JP2011253652A - 白色導電性粉末およびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 導電性、および白色度に優れた白色導電性粉末を提供する。さらに、導電性、および白色度に優れ、かつベースコート層やクリアコート層等の2層以上の静電塗装が可能なプライマリー層としての白色導電層を容易に形成することができる白色導電性粉末を提供する。
【解決手段】 Al、TiOおよびSiOを含む複合酸化物粉末の表面に、アンチモンドープ酸化スズ層が存在することを特徴とする、白色導電性粉末である。より好ましくは、複合酸化物粉末が、Al:1重量部に対して、TiOを3〜30重量部、かつSiOを1〜2重量部含む、白色導電性粉末である。
【選択図】 なし

Description

本発明は、導電性を有し、優れた白色度を有する白色粉末に関する。より詳しくは、本発明は、白色無機粉末表面に導電層を有する白色導電性粉末に関する。本発明の白色導電性粉末は、導電性、静電防止、帯電防止、防塵等の機能が必要な分野に用いられ、さらに詳しくは、繊維・ゴム用途としては、導電性または静電防止用合成繊維・床材、フィルム用途としては、帯電防止フィルム、半導体用途としては、ICパッケージやテープ、塗料・インキ用途としては、帯電防止用プラスチック・インキ、帯電防止塗料や静電塗装材料、電子写真用途としては、帯電制御添加剤、静電記録用紙、帯電防止ロール等に応用される。
白色導電性粉末として、白色無機粉末として酸化チタンを用い、酸化チタンをアンチモンドープ酸化スズで被覆することにより、白色導電性粉末の白色度をより高めた技術が公開されている(特許文献1、2)。
しかしながら、上記技術により作製した白色導電性粉末を、例えば、静電塗装用プライマー等に用いた場合、当初は、白色度、導電性について所望の結果が得られものの、プライマー層の上層に、ベースコート層やクリアコート層等の上塗りが行われたときには、導電性が極度に低下することがあった。導電性が低下した層上に静電塗装を試みると、塗着効率の低下が起こり、静電塗装による良好な塗着効果が期待できない(吹き付け塗装と比較して、塗着ロスが削減出来ない)、塗膜に塗り斑が発生する、場合によっては、次工程に移行ができない、また高電圧を印加した時に層上が帯電してしまう等が発生する可能性があるとの問題がある。そのため、静電塗装法により塗装できるのは、プライマー層上には1層のみと限られ、さらにその上層に静電塗装を行うことができなかった。しかしながら、プライマー層上の1層では、所望の色彩、光沢等を得ることができない場合があるため、プライマー層上への2層以上の塗装が望まれている。
また、導電性粉末として、カーボン粉末を用いる場合には、プライマー層上への2層以上の塗装が可能であるものの、カーボンを含む層上にカラーコート等を行っても、くすみ等により所望の色彩を得ることができない。
特開2009−199775号公報 特開2009−199776号公報
本発明者らは、特定の複合酸化物粉末の表面に導電層を有する白色導電性粉末が、従来の導電性粉末における上記問題を解決できることを見出した。本発明は、導電性、および白色度に優れた白色導電性粉末である。さらに、導電性、および白色度に優れ、かつベースコート層やクリアコート層等の2層以上の静電塗装が可能なプライマリー層としての白色導電層を、容易に形成することができる白色導電性粉末を提供する。
本発明は、以下に示す構成によって上記課題を解決した白色導電性粉末に関する。
(1)Al、TiOおよびSiOを含む複合酸化物粉末の表面に、アンチモンドープ酸化スズ層が存在することを特徴とする、白色導電性粉末。
(2)複合酸化物粉末が、Al:1重量部に対して、TiOを3〜30重量部、かつSiOを1〜2重量部含む、上記(1)記載の白色導電性粉末。
(3)複合酸化物粉末:1重量部に対して、アンチモンドープ酸化スズ層を1/2〜2/3重量部含み、かつアンチモンドープ酸化スズ層は、SnO:1質量部に対して、Sbを1/15〜1/8質量部含む、上記(1)または(2)記載の白色導電性粉末。
(4)粉末体積抵抗値が100Ω・cm未満であり、かつ白色導電性粉末のLab表色系におけるL値が70以上である、請求項1〜3のいずれか記載の白色導電性粉末。
(5)上記(1)〜(4)のいずれか記載の白色導電性粉末を、媒体に分散してなる、分散液。
(6)上記(5)記載の分散液に、樹脂を添加した、塗料。
(7)白色導電性粉末を、樹脂:100重量部に対して、100〜200重量部含む塗料であって、前記塗料により形成された厚さ:10〜30μmの白色導電層の表面抵抗値と、白色導電層にさらに厚さ:10〜30μmの上塗り塗料層を形成した塗膜を、温度:20℃、湿度:55%の雰囲気で、10分保持したときの塗膜の表面抵抗値において、〔(塗膜の表面抵抗値)/(白色導電層の表面抵抗値)〕が、100未満である、上記(6)記載の塗料。
(8)上記(6)または(7)記載の塗料により形成された白色導電層を含む塗膜であって、表面抵抗値が10Ω/□未満であり、かつ白色導電層のLab表色系におけるL値が70以上である、塗膜。
