制御配列として使用される。制御配列の他の例は、遺伝子増幅を可能にするものである。真核生物系では制御配列には、メソトレキセートの存在下で増幅されるジヒドロ葉酸還元酵素遺伝子、及び重金属で増幅されるメタロチオネイン遺伝子がある。これらの場合に、ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列は制御配列に機能できる形で結合しているであろう。
発現ベクター
本発明はまた、本発明のポリヌクレオチド、プロモーター、及び転写と翻訳停止シグナルを含む組換え発現ベクターに関する。本明細書に記載の種々の核酸と制御配列は連結されて組換え発現ベクターが作成され、これは、1つ又はそれ以上(数個)の便利な認識部位を含有して、そのような部位で、ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列の挿入又は置換を可能にする。あるいは本発明のポリヌクレオチドは、この配列を含むヌクレオチド配列又は核酸構築体を、発現用の適切なベクターに挿入することにより発現される。発現ベクターの作成においてコード配列は、発現用の適切な制御配列と機能できる形で結合するように、ベクター中に位置する。
組換え発現ベクターは、便利に組換えDNA法を受けることができ、ヌクレオチド配列の発現をもたらすことができる任意のベクター(例えば、プラスミド又はウイルス)でもよい。ベクターの選択は典型的には、ベクターが導入される宿主細胞とベクターとの適合性に依存する。ベクターは線状プラスミドでも閉じた環状プラスミドでもよい。
ベクターは、自律的複製性ベクター(すなわち、染色体外物質として存在し、その複製が染色体複製に依存しない)、例えばプラスミド、染色体外要素、ミニ染色体、又は人工染色体でもよい。ベクターは自己複製を確実にする手段を含む。あるいはベクターは、宿主細胞中に導入された時に、ゲノム中に組み込まれ、それが組み込まれている染色体とともに複製されるものでもよい。さらに宿主細胞のゲノムに総DNAを一緒に含有する、単一のベクターもしくはプラスミド又は2つもしくはそれ以上のベクターもしくはプラスミドもしくはトランスポゾンが使用される。
本発明のベクターは好ましくは、形質転換、トランスフェクション、形質導入などを受けた細胞の容易な選択を可能にする1つ又はそれ以上(数個)の選択マーカーを含有する。選択マーカーは、その生成物が、殺生物剤耐性もしくはウイルス耐性、重金属に対する耐性、栄養要求体への原栄養性を与える遺伝子である。
細菌性選択マーカーの例は、枯草菌(Bacillus subtilis)もしくはバシルス・リケニホルミス(Bacillus licheniformis)のdal遺伝子、又は抗生物質耐性(例えば、アンピシリン、カナマイシン、クロラムフェニコール、又はテトラサイクリン耐性)を付与するマーカーである。酵母宿主細胞の適切なマーカーは、ADE2、HIS3、LEU2、LYS2、MET3、TRP1、及びURA3である。糸状菌宿主細胞で使用される選択マーカーには、特に限定されないが、amdS(アセトアミドダーゼ)、argB(オルニチンカルバモイル転移酵素)、bar(ホスフィノトリシンアセチルトランスフェラーゼ)、hph(ヒグロマイシンホスホトランスフェラーゼ)、niaD(硝酸還元酵素)、pyrG(オロチジン−5’−ホスフェート脱炭酸酵素)、sC(硫酸アデニル転移酵素)、及びtrpC(アントラニレートシンターゼ)、ならびにこれらの同等物がある。アスペルギルス(Aspergillus)細胞での使用に好適なものは、アスペルギルス・ニーズランス(Aspergillus nidulans)又は麹菌(Aspergillus oryzae)のamdS及びpyrG遺伝子、及びストレプトミセス・ヒグロスコピクス(Streptomyces hygroscopicus)のbar遺伝子である。
本発明のベクターは好ましくは、宿主細胞ゲノムへのベクターの組み込み、又は遺伝子に依存しない細胞中のベクターの自律複製を可能にする要素を含有する。
宿主細胞ゲノムへの組み込みのために、ベクターは、相同的もしくは非相同的組換えによるゲノムへの組み込みのために、ポリペプチド又はベクターの他の要素をコードするポリヌクレオチドの配列に依存する。あるいはベクターは、染色体中の正確な位置で宿主細胞のゲノムへの相同的組換えによる組み込みを指令する追加のヌクレオチド配列を含んでよい。正確な位置での組み込み確率を上げるために、組み込み要素は好ましくは充分な数の核酸、例えば100〜10,000塩基対、好ましくは400〜10,000塩基対、最も好ましくは800〜10,000塩基対を有し、これは、相同的組換えの確率を上昇させるために、対応する標的配列と高度の同一性を有する。組み込み要素は、宿主細胞のゲノム中の標的配列と相同的である任意の配列である。さらに組み込み要素は、非コード又はコードヌクレオチド配列である。一方ベクターは、非相同的組換えにより宿主細胞のゲノム中に組み込まれてもよい。
自律複製のためにベクターは、ベクターが問題の宿主細胞中に自律的に複製することを可能にする複製開始点をさらに含んでよい。複製開始点は、細胞中で機能する自律的複製を仲介する任意のプラスミドレプリケータでもよい。本明細書において用語「複製開始点」又は「プラスミドレプリケータ」は、プラスミド又はベクターがインビボで複製することを可能にするヌクレオチド配列として規定される。
細菌性複製開始点の例は、大腸菌(E. coli)中での複製を可能にするプラスミドpBR322、pUC19、pACYC177、及びpACYC184と、バシルス(Bacillus)中での複製を可能にするpUB110、pE194、pTA1060、及びpAMβ1の複製開始点である。
酵母宿主細胞で使用される複製開始点の例は、2ミクロン複製開始点、ARS1、ARS4、ARS1とCEN3との組合せ、及びARS4とCEN6との組合せである。
糸状菌細胞で有用な複製開始点の例は、AMA1及びANS1である(Gems et al., 1991, Gene 98:61-67; Cullen et al., 1987, Nucleic Acids Research, 15:9163-9175; WO00/24883号)。AMA1遺伝子の単離とこの遺伝子を含むプラスミド又はベクターの構築は、WO00/24883号に記載された方法に従って行われる。
遺伝子産物の産生を上昇させるために、本発明のポリヌクレオチドの2つ以上のコピーを宿主細胞に挿入してもよい。ポリヌクレオチドのコピー数の上昇は、配列の少なくとも1つの追加のコピーを宿主細胞ゲノムに組み込むか、又はポリヌクレオチドを有する増幅可能な選択マーカー遺伝子を含めることにより得ることができる(ここで、選択マーカー遺伝子の増幅されたコピー、従ってポリヌクレオチドの追加のコピーを含む細胞は、適切な選択剤の存在下で細胞を培養することにより選択することができる)。
上記の要素を連結して本発明の組換え発現ベクターを構築するのに使用される方法は、当業者に公知である(例えば、Sambrook et al., 1989、前述、参照)。
宿主細胞
本発明はまた、本発明の単離されたポリヌクレオチドを含み、ポリペプチドの組換え産生に有利に使用される組換え宿主細胞に関する。本発明のポリヌクレオチドを含むベクターは、ベクターが、染色体組み込み体又は前記の自己再生性染色体外ベクターとして維持されるように、宿主細胞に導入される。用語「宿主細胞」は、複製中に起きる変異のために、親細胞と同一ではない親細胞の任意の子孫を包含する。宿主細胞の選択は大体、ポリペプチドをコードする遺伝子とその供給源に依存する。
宿主細胞は、本発明のポリペプチドの組換え産生に有用な任意の細胞(例えば、原核生物又は真核生物)である。
原核生物宿主細胞は、任意のグラム陽性細菌又はグラム陰性細菌である。グラム陽性細菌には、特に限定されないが、バシルス(Bacillus)、連鎖球菌(Streptococcus)、ストレプトミセス(Streptomyces)、ブドウ球菌(Staphylococcus)、腸球菌(Enterococcus)、乳酸菌(Lactobacillus)、ラクトコッカス(Lactococcus)、クロストリジウム(Clostridium)、ゲオバシラス(Geobacillus)、及びオセアノバシルス(Oceanobacillus)がある。グラム陰性細菌には、特に限定されないが、大腸菌(E. coli)、シュードモナス(Pseudomonas)、サルモネラ(Salmonella)、キャンピロバクター(Campylobacter)、ヘリコバクター(Helicobacter)、フラボバクテリウム(Flavobacterium)、フソバクテリウム(Fusobacterium)、イリオバクター(llyobacter)、ナイセリア(Neisseria)、及びウレアプラズマ(Ureaplasma)がある。
細菌宿主細胞は任意のバシルス(Bacillus)細胞でもよい。本発明の実施で有用なバシルス(Bacillus)細胞には、特に限定されないが、バシルス・アルカロフィルス(Bacillus alkaophilus)、バシルス・アミロリクエファシエンス(Bacillus amyloliquefaciens)、バシルス・ブレビス(Bacillus brevis)、バシラス・サーキュランス(Bacillus circulans)、バシラス・クラウジイ(Bacillus calusii)、バシラス・コアグランス(Bacillus coagulans)、バシラス・フィルムス(Bacillus firmus)、バシラス・ラウタス(Bacillus lautus)、バシラス・レンタス(Bacillus lentus)、バシルス・リケニホルミス(Bacillus licheniformis)、バチルス・メガテリウム(Bacillus megaterium)、バシラス・プミルス(Bacillus pumilus)、バシラス・ステアロサーモフィルス(Bacillus stearothermophilus)、枯草菌(Bacillus subtilis)、及びバシラス・ツリンギエンシス(Bacillus thuringiensis)細胞がある。
好適な態様において細菌宿主細胞は、バシルス・アミロリクエファシエンス(Bacillus amyloliquefaciens)、バシラス・レンタス(Bacillus lentus)、バシルス・リケニホルミス(Bacillus licheniformis)、バシラス・ステアロサーモフィルス(Bacillus stearothermophilus)、又は枯草菌(Bacillus subtilis)細胞である。より好適な態様において細菌宿主細胞は、バシルス・アミロリクエファシエンス(Bacillus amyloliquefaciens)細胞である。さらに別の好適な態様において細菌宿主細胞は、バシラス・クラウジイ(Bacillus calusii)細胞である。さらに別の好適な態様において細菌宿主細胞は、バシルス・リケニホルミス(Bacillus licheniformis)細胞である。さらに別の好適な態様において細菌宿主細胞は、枯草菌(Bacillus subtilis)細胞である。
細菌宿主細胞はまた、任意の連鎖球菌(Streptococcus)細胞でもよい。本発明の実施に有用な連鎖球菌(Streptococcus)細胞には、特に限定されないが、ストレプトコッカス・エキシミリス(Streptococcus equisimilis)、ストレプトコッカス・ピオゲネス(Streptococcus pyogenes)、ストレプトコッカス・ウベリス(Streptococcus uberis)、及びストレプトコッカス・エキ(Streptococcus equi)亜種ズーエピデミクス(Zooepidemicus)細胞がある。
好適な態様において細菌宿主細胞は、ストレプトコッカス・エキシミリス(Streptococcus equisimilis)細胞である。別の好適な態様において細菌宿主細胞は、ストレプトコッカス・ピオゲネス(Streptococcus pyogenes)細胞である。別の好適な態様において細菌宿主細胞は、ストレプトコッカス・ウベリス(Streptococcus uberis)細胞である。別の好適な態様において、及びストレプトコッカス・エキ(Streptococcus equi)亜種ズーエピデミクス(Zooepidemicus)細胞である。
細菌宿主細胞はまた、任意のストレプトミセス(Streptomyces)細胞でもよい。本発明の実施に有用なストレプトミセス(Streptomyces)細胞には、特に限定されないが、ストレプトミセス・アクロモゲネス(Streptomyces achromogenes)、ストレプトミセス・アベルミチリス(Streptomyces avermitilis)、ストレプトミセス・コエリカラー(Streptomyces coelicolor)、ストレプトミセス・グリセウス(Streptomyces griseus)、及びストレプトミセス・リビダンス(Streptomyces lividans)細胞がある。
好適な態様において細菌宿主細胞は、ストレプトミセス・アクロモゲネス(Streptomyces achromogenes)細胞である。別の好適な態様において細菌宿主細胞は、ストレプトミセス・アベルミチリス(Streptomyces avermitilis)細胞である。別の好適な態様において細菌宿主細胞は、ストレプトミセス・コエリカラー(Streptomyces coelicolor)細胞である。別の好適な態様において細菌宿主細胞は、ストレプトミセス・グリセウス(Streptomyces griseus)細胞である。別の好適な態様において細菌宿主細胞は、及びストレプトミセス・リビダンス(Streptomyces lividans)細胞である。
バシラス(Bacillus)細胞へのDNAの導入は、例えばプロトプラスト形質転換(例えば、Chang and Cohen, 1979, Molecular General Genetics 168:111-115参照)により、コンピタントな細胞(例えば、Young and Spizizen, 1961, Journal of Bacteriology 81:823-829、又はDubnau and Davidoff-Abelson, 1971, Journal of Molecular Biology 56:209-221参照)を使用して、電気穿孔法(例えば、Shigekawa and Dower, 1988, Biotechniques 6:742-751参照)により、又は接合(例えば、Koehler and Thorne, 1987, Journal of Bacteriology 169:5271-5278参照)により、行われる。大腸菌(E. coli)細胞へのDNAの導入は、例えばプロトプラスト形質転換(例えば、Hanahan, 1983, J. Mol. Biol. 166:557-580)、又は電気穿孔法(例えば、Dower et al., 1988, Nucleic Acids Res. 16:6127-6145)により、行われる。ストレプトミセス(Streptomyces)細胞へのDNAの導入は、例えばプロトプラスト形質転換と電気穿孔法(例えば、Gong et al., 2004, Folia Microbiol. (Praha) 49:399-405参照)、接合(例えば、Mazodier et al., 1989, J. Bacteriol. 171:3583-3585参照)、又は形質導入(例えば、Burke et al., 2001, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 98:6289-6294参照)により行われる。シュードモナス(Pseudomonas)細胞へのDNAの導入は、例えば電気穿孔法(例えば、Choi et al., 2006, J. Microbiol. Methods 64:391-397参照)、又は接合(例えば、Pinedo and Smets, 2005, Appl. Environ. Microbiol. 71:51-57参照)により行われる。連鎖球菌(Streptococcus)細胞へのDNAの導入は、例えば自然のコンピタンス(例えば、Perry and Kuramitsu, 1981, Infect. Immun. 32:1295-1297参照)、プロトプラスト形質転換(例えば、Catt and Jollick, 1991, Microbios. 68:189-2070参照)、電気穿孔法(例えば、Buckley et al., 1999, Appl. Environ. Microbiol. 65:3800-3804参照)、又は接合(例えば、Clewell, 1981, Microbiol. Rev. 45:409-436参照)により行われる。しかしDNAを宿主細胞に導入するための当該分野で公知の任意の方法が使用できる。
宿主細胞はまた、真核生物、例えば哺乳動物、昆虫、植物、又は真菌細胞でもよい。
好適な態様において、宿主細胞は真菌細胞である。本明細書において「真菌」は、子嚢菌門(Ascomycota)、担子菌門(Basidiomycota)、ツボカビ門(Chytridiomycota)、及び接合菌門(Zygomycota)(Hawksworth et al., Ainsworth and Bisby's Dictionary of The Fungi, 8th edition, CAB International, Univercity Press, Cambridge, UK、で規定されている)、ならびに卵菌門(Oomycota)(Hawksworth et al., 1995、前述、171頁に引用)、及び不完全菌類(Hawksworth et al., 1995、前述)を含む。
より好適な態様において、真菌宿主細胞は酵母細胞である。本明細書において「酵母」は、有子嚢胞子酵母(ascosporogenous)酵母(エンドミセタレス目(Endomycetales))、担子胞子形成(basidiosporogenous)酵母、および不完全菌類(Fungi lmperfecti)(不完全酵母菌綱(Blastomycetes))に属する酵母を含む。酵母の分類は将来変わる可能性があるため、本発明の目的において、酵母は Biology and Activities of Yeast(Skinner,F.A., Passmore, S. M、およびDavenport, R. R. 編、Soc. App. Bacteriol. 第9回シンポジウム、1980年)に記載のように規定される。
より好適な態様において、酵母宿主細胞は、カンジダ(Candida)、ハンセヌラ(Hansenula)、クルイベロミセス(Kluyveromyces)、ピキア(Pichia)、サッカロミセス(Saccharomyces)、シゾサッカロマイセス(Schizosaccharomyces)、又はヤロウイア(Yarrowia)細胞である。
最も好適な態様において、酵母宿主細胞は、サッカロマイセス・カールスベルゲンシス(Saccharomyces carlsbergensis)、サッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)、サッカロミセス・ディアスタティカス(Saccharomyces diastaticus)、サッカロミセス・ダグラシー(Saccharomyces douglasii)、サッカロミセス・クリヴェリ(Saccharomyces kluyveri)、サッカロミセス・ノルベンシス(Saccharomyces norbensis)、又はサッカロミセス・オヴィフォルミス(Saccharomyces oviformis)細胞である。別の最も好適な態様において、酵母宿主細胞は、クリュイベロミセス・ラクティス(Kluyveromyces lactis)細胞である。別の最も好適な態様において、酵母宿主細胞は、ヤロウイア・リポリティカ(Yarrowia lipolytica)細胞である。
別の好適な態様において、真菌宿主細胞は糸状真菌細胞である。「糸状菌」は、亜門の真菌門(Eumycota)および卵菌門(Oomycota)のすべての糸状形態を含む(Hawksworth et al., 1995、前述、により規定される)。糸状菌は、キチン、セルロース、グルカン、キトサン、マンナン、および他の複合多糖からなる菌糸体壁によって特徴付けられる。栄養生長は菌糸体伸長により、炭素の異化は偏性好気性である。対照的に、サッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)などの酵母による栄養生長は単細胞葉状体の出芽により、炭素の異化は発酵性であり得る。
より好適な態様において、糸状真菌宿主細胞は、アクレモニウム(Acremonium)、アスペルギルス(Aspergillus)、アウレオバシジウム(Aureobasidium)、ビヤーカンデラ(Bjerkandera)、セリポリオプシス(Ceriporiopsis)、クリソスポリウム(Chrysosporium)、コプリヌス(Coprinus)、コリオルス(Coriolus)、クリプトコッカス(Cryptococcus)、フィリバシジウム(Filibasidium)、フザリウム(Fusarium)、フミコーラ(Humicola)、マグナポルテ(Magnaporthe)、ムコール(Mucor)、ミセリオフトラ(Myceliophthora)、ネオカリマスティクス(Neocallimastix)、ノイロスポラ(Neurospora)、ペシロミセス(Paecilomyces)、ペニシリウム(Penicillium)、フェネロケテ(Phanerochaete)、フレビア(Phlebia)、ピロミセス(Piromyces)、プロイロタス(Pleurotus)、シゾフィルム(Schizophyllum)、タラロミセス(Talaromyces)、サーモアスクス(Thermoascus)、チエラビア(Thielavia)、トリポクラジウム(Tolypocladium)、トラメテス(Trametes)、又はトリコデルマ(Trichoderma)細胞である。
最も好適な態様において糸状真菌宿主細胞は、アスペルギルス・アワモリ(Aspergillus awamori)、アスペルギルス・フミガタス(Aspergillus fumigatus)、アスペルギルス・フォエティダス(Aspergillus foetidus)、アスペルギルス・ジャポニカス(Aspergillus japonicus)、アスペルギルス・ニーズランス(Aspergillus nidulans)、アスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)、又は麹菌(Aspergillus oryzae)細胞である。別の最も好適な態様において、糸状真菌宿主細胞は、フザリウム・バクトリディオデス(Fusarium bactridioides)、フザリウム・セレアリス(Fusarium cerealis)、フザリウム・クルックウェルエンス(Fusarium crookwellense)、フザリウム・クルモラム(Fusarium culmorum)、フザリウム・グラミネアラム(Fusarium graminearum)、フザリウム・グラミヌム(Fusarium graminum)、フザリウム・ヘテロスポルム(Fusarium heterosporum)、フザリウム・ネグンディ(Fusarium negundi)、フザリウム・オキシスポラム(Fusarium oxysporum)、フザリウム・レティクラツム(Fusarium reticulatun)、フザリウム・ロゼウム(Fusarium roseum)、フザリウム・サンブシヌム(Fusarium sambucinum)、フザリウム・サルコチロウム(Fusarium sarcochroum)、フザリウム・スポロトリキオイデス(Fusarium sporotrichioides)、フザリウム・スルプレウム(Fusarium sulphureum)、フザリウム・トルローサム(Fusarium torulosum)、フザリウム・トリコテシオイデス(Fusarium trichothecioides)、又はフザリウム・ヴェネナツム(Fusarium venenatum)細胞である。別の最も好適な態様において、糸状真菌宿主細胞は、ビヤーカンデラ・アヅスタ(Bjerkandera adusta)、セリポリオプシス・アネイリナ(Ceriporiopsis aneirina)、セリポリオプシス・アネイリナ(Ceriporiopsis aneirina)、セリポリオプシス・カレギエア(Ceriporiopsis caregiea)、セリポリオプシス・ギルベセンス(Ceriporiopsis gilvescens)、セリポリオプシス・パノシンタ(Ceriporiopsis pannocinta)、セリポリオプシス・リブロサ(Ceriporiopsis rivulosa)、セリポリオプシス・スブルファ(Ceriporiopsis subrufa)、セリポリオプシス・スブベルミスポラ(Ceriporiopsis subvermispora)、クリソスポリウム・ケラチノフィルム(Chrysosporium keratinophilum)、クリソスポリウム・ルクノウェンセ(Chrysosporium lucknowense)、クリソスポリウム・トロピカム(Chrysosporium tropicum)、クリソスポリウム・メルダリウム(Chrysosporium merdarium)、クリソスポリウム・イオプス(Chrysosporium iops)、クリソスポリウム・パニコラ(Chrysosporium pannicola)、クリソスポリウム・クイーンスランジカム(Chrysosporium queenslandicum)、クリソスポリウム・ゾナツム(Chrysosporium zonatum)、コプリヌス・シネレウス(Coprinus cinereus)、コリオルス・ヒルスタス(Coriolus hirsutus)、フミコーラ・インソレンス(Humicola insolens)、フミコーラ・ラヌギノサ(Humicola lanuginosa)、ムコール・ミエヘイ(Mucor miehei)、ミセリオフトラ・サーモフィラ(Myceliophthora thermophila)、ノイロスポラ・クラッサ(Neurospora crassa)、ペニシリウム・プルプルゲヌム(Penicillium purpurogenum)、ファネロケテ・クリソスポリウム(Phanerochaete chrysosporium)、フレビア・ラビアータ(Phlebia rabiata)、プレウロタス・エリンギイ(Pleurotus eryngii)、チエラビア・テレストリス(Thielavia terrestris)、トラメテス・ビロサ(Trametes villosa)、トラメテス・ベルシカラー(Trametes versicolor)、トリコデルマ・ハルジアナム(Trichoderma harzianum)、トリコデルマ・コニンギ(Trichoderma koningii)、トリコデルマ・ロンギプラチアタム(Trichoderma longibrachiatum)、トリコデルマ・リーセイ(Trichoderma reesei)、又はトリコデルマ・ビリデ(Trichoderma viride)細胞である。
真菌細胞は、プロトプラスト形成、プロトプラストの形質転換、およびそれ自体公知の方法で細胞壁の再生を包含するプロセスによって形質転換することができる。アスペルギルス(Aspergillus)とトリコデルマ(Trichoderma)宿主細胞の形質転換に適切な方法は、EP238023号およびYeltonら、1984年、Proceedings of the National Academy of Sciences USA 81:1470-1474に記載されている。フザリウム(Fusarium)種を形質転換するための適切な方法は、Malardierら、1989年、Gene 78:147-156およびWO96/00787号に記載されている。酵母は、Becker and Guarente、編者: Abelson, J. N. and Simon, M.I., Guide to Yeast Genetics and Molecular Biology, Methods in Enzymology、第194巻、182-187頁、Academic Press, Inc., New York;Ito et al., 1983年、Journal of Bacteriology 153:163;ならびにHinnen et al., 1978年、Proceedings of the National Academy of Sciences USA 75:1920に記載の方法を使用して、形質転換してもよい。
産生法
本発明はまた本発明のポリペプチドを産生する方法であって、(a)細胞を培養し(ここで、その野生型は、ポリペプチドの産生を促進する条件下でポリペプチドを産生する)、そして(b)ポリペプチドを回収する、ことを含んでなる方法に関する。好適な態様において細胞は、ミセリオフトラ(Myceliophthora)属である。より好適な態様において細胞は、ミセリオフトラ・サーモフィラ(Myceliophthora thermophila)である。最も好適な態様において細胞は、ミセリオフトラ・サーモフィラ(Myceliophthora thermophila)CBS202.75である。別の最も好適な態様において細胞は、ミセリオフトラ・サーモフィラ(Myceliophthora thermophila)CBS117.65である。
本発明はまた、本発明のポリペプチドを産生する方法であって、(a)上記したように、ポリペプチドの産生を促進する条件下で組換え宿主細胞を培養し、そして(b)ポリペプチドを回収する、ことを含んでなる方法に関する。
本発明はまた、本発明のポリペプチドを産生する方法であって、(a)ポリペプチドの産生を促進する条件下で組換え宿主細胞を培養し(ここで細胞は、配列番号1又は配列番号3の成熟ポリペプチドコード配列中に少なくとも1つの変異を有する変異ヌクレオチド配列を含み、変異ヌクレオチド配列は、配列番号2又は配列番号4の成熟ポリペプチドを含むか又はこれからなるポリペプチドをコードする)、そして(b)ポリペプチドを回収する、ことを含んでなる方法に関する。
本発明の産生方法では、当該分野で公知の方法を使用して、細胞はポリペプチドの産生に適切な栄養培地中で培養される。例えば細胞は、適切な培地中で、ならびにコード配列を発現させるおよび/またはポリペプチドを単離することが可能な条件下で、実験室あるいは工業的発酵槽において振盪フラスコ培養、小規模または大規模発酵(連続、バッチ、供給バッチ、もしくは固相発酵を含む)によって培養することができる。培養は、当該分野において公知の方法を使用して、炭素および窒素源ならびに無機塩を含む適切な栄養培地において行われる。適切な培地は販売者から入手可能であり、または(例えば、アメリカンタイプカルチャーコレクション(American Type Culture Collection)のカタログに)公開された組成に従って、調製してもよい。ポリペプチドが栄養培地に分泌される場合、ポリペプチドは培地から直接回収することができる。ポリペプチドが分泌されない場合、細胞溶解物から回収することができる。
ポリペプチドは、ポリペプチドに特異的である当該分野において既知の方法を使用して、検出することができる。これらの検出方法は、特異的抗体の使用、酵素生成物の生成、または酵素基質の消失を含んでよい。例えば、本明細書に記載のポリペプチドの活性を測定するために、酵素アッセイが使用される。
得られるポリペプチドは、当該分野において既知の方法によって回収することができる。例えば、ポリペプチドは、特に限定されないが、遠心分離、ろ過、抽出、噴霧乾燥、エバポレーション、または沈殿を含む従来の方法によって、栄養培地から回収することができる。
本発明のポリペプチドは、特に限定されないが、クロマトグラフィー(例えば、イオン交換、アフィニティー、疎水性、クロマトフォーカシング、およびサイズ排除)、電気泳動法(例えば、分取等電点電気泳動)、差分溶解性(例えば、硫酸アンモニウム沈殿)、SDS−PAGE、または抽出(例えば、Protein Purification、編者:J.-C. Janson and Lars Ryden, VCH Publishers, New York, 1989を参照)を含む当該技術分野で公知の様々な方法によって、精製することができる。
植物
本発明はまた、ポリペプチドを回収可能な量で発現し産生するように、本発明のセルロース分解増強活性を有するポリペプチドをコードする単離されたポリヌクレオチドを含む植物、例えばトランスジェニック植物、植物の部分、又は植物細胞に関する。ポリペプチドは、植物又は植物の部分から回収される。あるいは、組換えポリペプチドを含有する植物又は植物の部分は、食物や飼料の品質を改良するために、例えば栄養価、嗜好性、流動性を改良するために、又は栄養分吸収阻害因子を破壊するために使用される。
トランスジェニック植物は、双子葉植物(dicot)でも単子葉植物(monocot)でもよい。単子葉植物の例は、草、例えば牧草(イチゴツナギ(blue grass)、Poa)、飼料草、例えばウシノケグサ(Festuca)、ライグラス(Lolium)、温帯の草(例えばヌカボ(Agrostis))、及び穀類、例えば小麦、オート麦、ライ麦、大麦、イネ、モロコシ、及びトウモロコシ(corn)である。
双子葉植物の例は、タバコ、マメ科植物(例えばルピナス、ジャガイモ、テンサイ、エンドウ、インゲン、及び大豆)、及びアブラナ科植物(Brassicaceae科)(例えばカリフラワー、菜種、及び密接に関連するモデル生物シロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana))である。
植物の部分の例は、茎、カルス、葉、根、果実、種子、及び塊茎、及びこれらの部分を含む個々の組織(例えば、表皮、葉肉、柔組織、維管束組織、***組織)である。特定の植物細胞コンパートメント(例えば、葉緑体、アポプラスト、ミトコンドリア、液胞、ペルオキシソーム、及び細胞質)もまた、植物の部分と見なされる。さらに組織の起源に拘わらずすべての植物細胞は、植物の部分と見なされる。同様に本発明の利用を促進するように単離された特定の組織や細胞のような植物の部分(例えば、胚、内胚乳、アリューロン、及び種皮)もまた、植物の部分と見なされる。
また本発明の範囲には、かかる植物、植物の部分、及び植物細胞の子孫も含まれる。
本発明のポリペプチドを発現するトランスジェニック植物又は植物細胞はまた、当該分野で公知の方法に従って構築される。簡単に説明すると植物又は植物細胞は、本発明のポリペプチドをコードする1つ又はそれ以上(数個)の発現構築体を、植物の宿主ゲノム又は葉緑体ゲノムに取り込み、生じる改変植物又は植物細胞を増殖させて、トランスジェニック植物又は植物細胞にすることにより、構築される。
発現構築体は、植物又は好適な植物の部分中のヌクレオチド配列の発現に必要な適切な制御配列に機能できる形で結合した、本発明のポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含む核酸構築体であることが便利である。さらに発現構築体は、発現構築体が組み込まれる宿主細胞を、及び問題の植物中に構築体を導入するのに必要なDNA配列(後者は、使用されるDNA導入法に依存する)を同定するのに有用な選択マーカーを含んでよい。
制御配列(例えば、プロモーター及びターミネーター配列、及び場合によりシグナル配列又は輸送配列)の選択は、例えばポリペプチドがいつ、どこで、どのように発現されるかにより決定される。例えば本発明のポリペプチドをコードする遺伝子の発現は、構成性でも誘導性でもよく、又は成長特異的、ステージ特異的、又は組織特異的でもよく、遺伝子産物は、特定の組織又は植物の部分(例えば種子又は葉)にターゲティングされてもよい。制御配列は、例えばTague et al., 1988, Plant Physiology 86:506に記載されている。
構成性発現のために、トウモロコシユビキチン1である35S−CaMV及びイネのアクチン1プロモーターが使用される(Franck et al., 1980, Cell 21:285-294, Christensen et al., 1992, Plant Mol. Biol. 18:675-689; Zhang et al., 1991, Plant Cell 3:1155-1165)。器官特異的プロモーターは、例えば保存系組織、例えば種子、ジャガイモ塊茎、及び果実からのプロモーター(Edwards and Coruzzi, 1990, Ann. Rev. Genet. 24:275-303)、又は***組織のような代謝系組織からのプロモーター(Ito et al., 1994, Plant Mol. Biol. 24:863-878)、種子特異的プロモーター、例えばイネのグルテリン、プロラミン、グロブリン、又はアルブミンプロモーター(Wu et al., 1998, Plant and Cell Physiology 39:885-889)、レグミンB4からのソラマメ(Vicia faba)プロモーターとソラマメ(Vicia faba)からの未知の種子タンパク質遺伝子(Conrad et al., 1998, Journal of Plant Physiology 152:708-711)、種油体タンパク質からのプロモーター(Chen et al., 1998, Plant and Cell Physiology 39:935-941)、セイヨウアブラナ(Brassica napus)からの貯蔵タンパク質napA、又は当該分野で公知の他の種子特異的プロモーター、例えばWO91/14772号に記載されたようなものでもよい。さらにプロモーターは、葉特異的プロモーター、例えばイネ又はトマトからのrbcsプロモーター(Kyozuka et al., 1993, Plant Physiology 102:991-1000)、クロレラウイルス(Chlorella Virus)アデニンメチルトランスフェラーゼ遺伝子プロモーター(Mitra and Higgins, 1994, Plant Molecular Biology 26:85-93)、又はイネからのaldP遺伝子プロモーター(Kagaya et al., 1995, Molecular and General Genetics 248:668-674)、又は創傷誘導性プロモーター、例えばジャガイモpin2プロモーター(Xu et al., 1993, Plant Molecular Biology 22:573-588)でもよい。同様にプロモーターは、温度、渇水、又は塩分の変化のような非生物的処理により誘導されるか、又はプロモーターを活性化する外から加えられる物質[例えば、エタノール、エストロゲン、植物ホルモン(例えば、エチレン、アブシジン酸、及びジベレリン酸)、及び重金属]により誘導されてもよい。
プロモーターエンハンサー要素はまた、植物中の本発明のポリペプチドの高発現を達成するのに使用される。例えばプロモーターエンハンサー要素は、プロモーターと、本発明のポリペプチドをコードするヌクレオチド配列との間に置かれるイントロンでもよい。例えばXu et al., 1993、前述、は、発現を増強するためのイネアクチン1遺伝子の第1イントロンの使用を開示する。
選択マーカー遺伝子と発現構築体の他の部分は、当該分野で入手できるものから選択される。
核酸構築体は、アグロバクテリウム(Agrobacterium)介在形質転換、ウイルス介在形質転換、微量注入法、粒子衝撃法、バイオリスティック形質転換、及び電気穿孔法を含む当該分野で公知の通常法に従って、植物ゲノム中に取り込まれる(Gasser et al., 1990, Science 244:1293; Potrykus, 1990, Bio/Technology 8:535; Shimamoto et al., 1989, Nature 338:274)。
現在アグロバクテリウム・ツメファシエンス(Agrobacterium tumefaciens)介在遺伝子輸送が、トランスジェニック双子葉植物を作成するために選択される方法(総説については、Hooykas and Schilperoort, 1992, Plant Molecular Biology 19:15-38を参照)であり、単子葉植物を形質転換するのにも使用できるが、これらの植物については他の形質転換法もしばしば使用される。現在トランスジェニック単子葉植物を作成するために選択される方法は、胚カルス又は発生胚(Christou, 1992, Plant Journal 2:275-281; Shimamoto, 1994, Current Opinion Biotechnology 5:158-162; Vasil et al., 1992, Bio/Technology 10:667-674)の粒子衝撃法(形質転換性DNAで被覆された微細金又はタングステン粒子)である。単子葉植物の形質転換のための別の方法は、Omirulleh et al., 1993, Plant Molecular Biology 21:415-428に記載されたようなプロトプラスト形質転換に基づく。
形質転換後、発現構築体を取り込んだ形質転換体が選択され、当該分野で公知の方法に従って再生されて植物体になる。形質転換法はしばしば、例えば2つの異なるT−DNA構築体を用いる同時形質転換、又は特異的リコンビナーゼによる選択遺伝子の部位特異的切断を使用して、再生中又は以後の世代の選択遺伝子の選択的排除のために計画される。
本発明はまた、(a)ポリペプチドの産生を促進する条件下で、本発明のセルロース分解増強活性を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含むトランスジェニック植物又は植物細胞を培養し、そして(b)ポリペプチドを回収することを含んでなる、本発明のポリペプチドを産生する方法に関する。
セルロース分解増強活性の除去又は低下
本発明はまた、本発明のポリペプチドをコードするポリヌクレオチド配列又はその一部を破壊又は欠失させることを含んでなり、これが、同じ条件下で培養すると親細胞より少ないポリペプチドを産生する変異細胞を与えることを特徴とする、親細胞の変異体を産生する方法に関する。
