以下、図面を参照して発明を実施するための形態について説明する。なお、各図面において、同一構成部分には同一符号を付し、重複した説明を省略する場合がある。
〈第1の実施の形態〉
[第1の実施の形態に係る半導体検査装置の構造]
始めに、第1の実施の形態に係る半導体検査装置の構造について説明する。図1は、第1の実施の形態に係る半導体検査装置を例示する断面図である。図1において、X方向は後述する基板本体21の面21aと平行な方向、Y方向はX方向に垂直な方向(紙面奥行き方向)、Z方向はX方向及びY方向に垂直な方向(基板本体21の厚さ方向)をそれぞれ示している(以降の図においても同様)。
図1を参照するに、第1の実施の形態に係る半導体検査装置10は、第1基板20と、第2基板30と、接合部40とを有し、第1基板20と第2基板30とは、接合部40を介して固定されている。
第1基板20は、基板本体21と、ビアホール21xと、絶縁層22と、ビア配線23と、配線パターン24と、ボール支持部25と、導電性ボール26とを有する。第2基板30は、基板本体31と、ビアホール31xと、絶縁層32と、貫通電極33と、配線パターン34と、突起バンプ35と、ポスト36とを有する。以下、半導体検査装置10を構成する第1基板20、第2基板30、及び接合部40について詳説する。
第1基板20において、基板本体21は、配線パターン24等を形成する基体となる部分である。基板本体21の材料としては、シリコン、ガラス、セラミック、絶縁性樹脂(エポキシ系樹脂等)等を用いることができる。但し、半導体検査装置10の検査対象物である半導体装置は、シリコン基板を有するものが多いため、熱膨張係数を整合させる観点から、基板本体21の材料としては、シリコンやシリコンに熱膨張係数が近い硼珪酸ガラスを用いると好適である。硼珪酸ガラスは、硼酸(B2O3)と珪酸(SiO2)を主成分として含むガラスであり、熱膨張係数は3ppm/℃程度である。
基板本体21の厚さは、例えば、600〜800μm程度とすることができる。なお、基板本体21の熱膨張係数を半導体検査装置10の検査対象物である半導体装置の熱膨張係数と整合させる理由は、高温環境下や低温環境下で検査する場合でも、半導体検査装置10と検査対象物である半導体装置との位置ずれが生じ難くするためである。以下、基板本体21がシリコンである場合を例にして説明する。
ビアホール21xは、基板本体21の面21aから面21bに貫通する貫通孔である。ビアホール21xの配設ピッチは、適宜選択することが可能であるが、例えば400〜1500μm程度とすることができる。ビアホール21xは、例えば平面視において(Z方向から視て、以下同様)円形であり、その直径は、例えば300〜1000μm程度とすることができる。
絶縁層22は、基板本体21の面21a及び21b並びにビアホール21xの内側面を含む基板本体21の表面に形成されている。絶縁層22は、基板本体21とビア配線23及び配線パターン24との間を絶縁するための膜である。絶縁層22の材料としては、例えば、二酸化珪素(SiO2)や窒化珪素(SiN)、ポリイミド等を用いることができる。絶縁層22の厚さは、例えば1〜2μm程度とすることができる。
ビア配線23は、ビアホール21xの内側面上に絶縁層22を介して形成されている。ビア配線23の材料としては、例えば銅(Cu)等を用いることができる。ビア配線23は、複数の層から構成されていても良く、表面に金(Au)めっき等が施されていても良い。ビア配線23の厚さは、例えば10μm程度とすることができる。
配線パターン24は、基板本体21の面21a上に絶縁層22を介して形成されている。配線パターン24は、ビア配線23と電気的に接続されている。配線パターン24は、後述するテスト基板と電気的に接続される電極パッドとして機能する。配線パターン24の材料としては、例えば銅(Cu)等を用いることができる。配線パターン24は、複数の層から構成されていても良く、表面に金(Au)めっき等が施されていても良い。配線パターン24の厚さは、例えば10μm程度とすることができる。
配線パターン24上に、必要に応じて、更に絶縁層と配線パターンを必要な層数だけ積層しても構わない。又、配線パターン24上に、所定の開口部を有するオーバーコート層を形成しても構わない。この場合には、配線パターン24のオーバーコート層の開口部から露出する部分が、後述するテスト基板と電気的に接続される電極パッドとして機能する。
ボール支持部25は、ビアホール21xの一方の側(基板本体の面21a側)を封止するように設けられている。ビアホール21xとボール支持部25は凹部を形成しており、凹部の深さは、例えば、500〜700μm程度とすることができる。