(9)(A)TiO粉末と、SiO源とAl源を熱処理して得られた結晶質SiO・Al粉末とを、均一に混合し、複合酸化物粉末を作製する工程、(B)複合酸化物粉末を水中に分散させ分散体を作製する工程、(C)分散体中に、スズ源とアンチモン源を含む水溶液をアルカリ水溶液と共に滴下し、複合酸化物粉末の表面にアンチモンドープ酸化スズを析出させる工程、(D)表面にアンチモンドープ酸化スズ化合物を析出させた複合酸化物粉末を大気中で焼成する工程を、この順で行うことを特徴とする、上記(1)〜(4)のいずれか記載の白色導電性粉末の製造方法。
本発明(1)の白色導電性粉末は、導電性、および白色度に優れた白色導電性粉末である。また、この白色導電性粉末は、水や有機溶剤等の溶媒に分散可能であるので、分散液、さらには塗料等の導電材料として用いることができ、導電性、および白色度に優れた白色導電層を容易に形成することができる。この白色導電性粉末は、導電性、静電防止、帯電防止、防塵等の機能が必要な分野に用いられ、詳しくは、導電性または静電防止用合成繊維・床材、帯電防止フィルム、ICパッケージやテープ、帯電防止用プラスチック・インキ、帯電防止塗料や静電塗装材料、帯電制御添加剤、静電記録用紙、帯電防止ロール等の用途における導電材料として好適に使用される。また、本発明(7)の塗料によれば、ベースコート層やクリアコート層等の2層以上の静電塗装が可能なプライマリー層としての白色導電層を容易に形成することができる。
以下、本発明を実施形態に基づいて具体的に説明する。なお、%は特に示さない限り、また数値固有の場合を除いて質量%である。
〔白色導電性粉末〕
本発明の白色導電性粉末は、Al、TiOおよびSiOを含む複合酸化物粉末の表面に、アンチモンドープ酸化スズ層が存在することを特徴とする。Al、TiOおよびSiO含む複合酸化物粉末を用いることにより、例えばTiOのみを用いた場合よりも、上塗り塗料層を形成した後の導電性低下を著しく抑制することができる。ここで、複合酸化物は、Al、TiOおよびSiOを主成分とし、主成分とは、複合酸化物:100重量部に対して、Al、TiOおよびSiOの合計が、95重量部以上であることをいう。ここで、Al、Ti、Siの分析は、ICP法で行い、AlはすべてAlであり、TiはすべてTiOであり、SiはすべてSiOであるものとして、計算する。
複合酸化物粉末は、TiO粉末とSiO・Al粉末との混合粉末であると、白色度、隠蔽性、導電材(アンチモンドープ酸化スズ)の被覆性の観点から好ましい。TiOはルチル型であることが好ましく、アナタース型やブルッカイト型は導電材の被覆性が劣るため良好な導電性が得られにくい。ここで、SiO・Al粉末の熱処理時に、TiO粉末が共存すると、Tiの還元が起こり、複合酸化物粉末が着色する可能性がある。よって、TiO粉末とSiO・Al粉末の混合粉末を用いることが好ましい。また、TiO・SiO・Alの3成分の粉末を用いる場合には、白色度、導電材(アンチモンドープ酸化スズ)の被覆性の観点からTiは4価であると好ましい。
TiOの結晶形は、特に限定するわけではないがルチル型が好ましい。アナターゼ型やブルッカイト型では表面にアンチモンドープ酸化スズ層を、共沈法等により析出、または形成し難いので工夫が必要である。TiO粉末は、メジアン径が0.01〜0.5μmのものが好ましい。メジアン径が0.01μm以下であると、TiO粉末および/または白色導電性粉末の凝集の問題が生じる、白色度を損なう、多量のアンチモンドープ酸化スズを必要とするため、コスト高になる、良好な隠ぺい力が得られない等の問題がある。メジアン径が0.5μm以上であると、分散時沈降等の問題が生じ易くなる、塗膜の表面粗さにより塗膜の美観性が失われる等の問題がある。ここで、メジアン径は、レーザー回折/散乱法で測定する。また、TiO粉末の形状としては、球状、薄片状、棒状、針状等が挙げられる。なお、上記メジアン径は、いわゆる一次粒子径であるが、いわゆる二次粒子径は、1〜30μmであると、導電層被覆状態の観点から好ましい。ここで、二次粒子径は、電子顕微鏡(SEM)観察により行う。TiO粉末は、単独でも2種以上を混合しても良い。
SiO・Al粉末は、結晶質であると、白色度、導電材(アンチモンドープ酸化スズ)の被覆性の観点から好ましい。SiO・Al粉末としては、ムライト(3Al・2SiO)、雲母、カオリナイト(Al・SiO・2HO)、カオリナイトの脱水物、パイロフィライト(Al・2SiO・HO)、パイロフィライトの脱水物等が挙げられ、これらとSiO、Alの混合物も挙げられる。また、SiO・Al粉末は、メジアン径が0.1〜10μmのものが好ましい。メジアン径が0.1μm以下であると、SiO・Al粉末および/または白色導電性粉末の凝集の問題が生じる、白色度を損なう、多量のアンチモンドープ酸化スズを必要とするため、コスト高になる、上塗り塗料層を形成した後の導電性低下を抑制し難くなる等の問題がある。メジアン径が10μm以上であると、分散時沈降等の問題が生じ易くなる、塗膜の美観性が得られない等の問題がある。なお、SiO・Al粉末は、もろい場合があり、この場合には、分散工程等でメジアン径が変化し得る。SiO・Al粉末の形状は、球状、三角状、四角状、六角状、鱗片状等が挙げられる。SiO・Al粉末は、単独でも2種以上を混合しても良い。