変異細胞は、当該分野で公知の方法(例えば、挿入、破壊、置換、又は欠失)を使用して、本発明のポリペプチドをコードするヌクレオチド配列の発現を低下させるか又は排除することにより構築される。好適な態様においてヌクレオチド配列は、不活性化される。修飾又は不活性化されるヌクレオチド配列は、例えば活性に必須のコード領域又はその一部、又はコード領域の発現に必要な制御要素でもよい。かかる制御配列又は調節配列の例は、プロモーター配列又はその機能的部分(すなわち、ヌクレオチド配列の発現に影響を与えるのに充分な部分)でもよい。修飾の可能な他の制御配列には、特に限定されないが、リーダー配列、ポリアデニル化配列、プロペプチド配列、シグナルペプチド配列、転写ターミネーター、及び転写アクチベーターがある。
ヌクレオチド配列の修飾又は不活性化は、親細胞を突然変異誘発に付し、ヌクレオチド配列の発現が低下しているか又は排除されている変異細胞を選択することにより行われる。突然変異誘発(これは特異的でもランダムでもよい)は、例えば、適切な物理的もしくは化学的突然変異誘発剤を使用して、適切なオリゴヌクレオチドを使用して、又はDNA配列をPCRによる突然変異誘発に付すことにより行われる。さらに突然変異誘発は、これらの突然変異誘発剤の任意の組合せの使用により行われる。
本発明の目的に適した物理的又は化学的突然変異誘発剤の例には、紫外線(UV)照射、ヒドロキシルアミン、N−メチル−N’−ニトロ−N−ニトロソグアニジン(MNNG)、O−メチルヒドロキシルアミン、亜硝酸、エチルメタンスルホニル(EMS)、重亜硫酸ナトリウム、蟻酸、及びヌクレオチド類似体がある。
かかる物質が使用される場合、突然変異誘発は典型的には、突然変異誘発すべき親細胞を、好適な突然変異誘発剤の存在下で適切な条件下でインキュベートし、スクリーニングし、及び/又は遺伝子の発現が低下しているか又は発現が無い変異細胞を選択することにより行われる。
ヌクレオチド配列の修飾又は不活性化は、その転写又は翻訳に必要な遺伝子又は制御要素中の1つ又はそれ以上(数個)のヌクレオチドの導入、置換、又は除去により行われる。例えば、停止コドンの導入、開始コドンの除去、又は読みとり枠の変化を引き起こすように、ヌクレオチドが挿入されるか又は除去される。かかる修飾又は不活性化は、部位特異的突然変異誘発又はPCR性突然変異誘発により、当該分野で公知の方法に従って行われる。原則的には修飾はインビボで、すなわち修飾すべきヌクレオチド配列を発現する細胞に直接行われるが、後述するように修飾はインビトロで行うことが好ましい。
細胞によるヌクレオチド配列の発現を排除するか又は低下させるための便利な方法の例は、遺伝子置換、遺伝子欠失、又は遺伝子破壊法に基づく。例えば遺伝子破壊法では、内因性ヌクレオチド配列に対応する核酸配列は、インビトロで突然変異誘発されて欠陥性の核酸配列を産生し、これは次に親細胞に形質転換されて欠陥遺伝子を産生する。相同的組換えにより、欠陥核酸配列は内因性ヌクレオチド配列に取って代わる。欠陥ヌクレオチド配列はまた、ヌクレオチド配列が修飾又は破壊されている形質転換体の選択に使用されるマーカーをコードすることが好ましい。特に好適な態様においてヌクレオチド配列は、本明細書に記載のような選択マーカーを用いて破壊される。
あるいはヌクレオチド配列の修飾又は不活性化は、ヌクレオチド配列に相補的な配列を使用して、確立されたアンチセンス法又はRNAi法により行われる。さらに詳しくは、細胞内で転写され、細胞内で産生されるmRNAにハイブリダイズできる、遺伝子のヌクレオチド配列に相補的な配列を導入することにより、細胞によるヌクレオチド配列の発現は低下されるか又は排除され得る。こうして、相補的アンチセンスヌクレオチド配列がmRNAにハイブリダイズすることを可能にする条件下で、翻訳されるタンパク質の量は低下又は排除される。
本発明はさらに、ポリペプチド又はその制御配列をコードするヌクレオチド配列の破壊又は欠失を含む親細胞の変異細胞に関し、これは、親細胞と比較してより少ないかポリペプチドを産生するか又は全く産生しない変異細胞を与える。
こうして作成されるポリペプチド欠損変異細胞は、固有の及び/又は異種ポリペプチドの発現のための宿主細胞として特に有用である。すなわち本発明はさらに、(a)ポリペプチドの産生を促進する条件下で変異細胞を培養し、そして(b)ポリペプチドを回収することを含んでなる、固有の又は異種ポリペプチドを産生する方法に関する。本明細書において用語「異種ポリペプチド」は、宿主細胞に固有ではないポリペプチド、固有の配列を改変するように修飾された固有のタンパク質、又は組換えDNA技術による宿主細胞の操作の結果としてその発現が定量的に変化している固有のタンパク質として定義される。
さらなる態様において本発明は、発酵が完了する前、その最中、又は後に発酵ブロスに、セルロース分解増強活性を阻害できる物質の有効量を添加し、発酵ブロスから目的の生成物を回収し、そして回収した生成物を随時さらに精製することにより、本発明のポリペプチドならびに目的のタンパク質生成物を産生する細胞の発酵により、実質的にセルロース分解増強活性が無いタンパク質生成物を産生する方法に関する。
さらなる態様において本発明は、生成物の発現を可能にする条件下で細胞を培養し、生じる培養ブロスをpHと温度の組合せ処理に付してセルロース分解増強活性を実質的に低下させ、そして培養ブロスから生成物を回収することにより、セルロース分解増強活性が基本的に無いタンパク質生成物を産生する方法に関する。あるいはpHと温度の組合せ処理は、培養ブロスから回収される酵素調製物に行っても良い。pHと温度の組合せ処理は場合により、セルロース分解増強インヒビターを用いる処理と組合せて行われる。
本発明のこの態様において、セルロース分解増強活性の少なくとも60%、好ましくは少なくとも75%、好ましくは少なくとも85%、好ましくは少なくとも95%、そして最も好ましくは少なくとも99%を除去することが可能である。セルロース分解増強活性の完全な除去はこの方法の使用により行われる。
pHと温度の組合せ処理は好ましくは、pHが2〜4又は9〜11の範囲で、温度が少なくとも60〜70℃の範囲で、所望の効果を達成するのに充分な時間(典型的には30〜60分で充分である)行われる。
目的の生成物の培養と精製に使用される方法は、公知の方法である。
基本的にセルロース分解増強活性の無い生成物を産生するための本発明の方法は、真核生物ポリペプチド、特に酵素のような真菌タンパク質の産生に関係する。酵素は、例えばデンプン分解酵素、脂質分解酵素、タンパク質分解酵素、セルロース分解酵素、酸化還元酵素、又は植物細胞壁分解酵素から選択される。かかる酵素の例には、アミノペプチダーゼ、アミラーゼ、アミログルコシダーゼ、カルボヒドラーゼ、カルボキシペプチダーゼ、カタラーゼ、セロビオヒドロラーゼ、セルラーゼ、キチナーゼ、クチナーゼ、シクロデキストリングリコシルトランスフェラーゼ、デオキシリボヌクレアーゼ、エンドグルカナーゼ、エステラーゼ、ガラクトシダーゼ、ベータガラクトシダーゼ、グルコアミラーゼ、グルコースオキシダーゼ、グルコシダーゼ、ハロペルオキシダーゼ、ヘミセルラーゼ、インベルターゼ、イソメラーゼ、ラッカーゼ、リガーゼ、リパーゼ、リアーゼ、マンノシダーゼ、オキシダーゼ、ペクチン分解酵素、ペルオキシダーゼ、フィターゼ、フェノロキシダーゼ、ポリフェノールオキシダーゼ、タンパク質分解酵素、リボヌクレアーゼ、トランスフェラーゼ、トランスグルタミナーゼ、又はキシラナーゼがある。セルロース分解増強欠損細胞はまた、ホルモン、増殖因子、受容体などの薬理学的関連のある異種タンパク質を発現するために使用される。
用語「真核生物ポリペプチド」は、固有のポリペプチドのみではなく、アミノ酸置換、欠失、もしくは付加、又は活性、熱安定性、pH耐性などを増強するための他の修飾により修飾されているポリペプチド(例えば酵素)も含むと理解される。
さらなる態様において本発明は、本発明の方法により産生されるセルロース分解増強活性が実質的に無いタンパク質生成物に関する。
セルロース分解増強活性を有するポリペプチドの発現を阻害する方法
本発明はまた、2本鎖RNA(dsRNA)分子を細胞に投与するか、又はこれを細胞中で発現することを含んでなる、細胞中のセルロース分解増強活性を有するポリペプチドの発現を阻害する方法であって、dsRNAは本発明のポリペプチドのサブ配列を含むことを特徴とする方法に関する。好適な態様においてdsRNAは、約15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、又はそれ以上の2本鎖ヌクレオチドの長さである。
dsRNAは好ましくは、小干渉RNA(siRNA)又はマイクロRNA(miRNA)である。好適な態様においてdsRNAは、転写を阻害するための小干渉RNA(siRNA)である。別の好適な態様においてdsRNAは、翻訳を阻害するためのマイクロRNA(miRNA)である。
本発明はまた、細胞中のポリペプチドの発現を阻害するための、配列番号1又は配列番号3の成熟ポリペプチドコード配列の一部を含んでなる、2本鎖RNA(dsRNA)分子に関する。本発明は特定の作用機構に限定されるものではないが、dsRNAは細胞に入り、類似の又は同一の配列の1本鎖RNA(ssRNA)(mRNAを含む)の分解を引き起こすことができる。細胞がdsRNAに曝露されると、相同性遺伝子からのmRNAは、RNA干渉(RNAi)と呼ばれるプロセスにより選択的に分解される。
本発明のdsRNAは、遺伝子サイレンシング治療薬で使用することができる。ある態様において本発明は、本発明のdsRNAを使用してRNAを選択的に分解する方法を提供する。この方法は、インビトロ、エクスビボ、又はインビボで行われる。ある態様においてdsRNA分子は、細胞、臓器、又は動物中で機能喪失変異を作成するために使用することができる。RNAを選択的に分解するためにdsRNA分子を作成し使用する方法は当該分野で公知であり、例えば米国特許第6,506,559号;米国特許第6,511,824号;米国特許第6,515,109号;及び米国特許第6,489,127号を参照されたい。
組成物
本発明はまた、本発明のポリペプチドを含む組成物に関する。好ましくは組成物を豊富に含む。用語「豊富に含む」は、組成物のセルロース分解増強活性が、例えば増強係数が少なくとも1.1で、上昇していることを示す。
組成物は、本発明のポリペプチドを主要な酵素成分(例えば、単成分組成物)として含む。あるいは組成物は、複数の酵素活性(例えば、アミノペプチダーゼ、アミラーゼ、カルボヒドラーゼ、カルボキシペプチダーゼ、カタラーゼ、セルラーゼ、キチナーゼ、クチナーゼ、シクロデキストリングリコシルトランスフェラーゼ、デオキシリボヌクレアーゼ、エステラーゼ、アルファガラクトシダーゼ、ベータガラクトシダーゼ、グルコアミラーゼ、アルファグルコシダーゼ、ベータグルコシダーゼ、ハロペルオキシダーゼ、インベルターゼ、ラッカーゼ、リパーゼ、マンノシダーゼ、オキシダーゼ、ペクチン分解酵素、ペプチドグルタミナーゼ、ペルオキシダーゼ、フィターゼ、ポリフェノールオキシダーゼ、タンパク質分解酵素、リボヌクレアーゼ、トランスグルタミナーゼ、又はキシラナーゼ)を含んでよい。追加の酵素は、例えばアスペルギルス(Aspergillus)属に属する微生物、好ましくはアスペルギルス・アクレアツス(Aspergillus aculeatus)、アスペルギルス・アワモリ(Aspergillus awamori)、アスペルギルス・フミガツス(Aspergillus fumigatus)、アスペルギルス・フェチダス(Aspergillus feoetidus)、アスペルギルス・ジャポニカス(Aspergillus japonicus)、アスペルギルス・ニーズランス(Aspergillus nidulans)、アスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)、又は麹菌(Aspergillus oryzae);フザリウム(Fusarium)属、好ましくはフザリウム・バクトリジオイデス(Fusarium bactridioides)、フザリウム・セレアリス(Fusarium cerealis)、フザリウム・クルークウェレンス(Fusarium crookwellense)、フザリウム・クルモラム(Fusarium culmorum)、フザリウム・グラミナム(Fusarium graminum)、フザリウム・ヘテロスポラム(Fusarium heterosporum)、フザリウム・ネグンディ(Fusarium negundi)、フザリウム・オキシスポルム(Fusarium oxysporum)、フザリウム・レチクラタム(Fusarium reticulatum)、フザリウム・ロゼウム(Fusarium roseum)、フザリウム・サンブシナム(Fusarium sanbucinum)、フザリウム・サルコクロウム(Fusarium sarcochroum)、フザリウム・スルフレウム(Fusarium sulphureum)、フザリウム・トルロセウム(Fusarium toruloseum)、フザリウム・トリコセシオイデス(Fusarium trichothecioides)、又はフザリウム・ベネナツム(Fusarium venenatum);フミコーラ(Humicola)属、好ましくはフミコーラ・インソレンス(Humicola insolens)又はフミコーラ・ラヌギノサ(Humicola lanuginosa);又はトリコデルマ(Trichoderma)属、好ましくはトリコデルマ・ハルジアナム(Trichoderma harzianum)、トリコデルマ・コニンギ(Trichoderma koningii)、トリコデルマ・ロンギプラチアタム(Trichoderma longibrachiatum)、トリコデルマ・リーセイ(Trichoderma reesei)、又はトリコデルマ・ビリデ(Trichoderma viride)により産生される。
ポリペプチド組成物は、当該分野で公知の方法に従って調製され、液体又は乾燥組成物の形でもよい。例えばポリペプチド組成物は、顆粒でも微細顆粒の形でもよい。組成物中に含まれるポリペプチドは、当該分野で公知の方法に従って安定化される。
例は、本発明のポリペプチド組成物の好適な使用について後述される。本発明のポリペプチド組成物の投与量及び組成物が使用される他の条件は、当該分野で公知の方法に基づいて決定される。
セルロース系材料の処理
本発明はまた、本発明のセルロース分解増強活性を有するポリペプチドの存在下で、セルロース系材料をセルロース分解酵素組成物で処理することを含む、セルロース系材料を分解又は変換する方法に関する。好適な態様においてこの方法はさらに、分解又は変換されたセルロース系材料を回収することを含む。
本発明はまた、(a)本発明のセルロース分解増強活性を有するポリペプチドの存在下で、セルロース系材料をセルロース分解酵素組成物で糖化し;(b)工程(a)の糖化したセルロース系材料を1つ又はそれ以上の発酵微生物で発酵させて発酵生成物を生成させ、そして(c)発酵物から発酵生成物を回収することを含んでなる、発酵生成物の製造方法に関する。
本発明はまた、セルロース系材料を1つ又はそれ以上の発酵微生物で発酵させることを含んでなるセルロース系材料の発酵方法に関し、ここで、セルロース系材料は、本発明のセルロース分解増強活性を有するポリペプチドの存在下でセルロース分解酵素組成物で加水分解され、セルロース分解増強活性を有するポリペプチドの存在は、セルロース分解増強活性を有するポリペプチドが存在しない場合と比較して、セルロース系材料の加水分解を上昇させる。好適な態様においてセルロース系材料の発酵は、発酵生成物を生成する。別の好適な態様においてこの方法はさらに、発酵物から発酵生成物を回収することを含む。
セルロース分解増強活性を有するポリペプチドを含む組成物は、細胞が除去されているか又は除去されていない粗発酵ブロスの形でも、又は半精製もしくは精製酵素調製物の形でもよく、又は組成物は、バイオマスを用いる発酵プロセスにおいて、セルロース分解増強活性を有するポリペプチドの供給源として、本発明の宿主細胞を含むことができる。
本発明の方法は、セルロース系材料を糖化して糖を発酵させ、そして発酵可能な糖を多くの有用な物質(例えば、化学物質及び燃料)に変換するのに使用することができる。セルロース系材料からの所望の発酵生成物の製造は典型的には、前処理、酵素的加水分解(糖化)、及び発酵を含む。
本発明のセルロース系材料の処理は、当該分野で通常行われている方法を使用して行うことができる。さらに本発明の方法は、本発明で作用するように作成された通常のバイオマス処理装置を使用して実施することができる。
加水分解(糖化)と発酵(別々でも同時でも)は、特に限定されないが、別々の加水分解と発酵(SHF);同時の糖化と発酵(SSF);同時の糖化と同時発酵(SSCF);加水分解と発酵の組合せ(HHF);SHCF(別々の加水分解と同時発酵)、HHCF(加水分解と発酵の組合せ)、及び直接微生物変換(DMC)を含む。SHFは別々の処理工程を含み、まずリグノセルロースを酵素的に加水分解して発酵可能な糖(例えば、グルコース、セロビオース、セロトリオース、及び五炭糖)にし、次に発酵可能な糖をエタノールに発酵する。SSFでは、リグノセルロースの酵素的加水分解と糖のエタノールへの発酵が1工程で組合わされる(Philippidis, G.P., 1996, Cellulose bioconversion technology, Handbook on Bioethanol: Production and Utilization中、Wyman, C.E., ed., Taylor & Francis, Washington, DC, 179-212)。SSCFは、複数の糖の同時発酵を含む(Sheehan, J. and Himmerl, M., 1999, Enzymes, energy and the environment: A strategic perspective on the U.S. Department of Energy's research and development activities for bioethanol, Biotechnol. Prog. 15:817-827)。HHFは、別々の加水分解と、さらに同時に糖化及び加水分解工程(これは同じ反応槽中で行ってもよい)を含む。HHFプロセス中の工程は異なる温度で行われ、すなわち高温の酵素的糖化後に、発酵菌株が許容できる低温でSSFが行われる。DMCはすべての3つの工程(酵素的製造、リグノセルロース加水分解、及び発酵)を1回又はそれ以上の工程に組合せ、ここでリグノセルロースを発酵可能な糖へ変換するための酵素を製造するのと、発酵可能な糖を最終生成物に変換するのに同じ生物が使用される(Lynd, L.R., Weimer, P.J., van Zyl, W.H., and Pretorius, I.S., 2002, Microbial cellulose utilization: Fundamentals and biotechnology, Microbiol. Mol. Biol. Reviews 66:506-577)。本明細書において、前処理、酵素的加水分解(糖化)、発酵、又はこれらの組合せを含む当該分野で公知の任意の方法が、本発明の方法の実施で使用できると理解される。
従来の装置は、供給バッチ攪拌反応槽、バッチ攪拌反応槽、限外ろ過を含む連続的流攪拌反応槽、及び/又は連続的押し出し流れカラム反応槽(Femanda de Castilhos Corazza, Flavio Faria de Moraes, Gisella Maria Zanin and Ivo Neitzel, 2003, Optimal control in fed-batch reactor for the cellobiose hydrolysis, Acta Scientiarum. Technology 25:33-38; Gusakov, A.V., and Sinitsyn, A.P., 1985, Kinetics of the enzymatic hydrolysis of cellulose: 1. A mathematical model for a batch reactor process, Enz. Microb. Technol. 7:346-352)、摩擦反応槽(Ryu, S.K. and Lee, J.M., 1983, Bioconversion of waste cellulose by using an attrition bioreactor, Biotechnol. Bioeng. 25:53-65)、又は電磁界に誘導される集中攪拌を有する反応槽(Gusakov, A.V., Sinitsyn, A.P., Davydkin, I.Y., Davydkin, V.Y., Protas, O.V., 1996, Enhancement of enzymatic cellulose hydrolysis using a novel type of bioreactor with intensive stirring induced by electromegnetic field, Appl. Biochem. Biothechnol. 56:141-153)を含み得る。追加のタイプの反応槽には、加水分解及び/又は発酵のために、流動床、アップフローブランケット、固定化、及び抽出型反応槽がある。
前処理。本発明の実施において、植物細胞壁の成分を破壊するのに、当該分野で公知の任意の前処理法が使用できる。セルロース系材料はまた、当該分野で公知を使用して、前浸漬、湿潤化、又は前処理前のコンディショニングに付すことができる。従来の前処理法には、特に限定されないが、蒸気前処理(爆発有り又は無し)、希酸による前処理、熱水前処理、石灰前処理、湿式酸化、湿式爆発、アンモニア繊維爆発、オルガノソルブ前処理、及び生物学的前処理がある。さらなる前処理法には、超音波、電気穿孔法、マイクロ波、超臨界CO2、超臨界H2O、及びアンモニアろ過前処理がある。
セルロース系材料は、加水分解及び/又は発酵の前に前処理することができる。前処理は、好ましくは加水分解の前に行われる。あるいは前処理は、加水分解と同時に、例えば1つ又はそれ以上のセルロース分解酵素又は他の酵素活性を用いてセルロース系材料の処理と同時に、発酵可能な糖(例えばグルコース及び/又はマルトース)を放出する。多くの場合、前処理工程自体は、バイオマスを発酵可能な糖に変換する(酵素が存在しなくても)。
蒸気前処理。蒸気前処理ではセルロース系材料は加熱されて、植物細胞壁の成分(リグニン、ヘミセルロース、及びセルロースを含む)が破壊されて、酵素がアクセスできるセルロースや他の因子(例えばヘミセルロース)が作成される。リグノセルロース材料は反応容器(ここで、蒸気が注入されて、必要な温度と圧力になるまで温度が上昇し、所望の反応時間そこに保持される)に送られるか又はそこを通過する。蒸気前処理は好ましくは140〜230℃、さらに好ましくは160〜200℃、最も好ましくは170〜190℃で行われ、ここで最適温度範囲は、化学触媒の添加に依存する。蒸気前処理の保持時間は、好ましくは1〜15分、さらに好ましくは3〜12分、最も好ましくは4〜10分であり、ここで最適保持時間は、温度範囲と化学触媒の添加に依存する。蒸気前処理は、比較的多量の固体の添加を可能にし、従ってセルロース系材料は一般に前処理中湿潤性である。蒸気前処理はしばしば前処理後の材料の爆発性放出に組合わされ、これは蒸気爆発(例えば、断片化によるアクセス可能な表面積の増大のための材料の急速な放出と乱流)として知られている(Duff and Murray, 1996, Bioresource Technology 855:1-33; Galbe and Zacchi, 2002, Appl. Microbiol. Biotechnol. 59:618-628;米国特許出願第20020164730号)。蒸気前処理中、ヘミセルロースアセチル基は切断され、生じる酸がヘミセルロースの部分加水分解を自己触媒して、単糖とオリゴ糖にする。リグニンはほんのわずかに除去される。
蒸気前処理の前にしばしばH2SO4又はSO2のような触媒(典型的には0.3〜3%)が加えられ、これは時間と温度を低下させ、回収率を上昇させ、酵素的加水分解を改善する(Ballesteros et al., 2006, Appl. Biochem. Biotechnol. 129-132:496-508; Varga et al., 2004, Appl. Biochem. Biotechnol. 113-116: 509-523; Sassner et al., 2006, Enzyme Microb. Technol. 39:756-762)。
化学的前処理:「化学的前処理」という用語は、セルロース、ヘミセルロース、及び/又はリグニンの分離及び/又は放出を促進する任意の化学的前処理を意味する。適切な化学的前処理法の例には、例えば希酸前処理、石灰前処理、湿式酸化、アンモニア繊維/凍結爆発(AFEX)、アンモニアろ過(APR)、及びオルガノソルブ前処理がある。
希酸前処理では、セルロース系材料は希酸(典型的には硫酸と水)と混合されてスラリーを形成し、蒸気で所望の温度まで加熱され、保持時間後、大気圧まで急速にフラッシュ(flash)される。希酸前処理は、多くの反応槽の設計(例えば、押し出し流れ反応槽、向流反応槽、又は連続向流収縮層反応槽を用いて行われる(Duff and Murray, 1996, 前述; Schell et al., 2004, Bioresource Technol. 91:179-188; Lee at al., 1999, Adv. Biochem. Eng. Biotechnol. 65:93-115)。
アルカリ性条件下でのいくつかの前処理法も使用できる。これらのアルカリ性前処理には、特に限定されないが、石灰前処理、湿式酸化、アンモニアろ過(APR)、及びアンモニア繊維/凍結爆発(AFEX)がある。
石灰前処理は、炭酸カルシウム、水酸化ナトリウム、又はアンモニアを用いて、85〜150℃の低温で、1時間〜数日間の保持時間で行われる(Wyman et al., 2005, Bioresource Technol. 96:1959-1966; Mosier et al., 2005, Bioresource Technol. 96:673-686)。WO2006/110891号、WO2006/11899号、WO2006/11900号、及びWO2006/110901号は、アンモニアを使用する前処理法を開示する。
湿式酸化は典型的には、過酸化水素のような酸化剤を添加して又は酸素の超過気圧により、180〜200℃で5〜15分行われる熱前処理である(Schmidt and Thomsen, 1998, Bioresource Technol. 64:139-151; Palonen et al., 2004, Appl. Biochem. Biotechnol. 117:1-17; Varga et al., 2004, Biotechnol. Bioeng. 88:567-574; Martin et al., 2006, J. Chem. Technol. Biotechnol. 81:1669-1677)。前処理は好ましくは1〜40%の乾燥物質、さらに好ましくは2〜30%の乾燥物質、最も好ましくは5〜20%の乾燥物質で行われ、初期pHはしばしば、炭酸ナトリウムのようなアルカリの添加により上昇させられる。
湿式爆発として知られている湿式酸化前処理法の修飾(湿式酸化と蒸気爆発の組合せ)は、最大30%の乾燥物質を扱うことができる。湿式爆発では、ある保持時間後の前処理中に酸化剤が導入される。次に前処理は、大気圧にフラッシュ(flash)することにより終了させられる(WO2006/032282号)。
アンモニア繊維爆発(AFEX)は、液体又は気体アンモニアを用いてセルロース系材料を、90〜100℃の中程度の温度で17〜20バールのような高圧で5〜10分間処理することを含み、ここで乾燥物質含量は最大60%でもよい(Gollapalli et al., 2002, Appl. Biochem. Biotechnol. 98:23-35; Chundawat et al., 2007, Biotechnol. Bioteng. 96:219-231; Alizadeh et al., 2005, Appl. Biochem. Biotechnol. 121:1133-1141; Teymouri et al., 2005, Bioresource Technol. 96:2014-2018)。AFEX前処理は、セルロースの解重合とヘミセルロースの部分加水分解を引き起こす。リグニン−炭水化物複合体が切断される。
オルガノソルブ前処理は、水性エタノール(40〜60%エタノール)を使用して160〜200℃で30〜60分間抽出することにより、セルロース系材料のリグニン除去を行う(Pan et al., 2005, Biotechnol. Bioeng. 90:473-481; Pan et al., 2006, Biotechnol. Bioeng. 94:851-861; Kurabi et al., 2005, Appl. Biochem. Biotechnol. 121:219-230)。硫酸は、通常触媒として加えられる。オルガノソルブ前処理では、大部分のヘミセルロースが除去される。
適切な前処理法の他の例は、Schell et al., 2003, Appl. Biochem. and Biotechnol. Vol. 105-108, p. 69-85 及び Mosier et al., 2005, Bioresource Technology 96;673-686 及び米国特許出願公報大2002/0164730号に記載されている。
ある態様において化学的前処理は好ましくは酸処理として行われ、さらに好ましくは連続的希酸及び/又は弱酸処理として行われる。酸は典型的には硫酸であるが、他の酸(例えば、酢酸、クエン酸、硝酸、リン酸、酒石酸、コハク酸、塩化水素、又はこれらの混合物)も使用できる。弱酸処理は、pH範囲が好ましくは1〜5、さらに好ましくは1〜4、最も好ましくは1〜3で行われる。ある態様において酸の濃度は、好ましくは0.01〜20重量%、さらに好ましくは0.05〜10重量%、さらに好ましくは0.1〜5重量%、最も好ましくは0.2〜2.0重量%の酸の範囲である。酸はセルロース系材料と接触され、好ましくは160〜220℃、さらに好ましくは165〜195℃の範囲のある温度で、数秒から数分(例えば1秒〜60分)の範囲の時間維持される。
別の態様において前処理は、アンモニア繊維爆発工程(AFEX前処理工程)として行われる。
別の態様において前処理は、水性スラリー中で行われる。好適な態様においてセルロース系材料は、前処理中、好ましくは10〜80重量%、さらに好ましくは20〜70重量%、最も好ましくは30〜60重量%、例えば約50重量%の量で存在する。前処理されたセルロース系材料は、洗浄されないか、又は当該分野で公知の任意の方法(例えば、水洗)を使用して洗浄される。
機械的前処理。用語「機械的前処理」は、種々のタイプの摩砕又は粉砕(乾式粉粉砕、湿式粉砕、又は振動ボール粉砕)を意味する。
物理的前処理。用語「物理的前処理」は、セルロース系材料からのセルロース、ヘミセルロース、及び/又はリグニンの分離及び/又は放出を促進する任意の前処理を意味する。例えば物理的前処理は、照射(例えば、マイクロ波照射)、蒸気処理/蒸気爆発、水熱分解、及びこれらの組合せがある。
物理的前処理は、高圧及び/又は高温(蒸気爆発)を含む。ある態様において高圧は、好ましくは約300〜約600psi、さらに好ましくは約350〜約550psi、最も好ましくは約400〜約500psiの圧力、例えば約450psiを意味する。別の態様において高温は、約100〜約300℃、好ましくは約140〜約235℃の範囲の温度を意味する。好適な態様において機械的前処理は、上記したように高圧と高温を使用するバッチ式の蒸気銃加水分解装置(例えばSunds Defibrator AB, Sweeden, から入手できるSunds Hydrolyzer)で行われる。
物理的前処理と化学的前処理の組合せ。セルロース系材料は、物理的及び化学的に前処理することができる。例えば前処理工程は、希酸又は弱酸処理、及び高温及び/又は高圧処理を含み得る。物理的前処理及び化学的前処理は、必要に応じて連続して又は同時に行うことができる。機械的前処理も含めることができる。
すなわち好適な態様においてセルロース系材料は、セルロース、ヘミセルロース、及び/又はリグニンの分離及び/又は放出を促進するために、機械的、化学的、又は物理的前処理、又はこれらの任意の組合せを受ける。
生物学的前処理。用語「生物学的前処理」は、セルロース系材料からのセルロース、ヘミセルロース、及び/又はリグニンの分離及び/又は放出を促進する任意の生物学的前処理を意味する。生物学的前処理法は、リグニン溶解性微生物を適用することを含む(例えば、Hsu, T.-A., 1996, Pretreatment of biomass、Handbook on Bioethanol: Production and Utilization中, Wyman. C. E., ed., Taylor & Francis, Washington, DC, 179-212; Ghosh and Singh, 1993, Physicochemical and biological treatments for enzymatic/microbial conversion of cellulosic biomass, Adv. Appl. Microbiol. 39: 295-333; McMillan, J. D. 1994, Pretreating lignocellulosic biomass: a review, Enzymatic Conversion of Biomass for Fuels Production中, Himmel, M. E., Baker, J. O., and Overend, R. P., eds. ACS Symposium Series 566, American Chemical Society, Washington, DC, chapter 15; Gong, C. S., Cao, N. J., Du, J., and Tsao, G. T., 1999, Ethanol production from renewable resources, Advances in Biochemical Engineering/Biotechnology中, Scheper, T., ed., Springer-Verlag Berlin Heidelberg. Germany, 65: 207-241; Olsson and Hahn-Hagerdal, 1996, Fermentation of lignocellulosic hydrolysates for ethanol production, Enz. Microb. Tech. 18: 312-331; 及び Vallander and Eriksson, 1990 Production of ethanol from lignocellulosic materials: State of the art, Adv. Biochem. Eng./Biotechnol. 42: 63-95)
糖化。加水分解工程(糖化としても知られている)では、前処理されたセルロース系材料は加水分解されて、セルロースあるいはヘミセルロースが発酵可能な糖、例えばグルコース、キシロース、キシルロース、アラビノース、マルトース、マンノース、ガラクトース、又は可溶性オリゴ糖に分解される。加水分解は、本発明のセルロース分解増強活性を有するポリペプチドを含むセルロース分解酵素組成物(これはさらに、1つ又はそれ以上のヘミセルロース分解性酵素を含んでよい)により酵素的に行われる。組成物の酵素はまた、連続的に添加することができる。
酵素的加水分解は、好ましくは当業者が容易に決定できる条件下で、適切な水性環境で行われる。好適な態様において加水分解は、酵素の活性に適した(酵素に最適な)条件下で行われる。加水分解は、供給バッチ法又は連続法で行われ、ここで前処理されたセルロース系材料(基質)は徐々に、例えば酵素含有加水分解溶液中に供給される。
糖化は一般に、攪拌タンク反応槽又は発酵槽中で、制御されたpH、温度、及び混合条件下で行われる。適切なプロセス時間、温度、及びpHは、当業者により容易に決定される。例えば糖化は最大200時間行われるが、典型的には好ましくは約12〜約96時間、さらに好ましくは約16〜72時間、最も好ましくは約24〜約48時間行われる。温度は好ましくは、約25℃〜約70℃、さらに好ましくは約30℃〜約65℃、最も好ましくは約40〜60℃の範囲であり、特に約50℃である。pHは、好ましくは約3〜約8、さらに好ましくは約3.5〜約7、最も好ましくは約4〜約6の範囲であり、特に約pH5である。乾燥固体含量は、好ましくは約5〜約50重量%、さらに好ましくは約10〜約40重量%、最も好ましくは約20〜約30重量%の範囲である。
本発明のセルロース分解増強活性を有するポリペプチド以外に、組成物のセルロース分解酵素成分は、好ましくはエンドグルカナーゼ、セロビオヒドロラーゼ、及びベータグルコシダーゼである。好適な態様においてセルロース分解酵素組成物は、セルラーゼ、エンドグルカナーゼ、セロビオヒドロラーゼ、及びベータグルコシダーゼよりなる群から選択される1つ又はそれ以上(数個)のセルロース分解酵素を含む。別の好適な態様においてセルロース分解酵素調製物は、ヘミセルラーゼ、エステラーゼ(例えば、リパーゼ、ホスホリパーゼ、及び/又はクチナーゼ)、プロテアーゼ、ラッカーゼ、ペルオキシダーゼ、又はこれらの混合物が補足される。本発明の方法において追加の酵素は、発酵の前又はその最中(発酵微生物の増殖中又は増殖後を含む)に添加することができる。
酵素は、任意の適切な供給源(細菌、真菌、酵母、植物、又は哺乳動物起源)から誘導されるか得られる。本明細書において用語「得られる」は、酵素が、固有の酵素として酵素を自然に産生する生物から単離されていることを意味する。用語「得られる」はまた、酵素が、本明細書に記載の宿主生物を使用して組換え法で産生されていることを意味し、ここで組換え法で産生される酵素は、その宿主生物に固有であるかもしくは異種であり、又は修飾されたアミノ酸配列(例えば、1つ又はそれ以上のアミノ酸が欠失、挿入、及び/又は置換されている)を有し、すなわち固有のアミノ酸配列の変異体及び/又はフラグメントである組換え産生酵素であるか、又は当該分野で公知の核酸シャフリング法により産生された酵素である。固有の酵素の意味には、天然の変種が含まれ、異種の酵素の意味には、組換え法(例えば、部位特異的突然変異誘発又はシャフリング)で得られた変種が含まれる。
本発明で使用される酵素は、本明細書に記載の方法で使用するのに適した任意の型(例えば、細胞を含むか又は含まない粗発酵ブロス、又は実質的に純粋なポリペプチド)でよい。酵素は、乾燥粉末でも、顆粒、非散粉性顆粒、液体、安定化液体、又は保護化酵素でもよい。顆粒は、例えば米国特許第4,106,991号及び4,661,452号に開示されたように製造することができ、場合により当該分野で公知の方法により被覆することができる。液体酵素調製物は、例えば安定剤(例えば、糖、糖アルコール、もしくは別のポリオール、及び/又は乳酸もしくは別の有機酸)を加えることにより、確立された方法に従って安定化される。保護された酵素は、EP238,216号に開示された方法に従って調製することができる。
酵素とセルロース分解増強活性を有するポリペプチドとの最適量は、いくつかの因子[特に限定されないが、成分セルロース分解酵素の混合物、セルロース基質、温度、時間、pH,及び発酵生物を含めること(例えば、同時糖化と発酵のための酵母)を含む]に依存する。
好適な態様においてセルロース系材料に対するセルロース分解酵素の有効量は、セルロース系材料1gについて、約0.5〜約50mg、好ましくは約0.5〜約40mg、さらに好ましくは約0.5〜約25mg、さらに好ましくは約0.75〜約20mg、さらに好ましくは約0.75〜約15mg、さらに好ましくは約0.5〜約10mg、最も好ましくは約2.5〜約10mgである。
別の好適な実施態様においてセルロース系材料に対するセルロース分解増強活性を有するポリペプチドの有効量は、セルロース系材料1gについて、約0.01〜約50mg、好ましくは約0.5〜約40mg、さらに好ましくは約0.5〜約25mg、さらに好ましくは約0.75〜約20mg、さらに好ましくは約0.75〜約15mg、さらに好ましくは約0.5〜約10mg、最も好ましくは約2.5〜約10mgである。
別の好適な態様においてセルロース系材料に対するセルロース分解増強活性を有するポリペプチドの有効量は、セルロース系材料1gについて、約0.01〜約50mg、好ましくは約0.01〜約40mg、さらに好ましくは約0.01〜約30mg、さらに好ましくは約0.01〜約20mg、さらに好ましくは約0.01〜約10mg、さらに好ましくは約0.01〜約5mg、さらに好ましくは約0.025〜約1.5mg、さらに好ましくは約0.05〜約1.25mg、さらに好ましくは約0.75〜約1.25mg、さらに好ましくは約0.15〜約1.25mg、最も好ましくは約0.25〜約1.0mgである。
別の好適な態様においてセルロース分解酵素に対するセルロース分解増強活性を有するポリペプチドの有効量は、セルロース分解酵素1gについて、約0.005〜約1.0mg、好ましくは約0.01〜約1.0mg、さらに好ましくは約0.15〜約0.75mg、さらに好ましくは約0.15〜約0.5mg、さらに好ましくは約0.1〜約0.5mg、さらに好ましくは約0.1〜約0.5mg、最も好ましくは約0.055〜約0.2mgである。
発酵。前処理し加水分解したセルロース系材料から得られる発酵可能な糖は、糖を直接または間接に発酵して所望の発酵生成物にすることができる1つ又はそれ以上の発酵微生物により発酵することができる。「発酵」又は「発酵プロセス」は、任意の発酵プロセス又は発酵工程を含む任意のプロセスを意味する。発酵プロセスはまた、消費アルコール業界(例えば、ビール及びワイン)、乳製品業界(例えば、発酵乳製品)、皮革業界、及びタバコ業界で使用される発酵プロセスがある。発酵条件は、所望の発酵生成物及び発酵生物に依存し、当業者が容易に決定することができる。
発酵工程では、前処理及び酵素的加水分解工程の結果としてセルロース系材料から放出された糖は、発酵生物(例えば酵母)により発酵されて生成物(例えばエタノール)になる。加水分解(糖化)と発酵は、別々でも同時でもよい。かかる方法には、特に限定されないが、別々の加水分解と発酵(SHF);同時の糖化と発酵(SSF);同時の糖化と同時発酵(SSCF);加水分解と発酵の組合せ(HHF);SHCF(別々の加水分解と同時発酵)、HHCF(加水分解と発酵の組合せ)、及び直接微生物変換(DMC)がある。