ボール支持部25の厚さは、例えば100μm程度とすることができる。ボール支持部25の材料としては、シリコン樹脂やゴム系樹脂等の弾性変形可能な樹脂を用いることができる。ゴム系樹脂の一例を挙げれば、ポリウレタンゴム、スチレンブタジエンゴム、ブタジエンゴム、イソプレンゴム、クロロプレンゴム、イソブチレン・イソプレンゴム、アクリロニトリルブタジエンゴム、塩素化ブチルゴム、アクリルゴム、エピクロルヒドリンゴム等の樹脂である。
ボール支持部25は、導電性ボール26が第2基板30により基板本体21の面21b側から面21a側に押されたときに、導電性ボール26を支持する機能を有する。この際、ボール支持部25は、弾性変形することで第2基板30から受ける力を吸収するため、導電性ボール26やポスト36が損傷することを防止できる。
導電性ボール26は、ビアホール21xとボール支持部25が形成する凹部内に、可動できる状態で複数個収容されている。導電性ボール26は、凹部内が充填されるほど目一杯に収容されているわけではなく、周囲に遊びがある状態で収容されている。これにより、導電性ボール26が第2基板30により基板本体21の面21b側から面21a側に押されたときに、各導電性ボール26が可動し、各導電性ボール26に大きな力が加わることを防げる。なお、各導電性ボール26は、可動しても他の導電性ボール26と接触し、何れかの導電性ボール26がビア配線23と接触してビア配線23と導通する。
このように、弾性変形可能なボール支持部25を設けることと、導電性ボール26の周囲に遊びを設け各導電性ボール26が可動できる状態で収容することにより、導電性ボール26が損傷することを防いでおり、繰り返し使用にも耐えることができる。但し、導電性ボール26の周囲に遊びを設け各導電性ボール26が可動できる状態で収容することのみでも、導電性ボール26に加わる力を低減できるため、仕様によっては、ボール支持部25の材料として、シリコン樹脂やゴム系樹脂等の弾性変形可能な樹脂を用いず、エポキシ樹脂や金属層等を用いても構わない。この場合にも、ある程度の繰り返し使用に耐えることができる。
導電性ボール26としては、金(Au)ボール、銅(Cu)ボール、ニッケル(Ni)ボール、樹脂コアのボール(Ni、Cu、はんだ等)、はんだボール等の導電性のボールを用いることができる。なお、導電性ボール26の表面に、抵抗変化が少ない金(Au)めっき等を施すと好適である。導電性ボール26の直径は、ビアホール21xの直径及びビアホール21xとボール支持部25が形成する凹部の深さよりも小さく、例えば10〜200μm程度とすることができる。ビアホール21xとボール支持部25が形成する1つの凹部内に収容される導電性ボール26の数量は、その直径により異なるが、例えば数個から数千個程度とすることができる。
第2基板30において、基板本体31は、配線パターン34等を形成する基体となる部分である。基板本体31の材料としては、基板本体21と同様に、シリコン、ガラス、セラミック、絶縁性樹脂(エポキシ系樹脂等)等を用いることができる。但し、基板本体21と同様の理由から、基板本体31の材料としては、シリコンやシリコンと熱膨張係数が近い硼珪酸ガラスを用いると好適である。
基板本体31の厚さは、例えば、200〜300μm程度とすることができる。なお、基板本体31の熱膨張係数を半導体検査装置10の検査対象物である半導体装置の熱膨張係数と整合させる理由は、基板本体21の場合と同様である。以下、基板本体31がシリコンである場合を例にして説明する。
ビアホール31xは、基板本体31の面31aから面31bに貫通する貫通孔である。ビアホール31xは、平面視においてビアホール21xに対応する位置に設けられている。つまり、ビアホール31xの配設ピッチは、ビアホール21xの配設ピッチと同一である。ビアホール21xは、例えば平面視において円形であり、その直径は、例えば50〜200μm程度とすることができる。
絶縁層32は、基板本体31の面31a及び31b並びにビアホール31xの内側面を含む基板本体31の表面に形成されている。絶縁層32は、基板本体31と貫通電極33、配線パターン34、及びポスト36との間を絶縁するための膜である。絶縁層32の材料としては、例えば、二酸化珪素(SiO2)や窒化珪素(SiN)、ポリイミド等を用いることができる。絶縁層32の厚さは、例えば1〜2μm程度とすることができる。
貫通電極33は、ビアホール31xを充填するように形成されている。貫通電極33の一方の面は基板本体31の面31aに形成された絶縁層32の上面と略面一であり、貫通電極33の他方の面は基板本体31の面31bに形成された絶縁層32の上面と略面一である。貫通電極33の直径は、ビアホール31xの直径(例えば50〜200μm程度)と略同一である。貫通電極33の材料としては、例えば銅(Cu)等を用いることができる。