また、SiO・Al粉末は、熱処理温度の低温化、結晶性制御、結晶形制御等の点から、アルカリ金属、アルカリ土類金属を含むことも好ましく、カリウム、マグネシウムを含むと、より好ましく、カリウムを含むと、さらに好ましい。
複合酸化物粉末は、Al:1重量部に対して、TiOを3〜30重量部、かつSiOを1〜2重量部含むと、白色度、隠ぺい力の観点から好ましい。Al:1重量部に対して、TiOを12〜27重量部含むと、より好ましく、SiOを1.3〜1.6重量部含むと、より好ましい。上記の範囲を外れると、白色度・導電性低下抑制等に不具合を生ずる。ここで、Al、Ti、Siの分析は、ICP法で行い、AlはすべてAlであり、TiはすべてTiOであり、SiはすべてSiOであるものとして、計算する。
アンチモンドープ酸化スズ層は、白色導電性粉末に導電性を付与し、アンチモンドープ酸化スズであることが、白色導電性粉末の導電性、および白色導電性粉末を用いた白色導電層の導電安定性の観点から好ましい。アンチモンドープ酸化スズ層は、SnO:1質量部に対して、Sbを(1/15)〜(1/8)質量部含むことが好ましい。1/15質量部未満では、所望の導電性が得ることが難しい、所望の導電性が得られないという問題があり、1/8重量部より多いと、青色や灰色の色調が強くなり、白色度が低下してしまうという問題がある。ここで、SnとSbの分析は、ICP法で行い、SnはすべてSnOであり、SbはすべてSbであるものとして、計算する。
また、複合酸化物粉末:1重量部に対して、アンチモンドープ酸化スズ層を(1/2)〜(2/3)重量部含むことが好ましい。アンチモンドープ酸化スズ層が1/2重量部未満では、所望の導電性を得ることが難しく、2/3質量部より多いと、白色導電性粉末の凝集が発生する、塗膜の美観性が失われるという問題が起こる。
白色導電性粉末の粉末体積抵抗値は、100Ω・cm未満であると好ましく、0.1〜50Ω・cmであると、より好ましい。白色導電性粉末の粉末体積抵抗が、100Ω・cm以上になると、プライマー層として使用した場合、上塗り後の導電性低下を100倍未満に抑えることができても、得られた塗膜の表面抵抗値:10Ω/□未満を達成することが難しくなる。ここで、粉末体積抵抗値は、試料粉末を圧力容器に入れて10MPaで圧縮し、この圧粉をデジタルマルチメーターによって測定する。
白色導電性粉末は、白色度の観点からLab表色系におけるL値が70以上であると、好ましく、80以上であると、より好ましい。L値が70未満では、白色度が満足されず、上塗りにカラーコート層を設けた場合、そのカラーコート層の色がくすんでしまい、鮮明な配色を達成出来なくなる、また、仮にできたとしても、カラーコート層をかなりの厚膜としなければならず、コスト高となる。ここで、白色導電性粉末のL値は、例えば、スガ試験機社製装置(型番:SM−7-IS−2B)を用いて測定する。
本発明の白色導電性粉末の粒径は、特に限定されないが、0.01〜1μmが好ましい。ここで、粒径は、レーザー回折/散乱法で測定するメジアン径をいう。白色導電性粉末の形状は、粒状、薄片状、棒状、針状が好ましい。
〔製造方法〕
以下に、本発明の白色導電性粉末の製造方法は、(A)TiO粉末と、SiO源とAl源を熱処理して得られた結晶質SiO・Al粉末とを、均一に混合し、複合酸化物粉末を作製する工程、(B)複合酸化物粉末を水中に分散させ分散体を作製する工程、(C)分散体中に、スズ源とアンチモン源を含む混合水溶液をアルカリ水溶液と共に滴下し、複合酸化物粉末の表面にアンチモンドープ酸化スズ化合物を析出させる工程、(D)表面にアンチモンドープ酸化スズ化合物を析出させた複合酸化物粉末を大気中で焼成する工程、をこの順で行うことを特徴とする。
《(A)工程》
TiO粉末については、上記のとおりである。SiO源としては、SiO、水ガラス、シリコンテトラエトキシド、シリコンテトラメトキシド等が挙げられ、Al源としては、Al、水酸化アルミニウム、アルミニウムイソプロポキシド、硝酸アルミニウム、硫酸アルミニウム等が挙げられる。熱処理としては、原料にSiOとAlを用いるときには、1400〜1600℃で加熱した後、冷却する方法、原料に水ガラスと水酸化アルミニウムを用いるときには、オートクレーブ等を用いて加圧加熱する方法、原料にシリコンテトラエトキシドとアルミニウムイソプロポキシドを用いるときには600〜1000℃まで加熱し、冷却する方法等が挙げられる。ここで、熱処理した後には、スタンプミル、ボールミル、ハンマーミル等で粉砕することが好ましい。
《(B)工程》
複合酸化物粉末を水中に分散させる装置としては、ビーズミル、ボールミル、サンドミル等が挙げられる。例えば、ビーズミルを用いるときの分散時間の一例は、15〜180分である。
《(C)工程》