本発明の実施における発酵工程では、任意の適切な加水分解されたセルロース系材料を使用することができる。この物質は一般に、当該分野で公知のように、所望の発酵生成物、すなわち発酵から得られる物質と使用されるプロセスに基づいて選択される。本発明の方法での使用に適した基質の例には、セルロース系材料、例えば木材もしくは植物残渣、又は発酵微生物により代謝可能な処理されたセルロース系材料から得られ、発酵培地への直接添加により供給される低分子量糖DP1−3がある。
本明細書において用語「発酵培地」は、発酵微生物が加えられる前の培地であり、例えば糖化プロセスの前の培地、ならびに同時の糖化と発酵プロセス(SSF)で使用される培地である。
「発酵微生物」は、発酵生成物を製造する所望の発酵プロセスでの使用に適した任意の微生物(細菌及び真菌を含む)を意味する。発酵生物は、C6及び/又はC5発酵生物でも、これらの組合せでもよい。C6とC5発酵生物の両方とも当該分野で公知である。適切な発酵微生物は、糖(グルコース、キシロース、キシルロース、アラビノース、マルトース、マンノース、ガラクトース、又はオリゴ糖)を、直接または間接に発酵して所望の発酵生成物にすることができる。
エタノールを産生する細菌及び真菌発酵生物の例は、Lin et al., 2006, Appl. Microbiol. Biotechnol. 69:627-642に記載されている。
6糖を発酵できる発酵微生物の例は、細菌及び真菌生物(例えば酵母)がある。好適な酵母には、サッカロミセス(Saccharomyces)属の株、好ましくはサッカロミセス・セレビッシェ(Saccharomyces cerevisiae)がある。
5糖を発酵できる発酵生物の例は、細菌及び真菌生物(例えば酵母)がある。好適なC5発酵性酵母には、ピキア(Picchia)の株、好ましくはピキア・スティピチス(Picchia stipitis)、ピキア・スティピチス(Picchia stipitis)CBS5773;カンジダ(Candida)の株、好ましくはカンジダ・ボイディニイ(Candida boidinii)、カンジダ・ブラッシセ(Candida brassicae)、カンジダ・ステアテ(Candida steatae)、カンジダ・ディッデンシイ(Candida diddensii)、カンジダ・シュードトロピカリス(Candida pseudotropicalis)、又はカンジダ・ウチリス(Candida utilis)がある。
他の発酵生物には、チモモナス(Zymomonas)の株、例えばチモモナス・モビリス(Zymomonas mobilis);ハンゼヌラ(Hansenula)、例えばハンゼヌラ・アノマイア(Hansenula anomaia);クルイベロミセス(Kluyveromyces)、例えばケー・フラギリス(K.fragilis);シゾサッカロミセス(Schizosaccharomyces)、例えばエス・ポンベ(S. pombe);及び大腸菌(E. coli)、特にエタノールの収率を改良するように遺伝子的に修飾されている大腸菌(E. coli)株がある。
好適な態様において酵母はサッカロミセス(Saccharomyces)属の種である。より好適な態様において酵母は、サッカロミセス・セレビッシェ(Saccharomyces cerevisiae)である。別のより好適な態様において酵母は、サッカロミセス・ディスタティクス(Saccharomyces distaticus)である。別のより好適な態様において酵母は、サッカロミセス・ウバルム(Saccharomyces uvarum)である。別の好適な態様において酵母は、クルイベロミセス(Kluyveromyces)である。別のより好適な態様において酵母は、クルイベロミセス・マルキシアヌス(Kluyveromyces marxianus)である。別のより好適な態様において酵母は、クルイベロミセス・フラギリス(Kluyveromyces fragilis)である。別の好適な態様において酵母は、カンジダ(Candida)である。別のより好適な態様において酵母は、カンジダ・ボイディニイ(Candida boidinii)である。別のより好適な態様において酵母は、カンジダ・ブラッシセ(Candida brassicae)である。別のより好適な態様において酵母は、カンジダ・ディッデンシイ(Candida diddensii)である。別のより好適な態様において酵母は、カンジダ・シュードトロピカリス(Candida pseudotropicalis)である。別のより好適な態様において酵母は、カンジダ・ウチリス(Candida utilis)である。別の好適な態様において酵母は、クラビスポラ(Clavispora)である。別のより好適な態様において酵母は、クラビスポラ・ルシタニエ(Clavispora lusitaniae)である。別のより好適な態様において酵母は、クラビスポラ・オプンチエ(Clavispora opuntiae)である。別の好適な態様において酵母は、パキソレン(Pachysolen)である。別のより好適な態様において酵母は、パキソレン・タノフィルス(Pachysolen tannophilus)である。別の好適な態様において酵母は、ピキア(Pichia)である。別のより好適な態様において酵母は、ピキア・スチピチス(Pichia stipitis)である。別の好適な態様において酵母は、ブレタノミセス(Bretannomyces)である。別のより好適な態様において酵母は、ブレタノミセス・クラウセニイ(Bretannomyces clausenii)である(Philippidis, G.P., 1996, Cellulose bioconversion technology, Handbook on Bioethanol: Production and Utilization中、Wyman, C.E. ed. Taylor & Francis, Washington, DC, 179-212)。
ヘキソースやペントースをエタノールに効率的に発酵できる細菌には、例えばチモモナス・モビリス(Zymomonas mobilis)及びクロストリジウム・サーモセルム(Clostridium thermocellum)がある(Philippidis, 1995, 前述)。
好適な態様において細菌はチモモナス(Zymomonas)である。より好適な態様において細菌は、チモモナス・モビリス(Zymomonas mobilis)である。別の好適な態様において細菌はクロストリジウム(Clostridium)である。別のより好適な態様において細菌は、クロストリジウム・サーモセルム(Clostridium thermocellum)である。
エタノール生産に適した市販の酵母には、例えばETHANOL RED(登録商標)酵母(Fermentis/Lesaffire, USAから入手できる)、FALI(登録商標)(Fleischmann's Yeast, USAから入手できる)、SUPERSTART(登録商標)及びTHERMOSACC(登録商標)新鮮酵母(Ethanol Technology, Wl, USAから入手できる)、BIOFERM(登録商標)AFT及びXR(NABC - North Amerlcan Bioproducts Corporation, GA, USAから入手できる)、GERT STRAND(登録商標)(Gert Strand AB, Swedenから入手できる)、及びFERMIOL(登録商標)(DSM Specialtiesから入手できる)がある。
好適な態様において発酵生物は、キシロース利用性、アラビノース利用性、及びキシロースとアラビノース同時利用性微生物のように、五炭糖を発酵する能力を与えるように遺伝子修飾されている。
種々の発酵微生物への異種遺伝子のクローニングにより、六炭糖と五炭糖とをエタノールに変換できる(同時発酵)微生物が構築されている(Chen and Ho, 1993, Cloning and improving the expression of Pichia stipitis xylose reductase gene in Saccharomyces cerevisiae, Appl. Biochem Biotechnol. 39-40: 135-147; Ho et al., 1998, Genetically engineered Saccharomyces yeast capable of effectively cofermenting glucose and xylose, Appl. Environ. Microbiol. 64: 1852-1859; Kotter and Ciriacy, 1993, Xylose fermentation by Saccharomyces cerevisiae, Appl. Microbiol. Biotechnol. 38: 776-783; Walfridsson et al., 1995. Xylose-metabolizing Saccharomyces cerevisiae strains overexpressing the TKLI and TAL1 genes encoding the pentose phosphate pathway enzymes transketolase and transaldolase, Appl. Environ. Microbiol. 61: 4184-4190; Kuyper et al., 2004. Minimal metabolic engineering of Saccharomyces cerevisiae for efficient anaerobic xylose fermentation: a proof of principle, FEMS Yeast Research 4: 655-664; Beall et al., 1991, Parametric studies of ethanol production from xylose and other sugars by recombinant Escherichia coli, Biotech. Bioeng. 38: 296-303; Ingram et al., 1998, Metabolic engineering of bacteria for ethanol production, Biotechnol. Bioeng. 58: 204-214; Zhang et al., 1995, Metabolic engineering of a pentose metabolism pathway in ethanologenic Zymomonas mobilis, Science 267: 240-243; Deanda et al., 1996, Development of an arabinose-fermenting Zymomonas mobilis strain by metabolic pathway engineering, Appl. Environ. Microbiol. 62: 4465-4470)。
好適な態様において、遺伝子修飾された発酵微生物は、サッカロミセス・セレビッシェ(Saccharomyces cerevisiae)である。別の好適な態様において遺伝子修飾発酵微生物は、チモモナス・モビリス(Zymomonas mobilis)である。別の好適な態様において遺伝子修飾発酵微生物は、大腸菌(Escherichia coli)である。別の好適な態様において遺伝子修飾発酵微生物は、クレブシエラ・オキシトカ(Klebsiella oxytoca)である。
上記微生物はまた、本明細書に記載の他の物質を産生するのに使用できることは当該分野で公知である。
発酵微生物は、典型的には分解されたリグノセルロース又は加水分解物に加えられ、発酵は約8〜約96時間、例えば約24〜約60時間行われる。温度は典型的には、約26℃〜約60℃、特に約32℃又は50℃であり、約pH3〜約pH8、例えばほぼpH4〜5、6、又は7である。
好適な態様において酵母及び/又は他の微生物は、典型的には分解されたリグノセルロース又は加水分解物に加えられ、発酵は約12〜約96時間、例えば約24〜約60時間行われる。好適な態様において温度は典型的には、約20℃〜約60℃、さらに好ましくは約25℃〜約50℃、最も好ましくは約32℃〜約50であり、特に約32℃又は50℃であり、pHは一般に、約pH3〜約pH7、例えばほぼpH4〜7である。しかし、一部の細菌性発酵微生物は、例えばより高い最適発酵温度を有する。酵母又は他の微生物は好ましくは、発酵ブロス1ml当たり約105〜1012、好ましくは好ましくは約107〜約1010、特に約2×108の生存活性細胞で添加される。発酵用の酵母の使用についてのさらなる指針は、例えば"The Alcohol Textbook" (編者 K. Jacques, T.P. Lyons and D.R Kelsall, Nottingham University Press. United Kingdom 1999) (これは参照することにより本明細書に組み込まれる)に記載されている。
当該分野において最も広く使用されている方法は同時糖化及び発酵(SSF)法であり、ここで糖化の保持段階は無く、酵母と酵素が一緒に加えられることを意味する。
エタノール製造のために、発酵後に、発酵スラリーは蒸留されてエタノールが抽出される。本発明の方法で得られるエタノールは、例えば燃料エタノール、飲料エタノール(すなわち、飲用中性スピリッツ)、又は工業用エタノールとして使用することができる。
発酵プロセス、特に発酵微生物の能力(例えば、速度増強とエタノール収率)をさらに改良するために、本明細書に記載の酵素的プロセスと組合せて、発酵刺激物質を使用することができる。「発酵刺激物質」は、発酵微生物、特に酵母の増殖の刺激物質を意味する。増殖のための好適な発酵刺激物質には、ビタミンとミネラルがある。ビタミンの例には、マルチビタミン類、ビオチン、パントテン酸、ニコチン酸、メソイノシトール、チアミン、ピロドキシン、パラアミノ安息香酸、葉酸、リボフラビン、及びビタミンA、B、C、D、及びEがある。例えばAlfenore et al., Improving ethanol production and viability of Saccharomyces cerevisiae by a vitamin feeding strategy during fed-batch process, Springer-Verlag (2002)(これは参照することにより本明細書に組み込まれる)を参照。ミネラルの例には、P、K、Mg、S、Ca、Fe、Zn、Mn、及びCuを含む栄養物質を供給できるミネラル及びミネラル塩がある。
発酵生成物:発酵生成物は発酵から得られる任意の物質である。発酵生成物は、特に限定されないが、アルコール(例えば、アラビニトール、ブタノール、エタノール、グリセロール、メタノール、1,3−プロパンジオール、ソルビトール、及びキシリトール);有機酸(例えば、酢酸、アセトン酸、アジピン酸、アスコルビン酸、クエン酸、2,5−ジケト−D−グルコン酸、蟻酸、フマル酸、グルカル酸、グルコン酸、グルクロン酸、グルタル酸、3−ヒドロキシプロピオン酸、イタコン酸、乳酸、リンゴ酸、マロン酸、シュウ酸、プロピオン酸、コハク酸、及びキシロン酸);ケトン(例えばアセトン);アミノ酸(例えば、アスパラギン酸、グルタミン酸、グルカン、リジン、セリン、及びスレオニン);及び気体(例えば、メタン、水素(H2)、二酸化炭素(CO2)、及び一酸化炭素(CO))である。発酵生成物はまた、高価値生成物としてタンパク質でもよい。
好適な態様において発酵生成物はアルコールである。用語「アルコール」は、1つ又はそれ以上のヒドロキシ成分を有する物質を包含することは理解されるであろう。より好適な態様において、アルコールはアラビニトールである。別のより好適な態様において、アルコールはブタノールである。別のより好適な態様において、アルコールはエタノールである。別のより好適な態様において、アルコールはメタノールである。別のより好適な態様において、アルコールは1、3−プロパンジオールである。別のより好適な態様において、アルコールはソルビトールである。別のより好適な態様において、アルコールはキシリトールである。例えば、Gong, C. S., Cao, N.J., Du, J., and Tsao, G.T., 1999, Ethanol production from renewable resources, Advances in Biochemical Engineering/Biotechnology中, Scheper, T., ed., Springer-Verlag Berlin Heidelberg, Germany, 65: 207-241; Silveira M.M., and Jonas, R., 2002, The biotechnological production of sorbitol, Appl. Microbiol Biotechnol. 59: 400-408; Nigam, P., and Singh, D., 1995, Processes for fermentative production of xylitol - a sugar substitute, Process Biochemistry 30(2): 117-124; Ezeji, T.C., Qureshi, N. and Blaschek, H.P., 2003, Production of acetone, butanol and ethanol by Clostridium beljerinckii BA101 and in situ recovery by gas stripping, World Journal of Microbiology and Biotechnology 19(6): 595-603を参照。
別の好適な態様において、発酵生成物は有機酸である。別のより好適な態様において、有機酸は酢酸である。別のより好適な態様において、有機酸はアセトン酸である。別のより好適な態様において、有機酸はアジピン酸である。別のより好適な態様において、有機酸はアスコルビン酸である。別のより好適な態様において、有機酸はクエン酸である。別のより好適な態様において、有機酸は2,5−ジケト−D−グルコン酸である。別のより好適な態様において、有機酸は蟻酸である。別のより好適な態様において、有機酸はフマル酸である。別のより好適な態様において、有機酸はグルカン酸である。別のより好適な態様において、有機酸はグルコン酸である。別のより好適な態様において、有機酸はグルクロン酸である。別のより好適な態様において、有機酸はグルタル酸である。別のより好適な態様において、有機酸は3−ヒドロキシプロピオン酸である。別のより好適な態様において、有機酸はイタコン酸である。別のより好適な態様において、有機酸は乳酸である。別のより好適な態様において、有機酸はリンゴ酸である。別のより好適な態様において、有機酸はマロン酸である。別のより好適な態様において、有機酸はシュウ酸である。別のより好適な態様において、有機酸はプロピオン酸である。別のより好適な態様において、有機酸はコハク酸である。別のより好適な態様において、有機酸はキシロン酸である。例えば、Chen, R., and Lee, Y.Y., 1997 Membrane-mediated extractive fermentation for lactic acid production from cellulosic biomass. Appl Biochem. Biotechnol. 63-65: 435-448を参照。
別の好適な態様において、発酵生成物はケトンである、用語「ケトン」は1つ又はそれ以上のケトン成分を含有する物質を包含することは理解されるであろう。別のより好適な態様において、ケトンはアセトンである。例えばQureshi and Blaschek, 2003、前述、を参照。
別の好適な態様において、発酵生成物はアミノ酸である。別のより好適な態様において、有機酸はアスパラギン酸である。別のより好適な態様において、アミノ酸はグルタミン酸である。別のより好適な態様において、アミノ酸はグリシンである。別のより好適な態様において、アミノ酸はリジンである。別のより好適な態様において、アミノ酸はセリンである。別のより好適な態様において、アミノ酸はスレオニンである。例えば、Richard, A., and Margaritis. A., 2004, Empirical modeling of batch fermentation kinetics for poly(glutamic acid) production and other microbial biopolymers, Biotechnology and Bioengineering 87(4):501-515.を参照。
別の好適な態様において、発酵生成物は気体である。別のより好適な態様において、気体はメタンである。別のより好適な態様において、気体は水素である。別のより好適な態様において気体は二酸化炭素である。別のより好適な態様において、気体は一酸化炭素である。例えば、Kataoka. N., A. Miya, and K. Kiriyama, 1997, Studies on hydrogen production by continuous culture system of hydrogen-producing anaerobic bacteria, Water Science and Technology 36 (6-7):41-47; 及び Gunaseelan V.N. Biomass and Bioenergy中, Vol. 13 (1-2), pp. 83-114, 1997, Anaerobic digestion of biomass for methane production: A review、を参照。
回収。発酵生成物は、当該分野で公知の任意の方法(特に限定されないが、クロマトグラフィー、電気泳動法、示差的溶解性、蒸留、又は抽出を含む)を使用して発酵培地から随時回収できる。例えばアルコールは、発酵されたセルロース系材料から分離され、従来の蒸留法により精製される。最大約96容量%のエタノールが得られ、これは、例えば燃料エタノール、飲料エタノール(すなわち、飲用中性スピリッツ)、又は工業用エタノールとして使用することができる。
セルロース分解酵素組成物
本発明の方法においてセルロース分解酵素組成物は、セルロース含有物質からグルコース、又はヘミセルロースからキシロース、ガラクトース、及びアラビノースへの処理に関与する任意のタンパク質、これらのポリマー、又は後述するようにこれらから得られる生成物を含んでよい。ある態様においてセルロース分解酵素組成物は、エンドグルカナーゼ、セロビオヒドロラーゼ、及びベータグルコシダーゼよりなる群から選択される1つ又はそれ以上の酵素を含む。別の態様においてセルロース分解酵素組成物は、セルロース含有物質の分解を改良するために、1つ又はそれ以上の追加の酵素活性をさらに含む。好適な追加の酵素は、ヘミセルラーゼ、エステラーゼ(例えば、リパーゼ、ホスホリパーゼ、及び/又はクチナーゼ)、プロテアーゼ、ラッカーゼ、ペルオキシダーゼ、又はこれらの混合物である。
セルロース分解酵素組成物は、単一成分調製物(例えば、エンドグルカナーゼ)、多成分調製物(例えば、エンドグルカナーゼ、セロビオヒドロラーゼ、及びベータグルコシダーゼ)、又は多成分及び単一成分タンパク質調製物の組合せでもよい。セルロース分解性タンパク質は、活性(すなわち酸性、中性、又はアルカリ性pH範囲でセルロース含有物質を加水分解する)を有してもよい。
上記したように、本発明で使用されるセルロース分解性タンパク質は単一成分調製物(すなわち、他のセルロース分解性成分を基本的に含まない)でもよい。単一の成分は、組換え成分(すなわち単一の成分をコードするDNA配列をクローニングし、次にDNA配列で形質転換された細胞を宿主中で発現することにより産生される)でもよい(例えば、WO91/17243号及びWO91/17244号参照)。宿主細胞は異種宿主(酵素が宿主に対して異種である)であるか、又は宿主が野生型宿主でもよい(酵素は宿主固有である)。単一成分性セルロース分解性タンパク質はまた、かかるタンパク質を発酵ブロスから精製することにより調製される。
本発明で使用される酵素は、本明細書に記載のプロセスで使用するのに適した任意の型であり、例えば粗発酵ブロス(細胞有り又は無し)、乾燥粉末もしくは顆粒、非散粉性顆粒、液体、安定化液体、又は保護化酵素でもよい。顆粒は、例えば米国特許第4,106,991号及び4,661,452号に開示されたように製造することができ、場合により当該分野で公知の方法により被覆することができる。液体酵素調製物は、例えば安定剤(例えば、糖、糖アルコール、もしくは別のポリオール、及び/又は乳酸もしくは別の有機酸)を加えることにより、確立された方法に従って安定化される。保護された酵素は、EP238,216号に開示された方法に従って調製することができる。
セルロース分解増強活性を有するポリペプチドは、細菌のポリペプチドでもよい。例えば、ポリペプチドはグラム陽性細菌ポリペプチド、例えばセルロース分解酵素活性を有するバシルス(Bacillus)、連鎖球菌(Streptococcus)、ストレプトミセス(Streptomyces)、ブドウ球菌(Staphylococcus)、腸球菌(Enterococcus)、乳酸菌(Lactobacillus)、ラクトコッカス(Lactococcus)、クロストリジウム(Clostridium)、ゲオバシラス(Geobacillus)、又はオセアノバシルス(Oceanobacillus)のポリペプチド、又はグラム陰性菌ポリペプチド、例えばセルロース分解酵素活性を有する大腸菌(E. coli)、シュードモナス(Pseudomonas)、サルモネラ(Salmonella)、キャンピロバクター(Campylobacter)、ヘリコバクター(Helicobacter)、フラボバクテリウム(Flavobacterium)、フソバクテリウム(Fusobacterium)、イリオバクター(llyobacter)、ナイセリア(Neisseria)、又はウレアプラズマ(Ureaplasma)のポリペプチドでもよい。
好適な態様において、ポリペプチドはセルロース分解酵素活性を有するバシルス・アルカロフィルス(Bacillus alkaophilus)、バシルス・アミロリクエファシエンス(Bacillus amyloliquefaciens)、バシルス・ブレビス(Bacillus brevis)、バシラス・サーキュランス(Bacillus circulans)、バシラス・クラウジイ(Bacillus calusii)、バシラス・コアグランス(Bacillus coagulans)、バシラス・フィルムス(Bacillus firmus)、バシラス・ラウタス(Bacillus lautus)、バシラス・レンタス(Bacillus lentus)、バシルス・リケニホルミス(Bacillus licheniformis)、バチルス・メガテリウム(Bacillus megaterium)、バシラス・プミルス(Bacillus pumilus)、バシラス・ステアロサーモフィルス(Bacillus stearothermophilus)、枯草菌(Bacillus subtilis)、及びバシラス・ツリンギエンシス(Bacillus thuringiensis)のポリペプチドである。
別の好適な態様においてポリペプチドは、セルロース分解酵素活性を有するストレプトコッカス・エキシミリス(Streptococcus equisimilis)、ストレプトコッカス・ピオゲネス(Streptococcus pyogenes)、ストレプトコッカス・ウベリス(Streptococcus uberis)、又はストレプトコッカス・エキ(Streptococcus equi)亜種ズーエピデミクス(Zooepidemicus)のポリペプチドである。
別の好適な態様においてポリペプチドは、セルロース分解酵素活性を有するストレプトミセス・アクロモゲネス(Streptomyces achromogenes)、ストレプトミセス・アベルミチリス(Streptomyces avermitilis)、ストレプトミセス・コエリカラー(Streptomyces coelicolor)、ストレプトミセス・グリセウス(Streptomyces griseus)、又はストレプトミセス・リビダンス(Streptomyces lividans)のポリペプチドである。
セルロース分解酵素活性を有するポリペプチドはまた、真菌ポリペプチド、さらに好ましくは酵母のポリペプチドでもよく、例えばセルロース分解酵素活性を有するカンジダ(Candida)、クルイベロミセス(Kluyveromyces)、ピキア(Pichia)、サッカロミセス(Saccharomyces)、シゾサッカロミセス(Schizosaccharomyces)、又はヤロウィア(Yarrowia)のポリペプチド;又は、さらに好ましくはセルロース分解酵素活性を有する糸状菌ポリペプチド、例えばアクレモニウム(Acremonium)、アガリクス(Agaricus)、アルテルナリア(Alternarta)、アスペルギルス(Aspergillus)、アウレオバシジウム(Aureobasidium)、ボトリオスペリア(Botryospaeria)、セリポリオプシス(Ceriporiopsis)、ケトミジウム(Chaetomidium)、クリソスポリウム(Chrysosporium)、クラビセプス(Claviceps)、コクリオボルス(Cochliobolus)、コプリノプシス(Coprinopsis)、コプトテルメス(Coptotermes)、コリナスカス(Corynascus)、クリホネクトリア(Cryphonectria)、クリプトコッカス(Cryptococcus)、ディプロジア(Diplodia)、エキシジア(Exidia)、フィリバシジウム(Filibasidium)、フザリウム(Fusarium)、ジベレラ(Gibberella)、ホロマスチゴトイデス(Holomastigotoides)、フミコーラ(Humicola)、イルペックス(Irpex)、レンチヌラ(Lentinula)、レプトスペリア(Leptospaeria)、マグナポルテ(Magnaporthe)、メラノカルプス(Melanocarpus)、メリピルス(Meripilus)、ムコール(Mucor)、ミセリフトラ(Myceliophthora)、ネオカリマスティクス(Neocallimastix)、ノイロスポラ(Neurospora)、ペシロミセス(Paecilomyces)、ペニシリウム(Penicillium)、フェネロケテ(Phanerochaete)、ピロミセス(Piromyces)、ポイトラシア(Poitrasia)、シュードプレクタニア(Pseudoplectania)、シュードトリコニムファ(Pseudotrichonympha)、リゾムコール(Rhizomucor)、シゾフィルム(Schizophyllum)、シタリジウム(Scytalidium)、タラロミセス(Talaromyces)、サーモアスクス(Thermoascus)、チエラビア(Thielavia)、トリポクラジウム(Tolypocladium)、トリコデルマ(Trichoderma)、トリコフェア(Trichophaea)、ベルチシリウム(Verticillium)、ボルバリエラ(Volvariella)、又はキシラリア(Xylaria)のポリペプチドでもよい。
好適な態様においてポリペプチドは、セルロース分解酵素活性を有するサッカロミセス・カールスベルゲンシス(Saccharomyces carlsbergensis)、サッカロミセス・セレビッシェ(Saccharomyces cerevisiae)、サッカロミセス・ジアスタチクス(Saccharomyces diastaticus)、サッカロミセス・ダグラシイ(Saccharomyces douglasii)、サッカロミセス・クルイベリ(Saccharomyces kluyveri)、サッカロミセス・ノルベンシス(Saccharomyces norbensis)、又はサッカロミセス・オビホルミス(Saccharomyces oviformis)のポリペプチドである。
別の好適な態様においてポリペプチドは、セルロース分解酵素活性を有するアクレモニウム・セルロリチクス(Acremonium cellulolyticus)、アスペルギルス・アクレアタス(Aspergillus aculeatus)、アスペルギルス・アワモリ(Aspergillus awamori)、アスペルギルス・フミガタス(Aspergillus fumigatus)、アスペルギルス・フェチヅス(Aspergillus foetidus)、アスペルギルス・ジャポニカス(Aspergillus japonicus)、アスペルギルス・ニーヅランス(Aspergillus nidulans)、アスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)、麹菌(Aspergillus oryzae)、クリソスポリウム・ケラチノフィルム(Chrysosporium keratinophilum)、クリソスポリウム・ルクノウェンセ(Chrysosporium lucknowense)、クリソスポリウム・トロピクム(Chrysosporium tropicum)、クリソスポリウム・メルダリウム(Chrysosporium merdarium)、クリソスポリウム・イノプス(Chrysosporium inops)、クリソスポリウム・パニコラ(Chrysosporium pannicola)、クリソスポリウム・クイーンスランヂクム(Chrysosporium queenslandicum)、クリソスポリウム・ゾナツム(Chrysosporium zonatum)、フザリウム・バクトリジオイデス(Fusarium bactridioides)、フザリウム・セレアリス(Fusarium cerealis)、フザリウム・クルークウェレンセ(Fusartum crookwellense)、フザリウム・クルモルム(Fusartum culmorum)、フザリウム・グラミネアルム(Fusarium graminearum)、フザリウム・グラミヌム(Fusarium graminum)、フザリウム・ヘテロスポルム(Fusarium heterosporum)、フザリウム・ネグンジ(Fusarium negundi)、フザリウム・オキシスポルム(Fusarium oxysporum)、フザリウム・レチクラツム(Fusarium reticulatum)、フザリウム・ロセウム(Fusarium roseum)、フザリウム・サンブシヌム(Fusartum sambucinum)、フザリウム・サルコクロウム(Fusarium sarcochroum)、フザリウム・スポロトリキオイデス(Fusarium sporotrichioides)、フザリウム・スルフレウム(Fusartum sulphureum)、フザリウム・トルロスム(Fusarium torulosum)、フザリウム・トリコテシオイデス(Fusarium trichothecioides)、フザリウム・ベエナツム(Fusarium venenatum)、フミコーラ・グリセア(Humicola grisea)、フミコーラ・インソレンス(Humicola insolens)、フミコーラ・ランギノーサ(Humicola lanuginosa)、イルペックス・ラクテウス(Irpex lacteus)、ムコール・ミエヘイ(Mucor miehei)、ミセリオフトラ・サーモフィラ(Myceliophthora thermophila)、ノイロスポラ・クラッサ(Neurospora crassa)、ペニシリウム・フニクロスム(Penicillium funiculosum)、ペニシリウム・プルプロゲヌム(Penicillium purpurogenum)、ファネロケテ・クリソスポルツム(Phanerochaete chrysosportum)、チエラビア・アクロマチカ(Thielavia achromatica)、チエラビア・アルボミセス(Thielavia albomyces)、チエラビア・アルボピロサ(Thielavia albopilosa)、チエラビア・アウストラレインシス(Thielavia australeinsis)、チエラビア・フィメティ(Thielavia fimeti)、チエラビア・ミクロスポラ(Thielavia microspora)、チエラビア・オビスポラ(Thielavia ovispora)、チエラビア・ペルビアナ(Thielavia peruviana)、チエラビア・スペデドニウム(Thielavia spededonium)、チエラビア・セトーサ(Thielavia setosa)、チエラビア・スブテルモフィラ(Thielavia subthermophila)、チエラビア・テレストリス(Thielavia terrestris)、トリコデルマ・ハルジアヌム(Trichoderma harzianum)、トリコデルマ・コニンギイ(Trichoderma koningii)、トリコデルマ・ロンギブラキアツム(Trichoderma longibrachiatum)、トリコデルマ・リーセイ(Trichoderma reesei)、トリコデルマ・ビリデ(Trichoderma viride)、又はトリコデルマ・サッカータ(Trichoderma saccata)のポリペプチドである。
セルロース分解性タンパク質の化学修飾変異体又はタンパク質工学的に作成された変異体も使用される。
セルロース分解酵素組成物の1つ又はそれ以上の成分は、組換え成分(すなわち単一の成分をコードするDNA配列をクローニングし、次にDNA配列で形質転換された細胞を宿主中で発現することにより産生される)でもよい(例えば、WO91/17243号及びWO91/17244号参照)。宿主は、好ましくは異種宿主(酵素が宿主に対して異種である)であるが、宿主はある条件下では同族の宿主でもよい(酵素は宿主固有である)。単一成分性セルロース分解性タンパク質はまた、かかるタンパク質を発酵ブロスから精製することにより調製される。
本発明での使用に適した市販のセルロース分解性タンパク質調製物の例には、例えばCELLUCLAST(登録商標)(Novozymes A/Sから入手できる)及びNOVOZYM(登録商標)(Novozymes A/Sから入手できる)がある。使用可能な他の市販の調製物には、CELLUZYME(登録商標)、CEREFLO(登録商標)、及びULTRAFLO(登録商標)(Novozymes A/S)、LAMINEX(登録商標)及びSPEZYME(登録商標)CP(Genencor Int.)、ROHAMENT(登録商標)7069 W(Raehm GmbH)、及びFIBREZYME(登録商標)LDI、FIBREZYME(登録商標)LBR、又はVISCOSTAR(登録商標)150L(Dyadic International, Inc., Jupiter, FL, USA)がある。セルラーゼ酵素は、約0.001〜約5.0重量%の固体、さらに好ましくは約0.025〜約4.0重量%の固体、最も好ましくは約0.005〜約2.0重量%の固体の有効量で加えられる。
本発明の方法で使用できる細菌エンドグルカナーゼの例には、特に限定されないが、アシドサーマス・セルロリチクス(Acidothermus cellulolyticus)エンドグルカナーゼ(WO91/05039号;WO93/15186号;米国特許第5,275,944号;WO96/02551号;米国特許第5,536,655号;WOO0/70031号;WO05/093050号);サーモビフィダ・フスカ(Thermobifida fusca)エンドグルカナーゼIII(WO05/093050号);及びサーモビフィダ・フスカ(Thermobifida fusca)エンドグルカナーゼV(WO05/093050号)がある。
本発明の方法で使用できる細菌エンドグルカナーゼの例には、特に限定されないが、トリコデルマ・リーセイ(Trichoderma reesei)エンドグルカナーゼI(Penttila et al., 1986, Gene 45:253-263; GENBANK(登録商標)受け入れ番号M15665);トリコデルマ・リーセイ(Trichoderma reesei)エンドグルカナーゼII(Saloheimo, et al., 1988. Gene 63:11-22;GENBANK(登録商標)受け入れ番号M19373);トリコデルマ・リーセイ(Trichoderma reesei)エンドグルカナーゼIII(Okada et al., 1988, Appl. Environ. Microbiol. 64: 555-563;GENBANK(登録商標)受け入れ番号AB003694);トリコデルマ・リーセイ(Trichoderma reesei)エンドグルカナーゼIV(Saloheimo et al., 1997 Eur. J Biochem. 249: 584-591;GENBANK(登録商標)受け入れ番号Y11113);及びトリコデルマ・リーセイ(Trichoderma reesei)エンドグルカナーゼV(Saloheimo et al., 1994, Molecular Microbiology 13:219-228;GENBANK(登録商標)受け入れ番号Z33381);アスペルギルス・アクレアツス(Aspergillus aculeatus)エンドグルカナーゼ(Ooi et al., 1990, Nucleic Acids Research 18: 5884);アスペルギルス・カワチイ(Aspergillus kawachii)エンドグルカナーゼ(Sakamoto et al., 1995, Current Genetics 27: 435-439);エルウイニア・カロトバラ(Erwinia carotovara)エンドグルカナーゼ(Saarilahti et al., 1990, Gene 90: 9-14); フザリウム・オキシスポルム(Fusarium oxysporum)エンドグルカナーゼ(GENBANK(登録商標)受け入れ番号L29381);フミコーラ・グリセア(Humicola grisea)変種サイーモイデア(thermoidea)エンドグルカナーゼ(GENBANK(登録商標)受け入れ番号AB003107); メラノカルパス・アルボミセス(Melanocarpus albomyces)エンドグルカナーゼ(GENBANK(登録商標)受け入れ番号MAL515703);ノイロスポラ・クラッサ(Neurospora crassa)エンドグルカナーゼ(GENBANK(登録商標)受け入れ番号XM 324477);フミコーラ・インソレンス(Humicola insolens)エンドグルカナーゼV(配列番号25);マイセリオフトラ・サーモフィラ(Myceliophthora thermophilia)CBS117.65エンドグルカナーゼ(配列番号27); 担子菌(basidiomycete)CBS495.95エンドグルカナーゼ(配列番号29); 担子菌(basidiomycete)CBS494.95エンドグルカナーゼ(配列番号31);チエラビア・テレストリス(Thielavia terrestris)NRRL8126CEL6Bエンドグルカナーゼ(配列番号33);チエラビア・テレストリス(Thielavia terrestris)NRRL8126CEL6Cエンドグルカナーゼ(配列番号35);チエラビア・テレストリス(Thielavia terrestris)NRRL8126CEL7Cエンドグルカナーゼ(配列番号37);チエラビア・テレストリス(Thielavia terrestris)NRRL8126CEL7Eエンドグルカナーゼ(配列番号39);チエラビア・テレストリス(Thielavia terrestris)NRRL8126CEL7Fエンドグルカナーゼ(配列番号41);クラドリナム・フェクンジシマム(Cladorrhinum foecundissimum)ATCC62373CEL7Aエンドグルカナーゼ(配列番号43);及びトリコデルマ・リーセイ(Trichoderma reesei)VTT−D−80133株エンドグルカナーゼ(配列番号45;GENBANK(登録商標)受け入れ番号M15665)がある。上記の配列番号25、配列番号27、配列番号29、配列番号31 配列番号33、配列番号35、配列番号37、配列番号39、配列番号41 配列番号43、及び配列番号45は、それぞれ配列番号24、配列番号26、配列番号28 配列番号30、配列番号32、配列番号34、配列番号36、配列番号38 配列番号40、配列番号42、及び配列番号44の成熟ポリペプチドコード配列によりコードされる。