配線パターン34は、基板本体31の面31b上に絶縁層32を介して形成されている。配線パターン34は、貫通電極33と電気的に接続されている。配線パターン34は、貫通電極33のピッチと突起バンプ35のピッチとを変換するために設けられている。配線パターン34の厚さは、例えば10μm程度とすることができる。配線パターン34の材料としては、例えば銅(Cu)等を用いることができる。配線パターン34は、複数の層から構成されていても良く、表面に金(Au)めっき等が施されていても良い。
突起バンプ35は、配線パターン34上に形成されている。突起バンプ35は例えば円柱状であり、半導体検査装置10の検査対象物である半導体装置の電極パッドと接触する接触子(プローブ)としての機能を有する。そのため、突起バンプ35は、検査対象物である半導体装置の電極パッドに対応する位置に設けられている。例えば、検査対象物である半導体装置の電極パッドがペリフェラル状に設けられていれば、突起バンプ35もペリフェラル状に設けられ、検査対象物である半導体装置の電極パッドがエリアアレイ状に設けられていれば、突起バンプ35もエリアアレイ状に設けられる。なお、突起バンプ35は、例えば円錐状、円錐台形状、半球状、角柱状、角錐状等であっても構わない。
突起バンプ35のピッチは、半導体装置の電極パッドのピッチに対応し、例えば10〜100μm程度とすることができる。なお、突起バンプ35は、配線パターン34によりピッチ変換されているため、貫通電極33よりも狭ピッチとされている。突起バンプ35は、半導体装置の電極パッドと繰り返し接触する部分であるため、固くて変形や摩耗をしづらい材料を用いると好適であり、例えばニッケル(Ni)、銅(Cu)、金(Au)、ロジウム(Rh)等を用いることができる。
突起バンプ35の配線パターン34の上面からの突起量(高さ)は、例えば20〜50μm程度とすることができる。なお、配線パターン34上に、突起バンプ35を露出するオーバーコート層を形成しても構わない。なお、突起バンプ35は、本発明に係る導電性の第2突起部の代表的な一例である。
ポスト36は、貫通電極33の一方の面(基板本体31の面31a側の面)を含む部分に形成されている。ポスト36は例えば円柱状であり、その中心は貫通電極33の中心と略一致している。ポスト36の直径は、貫通電極33の直径(例えば50〜200μm程度)と同等以上であることが好ましく、例えば200〜900μm程度とすることができる。ポスト36の絶縁層32の上面からの突起量(高さ)は、例えば150〜200μm程度とすることができる。なお、ポスト36は、例えば円錐状、円錐台形状、半球状、角柱状、角錐状等であっても構わない。
ポスト36の一端(貫通電極33と接していない側)は、ビアホール21xとボール支持部25が形成する凹部内に入り込み、凹部内に収容された導電性ボール26の何れかと接触し導通している。ポスト36は、導電性ボール26をビアホール21xに閉じこめる機能を有する。又、ポスト36は、突起バンプ35を、配線パターン34及び貫通電極33を介して、第1基板20のビアホール21xとボール支持部25が形成する凹部内に収容された導電性ボール26と電気的に接続する機能を有する。ポスト36の材料としては、例えばニッケル(Ni)、銅(Cu)、金(Au)等を用いることができる。なお、ポスト36は、本発明に係る導電性の第1突起部の代表的な一例である。
接合部40は、第1基板20の基板本体21の面21bに形成された絶縁層22と、第2基板30の基板本体31の面31aに形成された絶縁層32とを接合している。接合部40の厚さは、例えば100μm程度とすることができる。接合部40の材料としては、シリコン樹脂やゴム系樹脂等の弾性変形可能な樹脂を用いることができる。ゴム系樹脂の一例を挙げれば、ポリウレタンゴム、スチレンブタジエンゴム、ブタジエンゴム、イソプレンゴム、クロロプレンゴム、イソブチレン・イソプレンゴム、アクリロニトリルブタジエンゴム、塩素化ブチルゴム、アクリルゴム、エピクロルヒドリンゴム等の樹脂である。
接合部40が弾性変形可能であるため、第2基板30は、第1基板20に対して完全には固定されてなく、全ての突起バンプ35が検査対象物である半導体装置の全ての電極パッドと接触するように微動する。例えば、検査対象物である半導体装置が第1基板20に対して傾いていれば、弾性変形可能な接合部40が弾性変形し、第2基板30は、検査対象物である半導体装置と略平行になるように自動調整される。なお、微動する範囲は、例えばXYZ方向それぞれに、数μm〜数十μm程度とすることができる。