スズ源としては、塩化錫等のハロゲン化錫、酸化錫、水酸化錫或いは、錫の硫酸塩、硝酸錫等の錫の無機酸塩(第一錫塩、第二錫塩)等が挙げられ、これらを単独でも2種以上を混合して用いてもよい。第一錫塩としては、フッ化第一錫、塩化第一錫、ホウフッ化第一錫、硫酸第一錫、酸化第一錫、硝酸第一錫、ピロリン酸錫、スルファミン酸錫、亜錫酸塩等の無機系の塩、アルカノールスルホン酸第一錫、スルホコハク酸第一錫、脂肪族カルボン酸第一錫等の有機系の塩等が挙げられ、第二錫塩としては、上記第一錫塩のそれぞれの第二錫塩が挙げられるが、気体であるもの、難溶性のもの等があるので、水酸化錫化合物の原料としては、液体である塩化第二錫または塩化第一錫を用いるのが一般的であり、中でも塩化第二錫または塩化第一錫の塩酸水溶液を用いるのが、工業的にも望ましい。アンチモン源としては、塩化錫等のハロゲン化アンチモン、酸化アンチモン、水酸化アンチモン或いは、アンチモンの硫酸塩、硝酸錫等の無機酸塩等が挙げられ、これらを単独でも2種以上を混合して用いてもよい。好ましくは、塩化アンチモンの塩酸水溶液を用いる。アルカリ水溶液に使用するアルカリとしては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等のアルカリ金属の水酸化物、炭酸塩やアンモニア等が挙げられ、これらを単独でも2種以上を混合して用いてもよい。アンチモンドープ酸化スズ化合物は、主としてアンチモンドープ酸化スズの水酸化物である。分散体中に、スズ源とアンチモン源を含む水溶液をアルカリ水溶液と共に滴下する方法は、当業者に公知の方法でよい。滴下するときには、40〜100℃に加温すると好ましい。
複合酸化物粉末の表面にアンチモン含有スズ化合物を析出させた後に、デカンテーションにより残留塩分を除去して乾燥する。なお、スズ源として塩化スズを用いる場合には、塩酸水溶液を加え、pH10以下でスズ化合物を析出させ、その後の洗浄は塩酸が僅かに残留する程度、例えば、分散体の電気伝導度が、0.4mS/cm未満になるまで、に止めるのが良い。
《(D)工程》
焼成は、400〜800℃で行うことが好ましい。400℃より低いと十分な導電性が得られず、800℃より高いと粉末の焼結が始まるので好ましくない。また、焼成を大気中で行うことにより、白色導電性粉末の白色度を高めることができる。
以上により、導電性、および白色度の高い白色導電性粉末を製造することができる。
〔分散液・塗料〕
本発明の白色導電性粉末は、媒体に分散させて、分散液として使用することができる。ここで、媒体としては、水、エタノール、メタノール、イソプロピルアルコール、トルエン、メチルエチルケトン、プロピレングリコールモノメチルエーテル等が挙げられる。なお、分散液には、無機及び有機分散剤を加えてもよい。
上記分散液の固形分濃度は、質量基準で1〜70%、好ましくは10〜50%で、分散液のpHは4〜12、好ましくは5〜10である。ここで、固形分には、白色導電性粉末、無機及び有機分散剤が含まれる。
上記分散液に、樹脂を添加し、塗料として利用することができる。分散液を塗料化に供すると、塗料化時の分散エネルギーや、白色導電性粉末製造工程における脱水、乾燥エネルギーの軽減を図る上で、好ましい。ここで、樹脂としては、例えば、ポリビニルアルコール樹脂、塩ビ−酢ビ樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、アルキッド樹脂、ポリエステル樹脂、エチレン酢酸ビニル共重合体、アクリル−スチレン共重合体、繊維素樹脂、フェノール樹脂、アミノ樹脂、フッ素樹脂、シリコーン樹脂、石油樹脂、セラック、ロジン誘導体、ゴム誘導体等の天然系樹脂等が挙げられる。
白色導電性粉末の樹脂への配合量は、樹脂100質量部に対して20〜400質量部、好ましくは100〜300質量部である。
本発明の白色導電性粉末を、樹脂100重量部に対して、100〜200重量部含む塗料を作製し、まず、この塗料をプライマー塗料として基板に塗布または印刷後、乾燥し、厚さ:20±10μmの白色導電層を作製する。樹脂は、日本製紙ケミカル社製スーパークロンE−723、DIC社製アクリディックA−168等を使用する。
このとき、基板には、電気・電子機器をはじめとして様々な分野において広く用いられている、各種の合成樹脂、ガラス、セラミックス、金属等を挙げることができ、これらはシート状、フィルム状、板状等の任意の形状であり得る。合成樹脂の具体例としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂およびフェノール樹脂等を挙げることができるが、これらに制限されるものではない。
基板への塗布または印刷は、常法により、例えば、ロールコート、スピンコート、スクリーン印刷、アプリケーター等の手法で行うことができる。その後、塗布組成物を、必要により加熱して水または溶媒を蒸発させ、塗膜を乾燥させて硬化させる。このとき、加熱または紫外線等を照射してもよい。
白色導電層の表面抵抗値は、シート抵抗(単位:Ω/□)として測定する。測定器としては、三菱化学社製ハイレスタ等を用いることができる。本発明の塗料は、白色導電層の表面抵抗値を10Ω/□未満にすることができ、10Ω/□未満であると、上塗り塗装性の観点から好ましい。