本発明の方法で有用なセロビオヒドロラーゼの例には、特に限定されないが、トリコデルマ・リーセイ(Trichoderma reesei)セロビオヒドロラーゼI(配列番号47);トリコデルマ・リーセイ(Trichoderma reesei)セロビオヒドロラーゼII(配列番号49);フミコーラ・インソレンス(Humicola insolens)セロビオヒドロラーゼI(配列番号51)、マイセリオフトラ・サーモフィラ(Myceliophthora thermophilia)セロビオヒドロラーゼII(配列番号53及び配列番号55)、チエラビア・テレストリス(Thielavia terrestris)セロビオヒドロラーゼII(CEL6A)(配列番号57)、ケトミウム・サーモフィラム(Chaetomium thermophilum)セロビオヒドロラーゼI(配列番号59)、及びケトミウム・サーモフィラム(Chaetomium thermophilum)セロビオヒドロラーゼII(配列番号61)がある。上記の配列番号47、配列番号49、配列番号51、配列番号53、配列番号55、配列番号57、配列番号59、及び配列番号61のセロビオヒドロラーゼは、それぞれ配列番号46、配列番号48、配列番号50、配列番号52、配列番号54、配列番号56、配列番号58、及び配列番号60の成熟ポリペプチドコード配列によりコードされる。
本発明の方法で有用なベータグルコシダーゼの例には、特に限定されないが、麹菌(Aspergillus oryzae)ベータグルコシダーゼ(配列番号63);アスペルギルス・フミガツス(Aspergillus fumigatus)ベータグルコシダーゼ(配列番号65);ペニシリウム・ブラシリアナム(Penicillium brasilianum)IBT20888ベータグルコシダーゼ(配列番号67);アスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)ベータグルコシダーゼ(配列番号69);及びアスペルギルス・アクレアタス(Aspergillus aculeatus)ベータグルコシダーゼ(配列番号71)がある。上記の配列番号63、配列番号65、配列番号67、配列番号69、配列番号71のベータグルコシダーゼは、それぞれ配列番号62、配列番号64、配列番号66、配列番号68、及び配列番号70の成熟ポリペプチドコード配列によりコードされる。
ベータグルコシダーゼ活性を有する麹菌(Aspergillus oryzae)ポリペプチドは、WO2002/095014号に従って得ることができる。ベータグルコシダーゼ活性を有するアスペルギルス・フミガツス(Aspergillus fumigatus)ポリペプチドは、WO2005/047499号に従って得ることができる。ベータグルコシダーゼ活性を有するペニシリウム・ブラシリアナム(Penicillium brasilianum)ポリペプチドは、WO2007/019442号に従って得ることができる。ベータグルコシダーゼ活性を有するアスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)ポリペプチドは、Dan et al., 2000, J. Biol. Chem. 275:4973-4980に従って得ることができる。ベータグルコシダーゼ活性を有するアスペルギルス・アクレアタス(Aspergillus aculeatus)ポリペプチドは、Kawaguchi et al., 1996, Gene 173:287-288に従って得ることができる。
ベータグルコシダーゼは融合タンパク質でもよい。ある態様においてベータグルコシダーゼは、配列番号73の麹菌(Aspergillus oryzae)ベータグルコシダーゼ変種BG融合タンパク質、又は配列番号75の麹菌(Aspergillus oryzae)ベータグルコシダーゼ融合タンパク質である。別の態様において麹菌(Aspergillus oryzae)ベータグルコシダーゼ変種BG融合タンパク質は、配列番号72のポリヌクレオチドによりコードされ、麹菌(Aspergillus oryzae)ベータグルコシダーゼ融合タンパク質は配列番号74のポリヌクレオチドにコードされる。
他のエンドグルカナーゼ、セロビオヒドロラーゼ、及びベータグルコシダーゼは、Henrissat B., 1991の分類(A classification of glycosyl hydrolases based on amino-acid sequence similarities, Biochem. J. 280: 309-316, 及び Henrissat B., and Bairoch A. 1996, Updating the sequence-based classification of glycosyl hydrolases, Biochem. J. 316: 695-696)を使用して、多くのグリコシルヒドロラーゼ(Glycosyl Hydrolase)ファミリーで開示されている。
本発明で使用される他のセルロース分解酵素は、EP495,257号,EP531,315号,EP531,372号,WO89/09259号、WO94/07998号、WO95/24471号、WO96/11262号、WO96/29397号、WO96/034108号、WO97/14804号、WO98/08940号、WO98/012307号、WO98/13465号、WO98/015619号、WO98/015633号、WO98/028411号、WO99/06574号、WO99/10481号、WO99/025846号、WO99/025847号、WO99/031255号、WO2000/009707号、WO2002/050245号、WO2002/0076792号、WO2002/101078号、WO2003/027306号、WO2003/052054号、WO2003/052055号、WO2003/052056号、WO2003/052057号、WO2003/052118号、WO2004/016760号、WO2004/043980号、WO2004/048592号、WO2005/001065号、WO2005/028636号、WO2005/093050号、WO2005/093073号、WO2006/074005号、WO2006/117432号、WO2007/071818号、WO2007/071820号、WO2008/008070号、WO2008/008793号、米国特許第4,435,307号、米国特許第5,457,046号、米国特許第5,648,263号、米国特許第5,686,593号、米国特許第5,691,178号、米国特許第5,763,254号、及び米国特許第5,776,757号に記載されている。
本発明の方法で使用されるセルロース分解酵素は、当該分野で公知の方法を使用して、適切な炭素源と窒素源及び無機塩を含有する栄養培地上で、上記微生物株の発酵により産生される(例えば、Bennett, J.W. and LaSure, L. (eds.), More Gene Manipulations in Fungi, Academic Press, CA, 1991を参照)。適切な培地は、販売業者から入手できるか、又は公表された組成に従って調製される(例えば、アメリカンタイプカルチャーコレクション(American Type Culture Collection)のカタログ中)。増殖とセルロース分解酵素産生に適した温度範囲及び他の条件は当該分野で公知である(例えば、Bailey, J.E., and Ollis, D.F., Biochemical Engineering Fundamentals, McGraw-Hill Book Company, NY, 1986を参照)。
発酵は、セルロース分解酵素の発現又は単離を与える細胞の任意の培養法でよい。すなわち発酵は、実験室の又は工業的発酵槽中で適切な培地中で、セルロース分解酵素の発現もしくは単離を可能にする条件下で、振盪フラスコ培養、又は小規模もしくは大規模発酵(連続、バッチ、供給バッチ、又は固相発酵を含む)を含むと理解される。本明細書で上記した方法により産生されるセルロース分解酵素は、発酵培地から回収され、従来法により精製される。
シグナルペプチド
本発明はまた、遺伝子が、配列番号2のアミノ酸1〜17又は配列番号4のアミノ酸1〜15をを含むか又はこれからなるシグナルペプチドをコードするヌクレオチド配列に機能できる形で結合している、タンパク質をコードする遺伝子を含んでなる核酸構築体であって、遺伝子はヌクレオチド配列に対して異種であることを特徴とする核酸構築体に関する。
好適な態様においてヌクレオチド配列は、配列番号1のヌクレオチド1〜15又は配列番号3のヌクレオチド1〜45を含むか又はこれからなる。
本発明はまた、かかる核酸構築体を含む組換え発現ベクター及び組換え宿主細胞に関する。
本発明はまた、(a)タンパク質の産生に適した条件下で組換え宿主細胞を培養し、(b)タンパク質を回収することを含んでなる、タンパク質を産生する方法に関する。
タンパク質は、宿主細胞に対して固有でも異種でもよい。本明細書において用語「タンパク質」は、コードされた生成物の特定の長さを意味し、従って、ペプチド、オリゴペプチド、及びタンパク質を包含する。用語「タンパク質」はまた、コードされた生成物を形成するように結合した2つまたはそれ以上のポリペプチドを包含する。タンパク質はまた、少なくとも2つの異なるタンパク質から得られる部分的又は完全なポリペプチド配列の組合せを含んでなるハイブリッドポリペプチドを含み、ここで1つ又はそれ以上(数個)は宿主細胞に対して異種であるか又は固有である。タンパク質はさらに、上記タンパク質及びハイブリッドタンパク質の、天然に存在するアレレ変種及び工学作成された変種を含む。
好ましくはタンパク質は、ホルモンもしくはその変種、酵素、受容体もしくはその一部、抗体もしくはその一部、又はレポーターである。より好適な態様においてタンパク質は、酸化還元酵素、トランスフェラーゼ、ヒドロラーゼ、リアーゼ、イソメラーゼ、又はリガーゼである。さらに好適な態様においてタンパク質は、アミノペプチダーゼ、アミラーゼ、カルボヒドラーゼ、カルボキシペプチダーゼ、カタラーゼ、セルラーゼ、キチナーゼ、クチナーゼ、シクロデキストリングリコシルトランスフェラーゼ、デオキシリボヌクレアーゼ、エステラーゼ、アルファガラクトシダーゼ、ベータガラクトシダーゼ、グルコアミラーゼ、アルファグルコシダーゼ、ベータグルコシダーゼ、インベルターゼ、イソメラーゼ、ラッカーゼ、別のリパーゼ、マンノシダーゼ、ムタナーゼ、オキシダーゼ、ペクチン分解酵素、ペルオキシダーゼ、フィターゼ、ポリフェノールオキシダーゼ、タンパク質分解酵素、リボヌクレアーゼ、トランスグルタミナーゼ、又はキシラナーゼである。
遺伝子は、任意の原核生物、真核生物、又は他の供給源から得られる。
本発明を以下の例でさらに説明するが、これらは決して本発明の範囲を限定するものではない。
材料
緩衝液及び基質として使用した化学品は、少なくとも試薬等級の市販品である。
培地
BA培地は、1リットル当たり、10gのコーンスティープリカー乾燥物質、10gのNH4NO3、10gのKH2PO4、0.75gのMgSO4・7H2O、0.1mlのプルロニック、及び0.5gのCaCO3から構成された。pHを、オートクレーブの前に6.5に調整した。
YEG培地は、1リットル当たり、20gのブドウ糖と5gの酵母エキスから構成された。
最小培地プレートは、1リットル当たり、6gのNaNO3、0.52gのKCl、1.52gのKH2PO4、1mlのCOVE微量元素溶液、20gのノーブル寒天、20mlの50%グルコース、2.5mlのMgSO4/7H2O、及び20mlの0.02%ビオチン溶液から構成された。
COVE微量金属溶液は、1リットル当たり、0.04gのNa247・10H2O、0.4gのCuSO4・5H2O、12gのFeSO4・7H2O、0.7gのMnSO4・H2O、0.8gのNa2MoO2・2H2O、及び10gのZnSO4・7H2Oから構成された。
M410培地は、1リットル当たり、50gのマルトース、50gのグルコース、2gのMgSO4・7H2O、2gのKH2PO4、4gの無水クエン酸、8gの酵母エキス物、2gの尿素、0.5gのCaCl2、及び0.5mlのAMG微量金属溶液から構成された。
AMG微量金属は、1リットル当たり、14.3gのZnSO4・7H2O、2.5gのCuSO4・5H2O、0.5gのNiCl2・6H2O、13.8gのFeSO4・7H2O、8.5gのMnSO4・7H2O、及び3gのクエン酸から構成された。
実施例1:ファミリー61ペプチドの同定
SDS−PAGE解析。市販品を水で1:10に希釈した。製造業者の推奨する条件(Bio-Rad Laboratories, Inc., Hercules, CA, USA)に従って、20μlをCRITERION(登録商標)8〜16%トリス塩酸SDS−PAGEゲルで分離した。分子量マーカーとして、PRECISION PLUS PROTEIN(登録商標)スタンダード(Bio-Rad Laboratories, Inc., Hercules, CA, USA)を使用した。ゲルをBIO-SAFE(登録商標)クマシー染色液(Bio-Rad Laboratories, Inc., Hercules, CA, USA)で染色し、肉眼で見えるバンドを剃刀の刃で切り出し、タンパク質同定解析を行った。
ペプチド配列決定のためのポリペプチドのゲル内消化。ゲル内消化を行うために、MultiPROBE(登録商標)II Liquid Handling Robot(PerkinElmer Life and Analytical Sciences, Boston, MA, USA)を使用した。タンパク質を含有するゲルバンドを、100mM重炭酸アンモニア(pH8.0)中10mMジチオスレイトール(DTT)50μlを用いて30分間還元した。還元後、ゲル片を、100mM重炭酸アンモニア(pH8.0)中55mMヨードアセトアミド50μlを用いて、20分間アルキル化した。乾燥したゲル片を25μlのトリプシン消化溶液(50mM重炭酸アンモニア(pH8.0)中6ng/μlの配列決定グレードのトリプシン(Promega, Madison, WI, USA))中で室温で30分間膨潤させ、次に40℃で8時間消化した。上記反応工程のそれぞれの後に、製造業者の標準的プロトコールに従って、適切な溶液を用いて充分な洗浄と前洗浄を行った。反応間のゲル片を脱水するのに50μlのアセトニトリルを使用し、工程間で空気乾燥した。HPLC等級水中の1%蟻酸/2%アセトニトリルを用いて、ペプチドを2回30分間抽出した。ペプチド抽出溶液を、10〜15℃に冷却しておいた96ウェルの縁付きPCR型プレート(ABGene, Rochester, NY, USA)に移し、96ウェルプレートの蓋(PerkinElmer Life and Analytical Sciences, Boston, MA, USA)で覆って、蒸発を防いだ。質量スペクトル解析を行うまで、プレートをさらに4℃に保存した。
タンパク質同定。タンデム質量スペクトル法による新規ペプチド合成のために、ハイブリッド直交四重極飛行時間質量スペクトル計であるQ-TOFMICRO(登録商標)(Waters Micromass MS Technologies, Milford, MA, USA)を、LC/MS/MS解析のために使用した。Q-TOF MICRO(登録商標)は、MASSLYNX(登録商標)ソフトウェアバージョン4.1(Waters Micromass MS Technologies, Milford, MA, USA)を使用して、完全にマイクロプロセッサー制御される。Q-TOF MICRO(登録商標)に、ULTIMATE(登録商標)毛細管とナノフローHPLCシステムを取り付け、ここに、試料を濃縮し脱塩するために、FAMOS(登録商標)マイクロオートサンプラーとSWITCHOS(登録商標)IIカラムスイッチング装置(LCPackings/Dionex, Sunnyvale, CA, USA)をつないだ。注入ループに取り付けたガードカラム(300μm ID X 5 cm, PEPMAP(登録商標)C18)に試料を入れ、Switchos IIポンプを使用して0.1%蟻酸水溶液で40μl/分で2分間洗浄した。ペプチドを、75μm ID×15cmのC18、3μm、100Å PEPMAP(登録商標)(LC Packings, San Francisco, CA, USA)ナノフロー融合毛細管カラムを使用して、175μl/分の分流からの175nl/分の流速で、NAN-75 calibrator(Dionex, Sunnyvale, CA, USA)を使用して洗浄した。0.1%蟻酸中5%〜80%アセトニトリルのステップ溶出勾配を、45分間の間隔で適用した。カラム溶出液を215nmで追跡し、ナノ噴霧インターフェースを取り付けた電子噴霧イオン源を介して、Q-TOF MICRO(登録商標)に導入した。
サーベイスキャンモードで、m/z400から1990の質量範囲で、MSのスイッチング基準をMS/MSにして、10.0カウント/秒より大きいイオン強度と電荷状態+2、+3、及び+4を含むようにして、データを取った。スキャン時間1.9秒でスキャン間時間0.1秒を用いて、最大4つの同時溶出種の解析スペクトルが得られた。典型的にはコーン電圧45ボルトを使用し、衝突エネルギーを、溶出ペプチドの質量と電荷状態に従って10〜60ボルトの範囲で変化するようにプログラムした。得られたスペクトルを一緒にし、平滑化し、自動で中心を合わせ、ピークリストを作成した。PROTEINLYNX(登録商標)Global Server 2.2.05ソフトウェア(Waters Micromass MS Technologies, Milford, MA, USA)とPEAKS Studio バージョン4.5(SP1)(Bioinformatic Solutions Inc., Waterloo, Ontario Canada)を使用して、選択したデータベースに対してピークリストを検索した。PROTEINLYNX(登録商標)とPEAKS Studio検索の結果を評価し、目的の各イオンのMS/MSスペクトルを評価して未同定タンパク質をさらに解析し、y及びbイオンシリーズを同定し、質量の差を適切なアミノ酸に一致させて、新規配列を決定した。
ゲル内消化した約24kDaのポリペプチドゲルバンドのいくつかの多重荷電イオンから、ペプチド配列が得られた。871.56m/z配列の二重荷電トリプシンペプチドイオンを、[Leu]-Pro-Ala-Ser-Asn-Ser-Pro-Val-Thr-Asp-Val-Thr-Ser-Asn-Ala-[Leu]-Arg(配列番号5)と決定した。615.84m/z配列の二重荷電トリプシンペプチドイオンを、Val-Asp-Asn-Ala-Ala-Thr-Ala-Ser-Pro-Ser-Gly-[Leu]-Lys(配列番号6)と決定した。715.44m/z配列の二重荷電トリプシンペプチドイオンを、[Leu]-Pro-Ala-Asp-[Leu]-Pro-Ser-Gly-Asp-Tyr-[Leu]-[Leu]-Arg(配列番号7)と決定した。988.58m/z配列の二重荷電トリプシンペプチドイオンを、Gly-Pro-[Leu]-[Gln]-Val-Tyr-[Leu]-Ala-Lys(配列番号8)と決定した。1272.65m/z配列の二重荷電トリプシンペプチドイオンを、Val-Ser-Val-Asn-Gly-[Gln]-Asp-[Gln]-Gly-[Gln]-[Leu]-Lys(配列番号9)と決定した。同等の質量で区別できなかったため、上記[Leu]は、lle又はLeuであり、上記[Gln]は、Gln又はLysである。
実施例2:マイセリオフトラ・サーモフィラ(Myceliophthora thermophilia)CBS117.65 cDNAプールの調製
マイセリオフトラ・サーモフィラ(Myceliophthora thermophilia)CBS117.65を、200mlのBA培地中で200rpmで30℃で5日間培養した。裏がMIRACLOTH(登録商標)(CalBiochem, San Diego, CA, USA)になっているロートにより内容物をろ過して、振盪フラスコ培養物から菌糸体を採取した。次に菌糸体を、2つのMIRACLOTH(登録商標)片の間にはさみ、吸収性紙タオルでブロットして乾燥させた。次に菌糸体をプラスチック製遠心分離管に移し、液体窒素で凍結した。凍結菌糸体を、使用するまで−80℃のフリーザーに保存した。
チオシアン酸グアニジウムを用いて総RNAを抽出し、次に5.7MのCsClクッションを介して超遠心分離を行い、オリゴ(dT)−セルロース親和性クロマトグラフィーにより、WO94/14953号に記載された方法を使用して、ポリ(A)+RNAを単離した。
RNaseH法(Gubler and Hoffman, 1983, Gene 25:263-269, Sambrook et al., 1989, Molecular cloning: A Iaboratory manual, Cold Spring Harbor lab., Cold Spring Harbor, NY, USA)により、5μgのポリ(A)+RNAから2本鎖cDNAを合成した。ポリ(A)+RNA(5μlのDEPC(0.1%ジエチルピロカーボネート)処理水中5μg)を、プレシリコーン処理したRNase不含EPPENDORF(登録商標)チューブで70℃で8分間加熱し、氷上でクエンチし、逆転写酵素緩衝液[50mM トリス塩酸, pH8.3、75mM KCl、3mM MgCl2、10mM ジチオスレイトール(DTT)(Bethesda Research Laboratories, Bethesda, MD, USA)、1mMのdATP、dGTP、及びdTTP、及び0.5mM 5−メチル−dCTP(GE Healthcare, Piscataway, NJ, USA)、40単位のヒト胎盤リボヌクレアーゼインヒビター(RNasin; Promega, Madison, Wl, USA)、1.45pgのオリゴ(dT)18−NotIプライマー(GE Healthcare, Piscataway, NJ, USA)、及び1000単位のSuperScript 11 RNase H 逆転写酵素(Bethesda Research Laboratories, Bethesda, MD, USA)からなる]を用いて最終容量50μlに合わせた。反応混合物を45℃で1時間インキュベートして、第1鎖cDNAを合成した。合成後、mRNA:cDNAハイブリッド混合物を、MICROSPIN(登録商標)S-400 HR スピンカラム(GE Healthcare, Piscataway, NJ, USA)を用いて製造業者の説明書に従ってゲルろ過した。
ゲルろ過後、200μMの各dNTP、60単位の大腸菌(E. coli)DNAポリメラーゼI(GE Healthcare, Piscataway, NJ, USA)、5.25単位のRNaseH(Promega, Madison, WI, USA)、及び15単位の大腸菌(E. coli)DNAリガーゼ(Boehringer Mannheim. Manheim, Germany)を含む250μlの第2鎖緩衝液(20mM トリス塩酸(pH7.4)、90mM KCl、4.6mM MgCl2、10mM (NH42SO4、0.16mM NAD)でハイブリッドを希釈した。第2鎖合成は、反応チューブを16℃2時間インキュベートし、さらに25℃で15分間インキュベートして行った。EDTAを最終濃度20mMになるように加えて反応を停止させ、次にフェノールとクロロホルムで抽出した。
2容量の96%エタノールと0.2容量の10M酢酸アンモニウムを添加して、2本鎖cDNAを−20℃で12時間沈殿させ、13,000×gで遠心分離して回収し、70%エタノールで洗浄し、乾燥し、25単位のヤエナリ(Mung bean)ヌクレアーゼ(GE Healthcare, Piscataway, NJ, USA)を含有する30μlのヤエナリ(Mung bean)ヌクレアーゼ緩衝液(30mM 酢酸ナトリウム(pH4.6)、300mM NaCl、1mM ZnSO4、0.35mM DTT、2%グリセロール)に再懸濁した。反応物を30℃で30分インキュベートし、次に70μlの10mM トリス塩酸−1mM EDTA(pH7.5)を加え、フェノール抽出し、2容量の96%エタノールと0.1容量の3M酢酸ナトリウム(pH5.2)を用いて氷上で30分間沈殿させることにより、1本鎖ヘアピンDNAを切り取った。
13,000×gで遠心分離して2本鎖cDNAを回収し、0.5mMの各dNTPと5単位のT4 DNAポリメラーゼ(New England Biolabs, Ipswich, MA, USA)を含有する30μlのT4 DNAポリメラーゼ緩衝液(20mM トリス酢酸(pH7.9)、10mM 酢酸マグネシウム、50mM 酢酸カリウム、1mM DTT)中で、反応混合物を16℃で1時間インキュベートして平滑末端化した。EDTAを最終濃度20mMになるように加えて反応を停止させ、次にフェノールとクロロホルムで抽出し、2容量の96%エタノールと0.1容量の3M 酢酸ナトリウム(pH5.2)を加えて−20℃で12時間沈殿させた。穴埋め(fill-in)反応後、13,000×gで遠心分離してcDNAを回収し、70%エタノールで洗浄し、乾燥した。
実施例3:マイセリオフトラ・サーモフィラ(Myceliophthora thermophilia)CBS202.75とマイセリオフトラ・サーモフィラ(Myceliophthora thermophilia)CBS117.65のゲノムDNA抽出
マイセリオフトラ・サーモフィラ(Myceliophthora thermophilia)CBS202.75株とマイセリオフトラ・サーモフィラ(Myceliophthora thermophilia)CBS117.65株を、100mlのYEG培地中で邪魔板付き振盪フラスコ中で45℃、200rpmで2日間増殖させた。MIRACLOTH(登録商標)(CalBiochem, San Diego, CA, USA)を使用してろ過して菌糸体を採取し、脱イオン水で2回洗浄し、液体窒素下で凍結させた。凍結菌糸体を乳鉢と乳棒ですりつぶして微粉にし、DNEASY(登録商標)Plant Maxi Kit(QIAGEN Inc., Valencia, CA, USA)を使用して総DNAを単離した。
実施例4:マイセリオフトラ・サーモフィラ(Myceliophthora thermophilia)からのファミリー61遺伝子の分子スクリーニング
以下のように、実施例1に記載したタンデム質量スペクトル法で得られたペプチド配列に基づいて、縮重プライマーを設計した。
プライマー061562(CI61Aセンス):
5'-GCCTCCAACTCGCCCGTCACNGAYGTNAC-3'(配列番号10)
プライマー061563(CI61Aアンチ):
5'-GAGGTAGTCGCCGGANGGGATRTCNGCNGG-3'(配列番号11)
100ngのマイセリオフトラ・サーモフィラ(Myceliophthora thermophilia)CBS117.65 cDNAプール又はマイセリオフトラ・サーモフィラ(Myceliophthora thermophilia)CBS117.65 ゲノムDNA、1×ADVANTAGE(登録商標)GC-Melt LA緩衝液(Clontech Laboratories, Inc., Mountain View, CA, USA)、各0.4mMのdATP、dTTP、dGTP、及びdCTP、及び1.25単位のADVANTAGE(登録商標)GC Genomic Polymerase Mix(Clontech Laboratories, Inc., Mountain View, CA. USA)を最終容量25μl中に含むPCR反応物中で、各50ピコモルのCI61AセンスとCI61Aアンチプライマーを使用した。増幅は、94℃で1分を1サイクル、94℃で30秒、56.5℃で30秒、及び72℃で30秒を30サイクルと、最後の伸長を72℃で5分にプログラムしたEPPENDORF(登録商標)MASTERCYCLERR 5333(Eppendorf Scientific, Inc., Westbury, NY, USA)を使用して行った。
反応生成物を1%アガロースゲル電気泳動で、40mM トリス塩基−20mM 酢酸ナトリウム−1mM EDTA二ナトリウム(TAE)緩衝液で分画し、400bpより大きなバンドを切り出し、MINELUATE(登録商標)ゲル抽出キット(QIAGEN Inc., Valencia, CA, USA)を使用して製造業者の説明書に従って精製し、TOPO(登録商標)TA Kit(Invitrogen, Carlsbad, CA, USA)を使用してサブクローン化した。いくつかの大腸菌(E. coli)形質転換体からプラスミドDNAを抽出し、配列決定した。大腸菌(E. coli)クローンの配列解析は、配列がファミリー61遺伝子のコード領域(gh61a)を含有することを証明した。
第2のgh61遺伝子を、別の条件下で行った別のPCR反応で単離した。200ngのマイセリオフトラ・サーモフィラ(Myceliophthora thermophilia)CBS202.75 ゲノムDNA、1×THERMOPOL(登録商標)緩衝液(New England BioLabs, Ipswich, MA USA)、各0.28mMのdATP、dTTP、dGTP、及びdCTP、及び1.0単位のTaqDNAポリメラーゼ(New England BioLabs, Ipswich, MA USA)を最終容量30μl中に含むPCR反応物中で、各30ピコモルのCI61AセンスとCI61Aアンチプライマーを使用した。増幅は、96℃で3分を1サイクル、72℃で3分を1サイクル(この間に、DNAポリメラーゼを加えた)、94℃で50秒、52℃で50秒、及び72℃で90秒を30サイクルと、最後の伸長を72℃で7分にプログラムしたROBOCYCLER(登録商標)40(Strategene. La Jolla, CA USA)を使用して行った。
反応生成物を1%アガロースゲル電気泳動で、40mM トリス塩基−20mM 酢酸ナトリウム−1mM EDTA二ナトリウム(TAE)緩衝液で分画し、400〜500bpより大きなバンドを切り出し、QIAEX Il(登録商標)ゲル抽出キット(QIAGEN Inc., Valencia, CA, USA)を使用して製造業者の説明書に従って精製し、TOPO(登録商標)TA Kit(Invitrogen, Carlsbad, CA, USA)を使用してサブクローン化した。いくつかの大腸菌(E. coli)形質転換体からプラスミドDNAを抽出し、配列決定した。配列解析は、ファミリー61遺伝子のコード領域(gh61fと呼ぶ)を含有するいくつかのクローンを証明した。
実施例5:マイセリオフトラ・サーモフィラ(Myceliophthora thermophilia)CBS202.75からの完全長ファミリー61遺伝子(gh61a)の単離
マイセリオフトラ・サーモフィラ(Myceliophthora thermophilia)CBS202.75から完全長ファミリー61遺伝子(gh61a)を、GENOMEWALKER(登録商標)ユニバーサルキット(Clontech Laboratories, Inc., Mountain View, CA, USA)使用して製造業者の説明書に従って単離した。簡単に説明するとマイセリオフトラ・サーモフィラ(Myceliophthora thermophilia)CBS202.75からの総ゲノムDNAを、平滑末端を与える4つの異なる制限酵素(DraI、EcoRV、PvuII、及びStuI)で消化した。次に各バッチの消化ゲノムDNAを、GENOMEWALKER(登録商標)アダプター(Clontech Laboratories. Inc., Mountain View, CA, USA)に別々に連結して4つのライブラリーを作成した。次にこれらのライブラリーを、マイセリオフトラ・サーモフィラ(Myceliophthora thermophilia)ファミリー61 gh61a遺伝子の4つの遺伝子特異的プライマーを使用して、PCR反応の鋳型として使用した。以下に示すプライマーを、実施例4で得られた部分的ファミリーgh61a遺伝子配列に基づいて設計した。
上流領域プライマー:
MtCel61A-RI: 5'-CCGTTCGGGCCGTCTTGGTAGATCTTGAACC-3'(配列番号12)
MtCel61A-R2: 5'-CCGATGGAGGGATCCACGCTGAAGGTGAATT-3'(配列番号13)
下流領域プライマー:
MtCel61A-FI: 5'-CAGGTCAAGGCGGGCTCCCAATTCACCTT-3'(配列番号14)
MtCel61A-F2: 5'-ACGGCACGGGAGCCGTGTGGTTCAAGATCTA-3'(配列番号15)
2つの1次PCR増幅を行った(1つは、マイセリオフトラ・サーモフィラ(Myceliophthora thermophilia)gh61a遺伝子の上流領域を単離し、他の1つは下流領域を単離する)。各PCR増幅物(25μl)は、鋳型として1μl(約6ng)の各ライブラリー、各0.4mMのdATP、dTTP、dGTP、及びdCTP、10pmolのアダプタープライマーI(Clontech Laboratories, Inc., Mountain View, CA, USA)、10pmolのプライマーMtCel61A−R1又はプライマーMtCel61A−F1、1× ADVANTAGE(登録商標)GC-Melt LA緩衝液、及び1.25単位のADVANTAGE(登録商標)GC Genomic Polymerase Mixから構成された。増幅は、94℃で1分のプレ変性;それぞれ変性温度94℃で30秒、アニーリングと伸長を72℃で5分を7サイクル;それぞれ変性温度94℃で30秒、アニーリングと伸長を67℃で5分を32サイクル、そして67℃で7分の最後の伸長にプログラムした、EPPENDORF(登録商標)MASTERCYCLER(登録商標)5333を使用して行った。
2次増幅物は、最終容量25μl中に、鋳型として1μl(約6ng)の各1次PCR生成物、各0.4mMのdATP、dTTP、dGTP、及びdCTP、10pmolのアダプタープライマー2(Clontech Laboratories, Inc., Mountain View, CA, USA)、10pmolのネステッド(nested)プライマーMtCel61A−R2又はプライマーMtCel61A−F2、1× ADVANTAGE(登録商標)GC-Melt LA緩衝液、及び1.25単位のADVANTAGE(登録商標)GC Genomic Polymerase Mixから構成された。増幅は、94℃で1分のプレ変性;それぞれ変性温度94℃で30秒、アニーリングと伸長を72℃で5分を5サイクル;それぞれ変性温度94℃で30秒、アニーリングと伸長を67℃で5分を20サイクル、そして67℃で7分の最後の伸長にプログラムした、EPPENDORF(登録商標)MASTERCYCLER(登録商標)5333を使用して行った。
反応生成物を1%アガロースゲル電気泳動でTAE緩衝液で単離し、ここで、ゲルから、EcoRVライブラリーからの1.7kb生成物バンド(上流領域)とStuIライブラリーからの1.6kbバンド(下流領域)を切り出し、MINELUATE(登録商標)ゲル抽出キット(QIAGEN Inc., Valencia, CA, USA)を使用して製造業者の説明書に従って精製した。PCR生成物を、直接配列決定するか、又はTOPO(登録商標)TA Kitを使用してサブクローン化し、次に配列決定した。
実施例6:セルロース分解増強活性を有するファミリーGH61Aポリペプチドをコードするマイセリオフトラ・サーモフィラ(Myceliophthora thermophilia)CBS202.75ゲノム配列の性状解析
PCRフラグメントのDNA配列決定を、Perkin-Elmer Applied Biosystems Model 377 XL 自動DNAシーケンサー(Perkin-Elmer/Applied Biosystems. Inc., Foster City, CA, USA)を用いて、ダイターミネーター化学(Giesecke et al., 1992, Journal of Virology Methods 38: 47-60)とプライマーウォーキング法を使用して行った。ヌクレオチド配列データを品質について精査し、すべての配列を、PHRED/PHRAPソフトウェア(University of Washington, Seattle, WA, USA)の助けを借りて、互いに比較した。
セルロース分解増強活性を有するマイセリオフトラ・サーモフィラ(Myceliophthora thermophilia)GH61Aポリペプチドの遺伝子モデルを、チエラビア・テレストリス(Thielavia terrestris)(受け入れ番号 GENESEQP:ADM97933、GENESEQP:AEB90517)、ケトミウム・グロボサム(Chaetomium globosum)(UNIPROT:Q2HGH1、UNIPROT:Q2GW98)、及びノイロスポラ・クラッサ(Neurospora crassa)(UNIPROT:Q7S39)からの、相同性のあるグリコシドヒドロラーゼファミリー61タンパク質との、コードされたタンパク質の類似性に基づいて、構築した。マイセリオフトラ・サーモフィラ(Myceliophthora thermophilia)gh61a遺伝子について得られた配列情報を証明するために、完全な遺伝子を包含する一対の遺伝子特異的プライマー(後述)を使用して、さらなるPCR反応を行った。
プライマーMtGH61A−F3:
5'-ACTGGATTTACCATGAAGTTCACCTCGTCCCTCGCT-3'(配列番号16)
プライマーMtGH61A−R3:
5'-TCACCTCTAGTTAATTAATTAGCAAGAGACGGGGGCCG-3'(配列番号17)
太字はコード配列を示す。残りの配列は、pAILo2(WO2004/099228号)の挿入部位と相同的である。
PCRは、最終容量50μl中中の100ngのマイセリオフトラ・サーモフィラ(Myceliophthora thermophilia)CBS202.75 ゲノムDNA、Pfx 増幅緩衝液(Invitrogen, Carlsbad, CA, USA)、各0.4mMのdATP、dTTP、dGTP、及びdCTP、1mM MgCl2、及び2.5単位のPfx DNAポリメラーゼ(Invitrogen, Carlsbad, CA, USA)からなるPCR反応物中の50ピコモルの前進プライマーと逆進プライマーから構成された。増幅は、98℃で3分を1サイクル、98℃で30秒、60℃で30秒、及び72℃で1分を30サイクルと、最後の伸長を72℃で15分にプログラムしたEPPENDORF(登録商標)MASTERCYCLERR 5333を使用して行った。次にヒートブロックを4℃浸漬サイクルに付した。
反応生成物を1%アガロースゲル電気泳動でTAE緩衝液で単離し、MINELUATE(登録商標)ゲル抽出キットを使用して製造業者の説明書に従って精製した。PCRフラグメントをpCR(登録商標)2.1-TOPO(登録商標)ベクター(Invitrogen, Carlsbad, CA, USA)にクローン化するために、TaqDNAポリメラーゼ(New England Biolabs. Ipswich, MA, USA)を使用して、3’A−オーバーハングの付加を行った。
958bpのマイセリオフトラ・サーモフィラ(Myceliophthora thermophilia)gh61a遺伝子フラグメントを、TOPO(登録商標)TA クローニングキットを使用してpCR(登録商標)2.1-TOPO(登録商標)ベクターにクローン化して、pSMai190(図2)を作成した。
マイセリオフトラ・サーモフィラ(Myceliophthora thermophilia)gh61a挿入体を、DNA配列決定により確認した。大腸菌(E. coli)pSMail90を、2007年12月5日に、Agricultural Research Service Patent Culture Collection, Northern Regional Research Center, Peoria. IL, USAに寄託し、受け入れ番号B−50083を割り当てられた。
セルロース分解増強活性を有するマイセリオフトラ・サーモフィラ(Myceliophthora thermophilia)GH61Aポリペプチドのヌクレオチド配列(配列番号1)と推定アミノ酸配列(配列番号2)とを図1に示す。ゲノムポリヌクレオチドは、232アミノ酸のポリペプチドをコードし、88bpと137bpの2つのイントロンが割り込んでいる。完全長コード配列と成熟コード配列の%G+C含量は、それぞれ61.1%と66.5%であった。SignalPソフトウェアプログラム(Nielsen et al., 1997, Protein Engineering 10:1-6)を使用して、17残基のシグナルペプチドを予測した。予測された成熟タンパク質は、分子量22.6kDaの215アミノ酸を含有する。