なお、第2基板30及び接合部40は、第1基板20から剥離することができる。そのため、例えば、接触子(プローブ)として機能する突起バンプ35の寿命等により第2基板30の交換が必要になった場合に、第1基板20を再利用し、第2基板30のみを新品と交換できる。
次に、半導体検査装置10を用いて、半導体装置を検査する方法について説明する。図2は、第1の実施の形態に係る半導体検査装置を検査対象物である半導体装置に接触させた状態を例示する図である。図2において、100は、テスト基板であり、200は、検査対象物である半導体装置である。
テスト基板100は、基板本体110に、配線パターン120、ビア配線130、オーバーコート層140、接続端子150等が設けられたものであり、接続端子150を介して、半導体検査装置10の配線パターン24と電気的に接続されている。テスト基板100は、半導体検査システム(図示せず)と電気的に接続されており、テスト基板100を介して半導体検査装置10に検査用の電気信号が入出力される。なお、図2の例では、第1基板20とテスト基板100とを接続する接続端子150が基板本体110側に設けられているが、接続端子150は第1基板20側(配線パターン24上)に設けられていても良い。
半導体装置200は、半導体基板210に電極パッド220等が設けられたものである。半導体基板210は、例えばシリコン(Si)等からなる基板に半導体集積回路(図示せず)が形成されたものである。電極パッド220は、半導体基板210の一方の側にペリフェラル状やエリアアレイ状に形成されており、半導体集積回路(図示せず)と電気的に接続されている。
半導体装置200の検査時には、半導体装置200は半導体検査装置10との位置合わせが可能な載置台(図示せず)に載置され、半導体検査装置10の各突起バンプ35と半導体装置200の各電極パッド220とが位置合わせされる。半導体検査装置10は、Z方向に可動できるように構成されており、半導体検査装置10がZ方向(半導体装置200の方向)に可動することにより、接触子(プローブ)としての機能を有する半導体検査装置10の各突起バンプ35は、半導体装置200の各電極パッド220に所定の力で押圧され、各突起バンプ35の上面(配線パターン34と反対側の面)が、各電極パッド220の上面(半導体基板210と反対側の面)と接触する。
半導体検査装置10は、弾性変形可能な接合部40の柔軟性により、各突起バンプ35を各電極パッド220に接触させることができる。又、各突起バンプ35と各電極パッド220との間で針圧が発生するが、弾性変形可能な接合部40の柔軟性により、極めて低針圧となるため、半導体装置200に損傷を与え難い構造となっている。
各突起バンプ35と各電極パッド220とが接触することにより、半導体装置200の電極パッド220は、突起バンプ35、配線パターン34、貫通電極33、ポスト36、ポスト36と接触する導電性ボール26、導電性ボール26と側面で導通するビア配線23、配線パターン24を介して、テスト基板100と電気的に接続される。その結果、半導体検査システム(図示せず)は、半導体装置200の各回路間の導通の良否を判別するプロービング検査、高温中において熱的又は電気的ストレスを回路に付与して不良を加速選別するバーンイン検査、及び最終的に高周波で検査を行う最終検査等の電気的特性の検査を行うことができる。
なお、前述のように、半導体検査装置10の第2基板30は、第1基板20に対して完全には固定されてなく、全ての突起バンプ35が検査対象物である半導体装置200の全ての電極パッド220と接触するように微動する。例えば、図3に示すように、検査対象物である半導体装置200が第1基板20に対して傾いていれば、弾性変形可能な接合部40が弾性変形し、第2基板30は、半導体装置200と略平行になるように自動調整される。
このように、半導体検査装置10は、テスト基板100と検査対象物である半導体装置200との間に配置され、テスト基板100と半導体装置200とを一時的に電気的に接続し、半導体装置200を検査するための電気信号を入出力する。この際、半導体検査装置10の各突起バンプ35の上面は、半導体装置200の各電極パッド220の上面と精度良く接触できる。又、半導体検査装置10の弾性変形可能なボール支持部25及び弾性変形可能な接合部40の働きにより、半導体装置200に損傷を与えることを防止できる。
[第1の実施の形態に係る半導体検査装置の製造方法]