また、本発明の白色導電性粉末を含む塗料は、白色導電層のLab表色系におけるL値を70以上にすることができ、70以上であると、上塗り塗装にカラーコートを用いる場合等に好ましい。ここで、L値は、スガ試験機社製SM−7等で測定することができる。
次に、白色導電層の上に、さらに、上塗り塗料を塗布または印刷後、乾燥し、厚さ:20±10μmの上塗り塗料層を形成し、塗膜を作製する。次に、塗膜を、温度:20℃、湿度:55%の雰囲気で、10分保持した後の塗膜の表面抵抗値を測定し、「塗膜の表面抵抗値」とする。本発明の塗料は、表面抵抗値変化、すなわち〔(塗膜の表面抵抗値)/(白色導電層の表面抵抗値)〕を、100未満にすることができる。表面抵抗値変化が100以上になると、静電塗装の塗着効率の低下が起こり、場合によっては、次工程に移行ができない、また高電圧を印加した時に層上が帯電してしまう等が発生する可能性がある。ここで、塗膜の表面抵抗値は、白色導電層の表面抵抗値と同様に測定する。
上塗り塗料としては、導電性、非導電性のいずれも用いることができるが、本発明の塗料は、非導電性の上塗り塗料であっても、表面抵抗値変化を100未満にすることができる。上塗り塗料としては、ベースコート層用塗料、クリアコート層用塗料等が挙げられる。ベースコート層塗料としては、平均粒子径:0.1〜1μmのTiO分散塗料が、クリアコート層塗料としては、例えばラッカー等が挙げられる。ここで、TiO分散塗料には、上記樹脂を用いることができる。
塗膜の表面抵抗値は、10Ω/□未満であり、白色導電層のLab表色系におけるL値は、70以上であると好ましい。
本発明の白色導電性粉末は、導電性、静電防止、帯電防止、防塵等の機能が必要な分野に用いられ、詳しくは、導電性または静電防止用合成繊維・床材、帯電防止フィルム、ICパッケージやテープ、帯電防止用プラスチック・インキ、帯電防止塗料や静電塗装材料、帯電制御添加剤、静電記録用紙、帯電防止ロール等の用途における導電材料として好適に使用される
以下に、実施例により、本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。各例において、粉体体積抵抗値は、横河電機製測定装置(DM−7561)を用い、試料5gを10MPaに加圧し、加圧時の抵抗値(R)と試料の厚み(H)を測定し、式:R(Ω)×S(電極面積:cm)/H(試料厚み:cm)に基づいて求めた。粉体と塗膜のL値は、スガ試験機社製装置(SM−7−IS−2B)を用いて測定した。塗膜の表面抵抗値は、三菱化学製ハイレスタ(型番:ハイレスタ表面高抵抗計HT−210)で測定した。
〔実施例1〕
SiOとAlを重量比で、1.4:1に混合し、1500℃で熱処理した後、ボールミルで平均粒径:3μmに粉砕し、結晶質のSiO・Al粉末を得た。さらに平均粒径:0.3μmのTiO粉末と、SiO・Al粉末を、TiOとAlの重量比が27:1となるように混合し、白色の複合酸化物粉末を得た。この複合酸化物粉末:100gを500gの水に添加し、ビーズミルにて60分間、分散させ、分散体を得た。さらに複合酸化物粉末に対して、アンチモンドープ酸化スズ層の重量比が3:2となり、かつアンチモンドープ酸化スズ層を構成するSnO、Sbの重量比が15:1かつとなるように、55%塩化スズ溶液:138gと60%塩化アンチモン溶液:7gの混合溶液を、35%水酸化ナトリウム水溶液と同時に、分散体中に、pHが2未満を保つように滴下し、アンチモンドープ酸化スズ化合物を析出させた。反応後、分散体の電気伝導度が、0.4mS/cm未満になるまで、デカンテーションにより不純物を除去した。この分散体をろ過した後、110℃で乾燥した。その後、大気雰囲気下、650℃で焼成した後、アトマイザー粉砕を行い、実施例1の白色導電性粉末:163gを得た。得られた白色導電性粉末の粉末体積抵抗値は、23.7Ω・cm、L値は85.4であった。
この白色導電性粉末:7gを、体積比で1:1のトルエン・キシレン混合液:8g中に添加し、分散液を作成した。次に、重量比で粉末:樹脂=7:3.5となるようにアクリル樹脂(DIC社製:型番:A−168)を添加し、さらに分散して、塗料を作製した。この塗料を、ポリプロピレン試験片に塗布、乾燥し、厚さ:15μmの白色導電層を形成した。白色導電層の表面抵抗値は、5.1×10Ω/□、L値は、82.0であった。この白色導電層上に、さらに、30重量%のTiOを分散した塗料を上塗り、乾燥し、厚さ:15μmの上塗り塗料層を形成した塗膜を作製して、温度:20℃、湿度:55%の雰囲気で、10分保持後の塗膜の表面抵抗値を測定したところ、66.0×10Ω/□であった。なお、TiO塗料にも、アクリル樹脂(DIC社製:型番:A−168)を使用した。
〔実施例2〕
SiOとAlを重量比で1.5:1に混合し、1500℃で熱処理した後、ボールミルで平均粒径:3μmに粉砕し、結晶質のSiO・Al粉末を得た。さらに平均粒径:0.3μmのTiO粉末と、SiO・Al粉末を、TiOとAlの重量比が3:1となるように混合し、白色の複合酸化物粉末を得たこと以外は、実施例1と同様にして、実施例2の白色導電性粉末:178gを得た。得られた白色導電性粉末の粉末体積抵抗値は、15.6Ω・cm、L値は76.4であった。