Needleman-Wunschアルゴリズム(Needleman and Wunsch, 1970, J. Mol. Biol. 48: 443-453)を使用して、ギャップオープンペナルティ10、ギャップエクステンションペナルティ0.5、及びEBLOSUM62マトリックスを用いてEMBOSSのNeedleプログラムで行われたように、アミノ酸配列の対になった比較グローバル整列(comparative pairwise global alignment)を行った。整列は、マイセリオフトラ・サーモフィラ(Myceliophthora thermophilia)GH61A成熟ポリペプチドの推定アミノ酸配列が、チエラビア・テレストリス(Thielavia terrestris)(GeneSeqP受け入れ番号ADM97933)からのファミリー61ヒドロラーゼタンパク質の推定アミノ酸配列と76.6%の同一性(ギャップを除く)を有することを示した。
実施例7:マイセリオフトラ・サーモフィラ(Myceliophthora thermophilia)CBS202.75からの完全長ファミリー61遺伝子(gh61f)の単離
マイセリオフトラ・サーモフィラ(Myceliophthora thermophilia)CBS202.75から完全長ファミリー61遺伝子(gh61f)を、GENOMEWALKER(登録商標)ユニバーサルキット(Clontech Laboratories, Inc., Mountain View, CA, USA)使用して製造業者の説明書に従って単離した。簡単に説明するとマイセリオフトラ・サーモフィラ(Myceliophthora thermophilia)CBS202.75からの総ゲノムDNAを、平滑末端を与える4つの異なる制限酵素(DraI、EcoRV、PvuII、及びStuI)で消化した。次に各バッチの消化ゲノムDNAを、GENOMEWALKER(登録商標)アダプター(Clontech Laboratories. Inc., Mountain View, CA, USA)に別々に連結して4つのライブラリーを作成した。次にこれらのライブラリーを、マイセリオフトラ・サーモフィラ(Myceliophthora thermophilia)ファミリー61遺伝子(gh61f)の遺伝子特異的プライマーを使用して、PCR反応の鋳型として使用した。以下に示すプライマーを、実施例4で得られた部分的ファミリーgh61f遺伝子配列に基づいて設計した。
上流領域プライマー:
MtGH61F-RI: 5'-CCCTTGTGGCTGGCGTCCATGACATCGTC-3'(配列番号18)
MtGH61F-RI: 5'-GTGCCTCCAGATGGCCTTGACCGTGGTG-3'(配列番号19)
下流領域プライマー:
MtGH61F-F6: 5'-GGCGGCGAGCACTACATGTGAGCCATTCCT-3'(配列番号20)
MtGH61F-F7: 5'-TGACGATCTCGCTGACCCGTGCAACAAGTG-3'(配列番号21)
2つの1次PCR増幅を行った(1つは、マイセリオフトラ・サーモフィラ(Myceliophthora thermophilia)gh61f遺伝子の上流領域を単離し、他の1つは下流領域を単離する)。各PCR増幅物(25μl)は、鋳型として1μl(約6ng)の各ライブラリー、各0.4mMのdATP、dTTP、dGTP、及びdCTP、10pmolのアダプタープライマーI(Clontech Laboratories, Inc., Mountain View, CA, USA)、10pmolのプライマーMtGH61F−R1又はプライマーMtGH61F−F6、1× ADVANTAGE(登録商標)GC-Melt LA緩衝液、及び1.25単位のADVANTAGE(登録商標)GC Genomic Polymerase Mixから構成された。増幅は、94℃で1分のプレ変性;それぞれ変性温度94℃で30秒、アニーリングと伸長を72℃で5分を7サイクル;それぞれ変性温度94℃で30秒、アニーリングと伸長を67℃で5分を32サイクル、そして67℃で7分の最後の伸長にプログラムした、EPPENDORF(登録商標)MASTERCYCLER(登録商標)5333を使用して行った。
2次増幅物は、最終容量25μl中に、鋳型として1μlの各1次PCR生成物、各0.4mMのdATP、dTTP、dGTP、及びdCTP、10pmolのアダプタープライマー2(Clontech Laboratories, Inc., Mountain View, CA, USA)、10pmolのネステッド(nested)プライマーMtGH61F−R2又はMtGH61F−F7、1× ADVANTAGE(登録商標)GC-Melt LA緩衝液、及び1.25単位のADVANTAGE(登録商標)GC Genomic Polymerase Mixから構成された。増幅は、94℃で1分のプレ変性;それぞれ変性温度94℃で30秒、アニーリングと伸長を72℃で5分を5サイクル;それぞれ変性温度94℃で30秒、アニーリングと伸長を67℃で5分を20サイクル、そして67℃で7分の最後の伸長にプログラムした、EPPENDORF(登録商標)MASTERCYCLER(登録商標)5333を使用して行った。
反応生成物を1%アガロースゲル電気泳動でTAE緩衝液で単離し、ここで、ゲルから、PuvIIライブラリーからの1.3kb生成物(上流領域)とPuVIIライブラリーからの1.2kb生成物(上流領域)を切り出し、MINELUATE(登録商標)ゲル抽出キット(QIAGEN Inc., Valencia, CA, USA)を使用して製造業者の説明書に従って精製し、PCR生成物を、直接配列決定するか、又はTOPO(登録商標)TA Kitを使用してサブクローン化し、次に配列決定した。
実施例8:セルロース分解増強活性を有するファミリーGH61Fポリペプチドをコードするマイセリオフトラ・サーモフィラ(Myceliophthora thermophilia)ゲノム配列の性状解析
PCRフラグメントのDNA配列決定を、Perkin-Elmer Applied Biosystems Model 377 XL 自動DNAシーケンサー(Perkin-Elmer/Applied Biosystems. Inc., Foster City, CA, USA)を用いて、ダイターミネーター化学(Giesecke et al., 1992, Journal of Virology Methods 38:47-60)とプライマーウォーキング法を使用して行った。ヌクレオチド配列データを品質について精査し、すべての配列を、PHRED/PHRAPソフトウェア(University of Washington, Seattle, WA, USA)の助けを借りて、互いに比較した。
セルロース分解増強活性を有するマイセリオフトラ・サーモフィラ(Myceliophthora thermophilia)GH61Fポリペプチドの遺伝子モデルを、チエラビア・テレストリス(Thielavia terrestris)(受け入れ番号 GENESEQP:ADM97933、GENESEQP:AEB90517)、ケトミウム・グロボサム(Chaetomium globosum)(UNIPROT:Q2HGH1、UNIPROT:Q2GW98)、及びノイロスポラ・クラッサ(Neurospora crassa)(UNIPROT:Q7S39)からの、相同性のあるグルコシドヒドロラーゼファミリー61タンパク質との、コードされたタンパク質の類似性に基づいて、構築した。マイセリオフトラ・サーモフィラ(Myceliophthora thermophilia)gh61a遺伝子について得られた配列情報を証明するために、完全な遺伝子を包含する遺伝子特異的プライマー(後述)を使用して、さらなるPCR反応を行った。
プライマーMtGH61F−F8:
5'-ACTGGATTTACCATGAAGGCCCTCTCTCTCCTTGCG-3'(配列番号22)
プライマーMtGH61F−R3:
5'-TCACCTCTAGTTAATTAACTAGCACTTGAAGACGGGCG-3'(配列番号23)
太字はコード配列を示す。残りの配列は、pAILo2(WO2004/099228号)の挿入部位と相同的である。
PCRは、最終容量50μl中中の100ngのマイセリオフトラ・サーモフィラ(Myceliophthora thermophilia)CBS202.75 ゲノムDNA、Pfx 増幅緩衝液(Invitrogen, Carlsbad, CA, USA)、各0.4mMのdATP、dTTP、dGTP、及びdCTP、1mM MgCl2、及び2.5単位のPfx DNAポリメラーゼ(Invitrogen, Carlsbad, CA, USA)からなるPCR反応物中の50ピコモルの前進プライマーと逆進プライマーから構成された。増幅は、98℃で3分を1サイクル、98℃で30秒、60℃で30秒、及び72℃で1分を30サイクルと、最後の伸長を72℃で15分にプログラムしたEPPENDORF(登録商標)MASTERCYCLERR 5333を使用して行った。次にヒートブロックを4℃浸漬サイクルに付した。
反応生成物を1%アガロースゲル電気泳動でTAE緩衝液で単離し、MINELUATE(登録商標)ゲル抽出キットを使用して製造業者の説明書に従って精製した。PCRフラグメントをpCR(登録商標)2.1-TOPO(登録商標)ベクター(Invitrogen, Carlsbad, CA, USA)にクローン化するために、TaqDNAポリメラーゼ(New England Biolabs. Ipswich, MA, USA)を使用して、3’A−オーバーハングの付加を行った。
884bpのマイセリオフトラ・サーモフィラ(Myceliophthora thermophilia)gh61f遺伝子フラグメントを、TOPO(登録商標)TA クローニングキットを使用してpCR(登録商標)2.1-TOPO(登録商標)ベクターにクローン化して、pSMai192(図2)を作成した。
マイセリオフトラ・サーモフィラ(Myceliophthora thermophilia)gh61f挿入体を、DNA配列決定により確認した。大腸菌(E. coli)pSMail92を、2007年12月5日に、Agricultural Research Service Patent Culture Collection, Northern Regional Research Center, 1815, University Street, Peoria. IL, USAに寄託し、受け入れ番号B−50085を割り当てられた。
セルロース分解増強活性を有するマイセリオフトラ・サーモフィラ(Myceliophthora thermophilia)GH61Fポリペプチドのヌクレオチド配列(配列番号3)と推定アミノ酸配列(配列番号4)とを図1に示す。ゲノムポリヌクレオチドは、235アミノ酸のポリペプチドをコードし、62bpと84bpの2つのイントロンが割り込んでいる。完全長コード配列と成熟コード配列の%G+C含量は、それぞれ64.1%と65.4%であった。SignalPソフトウェアプログラム(Nielsen et al., 1997, Protein Engineering 10: 1-6)を使用して、15残基のシグナルペプチドを予測した。予測された成熟タンパク質は、分子量23kDaの220アミノ酸を含有する。
Needleman-Wunschアルゴリズム(Needleman and Wunsch, 1970, J. Mol. Biol. 48: 443-453)を使用して、ギャップオープンペナルティ10、ギャップエクステンションペナルティ0.5、及びEBLOSUM62マトリックスを用いてEMBOSSのNeedleプログラムで行われたように、アミノ酸配列の対になった比較グローバル整列(comparative pairwise global alignment)を行った。整列は、マイセリオフトラ・サーモフィラ(Myceliophthora thermophilia)GH61F成熟ポリペプチドの推定アミノ酸配列が、ケトミウム・グロボサム(Chaetomium globosum)(UniProt受け入れ番号Q2HGH1)からのファミリー61ヒドロラーゼタンパク質の推定アミノ酸配列と83.8%の同一性(ギャップを除く)を有することを示した。
実施例9:セルロース分解増強活性を有するファミリーGH61Aポリペプチドをコードするマイセリオフトラ・サーモフィラ(Myceliophthora thermophilia)CBS202.75ゲノム配列を含有する麹菌(Aspergillus oryzae)発現ベクターの構築
実施例6で作成した同じ958bpのマイセリオフトラ・サーモフィラ(Myceliophthora thermophilia)gh61a PCRフラグメントを、Infusion クローニングキット(BD Biosciences, Palo Alto, CA, USA)を使用して、NcoIとPacIとで消化したpAILo2(WO2004/099228号)中にクローン化して、pSMai185(図5)を得た(ここで、マイセリオフトラ・サーモフィラ(Myceliophthora thermophilia)gh61a遺伝子の転写は、アスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)中性アルファアミラーゼと麹菌(Aspergillus oryzae)トリオースリン酸イソメラーゼ(NA2−tpiプロモーター)の制御下にある)。連結反応物(50μl)は、1×InFusion Buffer(BD Biosciences, Palo Alto, CA, USA)、1×BSA(BD Biosciences, Palo Alto, CA, USA)、1μlのInfusion enzyme(1:10に希釈)(BD Biosciences, Palo Alto, CA, USA)、NcoIとPacIとで消化した100ngのpAILo2、及び50ngのマイセリオフトラ・サーモフィラ(Myceliophthora thermophilia)gh61a精製PCR生成物から構成された。反応物を室温で30分間インキュベートした。1μlの反応物を使用して、大腸菌(E. coli)XL10 SOLOPACK(登録商標)Gold Supercompetent細胞(Stratagene, La Jolla, CA, USA)を形質転換した。pSMai185を含有する大腸菌(E. coli)形質転換体を制限消化により検出し、BIOROBOT(登録商標)9600(QIAGEN Inc., Valencia, CA, USA)を使用してプラスミドDNAを調製した。pSMai185中のマイセリオフトラ・サーモフィラ(Myceliophthora thermophilia)gh61a挿入体は、DNA配列決定により確認した。
実施例10:セルロース分解増強活性を有するファミリーGH61Fポリペプチドをコードするマイセリオフトラ・サーモフィラ(Myceliophthora thermophilia)CBS202.75ゲノム配列を含有する麹菌(Aspergillus oryzae)発現ベクターの構築
実施例8で作成した同じ884bpのマイセリオフトラ・サーモフィラ(Myceliophthora thermophilia)gh61f PCRフラグメントを、Infusion クローニングキット(BD Biosciences, Palo Alto, CA, USA)を使用して、NcoIとPacIとで消化したpAILo2(WO2004/099228号)中にクローン化して、pSMai198(図6)を得た(ここで、マイセリオフトラ・サーモフィラ(Myceliophthora thermophilia)gh61f遺伝子の転写は、アスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)中性アルファアミラーゼと麹菌(Aspergillus oryzae)トリオースリン酸イソメラーゼ(NA2−tpiプロモーター)の制御下にある)。連結反応物(50μl)は、1×InFusion Buffer(BD Biosciences, Palo Alto, CA, USA)、1×BSA(BD Biosciences, Palo Alto, CA, USA)、1μlのInfusion enzyme(1:10に希釈)(BD Biosciences, Palo Alto, CA, USA)、NcoIとPacIとで消化した100ngのpAILo2、及び50ngのマイセリオフトラ・サーモフィラ(Myceliophthora thermophilia)gh61f精製PCR生成物から構成された。反応物を室温で30分間インキュベートした。1μlの反応物を使用して、大腸菌(E. coli)XL10 SOLOPACK(登録商標)Gold Supercompetent細胞(Stratagene, La Jolla, CA, USA)を形質転換した。pSMai198を含有する大腸菌(E. coli)形質転換体を制限消化により検出し、BIOROBOT(登録商標)9600(QIAGEN Inc., Valencia, CA, USA)を使用してプラスミドDNAを調製した。pSMai198中のマイセリオフトラ・サーモフィラ(Myceliophthora thermophilia)gh61f挿入体は、DNA配列決定により確認した。
実施例11:麹菌(Aspergillus oryzae)JaL355中で個々にマイセリオフトラ・サーモフィラ(Myceliophthora thermophilia)ファミリー61グリコシルヒドロラーゼ遺伝子(gh61aとgh61f)の発現
麹菌(Aspergillus oryzae)JaL355(WO2002/40694号)プロトプラストを、Christensen et al., 1988, Bio/Technology 6: 1419-1422に従って調製した。3μgのpSMai185(gh61a)又はpSMai198(gh61f)を、個々に麹菌(Aspergillus oryzae)JaL355中に形質転換した。
各形質転換実験から、20の形質転換体を個々の最小培地に単離した。
各形質転換体のコンフルエントな最小培地プレートを5mlの0.01% ツイーン(登録商標)20で洗浄し、125mlのガラス振盪フラスコ中の25mlのM410培地中に別々に接種し、34℃、250rpmでインキュベートした。5日間インキュベーション後、各培養物からの5μlの上清を、CRITERION(登録商標)Cell(Bio-Rad Laboratories, Inc., Hercules, CA, USA)を用いて、CRITERION(登録商標)8〜16%トリス塩酸ゲル上で、製造業者の説明書に従って分析した。得られたゲルをBIO-SAFE(登録商標)クマシー染色液で染色した。培養物のSDS−PAGEプロフィールは、大部分の形質転換体が、予測されたバンドサイズ(GH61Aについて23kDa、GH61Fについて23kDa)を有することを証明した。
各高タンパク質発現GH61AとGH61F形質転換体の1つを、10mlの0.01% ツイーン(登録商標)20で洗浄し、500mlのM410培地を含む2リットルのFernbachに接種して、タンパク質の性状解析用ブロスを作成した。5日目に培養物を採取し、0.22μmのEXPRESS(登録商標)Plus Membrane(Millipore, Bedford, MA, USA)を使用してろ過した。
実施例12:前処理トウモロコシ茎葉の酵素的加水分解へのマイセリオフトラ・サーモフィラ(Myceliophthora thermophilia)GH61AとGH61Fポリペプチドの効果
培養ブロスを実施例11に記載のように調製し、Amicon限外ろ過装置(Millipore, Bedfored, MA., 10kDaポリエーテルスルホン膜、40psi、4℃)を使用して約20倍濃縮した。SDS−PAGEとクマシーブルー染色後、デンシトメトリーによりタンパク質濃度を推定した。トウモロコシ茎葉を前処理し、WO2005/074647号に記載のようにアッセイ基質として調製して、前処理トウモロコシ茎葉(PCS)を作成した。増強活性を測定するのに使用される基礎セルラーゼ混合物を、トリコデルマ・リーセイ(Trichoderma reesei)SMA135株(WO2008/057637号)から調製した。
1.6mlの深ウェルプレート(Axygen, Santa Clara, CA.)を使用して、1.0mlの総反応容量と1mM硫酸マンガン−50mM酢酸ナトリウム(pH5.0)中50mg/mlのPCS濃度を使用して、PCSの加水分解を行った。エム・サーモフィラ(M. thermophilia)ポリペプチド(GH61AとGH61F)を、基礎セルラーゼ混合物のタンパク質濃度の0〜25%の範囲の濃度で、基礎セルラーゼ混合物に加えた。50℃で168時間インキュベーションを行った。アッセイは三重測定で行った。アリコートを遠心分離し、上清液体を、プレート遠心分離機(SORVALL(登録商標)RT7 Thermo Fisher Scientific, Waltham, MA, USA)を使用して、3000rpmで10分間遠心分離(MULTISCREEN(登録商標)HV 0.45μm, Millipore, Billerica. MA, USA)してろ過した。直ぐ使用しない場合は、ろ過した加水分解アリコートを−20℃で凍結した。4.6×250mmのAMINEX(登録商標)HPX-87Hカラム(Bio-Rad Laboratories, Inc., Inc., Hercules, CA, USA)から65℃で0.6ml/分の流速で、0.05%w/w安息香酸を有する0.005M硫酸により溶出後、0.05%w/w安息香酸を有する0.005M硫酸で希釈した試料の糖濃度を、純粋な糖試料(Absolute Standards Inc. Hamden, CT, USA)により較正した屈折率検出(CHEMSTATION(登録商標), AGILENT(登録商標)1100 HPLC, Agilent Technologies, Santa Clara, CA, USA)からのグルコースとセロビオースシグナルの積分による定量を用いて、測定した。得られた同等物を使用して、各反応についてセルロース変換パーセントを計算した。グルコース+セロビオース糖へのセルロース変換の程度(変換%)は、以下の式を使用して計算した:
変換(%)=(グルコース+セロビオース×1.053)(mg/ml)×100×162×/(セルロース(mg/ml))×180)=(グルコース+セロビオース×1.053)(mg/ml)×100/(セルロース(mg/ml)×1.111)
この式で係数1.111は、セルロースからグルコースへの変換の重量増加を反映し、係数1.053は、セロビオースからグルコースへの変換の重量増加を反映する。PCS中のセルロースは、グルコースとセロビオースを放出するPCSの限界消化物により決定した。
基礎セルラーゼ混合物に、増加する量のマイセリオフトラ・サーモフィラ(Myceliophthora thermophilia)ポリペプチドを加えた結果を、図7に示す。エム・サーモフィラ(M. thermophilia)GH61Aポリペプチドの添加は、25%添加レベルで1.26の刺激係数を与えた。同じ添加パーセントで、エム・サーモフィラ(M. thermophilia)GH61Fは、刺激係数1.13を与えた。刺激係数は、GH61タンパク質の添加有りで観察された変換とGH61タンパク質の添加無しでの変換の比として定義される。
生物学的材料の寄託
以下の生物学的材料は、ブダペスト条約の条項に従い、the Agricultural Research Service Patent Culture Collection (NRRL), Northern Regional Research Center, 1815 University Street, Peoria, Illinois 61604, USA、に寄託され、以下の受け入れ番号を与えられた:
寄託物 受け入れ番号 寄託日
E. coli pSMai190 NRRL B050083 2007年12月5日
E. coli pSMai192 NRRL B050085 2007年12月5日
これらの株は、本出願の係属中は、その権利を有すると外国の特許法で認められる人への菌株のアクセスを可能にする条件下で寄託されている。寄託物は、寄託された菌株の実質的に純粋な培養物である。寄託物は、本出願の写し又はその所産物が出願される国における外国特許法の必要性に応じて入手できる。しかし寄託物の入手可能性は、政府により認可される特許権を逸脱して、本発明を実施する権利を与えるものではないことを理解すべきである。
本発明は、以下の番号付の段落によりさらに説明される:
[1]以下よりなる群から選択されるセルロース分解増強活性を有する単離されたポリペプチド:
(a)配列番号2又は配列番号4の成熟ポリペプチドと少なくとも60%の同一性を有するアミノ酸配列を含むポリペプチド;
(b)少なくとも中程度の厳密性条件下で、(i)配列番号1又は配列番号3の成熟ポリペプチドコード配列と、(ii)配列番号1又は配列番号3の成熟ポリペプチドコード配列中に含まれるcDNA配列と、又は(iii)(i)もしくは(ii)の完全長相補鎖と、ハイブリダイズするポリヌクレオチドにコードされるポリペプチド;
(c)配列番号1又は配列番号3の成熟ポリペプチドコード配列と少なくとも60%の同一性を有するヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチドによりコードされるポリペプチド;及び
(d)配列番号2又は配列番号4の成熟ポリペプチドの1つ又はそれ以上(数個)のアミノ酸の置換、欠失、及び/又は挿入を含む変種。
[2]配列番号2又は配列番号4の成熟ポリペプチドと少なくとも60%の同一性を有するアミノ酸配列を含む、段落1のポリペプチド。
[3]配列番号2又は配列番号4の成熟ポリペプチドと少なくとも65%の同一性を有するアミノ酸配列を含む、段落2のポリペプチド。
[4]配列番号2又は配列番号4の成熟ポリペプチドと少なくとも70%の同一性を有するアミノ酸配列を含む、段落3のポリペプチド。
[5]配列番号2又は配列番号4の成熟ポリペプチドと少なくとも75%の同一性を有するアミノ酸配列を含む、段落4のポリペプチド。
[6]配列番号2又は配列番号4の成熟ポリペプチドと少なくとも80%の同一性を有するアミノ酸配列を含む、段落5のポリペプチド。
[7]配列番号2又は配列番号4の成熟ポリペプチドと少なくとも85%の同一性を有するアミノ酸配列を含む、段落6のポリペプチド。
[8]配列番号2又は配列番号4の成熟ポリペプチドと少なくとも90%の同一性を有するアミノ酸配列を含む、段落7のポリペプチド。
[9]配列番号2又は配列番号4の成熟ポリペプチドと少なくとも95%の同一性を有するアミノ酸配列を含む、段落8のポリペプチド。
[10]配列番号2又は配列番号4のアミノ酸配列、又はセルロース分解増強活性を有するそのフラグメントを含むか又はこれからなる段落1のポリペプチド。
[11]配列番号2又は配列番号4のアミノ酸配列を含むか又はこれからなる、段落10のポリペプチド。
[12]配列番号2又は配列番号4の成熟ポリペプチドを含むか又はこれからなる、段落10のポリペプチド。
[13]少なくとも中程度の厳密性条件下で、(i)配列番号1又は配列番号3の成熟ポリペプチドコード配列と、(ii)配列番号1又は配列番号3の成熟ポリペプチドコード配列中に含まれるcDNA配列と、又は(iii)(i)もしくは(ii)の完全長相補鎖と、ハイブリダイズするポリヌクレオチドによりコードされる、段落1のポリペプチド。
[14]少なくとも中程度の厳密性条件下で、(i)配列番号1又は配列番号3の成熟ポリペプチドコード配列と、(ii)配列番号1又は配列番号3の成熟ポリペプチドコード配列中に含まれるcDNA配列と、又は(iii)(i)もしくは(ii)の完全長相補鎖と、ハイブリダイズするポリヌクレオチドによりコードされる、段落13のポリペプチド。
[15]少なくとも中程度の厳密性条件下で、(i)配列番号1又は配列番号3の成熟ポリペプチドコード配列と、(ii)配列番号1又は配列番号3の成熟ポリペプチドコード配列中に含まれるcDNA配列と、又は(iii)(i)もしくは(ii)の完全長相補鎖と、ハイブリダイズするポリヌクレオチドによりコードされる、段落14のポリペプチド。
[16]配列番号1又は配列番号3の成熟ポリペプチドコード配列と少なくとも60%の同一性を有するヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチドにコードされる、段落1のポリペプチド。
[17]配列番号1又は配列番号3の成熟ポリペプチドコード配列と少なくとも65%の同一性を有するヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチドにコードされる、段落16のポリペプチド。
[18]配列番号1又は配列番号3の成熟ポリペプチドコード配列と少なくとも70%の同一性を有するヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチドにコードされる、段落17のポリペプチド。
[19]配列番号1又は配列番号3の成熟ポリペプチドコード配列と少なくとも75%の同一性を有するヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチドにコードされる、段落18のポリペプチド。
[20]配列番号1又は配列番号3の成熟ポリペプチドコード配列と少なくとも80%の同一性を有するヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチドにコードされる、段落19のポリペプチド。
[21]配列番号1又は配列番号3の成熟ポリペプチドコード配列と少なくとも85%の同一性を有するヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチドにコードされる、段落20のポリペプチド。
[22]配列番号1又は配列番号3の成熟ポリペプチドコード配列と少なくとも90%の同一性を有するヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチドにコードされる、段落21のポリペプチド。
[23]配列番号1又は配列番号3の成熟ポリペプチドコード配列と少なくとも95%の同一性を有するヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチドにコードされる、段落22のポリペプチド。
[24]配列番号1又は配列番号3のヌクレオチド配列、又はセルロース分解増強活性を有するフラグメントをコードするそのサブ配列、を含むか又はこれからなるポリヌクレオチドにコードされる、段落1のポリペプチド。
[25]配列番号1又は配列番号3のヌクレオチド配列を含むか又はこれからなるポリヌクレオチドにコードされる、段落24のポリペプチド。
[26]配列番号1又は配列番号3の成熟ポリペプチドコード配列を含むか又はこれからなるポリヌクレオチドにコードされる、段落24のポリペプチド。
[27]ポリペプチドは、配列番号2又は配列番号4の成熟ポリペプチドの1つ又はそれ以上(数個)のアミノ酸の置換、欠失、及び/又は挿入を含む変種である、段落1のポリペプチド。
[28]大腸菌(E. coli)NRRL B−50083に含まれるプラスミドpSMai190、又は大腸菌(E. coli)NRRL B−50085に含まれるプラスミドpSMai192、に含まれるポリヌクレオチドにコードされる、段落1のポリペプチド。
[29]成熟ポリペプチドは、配列番号2又は配列番号4のアミノ酸18〜232である、段落1〜28のいずれかのポリペプチド。
[30]成熟ポリペプチドコード配列は、配列番号1のヌクレオチド52〜921、又は配列番号3のヌクレオチド46〜851である、段落1〜29のいずれかのポリペプチド。
[31]段落1〜30のいずれかのポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む単離されたポリヌクレオチド。
[32]変異ヌクレオチド配列が、配列番号2又は配列番号4の成熟ポリペプチドをコードする、それぞれ配列番号1又は配列番号3の成熟ポリペプチドコード配列中に少なくとも1つの変異を含む、段落31の単離されたポリヌクレオチド。
[33]発現宿主中のポリペプチドの産生を指令する1つ又はそれ以上(数個)の制御配列に機能できる形で結合した、段落31又は32のポリヌクレオチドを含む核酸構築体。
[34]段落33の核酸構築体を含む組換え発現ベクター。
[35]段落33の核酸構築体を含む組換え宿主細胞。
[36](a)細胞を培養し(ここでその野生型は、ポリペプチドの産生を促進する条件下でポリペプチドを産生する)、そして(b)ポリペプチドを回収する、ことを含んでなる、段落1〜30のいずれかのポリペプチドを産生する方法。
[37](a)ポリペプチドの産生を促進する条件下で、ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む核酸構築体を含む宿主細胞を培養し、そして(b)ポリペプチドを回収する、ことを含んでなる、段落1〜30のいずれかのポリペプチドを産生する方法。
[38]段落1〜30のいずれかのポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を破壊又は欠失させることを含んでなり、これが親細胞より少ないポリペプチドを産生する変異体を与えることを特徴とする、親細胞の変異体を産生する方法。
[39]段落38の方法により産生される変異細胞。
[40]固有の又は異種タンパク質をコードする遺伝子をさらに含む、段落39の変異細胞。
[41](a)タンパク質の産生を促進する条件下で段落40の変異細胞を培養し、そして(b)タンパク質を回収する、ことを含んでなる、タンパク質を産生する方法。
[42](a)DNA集団を、(i)配列番号1又は配列番号3の成熟ポリペプチドコード配列と、(ii)配列番号1又は配列番号3の成熟ポリペプチドコード配列中に含まれるcDNA配列と、又は(iii)(i)もしくは(ii)の完全長相補鎖と、少なくとも高厳密性条件下でハイブリダイズさせ、そして(b)セルロース分解増強活性を有するポリペプチドをコードする、ハイブリダイズするポリヌクレオチドを単離する、ことにより得られる、段落31又は32の単離されたポリヌクレオチド。
[43]成熟ポリペプチドコード配列は、配列番号1のヌクレオチド52〜921であるか、又は配列番号3のヌクレオチド46〜851である、段落42の単離されたポリヌクレオチド。
[44]セルロース分解増強活性を有するポリペプチドをコードする変異ヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチドを産生する方法であって、(a)配列番号1又は配列番号3の成熟ポリペプチドコード配列に、少なくとも1つの変異を導入し(ここで、変異ヌクレオチド配列は、配列番号2又は配列番号4の成熟ポリペプチドを含むか又はこれからなるポリペプチドをコードする)、そして(b)変異ヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチドを回収する、ことを含んでなる方法。
[45]段落44の方法により産生される変異ポリヌクレオチド。
[46]ポリペプチドを産生する方法であって、(a)ポリペプチドの産生を促進する条件下で、ポリペプチドをコードする段落45の変異ヌクレオチドを含む細胞を培養し、そして(b)ポリペプチドを回収する、ことを含んでなる方法。
[47]段落1〜30のいずれかのポリペプチドを産生する方法であって、(a)ポリペプチドの産生を促進する条件下で、ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含むトランスジェニック植物又は植物細胞を培養し、そして(b)ポリペプチドを回収することを含んでなる方法。
[48]段落1〜30のいずれかのポリペプチドをコードするポリヌクレオチドにより形質転換されたトランスジェニック植物、植物の部分、又は植物細胞。
[49]段落31又は32のポリヌクレオチドのサブ配列を含む2本鎖阻害性RNA(dsRNA)分子で、場合によりdsRNAはsiRNA又はmiRNA分子であることを特徴とする分子。
[50]約15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、又はそれ以上の2本鎖ヌクレオチドの長さである、段落49の2本鎖阻害性RNA(dsRNA)分子。
[51]2本鎖RNA(dsRNA)分子を細胞に投与するか、又はこれを細胞中で発現することを含んでなる、細胞中のセルロース分解増強活性を有するポリペプチドの発現を阻害する方法であって、dsRNAは、段落31又は32のポリヌクレオチドのサブ配列を含むことを特徴とする方法。
[52]dsRNAは、約15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、又はそれ以上の2本鎖ヌクレオチドの長さである、段落51の方法。
[53]配列番号2のアミノ酸1〜17又は配列番号4のアミノ酸1〜15を含むかもしくはこれからなるシグナルペプチドをコードするヌクレオチド配列に、機能できる形で結合したタンパク質をコードする遺伝子を含む核酸構築体であって、遺伝子はヌクレオチド配列に対して異種であることを特徴とする核酸構築体。
[54]段落53の核酸構築体を含む組換え発現ベクター。
[55]段落53の核酸構築体を含む組換え宿主細胞。
[56](a)タンパク質の産生を促進する条件下で段落55の組換え宿主細胞を培養し、そして(b)タンパク質を回収することを含んでなる、タンパク質を産生する方法。
[57]段落1〜30のいずれかのセルロース分解増強活性を有するポリペプチドの存在下で、セルロース系材料をセルロース分解酵素組成物で処理することを含んでなる、セルロース系材料を分解又は変換するための方法であって、セルロース分解増強活性を有するポリペプチドの存在が、セルロース分解増強活性を有するポリペプチドが存在しない場合と比較して、セルロース系材料の分解を上昇させることを特徴とする方法。
[58]セルロース系材料は前処理される、段落57の方法。
[59]セルロース分解酵素組成物は、セルラーゼ、エンドグルカナーゼ、セロビオヒドロラーゼ、及びベータグルコシダーゼよりなる群から選択される1つ又はそれ以上のセルロース分解酵素を含む、段落57又は58の方法。
[60]ヘミセルラーゼ、エステラーゼ、プロテアーゼ、ラッカーゼ、及びペルオキシダーゼよりなる群から選択される1つ又はそれ以上の酵素を用いてセルロース系材料を処理することをさらに含んでなる、段落57〜59のいずれかの方法。
[61]分解されたセルロース系材料を回収することをさらに含む、段落57〜60のいずれかの方法。
[62]分解されたセルロース系材料は糖である、段落61の方法。
[63]糖は、グルコース、キシロース、マンノース、ガラクトース、及びアラビノースよりなる群から選択される、段落62の方法。
[64]発酵生成物を製造する方法であって、
(a)段落1〜20のいずれかのセルロース分解増強活性を有するポリペプチドの存在下で、セルロース系材料をセルロース分解酵素組成物で糖化し(ここで、セルロース分解増強活性を有するポリペプチドの存在は、セルロース分解増強活性を有するポリペプチドが存在しない場合と比較して、セルロース系材料の分解を上昇させる);
(b)工程(a)の糖化したセルロース系材料を、1つ又はそれ以上の発酵微生物で発酵させて発酵生成物を生成させ、そして
(c)発酵物から発酵生成物を回収する、ことを含んでなる方法。
[65]セルロース系材料は前処理される、段落64の方法。
[66]セルロース分解酵素組成物は、セルラーゼ、エンドグルカナーゼ、セロビオヒドロラーゼ、及びベータグルコシダーゼよりなる群から選択される1つ又はそれ以上のセルロース分解酵素を含んでなる、段落64又は65の方法。
[67]ヘミセルラーゼ、エステラーゼ、プロテアーゼ、ラッカーゼ、及びペルオキシダーゼよりなる群から選択される1つ又はそれ以上の酵素を用いて、セルロース系材料を処理することを含んでなる、段落64〜66のいずれかの方法。
[68]ステップ(a)と(b)は、同時糖化と発酵で同時に行われることを特徴とする、段落64〜67のいずれかの方法。
[69]発酵生成物は、アルコール、有機酸、ケトン、アミノ酸、又は気体であることを特徴とする、段落64〜68のいずれかの方法。
[70]セルロース系材料を1つ又はそれ以上の発酵微生物で発酵させることを含んでなるセルロース系材料の発酵方法であって、ここで、セルロース系材料は、段落1〜30のいずれかのセルロース分解増強活性を有するポリペプチドの存在下で、セルロース分解酵素組成物で加水分解され、セルロース分解増強活性を有するポリペプチドの存在は、セルロース分解増強活性を有するポリペプチドが存在しない場合と比較して、セルロース系材料の加水分解を上昇させる、ことを特徴とする方法。
[71]セルロース系材料の発酵は発酵生成物を生成する、段落70の方法。
[72]発酵物から発酵生成物を回収することをさらに含む、段落71の方法。
[73]セルロース系材料は糖化の前に前処理される、段落70〜72のいずれかの方法。
[74]セルロース分解酵素組成物は、セルラーゼ、エンドグルカナーゼ、セロビオヒドロラーゼ、及びベータグルコシダーゼよりなる群から選択される1つ又はそれ以上のセルロース分解酵素を含んでなる、段落70〜73のいずれかの方法。
[75]セルロース分解酵素組成物は、ヘミセルラーゼ、エステラーゼ、プロテアーゼ、ラッカーゼ、及びペルオキシダーゼよりなる群から選択される1つ又はそれ以上の酵素をさらに含んでなる、段落70〜74のいずれかの方法。
[76]発酵生成物はアルコール、有機酸、ケトン、アミノ酸、又は気体であることを特徴とする、段落70〜75のいずれかの方法。
本明細書の具体的な態様は本発明のいくつかの態様の例であることを企図しており、本明細書に記載し特許請求される発明の範囲は、決してこれらの態様に限定されるものではない。すべての同等の態様は、本発明の範囲内にあると考えられる。実際、本明細書に示し説明した本発明の種々の変更態様は、前記説明から当業者には明らかであろう。そのような変更態様は、添付の特許請求の範囲内であると企図される。不一致がある場合は、定義を含む本開示が優先するものとする。