次に、第1の実施の形態に係る半導体検査装置の製造方法について説明する。図4〜図6は、第1の実施の形態に係る半導体検査装置の製造工程を例示する図である。なお、図4A〜図4Eは第1基板20の製造工程の一部を例示する図、図5A〜図5Dは第2基板30の製造工程を例示する図、図6A〜図6Cは第1基板20の製造工程の残部と、第1基板20と第2基板30とを接合部40を介して接合する工程を例示する図である。
始めに、図4Aに示す工程では、基板本体21を準備し、基板本体21の面21aにスルーホール21xに対応する開口部80xを有するレジスト層80を形成する。基板本体21は、例えば6インチ(約150mm)、8インチ(約200mm)、12インチ(約300mm)等のシリコンウェハを、所定の大きさに個片化したものである。シリコンウェハの厚さは、例えば0.625mm(6インチの場合)、0.725mm(8インチの場合)、0.775mm(12インチの場合)等であるが、バックサイドグラインダー等で適宜薄型化することができる。なお、本実施の形態では、最初に基板本体21を個片化する工程を例示するが、最初にシリコンウェハの状態で後述する各工程を実施し、最後に個片化しても構わない。
レジスト層80を形成するには、基板本体21の面21aに、例えばアクリル系樹脂やエポキシ系樹脂やイミド系樹脂等を含む感光性樹脂組成物からなる液状又はペースト状のレジストを塗布する。或いは、基板本体21の面21aに、例えばアクリル系樹脂やエポキシ系樹脂やイミド系樹脂等を含む感光性樹脂組成物からなるフィルム状のレジストをラミネートする。そして、塗布又はラミネートしたレジストを露光及び現像することで開口部80xを形成する。これにより、開口部80xを有するレジスト層80が形成される。なお、予め開口部80xを形成したフィルム状のレジストを基板本体21の面21aにラミネートしても構わない。
次いで、図4Bに示す工程では、図4Aに示すレジスト層80をマスクとして基板本体21をエッチングすることにより、基板本体21の面21aから面21bに貫通する貫通孔であるビアホール21xを形成する。ビアホール21xは、例えばSF6(六フッ化硫黄)を用いた反応性イオンエッチング(DRIE:Deep Reactive Ion Etching)等の異方性エッチング法により形成することができる。ビアホール21xの配設ピッチは、開口部80xの配設ピッチに対応し、例えば400〜1500μm程度とすることができる。ビアホール21xは、例えば平面視において円形であり、その直径は、例えば300〜1000μm程度とすることができる。
次いで、図4Cに示す工程では、図4Bに示すレジスト層80を除去した後、基板本体21の面21a及び21b並びにビアホール21xの内側面を含む基板本体21の表面に、絶縁層22を形成する。絶縁層22としては、熱酸化膜(SiO2)を用いることができる。絶縁層22は、基板本体21の表面近傍の温度を例えば1000℃以上とするウェット熱酸化法により熱酸化することで形成できる。絶縁層22の厚さは、例えば1〜2μm程度とすることができる。なお、絶縁層22として、CVD法等により、例えば二酸化珪素(SiO2)や窒化珪素(SiN)等の膜を形成しても構わない。
次いで、図4Dに示す工程では、ビアホール21xの内側面の絶縁層22上にビア配線23を形成する。ビア配線23の材料としては、例えば銅(Cu)等を用いることができる。ビア配線23は、例えばスパッタ法、無電解めっき法、電解めっき法等により形成できる。なお、ビア配線23は、複数の層から構成されていても良く、表面に金(Au)めっき等が施されていても良い。
次いで、図4Eに示す工程では、基板本体21の面21aに形成された絶縁層22上に、ビア配線23と電気的に接続される配線パターン24を形成する。配線パターン24は、例えばセミアディティブ法、サブトラクティブ法、リフトオフ法等により形成できる。配線パターン24の厚さは、例えば10μm程度とすることができる。配線パターン24の材料としては、例えば銅(Cu)等を用いることができる。配線パターン24は、複数の層から構成されていても良く、表面に金(Au)めっき等が施されていても良い。
次いで、図5Aに示す工程では、図4A〜図4Cと同様な工程により、ビアホール31xを有する基板本体31を作製し、基板本体31の面31a及び31b並びにビアホール31xの内側面を含む基板本体31の表面に絶縁層32を形成した後、ビアホール31x内に貫通電極33を充填する。貫通電極33の直径は、ビアホール31xの直径(例えば50〜200μm程度)と略同一である。貫通電極33の材料としては、例えば銅(Cu)等を用いることができる。