この白色導電性粉末:7gを、体積比で1:1のトルエン・キシレン混合液:8g中に添加し、分散液を作成した。次に、重量比で粉末:樹脂=7:3.5となるようにアクリル樹脂(DIC社製:型番:A−168)を添加し、さらに分散して、塗料を作製した。この塗料を、ポリプロピレン試験片に塗布、乾燥し、厚さ:15μmの白色導電層を形成した。白色導電層の表面抵抗値は、1.0×10Ω/□、L値は、78.1であった。この白色導電層上に、さらに、30重量%TiOを分散した塗料を上塗り、乾燥し、厚さ:15μmの上塗り塗料層を形成した塗膜を作製して、温度:20℃、湿度:55%の雰囲気で、10分保持後の塗膜の表面抵抗を測定したところ、3.1×10Ω/□であった。
〔実施例3〕
複合酸化物粉末に対して、アンチモンドープ酸化スズ層の重量比が2:1、かつアンチモンドープ酸化スズ層を構成するSnO、Sbの重量比が8:1となるように混合し、55%塩化スズ溶液:92gと60%塩化アンチモン溶液:7gの混合溶液を、35%水酸化ナトリウム水溶液と同時に、分散体中に、pHが2未満を保つように滴下し、アンチモンドープ酸化スズ化合物を析出させたこと以外は、実施例1と同様にして、実施例3の白色導電性粉末:140gを得た。得られた白色導電性粉末の粉末体積抵抗値は、18.3Ω・cm、L値は、79.2であった。
この白色導電性粉末:7gを、体積比で1:1のトルエン・キシレン混合液:8g中に添加し、分散液を作成した。次に、重量比で粉末:樹脂=7:3.5となるようにアクリル樹脂(DIC社製:型番:A−168)を添加し、さらに分散して、塗料を作製した。この塗料を、ポリプロピレン試験片に塗布、乾燥し、厚さ:15μmの白色導電層を形成した。白色導電層の表面抵抗値は、2.8×10Ω/□、L値は、77.7であった。この白色導電層上に、さらに30重量%のTiOを分散した塗料を上塗り、乾燥し、厚さ:15μmの上塗り塗料層を形成した塗膜を作製して、温度:20℃、湿度:55%の雰囲気で、10分保持後の塗膜の表面抵抗値を測定したところ、9.2×10Ω/□であった。
〔実施例4〕
SiOとAlを重量比で、1.3:1に混合し、1500℃で熱処理して、結晶質のSiO・Al粉末を得た。さらに平均粒径:0.3μmのTiO粉末と、SiO・Al粉末を、TiOとAlの重量比が30:1となるように混合し、白色の複合酸化物粉末を得たこと以外は、実施例1と同様にして、実施例4の白色導電性粉末:160gを得た。得られた白色導電性粉末の粉末体積抵抗値は、35.4Ω・cm、L値は、86.7であった。
この白色導電性粉末:7gを、体積比で1:1のトルエン・キシレン混合液:8g中に添加し、分散液を作成した。次に、重量比で粉末:樹脂=7:3.5となるようにアクリル樹脂(DIC社製:型番:A−168)を添加し、さらに分散して、塗料を作製した。この塗料を、ポリプロピレン試験片に塗布、乾燥し、厚さ:15μmの白色導電層を形成した。白色導電層の表面抵抗値は、8.8×10Ω/□、L値は、83.1であった。この白色導電層上に、さらに、30重量%のTiOを分散した塗料を上塗り、乾燥し、厚さ:15μmの上塗り塗料層を形成した塗膜を作製して、温度:20℃、湿度:55%の雰囲気で、10分保持後の塗膜の表面抵抗を測定したところ、2.9×10Ω/□であった。
〔実施例5〕
SiOとAlを重量比で、1.3:1に混合し、1500℃で熱処理して、結晶質のSiO・Al粉末を得た。さらに平均粒径:0.26μmのTiO粉末と、SiO・Al粉末を、TiOとAlの重量比が12:1となるように混合し、白色の複合酸化物を得たこと以外は実施例3と同様にして、実施例5の白色導電性粉末:135gを得た。得られた白色導電性粉末の粉末体積抵抗値は、12.7Ω・cm、L値は、77.5であった。
この白色導電性粉末:7gを、体積比で1:1のトルエン・キシレン混合液:8g中に添加し、分散液を作成した。次に、重量比で粉末:樹脂=7:3.5となるようにアクリル樹脂(DIC社製:型番:A−168)を添加し、さらに分散して、塗料を作製した。この塗料を、ポリプロピレン試験片に塗布、乾燥し、厚さ:15μmの白色導電層を形成した。白色導電層の表面抵抗値は、1.4×10Ω/□、L値は、76.5であった。この白色導電層上に、さらに、30重量%のTiOを分散した塗料を上塗り、乾燥し、厚さ:15μmの上塗り塗料層を形成した塗膜を作製して、温度:20℃、湿度:55%の雰囲気で、10分保持後の塗膜の表面抵抗値を測定したところ、5.6×10Ω/□であった。
〔参考例1〕
SiOとAlを重量比で、1.3:1に混合し、1500℃で熱処理して、結晶質のSiO・Al粉末を得た。さらに平均粒径:0.3μmのTiO粉末と、SiO・Al粉末を、TiOとAlの重量比が40:1となるように混合して、白色の複合酸化物粉末を得たこと以外は、実施例1と同様にして、参考例1の白色導電性粉末:160gを得た。得られた白色導電性粉末の粉末体積抵抗値は、25.6Ω・cm、L値は87.0であった。