Claims (20)

  1. 以下よりなる群から選択されるセルロース分解増強活性を有する単離されたポリペプチド:
    (a)配列番号2又は配列番号4の成熟ポリペプチドと少なくとも60%の同一性を有するアミノ酸配列を含むポリペプチド;
    (b)少なくとも中程度の厳密性条件下で、(i)配列番号1又は配列番号3の成熟ポリペプチドコード配列と、(ii)配列番号1又は配列番号3の成熟ポリペプチドコード配列中に含まれるcDNA配列と、又は(iii)(i)もしくは(ii)の完全長相補鎖と、ハイブリダイズするポリヌクレオチドにコードされるポリペプチド;
    (c)配列番号1の成熟ポリペプチドコード配列と少なくとも60%の同一性を有するヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチドによりコードされるポリペプチド;及び
    (d)配列番号2又は配列番号4の成熟ポリペプチドの1つ又はそれ以上(数個)のアミノ酸の置換、欠失、及び/又は挿入を含む変種。
  2. 配列番号2又は配列番号4のアミノ酸配列、又はセルロース分解増強活性を有するそのフラグメントを含むか又はこれからなる、請求項1のポリペプチド。
  3. 大腸菌(E. coli)NRRL B−50083に含まれるプラスミドpSMai190、又は大腸菌(E. coli)NRRL B−50085に含まれるプラスミドpSMai192、に含まれるポリヌクレオチドにコードされる、請求項1のポリペプチド。
  4. 請求項1〜3のいずれかのポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む、単離されたポリヌクレオチド。
  5. 発現宿主中のポリペプチドの産生を指令する1つ又はそれ以上(数個)の制御配列に機能できる形で結合した、請求項4のポリヌクレオチドを含む核酸構築体。
  6. 請求項5の核酸構築体を含む組換え宿主細胞。
  7. 請求項1〜3のいずれかのポリペプチドを産生する方法であって、(a)細胞を培養し(ここでその野生型は、ポリペプチドの産生を促進する条件下でポリペプチドを産生する)、そして(b)ポリペプチドを回収する、ことを含んでなる方法。
  8. 請求項1〜3のいずれかのポリペプチドを産生する方法であって、(a)ポリペプチドの産生を促進する条件下で、ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む核酸構築体を含む宿主細胞を培養し、そして(b)ポリペプチドを回収する、ことを含んでなる方法。
  9. 請求項1〜3のいずれかのポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を破壊又は欠失させることを含んでなり、これが親細胞より少ないポリペプチドを産生する変異体を与えることを特徴とする、親細胞の変異体を産生する方法。
  10. 請求項1〜3のいずれかのポリペプチドを産生する方法であって、(a)ポリペプチドの産生を促進する条件下で、ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含むトランスジェニック植物又は植物細胞を培養し、そして(b)ポリペプチドを回収することを含んでなる方法。
  11. 請求項1〜3のいずれかのポリペプチドをコードするポリヌクレオチドにより形質転換されたトランスジェニック植物、植物の部分、又は植物細胞。
  12. 請求項4のポリヌクレオチドのサブ配列を含む2本鎖阻害性RNA(dsRNA)分子であって、dsRNAは場合によりsiRNA又はmiRNA分子であることを特徴とする分子。
  13. 2本鎖RNA(dsRNA)分子を細胞に投与するか、又はこれを細胞中で発現することを含んでなる、細胞中のセルロース分解増強活性を有するポリペプチドの発現を阻害する方法であって、dsRNAは、請求項4のポリヌクレオチドのサブ配列を含むことを特徴とする方法。
  14. 配列番号2のアミノ酸1〜17又は配列番号4のアミノ酸1〜15を含むかもしくはこれからなるシグナルペプチドをコードするヌクレオチド配列に、機能できる形で結合したタンパク質をコードする遺伝子を含む核酸構築体であって、遺伝子はヌクレオチド配列に対して異種であることを特徴とする核酸構築体。
  15. 請求項14の核酸構築体を含む組換え宿主細胞。
  16. (a)タンパク質の産生を促進する条件下で、請求項15の組換え宿主細胞を培養し、そして(b)タンパク質を回収することを含んでなる、タンパク質の産生方法。
  17. 請求項1〜3のいずれかのセルロース分解増強活性を有するポリペプチドの存在下で、セルロース系材料をセルロース分解酵素組成物で処理することを含んでなる、セルロース系材料を分解又は変換するための方法であって、セルロース分解増強活性を有するポリペプチドの存在が、セルロース分解増強活性を有するポリペプチドが存在しない場合と比較して、セルロース系材料の分解を上昇させることを特徴とする方法。
  18. 分解されたセルロース系材料を回収することをさらに含む、請求項17の方法。
  19. 発酵生成物を製造する方法であって、
    (a)請求項1〜3のいずれかのセルロース分解増強活性を有するポリペプチドの存在下で、セルロース系材料をセルロース分解酵素組成物で糖化し(ここで、セルロース分解増強活性を有するポリペプチドの存在は、セルロース分解増強活性を有するポリペプチドが存在しない場合と比較して、セルロース系材料の分解を上昇させる);
    (b)工程(a)の糖化したセルロース系材料を1つ又はそれ以上の発酵微生物で発酵させて発酵生成物を生成させ、そして
    (c)発酵物から発酵生成物を回収する、ことを含んでなる方法。
  20. セルロース系材料を1つ又はそれ以上の発酵微生物で発酵させることを含んでなるセルロース系材料の発酵方法であって、ここで、セルロース系材料は、請求項1〜3のいずれかのセルロース分解増強活性を有するポリペプチドの存在下でセルロース分解酵素組成物で加水分解され、セルロース分解増強活性を有するポリペプチドの存在は、セルロース分解増強活性を有するポリペプチドが存在しない場合と比較して、セルロース系材料の加水分解を上昇させる、ことを特徴とする方法。
JP2010539794A 2007-12-19 2008-12-18 セルロース分解増強活性を有するポリペプチドとこれをコードするポリヌクレオチド Pending JP2011507525A (ja)