貫通電極33は、例えば無電解めっき法や電解めっき法等により形成できる。貫通電極33は、例えばビアホール31x内に、銅(Cu)ペースト等を充填して形成しても構わない。なお、貫通電極33の材料は銅(Cu)には限定されず、金(Au)やニッケル(Ni)等の導電性材料を適宜選択することができる。必要に応じ、CMP(Chemical Mechanical Polishing)等により平坦化を行っても構わない。平坦化により、貫通電極33の一方の面は基板本体31の面31aに形成された絶縁層32の上面と略面一に、貫通電極33の他方の面は基板本体31の面31bに形成された絶縁層32の上面と略面一にできる。
次いで、図5Bに示す工程では、基板本体31の面31bに形成された絶縁層32上に、貫通電極33と電気的に接続される配線パターン34を形成する。配線パターン34は、例えばセミアディティブ法、サブトラクティブ法、リフトオフ法等により形成できる。配線パターン34の厚さは、例えば10μm程度とすることができる。配線パターン34の材料としては、例えば銅(Cu)等を用いることができる。配線パターン34は、複数の層から構成されていても良く、表面に金(Au)めっき等が施されていても良い。
次いで、図5Cに示す工程では、配線パターン34上に、配線パターン34と電気的に接続される突起バンプ35を形成する。突起バンプ35は、例えば無電解めっき法や電解めっき法等により形成できる。突起バンプ35は例えば円柱状であり、検査対象物である半導体装置の電極パッドに対応する位置に設けられる。例えば、検査対象物である半導体装置の電極パッドがペリフェラル状に設けられていれば、突起バンプ35もペリフェラル状に設けられ、検査対象物である半導体装置の電極パッドがエリアアレイ状に設けられていれば、突起バンプ35もエリアアレイ状に設けられる。なお、突起バンプ35は、例えば円錐状、円錐台形状、半球状、角柱状、角錐状等であっても構わない。
突起バンプ35のピッチは、半導体装置の電極パッドのピッチに対応し、例えば10〜100μm程度とすることができる。突起バンプ35は、半導体装置の電極パッドと繰り返し接触する部分であるため、固くて変形や摩耗をしづらい材料を用いると好適であり、例えばニッケル(Ni)、銅(Cu)、金(Au)、ロジウム(Rh)等を用いることができる。突起バンプ35の配線パターン34の上面からの突起量(高さ)は、例えば20〜50μm程度とすることができる。
次いで、図5Dに示す工程では、貫通電極33の一方の面(基板本体31の面31a側の面)を含む部分に、ポスト36を形成する。ポスト36は、例えば無電解めっき法や電解めっき法等により形成できる。ポスト36は例えば円柱状であり、その中心が貫通電極33の中心と略一致するように形成する。ポスト36の直径は、貫通電極33の直径(例えば50〜200μm程度)と同等以上であることが好ましく、例えば200〜900μm程度とすることができる。
ポスト36の絶縁層32の上面からの突起量(高さ)は、例えば150〜200μm程度とすることができる。なお、ポスト36は、例えば円錐状、円錐台形状、半球状、角柱状、角錐状等であっても構わない。ポスト36の材料としては、例えばニッケル(Ni)、銅(Cu)、金(Au)等を用いることができる。
なお、図5Dに示す工程の後に、基板本体31の面31a上に、ポスト36を露出する開口部を有するオーバーコート層を形成しても構わない。又、基板本体31の面31b上に、突起バンプ35を露出する開口部を有するオーバーコート層を形成しても構わない。
次いで、図6Aに示す工程では、ビアホール21xの一方の側(基板本体の面21a側)を、ボール支持部25により封止する。ボール支持部25の厚さは、例えば100μm程度とすることができる。ボール支持部25の材料としては、シリコン樹脂やゴム系樹脂等の弾性変形可能な樹脂を用いることができる。ゴム系樹脂の例は、前述の通りである。
次いで、図6Bに示す工程では、図6Aに示す構造体を上下反転し、導電性ボール26を、ビアホール21xとボール支持部25が形成する凹部内に、可動できる状態で複数個収容する。導電性ボール26としては、金(Au)ボール、銅(Cu)ボール、ニッケル(Ni)ボール、樹脂コアのボール(Ni、Cu、はんだ等)、はんだボール等の導電性のボールを用いることができる。なお、導電性ボール26の表面に、抵抗変化が少ない金(Au)めっき等を施すと好適である。
導電性ボール26の直径は、ビアホール21xの直径及びビアホール21xとボール支持部25が形成する凹部の深さよりも小さく、例えば10〜200μm程度とすることができる。ビアホール21xとボール支持部25が形成する1つの凹部内に収容される導電性ボール26の数量は、その直径により異なるが、例えば数個から数千個程度とすることができる。