この白色導電性粉末:7gを、体積比で1:1のトルエン・キシレン混合液:8g中に添加し、分散液を作成した。次に、重量比で粉末:樹脂=7:3.5となるようにアクリル樹脂(DIC社製:型番:A−168)を添加し、さらに分散して、塗料を作製した。この塗料を、ポリプロピレン試験片に塗布、乾燥し、厚さ:15μmの白色導電層を形成した。白色導電層の表面抵抗値は、6.5×10Ω/□、L値は、83.4であった。この白色導電層上に、さらに、30重量%のTiOを分散した塗料を上塗り、乾燥し、厚さ:15μmの上塗り塗料層を形成した塗膜を作製して、温度:20℃、湿度:55%の雰囲気で、10分保持後の塗膜の表面抵抗値を測定したところ、9.8×10Ω/□であった。
〔参考例2〕
複合酸化物粉末に対して、アンチモンドープ酸化スズ層の重量比が5:2となり、かつアンチモンドープ酸化スズ層を構成するSnO、Sbの重量比が10:1となるように、55%塩化スズ溶液:76gと60%塩化アンチモン溶液:7gの混合溶液を、35%水酸化ナトリウム水溶液と同時に、分散体中に、pHが2未満を保つように滴下し、アンチモンドープ酸化スズ化合物を析出させたこと以外は実施例1と同様にして、参考例2の白色導電性粉末:136gを得た。得られた白色導電性粉末の粉末体積抵抗値は、153.1Ω・cm、L値は、87.4であった。
この白色導電性粉末:7gを、体積比で1:1のトルエン・キシレン混合液:8g中に添加し、分散液を作成した。次に、重量比で粉末:樹脂=7:3.5となるようにアクリル樹脂(DIC社製:型番:A−168)を添加し、さらに分散して、塗料を作製した。この塗料を、ポリプロピレン試験片に塗布、乾燥し、厚さ:15μmの白色導電層を形成した。白色導電層の表面抵抗値は、6.7×10Ω/□、L値は、85.4であった。この白色導電性層上に、さらに、30重量%のTiOを分散した塗料を上塗り、乾燥し、厚さ:15μmの上塗り塗料層を形成した塗膜を作製して、温度:20℃、湿度:55%の雰囲気で、10分保持後の塗膜の表面抵抗値を測定したところ、3.2×10Ω/□であった。
〔参考例3〕
SiOとAlを重量比で、1.3:1に混合し、1500℃で熱処理して、結晶質のSiO・Al粉末を得た。さらに平均粒径:0.3μmのTiO粉末と、SiO・Al粉末を、TiOとAlの重量比が2:1となるように混合して、白色の複合酸化物粉末を得たこと以外は、実施例1と同様にして、参考例3の白色導電性粉末:155gを得た。得られた白色導電性粉末の粉末体積抵抗値は、7.8Ω・cm、L値は63.2であった。
この白色導電性粉末:7gを、体積比で1:1のトルエン・キシレン混合液:8g中に添加し、分散液を作成した。次に、重量比で粉末:樹脂=7:3.5となるようにアクリル樹脂(DIC社製:型番:A−168)を添加し、さらに分散して、塗料を作製した。この塗料を、ポリプロピレン試験片に塗布、乾燥し、厚さ:15μmの白色導電層を形成した。白色導電層の表面抵抗値は、1.2×10Ω/□、L値は、65.9であった。この白色導電層上に、さらに、30重量%のTiOを分散した塗料を上塗り、乾燥し、厚さ:15μmの上塗り塗料層を形成した塗膜を作製して、温度:20℃、湿度:55%の雰囲気で、10分保持後の塗膜の表面抵抗値を測定したところ、4.3×10Ω/□であった。
〔参考例4〕
SiOとAlを重量比で、0.1:1に混合し、1500℃で熱処理して、結晶質のSiO・Al粉末を得たこと以外は、実施例5と同様にして、参考例4の白色導電性粉末:129gを得た。得られた白色導電性粉末の粉末体積抵抗値は、230.5Ω・cm、L値は79.9であった。
この白色導電性粉末:7gを、体積比で1:1のトルエン・キシレン混合液:8g中に添加し、分散液を作成した。次に、重量比で粉末:樹脂=7:3.5となるようにアクリル樹脂(DIC社製:型番:A−168)を添加し、さらに分散して、塗料を作製した。この塗料を、ポリプロピレン試験片に塗布、乾燥し、厚さ:15μmの白色導電層を形成した。白色導電層の表面抵抗値は、2.8×10Ω/□、L値は、78.1であった。この白色導電層上に、さらに、30重量%のTiOを分散した塗料を上塗り、乾燥し、厚さ:15μmの上塗り塗料層を形成した塗膜を作製して、温度:20℃、湿度:55%の雰囲気で、10分保持後の塗膜の表面抵抗値を測定したところ、5.5×1010Ω/□であった。
〔参考例5〕
SiOとAlを重量比で、3.0:1に混合し、1500℃で熱処理して、結晶質のSiO・Al粉末を得た以外は、実施例2と同様にして、参考例5の白色導電性粉末を得た。得られた白色導電性粉末の粉末体積抵抗値は、20.0Ω・cm、L値は78.4であった。
この白色導電性粉末:7gを、体積比で1:1のトルエン・キシレン混合液:8g中に添加し、分散液を作成した。次に、重量比で粉末:樹脂=7:3.5となるようにアクリル樹脂(DIC社製:型番:A−168)を添加し、さらに分散して、塗料を作製した。この塗料を、ポリプロピレン試験片に塗布、乾燥し、厚さ:15μmの白色導電層を形成した。白色導電層の表面抵抗値は、8.7×10Ω/□、L値は76.3であった。この白色導電層上に、さらに30重量%のTiOを分散した塗料を上塗り、乾燥し、厚さ:15μmの上塗り塗料層を形成した塗膜を作製して、温度:20℃、湿度:55%の雰囲気で、10分保持後の塗膜の表面抵抗値を測定したところ、1.5×10Ω/□であった。