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
US1490007P 2007-12-19 2007-12-19
US1498007P 2007-12-19 2007-12-19
PCT/US2008/087402 WO2009085935A2 (en) 2007-12-19 2008-12-18 Polypeptides having cellulolytic enhancing activity and polynucleotides encoding same

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2011507525A true JP2011507525A (ja) 2011-03-10

Family

ID=40435129

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2010539794A Pending JP2011507525A (ja) 2007-12-19 2008-12-18 セルロース分解増強活性を有するポリペプチドとこれをコードするポリヌクレオチド

Country Status (12)

Country Link
US (2) US8323944B2 (ja)
EP (2) EP2653539A1 (ja)
JP (1) JP2011507525A (ja)
KR (1) KR20100105849A (ja)
CN (1) CN101952420A (ja)
AU (1) AU2008343105A1 (ja)
BR (1) BRPI0821230A2 (ja)
CA (1) CA2709490A1 (ja)
EA (1) EA201070764A1 (ja)
MX (1) MX293208B (ja)
NZ (2) NZ598403A (ja)
WO (1) WO2009085935A2 (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2014511673A (ja) * 2011-03-17 2014-05-19 ダニスコ・ユーエス・インク 糖化プロセスにおける粘度を低下させる方法
WO2014077264A1 (ja) * 2012-11-16 2014-05-22 独立行政法人産業技術総合研究所 バイオマス分解用組成物およびそれを用いた糖液の製造方法