次いで、図6Cに示す工程では、第1基板20と第2基板30とを、接合部40を介して接合する。具体的には、第1基板20の基板本体21の面21bに形成された絶縁層22と、第2基板30の基板本体31の面31aに形成された絶縁層32とを接合部40を介して接合する。接合部40の厚さは、例えば100μm程度とすることができる。接合部40の材料としては、シリコン樹脂やゴム系樹脂等の弾性変形可能な樹脂を用いることができる。従って、第2基板30は、第1基板20に対して完全には固定されてなく、微動することができる。なお、接合部40は、第2基板30の外縁部近傍に連続的に形成しても良いが、第2基板30の外縁部近傍の複数箇所に所定の間隔で点在するように形成すれば十分である。
以上のように、第1の実施の形態に係る半導体検査装置によれば、支持基板となる第1基板、及び接触子(プローブ)として機能する突起バンプが形成された第2基板をシリコン等の狭ピッチ化が可能な材料により作製し、作製した第1基板と第2基板とを弾性変形可能な樹脂を用いて接合する。その結果、接触子(プローブ)として機能する突起バンプをエリアアレイ状に狭ピッチで形成することが可能となり、電極パッドがペリフェラル状に設けられている半導体装置のみならず、エリアアレイ状に設けられている半導体装置にも対応できる。
又、弾性変形可能な樹脂の機能により、第2基板が第1基板に対して微動するので、例えば検査対象物である半導体装置が第1基板に対して傾いていれば、接合部が弾性変形し、第2基板は半導体装置と略平行になるように自動調整される。その結果、接触子(プローブ)として機能する突起バンプが半導体装置の電極パッドに精度良く接触できる。又、弾性変形可能な樹脂や導電性ボールの周囲に遊びを設けているため、各要所で加わる力を低減でき、半導体装置に損傷を与えることを防止できる。
又、第1基板と第2基板とは、内側面にビア配線が形成された凹部内で可動する導電性ボールを介して電気的に接続されるため、第2基板が第1基板に対して傾いた場合にも、導電性ボールが可動して常に導電性ボールとビア配線とが接触し、安定した導通を確保できる。
〈第1の実施の形態の変形例〉
第1の実施の形態では、第2基板30において配線パターン34によりピッチ変換し、貫通電極33及びポスト36を突起バンプ35よりも広いピッチとしていた。第1の実施の形態の変形例では、第2基板30において配線パターン34を設けず、ピッチ変換を行わない例を示す。なお、第1の実施の形態の変形例において、第1の実施の形態と同一構成部分の説明は省略する場合がある。
図7は、第1の実施の形態の変形例に係る半導体検査装置を例示する断面図である。図7を参照するに、第1の実施の形態の変形例に係る半導体検査装置10Aでは、半導体検査装置10の配線パターン34に対応する構成要素は設けられてなく、ピッチ変換は行われていない。つまり、半導体検査装置10Aでは、突起バンプ35は、貫通電極33の面31b側の露出部に直接形成されている。
言い換えれば、半導体検査装置10(図1参照)では、第2基板30において配線パターン34によりピッチ変換し、貫通電極33及びポスト36は突起バンプ35よりも広いピッチとされていた。そのため、第1基板20において、ビアホール21xのピッチも貫通電極33及びポスト36のピッチに対応し、突起バンプ35よりも広いピッチとされていた。半導体検査装置10A(図7参照)では、第2基板30においてピッチ変換が行われていないため、第2基板30の突起バンプ35、貫通電極33、及びポスト36、並びに第1基板20のビアホール21xは、全て同一ピッチとされている。
このように、必ずしも第2基板30においてピッチ変換し、貫通電極33及びポスト36を突起バンプ35よりも広いピッチとする必要はない。製造上困難である等の特段の理由がなければ、ピッチ変換のための配線パターンを形成する工程が削除できるため、製造コストの低減にも寄与できる。
以上のように、第1の実施の形態の変形例に係る半導体検査装置によれば、第1の実施の形態に係る半導体検査装置と同様の効果を奏するが、更に、以下の効果を奏する。すなわち、第2基板においてピッチ変換を行うための配線パターンを形成する工程が削除可能となるため、製造コストを低減できる。
〈第2の実施の形態〉
第1の実施の形態では、ビアホール21xの一方の側をボール支持部25により封止して凹部を形成し導電性ボール26を収容した。第2の実施の形態では、基板本体に直接凹部を形成し、凹部内にボール支持部25及び導電性ボール26を収容する例を示す。なお、第2の実施の形態において、第1の実施の形態と同一構成部分の説明は省略する場合がある。
図8は、第2の実施の形態に係る半導体検査装置を例示する断面図である。図8を参照するに、第2の実施の形態に係る半導体検査装置10Bでは、第1基板20が第1基板50に置換されている点が半導体検査装置10(図1参照)と相違している。