表1、表2に、実施例1〜5、参考例1〜5の配合量、試験結果を示す。表中、「ATO」は、「アンチモンドープ酸化スズ」を示し、「表面抵抗値の変化」は、〔(塗膜の表面抵抗値)/(白色導電層の表面抵抗値)〕を示す。「粉末体積抵抗値の評価」は、100Ω・cm未満を「○」、100Ω・cm以上を「×」とした。「L値の評価」では、L値が70以上を「○」、70未満を「×」とした。「白色導電層の評価」では、白色導電層の表面抵抗値が10Ω/□未満であり、かつL値が70以上を「○」、それ以外を「×」とした。「塗膜の評価」では、塗膜の表面抵抗値が10Ω/□未満であり、かつL値が70以上を「○」、それ以外を「×」とした。「静電塗装の可否」は、塗膜の表面抵抗値が10Ω/□未満であり、かつ表面抵抗値の変化が100未満を「可」、それ以外を「否」とし、特に、塗膜の表面抵抗値が1×1010Ω/□のときを「不可」とした。また、例えば、表中の数値:「5.1E+05」は、「5.1×1005」である。
Figure 2011253652
Figure 2011253652
表1から明らかなように、実施例1〜5は、白色導電性粉末の粉末体積抵抗値、L値が、すべてにおいて良好であり、白色導電層、塗膜の評価についてもすべて良好であった。表2からわかるように、TiOを40重量部含む参考例1は、表面抵抗値の変化が150.8と大きく、静電塗装に適さない値であった。複合酸化物粉末:ATO層の重量比が、5:2の参考例2は、粉末体積抵抗値が153.1Ω・cmと大きく、塗膜の表面抵抗値も3.2×10Ω/□と大きくなり、静電塗装に適さない値であった。TiOを2重量部含む参考例3は、白色導電性粉末のL値が、63.2と低く、白色導電層のL値も低かった。SiOを0.1重量部含む参考例4は、粉末定積抵抗値が230.5Ω・cmと大きく、塗膜の表面抵抗値が5.5×1010Ω/□、表面抵抗値の変化が1964.3と非常に大きくなり、静電塗装ができない値であった。SiOを3.0重量部含む参考例5は、塗膜の表面抵抗値が1.5×10Ω/□、表面抵抗値の変化が172.4と大きく、静電塗装に適さない値であった。
本発明は、実施例1〜5に示すように、優れた導電性、白色度を有する白色導電性錫粉末であり、これを用いた塗料は、2層以上の静電塗装を可能とする白色導電層を容易に形成することができることがわかった。

Claims (9)

  1. Al、TiOおよびSiOを含む複合酸化物粉末の表面に、アンチモンドープ酸化スズ層が存在することを特徴とする、白色導電性粉末。
  2. 複合酸化物粉末が、Al:1重量部に対して、TiOを3〜30重量部、かつSiOを1〜2重量部含む、請求項1記載の白色導電性粉末。
  3. 複合酸化物粉末:1重量部に対して、アンチモンドープ酸化スズ層を1/2〜2/3重量部含み、かつアンチモンドープ酸化スズ層は、SnO:1質量部に対して、Sbを1/15〜1/8質量部含む、請求項1または2記載の白色導電性粉末。
  4. 粉末体積抵抗値が100Ω・cm未満であり、かつ白色導電性粉末のLab表色系におけるL値が70以上である、請求項1〜3のいずれか1項記載の白色導電性粉末。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項記載の白色導電性粉末を、媒体に分散してなる、分散液。
  6. 請求項5記載の分散液に、樹脂を添加した、塗料。
  7. 白色導電性粉末を、樹脂:100重量部に対して、100〜200重量部含む塗料であって、前記塗料により形成された厚さ:10〜30μmの白色導電層の表面抵抗値と、白色導電層にさらに厚さ:10〜30μmの上塗り塗料層を形成した塗膜を、温度:20℃、湿度:55%の雰囲気で、10分保持したときの塗膜の表面抵抗値において、〔(塗膜の表面抵抗値)/(白色導電層の表面抵抗値)〕が、100未満である、請求項6記載の塗料。
  8. 請求項6または7記載の塗料により形成された白色導電層を含む塗膜であって、表面抵抗値が10Ω/□未満であり、かつ白色導電層のLab表色系におけるL値が70以上である、塗膜。
  9. (A)TiO粉末と、SiO源とAl源を熱処理して得られた結晶質SiO・Al粉末とを、均一に混合し、複合酸化物粉末を作製する工程、(B)複合酸化物粉末を水中に分散させ分散体を作製する工程、(C)分散体中に、スズ源とアンチモン源を含む水溶液をアルカリ水溶液と共に滴下し、複合酸化物粉末の表面にアンチモンドープ酸化スズ化合物を析出させる工程、(D)表面にアンチモンドープ酸化スズ化合物を析出させた複合酸化物粉末を大気中で焼成する工程、をこの順で行うことを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項記載の白色導電性粉末の製造方法。
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