Families Citing this family (148)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
DK1877551T4 (da) * 2005-04-27 2014-03-31 Novozymes Inc Polypeptider, der har endoglucanaseaktivitet, og polynukleotider, der koder for samme
WO2009085935A2 (en) * 2007-12-19 2009-07-09 Novozymes A/S Polypeptides having cellulolytic enhancing activity and polynucleotides encoding same
CN107190030A (zh) * 2008-12-19 2017-09-22 诺维信股份有限公司 在纤维二糖脱氢酶存在下增加纤维素材料水解的方法
CA2764148A1 (en) 2009-06-02 2010-12-09 Novozymes, Inc. Polypeptides having cellobiohydrolase activity and polynucleotides encoding same
DK2454590T3 (en) 2009-07-17 2016-12-05 Novozymes As A method of analysis of cellulose degradation by hydrolysis of the cellulose-containing material
EP2478096B1 (en) 2009-09-17 2017-05-24 Novozymes, Inc. Polypeptides having cellulolytic enhancing activity and polynucleotides encoding same
EP2478095A1 (en) 2009-09-18 2012-07-25 Novozymes Inc. Polypeptides having beta-glucosidase activity and polynucleotides encoding same
US20120260371A1 (en) * 2009-10-29 2012-10-11 Novozymes A/S Polypeptides Having Cellobiohydrolase Activity and Polynucleotides Encoding Same
WO2011057083A1 (en) 2009-11-06 2011-05-12 Novozymes, Inc. Polypeptides having xylanase activity and polynucleotides encoding same
DK2496693T3 (en) 2009-11-06 2018-01-22 Novozymes Inc Polypeptides with cellobiohydrolase activity and polynucleotides encoding them
DK2496694T3 (en) 2009-11-06 2017-06-06 Novozymes Inc COMPOSITIONS FOR SACCHARIFYING CELLULOS MATERIAL
EP2588604B1 (en) 2010-06-30 2016-06-29 Novozymes, Inc. Polypeptides having beta-glucosidase activity and polynucleotides encoding same
FI2591119T4 (fi) 2010-07-07 2023-01-13 Fermentointimenetelmä GH61-polypeptidien kanssa
WO2012012590A2 (en) 2010-07-23 2012-01-26 Novozymes A/S Processes for producing fermentation products
EP2598629B1 (en) 2010-07-30 2020-04-08 Cleanvantage LLC Aspergillus containing beta-glucosidase, beta-glucosidases and nucleic acids encoding the same
EP2603596B1 (en) 2010-08-12 2020-10-07 Novozymes, Inc. Compositions comprising a polypeptide having cellulolytic enhancing activity and a liquor and uses thereof
US9458483B2 (en) 2010-08-12 2016-10-04 Novozymes, Inc. Compositions comprising a polypeptide having cellulolytic enhancing activity and a bicyclic compound and uses thereof
HUE033334T2 (en) 2010-08-20 2017-11-28 Codexis Inc Use of glycoside hydrolase-61 proteins in cellulose processing
WO2012030811A1 (en) 2010-08-30 2012-03-08 Novozymes A/S Polypeptides having cellobiohydrolase activity and polynucleotides encoding same
US8629325B2 (en) 2010-08-30 2014-01-14 Novozymes A/S Polypeptides having beta-glucosidase activity and polynucleotides encoding same
WO2012030858A2 (en) 2010-08-30 2012-03-08 Novozymes A/S Polypeptides having hemicellulolytic activity and polynucleotides encoding same
US9267126B2 (en) 2010-08-30 2016-02-23 Novozymes, Inc. Polypeptides having endoglucanase activity and polynucleotides encoding same
WO2012030849A1 (en) 2010-08-30 2012-03-08 Novozymes A/S Polypeptides having xylanase activity and polynucleotides encoding same
EP2622025A1 (en) * 2010-09-29 2013-08-07 BETA RENEWABLES S.p.A. Pre-treated biomass having enhanced enzyme accessibility
CN107345226A (zh) 2010-09-30 2017-11-14 诺维信股份有限公司 具有纤维素分解增强活性的多肽变体及其编码多核苷酸
MX2013003236A (es) 2010-09-30 2013-05-30 Novozymes Inc Variantes de polipeptidos que tienen actividad potenciadora celulolitica y polinucleotidos que codifican a los mismos.
WO2012058293A1 (en) 2010-10-26 2012-05-03 Novozymes North America, Inc. Methods of saccharifying sugarcane trash
CA2815522C (en) * 2010-11-02 2020-03-24 Codexis, Inc. Improved myceliophthora thermophila strain having reduced cellobiose dehydrogenase i activity
EP2635689B1 (en) 2010-11-02 2015-04-15 Novozymes, Inc. Methods of pretreating cellulosic material with a gh61 polypeptide
US9212354B2 (en) 2010-11-04 2015-12-15 Novozymes Inc. Polypeptides having cellobiohydrolase activitiy and polynucleotides encoding same
WO2012062220A1 (en) 2010-11-12 2012-05-18 Novozymes A/S Polypeptides having endoglucanase activity and polynucleotides encoding same
BR112013010129A2 (pt) 2010-11-18 2016-07-05 Novozymes Inc polipeptídeo gh61 quimérico isolado, polinucleotídeo isolado, célula hospedeira, métodos para produzir um polipeptídeo gh61 quimérico, para degradas ou converter um material celulóstico, para sintetizar um produto de fermentação, para fermentar um material celulósico e para limpar ou lavar uma superfície dura ou roupa para lavar, planta transgênica, parte da planta ou célula de planta, uso do polipeptídeo gh61 quimérico, composição detergente, e, formulação de caldo ou composição de cultura de células completas
BR112013012630B1 (pt) 2010-11-22 2021-09-08 Novozymes, Inc. Célula de levedura geneticamente modificada, e, método para produzir 3-hp
MX2013007720A (es) 2011-01-26 2013-08-09 Novozymes As Polipeptidos que tienen actividad celobiohidrolasa y polinucleotidos que codifican para los mismos.
EP3235903B1 (en) 2011-01-26 2021-07-07 Novozymes A/S Polypeptides having cellobiohydrolase activity and polynucleotides encoding same
WO2012103322A1 (en) 2011-01-26 2012-08-02 Novozymes A/S Polypeptides having endoglucanase activity and polynucleotides encoding same
MX337913B (es) 2011-01-26 2016-03-28 Novozymes As Polipeptidos que tienen actividad celobiohidrolasa y polinucleotidos que codifican los mismos.
US9080161B2 (en) 2011-01-26 2015-07-14 Novozymes, Inc. Polypeptides having cellobiohydrolase activity and polynucleotides encoding same
US9051376B2 (en) 2011-02-23 2015-06-09 Novozymes, Inc. Polypeptides having cellulolytic enhancing activity and polynucleotides encoding same
MX2013007997A (es) 2011-02-23 2013-08-21 Novozymes Inc Polipeptidos que tienen actividad de incremento celulolitico y polinucleotidos que codifican para los mismos.
US9150842B2 (en) 2011-03-09 2015-10-06 Novozymes A/S Methods of increasing the cellulolytic enhancing activity of a polypeptide
WO2012122477A1 (en) 2011-03-10 2012-09-13 Novozymes A/S Polypeptides having cellulolytic enhancing activity and polynucleotides encoding same
DK2689011T3 (en) 2011-03-25 2018-01-22 Novozymes As PROCEDURE FOR DEGRADATION OR CONVERSION OF CELLULOSE-SUBSTANCING MATERIAL
WO2012135659A2 (en) 2011-03-31 2012-10-04 Novozymes A/S Methods for enhancing the degradation or conversion of cellulosic material
US20140080182A1 (en) 2011-03-31 2014-03-20 Novozymes, Inc. Cellulose Binding Domain Variants and Polynucleotides Encoding Same
US9340810B2 (en) 2011-04-25 2016-05-17 Novozymes, Inc. Polypeptides having cellulolytic enhancing activity and polynucleotides encoding same
DK2702153T3 (en) 2011-04-28 2019-03-18 Novozymes Inc Polypeptides with endoglucanase activity and polynucleotides encoding them
CN103797126A (zh) 2011-04-29 2014-05-14 诺维信股份有限公司 用于增强纤维素材料的降解或转化的方法
US8993286B2 (en) 2011-05-19 2015-03-31 Novozymes, Inc. Methods for enhancing the degradation of cellulosic material with chitin binding proteins
EP2710132A1 (en) 2011-05-19 2014-03-26 Novozymes, Inc. Methods for enhancing the degradation of cellulosic material with chitin binding proteins
CN109022518A (zh) 2011-07-22 2018-12-18 诺维信北美公司 用于预处理纤维素材料和改进其水解的方法
DK3091073T4 (da) 2011-08-04 2023-06-06 Novozymes Inc Polypeptider med xylanaseaktivitet og polynukleotider, der koder for dem
CN103703125B (zh) 2011-08-04 2016-09-07 诺维信公司 具有内切葡聚糖酶活性的多肽及其编码多核苷酸
WO2013028915A2 (en) 2011-08-24 2013-02-28 Novozymes, Inc. Methods for obtaining positive transformants of a filamentous fungal host cell
IN2014CN02136A (ja) 2011-08-24 2015-05-29 Novozymes Inc
WO2013043910A1 (en) 2011-09-20 2013-03-28 Novozymes A/S Polypeptides having cellulolytic enhancing activity and polynucleotides encoding same
US10017753B2 (en) 2011-09-29 2018-07-10 Novozymes, Inc. Polypeptides having cellulolytic enhancing activity and polynucleotides encoding same
BR112014007651A2 (pt) 2011-09-30 2017-04-11 Novozymes Inc polipeptídeo quimérico isolado, polinucleotídeo isolado, métodos para produzir um polipeptídeo quimérico e um produto de fermentação, para degradar ou converter um material celulósico, e para fermentar um material celulósico, planta, parte de planta ou célula de planta transgênica, e, formulação de caldo inteiro ou composição de cultura de células
DK2773656T3 (da) 2011-10-31 2019-09-09 Novozymes Inc Polypeptider med cellulolyseforbedrende aktivitet og polynukleotider, som koder for dem
US20140234897A1 (en) * 2011-11-04 2014-08-21 Novozymes Inc. Polypeptides Having Cellobiohydrolase Activity and Polynucleotides Encoding Same
EP3409769A1 (en) 2011-11-18 2018-12-05 Novozymes A/S Polypeptides having beta-glucosidase activity, beta-xylosidase activity, or beta-glucosidase and beta-xylosidase activity and polynucleotides encoding same
DK2802651T3 (en) 2011-11-21 2017-05-22 Novozymes Inc GH61 POLYPEPTIDE VARIATIONS AND POLYNUCLEOTIDES CODING THEM
EP2782998B1 (en) 2011-11-22 2018-01-10 Novozymes Inc. Polypeptides having beta-xylosidase activity and polynucleotides encoding same
WO2013079015A1 (en) 2011-12-01 2013-06-06 Novozymes, Inc. Polypeptides having beta-xylosidase activity and polynucleotides encoding same
DK2791330T3 (da) 2011-12-16 2017-11-06 Novozymes Inc Polypeptider med laccaseaktivitet og polynukleotider, som koder for dem
WO2013091547A1 (en) 2011-12-19 2013-06-27 Novozymes, Inc. Polypeptides having catalase activity and polynucleotides encoding same
CA2859796A1 (en) 2011-12-19 2013-06-27 Novozymes A/S Processes and compositions for increasing the digestibility of cellulosic materials
CA2878019A1 (en) 2011-12-20 2013-06-27 Novozymes, Inc. Cellobiohydrolase variants and polynucleotides encoding same
EP2794871A4 (en) * 2011-12-20 2015-12-30 Codexis Inc VARIANTS OF ENDOGLUCANASE-1B (EG1B)
WO2013096652A1 (en) 2011-12-21 2013-06-27 Novozymes, Inc. Methods for determining the degradation of a biomass material
US20130280764A1 (en) * 2012-04-19 2013-10-24 Dyadic International (Usa) Ltd. Method of improving the activity of cellulase enzyme mixtures in the saccharification (ligno)cellulosic material
US9394556B2 (en) 2012-04-23 2016-07-19 Novozymes A/S Polypeptides having glucuronyl esterase activity and polynucleotides encoding same
CN104245929A (zh) 2012-04-23 2014-12-24 诺维信公司 具有α-葡糖醛酸糖苷酶活性的多肽以及编码其的多核苷酸
WO2013163590A2 (en) 2012-04-27 2013-10-31 Novozymes, Inc. Gh61 polypeptide variants and polynucleotides encoding same
EP2867247A4 (en) * 2012-06-29 2016-03-09 Novozymes As POLYPEPTIDES HAVING ACTIVITY PROMOTING CELLULOLYSIS AND POLYNUCLEOTIDES ENCODING SAME
US9957492B2 (en) * 2012-06-29 2018-05-01 Novozymes A/S Polypeptides having cellulolytic enhancing activity and polynucleotides encoding same
BR112015005884A2 (pt) 2012-09-19 2017-08-08 Novozymes Inc E Novozymes As processos para degradação de um material celulósico, para produção de um produto da fermentação, e de fermentação de um material celulósico, composição, e, formulação de caldo inteiro ou composição de cultura de células
US9708592B2 (en) 2012-09-28 2017-07-18 Novosymes, Inc. Polypeptides having cellulolytic enhancing activity and polynucleotides encoding same
EP3586610A1 (en) 2012-10-08 2020-01-01 Novozymes A/S Polypeptides having cellulolytic enhancing activity and polynucleotides encoding same
WO2014066141A2 (en) 2012-10-24 2014-05-01 Novozymes A/S Polypeptides having cellulolytic enhancing activity and polynucleotides encoding same
CA2888170C (en) 2012-11-09 2021-04-13 Dsm Ip Assets B.V. Process for enzymatic hydrolysis of lignocellulosic material and fermentation of sugars
BR112015004118B1 (pt) 2012-11-09 2018-09-18 Dsm Ip Assets Bv processo para a preparação de um produto de açúcar a partir de material lignocelulósico
US9938551B2 (en) 2012-12-12 2018-04-10 Danisco Us Inc Variants of cellobiohydrolases
WO2014093835A1 (en) 2012-12-14 2014-06-19 Novozymes A/S Polypeptides having cellulolytic enhancing activity and polynucleotides encoding same
US20150337280A1 (en) 2012-12-19 2015-11-26 Novozymes A/S Polypeptides Having Cellulolytic Enhancing Activity And Polynucleotides Encoding Same
CN110628749A (zh) 2013-03-08 2019-12-31 诺维信公司 纤维二糖水解酶变体和编码它们的多核苷酸
DK2994529T3 (en) 2013-05-10 2019-03-04 Novozymes As Polypeptides with xylanase activity and polynucleotides encoding them
DK3052620T3 (da) 2013-09-04 2020-09-07 Novozymes As Fremgangsmåder til forøgelse af enzymatisk hydrolyse af celluloseholdigt materiale
FR3013731B1 (fr) * 2013-11-22 2017-09-01 Ifp Energies Now Variants d'endoglucanases a activite amelioree et leurs utilisations
EP3074513A1 (en) 2013-11-26 2016-10-05 Novozymes A/S Enzyme compositions and uses thereof
EP3092312B1 (en) 2014-01-07 2018-12-12 Novozymes A/S Saccharification of mannan-containing cellulosic materials
LT3137619T (lt) 2014-04-30 2024-02-26 Versalis S.P.A. Lignoceliuliozinės medžiagos fermentinės hidrolizės ir cukrų fermentacijos būdas
AU2015269381B2 (en) 2014-06-06 2019-04-18 Novozymes A/S Enzyme compositions and uses thereof
EP3805382A1 (en) 2014-08-28 2021-04-14 Renescience A/S Solubilization of msw with blend enzymes
EP3189137A1 (en) 2014-09-05 2017-07-12 Novozymes A/S Carbohydrate binding module variants and polynucleotides encoding same
CA2961280C (en) 2014-09-23 2022-08-30 Liuyang DIAO Processes for producing ethanol and fermenting organisms
WO2016120298A1 (en) 2015-01-28 2016-08-04 Dsm Ip Assets B.V. Process for enzymatic hydrolysis of lignocellulosic material and fermentation of sugars
CA2973303C (en) 2015-01-28 2023-01-03 Dsm Ip Assets B.V. Process for enzymatic hydrolysis of lignocellulosic material and fermentation of sugars
PL3250698T3 (pl) 2015-01-28 2020-06-29 Dsm Ip Assets B.V. Sposób enzymatycznej hydrolizy materiału lignocelulozowego i fermentacji cukrów
DK3262165T3 (da) 2015-02-24 2020-08-24 Novozymes As Cellobiohydrolasevarianter og polynukleotider, som koder for dem
US20180044707A1 (en) 2015-03-12 2018-02-15 Novozymes A/S Multi-Stage Enzymatic Hydrolysis of Lignocellulosic Biomass
US10513721B2 (en) 2015-03-12 2019-12-24 Novozymes A/S Two-stage process for enzymatic hydrolysis of lignocellulosic biomass
TN2017000319A1 (en) 2015-03-12 2019-01-16 Beta Renewable Spa Enzymatic hydrolysis with hemicellulolytic enzymes
WO2016169892A1 (en) 2015-04-20 2016-10-27 Dsm Ip Assets B.V. Process for enzymatic hydrolysis of lignocellulosic material and fermentation of sugars
WO2016169893A1 (en) 2015-04-20 2016-10-27 Dsm Ip Assets B.V. Whole fermentation broth
US10519520B2 (en) 2015-05-27 2019-12-31 Novozymes A/S Polypeptides having cellobiohydrolase activity and polynucleotides encoding same
WO2016207144A1 (en) 2015-06-22 2016-12-29 Dsm Ip Assets B.V. Process for enzymatic hydrolysis of lignocellulosic material and fermentation of sugars
US20180216089A1 (en) 2015-07-24 2018-08-02 Novozymes, Inc. Polypeptides Having Beta-Xylosidase Activity And Polynucleotides Encoding Same
BR112018001041A2 (pt) 2015-07-24 2018-09-11 Novozymes Inc polipeptídeo isolado, composição, formulação de caldo inteiro ou composição de cultura de células, célula hospedeira recombinante, métodos para produção de um polipeptídeo e para produção de uma proteína, planta, parte de planta ou célula de planta transgênica, e, processos para degradação de um material celulósico ou hemicelulósico, para produção de um produto de fermentação e para fermentação de um material celulósico ou hemicelulósico.
US20180202011A1 (en) 2015-09-04 2018-07-19 Novozymes A/S Methods of inhibiting aa9 lytic polysaccharide monooxygenase catalyzed inactivation of enzyme compositions
EP3353195B1 (en) 2015-09-22 2021-11-10 Novozymes A/S Polypeptides having cellobiohydrolase activity and polynucleotides encoding same
WO2017070219A1 (en) 2015-10-20 2017-04-27 Novozymes A/S Lytic polysaccharide monooxygenase (lpmo) variants and polynucleotides encoding same
CN114054481A (zh) 2015-11-02 2022-02-18 雷内科学有限公司 用混合酶溶解城市固体废物
CN108883400B (zh) 2016-02-19 2021-09-17 洲际大品牌有限责任公司 由生物质源形成多值料流的方法
US10738293B2 (en) 2016-03-02 2020-08-11 Novozymes A/S Cellobiohydrolase variants and polynucleotides encoding same
EP3433358B1 (en) 2016-03-24 2022-07-06 Novozymes A/S Cellobiohydrolase variants and polynucleotides encoding same
WO2017205535A1 (en) 2016-05-27 2017-11-30 Novozymes, Inc. Polypeptides having endoglucanase activity and polynucleotides encoding same
EP3469090A1 (en) 2016-06-09 2019-04-17 DSM IP Assets B.V. Seed train for large scale enzyme production
WO2018019948A1 (en) 2016-07-29 2018-02-01 Dsm Ip Assets B.V. Polypeptides having cellulolytic enhancing activity and uses thereof
WO2018026868A1 (en) 2016-08-01 2018-02-08 Novozymes, Inc. Polypeptides having endoglucanase activity and polynucleotides encoding same
WO2018085370A1 (en) 2016-11-02 2018-05-11 Novozymes A/S Processes for reducing production of primeverose during enzymatic saccharification of lignocellulosic material
WO2018096017A1 (en) 2016-11-24 2018-05-31 Dsm Ip Assets B.V. Enzyme composition
US11499142B2 (en) 2016-11-24 2022-11-15 Dsm Ip Assets B.V. Enzyme composition
WO2018185071A1 (en) 2017-04-03 2018-10-11 Dsm Ip Assets B.V. Process for enzymatic hydrolysis of lignocellulosic material and fermentation of sugars
WO2019074828A1 (en) 2017-10-09 2019-04-18 Danisco Us Inc CELLOBIOSE DEHYDROGENASE VARIANTS AND METHODS OF USE
FI3695001T3 (fi) 2017-10-09 2024-02-14 Versalis Spa Menetelmä lignoselluloosamateriaalin entsymaattista hydrolyysiä ja sokerien fermentointia varten
CN111183228A (zh) 2017-10-23 2020-05-19 诺维信公司 减少生物燃料发酵***中乳酸的方法
US20200347422A1 (en) 2017-10-30 2020-11-05 Dsm Ip Assets B.V. Process for enzymatic hydrolysis of lignocellulosic material and fermentation of sugars
WO2019086370A1 (en) 2017-10-30 2019-05-09 Dsm Ip Assets B.V. Process for enzymatic hydrolysis of lignocellulosic material and fermentation of sugars
BR112020018791A2 (pt) 2018-03-28 2020-10-13 Dsm Ip Assets B.V. composição de enzima
WO2019185681A1 (en) 2018-03-28 2019-10-03 Dsm Ip Assets B.V. Enzyme composition
WO2019201765A1 (en) 2018-04-20 2019-10-24 Renescience A/S Method for determining chemical compounds in waste
BR112020023198A2 (pt) 2018-05-17 2021-02-09 Dsm Ip Assets B.V. processo para produção de um polipeptídeo
SI3802843T1 (sl) 2018-05-30 2023-06-30 Versalis S.P.A. Postopek za proizvodnjo sladkorjev iz materialov ogljikovih hidratov
WO2020058248A1 (en) 2018-09-18 2020-03-26 Dsm Ip Assets B.V. Process for enzymatic hydrolysis of carbohydrate material and fermentation of sugars
WO2020058253A1 (en) 2018-09-18 2020-03-26 Dsm Ip Assets B.V. Process for enzymatic hydrolysis of carbohydrate material and fermentation of sugars
WO2020058249A1 (en) 2018-09-18 2020-03-26 Dsm Ip Assets B.V. Process for enzymatic hydrolysis of carbohydrate material and fermentation of sugars
US20210380958A1 (en) 2018-10-24 2021-12-09 Dsm Ip Assets B.V Process for enzymatic hydrolysis of carbohydrate material and fermentation of sugars
EP3894551A1 (en) 2018-12-12 2021-10-20 Novozymes A/S Polypeptides having xylanase activity and polynucleotides encoding same
CN113544280A (zh) 2019-03-12 2021-10-22 帝斯曼知识产权资产管理有限公司 用于产生发酵液的方法
CN114391041A (zh) 2019-09-10 2022-04-22 帝斯曼知识产权资产管理有限公司 酶组合物
GB202005073D0 (en) 2020-04-06 2020-05-20 Mellizyme Biotechnology Ltd Enzymatic degradation of plastics
WO2022013148A1 (en) 2020-07-13 2022-01-20 Dsm Ip Assets B.V. Process for the production of biogas
JP2023547177A (ja) 2020-11-04 2023-11-09 レネサイエンス エー/エス プロセス水の再循環を含む廃棄物の酵素処理及び/又は微生物処理のための方法
WO2022214457A1 (en) 2021-04-06 2022-10-13 Dsm Ip Assets B.V. Enzyme composition
WO2022214459A1 (en) 2021-04-06 2022-10-13 Dsm Ip Assets B.V. Enzyme composition
CA3214435A1 (en) 2021-04-06 2022-10-13 Dsm Ip Assets B.V. Enzyme composition
US20240182938A1 (en) 2021-04-08 2024-06-06 Versalis S.P.A. Process for the preparation of a sugar product and a fermentation product

Citations (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH05506994A (ja) * 1990-05-09 1993-10-14 ノボザイムス アクティーゼルスカブ セルロースまたはヘミセルロース分解性酵素
WO2004031378A2 (en) * 2002-10-01 2004-04-15 Novozymes A/S Family gh 61 polypeptides

Family Cites Families (89)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
GB1590432A (en) 1976-07-07 1981-06-03 Novo Industri As Process for the production of an enzyme granulate and the enzyme granuate thus produced
DK187280A (da) 1980-04-30 1981-10-31 Novo Industri As Ruhedsreducerende middel til et fuldvaskemiddel fuldvaskemiddel og fuldvaskemetode
DK263584D0 (da) 1984-05-29 1984-05-29 Novo Industri As Enzymholdige granulater anvendt som detergentadditiver
EG18543A (en) 1986-02-20 1993-07-30 Albright & Wilson Protected enzyme systems
DK122686D0 (da) 1986-03-17 1986-03-17 Novo Industri As Fremstilling af proteiner
EP0406314B1 (en) 1988-03-24 1993-12-01 Novo Nordisk A/S A cellulase preparation
US5776757A (en) 1988-03-24 1998-07-07 Novo Nordisk A/S Fungal cellulase composition containing alkaline CMC-endoglucanase and essentially no cellobiohydrolase and method of making thereof
US5223409A (en) 1988-09-02 1993-06-29 Protein Engineering Corp. Directed evolution of novel binding proteins
US5536655A (en) 1989-09-26 1996-07-16 Midwest Research Institute Gene coding for the E1 endoglucanase
US5275944A (en) 1989-09-26 1994-01-04 Midwest Research Institute Thermostable purified endoglucanas from acidothermus cellulolyticus ATCC 43068
US5110735A (en) 1989-09-26 1992-05-05 Midwest Research Institute Thermostable purified endoglucanase from thermophilic bacterium acidothermus cellulolyticus
NZ237549A (en) 1990-03-23 1993-06-25 Gist Brocades Nv Production of enhanced levels of enzymes in the seeds of transgenic plants and the use of these seeds
KR100237148B1 (ko) 1990-05-09 2000-01-15 한센 핀 베네드 엔도글루칸아제 효소를 함유하는 셀룰라제 제조물
IL99552A0 (en) 1990-09-28 1992-08-18 Ixsys Inc Compositions containing procaryotic cells,a kit for the preparation of vectors useful for the coexpression of two or more dna sequences and methods for the use thereof
EP0495258A1 (en) 1991-01-16 1992-07-22 The Procter & Gamble Company Detergent compositions with high activity cellulase and softening clays
JP3681750B2 (ja) 1992-10-06 2005-08-10 ノボザイムス アクティーゼルスカブ セルラーゼ変異体
AU5809494A (en) 1992-12-23 1994-07-19 Novo Nordisk A/S An enzyme with endoglucanase activity
DE4343591A1 (de) 1993-12-21 1995-06-22 Evotec Biosystems Gmbh Verfahren zum evolutiven Design und Synthese funktionaler Polymere auf der Basis von Formenelementen und Formencodes
US5605793A (en) 1994-02-17 1997-02-25 Affymax Technologies N.V. Methods for in vitro recombination
DE69536145D1 (de) 1994-03-08 2011-04-07 Novozymes As Neuartige alkalische Zellulasen
BR9507817A (pt) 1994-06-03 1997-09-16 Novo Nordisk Biotech Inc Construção de dna enzima vetor recombinante célula hospedeira recombinante lacase de ascomicete ou deuteromicete processos para obter uma enzima de lacase para melhorar o rendimento de enzima recombinante para polimerizar um substrato de lignina ou lignossulfato em soluç o para despolimerizar in situ a pasta kraft para oxidar corantes ou precursores de corantes para pintar cabelo e para polimerizar ou oxidar um composto fenólico ou anilina composição de corante e recipiente contendo a mesma
CN1151762A (zh) 1994-06-30 1997-06-11 诺沃诺尔迪斯克生物技术有限公司 非毒性、非产毒性、非致病性镰孢属表达***及所用启动子和终止子
US5919691A (en) 1994-10-06 1999-07-06 Novo Nordisk A/S Enzyme and enzyme preparation with endoglucanase activity
CN1182451A (zh) 1995-03-17 1998-05-20 诺沃挪第克公司 新的内切葡聚糖酶
US6313081B1 (en) 1995-04-28 2001-11-06 Henkel Kommanditgesellschaft Auf Aktien (Kgaa) Detergents comprising cellulases
US20030044956A1 (en) 1995-08-23 2003-03-06 Short Jay M. Enzymes having carboxymethyl cellulase activity and methods of use thereof
AU7299796A (en) 1995-10-17 1997-05-07 Rohn Enzyme Finland Oy Cellulases, the genes encoding them and uses thereof
WO1998008940A1 (en) 1996-08-26 1998-03-05 Novo Nordisk A/S A novel endoglucanase
CA2265914C (en) 1996-09-17 2011-05-03 Novo Nordisk A/S Cellulase variants
US6451063B1 (en) 1996-09-25 2002-09-17 Genencor International, Inc. Cellulase for use in industrial processes
US6017870A (en) 1996-10-09 2000-01-25 Genencor International, Inc. Purified cellulase and method of producing
US7883872B2 (en) 1996-10-10 2011-02-08 Dyadic International (Usa), Inc. Construction of highly efficient cellulase compositions for enzymatic hydrolysis of cellulose
US5811381A (en) 1996-10-10 1998-09-22 Mark A. Emalfarb Cellulase compositions and methods of use
US5989899A (en) 1996-12-23 1999-11-23 Genencor International, Inc. Oversized cellulase compositions for use in detergent compositions and in the treatment of textiles
AU739445B2 (en) 1997-07-31 2001-10-11 Dsm Ip Assets B.V. Cellulose degrading enzymes of aspergillus
US5871550A (en) 1997-08-26 1999-02-16 Genencor International, Inc. Mutant Thermonospora spp. cellulase
US6562612B2 (en) 1997-11-19 2003-05-13 Genencor International, Inc. Cellulase producing actinomycetes, cellulase produced therefrom and method of producing same
KR20010032218A (ko) 1997-11-19 2001-04-16 마가렛 에이.혼 악티노미케테스에 의하여 제조되는 셀룰라제 및 이를제조하는 방법
NZ504197A (en) 1997-11-19 2002-03-01 Genencor Int Cellulase produced by Actinomycetes, probes and method of producing thereof
DE69836227T2 (de) 1997-12-16 2007-08-23 Genencor International, Inc., Palo Alto Verfahren zur herstellung egiii-ähnlicher enzyme
US6506559B1 (en) 1997-12-23 2003-01-14 Carnegie Institute Of Washington Genetic inhibition by double-stranded RNA
JP4392778B2 (ja) 1998-06-24 2010-01-06 ジェネンコア インターナショナル インコーポレーテッド 新規なセルラーゼを産生する放線菌、その放線菌が産生するセルラーゼ、およびそのセルラーゼを作成する方法。
ATE332968T1 (de) 1998-10-26 2006-08-15 Novozymes As Erstellung und durchmusterung von interessierenden dna-banken in zellen von filamentösen pilzen
US6511824B1 (en) 1999-03-17 2003-01-28 Exelixis, Inc. Nucleic acids and polypeptides of invertebrate TWIK channels and methods of use
CN100482801C (zh) 1999-03-22 2009-04-29 诺沃奇梅兹有限公司 用于在真菌细胞中表达基因的启动子
AU5279100A (en) 1999-05-19 2000-12-05 Midwest Research Institute E1 endoglucanase variants y245g, y82r and w42r
US6531644B1 (en) 2000-01-14 2003-03-11 Exelixis, Inc. Methods for identifying anti-cancer drug targets
ES2166316B1 (es) 2000-02-24 2003-02-16 Ct Investig Energeticas Ciemat Procedimiento de produccion de etanol a partir de biomasa lignocelulosica utilizando una nueva levadura termotolerante.
US7052907B2 (en) 2000-07-21 2006-05-30 The United States Of America As Represented By The Department Of Health And Human Services Adult human dental pulp stem cells in vitro and in vivo
WO2002030963A1 (en) 2000-10-12 2002-04-18 Exelixis, Inc. Human ect2 and methods of use
AU2002223504A1 (en) 2000-11-17 2002-05-27 Novozymes A/S Heterologous expression of taxanes
JP2004527261A (ja) 2001-05-18 2004-09-09 ノボザイムス アクティーゼルスカブ セロビアーゼ活性を有するポリペプチド及びそれをコードするポリヌクレオチド
US6982159B2 (en) 2001-09-21 2006-01-03 Genencor International, Inc. Trichoderma β-glucosidase
US7049125B2 (en) 2001-12-18 2006-05-23 Genencor International, Inc. EGVIII endoglucanase and nucleic acids encoding the same
US7045331B2 (en) 2001-12-18 2006-05-16 Genencor International, Inc. EGVII endoglucanase and nucleic acids encoding the same
US7005289B2 (en) 2001-12-18 2006-02-28 Genencor International, Inc. BGL5 β-glucosidase and nucleic acids encoding the same
US7056721B2 (en) 2001-12-18 2006-06-06 Genencor International, Inc. EGVI endoglucanase and nucleic acids encoding the same
US7045332B2 (en) 2001-12-18 2006-05-16 Genencor International, Inc. BGL4 β-glucosidase and nucleic acids encoding the same
DE10229412A1 (de) 2002-06-29 2004-01-29 Robert Bosch Gmbh Kraftstoffinjektor mit Druckübersetzer für Mehrfacheinspritzung
DK2295559T3 (en) 2002-08-16 2015-12-14 Danisco Us Inc Hitherto UNKNOWN HYPROCREA JECORINA CBH1 CELLULASE VARIETY WITH INCREASED THERMAL STABILITY COMPREHENSIVE SUBSTITUTION OR DELETION AT POSITION T255
US7273738B2 (en) * 2002-10-01 2007-09-25 Novozymes A/S Family GH-61 polypeptides
WO2004043980A2 (en) 2002-11-07 2004-05-27 Genencor International, Inc. Bgl6 beta-glucosidase and nucleic acids encoding the same
US7407788B2 (en) 2002-11-21 2008-08-05 Danisco A/S, Genencor Division BGL7 beta-glucosidase and nucleic acids encoding the same
JP2006524050A (ja) * 2003-03-20 2006-10-26 ダイヴァーサ コーポレイション グルコシダーゼ、それをコードする核酸、並びにその製造および使用方法
US7452707B2 (en) 2003-03-21 2008-11-18 Danisco A/S, Genencor Division CBH1 homologs and variant CBH1 cellulases
CN101374948B (zh) 2003-04-01 2012-04-11 金克克国际有限公司 灰腐质霉cbh1.1变体
DK2228440T3 (da) 2003-05-02 2013-01-02 Novozymes Inc Varianter af beta-glucosidaser
ES2437198T3 (es) 2003-10-28 2014-01-09 Novozymes Inc. Polipéptidos con actividad de beta-glucosidasa y polinucleótidos aislados que codifican los polipéptidos
WO2006011899A1 (en) 2003-11-25 2006-02-02 L-3 Communications Security and Detection Systems Corporation Security system for detecting nuclear masses
EP1713825B1 (en) 2004-01-30 2012-08-01 Novozymes, Inc. Polypeptides having cellulolytic enhancing activity and polynucleotides encoding same
EP1714258A4 (en) 2004-02-02 2011-05-04 Scope Seven Inc SIMPLIFIED CONTROL SYSTEM FOR ELECTRONIC MEDIA
CA2554784C (en) 2004-02-06 2013-05-28 Novozymes, Inc. Polypeptides having cellulolytic enhancing activity and polynucleotides encoding same
CA2560588A1 (en) 2004-03-25 2005-10-06 Genencor International, Inc. Cellulase fusion protein and heterologous cellulase fusion construct encoding the same
US8097445B2 (en) 2004-03-25 2012-01-17 Danisco Us Inc. Exo-endo cellulase fusion protein
PE20060213A1 (es) 2004-04-30 2006-04-24 Irm Llc Compuestos y composiciones como inhibidores de catepsinas
US20060004699A1 (en) 2004-06-30 2006-01-05 Nokia Corporation Method and system for managing metadata
DK176540B1 (da) 2004-09-24 2008-07-21 Cambi Bioethanol Aps Fremgangsmåde til behandling af biomasse og organisk affald med henblik på at udvinde önskede biologisk baserede produkter
US8008056B2 (en) 2004-12-30 2011-08-30 Danisco Us Inc. Variant Hypocrea jecorina CBH2 cellulases
US7910338B2 (en) 2005-04-12 2011-03-22 E. I. Du Pont De Nemours And Company Integration of alternative feedstreams for biomass treatment and utilization
BRPI0609906A8 (pt) 2005-04-29 2017-11-21 Ab Enzymes Oy proteína de fusão de celulase, seu processo de produção e composição detergente contendo a mesma, vetor de expressão, célula hospedeira, preparação de enzima, processos para desbotamento e para bioacabamento e métodos de tratamento de fibra celulósica contendo material têxtil, para tratar fibra ou polpa derivada de madeira e para melhorar a qualidade de ração animal
US8097772B2 (en) 2005-08-04 2012-01-17 Novozymes, Inc. Polypeptides having beta-glucosidase activity and polynucleotides encoding same
RU2441912C2 (ru) * 2005-09-30 2012-02-10 Новозаймз, Инк. Способы усиления деградации или превращения целлюлозного материала
MX2008008225A (es) 2005-12-22 2008-10-01 Ab Enzymes Oy Nuevas enzimas.
FI120045B (fi) 2005-12-22 2009-06-15 Roal Oy Selluloosamateriaalin käsittely ja siinä käyttökelpoiset entsyymit
US8304212B2 (en) 2006-07-10 2012-11-06 Dyadic International, Inc. Methods and compositions for degradation of lignocellulosic material
US8546106B2 (en) 2006-07-21 2013-10-01 Novozymes, Inc. Methods of increasing secretion of polypeptides having biological activity
BRPI0812035A2 (pt) 2007-05-31 2014-10-14 Novozymes Inc Polipeptídeo isola, polinucleotídeo isolado, construção de ácidos nucleicos, vetor de expressão recombinante, célula hospedeira recombinante, métodos para produzir um polipeptídeo, um mutante de uma célula originária e uma proteína, para inibir a expressão de um polipeptídeo em uma célula, para degradar ou converter um material contendo celulose e para produzir um produto de fermentação, célula mutante, planta, parte de planta ou célula de planta trangênica, e, molécula de rna inibidor de fita dupla
CA2736661A1 (en) * 2007-09-07 2009-03-12 Dyadic International, Inc. Novel fungal enzymes
WO2009085935A2 (en) * 2007-12-19 2009-07-09 Novozymes A/S Polypeptides having cellulolytic enhancing activity and polynucleotides encoding same

Patent Citations (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH05506994A (ja) * 1990-05-09 1993-10-14 ノボザイムス アクティーゼルスカブ セルロースまたはヘミセルロース分解性酵素
WO2004031378A2 (en) * 2002-10-01 2004-04-15 Novozymes A/S Family gh 61 polypeptides

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2014511673A (ja) * 2011-03-17 2014-05-19 ダニスコ・ユーエス・インク 糖化プロセスにおける粘度を低下させる方法
WO2014077264A1 (ja) * 2012-11-16 2014-05-22 独立行政法人産業技術総合研究所 バイオマス分解用組成物およびそれを用いた糖液の製造方法

Also Published As

Publication number Publication date
EP2235173A2 (en) 2010-10-06
EP2653539A1 (en) 2013-10-23
NZ598403A (en) 2012-07-27
CN101952420A (zh) 2011-01-19
NZ586014A (en) 2012-07-27
US20130117892A1 (en) 2013-05-09
CA2709490A1 (en) 2009-07-09
US20100304434A1 (en) 2010-12-02
WO2009085935A2 (en) 2009-07-09
US8323944B2 (en) 2012-12-04
WO2009085935A3 (en) 2009-10-15
KR20100105849A (ko) 2010-09-30
EA201070764A1 (ru) 2010-12-30
MX2010006629A (en) 2010-07-16
BRPI0821230A2 (pt) 2019-09-24
AU2008343105A1 (en) 2009-07-09
MX293208B (en) 2011-12-06

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US8323944B2 (en) Polypeptides having cellulolytic enhancing activity and polynucleotides encoding same
US8575426B2 (en) Polypeptides having cellulolytic enhancing activity and polynucleotides encoding same
US8455233B2 (en) Polypeptides having cellulolytic enhancing activity and polynucleotides encoding same
US8207400B2 (en) Polypeptides having cellulolytic enhancing activity and polynucleotides encoding same
US8975059B2 (en) Polypeptides having endoglucanase activity and polynucleotides encoding same
US20100306881A1 (en) Polypeptides having Cellulolytic Enhancing Activity and Polynucleotides Encoding Same
US8586828B2 (en) Polypeptides having beta-glucosidase activity and polynucleotides encoding same
US20140096287A1 (en) Polypeptides having endoglucanase activity and polynucleotides encoding same

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20111216

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20130507

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20131015