第1基板50は、基板本体51と、凹部51xと、ビアホール51yと、絶縁層52と、ビア配線53と、配線パターン54と、ボール支持部55と、導電性ボール56と、貫通電極57と、配線パターン58とを有する。基板本体51は、配線パターン54等を形成する基体となる部分である。基板本体51の材料や厚さ、機能等は、基板本体21と同様とすることができるため、その説明は省略する。以下、基板本体51がシリコンである場合を例にして説明する。
凹部51xは、基板本体51の面51b側に開口するように設けられている。凹部51xの配設ピッチは、適宜選択することが可能であるが、例えば400〜1500μm程度とすることができる。凹部51xは、例えば平面視において円形であり、その直径は、例えば300〜1000μm程度とすることができる。
ビアホール51yは、基板本体51の面51aから面51bに貫通する貫通孔である。ビアホール51yの配設ピッチは、適宜選択することが可能であるが、例えば600〜1500μm程度とすることができる。ビアホール51yは、例えば平面視において円形であり、その直径は、例えば300〜1000μm程度とすることができる。
凹部51x及びビアホール51yは、第1の実施の形態の図4A及び図4Bに示す工程と同様に、例えばSF6(六フッ化硫黄)を用いた反応性イオンエッチング(DRIE:Deep Reactive Ion Etching)等の異方性エッチング法により形成することができる。
絶縁層52は、基板本体51の面51a及び51b、凹部51xの内側面及び内底面、並びにビアホール21xの内側面を含む基板本体51の表面に形成されている。絶縁層52は、基板本体51とビア配線53及び貫通電極57、並びに配線パターン54及び58との間を絶縁するための膜である。絶縁層52の材料や厚さ、機能等は、絶縁層22と同様とすることができるため、その説明は省略する。
ビア配線53は、凹部51xの内側面上に絶縁層52を介して形成されている。ビア配線53の材料や厚さ、機能等は、ビア配線23と同様とすることができるため、その説明は省略する。配線パターン54は、基板本体51の面51a上に絶縁層52を介して形成されている。配線パターン54の材料や厚さ、機能等は、配線パターン24と同様とすることができるため、その説明は省略する。
ボール支持部55は、凹部51xの内底面上に設けられている。ボール支持部55の材料や厚さ、機能等は、ボール支持部25と同様とすることができるため、その説明は省略する。但し、導電性ボール56の周囲に遊びを設け各導電性ボール56が可動できる状態で収容することにより、導電性ボール56に加わる力を低減できるため、仕様によっては、ボール支持部55を設けず、導電性ボール56が凹部51xの内底面に直接接する構造にしても、ある程度の繰り返し使用に耐えることができる。
導電性ボール56は、凹部51x内に収容されている。導電性ボール56の材料や厚さ、機能等は、導電性ボール26と同様とすることができるため、その説明は省略する。
貫通電極57は、ビアホール51yを充填するように形成されている。貫通電極57は、配線パターン54及び58を電気的に接続している。貫通電極57の一方の面は基板本体51の面51aに形成された絶縁層52の上面と略面一であり、貫通電極57の他方の面は基板本体51の面51bに形成された絶縁層52の上面と略面一である。貫通電極57の直径は、ビアホール51yの直径(例えば300〜1000μm程度と)と略同一である。貫通電極57の材料としては、例えば銅(Cu)等を用いることができる。
配線パターン58は、基板本体51の面51b上に絶縁層52を介して形成されている。配線パターン58は、ビア配線53と貫通電極57とを電気的に接続している。配線パターン58の材料や厚さは、配線パターン54と同様とすることができるため、その説明は省略する。配線パターン58上に、所定の開口部を有するオーバーコート層を形成しても構わない。
このように、半導体検査装置において、ボール支持部及び導電性ボールを、基板本体に直接形成した凹部内に収容しても構わない。
以上のように、第2の実施の形態に係る半導体検査装置によれば、第1の実施の形態に係る半導体検査装置と同様の効果を奏する。
以上、好ましい実施の形態及びその変形例について詳説したが、上述した実施の形態及びその変形例に制限されることはなく、特許請求の範囲に記載された範囲を逸脱することなく、上述した実施の形態及びその変形例に種々の変形及び置換を加えることができる。
例えば、第2の実施の形態において、第1の実施形態の変形例と同様の変形を加えても構わない。